説明

褐変抑制剤及びこれを配合した生鮮食品

【課題】生鮮食品の経時的な褐変を抑制する。
【解決手段】寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を有効成分として配合する褐変抑制剤を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な褐変抑制剤及びこれを配合した生鮮食品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、果実や野菜は、表皮を剥く、果肉を切り分ける等により組織が空気に触れると、空気接触面から経時的に褐変を生じて外見を著しく損なう。また、白身魚の切り身や甲殻類等の魚介類は冷蔵保存中に褐変を生じることが知られている。近年、個食化の進行や外食産業の発展により、工業的に一度にカット等の下処理がなされた果実や野菜、魚介類等の生鮮食品が、複数の流通過程を経て消費者の元に届く場面が増えており、経時的な褐変を抑制したカットフルーツや生野菜サラダ、刺身等が求められている。
【0003】
これまで、生鮮食品の褐変を抑制する方法として、食塩水や亜硫酸塩、アスコルビン酸液への浸漬や短時間加熱等の方法がなされてきた。しかし、これらには褐変抑制効果が十分ではない、異味を生じる、栄養素が流出・破壊されるという問題があった。食品の褐変抑制方法として特許文献1に、非加熱状態で搾汁、擂潰もしくは切断されたネギ類と接触処理する方法が記載されているが、この方法は食品の本来の風味に影響を与えるものであるため消費者の要望を十分に満たすものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−335859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、褐変抑制剤及びこれを配合した生鮮食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記目的を達成すべく、風味に影響を与えない多糖類を利用して鋭意研究を行ったところ、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とを有効成分として配合することにより、意外にも生鮮食品の経時的な褐変を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とを有効成分として配合する褐変抑制剤、
(2)寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種を合計0.01〜3%配合し、かつ、ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.001〜1%配合する(1)の褐変抑制剤、
(3)(1)又は(2)の褐変抑制剤を配合する生鮮食品、
(4)寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合する生鮮食品、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の褐変抑制剤は、風味や栄養素に影響を与えることなく果実や野菜、魚介類等の生鮮食品の経時的な褐変を抑制できることから、カットフルーツや野菜サラダ、刺身等の商品価値を高め、品位を長期間保つことができるため、果実・野菜・海鮮市場の活性化や中食・外食産業の発展に貢献する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
【0010】
本発明の褐変抑制剤は、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を有効成分として配合することを特徴とする。
【0011】
本発明の褐変抑制剤の有効成分である寒天は、通常食品素材として利用されているものであれば特に限定されず、一般に紅藻類から抽出して得られるアガロースとアガロペクチンを含有する多糖類であればいずれを使用しても構わない。
【0012】
本発明の褐変抑制剤の有効成分であるゼラチンは、通常食品素材として利用されているものであれば特に限定されず、例えば、アルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン等、製造方法や原料の由来によって各種のものがあるが、いずれを使用しても構わない。
【0013】
本発明の褐変抑制剤の有効成分であるジェランガムは、通常食品素材として利用されているものであれば特に限定されず、例えば、グルコースのC−2位にグリセリル基1残基が結合しC−6位にアセチル基が平均1/2残基結合しているネイティブ型ジェランガムや、これを脱アセチル化して精製された脱アシル型ジェランガムがあるがいずれを使用しても構わない。
【0014】
本発明の褐変抑制剤の有効成分であるカラギーナンは、通常食品素材として利用されているものであれば特に限定されない。カラギーナンは、一般に紅藻類から抽出して得られる硫酸基を持つガラクタンの一種であり、硫酸基の位置と数によってκ、λ、ι型に大別され、目的に応じて分画することができる。また、各型の含有割合は海藻の種類や年齢、部位等により変動するが、本発明の褐変抑制剤には、いずれの純度の、いずれの型のカラギーナンを用いても構わない。
【0015】
本発明の褐変抑制剤の有効成分であるキサンタンガムは、通常食品素材として利用されているものであれば特に限定されない。いずれの分子量のものを用いても良く、また、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩等のキサンタンガムを用いても構わない。
【0016】
本発明の褐変抑制剤の有効成分であるペクチンは、通常食品素材として利用されているものであれば特に限定されず、例えば、メチルエステル化度が50%以上である高メトキシルペクチン(HMペクチン)や、エステル化度が50%未満である低メトキシルペクチン(LMペクチン)があるがいずれを用いても構わない。
【0017】
本発明の褐変抑制剤の有効成分である寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンの合計配合量は、生鮮食品への褐変抑制剤の配合量にもよるが、褐変抑制剤中に0.01〜3%配合するのが好ましく、0.1〜3%がより好ましい。寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンの合計配合量が、上記範囲より少ないと、褐変抑制効果が得られない場合があり、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じて褐変抑制効果が増し難いことから経済的でない。
【0018】
経時的な褐変が抑制された本発明の生鮮食品における、褐変抑制効果としての有効成分である寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンの合計配合量は、特に限定されないが、生鮮食品中に0.0001〜1.5%配合するのが好ましく、0.0005〜1.5%がより好ましい。寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンの合計配合量が、上記範囲より少ないと、褐変抑制効果が得られない場合があり、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じて褐変抑制効果が増し難いことから経済的でない。
【0019】
ヒアルロン酸とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類をいう。本発明で使用する原料ヒアルロン酸及び/又はその塩は、特に限定されるものではないが、例えば鶏冠、臍の緒、眼球、皮膚、軟骨等の生体組織、あるいはストレプトコッカス属等のヒアルロン酸産生微生物を培養して得られる培養液等を原料として、抽出(更に必要に応じて精製)して得られるものである。
【0020】
本発明の有効成分であるヒアルロン酸及び/又はその塩は、当該粗抽出物あるいは精製物の何れを用いても良いが、精製物、具体的にはヒアルロン酸及び/又はその塩の純度が90%以上のものが好ましい。純度が90%未満の場合は、異味を呈する場合があり、果実や野菜、魚介類等の風味を損なう恐れがあり好ましくない。
【0021】
本発明の褐変抑制剤の有効成分であるヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量は、生鮮食品への褐変抑制剤の配合量にもよるが、褐変抑制剤中に0.001〜1%配合するのが好ましく、0.01〜1%がより好ましい。ヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量が、上記範囲より少ないと、褐変抑制効果が得られない場合があり、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じて褐変抑制効果が増し難いことから経済的でない。
【0022】
経時的な褐変が抑制された本発明の生鮮食品における、褐変抑制効果としての有効成分であるヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量は、特に限定されないが、生鮮食品中に0.00001〜0.5%配合するのが好ましく、0.00005〜0.5%がより好ましい。ヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量が、上記範囲より少ないと、褐変抑制効果が得られない場合があり、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じて褐変抑制効果が増し難いことから経済的でない。
【0023】
また、本発明の有効成分であるヒアルロン酸及び/又はその塩の平均分子量は、特に限定されないが、800〜250万が好ましく、5万〜150万がより好ましい。上記範囲を外れると、褐変抑制効果が得られない場合がある。また、平均分子量の調整方法としては、酸剤あるいはアルカリ剤の濃度、添加量及び処理時間等を適宜組合せて、所望の平均分子量となるようにすればよい。
【0024】
本発明の有効成分であるヒアルロン酸及び/又はその塩の平均分子量は、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度から算出された分子量である。ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度を求めるには、まず、複数のヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液を調製し、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社)におけるヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の流下秒数および溶媒の流下秒数から下記式(1)および式(2)に基づいて比粘度および還元粘度を算出する。この際、流下秒数が200〜1000秒になるような係数のウベローデ粘度計を用いる。その際、ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の濃度は、該測定器に適する濃度を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行ない、温度変化のないようにする。


【0025】
次いで、各ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液について、得られた還元粘度を縦軸に、乾燥物換算のヒアルロン酸および/またはその塩濃度を横軸にプロットして検量線を作成し、上記ヒアルロン酸および/またはその塩濃度を0に外挿することにより、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度を得る。下記式(3)に基づいて、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度から平均分子量Mを求めることができる。

【0026】
本発明の褐変抑制剤は、上記有効成分の配合量にもよるが、生鮮食品中に1〜50%配合することが好ましく、5〜50%配合することがより好ましい。褐変抑制剤の配合量が、上記範囲より少ないと、褐変抑制効果が得られない場合があり、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じて褐変抑制効果が増し難いことから経済的でない。
【0027】
生鮮食品とは、経時的に褐変する食品であれば、特に限定されるものではないが、例えば、未加熱、あるいは酵素が残存している果実、野菜、魚介類等が挙げられる。例えば、果実類として、リンゴ、ナシ、カキ、モモ、プラム、スモモ、アンズ、サクランボ、バナナ、ライチ、ドラゴンフルーツ、グァバ、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、キウイ、パッションフルーツ、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、メロン、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ブドウ、アケビ、イチジク等が、野菜類として、レタス、キャベツ、ハクサイ、モヤシ、キュウリ、ズッキーニ、ナス、トマト、ジャガイモ、玉ネギ、ゴボウ等が、魚介類として、タイ、アジ、マグロ等の魚類、イカ、タコ等の頭足類、貝類、カニ、エビ等の甲殻類、タラバガニ等が挙げられる。
【0028】
本発明の生鮮食品に用いる食品は分割及び/又は破砕及び/又は剥皮及び/又は脱殻して可食部の一部又は全部が露出したものが好ましい。本発明の生鮮食品に用いる食品の可食部が露出していないと、本発明の課題である経時的な褐変が生じ難い場合がある。本発明の生鮮食品に用いる甲殻類はとれたままの形状であっても、可食部が露出したものであっても良い。
【0029】
本発明の褐変抑制剤には、上記記載の寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩の他に、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、グルコース、ショ糖、乳糖、麦芽糖、オリゴ糖、ぶどう糖果糖液糖等の糖類、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、トレハロース、パラチノース等の甘味料、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リゾリン脂質等の乳化剤、食塩、核酸、アミノ酸、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、各種ペプチド、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸等の有機酸及びその塩、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ナイアシン等のビタミン類、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等のミネラル類、香辛料、色素、香料等が挙げられる。
【0030】
本発明の褐変抑制剤は、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合していれば、いずれの形態であっても良く、例えば、固体、ゲル、液体であっても良い。特に限定されないが、例えば、固体の褐変抑制剤は、デキストリンや砂糖等の賦型剤を混合して製することができ、ゲル又は液体の褐変抑制剤は、清水等の溶媒に分散させて製することができる。
【0031】
本発明の生鮮食品は、上記の褐変抑制剤を配合した食品であれば、いずれの形態であっても良く、例えば、固体、ゲル、液体であっても良い。特に限定されないが、例えば、固体の生鮮食品は、カットフルーツ等の食品の表面に褐変抑制剤を塗布して製することができ、ゲル又は液体の生鮮食品は、果実等の食品を擂潰する前後や途中に褐変抑制剤を配合して製することができる。
【実施例】
【0032】
[実施例1]
寒天0.4%、グアーガム0.4%、ローカストビーンガム0.2%、ヒアルロン酸及び/又はその塩(平均分子量10万〜50万)0.05%、クエン酸(結晶)0.1%、グラニュ糖5%、パラチノース5%、清水88.85%をミキサーに入れ、品温80℃で混合溶解し、本発明の褐変抑制剤を得た。皮を剥き、10g大にカットしたリンゴに、上記の褐変抑制剤を刷毛で3g塗布した後、乾燥防止のために蓋付きの容器に入れて5℃の冷蔵庫で3日間保存した。保存後のリンゴの褐変は全く認められなかった。
【0033】
[実施例2]
ゼラチン0.5%、ヒアルロン酸及び/又はその塩(平均分子量120万〜160万)0.5%、デキストリン99.0%を混合して本発明の褐変抑制剤を得た。皮を剥き、30g大にカットした白桃を、上記の褐変抑制剤を敷き詰めた皿に押し付けて塗布した後に計量したところ、32gだった。乾燥防止のために蓋付きの容器に入れて5℃の冷蔵庫で3日間保存した。保存後の白桃の褐変は全く認められなかった。
【0034】
[実施例3]
ジェランガム0.005%、ローカストビーンガム0.005%、ヒアルロン酸及び/又はその塩(平均分子量10万〜50万)0.0005%、クエン酸(結晶)0.1%、グラニュ糖5%、パラチノース5%、清水89.8895%をミキサーに入れ、品温80℃で混合溶解し、本発明の褐変抑制剤を得た。クルマエビ100gを、上記の褐変抑制剤に1分間浸漬し、続いてザルにあげて5分間液切りを行った後に計量したところ、110gだった。乾燥防止のために蓋付きの容器に入れて5℃の冷蔵庫で3日間保存した。保存後のエビの褐変は僅かだった。
【0035】
[実施例4]
カラギーナン0.7%、グアーガム0.6%、ヒアルロン酸及び/又はその塩(平均分子量10万〜50万)0.05%、清水98.65%をミキサーに入れ、品温80℃で混合溶解し、タイの切り身80gに20gを刷毛で塗布した。乾燥防止のために蓋付きの容器に入れて5℃の冷蔵庫で3日間保存した。保存後のタイの褐変は全く認められなかった。
【0036】
[実施例5]
キサンタンガム0.7%、ローカストビーンガム0.6%、ヒアルロン酸及び/又はその塩(平均分子量10万〜50万)0.05%、清水98.65%をミキサーに入れ、品温80℃で混合溶解し、本発明の褐変抑制剤を得た。タイの切り身80gに上記の褐変防止剤を20g刷毛で塗布した。乾燥防止のために蓋付きの容器に入れて5℃の冷蔵庫で3日間保存した。保存後のタイの褐変は全く認められなかった。
【0037】
[実施例6]
寒天0.4%をペクチン0.4%に置き換えた以外は、実施例1の方法に準じて本発明の褐変抑制剤を得た。1cm角にカットしたアボカド200gを、上記の褐変抑制剤に1分間浸漬し、続いてザルにあげて5分間液切りを行った後に計量したところ、270gだった。乾燥防止のために蓋付きの容器に入れて5℃の冷蔵庫で7日間保存した。保存後のアボカドの褐変は全く認められなかった。
【0038】
[比較例1]
ヒアルロン酸及び/又はその塩(平均分子量10万〜50万)0.05%を配合しない以外は、実施例1の方法に準じて比較例用組成物を得た。実施例1に準じて評価したところ、保存後のリンゴは著しく褐変していた。
【0039】
[比較例2]
寒天0.4%、グアーガム0.4%、ローカストビーンガム0.2%をグアーガム0.7%、ローカストビーンガム0.3%に置き換えた以外は、実施例1の方法に準じて比較例用組成物を得た。実施例1に準じて評価したところ、保存後のリンゴは著しく褐変していた。
【0040】
[比較例3]
キサンタンガムをグアーガムに置き換え、ヒアルロン酸及び/又はその塩(平均分子量10万〜50万)0.05%を配合しない以外は、実施例5の方法に準じて評価を行った。保存後のタイには褐変が認められた。
【0041】
以上の結果より、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を有効成分として配合する褐変抑制剤を用いた場合は、生鮮食品の経時的な褐変が抑制され好ましかった(実施例1〜3、5、6)。特に、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種を合計0.01〜3%配合し、かつ、ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.001〜1%配合する褐変抑制剤を用いた場合に生鮮食品の経時的な褐変は全く認められなかった(実施例1、2、5、6)。一方、ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合しない組成物や、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンのうちの何れも配合しない組成物を用いた場合は、生鮮食品の経時的な褐変が抑制されず好ましくなかった(比較例1〜3)。
【0042】
以上の結果より、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を有効成分として配合した生鮮食品は、経時的な褐変が抑制され好ましかった(実施例4)。一方、ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合しない、または、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンのうちの何れも配合しない生鮮食品は、経時的な褐変が抑制されず好ましくなかった(比較例1〜3)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とを有効成分として配合することを特徴とする褐変抑制剤。
【請求項2】
寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種を合計0.01〜3%配合し、かつ、ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.001〜1%配合する請求項1記載の褐変抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の褐変抑制剤を配合する生鮮食品。
【請求項4】
寒天、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、キサンタンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合することを特徴とする生鮮食品。