褥瘡性潰瘍の防止システムおよび方法
複数の圧力検出センサを備える圧力検知マットが開示される。このマットは、対象者とプラットフォームとの間に配置されて、褥瘡性創傷予防システムに接続されるように構成される。圧力創傷予防システムは、圧力検知マット内のセンサからのデータを受信し、そのデータを処理、解読および分析し、分析したデータをユーザに表示するように構成される。この圧力創傷予防システムは、動かない患者に床擦れが生じるのを防止するのを助けるのを目的とし、在宅介護環境、救急処置施設、長期療養施設、ホスピス、病院、養護施設、生活介護住居などにおいて特に有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関する。より詳細には、本明細書に記載の実施形態は、褥瘡性潰瘍または床擦れのような褥瘡性創傷(pressure-wounds)を防止のための医療支援に関するものである。
【背景技術】
【0002】
褥瘡または床擦れとして一般に知られている褥瘡性潰瘍のような褥瘡性創傷は、軟組織の局所部位が骨ばっている隆起と外表面との間で長期間圧縮されるときに発症する病変である。褥瘡は、身体の各部に現れることがあり、その発症は、軽減されない圧力、摩擦、剪断力、湿度および温度のような要因の組合せによって、影響を受ける。
【0003】
現在、入院患者の約10%乃至15%が常に床擦れを有すると推定されている(メディケアウェブサイト2009)。褥瘡性創傷に苦しむ入院患者だけでなく、例えば、車椅子生活を余儀なくされる人々も、特に、骨盤、腰および足首において、褥瘡性創傷に苦しむ傾向がある。早期に発見すれば、簡単に防止して完全に治療することができるが、床擦れは痛みを伴い、その治療は困難でかつ費用を要する。多くの場合、床擦れは、医療の支援下においてさえも致命傷になり得る。
【0004】
褥瘡性創傷に対処する最も有効な方法は、それを防ぐことである。既存の予防策は、受動的な解決策(様々な種類のクッション材)、または空気室の膨張/収縮を交互に行う様々な動的マットレスを含む積極的な解決策の何れかである。しかしながら、圧力除去マットレスは、圧力を逃がす必要のない位置からも圧力を再分配して、敏感な部分により高い圧力を不必要に生成する傾向がある。さらに、そのようなマットレスは、一般的に、病院ベッドに横になる患者のために設計されており、座った姿勢で非常に長い時間を過ごす、車椅子生活などを余儀なくされる個人の要求には殆ど答えることができない。
【0005】
最も一般的な予防法は、患者の敏感な身体部位から圧力を2乃至3時間毎に逃がすという徹底的なケアルーチン(care routine)を続けることである。これは、厳しい介護の下で、患者に行わせることができる。困難で労働集中的で費用のかかる作業であるのと同時に、そのようなケアルーチンは、移動に車椅子を使用する対麻痺患者のような、介護者の継続監視を必要としない独立した個人の要求を満足しない。
【0006】
したがって、信頼できるコスト効率の良い、褥瘡性創傷の発症を防ぐシステムおよび方法に対する必要性が依然として残存する。以下に記載の実施形態は、この必要性に取り組むものである。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載の実施形態は、複数のセンサを備える圧力検知マットであって、対象者(被験者)とプラットフォームとの間に配置されて、褥瘡性創傷予防システムに接続されるように構成された圧力検知マットを開示する。
【0008】
任意には、圧力検知マットが、第1導電層と第2導電層との間に挟まれた少なくとも1層の絶縁材を備える。任意には、圧力検知マットが、少なくとも1つの基板層をさらに含む。任意には、少なくとも一方の導電層が基板層の間に挟まれる。
【0009】
任意には、少なくとも一方の導電層が、平行な導電性材料のストリップを含む。任意には、第1導電層の平行なストリップおよび第2導電層の平行なストリップが複数の交差部で重なり合う。任意には、第1導電層の平行なストリップが第2導電層の平行なストリップに対して垂直に配置される。任意には、交差部が、静電容量センサ、抵抗センサまたはインピーダンスセンサを形成する。
【0010】
任意には、圧力検知マットが取付ストラップをさらに含む。任意には、圧力検知マットが、少なくとも1の湿度検知センサまたは少なくとも1の温度検知センサを含む。
【0011】
本明細書に記載の実施形態は、プラットフォーム上に載る対象者の褥瘡性創傷の生成を防止するように構成されたシステムであって、少なくとも1の圧力検知マットと、圧力検知マットを含む圧力検知センサに電位を供給するように構成されたドライバユニットと、ドライバユニットを制御してセンサからデータを受信するように構成された制御ユニットと、データを解釈して分析するように構成されたプロセッサと、データを提示するように構成された少なくとも1のディスプレイとを備えるシステムをさらに開示する。
【0012】
このシステムにおいては、圧力検知マットが、任意には、プラットフォームに一体化される。任意には、プラットフォームが、マットレス、ベッド、椅子、腰かけ、ソファ、車椅子、ロッキングチェア、長椅子、バンケット、ビーンバッグ、オットマン、ベンチおよびプーフからなる群から選択される。
【0013】
任意には、このシステムが、制御ユニットおよびプロセッサからのデータを格納するように構成された少なくとも1の記憶ユニットをさらに含む。任意には、記憶ユニットが、可動式であり、様々な圧力検知装置と一体化されるように構成される。任意には、ディスプレイが、コンピュータスクリーン、ラップトップ、携帯情報端末、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合液晶スクリーン、薄膜トランジスタ(TFT)、タッチスクリーンおよびそれらの組合せを含む群から選択される。任意には、プロセッサが、設定可能なパラメータを使用してデータを分析する。
【0014】
任意には、システムが、湿度を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに含む。任意には、システムが、温度を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに含む。任意には、システムが、対象者とプラットフォームとの間の接触を検知するように構成された少なくとも1のセンサをさらに含む。任意には、システムがさらに、対象者がプラットフォームから落ちるのを防止するように構成されている。
【0015】
任意には、システムが、システムの位置に関するデータを送信するように構成されたユニットをさらに含む。任意には、システムがさらに、対象者のケアルーチンを監視するために使用される。任意には、システムが、少なくとも1の共通の制御センタと通信する複数の圧力検知マットを含む。任意には、システムが、データ採取研究ツールとして使用される。
【0016】
実施形態は、褥瘡性創傷の発症を防止する方法であって、圧力を検知するように構成された複数のセンサを有する少なくとも1の圧力検知マットを提供するステップと、センサに電位を供給するステップと、センサからデータを受信するステップと、データを解釈して分析するステップと、データに基づいて出力を与えるステップとを備える方法をさらに教示する。任意には、この方法は、少なくとも1のデータ記憶ユニットにデータを格納するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明についてのより良い理解のために、またそれが如何に実行されるのかを示すために、単に一例として、ここで添付図面を参照することとする。
ここで図面を詳細に特に参照すると、図示の細部は、本発明の好ましい実施形態の例示的な検討のためのほんの一例にしか過ぎず、本発明の原理および概念的側面を最も有効にかつ容易に理解できる説明であると考えられるものを提供するために提示されるものであることを強調したい。これに関して、本発明の基本的な理解に必要とされる以上に詳細に、本発明の細部構造を示すようなことはしないが、その説明は、図面を併用することにより、本発明の様々な形態が如何に実際に具現化されるのかを当業者に明らかとするものである。
【図1】図1aは、褥瘡性創傷予防システムの一般的な実施形態の主要構成要素を示し、図1bは、様々な種類の複数の褥瘡性創傷予防サブシステムを含む拡張褥瘡性創傷予防システムを示している。
【図2】図2aは、単一のセンサの一実施形態の断面を示し、図2b乃至図2eは、圧力検知シートの実施形態の様々な等角投影を示している。
【図3】図3aおよび図3bは、圧力検知シートの更なる実施形態の平面図および断面図である。
【図4】図4は、車椅子に組み込まれた褥瘡性創傷予防システムを示している。
【図5】図5a乃至図5dは、表示システムの一実施形態のスクリーン上に圧力データが如何に表示されるのかの様々な表示を示している。
【図6】図6は、褥瘡性創傷の発症を防止する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に記載する圧力検知システムおよび方法の実施形態は、褥瘡性創傷が対象者に発症するのを防止することに向けられている。この実施形態は、一般に、床擦れの生成または進行をもたらす可能性のある、対象者の体の各部にかかる圧力分布および進行中の蓄積された圧力の表示を介護人に与える。その後、介護人は、体の部位にかかる圧力を逃がすように、対象者を移動させるか、あるいはクッション材を代えるなど、適切な処置を講じることができる。また、システムの実施形態は、対象者のケアルーチンの継続中の分析および記録のために使用することができる。
【0019】
当然のことながら、圧力検知システムの実施形態によって、介護人は、必要なときにだけ患者を移動させることができる。また、必要に応じて位置を変えるか、あるいはクッションが設けられる、体の圧力がかかる部分に特に注意を払うことができる。このようなシステムの実施形態がさらに、対象者のケアルーチンおよびその介護者の仕事ぶりのモニタリングを補助することに留意されたい。
【0020】
褥瘡性創傷を防止するシステムおよび方法の様々な実施形態を以下に示す。典型的には、それらは、圧力検知要素を利用して、対象者の体のどの部位が褥瘡を発症する危険性を有するのかを判定する。それら要素の1つは、以下に概要を示すように、褥瘡性創傷予防システムに接続するように構成される圧力検知マットとすることができる。
【0021】
[感知マットを含む褥瘡性創傷予防システム]
ここで、褥瘡性創傷予防システム100の一般的な実施形態の主要構成要素を表わした図1aのブロック図を参照する。そのようなシステムの実施形態は、複数のセンサ132を有する少なくとも1枚の圧力検知マット130、ドライバ120、電源110に一般に接続される制御ユニット140、プロセッサ150、データ記憶ユニット160および表示システム170を含むことができる。このシステムは、任意には、プラットフォームと対象者の体との間の接触を検知するように構成されたタッチセンサ134のような追加センサを含むことができる。この実施形態においては、ドライバ120が、圧力検知マット内のセンサに選択的に電圧を供給し、任意には、タッチセンサ134に電圧を供給する。プロセッサ150は、圧力検知マット内のセンサ間の電位を監視し、各センサのインピーダンス値を計算し、そのデータをデータ記憶ユニット160に格納する。プロセッサは、任意には、タッチセンサから受信したデータも監視する。記憶データは、さらに処理し、分析し、表示システム170に表示することができる。表示システムには、コンピュータスクリーン、ラップトップ、PDA、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合LCDスクリーン(例えば、薄膜トランジスタ、タッチスクリーン)などが含まれる。別個のブロックとしてブロック図に示したが、このシステムは、任意には、スタンドアローンシステムに統合することができる。
【0022】
圧力検知マットの複数のセンサからの測定値は、プロセッサ150に伝送することができる。データ伝送は、要求に応じて、無線であっても、データケーブルを介してであってもよい。プロセッサ150は、インピーダンス値を解読するとともに、そのデータを分析して、センサに加えられた圧力をどのセンサが有していたのかを判定するように構成されている。解読は、所与の周波数におけるインピーダンス値を圧力値にマッピングした参照テーブルと情報交換することにより行うことができる。圧力値は、典型的には医療機関で通常使用される水銀柱ミリメートルの単位であるが、パスカル、気圧または重量ポンド毎平方インチなどのようなその他の圧力単位が要件に適合するものとして好ましい場合もある。そのような参照テーブル中の値は、一般的には、マット毎に互いに異なるものであり、恐らくは製造中またはマットの最初の使用時に、自動的にまたは手動で較正することが必要な場合もある。なお、当然のことながら、インピーダンス測定値は、抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスのようなセンサの数多くの特性によって影響を受けるが、それら特性は何れも、検知マットの設定により圧力を示すことができる。
【0023】
[複数の対象者向けの拡張システム]
褥瘡性創傷予防システムのその他の実施形態は、複数の対象者の蓄積した圧力を監視することを目標として、スケールおよびストレスのために設計することができる。そのような実施形態は、1またはそれ以上のドライバおよび制御ユニットに接続された複数の圧力検知マットを含むことができる。電力は複数の電源から供給することができ、データの計算および分析に多数のプロセッサを使用することができ、そのデータは、複数のデータ記憶ユニットに格納することができる。
【0024】
ここで、共通の遠隔制御センタ500と通信する複数の褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eを含む拡張褥瘡性創傷予防システム1000を示した図1bを参照する。褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eは、例えば、病院や介護施設などのベッド100b、椅子100a,100c,100e、車椅子100d上など、様々な位置の様々な対象者を監視することができ、データ通信回線を介して、例えば、看護ステーションにある、遠隔制御センタ500と通信するように構成することができる。当然のことながら、対象者が車椅子などに座る場合のように、圧力検知マットが移動するように構成された実施形態においては、有線データケーブルは適当ではなく、例えば、wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などのようなプロトコルを使用する電波を介した無線手段によるデータ伝送が望ましい場合がある。
【0025】
代替的には、褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eを、例えば、個人の家において、各々を互いに離して配置させることができ、そのために、遠隔制御センタ500を有人のモニタリングステーションとすることができる。そのようなシステムにおいては、データ通信回線を、セルラーネットワーク、インターネットなどへの接続を介して提供することができる。
【0026】
さらに、単一の褥瘡性創傷予防システムは、複数の圧力検知マット、例えば、限定ではないが、椅子の座面と背に配置される2つのマットを含むものであってもよい。
【0027】
遠隔制御センタ500は、典型的には、サブシステム100a−100eからのデータを格納するためのデータ記憶ユニット560と、必要に応じてデータを示すためのディスプレイユニット570とを含む。当然のことながら、制御センタ500は、多数のサブシステムを制御するために、処理および駆動機能を追加的に提供することができる。任意には、各褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eは、ローカルにデータを処理し、格納し、表示するために、自らの専用のモニタ170を備えることができる。
【0028】
[褥瘡性創傷予防システムとともに使用する圧力感知マット]
圧力感知マットの実施形態を示す。感知マットは、椅子の座面または病院ベッドのマットレスと、着席した対象者の体との間に配置させることができる。感知マットは、典型的には、立った姿勢または横になった姿勢の対象者にかかる圧力を監視するために使用される。圧力感知マットの出力は、褥瘡性創傷発症の危険性を示すために使用することができる。
【0029】
ここで、単一のセンサ300の基本的な実施形態の断面を示した図2aを参照する。この実施形態では、センサが、導電性ストリップ310a,310bの2層と、その間の絶縁材料からなる絶縁層320とにより構成されるコンデンサである。センサ上のどこかを押圧すると、絶縁層320が圧縮されて、導電性ストリップ間の距離が変化し、それによりコンデンサのキャパシタンスが変化することとなる。ここでは静電容量センサのみを記載しているが、その他の実施形態においては、抵抗センサが好ましい場合もあることに留意されたい。すなわち、絶縁層の抵抗が圧力に従って変化するときに、それを監視することができる。
【0030】
ここで、マトリクスの形態で配列された複数のセンサ210を含む圧力検知マット200の実施形態の等角投影を示した図2bを参照する。マットは、典型的には、絶縁材料からなる絶縁層230により分離された導電性材料からなる二層220a,220bを有する。導電層の各々は、典型的には平行な導電性ストリップ222,224からなり、2つの導電層は直交して配置されて、その結果、一方の導電層においてストリップが水平222となり、他方の導電層においてストリップが垂直224となっている。各ストリップは、制御ユニットに配線されて、好ましくは、安全な低電圧源により操作可能とされる。
【0031】
静電容量センサは、垂直な導電性ストリップと水平な導電性ストリップとの各“交差部”で互いに重なる導電性ストリップの部分間のキャパシタンスに基づくものである。それら静電容量センサは、それらの表面のどこかの押圧により2つの導電層間の間隔が変化して、その結果、交差部のキャパシタンスが変化するように構成されている。ドライバユニットは、垂直ストリップに電位を選択的に与えることができ、その電位は、互いに重なる部分の静電容量センサが判定されるように、水平ストリップ上で監視することができる。
【0032】
各センサ間に振動電位を与えて生成される交流電流をモニタリングすることにより、交差部のインピーダンスを計算して交差部のキャパシタンスを判定することができることに留意されたい。交流は、次の数式に従って、コンデンサを跨ぐ電位に応じて変化する。
Iac = 2πfCVac
ここで、Iacは交流の二乗平均平方根値、Vacはコンデンサを跨ぐ振動電位の二乗平均平方根値、fは振動電位の周波数、Cはコンデンサのキャパシタンスである。
【0033】
したがって、既知の周波数においてIacおよびVacが既知である場合には、センサのキャパシタンスを計算することができる。このため、センサの機械的特性が既知である場合には、センサにかかる圧力を推定することができる。
【0034】
好ましくは、静電容量センサは、30日のような長い期間またはそれ以上の期間連続的に完全に押圧されていたとしても、その機能を保持し、一般に1年以上の感知マットの寿命までの期間、その特性を維持する。特に、センサの特性は、好ましくは、2つの個別の事象間で一致すべきである。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、マットは、追加因子、特に、床擦れの発症に影響を与える温度、湿度、水分などのような追加因子を監視するように構成された追加のセンサをさらに含むことができる。そのような追加センサは、連続的にまたは必要に応じて間欠的にそれら因子を監視して因子の高リスクの組合せを検知するように構成することができる。そのような測定値は、更なる分析のために、データベースに記録および格納することができる。
【0036】
任意には、追加センサを、圧力検知マットから離して配置させることができる。例えば、マットは、椅子の座面に一体化させることができ、タッチセンサは、椅子の背もたれに一体化させることができる。
【0037】
圧力検知マットの好ましい実施形態では、導電層および絶縁層がフレキシブルとなるように材料が選択される。絶縁材料は、圧縮可能で、典型的にはスポンジのような、ふんわりとした、または孔のある材料(例えば、発泡体)とすることができ、それに圧力が加わったときに密度の大きな変化を生じることが可能となっている。感知マットを含む材料は、典型的には、日常的な使用による通常の損耗に十分に耐え得る耐久性を有する。また、感知マットは、例えば、マットが折り畳まれたときに、誤った圧力値を生じることがないように構成されている。
【0038】
圧力検知マット200または感知マットは、標準的なベッドシーツに使用されるようなその他の材料層240a,240bの下方に配置されるか、またはその他の材料層と一体化することができる。当然のことながら、そのような追加的材料は、特定の用途で必要とされるような更なる特性を与えることができる。典型的には、センサの導電性材料は、分離可能で、洗える、防水性および通気性を有するカバーマットにより包まれて、マット上に載る対象者の不快感を最小にすることができる。
【0039】
ここで、圧力検知マットの様々な実施形態の分解図を示した図2c乃至図2eを参照すると、導電層220(図2a)が様々な基板によって支持されている。例えば、図2cは、絶縁層230に直接固着された2つの導電層2220a,2220bを示している。代替的には、図2dに示すように、導電層3220a,3220bが、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)などからなる別個の基板3210a,3210bによって支持され、それらの間に、絶縁層230が挟まれている。さらに別の実施形態においては、図2eに示すように、導電層4220a,4220bの各々が、2つの基板4212a,4214a,4212b,4214bの間にそれぞれ挟まれている。
【0040】
当然のことながら、一列のセンサからインピーダンス値の安定した測定値を得るためには、センサから測定値を取得している間に対象者がほとんど動かないか、全く動かないことが好ましい。このため、ある実施形態によれば、センサの応答時間および測定値を得る時間は、恐らくほぼ数十または数百ミリ秒程度に小さくすべきであり、その間に、対象者の動作は一般にほんの僅かであるが、その他の応答時間はそれに見合った時間必要である可能性がある。特に、対象者が大体動かない用途では、より長い測定時間を使用することが有利となり得ることに留意されたい。
【0041】
圧力検知マットまたは感知マットは、典型的には、病院のベッド、長期療養施設のベッド、家庭のベッドのマットレス、椅子、カウチ、車椅子などの座面または背のような表面上に配置される。このシステムの実施形態は、1またはそれ以上の圧力検知マット上に載る対象者と、マットが載る表面との間に形成される圧力点(pressure points)を検知することができる。上記表面は、椅子、腰かけ、ソファ、車椅子、ロッキングチェア、長椅子、バンケット、ビーンバッグ、オットマン、ベンチおよびプーフの一部であってもよい。対象者毎の圧力マッピングデータは、時間とともに、1またはそれ以上のデータ記憶ユニットに集めることができる。
【0042】
図3aおよび図3bを参照すると、圧力検知マット5000の更なる実施形態の平面図および断面図が示されている。圧力検知マット5000は、上述したようなセンサマトリクス5500を含み、それらは、カバーマット5400内に収容されるとともに、必要に応じて、ジッパー5420により密封される。
【0043】
圧力検知マット5000は、表面に対するマットの移動を防ぐように、表面に取り付けることができる。マット5000の実施形態の特徴は、カバーマット5500が、マットレス、ベッド、椅子、ベンチ、ソファまたは車椅子などの座面または背にマットを固定するための結合機能を含むことができる、ということである。結合機能は、例えば、少なくとも1のストラップ5200を含むことができ、このストラップ5200は、圧力検知マットが固定的に保持されるように、当該ストラップを座面に、または互いに固定するように構成された取付手段5240を含む。これは、外部褥瘡の形成を促進するとして知られている剪断力の生成に寄与する、検知マットの折り重なる動き、皺になる動き、またはその他の動きを防ぐのに有用である可能性がある。適当な取付手段には、例えば、要求に適合するように、ベルクロ(登録商標)、バックル、接着剤、ボタン、ひも等のようなかぎ留め材料が含まれる。
【0044】
さらに別の実施形態では、任意には、整合するグリッド状のセル(matching grid of cells)を有する膨張可能なマットレスと組み合わせて、センサシートを使用することができる。この実施形態では、圧力が所与の閾値を超えるときに、近隣のマットレスセルが膨張または収縮して、圧力を再分配する。当然のことながら、そのような積極的な解決策は、患者の向きまたは位置を変える必要性を低減することができる。このため、ある実施形態では、圧力モニタリングおよび除去は、完全に自動化することができる。
【0045】
圧力検知マットの数は、必要に応じて変えることができる。圧力検知マットは、典型的には、褥瘡性創傷を生じ易い体の部分を保持するように設計されたベッドまたは着座装置の部分に一体化される。例えば、これに限定される訳ではないが、着座装置の部分は、首、腰、足首または踵のような体の部分を支持することができる、椅子またはソファの座面、背、肘掛け、せぬき、拘束具、足掛けなどであってもよい。
【0046】
当然のことながら、圧力検知マットの数多くの実施形態を共通の着座装置に配置させることができる。共通の着座装置上の圧力検知マットの数多くの実施形態は、車椅子に一体化された圧力検知システムの実施形態を示した図4に例示されている。圧力検知マットの実施形態は、例えば、それに限定される訳ではないが、座面410、背420、肘掛け430および足掛け440に一体化することができる。
【0047】
図1aを再び参照すると、褥瘡性創傷予防システムは、電源110を含むか、または例えば、それに限定される訳ではないが、電気コードを介して外部電源に接続することができる。褥瘡性創傷予防システムが可動着座装置に接続される場合には、電源が充電可能であることが重要である。電動車椅子においては、電動車椅子内に組み込まれた既存のバッテリを、褥瘡性創傷予防システムに電力を供給するために使用することもできる。機械的車椅子のような着座装置のその他の実施形態においては、褥瘡性創傷予防システムに電力を提供するために、専用電源を用いることができる。特に、電気化学セル、燃料電池、コンデンサ、太陽電池、誘導電源、電力ハーベスタ(power harvesters)のような様々な電源を必要に応じてシステムに有効に統合することができる。
【0048】
様々な実施形態では、圧力検知マットが、温度、湿度、大気圧などのような追加的な環境パラメータを検知するために使用することができる追加的なセンサをさらに含むことができる。より多くの実施形態は、例えば、これに限定される訳ではないが、対象者とプラットフォームとの間の接触を検知するように構成されたセンサなど、圧力以外のパラメータを検知することを目的とした、マットに一体化されないセンサをさらに含むことができる。そのような接触検知センサは、例えば、これに限定される訳ではないが、椅子の背のトップレールおよびクロスレールに配置することができる。椅子の背からの対象者の離脱によって、対象者が椅子から完全に落ちることになる場合がある。したがって、上述した位置に配置された接触センサから得られた情報を、処理して、対象者が今にも落ちる危険性があるか否かを判定するのに使用することができる。
【0049】
図4は、褥瘡性創傷予防システムの様々な構成要素が如何に車椅子に一体化されているのかを示している。車椅子は、座面410、背420、肘掛け430および足掛け440を含む。一体化された電源およびドライバユニット460は、座面の下に配置されて、車椅子の座面に一体化された感知マット450aと、車椅子の背の下部に一体化された第2感知マット450bと、車椅子のトップレールに配置されたタッチセンサ460とに電力を提供する。演算処理ユニットおよび記憶ユニット(図示省略)も座面の下に配置させることができる。表示スクリーン470は手摺りに一体化することができる。
【0050】
様々な実施形態においては、データ記憶ユニットが、可動式であり、一方の着座装置から他方の着座装置に、患者とともに移動させることができる。記憶ユニットの可動性は、患者がある部屋から別の部屋に移動したり、またはある位置から別の位置に、例えば、これに限定される訳ではないが、病院の椅子から病院のベッドに、あるいは車椅子から車のシートに移動するときに、患者の圧力履歴を保存するのを助ける。横になった姿勢から立った姿勢への対象者の動きは、必ずしも、すべての体の部分に加わる蓄積された圧力を逃がす訳ではないため、この特徴は特に有用である。
【0051】
本明細書に記載のシステムおよび方法の更なる目的は、様々な状況および様々な位置で数多くの対象者から集めたデータの記憶を可能にすることである。データ記憶は、典型的には、1またはそれ以上のデータベースユニットに集められる。データ記憶は、特定のマットまたは一連のマットに関する統計収集、患者のグループ(例えば、糖尿病患者)による医療環境の比較、またはスケジュールおよび標準治療を変えるための現実的な提案を提供するように設計された研究ツールの構築に役に立つことがある。
【0052】
[データ分析および表示]
ソフトウェアアプリケーションは、典型的には、少なくとも1台のデータ記憶ユニットからデータを取り出し、様々な目的のためにそれを分析し、ユーザに様々な形式で分析結果を表示するために使用される。ソフトウェアアプリケーションは、それに限定される訳ではないが、以下のような特徴を含むことができる。
・圧力検知マット上の各センサによって検知された圧力を計算して示す。
・隣接ピクセルによって検知された相対圧力の比較により剪断力を計算する。
・圧力検知マット上の各センサによって検知された蓄積された圧力を時間とともに計算して示す。
・温度または水分蓄積のようなデータを時間とともに計算して示す。
・計算して、褥瘡性創傷の発症を防ぐために患者を移動させる必要があるときに、モニタリングステーションの介護人に警告を出す。
・圧力が予め設定された閾値を超えてかつ予め設定された期間に達したときに、警報を発する。
・これに限定される訳ではないが、無線伝送異常、電力断線などのような様々なマットのパラメータについて計算し、提供し、警報を発する。
・圧力検知マットを含む圧力検知センサを較正する。各センサを個々に較正するか、多数のセンサをまとめて較正することができる。
・これに限定される訳ではないが、異なる患者または圧力検知マットの異なる部分についての圧力および時間の閾値のような、パラメータを設定する。
・患者の圧力解放ケアルーチンのモニタリングおよびロギングを時間とともに行う。
・介護中の患者の適切な処置に関して、介護人の仕事ぶりのモニタリングを行う。
・マットの座標から対象者の体の座標に、感知マット上の圧力センサの測定値を変換する。
・1またはそれ以上の圧力検知マットの圧力データの履歴を保存する。
・これに限定される訳ではないが、携帯電話、ポケベル、携帯情報端末(PDA)、看護ステーションまたは医療カートの表示画面、ウェブインタフェース、電子メール、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージサービス(MMS)およびインスタントテキストメッセージプラットフォームなどのような、複数のローカル装置または可動装置および技術を介して、視覚的および音声の警告を可能にする。
・患者の介護状態(例えば、患者が最後に移動したとき)に関して患者またはその介護者によるデータの入力を可能にする。
・1またはそれ以上の対象者によって使用される複数の圧力検知マットからのデータの提示、モニタリング、設定、計算、警告および提示を可能にする。
・ユーザが圧力測定値の履歴を問い合わせることを可能とし、ユーザの要求に応じてレポートを作成する。
【0053】
組織破壊によって引き起こされた外傷は、やがて褥瘡性創傷に進行する場合がある。剪断力はそのような組織破壊の共通の原因である。ソフトウェアは、さらに、少なくとも1の圧力検知マットから受信したデータを分析して、対象者の体の部分に剪断力がかかっているか否かを判定するために使用することができる。対象者がマット上に載る場合、2つの隣接するセンサは、ほぼ同様の圧力レベルを測定することが予想される。そうでない場合には、ソフトウェアは、対象者が感知マット上でスライドして、恐らくは剪断力が対象者の体にかかっており、組織破壊を生じることを推定することができる。
【0054】
ここで、表示システム170(図1)の一実施形態の画面上に圧力データが如何に表示されるのかの様々な表示を示した図5a乃至図5dを参照する。図5a乃至図5dは、腹部(図5a)、背部(図5b)、左側(図5c)および右側(図5d)を下にして横たわる対象者をそれぞれ示している。このシステムは、各姿勢についての圧力分布を示している。
【0055】
表示システムは、例えば、データ記憶ユニット160(図1a)と通信するコンピュータであってもよい。各表示画面は、ピクセルのマトリクスを示し、各ピクセルが、圧力検知マットの1つのセンサを表している。各ピクセルによって検知された圧力は、視覚表示によって表わされている。例えば、より高い圧力が、異なる階調、より濃いグレイで示されるように、グレイスケールを使用することができる。代替的または追加的には、色彩を使用することができ、例えば、赤(Rで印される)ような特徴的な色彩でピクセルを表示することにより、対象者の体と対象者が載る表面との間に形成される高い圧力を表示することができる。同様に、低い圧力を検知したセンサまたは圧力を全く検知しなかったセンサを示すピクセルは、黄(Yで印される)、青(Bで印される)または黒のようなその他の色彩で表すことができる。
【0056】
圧力検知マットから分析されたデータは、介護人、看護師、有人監視ステーション、対象者の友人または家族の一員の少なくとも何れかと、対象者自身または任意の関係者とに提示することができる。データを示すために使用されるディスプレイユニットは、例えば、これに限定される訳ではないが、コンピュータスクリーン、ラップトップ、PDA、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合LCDスクリーン(例えば、TFT、タッチスクリーン)の1またはそれ以上であってもよい。
【0057】
複数のモニタ、例えば、家族の一員と対象者の雇った介護人の双方にデータを表示することによって、対象者がその介護人から適切な介護を受けていることの確認を助けることができる。対象者自身にデータを表示することは、部分的な可動性を有する対麻痺の対象者に特に有効である。例えば、腰から下が不随の車椅子に座る対象者は、褥瘡性創傷が腹部に生じていることに気付くことができない場合がある。しかしながら、褥瘡性創傷予防システムを使用することにより、その対象者は、腹部が一般に載る位置で蓄積された圧力が検知されたという知らせを受けることができる。その後、対象者は、手を車椅子の肘掛けの上にもたせかけて、数秒間、車椅子の座面から腹部を持ち上げ、それにより影響を受け易い部分から圧力を逃がすことができる。
【0058】
データ表示部は、アラームを含むことができる。アラームは、音声によるもの、視覚的または触覚的なものなどであってもよい。アラームの提示は、対象者自身への“ローカル”なものであっても、これに限定される訳ではないが、家族の一員またはモニタリングステーションの看護師のような、対象者の介護を担当する1またはそれ以上のユーザに提示される場合の“遠隔的”なものであってもよい。
【0059】
システムは、要件に適合するように、全地球測位システム(GPS)またはその他の追跡技術を使用して、当該システムの位置に関するデータを送信することができる構成要素を含むようにさらに構成することもできる。例えば、褥瘡性創傷形成警報のようなデータは、システムの位置とともに、有人監視ステーションに送信することができる。この機能は、例えば、病院、養護施設または別の介護環境内で移動のために車椅子を使用する複数の対象者を担当する介護人にデータを送るときに有用である。この情報は、対象者が在住する介護施設内で対象者を捜すときに、介護人を助けることができ、対象者に適切な介護を提供することができる。
【0060】
ここで、プラットフォーム上に載る対象者に褥瘡性創傷が生じるのを防止する方法600のフローチャートを示した図6を参照する。他に規定がなければ、以下に述べるこの方法のステップは、数多くの実行の組合せまたは順序で、同時にまたは連続して実行することができることに留意されたい。具体的には、図6のフローチャートの順序も数表示も限定としてみなされるべきではない。例えば、以下の説明または図6のフローチャートにおいて具体的な順序で現れる2またはそれ以上の方法ステップは、異なる順序(例えば、反対の順序)または実質的に同時に実行することができる。
【0061】
この方法は、複数の圧力検出センサを含む少なくとも1枚の圧力検知マットを提供することから開始される(610)。この方法は、センサに電位を供給するステップ(620)と、センサからデータを収集するステップ(630)と、センサから収集したデータを解読および分析するステップ(640)と、分析したデータに基づいて出力を提供するステップ(650)と、少なくとも1のユーザに出力を表示するステップ(660)と、任意には、少なくとも1のデータ記憶ユニットにデータを格納するステップ(670)とを続ける。
【0062】
なお、上述したようなシステムは、特に、救急処置施設、準救急処置施設、長期療養施設、在宅介護環境、ホスピス、病院、養護施設、生活介護住居などのような介護施設において特に有用である可能性がある。また、同様のシステムは、ホテル、車両座席、乗客席、航空機座席、長距離飛行座席などのようなその他の環境における使用に適したものとすることができる。
【0063】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるものであり、上述した様々な特徴のコンビネーションまたはサブコンビネーションの双方を、上記記述に触れた当業者に思い付くであろうそれらの変形または変更とともに含むものである。
【0064】
特許請求の範囲において、“comprise(備える)”という単語や、“comprises”、“comprising”などのようなその変化形は、列挙した構成要素が含まれるが、その他の構成要素を一般に除外するものではないことを示している。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3a】
【図3b】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関する。より詳細には、本明細書に記載の実施形態は、褥瘡性潰瘍または床擦れのような褥瘡性創傷(pressure-wounds)を防止のための医療支援に関するものである。
【背景技術】
【0002】
褥瘡または床擦れとして一般に知られている褥瘡性潰瘍のような褥瘡性創傷は、軟組織の局所部位が骨ばっている隆起と外表面との間で長期間圧縮されるときに発症する病変である。褥瘡は、身体の各部に現れることがあり、その発症は、軽減されない圧力、摩擦、剪断力、湿度および温度のような要因の組合せによって、影響を受ける。
【0003】
現在、入院患者の約10%乃至15%が常に床擦れを有すると推定されている(メディケアウェブサイト2009)。褥瘡性創傷に苦しむ入院患者だけでなく、例えば、車椅子生活を余儀なくされる人々も、特に、骨盤、腰および足首において、褥瘡性創傷に苦しむ傾向がある。早期に発見すれば、簡単に防止して完全に治療することができるが、床擦れは痛みを伴い、その治療は困難でかつ費用を要する。多くの場合、床擦れは、医療の支援下においてさえも致命傷になり得る。
【0004】
褥瘡性創傷に対処する最も有効な方法は、それを防ぐことである。既存の予防策は、受動的な解決策(様々な種類のクッション材)、または空気室の膨張/収縮を交互に行う様々な動的マットレスを含む積極的な解決策の何れかである。しかしながら、圧力除去マットレスは、圧力を逃がす必要のない位置からも圧力を再分配して、敏感な部分により高い圧力を不必要に生成する傾向がある。さらに、そのようなマットレスは、一般的に、病院ベッドに横になる患者のために設計されており、座った姿勢で非常に長い時間を過ごす、車椅子生活などを余儀なくされる個人の要求には殆ど答えることができない。
【0005】
最も一般的な予防法は、患者の敏感な身体部位から圧力を2乃至3時間毎に逃がすという徹底的なケアルーチン(care routine)を続けることである。これは、厳しい介護の下で、患者に行わせることができる。困難で労働集中的で費用のかかる作業であるのと同時に、そのようなケアルーチンは、移動に車椅子を使用する対麻痺患者のような、介護者の継続監視を必要としない独立した個人の要求を満足しない。
【0006】
したがって、信頼できるコスト効率の良い、褥瘡性創傷の発症を防ぐシステムおよび方法に対する必要性が依然として残存する。以下に記載の実施形態は、この必要性に取り組むものである。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載の実施形態は、複数のセンサを備える圧力検知マットであって、対象者(被験者)とプラットフォームとの間に配置されて、褥瘡性創傷予防システムに接続されるように構成された圧力検知マットを開示する。
【0008】
任意には、圧力検知マットが、第1導電層と第2導電層との間に挟まれた少なくとも1層の絶縁材を備える。任意には、圧力検知マットが、少なくとも1つの基板層をさらに含む。任意には、少なくとも一方の導電層が基板層の間に挟まれる。
【0009】
任意には、少なくとも一方の導電層が、平行な導電性材料のストリップを含む。任意には、第1導電層の平行なストリップおよび第2導電層の平行なストリップが複数の交差部で重なり合う。任意には、第1導電層の平行なストリップが第2導電層の平行なストリップに対して垂直に配置される。任意には、交差部が、静電容量センサ、抵抗センサまたはインピーダンスセンサを形成する。
【0010】
任意には、圧力検知マットが取付ストラップをさらに含む。任意には、圧力検知マットが、少なくとも1の湿度検知センサまたは少なくとも1の温度検知センサを含む。
【0011】
本明細書に記載の実施形態は、プラットフォーム上に載る対象者の褥瘡性創傷の生成を防止するように構成されたシステムであって、少なくとも1の圧力検知マットと、圧力検知マットを含む圧力検知センサに電位を供給するように構成されたドライバユニットと、ドライバユニットを制御してセンサからデータを受信するように構成された制御ユニットと、データを解釈して分析するように構成されたプロセッサと、データを提示するように構成された少なくとも1のディスプレイとを備えるシステムをさらに開示する。
【0012】
このシステムにおいては、圧力検知マットが、任意には、プラットフォームに一体化される。任意には、プラットフォームが、マットレス、ベッド、椅子、腰かけ、ソファ、車椅子、ロッキングチェア、長椅子、バンケット、ビーンバッグ、オットマン、ベンチおよびプーフからなる群から選択される。
【0013】
任意には、このシステムが、制御ユニットおよびプロセッサからのデータを格納するように構成された少なくとも1の記憶ユニットをさらに含む。任意には、記憶ユニットが、可動式であり、様々な圧力検知装置と一体化されるように構成される。任意には、ディスプレイが、コンピュータスクリーン、ラップトップ、携帯情報端末、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合液晶スクリーン、薄膜トランジスタ(TFT)、タッチスクリーンおよびそれらの組合せを含む群から選択される。任意には、プロセッサが、設定可能なパラメータを使用してデータを分析する。
【0014】
任意には、システムが、湿度を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに含む。任意には、システムが、温度を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに含む。任意には、システムが、対象者とプラットフォームとの間の接触を検知するように構成された少なくとも1のセンサをさらに含む。任意には、システムがさらに、対象者がプラットフォームから落ちるのを防止するように構成されている。
【0015】
任意には、システムが、システムの位置に関するデータを送信するように構成されたユニットをさらに含む。任意には、システムがさらに、対象者のケアルーチンを監視するために使用される。任意には、システムが、少なくとも1の共通の制御センタと通信する複数の圧力検知マットを含む。任意には、システムが、データ採取研究ツールとして使用される。
【0016】
実施形態は、褥瘡性創傷の発症を防止する方法であって、圧力を検知するように構成された複数のセンサを有する少なくとも1の圧力検知マットを提供するステップと、センサに電位を供給するステップと、センサからデータを受信するステップと、データを解釈して分析するステップと、データに基づいて出力を与えるステップとを備える方法をさらに教示する。任意には、この方法は、少なくとも1のデータ記憶ユニットにデータを格納するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明についてのより良い理解のために、またそれが如何に実行されるのかを示すために、単に一例として、ここで添付図面を参照することとする。
ここで図面を詳細に特に参照すると、図示の細部は、本発明の好ましい実施形態の例示的な検討のためのほんの一例にしか過ぎず、本発明の原理および概念的側面を最も有効にかつ容易に理解できる説明であると考えられるものを提供するために提示されるものであることを強調したい。これに関して、本発明の基本的な理解に必要とされる以上に詳細に、本発明の細部構造を示すようなことはしないが、その説明は、図面を併用することにより、本発明の様々な形態が如何に実際に具現化されるのかを当業者に明らかとするものである。
【図1】図1aは、褥瘡性創傷予防システムの一般的な実施形態の主要構成要素を示し、図1bは、様々な種類の複数の褥瘡性創傷予防サブシステムを含む拡張褥瘡性創傷予防システムを示している。
【図2】図2aは、単一のセンサの一実施形態の断面を示し、図2b乃至図2eは、圧力検知シートの実施形態の様々な等角投影を示している。
【図3】図3aおよび図3bは、圧力検知シートの更なる実施形態の平面図および断面図である。
【図4】図4は、車椅子に組み込まれた褥瘡性創傷予防システムを示している。
【図5】図5a乃至図5dは、表示システムの一実施形態のスクリーン上に圧力データが如何に表示されるのかの様々な表示を示している。
【図6】図6は、褥瘡性創傷の発症を防止する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に記載する圧力検知システムおよび方法の実施形態は、褥瘡性創傷が対象者に発症するのを防止することに向けられている。この実施形態は、一般に、床擦れの生成または進行をもたらす可能性のある、対象者の体の各部にかかる圧力分布および進行中の蓄積された圧力の表示を介護人に与える。その後、介護人は、体の部位にかかる圧力を逃がすように、対象者を移動させるか、あるいはクッション材を代えるなど、適切な処置を講じることができる。また、システムの実施形態は、対象者のケアルーチンの継続中の分析および記録のために使用することができる。
【0019】
当然のことながら、圧力検知システムの実施形態によって、介護人は、必要なときにだけ患者を移動させることができる。また、必要に応じて位置を変えるか、あるいはクッションが設けられる、体の圧力がかかる部分に特に注意を払うことができる。このようなシステムの実施形態がさらに、対象者のケアルーチンおよびその介護者の仕事ぶりのモニタリングを補助することに留意されたい。
【0020】
褥瘡性創傷を防止するシステムおよび方法の様々な実施形態を以下に示す。典型的には、それらは、圧力検知要素を利用して、対象者の体のどの部位が褥瘡を発症する危険性を有するのかを判定する。それら要素の1つは、以下に概要を示すように、褥瘡性創傷予防システムに接続するように構成される圧力検知マットとすることができる。
【0021】
[感知マットを含む褥瘡性創傷予防システム]
ここで、褥瘡性創傷予防システム100の一般的な実施形態の主要構成要素を表わした図1aのブロック図を参照する。そのようなシステムの実施形態は、複数のセンサ132を有する少なくとも1枚の圧力検知マット130、ドライバ120、電源110に一般に接続される制御ユニット140、プロセッサ150、データ記憶ユニット160および表示システム170を含むことができる。このシステムは、任意には、プラットフォームと対象者の体との間の接触を検知するように構成されたタッチセンサ134のような追加センサを含むことができる。この実施形態においては、ドライバ120が、圧力検知マット内のセンサに選択的に電圧を供給し、任意には、タッチセンサ134に電圧を供給する。プロセッサ150は、圧力検知マット内のセンサ間の電位を監視し、各センサのインピーダンス値を計算し、そのデータをデータ記憶ユニット160に格納する。プロセッサは、任意には、タッチセンサから受信したデータも監視する。記憶データは、さらに処理し、分析し、表示システム170に表示することができる。表示システムには、コンピュータスクリーン、ラップトップ、PDA、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合LCDスクリーン(例えば、薄膜トランジスタ、タッチスクリーン)などが含まれる。別個のブロックとしてブロック図に示したが、このシステムは、任意には、スタンドアローンシステムに統合することができる。
【0022】
圧力検知マットの複数のセンサからの測定値は、プロセッサ150に伝送することができる。データ伝送は、要求に応じて、無線であっても、データケーブルを介してであってもよい。プロセッサ150は、インピーダンス値を解読するとともに、そのデータを分析して、センサに加えられた圧力をどのセンサが有していたのかを判定するように構成されている。解読は、所与の周波数におけるインピーダンス値を圧力値にマッピングした参照テーブルと情報交換することにより行うことができる。圧力値は、典型的には医療機関で通常使用される水銀柱ミリメートルの単位であるが、パスカル、気圧または重量ポンド毎平方インチなどのようなその他の圧力単位が要件に適合するものとして好ましい場合もある。そのような参照テーブル中の値は、一般的には、マット毎に互いに異なるものであり、恐らくは製造中またはマットの最初の使用時に、自動的にまたは手動で較正することが必要な場合もある。なお、当然のことながら、インピーダンス測定値は、抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスのようなセンサの数多くの特性によって影響を受けるが、それら特性は何れも、検知マットの設定により圧力を示すことができる。
【0023】
[複数の対象者向けの拡張システム]
褥瘡性創傷予防システムのその他の実施形態は、複数の対象者の蓄積した圧力を監視することを目標として、スケールおよびストレスのために設計することができる。そのような実施形態は、1またはそれ以上のドライバおよび制御ユニットに接続された複数の圧力検知マットを含むことができる。電力は複数の電源から供給することができ、データの計算および分析に多数のプロセッサを使用することができ、そのデータは、複数のデータ記憶ユニットに格納することができる。
【0024】
ここで、共通の遠隔制御センタ500と通信する複数の褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eを含む拡張褥瘡性創傷予防システム1000を示した図1bを参照する。褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eは、例えば、病院や介護施設などのベッド100b、椅子100a,100c,100e、車椅子100d上など、様々な位置の様々な対象者を監視することができ、データ通信回線を介して、例えば、看護ステーションにある、遠隔制御センタ500と通信するように構成することができる。当然のことながら、対象者が車椅子などに座る場合のように、圧力検知マットが移動するように構成された実施形態においては、有線データケーブルは適当ではなく、例えば、wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などのようなプロトコルを使用する電波を介した無線手段によるデータ伝送が望ましい場合がある。
【0025】
代替的には、褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eを、例えば、個人の家において、各々を互いに離して配置させることができ、そのために、遠隔制御センタ500を有人のモニタリングステーションとすることができる。そのようなシステムにおいては、データ通信回線を、セルラーネットワーク、インターネットなどへの接続を介して提供することができる。
【0026】
さらに、単一の褥瘡性創傷予防システムは、複数の圧力検知マット、例えば、限定ではないが、椅子の座面と背に配置される2つのマットを含むものであってもよい。
【0027】
遠隔制御センタ500は、典型的には、サブシステム100a−100eからのデータを格納するためのデータ記憶ユニット560と、必要に応じてデータを示すためのディスプレイユニット570とを含む。当然のことながら、制御センタ500は、多数のサブシステムを制御するために、処理および駆動機能を追加的に提供することができる。任意には、各褥瘡性創傷予防サブシステム100a−100eは、ローカルにデータを処理し、格納し、表示するために、自らの専用のモニタ170を備えることができる。
【0028】
[褥瘡性創傷予防システムとともに使用する圧力感知マット]
圧力感知マットの実施形態を示す。感知マットは、椅子の座面または病院ベッドのマットレスと、着席した対象者の体との間に配置させることができる。感知マットは、典型的には、立った姿勢または横になった姿勢の対象者にかかる圧力を監視するために使用される。圧力感知マットの出力は、褥瘡性創傷発症の危険性を示すために使用することができる。
【0029】
ここで、単一のセンサ300の基本的な実施形態の断面を示した図2aを参照する。この実施形態では、センサが、導電性ストリップ310a,310bの2層と、その間の絶縁材料からなる絶縁層320とにより構成されるコンデンサである。センサ上のどこかを押圧すると、絶縁層320が圧縮されて、導電性ストリップ間の距離が変化し、それによりコンデンサのキャパシタンスが変化することとなる。ここでは静電容量センサのみを記載しているが、その他の実施形態においては、抵抗センサが好ましい場合もあることに留意されたい。すなわち、絶縁層の抵抗が圧力に従って変化するときに、それを監視することができる。
【0030】
ここで、マトリクスの形態で配列された複数のセンサ210を含む圧力検知マット200の実施形態の等角投影を示した図2bを参照する。マットは、典型的には、絶縁材料からなる絶縁層230により分離された導電性材料からなる二層220a,220bを有する。導電層の各々は、典型的には平行な導電性ストリップ222,224からなり、2つの導電層は直交して配置されて、その結果、一方の導電層においてストリップが水平222となり、他方の導電層においてストリップが垂直224となっている。各ストリップは、制御ユニットに配線されて、好ましくは、安全な低電圧源により操作可能とされる。
【0031】
静電容量センサは、垂直な導電性ストリップと水平な導電性ストリップとの各“交差部”で互いに重なる導電性ストリップの部分間のキャパシタンスに基づくものである。それら静電容量センサは、それらの表面のどこかの押圧により2つの導電層間の間隔が変化して、その結果、交差部のキャパシタンスが変化するように構成されている。ドライバユニットは、垂直ストリップに電位を選択的に与えることができ、その電位は、互いに重なる部分の静電容量センサが判定されるように、水平ストリップ上で監視することができる。
【0032】
各センサ間に振動電位を与えて生成される交流電流をモニタリングすることにより、交差部のインピーダンスを計算して交差部のキャパシタンスを判定することができることに留意されたい。交流は、次の数式に従って、コンデンサを跨ぐ電位に応じて変化する。
Iac = 2πfCVac
ここで、Iacは交流の二乗平均平方根値、Vacはコンデンサを跨ぐ振動電位の二乗平均平方根値、fは振動電位の周波数、Cはコンデンサのキャパシタンスである。
【0033】
したがって、既知の周波数においてIacおよびVacが既知である場合には、センサのキャパシタンスを計算することができる。このため、センサの機械的特性が既知である場合には、センサにかかる圧力を推定することができる。
【0034】
好ましくは、静電容量センサは、30日のような長い期間またはそれ以上の期間連続的に完全に押圧されていたとしても、その機能を保持し、一般に1年以上の感知マットの寿命までの期間、その特性を維持する。特に、センサの特性は、好ましくは、2つの個別の事象間で一致すべきである。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、マットは、追加因子、特に、床擦れの発症に影響を与える温度、湿度、水分などのような追加因子を監視するように構成された追加のセンサをさらに含むことができる。そのような追加センサは、連続的にまたは必要に応じて間欠的にそれら因子を監視して因子の高リスクの組合せを検知するように構成することができる。そのような測定値は、更なる分析のために、データベースに記録および格納することができる。
【0036】
任意には、追加センサを、圧力検知マットから離して配置させることができる。例えば、マットは、椅子の座面に一体化させることができ、タッチセンサは、椅子の背もたれに一体化させることができる。
【0037】
圧力検知マットの好ましい実施形態では、導電層および絶縁層がフレキシブルとなるように材料が選択される。絶縁材料は、圧縮可能で、典型的にはスポンジのような、ふんわりとした、または孔のある材料(例えば、発泡体)とすることができ、それに圧力が加わったときに密度の大きな変化を生じることが可能となっている。感知マットを含む材料は、典型的には、日常的な使用による通常の損耗に十分に耐え得る耐久性を有する。また、感知マットは、例えば、マットが折り畳まれたときに、誤った圧力値を生じることがないように構成されている。
【0038】
圧力検知マット200または感知マットは、標準的なベッドシーツに使用されるようなその他の材料層240a,240bの下方に配置されるか、またはその他の材料層と一体化することができる。当然のことながら、そのような追加的材料は、特定の用途で必要とされるような更なる特性を与えることができる。典型的には、センサの導電性材料は、分離可能で、洗える、防水性および通気性を有するカバーマットにより包まれて、マット上に載る対象者の不快感を最小にすることができる。
【0039】
ここで、圧力検知マットの様々な実施形態の分解図を示した図2c乃至図2eを参照すると、導電層220(図2a)が様々な基板によって支持されている。例えば、図2cは、絶縁層230に直接固着された2つの導電層2220a,2220bを示している。代替的には、図2dに示すように、導電層3220a,3220bが、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)などからなる別個の基板3210a,3210bによって支持され、それらの間に、絶縁層230が挟まれている。さらに別の実施形態においては、図2eに示すように、導電層4220a,4220bの各々が、2つの基板4212a,4214a,4212b,4214bの間にそれぞれ挟まれている。
【0040】
当然のことながら、一列のセンサからインピーダンス値の安定した測定値を得るためには、センサから測定値を取得している間に対象者がほとんど動かないか、全く動かないことが好ましい。このため、ある実施形態によれば、センサの応答時間および測定値を得る時間は、恐らくほぼ数十または数百ミリ秒程度に小さくすべきであり、その間に、対象者の動作は一般にほんの僅かであるが、その他の応答時間はそれに見合った時間必要である可能性がある。特に、対象者が大体動かない用途では、より長い測定時間を使用することが有利となり得ることに留意されたい。
【0041】
圧力検知マットまたは感知マットは、典型的には、病院のベッド、長期療養施設のベッド、家庭のベッドのマットレス、椅子、カウチ、車椅子などの座面または背のような表面上に配置される。このシステムの実施形態は、1またはそれ以上の圧力検知マット上に載る対象者と、マットが載る表面との間に形成される圧力点(pressure points)を検知することができる。上記表面は、椅子、腰かけ、ソファ、車椅子、ロッキングチェア、長椅子、バンケット、ビーンバッグ、オットマン、ベンチおよびプーフの一部であってもよい。対象者毎の圧力マッピングデータは、時間とともに、1またはそれ以上のデータ記憶ユニットに集めることができる。
【0042】
図3aおよび図3bを参照すると、圧力検知マット5000の更なる実施形態の平面図および断面図が示されている。圧力検知マット5000は、上述したようなセンサマトリクス5500を含み、それらは、カバーマット5400内に収容されるとともに、必要に応じて、ジッパー5420により密封される。
【0043】
圧力検知マット5000は、表面に対するマットの移動を防ぐように、表面に取り付けることができる。マット5000の実施形態の特徴は、カバーマット5500が、マットレス、ベッド、椅子、ベンチ、ソファまたは車椅子などの座面または背にマットを固定するための結合機能を含むことができる、ということである。結合機能は、例えば、少なくとも1のストラップ5200を含むことができ、このストラップ5200は、圧力検知マットが固定的に保持されるように、当該ストラップを座面に、または互いに固定するように構成された取付手段5240を含む。これは、外部褥瘡の形成を促進するとして知られている剪断力の生成に寄与する、検知マットの折り重なる動き、皺になる動き、またはその他の動きを防ぐのに有用である可能性がある。適当な取付手段には、例えば、要求に適合するように、ベルクロ(登録商標)、バックル、接着剤、ボタン、ひも等のようなかぎ留め材料が含まれる。
【0044】
さらに別の実施形態では、任意には、整合するグリッド状のセル(matching grid of cells)を有する膨張可能なマットレスと組み合わせて、センサシートを使用することができる。この実施形態では、圧力が所与の閾値を超えるときに、近隣のマットレスセルが膨張または収縮して、圧力を再分配する。当然のことながら、そのような積極的な解決策は、患者の向きまたは位置を変える必要性を低減することができる。このため、ある実施形態では、圧力モニタリングおよび除去は、完全に自動化することができる。
【0045】
圧力検知マットの数は、必要に応じて変えることができる。圧力検知マットは、典型的には、褥瘡性創傷を生じ易い体の部分を保持するように設計されたベッドまたは着座装置の部分に一体化される。例えば、これに限定される訳ではないが、着座装置の部分は、首、腰、足首または踵のような体の部分を支持することができる、椅子またはソファの座面、背、肘掛け、せぬき、拘束具、足掛けなどであってもよい。
【0046】
当然のことながら、圧力検知マットの数多くの実施形態を共通の着座装置に配置させることができる。共通の着座装置上の圧力検知マットの数多くの実施形態は、車椅子に一体化された圧力検知システムの実施形態を示した図4に例示されている。圧力検知マットの実施形態は、例えば、それに限定される訳ではないが、座面410、背420、肘掛け430および足掛け440に一体化することができる。
【0047】
図1aを再び参照すると、褥瘡性創傷予防システムは、電源110を含むか、または例えば、それに限定される訳ではないが、電気コードを介して外部電源に接続することができる。褥瘡性創傷予防システムが可動着座装置に接続される場合には、電源が充電可能であることが重要である。電動車椅子においては、電動車椅子内に組み込まれた既存のバッテリを、褥瘡性創傷予防システムに電力を供給するために使用することもできる。機械的車椅子のような着座装置のその他の実施形態においては、褥瘡性創傷予防システムに電力を提供するために、専用電源を用いることができる。特に、電気化学セル、燃料電池、コンデンサ、太陽電池、誘導電源、電力ハーベスタ(power harvesters)のような様々な電源を必要に応じてシステムに有効に統合することができる。
【0048】
様々な実施形態では、圧力検知マットが、温度、湿度、大気圧などのような追加的な環境パラメータを検知するために使用することができる追加的なセンサをさらに含むことができる。より多くの実施形態は、例えば、これに限定される訳ではないが、対象者とプラットフォームとの間の接触を検知するように構成されたセンサなど、圧力以外のパラメータを検知することを目的とした、マットに一体化されないセンサをさらに含むことができる。そのような接触検知センサは、例えば、これに限定される訳ではないが、椅子の背のトップレールおよびクロスレールに配置することができる。椅子の背からの対象者の離脱によって、対象者が椅子から完全に落ちることになる場合がある。したがって、上述した位置に配置された接触センサから得られた情報を、処理して、対象者が今にも落ちる危険性があるか否かを判定するのに使用することができる。
【0049】
図4は、褥瘡性創傷予防システムの様々な構成要素が如何に車椅子に一体化されているのかを示している。車椅子は、座面410、背420、肘掛け430および足掛け440を含む。一体化された電源およびドライバユニット460は、座面の下に配置されて、車椅子の座面に一体化された感知マット450aと、車椅子の背の下部に一体化された第2感知マット450bと、車椅子のトップレールに配置されたタッチセンサ460とに電力を提供する。演算処理ユニットおよび記憶ユニット(図示省略)も座面の下に配置させることができる。表示スクリーン470は手摺りに一体化することができる。
【0050】
様々な実施形態においては、データ記憶ユニットが、可動式であり、一方の着座装置から他方の着座装置に、患者とともに移動させることができる。記憶ユニットの可動性は、患者がある部屋から別の部屋に移動したり、またはある位置から別の位置に、例えば、これに限定される訳ではないが、病院の椅子から病院のベッドに、あるいは車椅子から車のシートに移動するときに、患者の圧力履歴を保存するのを助ける。横になった姿勢から立った姿勢への対象者の動きは、必ずしも、すべての体の部分に加わる蓄積された圧力を逃がす訳ではないため、この特徴は特に有用である。
【0051】
本明細書に記載のシステムおよび方法の更なる目的は、様々な状況および様々な位置で数多くの対象者から集めたデータの記憶を可能にすることである。データ記憶は、典型的には、1またはそれ以上のデータベースユニットに集められる。データ記憶は、特定のマットまたは一連のマットに関する統計収集、患者のグループ(例えば、糖尿病患者)による医療環境の比較、またはスケジュールおよび標準治療を変えるための現実的な提案を提供するように設計された研究ツールの構築に役に立つことがある。
【0052】
[データ分析および表示]
ソフトウェアアプリケーションは、典型的には、少なくとも1台のデータ記憶ユニットからデータを取り出し、様々な目的のためにそれを分析し、ユーザに様々な形式で分析結果を表示するために使用される。ソフトウェアアプリケーションは、それに限定される訳ではないが、以下のような特徴を含むことができる。
・圧力検知マット上の各センサによって検知された圧力を計算して示す。
・隣接ピクセルによって検知された相対圧力の比較により剪断力を計算する。
・圧力検知マット上の各センサによって検知された蓄積された圧力を時間とともに計算して示す。
・温度または水分蓄積のようなデータを時間とともに計算して示す。
・計算して、褥瘡性創傷の発症を防ぐために患者を移動させる必要があるときに、モニタリングステーションの介護人に警告を出す。
・圧力が予め設定された閾値を超えてかつ予め設定された期間に達したときに、警報を発する。
・これに限定される訳ではないが、無線伝送異常、電力断線などのような様々なマットのパラメータについて計算し、提供し、警報を発する。
・圧力検知マットを含む圧力検知センサを較正する。各センサを個々に較正するか、多数のセンサをまとめて較正することができる。
・これに限定される訳ではないが、異なる患者または圧力検知マットの異なる部分についての圧力および時間の閾値のような、パラメータを設定する。
・患者の圧力解放ケアルーチンのモニタリングおよびロギングを時間とともに行う。
・介護中の患者の適切な処置に関して、介護人の仕事ぶりのモニタリングを行う。
・マットの座標から対象者の体の座標に、感知マット上の圧力センサの測定値を変換する。
・1またはそれ以上の圧力検知マットの圧力データの履歴を保存する。
・これに限定される訳ではないが、携帯電話、ポケベル、携帯情報端末(PDA)、看護ステーションまたは医療カートの表示画面、ウェブインタフェース、電子メール、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージサービス(MMS)およびインスタントテキストメッセージプラットフォームなどのような、複数のローカル装置または可動装置および技術を介して、視覚的および音声の警告を可能にする。
・患者の介護状態(例えば、患者が最後に移動したとき)に関して患者またはその介護者によるデータの入力を可能にする。
・1またはそれ以上の対象者によって使用される複数の圧力検知マットからのデータの提示、モニタリング、設定、計算、警告および提示を可能にする。
・ユーザが圧力測定値の履歴を問い合わせることを可能とし、ユーザの要求に応じてレポートを作成する。
【0053】
組織破壊によって引き起こされた外傷は、やがて褥瘡性創傷に進行する場合がある。剪断力はそのような組織破壊の共通の原因である。ソフトウェアは、さらに、少なくとも1の圧力検知マットから受信したデータを分析して、対象者の体の部分に剪断力がかかっているか否かを判定するために使用することができる。対象者がマット上に載る場合、2つの隣接するセンサは、ほぼ同様の圧力レベルを測定することが予想される。そうでない場合には、ソフトウェアは、対象者が感知マット上でスライドして、恐らくは剪断力が対象者の体にかかっており、組織破壊を生じることを推定することができる。
【0054】
ここで、表示システム170(図1)の一実施形態の画面上に圧力データが如何に表示されるのかの様々な表示を示した図5a乃至図5dを参照する。図5a乃至図5dは、腹部(図5a)、背部(図5b)、左側(図5c)および右側(図5d)を下にして横たわる対象者をそれぞれ示している。このシステムは、各姿勢についての圧力分布を示している。
【0055】
表示システムは、例えば、データ記憶ユニット160(図1a)と通信するコンピュータであってもよい。各表示画面は、ピクセルのマトリクスを示し、各ピクセルが、圧力検知マットの1つのセンサを表している。各ピクセルによって検知された圧力は、視覚表示によって表わされている。例えば、より高い圧力が、異なる階調、より濃いグレイで示されるように、グレイスケールを使用することができる。代替的または追加的には、色彩を使用することができ、例えば、赤(Rで印される)ような特徴的な色彩でピクセルを表示することにより、対象者の体と対象者が載る表面との間に形成される高い圧力を表示することができる。同様に、低い圧力を検知したセンサまたは圧力を全く検知しなかったセンサを示すピクセルは、黄(Yで印される)、青(Bで印される)または黒のようなその他の色彩で表すことができる。
【0056】
圧力検知マットから分析されたデータは、介護人、看護師、有人監視ステーション、対象者の友人または家族の一員の少なくとも何れかと、対象者自身または任意の関係者とに提示することができる。データを示すために使用されるディスプレイユニットは、例えば、これに限定される訳ではないが、コンピュータスクリーン、ラップトップ、PDA、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合LCDスクリーン(例えば、TFT、タッチスクリーン)の1またはそれ以上であってもよい。
【0057】
複数のモニタ、例えば、家族の一員と対象者の雇った介護人の双方にデータを表示することによって、対象者がその介護人から適切な介護を受けていることの確認を助けることができる。対象者自身にデータを表示することは、部分的な可動性を有する対麻痺の対象者に特に有効である。例えば、腰から下が不随の車椅子に座る対象者は、褥瘡性創傷が腹部に生じていることに気付くことができない場合がある。しかしながら、褥瘡性創傷予防システムを使用することにより、その対象者は、腹部が一般に載る位置で蓄積された圧力が検知されたという知らせを受けることができる。その後、対象者は、手を車椅子の肘掛けの上にもたせかけて、数秒間、車椅子の座面から腹部を持ち上げ、それにより影響を受け易い部分から圧力を逃がすことができる。
【0058】
データ表示部は、アラームを含むことができる。アラームは、音声によるもの、視覚的または触覚的なものなどであってもよい。アラームの提示は、対象者自身への“ローカル”なものであっても、これに限定される訳ではないが、家族の一員またはモニタリングステーションの看護師のような、対象者の介護を担当する1またはそれ以上のユーザに提示される場合の“遠隔的”なものであってもよい。
【0059】
システムは、要件に適合するように、全地球測位システム(GPS)またはその他の追跡技術を使用して、当該システムの位置に関するデータを送信することができる構成要素を含むようにさらに構成することもできる。例えば、褥瘡性創傷形成警報のようなデータは、システムの位置とともに、有人監視ステーションに送信することができる。この機能は、例えば、病院、養護施設または別の介護環境内で移動のために車椅子を使用する複数の対象者を担当する介護人にデータを送るときに有用である。この情報は、対象者が在住する介護施設内で対象者を捜すときに、介護人を助けることができ、対象者に適切な介護を提供することができる。
【0060】
ここで、プラットフォーム上に載る対象者に褥瘡性創傷が生じるのを防止する方法600のフローチャートを示した図6を参照する。他に規定がなければ、以下に述べるこの方法のステップは、数多くの実行の組合せまたは順序で、同時にまたは連続して実行することができることに留意されたい。具体的には、図6のフローチャートの順序も数表示も限定としてみなされるべきではない。例えば、以下の説明または図6のフローチャートにおいて具体的な順序で現れる2またはそれ以上の方法ステップは、異なる順序(例えば、反対の順序)または実質的に同時に実行することができる。
【0061】
この方法は、複数の圧力検出センサを含む少なくとも1枚の圧力検知マットを提供することから開始される(610)。この方法は、センサに電位を供給するステップ(620)と、センサからデータを収集するステップ(630)と、センサから収集したデータを解読および分析するステップ(640)と、分析したデータに基づいて出力を提供するステップ(650)と、少なくとも1のユーザに出力を表示するステップ(660)と、任意には、少なくとも1のデータ記憶ユニットにデータを格納するステップ(670)とを続ける。
【0062】
なお、上述したようなシステムは、特に、救急処置施設、準救急処置施設、長期療養施設、在宅介護環境、ホスピス、病院、養護施設、生活介護住居などのような介護施設において特に有用である可能性がある。また、同様のシステムは、ホテル、車両座席、乗客席、航空機座席、長距離飛行座席などのようなその他の環境における使用に適したものとすることができる。
【0063】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるものであり、上述した様々な特徴のコンビネーションまたはサブコンビネーションの双方を、上記記述に触れた当業者に思い付くであろうそれらの変形または変更とともに含むものである。
【0064】
特許請求の範囲において、“comprise(備える)”という単語や、“comprises”、“comprising”などのようなその変化形は、列挙した構成要素が含まれるが、その他の構成要素を一般に除外するものではないことを示している。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3a】
【図3b】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサを備える圧力検知マットであって、
対象者とプラットフォームとの間に配置されて、褥瘡性創傷予防システムに接続されるように構成されていることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力検知マットにおいて、
第1導電層と第2導電層との間に挟まれた少なくとも1層の絶縁材をさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力検知マットにおいて、
少なくとも1の基板層をさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力検知マットにおいて、
前記第1導電層および第2導電層の少なくとも一方が基板層の間に挟まれていることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
前記導電層の少なくとも一方が、平行な導電性材料のストリップを含むことを特徴とする圧力検知マット。
【請求項6】
請求項5に記載の圧力検知マットにおいて、
前記第1導電層の平行なストリップおよび前記第2導電層の平行なストリップが、複数の交差部で互いに重なり合うことを特徴とする圧力検知マット。
【請求項7】
請求項6に記載の圧力検知マットにおいて、
前記第1導電層の平行なストリップが前記第2導電層の平行なストリップに対して垂直に配置されるように、前記第1導電層および第2導電層が構成されていることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項8】
請求項6または7に記載の圧力検知マットにおいて、
前記交差部が、静電容量センサを形成することを特徴とする圧力検知マット。
【請求項9】
請求項6または7に記載の圧力検知マットにおいて、
前記交差部が、抵抗センサを形成することを特徴とする圧力検知マット。
【請求項10】
請求項6または7に記載の圧力検知マットにおいて、
前記交差部が、インピーダンスセンサを形成することを特徴とする圧力検知マット。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
取付ストラップをさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
少なくとも1の湿度検知センサをさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項13】
請求項8乃至13の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
少なくとも1の温度検知センサをさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項14】
プラットフォーム上に載る対象者の褥瘡性創傷の生成を防止するように構成されたシステムであって、
a.請求項1乃至13の何れか一項に記載の少なくとも1の圧力検知マットと、
b.前記センサに電位を供給するドライバユニットと、
c.前記ドライバユニットを制御して前記センサからデータを受信するように構成された制御ユニットと、
d.データを解読して分析するように構成されたプロセッサと、
e.データを提示するように構成された少なくとも1のディスプレイとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記圧力検知マットがプラットフォームに一体化されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記プラットフォームが、マットレス、ベッド、椅子、腰かけ、ソファ、車椅子、ロッキングチェア、長椅子、バンケット、ビーンバッグ、オットマン、ベンチおよびプーフからなる群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記制御ユニットおよび前記プロセッサからのデータを格納するように構成された少なくとも1の記憶ユニットをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1の記憶ユニットが、可動式であり、様々な圧力検知装置と一体化されるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項14乃至18の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1のディスプレイが、コンピュータスクリーン、ラップトップ、携帯情報端末、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合液晶スクリーン、薄膜トランジスタ(TFT)、タッチスクリーンおよびそれらの組合せを含む群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項14乃至19の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、設定可能なパラメータを使用してデータを分析することを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項14乃至20の何れか一項に記載のシステムにおいて、
水分を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項14乃至21の何れか一項に記載のシステムにおいて、
温度を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項14乃至22の何れか一項に記載のシステムにおいて、
対象者と前記プラットフォームとの間の接触を検知するように構成された少なくとも1のセンサをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項14乃至23の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記プラットフォームから対象者が落ちるのを防止するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項14乃至24の何れか一項に記載のシステムにおいて、
当該システムの位置に関するデータを送信するように構成されたユニットをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項14乃至25の何れか一項に記載のシステムにおいて、
対象者のケアルーチン(care routine)を監視するためにさらに使用されることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項14乃至26の何れか一項に記載のシステムにおいて、
少なくとも1の共通の制御センタと通信する複数の圧力検知マットを備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項14乃至27の何れか一項に記載のシステムのデータ採取研究ツールとしての使用方法。
【請求項29】
褥瘡性創傷の発症を防止する方法であって、
圧力を検知するように構成された複数のセンサを有する少なくとも1の圧力検知マットを提供するステップと、
前記センサに電位を供給するステップと、
前記センサからデータを受信するステップと、
データを解読して分析するステップと、
データに基づいて出力を与えるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
少なくとも1のデータ記憶ユニットにデータを格納するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項1】
複数のセンサを備える圧力検知マットであって、
対象者とプラットフォームとの間に配置されて、褥瘡性創傷予防システムに接続されるように構成されていることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力検知マットにおいて、
第1導電層と第2導電層との間に挟まれた少なくとも1層の絶縁材をさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力検知マットにおいて、
少なくとも1の基板層をさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力検知マットにおいて、
前記第1導電層および第2導電層の少なくとも一方が基板層の間に挟まれていることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
前記導電層の少なくとも一方が、平行な導電性材料のストリップを含むことを特徴とする圧力検知マット。
【請求項6】
請求項5に記載の圧力検知マットにおいて、
前記第1導電層の平行なストリップおよび前記第2導電層の平行なストリップが、複数の交差部で互いに重なり合うことを特徴とする圧力検知マット。
【請求項7】
請求項6に記載の圧力検知マットにおいて、
前記第1導電層の平行なストリップが前記第2導電層の平行なストリップに対して垂直に配置されるように、前記第1導電層および第2導電層が構成されていることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項8】
請求項6または7に記載の圧力検知マットにおいて、
前記交差部が、静電容量センサを形成することを特徴とする圧力検知マット。
【請求項9】
請求項6または7に記載の圧力検知マットにおいて、
前記交差部が、抵抗センサを形成することを特徴とする圧力検知マット。
【請求項10】
請求項6または7に記載の圧力検知マットにおいて、
前記交差部が、インピーダンスセンサを形成することを特徴とする圧力検知マット。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
取付ストラップをさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
少なくとも1の湿度検知センサをさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項13】
請求項8乃至13の何れか一項に記載の圧力検知マットにおいて、
少なくとも1の温度検知センサをさらに備えることを特徴とする圧力検知マット。
【請求項14】
プラットフォーム上に載る対象者の褥瘡性創傷の生成を防止するように構成されたシステムであって、
a.請求項1乃至13の何れか一項に記載の少なくとも1の圧力検知マットと、
b.前記センサに電位を供給するドライバユニットと、
c.前記ドライバユニットを制御して前記センサからデータを受信するように構成された制御ユニットと、
d.データを解読して分析するように構成されたプロセッサと、
e.データを提示するように構成された少なくとも1のディスプレイとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記圧力検知マットがプラットフォームに一体化されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記プラットフォームが、マットレス、ベッド、椅子、腰かけ、ソファ、車椅子、ロッキングチェア、長椅子、バンケット、ビーンバッグ、オットマン、ベンチおよびプーフからなる群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記制御ユニットおよび前記プロセッサからのデータを格納するように構成された少なくとも1の記憶ユニットをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1の記憶ユニットが、可動式であり、様々な圧力検知装置と一体化されるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項14乃至18の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1のディスプレイが、コンピュータスクリーン、ラップトップ、携帯情報端末、携帯電話スクリーン、印刷シート、統合液晶スクリーン、薄膜トランジスタ(TFT)、タッチスクリーンおよびそれらの組合せを含む群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項14乃至19の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、設定可能なパラメータを使用してデータを分析することを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項14乃至20の何れか一項に記載のシステムにおいて、
水分を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項14乃至21の何れか一項に記載のシステムにおいて、
温度を監視するように構成された少なくとも1のセンサをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項14乃至22の何れか一項に記載のシステムにおいて、
対象者と前記プラットフォームとの間の接触を検知するように構成された少なくとも1のセンサをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項14乃至23の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記プラットフォームから対象者が落ちるのを防止するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項14乃至24の何れか一項に記載のシステムにおいて、
当該システムの位置に関するデータを送信するように構成されたユニットをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項14乃至25の何れか一項に記載のシステムにおいて、
対象者のケアルーチン(care routine)を監視するためにさらに使用されることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項14乃至26の何れか一項に記載のシステムにおいて、
少なくとも1の共通の制御センタと通信する複数の圧力検知マットを備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項14乃至27の何れか一項に記載のシステムのデータ採取研究ツールとしての使用方法。
【請求項29】
褥瘡性創傷の発症を防止する方法であって、
圧力を検知するように構成された複数のセンサを有する少なくとも1の圧力検知マットを提供するステップと、
前記センサに電位を供給するステップと、
前記センサからデータを受信するステップと、
データを解読して分析するステップと、
データに基づいて出力を与えるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
少なくとも1のデータ記憶ユニットにデータを格納するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【公表番号】特表2012−523299(P2012−523299A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505296(P2012−505296)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000294
【国際公開番号】WO2010/119441
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511246094)ウェルセンス テクノロジーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】WELLSENSE TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000294
【国際公開番号】WO2010/119441
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511246094)ウェルセンス テクノロジーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】WELLSENSE TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】
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