説明

西洋ヤナギの抽出成分を配合した可食性組成物

【課題】 ヒトの肩部から頭部において出現する疼痛や疲労感などの不快な症状(肩凝りや頭痛など)に対して増強された緩和作用を呈する可食性組成物を提供する。
【解決手段】 西洋ヤナギ(Salix sp.)を溶媒で抽出して得られた活性成分および有機酸の双方を含む可食性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ヒトの肩部から頭部にかけて出現する疼痛や疲労感に対して優れた緩和作用を呈する可食性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの肩部から頭部に至る領域に横たわる筋肉の異常な緊縮状態(凝り)に起因する疼痛や疲労感は、持続的な痛みや倦怠感のみならず、往々にして耐え難い不快感を伴う症状である。 このような症状を緩和する目的で、一般的には、手指や機械によってマッサージを行って、緊縮した筋肉を物理的に解きほぐしたり、あるいは、鎮痛成分や弛緩成分を配合した外用剤(湿布材や外用塗布剤)などを凝りのある部位に適用したり、ビタミンを主成分とした薬剤を経口摂取するなどして、医薬成分の作用によって緊縮した筋肉をほぐす手法が採られている。 この他に、植物由来天然成分などを配合した浴用剤を溶解した風呂に入浴することによって、全身の血行を促して筋肉の凝りを解消する手立てなども提案されている。 しかしながら、これらいずれの手段によっても、一時的な筋肉の凝りの解消は図れるものの、肩部から頭部にかけて出現する疼痛や疲労感を、効果的かつ持続的に除去できないのが実情である。
【0003】
同様に、植物由来天然成分が奏する消炎鎮痛作用に着目して、ヤナギ科植物の一部(葉、枝、樹皮および木質部)の粉砕物、あるいはこれら粉砕物を熱水またはアルコールなどの有機溶媒で抽出して得られたサリシン含有エキスを含有する健康用剤なども提案されている(例えば、特許文献1参照)。 この健康用剤によれば、確かに、関節炎などの炎症症状を、ある程度までは緩和できるとは考えられるが、同文献には、肩部から頭部にかけて出現する疼痛や疲労感に対する緩和作用に関する知見は実際のところは何も示されておらず、また、そのことを期待するに足る裏付けも提示されていない。
【0004】
このように、当該技術分野にあっては、肩部から頭部にかけて出現する疼痛や疲労感を、効果的かつ簡便に除去する手段が待望されているのである。
【特許文献1】特開平10−167977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、上掲した従来技術で認識されていた技術課題、すなわち、肩凝りや頭痛などの、ヒトの肩部から頭部において出現する疼痛や疲労感といった不快な症状に対して、増強された緩和作用を呈する可食性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本願発明の要旨とするところは、古来より周知の薬用植物であり、しかもヒトに対する安全性が確認されている西洋ヤナギ(Salix sp.)を溶媒で抽出して得られた活性成分と有機酸との二成分を含む可食性の組成物にある。 また、本願発明の他の態様によれば、本願発明の組成物は固形製剤の形態で提供される。 そして、本願発明のさらに他の態様によれば、本願発明の組成物を含む医薬および食品も提供される。
【0007】
本願発明者が鋭意研究を行った結果、西洋ヤナギ(Salix sp.)を溶媒で抽出して得られた活性成分と有機酸とを組み合わせることによって、ヒトの肩部から頭部において出現する疼痛や疲労感などの不快な症状に対して優れた緩和作用が得られる、ことが明らかになったのである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によると、マッサージなどの物理的手段や、医薬成分の薬理効果などに依存せずとも、ヒトの肩部から頭部において出現する疼痛や疲労感などの不快な症状に対して、増強された緩和作用を呈する可食性組成物が実現されるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願発明の組成物の構成を、以下に、詳細に説明する。
【0010】
本願発明の一態様によれば、西洋ヤナギ(Salix sp.)を溶媒で抽出して得られた活性成分および有機酸の双方を含む可食性組成物が提供される。 なお、西洋ヤナギを溶媒で抽出して得られた活性成分、それに有機酸など、本願発明の組成物の構成成分の量を表現する単位ついては、特に断りのない限り、本明細書では、重量(mg)で表示する。
【0011】
西洋ヤナギ(Salix sp.)は、古来より鎮痛剤および抗リウマチ薬として利用されている薬用植物である。 特に、西洋ヤナギの樹皮内には、その活性成分、すなわち、鎮痛成分として機能するサリシンが豊富に含まれており、これが抽出採取されて、所要の症状緩和のために利用されている。
【0012】
この西洋ヤナギの樹皮は、生薬としても取り扱われており、例えば、ヨーロッパ薬局方2001年追補版において、西洋ヤナギの若枝の乾燥樹皮とそれを刻んだもの、さらにその年に成長した樹枝の新芽の乾燥物を、使用部位とすることが規定されている。 一般的に、生薬中に存在する様々なサリシン誘導体は、プロドラッグと見なされており、ヒト体内に導入されて代謝されて後に、初めて薬理活性を示す。 通常、サリシンは、生体内に導入されると、加水分解酵素の作用を受けてサリゲニンに変換される。 このサリゲニンは、ヒトの腸管への吸収が極めて良好な物質であり、吸収された後に、血中および肝臓でチトクロームP-450酵素系の作用を受けて酸化され、サリチル酸に転換して、鎮痛作用および抗炎症作用を発現する、ことが知られている。
【0013】
西洋ヤナギ全体またはそのいずれの部位(例えば、枝葉、樹枝、幹、樹皮または根)でも、溶媒を用いた抽出工程に適用することができるが、サリシンの回収効率の観点からすれば、西洋ヤナギの樹皮が好ましい。 この抽出工程によって、鎮痛成分として機能するサリシンを、西洋ヤナギから回収することができる。
【0014】
抽出工程に適用される西洋ヤナギ(またはその一部)は、そのままの状態で、または、物理的に破砕してから、あるいは、必要に応じて、乾燥および粉砕して粉体状に加工してから抽出工程に適用することもできる。
【0015】
この抽出工程で利用する溶媒としては、当該技術分野で周知の溶媒が利用可能であり、例えば、低級アルコール、多価アルコール、非極性溶媒、極性溶媒などが使用できる。
【0016】
低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどの炭素数が1〜4のアルコール;多価アルコールとしては、グリセリン、ポリエチレングリコールなど;非極性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの飽和炭化水素;極性溶媒としては、水、温水(熱水)、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチルなどがある。 溶媒としては、前記したものの内の単品だけを選択して利用できることは勿論、二種類以上の溶媒を組み合わせて使用することもできる。 例えば、脂肪分の多い原料を用いる場合には、非極性溶媒で脱脂抽出処理した後に、任意の溶媒で抽出処理を行ってもよく、あるいは含水有機溶媒を用いて抽出処理を行うこともできる。
【0017】
西洋ヤナギからのサリシンの抽出方法としては、当該技術分野で周知の方法を用いることができる。 例えば、西洋ヤナギそのもの、もしくはその粗粉砕物または裁断物、あるいはその乾燥破砕物(粉末)を、溶媒に、冷浸、温浸などして浸漬する方法や、加温して攪拌しながら抽出を行って、濾過を経て抽出液を得る方法、それにパーコレーション法なども利用することができる。
【0018】
得られた抽出液を、必要に応じて、濾過または遠心分離によって固形成分(固形分)を除去した後に、使用態様に応じて、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮または乾燥したものを用いることができる。 なお、濃縮または乾燥して得られた分離物を、非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いてもよく、あるいは、このものをさらに適当な溶剤に溶解または懸濁して用いることもできる。
【0019】
別法として、得られた抽出液を、慣用されている精製法、例えば、向流分配法や液体クロマトグラフィーなどを用いて、所望の鎮痛活性を有する画分を取得および精製して使用することも可能である。
【0020】
さらに、前述したようにして得られた溶媒抽出液を、減圧乾燥、凍結乾燥などの通常の乾燥手段によって、乾燥濃縮エキスの形態に加工して使用することも可能である。
【0021】
本願発明の組成物に含まれる西洋ヤナギを溶媒で抽出して得られた活性成分、例えば、前述したサリシンなどの配合量は、通常は、単位用量として、約1mg〜約1000mg、好ましくは、約1mg〜約400mg、また最も好ましくは、約5mg〜約100mgの範囲で調製される。 これはすなわち、活性成分の配合量が、約1mgに満たないと、肩部から頭部にかけて出現する不快な症状に対する緩和作用の発現が不十分となり、一方で、約1000mgの量を超えてしまうと、他の構成成分との混和・配合が難しくなる上に、服用時に不快な味が発現することによる。
【0022】
本願発明の組成物での一方の必須構成要素である有機酸としては、クエン酸、フィチン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、酢酸などが使用できるが、西洋ヤナギを溶媒で抽出して得られた活性成分との相乗効果の観点からすれば、クエン酸やフィチン酸が好ましい。
【0023】
クエン酸とは、水やエタノールに対して易溶性のトリカルボン酸であり、レモンやミカンなどの柑橘類の果実に多く含まれている物質であり、また、身体の疲労の進行に伴って蓄積される乳酸を分解し、その代謝促進に関与する性質を有しているため、乳酸が関与する痛みの解消に寄与するものと考えられている。 本願発明の組成物においては、西洋ヤナギを溶媒で抽出して得られた活性成分と協同して用いられている。 有機酸としてクエン酸を用いる場合、その配合量は、通常は、単位用量として、約100mg〜約10000mg、好ましくは、約200mg〜約5000mg、また最も好ましくは、約300mg〜約3000mgの範囲で調整される。 これはすなわち、活性成分の配合量が、約100mgに満たないと、ヒトの肩部から頭部にかけて出現する不快な症状に対する緩和作用の発現が不十分となり、その一方で、約10000mgの量を超えてしまうと、クエン酸特有の酸味が過剰となり、服用時に不快な味が発現することによる。 そして、有機酸としてフィチン酸を用いる場合、その配合量は、同様の観点から、通常は、単位用量として、約20mg〜約2000mg、好ましくは、約100mg〜約1500mg、また最も好ましくは、約500mg〜約1000mgの範囲で調整される。
【0024】
また、本願発明の組成物に、ビタミンB群、例えば、ビタミンB1やビタミンB12などをさらに配合することができる。 本明細書で使用する「ビタミンB1」の語は、ビタミンB1(チアミン)の他に、ビタミンB1リン酸エステル、それにビタミンB1およびビタミンB1リン酸エステルの誘導体、類縁体および塩などを含み、これらが本願発明の組成物において使用可能である。 このようなビタミンB1を本願発明の組成物に配合する場合の配合量は、ビタミンB1に起因する服用時の不快な味の発現を抑えつつ、本願発明の組成物の本来の鎮痛効果を損ねないように配慮した場合、通常は、ビタミンB1(チアミン)の単位用量として、約0.1mg〜約10000mg、好ましくは、約0.3mg〜約60mg、また最も好ましくは、約20mg〜約40mgの範囲で調整される。 一方で、本明細書で使用する「ビタミンB12」の語は、ビタミンB12(シアノコバラミン)の他に、ビタミンB12の誘導体および類縁体(例えば、メチルコバラミン、ヒドロキソコバラミン、アクアコバラミン、アデノシルコバラミンなど)、コビル酸類およびコビンアミド類、それに、これらの塩などを含み、これらが本願発明の組成物において使用可能である。 このようなビタミンB12を本願発明の組成物に配合する場合の配合量は、同様の観点から、通常は、ビタミンB12(シアノコバラミン)の単位用量として、約0.4μg〜約240μg、好ましくは、約0.8μg〜約180μg、また最も好ましくは、約70μg〜約120μgの範囲で調整される。
【0025】
そして、本願発明の組成物による本来の効果を阻害するものでない限りは、可食性組成物において一般的に用いられているその他の成分、例えば、清涼剤、結合剤、甘味料、着香料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤などをさらに任意に加えることもできる。
【0026】
清涼剤としては、l-メントール、dl-メントール、ハッカ油、カンフル、ハッカ水、ボルネオール、ペパーミント精油、スペアミント精油などが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0027】
結合剤としては、糖類(ブドウ糖など)、糖アルコール類(ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールなど)、ポリビニルピロリドン、デンプン類、マクロゴール、デキストリン、トラガント、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セラック、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0028】
甘味料としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、アスパルテーム、キシリトール、水飴、蜂蜜、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、糖類(乳糖、白糖、果糖、ブドウ糖など)などが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0029】
着香料としては、天然香料(スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウインターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリナガム油、パインニードル油など)、合成香料(カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒドなど)、前掲の天然香料および/または合成香料から任意に選択した香料を混合して得た調合香料などが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0030】
崩壊剤としては、デンプン類、メチルセルロース、結晶セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、アルギン酸、アルギン酸塩、炭酸塩、有機酸、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドンなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0031】
滑沢剤としては、滑石、金属石鹸、脂肪酸(ステアリン酸など)、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウムなど)、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、マクロゴールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。 これらの内でも、本願発明の組成物の錠剤化にあたっては、滑石、金属石鹸、脂肪酸(ステアリン酸など)、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウムなど)などが好適に利用できる。
【0032】
着色料としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン、銅クロロフィリンナトリウムなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0033】
防腐剤としては、安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類、パラベン類、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール、フェノールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0034】
徐放調整剤としては、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは双方を併用することもできる。
【0035】
界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル流酸ナトリウム、ラウロマクロゴールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0036】
溶解剤としては、グリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、流動パラフィン、精製水、マクロゴール、ポリソルベートなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0037】
湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール液、水、エタノール、希エタノールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
【0038】
本願発明の好ましい実施態様によれば、本願発明の組成物は、固形製剤の形態、好ましくは、定法の打錠製剤法によって、錠剤(単層錠、二層錠、多層錠、糖衣錠、コーティング錠など)の形態で製造することができる。 すなわち、組成物の原料を、微細粉末化および粉体混合して得た粉体原料の一定量を、パンチ、ダイスまたはプレスを用いて所望の形状に直接加圧成形して打錠を行うのである。 なお、微細粉末化した原料に香料などの液体成分を加えて得た造粒物を、粉体原料として、またはその一部として使用することができる。 あるいは、微細粉末化した原料に液体成分を加えずに造粒して得た造粒物を、粉体原料として、またはその一部として使用することもできる。
【0039】
本願発明の組成物の剤型としては、前掲の錠剤の他にも、丸剤、シート剤、パッチ剤などのいずれの固形製剤の形態でも利用可能であるが、量産性などを考慮すれば、錠剤形態が好ましい。 錠剤としては、口内で完全に溶解する錠剤の他に、層ごとの溶解速度に差異を設けた多層錠とすることも可能である。
【0040】
また、本願発明の組成物を、医薬の有効成分として使用する場合には、種々の経口投与用剤および非経口投与用剤に取り込むことができる。 経口投与用剤としては、前述した錠剤の他に、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤などの剤型が利用可能であるが、これらに限定されない。 一方で、非経口投与用剤としては、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤などの注射剤などの剤型が利用可能であるが、これらに限定されない。
【0041】
さらに、本願発明の組成物を、食品の構成成分として使用することもできる。 具体的には、本願発明の組成物を、通常の飲食物(加工食品、菓子、清涼飲料水など)、機能性食品、機能性飲料、医薬部外品、食品添加物、栄養補助食品などでの構成成分として取り込むことができる。 つまり、こうすることによって、本願発明の組成物を、食品として日常的に継続して摂取することが容易となるため、肩部から頭部にかけて出現する疼痛や疲労感を簡便に緩和させることも可能となる。
【0042】
以下に、本願発明をその実施例に沿って説明するが、この実施例の開示に基づいて本願発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。
【実施例】
【0043】
A:組成物の調製
西洋ヤナギエキス(15w/w%でサリシン含有)、クエン酸、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)およびトコトリエノールを準備した。 そして、これらの各々を、下記表1に記載の分量に従って秤量したものを混合し、常法の打錠工程に適用して、実施例1〜6および比較例1〜3の錠剤を調製した。 なお、比較例1の錠剤は、実質的に、特許文献1に記載の発明の構成要素を具備した錠剤に該当するものである。
【0044】
【表1】

B:組成物の効能検討
実施例1〜6および比較例1〜3の錠剤を、パネラー5名に経口摂取してもらい、肩部から頭部において日常的に出現する不快な症状、すなわち、肩の硬直感、肩の荷重感、頭痛、肩の緊張感、肩痛および疲労感のそれぞれに対する緩和度について等級付けをしてもらった。
【0045】
具体的には、各評価項目について、「改善効果あり」(2点)、「やや改善あり」(1点)、および「改善効果なし」(0点)の内、妥当な評価をパネラーに選択してもらい、それに対応する評点の集計を行った(10点満点)。 また、各評価項目の評点を集計して、その合計点を求めた(60点満点)。
【0046】
つまり、肩部から頭部において出現する不快な症状の緩和が顕著な錠剤ほど、高得点が付与されるのである。 これら評価結果を、以下の表2にまとめた。
【0047】
【表2】

表2に記載の結果から明らかなように、比較例1〜3の錠剤では、いずれの評価項目においてもパネラーを満足せしめる緩和効果は認められなかった。 これに対して、実施例1〜6に記載の錠剤は、肩部から頭部において出現する不快な症状の緩和度を有意に改善しており、特に、肩の硬直感、肩痛、および疲労感を劇的に解消していた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明の組成物は、ヒトの肩部から頭部において出現する疼痛や疲労感などの不快な症状を効果的に緩和するための手段として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
西洋ヤナギ(Salix sp.)を溶媒で抽出して得られた活性成分および有機酸の双方を含む、ことを特徴とする可食性組成物。
【請求項2】
前記活性成分が、西洋ヤナギの枝葉、樹枝、幹、樹皮または根から抽出される請求項1に記載の可食性組成物。
【請求項3】
前記活性成分が、サリシンである請求項1または2に記載の可食性組成物。
【請求項4】
前記サリシンの単位用量が、1mg〜400mgである請求項3に記載の可食性組成物。
【請求項5】
前記有機酸が、クエン酸である請求項1乃至4のいずれかに記載の可食性組成物。
【請求項6】
前記クエン酸の単位用量が、300mg〜3000mgである請求項5に記載の可食性組成物。
【請求項7】
ビタミンB1および/またはビタミンB12をさらに含む請求項1乃至6のいずれかに記載の可食性組成物。
【請求項8】
固形製剤の形態である請求項1乃至7のいずれかに記載の可食性組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の可食性組成物を含む医薬。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の可食性組成物を含む食品。

【公開番号】特開2006−273771(P2006−273771A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97115(P2005−97115)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】