説明

要介護者用ベッド、浴槽の構造、及び便器の設定手法

【課題】ベッドのまま浴槽に入浴可能な浴槽の機能や自力にてトイレを利用可能なシステムを提供する。
【解決手段】要介護者入浴用ベッドはキャスター付の薄い水平プレート構造とし、布団は短辺方向スパンを二分し、浴槽は三角形断面等のテーパー付とした。また、要介護者専用洋式水洗便器は便座を床のレベル程度に設定すると共に、足元部を35センチ程度床のレベルより掘り下げた。結果、布団も容易に交換でき、ベッドのままでの容易な入浴が可能となり、トイレも自力にて利用できるようになった。又、匍匐可能な要介護者であれば自力にて低いベッドより離れ避難できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に介護やリハビリ専用住宅、または居室等に用いられ、自力では歩行不可能な要介護者を少ない負担で介助可能なベッド構造、及び浴槽の構造、並びに便器の設定手法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1の従来例要介護者用ベッド10は低いベッドに於いても、要介護者を支える布団よりベッドを設置する床までおよそ15cm以上を必要とした。15cm以上の段差では、要介護者は自力に於けるベッドへの昇降は殆ど不可能であった。また、図2の布団11は一枚物であり布団の交換も容易ではなく、ベッド10に横たわったままでの入浴は殆ど不可能であった。図6の従来例要介護者用浴槽50は全体に一定の深さを必要する為、介助者は入浴時ベッドより抱えたり、シートに腰掛け吊り上げたまま床走行可能な電動介護リフト(例えば、非特許文献1参照。)を使用し、要介護者を浴槽へと移動していた。
図8の従来例洋式水洗トイレ70は床FL1よりおよそ35cm高い便座に腰掛け利用していた。また、室内にて利用する簡易トイレ、簡易水洗トイレは腰掛ける椅子タイプ(例えば、非特許文献1参照。)を使用していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「グリーンカタログVOL、12」、社団法人 シルバーサービス振興会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例の主に介護やリハビリ専用住宅に於いて介護ベッドの布団は床より15cm以上の高低差がある。また、布団も一枚物であり、浴槽の形状も図6の従来例50の台形または四角形断面の為、介護ベッドに要介護者が横たわったままでの入浴は不可能であった。匍匐前進可能程度の要介護者が火災等の緊急時段差が少なく、自力にて介護ベッドから降りて匍匐により避難可能であるベッドや、布団と同じ厚さの入浴可能な超撥水素材へ容易に交換可能である布団が必要とされる。また、ベッドのまま浴槽に入浴可能な浴槽の機能や匍匐による自力にて容易にトイレを利用可能なシステムが必要である大きな問題があった。
【0005】
本発明は、このような不具合を解消する為になされたものであり、匍匐前進が可能な要介護者が自力にて利用できる室内の水洗トイレや、布団も容易に交換できるとともに介護ベッドのまま入浴可能なベッドや、浴槽等の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記不具合を解決するために、本発明は次のような構成としている。
請求項1に記載した要介護者入浴用ベッドは匍匐前進可能程度の要介護者が昇降可能な高さとする為、25ミリ角程度のフレームに3箇所以上キャスターを設け低い高さで移動可能なベッド23とした。また、超撥水素材布団及び布団はそれぞれ布団の短辺方向スパンを二分し、片方ごとに同じサイズの交換が可能とした布団であることが特徴である。
【0007】
請求項2に記載した布団は吊り下げ用ベルトの形状に落とし込みを設けることにより、常に吊り下げ用ベルトを落とし込みにセットした状態が可能であり、要介護者や介助者の負担少なく吊り下げ用ベルトの容易なセットが可能と成った事が特徴である。
【0008】
請求項3に記載した介護者専用浴槽は居室床(FL1)61より、なだらかな勾配で下に向かいテーパーを設けた三角形又は台形断面の浴槽構造とした事により、要介護者入浴用キャスター付水平プレートベッドを浴槽へ容易に導く事を可能とした事が特徴である。
【0009】
請求項4に記載した要介護者専用洋式水洗便器の設定手法は便座を居室床61のレベル程度に設定すると共に、足元部を35センチ程度床61のレベルより掘り下げ、足元掘り下げ床62より居室床61へテーパーを付けた事により匍匐可能な要介護者が自力にてトイレを利用する事ができるようになったことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、要介護者入浴用ベッドはキャスター付の薄い水平プレート構造とし、布団は短辺方向スパンを二分し、浴槽は三角形断面等のテーパー付とした。また、要介護者専用洋式水洗便器は便座を床のレベル程度に設定すると共に、足元部を35センチ程度床のレベルより掘り下げた。結果、布団も容易に交換でき、ベッドのままでの容易な入浴が可能となり、トイレも自力にて利用できるようになった為、要介護者や介助者ともに負担を減らす事ができた。また、匍匐可能な要介護者であれば自力にて低いベッドより離れ避難できることが可能となる効果を発揮する事もできた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は従来例介護ベッドの斜視図
【図2】図2は従来例の布団の斜視図
【図3】図3は本発明入浴用超撥水布団及びベッドの斜視図
【図4】図4は本発明布団の斜視図
【図5】図5は本発明図4布団30のA−A断面図
【図6】図6は従来例介護浴槽の立面図
【図7】図7は本発明介護ベッドのまま入浴可能な浴槽
【図8】図8は従来例介護トイレの平面図、立面図
【図9】図9は本発明介護トイレの平面図
【図10】図10は本発明介護トイレ図9のB−B断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
主に介護やリハビリ専用住宅、または居室等に用いられ、自力では歩行不可能な要介護者を少ない負担で介助可能なベッド構造、及び浴槽の構造、並びに便器の設定手法に関する。
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0014】
図3で示すように、本発明の介護ベッドは匍匐前進可能程度の要介護者が昇降可能な高さとする為、25ミリ角程度のフレームに3箇所以上キャスターを設け図1のベッド10に比べ低い高さで移動可能であるベッド23とした。また、図2の従来例布団11は一枚ものであったが、図3の超撥水素材布団20は布団の短辺方向スパンを二分し、片方ごとに同じサイズの交換が可能とした布団21及び22である。
更に図4、図5にて詳細に説明する。
【0015】
図4、図5の布団30は布団の短辺方向スパンをジョイント34の位置にて31と32に二分し、片方ごとに同じサイズの布団交換を可能とした。また、吊り下げ用ベルトの形状に落とし込み35を設けることにより、常に吊り下げ用ベルトを落とし込み35にセットした状態が可能であり、要介護者と介助者の負担少なく吊り下げ用ベルトのセット及び準備が可能と成った事が特徴である。
【0016】
図6は従来例浴槽50であり、浴槽上部より底に向かいテーパーはあるが急勾配の為、背もたれには適するがベッドのまま入浴するには不可能であった。図7は本発明の介護ベッドのまま入浴可能な浴槽であり、浴槽は居室床(FL1)61より、なだらかな勾配で下に向かいテーパーを設けた三角形又は台形断面の浴槽60とした事により、要介護者入浴用キャスター付水平プレートベッド23を浴槽へ容易に導く事を可能にできた事が特徴である。
【0017】
図8の従来例洋式水洗便所70の便座は居室床(FL1)61よりおよそ35cm高い位置にあり、匍匐のみ可能な要介護者では利用が出来なかった。図9、図10の本発明洋式水洗便所80は便座の高さを居室床(FL1)61のレベル程度に設定すると共に、足元部を35センチ程度床61のレベルより掘り下げ、足元掘り下げ床62より居室床61へテーパーを付けた事により匍匐のみ可能な要介護者が自力にてトイレを利用する事ができるようになった為、要介護者は自尊心をあまり傷つけること無く、介助者も楽になることで要介護者に対し優しくなれる。
【符号の説明】
【0018】
10 従来例のベッド
11 従来例布団
20 本発明超撥水素材布団
21 超撥水素材布団1
22 超撥水素材布団2
23 本発明キャスター付水平プレートベッド
24 超撥水素材1と2のジョイント
30 本発明布団
31 布団1
32 布団2
34 布団1と2のジョイント
35 吊り下げ用ベルト形状の落とし込み
40 本発明要介護者入浴用キャスター付水平プレートベッド
50 従来例浴槽
60 本発明三角形又は台形断面のゆるいテーパー付介護者専用浴槽
61 居室床(FL1)
62 足元掘り下げ床(FL2)
70 従来例洋式水洗便所
80 本発明洋式水洗便所
90 本発明洋式水洗便所のB−B断面図
91 居室床(FL1)と足元掘り下げ床(FL2)間スロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床のレベルに限りなく近い要介護者入浴用の3箇所以上キャスター付水平プレートベッド、及び、要介護者入浴用キャスター付水平プレートベッド布団の短辺方向スパンを二分するとともに、二分するそれぞれの布団どうしや、布団とベッドプレートをマジックベルトにて固定可能とし、入浴時には容易に専用撥水プレートタイプの布団に交換可能とした布団。
【請求項2】
布団に吊り下げ用ベルトの形状に落とし込みを設け、要介護者を吊り下げ機へ容易に移すことが可能な布団。
【請求項3】
要介護者入浴用キャスター付水平プレートベッドを浴槽へ導く事の可能な三角形又は台形断面のゆるやかなテーパー付介護者専用浴槽。
【請求項4】
要介護者専用洋式水洗便器の便座を床のレベル程度に設定すると共に、足元部を35センチ程度床のレベルより掘り下げた便器の設定手法。並びに、掘り下げた足元部より床へテーパーを付けた事を特徴とする便器の設定手法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−20099(P2012−20099A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175764(P2010−175764)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(593130463)
【出願人】(510185206)
【出願人】(510185228)
【Fターム(参考)】