覆工コンクリートの湿潤養生装置
【課題】移動型枠の断面形状を自由に調整でき、異なるトンネル間で転用可能な骨組み構造体を提供する。
【解決手段】骨組み構造体において、枠体部1は、複数の断面において棒状部材からなる三角形状のトラス体が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部1の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を構成する棒状部材にターンバックルのような長さ調整部を設けるようにした。
【解決手段】骨組み構造体において、枠体部1は、複数の断面において棒状部材からなる三角形状のトラス体が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部1の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を構成する棒状部材にターンバックルのような長さ調整部を設けるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組み構造体、及び覆工コンクリートの湿潤養生装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの施工技術として、例えばナトム工法が知られている。ナトム(NATM:New Austrian Tunnelling Method)工法は、近年のトンネルの施工技術における主流となっている技術の一つである。ナトム工法では、地山の掘削面にコンクリートを吹き付け、吹付けたコンクリートの表面から地山に向けてロックボルトを挿入して地山と吹付けたコンクリートとの一体化を図る。一方、トンネルには優れた耐久性が求められ、ナトム工法をベース、若しくは改良した様々な施工技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−299793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート構造物では、従来より、ひび割れをより少なくするための技術開発が行われている。トンネルにおいても例外ではなく、覆工コンクリートのひび割れをより抑制できる技術の開発が求められている。
【0005】
覆工コンクリートのひび割れを抑制する従来技術として、養生設備の設置がある。養生設備には、トンネル内を移動可能な移動型枠にシートや養生パネルを張り覆工面を覆う技術や、鋼製や樹脂製の支保材を組み、その都度シートや養生パネルを張り覆工面を覆う技術がある。移動型枠による技術としては、無加湿養生バルーン、噴霧加湿養生、超音波加湿養生(モイストキュア工法、モイストキュアは登録商標)、トンネルバルーン(登録商標)、湿潤養生パネルなどを用いた技術がある。また、支保材をその都度組み立てる技術としては、パラソル30ミスト工法、シート張り、発泡スチロール(例えば、EPSパネル)、湿潤養生パネル(例えば、ラップユニット式)を用いた技術がある。
【0006】
移動型枠による技術によれば、トンネル内での移動が容易であるが、従来の移動型枠はトンネルの断面形状に合わせてトンネル毎に作る必要がある。支保材をその都度組み立てる技術によれば、トンネルの断面形状を問わず施工することができるが、組み立てと解体を繰り返し行わなければならず、作業が煩雑となる。なお、上記従来の移動型枠による技術において、移動型枠の断面形状を自由に調整することができれば、移動型枠を異なるトンネル間で転用することができ、利便性が高まる。また、移動型枠の断面形状を自由に調整することができれば、移動型枠を例えば簡易式テントの骨組み構造体として使用する場合における利便性も高まる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、断面形状を自由に調整自在な骨組み構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題を解決するため、骨組み構造体の一部の部材を伸縮自在とすることで、骨組み構造体の断面形状を自由に調整できるようにした。
【0009】
詳細には、本発明は、断面が半円状の骨組み構造体であって、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部を備え、前記複数の棒状部材の一部は、前記断面の形状を調整するための長さ調整部を有する。本発明に係る骨組み構造体によれば、棒状の部材の一部が長さ調整部を有することで枠体部の断面形状を自由に調整することができる。
【0010】
ここで、本発明に係る骨組み構造体において、前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有するようにしてもよい。
【0011】
トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を短くすると、トラス部の他の2辺(斜辺)に挟まれる角度が鋭角となり、その結果半円が小さくなる。すなわち、トラス部の底辺の長さを調整することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0012】
また、上述した本発明に係る骨組み構造体は、各構成をより具体化し、以下のように構成してもよい。具体的には、前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記骨組み構造の長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する構成とすることができる。本発明では、弦材が長さ調整部を有することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0013】
また、本発明に係る骨組み構造体は、骨組み構造体の下部に接続される移動部を更に備える構成としてもよい。移動部を備えることで骨組み構造体を容易に移動することができる。
【0014】
また、本発明に係る骨組み構造体は、前記枠体部を覆うシート部を更に備える構造とすることができる。シート部を備えることで、組み立てテントとして用いることができる。
【0015】
なお、上述した骨組み構造体は、覆工コンクリートの湿潤養生装置として好適に用いることができる。詳細には、本発明は、トンネル内壁面をコンクリートで被覆するトンネル覆工工事において、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートを養生する覆工コンクリートの湿潤養生装置であって、前記トンネル内壁面と所定の間隔を空けて配置され、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部と、前記枠体部の下部に接続され、前記枠体部を移動自在とさせる移動部と、を備え、前記複数の棒状部材の一部は、前記トンネルの長手方向と直交する断面の形状に応じて前記枠体部の断面の形状を調整するための長さ調整部を有する。
【0016】
本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置によれば、移動部を備えることで枠体部をトンネル内で簡便に移動させることができ、また、棒状の部材の一部が長さ調整部を有することでトンネルの断面形状に応じて枠体部の断面形状を調整することができる。
【0017】
ここで、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置において、前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち前記トンネルの内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有するようにしてもよい。
【0018】
トラス部の3辺のうち前記トンネルの内側に配置される底辺を短くすると、トラス部の他の2辺(斜辺)に挟まれる角度が鋭角となり、その結果半円が小さくなる。すなわち、
トラス部の底辺の長さを調整することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0019】
また、上述した本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、各構成をより具体化し、以下のように構成してもよい。具体的には、前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記トンネルの長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する構成とすることができる。本発明では、弦材が長さ調整部を有することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0020】
また、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置において、前記移動部は、回動自在なローラからなり、前記覆工コンクリートの湿潤養生装置は、前記トンネルの長手方向に延び、かつ、前記ローラを誘導する軌道部を更に備える構成としてもよい。軌道部をトンネルの長手方向に伸びるように敷設することで、枠体部を容易かつ円滑に移動させることができる。
【0021】
また、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、前記枠体部を覆うシート部であって、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面と該シート部の間に湿潤空間を形成させるシート部を更に備える構成としてもよい。シート部を備えることで、覆工コンクリート表面と該シート部の間に湿潤空間を形成することができる。湿潤空間の幅は、トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートの表面とシート部の覆工コンクリート側の面との距離に相当する。トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートの表面とシート部の覆工コンクリート側の面との距離は、上述した所定の間隔でもある。従って、所定の間隔は、湿潤空間の幅として適宜設計することができる。なお、湿潤空間を形成せずに、シートを覆工コンクリートの表面に密着させ、覆工コンクリートからの水分の蒸発を防止することで養生を行うこともできる。この場合、シート部をエアなどを供給することで膨張自在な袋状部材によって構成すればよい。所定の間隔は、覆工コンクリートの表面と枠体部とが接触しない間隔として設計すればよい。湿潤空間の端部を塞ぐことで、湿潤空間を密閉空間とすることができる。なお、袋状部材の外側には例えばEPSパネルを設けるようにしてもよい。EPSパネルは、保温効果と保湿効果を有する。従って、袋状部材による空気層の保温効果及び保湿効果とEPSパネルの保温効果及び保湿効果により、更なる保温効果及び湿潤効果を得ることができる。
【0022】
また、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、前記枠体に接続され、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面に噴霧液を噴霧する噴霧部を更に備える構成としてもよい。シート部と共に噴霧部を設けることで、湿潤効果をより高めることができるが、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、噴霧部のみを備える構成としてもよい。シート部と共に噴霧部を設ける場合には、噴霧部は、例えば枠体部の端部のみに設置すればよい。一方で、噴霧部のみの場合には、噴霧部は、枠体部の端部だけでなく、所定の間隔を空けて複数設置することが好ましい。
【0023】
なお、本発明は、上述した覆工コンクリートの湿潤養生装置を用いた、覆工コンクリートの湿潤養生方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、断面形状を自由に調整自在な骨組み構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の斜視図を示す。
【図2】実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の分解斜視図を示す。
【図3】実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の横断面図を示す。
【図4】トラス構造が形成される枠体の横断面を示す。
【図5A】枠体の側面図を示す。
【図5B】枠体の展開図を示す。
【図6A】弦材の平面図を示す。
【図6B】弦材の端部の平面図を示す。
【図6C】弦材の端部の側面図を示す。
【図6D】他の例の弦材の平面図を示す。
【図6E】他の例の弦材の端部の平面図を示す。
【図6F】主材の平面図を示す。
【図6G】主材の側面図を示す。
【図6H】主材の端部の平面図を示す。
【図6I】主材の端部の側面図を示す。
【図6J】主材の端部の断面図を示す
【図6K】継材の平面図を示す。
【図6L】継材の端部の平面図を示す。
【図6M】継材の端部の側面図を示す。
【図6N】筋交の平面図を示す。
【図7A】ローラ及びレールの断面図を示す。
【図7B】ローラの側面図を示す。
【図8A】他の例のローラ及びレールの断面図を示す。
【図8B】他の例のローラ及びレールの側方断面図を示す。
【図8C】レール架台の支持台の正面図を示す。
【図8D】支持台固定部の斜視図を示す。
【図8E】レール架台の支持台の平面図を示す。
【図8F】レール架台の支持台の側面図を示す。
【図9A】レールの平面図を示す。
【図9B】レールの側面図を示す。
【図9C】レールの端部の平面図を示す。
【図9D】レールの端部の断面図を示す。
【図10】補助部材を示す。
【図11】接続部分の詳細を示す。
【図12】枠体の下部における接続部分の詳細を示す。
【図13】覆工コンクリートの湿潤養生装置が3基接続された状態を示す。
【図14】覆工コンクリートの湿潤養生装置同士を接続する連結部材を示す。
【図15】変形例に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置を示す。
【図16】他の実施形態に係るテント用骨組み構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下で説明する態様に限定されない。
【0027】
[実施形態]
<覆工コンクリートの湿潤養生装置の構成>
図1は、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の斜視図であり、図2は、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の分解斜視図を示す。また、図3は、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の横断面図を示す。図1から図3に示すように、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置(以下、単に養生装置ともいう)100は、枠体1、シート2、噴霧器3、ローラ4、レール5を備える。実施形態に係る養
生装置100は、トンネルの覆工コンクリートの湿潤養生装置として好適に用いることができる。以下の説明では、横断面円弧形の「かまぼこ形」トンネルへの適用例について説明する。なお、横断面とは、トンネルの長手方向と直交する断面である。
【0028】
枠体1は、弦材11、主材12、筋交14、継材13を有する。枠体1を構成する部材は、シート2や噴霧器3を取り付けた場合に十分な強度を有していればよく、材質は特に限定されない。弦材11、主材12、筋交14、継材13は、鋼製、樹脂製とすることができる。弦材11、主材12、筋交14、継材13には貫通孔が設けられ、弦材11、主材12、筋交14、継材13は、ボルトやナット、吊り用のリングを有するアイボルトやアイナットなどの既存の固定部材によって互いに接続されている。固定部材としてアイボルトやアイナットを用いることで、重機等により枠体1の吊り上げや枠体1を構成するトラスの吊り上げが容易となる。
【0029】
ここで、枠体1は、所定の間隔で形成される横断面において、トラス構造を有する。図4は、トラス構造が形成される枠体の横断面を示す。図4において上図は、弦材11の長さを短くする前の状態を示し、下図は、弦材11の長さを短くした後の状態を示す。図4に示すように、トラス構造は、2本の主材12と1本の弦材11からなるトラスが複数接続されることで構成されている。トラスを構成する弦材11は、軸方向の長さを調整自在なターンバックルを有することで、長さの調整が自在である。ターンバックルは、本発明の長さ調整部に相当する。
【0030】
図6Aは、弦材の平面図を示し、図6Bは、弦材の端部の平面図を示し、図6Cは、弦材の端部の側面図を示す。弦材11は、弦材本体111と、弦材本体111の両端部に設けられたねじ部112、114と、ねじ部112、114に夫々接続されるナット部113、115を備える。ねじ部112は右ねじ、ねじ部114は左ねじであり、ねじ部112、114は、夫々が異なる方向のねじ溝が切られている。ねじ部112、114とナット部113、115との接続状態を適宜調整することで弦材11の軸方向の長さを調整することができる。ナット部113、115には、主材12と接続する接続孔116が設けられている。
【0031】
また、図6Dは他の例の弦材の平面図を示す。他の例の弦材11aは、弦材本体111aと、接続孔116aを備える。接続孔116aは、軸方向に延びる長円形によって形成されており、長円形内の接続位置を変更することで、弦材11aの軸方向の実質的な長さを調整することができる。すなわち、他の例の弦材11aでは、長円形の接続孔116aが、本発明の長さ調整部に相当する。他の例の弦材11aによれば、弦材11よりも簡易な構成とすることができる。
【0032】
図6Fは、主材の平面図を示し、図6Gは、主材の側面図を示し、図6Hは、主材の端部の平面図を示し、図6Iは、主材の端部の側面図を示し、図6Jは、主材の端部の断面図を示す。主材12は、主材本体121と、弦材11や隣接する主材12が接続される第一接続部122と、継材13や筋交14が接続される第二接続部123を備える。主材12は、図6Jに示すように、主材本体121が断面視四角形であり、内部に空間を有する鋼管からなる。第一接続部122は、対向する2片からなり、各片は、角部が面取りされ、更に各片の中央部には接続孔124が設けられている。各片を隣接する主材の各片と重ね、各片に設けられた主材12の接続孔124にアイボルト73などの固定部材の軸部を挿入することで、主材12同士の接続が可能となる。また、主材12の接続孔124と弦材11の接続孔116とを対応させた状態でアイボルト73の軸部を更に弦材11の接続孔116に挿入することで、弦材11と主材12との接続が可能となる。
【0033】
第二接続部123は、軸本体部123aと、ロック部123bとを有する。実施形態に
係る第二接続部123は、グラビティロックからなり、ロック部123bが、軸本体部123aの内部に収容される収容状態と、図6Hに示すように軸本体部123aから突出する非収容状態とを有する。ロック部123bは、軸本体部123a内にある軸を中心に回転自在であり、外部から力を加えない状態では、自重により非収容状態を形成する。なお、ロック部123bは、軸本体部123a内にあるバネを設けこのバネにより付勢し、外部から力を加えない状態では、非収容状態を形成するようにしてもよい。軸本体部123aは、主材12の接続孔124の軸方向と直交する方向に伸びており、継材13の接続孔133や筋交14の接続孔143が挿入される。これにより、主材12及び弦材11と、継材13及び筋交14とを異なる方向に接続することができる。なお、第一接続部122は、軸本体部123の先端にナットを固定可能な溝を設け、ナットによって継材13を接続するようにしてもよい。
【0034】
図6Kは、継材の平面図を示し、図6Lは、継材の端部の平面図を示し、図6Mは、継材の端部の側面図を示す。継材13は、継材本体部131と、主材12と接続される継材接続部132を有する。継材本体部131は、細長状の円柱からなり、継材接続部132は、平坦状である。継材接続部132には、第二接続部123の軸本体部123aに挿入される継材の接続孔133が設けられている。
【0035】
図6Nは、筋交の平面図を示す。筋交は14は、筋交本体部141と、主材12と接続される筋交接続部142であって、第二接続部123の軸本体部123aに挿入される接続孔143を有する筋交接続部142を有する。筋交14は、継材13と基本的には同様の構成である。なお、筋交14は、継材13よりも長く設計されている。
【0036】
実施形態に係る養生装置100の枠体1は、各トラスの頂点が何れも枠体1の外郭としての半円上に位置している。換言すると、隣接するトラスの斜辺が共有され、隣接するトラスの一部が重なるようにトラスが接続されている。トラスの3辺のうちトンネルの内側に配置される底辺、すなわち弦材11を短くすると、トラスの他の2辺(主材)に挟まれる角度が鋭角となり、その結果枠体1の半円が小さくなる。すなわち、弦材11の長さを調整することで、枠体の断面形状を容易に変更することができる。例えば、主材12の長さが1900mm、弦材の長さが3900mmの場合、弦材11の両端を夫々40mm伸縮自在とすることで、枠体0の径を4000mmから8000mmに変更自在となる。
【0037】
継材13及び筋交14は、所定の間隔で形成される横断面におけるトラス構造同士を接続する。図5Aは、枠体1の側面図であり、図5Bは、枠体1の展開図を示す。継材13は、トンネルの長手方向と平行に配置され、トラス構造同士を接続する。より詳細には、継材13は、隣接するトラス構造を構成する各トラス同士を接続する。筋交14は、継材13に対して斜めに配置され、トラス構造同士を接続する。
【0038】
シート2は、枠体1を覆い、覆工コンクリートの表面とシート2との間に湿潤空間を形成する。シート2には、ポリエチレンなどの樹脂製シート(例えば、UVシルバーシート)を用いることができる。なお、湿潤空間の端部、すなわち枠体1の端部は、シート2を折り返すなどして湿潤空間を密閉空間とすることが好ましい。
【0039】
噴霧器3は、覆工コンクリートの表面とシート2との間に形成される湿潤空間に向けて噴霧液(例えば、水)を噴霧する。噴霧液の噴霧のタイミングは、手動で行ってもよく、また、CPUやメモリを有する制御装置を接続して自動で行うようにしてもよい。実施形態における噴霧器3は、湿潤空間に向けて噴霧液を噴霧するものであり、枠体1の端部にのみ設けられている。但し、噴霧器3は、枠体1の端部以外(例えば、中央部)に設置してもよい。
【0040】
ローラ4は、回転自在であり、レール5に載置され、レール5に誘導されて枠体1を移動させる。図7Aは、ローラ及びレールの断面図であり、図7Bは、ローラの側面図を示す。ローラ4は、枠体1の下部に複数接続され、各ローラ4が、4つの車輪を有している。実施形態では、同一回転軸で回転し互いに平行な一組の車輪がトンネルの長手方向に2組隣接することで構成されている。ローラ4の上部には、枠体1の主材12と接続するローラ接続部49が設けられている。ローラ接続部49は、対向する2片からなり、各片には接続孔が設けられている。ローラ接続部49の各片を主材12の第一接続部122の各片に重ね、更にローラ接続部49の接続孔を主材12の接続孔124に対応させた状態でボルトなどの軸部を挿入することで、主材12とローラ4の接続が可能となる。
【0041】
レール5は、トンネルの長手方向に向かって設けられ、ローラ4を誘導する。実施形態では、上方が開放された断面視C字状のレール架台51の上に設置されている。レール5は、レール下部52と、レール下部の幅方向の両端部から立ち上げられ、一組のローラの外側面を覆うレール側部53と、レール側部の上端部が折り曲げられることで形成され、ローラ4の上方を覆うローラ上部54と、を有する。このように、実施形態に係るレール5は、ローラ4を包み込むように構成されていることから、ローラ4を正確に誘導するとともに、ローラ4の脱輪が確実に防止される。
【0042】
なお、レールは、例えば、上方が開放された断面がC字状の簡易な構成としてもよい。図8Aは、他の例のローラ及びレールの断面図を示し、図8Bは、他の例のローラ及びレールの側方断面図を示し、図8Cは、レール架台の支持台の正面図を示し、図8Dは、支持台固定部の斜視図を示し、図8Eは、レール架台の支持台の平面図を示し、図8Fは、レール架台の支持台の側面図を示す。また、図9Aは、レールの平面図を示し、図9Bは、レールの側面図を示し、図9Cは、レールの端部の平面図を示し、図9Dは、レールの端部の断面図を示す。
【0043】
他の例のレール5aは、断面がC字状であり上方が開放しており、上述した実施形態におけるレール5よりも簡易な構成である。レール5aは、レール下部52aと、レール下部52aの幅方向の両端部から立ち上げられ、一組のローラの外側面を覆うレール側部53aとを有する。レール下部52aの両端部には、レール架台51aと接続する接続孔52a1が2つずつ設けられている。この接続孔52a1は、孔の内部が傾斜しており、皿ボルトを用いてレール架台51aとレール5aとを接続した際、固定部材としての皿ボルトの頭部がレール下部52aから突出しないように構成されている。
【0044】
レール架台51aの下部には、レール架台51を支持する支持台56aが設けられ、更に支持台56aには、支持台固定部57aが接続されている。支持台56aの底面には長手方向に伸びる接続孔51a1が設けられている。この接続孔51a1は、レール5aに設けられた接続孔52a1に対応している。支持台56aは断面が逆三角形状であり下方に位置する頂点が面取りされている。また、支持台56aには、支持台固定部57aと接続する接続孔56a1、56a2が設けられている。支持台固定部57aは四角形状であり、アンカー部58aを介して覆工コンクリートの下部側面に固定される。支持台56aの接続孔56a1、56a2に夫々対応する接続孔57a1、57a2が設けられ、下側にある接続孔57a2は、円弧状である。覆工コンクリートの下部側面には垂直でない領域も存在するが、下側にある接続孔57a2を円弧状とすることで、レール5aの水平方向における傾きを調整することができる。なお、このような支持台56aや支持台固定部57aは、先に説明した実施形態におけるレール5とレール架台51に適用してもよい。他の例においても、ローラ4は、上部に設けられたローラ接続部49を介して枠体1の主材12に接続可能である。
【0045】
実施形態に係る養生装置100は、上記に加えて枠体1に接続され、覆工コンクリート
を打設する際に用いるセントルに押し当てる補助部材6を有する。図10は、補助部材を示す。補助部材6は、枠体1に接続される軸部61と、軸部61の先端に設けられセントルと接する弾力性を有する弾性部62とを有する。弾性部62は、鋼製の管の周囲をフェルト(例えば30倍発泡)やスポンジで覆うことで構成される。弾性部62をセントルに押し当てることで、セントルと枠体1とを密着させることができる。
【0046】
上述したように、枠体1を構成する主材12、弦材11、筋交14、継材13は、既存のボルト71やナット72、アイボルト73やアイナット74といった固定部材によって固定可能である。ここで、図11は、接続部分の詳細を示す。図11に示すように、主材12の第一接続部122の各片を隣接する主材12の各片とを重ね、各片に設けられた主材12の接続孔124にアイボルト73の軸部が挿入されることで、主材12同士が接続されている。更に、主材12の接続孔124に対応するように弦材11の接続孔116が配置され、アイボルト73の軸部が挿入されることで、弦材11と主材12が接続されている。また、主材12の第二接続部123には、継材13の接続孔133と筋交14の接続孔143が挿入され、主材12に対して、継材13と筋交14が接続されている。主材12及び弦材11と、継材13及び筋交14とは、異なる方向に接続されている。すなわち、継材13や筋交14は、トンネルの長手方向に伸びるように接続され、弦材11や主材12はトンネルの長手方向と直交する方向、換言するとトンネルの長手方向と直交する断面上で接続される。本実施形態では、主材12同士の接続にアイボルト73とアイナット74を用いることで枠体1の吊り上げが可能となっている。なお、枠体1を構成するに際しては、既存の種々の継手部材や固定部材を適用することができる。
【0047】
図12は、枠体の下部における接続部分の詳細を示す。枠体の下部には、ローラ接続部49を介してローラ4が接続される。ローラ接続部49は、一端が主材12の端部に形成される第一接続部122と同様に対向する2片によって構成され、主材12同士を接続するように主材12に対して接続することができる。ローラ接続部49の他端(図示せず)には、ローラ4が接続される。
【0048】
<覆工コンクリートの湿潤養生装置の組立て>
養生装置100の組立ては、例えば、以下の手順で行うことができる。すなわち、まず、トンネル内にレール5が敷設される。そして、レール5の敷設後、若しくはレール5の敷設ととともに、枠体1が組み立てられる。枠体1の組立てに際しては、トンネルの径に合わせて弦材11の長さが調整され、枠体1の形状がトンネルの形状に合わせられる。枠体1の組立ては、トンネルの内外何れで行ってもよいが、トンネルの外で行うことで、十分な作業スペースを確保することができる。
【0049】
枠体1が組み立て後、ローラ4がレール5上に載置される。そして、シートが枠体1に設置され、また、噴霧器3が設置される。シート2や噴霧器3の設置は、レール5への設置前に行うようにしてもよい。なお、上述した組立て手順は例示であり、養生装置100の組立て手順は、現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0050】
<覆工コンクリートの湿潤養生装置を用いた湿潤養生方法>
地山を掘削して形成された素堀トンネルの掘削面(内壁面)をコンクリートで被覆するトンネル覆工工事では、一般的にはまず素堀トンネルの掘削面にコンクリートを吹き付ける一次覆工が行われる。そして、一次覆工後のトンネル内壁面をさらにコンクリートで被覆する二次覆工が行われる。
【0051】
二次覆工では、トンネル内を移動可能なセントル(型枠)を用いて、コンクリートを被覆する。具体的には、セントルが、一次覆工後のトンネル内に移動され、
コンクリートをセントルと一次覆工後のトンネル内壁面との間へ流し込むコンクリート打
設が行われる。打設されたコンクリートは、硬化するまでの所定時間の間に外力が加わらないように、セントル内部で保護(養生)される。
【0052】
養生装置100は、二次覆工におけるコンクリートの養生に用いられる。すなわち、コンクリート打設後、養生装置100が養生対象箇所まで移動される。養生対象箇所とは、コンクリートが打設され、養生が必要とされる箇所である。養生装置100の移動は、セントルによって牽引してもよく、また、自走させてもよい。養生装置100が養生対処箇所へ移動したら、覆工コンクリートとシート2との間に形成される湿潤空間の端部をシートなどで塞ぎ、噴霧器3から噴霧液を噴射させる。噴霧液の噴射は、上述したように手動で行ってもよく、また、制御装置によって自動で行うようにしてもよい。
【0053】
また、養生装置100は、例えば図13に示すように、複数基(図13では3基)をトンネルの長手方向に接続して使用してもよい。図13は、覆工コンクリートの湿潤養生装置を3基接続された状態を示す。これにより、コンクリートの打設状況に応じて効率よくコンクリートの養生を行うができる。図14は、覆工コンクリートの湿潤養生装置同士を接続する連結部材を示す。図14に示すように、連結部材8は、L字状の連結部材本体81と、連結部材本体81の先端に接続された組立てバンド82を有する。連結部材本体81の基端は、前方の養生装置の主材11にボルトとナットによって接続される。組立てバンド82は、例えば鋼製の管の周囲をフェルト(例えば30倍発泡)やスポンジで覆うことで構成される。なお、組立てバンド82は後方の枠体1の主材11には接続しない方が好ましい。連結部材本体81を後方の枠体1と単にラップさせる構造とすることで、トンネルがカーブしている場合においても、このカーブを許容することができる。
【0054】
コンクリートの養生が完了すると、養生装置100が次の養生対象箇所まで移動される。次の養生対象箇所とは、新たにコンクリートが打設され、養生が必要とされる箇所である。掘削、コンクリートの打設、湿潤養生が繰り返されることで、トンネル工事が完了する。トンネル工事が完了すると、掘削装置やセントルといった他の装置と共に、養生装置100もトンネルの外へ搬出される。
【0055】
<効果>
実施形態に係る養生装置100によれば、レール5及びローラ4を備えることで枠体1をトンネル内で簡便に移動させることができる。また、枠体1を構成する弦材11の長さが調整自在であることから、トンネルの断面形状に応じて枠体1の断面形状を自由に調整することができる。
【0056】
[変形例]
上述した実施形態では、養生装置100が噴霧器3を備える構成であるが、養生装置100は、噴霧器3を有さないより簡易な構成としてもよい。この場合、上述した実施形態と同じく、シート2によって湿潤空間を形成し、空気の流れを遮断することでコンクリートの養生を行うことができる。また、シート2と覆工コンクリートの表面との距離を無くし、すなわち、シート2を覆工コンクリートに密着させ、コンクリートからの水分の蒸発を防止することで、コンクリートの養生を行うようにしてもよい。図15は、変形例に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置を示す。変形例に係る養生装置100の構成は、基本的には上述した実施形態に係る養生装置100の構成と同じである。相違点について説明すると、変形例に係る養生装置100は、シート2がエアによって膨張可能な袋状のシートによって構成され、袋状のシート2にエアを供給するエア供給装置9を更に備える点で、実施形態に係る養生装置100と異なる。変形例に係る養生装置100によれば、シート2を袋状とすることでシート2を覆工コンクリートの表面に密着させることができる。その結果、コンクリートからの水分の蒸発を防止することができる。なお、袋状のシートの外側には例えばEPSパネルを設けるようにしてもよい。EPSパネルは、保温効果と
保湿効果を有する。従って、袋状部材による空気層の保温効果及び保湿効果とEPSパネルの保温効果及び保湿効果により、更なる保温効果及び湿潤効果を得ることができる。
【0057】
また、本発明に係る骨組み構造体は、組立てテント(仮設テント)の骨組みとしても好適に用いることができる。図16は、他の実施形態に係るテント用骨組み構造体を示す。他の実施形態に係るテント用骨組み構造体101は、枠体1、シート2を備える。枠体1、シート2については、覆工コンクリートの湿潤養生装置100と同様の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・枠体
2・・・シート
3・・・噴霧器
4・・・ローラ
5・・・レール
11・・・主材
12・・・弦材
13・・・継材
14・・・筋交
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組み構造体、及び覆工コンクリートの湿潤養生装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの施工技術として、例えばナトム工法が知られている。ナトム(NATM:New Austrian Tunnelling Method)工法は、近年のトンネルの施工技術における主流となっている技術の一つである。ナトム工法では、地山の掘削面にコンクリートを吹き付け、吹付けたコンクリートの表面から地山に向けてロックボルトを挿入して地山と吹付けたコンクリートとの一体化を図る。一方、トンネルには優れた耐久性が求められ、ナトム工法をベース、若しくは改良した様々な施工技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−299793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート構造物では、従来より、ひび割れをより少なくするための技術開発が行われている。トンネルにおいても例外ではなく、覆工コンクリートのひび割れをより抑制できる技術の開発が求められている。
【0005】
覆工コンクリートのひび割れを抑制する従来技術として、養生設備の設置がある。養生設備には、トンネル内を移動可能な移動型枠にシートや養生パネルを張り覆工面を覆う技術や、鋼製や樹脂製の支保材を組み、その都度シートや養生パネルを張り覆工面を覆う技術がある。移動型枠による技術としては、無加湿養生バルーン、噴霧加湿養生、超音波加湿養生(モイストキュア工法、モイストキュアは登録商標)、トンネルバルーン(登録商標)、湿潤養生パネルなどを用いた技術がある。また、支保材をその都度組み立てる技術としては、パラソル30ミスト工法、シート張り、発泡スチロール(例えば、EPSパネル)、湿潤養生パネル(例えば、ラップユニット式)を用いた技術がある。
【0006】
移動型枠による技術によれば、トンネル内での移動が容易であるが、従来の移動型枠はトンネルの断面形状に合わせてトンネル毎に作る必要がある。支保材をその都度組み立てる技術によれば、トンネルの断面形状を問わず施工することができるが、組み立てと解体を繰り返し行わなければならず、作業が煩雑となる。なお、上記従来の移動型枠による技術において、移動型枠の断面形状を自由に調整することができれば、移動型枠を異なるトンネル間で転用することができ、利便性が高まる。また、移動型枠の断面形状を自由に調整することができれば、移動型枠を例えば簡易式テントの骨組み構造体として使用する場合における利便性も高まる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、断面形状を自由に調整自在な骨組み構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題を解決するため、骨組み構造体の一部の部材を伸縮自在とすることで、骨組み構造体の断面形状を自由に調整できるようにした。
【0009】
詳細には、本発明は、断面が半円状の骨組み構造体であって、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部を備え、前記複数の棒状部材の一部は、前記断面の形状を調整するための長さ調整部を有する。本発明に係る骨組み構造体によれば、棒状の部材の一部が長さ調整部を有することで枠体部の断面形状を自由に調整することができる。
【0010】
ここで、本発明に係る骨組み構造体において、前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有するようにしてもよい。
【0011】
トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を短くすると、トラス部の他の2辺(斜辺)に挟まれる角度が鋭角となり、その結果半円が小さくなる。すなわち、トラス部の底辺の長さを調整することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0012】
また、上述した本発明に係る骨組み構造体は、各構成をより具体化し、以下のように構成してもよい。具体的には、前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記骨組み構造の長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する構成とすることができる。本発明では、弦材が長さ調整部を有することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0013】
また、本発明に係る骨組み構造体は、骨組み構造体の下部に接続される移動部を更に備える構成としてもよい。移動部を備えることで骨組み構造体を容易に移動することができる。
【0014】
また、本発明に係る骨組み構造体は、前記枠体部を覆うシート部を更に備える構造とすることができる。シート部を備えることで、組み立てテントとして用いることができる。
【0015】
なお、上述した骨組み構造体は、覆工コンクリートの湿潤養生装置として好適に用いることができる。詳細には、本発明は、トンネル内壁面をコンクリートで被覆するトンネル覆工工事において、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートを養生する覆工コンクリートの湿潤養生装置であって、前記トンネル内壁面と所定の間隔を空けて配置され、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部と、前記枠体部の下部に接続され、前記枠体部を移動自在とさせる移動部と、を備え、前記複数の棒状部材の一部は、前記トンネルの長手方向と直交する断面の形状に応じて前記枠体部の断面の形状を調整するための長さ調整部を有する。
【0016】
本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置によれば、移動部を備えることで枠体部をトンネル内で簡便に移動させることができ、また、棒状の部材の一部が長さ調整部を有することでトンネルの断面形状に応じて枠体部の断面形状を調整することができる。
【0017】
ここで、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置において、前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち前記トンネルの内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有するようにしてもよい。
【0018】
トラス部の3辺のうち前記トンネルの内側に配置される底辺を短くすると、トラス部の他の2辺(斜辺)に挟まれる角度が鋭角となり、その結果半円が小さくなる。すなわち、
トラス部の底辺の長さを調整することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0019】
また、上述した本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、各構成をより具体化し、以下のように構成してもよい。具体的には、前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記トンネルの長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する構成とすることができる。本発明では、弦材が長さ調整部を有することで、枠体部の断面形状を容易に変更することができる。
【0020】
また、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置において、前記移動部は、回動自在なローラからなり、前記覆工コンクリートの湿潤養生装置は、前記トンネルの長手方向に延び、かつ、前記ローラを誘導する軌道部を更に備える構成としてもよい。軌道部をトンネルの長手方向に伸びるように敷設することで、枠体部を容易かつ円滑に移動させることができる。
【0021】
また、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、前記枠体部を覆うシート部であって、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面と該シート部の間に湿潤空間を形成させるシート部を更に備える構成としてもよい。シート部を備えることで、覆工コンクリート表面と該シート部の間に湿潤空間を形成することができる。湿潤空間の幅は、トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートの表面とシート部の覆工コンクリート側の面との距離に相当する。トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートの表面とシート部の覆工コンクリート側の面との距離は、上述した所定の間隔でもある。従って、所定の間隔は、湿潤空間の幅として適宜設計することができる。なお、湿潤空間を形成せずに、シートを覆工コンクリートの表面に密着させ、覆工コンクリートからの水分の蒸発を防止することで養生を行うこともできる。この場合、シート部をエアなどを供給することで膨張自在な袋状部材によって構成すればよい。所定の間隔は、覆工コンクリートの表面と枠体部とが接触しない間隔として設計すればよい。湿潤空間の端部を塞ぐことで、湿潤空間を密閉空間とすることができる。なお、袋状部材の外側には例えばEPSパネルを設けるようにしてもよい。EPSパネルは、保温効果と保湿効果を有する。従って、袋状部材による空気層の保温効果及び保湿効果とEPSパネルの保温効果及び保湿効果により、更なる保温効果及び湿潤効果を得ることができる。
【0022】
また、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、前記枠体に接続され、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面に噴霧液を噴霧する噴霧部を更に備える構成としてもよい。シート部と共に噴霧部を設けることで、湿潤効果をより高めることができるが、本発明に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置は、噴霧部のみを備える構成としてもよい。シート部と共に噴霧部を設ける場合には、噴霧部は、例えば枠体部の端部のみに設置すればよい。一方で、噴霧部のみの場合には、噴霧部は、枠体部の端部だけでなく、所定の間隔を空けて複数設置することが好ましい。
【0023】
なお、本発明は、上述した覆工コンクリートの湿潤養生装置を用いた、覆工コンクリートの湿潤養生方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、断面形状を自由に調整自在な骨組み構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の斜視図を示す。
【図2】実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の分解斜視図を示す。
【図3】実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の横断面図を示す。
【図4】トラス構造が形成される枠体の横断面を示す。
【図5A】枠体の側面図を示す。
【図5B】枠体の展開図を示す。
【図6A】弦材の平面図を示す。
【図6B】弦材の端部の平面図を示す。
【図6C】弦材の端部の側面図を示す。
【図6D】他の例の弦材の平面図を示す。
【図6E】他の例の弦材の端部の平面図を示す。
【図6F】主材の平面図を示す。
【図6G】主材の側面図を示す。
【図6H】主材の端部の平面図を示す。
【図6I】主材の端部の側面図を示す。
【図6J】主材の端部の断面図を示す
【図6K】継材の平面図を示す。
【図6L】継材の端部の平面図を示す。
【図6M】継材の端部の側面図を示す。
【図6N】筋交の平面図を示す。
【図7A】ローラ及びレールの断面図を示す。
【図7B】ローラの側面図を示す。
【図8A】他の例のローラ及びレールの断面図を示す。
【図8B】他の例のローラ及びレールの側方断面図を示す。
【図8C】レール架台の支持台の正面図を示す。
【図8D】支持台固定部の斜視図を示す。
【図8E】レール架台の支持台の平面図を示す。
【図8F】レール架台の支持台の側面図を示す。
【図9A】レールの平面図を示す。
【図9B】レールの側面図を示す。
【図9C】レールの端部の平面図を示す。
【図9D】レールの端部の断面図を示す。
【図10】補助部材を示す。
【図11】接続部分の詳細を示す。
【図12】枠体の下部における接続部分の詳細を示す。
【図13】覆工コンクリートの湿潤養生装置が3基接続された状態を示す。
【図14】覆工コンクリートの湿潤養生装置同士を接続する連結部材を示す。
【図15】変形例に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置を示す。
【図16】他の実施形態に係るテント用骨組み構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下で説明する態様に限定されない。
【0027】
[実施形態]
<覆工コンクリートの湿潤養生装置の構成>
図1は、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の斜視図であり、図2は、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の分解斜視図を示す。また、図3は、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置の横断面図を示す。図1から図3に示すように、実施形態に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置(以下、単に養生装置ともいう)100は、枠体1、シート2、噴霧器3、ローラ4、レール5を備える。実施形態に係る養
生装置100は、トンネルの覆工コンクリートの湿潤養生装置として好適に用いることができる。以下の説明では、横断面円弧形の「かまぼこ形」トンネルへの適用例について説明する。なお、横断面とは、トンネルの長手方向と直交する断面である。
【0028】
枠体1は、弦材11、主材12、筋交14、継材13を有する。枠体1を構成する部材は、シート2や噴霧器3を取り付けた場合に十分な強度を有していればよく、材質は特に限定されない。弦材11、主材12、筋交14、継材13は、鋼製、樹脂製とすることができる。弦材11、主材12、筋交14、継材13には貫通孔が設けられ、弦材11、主材12、筋交14、継材13は、ボルトやナット、吊り用のリングを有するアイボルトやアイナットなどの既存の固定部材によって互いに接続されている。固定部材としてアイボルトやアイナットを用いることで、重機等により枠体1の吊り上げや枠体1を構成するトラスの吊り上げが容易となる。
【0029】
ここで、枠体1は、所定の間隔で形成される横断面において、トラス構造を有する。図4は、トラス構造が形成される枠体の横断面を示す。図4において上図は、弦材11の長さを短くする前の状態を示し、下図は、弦材11の長さを短くした後の状態を示す。図4に示すように、トラス構造は、2本の主材12と1本の弦材11からなるトラスが複数接続されることで構成されている。トラスを構成する弦材11は、軸方向の長さを調整自在なターンバックルを有することで、長さの調整が自在である。ターンバックルは、本発明の長さ調整部に相当する。
【0030】
図6Aは、弦材の平面図を示し、図6Bは、弦材の端部の平面図を示し、図6Cは、弦材の端部の側面図を示す。弦材11は、弦材本体111と、弦材本体111の両端部に設けられたねじ部112、114と、ねじ部112、114に夫々接続されるナット部113、115を備える。ねじ部112は右ねじ、ねじ部114は左ねじであり、ねじ部112、114は、夫々が異なる方向のねじ溝が切られている。ねじ部112、114とナット部113、115との接続状態を適宜調整することで弦材11の軸方向の長さを調整することができる。ナット部113、115には、主材12と接続する接続孔116が設けられている。
【0031】
また、図6Dは他の例の弦材の平面図を示す。他の例の弦材11aは、弦材本体111aと、接続孔116aを備える。接続孔116aは、軸方向に延びる長円形によって形成されており、長円形内の接続位置を変更することで、弦材11aの軸方向の実質的な長さを調整することができる。すなわち、他の例の弦材11aでは、長円形の接続孔116aが、本発明の長さ調整部に相当する。他の例の弦材11aによれば、弦材11よりも簡易な構成とすることができる。
【0032】
図6Fは、主材の平面図を示し、図6Gは、主材の側面図を示し、図6Hは、主材の端部の平面図を示し、図6Iは、主材の端部の側面図を示し、図6Jは、主材の端部の断面図を示す。主材12は、主材本体121と、弦材11や隣接する主材12が接続される第一接続部122と、継材13や筋交14が接続される第二接続部123を備える。主材12は、図6Jに示すように、主材本体121が断面視四角形であり、内部に空間を有する鋼管からなる。第一接続部122は、対向する2片からなり、各片は、角部が面取りされ、更に各片の中央部には接続孔124が設けられている。各片を隣接する主材の各片と重ね、各片に設けられた主材12の接続孔124にアイボルト73などの固定部材の軸部を挿入することで、主材12同士の接続が可能となる。また、主材12の接続孔124と弦材11の接続孔116とを対応させた状態でアイボルト73の軸部を更に弦材11の接続孔116に挿入することで、弦材11と主材12との接続が可能となる。
【0033】
第二接続部123は、軸本体部123aと、ロック部123bとを有する。実施形態に
係る第二接続部123は、グラビティロックからなり、ロック部123bが、軸本体部123aの内部に収容される収容状態と、図6Hに示すように軸本体部123aから突出する非収容状態とを有する。ロック部123bは、軸本体部123a内にある軸を中心に回転自在であり、外部から力を加えない状態では、自重により非収容状態を形成する。なお、ロック部123bは、軸本体部123a内にあるバネを設けこのバネにより付勢し、外部から力を加えない状態では、非収容状態を形成するようにしてもよい。軸本体部123aは、主材12の接続孔124の軸方向と直交する方向に伸びており、継材13の接続孔133や筋交14の接続孔143が挿入される。これにより、主材12及び弦材11と、継材13及び筋交14とを異なる方向に接続することができる。なお、第一接続部122は、軸本体部123の先端にナットを固定可能な溝を設け、ナットによって継材13を接続するようにしてもよい。
【0034】
図6Kは、継材の平面図を示し、図6Lは、継材の端部の平面図を示し、図6Mは、継材の端部の側面図を示す。継材13は、継材本体部131と、主材12と接続される継材接続部132を有する。継材本体部131は、細長状の円柱からなり、継材接続部132は、平坦状である。継材接続部132には、第二接続部123の軸本体部123aに挿入される継材の接続孔133が設けられている。
【0035】
図6Nは、筋交の平面図を示す。筋交は14は、筋交本体部141と、主材12と接続される筋交接続部142であって、第二接続部123の軸本体部123aに挿入される接続孔143を有する筋交接続部142を有する。筋交14は、継材13と基本的には同様の構成である。なお、筋交14は、継材13よりも長く設計されている。
【0036】
実施形態に係る養生装置100の枠体1は、各トラスの頂点が何れも枠体1の外郭としての半円上に位置している。換言すると、隣接するトラスの斜辺が共有され、隣接するトラスの一部が重なるようにトラスが接続されている。トラスの3辺のうちトンネルの内側に配置される底辺、すなわち弦材11を短くすると、トラスの他の2辺(主材)に挟まれる角度が鋭角となり、その結果枠体1の半円が小さくなる。すなわち、弦材11の長さを調整することで、枠体の断面形状を容易に変更することができる。例えば、主材12の長さが1900mm、弦材の長さが3900mmの場合、弦材11の両端を夫々40mm伸縮自在とすることで、枠体0の径を4000mmから8000mmに変更自在となる。
【0037】
継材13及び筋交14は、所定の間隔で形成される横断面におけるトラス構造同士を接続する。図5Aは、枠体1の側面図であり、図5Bは、枠体1の展開図を示す。継材13は、トンネルの長手方向と平行に配置され、トラス構造同士を接続する。より詳細には、継材13は、隣接するトラス構造を構成する各トラス同士を接続する。筋交14は、継材13に対して斜めに配置され、トラス構造同士を接続する。
【0038】
シート2は、枠体1を覆い、覆工コンクリートの表面とシート2との間に湿潤空間を形成する。シート2には、ポリエチレンなどの樹脂製シート(例えば、UVシルバーシート)を用いることができる。なお、湿潤空間の端部、すなわち枠体1の端部は、シート2を折り返すなどして湿潤空間を密閉空間とすることが好ましい。
【0039】
噴霧器3は、覆工コンクリートの表面とシート2との間に形成される湿潤空間に向けて噴霧液(例えば、水)を噴霧する。噴霧液の噴霧のタイミングは、手動で行ってもよく、また、CPUやメモリを有する制御装置を接続して自動で行うようにしてもよい。実施形態における噴霧器3は、湿潤空間に向けて噴霧液を噴霧するものであり、枠体1の端部にのみ設けられている。但し、噴霧器3は、枠体1の端部以外(例えば、中央部)に設置してもよい。
【0040】
ローラ4は、回転自在であり、レール5に載置され、レール5に誘導されて枠体1を移動させる。図7Aは、ローラ及びレールの断面図であり、図7Bは、ローラの側面図を示す。ローラ4は、枠体1の下部に複数接続され、各ローラ4が、4つの車輪を有している。実施形態では、同一回転軸で回転し互いに平行な一組の車輪がトンネルの長手方向に2組隣接することで構成されている。ローラ4の上部には、枠体1の主材12と接続するローラ接続部49が設けられている。ローラ接続部49は、対向する2片からなり、各片には接続孔が設けられている。ローラ接続部49の各片を主材12の第一接続部122の各片に重ね、更にローラ接続部49の接続孔を主材12の接続孔124に対応させた状態でボルトなどの軸部を挿入することで、主材12とローラ4の接続が可能となる。
【0041】
レール5は、トンネルの長手方向に向かって設けられ、ローラ4を誘導する。実施形態では、上方が開放された断面視C字状のレール架台51の上に設置されている。レール5は、レール下部52と、レール下部の幅方向の両端部から立ち上げられ、一組のローラの外側面を覆うレール側部53と、レール側部の上端部が折り曲げられることで形成され、ローラ4の上方を覆うローラ上部54と、を有する。このように、実施形態に係るレール5は、ローラ4を包み込むように構成されていることから、ローラ4を正確に誘導するとともに、ローラ4の脱輪が確実に防止される。
【0042】
なお、レールは、例えば、上方が開放された断面がC字状の簡易な構成としてもよい。図8Aは、他の例のローラ及びレールの断面図を示し、図8Bは、他の例のローラ及びレールの側方断面図を示し、図8Cは、レール架台の支持台の正面図を示し、図8Dは、支持台固定部の斜視図を示し、図8Eは、レール架台の支持台の平面図を示し、図8Fは、レール架台の支持台の側面図を示す。また、図9Aは、レールの平面図を示し、図9Bは、レールの側面図を示し、図9Cは、レールの端部の平面図を示し、図9Dは、レールの端部の断面図を示す。
【0043】
他の例のレール5aは、断面がC字状であり上方が開放しており、上述した実施形態におけるレール5よりも簡易な構成である。レール5aは、レール下部52aと、レール下部52aの幅方向の両端部から立ち上げられ、一組のローラの外側面を覆うレール側部53aとを有する。レール下部52aの両端部には、レール架台51aと接続する接続孔52a1が2つずつ設けられている。この接続孔52a1は、孔の内部が傾斜しており、皿ボルトを用いてレール架台51aとレール5aとを接続した際、固定部材としての皿ボルトの頭部がレール下部52aから突出しないように構成されている。
【0044】
レール架台51aの下部には、レール架台51を支持する支持台56aが設けられ、更に支持台56aには、支持台固定部57aが接続されている。支持台56aの底面には長手方向に伸びる接続孔51a1が設けられている。この接続孔51a1は、レール5aに設けられた接続孔52a1に対応している。支持台56aは断面が逆三角形状であり下方に位置する頂点が面取りされている。また、支持台56aには、支持台固定部57aと接続する接続孔56a1、56a2が設けられている。支持台固定部57aは四角形状であり、アンカー部58aを介して覆工コンクリートの下部側面に固定される。支持台56aの接続孔56a1、56a2に夫々対応する接続孔57a1、57a2が設けられ、下側にある接続孔57a2は、円弧状である。覆工コンクリートの下部側面には垂直でない領域も存在するが、下側にある接続孔57a2を円弧状とすることで、レール5aの水平方向における傾きを調整することができる。なお、このような支持台56aや支持台固定部57aは、先に説明した実施形態におけるレール5とレール架台51に適用してもよい。他の例においても、ローラ4は、上部に設けられたローラ接続部49を介して枠体1の主材12に接続可能である。
【0045】
実施形態に係る養生装置100は、上記に加えて枠体1に接続され、覆工コンクリート
を打設する際に用いるセントルに押し当てる補助部材6を有する。図10は、補助部材を示す。補助部材6は、枠体1に接続される軸部61と、軸部61の先端に設けられセントルと接する弾力性を有する弾性部62とを有する。弾性部62は、鋼製の管の周囲をフェルト(例えば30倍発泡)やスポンジで覆うことで構成される。弾性部62をセントルに押し当てることで、セントルと枠体1とを密着させることができる。
【0046】
上述したように、枠体1を構成する主材12、弦材11、筋交14、継材13は、既存のボルト71やナット72、アイボルト73やアイナット74といった固定部材によって固定可能である。ここで、図11は、接続部分の詳細を示す。図11に示すように、主材12の第一接続部122の各片を隣接する主材12の各片とを重ね、各片に設けられた主材12の接続孔124にアイボルト73の軸部が挿入されることで、主材12同士が接続されている。更に、主材12の接続孔124に対応するように弦材11の接続孔116が配置され、アイボルト73の軸部が挿入されることで、弦材11と主材12が接続されている。また、主材12の第二接続部123には、継材13の接続孔133と筋交14の接続孔143が挿入され、主材12に対して、継材13と筋交14が接続されている。主材12及び弦材11と、継材13及び筋交14とは、異なる方向に接続されている。すなわち、継材13や筋交14は、トンネルの長手方向に伸びるように接続され、弦材11や主材12はトンネルの長手方向と直交する方向、換言するとトンネルの長手方向と直交する断面上で接続される。本実施形態では、主材12同士の接続にアイボルト73とアイナット74を用いることで枠体1の吊り上げが可能となっている。なお、枠体1を構成するに際しては、既存の種々の継手部材や固定部材を適用することができる。
【0047】
図12は、枠体の下部における接続部分の詳細を示す。枠体の下部には、ローラ接続部49を介してローラ4が接続される。ローラ接続部49は、一端が主材12の端部に形成される第一接続部122と同様に対向する2片によって構成され、主材12同士を接続するように主材12に対して接続することができる。ローラ接続部49の他端(図示せず)には、ローラ4が接続される。
【0048】
<覆工コンクリートの湿潤養生装置の組立て>
養生装置100の組立ては、例えば、以下の手順で行うことができる。すなわち、まず、トンネル内にレール5が敷設される。そして、レール5の敷設後、若しくはレール5の敷設ととともに、枠体1が組み立てられる。枠体1の組立てに際しては、トンネルの径に合わせて弦材11の長さが調整され、枠体1の形状がトンネルの形状に合わせられる。枠体1の組立ては、トンネルの内外何れで行ってもよいが、トンネルの外で行うことで、十分な作業スペースを確保することができる。
【0049】
枠体1が組み立て後、ローラ4がレール5上に載置される。そして、シートが枠体1に設置され、また、噴霧器3が設置される。シート2や噴霧器3の設置は、レール5への設置前に行うようにしてもよい。なお、上述した組立て手順は例示であり、養生装置100の組立て手順は、現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0050】
<覆工コンクリートの湿潤養生装置を用いた湿潤養生方法>
地山を掘削して形成された素堀トンネルの掘削面(内壁面)をコンクリートで被覆するトンネル覆工工事では、一般的にはまず素堀トンネルの掘削面にコンクリートを吹き付ける一次覆工が行われる。そして、一次覆工後のトンネル内壁面をさらにコンクリートで被覆する二次覆工が行われる。
【0051】
二次覆工では、トンネル内を移動可能なセントル(型枠)を用いて、コンクリートを被覆する。具体的には、セントルが、一次覆工後のトンネル内に移動され、
コンクリートをセントルと一次覆工後のトンネル内壁面との間へ流し込むコンクリート打
設が行われる。打設されたコンクリートは、硬化するまでの所定時間の間に外力が加わらないように、セントル内部で保護(養生)される。
【0052】
養生装置100は、二次覆工におけるコンクリートの養生に用いられる。すなわち、コンクリート打設後、養生装置100が養生対象箇所まで移動される。養生対象箇所とは、コンクリートが打設され、養生が必要とされる箇所である。養生装置100の移動は、セントルによって牽引してもよく、また、自走させてもよい。養生装置100が養生対処箇所へ移動したら、覆工コンクリートとシート2との間に形成される湿潤空間の端部をシートなどで塞ぎ、噴霧器3から噴霧液を噴射させる。噴霧液の噴射は、上述したように手動で行ってもよく、また、制御装置によって自動で行うようにしてもよい。
【0053】
また、養生装置100は、例えば図13に示すように、複数基(図13では3基)をトンネルの長手方向に接続して使用してもよい。図13は、覆工コンクリートの湿潤養生装置を3基接続された状態を示す。これにより、コンクリートの打設状況に応じて効率よくコンクリートの養生を行うができる。図14は、覆工コンクリートの湿潤養生装置同士を接続する連結部材を示す。図14に示すように、連結部材8は、L字状の連結部材本体81と、連結部材本体81の先端に接続された組立てバンド82を有する。連結部材本体81の基端は、前方の養生装置の主材11にボルトとナットによって接続される。組立てバンド82は、例えば鋼製の管の周囲をフェルト(例えば30倍発泡)やスポンジで覆うことで構成される。なお、組立てバンド82は後方の枠体1の主材11には接続しない方が好ましい。連結部材本体81を後方の枠体1と単にラップさせる構造とすることで、トンネルがカーブしている場合においても、このカーブを許容することができる。
【0054】
コンクリートの養生が完了すると、養生装置100が次の養生対象箇所まで移動される。次の養生対象箇所とは、新たにコンクリートが打設され、養生が必要とされる箇所である。掘削、コンクリートの打設、湿潤養生が繰り返されることで、トンネル工事が完了する。トンネル工事が完了すると、掘削装置やセントルといった他の装置と共に、養生装置100もトンネルの外へ搬出される。
【0055】
<効果>
実施形態に係る養生装置100によれば、レール5及びローラ4を備えることで枠体1をトンネル内で簡便に移動させることができる。また、枠体1を構成する弦材11の長さが調整自在であることから、トンネルの断面形状に応じて枠体1の断面形状を自由に調整することができる。
【0056】
[変形例]
上述した実施形態では、養生装置100が噴霧器3を備える構成であるが、養生装置100は、噴霧器3を有さないより簡易な構成としてもよい。この場合、上述した実施形態と同じく、シート2によって湿潤空間を形成し、空気の流れを遮断することでコンクリートの養生を行うことができる。また、シート2と覆工コンクリートの表面との距離を無くし、すなわち、シート2を覆工コンクリートに密着させ、コンクリートからの水分の蒸発を防止することで、コンクリートの養生を行うようにしてもよい。図15は、変形例に係る覆工コンクリートの湿潤養生装置を示す。変形例に係る養生装置100の構成は、基本的には上述した実施形態に係る養生装置100の構成と同じである。相違点について説明すると、変形例に係る養生装置100は、シート2がエアによって膨張可能な袋状のシートによって構成され、袋状のシート2にエアを供給するエア供給装置9を更に備える点で、実施形態に係る養生装置100と異なる。変形例に係る養生装置100によれば、シート2を袋状とすることでシート2を覆工コンクリートの表面に密着させることができる。その結果、コンクリートからの水分の蒸発を防止することができる。なお、袋状のシートの外側には例えばEPSパネルを設けるようにしてもよい。EPSパネルは、保温効果と
保湿効果を有する。従って、袋状部材による空気層の保温効果及び保湿効果とEPSパネルの保温効果及び保湿効果により、更なる保温効果及び湿潤効果を得ることができる。
【0057】
また、本発明に係る骨組み構造体は、組立てテント(仮設テント)の骨組みとしても好適に用いることができる。図16は、他の実施形態に係るテント用骨組み構造体を示す。他の実施形態に係るテント用骨組み構造体101は、枠体1、シート2を備える。枠体1、シート2については、覆工コンクリートの湿潤養生装置100と同様の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・枠体
2・・・シート
3・・・噴霧器
4・・・ローラ
5・・・レール
11・・・主材
12・・・弦材
13・・・継材
14・・・筋交
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が半円状の骨組み構造体であって、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部を備え、前記複数の棒状部材の一部は、前記断面の形状を調整するための長さ調整部を有する骨組み構造体。
【請求項2】
前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有する請求項1に記載の骨組み構造体。
【請求項3】
前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記骨組み構造の長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する請求項2に記載の骨組み構造体。
【請求項4】
トンネル内壁面をコンクリートで被覆するトンネル覆工工事において、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートを養生する覆工コンクリートの湿潤養生装置であって、
前記トンネル内壁面と所定の間隔を空けて配置され、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部と、
前記枠体部の下部に接続され、前記枠体部を移動自在とさせる移動部と、を備え、
前記複数の棒状部材の一部は、前記トンネルの長手方向と直交する断面の形状に応じて前記枠体部の断面の形状を調整するための長さ調整部を有する、
覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項5】
前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち前記トンネルの内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有する、請求項4に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項6】
前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記トンネルの長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する、請求項5に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項7】
前記移動部は、回動自在なローラからなり、
前記覆工コンクリートの湿潤養生装置は、
前記トンネルの長手方向に延び、かつ、前記ローラを誘導する軌道部を更に備える請求項4から6の何れか1項に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項8】
前記枠体部を覆うシート部であって、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面と該シート部の間に湿潤空間を形成させるシート部を更に備える請求項4から7の何れか1項に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項9】
前記枠体に接続され、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面に噴霧液を噴霧する噴霧部を更に備える請求項4から8の何れか1項に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項1】
断面が半円状の骨組み構造体であって、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部を備え、前記複数の棒状部材の一部は、前記断面の形状を調整するための長さ調整部を有する骨組み構造体。
【請求項2】
前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち断面の内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有する請求項1に記載の骨組み構造体。
【請求項3】
前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記骨組み構造の長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する請求項2に記載の骨組み構造体。
【請求項4】
トンネル内壁面をコンクリートで被覆するトンネル覆工工事において、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリートを養生する覆工コンクリートの湿潤養生装置であって、
前記トンネル内壁面と所定の間隔を空けて配置され、複数の棒状部材が接続されることで構成される枠体部と、
前記枠体部の下部に接続され、前記枠体部を移動自在とさせる移動部と、を備え、
前記複数の棒状部材の一部は、前記トンネルの長手方向と直交する断面の形状に応じて前記枠体部の断面の形状を調整するための長さ調整部を有する、
覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項5】
前記枠体部は、複数の断面において前記棒状部材からなる三角形状のトラス部が複数接続されるトラス構造を有し、前記枠体部の断面形状は略半円状であり、各トラス部の各頂点は、いずれも前記半円上に位置し、前記各トラス部の3辺のうち前記トンネルの内側に配置される底辺を構成する棒状部材が、前記長さ調整部を有する、請求項4に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項6】
前記枠体部は、前記トラス部の底辺以外の辺である2つの斜辺を構成する主材と、前記トラス部の底辺を構成する弦材と、前記トラス構造同士を前記トンネルの長手方向において接続する継材及び筋交と、を含み、前記弦材は、前記長さ調整部を有する、請求項5に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項7】
前記移動部は、回動自在なローラからなり、
前記覆工コンクリートの湿潤養生装置は、
前記トンネルの長手方向に延び、かつ、前記ローラを誘導する軌道部を更に備える請求項4から6の何れか1項に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項8】
前記枠体部を覆うシート部であって、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面と該シート部の間に湿潤空間を形成させるシート部を更に備える請求項4から7の何れか1項に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【請求項9】
前記枠体に接続され、前記トンネル内壁面を形成する覆工コンクリート表面に噴霧液を噴霧する噴霧部を更に備える請求項4から8の何れか1項に記載の覆工コンクリートの湿潤養生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図6J】
【図6K】
【図6L】
【図6M】
【図6N】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図6J】
【図6K】
【図6L】
【図6M】
【図6N】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−57327(P2012−57327A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199850(P2010−199850)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【特許番号】特許第4887450号(P4887450)
【特許公報発行日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【特許番号】特許第4887450号(P4887450)
【特許公報発行日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】
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