説明

見切り目地材

【課題】見切りに横目地をシールするガスケットを組み付けて見切りとガスケットの両機能を兼備する見切り目地材において、見切りとガスケットとの組み付けが容易かつ確実に行われるようにする。
【解決手段】横向きの差込部23を備え、階下の外壁面材上端部に被さる見切り22と、差込部23に下側より当てがわれるベース部37と、ベース部37より立上がる起倒可能な中空断面のシール部38と、差込部23上においてシール部38の倒れ込みと共に倒れ、ベース37との間で差込部23を上下より挟着する押え部39を備えたガスケット24とよりなり、階下の外壁面材28取付後、外壁面材上の下地材29にブラケット25を取付け、ブラケット25に着脱可能に取付けられる。見切り目地材取付後、階上の外壁面材45を取付け、該外壁面材45でシール部38を押え込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の階間部或いはサッシ枠と外壁面材との間の横目地に取付けられる見切り目地材に関する。
なお、本明細書において、上下は、外壁面材を下地材に組付けたときの外壁面材の上下方向を指すものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、建物の1、2階の階間部の外壁構造の一例を示すもので、下地材1に防水シート又は水切り鋼板等よりなる二次防水層2を設置したのち、1階部分の外壁面材3aを組付け、ついで該外壁面材上方の2次防水層2に鋼板等の金属製の見切り4を前記外壁面材上端に被さるようにしてビスや釘等の止着具5により止着したのち、2階部分の外壁面材3bを組付けて構成されており、外壁面材3a、3bで形成される1次防水ラインが途切れる階間部の横目地6では2次防水層2と、該防水層2に重ねられる見切り4により防水が行われるようになっている。
【0003】
図1に示す外壁構造では、横目地6において外壁面材3a、3bで形成される1次防水ラインが途切れているが、横目地に湿式シーリングやガスケットが取付けることも行われている。
【0004】
図2は特許文献1に開示される横目地の止水構造に関するもので、サッシ枠11と外壁面材12間に形成される横目地13を隠すアタッチメント14にガスケット15を取付けて、横目地13に屋外側より押し込んで取付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−185448号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2に示す止水構造によると、横目地にガスケット付きアタッチメントを押し込んで取付けることにより、ガスケットによる横目地の止水と、アタッチメントによる横目地隠しが行われる。
【0007】
本発明は、見切りに横目地をシールするガスケットを組み付けて見切りとガスケットの両機能を兼備する見切り目地材において、見切りとガスケットとの組み付けが容易かつ確実に行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、建物の階間部或いはサッシ枠と外壁面材との間の横目地に取付けられる見切り目地材であって、屋内側を向く差込部を備え、階下の外壁面材上端部又はサッシュ上端部に被さる見切りと、前記差込部に下側より当てがわれるベース部と、該ベース部より前記差込部の先端脇を通って立上がり、かつ前記差込部上において起倒可能で、階上の外壁面材下端面により押え込まれて前記差込部側に倒れ込むシール部と、前記差込部上に位置し、前記シール部上の倒れ込みによってシール部と共に倒れ、前記ベース部との間で前記見切りの差込部を上下より挟着する押え部を備えるガスケットよりなることを特徴とし、
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明の見切り目地部において、前記見切りと接触するベース部下面及び階上の外壁面材下端面と弾接するシール部の接触面には比重0.5以下のスポンジ層が設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2に係わる発明において、シール部が中空状をなすことを特徴とする。
請求項4に係わる発明は、請求項1ないし3に係わる発明において、前記見切りは、横目地奥の下地材に止着して取付けられるブラケットと、該ブラケットに着脱可能に取付けられ、前記差込部を備えると共に、外観を意匠面として形成した意匠部とより構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係わる発明によると、横目地へのガスケットと見切りの取付けが一度の作業で同時に行えること、見切り目地材は横目地を形成したのちでも、また横目地を形成する前、すなわち階下の外壁面材或いはサッシ枠を設置したのち、階上の外壁面材を取付る前に組付けることができる。後者の場合では、外壁面材組付けと同時に見切り目地材を組み込むことができること、シール部が階上の外壁面材で押し込まれて倒れると、これに伴い押え部も倒れ、見切りの差込部を押えて、該差込部をベース部と押さ部で上下より挟み込んで支持することができる。この際、階上の外壁面材でシール部を押え込めば押え込む程、水密性が強化されると共に、押え部による差込部への押さえも強化され、ガスケットと見切りをしっかりと確実に連結できる。またベース部と押さえ部との間への見切りの差込部の挿入は、当初緩くしておいても(これにより差込が容易となる)、シール部の押し込みによって強固に固定することができる。そして横目地に取付けたガスケットにより外壁面材で形成される1次防水ラインが途切れることなく続く等の効果を奏する。
【0011】
請求項2に係わる発明によると、横目地での水密性を向上させることができる。
請求項3に係わる発明によると、シール部が中空構造をなすことにより、リップ状のシール部に比べ、シール圧力が確保され易く水密性をより高めることができる。また階上の
外壁面材を取付前に組付けた場合、階上の外壁面材を取付時、シール部がリップ状であると、リップのめくれ(反転)等が発生し易くなるが、中空形状ではこうした問題が生じにくい。
請求項4に係わる発明によると、見切りをブラケットと意匠部に分離することによりガスケットを意匠部の差込部に取付け易くなり、またブラケットを下地材に取付け易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】階間部の外壁構造の従来例を示す断面図。
【図2】横目地の止水構造の従来例を示す断面図。
【図3】見切りの差込部に取付けられる本実施形態に係わるガスケットの断面図。
【図4】横目地形成前に本実施形態の見切り目地材を階下の外壁面材上端に設置した状態を示す断面図。
【図5】階上の外壁面材を取付けた横目地形成後の断面図。
【図6】本実施形態の見切り目地材の別の組付け態様を示す断面図。
【図7】別の実施形態の見切り目地材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の見切り目地材について図により説明する。
本実施形態の見切り目地材21は図4及び図5に示されるように、見切り22と、該見切り22の差込部23(見切り目地材21を横目地に取付けたとき、屋内側を向く)に差込んで取付けられるガスケット24より構成され、以下、見切り22とガスケット24について個別に説明する。
【0014】
見切り22は、鋼その他の金属又は硬質樹脂製又はその複合で形成され、その構成はブラケット25と、該ブラケット25の鉤状部25aに嵌合して取付けられ、外観を意匠面として形成した意匠部26とよりなり、ブラケット25は屋内側の一端に上向きに立上がる取付部27を備え、該取付部27で階下の外壁面材28上の下地材29に二次防水層31を形成する、例えば防水シートを通して止着される釘やビス等の止着具32により止着して取付けられるようになっている。意匠部26は紙面に直交する方向に連続的に設けられ、ブラケット25は紙面に直交する方向に連続的に、又は間隔を存しながら形成されている。
【0015】
意匠部26は、ブラケット25の鉤状部25aに嵌着してブラケット25を覆うと共に、階下の外壁面材28上端部に被さり、ブラケット25との連結状態で差込部23がブラケット25と一定の間隔を存して平行に延び、その前端には下向きに屈折した突部33が形成されている。そして該突部33は前記ブラケット25の取付部27と対向して一定の間隔を存している。また、該突部33は紙面に直交する方向に連続的に、又は間隔を存しながら長く形成されている。
【0016】
見切り22の差込部23に差込んで取付けられるガスケット24は、EPDM等のゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる押出成形品で、図3に詳細に示されるように、差込部23に下側より当てがわれるベース部37と、前記差込部23の先端脇を通り、ベース部37より立ち上がる中空断面のシール部38と、該シール部38の根元よりベース部37と適宜の間隔を存してベース部37の中間部付近まで側方に突出し、前記差込部23上に位置する押え部39よりなり、ベース部37には、上面の根元に前記差込部23の突部33が嵌合係止する窪み41が形成されると共に、自由端部が上下に膨出した厚肉部42として形成されている。
【0017】
また図3には示されていないが、前記押え部39の自由端部には下向きに突出成形される凸部43が形成されている(図7参照)。この押え部39の自由端の凸部43とベース部37の自由端部の上下に膨出した厚肉部42によって、後に説明する意匠部26に押込まれた後の状態において、意匠部26を強固に固定できると共に、差込部23を伝ってガスケット24の窪み41方向への水の浸入を防止するなどのシール性を高めている。
【0018】
ベース部37にはまた、厚肉部42の下側の膨出部分側方の下面と、前記シール部38の階上の外壁面材45(図5参照)と接触する湾曲した接触面にはスポンジ層、好ましくは比重0.5以下のスポンジ層46が一体形成されている。図中、47は押え部側方のシール部38下にインサートされる金属又は樹脂製の芯材である。
【0019】
本実施形態の見切り目地材21は以上のように構成され、階間部の横目地への組込は次のようにして行われる。
【0020】
先ず、階下の外壁面材28を二次防水層31を介して下地材29に組み付けておき、その後、見切り22のブラケット25を意匠部26より分離した状態で、階下の外壁面材28上端に載せ、取付部27を外壁面材上の下地材29に2次防水層31を通して止着具32により止着して取付ける(図4参照)。
【0021】
次にガスケット24のベース部37と押え部39との間に意匠部26の差込部23が挿入されるようにガスケット24を差込部23にその自由端側から押込む。この押し込みは、窪み41に差込部23の突部33が嵌合するまで行われる。ガスケット24の押え部39の自由端部の凸部43とベース部37の上に膨出した厚肉部42は差込部23とラップ設定(組合わせる前の単品の状態では、凸部43と厚肉部42は差込部23に食い込む大きさに設定)されているため、嵌合力が大きくなる。なお前述するガスケット24の意匠部26への組み付けは、ブラケット25を下地材29に取付ける前に行っておいてもよい。
【0022】
次にガスケット24を取付けた意匠部26をブラケット25の鉤状部25aに屋外側より押し込んで嵌着する。意匠部26の押し込みは、鉤状部25aのコーナに意匠部26の傾斜部26aが当る押込み限度まで行われ、図4は、限度まで押し込まれた状態を示す。この状態で意匠部26はブラケット25に固定状態で取付けられ、ブラケット25を覆うと共に外壁面材28上端部に被さった状態となる。
【0023】
ガスケット24を備えた見切り目地材21を外壁面材28上に取付けたのち、階上の外壁面材45を階下の外壁面材28の延長上に位置させて下地材29に組付ける。そして階下の外壁面材28との間に横目地48を形成する。
【0024】
横目地48の形成時、階上の外壁面材45の下端面によってガスケット24のシール部38は差込部上で屈曲しながら倒れて押し潰されるが、この押し潰しによる反力と、起き上がろうとするシール部38の反力により、該シール部38は外壁面材45の下端面に圧着し、水密性を高める。またシール部38と共に押え部39も倒れ込み、押え部39の先端が差込部23を押え込む。
【0025】
以上のようにして階上の外壁目地材45の組付けにより横目地48への見切り目地材21の組付けも同時に行われる。
【0026】
以上は階下の外壁面材28を取付けたのち、見切り目地材21を組付け、ついで階上の外壁面材45を取付ける方法について述べたが、図6に示すように、下地材29に階下の外壁面材28を、ついでブラケット25を取付けたのちに階上の外壁面材45を取付け、その後にガスケット24を取付けた意匠部26を屋外側より図の矢印方向に押し込んで組み込むようにしても同様の効果を上げることができる。この効果を生ずるのは、ガスケット24が目地等へ取付けられる前では、その中空状のシール部38が略楕円形で、その長い方の側面が起立する形態をなしているためである(図3参照)。更に前記楕円形のシール部38の屋外側の側壁は屋外側へ突出した略く字状をなしているため、前記した2つの取付け方法ではいずれも、シール部38が屋外側へ倒れ込んで撓み易い。また階上の外壁面材45との水密性を高めるため、シール部38の上側側壁は肉厚に形成されている。なお前記シール部38の中空状の空洞部は押え部39よりも上部に形成されており、前記芯材47は該空洞部の下に位置している。
【0027】
前記実施形態ではまた、シール部38として中空状のシール部を示したが、リップ状のシール部であっても階上の外壁面材45と弾接して水密機能を果すことができる。
【0028】
前記実施形態においてはまた、見切り目地材21は階下の外壁面材上に組み付けられるようになっているが、サッシ枠上に組付けるようにすることもできる。
【0029】
前記実施形態ではまた、見切り22を構成するブラケット25と意匠部26が分離できるようにしてあり、これによりブラケット25が下地材29に止着具32により容易に取付けられ、かつまたガスケット24が差込部23にその自由端側からブラケット25に邪魔されることなく容易に差し込んで取付けできるようになっているが、見切り22を下地材29に取付け後、ガスケット24を差込部23とブラケット25との間に潜らせるようにして押し込んで取付けできるようにすれば、ブラケット25と意匠部26を一体に形成することもできる。この場合、ブラケット25の取付部27は下地材29に接着剤にて接着される。
【0030】
図7に示す実施形態では、前記差込部23の上面に円弧状断面の凹部34を形成すると共に、下面に平溝状の凹所35を形成し、凹部34には前記押え部39の自由端部下に突出形成される凸部43が嵌合係止し、また前記凹所35には前記ベース部37の厚肉部42の上側の膨出部分が嵌合係止するようにされる。こうした嵌合係止により差込部23はベース部37と押え部39に対し強固に抜け止めされるようになる。
【0031】
前記凸部43は押え部39に形成する代わりに差込部23に形成してもよく、更には該凸部を押え部下面に形成の凹部に嵌合係止させるようにしてもガスケット24と差込部23の抜け止めを同様にして行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
21・・見切り目地材
22・・見切り
23・・差込部
24・・ガスケット
25・・ブラケット
26・・意匠部
27・・取付部
28、45・・外壁面材
29・・下地材
31・・二次防水層
34・・凹部
35・・凹所
37・・ベース部
38・・シール部
39・・押え部
42・・厚肉部
43・・凸部
46・・スポンジ層
48・・横目地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の階間部或いはサッシ枠と外壁面材との間の横目地48に取付けられる見切り目地材であって、屋内側を向く差込部23を備え、階下の外壁面材28上端部又はサッシュ上端部に被さる見切り22と、前記差込部23に下側より当てがわれるベース部37と、該ベース部37より前記差込部23の先端脇を通って立上がり、かつ前記差込部上において起倒可能で、階上の外壁面材45下端面により押え込まれて前記差込部側に倒れ込むシール部38と、前記差込部上に位置し、前記シール部38の倒れ込みによってシール部と共に倒れ、前記ベース部37との間で前記見切り22の差込部23を上下より挟着する押え部39を備えるガスケット24よりなることを特徴とする見切り目地材。
【請求項2】
前記見切り22と接触するベース部37下面及び階上の外壁面材下端面と弾接するシール部38の接触面には比重0.5以下のスポンジ層46が設けられることを特徴とする請求項1記載の見切り目地材。
【請求項3】
前記シール部38が中空状をなすことを特徴とする請求項1又は2記載の見切り目地材。
【請求項4】
前記見切り22は、横目地奥の下地材29に止着して取付けられるブラケット25と、該ブラケット25に着脱可能に取付けられ、前記差込部23を備えると共に、外観を意匠面として形成した意匠部26とにより構成されることを特徴とする請求項1乃至3記載の見切り目地材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−144847(P2012−144847A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1442(P2011−1442)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】