説明

視差バリア、ディスプレイパネル及び視差バリアの製造方法

【課題】視差バリア、ディスプレイパネル及び視差バリアの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は自然光に適用可能な視差バリア、ディスプレイパネル及び視差バリアの製造方法を開示する。この視差バリアは透明バリアを含み、前記透明バリア上には吸光状態と透光状態を切り替えられるパターンが少なくとも一組設置され、前記それぞれ一組のパターンが吸光状態にある場合、前記透明バリア上で三次元ディスプレイ用スリット格子を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は視差バリア、ディスプレイパネル及び視差バリアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3D(三次元)ディスプレイ技術において、一般的にはディスプレイパネル11の画像を表示する側に視差バリア12を設置する。具体的な原理は図1に示すように、視差バリア上にスリット格子を設置し、ディスプレイパネル11上の画素の画像は視差バリア12上のスリットを通し観察点(例えば、目など)に届く。図1から解るように、観察点に位置する左目13と右目14が観察できるディスプレイパネルの画素は異なり、よって観察者は観察点の位置において二つの異なる画像を観察でき、合成により3Dディスプレイが形成される。従来の視差バリアは一般的に固定パターンで形成され、あるいはLCDを用いて前記視差バリアが形成される。
【0003】
前記3Dディスプレイを実現するにあたり、発明者は少なくとも以下の問題を見出した。固定パターンである視差バリアを使用する場合、視差バリアをディスプレイパネル上に設置した後、ディスプレイパネルは3Dディスプレイしか行えず、2D(二次元)ディスプレイに切り替えることができない。LCDを用いて視差バリアを形成する場合、液晶の透光性を制御することにより2Dディスプレイに切り替えることができるが、ディスプレイに使用される光源が偏光でなければならないため、非偏光である一般の光源を使用するディスプレイにおいては2Dディスプレイに切り替えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は視差バリア、ディスプレイパネル及び視差バリアの製造方法を提供し、非偏光である一般の光源を使用する場合において、2Dディスプレイと3Dディスプレイの切り替えを実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例では、透明バリアを含み、自然光に適用可能な視差バリアを提供し、前記透明バリア上には吸光状態と透光状態を切り替えられるパターンが少なくとも一組設置され、前記一組のパターンが吸光状態にある場合、前記透明バリア上で三次元ディスプレイ用スリット格子を形成する。
【0006】
本発明の他の一実施例ではディスプレイユニットを含むディスプレイパネルを提供し、前記ディスプレイユニットの画像表示面には前記視差バリアが設置される。
【0007】
本発明のまた他の一実施例では以下のステップを含む自然光に適用可能な視差バリアの製造方法を提供する。
【0008】
二つの透明基板上に透明電極を形成するステップ。一つの透明基板上の透明電極は透明基板全体を覆い、もう一つの透明基板上の透明電極は一組のパターン電極、あるいは少なくとも二組の別々に通電可能なパターン電極を含む。
【0009】
前記二つの透明電極を形成した透明基板を対置してセル化し、この二つセル化した透明基板の間に液体媒体を充填するステップ。一組のパターン電極が通電状態にある場合、通電状態においてパターン電極に対応する領域が化学反応を起こし不透明状態となり、通電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する。
【0010】
本発明の自然光に適用可能な視差バリア、ディスプレイパネル及び視差バリアの製造方法によれば、使用する視差バリア内のパターンには吸光状態と透光状態があり、吸光状態と透光状態の切り替えを制御することができる。裸眼3Dディスプレイが必要とすれば、視差バリアのパタンを吸光状態に切り替えることができ、よって、従来の視差バリアの機能を果たし、裸眼3Dディスプレイを実現する。2Dディスプレイを必要とする場合、視差バリア内のパターンを制御し透光状態に切り替えることにより2Dディスプレイを実現する。このため、本発明の実施例により提供する方案を採用する場合、偏光を必要とせず、一般の光源を使用しても2Dディスプレイと3Dディスプレイの切り替えを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施例または従来の技術における技術方案をより明白に説明するため、以下、実施例または従来の技術の説明に必要な図面について簡単な説明をするが、以下の説明における図面は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者は創造的活動をしないまま他の図面を得られることは明らかである。
【図1】従来の技術における裸眼3Dディスプレイの原理を示す図。
【図2】本発明の実施例1における視差バリアの斜視図。
【図3】本発明の実施例1における一つの視差バリアの断面図。
【図4】本発明の実施例1における他の一つの視差バリアの断面図。
【図5】本発明の実施例1におけるまた他の一つの視差バリアの断面図。
【図6】本発明の実施例1における視差バリアにより裸眼3Dディスプレイを実現する原理を示す図。
【図7】本発明の実施例1における視差バリアにより2Dディスプレイを実現する原理を示す図。
【図8】本発明の実施例2における一つの視差バリアにより裸眼3Dディスプレイを実現するディスプレイパネルの構造を示す図。
【図9】本発明の実施例2における他の一つの視差バリアにより裸眼3Dディスプレイを実現するディスプレイパネルの構造を示す図。
【図10】本発明の実施例2において2Dディスプレイを実現する原理を示す図。
【図11】本発明の実施例2において裸眼3Dディスプレイを実現する原理を示す図。
【図12】本発明の実施例2においてメガネ式3Dディスプレイを実現する際の左目画像フレームのディスプレイ原理を示す図。
【図13】本発明の実施例2においてメガネ式3Dディスプレイを実現する際の右目画像フレームのディスプレイ原理を示す図。
【図14】本発明の実施例2において偏光調整板を含む裸眼3Dディスプレイの原理を示す図。
【図15】本発明の実施例2において偏光調整板を含むメガネ式3Dディスプレイの原理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例は、自然光に適用可能な透明バリアを含む視差バリアを提供し、透明バリア上には吸光状態と透光状態を切り替えられるパターンが少なくとも一組設置され、透明バリア上のいずれの一組のパターンが吸光状態にある場合、透明バリア上で裸眼三次元ディスプレイ用スリット格子を形成する。
【0013】
本発明の実施例において、前記一組のパターンが透光状態にある場合、この透明バリアの状態は全領域が透光状態で(即ち、透明バリア全体が透明になる)、このパターンに対応する光通過率は80%以上必要であり、光通過率が92%以上であることが好ましい。前記一組のパターンが吸光状態にある場合、このパターンに対応する領域の光通過率は一般的に20%以下であり、3Dディスプレイ効果を確保するため、このパターンに対応する領域の光通過率は8%以下であることが好ましい。吸光状態になったパターンに対応する領域以外の領域の光通過率は透光状態における光通過率に近いものとする。
【0014】
本発明の実施例を採用すれば、裸眼3Dディスプレイを必要とする際、視差バリアのパターンを制御し吸光状態に切り替えることで従来の視差バリアの機能を果たし、裸眼3Dディスプレイを実現する。2Dディスプレイを必要とする際、視差バリアのパターンを制御し透光状態に切り替え、視差バリア全体が透明になることにより2Dディスプレイを実現する。本発明の実施例を採用する場合、偏光を必要とせず、一般の光源を使用しても2Dディスプレイと3Dディスプレイの切り替えを実現できる。また、本発明の実施例は一枚あるいは複数枚の前記視差バリアをディスプレイユニットの画像表示面の前に設置し、2Dと3Dの切り替えを行えるディスプレイパネルを製造することができる。
【0015】
以下本発明の実施例における図面をもって、本発明の実施例を明白かつ全面的に説明する。説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的活動をしないまま得られる他の実施例は全て、本発明の保護範囲に属する。
実施例1
【0016】
本発明の実施例1では、透明バリアを含み、自然光に適用可能な視差バリアを提供し、この透明バリア上には吸光状態と透光状態を切り替えられるパターンが少なくとも一組設置され、それぞれの一組のパターンが吸光状態にある場合、透明バリア上で裸眼三次元ディスプレイ用スリット格子を形成できる。
【0017】
図2と図3に示すように、本発明の実施例1における透明バリアは、対置してセル化する(組合せる)二層の透明基板21と22、及びこの二層の透明基板21と22の間に充填される透明液体23を含む。前記二層の透明基板はシール剤を使用し貼り合わされ、充填される液体媒体が漏れ出すことを防止する。また、セル化した後の透明基板の間にはスペーサを用いてギャップ(Gap)を保つことができる。液体媒体23は電場をかけない状態において不透明であり、電場をかけた状態において透明に変わるようにしても良い。前記透明バリア上に裸眼3Dディスプレイ用のスリット格子を形成するため、本発明の実施例1において、前記二層の透明基板上に透明電極24と25が設置され、少なくとも一層の透明基板上の透明電極が一組のパターン電極であって一組のパターンに形成する。又は、少なくとも一層の透明基板上の透明電極が二組以上の別々に通電可能なパターン電極であって二組のパターンに形成する。スペーサは球状あるいは柱状スペーサを使用することができる。
【0018】
本発明の実施例1において、前記パターン電極領域に対応する液体媒体は異なる状態(例えば化学状態)にある場合、前記吸光状態あるいは前記透光状態を示し、よって前記裸眼3Dディスプレイ用のスリット格子を形成することができる。
【0019】
具体的に、透明電極を設置する方案は以下の方法を含むが、これに限るものではない。
【0020】
1、図2と図3に示すように、一つの透明基板に位置する透明電極は一組のパターン電極であり、このパターン電極は互いに平行する電極であり、電極の幅及び隣接する電極の間隔は裸眼3Dディスプレイ用のスリット格子を形成する条件を満たす。このため、この一組のパターン透明電極が通電状態にある場合、通電状態においてパターン電極に対応する領域が化学反応あるいは物理変化を起こし不透明状態となり、よって通電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成し、この吸光状態におけるパターンと他の透光部位により裸眼3Dディスプレイ用のスリット格子が形成される。
【0021】
2、一つの透明基板に位置する透明電極は、少なくとも二組の別々に通電可能なパターン電極(図示せず)である。この方案を採用する場合、そのうち一組のパターン電極が互いに平行する電極であり、かつ電極の幅及び隣接する電極の間隔は裸眼3Dディスプレイ用のスリット格子を形成する条件を満たす。また、前記一組のパターン電極の間に形成される間隔内には他の少なくとも一組のパターン電極が形成され、その幅と隣接する電極の間の距離は裸眼三次元ディスプレイ用のスリット格子の条件を満たし、二組のパターン電極が別々に通電可能となる。前記第1の方案の原理に同じく、パターン電極が通電状態にある場合、この透明バリアにより裸眼3Dディスプレイ用のスリット格子が形成される。本方案には二組あるいは二組以上のパターン電極が存在し、かつこの二組あるいは二組以上のパターン電極は異なるスリット格子を形成するため、本発明の実施例における視差バリアには複数の最良観察位置が存在する。あるいは、この二組あるいは二組以上のパターン電極は交互に通電、断電することにより一組のスリット格子を形成し、例えば液体媒体が電場をかけない状態において不透明である場合に使用することができる。
【0022】
前記二つの方案において、図3と図4に示すように、パターン電極を設置する透明基板は上基板であっても、下基板であっても良い。また、本発明の実施例における二つの透明基板のうち、他の一つの透明基板上の透明電極は透明基板全体を覆う板状電極であっても良く(図3、図4に示す構成)、前記パターン電極に対応する電極であっても良い(図5に示す構成)。
【0023】
本発明の実施例1において、パターン電極の通電と断電の状態を制御することにより、視差バリア上のパターン電極に対応する部分が透光状態と吸光状態を切り替えることができる。例えば、以下二つの方案を採用することができる。
【0024】
1、それぞれ一組のパターン電極が通電状態にある場合、通電状態においてパターン電極に対応する領域が不透明状態となり、通電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する。
【0025】
2、それぞれ一組のパターン電極が断電状態にある場合、断電状態においてパターン電極に対応する領域が不透明状態となり、断電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する。
【0026】
上記のように前記パターン電極に対応する領域の透光状態と吸光状態の切り替えを実現するため、本発明の実施例1では、エレクトロウェッティング法、エレクトロクロミック法、あるいは電気化学堆積法を使用することができるが、これに限るものではない。以下、各方法の原理をそれぞれ説明する。
【0027】
第一方法、エレクトロウェッティング法
この方法を採用する場合、前記透明液体媒体は具体的に、有色油滴と透明溶液を含む。有色油滴は例えば黒油滴、例えば、アルカン、シリコーンオイル又はそれらの混合物などを選用し、透明溶液は例えば無色である水、塩溶液、アルコル又はそれらの混合物などを選用し、前記パターン電極上には前記透明液体媒体との間にエレクトロウェッティング効果を発生させる媒体が一層設置されることが必要である。この媒体は一般的に表面疎水性絶縁層、例えばテフロン(登録商標)(teflon)である。
【0028】
パターン電極に電圧がかけられていない場合、油滴と水の間の界面張力、及び油滴と表面疎水性絶縁層の間の界面張力の合力は水と表面疎水性絶縁層の間の界面張力より小さいため、平衡システムにおけるエネルギー最小化原理に従い、油滴は自発的に表面疎水性絶縁層の表面に均一に付着し、断電状態においてパターン電極に対応する領域の前記透明液体媒体が不透明状態となり、断電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンが形成される。
【0029】
パターン電極に電圧がかけられた場合、元の平衡状態が崩され、これにより油滴が浮かび上がり、油滴と表面疎水性絶縁層の接触面が小さくなるため、通電状態においてパターン電極に対応する領域の前記透明液体媒体は光を通すことができ、通電状態におけるパターン電極と同じ形状の透光状態パターンが形成される。また、一つの具体例では、透明バリアは独立に制御でき且つ表示領域に亘る二組のパターン電極である。この二組のパターン電極は同時に通電される際、透明バリアは全体的に透明になり、2Dディスプレイに適用する。一方、そのうち何れ一組のパターン電極は通電されなければ、3Dディスプレイ用の視差バリアになる。
【0030】
第二方法、エレクトロクロミック法
この方法を採用する場合、前記透明液体媒体には透明である電解質溶液、及び前記電解質溶液に溶解するエレクトロクロミック化合物を含む。本発明の実施例1では一種の有機エレクトロクロミック化合物(例えば、一種の4,4’−ビピリジニウム塩)を電解質溶液に溶解させ、電極に電圧をかけた場合、電子移動(還元あるいは酸化)のメカニズムを利用し、前記有機エレクトロクロミック化合物は、有色と無色の状態で切り替えることができ、これによりパターン電極に対応する領域の透光状態と吸光状態の切り替えを実現する。
【0031】
第三方法、電気化学堆積法
この方法を採用する場合、前記透明液体媒体には金属微粒子を含む透明電解質を含み、通電状態にあるパターン電極の働きにより、前記透明電解質の金属微粒子が前記パターン電極上に堆積し、不透明である吸光状態パターンを形成する。
【0032】
本発明の実施例における透明電解質は少なくとも可逆反応物質及び電解質溶液の二つの成分を含む。また、この透明電解質に必要に応じて添加剤、例えば酸化還元剤、安定剤、界面活性剤、不凍液などを添加しても良い。
【0033】
具体的に、可逆反応物質は有機物あるいは無機塩類である。有機物として、例えばポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール及びそれらの誘導体などが挙げられる。無機塩類として、例えば銀塩錯体、ハロゲン化銀などである。電解質溶液として、ジェチルエーテル、アセトニトリル、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなど、あるいはそれらの混合物である。
【0034】
上記した三つの方法のいずれかを採用し透光状態と吸光状態の切り替えを実現する場合、実施例1では、前記パターンが透光状態にある場合、この透明バリアの一つの状態は全領域が透光状態で、相当する光通過率は80%以上必要であり、光通過率が92%以上であることが好ましい。本実施例では透光状態にあるパターン電極の通電あるいは断電時間を制御することにより光通過率を高めることができ、一般的に透光状態にある時間が長い程、光通過率をより高めることができる。前記パターンが吸光状態にある場合、このパターンに対応する領域の光通過率は一般的に20%以下であり、3Dディスプレイ効果を確保するため、このパターンに対応する領域の光通過率は8%以下であることが好ましい。本実施例では吸光状態にあるパターン電極の通電あるいは断電時間を制御することにより光通過率を高めることができ、一般的に吸光状態にある時間が長い程、光通過率をより低めることができる。パターンに対応する領域以外の領域の光通過率は透光状態における光通過率に近いものとする。
【0035】
ディスプレイユニットはそれぞれ左目画像を形成するための左目画素(L)と右目画像を形成するための右目画素(R)を含み、視差バリアの使用と共に、2Dあるいは3Dディスプレイを実現できる。本発明の実施例を採用した場合、図6に示すように、裸眼3Dディスプレイを必要とする際、図6における視差バリア61内のパターンが吸光状態に切り替わるよう制御することにより、従来の視差バリアの機能を果たし、観察点での観察者の左目と右目が観察できるディスプレイユニット62の画像が異なるため、3Dディスプレイ効果が生じ、裸眼3Dディスプレイを実現する。図7に示すように、2Dディスプレイを必要とする際、視差バリア61内のパターンが透光状態に切り替わるよう制御し、左目画素と右目画素を区別せず同じ画像を表示させ、観察者にとって左目と右目が共にディスプレイユニット62全ての画像を観察できるようになり、2Dディスプレイを実現する。
実施例2
【0036】
本発明の実施例2では、図8と図9に示すように、ディスプレイユニットを含むディスプレイパネルを提供し、前記ディスプレイユニットの画像表示面には自然光に適用可能な視差バリアが少なくとも一つ設置される。この視差バリアの具体的な構造は上記実施例1を参照し、ここでは省略とする。
【0037】
ディスプレイユニットの画像表示面に視差バリアが一つ設置される場合、一般的に最良観察位置は一つのみである。複数の最良観察位置を形成するために、本発明の実施例2において複数組のパターン電極を含む視差バリアを使用し、これらのパターン電極の切り替えを行うことにより、このディスプレイパネルに対して複数の最良観察位置を形成することができる。例えば、視差バリアが第一パターン電極対応領域の吸光状態を実現した場合、即ち第一スリット格子が形成された場合、相応の第一最良観察位置が存在する。視差バリアが第二パターン電極対応領域の吸光状態を実現した場合、第二スリット格子が形成されたこととなり、これにも相応の第二最良観察位置が存在する。これより解るように、視差バリアの異なるパターンを切り替えることにより、最良観察位置の変化を実現している。
【0038】
ディスプレイユニット80の画像表示面に視差バリアが複数設置される場合、図8と図9を例に説明すると、ディスプレイユニット上には視差バリアが二層あり(即ち図8と図9における視差バリア81、視差バリア82)、この二層の視差バリア上には異なるパターン電極構造があり、互い独立して吸光状態と透光状態の制御を実現できる。視差バリア81が透明状態にある場合、視差バリア82のパターン電極に対応する領域は吸光状態にあり、この際実際に機能している視差バリアは視差バリア82であり、対応する最良観察位置は視差バリア82の最良観察位置である。同様に、視差バリア81のパターン電極に対応する領域が吸光状態にある場合、視差バリア82は透明状態にあり、この際実際に機能している視差バリアは視差バリア81であり、対応する最良観察位置は視差バリア81の最良観察位置である。
【0039】
もちろん、複数の視差バリアを使用する場合でも、ディスプレイパネルの最良観察位置を増やすため、それぞれの視差バリア内に複数組のパターン電極を設置することができる。
【0040】
視差バリアを複数または一つ使用するいずれの場合においても、全ての視差バリアを透光状態に切り替えれば、本発明の実施例2により提供されるディスプレイパネルは2Dディスプレイを実現でき、よって2D/3Dの切り替えを実現する。
【0041】
ディスプレイパネルに複数の最良観察位置を形成できるようとなった場合、本発明の実施例はさらにセンサーを増設し、センサーを通し観察者の位置を検知した上で、観察者の位置に応じてどの層のパターン電極が形成する視差バリアを使用するかを確定し、使用中のパターン電極に対応する最良観察位置が観察者の位置と最も近くなるよう、好ましくは重なるようにする。従来の裸眼3Dディスプレイ技術の最良観察位置は一定であるのと比べ、本発明は状態変化できる視差バリアを使用し、3Dディスプレイディスプレイにおける調整可能な最良観察位置を実現した。また、センサー(Sensor)を増設することにより、観察者の位置を追って最良観察位置を変え、観察者にとって常に最良観察位置が存在できる。
【0042】
本発明の実施例2ではディスプレイユニットの画像表示面に視差バリアを設置するため、視差バリアの透光状態により3Dディスプレイを実現する場合、視差バリアの透光率が相対的に低いことから、本発明の実施例では3Dディスプレイに切り替えると同時にディスプレイユニットの輝度を調整し、例えばディスプレイユニットの輝度を少なくとも20%増加させることにより、3Dディスプレイの画像品質を保証できる。
【0043】
本発明の実施例におけるディスプレイユニットは、液晶ディスプレイユニット、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイユニット、あるいはPDP(プラズマディスプレイ)ディスプレイユニットを使用することができるが、これに限るものではない。裸眼3Dディスプレイを必要とする際、視差バリア内のパターンを制御し吸光状態に切り替えることで従来の視差バリアの機能を果たし、裸眼3Dディスプレイを実現する。2Dディスプレイを必要とする際、視差バリア内のパターンを制御し透光状態に切り替えることにより2Dディスプレイを実現する。本発明の実施例2を採用する場合、偏光を必要とせず、一般の光源を使用しても2Dディスプレイと3Dディスプレイの切り替えを実現できる。
【0044】
本発明の実施例におけるディスプレイユニットはメガネ式偏光ディスプレイユニットであっても良く、あるいはディスプレイユニットの画像表示面には偏光調整板が設置され、これにより3Dディスプレイを実現する。前記偏光調整板はLCDでも、位相板でも利用できる。
【0045】
図10ないし図13に示すように、ディスプレイユニットがメガネ式偏光ディスプレイユニットである場合において、以下それぞれの図におけるディスプレイ効果を説明する。
【0046】
1、図10において、本発明の実施例における視差バリア101を透光状態となるよう制御し、ディスプレイユニット102は2D画像表示を行うことにより、2Dディスプレイを実現する。
【0047】
2、図11において、本発明の実施例における視差バリア101内のパターン電極領域を吸光状態となるよう制御し、ディスプレイユニット102は3D画像表示を行うことにより、裸眼3Dディスプレイを実現する。
【0048】
3、図12、図13において、本発明の実施例における視差バリア101を透光状態となるよう制御し、ディスプレイユニット102はメガネ式偏光方式に従い3D画像を表示することにより、メガネ式の偏光3Dディスプレイを実現する。図12において、左目画像フレームが表示され、この際左目画像の画素(「L」画素)は一種の偏光を発し、この光は偏光メガネの左目レンズを通し左目に認識され、観察者の脳の中で左目画像を形成する。図13において、右目画像フレームが表示され、この際右目画像の画素(「R」画素)は他の一種の偏光を発し、この光は偏光メガネの右目レンズを通し右目に認識され、観察者の脳の中で右目画像を形成する。この左目画像と右目画像が最終的に脳内で合成され3D画像となる。
【0049】
図14、図15に示すように、ディスプレイユニット141の画像表示面上に偏光調整板142が設置されている場合において、以下それぞれの図におけるディスプレイ効果を説明する。
【0050】
1、図14において、本発明の実施例2における視差バリア143内のパターン電極領域を吸光状態となるよう制御することにより、裸眼3Dディスプレイを実現する。
【0051】
2、図15において、本発明の実施例における視差バリア143を透光状態となるよう制御し、偏光調整板により偏光式メガネ3Dディスプレイを実現する。
実施例3
【0052】
本発明の実施例3では自然光に適用可能な視差バリアの製造方法を提供し、前記方法は以下のステップを含む。
【0053】
ステップ1、二つの透明基板上にそれぞれ透明電極を形成し、そのうち一つの透明基板上の透明電極は一組のパターン電極、あるいは少なくとも二組の別々に通電可能なパターン電極を含む。
【0054】
ステップ2、前記二つの透明電極を形成した透明基板を対置してセル化し、前記二つのセル化した透明基板の間に液体媒体を充填し、それぞれ一組のパターン電極が通電状態にある場合、通電状態においてパターン電極に対応する領域の前記液体媒体が不透明状態となり、通電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する。あるいはその逆である。
【0055】
本発明の実施例ではシール剤を使用し上下二層の透明基板を貼りあわせセル(Cell)を形成し、セルギャップ(gap)はシール剤にスペーサ(Spacer)を添加することにより調整できる。本実施例に使用されるスペーサのサイズは500umサイズとする。続いて真空充填方式により二層の透明基板の間に例えば透明液体媒体を充填し、その後に密封する。このスペーサは球状スペーサであっても、あるいは柱状スペーサであっても良く、本発明の範囲はこれに限るものではない。
【0056】
具体的に製造する際、二つの透明基板のうち一つの透明基板上の透明電極を透明基板全体を覆うように板状に形成する。あるいは、二つの透明基板のうち一つの透明基板上の透明電極を前記パターン電極と対応する電極としても良い。
【0057】
本実施例において、前記透明電極の材料はインジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)などを使用することができる。透明電極を形成する方法は、最初に例えば堆積により透明電極層を一層形成し、その後にパターニングにより例えばストリップ状電極パターンを形成する。
【0058】
以上に説明した前記パターン電極に対応する領域の透光状態と吸光状態の切り替えを実現するため、本発明の実施例はエレクトロウェッティング法、エレクトロクロミック法、あるいは電気化学堆積法を使用することができるが、これに限るものではない。具体的な原理は実施例1と同じであるため、ここでは省略とする。
【0059】
本発明の実施例は視差バリアとディスプレイパネル、特に3Dと2Dディスプレイの切り替えを行う必要があるディスプレイパネルに適用する。
【0060】
以上に述べたのは本発明の具体実施例に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限るものではなく、本発明が開示する技術範囲内において、当業者が簡単に想到できる変更や取替は全て、本発明の保護範囲に含まれるべきである。このため、本発明の保護範囲は特許請求の範囲をもとにすべきである。
【符号の説明】
【0061】
11 ディスプレイパネル
12 視差バリア
13 左目
14 右目
21 透明基板
23 液体媒体
24、25 透明電極
61 視差バリア
62 ディスプレイユニット
80 ディスプレイユニット
81 視差バリア
82 視差バリア
101 視差バリア
102 ディスプレイユニット
141 ディスプレイユニット
142 偏光調整板
143 視差バリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明バリアを含み、自然光に適用可能な視差バリアであって、
前記透明バリア上に吸光状態と透光状態を切り替えられるパターンが少なくとも一組設置され、前記それぞれ一組のパターンが吸光状態にある場合、前記透明バリア上で三次元ディスプレイ用スリット格子を形成する。
【請求項2】
前記透明バリアは、対置してセル化した二層の透明基板、及び前記二層の透明基板の間に充填される液体媒体を含み、
前記二層の透明基板上に透明電極が設置され、かつ
少なくとも一層の透明基板上の透明電極は一組のパターン電極である、あるいは少なくとも一層の透明基板上の透明電極は二組以上の別々に通電可能なパターン電極であり、
前記パターン電極領域に対応する液体媒体が異なる状態において前記吸光状態または前記透光状態を示す請求項1記載の視差バリア。
【請求項3】
それぞれ一組のパターン電極が通電状態にある場合、通電状態においてパターン電極に対応する領域の前記液体媒体が不透明状態となり、通電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する、あるいは、
それぞれ一組のパターン電極が断電状態にある場合、断電状態においてパターン電極に対応する領域の前記液体が不透明状態となり、断電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する請求項2記載の視差バリア。
【請求項4】
前記液体媒体には有色油滴と透明溶液を含み、前記パターン電極上には前記液体媒体と共にエレクトロウェッティング効果を発生させる媒体が一層設置される、あるいは、
前記液体媒体には透明である電解質溶液、及び前記電解質溶液に溶解するエレクトロクロミック化合物を含む、あるいは、
前記液体媒体には金属微粒子を含む透明電解質を含み、通電状態にあるパターン電極の働きにより、前記透明電解質の金属微粒子が前記パターン電極上に堆積し、不透明である吸光状態パターンを形成する請求項3記載の視差バリア。
【請求項5】
前記一組のパターン電極は互いに平行する電極であり、電極の幅及び隣接する電極の間隔は裸眼3Dディスプレイ用のスリット格子を形成する条件を満たす請求項2又は3記載の視差バリア。
【請求項6】
前記一組のパターン電極の間に形成される間隔内には他の少なくとも一組のパターン電極が形成される請求項5記載の視差バリア。
【請求項7】
ディスプレイユニットを含むディスプレイパネルであって、
前記ディスプレイユニットの画像表示面には請求項1ないし6のいずれかに記載の視差バリアが少なくとも一つ設置される。
【請求項8】
前記ディスプレイユニットは液晶ディスプレイユニット、OLEDディスプレイユニット、あるいはPDPディスプレイユニットである請求項7記載のディスプレイパネル。
【請求項9】
前記ディスプレイユニットはメガネ式偏光ディスプレイユニットある、あるいは
前記ディスプレイユニットの画像表示面には偏光調整板が設置される請求項7記載のディスプレイパネル。
【請求項10】
二つの透明基板上それぞれに透明電極を形成し、一つの透明基板上の透明電極は一組のパターン電極、あるいは少なくとも二組の別々に通電可能なパターン電極を含み、
前記二つの透明電極を形成した透明基板を貼り合わせ、前記二つの貼り合わされた透明基板の間に液体媒体を充填し、それぞれ一組のパターン電極が通電状態にある場合、通電状態においてパターン電極に対応する領域の前記液体媒体が不透明状態となり、通電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する、又は、それぞれ一組のパターン電極が断電状態にある場合、断電状態においてパターン電極に対応する領域の前記液体媒体が不透明状態となり、断電状態におけるパターン電極と同じ形状の吸光状態パターンを形成する、自然光に適用可能な視差バリアの製造方法。
【請求項11】
前記液体媒体には有色油滴と透明溶液を含み、前記パターン電極上には前記液体媒体と共にエレクトロウェッティング効果を発生させる媒体が一層設置される、あるいは、
前記液体媒体には透明である電解質溶液、及び前記電解質溶液に溶解するエレクトロクロミック化合物を含む、あるいは、
前記液体媒体には透明電解質を含み、通電状態にあるパターン電極の働きにより、前記透明電解質の金属微粒子が前記パターン電極上に堆積し、不透明である吸光状態パターンを形成する請求項10記載の視差バリアの製造方法。
【請求項12】
前記二つの透明基板のうち一つの透明基板上の透明電極は透明基板全体を覆う、あるいは、
前記二つの透明基板のうち一つの透明基板上の透明電極は前記パターン電極に対応する電極である請求項10又は11記載の視差バリアの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−141611(P2012−141611A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−288056(P2011−288056)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(510280589)京東方科技集團股▲ふん▼有限公司 (35)
【Fターム(参考)】