説明

視覚的スピーカーのOLEDおよびコーン紙の運動を制御するデバイス

本発明は、音声を出力するのに使用されるコーン紙の運動を制御する装置、および視覚的スピーカーの音質を向上させるためにコーン紙を覆う可撓性OLEDに関する。ボイスコイル、磁石、エッジ、ユニットエンクロージャ、ビデオ映像を表示するための可撓性OLED、およびスピーカーコーン紙を有する視覚的スピーカーでは、音声を出力するように構成されたスピーカーコーン紙と、スピーカーコーン紙を覆う可撓性OLEDと、エッジと、ユニットエンクロージャとが圧縮ガスが充填された一体式の気密構造体の中に形成され、内部圧縮ガスの圧力を調節するために圧縮ピストンおよび圧縮ガス調節デバイスがさらに配置され、その結果可撓性OLEDおよびスピーカーコーン紙の運動を制御することができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的スピーカーのOLED(有機発光デバイス)およびコーン紙の運動を制御する装置に関し、より詳細には視覚的スピーカーの品質を向上させるために音を発するコーン紙、およびコーン紙を覆う可撓性のOLEDの運動を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明と同一の出願人によって提出された継続中の特許文献1(発明の名称:Speaker Having Video Screen Function)は、従来のスピーカーコーン紙が可撓性のOLEDによって置換される、または可撓性OLEDがコーン紙を覆っており、多様なビデオ映像が音声と同期して可撓性OLED上に表示される技術を開示している。
【0003】
図1は、ボイスコイル24、磁石26、エッジ23、外側ガスケット20および可撓性OLED21で形成される従来式の視覚的スピーカーの構造を示す図である。ビデオ/音声PCBチップから供給されるビデオ映像が、可撓性OLED上に表示される。
【0004】
上記の視覚的スピーカーは、従来のコーン紙の代わりに可撓性OLEDを使用して構成される、または可撓性OLEDがコーン紙を覆っているため、コーンスピーカーの材料として通常使用される合成樹脂デバイスまたは紙材料と比べて重量が重くなり、音質を調節するのが難しい。上記の問題を打開する目的で、出力を高めるために重量の増加に応じてボイスコイルをより多く巻き付けてもよいが、スピーカーの全体の大きさが増大し電力消費量が増えるため作動が非効率的になってしまう。
【0005】
従来の視覚的スピーカーは、ビデオ信号を処理するためにスピーカーコーン紙の両端に複数のケーブルを装備している。十分な解像度を得るにはより多くのケーブルが必要となるためエッジ内でのその活動が妨げられる。電気ケーブルの酸化を防ぐ目的でコーティングされたケーブルが使用される際、重量が増加するのに伴ってより細いケーブルが必要となる。
【0006】
従来のスピーカーの場合、スピーカーの直径、ボイスコイルおよびコルゲーションなどの付加的特性は外的特性および応答特性によって決まる。スピーカーコーンおよびスピーカーコーンに取り付けられたボイスコイルが作動する際、電気出力が振動エネルギーに変換される。スピーカーの音質設計においてコルゲーションは非常に重要である。なぜならスピーカーの運動をコルゲーションが減衰させ、その結果スピーカーコーンおよびボイスコイルを所定の位置に固定することができるためである。スピーカーコーン紙が振動し中心位置に戻るのに必要な時間が延びると音の鮮明度が低下するため、スピーカーの音の衰退特性を示すダンピングファクターを増大させる必要がある。ダンピングファクターを拡大する方法は、アンプの設計、ケーブルロスおよびスピーカーエンクロージャのタイプによって調節することができるが、その固有のユニット内でダンピングファクターを調節する方法はコルゲーション法以外にはない。
【0007】
詳細には、ボイスコイルの場合、スピーカーをより小型化しつつ出力を高めるために、厚みが縮小される。しかしながらコルゲーションデバイスの場合、スピーカーコーン紙の所望の減衰効果を得るために、スピーカーコーン紙のサイズに比例してコルゲーションのサイズが拡大されるためコルゲーションを小さくすることは不可能である。 コルゲーションは主に樹脂製の布で作製されるため触ると硬くかつ可撓性である。しかしながらその本質的な特性は使用時間に応じて劣化するため音質が変わってしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許第10―0766520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は、可撓性OLEDのエッジに信号を供給するのに使用されるケーブルの数量を減らすこと、及び、視覚的スピーカーの音質を向上させるためにスピーカーのサイズを縮小することは従来技術ではコルゲーションを小さくすることができないため不可能である、という従来技術が直面する問題を克服する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、可撓性OLEDとスピーカーコーン紙とを有し、従来のスピーカー装置からコルゲーションを排除し、エッジ内にケーブル収容部と気密式のユニットエンクロージャが一体式に形成された気密式のユニットエンクロージャを備えた装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、スピーカーコーン紙のダンピングファクターを有意に増大させることができるため、運動をより効果的にすることによって音質を有意に向上させることが可能であり、よってスピーカーのサイズをその出力と比べてより小さくすることができる。さらに本発明ではコルゲーションが使用されないため、コルゲーションの劣化に起因する音質の低下を防ぐことが可能である。ケーブルデバイスの酸化を防ぐ目的で気密式のユニットエンクロージャ構造体によって空気を有効に遮断することができ、これによりスピーカーシステムの寿命が延びることになる。
【0012】
本発明は、例示の目的で提示され、したがって本発明を限定するものではない添付の図面を参照することでより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の視覚的スピーカーの構造を示す図である。
【図2】従来のスピーカーの構造を示す図である。
【図3】本発明による気密式のユニットエンクロージャを有する小型の視覚的スピーカーの構造を示す図である。
【図4】本発明による気密式のユニットエンクロージャを有する中型および大型の視覚的スピーカーの構造を示す図である。
【図5】本発明によるエッジの構造を示す図である。
【図6】図5のエッジの詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2は、従来のスピーカー構造体の構造を示す図である。アンプの出力端子からボイスコイル3に電圧が出力されると、ボイスコイル内に磁場が形成される。ボイスコイルの磁場が磁石1を利用して形成された磁場と互いに影響し合うため、ボイスコイルが上下に運動する。ボイスコイルはスピーカーコーン紙4に密着しているため、ボイスコイルの運動と共にスピーカーコーン紙も運動する。アンプの電気出力が振動エネルギーに変換され、これを利用して特定の音が出力される。スピーカーコーン紙は、エッジ5を介してユニットエンクロージャ6によって支持される。
【0015】
図3は、本発明によるスピーカー構造体を示す図である。そこに示されるように従来のスピーカーのコルゲーションは取り除かれ、可撓性OLEDとコーン紙8、およびエッジとスピーカーユニットエンクロージャ7が気密構造体の中で一体式に構成される。空気の代わりに圧縮ガス9がこの気密構造内に充填される。従来のスピーカーでは、コルゲーションはスピーカーコーン紙の減衰機能を有している。本発明では、コルゲーションを取り除きスピーカー内に充填された圧縮ガスを利用することによって上記の機能が果たされるす。従来のスピーカーではスピーカーコーン紙およびボイスコイルの運動は従来式スピーカー内でのコーン紙の空気圧を利用して制限されるが、本発明では本発明の気密な真空構造体には空気圧がかからないためコーン紙の運動が拡大され音の出力レベルを上げることができる。コーン紙の減衰を実現する方法として、従来からコーン紙のサイズに左右されるコルゲーションの代わりに圧縮ガスが使用され、よってスピーカーのサイズおよび厚みをその出力と比べて有意に縮小させ、その一方でコルゲーションの劣化が原因で生じる可能性のある音質の低下を防ぐことができる。
【0016】
気密式ユニットエンクロージャ7の後ろ側に圧縮ガス調節デバイス10が配置され、これを利用して音楽のジャンルに合った特定のダンピングファクターを得るためにユーザが直接内部圧縮ガスの圧縮比を調節することができる。圧縮ガス調節デバイス10のノブを回転させてピストン11を前後に移動させることによって内部圧力を増減させることができる。内部圧縮ガスの圧力は視覚的スピーカーのプログラムと連携して作用するため、音楽のジャンルに基づいてモーターなどを使用するモーター駆動式の自動制御を自動的に実現することができる。使用される圧縮ガスは、スピーカーコーンの直径によってヘリウムガスを含む多様な混合ガスで形成することができる。
【0017】
図4は、本発明の別の実施形態の図である。図2の装置は小型スピーカーに好適に適用され、図3の気密式のコーン紙の運動を制御する装置は中型および大型のスピーカーに好適に適用される。圧縮ピストン11がスピーカーのサイズに対応する大容量の圧縮ピストンで形成されることを除けば、他の要素は同じである。
【0018】
図5に示されるように、図3の装置内の視覚的スピーカーの可撓性OLEDに信号を伝送するのに使用されるケーブルは、エッジ部分および気密式ユニットエンクロージャの内側に沿ったバスケーブル形状で収容される。図6は、エッジ部分の詳細な図である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明では、可撓性OLEDに信号を伝送するのに使用されるケーブルが気密のエッジに沿ってユニットエンクロージャの内側にバス形状で形成されるため、ケーブルが空気に触れず、酸化を防ぐことができる。本発明ではケーブルをコーティングする必要はなく、ケーブルのサイズをより小さくすることが可能であり、エッジ部分はその運動に全く干渉しない。これが理由で、出力に対してサイズの小さいスピーカーを作製することが可能である。
【0020】
本発明は、その精神または基本的な特徴から逸脱することなく複数の形態で具現化することができるため、上記に記載した例は、上記に記載の詳細のいずれかに限定されるものではなく、何らかの特定がなされない限りは、むしろ添付の特許請求の範囲に定義されるその精神および範囲に広範に解釈されるべきであり、したがって特許請求の範囲に適合しかつこれに拘束される全ての変更形態および修正形態、またはこのように適合しかつ拘束される均等物はしたがって添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されることも理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイル、磁石、エッジ、ユニットエンクロージャ、ビデオ映像を表示するための可撓性OLED、およびスピーカーコーン紙を有する視覚的スピーカーにおいて、音声を出力するように構成されたスピーカーコーン紙と、前記スピーカーコーン紙を覆う可撓性OLEDと、エッジと、ユニットエンクロージャとが、圧縮ガスが充填された一体式の気密構造体の中に形成され、前記内部圧縮ガスの圧力を調節するために圧縮ピストンおよび圧縮ガス調節デバイスがさらに配置され、その結果前記可撓性OLEDおよび前記スピーカーコーン紙の運動を制御することができることを特徴とする視覚的スピーカー。
【請求項2】
前記圧縮ピストンおよび前記圧縮ガス調節装置がモーター駆動式の制御装置によって駆動され、音楽のジャンルに応じて前記内部圧縮ガスの圧力を設定することができるように自動的に制御される、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記可撓性OLEDに信号を伝送するのに使用されるケーブルが、前記エッジおよび前記気密式ユニットエンクロージャの内側に沿ったバスケーブル式に収容される、請求項1または2のいずれかに記載のスピーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−517870(P2011−517870A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548608(P2010−548608)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000897
【国際公開番号】WO2009/107976
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(311001417)
【氏名又は名称原語表記】PARK,Seung−Min
【住所又は居所原語表記】Woosung Aptment 5−808,Dowha−dong,Mapo−ku,Seoul 121−040 Republic of Korea
【Fターム(参考)】