視覚障害を処置するための方法および組成物
本発明は、加齢黄斑変性症(AMD)を発現する危険にある個体の同定または同定の補助およびAMDの診断または診断の補助に有用な、AMDの発生と関連するヒト遺伝子、補体H因子(CFH)の同定に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(基金)
本発明は、国立衛生研究所から与えられた助成NIH-K25HG000060および助成NIH-R01EY015771の下、米国政府の支援によりなされた。米国政府は本発明における特定の権利を有する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、2004年11月18日に出願された米国仮出願第60/629,363号;2005年2月2日に出願された米国仮出願第60/649,479号;および2005年4月18日に出願された米国仮出願第60/672,346号の利益を主張する。これら参照される仮出願の各々の教示は、その全体が本明細書中に参照によって援用される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
加齢黄斑変性症(AMD)は、先進諸国における加齢性失明の主な原因である。その発病率は、寿命が延びるにつれ、かつ老人人口が拡大するにつれ高くなる(D. S. Friedman ら、 Arch Ophthalmol 122, 564 (2004))。それは、網膜の中心部分(黄斑)の進行的破壊によって特徴付けられる慢性疾患であり、中心視野の視覚喪失を引き起こす(J. Tuo, C. M. Bojanowski, C. C. Chan, Prog Retin Eye Res 23, 229 (2004))。AMDの1つの重要な特徴は、網膜色素上皮(RPE)と脈絡膜との間の網膜裏で、黄斑内および黄斑周辺に蓄積したドルーゼンとよばれる細胞外沈着物の形成である。現在まで、特により進行した形態において、この疾患に対するどの治療法も広範囲に効果的であると証明されなかった。年齢、喫煙、および家族歴を含むいくつかの危険因子がAMDと関連している(AREDS Research Group, Ophthamology 107, 2224 (2000))。候補遺伝子関連研究およびゲノムワイド結合スキャン(genome-wide linkage scan)が、AMDに対する遺伝的危険因子を同定するために行われた。種々の候補遺伝子が、他の網膜疾患との関連または公知の機能に基づいて提案された。いくつかのこれらの遺伝子のいくつかのまれなバリアントは疾患の表現型と関連するが、全罹患率の大部分を説明し得る遺伝的差異は観察されなかった(J. Tuo, C. M. Bojanowski, C. C. Chan, Prog Retin Eye Res 23, 229 (2004))。AMDの遺伝的決定因子についてのさらなる情報が大いに必要である。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、AMDに対する疾病素質と関連するヒト遺伝子のバリエーションの同定に関し、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助、およびAMDの診断または診断の補助に有用である。本発明はまた、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法、AMDの診断方法または診断の補助方法、該方法に有用なポリヌクレオチド(例えばプローブ、プライマー)、プローブまたはプライマーを含む診断キット、AMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体の処置方法、およびAMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体を処置するのに有用な組成物に関する。
【0005】
一態様において、本発明はヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子、および特定の態様において、ヒトにおけるAMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションの検出または検出の補助に有用なポリヌクレオチドを提供する。別の態様において、本発明はAMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助に有用な方法および組成物を提供する。さらなる態様において、本発明の方法および組成物は、AMDを罹患するかまたはAMDの発現の危険にある個体を処置するために用いられ得る。開示はまた、個体からの試料においてバリアントCFH遺伝子を検出するための診断キットを提供する。かかるキットは、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助、および個体におけるAMDの診断または診断の補助に有用である。
【0006】
一態様において、本発明はバリアントCFH遺伝子を検出するための単離されたポリヌクレオチドを提供し;単離されたポリヌクレオチドは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する核酸分子を含む。単離されたポリヌクレオチドは、個体からの試料において、ヒトにおけるAMDと関連するバリアントCFH遺伝子を検出するために有用である。本発明のポリヌクレオチドは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを検出するための対立遺伝子特異的アッセイ(例えば当該分野で公知の対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー伸長法、またはライゲーションアッセイ)にさらに用いられ得る。対立遺伝子特異的プローブおよびプライマーは、遺伝子の1つ以上の対立遺伝子と特異的にハイブリダイズし得、同一遺伝子の他の対立遺伝子とハイブリダイズしない。例えば、本発明の対立遺伝子特異的ポリヌクレオチドプローブは、バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズし得るが、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。特定の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするプローブである。特定の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子の全てもしくは一部分を含む核酸分子、またはその対立遺伝子バリアントとハイブリダイズし、ここで核酸分子はヒトにおけるAMDの発生と関連するバリエーションを含む。他の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子の少なくとも10個の連続ヌクレオチドを含む核酸分子、またはその対立遺伝子バリアントとハイブリダイズし、ここで核酸分子はヒトにおけるAMDの発生と関連するバリエーションを含む。さらなる態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションと隣接して、上流で、または下流でハイブリダイズするプライマーである。特定の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプライマーは少なくとも10ヌクレオチド長であり、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの片側もしくは別側とハイブリダイズする。主題のポリヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失等の変化を含み得るが、ただしこれらは同程度の特異性でもって標的バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズすることを条件とする。本明細書中で用いられる場合、用語「単離された」とは、核酸に関して用いられるとき、同定され、かつ通常天然供給源と関連する少なくとも1つの不純物核酸から分離された核酸配列をいう。一方、非単離核酸は、天然に存在する状態で見出されるDNAおよびRNA等の核酸である。
【0007】
本明細書に記載されるポリヌクレオチド(例えばポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマー)は、DNAまたはRNAであり得る。主題のポリヌクレオチドは、単鎖または二本鎖であり得る。本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約5ヌクレオチド〜約3000ヌクレオチドであり得る。いくつかの態様において、本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである。他の態様において、本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約10ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドである。特定の態様において、主題のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約20ヌクレオチド(例えば15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)である。他の態様において、主題のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約50〜約100ヌクレオチド(例えば45、50、55、60、65、75、85または100ヌクレオチド)である。主題のポリヌクレオチドは、1つ以上の非天然または修飾ヌクレオチドを含み得る。非天然または修飾ヌクレオチドは、限定無しに、放射性標識ヌクレオチド、蛍光標識ヌクレオチド、または化学標識ヌクレオチドを含む。
【0008】
特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションから上流または下流でハイブリダイズする。一態様において、ポリヌクレオチドは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションと隣接してハイブリダイズする。例えば、ハイブリダイゼーションは、10ヌクレオチドより少数のものがバリエーションとバリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端を分離するような様式で起こり得る。別の態様において、ハイブリダイゼーションは、1〜3ヌクレオチドによって、バリエーションとバリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が分離されるような様式で起こる。ある他の態様において、ポリヌクレオチドプライマーは、直接バリエーションと隣接してハイブリダイズする。別の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションから(例えば、少なくとも10ヌクレオチド)離れてハイブリダイズする。例えば、ハイブリダイゼーションは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端がCFH遺伝子のバリエーションから10、25、50、100、250、1000、5000または10,000ヌクレオチドまでであるような様式で起こり得る。本明細書に記載される発明はまた、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する1対のポリヌクレオチドプライマーに関し、ここで第一のポリヌクレオチドプライマーはバリエーションの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーはバリエーションの他方とハイブリダイズする。ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域とハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約20〜約10,000ヌクレオチド離れているような様式で、該領域とハイブリダイズし得る。あるいは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域とハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約100〜約7500ヌクレオチド、または約200〜約5000ヌクレオチド離れているような様式で、領域とハイブリダイズし得る。
【0009】
別の態様において、本明細書に記載される本発明は、CFH遺伝子の2つの対立遺伝子(例えば野生型対立遺伝子およびヒトにおけるAMDの発生と関連する対立遺伝子)を識別するのに有用な3つ以上のポリヌクレオチドプライマーを提供する。第一のプライマーは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの上流または下流にある非対立遺伝子ヌクレオチド配列等の、双方の対立遺伝子に共通するヌクレオチド配列とハイブリダイズする。第二のプライマーは、第一の対立遺伝子に特有の配列(例えばヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーション)と特異的にハイブリダイズする。第三のプライマーは、第二の対立遺伝子に特有のヌクレオチド配列(例えば野生型CFH遺伝子)と特異的にハイブリダイズする。3つのプライマーの組は、どのCFH対立遺伝子が試料中に存在するかに依存して、DNAの領域の増幅をもたらす。例えばCFH遺伝子が、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを有する場合、DNAの一領域が増幅され、野生型CFH遺伝子が試料中に存在する場合、別の領域が増幅される。あるいは、該組の中からの2つのプライマーは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの上流または下流にある非対立遺伝子ヌクレオチド配列等の、CFH遺伝子の2つの対立遺伝子に共通するヌクレオチド配列とハイブリダイズし得、第三のプライマーは、(野生型対立遺伝子またはヒトにおけるAMDの発生と関連する対立遺伝子等のCFH遺伝子の2つの対立遺伝子の1つと特異的にハイブリダイズする。
【0010】
個体をAMDに罹患しやすくするCFH遺伝子の種々のバリエーションは、本明細書に記載される方法および組成物によって検出され得る。特定の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする。特定の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の402位でチロシンをコードする。別の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の62位でバリン以外のアミノ酸をコードする。特定の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の62位でイソロイシンをコードする。他の態様において、本明細書に記載される方法および組成物は、表4、5および7にリストされるもの等の、個体をAMDに罹患しやすくするCFH遺伝子のバリエーションを検出するために用いられ得る。例えば、バリエーションがコード領域中に存在するもの(例えば、CFHタンパク質の58位で、セリン以外のアミノ酸、例えばアラニン;CFHタンパク質の127位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばヒスチジン;CFHタンパク質の400位で、グルタミン以外のアミノ酸、例えばリジン;CFHタンパク質の609位で、バリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の890位で、セリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の936位で、グルタミン酸以外のアミノ酸、例えばアスパラギン酸;CFHタンパク質の1007位で、バリン以外のアミノ酸、例えばロイシン;CFHタンパク質の1050位で、アスパラギン以外のアミノ酸、例えばチロシン;CFHタンパク質の1166位で、プロリン以外のアミノ酸、例えばグルタミン;またはCFHタンパク質の1210位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばシステインをコードするバリエーション。表4,5および7を参照)等の、他のバリアント遺伝子が、本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。あるいは表4、5および7にリストされるもの等の、バリエーションが非コード領域中に存在するバリアント遺伝子は、本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。本明細書で用いられる場合、用語「バリアントCFH遺伝子」とは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAをいう。本明細書で用いられる場合、用語「野生型CFH DNA」および「野生型CFH遺伝子」とは、AMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションを含まないDNAをいう。
【0011】
本発明はまた、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法に関する。かかる方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子(野生型CFH DNAは上記で用いられた用語である)とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含み得る。ハイブリダイゼーションの発生は、加齢黄斑変性症と関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す。本明細書に記載される方法に用いられる試料は、眼、耳、鼻、歯、舌、表皮、上皮、血液、涙、唾液、粘液、尿路、尿、筋肉、軟骨、皮膚由来の細胞、または十分なDNAもしくはRNAを得ることができる任意の他の組織もしくは体液を含み得る。試料は、例えば口腔用綿棒等の細胞採取用の種々の手段で採取され得る。必要であれば、本明細書に記載される方法のアッセイに現在利用可能なDNAまたはRNAを作るために試料は処理される。例えば、試料からのDNAが増幅のために、または別のポリヌクレオチドとハイブリダイゼーションするために利用可能であるように、試料は処理され得る。処理された試料は粗溶解物であり得、ここで利用可能なDNAもしくはRNAは他の細胞物質から精製されていないか、または利用可能なDNAもしくはRNAを単離するために精製され得る。試料は、本明細書に記載される方法のアッセイに利用可能なDNAまたはRNAを作る、当該分野において公知の任意の手段で処理され得る。試料の処理方法としては、限定されないが、細胞および細胞溶解物を溶解ならびに/または精製する機械的、化学的もしくは分子的手段を含む。処理方法としては、例えば、イオン交換(例えばカチオンとアニオン)、サイズ排除、ゲル濾過、アフィニティ、および疎水的相互作用クロマトグラフィ等のクロマトグラフィ法、または限外濾過、電気泳動、ならびにポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いるイムノアフィニティ精製が挙げられる。
【0012】
他の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料(試験試料という)を組み合わせ、それにより組み合わせ(combination)を生成する工程;(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、工程(a)において生成された組み合わせを維持する工程;および(c)組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールにおけるハイブリダイゼーションとを比較する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。コントロールではなく組み合わせにおけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す。さらなる態様において、ハイブリダイゼーションの程度は、組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールのハイブリダイゼーションとを比較するときに測定される。コントロールは試験試料と同一であり、ポリヌクレオチドプローブがヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションに結合しないものであることを除いては、試験試料と同様に処理される。あるいは、ポリヌクレオチドプローブは、野生型CFH遺伝子のみに結合するものである。コントロールは、上記した組み合わせと連続して、または同時にアッセイされ得る。あるいはコントロールからの結果が、リファレンスアッセイ(reference assay)においてあらかじめ確立され得るか、または上記した組み合わせの後に確立され得る。コントロールに用いられる試料は、典型的に試験試料と同様のタイプの試料であり、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドと組み合わされるということを除いては、試験試料と同様に処理される。
【0013】
別の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第一の部分を組み合わせる工程;(b)ストリンジェントな条件下で、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと、試料の第二の部分を組み合わせる工程;および(c)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。第二の部分でなく第一の部分におけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す。
【0014】
別の態様において、本発明は、(a)第一のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAの他方とハイブリダイズする、1対のポリヌクレオチドプライマーと試料を組み合わせる工程;(b)試料中のDNAを増幅し、それによって増幅DNAを生成する工程;(c)増幅DNAを配列決定する工程;および(d)DNAにおいて、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションの存在を検出する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。バリエーションの存在は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子が試料中で検出されることを示す。
【0015】
別の態様において、本発明は、(a)第一のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸62をコードするDNAの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸62をコードするDNAの他方とハイブリダイズする、1対のポリヌクレオチドプライマーと試料を組み合わせる工程;(b)試料中のDNAを増幅し、それによって増幅DNAを生成する工程;(c)増幅DNAを配列決定する工程;および(d)DNAにおいて、CFHタンパク質の62位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションの存在を検出する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。バリエーションの存在は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子が試料中で検出されることを示す。
【0016】
核酸を増幅するために当該分野において公知である任意の方法は、本明細書に記載される方法に用いられ得る。例えば試料中のDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RT-PCR、定量PCR、リアルタイムPCR、急速増幅断片多形(Rapid Amplified Polymorphic)DNA分析、cDNA末端の急速増幅法(Rapid Amplification of cDNA Ends)(RACE)、またはローリングサークル増幅法を用いて増幅され得る。
【0017】
他の態様において、本発明はAMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法を提供する。一特定の態様において、かかる方法は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の存在について、個体から得られた試料をアッセイする工程を含む。バリアントCFH遺伝子の存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0018】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと個体から得た試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む。ハイブリダイゼーションの発生は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0019】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)個体からDNAを得る工程;(b)CFHタンパク質のアミノ酸402をコードするヌクレオチドを含むDNAの領域を配列決定する工程;および(c)CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションが、DNA中に存在するかどうかを決定する工程を含む。バリエーションの存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0020】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)個体からDNAを得る工程;(b)CFHタンパク質のアミノ酸62をコードするヌクレオチドを含むDNAの領域を配列決定する工程;および(c)CFHタンパク質の62位でバリン以外のアミノ酸をコードするバリエーションが、DNA中に存在するかどうかを決定する工程を含む。バリエーションの存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0021】
別の態様では、本発明は、個体から得られた試料において、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドの検出方法を提供する。かかる方法は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体と試料を組み合わせる工程;および(b)結合が起こるかどうかを決定する工程を含む。結合の発生は、加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドが試料中に存在することを示す。
【0022】
別の態様において、本発明は、個体からの試料においてバリアントCFH遺伝子を検出するのに有用な診断キットを提供する。診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のバリアントCFH遺伝子の検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。
【0023】
別の態様において、個体からの試料におけるバリアントCFH遺伝子の検出に有用な診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの片方と隣接してハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のCFHの検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。任意に、診断キットはストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの他方とハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドプライマーをさらに含む。
【0024】
本発明はまた、AMDを罹患する被験体を処置するための組成物に関する。特定の態様において、AMDを罹患する被験体を処置するための組成物は、有効量の単離されたもしくは組換え産生されたCFHポリペプチドまたはその断片、および薬学的に許容され得る担体を含む。特定の態様において、CFHポリペプチド、またはその断片はC3の活性化を阻害する。別の態様において、本発明は、有効量の単離されたもしくは組換えで産生されたCFHポリペプチドまたはその断片、および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、AMDを罹患する被験体の処置方法を提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、有効量のCFHポリペプチドをコードする単離されたもしくは組換え産生された核酸分子またはその断片、および薬学的に許容され得る担体を含む、AMDを罹患する被験体を処置するための組成物を提供する。本明細書で用いられる場合、用語「有効量」とは、被験体を処置するか障害それ自体を処置するのに十分な量である、単離されたもしくは組換えで産生されたCFH核酸もしくはCFHポリペプチドの量、またはCFH核酸もしくはCFHポリペプチドを含む組成物の量をいう。例えば有効量は、AMDもしくは関連した症状の発生または進行を遅延、緩徐または予防するのに十分である。他の態様において、本発明は、有効量のCFHポリペプチドをコードする単離されたもしくは組換えで産生された核酸分子またはその断片、および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、AMDを罹患する被験体の処置方法を提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、アンチセンス配列のバリアントCFH mRNAとのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少させる。ある他の態様において、アンチセンス配列のバリアントCFH遺伝子とのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH mRNAから翻訳されるタンパク質の量を減少させ、かつ/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する。バリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子は、インビボ安定性、細胞膜を横切る輸送、またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとのハイブリダイセーションを高める1以上の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドを含み得る。他の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む有効量の核酸分子、および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0027】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするsiRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む核酸分子;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、siRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む核酸分子のバリアントCFH遺伝子とのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少させる。他の態様において、siRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む核酸分子のバリアントCFH mRNAとのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH mRNAから翻訳されるタンパク質の量を減少させ、かつ/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する。バリアントCFH遺伝子またはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子は、インビボでの安定性、細胞膜を横切る輸送、またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとのハイブリダイセーションを高める1以上の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドを含み得る。他の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子かmRNAとハイブリダイズするsiRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む有効量の核酸分子および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0028】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合するアプタマー;および(b)薬学的に許容され得る担体を含み、アプタマーのバリアントCFHポリペプチドへの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を低下させる、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。他の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する有効量のアプタマーおよび薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0029】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する低分子;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、低分子のバリアントCFHポリペプチドへの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少させる。別の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する有効量の低分子および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0030】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、抗体のバリアントCFHポリペプチドへの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少させる。別の態様において、本発明はまた、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する有効量の抗体および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0031】
AMDを罹患する被験体の処置のための、本明細書に記載される方法および組成物は、AMDの発現の危険にあると診断または予測された個体の予防的処置に用いられ得る。例えば、組成物は、AMDもしくは関連した症状の発生を遅延、緩徐または予防するのに十分な量および用量で投与される。あるいは、本明細書に記載される方法および組成物は、AMDを罹患する個体の治療的処置に用いられ得る。例えば、組成物は、状態の進行を全体的にまたは部分的に遅延または緩徐させるのに十分な量および用量で、あるいは状態を逆転するのに十分な量および用量で投与される。
【0032】
CFHについて本明細書に記載される場合、ヒトにおけるCFH様遺伝子(例えばCFHL1、CFHL3およびCFHL4)のバリエーションはまた、AMDの発現の危険にある個体の同定または同定の補助に有用である。CFHL1、CFHL3およびCFHL4のバリエーションはまた、AMDの診断または診断の補助、AMDの発現の危険にある個体の同定または同定の補助、AMDの診断方法または診断の補助方法、該方法に有用なポリヌクレオチド(例えばプローブ、プライマー)、プローブまたはプライマーを含む診断キット、AMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体の処置方法およびAMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体を処置するのに有用な組成物に有用である。AMDの発生と関連があり得るCFHL1、CFHL3およびCFHL4のバリエーションの例は、表8〜10に見出される。CFHL遺伝子(例えばCFHL1、CFHL3およびCFHL4)のコード領域または非コード領域中に存在し得るかかるバリエーションは、本明細書に記載される方法および組成物に有用であり得る。
【0033】
一態様において、本発明はヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子(例えばCFHL1、CFHL3またはCFHL4)の検出または検出の補助、および特定の態様において、ヒトにおけるAMDと関連するCFHL遺伝子のバリエーションの検出または検出の補助に有用なポリヌクレオチドを提供する。開示はまた、個体からの試料におけるバリアントCFHL遺伝子の検出用診断キットを提供する。かかるキットは、AMDの発現の危険にある個体の同定または同定の補助、および個体におけるAMDの診断または診断の補助に有用である。
【0034】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションを特異的に検出する核酸分子を含む、個体からの試料におけるCFHL1、CFHL3またはCFHL4等のバリアントCFHL遺伝子の検出のための単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0035】
別の態様において、本発明は、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションと隣接してハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションを特異的に検出し、第一のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションの他方とハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーを提供する。1対のポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約100〜約10,000ヌクレオチド離れているような様式で、CFHL遺伝子の領域とハイブリダイズし得る。
【0036】
本発明はまた、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の検出方法に関する。かかる方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFHL遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含み得る。ハイブリダイゼーションの発生は、加齢黄斑変性症と関連するバリアントCFHL遺伝子が試料中に存在することを示す。本明細書で用いられる場合、用語「野生型CFHL遺伝子」とは、AMDの発生と関連がない、CFHL1、CFHL3またはCFHL4等のCFHL遺伝子をいう。
【0037】
他の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料(試験試料という)を組み合わせ、それにより組み合わせを生成する工程;(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、工程(a)において生成された組み合わせを維持する工程;および(c)組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールにおけるハイブリダイゼーションとを比較する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の検出方法を提供する。コントロールではなく組み合わせにおけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFHL遺伝子が試料中に存在することを示す。さらなる態様において、ハイブリダイゼーションの程度は、組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールにおけるハイブリダイゼーションとを比較するときに測定される。コントロールは試験試料と同一であり、ポリヌクレオチドプローブがヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションに結合しないものであることを除いては、試験試料と同様に処理される。あるいは、ポリヌクレオチドプローブは、野生型CFHL遺伝子のみに結合するものである。
【0038】
別の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第一の部分を組み合わせる工程;(b)ストリンジェントな条件下で、野生型CFHL遺伝子とハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第二の部分を組み合わせる工程;および(c)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の検出方法を提供する。第二の部分でなく第一の部分におけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFHL遺伝子が試料中に存在することを示す。
【0039】
他の態様において、本発明はAMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法を提供する。一特定の態様において、かかる方法は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の存在について、個体から得られたDNAをアッセイする工程を含む。バリアントCFHL遺伝子の存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0040】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFHL遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと個体から得られた試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む。ハイブリダイゼーションの発生は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0041】
別の態様において、本発明は、個体からの試料においてバリアントCFHL遺伝子を検出するのに有用な診断キットを提供する。診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のバリアントCFHL遺伝子の検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。
【0042】
別の態様において、個体からの試料においてバリアントCFHL遺伝子を検出するのに有用な診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションの片方と隣接してハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のCFHLの検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。任意に診断キットは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションの他方とハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドプライマーをさらに含む。
【0043】
本発明の態様および実施、他の態様、ならびにこれらの特徴および特性は、以下の明細書、図面および添付の特許請求の範囲から明らかであり、全ての特許請求の範囲は、本明細書によって、この概要中にこの参照によって援用される。
【0044】
(発明の詳細な説明)
本発明の全般的な理解を提供するために、AMDを発現する危険にある個体を同定するためまたは同定の補助のための方法および組成物、ならびにAMDの診断のため、または診断の補助のための方法および組成物を含む、ある例示的な態様が記載される。しかし、本明細書に記載される組成物および方法は、扱われる出願にふさわしいように適合され、かつ修正され得ること、本明細書に記載される組成物および方法は、他の適切な出願に使用され得ること、ならびにかかる他の追加および修正は本明細書の範囲を逸脱しないことを当業者は理解されたい。
【0045】
1.概要
CFH遺伝子のバリエーションがAMDと関連するという発見は、AMDに罹患しやすい個体の早期診断および処置に有用である。個体におけるCFH遺伝子の遺伝子構成の決定は、より早期段階でのAMD処置、または個体がAMDの任意の症状を示す前でさえ有用である。さらに、遺伝子型CFHに対する診断試験は、AMDに対する環境リスク(例えば喫煙)を最小限にするために、個体が自身の行動を変えることを可能にし得る。したがって、本発明はAMDへの罹患と関連するバリアントCFH遺伝子の同定に関し、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助、およびAMDの診断または診断の補助に有用である。本発明はまた、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法、AMDの診断方法または診断の補助方法、該方法に有用なポリヌクレオチド(例えばプローブ、プライマー)、プローブまたはプライマーを含む診断キット、AMDの危険にあるかAMDを罹患する個体の処置方法、ならびにAMDの危険にあるかAMDを罹患する個体の処置に有用な組成物に関する。
【0046】
本発明にしたがって、CFH遺伝子の共通のバリエーションがAMDと強く関連することが示された。本発明は、ヒトをAMDに罹患させやすいかかるバリエーションを検出するための方法および組成物に関する。CFH遺伝子は、上流および下流の調節配列を含み得る、cDNAまたはゲノム形態の遺伝子のいずれかであり得る。全長もしくは断片の所望の活性もしくは機能的特性(例えば酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達等)が保持される限り、CFHポリペプチドは全長コード配列またはコード配列の任意の部分でコードされ得る。CFHヌクレオチド配列の例としては、ヒトヌクレオチド配列(配列番号:1または2)、マウスヌクレオチド配列(配列番号:3)、およびラットヌクレオチド配列(配列番号:4)が挙げられる。本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは、配列番号1〜4で示されるもの等の、CFH遺伝子の任意の連続部分とハイブリダイズし得る。CFHポリペプチド配列の例としては、ヒトポリペプチド配列(配列番号:5または6および図5)、マウスポリペプチド配列(配列番号:7)、およびラットポリペプチド配列(配列番号:8)が挙げられる。CFH遺伝子は、遺伝子が全長mRNAの長さに対応するように、コード領域の両方の5’および3’末端のいずれかの末端に約1〜2kbの距離が隣接して位置する配列をさらに含み得る。コード領域の5’に位置し、mRNA上に存在する配列を5’非翻訳配列という。コード領域の3’または下流に位置し、mRNA上に存在する配列を3’非翻訳配列という。
【0047】
CFH遺伝子は、補体活性化の調節因子(RCA)の遺伝子クラスターのメンバーであり、各々が20の短いコンセンサスリピート(SCR)ドメインの60のアミノ酸を有するタンパク質をコードする。このタンパク質は血流中に分泌され、補体活性化の調節において重要な役割を有する(Rodriguez de Cordoba ら、Mol Immunol. 41:355-67 (2004))。補体系は感染に対して保護し、疾患細胞および異形成の細胞を攻撃し、通常健康な細胞に危害を加えない。免疫監視機構に関与し、疾患に応答する細胞は、活性化補体成分の溶解作用を増大させるために補充される。C3コンバルターゼが活性化されるとき、それはC3aおよびC3bの生成を導き、次いで末端C5b-9複合体を導く。細胞上および循環中のCFHは、C3aおよびC3bに対するC3の活性を阻害することによって、ならびに存在するC3bを不活性化することによって補体活性を調節する。CFH遺伝子のバリエーションは、溶血性尿毒症症候群(HUS)および慢性低補体血症性腎症と以前に関連付けられていた。種々のアイソフォームをコードする選択的転写スプライスバリアントが特徴付けられた。
【0048】
2.CFHポリヌクレオチドプローブおよびプライマー
特定の態様において、本発明は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する、単離されたおよび/または組換えポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドプローブは、特異的な様式でかかるCFH遺伝子のバリエーション(目的のバリエーションという)および隣接配列とハイブリダイズし、かくして典型的にバリエーションおよび隣接領域の配列に対して完全にまたは部分的に相補的である配列を有する。本発明のポリヌクレオチドプローブは、バリエーションがプローブの中央位置に位置合わせするか、またはバリエーションがプローブの末端位置に位置合わせし得るように、標的DNAのセグメントとハイブリダイズし得る。一態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子、またはその一部分もしくはその対立遺伝子バリアントを含む核酸分子とハイブリダイズする。別の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子の少なくとも10個の連続ヌクレオチド、または対立遺伝子バリアントを含む核酸分子とハイブリダイズし、ここで該核酸分子はヒトにおけるAMDの発生と関連するバリエーションを含む。
【0049】
特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドプローブは対立遺伝子特異的プローブである。多形を分析するための対立遺伝子特異的プローブの設計および使用は、例えばSaikiら、Nature 324:163-166 (1986); Dattagupta, EP 235726; ならびにSaiki WO 89/11548によって記載される。対立遺伝子特異的プローブは、2つの個体からのそれぞれのセグメントにおける種々の多形形態またはバリエーションの存在のために、片方の個体からの標的DNAのセグメントとハイブリダイズするが、他方の個体からの対応するセグメントとハイブリダイズしないように設計され得る。ハイブリダイゼーション条件は、対立遺伝子間のハイブリダイゼーション強度において有意な差異が存在するように十分にストリンジェントであるべきである。いくつかの態様において、プローブは対立遺伝子の片方とのみハイブリダイズする。
【0050】
個体をAMDに罹患しやすくするCFH遺伝子の種々のバリエーションは、本明細書に記載される方法およびポリヌクレオチドによって検出され得る。例えば、AMDと関連するコード領域、エキソン、エキソン-イントロン境界、シグナルペプチド、5-プライム非翻訳領域、プロモータ領域、エンハンサー配列、3-プライム非翻訳領域またはイントロンの任意のヌクレオチド多形が検出され得る。これらの多形としては、限定されないが、CFH遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ酸配列を改変する変化、選択的スプライス生成物を生成する変化、切断生成物を作り出す変化、成熟前終止コドンを導入する変化、潜在的(cryptic)エキソンを導入する変化、程度もしくは発現をより大きい程度にもしくはより小さい程度に改変する変化、CFH発現の組織特異性を改変する変化、CFHにコードされるタンパク質の三次構造における変化を導入する変化、CFHに発現されたタンパク質の結合親和力もしくは結合特異性における変化を導入する変化、またはCFHにコードされるタンパク質の機能を改変する変化を含む。特定の態様において、CFH遺伝子のバリエーションは、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸(例えばチロシン)をコードする。別の特定の態様において、CFH遺伝子のバリエーションは、CFHタンパク質の62位でバリン以外のアミノ酸(例えばイソロイシン)をコードする。個体をAMDに罹患しやすくし得るCFH遺伝子のバリエーションの他の例が、表4および表5中に見出される。例えば、バリエーションがコード領域中に存在するもの等の、他のバリアント遺伝子(例えば、CFHタンパク質の58位で、セリン以外のアミノ酸、例えばアラニン;CFHタンパク質の127位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばヒスチジン;CFHタンパク質の400位で、グルタミン以外のアミノ酸、例えばリジン;CFHタンパク質の609位で、バリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の890位で、セリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の936位で、グルタミン酸以外のアミノ酸、例えばアスパラギン酸;CFHタンパク質の1007位で、バリン以外のアミノ酸、例えばロイシン;CFHタンパク質の1050位で、アスパラギン以外のアミノ酸、例えばチロシン;CFHタンパク質の1166位で、プロリン以外のアミノ酸、例えばグルタミン;またはCFHタンパク質の1210位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばシステインをコードするバリエーション。表4および5を参照)が、他のバリアントについて本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。あるいは、表4および5にリストされるもの等の、バリエーションが非コード領域中に存在するバリアント遺伝子は、本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。主題のポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのバリアントであるポリヌクレオチドを含むことをさらに理解されたいが、ただし、バリアントポリヌクレオチドは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する能力を維持することを条件とする。バリアントポリヌクレオチドは、例えば、1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失により異なる配列を含み得る。
【0051】
特定の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするプローブである。本明細書に用いられる場合、用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸の対合に関して用いられる。用語「プローブ」とは、目的の別の核酸とハイブリダイズし得るポリヌクレオチドをいう。ポリヌクレオチドは、精製された制限消化物中のように天然由来であり得るか、または合成的に、組換えで、もしくは核酸増幅(例えばPCR増幅)によって生成され得る。
【0052】
核酸分子を用いてハイブリダイゼーション実験を行う方法は、当該分野で周知である。当業者は、本発明に必要なハイブリダイゼーション条件に精通しており、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェント条件が変更され得ることを容易に理解する。かかるハイブリダイゼーション条件は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (2001);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubel ら編、John Wiley & Sons (1992)等の標準的な教本中に言及される。本発明の方法において特に有用なのは、ストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子またはバリアントCFH遺伝子の領域とハイブリダイズし得るポリヌクレオチドである。ストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズするポリヌクレオチドは、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。
【0053】
核酸ハイブリダイゼーションは、当業者によって容易に理解されるように、塩濃度、温度、有機溶媒、塩基組成、相補鎖の長さ、およびハイブリダイズする核酸間のヌクレオチド塩基ミスマッチの数などの条件に影響される。ストリンジェントな温度条件としては一般に30℃を超過する温度が挙げられるか、または37℃もしくは45℃を超過し得る。ストリンジェントさは温度とともに増大する。例えば45℃よりも高い温度は、大いにストリンジェントな条件である。ストリンジェントな塩条件は通常1000mM未満であるか、または500mMもしくは200mM未満であり得る。例えば、約45℃にて6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でハイブリダイゼーションを行い、その後50℃にて2.0×SSCで洗浄し得る。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでで選択され得る。さらに洗浄工程の温度は、約22℃の室温での低ストリンジェント条件から約65℃での高ストリンジェント条件まで増加され得る。温度および塩の双方は変化され得るか、または温度もしくは塩濃度が一定に維持され得るのに対し、他の変数は変化する。本発明の方法において特に有用なのは、ストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子またはバリアントCFH遺伝子の領域とハイブリダイズし得るポリヌクレオチドである。しかしながら、適切なストリンジェント条件は、DNAハイブリダイゼーションを促進するために本発明において変化され得ることを理解されたい。特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドは、大いにストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子またはバリアントCFH遺伝子の領域とハイブリダイズする。ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドは、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。一態様において、本発明は、室温での6.0×SSCの低ストリンジェント条件下でハイブリダイズし、その後室温にて2.0×SSCで洗浄する核酸を提供する。しかしパラメータの組み合わせは、任意の単一のパラメータの測定よりもはるかに重要である。例えばWetmurおよびDavidson, 1968を参照。プローブ配列はまた、ある条件下で、特異的に二本鎖DNAとハイブリダイズし、三本鎖DNA複合体または高次DNA複合体を形成し得る。かかるプローブの調製および適切なハイブリダイゼーション条件は、当該分野において周知である。本明細書に開示される生合成構築物をコードするDNAを得るための1つの方法は、従来の自動化オリゴヌクレオチド合成機で生成された合成オリゴヌクレオチドのアセンブリによるものである。
【0054】
本発明のポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーは標識され得、そのため限定されないが、酵素系(例えばELISAおよび酵素をベースとする組織化学アッセイ)、蛍光系、放射性系、化学系ならびに発光系を含む種々の検出系において検出可能である。本発明のポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーは、標識(例えば蛍光標識)に近接して配置されるとき、標識からのシグナルをほとんどもしくは全く引き起こさないクエンチャー部分をさらに含み得る。標識の検出は、直接的または間接的な手段(例えばビオチン/アビジン、またはビオチン/ストレプトアビジン(stretpavidin)結合を介して)によって実施され得る。本発明は、任意の特定の検出系または標識に制限されることを意図しない。
【0055】
別の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションと、隣接して、上流でまたは下流でハイブリダイズするプライマ−である。単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の全てまたは一部を含む核酸分子とハイブリダイズし得る。あるいは、単離されたポリヌクレオチドプライマーは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の少なくとも50個の連続ヌクレオチドを含む核酸分子とハイブリダイズし得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、CFHタンパク質のアミノ酸402をコードするCFH遺伝子の領域と、隣接して、上流で、または下流でハイブリダイズし得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、CFHタンパク質のアミノ酸62をコードするCFH遺伝子の領域と、隣接して、上流で、または下流でハイブリダイズし得る。
【0056】
本明細書で用いられる場合、用語「プライマー」とは、核酸鎖に対して相補的なプライマー伸長生成物の合成が起こる条件下(例えば、ヌクレオチドの存在下で、DNAポリメラーゼ等の誘導剤ならびに適切な温度、pH、および電解質濃度)に置かれたとき、核酸合成の開始時点として作用し得るポリヌクレオチドをいう。あるいはプライマーは、2つの非結合核酸のライゲーションが起こる条件下(例えば、近位の核酸の存在下で、DNAリガーゼ等の誘導剤ならびに適切な温度、pH、および電解質濃度)に置かれたとき、近位の核酸にライゲーションし得る。本発明のポリヌクレオチドプライマーは、精製された制限消化物中のように天然由来であり得るか、または合成的に生成され得る。プライマーは、増幅における最大効率のために好ましくは一本鎖であるが、あるいは二本鎖でもよい。二本鎖の場合、第一に、プライマーは用いられる前にその鎖が分離されるよう処理される。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給、および方法の使用を含む、多くの要因に依存する。特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは少なくとも10ヌクレオチド長であり、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの片方または他方とハイブリダイズする。主題のポリヌクレオチドは、1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失等の変化を含み得るが、ただし同程度の特異性を有して、これらの標的バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズすることを条件とする。
【0057】
一態様において、本発明は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する1対のプライマーを提供する。かかる場合において、第一のプライマーはバリエーションから上流でハイブリダイズし、第二のプライマーはバリエーションから下流でハイブリダイズする。プライマーの1つがAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域の1つの鎖とハイブリダイズし、第二のプライマーはAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域の相補鎖とハイブリダイズする。本明細書で用いられる場合、用語「DNAの領域」とは、DNAのサブ染色体の長さをいう。
【0058】
別の態様において、本発明は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとオーバーラップする標的DNA上の部位とハイブリダイズする対立遺伝子特異的プライマーを提供する。本発明の対立遺伝子特異的プライマーは、プライマーが完全な相補性を示す対立遺伝子形態の増幅をプライムする(prime)のみである。例えばこのプライマーは、遠位の部位でハイブリダイズする第二のプライマーと共に用いられ得る。したがって、増幅は2つのプライマーから実施され得、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の存在を示す検出可能な生成物をもたらす。
【0059】
3.検出アッセイ
特定の態様において、本発明は、加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを検出するのに有用なポリヌクレオチドに関する。好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、これらのポリヌクレオチドが、加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域とハイブリダイズし得る。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの検出を可能にする任意のアッセイにおいて用いられ得る。かかる方法は、例えば、DNA配列決定、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、またはプライマー伸長法を包含し得る。さらに、これらの方法の任意の組み合わせは、本発明に利用され得る。
【0061】
一態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在は、DNA配列決定によって検出および/または決定される。DNA配列決定は、ジデオキシ鎖末端法(dideoxy chain termination technology)およびゲル電気泳動等の標準的な方法によって、またはピロシーケンシング(Biotage AB, Uppsala, Sweden)等の他の方法によって行われ得る。例えば、ジデオキシ鎖末端法によるDNA配列決定は、非標識プライマーおよび標識(例えば蛍光または放射活性)ターミネーターを用いて行われ得る。あるいは、配列決定は、標識プライマーおよび非標識ターミネーターを用いて行われ得る。試料中のDNAの核酸配列は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションが存在するかどうか明らかにするために、野生型DNAの核酸配列と比較され得る。
【0062】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在は、ハイブリダイゼーションによって検出および/または決定される。一態様において、ポリヌクレオチドプローブは、AMDと関連するCFH遺伝子のバリエーション、および隣接ヌクレオチドとハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。ポリヌクレオチドプローブは、ハイブリダイゼーションの検出を容易にするために、蛍光標識、放射性標識、または化学標識されたヌクレオチドを含み得る。ハイブリダイゼーションは、ノーザンブロット、サザンブロット、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)等の当該分野で公知の標準的な方法によって、またはDNAアレイもしくはマイクロアレイ等の固体支持体上で固定されたポリヌクレオチドとハイブリダイゼーションすることによって行われかつ検出され得る。本明細書で用いられる場合、用語「DNAアレイ」および「マイクロアレイ」とは、ハイブリダイズ可能なアレイ要素の規則正しい配列をいう。アレイ要素は、好ましくは基質表面上に固定される少なくとも1以上の異なるアレイ要素が存在するように配列される。各アレイ要素からのハイブリダイゼーションシグナルは個々に識別可能である。好ましい態様において、アレイ要素はポリヌクレオチドを含むが、本発明はまたcDNAまたは他の型の核酸アレイ要素と共に用いられ得る。
【0063】
特定の態様において、ポリヌクレオチドプローブは、FISHによってゲノムDNAをハイブリダイズするために用いられる。ゲノムDNAの欠失を検出するために、FISHが、例えば分裂中期細胞に用いられ得る。ゲノムDNAは、DNA二重らせん構造内で相補鎖を分離するために変性される。次いで、本発明のポリヌクレオチドプローブを変性したゲノムDNAに添加する。AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションが存在する場合、プローブはゲノムDNAとハイブリダイズする。次いでプローブシグナル(例えば蛍光)が、蛍光顕微鏡によって、シグナルの有無(of)について検出され得る。したがって、シグナルの非存在は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの非存在を意味する。別の特定の態様において、標識ポリヌクレオチドプローブは、DNAアレイ上の固定されたポリヌクレオチドに使用される。例えば洗浄後、DNAアレイ上に残存する標識プローブの強度を測定することによって、ハイブリダイゼーションが検出され得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、Taqmanアッセイ(Applied Biosystems, Foster City, CA)等の市販のアッセイに用いられ得る。
【0064】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在が、DNAポリメラーゼを用いたプライマー伸長によって検出および/または決定される。一態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、直接バリエーションと隣接してハイブリダイズする。標識ジデオキシヌクレオチドターミネーターを用いた一塩基シーケンシング反応が、バリエーションを検出するために用いられ得る。バリエーションの存在は標識ターミネーターの取り込みをもたらすが、バリエーションの非存在は該ターミネーターの取り込みをもたらさない。別の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズする。プライマー、またはその一部は、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。バリエーションの存在はプライマー伸長をもたらすが、バリエーションの非存在はプライマー伸長をもたらさない。プライマーおよび/またはヌクレオチドは、蛍光プローブ、放射性プローブ、または化学プローブをさらに含み得る。プライマー伸長で標識されたプライマーは、ゲル電気泳動、質量分析法、または蛍光標識、放射性標識、もしくは化学標識を検出するための任意の他の方法等によって、伸長生成物の強度を測定することによって検出され得る。
【0065】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在は、ライゲーションによって検出および/または決定される。一態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズする。プライマー、またはその一部は、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。第一のプライマーに隣接するCFH遺伝子の領域と直接ハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドもまた提供される。ポリヌクレオチドプライマーの一方または両方が、蛍光標識、放射性標識、もしくは化学標識され得る。AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションが存在する場合、DNAリガーゼの存在下で、2つのポリヌクレオチドプライマーのライゲーションが起こる。ライゲーションはゲル電気泳動、質量分析法によって、または蛍光標識、放射性標識、もしくは化学標識の強度を測定することによって検出され得る。
【0066】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在が、一塩基伸長(SBE)によって検出および/または決定される。例えば、付加された塩基の標識およびプライマーの標識間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)と共役する蛍光標識プライマーが用いられ得る。典型的に、Chenら(本明細書に参照によって援用されたPNAS 94:10756-61 (1997))によって記載されるもの等の方法は、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)を用いて5’末端上に標識された遺伝子座特異的ポリヌクレオチドプライマーを使用する。この標識プライマーは、3’末端が目的の多形部位と直接隣接するように設計される。標識プライマーは遺伝子座とハイブリダイズし、標識プライマーの一塩基伸長が、デオキシリボヌクレオチドが存在しない場合を除いて、ダイターミネーター配列決定様式で蛍光標識ジデオキシリボヌクレオチド(ddNTP)を用いて行われる。標識プライマーの波長における励起に応答した付加されたddNTPの蛍光の増大は、付加されたヌクレオチドの同一性を推測するために用いられる。
【0067】
AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの検出方法は、バリエーションを含むDNAの領域の増幅を含み得る。任意の増幅方法が用いられ得る。一特定の態様において、バリエーションを含むDNAの領域はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることで増幅される。PCRはMullis(例えば、本明細書に参照によって援用される米国特許第4,683,195号、4,683,202号および4,965,188号を参照)によって最初に記載され、クローニングまたは精製なしで、ゲノムDNAの混合物において、DNAの領域の濃度を増大させる方法を記載する。他のPCR法はまた、限定されないがRT-PCR、定量PCR、リアルタイムPCR、急速増幅断片多形DNA分析、cDNA末端の急速増幅法(RACE)、またはローリングサークル増幅法を含む核酸増幅に用いられ得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドプライマーはDNA混合物(または本発明のポリヌクレオチドプライマーで増幅され得る任意のポリヌクレオチド配列)と組み合わされ、ここで該DNAはCFH遺伝子を含む。混合物はまた、熱サイクリング反応に必要な必須増幅試薬(例えば三リン酸デオキシリボヌクレオチド、バッファ等)を含む。標準的なPCR法にしたがって、CFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域を増幅するために、混合物は一連の変性、プライマーアニーリングおよびポリメラーゼ伸長工程を受ける。DNAの増幅領域の長さは、お互いに関してプライマーの相対位置で測定され、したがってこの長さは調節可能なパラメータである。例えば、プライマーのハイブリダイゼーションは、バリエーションに近位なプライマーの末端が1〜10,000塩基対(例えば10塩基対(bp)、50bp、200bp、500bp、1,000bp、2,500bp、5,000bpまたは10,000bp)離れるように起こり得る。
【0068】
当業者に公知の標準器具類は、増幅および増幅されたDNAの検出のために使用される。例えば、広く多様な器具が、核酸増幅、特にPCR、例えばJohnson et al,米国特許番号.5,038,852(コンピューター制御サーマルサイクラー);Wittwer et al, Nucleic Acids Research, 17:4353-4357(1989)(キャピラリーチューブPCR);Hallsby,米国特許番号.5,187,084(空気ベース温度制御);Garner et al, Biotechniques, 14:112-115(1993)(864ウェルプレートにおけるハイスループットPCR);Wilding et al, 国際出願番号.PCT/US93/04039(マイクロ規格構造におけるPCR);Schnipelsky et al, 欧州特許出願番号.90301061.9(公開番号. 0381501 A2)(使い捨て、単回使用PCR装置)等を実施するために開発されてきた。特定の態様において、本明細書中に記載される本発明はリアルタイムPCRまたはTaqmanアッセイ等の当該分野で公知の他の方法を利用する。
【0069】
特定の態様において、ヒトのAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子は、一本鎖コンホメーション多型分析を用いて検出され得、Orita et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 86, 2766-2770(1989)に記載されるように、一本鎖PCR産物の電気泳動の移動における変化により塩基差を同定する。増幅PCR産物は上記記載のように生成され、加熱されるか、そうでない場合は変性され、一本鎖増幅産物を形成し得る。一本鎖核酸は、塩基配列に部分的に依存する二次構造をリフォールドまたは形成し得る。一本鎖増幅産物の異なる電気泳動の移動度は標的配列の対立遺伝子の間での塩基配列差と関連され得る。
【0070】
1つの態様において、増幅DNAは、DNA配列決定によるような、本明細書中に記載される検出方法の1つと関連して分析される。増幅DNAは代替的に、標識プローブを用いたハイブリダイゼーション、DNAアレイまたはマイクロアレイへのハイブリダイゼーションによって、ビオチン化プライマーの取り込みに続くアビジン酵素結合体の検出によって、またはdCTPまたは、dATPのような32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の増幅部分への取り込みによって分析され得る。特定の態様において、増幅DNAは、電気泳動またはクロマトグラフィーによって増幅DNAの長さを決定することで分析される。例えば、増幅DNAはゲル電気泳動によって分析される。ゲル電気泳動の方法は当該分野で周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., 編.John Wiley & Sons:1992を参照。増幅DNAは、例えば、蛍光または放射性手段によって、またはDNA間に挿入する他の色素もしくはマーカーを用いて可視化され得る。DNAはまた、ニトロセルロース膜のような固体支持体に移され、ゲル電気泳動に続いてサザンブロッティングに供され得る。1つの態様において、DNAは、臭化エチジウムに曝露され、紫外線下で可視化される。
【0071】
4.CFHポリペプチドをコードする治療核酸
特定の態様において、本発明は、本明細書中に開示される機能性バリアントを含む、
CFHポリペプチドをコードする単離および/または組換え核酸を提供する。例えば、配列番号1または2は、CFHをコードする核酸配列であり、配列番号5または6および図5はCFHポリペプチドをコードする。主題の核酸は一本鎖または二本鎖であり得る。かかる核酸は、DNAまたはRNA分子であり得る。これらの核酸は、例えば、CFHポリペプチドを作製する方法において、または直接的な治療剤(例えば、遺伝子治療アプローチにおいて)として使用され得る。
【0072】
CFHポリペプチドをコードする主題の核酸は、配列番号1または2のバリアントである核酸を含むことがさらに理解される。バリアントヌクレオチド配列は、対立遺伝子バリアント等の、1つ以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失によって異なる配列を含み、従って配列番号1または2に指定されるコード配列のヌクレオチド配列とは異なるコード配列を含む。配列番号1または2に指定されるコード配列のヌクレオチド配列とは異なるコード配列は、C3〜C3aおよびC3bの活性化を阻害する能力について、および存在するC3を不活性化することによって試験され得る。
【0073】
特定の態様において、本発明は、配列番号1または2に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一な単離または組換え核酸配列を提供する。当業者は、配列番号1または2に相補的な核酸配列、および配列番号1または2のバリアントもまた、本発明の範囲内であることを認める。さらなる態様において、本発明の核酸配列は、異種性ヌクレオチド配列と共に、またはDNAライブラリーにおいて単離、組換えおよび/融合され得る。
【0074】
他の態様において、本発明の核酸はまた、ストリンジェントな条件下で配列番号1または2に指定されるヌクレオチド配列、配列番号1または2の相補配列、あるいはその断片にハイブリダイズする核酸を含む。上記に議論するように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシーな条件が変更され得ることを容易に理解する。例えば、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、続いて50℃での2.0×SSCの洗浄を実施し得る。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまで選択され得る。さらに、洗浄工程における温度は、室温、約22℃での低ストリンジェンシー条件から約65℃での高ストリンジェンシー条件まで増加され得る。温度および塩の両方は変更され得るか、または温度もしくは塩濃度は一定に保たれ得るが、他の変化可能なものは変化される。1つの態様において、本発明は、室温での6×SSCの低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、室温での2×SSCの洗浄が続く核酸を提供する。
【0075】
遺伝子コードの縮重による配列番号1または2に示すような核酸とは異なる単離された核酸はまた、本発明の範囲内である。例えば、多くのアミノ酸が1つより多くのトリプレットで指定される。同じアミノ酸を特定するコドン、つまりシノニム(synonym)(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンのシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を与えない「サイレント」バリエーションを生じ得る。しかしながら、主題のタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型は哺乳動物細胞中に存在することが予想される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1つ以上のヌクレオチドにおけるこれらの変化(ヌクレオチドの約3〜5%まで)が、天然の対立遺伝子バリエーションにより所定の種の個体間で存在し得ることを認める。任意および全ての、かかるヌクレオチドバリエーションおよび得られたアミノ酸多型は本発明の範囲内である。
【0076】
本発明の核酸およびポリペプチドは、標準の組換え方法を用いて産生され得る。例えば、本発明の組換え核酸は、発現構築物中で1つ以上の調節ヌクレオチド配列に操作可能に連結され得る。調節ヌクレオチド配列は一般に、発現に使用される宿主細胞に適切である。多くの型の適切な発現ベクターおよび適当な調節配列が、種々の宿主細胞について当該分野で公知である。典型的に、該1つ以上の調節ヌクレオチド配列は、限定されないが、プロモーター配列、リーダー配列またはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、ならびにエンハンサー配列またはアクチベーター配列を含み得る。当該分野で公知のような構成性プロモーターまたは誘導性プロモーターは本発明によって企図される。プロモーターは、天然プロモーター、または1つより多くのプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、細胞において、プラスミドのようなエピソームに存在し得るか、または発現構築物は、染色体に挿入され得る。発現ベクターはまた、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子を含み得る。選択可能なマーカー遺伝子は、当該分野で周知であり、使用される宿主細胞と共に変更する。
【0077】
本発明の特定の態様において、主題の核酸は、CFHポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つの調節配列に操作可能に連結される発現ベクター中に提供される。調節配列は、当該分野で認識され、CFHポリペプチドの発現を指向するために選択される。従って、用語調節配列は、プロモーター、エンハンサー、終結配列、好ましいリボソーム結合部位配列、好ましいmRNAリーダー配列、好ましいタンパク質プロセッシング配列、好ましいタンパク質分泌のためのシグナル配列、および他の発現制御エレメントを含む。調節配列の例は、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, Academic Press, San Diego, CA(1990)に記載されている。例えば、操作可能に連結される場合DNA配列の発現を制御する任意の広く多様な発現制御配列が、CFHポリペプチドをコードするDNA配列を発現するためにこれらのベクターに使用され得る。かかる有用な発現制御配列は、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、発現がT7 RNAポリメラーゼで指向されるT7 プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fd被覆タンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母α接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーターおよび原核細胞もしくは真核細胞またはこれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知の他の配列、ならびにその種々の組み合わせを含む。発現ベクターの設計は形質転換されるべき宿主細胞および/または発現されることが所望されるタンパク質の型の選択のような因子に依存し得る。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を制御する能力および抗生物質マーカーのような、ベクターにコードされる任意の他のタンパク質の発現もまた、考慮されるべきである。
【0078】
本発明の組換え核酸は、クローンされた遺伝子、またはその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)、または両方のいずれかにおいて、発現に適切なベクターにライゲーションすることで産生され得る。組換えCFHポリペプチドの産生のための発現ビヒクルは、プラスミドおよび他のベクターを含む。例えば、適切なベクターは、以下の型のプラスミドを含む:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよび大腸菌のような原核細胞における発現のためのpUC由来プラスミド。
【0079】
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌でベクターの増殖を容易にする原核性配列、および真核細胞中で発現される1つ以上の真核性転写ユニットの両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。原核細胞および真核細胞の両方において複製および薬剤耐性選択を容易にするために、これらのいくつかのベクターがpBR322のような細菌プラスミド由来の配列を用いて改変される。あるいは、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV-1)、またはエプスタイン-バー-ウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)のようなウイルスの派生物が、真核細胞においてタンパク質の一過性発現のために使用され得る。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、以下で遺伝子治療送達系の記載に見出され得る。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換に使用される種々の方法は、当該分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方についての他の適切な発現系ならびに一般的な組換え手順について、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory(2001)を参照。いくつかの例において、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現することが望ましくあり得る。かかるバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393およびpVL941のような)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1のような)、およびpBlueBac由来べクター(β-gal含有pBlueBacIIIのような)が挙げられる。
【0080】
1つの態様において、ベクターは、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wisc.)のように、CHO細胞において主題のCFHポリペプチドの産生のために設計される。他の態様において、ベクターは、原核宿主細胞(例えば、大腸菌および枯草菌)、真核宿主細胞、例えば、酵母細胞、昆虫細胞、骨髄腫細胞、繊維芽3T3細胞、サル腎臓またはCOS細胞、ミンク肺上皮細胞、ヒト包皮繊維芽細胞、ヒトグリア芽細胞、および奇形癌細胞等において、主題のCFHポリペプチドの産生のために設計される。あるいは、遺伝子は、ウサギ網状赤血球溶解系のような無細胞系で発現され得る。
【0081】
明らかであるように、主題の遺伝子構築物は、培養物中で増殖される細胞中で主題のCFHポリペプチドを発現するために、例えば、精製のための、融合タンパク質またはバリアントタンパク質を含むタンパク質を産生するために使用され得る。
【0082】
本発明はまた、1つ以上の主題のCFHポリペプチドのコード配列(例えば、配列番号1または2)を含む組換え遺伝子をトランスフェクションした宿主細胞に関する。宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本発明のCFHポリペプチドは、大腸菌等の細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いる)、酵母、また
は哺乳動物細胞中で発現され得る。他の適切な宿主細胞は当業者に公知である。
【0083】
従って、本発明はさらに、主題のCFHポリペプチドを産生する方法に関する。例えば、CFHポリペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクションした宿主細胞は、CFHポリペプチドの発現が生じ得る適切な条件下で培養され得る。CFHポリペプチドが分泌され、細胞およびCFHポリペプチドを含む培地の混合物から単離され得る。また、ポリペプチドは、細胞質にまたは膜画分に保持され、細胞が回収され、溶解され、タンパク質が単離され得る。細胞培養物は、宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適切な培地は当該分野で周知である。ポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、およびポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いた免疫アフィニティー精製を含む、タンパク質精製に当該分野で公知な技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞、または両方から単離され得る。特定の態様において、CFHポリペプチドは、CFHポリペプチドの精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
【0084】
別の態様において、組換えCFHポリペプチドの所望の部分のN末端にpoly-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列等の精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって、発現された融合タンパク質の精製を可能にし得る。次に精製リーダー配列は続いて、エンテロキナーゼでの処理によって除去され、精製ポリペプチドを提供し得る(例えば、Hochuli et al., (1987)J. Chromatography 411:177;およびJanknecht et al., PNAS USA 88:8972を参照)。
【0085】
融合遺伝子を作製する技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNA断片の結合は、ライゲーションのための平滑末端終端または付着末端終端、適切な終端を提供する制限酵素消化、適切な付着末端の充填、望ましくない結合を回避するアルカリホスファターゼ処理、および酵素ライゲーションを使用した、慣用技術に従って実施される。別の態様において、融合遺伝子は自動化DNA合成機を含む慣用技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、後にアニールされ得る2つの連続的遺伝子断片間で相補的突出を生じるアンカープライマーを用いて実施され、キメラ遺伝子配列を生じ得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., 編. John Wiley & Sons: 1992を参照)。
【0086】
5.他の治療様式
アンチセンスポリヌクレオチド
特定の態様において、本発明は、バリアントCFH遺伝子の発現を阻害するアンチセンス機構によって作用するアンチセンス配列を含むポリヌクレオチドを提供する。アンチセンス技術は、遺伝子発現を調節するために広く利用されてきた(Buskirk et al., Chem Biol 11, 1157-63(2004);およびWeiss et al., Cell Mol Life Sci 55, 334-58(1999))。本明細書中で使用される場合、「アンチセンス」技術とは、例えば、立体障害、選択的スプライシング、または転写物の誘導切断もしくは他の酵素的不活性化によるような、転写および/または翻訳を阻害することによってタンパク質の発現を阻害するように、1つ以上の標的タンパク質をコードする目的の標的核酸(mRNAおよび/またはゲノムDNA)と、細胞の条件下で特異的にハイブリダイズする(例えば、結合する)分子またはその派生物の投与またはインサイチュ産生のことをいう。結合は、慣用の塩基対相補性によって、または例えば、DNA二重鎖への結合の場合に、二重らせんの主溝における特異的な相互作用を介してであり得る。一般に、「アンチセンス」技術とは、当該分野で一般に使用される技術の範囲のことをいい、核酸配列への特異的な結合に依存する任意の治療を含む。
【0087】
本発明のアンチセンス配列を含むポリヌクレオチドは、例えば、細胞で転写される場合、標的核酸の少なくとも特有部分に相補的な核酸配列を産生する発現プラスミドの構成要素として送達され得る。あるいは、アンチセンス配列を含み、標的細胞に導入された場合、標的核酸とハイブリダイズすることで発現の阻害を起こすポリヌクレオチドは、標的細胞から(outside of)生じられ得る。本発明のポリヌクレオチドは、内在性ヌクレアーゼ、例えば、エクソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼに耐性で、従ってインビボで安定であるように改変され得る。本発明のポリヌクレオチドにおける使用のための核酸分子の例は、DNAのホスホラミデート(phosphoramidate)、ホスホチオエート(phosphothioate)およびメチルホスホネートアナログである(米国特許番号5,176,996; 5,264,564; および5,256,775も参照)。アンチセンス技術に有用なポリヌクレオチドを構築する一般的なアプローチは、例えば、van der krol et al.(1988)Biotechniques 6:958-976;およびStein et al.(1988) Cancer Res 48:2659-2668によって概説されている。
【0088】
アンチセンスアプローチは、バリアントCFH遺伝子をコードする標的核酸に相補的なポリヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれか)の設計を含む。アンチセンスポリヌクレオチドは、mRNA転写物に結合し、目的のタンパク質の翻訳を防止し得る。完全な相補性は、好ましいが、必要ではない。二重鎖アンチセンスポリヌクレオチドの場合、二重鎖DNAのうち1本鎖が例えば試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス配列の長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が長くなればなるほど、標的核酸と塩基ミスマッチをより多く含み得、安定な二重鎖(または三重鎖、場合に応じて)をなお形成する。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定するための標準の手順を使用することで寛容な程度のミスマッチを確かめ得る。
【0089】
mRNA標的の5'末端、例えば、AUG開始コドンまで、およびAUG開始コドンを含む5'非翻訳配列に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、mRNAの翻訳を阻害する点で最も効率良く作用するはずである。しかしながら、mRNAの3'非翻訳配列に相補的な配列は最近、同様にmRNAの翻訳を阻害することに有効であることが示されている(Wagner, R. 1994. Nature 372:333)。それゆえに、バリアントCFH遺伝子の5'または3'非翻訳の、非コード領域のいずれかに相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、バリアントCFH mRNAの翻訳を阻害するアンチセンスアプローチに使用され得る。mRNAの5'非翻訳領域に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補物を含むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳のより効率の低いインヒビターであるが、本発明に従って使用もされ得る。mRNAの5'、3'、またはコード領域にハイブリダイズするように設計するにせよ、アンチセンスポリヌクレオチドは、少なくとも6ヌクレオチド長、好ましくは約100ヌクレチオド長より少なく、より好ましくは約50、25、17または10ヌクレオチド長より少なくあるべきである。
【0090】
標的配列の選択に関わらず、バリアントCFH遺伝子の発現を阻害するアンチセンスポリヌクレオチドの能力を定量するために、インビトロでの研究が最初に実施されることが好ましい。これらの研究はアンチセンス遺伝子阻害およびアンチセンスポリヌクレオチドの非特異的な生物学的効果との間を区別するコントロールを利用することが好ましい。これらの研究は、標的RNAまたはタンパク質のレベルを内部コントロールRNAまたはタンパク質のレベルと比較することも好ましい。さらに、アンチセンスポリヌクレオチドを用いて得られた結果は、コントロールアンチセンスポリヌクレオチドを用いて得られたものと比較されることが構想される。コントロールアンチセンスポリヌクレオチドは、試験アンチセンスポリヌクレオチドとおよそ同じ長さであること、およびコントロールアンチセンスポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、標的配列に特異的なハイブリダイズを防止することが必要でない、目的のアンチセンス配列と異なることが好ましい。
【0091】
アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の、DNAもしくはRNAまたはそのキメラ混合物もしくは派生物もしくは改変版であり得る。本発明のポリヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション等を改善するために、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で改変され得る。本発明のポリヌクレオチドは、ペプチド(例えば、宿主細胞レセプターを標的とするための)、または細胞膜を越える輸送を容易にする薬剤(例えば、Letsinger et al., 1989, Proc Natl Acad Sci. USA 86:6553-6556; Lemaitre et al., 1987, Proc Natl Acad Sci. USA 84:648-652; 1988年12月15日に公開されたPCT公開番号W088/09810を参照)、または血液-脳関門(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT公開番号W089/10134を参照)、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、Krol et al.,1988, BioTechniques 6:958-976を参照)またはインターカレート剤(例えば、Zon, Pharm. Res. 5:539-549(1988)を参照)のような、他の追加される群を含み得る。このために、本発明のポリヌクレオチドは、別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、トランスポート剤、ハイブリダイゼーション誘発切断剤等に結合され得る。
【0092】
アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、限定されないが、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシトリエチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキューオシン、5-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含む群より選択される少なくとも1つの改変塩基部分を含み得る。
【0093】
本発明のポリヌクレオチドはまた、限定されないが、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースを含む群より選択される少なくとも1つの改変糖部分を含み得る。
【0094】
本発明のポリヌクレオチドはまた、中立ペプチド様骨格を含み得る。かかる分子は、ペプチド核酸(PNA)-オリゴマーと呼ばれ、例えば、Perry-O'Keefe et al.(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670およびEglom et al.(1993)Nature 365:566に記載されている。PNAオリゴマーの1つの利点は、DNAの中立骨格による媒体のイオン強度とは本質的に独立して相補DNAに結合する能力である。なお別の態様において、本発明のポリヌクレオチドはホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホラミデート、ホスホルジアミデート(phosphordiamidate)、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびこれらのホルムアセタールまたはアナログからなる群より選択される少なくとも1つの改変リン酸骨格を含む。
【0095】
さらなる態様において、アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、アノマー(anomeric)オリゴヌクレオチドである。アノマーオリゴヌクレオチドは、通常の単位とは反対に、鎖が互いに並行する相補RNAとの特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gautier et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:6625-6641)。オリゴヌクレオチドは、2'-O-メチルリボヌクレオチド(Inoue et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:6131-6148)またはキメラRNA-DNAアナログである(Inoue et al., 1987, FEBS Lett. 215:327-330)。
【0096】
アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、当該分野で公知の標準的な方法によって、例えば、自動化DNA合成機(Biosearch, Applied Biosystems 等から市販されるもの等)の使用によって合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209(1988)の方法によって合成され得、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、細孔性ガラスポリマー支持体の使用によって調製され得る(Sarin et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA 85:7448-7451(1988))、等。
【0097】
mRNA配列のコード領域に相補的なアンチセンス配列が使用され得るが、転写非翻訳領域および開始メチオニンを含む領域に相補的なものが最も好ましい。
【0098】
アンチセンスポリヌクレオチドは、インビボで標的遺伝子を発現する細胞に送達され得る。多くの方法が、核酸を細胞へ送達するために開発されている;例えば、これらは組織部位に直接注射され得るか、または所望の細胞を標的とするように設計された改変核酸(例えば、標的細胞表面に発現したレセプターまたは抗原と特異的に結合するペプチドまたは抗体に連結されたアンチセンスポリヌクレオチド)が全身投与され得る。
【0099】
しかしながら、特定の例において、バリアントCFH遺伝子またはmRNAの活性を減衰するのに十分なアンチセンスポリヌクレオチドの細胞内濃度を達成することは困難であり得る。それゆえに、別のアプローチは、強力なpolIIIまたはpolIIプロモーターの制御下でアンチセンスポリヌクレオチドが配置される組換えDNA構築物を利用する。患者における標的細胞にトランスフェクトするかかる構築物の使用によって、バリアントCFH遺伝子またはmRNAと相補的塩基対を形成する、十分な量のアンチセンスポリヌクレオチドの転写が生じ、それによってCFHタンパク質の活性が減衰される。例えば、ベクターは細胞に取り込まれるようにインビボで導入され得、バリアントCFH遺伝子またはmRNAを標的とするアンチセンスポリヌクレオチドの転写を指向する。所望のアンチセンスポリヌクレオチドを産生するように転写され得る限り、かかるベクターは、エピソームのままであり得るか、または染色体に統合され得る。かかるベクターは、当該分野で標準である、組換えDNA技術方法によって構築され得る。ベクターは、哺乳動物細胞で複製および発現に使用されるプラスミド、ウイルスまたは当該分野で公知な他のものであり得る。プロモーターはアンチセンスポリヌクレオチドをコードする配列に操作可能に連結され得る。アンチセンスポリヌクレオチドをコードする配列の発現は、当該分野で公知の任意のプロモーターによってであり、哺乳動物、好ましくはヒト細胞で作用し得る。かかるプロモーターは、誘導性または構成性であり得る。かかるプロモーターは、限定されないが、SV40初期プローモーター領域(Bernoist and Chambon, Nature 290:304-310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3'長末端反復配列に含まれたプロモーター(Yamamoto et al., Cell 22:787-797(1989))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445(1981))、メタロチオニン遺伝子の調節配列(Brinster et al, Nature 296:3942(1982))、等を含む。任意の型のプラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベクターが、組織部位に直接導入され得る組換えDNA構築物を調製するために使用され得る。あるいは、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターは、投与が別の経路で達成され得る場合(例えば、全身)、使用され得る。
【0100】
RNAi構築物-siRNAおよびmiRNA
RNA干渉(RNAi)は、二本鎖(ds)RNA依存性の遺伝子特異的な転写後サイレンシングを説明する現象である。哺乳動物細胞の実験操作のためにこの現象を活用する最初の試みは、長いdsRNA分子に応答して活性化された、強くて非特異的な抗ウイルス防御機構によって挫かれた。Gil et al. Apoptosis 2000, 5:107-114。一般的な抗ウイルス防御機構をもたらすことなく、21ヌクレオチドRNAの合成二重鎖が哺乳動物細胞において遺伝子特異的なRNAiを媒介し得たという証明によって、分野は重大に進歩した。Elbashir et al. Nature 2001, 411:494-498; Caplen et al. Proc Natl Acad Sci 2001, 98:9742-9747。結果として、低分子干渉RNA(siRNAi)およびマイクロRNA(miRNA)は遺伝子機能を詳細に吟味するための強力なツールとなっている。低分子RNAの化学合成は見込みのある結果を生み出す1つの達成方法である。多くのグループはまた、細胞内でかかるsiRNAを生じ得るDNAベースベクターの開発を探し求めた。いくつかのグループは最近、この目標を達成し、細胞内でsiRNAを形成するために効率的にプロセスされるショートヘアピン(sh)RNAの転写を一般に含む同様の戦略を公開した。Paddison et al. PNAS 2002, 99:1443-1448; Paddison et al. Genes & Dev 2002, 16:948-958; Sui et al. PNAS 2002, 8:5515-5520;およびBrummelkamp et al. Science 2002, 296:550-553。これらの報告は、多くの内在性および外因性発現遺伝子を特異的に標的とし得るsiRNAを生じる方法を記載する。
【0101】
従って、本発明は、バリアントCFH遺伝子の発現を減衰するRNAiまたはmiRNA機構によって作用するRNAi配列を含むポリヌクレオチドを提供する。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、バリアントCFH遺伝子の発現を減衰または阻害するmiRNAまたはsiRNA配列を含み得る。1つの態様において、miRNAまたはsiRNA配列は、約19ヌクレオチド〜約75ヌクレオチド長、または好ましくは約25塩基対〜約35塩基対長である。特定の態様において、ポリヌクレオチドは、RNAse酵素(例えば、DroshaおよびDicer)によってプロセスされ得るヘアピンループまたはステムループである。
【0102】
RNAi構築物は、細胞の生理学的条件下でバリアントCFH遺伝子についてのmRNA転写物の少なくとも一部分のヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。二本鎖RNAは、RNAiを媒介する能力を有する天然RNAと十分に同様であることだけが必要である。標的配列およびRNAi構築物配列との間で寛容されるヌクレオチドミスマッチ数は、5塩基対に1つ以下、または10塩基対に1つ以下、または20塩基対に1つ以下、または50塩基対に1つ以下である。RNAi構築物はバリアントCFH遺伝子を特異的に標的とし得ることが主に重要である。siRNA二重鎖の中央のミスマッチは最も重大で、標的RNAの切断を本質的に破壊し得る。対照的に、標的RNAに相補的なsiRNA鎖の3'末端のヌクレオチドは、標的認識の特異性に有意に貢献しない。
【0103】
配列同一性は、当該分野で公知の配列比較およびアライメントアルゴリズム(Gribskov nd Devereux, Sequence Analysis Primer, Stockton Press, 1991, およびそこに引用される文献)によって、および例えば、デフォルトパラメーターを用いたBESTFITソフトウェアプログラムで実行されるようなSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、ウィスコンシン大学の遺伝子コンピューターグループ)によるヌクレオチド配列の間でのパーセント差を計算することで最適化され得る。阻害RNAおよび標的遺伝子の部分との間で、90%配列同一性より大きく、または100%配列同一性でさえが好ましい。あるいは、RNAの二重鎖領域は、標的遺伝子転写物の部分とハイブリダイズし得るヌクレオチド配列として機能的に定義され得る(例えば、400mM NaCl, 40mM PIPES pH6.4, 1mM EDTA, 12〜16時間の50℃または70℃のハイブリダイゼーション;続いて洗浄)。
【0104】
RNAi配列を含むポリヌクレオチオドの産生は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドの産生方法のいずれかで実施され得る。例えば、RNAi配列を含むポリヌクレオチオドは、化学合成方法または組換え核酸技術によって産生され得る。処理細胞の内在性RNAポリメラーゼが、インビボでの転写を媒介し得るか、またはクローン化されたRNAポリメラーゼがインビトロでの転写に使用され得る。野生型またはアンチセンスポリヌクレオチド、もしくはRNAi機構によって標的遺伝子活性を調節するものを含む本発明のポリヌクレオチドは、例えば、細胞性ヌクレアーゼへの感受性の減少、生物学的利用能の改善、配合特徴の改善、および/または他の薬動力学特性の変化のために、リン酸-糖骨格またはヌクレオシドのいずれかへの改変を含み得る。例えば、天然RNAのホスホジエステル結合は、少なくとも1つの窒素または硫黄へテロ原子を含むように改変され得る。RNA構造の改変は特異的な遺伝子阻害を可能にするように調整され得るが、dsRNAへの一般的な応答を回避する。同様に、塩基はアデノシンデアミナーゼの活性をブロックするために改変され得る。本発明のポリヌクレオチドは、酵素的にまたは部分/全体有機合成によって産生され得、任意の改変リボヌクレオチドは、インビトロでの酵素合成または有機合成によって導入され得る。
【0105】
RNA分子を化学的に改変する方法は、RNAi構築物を改変するために適合され得る(例えば、Heidenreich et al. (1997)Nucleic Acids Res, 25:776-780; Wilson et al. (1994)J Mol Recog 7:89-98; Chen et al.(1995) Nucleic Acids Res 23:2661-2668; Hirschbein et al.(1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev 7:55-61を参照)。単に例証するために、RNAi構築物の骨格は、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、ホスホジチオエート、キメラメチルホスホネート-ホスホジエステル、ペプチド核酸、5-プロピニル-ピリミジン含有オリゴマーまたは糖改変物(例えば、2'-置換リボヌクレオシド、a-配置)を用いて改変され得る。
【0106】
二本鎖構造は、単一の自己相補性RNA鎖または2つの相補性RNA鎖によって形成され得る。RNA二重鎖形成は、細胞内または細胞外のいずれかで開始され得る。RNAは、細胞あたり少なくとも1つのコピーの送達を可能にする量で導入され得る。二本鎖物質のより高い用量(例えば、細胞あたり少なくとも5、10、100、500または1000コピー)は、より効果的な阻害を生じ得るが、より低い用量もまた特定の応用に有用であり得る。阻害は、RNAの二重鎖領域に対応するヌクレオチド配列が、遺伝子的阻害を標的とする点で配列特異的である。
【0107】
特定の態様において、主題のRNAi構築物は「siRNA」である。これらの核酸は、約19〜35ヌクレオチド長、さらにより好ましくは21〜23ヌクレオチド長、例えば、より長い二本鎖RNAを「ダイサー」するヌクレアーゼによって生じた断片に対応する長さである。siRNAは、ヌクレアーゼ複合体をリクルートし、特異的な配列と対を形成することによって複合体を標的mRNAへ導くことが理解されている。結果として、標的mRNAがタンパク質複合体においてヌクレアーゼによって分解されるか、または翻訳が阻害される。特定の態様において、21〜23ヌクレオチドsiRNA分子は3'ヒドロキシル基を含む。
【0108】
他の態様において、主題のRNAi構築物は「miRNA」である。マイクロRNA(miRNA)は相同mRNAとの相互作用によって遺伝子発現の転写後調節を指向する小さな非コードRNAである。miRNAは、タンパク質コード遺伝子由来の標的mRNAの相補的部位への結合によって遺伝子の発現を制御する。miRNAはsiRNAと類似する。miRNAは、より長い二本鎖前駆体分子からのヌクレオチド切断によってプロセッシングされる。これらの前駆体分子はしばしば、ヘアピン中で塩基対形成される25以上のヌクレオチドを伴う約70ヌクレオチド長のヘアピン構造である。RNAseIII様酵素DroshaおよびDicer(siRNAプロセッシングでも使用され得る)は、miRNA前駆体を切断し、miRNAを生じる。プロセッシングされたmiRNAは一本鎖であり、RISCまたはmiRNPと呼ばれるタンパク質複合体に取り込まれる。このRNA-タンパク質複合体は、相補性mRNAを標的とする。miRNAは翻訳を阻害するか、または標的mRNAの切断を指向する(Brennecke et al., Genome Biology 4:228(2003); Kim et al., Mol. Cells 19:1-15(2005))。
【0109】
特定の態様において、miRNAおよびsiRNA構築物は、例えば、酵素DicerまたはDroshaの存在下でより長い二本鎖RNAのプロセッシングによって生じられ得る。DicerおよびDroshaはdsRNAを特異的に切断するRNAseIII様酵素である。Dicerは、ヘリカーゼドメインおよび二重のRNAseIIIモチーフを含む特有の構造を有する。Dicerはまた、RDE1/QDE2/ARGONAUTEファミリーに相同な領域を含み、下等の真核生物でRNAiと遺伝学的に関連付けられている。実際に、Dicerの活性化または過剰発現は、多くの場合、培養された真核生物細胞、または培養物中もしくは全生物体中の哺乳動物(非卵母性)細胞のような、他の非受容性細胞においてRNA干渉を可能にするのに十分であり得る。Dicerおよび他のRNAi酵素を使用する方法および組成物は、米国特許出願公開番号2004/0086884に記載されている。
【0110】
1つの態様において、Drosophilaのインビトロ系が使用される。この態様において、
RNAi配列またはRNAi前駆体を含むポリヌクレオチドは、Drosophila胚由来の溶解抽出物と合わされ、それによって組み合わせを生じる。組み合わせはdsRNAが約21〜約23ヌクレオチドのRNA分子にプロセッシングされる条件下で維持される。
【0111】
miRNAおよびsiRNA分子は、当業者に公知の、多くの技術を用いて精製され得る。例えば、ゲル電気泳動はかかる分子を精製するために使用され得る。あるいは、非変性カラムクロマトグラフィーのような非変性方法が、siRNAおよびmiRNA分子を精製するために使用され得る。さらに、クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)、グリセロール勾配遠心分離、抗体を用いたアフィニティー精製が、siRNAおよびmiRNAを精製するために使用され得る。
【0112】
特定の態様において、エフェクタードメインのsiRNA配列の少なくとも1つの鎖は、約1〜約6ヌクレオチド長、または2〜4ヌクレオチド長の3'突出を有する。他の態様において、3'突出は、1〜3ヌクレオチド長である。特定の態様において、一方の鎖は3'突出を有し、他方の鎖は平滑末端であるか、または突出も有するかのいずれかである。突出の長さは、各鎖について同じまたは異なり得る。siRNA配列の安定性をさらに高めるために、3'突出は分解に対して安定化され得る。1つの態様において、RNAは、アデノシンまたはグアノシンヌクレオチドのようなプリンヌクレオチドを含むことで安定化される。あるいは、ピリミジンヌクレオチドの改変アナログによる置換、例えば、ウリジンヌクレオチド3'突出の2'-デオキシチミジン(2'-deoxythyinidine)による置換は許容され、RNAiの効果に影響を与えない。2'ヒドロキシルの非存在は組織培地における突出のヌクレアーゼ耐性を有意に高め、インビボで有利であり得る。
【0113】
特定の態様において、RNAi配列またはRNAi前駆体を含む本発明のポリヌクレオチドは、ヘアピン構造の形態である(ヘアピンRNAと呼ばれる)。ヘアピンRNAは、外因的に合成され得るか、またはインビボでRNAポリメラーゼIIIプロモーターから転写されることによって形成され得る。哺乳動物細胞において遺伝子サイレンシングのためのかかるヘアピンRNAを作製および使用する例は、例えば、Paddison et al., Genes Dev, 2002, 16:948-58; McCaffrey et al.,Nature, 2002, 418:38-9;McManus et al., RNA 2002, 8:842-50; Yu et al., Proc Natl Acad Sci USA, 2002, 99:6047-52に記載される。好ましくは、かかるヘアピンRNAは、所望の遺伝子の連続的および安定な抑制を保証するために細胞または動物内で操作される。miRNAおよびsiRNAが細胞中でヘアピンRNAをプロセッシングすることで産生され得ることが当該分野で公知である。
【0114】
さらに他の態様において、プラスミドは、例えば、転写産物として二本鎖RNAを送達するために使用される。コード配列が転写された後、相補性RNA転写物が塩基対形成し、二本鎖RNAを形成する。
【0115】
アプタマーおよび低分子
本発明はまた、AMDと関連するバリアントCFHポリペプチドに特異的に結合し、それによってバリアントCFHポリペプチドの活性を調節する治療アプタマーを提供する。アプタマーは、高い親和性および特異性を伴って特定の分子に結合し得る、RNAまたはDNAのような核酸分子であり得る(Ellington et al., Nature 346, 818-22(1990);およびTuerk et al., Science 249, 505-10(1990))。アプタマーは、標的分子の結合に対するインビトロ選択によって殆ど典型的に得られている。例えば、バリアントCFHポリペプチドと特異的に結合するアプタマーは、ポリヌクレオチドのプールからバリアントCFHポリペプチドへの結合についてのインビトロ選択によって得ることができる。しかしながら、アプタマーのインビボ選択も可能である。アプタマーは、同じ環境で他の物質が核酸と複合体形成しない環境下で意図される標的分子と複合体を形成し得る特定の結合領域を有する。一般に環境における他の物質または非関連分子に対するアプタマーの解離定数と比較する場合、結合の特異性は、リガンド(例えば、バリアントCFHポリペプチド)に対するアプタマーの比較解離定数(Kd)の点で定められる。リガンド(例えば、バリアントCFHポリペプチド)は、非関連物質への結合よりも大きい親和性を伴ってアプタマーに結合するものである。典型的に、リガンドに関するアプタマーのKdは環境の非関連物質または環境の付随物質に関するアプタマーのKdより少なくとも約10倍より低い。さらにより好ましくは、Kdは少なくとも約50倍より低く、より好ましくは少なくとも約100倍より低く、最も好ましくは少なくとも約200倍より低い。アプタマーは典型的に、約10〜約300ヌクレオチド長である。より一般に、アプタマーは、約30〜約100ヌクレオチド長である。
【0116】
目的の標的に特異的なアプタマーを選択する方法は、当該分野で公知である。例えば、有機分子、ヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、細胞表面の標的特徴、イオン、金属、塩、糖は全てそれぞれのリガンドと特異的に結合し得るアプタマーを単離するのに適切であることが示されている。例えば、Hoechst 33258等の有機色素は、インビトロアプタマー選択の標的リガンドとして首尾よく使用されている(Werstuck and Green, Science 282:296-298 (1998))。ドーパミン、テオフィリン、スルホローダミンB、およびセロビオースのような他の有機低分子はまた、アプタマーの単離においてリガンドとして使用されている。アプタマーはまた、カナマイシンA、リビドマイシン、トブラマイシン、ネオマイシンB、バイオマイシン、クロラムフェニコールおよびストレプトマイシンのような抗生物質について単離されている。低分子を認識するアプタマーの概説について、Famulok, Science 9:324-9 (1999)を参照。
【0117】
本発明のアプタマーは、全体的にRNAから構成され得る。しかしながら、本発明の他の態様において、アプタマーは代わりに全体的にDNA、または部分的にDNA、または部分的に他のヌクレオチドアナログから構成され得る。インビボで翻訳を特異的に阻害するために、RNAアプタマーが好ましい。かかるRNAアプタマーは、好ましくはRNAアプタマーに転写されるDNAとして細胞に導入される。あるいは、RNAアプタマー自体が、細胞に導入され得る。
【0118】
アプタマーは典型的に、SELEXとして公知の、公知のインビボまたはインビトロ(殆ど典型的に、インビトロ)選択技術(Ellington et al., Nature 346, 818-22 (1990);およびTuerk et al., Science 249, 505-10 (1990))を使用することで特定のリガンドと結合するように開発されている。アプタマーを作製する方法はまた、例えば、米国特許番号. 5,582,981、PCT 公開番号WO 00/20040、米国特許番号 5,270,163、Lorsch and Szostak, Biochemistry, 33:973 (1994), Mannironi et al., Biochemistry 36:9726 (1997)、Blind, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:3606-3610 (1999)、Huizenga and Szostak, Biochemistry, 34:656- 665 (1995)、PCT公開番号WO 99/54506、WO 99/27133、WO 97/42317および米国特許番号. 5,756,291に記載される。
【0119】
一般に、その大抵の基本形態において、アプタマーを同定するインビトロ選択技術は、ランダム化されるか、または変異化される少なくともいくつかの領域を含む所望の長さのDNA分子の広大なプールを最初に調製することを含む。例えば、アプタマー選択のための共通のオリゴヌクレオチドプールは、PCRプライマーの結合に有用な定められた配列の約15〜25ヌクレオチド長領域と両末端で隣接する20〜100のランダム化されるヌクレオチド領域を含み得る。選択された核酸配列の忠実で効率的な増幅を可能にする任意の手段が使用され得るが、オリゴヌクレオチドプールは標準のPCR技術を用いて増幅される。DNAプールは次にインビトロで転写され、RNA転写物を生じる。別の分子(例えば、タンパク質または任意の標的分子)に特異的に結合する能力を基にした核酸選択を可能にする任意のプロトコルが使用され得るが、RNA転写物は次にアフィニティークロマトグラフィーに供され得る。アフィニティークロマトグラフィーの場合、転写物は大抵典型的に、カラムを通過されるか、または標的リガンドが固定される磁気ビーズ等と接触される。リガンドと結合するプール中のRNA分子はカラムまたはビーズ上に保持されるが、非結合配列は洗浄される。リガンドと結合するRNA分子は次に逆転写され、PCRによって再度増幅される(通常、溶出後)。選択されたプール配列は次に、別の回の同型の選択を受ける。典型的に、プール配列は全体で選択手順の約3〜10の反復回を受ける。cDNAは次に標準手順を用いて増幅され、クローン化され、配列決定され、標的リガンドに対するアプタマーとして作用し得るRNA分子の配列を同定する。一度アプタマー配列が首尾よく同定されると、アプタマーは、突然変異誘発されたアプタマー配列を含むオリゴヌクレオチドのプールから開始する更なる回の選択を実施することでさらに最適化され得る。本発明における使用について、アプタマーは、好ましくは通常の生理学的条件を模倣する塩濃度および温度の存在下で結合するリガンドに対して選択される。
【0120】
どんな型の構造が所望のリガンドと結合し得るかについて以前の知識の完全な不足にも関わらず、インビトロ選択プロセスの独特の性質は、所望のリガンドと結合する適切なアプタマーの単離を可能にする。
【0121】
リガンドがアプタマーに結合するように機能し、リガンド投与の際に得られたリガンドの濃度で所望の効果を有するような、アプタマーおよび関連リガンドの結合定数であるのが好ましい。インビボ使用について、例えば、血清または他の組織で達成され得るリガンド濃度以下で結合が良好に生じるように結合定数はあるべきである。好ましくは、インビボ使用について必要なリガンド濃度はまた、生体に望ましくない効果を与え得る濃度以下である。
【0122】
本発明はまた、AMDと関連するバリアントCFHポリペプチドと特異的に結合し、それによってバリアントCFHポリペプチドの活性を阻害する低分子および抗体を提供する。低分子の例は、限定されず、薬物、代謝物、中間体、補因子、遷移状態アナログ、イオン、金属、毒素ならびに天然および合成ポリマー (例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、多糖、糖タンパク質、ホルモン、レセプターならびに細胞壁および細胞膜のような細胞表面) を含む。
【0123】
抗体
本発明の別の側面は、抗体に関する。1つの態様において、バリアントCFHポリペプチドと特異的に反応する抗体は、バリアントCFHポリペプチドの存在を検出するか、またはバリアントCFHポリペプチドの活性を阻害するために使用され得る。例えば、バリアントCFHポリペプチド由来の免疫原を使用することで、抗-タンパク質/抗-ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体が標準のプロトコルによって作製され得る(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual ed. by Harlow and Lane (Cold Spring Harbor Press: 1988)参照)。マウス、ハムスターまたはウサギのような哺乳動物は、バリアントCFHポリペプチド、抗体応答を誘発し得る抗原性断片、または融合タンパク質の免疫原形態で免疫され得る。特定の態様において、接種されたマウスは内在性CFHを発現しない、従ってさもなければ抗自己抗体として排除される抗体の単離を容易にする。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与する技術は、当該分野で周知の担体との結合または他の技術を含む。バリアントCFHポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与され得る。免疫化の進行は、血漿または血清における抗体価の検出によってモニターされ得る。標準ELISAまたは他の免疫アッセイは、抗体のレベルを評価するために抗原としての免疫原と共に使用され得る。
【0124】
バリアントCFHポリペプチドの抗原調製物を用いた動物の免疫後、抗血清を得ることができ、所望の場合、ポリクローナル抗体は血清から単離され得る。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)は、免疫動物から回収され、骨髄腫細胞等の不死化細胞を用いる標準の体細胞融合手順によって融合され、ハイブリドーマ細胞を生じ得る。かかる技術は当該分野で周知であり、例えば、ヒトモノクローナル抗体を産生するための、ハイブリドーマ技術(元々Kohler and Milsteinによって開発された, (1975) Nature, 256: 495-497)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbar et al., (1983) Immunology Today, 4: 72)、およびEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., (1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. pp. 77-96)を含む。ハイブリドーマ細胞は、バリアントCFHポリペプチドと特異的に反応する抗体の産生について免疫化学的にスクリーニングされ、モノクローナル抗体は、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離され得る。
【0125】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、バリアントCFHポリペプチドと特異的に反応もするその断片を含むことが意図される。抗体は慣用的な技術を用いて断片化され得、断片は上記記載の同じ様式で全抗体について有用性をスクリーニングされ得る。例えば、F(ab)2断片は抗体をペプシンで処理することで生じられ得る。得られたF(ab)2断片は、ジスルフィド架橋を還元するように処理され、Fab断片を生じ得る。本発明の抗体は、抗体の少なくとも1つのCDR領域によって付与されるバリアントCFHポリペプチドに親和性を有する二特異性分子、単鎖分子、キメラ分子およびヒト化分子を含むことがさらに意図される。好ましい態様において、抗体はそこに結合する標識をさらに含み、検出され得る(例えば、標識は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素または酵素の補因子であり得る)。
【0126】
特定の態様において、本発明の抗体は、モノクローナル抗体であり、特定の態様において、本発明は、バリアントCFHポリペプチドと特異的に結合する新規な抗体を生じる方法を利用可能にする。例えば、バリアントCFHポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体を生じる方法は、検出可能な免疫応答を刺激するのに有効なCFHポリペプチドを含む量の免疫原性組成物をマウスに投与する工程、マウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓からの細胞)を得る工程および抗体産生ハイブリドーマを得るために抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合する工程、ならびにバリアントCFHポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体を生じるハイブリドーマを同定するために抗体産生ハイブリドーマを試験する工程を含み得る。一度得られれば、ハイブリドーマは細胞培養、任意にハイブリドーマ由来細胞がCFHポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件下で増殖され得る。モノクローナル抗体は細胞培養物から精製され得る。
【0127】
抗体の参照に使用される場合、用語「特異的に反応する」は、当該分野で一般に理解されるように、抗体が目的の抗原(例えば、バリアントCFHポリペプチド)および目的でない他の抗原との間で十分に選択されることおよび抗体が特定の型の生物学的試料において、目的の抗原の存在を最小で検出するのに有用であることを意味することが意図される。治療応用のような、抗体を使用する特定の方法において、より高い程度の結合特異性が望ましくあり得る。モノクローナル抗体は一般に、所望の抗原および交差反応ポリペプチドの間を有効に区別するより高い傾向(ポリクローナル抗体と比較される場合)を有する。抗体:抗原相互作用の特異性に影響する1つの特性は抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性は異なる親和性の範囲に達せられ得るが、一般に好ましい抗体は約10-6、10-7、10-8、10-9以下の親和性(解離定数)を有する。
【0128】
さらに、望ましい抗体を同定するために、抗体をスクリーニングするのに使用される技術は、得られた抗体の特性に影響を与え得る。例えば、抗体が溶液中で抗原を結合するために使用される場合、溶液結合を試験することが望ましくあり得る。種々の異なる技術は、特に望ましい抗体を同定するために、抗体および抗原の間の相互作用の試験に利用可能である。かかる技術は、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、ビアコア結合アッセイ,Bia-core AB, Uppsala, Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International, Inc., Gaithersburg, Marylandの常磁性ビーズ系)、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学を含む。
【0129】
6.スクリーニングアッセイ
特定の側面において、本発明はCFHポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するためのCFHポリペプチドの使用に関する。このスクリーニングによって同定された化合物は、眼の細胞(例えば、上皮細胞および内皮細胞)ならびに他の組織(例えば、筋肉および/または神経)で試験され、インビボまたはインビトロでCFH活性を調節する能力を評価し得る。特定の側面において、このスクリーニングによって同定された化合物はドルーゼン沈着の形成を調節する。任意に、これらの化合物は、インビボでCFH活性を調節する能力を評価するために動物モデルでさらに試験され得る。
【0130】
CFHポリペプチドを標的とする治療剤をスクリーニングする多くのアプローチがある。特定の態様において、化合物のハイスループットスクリーニングは、CFHポリペプチドの活性に作用する薬剤を同定するために実施され得る。種々のアッセイ形式が十分であり、本開示を考慮して、本明細書中に特に記載されないものは、それでもなお当業者によって理解される。本明細書中に記載されるように、本発明の試験化合物(薬剤)は、任意のコンビナトリアル化学方法によって作られ得る。あるいは、主題の化合物はインビボまたはインビトロで合成される天然生体分子であり得る。CFH活性のモジュレーターとして作用する能力を試験されるべき化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵母、植物または他の生物によって産生され得るか(例えば、天然物)、化学的に生成され得るか(例えば、ペプチド模倣物を含む低分子、)、または組換え産生され得る。本発明によって企図される試験化合物は、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモン、および核酸分子を含む。
【0131】
本発明の試験化合物は、単一の、別々な実体として提供され得るか、またはコンビナトリアル化学によって作製されるような、より大きな複雑性のライブラリー中に提供され得る。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハロゲン化物、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび他の種の有機化合物を含み得る。試験系に対する試験化合物の提示は、特に最初のスクリーニング工程において、単離された形態または化合物の混合物としてのいずれかであり得る。任意に、化合物は他の化合物を用いて任意に誘導化され得、化合物の単離を容易にする誘導基を有し得る。誘導基の非限定例は、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑蛍光タンパク質、アイソトープ、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオン S トランスフェラーゼ(GST)、光活性可能な架橋剤またはその任意の組み合わせを含む。
【0132】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、所定の時間で調査される化合物の数を最大にするためにハイスループットアッセイが望ましい。精製タンパク質または半精製タンパク質に由来され得るような、無細胞系で実施されるアッセイは、これらが、試験化合物によって媒介される分子標的における迅速な開発および改変の比較的容易な検出を可能にするように生じられ得る点で「一次」スクリーニングとしてしばしば好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用能の効果がインビトロ系では一般に無視され得、アッセイは代わりに分子標的に対する薬物の効果に主に焦点を合わせられる。
【0133】
特定の態様において、主題の化合物は、本発明のCFHポリペプチドと相互作用する能力によって同定される。化合物およびCFHポリペプチドの間での相互作用は、共有または非共有であり得る。例えば、かかる相互作用は、光架橋、放射性標識リガンド結合、およびアフィニティークロマトグラフィーを含むインビトロ生化学方法を用いてタンパク質レベルで同定され得る(Jakoby WB et al., 1974, Methods in Enzymology 46:1)。特定の場合において、化合物は、CFHポリペプチドと結合する化合物を検出するアッセイのような、メカニズムベースアッセイにおいてスクリーニングされ得る。これは、固相または流体相結合事象を含み得る。あるいは、CFHポリペプチドをコードする遺伝子は、細胞にレポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑蛍光タンパク質)と共にトランスフェクションされ得、好ましくはハイスループットスクリーニングによってまたはライブラリーの各メンバーを用いてライブラリーに対してスクリーニングされ得る。他のメカニズムベース結合アッセイは、例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを使用され得る。結合アッセイはウェル、ビーズもしくはチップに固定されるか、または固定された抗体によって捕捉されるか、またはキャピラリー電気泳動によって分離される標的を用いて実施され得る。結合した化合物は、通常、比色定量または蛍光または表面プラズモン共鳴を用いて検出され得る。
【0134】
7. 医薬組成物
AMDを患う被験体を処置するための、本明細書中に記載される方法および組成物は、AMDを発現するリスクがあると診断または予想された個体の予防処置に使用され得る。この場合において、組成物は、AMDまたは関連の症状の開始を遅延、緩徐、または予防するのに十分である量および用量で投与される。あるいは、本明細書中に記載される方法および組成物は、AMDを患う個体の治療処置に使用され得る。この場合において、組成物は、全体的にまたは部分的に状態の進行を遅延もしくは緩徐するのに十分な量および用量、あるいは障害を除去する程度まで状態を逆転するのに十分な量および用量で投与される。AMDを発現するリスクがあると診断または予想される被験体を処置するための有効量の組成物は、被験体を処置するか、または障害自体を処置するのに十分な量である用量または量であることが理解される。
【0135】
特定の態様において、本発明の化合物(例えば、CFHポリペプチドをコードする単離された核酸分子もしくは組換え産生された核酸分子または単離されたCFHポリペプチドもしくは組換え産生されたCFHポリペプチド)は、薬学的に許容され得る担体と配合される。例えば、CFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコードする核酸分子は、単独でまたは医薬製剤(治療組成物)の成分として投与され得る。主題の化合物は、ヒト医薬の使用について任意の都合の良い方法における投与のために配合され得る。
【0136】
特定の態様において、本発明の治療方法は、局所、全身または局部に組成物を投与する工程を含む。例えば、本発明の治療組成物は、例えば、注射(例えば、静脈内、皮下、もしくは筋肉内)、吸入または通気(口もしくは鼻を介してのいずれか)または経口、頬、舌下、経皮、鼻腔、または非経口投与による投与のために配合され得る。本明細書中に記載される組成物はインプラントまたは装置の一部として配合され得る。投与される場合、本発明の使用のための治療組成物は、発熱物質を含まない、生理学的に許容され得る形態である。さらに、組成物は、眼の細胞へのような、標的細胞が存在する部位への送達のために粘性形態でカプセル化または注射され得る。技術および配合は一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co., Easton, PAに見出され得る。CFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコードする核酸分子に加えて、治療上有用な薬剤は、上記に記載されるように任意の組成物に任意に含まれ得る。さらに、治療上有用な薬剤は代替的にまたはさらに、本発明の方法に従うCFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコードする核酸分子と同時的または連続的に投与され得る。
【0137】
特定の態様において、本発明の組成物は、例えば、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(風味主成分、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントゴムを用いる)、粉末、顆粒の形態で、または水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型液体乳剤もしくは油中水型液体乳剤として、またはエリクシルもしくはシロップとして、または香錠として(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアのような、不活性基剤を用いる)および/またはうがい薬等として、経口投与され得、それぞれは活性成分として予め決めた量の薬剤を含む。薬剤はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与され得る。
【0138】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒等)において、本発明の1つ以上の治療化合物が、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または任意の以下のような、1つ以上の薬学的に許容され得る担体と混合され得る: (1)充填剤または増量剤、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/または珪酸等; (2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア等; (3)保湿剤、グリセロール等; (4)崩壊剤、寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の珪酸塩、および炭酸ナトリウム等; (5)溶液抑制剤(solution retarding agent)、パラフィン等; (6)吸収促進剤、第4級アンモニウム化合物等; (7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアリン酸塩等; (8)吸収剤、カオリンおよびベントナイト粘土等;(9)滑沢剤、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物等;ならびに(10)着色剤。カプセル、錠剤および丸剤の場合において、医薬組成物はまた、緩衝剤を含み得る。同類の型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いた軟充填および硬充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用され得る。
【0139】
経口投与のための液体投薬形態は、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリクシルを含む。活性成分に加えて、液体投薬形態は、水または他の溶媒のような当該分野で通常使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽(germ)油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルのような可溶化剤および乳化剤、ならびにそれらの混合物等を含み得る。不活性希釈剤に他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香料剤、着色剤、芳香剤および防腐剤のような補助剤を含み得る。
【0140】
活性化合物に加えて、懸濁液は、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物(metahydroxide)、ベントナイト、寒天-寒天およびトラガカントゴム、ならびにそれらの混合物のような懸濁剤を含み得る。
【0141】
本明細書中に開示される特定の組成物は、皮膚または粘膜へのいずれかに局所投与され得る。局所製剤は、皮膚または角質層の浸透増強剤として有効である公知の、1つ以上の広く多様な薬剤をさらに含み得る。これらの例は、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルアルコールまたはイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、およびアゾン(azone)である。さらなる薬剤は、製剤を化粧的に許容可能にすることをさらに含まれ得る。これらの例は、脂肪、ワックス、オイル、色素、香水、防腐剤、安定剤、および表面活性剤である。当該分野で公知なもののような角質溶解剤もまた、含まれ得る。例はサリチル酸および硫黄である。
【0142】
局所投与または経皮投与のための投薬形態は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、貼付剤、および吸入剤を含む。活性化合物は、薬学的に許容され得る担体、および任意の防腐剤、バッファ、または必要とされ得る高圧ガスと無菌条件下で混合され得る。軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の主題の化合物(例えば、CFHポリペプチドをコードする単離された核酸分子もしくは組換え産生された核酸分子または単離されたCFHポリぺプチドもしくは組換え産生されたCFHポリぺプチド)に加えて、動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、珪酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含み得る。
【0143】
主題の化合物に加えて、粉末およびスプレーは、ラクトース、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、カルシウム珪酸塩、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含み得る。スプレーは、通例の高圧ガス、クロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素等、ブタンおよびプロパン等をさらに含み得る。
【0144】
例えば、本発明の主題の化合物(例えば、CFHポリペプチドをコードする単離された核酸分子もしくは組換え産生された核酸分子または単離されたCFHポリぺプチドもしくは組換え産生されたCFHポリぺプチド)の作用を改変する種々の因子、AMDの重篤度または段階、投与経路、ならびに年齢、体重およびサイズのような個体に特有な特徴を考慮して、投薬養生法が個体のために決定されることが理解される。当業者は被験体を処置するために必要な投薬量を決定し得る。1つの態様において、投薬量は、被験体の約1.0 ng/kg〜約100 mg/kg体重の範囲であり得る。組成物を基にして、用量は連続的に、または定期的な間隔で送達され得る。例えば、1つ以上の別々の機会である。特定の組成物の複数用量の所望の時間間隔は、当業者によって過度の実験なしに決定され得る。例えば、化合物は、毎時、毎日、毎週、毎月、毎年(例えば、時間放出形式において)または一度の送達として送達され得る。
【0145】
特定の態様において、非経口投与に適切な医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る滅菌等張性水性溶液または非水性溶液、分散剤、懸濁剤もしくは乳剤、またはちょうど使用前に注射可能な滅菌溶液または分散剤に再構築され得る滅菌散剤と組み合わせたCFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコ−ドする核酸分子を含み得、抗酸化剤、バッファ、静菌剤、意図される受血者の血液と共に製剤を等張にする溶質もしくは懸濁剤または増粘剤を含み得る。本発明の医薬組成物に使用され得る適切な水性担体および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール類(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)、ならびにそれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルを含む。適当な流動性は、例えば、レシチンのような被覆物質の使用によって、分散剤の場合において必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0146】
本発明の組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含み得る。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸のような種々の抗菌剤および抗真菌剤の含有によって保証され得る。組成物に糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を含むことも望ましくあり得る。さらに、注射可能な医薬形態の延長された吸収は、アルミニウムモノステアリン酸およびゼラチンのような吸収を遅延する薬剤の含有によってもたらされ得る。
【0147】
特定の態様において、本発明はまた、CFHポリペプチドのインビボ産生のための遺伝子治療を提供する。かかる治療は、正常なCFH機能が欠損した細胞または組織へのCFHポリヌクレオチド配列の導入によって治療効果を達成する。CFHポリヌクレオチド配列の送達は、キメラウイルスのような組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を用いて達成され得る。標的に向かうリポソームはまた、CFHポリヌクレオチド配列の治療送達に使用され得る。
【0148】
本明細書中に教示されるような遺伝子治療に使用され得る種々のウイルスベクターとしては、アデノウイルス、疱疹ウイルス、ワクシニア、またはレトロウイルスのようなRNAウイルスが挙げられる。レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリレトロウイルスの誘導体であり得る。単一の外来遺伝子が挿入され得るレトロウイルスベクターの例としては:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が挙げられるがこれらに限定されない。多くのさらなるレトロウイルスベクターは、複数の遺伝子を組み込み得る。これらのベクターの全ては、選択可能マーカーに対する遺伝子を移動または組み込み得、その結果、形質導入された細胞が同定および産生され得る。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合することによって標的特異的にされ得る。好ましい標的化は抗体を使用することによって達成される。当業者は、特定のポリヌクレオチド配列がCFHポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするようにレトロウイルスゲノムに挿入されるかまたはウイルスエンベロープに結合され得ることを認識する。1つの好ましい態様において、ベクターは、眼の細胞または組織に標的化される。
【0149】
あるいは、組織培養細胞は、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによって、レトロウイルス構造遺伝子である、gag、polおよびenvをコードするプラスミドで直接トランスフェクトされ得る。次いで、これらの細胞は、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトされる。得られた細胞は、培養培地にレトロウイルスベクターを放出する。
【0150】
CFHポリヌクレオチドに対する別の標的化された送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボで送達ビヒクルとして有用な人工の膜ベシクルである。RNA、DNAおよび無傷のビリオンは、水性内部にカプセル化され、生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(例えば、Fraley, et al., Trends Biochem. Sci., 6:77, 1981を参照)。リポソームビヒクルを使用する有効な遺伝子移動のための方法は、当該分野で公知であり、例えば、Mannino, et al., Biotechniques, 6:682, 1988を参照。リポソームの組成物は、通常ステロイド、特にコレステロールと組み合わせた、通常リン脂質の組み合わせである。他のリン脂質または他の脂質もまた使用され得る。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度および二価カチオンの存在に依存する。
【0151】
リポソーム生成に有用な脂質の例としては、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドのようなホスファチジル化合物が挙げられる。例示的なリン脂質としては、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine)およびジステアロイルホスファチジルコリン(distearoylphosphatidylcholine)が挙げられる。リポソームの標的化はまた、例えば、器官特異性、細胞特異性および細胞小器官特異性に基づいて可能であり、当該分野で公知である。
【0152】
さらに、医薬調製物は、許容され得る希釈剤中の遺伝子送達系から本質的に成り得るか、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる遅延放出マトリクスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達系が例えばレトロウイルスパッケージのような組換え細胞から無傷に産生され得る場合、医薬調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。後者の場合、ウイルスパッケージング細胞を導入する方法は、例えば、再詰め込み可能なまたは生分解性の装置によって提供され得る。種々の遅延放出ポリマー性装置が、タンパク質様生体医薬を含む薬物の制御送達のために最近開発され、インビボで試験され、ポリマー組成物および形態の操作によるウイルス粒子の放出に適合され得る。生体分解性ポリマーおよび非分解性ポリマーの両方を含む種々の生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)は、特定の標的部位に移植された細胞によるウイルス粒子の徐放性のための移植物を形成するために使用され得る。本発明のかかる態様は、ポリマー性装置に組み込まれた外因性の精製されたウイルスの送達のために、またはポリマー性装置にカプセル化された細胞によって産生されるウイルス粒子の送達のために使用され得る。
【0153】
当業者は、被験体を処置するために必要な量を決定することができる。投薬量レジメンは、例えば、本発明の主題の化合物の作用を改変する種々の因子、AMDの重篤度または段階、投与の経路ならびに年齢、体重および大きさのような個体に特有の特徴を考慮して、個体について決定され得ることが理解される。当業者は、被験体を処置するために必要な投薬量を決定することができる。1つの態様において、投薬量は、被験体の体重につき約1.0ng/kg〜約100mg/kgの範囲にわたり得る。用量は、連続的にまたは周期的な間隔で送達され得る。例えば、1つ以上の別々の機会に。特定の組成物の複数用量の所望される時間間隔は、当業者による過度の実験なしに決定され得る。例えば、化合物は、1時間に一度、1日に一度、1週間に一度、1ヶ月に一度、1年に一度(例えば、時間放出形態において)または1回の送達として送達され得る。本明細書中に使用される場合、用語「被験体」は、AMDを罹患することになり得る任意の個々の動物を意味する。被験体としては、ヒト、霊長類、ウマ、トリ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、イタチおよびウサギが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい態様において、被験体はヒトである。
【0154】
本明細書中に記載される方法において使用される試料は、十分なDNAまたはRNAが得られ得る眼、耳、鼻、歯、舌、表皮、上皮、血液、涙、唾液、粘液、尿路、尿、筋肉、軟骨、皮膚または任意の他の組織もしくは体液を含み得る。
【0155】
試料は、存在するDNAまたはRNAを、本明細書中に記載される方法におけるアッセイに対して利用可能になるように十分に処理されるべきである。例えば、試料は、試料由来のDNAが増幅または別のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに利用可能であるように処理され得る。処理された試料は、利用可能なDNAまたはRNAが他の細胞材料から精製されない粗溶解物であり得る。あるいは、試料は、その天然の供給源に存在する1つ以上の夾雑物から利用可能なDNAまたはRNAを単離するために処理され得る。試料は、DNAまたはRNAを本明細書中に記載される方法におけるアッセイに対して利用可能にする当該分野で公知の任意の手段によって処理され得る。試料を処理する方法としては、細胞および細胞溶解物を溶解および/または精製する機械的、化学的または分子的手段が挙げられ得るがこれらに限定されない。処理方法としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動およびポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いる免疫アフィニティー精製が挙げられる。
【0156】
(8.キット)
本明細書中には、例えば、治療目的のためのキットまたは個体由来の試料中のバリアントCFH遺伝子を検出するためのキットのようなキットもまた提供される。1つの態様において、キットは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子中のバリエーションに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブの前もって測定された用量をその中に配置された少なくとも1つの容器手段を含む。別の態様において、キットは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子中のバリエーションの1つの側の近位に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーの前もって測定された用量をその中に配置された少なくとも1つの容器手段を含む。さらなる態様において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子中のバリエーションのもう1つの側に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする第2のポリヌクレオチドプライマーは、前もって測定された用量で提供される。キットはさらに、試料中のCFHの検出における治療キットまたは診断キットの使用のための標識および/または指示書を含む。キットはまた、非限定的に、氷、ドライアイス、スタイロフォーム、泡沫、プラスチック、セロファン、収縮包装フィルム、発泡ビニールシート、紙、厚紙、スターチピーナツ(starch peanuts)、ビニールタイ、金属クリップ、金属缶、ドライアライト、ガラスおよびゴムのようなパッケージング材料(パッケージング材料の例について、www.papermart.com.から入手可能な製品を参照)を含む。
【0157】
本方法の実施は、他に示されない限り、当該分野の技術の範囲内である、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術を使用する。かかる技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (2001); DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed., 1984); Mullis et al. U.S. Patent No: 4,683,195; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987);Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N. Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Methods In Enzymology, VoIs. 154 and 155 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986); Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1986)を参照。
【0158】
(実施例)
以下の実施例は、例示の目的のためであり、いずれの方法においても限定することを意図されない。
(実施例1:AMDに関連する遺伝子についての全ゲノムSNP関連)
AMDに関与する遺伝子についての全ゲノムケースコントロール関連研究が、本明細書中に記載される。2つの決定的な因子が、この実験の設計において使用され;明確に定義された表現型が、症例およびコントロールについて選択される。症例の定義は、視力の衰えたAMD(地図状萎縮または血管新生AMD)の写真的証拠と組み合わせた、少なくともいくつかの大きなドルーゼンの存在の定量的写真的評価の両方に基づいた。コントロールの定義は、ドルーゼンをもたないか数個の小さなドルーゼンのみを有するかのいずれかである研究参加人に基づいた。データは、試験された多くのSNPを補正するために統計的保存アプローチを使用して解析され、それによって偽陽性の実際の可能性は、報告されたp値以下であることを保証した。
【0159】
年齢関連眼疾患研究(AREDS)(AREDS Research Group, Arch Ophthamol 119, 1417, (2001))に参加した個体の部分集団を、関連研究に使用した。AREDS試料から、彼らの最近の研究訪問時に、単眼脈絡膜新生血管(50症例)または斑の中心もしくは非中心のいずれかに地図状萎縮(46症例)のいずれかを有した96症例の被験体を同定した。これらの症例被験体の同類の眼は、少なくとも1つの大きなドルーゼン(>直径125μm)および少なくとも直径1061μmの円に等価な全ドルーゼン面積を有することが要求された。脈絡膜新生血管または地図状萎縮のいずれかの進行に対して多くの前駆体が存在し得るので、大きなドルーゼンおよび視力が衰えたAMDの両方を有する研究参加人の群を選択した。コントロールは、AREDSへの参加の間にドルーゼンをほとんどまたは全く有さなかった(各眼において直径が<63μm)AREDS試料からの50の個体であった。全ての個体は、「白人、ヒスパニック起源でない」と同定された。可能な程度まで、性別および喫煙状態の割合を、症例とコントロールとで同じに維持した。コントロールを、AMDを有さずにいる可能性を上昇させるために、故意に症例より年齢が上であるように選択した(表1)。
【0160】
【表1】
【0161】
(実施例2:研究集団中の個体の遺伝子型決定およびSNP同定)
各個体を、Affymetrix GeneChip Mapping 1OOK Setのマイクロアレイ(H. Matsuzaki et al., Nat Methods 1, 109 (2004))を使用して、遺伝子型決定をした。このマッピングアッセイは、約50000SNPを有する2つのチップ(XbaIおよびHindIII)からなり、各々は各個体に対して使用される。約250ngのゲノムDNAを、2つの制限酵素XbaIおよびHindIIIで消化し、Affymetrixプロトコル(H. Matsuzaki et al., Nat Methods 1, 109 (2004))に従って処理した。画像を、GDASソフトウェア(Affymetrix)を使用して解析した。各チップから得られたデータについて、2つの内部質コントロール基準を使用した:コール割合(call rate)は、いつも95%を超え、X染色体上のヘテロ接合性は、個体の性別を正しく同定した。31の同じSNPをチップの両方に配置し、混乱した(confused)試料がないことを確実にするために同じ個体について同じ遺伝子型を生じることを確認した。
【0162】
この系の再現性を試験するために3つの実験を実施した。第1に、4つの試料をXbaチップで2回処理した。次に、Affymetrixによって提供される参照DNAポジティブコントロールの2つの複製を、試料と一緒にXbaチップ上を流した。最後に、3人の個体についての結果を、このアッセイの精度を試験するためにAffymetrix 10K SNPプラットフォームを使用して遺伝子型決定と比較した(H. Matsuzaki et al., Genome Res 14, 414 (2004))。
【0163】
各SNPに対する遺伝子型コール(call)を生じる個体のパーセンテージの評価は、各個々のSNPに対する遺伝子型決定の質を試験するためになされた。100%のコール割合を有するSNPは、全ての個体がこのSNPについて遺伝子型を首尾よく割り当てられ、失われたデータがないことを意味する。コール割合は、遺伝子型決定が一貫して問題であったSNPを除去するために少なくとも85%である必要があった。これらのSNPは情報価値が無いので、データ中で単形のSNPをまた除去した。遺伝子型頻度がHardy-Weinberg平衡期待値からはずれる(HWD χ2>25, P = 0.05, ldf, Bonferroni補正後)SNPを、真の不平衡ではなく遺伝子型決定誤差を含むかもしれないので除去した。全試料中にホモ接合体が観察されないSNPをまた、誤差に起因するかもしれず、除去した。遺伝子型決定された116204のSNP、少なくとも85%のコール割合を有する105980のSNP、観察された両方の対立遺伝子、観察された少なくとも1つのホモ接合体、および25以下のHWDχ2を全て一緒に、見出し、考慮した。これらの中で、22の常染色体上にある103611のSNPを分析した。遺伝子型決定の質の概要は、表2に見出され得る。
【0164】
【表2】
【0165】
(実施例3:疾患状態に関連するSNPの統計的解析)
疾患状態関連対立遺伝子を各SNPについて試験した。対立遺伝子頻度の2×2分割表(contingency table)を構築した。Pearsonχ2値およびP値を、1自由度に関連しないヌル仮定下で中心χ2分布に基づいて計算した。名目上のP値を、Bonferroni補正を適用することによって複数の試験について補正し、ここで、0.05/103611=4.8×10−7未満のP値を有するSNPのみを考慮した。これは、Bonferroni補正P値を生じた。この補正は、保存的であることが公知であり、従って、未処理のp値を「過補正」し得る(L. M. Mclntyre, E. R. Martin, K. L. Simonsen, N. L. Kaplan, Genet Epidemiol 19, 18 (2000))。この技術は、真の関連を見渡し得、その一方で、多くの複数比較について調節し、偽陽性の割合を過小評価しないp値を生じる。
【0166】
ゲノムコントロールの2つの方法を、集団層別化、GCおよびGCFを捜すために使用した(B. Devlin, S. A. Bacanu, K. Roeder, Nat Genet 36, 1129 (2004))。最初の方法において、中央χ2値を、疾患と関連がないと仮定される多くのSNP(ヌルSNP)との対立遺伝子関連に対して採った。試験統計χ2(1)値を、この中央値で割り、χ2分布を使用して有意性について試験した。あるいは、GCF法について、ヌルχ2統計の中央値ではなく平均を使用し;有意性の指数を、Lが、使用されたヌルSNPの数であるF(1,L)分布を使用して試験した(B. Devlin, S. A. Bacanu, K. Roeder, Nat Genet 36, 1129 (2004))。2つの異なる関連しないSNPのセットを使用した:全てのSNPは、2つの有意なもの(以下を参照)を除いて首尾よく遺伝子決定され、2つのチップの間で共通である31のSNPのセットがアッセイにおいて使用された(上記実施例2参照)。
【0167】
4つ全ての配偶子が観察される近位のSNPを捜し(R. R. Hudson, N. L. Kaplan, Genetics 111, 147 (1985))、領域をそこではずませることによって、候補領域を定義した。候補領域でのSNPの間の連鎖不平衡を見るために、領域におけるハプロタイプ頻度を、PHASEバージョン2.1(M. Stephens, P. Donnelly, Am J Hum Genet 73, 1162 (2003); M. Stephens, N. J. Smith, P. Donnelly, Am J Hum Genet 68, 978 (2001))を使用して推測した。全領域にわたって推測されたハプロタイプ頻度に基づいて、対の連鎖不平衡を、全ハプロタイプ頻度によって含まれる2つの位置のハプロタイプ頻度をまず計算することによって計算した。次いで、連鎖不平衡の基準D’を、標準方程式(D. L. Hartl, A. G. Clark, Principles of Population Genetics (Sinauer Associates, Sunderland, MA, ed. Third, 1997))を使用して計算し、プログラムGOLD(G. R. Abecasis, W. O. Cookson, Bioinformatics 16, 182 (2000))を使用してプロットした。
【0168】
4−配偶子領域内により小さなハプロタイプブロックを定義するために、HapMapデータウェブサイト(http://www.hapmap.org)を使用した。SNP rs10494744とrs10484502との間の領域におけるSNPについての遺伝子型をダウンロードした。CEU集団(北西ヨーロッパ家系のCEPH Utah集団)についての遺伝子型をダウンロードし、Haploviewバージョン3.0を使用して可視化した。次いで、ハプロタイプブロックをGabrielらの方法およびパラメーター(S. B. Gabriel et al., Science 296, 2225 (2002))を使用して定義した。
【0169】
HapMapブロックによって定義されるより狭い領域にわたるハプロタイプをまた、PHASEバージョン2.1を使用して推測した。少なくとも1%の推定頻度を有するハプロタイプを、さらなる分析に対して考慮した。系統発生樹をPHYLIP3.62(「dnapars」プログラム)の最大節減を使用して構築した。入れ子分岐論フレームワークにおけるオッズ比をハプロタイプについて計算した(P. Armitage, G. Berry, Statistical Methods in Medical Research (Blackwell Scientific Publications, Oxford, ed. Second, 1987); A. R. Templeton, E. Boerwinkle, C. F. Sing, Genetics 117, 343 (1987))。
【0170】
オッズ比、信頼区間および人口寄与リスクを、P. Armitage, G. Berry, Statistical Methods in Medical Research (Blackwell Scientific Publications, Oxford, ed. Second, 1987)に記載されているように計算した。目的の対立遺伝子の集団頻度(以下の実施例4を参照)は、相対的に高く、ホモ接合のrs380390およびrs1329428それぞれについて23%および41%である。従って、ここで使用されるケースコントロール設計研究から必然的に計算されるオッズ比は、生涯リスクを計算するために必要とされる等価相対リスク推定値を過大評価する(有意なレベルを変更することなしに)。将来のコホート研究設計は、対立遺伝子を有し、それを受け継がなかったヒトにおける生涯リスクの妥当な推定値を提供する。
【0171】
(実施例4:補体H因子における多型はAMDに関連する)
常染色体SNPのうち、rs380390およびrsl0272438の2つのみは、疾患状態と有意に関連する(それぞれBonferroni補正されたp=0.0043およびp=0.0080;図1A)。この1つのようなケースコントロール関連研究の1つの批評は、集団層別化が偽陽性の結果を生じ得るということである。症例およびコントロールが異なる対立遺伝子頻度を有する異なる家系の集団から引き出される場合、疾患に関連する位置の代わりにこれらの集団の違いを検出することは可能である。本研究における全ての個体は、非ヒスパニック白人として彼らの民族性を自己同定するが、症例およびコントロール個体の全ては、同じAREDS集団から引き出される。事務所実践からの症例のいくつかの特異な補充ならびにラジオおよび新聞広告からのコントロールのいくつかの特異な補充があった(AREDS Research Group, Ophthamology 107, 2224 (2000))。100000未満から2のSNPを発見することは、遺伝的層別化とは関与しないが、ゲノムコントロール法は、この可能性をコントロールするために使用された(B. Devlin, S. A. Bacanu, K. Roeder, Nat Genet 36, 1129 (2004))。試験の有意性は膨れ上がらず、従って、これら2つのSNPが疾患と有意に関連することが、一貫して見出された。
【0172】
SNP rs380390は、全ての個体において首尾よく遺伝子型決定された。21の個体において、SNP rsl0272438について遺伝子型が決定されたものは無く、Hardy-Weinberg平衡から過度に外れているように見え(HWEχ2=36)、このことは、可能な遺伝子型決定誤差を示す。得られなかった遺伝子型は、再配列決定によって決定された。これらのさらなる遺伝子型を含んだ後、関連は、Bonferroni補正の後もはや有意ではなかった。さらに、第3の最も低いp値を有するSNP、rs1329428(Bonferroni補正されたp=0.14)は、同じ染色体上のrs380390から1.8kb離れて位置している。これら2つの近接する位置での遺伝子型頻度は、症例とコントロール集団との間で明確に変化する(図1B)。rs380390でのC対立遺伝子およびrs1329248でのC対立遺伝子に対するホモ接合体は、AMD発現の増加したリスクを明らかに有する(表1)。これらの遺伝子型によって与えられたリスクは、集団において観察される症例の約45%(rs380390)〜61%(rs1329248)を説明する(表3)。従って、本出願人らは、本出願人らの最も見込みのある位置に印をつける場合、これら2つのSNPに焦点を当てることを決定した。
【0173】
【表3】
【0174】
rs380390およびrs1329248は、補体H因子(CFH)に対する遺伝子のイントロンにある。これらのSNPの両方は、何もコードしておらず、いずれも保存された配列を変更しないようであるので、これら2つのSNPは、対応する機能的変異を有する連鎖不平衡に存在し得る。機能的変異が存在し得る領域の範囲を定めるために、この領域にわたる連鎖不平衡を分析した(図2A)。2つの関連するSNPは、約500kb長の高度の連鎖不平衡の領域に存在する。この領域は、高度の連鎖不平衡の他の典型的に観察されるブロックより長く(S. B Gabriel et al., Science 296, 2225 (2002))、本出願人らのデータセットにSNPが存在しないこの領域に長いストレッチが存在する(図2B)ので、より密なSNPの存在範囲を有する他のデータ供給源を、領域を狭くするために使用した。
【0175】
International HapMapプロジェクトからのデータを、北西ヨーロッパからの家系を有するUtahの居住者の集団(CEPH試料)における連鎖不平衡のパターンを分析するために使用した(The International HapMap Consortium, Nature 426, 789 (2003))。目的の500kbの領域において、HapMapデータセット中に152のSNPが存在する。連鎖不平衡ブロックの標準的な定義(S. B Gabriel et al., Science 296, 2225 (2002))を使用して、2つの関連するSNPが、41kb長でありCFH遺伝子に完全に含まれるブロックに存在することが見出された(図2C)。
【0176】
この41kb領域には、本研究のデータセットからの6のSNPが存在する。これらのSNPは、1%より大きな頻度を有する4の優性ハプロタイプを形成する(表4)。合わせると、これら4つのハプロタイプは、この研究において99%の染色体を示す。推測されたハプロタイプの再構築および系統発生樹を構築することは、ハプロタイプ間の進化関係の評価を可能にした(図2D)。各個体に対して、推測されたハプロタイプを使用して、優性および劣性モデルの両方下での入れ子分岐論フレームワークにおける疾患のオッズ比を計算した(A. R. Templeton, E. Boerwinkle, C. F. Sing, Genetics 117, 343 (1987))。SNP rs380390でリスク対立遺伝子を含む唯一のハプロタイプであるハプロタイプN1によって、最も高いリスクが与えられる。
【0177】
【表4】
【0178】
このハプロタイプの少なくとも1つのコピーを有することは、AMDに対するリスクを4.6倍に増加する(95% CI 2.0−11)。このハプロタイプの2つのコピーを有することは、AMDに対するリスクを7.4倍に増加する(95% CI 3.0−19)。従って、機能的に関連のある変異は、ハプロタイプN1の背景に見出されるはずである。この変異は、41kbのハプロタイプブロックの全体がCFH内にあるので、CFH遺伝子のどこかで生じる。
【0179】
(実施例5:再配列決定は、CFHにおけるバリエーションがAMDと関連することを確認する)
AMDに対する感受性に根元的な機能的変異を同定するために、96の個体(66症例および30コントロール)を、エキソン/イントロン接合部を含めてエキソン再配列決定のために選択した。これらの個体のほとんどを、SNP rs380390がホモ接合であった(反対のリスク群を示す)からか、またはSNP rs10272438が首尾よく遺伝子型決定されなかった(同じプレートが遺伝子型決定のためにこのSNPを再配列決定するために使用された)からのいずれかのために選択した。3人のさらなる個体を、完全なプレートについて総計96を得るためにランダムに選択した。プライマー設計、PCR増幅、PCR産物の2方向配列決定および突然変異解析をGenaissance (New Haven, CT)によって実施した。
【0180】
41kbブロックの外側のものを含む全てのCFHエキソンおよびコントロールとしてSNP rs380390の領域を配列決定した。優先順位を、ハプロタイプの決定を容易にするためにSNP rs380390でホモ接合体を配列決定することに与えた。SNP rs380390を、93個体において首尾よく再配列決定し;再配列決定に由来する遺伝子型は、全ての場合において元の遺伝子型と一致した。50の多型の全部を同定し;これらの17が少なくとも5%の少数対立遺伝子頻度を有する(表5)。これら17の中で、3は、非同義変異を示す。これらのSNPが対立遺伝子関連χ2基準に基づいてランク付けされる場合、SNP rs1061170は、非同義SNPの中で最も関連する。このSNPは、チロシンとヒスチジンとの間の変異を示す。このSNPは、41kbハプロタイプブロックのほんの2kb上流のCFHのエキソン9に位置する。このSNPをハプロタイプ分析に加えることは、最も高いリスクハプロタイプ(N1)を有する染色体の97%がリスク対立遺伝子(His)を有することを明らかにする。
【0181】
【表5】
【0182】
他のデータは、CFH中の変異がAMDと関連するという発見を支持する。CFHに対する遺伝子は、染色体1q31、AMDに関与すると6の独立した連鎖スキャンによって以前に同定された領域に位置する(J. Majewski et al., Am J Hum Genet 73, 540 (2003); J. M. Seddon, S. L. Santangelo, K. Book, S. Chong, J. Cote, Am J Hum Genet 73, 780 (2003); D. E. Weeks et al., Am J Hum Genet 75, 174 (2004); G. R. Abecasis et al., Am J Hum Genet 74, 482 (2004); S. K. Iyengar et al., Am J Hum Genet 74, 20 (2004);and D. W. Schultz et al., Hum MoI Genet 12, 3315 (2003))。これらの連鎖研究の1つにおいて、1つの大きな家系図を使用して、著者らは、この領域の異なる遺伝子(HEMICENTIN-1)中の変異がAMDの原因であることを結論付けた(D. W. Schultz et al., Hum MoI Genet 12, 3315 (2003))。この結論は、試験された多型の全てのうち、HEMICENTIN-1変異のみが疾患状態と完全に共分離されたという観察に基づいた。しかし、HEMICENTIN-1中の変異は、3つの別々の独立した集団に基づいた関連研究においてAMDと一般的に関連することは見出されなかった(G. R. Abecasis et al., Am J Hum Genet 74, 482 (2004); M. Hayashi et al., Ophthalmic Genet 25, 111 (2004); and G. J. McKay et al., MoI Vis 10, 682 (2004))。従って、本明細書中に開示されるように、CFH中の変異が、染色体1q31で観察された連鎖シグナルの原因であるのがよりもっともらしい。
【0183】
(実施例6:AMDを罹患する患者の眼におけるC5b−9複合体の免疫局在化)
末端C5b−9複合体を含む補体カスケードの種々の成分を、AMDを有する患者の眼中のドルーゼンの成分として同定した(L. V. Johnson, W. P. Leitner, M. K. Staples, D. H. Anderson, Exp Eye Res 73, 887 (2001); R. F. Mullins, S. R. Russell, D. H. Anderson, G. S. Hageman, FASEB J 14, 835 (2000))。AMDを有する4人の患者の眼を、C5b−9の存在について目視試験した(図4)。4人の供給者からの死後網膜を試験した。3つは、Foundation Fighting Blindness (FFB)眼供給者プログラムを通して得られた。これらの全ては、乾燥AMDの臨床診断を有した。パラフィンに包埋された1対の眼は、Yale School of Medicineの剖検サービスを通して86歳のカフカス人の女性から得られた。病歴は入手できなかった。組織学的に、これらの網膜は、最小RPEを有する複数の大きいまたは癒着するドルーゼンおよび初期AMDの診断と一致する光レセプター損失を有する。ヒト死後供給者の眼の研究に対する認可を、Yale School of Medicineから得た。
【0184】
摘出の際、眼を数日間、0.1Mリン酸バッファ中の4%パラホルムアルデヒド、0.5%グルタールアルデヒド中で固定した。固定された眼を、保存のために2%パラホルムアルデヒドに移した。6つの0.5cm円形パンチを、AMD供給者の眼の各々から採取した。これらの3つを、萎縮性網膜およびより正常な網膜の接合部で中心網膜から選択し、残りの3つは、周辺網膜から選択した。網膜栓をパラフィン中に包埋し、切片を5μmに切った。
【0185】
脱パラフィン処理および再水和の後、抗体賦活を、10mMクエン酸ナトリウム(pH6.0)中で、電子レンジで10分間切片を沸騰させることによって実施した。切片を、5% H2O2中での5分間内因性ペルオキシダーゼのブロックの前に、20分間冷却した。免疫組織化学を、ヒト活性化補体C5b−9(Quidel Corporation, San Diego, CA、カタログ#A239)に対するマウスモノクローナル抗体を使用して実施した。一次抗体を、1×PBS中1:250の濃度で加えた。ビオチン化ヤギ抗マウス(cat # BA9200)二次抗体(Vector, Burlingame, CA)を、1:200の濃度で使用した。ニッケル増強ジアミノベンジジン(nickel enhanced diaminobenzidine)(DAB; cat # SK4100; Vector)を、結合した抗体を可視化するために使用した。ネガティブコントロールを、一次抗体の省略によって得た。画像を、示差干渉対照レンズおよびZeiss Axiocamデジタルカメラを備えるZeiss Axioplan顕微鏡で得た。
【0186】
(CFHに対する免疫蛍光顕微鏡法)
供給者の眼を、最適切断温度(optimal cutting temperature)コンパウンド(OCT; Miles Laboratory, Elkhart, IN)中に包埋し、すばやく凍結し、−70℃で保存した。凍結した網膜切片を、8〜10μmに切り、スライドガラス上に配置した(Superfrost/Plus; Fisher Scientific, Fair Lawn, NJ)。全てのヒトの眼を、供給者のインフォームドコンセントと共に得、ヒトの眼での研究を、Declaration of HelsinkiおよびInstitutional Review Board (IRB)の主義に従って実施した。
【0187】
免疫蛍光標識のために、ヒト網膜の凍結切片を、リン酸バッファ食塩水(PBS)中4%パラホルムアルデヒド中で10分間固定した。組織切片を、5%の正常ロバ血清(Jackson Immunoresearch, West Grove, PA)で30分間ブロックし、ICバッファ(0.2% Tween-20, 0.1% アジ化ナトリウムを含むPBS)中に希釈し、染色バッファ(ICバッファおよび1%の正常ロバ血清)中1:200に希釈されたヤギ抗ヒトH因子抗体(Quidel, Santa Clara, CA)と共に室温で1時間インキュベートした。切片をICバッファ中で繰り返し洗浄し、染色バッファ中1:250に希釈された核色素4’,6’−ジアミノ−2フェニルインドール(DAPI; 1 μg/mL)およびAlexa-488ロバ抗ヤギ抗体(Molecular Probes, Eugene, OR)と共に1時間インキュベートした。ICバッファでの洗浄を繰り返した後、切片にマウンティング媒体(Gel Mount; Biomeda, Foster City, CA)をかぶせ、カバーガラスをかけた。コントロールについて、同じ濃度の抗ヒトH因子抗体を、1μlの抗体について3μgの比で、精製されたヒトH因子タンパク質(Calbiochem, La Jolla, CA)と共に1時間プレインキュベートした。次いで、前処理された抗体をちょうど記載されたように組織切片を染色するために使用した。標本を、Nomarski光学を備えるレーザースキャニング共焦点顕微鏡(モデルSP2; Leica Microsystems, Exton, PA)上で分析した。免疫標識された切片およびネガティブコントロールを同一のスキャン条件下で画像化した。画像を、Photoshop(Adobe Systems, San Jose, CA)で加工した。
【0188】
全ての患者において、活性化された補体C5b−9の沈着が、ブルーフ膜に示された。免疫染色は、しばしば、毛細血管間柱(intercapillary pillar)を含むように広げられ、ドルーゼン内に強く存在した。染色は、支質条(stroma vascularis)中にほとんど示されなかった。しかし、それが存在する場合、脈絡膜静脈の内壁(網膜に向かって)に、および重篤な場合において動脈に常に位置した。C5b−9に対する免疫染色は、網膜または切片の他の場所に示されなかった。ネガティブコントロールは、染色を示さなかった。ドルーゼンの組成物のこれらおよび他の生化学的分析は、不適切な補体活性化が役割を果たす異常な炎症性過程からAMDが生じることを示し得る(G. S. Hageman et al., Prog Retin Eye Res 20, 705 (2001))。これは、補体成分がドルーゼン中に見出されるAMDのマウスモデルによって支持される(J. Ambati et al., Nat Med 9, 1390 (2003))。
【0189】
さらに、年齢および喫煙の両方という、AMDについての2つの重要なリスク因子は、補体H因子の血漿レベルに影響する(J. Esparza-Gordillo et al., Immunogenetics 56, 77 (2004))。CFH配列はまた、ヒトRPEおよび脈絡膜に由来するESTライブラリーにおいて観察される(G. Wistow et al., Mol Vis 8, 205 (2002))。免疫蛍光実験は、CFHが眼のこの領域に存在することを確認する(図3)。ヒト網膜切片の2つの異なる領域から得られた蛍光画像およびこれらの対応するDIC画像は、脈絡膜管およびRPEに近い領域(ブルーフ膜の下に存在しそうな)において強い染色を示す(図3)。この発見は、RPEおよび脈絡膜がドルーゼンにおいて見出されるいくつかの補体成分に対するmRNAを産生するという観察と一致する(R. F. Mullins, S. R. Russell, D. H. Anderson, G. S. Hageman, FASEB J 14, 835 (2000))。AMDにおいて見出されるものに類似するドルーゼンの組成物は、腎臓疾患であるII型膜性増殖性糸球体腎炎(MPGNII)を有する患者の眼において見出され(R. F. Mullins, N. Aptsiauri, G. S. Hageman, Eye 15, 390 (2001));H因子欠損は、MPGNIIを引き起こし得る(S. R. D Cordoba, J. Esparza-Gordillo, E. G. d. Jorge, M. Lopez-Trascasa, P. Sanchez-Corral, MoI Immunol 41, 355 (2004))。本出願人らの免疫染色実験(図3および図4)は、H因子の欠損、損傷または欠乏が、ブルーフ膜への血漿タンパク質の漏出を伴う脈絡膜毛細管(より重篤な)および脈絡膜管(より重篤でない)における補体沈着を生じるAMDの病因を示唆する。最後に、80mg/日での亜鉛の栄養補充は、AMDのリスクを低下し;生化学的研究は、H因子機能が亜鉛濃度に感受性であることを示した(AREDS Research Group, Arch Ophthamol 119, 1417, (2001); A. M. Blom, L. Kask, B. Ramesh, A. Hillarp, Arch Biochem Biophys 418, 108 (2003))。
【0190】
本発明は、特に、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定を補助するのに有用なポリヌクレオチドおよびAMDの診断または診断の補助に有用なポリヌクレオチドを提供する。本発明の特定の態様が議論されてきたが、上記明細書は、例示的であり、限定的ではない。本発明の多くのバリエーションが本明細書を概観する際に当業者に明らかになる。本発明の完全な範囲は、等価物の全範囲とともに特許請求の範囲を参照することによって、およびかかるバリエーションとともに本明細書を参照することによって決定されるべきである。
【0191】
本明細書中に示される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照によって援用されるために具体的かつ個々に示されるように、その全体を参照によって本明細書中に援用される。抵触の場合は、本明細書中の任意の定義を含む本願は、調節される。
【0192】
Genomic Research (TIGR) (www.tigr.org)および/またはNational Center for Biotechnology Information (NCBI) (www.ncbi.nlm.nih.gov)に維持されるもののような公的データベース中のエントリーに関連するアクセッション番号を参照する任意のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列もまた、その全体を参照によって援用される。
【0193】
【表6】
【0194】
【表7】
【0195】
【表8】
【0196】
【表9】
【0197】
【表10】
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1A】図1Aは、AMDと関連する遺伝子のゲノムワイド関連研究の統計データを示すグラフである。図1Aは、ゲノムワイド関連スキャンのp値を示す。-log10(p)は染色体の順序において各SNPに対してプロットされる。プロット上のSNP間の間隔は均一であり、染色体上のSNP間の距離を反映しない。点で示された横線は、ボンフェローニ補正後のp=0.05に対するカットオフ(cutoff)を示す。縦線は染色体の境界線を示す。
【図1B】図1Bは、AMDと関連する遺伝子のゲノムワイド関連研究の統計データを示すグラフである。図1Bはケース群およびコントロール群の遺伝子型頻度のバリエーションを示す。
【図2A】図2Aは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Aは、ペアワイズD’値としてプロットされた、CFH領域にわたる連鎖不平衡(LD)を示す。
【図2B】図2Bは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Bは、該データにおける2つの関連SNPを有する強いLDの領域の概略図を示す。垂直バーはデータセットにおいて利用可能なSNPの近似の位置を表す。斜線領域は、HapMapデータ中に見出されるハプロタイプブロックである。
【図2C】図2Cは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Cは、該領域にわたるHapMapCEUデータ中のハプロタイプブロックを示す。より暗い斜線は、より高いD’の値を示す。より薄い斜線は、低ロッドスコアを有する高D’値を示す。暗線はハプロタイプブロックの境界線を示す。
【図2D】図2Dは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Dは、6-SNP領域にわたるハプロタイプ由来の最大節約クラドグラム(maximum parsimony cladogram)を示す。各線の近くの数は、6つのSNPのどれかが分枝に沿って変化することを示す。SNP4はrs380390、SNP6はrsl329428であり、これらはAMDと関連するとして最初に同定された2つのSNPである。
【図3A】図3Aは、ヒト網膜におけるCFHタンパク質の免疫蛍光局在化を示す。図3Aは、抗ヒトCFH抗体で染色されたヒト網膜切片を示す。蛍光チャネルおよびDICチャネルを各画像から回収し、各パネルにおける左右画像としてそれぞれ示される。図3Aにおける蛍光画像は、CFH標識およびDAPI染色核からの合成画像である。GC:神経節細胞層、INF:内核層、ONL:外核層、RPE:網膜色素上皮。スケールバー:図3Aでは40μm。
【図3B】図3Bは、ヒト網膜におけるCFHタンパク質の免疫蛍光局在化を示す。図3Bは、陰性コントロールとしてCFHタンパク質と共にプレインキュベートされた抗ヒトCFH抗体で染色されたヒト網膜切片を示す。蛍光チャネルおよびDICチャネルを各画像から回収し、各パネルにおける左右画像としてそれぞれ示される。核はDAPI染色法で同定される。図3Bにおける蛍光画像は、CFH標識およびDAPI染色核からの合成画像である。GC:神経節細胞層、INF:内核層、ONL:外核層、RPE:網膜色素上皮。スケールバー:図3Bでは40μm。
【図3C】図3Cは、ヒト網膜におけるCFHタンパク質の免疫蛍光局在化を示す。図3Aの囲まれた範囲の拡大図が図3Cに示される。蛍光チャネルおよびDICチャネルを各画像から回収し、各パネルにおける左右画像としてそれぞれ示される。図3CにおけるDIC画像は、CFH標識およびDICチャネルの合成画像である。DIC画像における黒い点は、RPEおよび脈絡膜の黒色素顆粒に相当する。抗-CFH抗体は主として脈絡膜(図3A)、特に血管腔の壁およびRPEに近い領域(図3C)で強く染色し、免疫反応は精製されたヒトCFHタンパク質(図3B)で競合(compete away)され得る。RPEからの蛍光シグナルは、ヒトH因子タンパク質によって競合され得ないリポフスチン(lipofusion)の自家蛍光から発生する。GC:神経節細胞層、INF:内核層、ONL:外核層、RPE:網膜色素上皮。スケールバー:図3Cでは20μm。
【図4】図4Aは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Aは、患者1の死後の眼底画像を示す。組織学的に例証された部位は、アスタリスクで示される。図4Bは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Bは、患者2の死後の眼底画像を示す。組織学的に例証された部位は、アスタリスクで示される。図4Cは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Cは、ブルーフ膜全体でC5b-9、および毛細血管間柱(細い黒矢印)においてC5b-9に対して免疫陽性である患者1由来の組織を示す。網膜色素上皮上の重なりは肥大性であり、関連する網膜は著しい(market)光受容体喪失を示した。補体沈着はまた、脈絡膜動脈の弾性組織(elastica)(両方向の黒矢印)の内に、および脈絡膜静脈の壁(白矢印)の内部に存在する。スケールバー:図4Cでは20μm。図4Dは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Dは、患者2のブルーフ膜、毛細血管間柱(矢印)およびドルーゼン(アスタリスク)におけるC5b-9沈着を示す。脈絡膜静脈の内部外観はまた、免疫陽性である(白矢印)。スケールバー:図4Dでは20μm。図4Eは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Eは、86歳の早期AMDの組織学的徴候を有する患者3由来の組織を示す。活性補体沈着がブルーフ膜全体、ドルーゼン(アスタリスク)および脈絡膜静脈の内部壁(白矢印)において示される。スケールバー:図4Eでは15μm。
【図5】図5は、ヒト補体H因子のポリペプチド配列を示す(GenBank アクセッション CAA68704)。
【技術分野】
【0001】
(基金)
本発明は、国立衛生研究所から与えられた助成NIH-K25HG000060および助成NIH-R01EY015771の下、米国政府の支援によりなされた。米国政府は本発明における特定の権利を有する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、2004年11月18日に出願された米国仮出願第60/629,363号;2005年2月2日に出願された米国仮出願第60/649,479号;および2005年4月18日に出願された米国仮出願第60/672,346号の利益を主張する。これら参照される仮出願の各々の教示は、その全体が本明細書中に参照によって援用される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
加齢黄斑変性症(AMD)は、先進諸国における加齢性失明の主な原因である。その発病率は、寿命が延びるにつれ、かつ老人人口が拡大するにつれ高くなる(D. S. Friedman ら、 Arch Ophthalmol 122, 564 (2004))。それは、網膜の中心部分(黄斑)の進行的破壊によって特徴付けられる慢性疾患であり、中心視野の視覚喪失を引き起こす(J. Tuo, C. M. Bojanowski, C. C. Chan, Prog Retin Eye Res 23, 229 (2004))。AMDの1つの重要な特徴は、網膜色素上皮(RPE)と脈絡膜との間の網膜裏で、黄斑内および黄斑周辺に蓄積したドルーゼンとよばれる細胞外沈着物の形成である。現在まで、特により進行した形態において、この疾患に対するどの治療法も広範囲に効果的であると証明されなかった。年齢、喫煙、および家族歴を含むいくつかの危険因子がAMDと関連している(AREDS Research Group, Ophthamology 107, 2224 (2000))。候補遺伝子関連研究およびゲノムワイド結合スキャン(genome-wide linkage scan)が、AMDに対する遺伝的危険因子を同定するために行われた。種々の候補遺伝子が、他の網膜疾患との関連または公知の機能に基づいて提案された。いくつかのこれらの遺伝子のいくつかのまれなバリアントは疾患の表現型と関連するが、全罹患率の大部分を説明し得る遺伝的差異は観察されなかった(J. Tuo, C. M. Bojanowski, C. C. Chan, Prog Retin Eye Res 23, 229 (2004))。AMDの遺伝的決定因子についてのさらなる情報が大いに必要である。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、AMDに対する疾病素質と関連するヒト遺伝子のバリエーションの同定に関し、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助、およびAMDの診断または診断の補助に有用である。本発明はまた、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法、AMDの診断方法または診断の補助方法、該方法に有用なポリヌクレオチド(例えばプローブ、プライマー)、プローブまたはプライマーを含む診断キット、AMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体の処置方法、およびAMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体を処置するのに有用な組成物に関する。
【0005】
一態様において、本発明はヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子、および特定の態様において、ヒトにおけるAMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションの検出または検出の補助に有用なポリヌクレオチドを提供する。別の態様において、本発明はAMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助に有用な方法および組成物を提供する。さらなる態様において、本発明の方法および組成物は、AMDを罹患するかまたはAMDの発現の危険にある個体を処置するために用いられ得る。開示はまた、個体からの試料においてバリアントCFH遺伝子を検出するための診断キットを提供する。かかるキットは、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助、および個体におけるAMDの診断または診断の補助に有用である。
【0006】
一態様において、本発明はバリアントCFH遺伝子を検出するための単離されたポリヌクレオチドを提供し;単離されたポリヌクレオチドは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する核酸分子を含む。単離されたポリヌクレオチドは、個体からの試料において、ヒトにおけるAMDと関連するバリアントCFH遺伝子を検出するために有用である。本発明のポリヌクレオチドは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを検出するための対立遺伝子特異的アッセイ(例えば当該分野で公知の対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー伸長法、またはライゲーションアッセイ)にさらに用いられ得る。対立遺伝子特異的プローブおよびプライマーは、遺伝子の1つ以上の対立遺伝子と特異的にハイブリダイズし得、同一遺伝子の他の対立遺伝子とハイブリダイズしない。例えば、本発明の対立遺伝子特異的ポリヌクレオチドプローブは、バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズし得るが、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。特定の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするプローブである。特定の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子の全てもしくは一部分を含む核酸分子、またはその対立遺伝子バリアントとハイブリダイズし、ここで核酸分子はヒトにおけるAMDの発生と関連するバリエーションを含む。他の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子の少なくとも10個の連続ヌクレオチドを含む核酸分子、またはその対立遺伝子バリアントとハイブリダイズし、ここで核酸分子はヒトにおけるAMDの発生と関連するバリエーションを含む。さらなる態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションと隣接して、上流で、または下流でハイブリダイズするプライマーである。特定の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプライマーは少なくとも10ヌクレオチド長であり、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの片側もしくは別側とハイブリダイズする。主題のポリヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失等の変化を含み得るが、ただしこれらは同程度の特異性でもって標的バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズすることを条件とする。本明細書中で用いられる場合、用語「単離された」とは、核酸に関して用いられるとき、同定され、かつ通常天然供給源と関連する少なくとも1つの不純物核酸から分離された核酸配列をいう。一方、非単離核酸は、天然に存在する状態で見出されるDNAおよびRNA等の核酸である。
【0007】
本明細書に記載されるポリヌクレオチド(例えばポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマー)は、DNAまたはRNAであり得る。主題のポリヌクレオチドは、単鎖または二本鎖であり得る。本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約5ヌクレオチド〜約3000ヌクレオチドであり得る。いくつかの態様において、本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである。他の態様において、本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約10ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドである。特定の態様において、主題のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約20ヌクレオチド(例えば15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)である。他の態様において、主題のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは約50〜約100ヌクレオチド(例えば45、50、55、60、65、75、85または100ヌクレオチド)である。主題のポリヌクレオチドは、1つ以上の非天然または修飾ヌクレオチドを含み得る。非天然または修飾ヌクレオチドは、限定無しに、放射性標識ヌクレオチド、蛍光標識ヌクレオチド、または化学標識ヌクレオチドを含む。
【0008】
特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションから上流または下流でハイブリダイズする。一態様において、ポリヌクレオチドは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションと隣接してハイブリダイズする。例えば、ハイブリダイゼーションは、10ヌクレオチドより少数のものがバリエーションとバリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端を分離するような様式で起こり得る。別の態様において、ハイブリダイゼーションは、1〜3ヌクレオチドによって、バリエーションとバリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が分離されるような様式で起こる。ある他の態様において、ポリヌクレオチドプライマーは、直接バリエーションと隣接してハイブリダイズする。別の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションから(例えば、少なくとも10ヌクレオチド)離れてハイブリダイズする。例えば、ハイブリダイゼーションは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端がCFH遺伝子のバリエーションから10、25、50、100、250、1000、5000または10,000ヌクレオチドまでであるような様式で起こり得る。本明細書に記載される発明はまた、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する1対のポリヌクレオチドプライマーに関し、ここで第一のポリヌクレオチドプライマーはバリエーションの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーはバリエーションの他方とハイブリダイズする。ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域とハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約20〜約10,000ヌクレオチド離れているような様式で、該領域とハイブリダイズし得る。あるいは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域とハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約100〜約7500ヌクレオチド、または約200〜約5000ヌクレオチド離れているような様式で、領域とハイブリダイズし得る。
【0009】
別の態様において、本明細書に記載される本発明は、CFH遺伝子の2つの対立遺伝子(例えば野生型対立遺伝子およびヒトにおけるAMDの発生と関連する対立遺伝子)を識別するのに有用な3つ以上のポリヌクレオチドプライマーを提供する。第一のプライマーは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの上流または下流にある非対立遺伝子ヌクレオチド配列等の、双方の対立遺伝子に共通するヌクレオチド配列とハイブリダイズする。第二のプライマーは、第一の対立遺伝子に特有の配列(例えばヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーション)と特異的にハイブリダイズする。第三のプライマーは、第二の対立遺伝子に特有のヌクレオチド配列(例えば野生型CFH遺伝子)と特異的にハイブリダイズする。3つのプライマーの組は、どのCFH対立遺伝子が試料中に存在するかに依存して、DNAの領域の増幅をもたらす。例えばCFH遺伝子が、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを有する場合、DNAの一領域が増幅され、野生型CFH遺伝子が試料中に存在する場合、別の領域が増幅される。あるいは、該組の中からの2つのプライマーは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの上流または下流にある非対立遺伝子ヌクレオチド配列等の、CFH遺伝子の2つの対立遺伝子に共通するヌクレオチド配列とハイブリダイズし得、第三のプライマーは、(野生型対立遺伝子またはヒトにおけるAMDの発生と関連する対立遺伝子等のCFH遺伝子の2つの対立遺伝子の1つと特異的にハイブリダイズする。
【0010】
個体をAMDに罹患しやすくするCFH遺伝子の種々のバリエーションは、本明細書に記載される方法および組成物によって検出され得る。特定の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする。特定の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の402位でチロシンをコードする。別の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の62位でバリン以外のアミノ酸をコードする。特定の態様において、バリエーションはCFHタンパク質の62位でイソロイシンをコードする。他の態様において、本明細書に記載される方法および組成物は、表4、5および7にリストされるもの等の、個体をAMDに罹患しやすくするCFH遺伝子のバリエーションを検出するために用いられ得る。例えば、バリエーションがコード領域中に存在するもの(例えば、CFHタンパク質の58位で、セリン以外のアミノ酸、例えばアラニン;CFHタンパク質の127位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばヒスチジン;CFHタンパク質の400位で、グルタミン以外のアミノ酸、例えばリジン;CFHタンパク質の609位で、バリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の890位で、セリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の936位で、グルタミン酸以外のアミノ酸、例えばアスパラギン酸;CFHタンパク質の1007位で、バリン以外のアミノ酸、例えばロイシン;CFHタンパク質の1050位で、アスパラギン以外のアミノ酸、例えばチロシン;CFHタンパク質の1166位で、プロリン以外のアミノ酸、例えばグルタミン;またはCFHタンパク質の1210位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばシステインをコードするバリエーション。表4,5および7を参照)等の、他のバリアント遺伝子が、本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。あるいは表4、5および7にリストされるもの等の、バリエーションが非コード領域中に存在するバリアント遺伝子は、本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。本明細書で用いられる場合、用語「バリアントCFH遺伝子」とは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAをいう。本明細書で用いられる場合、用語「野生型CFH DNA」および「野生型CFH遺伝子」とは、AMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションを含まないDNAをいう。
【0011】
本発明はまた、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法に関する。かかる方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子(野生型CFH DNAは上記で用いられた用語である)とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含み得る。ハイブリダイゼーションの発生は、加齢黄斑変性症と関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す。本明細書に記載される方法に用いられる試料は、眼、耳、鼻、歯、舌、表皮、上皮、血液、涙、唾液、粘液、尿路、尿、筋肉、軟骨、皮膚由来の細胞、または十分なDNAもしくはRNAを得ることができる任意の他の組織もしくは体液を含み得る。試料は、例えば口腔用綿棒等の細胞採取用の種々の手段で採取され得る。必要であれば、本明細書に記載される方法のアッセイに現在利用可能なDNAまたはRNAを作るために試料は処理される。例えば、試料からのDNAが増幅のために、または別のポリヌクレオチドとハイブリダイゼーションするために利用可能であるように、試料は処理され得る。処理された試料は粗溶解物であり得、ここで利用可能なDNAもしくはRNAは他の細胞物質から精製されていないか、または利用可能なDNAもしくはRNAを単離するために精製され得る。試料は、本明細書に記載される方法のアッセイに利用可能なDNAまたはRNAを作る、当該分野において公知の任意の手段で処理され得る。試料の処理方法としては、限定されないが、細胞および細胞溶解物を溶解ならびに/または精製する機械的、化学的もしくは分子的手段を含む。処理方法としては、例えば、イオン交換(例えばカチオンとアニオン)、サイズ排除、ゲル濾過、アフィニティ、および疎水的相互作用クロマトグラフィ等のクロマトグラフィ法、または限外濾過、電気泳動、ならびにポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いるイムノアフィニティ精製が挙げられる。
【0012】
他の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料(試験試料という)を組み合わせ、それにより組み合わせ(combination)を生成する工程;(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、工程(a)において生成された組み合わせを維持する工程;および(c)組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールにおけるハイブリダイゼーションとを比較する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。コントロールではなく組み合わせにおけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す。さらなる態様において、ハイブリダイゼーションの程度は、組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールのハイブリダイゼーションとを比較するときに測定される。コントロールは試験試料と同一であり、ポリヌクレオチドプローブがヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションに結合しないものであることを除いては、試験試料と同様に処理される。あるいは、ポリヌクレオチドプローブは、野生型CFH遺伝子のみに結合するものである。コントロールは、上記した組み合わせと連続して、または同時にアッセイされ得る。あるいはコントロールからの結果が、リファレンスアッセイ(reference assay)においてあらかじめ確立され得るか、または上記した組み合わせの後に確立され得る。コントロールに用いられる試料は、典型的に試験試料と同様のタイプの試料であり、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドと組み合わされるということを除いては、試験試料と同様に処理される。
【0013】
別の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第一の部分を組み合わせる工程;(b)ストリンジェントな条件下で、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと、試料の第二の部分を組み合わせる工程;および(c)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。第二の部分でなく第一の部分におけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す。
【0014】
別の態様において、本発明は、(a)第一のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAの他方とハイブリダイズする、1対のポリヌクレオチドプライマーと試料を組み合わせる工程;(b)試料中のDNAを増幅し、それによって増幅DNAを生成する工程;(c)増幅DNAを配列決定する工程;および(d)DNAにおいて、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションの存在を検出する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。バリエーションの存在は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子が試料中で検出されることを示す。
【0015】
別の態様において、本発明は、(a)第一のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸62をコードするDNAの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸62をコードするDNAの他方とハイブリダイズする、1対のポリヌクレオチドプライマーと試料を組み合わせる工程;(b)試料中のDNAを増幅し、それによって増幅DNAを生成する工程;(c)増幅DNAを配列決定する工程;および(d)DNAにおいて、CFHタンパク質の62位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションの存在を検出する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の検出方法を提供する。バリエーションの存在は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子が試料中で検出されることを示す。
【0016】
核酸を増幅するために当該分野において公知である任意の方法は、本明細書に記載される方法に用いられ得る。例えば試料中のDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RT-PCR、定量PCR、リアルタイムPCR、急速増幅断片多形(Rapid Amplified Polymorphic)DNA分析、cDNA末端の急速増幅法(Rapid Amplification of cDNA Ends)(RACE)、またはローリングサークル増幅法を用いて増幅され得る。
【0017】
他の態様において、本発明はAMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法を提供する。一特定の態様において、かかる方法は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の存在について、個体から得られた試料をアッセイする工程を含む。バリアントCFH遺伝子の存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0018】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと個体から得た試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む。ハイブリダイゼーションの発生は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0019】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)個体からDNAを得る工程;(b)CFHタンパク質のアミノ酸402をコードするヌクレオチドを含むDNAの領域を配列決定する工程;および(c)CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションが、DNA中に存在するかどうかを決定する工程を含む。バリエーションの存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0020】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)個体からDNAを得る工程;(b)CFHタンパク質のアミノ酸62をコードするヌクレオチドを含むDNAの領域を配列決定する工程;および(c)CFHタンパク質の62位でバリン以外のアミノ酸をコードするバリエーションが、DNA中に存在するかどうかを決定する工程を含む。バリエーションの存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0021】
別の態様では、本発明は、個体から得られた試料において、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドの検出方法を提供する。かかる方法は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体と試料を組み合わせる工程;および(b)結合が起こるかどうかを決定する工程を含む。結合の発生は、加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドが試料中に存在することを示す。
【0022】
別の態様において、本発明は、個体からの試料においてバリアントCFH遺伝子を検出するのに有用な診断キットを提供する。診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のバリアントCFH遺伝子の検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。
【0023】
別の態様において、個体からの試料におけるバリアントCFH遺伝子の検出に有用な診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの片方と隣接してハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のCFHの検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。任意に、診断キットはストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの他方とハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドプライマーをさらに含む。
【0024】
本発明はまた、AMDを罹患する被験体を処置するための組成物に関する。特定の態様において、AMDを罹患する被験体を処置するための組成物は、有効量の単離されたもしくは組換え産生されたCFHポリペプチドまたはその断片、および薬学的に許容され得る担体を含む。特定の態様において、CFHポリペプチド、またはその断片はC3の活性化を阻害する。別の態様において、本発明は、有効量の単離されたもしくは組換えで産生されたCFHポリペプチドまたはその断片、および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、AMDを罹患する被験体の処置方法を提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、有効量のCFHポリペプチドをコードする単離されたもしくは組換え産生された核酸分子またはその断片、および薬学的に許容され得る担体を含む、AMDを罹患する被験体を処置するための組成物を提供する。本明細書で用いられる場合、用語「有効量」とは、被験体を処置するか障害それ自体を処置するのに十分な量である、単離されたもしくは組換えで産生されたCFH核酸もしくはCFHポリペプチドの量、またはCFH核酸もしくはCFHポリペプチドを含む組成物の量をいう。例えば有効量は、AMDもしくは関連した症状の発生または進行を遅延、緩徐または予防するのに十分である。他の態様において、本発明は、有効量のCFHポリペプチドをコードする単離されたもしくは組換えで産生された核酸分子またはその断片、および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、AMDを罹患する被験体の処置方法を提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、アンチセンス配列のバリアントCFH mRNAとのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少させる。ある他の態様において、アンチセンス配列のバリアントCFH遺伝子とのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH mRNAから翻訳されるタンパク質の量を減少させ、かつ/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する。バリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子は、インビボ安定性、細胞膜を横切る輸送、またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとのハイブリダイセーションを高める1以上の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドを含み得る。他の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む有効量の核酸分子、および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0027】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとハイブリダイズするsiRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む核酸分子;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、siRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む核酸分子のバリアントCFH遺伝子とのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少させる。他の態様において、siRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む核酸分子のバリアントCFH mRNAとのハイブリダイゼーションは、バリアントCFH mRNAから翻訳されるタンパク質の量を減少させ、かつ/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する。バリアントCFH遺伝子またはmRNAとハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子は、インビボでの安定性、細胞膜を横切る輸送、またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAとのハイブリダイセーションを高める1以上の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドを含み得る。他の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFH遺伝子かmRNAとハイブリダイズするsiRNAもしくはmiRNA配列、またはその前駆体を含む有効量の核酸分子および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0028】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合するアプタマー;および(b)薬学的に許容され得る担体を含み、アプタマーのバリアントCFHポリペプチドへの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を低下させる、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。他の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する有効量のアプタマーおよび薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0029】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する低分子;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、低分子のバリアントCFHポリペプチドへの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少させる。別の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する有効量の低分子および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0030】
別の態様において、本発明は、(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体;および(b)薬学的に許容され得る担体を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体を処置するための組成物を提供する。特定の態様において、抗体のバリアントCFHポリペプチドへの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少させる。別の態様において、本発明はまた、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する有効量の抗体および薬学的に許容され得る担体を被験体に投与する工程を含む、加齢黄斑変性症を罹患するか、または加齢黄斑変性症の危険にある被験体の処置方法を提供する。
【0031】
AMDを罹患する被験体の処置のための、本明細書に記載される方法および組成物は、AMDの発現の危険にあると診断または予測された個体の予防的処置に用いられ得る。例えば、組成物は、AMDもしくは関連した症状の発生を遅延、緩徐または予防するのに十分な量および用量で投与される。あるいは、本明細書に記載される方法および組成物は、AMDを罹患する個体の治療的処置に用いられ得る。例えば、組成物は、状態の進行を全体的にまたは部分的に遅延または緩徐させるのに十分な量および用量で、あるいは状態を逆転するのに十分な量および用量で投与される。
【0032】
CFHについて本明細書に記載される場合、ヒトにおけるCFH様遺伝子(例えばCFHL1、CFHL3およびCFHL4)のバリエーションはまた、AMDの発現の危険にある個体の同定または同定の補助に有用である。CFHL1、CFHL3およびCFHL4のバリエーションはまた、AMDの診断または診断の補助、AMDの発現の危険にある個体の同定または同定の補助、AMDの診断方法または診断の補助方法、該方法に有用なポリヌクレオチド(例えばプローブ、プライマー)、プローブまたはプライマーを含む診断キット、AMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体の処置方法およびAMDの危険にあるかまたはAMDを罹患する個体を処置するのに有用な組成物に有用である。AMDの発生と関連があり得るCFHL1、CFHL3およびCFHL4のバリエーションの例は、表8〜10に見出される。CFHL遺伝子(例えばCFHL1、CFHL3およびCFHL4)のコード領域または非コード領域中に存在し得るかかるバリエーションは、本明細書に記載される方法および組成物に有用であり得る。
【0033】
一態様において、本発明はヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子(例えばCFHL1、CFHL3またはCFHL4)の検出または検出の補助、および特定の態様において、ヒトにおけるAMDと関連するCFHL遺伝子のバリエーションの検出または検出の補助に有用なポリヌクレオチドを提供する。開示はまた、個体からの試料におけるバリアントCFHL遺伝子の検出用診断キットを提供する。かかるキットは、AMDの発現の危険にある個体の同定または同定の補助、および個体におけるAMDの診断または診断の補助に有用である。
【0034】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションを特異的に検出する核酸分子を含む、個体からの試料におけるCFHL1、CFHL3またはCFHL4等のバリアントCFHL遺伝子の検出のための単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0035】
別の態様において、本発明は、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションと隣接してハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションを特異的に検出し、第一のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションの片方とハイブリダイズし、第二のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションの他方とハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーを提供する。1対のポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションに近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約100〜約10,000ヌクレオチド離れているような様式で、CFHL遺伝子の領域とハイブリダイズし得る。
【0036】
本発明はまた、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の検出方法に関する。かかる方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFHL遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含み得る。ハイブリダイゼーションの発生は、加齢黄斑変性症と関連するバリアントCFHL遺伝子が試料中に存在することを示す。本明細書で用いられる場合、用語「野生型CFHL遺伝子」とは、AMDの発生と関連がない、CFHL1、CFHL3またはCFHL4等のCFHL遺伝子をいう。
【0037】
他の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料(試験試料という)を組み合わせ、それにより組み合わせを生成する工程;(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、工程(a)において生成された組み合わせを維持する工程;および(c)組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールにおけるハイブリダイゼーションとを比較する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の検出方法を提供する。コントロールではなく組み合わせにおけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFHL遺伝子が試料中に存在することを示す。さらなる態様において、ハイブリダイゼーションの程度は、組み合わせにおいて起こるハイブリダイゼーションとコントロールにおけるハイブリダイゼーションとを比較するときに測定される。コントロールは試験試料と同一であり、ポリヌクレオチドプローブがヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションに結合しないものであることを除いては、試験試料と同様に処理される。あるいは、ポリヌクレオチドプローブは、野生型CFHL遺伝子のみに結合するものである。
【0038】
別の態様において、本発明は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第一の部分を組み合わせる工程;(b)ストリンジェントな条件下で、野生型CFHL遺伝子とハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第二の部分を組み合わせる工程;および(c)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む、個体から得られた試料において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の検出方法を提供する。第二の部分でなく第一の部分におけるハイブリダイゼーションの発生は、AMDと関連するバリアントCFHL遺伝子が試料中に存在することを示す。
【0039】
他の態様において、本発明はAMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法を提供する。一特定の態様において、かかる方法は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFHL遺伝子の存在について、個体から得られたDNAをアッセイする工程を含む。バリアントCFHL遺伝子の存在は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0040】
別の態様において、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法は、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDと関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするが、野生型CFHL遺伝子とハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと個体から得られた試料を組み合わせる工程;および(b)ハイブリダイゼーションが起こるかどうかを決定する工程を含む。ハイブリダイゼーションの発生は、個体がAMDを発現する危険にあることを示す。
【0041】
別の態様において、本発明は、個体からの試料においてバリアントCFHL遺伝子を検出するのに有用な診断キットを提供する。診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のバリアントCFHL遺伝子の検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。
【0042】
別の態様において、個体からの試料においてバリアントCFHL遺伝子を検出するのに有用な診断キットは、例えば、(a)ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションの片方と隣接してハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを内側に配置した、少なくとも1つの容器手段;ならびに(b)試料中のCFHLの検出における診断キットの使用のための標識および/または取扱説明書を含み得る。任意に診断キットは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生と関連するCFHL遺伝子のバリエーションの他方とハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドプライマーをさらに含む。
【0043】
本発明の態様および実施、他の態様、ならびにこれらの特徴および特性は、以下の明細書、図面および添付の特許請求の範囲から明らかであり、全ての特許請求の範囲は、本明細書によって、この概要中にこの参照によって援用される。
【0044】
(発明の詳細な説明)
本発明の全般的な理解を提供するために、AMDを発現する危険にある個体を同定するためまたは同定の補助のための方法および組成物、ならびにAMDの診断のため、または診断の補助のための方法および組成物を含む、ある例示的な態様が記載される。しかし、本明細書に記載される組成物および方法は、扱われる出願にふさわしいように適合され、かつ修正され得ること、本明細書に記載される組成物および方法は、他の適切な出願に使用され得ること、ならびにかかる他の追加および修正は本明細書の範囲を逸脱しないことを当業者は理解されたい。
【0045】
1.概要
CFH遺伝子のバリエーションがAMDと関連するという発見は、AMDに罹患しやすい個体の早期診断および処置に有用である。個体におけるCFH遺伝子の遺伝子構成の決定は、より早期段階でのAMD処置、または個体がAMDの任意の症状を示す前でさえ有用である。さらに、遺伝子型CFHに対する診断試験は、AMDに対する環境リスク(例えば喫煙)を最小限にするために、個体が自身の行動を変えることを可能にし得る。したがって、本発明はAMDへの罹患と関連するバリアントCFH遺伝子の同定に関し、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定の補助、およびAMDの診断または診断の補助に有用である。本発明はまた、AMDを発現する危険にある個体の同定方法または同定の補助方法、AMDの診断方法または診断の補助方法、該方法に有用なポリヌクレオチド(例えばプローブ、プライマー)、プローブまたはプライマーを含む診断キット、AMDの危険にあるかAMDを罹患する個体の処置方法、ならびにAMDの危険にあるかAMDを罹患する個体の処置に有用な組成物に関する。
【0046】
本発明にしたがって、CFH遺伝子の共通のバリエーションがAMDと強く関連することが示された。本発明は、ヒトをAMDに罹患させやすいかかるバリエーションを検出するための方法および組成物に関する。CFH遺伝子は、上流および下流の調節配列を含み得る、cDNAまたはゲノム形態の遺伝子のいずれかであり得る。全長もしくは断片の所望の活性もしくは機能的特性(例えば酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達等)が保持される限り、CFHポリペプチドは全長コード配列またはコード配列の任意の部分でコードされ得る。CFHヌクレオチド配列の例としては、ヒトヌクレオチド配列(配列番号:1または2)、マウスヌクレオチド配列(配列番号:3)、およびラットヌクレオチド配列(配列番号:4)が挙げられる。本発明のポリヌクレオチドプローブおよびプライマーは、配列番号1〜4で示されるもの等の、CFH遺伝子の任意の連続部分とハイブリダイズし得る。CFHポリペプチド配列の例としては、ヒトポリペプチド配列(配列番号:5または6および図5)、マウスポリペプチド配列(配列番号:7)、およびラットポリペプチド配列(配列番号:8)が挙げられる。CFH遺伝子は、遺伝子が全長mRNAの長さに対応するように、コード領域の両方の5’および3’末端のいずれかの末端に約1〜2kbの距離が隣接して位置する配列をさらに含み得る。コード領域の5’に位置し、mRNA上に存在する配列を5’非翻訳配列という。コード領域の3’または下流に位置し、mRNA上に存在する配列を3’非翻訳配列という。
【0047】
CFH遺伝子は、補体活性化の調節因子(RCA)の遺伝子クラスターのメンバーであり、各々が20の短いコンセンサスリピート(SCR)ドメインの60のアミノ酸を有するタンパク質をコードする。このタンパク質は血流中に分泌され、補体活性化の調節において重要な役割を有する(Rodriguez de Cordoba ら、Mol Immunol. 41:355-67 (2004))。補体系は感染に対して保護し、疾患細胞および異形成の細胞を攻撃し、通常健康な細胞に危害を加えない。免疫監視機構に関与し、疾患に応答する細胞は、活性化補体成分の溶解作用を増大させるために補充される。C3コンバルターゼが活性化されるとき、それはC3aおよびC3bの生成を導き、次いで末端C5b-9複合体を導く。細胞上および循環中のCFHは、C3aおよびC3bに対するC3の活性を阻害することによって、ならびに存在するC3bを不活性化することによって補体活性を調節する。CFH遺伝子のバリエーションは、溶血性尿毒症症候群(HUS)および慢性低補体血症性腎症と以前に関連付けられていた。種々のアイソフォームをコードする選択的転写スプライスバリアントが特徴付けられた。
【0048】
2.CFHポリヌクレオチドプローブおよびプライマー
特定の態様において、本発明は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する、単離されたおよび/または組換えポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドプローブは、特異的な様式でかかるCFH遺伝子のバリエーション(目的のバリエーションという)および隣接配列とハイブリダイズし、かくして典型的にバリエーションおよび隣接領域の配列に対して完全にまたは部分的に相補的である配列を有する。本発明のポリヌクレオチドプローブは、バリエーションがプローブの中央位置に位置合わせするか、またはバリエーションがプローブの末端位置に位置合わせし得るように、標的DNAのセグメントとハイブリダイズし得る。一態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子、またはその一部分もしくはその対立遺伝子バリアントを含む核酸分子とハイブリダイズする。別の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドプローブは、ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子の少なくとも10個の連続ヌクレオチド、または対立遺伝子バリアントを含む核酸分子とハイブリダイズし、ここで該核酸分子はヒトにおけるAMDの発生と関連するバリエーションを含む。
【0049】
特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドプローブは対立遺伝子特異的プローブである。多形を分析するための対立遺伝子特異的プローブの設計および使用は、例えばSaikiら、Nature 324:163-166 (1986); Dattagupta, EP 235726; ならびにSaiki WO 89/11548によって記載される。対立遺伝子特異的プローブは、2つの個体からのそれぞれのセグメントにおける種々の多形形態またはバリエーションの存在のために、片方の個体からの標的DNAのセグメントとハイブリダイズするが、他方の個体からの対応するセグメントとハイブリダイズしないように設計され得る。ハイブリダイゼーション条件は、対立遺伝子間のハイブリダイゼーション強度において有意な差異が存在するように十分にストリンジェントであるべきである。いくつかの態様において、プローブは対立遺伝子の片方とのみハイブリダイズする。
【0050】
個体をAMDに罹患しやすくするCFH遺伝子の種々のバリエーションは、本明細書に記載される方法およびポリヌクレオチドによって検出され得る。例えば、AMDと関連するコード領域、エキソン、エキソン-イントロン境界、シグナルペプチド、5-プライム非翻訳領域、プロモータ領域、エンハンサー配列、3-プライム非翻訳領域またはイントロンの任意のヌクレオチド多形が検出され得る。これらの多形としては、限定されないが、CFH遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ酸配列を改変する変化、選択的スプライス生成物を生成する変化、切断生成物を作り出す変化、成熟前終止コドンを導入する変化、潜在的(cryptic)エキソンを導入する変化、程度もしくは発現をより大きい程度にもしくはより小さい程度に改変する変化、CFH発現の組織特異性を改変する変化、CFHにコードされるタンパク質の三次構造における変化を導入する変化、CFHに発現されたタンパク質の結合親和力もしくは結合特異性における変化を導入する変化、またはCFHにコードされるタンパク質の機能を改変する変化を含む。特定の態様において、CFH遺伝子のバリエーションは、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸(例えばチロシン)をコードする。別の特定の態様において、CFH遺伝子のバリエーションは、CFHタンパク質の62位でバリン以外のアミノ酸(例えばイソロイシン)をコードする。個体をAMDに罹患しやすくし得るCFH遺伝子のバリエーションの他の例が、表4および表5中に見出される。例えば、バリエーションがコード領域中に存在するもの等の、他のバリアント遺伝子(例えば、CFHタンパク質の58位で、セリン以外のアミノ酸、例えばアラニン;CFHタンパク質の127位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばヒスチジン;CFHタンパク質の400位で、グルタミン以外のアミノ酸、例えばリジン;CFHタンパク質の609位で、バリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の890位で、セリン以外のアミノ酸、例えばイソロイシン;CFHタンパク質の936位で、グルタミン酸以外のアミノ酸、例えばアスパラギン酸;CFHタンパク質の1007位で、バリン以外のアミノ酸、例えばロイシン;CFHタンパク質の1050位で、アスパラギン以外のアミノ酸、例えばチロシン;CFHタンパク質の1166位で、プロリン以外のアミノ酸、例えばグルタミン;またはCFHタンパク質の1210位で、アルギニン以外のアミノ酸、例えばシステインをコードするバリエーション。表4および5を参照)が、他のバリアントについて本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。あるいは、表4および5にリストされるもの等の、バリエーションが非コード領域中に存在するバリアント遺伝子は、本明細書に記載される方法および組成物を用いて検出され得る。主題のポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのバリアントであるポリヌクレオチドを含むことをさらに理解されたいが、ただし、バリアントポリヌクレオチドは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する能力を維持することを条件とする。バリアントポリヌクレオチドは、例えば、1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失により異なる配列を含み得る。
【0051】
特定の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするプローブである。本明細書に用いられる場合、用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸の対合に関して用いられる。用語「プローブ」とは、目的の別の核酸とハイブリダイズし得るポリヌクレオチドをいう。ポリヌクレオチドは、精製された制限消化物中のように天然由来であり得るか、または合成的に、組換えで、もしくは核酸増幅(例えばPCR増幅)によって生成され得る。
【0052】
核酸分子を用いてハイブリダイゼーション実験を行う方法は、当該分野で周知である。当業者は、本発明に必要なハイブリダイゼーション条件に精通しており、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェント条件が変更され得ることを容易に理解する。かかるハイブリダイゼーション条件は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (2001);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubel ら編、John Wiley & Sons (1992)等の標準的な教本中に言及される。本発明の方法において特に有用なのは、ストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子またはバリアントCFH遺伝子の領域とハイブリダイズし得るポリヌクレオチドである。ストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズするポリヌクレオチドは、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。
【0053】
核酸ハイブリダイゼーションは、当業者によって容易に理解されるように、塩濃度、温度、有機溶媒、塩基組成、相補鎖の長さ、およびハイブリダイズする核酸間のヌクレオチド塩基ミスマッチの数などの条件に影響される。ストリンジェントな温度条件としては一般に30℃を超過する温度が挙げられるか、または37℃もしくは45℃を超過し得る。ストリンジェントさは温度とともに増大する。例えば45℃よりも高い温度は、大いにストリンジェントな条件である。ストリンジェントな塩条件は通常1000mM未満であるか、または500mMもしくは200mM未満であり得る。例えば、約45℃にて6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でハイブリダイゼーションを行い、その後50℃にて2.0×SSCで洗浄し得る。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでで選択され得る。さらに洗浄工程の温度は、約22℃の室温での低ストリンジェント条件から約65℃での高ストリンジェント条件まで増加され得る。温度および塩の双方は変化され得るか、または温度もしくは塩濃度が一定に維持され得るのに対し、他の変数は変化する。本発明の方法において特に有用なのは、ストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子またはバリアントCFH遺伝子の領域とハイブリダイズし得るポリヌクレオチドである。しかしながら、適切なストリンジェント条件は、DNAハイブリダイゼーションを促進するために本発明において変化され得ることを理解されたい。特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドは、大いにストリンジェントな条件下で、バリアントCFH遺伝子またはバリアントCFH遺伝子の領域とハイブリダイズする。ストリンジェントな条件下で、CFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズするポリヌクレオチドは、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。一態様において、本発明は、室温での6.0×SSCの低ストリンジェント条件下でハイブリダイズし、その後室温にて2.0×SSCで洗浄する核酸を提供する。しかしパラメータの組み合わせは、任意の単一のパラメータの測定よりもはるかに重要である。例えばWetmurおよびDavidson, 1968を参照。プローブ配列はまた、ある条件下で、特異的に二本鎖DNAとハイブリダイズし、三本鎖DNA複合体または高次DNA複合体を形成し得る。かかるプローブの調製および適切なハイブリダイゼーション条件は、当該分野において周知である。本明細書に開示される生合成構築物をコードするDNAを得るための1つの方法は、従来の自動化オリゴヌクレオチド合成機で生成された合成オリゴヌクレオチドのアセンブリによるものである。
【0054】
本発明のポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーは標識され得、そのため限定されないが、酵素系(例えばELISAおよび酵素をベースとする組織化学アッセイ)、蛍光系、放射性系、化学系ならびに発光系を含む種々の検出系において検出可能である。本発明のポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーは、標識(例えば蛍光標識)に近接して配置されるとき、標識からのシグナルをほとんどもしくは全く引き起こさないクエンチャー部分をさらに含み得る。標識の検出は、直接的または間接的な手段(例えばビオチン/アビジン、またはビオチン/ストレプトアビジン(stretpavidin)結合を介して)によって実施され得る。本発明は、任意の特定の検出系または標識に制限されることを意図しない。
【0055】
別の態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションと、隣接して、上流でまたは下流でハイブリダイズするプライマ−である。単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の全てまたは一部を含む核酸分子とハイブリダイズし得る。あるいは、単離されたポリヌクレオチドプライマーは、ストリンジェントな条件下で、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の少なくとも50個の連続ヌクレオチドを含む核酸分子とハイブリダイズし得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、CFHタンパク質のアミノ酸402をコードするCFH遺伝子の領域と、隣接して、上流で、または下流でハイブリダイズし得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、CFHタンパク質のアミノ酸62をコードするCFH遺伝子の領域と、隣接して、上流で、または下流でハイブリダイズし得る。
【0056】
本明細書で用いられる場合、用語「プライマー」とは、核酸鎖に対して相補的なプライマー伸長生成物の合成が起こる条件下(例えば、ヌクレオチドの存在下で、DNAポリメラーゼ等の誘導剤ならびに適切な温度、pH、および電解質濃度)に置かれたとき、核酸合成の開始時点として作用し得るポリヌクレオチドをいう。あるいはプライマーは、2つの非結合核酸のライゲーションが起こる条件下(例えば、近位の核酸の存在下で、DNAリガーゼ等の誘導剤ならびに適切な温度、pH、および電解質濃度)に置かれたとき、近位の核酸にライゲーションし得る。本発明のポリヌクレオチドプライマーは、精製された制限消化物中のように天然由来であり得るか、または合成的に生成され得る。プライマーは、増幅における最大効率のために好ましくは一本鎖であるが、あるいは二本鎖でもよい。二本鎖の場合、第一に、プライマーは用いられる前にその鎖が分離されるよう処理される。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給、および方法の使用を含む、多くの要因に依存する。特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは少なくとも10ヌクレオチド長であり、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの片方または他方とハイブリダイズする。主題のポリヌクレオチドは、1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失等の変化を含み得るが、ただし同程度の特異性を有して、これらの標的バリアントCFH遺伝子とハイブリダイズすることを条件とする。
【0057】
一態様において、本発明は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを特異的に検出する1対のプライマーを提供する。かかる場合において、第一のプライマーはバリエーションから上流でハイブリダイズし、第二のプライマーはバリエーションから下流でハイブリダイズする。プライマーの1つがAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域の1つの鎖とハイブリダイズし、第二のプライマーはAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域の相補鎖とハイブリダイズする。本明細書で用いられる場合、用語「DNAの領域」とは、DNAのサブ染色体の長さをいう。
【0058】
別の態様において、本発明は、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとオーバーラップする標的DNA上の部位とハイブリダイズする対立遺伝子特異的プライマーを提供する。本発明の対立遺伝子特異的プライマーは、プライマーが完全な相補性を示す対立遺伝子形態の増幅をプライムする(prime)のみである。例えばこのプライマーは、遠位の部位でハイブリダイズする第二のプライマーと共に用いられ得る。したがって、増幅は2つのプライマーから実施され得、ヒトにおけるAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子の存在を示す検出可能な生成物をもたらす。
【0059】
3.検出アッセイ
特定の態様において、本発明は、加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを検出するのに有用なポリヌクレオチドに関する。好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、これらのポリヌクレオチドが、加齢黄斑変性症の発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域とハイブリダイズし得る。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの検出を可能にする任意のアッセイにおいて用いられ得る。かかる方法は、例えば、DNA配列決定、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、またはプライマー伸長法を包含し得る。さらに、これらの方法の任意の組み合わせは、本発明に利用され得る。
【0061】
一態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在は、DNA配列決定によって検出および/または決定される。DNA配列決定は、ジデオキシ鎖末端法(dideoxy chain termination technology)およびゲル電気泳動等の標準的な方法によって、またはピロシーケンシング(Biotage AB, Uppsala, Sweden)等の他の方法によって行われ得る。例えば、ジデオキシ鎖末端法によるDNA配列決定は、非標識プライマーおよび標識(例えば蛍光または放射活性)ターミネーターを用いて行われ得る。あるいは、配列決定は、標識プライマーおよび非標識ターミネーターを用いて行われ得る。試料中のDNAの核酸配列は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションが存在するかどうか明らかにするために、野生型DNAの核酸配列と比較され得る。
【0062】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在は、ハイブリダイゼーションによって検出および/または決定される。一態様において、ポリヌクレオチドプローブは、AMDと関連するCFH遺伝子のバリエーション、および隣接ヌクレオチドとハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。ポリヌクレオチドプローブは、ハイブリダイゼーションの検出を容易にするために、蛍光標識、放射性標識、または化学標識されたヌクレオチドを含み得る。ハイブリダイゼーションは、ノーザンブロット、サザンブロット、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)等の当該分野で公知の標準的な方法によって、またはDNAアレイもしくはマイクロアレイ等の固体支持体上で固定されたポリヌクレオチドとハイブリダイゼーションすることによって行われかつ検出され得る。本明細書で用いられる場合、用語「DNAアレイ」および「マイクロアレイ」とは、ハイブリダイズ可能なアレイ要素の規則正しい配列をいう。アレイ要素は、好ましくは基質表面上に固定される少なくとも1以上の異なるアレイ要素が存在するように配列される。各アレイ要素からのハイブリダイゼーションシグナルは個々に識別可能である。好ましい態様において、アレイ要素はポリヌクレオチドを含むが、本発明はまたcDNAまたは他の型の核酸アレイ要素と共に用いられ得る。
【0063】
特定の態様において、ポリヌクレオチドプローブは、FISHによってゲノムDNAをハイブリダイズするために用いられる。ゲノムDNAの欠失を検出するために、FISHが、例えば分裂中期細胞に用いられ得る。ゲノムDNAは、DNA二重らせん構造内で相補鎖を分離するために変性される。次いで、本発明のポリヌクレオチドプローブを変性したゲノムDNAに添加する。AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションが存在する場合、プローブはゲノムDNAとハイブリダイズする。次いでプローブシグナル(例えば蛍光)が、蛍光顕微鏡によって、シグナルの有無(of)について検出され得る。したがって、シグナルの非存在は、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの非存在を意味する。別の特定の態様において、標識ポリヌクレオチドプローブは、DNAアレイ上の固定されたポリヌクレオチドに使用される。例えば洗浄後、DNAアレイ上に残存する標識プローブの強度を測定することによって、ハイブリダイゼーションが検出され得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、Taqmanアッセイ(Applied Biosystems, Foster City, CA)等の市販のアッセイに用いられ得る。
【0064】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在が、DNAポリメラーゼを用いたプライマー伸長によって検出および/または決定される。一態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、直接バリエーションと隣接してハイブリダイズする。標識ジデオキシヌクレオチドターミネーターを用いた一塩基シーケンシング反応が、バリエーションを検出するために用いられ得る。バリエーションの存在は標識ターミネーターの取り込みをもたらすが、バリエーションの非存在は該ターミネーターの取り込みをもたらさない。別の態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズする。プライマー、またはその一部は、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。バリエーションの存在はプライマー伸長をもたらすが、バリエーションの非存在はプライマー伸長をもたらさない。プライマーおよび/またはヌクレオチドは、蛍光プローブ、放射性プローブ、または化学プローブをさらに含み得る。プライマー伸長で標識されたプライマーは、ゲル電気泳動、質量分析法、または蛍光標識、放射性標識、もしくは化学標識を検出するための任意の他の方法等によって、伸長生成物の強度を測定することによって検出され得る。
【0065】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在は、ライゲーションによって検出および/または決定される。一態様において、本発明のポリヌクレオチドプライマーは、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションとハイブリダイズする。プライマー、またはその一部は、野生型CFH遺伝子とハイブリダイズしない。第一のプライマーに隣接するCFH遺伝子の領域と直接ハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドもまた提供される。ポリヌクレオチドプライマーの一方または両方が、蛍光標識、放射性標識、もしくは化学標識され得る。AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションが存在する場合、DNAリガーゼの存在下で、2つのポリヌクレオチドプライマーのライゲーションが起こる。ライゲーションはゲル電気泳動、質量分析法によって、または蛍光標識、放射性標識、もしくは化学標識の強度を測定することによって検出され得る。
【0066】
別の態様において、AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの存在が、一塩基伸長(SBE)によって検出および/または決定される。例えば、付加された塩基の標識およびプライマーの標識間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)と共役する蛍光標識プライマーが用いられ得る。典型的に、Chenら(本明細書に参照によって援用されたPNAS 94:10756-61 (1997))によって記載されるもの等の方法は、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)を用いて5’末端上に標識された遺伝子座特異的ポリヌクレオチドプライマーを使用する。この標識プライマーは、3’末端が目的の多形部位と直接隣接するように設計される。標識プライマーは遺伝子座とハイブリダイズし、標識プライマーの一塩基伸長が、デオキシリボヌクレオチドが存在しない場合を除いて、ダイターミネーター配列決定様式で蛍光標識ジデオキシリボヌクレオチド(ddNTP)を用いて行われる。標識プライマーの波長における励起に応答した付加されたddNTPの蛍光の増大は、付加されたヌクレオチドの同一性を推測するために用いられる。
【0067】
AMDの発生と関連するCFH遺伝子のバリエーションの検出方法は、バリエーションを含むDNAの領域の増幅を含み得る。任意の増幅方法が用いられ得る。一特定の態様において、バリエーションを含むDNAの領域はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることで増幅される。PCRはMullis(例えば、本明細書に参照によって援用される米国特許第4,683,195号、4,683,202号および4,965,188号を参照)によって最初に記載され、クローニングまたは精製なしで、ゲノムDNAの混合物において、DNAの領域の濃度を増大させる方法を記載する。他のPCR法はまた、限定されないがRT-PCR、定量PCR、リアルタイムPCR、急速増幅断片多形DNA分析、cDNA末端の急速増幅法(RACE)、またはローリングサークル増幅法を含む核酸増幅に用いられ得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドプライマーはDNA混合物(または本発明のポリヌクレオチドプライマーで増幅され得る任意のポリヌクレオチド配列)と組み合わされ、ここで該DNAはCFH遺伝子を含む。混合物はまた、熱サイクリング反応に必要な必須増幅試薬(例えば三リン酸デオキシリボヌクレオチド、バッファ等)を含む。標準的なPCR法にしたがって、CFH遺伝子のバリエーションを含むDNAの領域を増幅するために、混合物は一連の変性、プライマーアニーリングおよびポリメラーゼ伸長工程を受ける。DNAの増幅領域の長さは、お互いに関してプライマーの相対位置で測定され、したがってこの長さは調節可能なパラメータである。例えば、プライマーのハイブリダイゼーションは、バリエーションに近位なプライマーの末端が1〜10,000塩基対(例えば10塩基対(bp)、50bp、200bp、500bp、1,000bp、2,500bp、5,000bpまたは10,000bp)離れるように起こり得る。
【0068】
当業者に公知の標準器具類は、増幅および増幅されたDNAの検出のために使用される。例えば、広く多様な器具が、核酸増幅、特にPCR、例えばJohnson et al,米国特許番号.5,038,852(コンピューター制御サーマルサイクラー);Wittwer et al, Nucleic Acids Research, 17:4353-4357(1989)(キャピラリーチューブPCR);Hallsby,米国特許番号.5,187,084(空気ベース温度制御);Garner et al, Biotechniques, 14:112-115(1993)(864ウェルプレートにおけるハイスループットPCR);Wilding et al, 国際出願番号.PCT/US93/04039(マイクロ規格構造におけるPCR);Schnipelsky et al, 欧州特許出願番号.90301061.9(公開番号. 0381501 A2)(使い捨て、単回使用PCR装置)等を実施するために開発されてきた。特定の態様において、本明細書中に記載される本発明はリアルタイムPCRまたはTaqmanアッセイ等の当該分野で公知の他の方法を利用する。
【0069】
特定の態様において、ヒトのAMDの発生と関連するバリアントCFH遺伝子は、一本鎖コンホメーション多型分析を用いて検出され得、Orita et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 86, 2766-2770(1989)に記載されるように、一本鎖PCR産物の電気泳動の移動における変化により塩基差を同定する。増幅PCR産物は上記記載のように生成され、加熱されるか、そうでない場合は変性され、一本鎖増幅産物を形成し得る。一本鎖核酸は、塩基配列に部分的に依存する二次構造をリフォールドまたは形成し得る。一本鎖増幅産物の異なる電気泳動の移動度は標的配列の対立遺伝子の間での塩基配列差と関連され得る。
【0070】
1つの態様において、増幅DNAは、DNA配列決定によるような、本明細書中に記載される検出方法の1つと関連して分析される。増幅DNAは代替的に、標識プローブを用いたハイブリダイゼーション、DNAアレイまたはマイクロアレイへのハイブリダイゼーションによって、ビオチン化プライマーの取り込みに続くアビジン酵素結合体の検出によって、またはdCTPまたは、dATPのような32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の増幅部分への取り込みによって分析され得る。特定の態様において、増幅DNAは、電気泳動またはクロマトグラフィーによって増幅DNAの長さを決定することで分析される。例えば、増幅DNAはゲル電気泳動によって分析される。ゲル電気泳動の方法は当該分野で周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., 編.John Wiley & Sons:1992を参照。増幅DNAは、例えば、蛍光または放射性手段によって、またはDNA間に挿入する他の色素もしくはマーカーを用いて可視化され得る。DNAはまた、ニトロセルロース膜のような固体支持体に移され、ゲル電気泳動に続いてサザンブロッティングに供され得る。1つの態様において、DNAは、臭化エチジウムに曝露され、紫外線下で可視化される。
【0071】
4.CFHポリペプチドをコードする治療核酸
特定の態様において、本発明は、本明細書中に開示される機能性バリアントを含む、
CFHポリペプチドをコードする単離および/または組換え核酸を提供する。例えば、配列番号1または2は、CFHをコードする核酸配列であり、配列番号5または6および図5はCFHポリペプチドをコードする。主題の核酸は一本鎖または二本鎖であり得る。かかる核酸は、DNAまたはRNA分子であり得る。これらの核酸は、例えば、CFHポリペプチドを作製する方法において、または直接的な治療剤(例えば、遺伝子治療アプローチにおいて)として使用され得る。
【0072】
CFHポリペプチドをコードする主題の核酸は、配列番号1または2のバリアントである核酸を含むことがさらに理解される。バリアントヌクレオチド配列は、対立遺伝子バリアント等の、1つ以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失によって異なる配列を含み、従って配列番号1または2に指定されるコード配列のヌクレオチド配列とは異なるコード配列を含む。配列番号1または2に指定されるコード配列のヌクレオチド配列とは異なるコード配列は、C3〜C3aおよびC3bの活性化を阻害する能力について、および存在するC3を不活性化することによって試験され得る。
【0073】
特定の態様において、本発明は、配列番号1または2に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一な単離または組換え核酸配列を提供する。当業者は、配列番号1または2に相補的な核酸配列、および配列番号1または2のバリアントもまた、本発明の範囲内であることを認める。さらなる態様において、本発明の核酸配列は、異種性ヌクレオチド配列と共に、またはDNAライブラリーにおいて単離、組換えおよび/融合され得る。
【0074】
他の態様において、本発明の核酸はまた、ストリンジェントな条件下で配列番号1または2に指定されるヌクレオチド配列、配列番号1または2の相補配列、あるいはその断片にハイブリダイズする核酸を含む。上記に議論するように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシーな条件が変更され得ることを容易に理解する。例えば、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、続いて50℃での2.0×SSCの洗浄を実施し得る。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまで選択され得る。さらに、洗浄工程における温度は、室温、約22℃での低ストリンジェンシー条件から約65℃での高ストリンジェンシー条件まで増加され得る。温度および塩の両方は変更され得るか、または温度もしくは塩濃度は一定に保たれ得るが、他の変化可能なものは変化される。1つの態様において、本発明は、室温での6×SSCの低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、室温での2×SSCの洗浄が続く核酸を提供する。
【0075】
遺伝子コードの縮重による配列番号1または2に示すような核酸とは異なる単離された核酸はまた、本発明の範囲内である。例えば、多くのアミノ酸が1つより多くのトリプレットで指定される。同じアミノ酸を特定するコドン、つまりシノニム(synonym)(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンのシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を与えない「サイレント」バリエーションを生じ得る。しかしながら、主題のタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型は哺乳動物細胞中に存在することが予想される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1つ以上のヌクレオチドにおけるこれらの変化(ヌクレオチドの約3〜5%まで)が、天然の対立遺伝子バリエーションにより所定の種の個体間で存在し得ることを認める。任意および全ての、かかるヌクレオチドバリエーションおよび得られたアミノ酸多型は本発明の範囲内である。
【0076】
本発明の核酸およびポリペプチドは、標準の組換え方法を用いて産生され得る。例えば、本発明の組換え核酸は、発現構築物中で1つ以上の調節ヌクレオチド配列に操作可能に連結され得る。調節ヌクレオチド配列は一般に、発現に使用される宿主細胞に適切である。多くの型の適切な発現ベクターおよび適当な調節配列が、種々の宿主細胞について当該分野で公知である。典型的に、該1つ以上の調節ヌクレオチド配列は、限定されないが、プロモーター配列、リーダー配列またはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、ならびにエンハンサー配列またはアクチベーター配列を含み得る。当該分野で公知のような構成性プロモーターまたは誘導性プロモーターは本発明によって企図される。プロモーターは、天然プロモーター、または1つより多くのプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、細胞において、プラスミドのようなエピソームに存在し得るか、または発現構築物は、染色体に挿入され得る。発現ベクターはまた、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子を含み得る。選択可能なマーカー遺伝子は、当該分野で周知であり、使用される宿主細胞と共に変更する。
【0077】
本発明の特定の態様において、主題の核酸は、CFHポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つの調節配列に操作可能に連結される発現ベクター中に提供される。調節配列は、当該分野で認識され、CFHポリペプチドの発現を指向するために選択される。従って、用語調節配列は、プロモーター、エンハンサー、終結配列、好ましいリボソーム結合部位配列、好ましいmRNAリーダー配列、好ましいタンパク質プロセッシング配列、好ましいタンパク質分泌のためのシグナル配列、および他の発現制御エレメントを含む。調節配列の例は、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, Academic Press, San Diego, CA(1990)に記載されている。例えば、操作可能に連結される場合DNA配列の発現を制御する任意の広く多様な発現制御配列が、CFHポリペプチドをコードするDNA配列を発現するためにこれらのベクターに使用され得る。かかる有用な発現制御配列は、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、発現がT7 RNAポリメラーゼで指向されるT7 プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fd被覆タンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母α接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーターおよび原核細胞もしくは真核細胞またはこれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知の他の配列、ならびにその種々の組み合わせを含む。発現ベクターの設計は形質転換されるべき宿主細胞および/または発現されることが所望されるタンパク質の型の選択のような因子に依存し得る。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を制御する能力および抗生物質マーカーのような、ベクターにコードされる任意の他のタンパク質の発現もまた、考慮されるべきである。
【0078】
本発明の組換え核酸は、クローンされた遺伝子、またはその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)、または両方のいずれかにおいて、発現に適切なベクターにライゲーションすることで産生され得る。組換えCFHポリペプチドの産生のための発現ビヒクルは、プラスミドおよび他のベクターを含む。例えば、適切なベクターは、以下の型のプラスミドを含む:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよび大腸菌のような原核細胞における発現のためのpUC由来プラスミド。
【0079】
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌でベクターの増殖を容易にする原核性配列、および真核細胞中で発現される1つ以上の真核性転写ユニットの両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。原核細胞および真核細胞の両方において複製および薬剤耐性選択を容易にするために、これらのいくつかのベクターがpBR322のような細菌プラスミド由来の配列を用いて改変される。あるいは、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV-1)、またはエプスタイン-バー-ウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)のようなウイルスの派生物が、真核細胞においてタンパク質の一過性発現のために使用され得る。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、以下で遺伝子治療送達系の記載に見出され得る。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換に使用される種々の方法は、当該分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方についての他の適切な発現系ならびに一般的な組換え手順について、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory(2001)を参照。いくつかの例において、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現することが望ましくあり得る。かかるバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393およびpVL941のような)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1のような)、およびpBlueBac由来べクター(β-gal含有pBlueBacIIIのような)が挙げられる。
【0080】
1つの態様において、ベクターは、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wisc.)のように、CHO細胞において主題のCFHポリペプチドの産生のために設計される。他の態様において、ベクターは、原核宿主細胞(例えば、大腸菌および枯草菌)、真核宿主細胞、例えば、酵母細胞、昆虫細胞、骨髄腫細胞、繊維芽3T3細胞、サル腎臓またはCOS細胞、ミンク肺上皮細胞、ヒト包皮繊維芽細胞、ヒトグリア芽細胞、および奇形癌細胞等において、主題のCFHポリペプチドの産生のために設計される。あるいは、遺伝子は、ウサギ網状赤血球溶解系のような無細胞系で発現され得る。
【0081】
明らかであるように、主題の遺伝子構築物は、培養物中で増殖される細胞中で主題のCFHポリペプチドを発現するために、例えば、精製のための、融合タンパク質またはバリアントタンパク質を含むタンパク質を産生するために使用され得る。
【0082】
本発明はまた、1つ以上の主題のCFHポリペプチドのコード配列(例えば、配列番号1または2)を含む組換え遺伝子をトランスフェクションした宿主細胞に関する。宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本発明のCFHポリペプチドは、大腸菌等の細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いる)、酵母、また
は哺乳動物細胞中で発現され得る。他の適切な宿主細胞は当業者に公知である。
【0083】
従って、本発明はさらに、主題のCFHポリペプチドを産生する方法に関する。例えば、CFHポリペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクションした宿主細胞は、CFHポリペプチドの発現が生じ得る適切な条件下で培養され得る。CFHポリペプチドが分泌され、細胞およびCFHポリペプチドを含む培地の混合物から単離され得る。また、ポリペプチドは、細胞質にまたは膜画分に保持され、細胞が回収され、溶解され、タンパク質が単離され得る。細胞培養物は、宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適切な培地は当該分野で周知である。ポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、およびポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いた免疫アフィニティー精製を含む、タンパク質精製に当該分野で公知な技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞、または両方から単離され得る。特定の態様において、CFHポリペプチドは、CFHポリペプチドの精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
【0084】
別の態様において、組換えCFHポリペプチドの所望の部分のN末端にpoly-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列等の精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって、発現された融合タンパク質の精製を可能にし得る。次に精製リーダー配列は続いて、エンテロキナーゼでの処理によって除去され、精製ポリペプチドを提供し得る(例えば、Hochuli et al., (1987)J. Chromatography 411:177;およびJanknecht et al., PNAS USA 88:8972を参照)。
【0085】
融合遺伝子を作製する技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNA断片の結合は、ライゲーションのための平滑末端終端または付着末端終端、適切な終端を提供する制限酵素消化、適切な付着末端の充填、望ましくない結合を回避するアルカリホスファターゼ処理、および酵素ライゲーションを使用した、慣用技術に従って実施される。別の態様において、融合遺伝子は自動化DNA合成機を含む慣用技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、後にアニールされ得る2つの連続的遺伝子断片間で相補的突出を生じるアンカープライマーを用いて実施され、キメラ遺伝子配列を生じ得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., 編. John Wiley & Sons: 1992を参照)。
【0086】
5.他の治療様式
アンチセンスポリヌクレオチド
特定の態様において、本発明は、バリアントCFH遺伝子の発現を阻害するアンチセンス機構によって作用するアンチセンス配列を含むポリヌクレオチドを提供する。アンチセンス技術は、遺伝子発現を調節するために広く利用されてきた(Buskirk et al., Chem Biol 11, 1157-63(2004);およびWeiss et al., Cell Mol Life Sci 55, 334-58(1999))。本明細書中で使用される場合、「アンチセンス」技術とは、例えば、立体障害、選択的スプライシング、または転写物の誘導切断もしくは他の酵素的不活性化によるような、転写および/または翻訳を阻害することによってタンパク質の発現を阻害するように、1つ以上の標的タンパク質をコードする目的の標的核酸(mRNAおよび/またはゲノムDNA)と、細胞の条件下で特異的にハイブリダイズする(例えば、結合する)分子またはその派生物の投与またはインサイチュ産生のことをいう。結合は、慣用の塩基対相補性によって、または例えば、DNA二重鎖への結合の場合に、二重らせんの主溝における特異的な相互作用を介してであり得る。一般に、「アンチセンス」技術とは、当該分野で一般に使用される技術の範囲のことをいい、核酸配列への特異的な結合に依存する任意の治療を含む。
【0087】
本発明のアンチセンス配列を含むポリヌクレオチドは、例えば、細胞で転写される場合、標的核酸の少なくとも特有部分に相補的な核酸配列を産生する発現プラスミドの構成要素として送達され得る。あるいは、アンチセンス配列を含み、標的細胞に導入された場合、標的核酸とハイブリダイズすることで発現の阻害を起こすポリヌクレオチドは、標的細胞から(outside of)生じられ得る。本発明のポリヌクレオチドは、内在性ヌクレアーゼ、例えば、エクソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼに耐性で、従ってインビボで安定であるように改変され得る。本発明のポリヌクレオチドにおける使用のための核酸分子の例は、DNAのホスホラミデート(phosphoramidate)、ホスホチオエート(phosphothioate)およびメチルホスホネートアナログである(米国特許番号5,176,996; 5,264,564; および5,256,775も参照)。アンチセンス技術に有用なポリヌクレオチドを構築する一般的なアプローチは、例えば、van der krol et al.(1988)Biotechniques 6:958-976;およびStein et al.(1988) Cancer Res 48:2659-2668によって概説されている。
【0088】
アンチセンスアプローチは、バリアントCFH遺伝子をコードする標的核酸に相補的なポリヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれか)の設計を含む。アンチセンスポリヌクレオチドは、mRNA転写物に結合し、目的のタンパク質の翻訳を防止し得る。完全な相補性は、好ましいが、必要ではない。二重鎖アンチセンスポリヌクレオチドの場合、二重鎖DNAのうち1本鎖が例えば試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス配列の長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が長くなればなるほど、標的核酸と塩基ミスマッチをより多く含み得、安定な二重鎖(または三重鎖、場合に応じて)をなお形成する。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定するための標準の手順を使用することで寛容な程度のミスマッチを確かめ得る。
【0089】
mRNA標的の5'末端、例えば、AUG開始コドンまで、およびAUG開始コドンを含む5'非翻訳配列に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、mRNAの翻訳を阻害する点で最も効率良く作用するはずである。しかしながら、mRNAの3'非翻訳配列に相補的な配列は最近、同様にmRNAの翻訳を阻害することに有効であることが示されている(Wagner, R. 1994. Nature 372:333)。それゆえに、バリアントCFH遺伝子の5'または3'非翻訳の、非コード領域のいずれかに相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、バリアントCFH mRNAの翻訳を阻害するアンチセンスアプローチに使用され得る。mRNAの5'非翻訳領域に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補物を含むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳のより効率の低いインヒビターであるが、本発明に従って使用もされ得る。mRNAの5'、3'、またはコード領域にハイブリダイズするように設計するにせよ、アンチセンスポリヌクレオチドは、少なくとも6ヌクレオチド長、好ましくは約100ヌクレチオド長より少なく、より好ましくは約50、25、17または10ヌクレオチド長より少なくあるべきである。
【0090】
標的配列の選択に関わらず、バリアントCFH遺伝子の発現を阻害するアンチセンスポリヌクレオチドの能力を定量するために、インビトロでの研究が最初に実施されることが好ましい。これらの研究はアンチセンス遺伝子阻害およびアンチセンスポリヌクレオチドの非特異的な生物学的効果との間を区別するコントロールを利用することが好ましい。これらの研究は、標的RNAまたはタンパク質のレベルを内部コントロールRNAまたはタンパク質のレベルと比較することも好ましい。さらに、アンチセンスポリヌクレオチドを用いて得られた結果は、コントロールアンチセンスポリヌクレオチドを用いて得られたものと比較されることが構想される。コントロールアンチセンスポリヌクレオチドは、試験アンチセンスポリヌクレオチドとおよそ同じ長さであること、およびコントロールアンチセンスポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、標的配列に特異的なハイブリダイズを防止することが必要でない、目的のアンチセンス配列と異なることが好ましい。
【0091】
アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の、DNAもしくはRNAまたはそのキメラ混合物もしくは派生物もしくは改変版であり得る。本発明のポリヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション等を改善するために、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で改変され得る。本発明のポリヌクレオチドは、ペプチド(例えば、宿主細胞レセプターを標的とするための)、または細胞膜を越える輸送を容易にする薬剤(例えば、Letsinger et al., 1989, Proc Natl Acad Sci. USA 86:6553-6556; Lemaitre et al., 1987, Proc Natl Acad Sci. USA 84:648-652; 1988年12月15日に公開されたPCT公開番号W088/09810を参照)、または血液-脳関門(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT公開番号W089/10134を参照)、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、Krol et al.,1988, BioTechniques 6:958-976を参照)またはインターカレート剤(例えば、Zon, Pharm. Res. 5:539-549(1988)を参照)のような、他の追加される群を含み得る。このために、本発明のポリヌクレオチドは、別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、トランスポート剤、ハイブリダイゼーション誘発切断剤等に結合され得る。
【0092】
アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、限定されないが、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシトリエチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキューオシン、5-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含む群より選択される少なくとも1つの改変塩基部分を含み得る。
【0093】
本発明のポリヌクレオチドはまた、限定されないが、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースを含む群より選択される少なくとも1つの改変糖部分を含み得る。
【0094】
本発明のポリヌクレオチドはまた、中立ペプチド様骨格を含み得る。かかる分子は、ペプチド核酸(PNA)-オリゴマーと呼ばれ、例えば、Perry-O'Keefe et al.(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670およびEglom et al.(1993)Nature 365:566に記載されている。PNAオリゴマーの1つの利点は、DNAの中立骨格による媒体のイオン強度とは本質的に独立して相補DNAに結合する能力である。なお別の態様において、本発明のポリヌクレオチドはホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホラミデート、ホスホルジアミデート(phosphordiamidate)、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびこれらのホルムアセタールまたはアナログからなる群より選択される少なくとも1つの改変リン酸骨格を含む。
【0095】
さらなる態様において、アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、アノマー(anomeric)オリゴヌクレオチドである。アノマーオリゴヌクレオチドは、通常の単位とは反対に、鎖が互いに並行する相補RNAとの特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gautier et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:6625-6641)。オリゴヌクレオチドは、2'-O-メチルリボヌクレオチド(Inoue et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:6131-6148)またはキメラRNA-DNAアナログである(Inoue et al., 1987, FEBS Lett. 215:327-330)。
【0096】
アンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドは、当該分野で公知の標準的な方法によって、例えば、自動化DNA合成機(Biosearch, Applied Biosystems 等から市販されるもの等)の使用によって合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209(1988)の方法によって合成され得、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、細孔性ガラスポリマー支持体の使用によって調製され得る(Sarin et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA 85:7448-7451(1988))、等。
【0097】
mRNA配列のコード領域に相補的なアンチセンス配列が使用され得るが、転写非翻訳領域および開始メチオニンを含む領域に相補的なものが最も好ましい。
【0098】
アンチセンスポリヌクレオチドは、インビボで標的遺伝子を発現する細胞に送達され得る。多くの方法が、核酸を細胞へ送達するために開発されている;例えば、これらは組織部位に直接注射され得るか、または所望の細胞を標的とするように設計された改変核酸(例えば、標的細胞表面に発現したレセプターまたは抗原と特異的に結合するペプチドまたは抗体に連結されたアンチセンスポリヌクレオチド)が全身投与され得る。
【0099】
しかしながら、特定の例において、バリアントCFH遺伝子またはmRNAの活性を減衰するのに十分なアンチセンスポリヌクレオチドの細胞内濃度を達成することは困難であり得る。それゆえに、別のアプローチは、強力なpolIIIまたはpolIIプロモーターの制御下でアンチセンスポリヌクレオチドが配置される組換えDNA構築物を利用する。患者における標的細胞にトランスフェクトするかかる構築物の使用によって、バリアントCFH遺伝子またはmRNAと相補的塩基対を形成する、十分な量のアンチセンスポリヌクレオチドの転写が生じ、それによってCFHタンパク質の活性が減衰される。例えば、ベクターは細胞に取り込まれるようにインビボで導入され得、バリアントCFH遺伝子またはmRNAを標的とするアンチセンスポリヌクレオチドの転写を指向する。所望のアンチセンスポリヌクレオチドを産生するように転写され得る限り、かかるベクターは、エピソームのままであり得るか、または染色体に統合され得る。かかるベクターは、当該分野で標準である、組換えDNA技術方法によって構築され得る。ベクターは、哺乳動物細胞で複製および発現に使用されるプラスミド、ウイルスまたは当該分野で公知な他のものであり得る。プロモーターはアンチセンスポリヌクレオチドをコードする配列に操作可能に連結され得る。アンチセンスポリヌクレオチドをコードする配列の発現は、当該分野で公知の任意のプロモーターによってであり、哺乳動物、好ましくはヒト細胞で作用し得る。かかるプロモーターは、誘導性または構成性であり得る。かかるプロモーターは、限定されないが、SV40初期プローモーター領域(Bernoist and Chambon, Nature 290:304-310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3'長末端反復配列に含まれたプロモーター(Yamamoto et al., Cell 22:787-797(1989))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445(1981))、メタロチオニン遺伝子の調節配列(Brinster et al, Nature 296:3942(1982))、等を含む。任意の型のプラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベクターが、組織部位に直接導入され得る組換えDNA構築物を調製するために使用され得る。あるいは、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターは、投与が別の経路で達成され得る場合(例えば、全身)、使用され得る。
【0100】
RNAi構築物-siRNAおよびmiRNA
RNA干渉(RNAi)は、二本鎖(ds)RNA依存性の遺伝子特異的な転写後サイレンシングを説明する現象である。哺乳動物細胞の実験操作のためにこの現象を活用する最初の試みは、長いdsRNA分子に応答して活性化された、強くて非特異的な抗ウイルス防御機構によって挫かれた。Gil et al. Apoptosis 2000, 5:107-114。一般的な抗ウイルス防御機構をもたらすことなく、21ヌクレオチドRNAの合成二重鎖が哺乳動物細胞において遺伝子特異的なRNAiを媒介し得たという証明によって、分野は重大に進歩した。Elbashir et al. Nature 2001, 411:494-498; Caplen et al. Proc Natl Acad Sci 2001, 98:9742-9747。結果として、低分子干渉RNA(siRNAi)およびマイクロRNA(miRNA)は遺伝子機能を詳細に吟味するための強力なツールとなっている。低分子RNAの化学合成は見込みのある結果を生み出す1つの達成方法である。多くのグループはまた、細胞内でかかるsiRNAを生じ得るDNAベースベクターの開発を探し求めた。いくつかのグループは最近、この目標を達成し、細胞内でsiRNAを形成するために効率的にプロセスされるショートヘアピン(sh)RNAの転写を一般に含む同様の戦略を公開した。Paddison et al. PNAS 2002, 99:1443-1448; Paddison et al. Genes & Dev 2002, 16:948-958; Sui et al. PNAS 2002, 8:5515-5520;およびBrummelkamp et al. Science 2002, 296:550-553。これらの報告は、多くの内在性および外因性発現遺伝子を特異的に標的とし得るsiRNAを生じる方法を記載する。
【0101】
従って、本発明は、バリアントCFH遺伝子の発現を減衰するRNAiまたはmiRNA機構によって作用するRNAi配列を含むポリヌクレオチドを提供する。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、バリアントCFH遺伝子の発現を減衰または阻害するmiRNAまたはsiRNA配列を含み得る。1つの態様において、miRNAまたはsiRNA配列は、約19ヌクレオチド〜約75ヌクレオチド長、または好ましくは約25塩基対〜約35塩基対長である。特定の態様において、ポリヌクレオチドは、RNAse酵素(例えば、DroshaおよびDicer)によってプロセスされ得るヘアピンループまたはステムループである。
【0102】
RNAi構築物は、細胞の生理学的条件下でバリアントCFH遺伝子についてのmRNA転写物の少なくとも一部分のヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。二本鎖RNAは、RNAiを媒介する能力を有する天然RNAと十分に同様であることだけが必要である。標的配列およびRNAi構築物配列との間で寛容されるヌクレオチドミスマッチ数は、5塩基対に1つ以下、または10塩基対に1つ以下、または20塩基対に1つ以下、または50塩基対に1つ以下である。RNAi構築物はバリアントCFH遺伝子を特異的に標的とし得ることが主に重要である。siRNA二重鎖の中央のミスマッチは最も重大で、標的RNAの切断を本質的に破壊し得る。対照的に、標的RNAに相補的なsiRNA鎖の3'末端のヌクレオチドは、標的認識の特異性に有意に貢献しない。
【0103】
配列同一性は、当該分野で公知の配列比較およびアライメントアルゴリズム(Gribskov nd Devereux, Sequence Analysis Primer, Stockton Press, 1991, およびそこに引用される文献)によって、および例えば、デフォルトパラメーターを用いたBESTFITソフトウェアプログラムで実行されるようなSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、ウィスコンシン大学の遺伝子コンピューターグループ)によるヌクレオチド配列の間でのパーセント差を計算することで最適化され得る。阻害RNAおよび標的遺伝子の部分との間で、90%配列同一性より大きく、または100%配列同一性でさえが好ましい。あるいは、RNAの二重鎖領域は、標的遺伝子転写物の部分とハイブリダイズし得るヌクレオチド配列として機能的に定義され得る(例えば、400mM NaCl, 40mM PIPES pH6.4, 1mM EDTA, 12〜16時間の50℃または70℃のハイブリダイゼーション;続いて洗浄)。
【0104】
RNAi配列を含むポリヌクレオチオドの産生は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドの産生方法のいずれかで実施され得る。例えば、RNAi配列を含むポリヌクレオチオドは、化学合成方法または組換え核酸技術によって産生され得る。処理細胞の内在性RNAポリメラーゼが、インビボでの転写を媒介し得るか、またはクローン化されたRNAポリメラーゼがインビトロでの転写に使用され得る。野生型またはアンチセンスポリヌクレオチド、もしくはRNAi機構によって標的遺伝子活性を調節するものを含む本発明のポリヌクレオチドは、例えば、細胞性ヌクレアーゼへの感受性の減少、生物学的利用能の改善、配合特徴の改善、および/または他の薬動力学特性の変化のために、リン酸-糖骨格またはヌクレオシドのいずれかへの改変を含み得る。例えば、天然RNAのホスホジエステル結合は、少なくとも1つの窒素または硫黄へテロ原子を含むように改変され得る。RNA構造の改変は特異的な遺伝子阻害を可能にするように調整され得るが、dsRNAへの一般的な応答を回避する。同様に、塩基はアデノシンデアミナーゼの活性をブロックするために改変され得る。本発明のポリヌクレオチドは、酵素的にまたは部分/全体有機合成によって産生され得、任意の改変リボヌクレオチドは、インビトロでの酵素合成または有機合成によって導入され得る。
【0105】
RNA分子を化学的に改変する方法は、RNAi構築物を改変するために適合され得る(例えば、Heidenreich et al. (1997)Nucleic Acids Res, 25:776-780; Wilson et al. (1994)J Mol Recog 7:89-98; Chen et al.(1995) Nucleic Acids Res 23:2661-2668; Hirschbein et al.(1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev 7:55-61を参照)。単に例証するために、RNAi構築物の骨格は、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、ホスホジチオエート、キメラメチルホスホネート-ホスホジエステル、ペプチド核酸、5-プロピニル-ピリミジン含有オリゴマーまたは糖改変物(例えば、2'-置換リボヌクレオシド、a-配置)を用いて改変され得る。
【0106】
二本鎖構造は、単一の自己相補性RNA鎖または2つの相補性RNA鎖によって形成され得る。RNA二重鎖形成は、細胞内または細胞外のいずれかで開始され得る。RNAは、細胞あたり少なくとも1つのコピーの送達を可能にする量で導入され得る。二本鎖物質のより高い用量(例えば、細胞あたり少なくとも5、10、100、500または1000コピー)は、より効果的な阻害を生じ得るが、より低い用量もまた特定の応用に有用であり得る。阻害は、RNAの二重鎖領域に対応するヌクレオチド配列が、遺伝子的阻害を標的とする点で配列特異的である。
【0107】
特定の態様において、主題のRNAi構築物は「siRNA」である。これらの核酸は、約19〜35ヌクレオチド長、さらにより好ましくは21〜23ヌクレオチド長、例えば、より長い二本鎖RNAを「ダイサー」するヌクレアーゼによって生じた断片に対応する長さである。siRNAは、ヌクレアーゼ複合体をリクルートし、特異的な配列と対を形成することによって複合体を標的mRNAへ導くことが理解されている。結果として、標的mRNAがタンパク質複合体においてヌクレアーゼによって分解されるか、または翻訳が阻害される。特定の態様において、21〜23ヌクレオチドsiRNA分子は3'ヒドロキシル基を含む。
【0108】
他の態様において、主題のRNAi構築物は「miRNA」である。マイクロRNA(miRNA)は相同mRNAとの相互作用によって遺伝子発現の転写後調節を指向する小さな非コードRNAである。miRNAは、タンパク質コード遺伝子由来の標的mRNAの相補的部位への結合によって遺伝子の発現を制御する。miRNAはsiRNAと類似する。miRNAは、より長い二本鎖前駆体分子からのヌクレオチド切断によってプロセッシングされる。これらの前駆体分子はしばしば、ヘアピン中で塩基対形成される25以上のヌクレオチドを伴う約70ヌクレオチド長のヘアピン構造である。RNAseIII様酵素DroshaおよびDicer(siRNAプロセッシングでも使用され得る)は、miRNA前駆体を切断し、miRNAを生じる。プロセッシングされたmiRNAは一本鎖であり、RISCまたはmiRNPと呼ばれるタンパク質複合体に取り込まれる。このRNA-タンパク質複合体は、相補性mRNAを標的とする。miRNAは翻訳を阻害するか、または標的mRNAの切断を指向する(Brennecke et al., Genome Biology 4:228(2003); Kim et al., Mol. Cells 19:1-15(2005))。
【0109】
特定の態様において、miRNAおよびsiRNA構築物は、例えば、酵素DicerまたはDroshaの存在下でより長い二本鎖RNAのプロセッシングによって生じられ得る。DicerおよびDroshaはdsRNAを特異的に切断するRNAseIII様酵素である。Dicerは、ヘリカーゼドメインおよび二重のRNAseIIIモチーフを含む特有の構造を有する。Dicerはまた、RDE1/QDE2/ARGONAUTEファミリーに相同な領域を含み、下等の真核生物でRNAiと遺伝学的に関連付けられている。実際に、Dicerの活性化または過剰発現は、多くの場合、培養された真核生物細胞、または培養物中もしくは全生物体中の哺乳動物(非卵母性)細胞のような、他の非受容性細胞においてRNA干渉を可能にするのに十分であり得る。Dicerおよび他のRNAi酵素を使用する方法および組成物は、米国特許出願公開番号2004/0086884に記載されている。
【0110】
1つの態様において、Drosophilaのインビトロ系が使用される。この態様において、
RNAi配列またはRNAi前駆体を含むポリヌクレオチドは、Drosophila胚由来の溶解抽出物と合わされ、それによって組み合わせを生じる。組み合わせはdsRNAが約21〜約23ヌクレオチドのRNA分子にプロセッシングされる条件下で維持される。
【0111】
miRNAおよびsiRNA分子は、当業者に公知の、多くの技術を用いて精製され得る。例えば、ゲル電気泳動はかかる分子を精製するために使用され得る。あるいは、非変性カラムクロマトグラフィーのような非変性方法が、siRNAおよびmiRNA分子を精製するために使用され得る。さらに、クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)、グリセロール勾配遠心分離、抗体を用いたアフィニティー精製が、siRNAおよびmiRNAを精製するために使用され得る。
【0112】
特定の態様において、エフェクタードメインのsiRNA配列の少なくとも1つの鎖は、約1〜約6ヌクレオチド長、または2〜4ヌクレオチド長の3'突出を有する。他の態様において、3'突出は、1〜3ヌクレオチド長である。特定の態様において、一方の鎖は3'突出を有し、他方の鎖は平滑末端であるか、または突出も有するかのいずれかである。突出の長さは、各鎖について同じまたは異なり得る。siRNA配列の安定性をさらに高めるために、3'突出は分解に対して安定化され得る。1つの態様において、RNAは、アデノシンまたはグアノシンヌクレオチドのようなプリンヌクレオチドを含むことで安定化される。あるいは、ピリミジンヌクレオチドの改変アナログによる置換、例えば、ウリジンヌクレオチド3'突出の2'-デオキシチミジン(2'-deoxythyinidine)による置換は許容され、RNAiの効果に影響を与えない。2'ヒドロキシルの非存在は組織培地における突出のヌクレアーゼ耐性を有意に高め、インビボで有利であり得る。
【0113】
特定の態様において、RNAi配列またはRNAi前駆体を含む本発明のポリヌクレオチドは、ヘアピン構造の形態である(ヘアピンRNAと呼ばれる)。ヘアピンRNAは、外因的に合成され得るか、またはインビボでRNAポリメラーゼIIIプロモーターから転写されることによって形成され得る。哺乳動物細胞において遺伝子サイレンシングのためのかかるヘアピンRNAを作製および使用する例は、例えば、Paddison et al., Genes Dev, 2002, 16:948-58; McCaffrey et al.,Nature, 2002, 418:38-9;McManus et al., RNA 2002, 8:842-50; Yu et al., Proc Natl Acad Sci USA, 2002, 99:6047-52に記載される。好ましくは、かかるヘアピンRNAは、所望の遺伝子の連続的および安定な抑制を保証するために細胞または動物内で操作される。miRNAおよびsiRNAが細胞中でヘアピンRNAをプロセッシングすることで産生され得ることが当該分野で公知である。
【0114】
さらに他の態様において、プラスミドは、例えば、転写産物として二本鎖RNAを送達するために使用される。コード配列が転写された後、相補性RNA転写物が塩基対形成し、二本鎖RNAを形成する。
【0115】
アプタマーおよび低分子
本発明はまた、AMDと関連するバリアントCFHポリペプチドに特異的に結合し、それによってバリアントCFHポリペプチドの活性を調節する治療アプタマーを提供する。アプタマーは、高い親和性および特異性を伴って特定の分子に結合し得る、RNAまたはDNAのような核酸分子であり得る(Ellington et al., Nature 346, 818-22(1990);およびTuerk et al., Science 249, 505-10(1990))。アプタマーは、標的分子の結合に対するインビトロ選択によって殆ど典型的に得られている。例えば、バリアントCFHポリペプチドと特異的に結合するアプタマーは、ポリヌクレオチドのプールからバリアントCFHポリペプチドへの結合についてのインビトロ選択によって得ることができる。しかしながら、アプタマーのインビボ選択も可能である。アプタマーは、同じ環境で他の物質が核酸と複合体形成しない環境下で意図される標的分子と複合体を形成し得る特定の結合領域を有する。一般に環境における他の物質または非関連分子に対するアプタマーの解離定数と比較する場合、結合の特異性は、リガンド(例えば、バリアントCFHポリペプチド)に対するアプタマーの比較解離定数(Kd)の点で定められる。リガンド(例えば、バリアントCFHポリペプチド)は、非関連物質への結合よりも大きい親和性を伴ってアプタマーに結合するものである。典型的に、リガンドに関するアプタマーのKdは環境の非関連物質または環境の付随物質に関するアプタマーのKdより少なくとも約10倍より低い。さらにより好ましくは、Kdは少なくとも約50倍より低く、より好ましくは少なくとも約100倍より低く、最も好ましくは少なくとも約200倍より低い。アプタマーは典型的に、約10〜約300ヌクレオチド長である。より一般に、アプタマーは、約30〜約100ヌクレオチド長である。
【0116】
目的の標的に特異的なアプタマーを選択する方法は、当該分野で公知である。例えば、有機分子、ヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、細胞表面の標的特徴、イオン、金属、塩、糖は全てそれぞれのリガンドと特異的に結合し得るアプタマーを単離するのに適切であることが示されている。例えば、Hoechst 33258等の有機色素は、インビトロアプタマー選択の標的リガンドとして首尾よく使用されている(Werstuck and Green, Science 282:296-298 (1998))。ドーパミン、テオフィリン、スルホローダミンB、およびセロビオースのような他の有機低分子はまた、アプタマーの単離においてリガンドとして使用されている。アプタマーはまた、カナマイシンA、リビドマイシン、トブラマイシン、ネオマイシンB、バイオマイシン、クロラムフェニコールおよびストレプトマイシンのような抗生物質について単離されている。低分子を認識するアプタマーの概説について、Famulok, Science 9:324-9 (1999)を参照。
【0117】
本発明のアプタマーは、全体的にRNAから構成され得る。しかしながら、本発明の他の態様において、アプタマーは代わりに全体的にDNA、または部分的にDNA、または部分的に他のヌクレオチドアナログから構成され得る。インビボで翻訳を特異的に阻害するために、RNAアプタマーが好ましい。かかるRNAアプタマーは、好ましくはRNAアプタマーに転写されるDNAとして細胞に導入される。あるいは、RNAアプタマー自体が、細胞に導入され得る。
【0118】
アプタマーは典型的に、SELEXとして公知の、公知のインビボまたはインビトロ(殆ど典型的に、インビトロ)選択技術(Ellington et al., Nature 346, 818-22 (1990);およびTuerk et al., Science 249, 505-10 (1990))を使用することで特定のリガンドと結合するように開発されている。アプタマーを作製する方法はまた、例えば、米国特許番号. 5,582,981、PCT 公開番号WO 00/20040、米国特許番号 5,270,163、Lorsch and Szostak, Biochemistry, 33:973 (1994), Mannironi et al., Biochemistry 36:9726 (1997)、Blind, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:3606-3610 (1999)、Huizenga and Szostak, Biochemistry, 34:656- 665 (1995)、PCT公開番号WO 99/54506、WO 99/27133、WO 97/42317および米国特許番号. 5,756,291に記載される。
【0119】
一般に、その大抵の基本形態において、アプタマーを同定するインビトロ選択技術は、ランダム化されるか、または変異化される少なくともいくつかの領域を含む所望の長さのDNA分子の広大なプールを最初に調製することを含む。例えば、アプタマー選択のための共通のオリゴヌクレオチドプールは、PCRプライマーの結合に有用な定められた配列の約15〜25ヌクレオチド長領域と両末端で隣接する20〜100のランダム化されるヌクレオチド領域を含み得る。選択された核酸配列の忠実で効率的な増幅を可能にする任意の手段が使用され得るが、オリゴヌクレオチドプールは標準のPCR技術を用いて増幅される。DNAプールは次にインビトロで転写され、RNA転写物を生じる。別の分子(例えば、タンパク質または任意の標的分子)に特異的に結合する能力を基にした核酸選択を可能にする任意のプロトコルが使用され得るが、RNA転写物は次にアフィニティークロマトグラフィーに供され得る。アフィニティークロマトグラフィーの場合、転写物は大抵典型的に、カラムを通過されるか、または標的リガンドが固定される磁気ビーズ等と接触される。リガンドと結合するプール中のRNA分子はカラムまたはビーズ上に保持されるが、非結合配列は洗浄される。リガンドと結合するRNA分子は次に逆転写され、PCRによって再度増幅される(通常、溶出後)。選択されたプール配列は次に、別の回の同型の選択を受ける。典型的に、プール配列は全体で選択手順の約3〜10の反復回を受ける。cDNAは次に標準手順を用いて増幅され、クローン化され、配列決定され、標的リガンドに対するアプタマーとして作用し得るRNA分子の配列を同定する。一度アプタマー配列が首尾よく同定されると、アプタマーは、突然変異誘発されたアプタマー配列を含むオリゴヌクレオチドのプールから開始する更なる回の選択を実施することでさらに最適化され得る。本発明における使用について、アプタマーは、好ましくは通常の生理学的条件を模倣する塩濃度および温度の存在下で結合するリガンドに対して選択される。
【0120】
どんな型の構造が所望のリガンドと結合し得るかについて以前の知識の完全な不足にも関わらず、インビトロ選択プロセスの独特の性質は、所望のリガンドと結合する適切なアプタマーの単離を可能にする。
【0121】
リガンドがアプタマーに結合するように機能し、リガンド投与の際に得られたリガンドの濃度で所望の効果を有するような、アプタマーおよび関連リガンドの結合定数であるのが好ましい。インビボ使用について、例えば、血清または他の組織で達成され得るリガンド濃度以下で結合が良好に生じるように結合定数はあるべきである。好ましくは、インビボ使用について必要なリガンド濃度はまた、生体に望ましくない効果を与え得る濃度以下である。
【0122】
本発明はまた、AMDと関連するバリアントCFHポリペプチドと特異的に結合し、それによってバリアントCFHポリペプチドの活性を阻害する低分子および抗体を提供する。低分子の例は、限定されず、薬物、代謝物、中間体、補因子、遷移状態アナログ、イオン、金属、毒素ならびに天然および合成ポリマー (例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、多糖、糖タンパク質、ホルモン、レセプターならびに細胞壁および細胞膜のような細胞表面) を含む。
【0123】
抗体
本発明の別の側面は、抗体に関する。1つの態様において、バリアントCFHポリペプチドと特異的に反応する抗体は、バリアントCFHポリペプチドの存在を検出するか、またはバリアントCFHポリペプチドの活性を阻害するために使用され得る。例えば、バリアントCFHポリペプチド由来の免疫原を使用することで、抗-タンパク質/抗-ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体が標準のプロトコルによって作製され得る(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual ed. by Harlow and Lane (Cold Spring Harbor Press: 1988)参照)。マウス、ハムスターまたはウサギのような哺乳動物は、バリアントCFHポリペプチド、抗体応答を誘発し得る抗原性断片、または融合タンパク質の免疫原形態で免疫され得る。特定の態様において、接種されたマウスは内在性CFHを発現しない、従ってさもなければ抗自己抗体として排除される抗体の単離を容易にする。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与する技術は、当該分野で周知の担体との結合または他の技術を含む。バリアントCFHポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与され得る。免疫化の進行は、血漿または血清における抗体価の検出によってモニターされ得る。標準ELISAまたは他の免疫アッセイは、抗体のレベルを評価するために抗原としての免疫原と共に使用され得る。
【0124】
バリアントCFHポリペプチドの抗原調製物を用いた動物の免疫後、抗血清を得ることができ、所望の場合、ポリクローナル抗体は血清から単離され得る。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)は、免疫動物から回収され、骨髄腫細胞等の不死化細胞を用いる標準の体細胞融合手順によって融合され、ハイブリドーマ細胞を生じ得る。かかる技術は当該分野で周知であり、例えば、ヒトモノクローナル抗体を産生するための、ハイブリドーマ技術(元々Kohler and Milsteinによって開発された, (1975) Nature, 256: 495-497)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbar et al., (1983) Immunology Today, 4: 72)、およびEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., (1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. pp. 77-96)を含む。ハイブリドーマ細胞は、バリアントCFHポリペプチドと特異的に反応する抗体の産生について免疫化学的にスクリーニングされ、モノクローナル抗体は、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離され得る。
【0125】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、バリアントCFHポリペプチドと特異的に反応もするその断片を含むことが意図される。抗体は慣用的な技術を用いて断片化され得、断片は上記記載の同じ様式で全抗体について有用性をスクリーニングされ得る。例えば、F(ab)2断片は抗体をペプシンで処理することで生じられ得る。得られたF(ab)2断片は、ジスルフィド架橋を還元するように処理され、Fab断片を生じ得る。本発明の抗体は、抗体の少なくとも1つのCDR領域によって付与されるバリアントCFHポリペプチドに親和性を有する二特異性分子、単鎖分子、キメラ分子およびヒト化分子を含むことがさらに意図される。好ましい態様において、抗体はそこに結合する標識をさらに含み、検出され得る(例えば、標識は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素または酵素の補因子であり得る)。
【0126】
特定の態様において、本発明の抗体は、モノクローナル抗体であり、特定の態様において、本発明は、バリアントCFHポリペプチドと特異的に結合する新規な抗体を生じる方法を利用可能にする。例えば、バリアントCFHポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体を生じる方法は、検出可能な免疫応答を刺激するのに有効なCFHポリペプチドを含む量の免疫原性組成物をマウスに投与する工程、マウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓からの細胞)を得る工程および抗体産生ハイブリドーマを得るために抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合する工程、ならびにバリアントCFHポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体を生じるハイブリドーマを同定するために抗体産生ハイブリドーマを試験する工程を含み得る。一度得られれば、ハイブリドーマは細胞培養、任意にハイブリドーマ由来細胞がCFHポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件下で増殖され得る。モノクローナル抗体は細胞培養物から精製され得る。
【0127】
抗体の参照に使用される場合、用語「特異的に反応する」は、当該分野で一般に理解されるように、抗体が目的の抗原(例えば、バリアントCFHポリペプチド)および目的でない他の抗原との間で十分に選択されることおよび抗体が特定の型の生物学的試料において、目的の抗原の存在を最小で検出するのに有用であることを意味することが意図される。治療応用のような、抗体を使用する特定の方法において、より高い程度の結合特異性が望ましくあり得る。モノクローナル抗体は一般に、所望の抗原および交差反応ポリペプチドの間を有効に区別するより高い傾向(ポリクローナル抗体と比較される場合)を有する。抗体:抗原相互作用の特異性に影響する1つの特性は抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性は異なる親和性の範囲に達せられ得るが、一般に好ましい抗体は約10-6、10-7、10-8、10-9以下の親和性(解離定数)を有する。
【0128】
さらに、望ましい抗体を同定するために、抗体をスクリーニングするのに使用される技術は、得られた抗体の特性に影響を与え得る。例えば、抗体が溶液中で抗原を結合するために使用される場合、溶液結合を試験することが望ましくあり得る。種々の異なる技術は、特に望ましい抗体を同定するために、抗体および抗原の間の相互作用の試験に利用可能である。かかる技術は、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、ビアコア結合アッセイ,Bia-core AB, Uppsala, Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International, Inc., Gaithersburg, Marylandの常磁性ビーズ系)、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学を含む。
【0129】
6.スクリーニングアッセイ
特定の側面において、本発明はCFHポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するためのCFHポリペプチドの使用に関する。このスクリーニングによって同定された化合物は、眼の細胞(例えば、上皮細胞および内皮細胞)ならびに他の組織(例えば、筋肉および/または神経)で試験され、インビボまたはインビトロでCFH活性を調節する能力を評価し得る。特定の側面において、このスクリーニングによって同定された化合物はドルーゼン沈着の形成を調節する。任意に、これらの化合物は、インビボでCFH活性を調節する能力を評価するために動物モデルでさらに試験され得る。
【0130】
CFHポリペプチドを標的とする治療剤をスクリーニングする多くのアプローチがある。特定の態様において、化合物のハイスループットスクリーニングは、CFHポリペプチドの活性に作用する薬剤を同定するために実施され得る。種々のアッセイ形式が十分であり、本開示を考慮して、本明細書中に特に記載されないものは、それでもなお当業者によって理解される。本明細書中に記載されるように、本発明の試験化合物(薬剤)は、任意のコンビナトリアル化学方法によって作られ得る。あるいは、主題の化合物はインビボまたはインビトロで合成される天然生体分子であり得る。CFH活性のモジュレーターとして作用する能力を試験されるべき化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵母、植物または他の生物によって産生され得るか(例えば、天然物)、化学的に生成され得るか(例えば、ペプチド模倣物を含む低分子、)、または組換え産生され得る。本発明によって企図される試験化合物は、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモン、および核酸分子を含む。
【0131】
本発明の試験化合物は、単一の、別々な実体として提供され得るか、またはコンビナトリアル化学によって作製されるような、より大きな複雑性のライブラリー中に提供され得る。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハロゲン化物、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび他の種の有機化合物を含み得る。試験系に対する試験化合物の提示は、特に最初のスクリーニング工程において、単離された形態または化合物の混合物としてのいずれかであり得る。任意に、化合物は他の化合物を用いて任意に誘導化され得、化合物の単離を容易にする誘導基を有し得る。誘導基の非限定例は、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑蛍光タンパク質、アイソトープ、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオン S トランスフェラーゼ(GST)、光活性可能な架橋剤またはその任意の組み合わせを含む。
【0132】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、所定の時間で調査される化合物の数を最大にするためにハイスループットアッセイが望ましい。精製タンパク質または半精製タンパク質に由来され得るような、無細胞系で実施されるアッセイは、これらが、試験化合物によって媒介される分子標的における迅速な開発および改変の比較的容易な検出を可能にするように生じられ得る点で「一次」スクリーニングとしてしばしば好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用能の効果がインビトロ系では一般に無視され得、アッセイは代わりに分子標的に対する薬物の効果に主に焦点を合わせられる。
【0133】
特定の態様において、主題の化合物は、本発明のCFHポリペプチドと相互作用する能力によって同定される。化合物およびCFHポリペプチドの間での相互作用は、共有または非共有であり得る。例えば、かかる相互作用は、光架橋、放射性標識リガンド結合、およびアフィニティークロマトグラフィーを含むインビトロ生化学方法を用いてタンパク質レベルで同定され得る(Jakoby WB et al., 1974, Methods in Enzymology 46:1)。特定の場合において、化合物は、CFHポリペプチドと結合する化合物を検出するアッセイのような、メカニズムベースアッセイにおいてスクリーニングされ得る。これは、固相または流体相結合事象を含み得る。あるいは、CFHポリペプチドをコードする遺伝子は、細胞にレポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑蛍光タンパク質)と共にトランスフェクションされ得、好ましくはハイスループットスクリーニングによってまたはライブラリーの各メンバーを用いてライブラリーに対してスクリーニングされ得る。他のメカニズムベース結合アッセイは、例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを使用され得る。結合アッセイはウェル、ビーズもしくはチップに固定されるか、または固定された抗体によって捕捉されるか、またはキャピラリー電気泳動によって分離される標的を用いて実施され得る。結合した化合物は、通常、比色定量または蛍光または表面プラズモン共鳴を用いて検出され得る。
【0134】
7. 医薬組成物
AMDを患う被験体を処置するための、本明細書中に記載される方法および組成物は、AMDを発現するリスクがあると診断または予想された個体の予防処置に使用され得る。この場合において、組成物は、AMDまたは関連の症状の開始を遅延、緩徐、または予防するのに十分である量および用量で投与される。あるいは、本明細書中に記載される方法および組成物は、AMDを患う個体の治療処置に使用され得る。この場合において、組成物は、全体的にまたは部分的に状態の進行を遅延もしくは緩徐するのに十分な量および用量、あるいは障害を除去する程度まで状態を逆転するのに十分な量および用量で投与される。AMDを発現するリスクがあると診断または予想される被験体を処置するための有効量の組成物は、被験体を処置するか、または障害自体を処置するのに十分な量である用量または量であることが理解される。
【0135】
特定の態様において、本発明の化合物(例えば、CFHポリペプチドをコードする単離された核酸分子もしくは組換え産生された核酸分子または単離されたCFHポリペプチドもしくは組換え産生されたCFHポリペプチド)は、薬学的に許容され得る担体と配合される。例えば、CFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコードする核酸分子は、単独でまたは医薬製剤(治療組成物)の成分として投与され得る。主題の化合物は、ヒト医薬の使用について任意の都合の良い方法における投与のために配合され得る。
【0136】
特定の態様において、本発明の治療方法は、局所、全身または局部に組成物を投与する工程を含む。例えば、本発明の治療組成物は、例えば、注射(例えば、静脈内、皮下、もしくは筋肉内)、吸入または通気(口もしくは鼻を介してのいずれか)または経口、頬、舌下、経皮、鼻腔、または非経口投与による投与のために配合され得る。本明細書中に記載される組成物はインプラントまたは装置の一部として配合され得る。投与される場合、本発明の使用のための治療組成物は、発熱物質を含まない、生理学的に許容され得る形態である。さらに、組成物は、眼の細胞へのような、標的細胞が存在する部位への送達のために粘性形態でカプセル化または注射され得る。技術および配合は一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co., Easton, PAに見出され得る。CFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコードする核酸分子に加えて、治療上有用な薬剤は、上記に記載されるように任意の組成物に任意に含まれ得る。さらに、治療上有用な薬剤は代替的にまたはさらに、本発明の方法に従うCFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコードする核酸分子と同時的または連続的に投与され得る。
【0137】
特定の態様において、本発明の組成物は、例えば、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(風味主成分、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントゴムを用いる)、粉末、顆粒の形態で、または水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型液体乳剤もしくは油中水型液体乳剤として、またはエリクシルもしくはシロップとして、または香錠として(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアのような、不活性基剤を用いる)および/またはうがい薬等として、経口投与され得、それぞれは活性成分として予め決めた量の薬剤を含む。薬剤はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与され得る。
【0138】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒等)において、本発明の1つ以上の治療化合物が、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または任意の以下のような、1つ以上の薬学的に許容され得る担体と混合され得る: (1)充填剤または増量剤、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/または珪酸等; (2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア等; (3)保湿剤、グリセロール等; (4)崩壊剤、寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の珪酸塩、および炭酸ナトリウム等; (5)溶液抑制剤(solution retarding agent)、パラフィン等; (6)吸収促進剤、第4級アンモニウム化合物等; (7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアリン酸塩等; (8)吸収剤、カオリンおよびベントナイト粘土等;(9)滑沢剤、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物等;ならびに(10)着色剤。カプセル、錠剤および丸剤の場合において、医薬組成物はまた、緩衝剤を含み得る。同類の型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いた軟充填および硬充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用され得る。
【0139】
経口投与のための液体投薬形態は、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリクシルを含む。活性成分に加えて、液体投薬形態は、水または他の溶媒のような当該分野で通常使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽(germ)油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルのような可溶化剤および乳化剤、ならびにそれらの混合物等を含み得る。不活性希釈剤に他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香料剤、着色剤、芳香剤および防腐剤のような補助剤を含み得る。
【0140】
活性化合物に加えて、懸濁液は、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物(metahydroxide)、ベントナイト、寒天-寒天およびトラガカントゴム、ならびにそれらの混合物のような懸濁剤を含み得る。
【0141】
本明細書中に開示される特定の組成物は、皮膚または粘膜へのいずれかに局所投与され得る。局所製剤は、皮膚または角質層の浸透増強剤として有効である公知の、1つ以上の広く多様な薬剤をさらに含み得る。これらの例は、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルアルコールまたはイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、およびアゾン(azone)である。さらなる薬剤は、製剤を化粧的に許容可能にすることをさらに含まれ得る。これらの例は、脂肪、ワックス、オイル、色素、香水、防腐剤、安定剤、および表面活性剤である。当該分野で公知なもののような角質溶解剤もまた、含まれ得る。例はサリチル酸および硫黄である。
【0142】
局所投与または経皮投与のための投薬形態は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、貼付剤、および吸入剤を含む。活性化合物は、薬学的に許容され得る担体、および任意の防腐剤、バッファ、または必要とされ得る高圧ガスと無菌条件下で混合され得る。軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の主題の化合物(例えば、CFHポリペプチドをコードする単離された核酸分子もしくは組換え産生された核酸分子または単離されたCFHポリぺプチドもしくは組換え産生されたCFHポリぺプチド)に加えて、動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、珪酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含み得る。
【0143】
主題の化合物に加えて、粉末およびスプレーは、ラクトース、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、カルシウム珪酸塩、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含み得る。スプレーは、通例の高圧ガス、クロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素等、ブタンおよびプロパン等をさらに含み得る。
【0144】
例えば、本発明の主題の化合物(例えば、CFHポリペプチドをコードする単離された核酸分子もしくは組換え産生された核酸分子または単離されたCFHポリぺプチドもしくは組換え産生されたCFHポリぺプチド)の作用を改変する種々の因子、AMDの重篤度または段階、投与経路、ならびに年齢、体重およびサイズのような個体に特有な特徴を考慮して、投薬養生法が個体のために決定されることが理解される。当業者は被験体を処置するために必要な投薬量を決定し得る。1つの態様において、投薬量は、被験体の約1.0 ng/kg〜約100 mg/kg体重の範囲であり得る。組成物を基にして、用量は連続的に、または定期的な間隔で送達され得る。例えば、1つ以上の別々の機会である。特定の組成物の複数用量の所望の時間間隔は、当業者によって過度の実験なしに決定され得る。例えば、化合物は、毎時、毎日、毎週、毎月、毎年(例えば、時間放出形式において)または一度の送達として送達され得る。
【0145】
特定の態様において、非経口投与に適切な医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る滅菌等張性水性溶液または非水性溶液、分散剤、懸濁剤もしくは乳剤、またはちょうど使用前に注射可能な滅菌溶液または分散剤に再構築され得る滅菌散剤と組み合わせたCFHポリペプチドまたはCFHポリペプチドをコ−ドする核酸分子を含み得、抗酸化剤、バッファ、静菌剤、意図される受血者の血液と共に製剤を等張にする溶質もしくは懸濁剤または増粘剤を含み得る。本発明の医薬組成物に使用され得る適切な水性担体および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール類(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)、ならびにそれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルを含む。適当な流動性は、例えば、レシチンのような被覆物質の使用によって、分散剤の場合において必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0146】
本発明の組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含み得る。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸のような種々の抗菌剤および抗真菌剤の含有によって保証され得る。組成物に糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を含むことも望ましくあり得る。さらに、注射可能な医薬形態の延長された吸収は、アルミニウムモノステアリン酸およびゼラチンのような吸収を遅延する薬剤の含有によってもたらされ得る。
【0147】
特定の態様において、本発明はまた、CFHポリペプチドのインビボ産生のための遺伝子治療を提供する。かかる治療は、正常なCFH機能が欠損した細胞または組織へのCFHポリヌクレオチド配列の導入によって治療効果を達成する。CFHポリヌクレオチド配列の送達は、キメラウイルスのような組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を用いて達成され得る。標的に向かうリポソームはまた、CFHポリヌクレオチド配列の治療送達に使用され得る。
【0148】
本明細書中に教示されるような遺伝子治療に使用され得る種々のウイルスベクターとしては、アデノウイルス、疱疹ウイルス、ワクシニア、またはレトロウイルスのようなRNAウイルスが挙げられる。レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリレトロウイルスの誘導体であり得る。単一の外来遺伝子が挿入され得るレトロウイルスベクターの例としては:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が挙げられるがこれらに限定されない。多くのさらなるレトロウイルスベクターは、複数の遺伝子を組み込み得る。これらのベクターの全ては、選択可能マーカーに対する遺伝子を移動または組み込み得、その結果、形質導入された細胞が同定および産生され得る。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合することによって標的特異的にされ得る。好ましい標的化は抗体を使用することによって達成される。当業者は、特定のポリヌクレオチド配列がCFHポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするようにレトロウイルスゲノムに挿入されるかまたはウイルスエンベロープに結合され得ることを認識する。1つの好ましい態様において、ベクターは、眼の細胞または組織に標的化される。
【0149】
あるいは、組織培養細胞は、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによって、レトロウイルス構造遺伝子である、gag、polおよびenvをコードするプラスミドで直接トランスフェクトされ得る。次いで、これらの細胞は、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトされる。得られた細胞は、培養培地にレトロウイルスベクターを放出する。
【0150】
CFHポリヌクレオチドに対する別の標的化された送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボで送達ビヒクルとして有用な人工の膜ベシクルである。RNA、DNAおよび無傷のビリオンは、水性内部にカプセル化され、生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(例えば、Fraley, et al., Trends Biochem. Sci., 6:77, 1981を参照)。リポソームビヒクルを使用する有効な遺伝子移動のための方法は、当該分野で公知であり、例えば、Mannino, et al., Biotechniques, 6:682, 1988を参照。リポソームの組成物は、通常ステロイド、特にコレステロールと組み合わせた、通常リン脂質の組み合わせである。他のリン脂質または他の脂質もまた使用され得る。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度および二価カチオンの存在に依存する。
【0151】
リポソーム生成に有用な脂質の例としては、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドのようなホスファチジル化合物が挙げられる。例示的なリン脂質としては、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine)およびジステアロイルホスファチジルコリン(distearoylphosphatidylcholine)が挙げられる。リポソームの標的化はまた、例えば、器官特異性、細胞特異性および細胞小器官特異性に基づいて可能であり、当該分野で公知である。
【0152】
さらに、医薬調製物は、許容され得る希釈剤中の遺伝子送達系から本質的に成り得るか、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる遅延放出マトリクスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達系が例えばレトロウイルスパッケージのような組換え細胞から無傷に産生され得る場合、医薬調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。後者の場合、ウイルスパッケージング細胞を導入する方法は、例えば、再詰め込み可能なまたは生分解性の装置によって提供され得る。種々の遅延放出ポリマー性装置が、タンパク質様生体医薬を含む薬物の制御送達のために最近開発され、インビボで試験され、ポリマー組成物および形態の操作によるウイルス粒子の放出に適合され得る。生体分解性ポリマーおよび非分解性ポリマーの両方を含む種々の生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)は、特定の標的部位に移植された細胞によるウイルス粒子の徐放性のための移植物を形成するために使用され得る。本発明のかかる態様は、ポリマー性装置に組み込まれた外因性の精製されたウイルスの送達のために、またはポリマー性装置にカプセル化された細胞によって産生されるウイルス粒子の送達のために使用され得る。
【0153】
当業者は、被験体を処置するために必要な量を決定することができる。投薬量レジメンは、例えば、本発明の主題の化合物の作用を改変する種々の因子、AMDの重篤度または段階、投与の経路ならびに年齢、体重および大きさのような個体に特有の特徴を考慮して、個体について決定され得ることが理解される。当業者は、被験体を処置するために必要な投薬量を決定することができる。1つの態様において、投薬量は、被験体の体重につき約1.0ng/kg〜約100mg/kgの範囲にわたり得る。用量は、連続的にまたは周期的な間隔で送達され得る。例えば、1つ以上の別々の機会に。特定の組成物の複数用量の所望される時間間隔は、当業者による過度の実験なしに決定され得る。例えば、化合物は、1時間に一度、1日に一度、1週間に一度、1ヶ月に一度、1年に一度(例えば、時間放出形態において)または1回の送達として送達され得る。本明細書中に使用される場合、用語「被験体」は、AMDを罹患することになり得る任意の個々の動物を意味する。被験体としては、ヒト、霊長類、ウマ、トリ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、イタチおよびウサギが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい態様において、被験体はヒトである。
【0154】
本明細書中に記載される方法において使用される試料は、十分なDNAまたはRNAが得られ得る眼、耳、鼻、歯、舌、表皮、上皮、血液、涙、唾液、粘液、尿路、尿、筋肉、軟骨、皮膚または任意の他の組織もしくは体液を含み得る。
【0155】
試料は、存在するDNAまたはRNAを、本明細書中に記載される方法におけるアッセイに対して利用可能になるように十分に処理されるべきである。例えば、試料は、試料由来のDNAが増幅または別のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに利用可能であるように処理され得る。処理された試料は、利用可能なDNAまたはRNAが他の細胞材料から精製されない粗溶解物であり得る。あるいは、試料は、その天然の供給源に存在する1つ以上の夾雑物から利用可能なDNAまたはRNAを単離するために処理され得る。試料は、DNAまたはRNAを本明細書中に記載される方法におけるアッセイに対して利用可能にする当該分野で公知の任意の手段によって処理され得る。試料を処理する方法としては、細胞および細胞溶解物を溶解および/または精製する機械的、化学的または分子的手段が挙げられ得るがこれらに限定されない。処理方法としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動およびポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いる免疫アフィニティー精製が挙げられる。
【0156】
(8.キット)
本明細書中には、例えば、治療目的のためのキットまたは個体由来の試料中のバリアントCFH遺伝子を検出するためのキットのようなキットもまた提供される。1つの態様において、キットは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子中のバリエーションに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブの前もって測定された用量をその中に配置された少なくとも1つの容器手段を含む。別の態様において、キットは、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子中のバリエーションの1つの側の近位に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーの前もって測定された用量をその中に配置された少なくとも1つの容器手段を含む。さらなる態様において、ヒトにおけるAMDの発生と関連するCFH遺伝子中のバリエーションのもう1つの側に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする第2のポリヌクレオチドプライマーは、前もって測定された用量で提供される。キットはさらに、試料中のCFHの検出における治療キットまたは診断キットの使用のための標識および/または指示書を含む。キットはまた、非限定的に、氷、ドライアイス、スタイロフォーム、泡沫、プラスチック、セロファン、収縮包装フィルム、発泡ビニールシート、紙、厚紙、スターチピーナツ(starch peanuts)、ビニールタイ、金属クリップ、金属缶、ドライアライト、ガラスおよびゴムのようなパッケージング材料(パッケージング材料の例について、www.papermart.com.から入手可能な製品を参照)を含む。
【0157】
本方法の実施は、他に示されない限り、当該分野の技術の範囲内である、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術を使用する。かかる技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (2001); DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed., 1984); Mullis et al. U.S. Patent No: 4,683,195; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987);Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N. Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Methods In Enzymology, VoIs. 154 and 155 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986); Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1986)を参照。
【0158】
(実施例)
以下の実施例は、例示の目的のためであり、いずれの方法においても限定することを意図されない。
(実施例1:AMDに関連する遺伝子についての全ゲノムSNP関連)
AMDに関与する遺伝子についての全ゲノムケースコントロール関連研究が、本明細書中に記載される。2つの決定的な因子が、この実験の設計において使用され;明確に定義された表現型が、症例およびコントロールについて選択される。症例の定義は、視力の衰えたAMD(地図状萎縮または血管新生AMD)の写真的証拠と組み合わせた、少なくともいくつかの大きなドルーゼンの存在の定量的写真的評価の両方に基づいた。コントロールの定義は、ドルーゼンをもたないか数個の小さなドルーゼンのみを有するかのいずれかである研究参加人に基づいた。データは、試験された多くのSNPを補正するために統計的保存アプローチを使用して解析され、それによって偽陽性の実際の可能性は、報告されたp値以下であることを保証した。
【0159】
年齢関連眼疾患研究(AREDS)(AREDS Research Group, Arch Ophthamol 119, 1417, (2001))に参加した個体の部分集団を、関連研究に使用した。AREDS試料から、彼らの最近の研究訪問時に、単眼脈絡膜新生血管(50症例)または斑の中心もしくは非中心のいずれかに地図状萎縮(46症例)のいずれかを有した96症例の被験体を同定した。これらの症例被験体の同類の眼は、少なくとも1つの大きなドルーゼン(>直径125μm)および少なくとも直径1061μmの円に等価な全ドルーゼン面積を有することが要求された。脈絡膜新生血管または地図状萎縮のいずれかの進行に対して多くの前駆体が存在し得るので、大きなドルーゼンおよび視力が衰えたAMDの両方を有する研究参加人の群を選択した。コントロールは、AREDSへの参加の間にドルーゼンをほとんどまたは全く有さなかった(各眼において直径が<63μm)AREDS試料からの50の個体であった。全ての個体は、「白人、ヒスパニック起源でない」と同定された。可能な程度まで、性別および喫煙状態の割合を、症例とコントロールとで同じに維持した。コントロールを、AMDを有さずにいる可能性を上昇させるために、故意に症例より年齢が上であるように選択した(表1)。
【0160】
【表1】
【0161】
(実施例2:研究集団中の個体の遺伝子型決定およびSNP同定)
各個体を、Affymetrix GeneChip Mapping 1OOK Setのマイクロアレイ(H. Matsuzaki et al., Nat Methods 1, 109 (2004))を使用して、遺伝子型決定をした。このマッピングアッセイは、約50000SNPを有する2つのチップ(XbaIおよびHindIII)からなり、各々は各個体に対して使用される。約250ngのゲノムDNAを、2つの制限酵素XbaIおよびHindIIIで消化し、Affymetrixプロトコル(H. Matsuzaki et al., Nat Methods 1, 109 (2004))に従って処理した。画像を、GDASソフトウェア(Affymetrix)を使用して解析した。各チップから得られたデータについて、2つの内部質コントロール基準を使用した:コール割合(call rate)は、いつも95%を超え、X染色体上のヘテロ接合性は、個体の性別を正しく同定した。31の同じSNPをチップの両方に配置し、混乱した(confused)試料がないことを確実にするために同じ個体について同じ遺伝子型を生じることを確認した。
【0162】
この系の再現性を試験するために3つの実験を実施した。第1に、4つの試料をXbaチップで2回処理した。次に、Affymetrixによって提供される参照DNAポジティブコントロールの2つの複製を、試料と一緒にXbaチップ上を流した。最後に、3人の個体についての結果を、このアッセイの精度を試験するためにAffymetrix 10K SNPプラットフォームを使用して遺伝子型決定と比較した(H. Matsuzaki et al., Genome Res 14, 414 (2004))。
【0163】
各SNPに対する遺伝子型コール(call)を生じる個体のパーセンテージの評価は、各個々のSNPに対する遺伝子型決定の質を試験するためになされた。100%のコール割合を有するSNPは、全ての個体がこのSNPについて遺伝子型を首尾よく割り当てられ、失われたデータがないことを意味する。コール割合は、遺伝子型決定が一貫して問題であったSNPを除去するために少なくとも85%である必要があった。これらのSNPは情報価値が無いので、データ中で単形のSNPをまた除去した。遺伝子型頻度がHardy-Weinberg平衡期待値からはずれる(HWD χ2>25, P = 0.05, ldf, Bonferroni補正後)SNPを、真の不平衡ではなく遺伝子型決定誤差を含むかもしれないので除去した。全試料中にホモ接合体が観察されないSNPをまた、誤差に起因するかもしれず、除去した。遺伝子型決定された116204のSNP、少なくとも85%のコール割合を有する105980のSNP、観察された両方の対立遺伝子、観察された少なくとも1つのホモ接合体、および25以下のHWDχ2を全て一緒に、見出し、考慮した。これらの中で、22の常染色体上にある103611のSNPを分析した。遺伝子型決定の質の概要は、表2に見出され得る。
【0164】
【表2】
【0165】
(実施例3:疾患状態に関連するSNPの統計的解析)
疾患状態関連対立遺伝子を各SNPについて試験した。対立遺伝子頻度の2×2分割表(contingency table)を構築した。Pearsonχ2値およびP値を、1自由度に関連しないヌル仮定下で中心χ2分布に基づいて計算した。名目上のP値を、Bonferroni補正を適用することによって複数の試験について補正し、ここで、0.05/103611=4.8×10−7未満のP値を有するSNPのみを考慮した。これは、Bonferroni補正P値を生じた。この補正は、保存的であることが公知であり、従って、未処理のp値を「過補正」し得る(L. M. Mclntyre, E. R. Martin, K. L. Simonsen, N. L. Kaplan, Genet Epidemiol 19, 18 (2000))。この技術は、真の関連を見渡し得、その一方で、多くの複数比較について調節し、偽陽性の割合を過小評価しないp値を生じる。
【0166】
ゲノムコントロールの2つの方法を、集団層別化、GCおよびGCFを捜すために使用した(B. Devlin, S. A. Bacanu, K. Roeder, Nat Genet 36, 1129 (2004))。最初の方法において、中央χ2値を、疾患と関連がないと仮定される多くのSNP(ヌルSNP)との対立遺伝子関連に対して採った。試験統計χ2(1)値を、この中央値で割り、χ2分布を使用して有意性について試験した。あるいは、GCF法について、ヌルχ2統計の中央値ではなく平均を使用し;有意性の指数を、Lが、使用されたヌルSNPの数であるF(1,L)分布を使用して試験した(B. Devlin, S. A. Bacanu, K. Roeder, Nat Genet 36, 1129 (2004))。2つの異なる関連しないSNPのセットを使用した:全てのSNPは、2つの有意なもの(以下を参照)を除いて首尾よく遺伝子決定され、2つのチップの間で共通である31のSNPのセットがアッセイにおいて使用された(上記実施例2参照)。
【0167】
4つ全ての配偶子が観察される近位のSNPを捜し(R. R. Hudson, N. L. Kaplan, Genetics 111, 147 (1985))、領域をそこではずませることによって、候補領域を定義した。候補領域でのSNPの間の連鎖不平衡を見るために、領域におけるハプロタイプ頻度を、PHASEバージョン2.1(M. Stephens, P. Donnelly, Am J Hum Genet 73, 1162 (2003); M. Stephens, N. J. Smith, P. Donnelly, Am J Hum Genet 68, 978 (2001))を使用して推測した。全領域にわたって推測されたハプロタイプ頻度に基づいて、対の連鎖不平衡を、全ハプロタイプ頻度によって含まれる2つの位置のハプロタイプ頻度をまず計算することによって計算した。次いで、連鎖不平衡の基準D’を、標準方程式(D. L. Hartl, A. G. Clark, Principles of Population Genetics (Sinauer Associates, Sunderland, MA, ed. Third, 1997))を使用して計算し、プログラムGOLD(G. R. Abecasis, W. O. Cookson, Bioinformatics 16, 182 (2000))を使用してプロットした。
【0168】
4−配偶子領域内により小さなハプロタイプブロックを定義するために、HapMapデータウェブサイト(http://www.hapmap.org)を使用した。SNP rs10494744とrs10484502との間の領域におけるSNPについての遺伝子型をダウンロードした。CEU集団(北西ヨーロッパ家系のCEPH Utah集団)についての遺伝子型をダウンロードし、Haploviewバージョン3.0を使用して可視化した。次いで、ハプロタイプブロックをGabrielらの方法およびパラメーター(S. B. Gabriel et al., Science 296, 2225 (2002))を使用して定義した。
【0169】
HapMapブロックによって定義されるより狭い領域にわたるハプロタイプをまた、PHASEバージョン2.1を使用して推測した。少なくとも1%の推定頻度を有するハプロタイプを、さらなる分析に対して考慮した。系統発生樹をPHYLIP3.62(「dnapars」プログラム)の最大節減を使用して構築した。入れ子分岐論フレームワークにおけるオッズ比をハプロタイプについて計算した(P. Armitage, G. Berry, Statistical Methods in Medical Research (Blackwell Scientific Publications, Oxford, ed. Second, 1987); A. R. Templeton, E. Boerwinkle, C. F. Sing, Genetics 117, 343 (1987))。
【0170】
オッズ比、信頼区間および人口寄与リスクを、P. Armitage, G. Berry, Statistical Methods in Medical Research (Blackwell Scientific Publications, Oxford, ed. Second, 1987)に記載されているように計算した。目的の対立遺伝子の集団頻度(以下の実施例4を参照)は、相対的に高く、ホモ接合のrs380390およびrs1329428それぞれについて23%および41%である。従って、ここで使用されるケースコントロール設計研究から必然的に計算されるオッズ比は、生涯リスクを計算するために必要とされる等価相対リスク推定値を過大評価する(有意なレベルを変更することなしに)。将来のコホート研究設計は、対立遺伝子を有し、それを受け継がなかったヒトにおける生涯リスクの妥当な推定値を提供する。
【0171】
(実施例4:補体H因子における多型はAMDに関連する)
常染色体SNPのうち、rs380390およびrsl0272438の2つのみは、疾患状態と有意に関連する(それぞれBonferroni補正されたp=0.0043およびp=0.0080;図1A)。この1つのようなケースコントロール関連研究の1つの批評は、集団層別化が偽陽性の結果を生じ得るということである。症例およびコントロールが異なる対立遺伝子頻度を有する異なる家系の集団から引き出される場合、疾患に関連する位置の代わりにこれらの集団の違いを検出することは可能である。本研究における全ての個体は、非ヒスパニック白人として彼らの民族性を自己同定するが、症例およびコントロール個体の全ては、同じAREDS集団から引き出される。事務所実践からの症例のいくつかの特異な補充ならびにラジオおよび新聞広告からのコントロールのいくつかの特異な補充があった(AREDS Research Group, Ophthamology 107, 2224 (2000))。100000未満から2のSNPを発見することは、遺伝的層別化とは関与しないが、ゲノムコントロール法は、この可能性をコントロールするために使用された(B. Devlin, S. A. Bacanu, K. Roeder, Nat Genet 36, 1129 (2004))。試験の有意性は膨れ上がらず、従って、これら2つのSNPが疾患と有意に関連することが、一貫して見出された。
【0172】
SNP rs380390は、全ての個体において首尾よく遺伝子型決定された。21の個体において、SNP rsl0272438について遺伝子型が決定されたものは無く、Hardy-Weinberg平衡から過度に外れているように見え(HWEχ2=36)、このことは、可能な遺伝子型決定誤差を示す。得られなかった遺伝子型は、再配列決定によって決定された。これらのさらなる遺伝子型を含んだ後、関連は、Bonferroni補正の後もはや有意ではなかった。さらに、第3の最も低いp値を有するSNP、rs1329428(Bonferroni補正されたp=0.14)は、同じ染色体上のrs380390から1.8kb離れて位置している。これら2つの近接する位置での遺伝子型頻度は、症例とコントロール集団との間で明確に変化する(図1B)。rs380390でのC対立遺伝子およびrs1329248でのC対立遺伝子に対するホモ接合体は、AMD発現の増加したリスクを明らかに有する(表1)。これらの遺伝子型によって与えられたリスクは、集団において観察される症例の約45%(rs380390)〜61%(rs1329248)を説明する(表3)。従って、本出願人らは、本出願人らの最も見込みのある位置に印をつける場合、これら2つのSNPに焦点を当てることを決定した。
【0173】
【表3】
【0174】
rs380390およびrs1329248は、補体H因子(CFH)に対する遺伝子のイントロンにある。これらのSNPの両方は、何もコードしておらず、いずれも保存された配列を変更しないようであるので、これら2つのSNPは、対応する機能的変異を有する連鎖不平衡に存在し得る。機能的変異が存在し得る領域の範囲を定めるために、この領域にわたる連鎖不平衡を分析した(図2A)。2つの関連するSNPは、約500kb長の高度の連鎖不平衡の領域に存在する。この領域は、高度の連鎖不平衡の他の典型的に観察されるブロックより長く(S. B Gabriel et al., Science 296, 2225 (2002))、本出願人らのデータセットにSNPが存在しないこの領域に長いストレッチが存在する(図2B)ので、より密なSNPの存在範囲を有する他のデータ供給源を、領域を狭くするために使用した。
【0175】
International HapMapプロジェクトからのデータを、北西ヨーロッパからの家系を有するUtahの居住者の集団(CEPH試料)における連鎖不平衡のパターンを分析するために使用した(The International HapMap Consortium, Nature 426, 789 (2003))。目的の500kbの領域において、HapMapデータセット中に152のSNPが存在する。連鎖不平衡ブロックの標準的な定義(S. B Gabriel et al., Science 296, 2225 (2002))を使用して、2つの関連するSNPが、41kb長でありCFH遺伝子に完全に含まれるブロックに存在することが見出された(図2C)。
【0176】
この41kb領域には、本研究のデータセットからの6のSNPが存在する。これらのSNPは、1%より大きな頻度を有する4の優性ハプロタイプを形成する(表4)。合わせると、これら4つのハプロタイプは、この研究において99%の染色体を示す。推測されたハプロタイプの再構築および系統発生樹を構築することは、ハプロタイプ間の進化関係の評価を可能にした(図2D)。各個体に対して、推測されたハプロタイプを使用して、優性および劣性モデルの両方下での入れ子分岐論フレームワークにおける疾患のオッズ比を計算した(A. R. Templeton, E. Boerwinkle, C. F. Sing, Genetics 117, 343 (1987))。SNP rs380390でリスク対立遺伝子を含む唯一のハプロタイプであるハプロタイプN1によって、最も高いリスクが与えられる。
【0177】
【表4】
【0178】
このハプロタイプの少なくとも1つのコピーを有することは、AMDに対するリスクを4.6倍に増加する(95% CI 2.0−11)。このハプロタイプの2つのコピーを有することは、AMDに対するリスクを7.4倍に増加する(95% CI 3.0−19)。従って、機能的に関連のある変異は、ハプロタイプN1の背景に見出されるはずである。この変異は、41kbのハプロタイプブロックの全体がCFH内にあるので、CFH遺伝子のどこかで生じる。
【0179】
(実施例5:再配列決定は、CFHにおけるバリエーションがAMDと関連することを確認する)
AMDに対する感受性に根元的な機能的変異を同定するために、96の個体(66症例および30コントロール)を、エキソン/イントロン接合部を含めてエキソン再配列決定のために選択した。これらの個体のほとんどを、SNP rs380390がホモ接合であった(反対のリスク群を示す)からか、またはSNP rs10272438が首尾よく遺伝子型決定されなかった(同じプレートが遺伝子型決定のためにこのSNPを再配列決定するために使用された)からのいずれかのために選択した。3人のさらなる個体を、完全なプレートについて総計96を得るためにランダムに選択した。プライマー設計、PCR増幅、PCR産物の2方向配列決定および突然変異解析をGenaissance (New Haven, CT)によって実施した。
【0180】
41kbブロックの外側のものを含む全てのCFHエキソンおよびコントロールとしてSNP rs380390の領域を配列決定した。優先順位を、ハプロタイプの決定を容易にするためにSNP rs380390でホモ接合体を配列決定することに与えた。SNP rs380390を、93個体において首尾よく再配列決定し;再配列決定に由来する遺伝子型は、全ての場合において元の遺伝子型と一致した。50の多型の全部を同定し;これらの17が少なくとも5%の少数対立遺伝子頻度を有する(表5)。これら17の中で、3は、非同義変異を示す。これらのSNPが対立遺伝子関連χ2基準に基づいてランク付けされる場合、SNP rs1061170は、非同義SNPの中で最も関連する。このSNPは、チロシンとヒスチジンとの間の変異を示す。このSNPは、41kbハプロタイプブロックのほんの2kb上流のCFHのエキソン9に位置する。このSNPをハプロタイプ分析に加えることは、最も高いリスクハプロタイプ(N1)を有する染色体の97%がリスク対立遺伝子(His)を有することを明らかにする。
【0181】
【表5】
【0182】
他のデータは、CFH中の変異がAMDと関連するという発見を支持する。CFHに対する遺伝子は、染色体1q31、AMDに関与すると6の独立した連鎖スキャンによって以前に同定された領域に位置する(J. Majewski et al., Am J Hum Genet 73, 540 (2003); J. M. Seddon, S. L. Santangelo, K. Book, S. Chong, J. Cote, Am J Hum Genet 73, 780 (2003); D. E. Weeks et al., Am J Hum Genet 75, 174 (2004); G. R. Abecasis et al., Am J Hum Genet 74, 482 (2004); S. K. Iyengar et al., Am J Hum Genet 74, 20 (2004);and D. W. Schultz et al., Hum MoI Genet 12, 3315 (2003))。これらの連鎖研究の1つにおいて、1つの大きな家系図を使用して、著者らは、この領域の異なる遺伝子(HEMICENTIN-1)中の変異がAMDの原因であることを結論付けた(D. W. Schultz et al., Hum MoI Genet 12, 3315 (2003))。この結論は、試験された多型の全てのうち、HEMICENTIN-1変異のみが疾患状態と完全に共分離されたという観察に基づいた。しかし、HEMICENTIN-1中の変異は、3つの別々の独立した集団に基づいた関連研究においてAMDと一般的に関連することは見出されなかった(G. R. Abecasis et al., Am J Hum Genet 74, 482 (2004); M. Hayashi et al., Ophthalmic Genet 25, 111 (2004); and G. J. McKay et al., MoI Vis 10, 682 (2004))。従って、本明細書中に開示されるように、CFH中の変異が、染色体1q31で観察された連鎖シグナルの原因であるのがよりもっともらしい。
【0183】
(実施例6:AMDを罹患する患者の眼におけるC5b−9複合体の免疫局在化)
末端C5b−9複合体を含む補体カスケードの種々の成分を、AMDを有する患者の眼中のドルーゼンの成分として同定した(L. V. Johnson, W. P. Leitner, M. K. Staples, D. H. Anderson, Exp Eye Res 73, 887 (2001); R. F. Mullins, S. R. Russell, D. H. Anderson, G. S. Hageman, FASEB J 14, 835 (2000))。AMDを有する4人の患者の眼を、C5b−9の存在について目視試験した(図4)。4人の供給者からの死後網膜を試験した。3つは、Foundation Fighting Blindness (FFB)眼供給者プログラムを通して得られた。これらの全ては、乾燥AMDの臨床診断を有した。パラフィンに包埋された1対の眼は、Yale School of Medicineの剖検サービスを通して86歳のカフカス人の女性から得られた。病歴は入手できなかった。組織学的に、これらの網膜は、最小RPEを有する複数の大きいまたは癒着するドルーゼンおよび初期AMDの診断と一致する光レセプター損失を有する。ヒト死後供給者の眼の研究に対する認可を、Yale School of Medicineから得た。
【0184】
摘出の際、眼を数日間、0.1Mリン酸バッファ中の4%パラホルムアルデヒド、0.5%グルタールアルデヒド中で固定した。固定された眼を、保存のために2%パラホルムアルデヒドに移した。6つの0.5cm円形パンチを、AMD供給者の眼の各々から採取した。これらの3つを、萎縮性網膜およびより正常な網膜の接合部で中心網膜から選択し、残りの3つは、周辺網膜から選択した。網膜栓をパラフィン中に包埋し、切片を5μmに切った。
【0185】
脱パラフィン処理および再水和の後、抗体賦活を、10mMクエン酸ナトリウム(pH6.0)中で、電子レンジで10分間切片を沸騰させることによって実施した。切片を、5% H2O2中での5分間内因性ペルオキシダーゼのブロックの前に、20分間冷却した。免疫組織化学を、ヒト活性化補体C5b−9(Quidel Corporation, San Diego, CA、カタログ#A239)に対するマウスモノクローナル抗体を使用して実施した。一次抗体を、1×PBS中1:250の濃度で加えた。ビオチン化ヤギ抗マウス(cat # BA9200)二次抗体(Vector, Burlingame, CA)を、1:200の濃度で使用した。ニッケル増強ジアミノベンジジン(nickel enhanced diaminobenzidine)(DAB; cat # SK4100; Vector)を、結合した抗体を可視化するために使用した。ネガティブコントロールを、一次抗体の省略によって得た。画像を、示差干渉対照レンズおよびZeiss Axiocamデジタルカメラを備えるZeiss Axioplan顕微鏡で得た。
【0186】
(CFHに対する免疫蛍光顕微鏡法)
供給者の眼を、最適切断温度(optimal cutting temperature)コンパウンド(OCT; Miles Laboratory, Elkhart, IN)中に包埋し、すばやく凍結し、−70℃で保存した。凍結した網膜切片を、8〜10μmに切り、スライドガラス上に配置した(Superfrost/Plus; Fisher Scientific, Fair Lawn, NJ)。全てのヒトの眼を、供給者のインフォームドコンセントと共に得、ヒトの眼での研究を、Declaration of HelsinkiおよびInstitutional Review Board (IRB)の主義に従って実施した。
【0187】
免疫蛍光標識のために、ヒト網膜の凍結切片を、リン酸バッファ食塩水(PBS)中4%パラホルムアルデヒド中で10分間固定した。組織切片を、5%の正常ロバ血清(Jackson Immunoresearch, West Grove, PA)で30分間ブロックし、ICバッファ(0.2% Tween-20, 0.1% アジ化ナトリウムを含むPBS)中に希釈し、染色バッファ(ICバッファおよび1%の正常ロバ血清)中1:200に希釈されたヤギ抗ヒトH因子抗体(Quidel, Santa Clara, CA)と共に室温で1時間インキュベートした。切片をICバッファ中で繰り返し洗浄し、染色バッファ中1:250に希釈された核色素4’,6’−ジアミノ−2フェニルインドール(DAPI; 1 μg/mL)およびAlexa-488ロバ抗ヤギ抗体(Molecular Probes, Eugene, OR)と共に1時間インキュベートした。ICバッファでの洗浄を繰り返した後、切片にマウンティング媒体(Gel Mount; Biomeda, Foster City, CA)をかぶせ、カバーガラスをかけた。コントロールについて、同じ濃度の抗ヒトH因子抗体を、1μlの抗体について3μgの比で、精製されたヒトH因子タンパク質(Calbiochem, La Jolla, CA)と共に1時間プレインキュベートした。次いで、前処理された抗体をちょうど記載されたように組織切片を染色するために使用した。標本を、Nomarski光学を備えるレーザースキャニング共焦点顕微鏡(モデルSP2; Leica Microsystems, Exton, PA)上で分析した。免疫標識された切片およびネガティブコントロールを同一のスキャン条件下で画像化した。画像を、Photoshop(Adobe Systems, San Jose, CA)で加工した。
【0188】
全ての患者において、活性化された補体C5b−9の沈着が、ブルーフ膜に示された。免疫染色は、しばしば、毛細血管間柱(intercapillary pillar)を含むように広げられ、ドルーゼン内に強く存在した。染色は、支質条(stroma vascularis)中にほとんど示されなかった。しかし、それが存在する場合、脈絡膜静脈の内壁(網膜に向かって)に、および重篤な場合において動脈に常に位置した。C5b−9に対する免疫染色は、網膜または切片の他の場所に示されなかった。ネガティブコントロールは、染色を示さなかった。ドルーゼンの組成物のこれらおよび他の生化学的分析は、不適切な補体活性化が役割を果たす異常な炎症性過程からAMDが生じることを示し得る(G. S. Hageman et al., Prog Retin Eye Res 20, 705 (2001))。これは、補体成分がドルーゼン中に見出されるAMDのマウスモデルによって支持される(J. Ambati et al., Nat Med 9, 1390 (2003))。
【0189】
さらに、年齢および喫煙の両方という、AMDについての2つの重要なリスク因子は、補体H因子の血漿レベルに影響する(J. Esparza-Gordillo et al., Immunogenetics 56, 77 (2004))。CFH配列はまた、ヒトRPEおよび脈絡膜に由来するESTライブラリーにおいて観察される(G. Wistow et al., Mol Vis 8, 205 (2002))。免疫蛍光実験は、CFHが眼のこの領域に存在することを確認する(図3)。ヒト網膜切片の2つの異なる領域から得られた蛍光画像およびこれらの対応するDIC画像は、脈絡膜管およびRPEに近い領域(ブルーフ膜の下に存在しそうな)において強い染色を示す(図3)。この発見は、RPEおよび脈絡膜がドルーゼンにおいて見出されるいくつかの補体成分に対するmRNAを産生するという観察と一致する(R. F. Mullins, S. R. Russell, D. H. Anderson, G. S. Hageman, FASEB J 14, 835 (2000))。AMDにおいて見出されるものに類似するドルーゼンの組成物は、腎臓疾患であるII型膜性増殖性糸球体腎炎(MPGNII)を有する患者の眼において見出され(R. F. Mullins, N. Aptsiauri, G. S. Hageman, Eye 15, 390 (2001));H因子欠損は、MPGNIIを引き起こし得る(S. R. D Cordoba, J. Esparza-Gordillo, E. G. d. Jorge, M. Lopez-Trascasa, P. Sanchez-Corral, MoI Immunol 41, 355 (2004))。本出願人らの免疫染色実験(図3および図4)は、H因子の欠損、損傷または欠乏が、ブルーフ膜への血漿タンパク質の漏出を伴う脈絡膜毛細管(より重篤な)および脈絡膜管(より重篤でない)における補体沈着を生じるAMDの病因を示唆する。最後に、80mg/日での亜鉛の栄養補充は、AMDのリスクを低下し;生化学的研究は、H因子機能が亜鉛濃度に感受性であることを示した(AREDS Research Group, Arch Ophthamol 119, 1417, (2001); A. M. Blom, L. Kask, B. Ramesh, A. Hillarp, Arch Biochem Biophys 418, 108 (2003))。
【0190】
本発明は、特に、AMDを発現する危険にある個体の同定または同定を補助するのに有用なポリヌクレオチドおよびAMDの診断または診断の補助に有用なポリヌクレオチドを提供する。本発明の特定の態様が議論されてきたが、上記明細書は、例示的であり、限定的ではない。本発明の多くのバリエーションが本明細書を概観する際に当業者に明らかになる。本発明の完全な範囲は、等価物の全範囲とともに特許請求の範囲を参照することによって、およびかかるバリエーションとともに本明細書を参照することによって決定されるべきである。
【0191】
本明細書中に示される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照によって援用されるために具体的かつ個々に示されるように、その全体を参照によって本明細書中に援用される。抵触の場合は、本明細書中の任意の定義を含む本願は、調節される。
【0192】
Genomic Research (TIGR) (www.tigr.org)および/またはNational Center for Biotechnology Information (NCBI) (www.ncbi.nlm.nih.gov)に維持されるもののような公的データベース中のエントリーに関連するアクセッション番号を参照する任意のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列もまた、その全体を参照によって援用される。
【0193】
【表6】
【0194】
【表7】
【0195】
【表8】
【0196】
【表9】
【0197】
【表10】
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1A】図1Aは、AMDと関連する遺伝子のゲノムワイド関連研究の統計データを示すグラフである。図1Aは、ゲノムワイド関連スキャンのp値を示す。-log10(p)は染色体の順序において各SNPに対してプロットされる。プロット上のSNP間の間隔は均一であり、染色体上のSNP間の距離を反映しない。点で示された横線は、ボンフェローニ補正後のp=0.05に対するカットオフ(cutoff)を示す。縦線は染色体の境界線を示す。
【図1B】図1Bは、AMDと関連する遺伝子のゲノムワイド関連研究の統計データを示すグラフである。図1Bはケース群およびコントロール群の遺伝子型頻度のバリエーションを示す。
【図2A】図2Aは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Aは、ペアワイズD’値としてプロットされた、CFH領域にわたる連鎖不平衡(LD)を示す。
【図2B】図2Bは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Bは、該データにおける2つの関連SNPを有する強いLDの領域の概略図を示す。垂直バーはデータセットにおいて利用可能なSNPの近似の位置を表す。斜線領域は、HapMapデータ中に見出されるハプロタイプブロックである。
【図2C】図2Cは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Cは、該領域にわたるHapMapCEUデータ中のハプロタイプブロックを示す。より暗い斜線は、より高いD’の値を示す。より薄い斜線は、低ロッドスコアを有する高D’値を示す。暗線はハプロタイプブロックの境界線を示す。
【図2D】図2Dは、AMDと関連するSNPのデータを示す。図2Dは、6-SNP領域にわたるハプロタイプ由来の最大節約クラドグラム(maximum parsimony cladogram)を示す。各線の近くの数は、6つのSNPのどれかが分枝に沿って変化することを示す。SNP4はrs380390、SNP6はrsl329428であり、これらはAMDと関連するとして最初に同定された2つのSNPである。
【図3A】図3Aは、ヒト網膜におけるCFHタンパク質の免疫蛍光局在化を示す。図3Aは、抗ヒトCFH抗体で染色されたヒト網膜切片を示す。蛍光チャネルおよびDICチャネルを各画像から回収し、各パネルにおける左右画像としてそれぞれ示される。図3Aにおける蛍光画像は、CFH標識およびDAPI染色核からの合成画像である。GC:神経節細胞層、INF:内核層、ONL:外核層、RPE:網膜色素上皮。スケールバー:図3Aでは40μm。
【図3B】図3Bは、ヒト網膜におけるCFHタンパク質の免疫蛍光局在化を示す。図3Bは、陰性コントロールとしてCFHタンパク質と共にプレインキュベートされた抗ヒトCFH抗体で染色されたヒト網膜切片を示す。蛍光チャネルおよびDICチャネルを各画像から回収し、各パネルにおける左右画像としてそれぞれ示される。核はDAPI染色法で同定される。図3Bにおける蛍光画像は、CFH標識およびDAPI染色核からの合成画像である。GC:神経節細胞層、INF:内核層、ONL:外核層、RPE:網膜色素上皮。スケールバー:図3Bでは40μm。
【図3C】図3Cは、ヒト網膜におけるCFHタンパク質の免疫蛍光局在化を示す。図3Aの囲まれた範囲の拡大図が図3Cに示される。蛍光チャネルおよびDICチャネルを各画像から回収し、各パネルにおける左右画像としてそれぞれ示される。図3CにおけるDIC画像は、CFH標識およびDICチャネルの合成画像である。DIC画像における黒い点は、RPEおよび脈絡膜の黒色素顆粒に相当する。抗-CFH抗体は主として脈絡膜(図3A)、特に血管腔の壁およびRPEに近い領域(図3C)で強く染色し、免疫反応は精製されたヒトCFHタンパク質(図3B)で競合(compete away)され得る。RPEからの蛍光シグナルは、ヒトH因子タンパク質によって競合され得ないリポフスチン(lipofusion)の自家蛍光から発生する。GC:神経節細胞層、INF:内核層、ONL:外核層、RPE:網膜色素上皮。スケールバー:図3Cでは20μm。
【図4】図4Aは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Aは、患者1の死後の眼底画像を示す。組織学的に例証された部位は、アスタリスクで示される。図4Bは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Bは、患者2の死後の眼底画像を示す。組織学的に例証された部位は、アスタリスクで示される。図4Cは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Cは、ブルーフ膜全体でC5b-9、および毛細血管間柱(細い黒矢印)においてC5b-9に対して免疫陽性である患者1由来の組織を示す。網膜色素上皮上の重なりは肥大性であり、関連する網膜は著しい(market)光受容体喪失を示した。補体沈着はまた、脈絡膜動脈の弾性組織(elastica)(両方向の黒矢印)の内に、および脈絡膜静脈の壁(白矢印)の内部に存在する。スケールバー:図4Cでは20μm。図4Dは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Dは、患者2のブルーフ膜、毛細血管間柱(矢印)およびドルーゼン(アスタリスク)におけるC5b-9沈着を示す。脈絡膜静脈の内部外観はまた、免疫陽性である(白矢印)。スケールバー:図4Dでは20μm。図4Eは、活性化補体C5b-9の免疫組織化学を示す。3人の患者由来の組織を例証する。図4Eは、86歳の早期AMDの組織学的徴候を有する患者3由来の組織を示す。活性補体沈着がブルーフ膜全体、ドルーゼン(アスタリスク)および脈絡膜静脈の内部壁(白矢印)において示される。スケールバー:図4Eでは15μm。
【図5】図5は、ヒト補体H因子のポリペプチド配列を示す(GenBank アクセッション CAA68704)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションを特異的に検出する核酸分子を含む、個体由来の試料中のバリアントCFH遺伝子の検出のための単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
ポリヌクレオチドが、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
バリエーションが、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする、請求項2記載のプローブ。
【請求項4】
バリエーションが、CFHタンパク質の402位でチロシンをコードする、請求項3記載のプローブ。
【請求項5】
プローブがDNAプローブである、請求項2記載のプローブ。
【請求項6】
プローブが約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである、請求項5記載のプローブ。
【請求項7】
プローブが約10ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドである、請求項5記載のプローブ。
【請求項8】
プローブが1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドを含む、請求項5記載のプローブ。
【請求項9】
1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドが、放射性、蛍光または化学標識されたヌクレオチドである、請求項8記載のプローブ。
【請求項10】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションの近位にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ポリヌクレオチドプライマー。
【請求項11】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションのすぐ近位にハイブリダイズする、請求項10記載のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項12】
第1のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションの1つの側にハイブリダイズし、第2のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションのもう1つの側にハイブリダイズする、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションを特異的に検出する1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項13】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションを含むDNAの領域にハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーであって、ポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションの近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約20〜約10000ヌクレオチド離れているような様式で該領域にハイブリダイズする、1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項14】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする、請求項12記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項15】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でチロシンをコードする、請求項14記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項16】
プライマーがDNAプライマーである、請求項12記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項17】
プライマーが各々約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである、請求項16記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項18】
プライマーが各々約10ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドである、請求項16記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項19】
プライマーが1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドを含む、請求項16記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項20】
1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドが、放射性または蛍光標識されたヌクレオチドである、請求項19記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項21】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子にはハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと試料を合わせる工程;および
(b)ハイブリダイゼーションの発生は、加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す、ハイブリダイゼーションが発生したかどうかを決定する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項22】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料を合わせ、それによって組み合わせを生成する工程;
(b)工程(a)において生成された組み合わせをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で維持する工程;および
(c)組み合わせにおいて生じるハイブリダイゼーションをコントロールにおけるハイブリダイゼーションと比較する工程であって、ここでコントロールは、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに結合しないかまたは、野生型CFH遺伝子のみに結合するポリヌクレオチドプローブであり、試料は、(a)におけるものと同じ型の試料であり、(a)における試料と同様に処理され、組み合わせにおいて発生するがコントロールにおいて発生しないハイブリダイゼーションは、加齢黄斑変性症に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す、工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項23】
ハイブリダイゼーションの程度が工程(c)において決定される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第1の部分を合わせる工程;
(b)野生型CFH遺伝子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第2の部分を合わせる工程;および
(c)第1の部分において発生するが第2の部分において発生しないハイブリダイゼーションは、加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す、ハイブリダイゼーションが生じたかどうかを決定する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項25】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする、請求項21記載の方法。
【請求項26】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でチロシンをコードする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
試料が、眼、耳、鼻、歯、舌、表皮、上皮、血液、涙、唾液、粘液、尿路、尿、筋肉、軟骨、皮膚、または任意の他の組織もしくは体液から得られた細胞を含む、請求項21記載の方法。
【請求項28】
ポリヌクレオチドプローブがDNAプローブである、請求項21記載の方法。
【請求項29】
ポリヌクレオチドプローブが約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである、請求項21記載の方法。
【請求項30】
(a)1対のポリヌクレオチドプライマーと試料を合わせる工程であって、ここで第1のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAの1つの側にハイブリダイズし、第2のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAのもう1つの側にハイブリダイズする工程;
(b)試料中のDNAを増幅し、それによって増幅されたDNAを生成する工程;
(c)増幅されたDNAを配列決定する工程;および
(d)バリエーションの存在は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中で検出されることを示す、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションの存在をDNAにおいて検出する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項31】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子の存在について個体から得られた試料をアッセイする工程を包含する、加齢黄斑変性症を発現する危険にある個体の同定または同定を補助する方法であって、バリアントCFH遺伝子の存在は、個体が加齢黄斑変性症を発現する危険にあることを示す、方法。
【請求項32】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子にはハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと個体から得られた試料を合わせる工程;および
(b)ハイブリダイゼーションの発生は、個体が加齢黄斑変性症を発現する危険にあることを示す、ハイブリダイゼーションが発生したかどうかを決定する工程、
を包含する、加齢黄斑変性症を発現する危険にある個体の同定または同定を補助する方法。
【請求項33】
(a)個体からDNAを得る工程;
(b)CFHタンパク質のアミノ酸402をコードするヌクレオチドを含むDNAの領域を配列決定する工程;および
(c)バリエーションの存在は、個体が加齢黄斑変性症を発現する危険にあることを示す、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションがDNA中に存在するかどうかを決定する工程、
を包含する、加齢黄斑変性症を発現する危険にある個体の同定または同定を補助する方法。
【請求項34】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを内側に配置する少なくとも1つの容器手段;ならびに
(b)試料中のバリアントCFH遺伝子の検出における診断キットの使用のための標識および/または指示書、
を含む、個体からの試料中にバリアントCFH遺伝子を検出するための診断キット。
【請求項35】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションの1つの側の近位に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを内側に配置する少なくとも1つの容器手段;ならびに
(b)試料中のCFHの検出における診断キットの使用のための標識および/または指示書、
を含む、個体からの試料中にバリアントCFH遺伝子を検出するための診断キット。
【請求項36】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションのもう1つの側に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする第2のポリヌクレオチドプライマーをさらに含む、請求項35記載の診断キット。
【請求項37】
(a)有効量の単離もしくは組換え産生された野生型CFHポリペプチドまたはそのフラグメント;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置するための組成物。
【請求項38】
CFHポリペプチドまたはそのフラグメントがC3の活性化を阻害する、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
有効量の請求項37記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置する方法。
【請求項40】
(a)CFHポリペプチドをコードする単離もしくは組換え産生された、有効量の核酸分子またはそのフラグメント;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置するための組成物。
【請求項41】
有効量の請求項40記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置する方法。
【請求項42】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体と試料を合わせる工程;および
(b)結合が生じるかどうかを決定する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドを個体から得られた試料において検出する方法であって、結合の発生は、加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドが試料中に存在することを示す、方法。
【請求項43】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子またはmRNAにハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物。
【請求項44】
バリアントCFH遺伝子に対するアンチセンス配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少する、請求項43記載の組成物。
【請求項45】
バリアントCFH mRNAに対するアンチセンス配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH mRNAから翻訳されるタンパク質の量を減少し、および/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する、請求項43記載の組成物。
【請求項46】
前記核酸分子が、インビボ安定性、細胞膜を越える輸送またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAに対するハイブリダイゼーションを増大する1つ以上の改変されたヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む、請求項43記載の組成物。
【請求項47】
有効量の請求項43記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項48】
(a)siRNAもしくはmiRNA配列またはその前駆体を含む、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子またはmRNAにハイブリダイズする核酸分子;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物。
【請求項49】
バリアントCFH遺伝子に対するsiRNAまたはmiRNA配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少する、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
バリアントCFH mRNAに対するsiRNAまたはmiRNA配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH mRNAから翻訳されたタンパク質の量を減少し、および/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する、請求項48記載の組成物。
【請求項51】
前記核酸分子が、インビボ安定性、細胞膜を越える輸送またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAに対するハイブリダイゼーションを増大する1つ以上の改変されたヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む、請求項48記載の組成物。
【請求項52】
有効量の請求項48記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項53】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合するアプタマー;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物であって、バリアントCFHポリペプチドに対するアプタマーの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少する、組成物。
【請求項54】
有効量の請求項53記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項55】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する小分子;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物であって、バリアントCFHポリペプチドに対する小分子の結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少する、組成物。
【請求項56】
有効量の請求項55記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項57】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物であって、バリアントCFHポリペプチドに対する抗体の結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少する、組成物。
【請求項58】
有効量の請求項57記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項1】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションを特異的に検出する核酸分子を含む、個体由来の試料中のバリアントCFH遺伝子の検出のための単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
ポリヌクレオチドが、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
バリエーションが、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする、請求項2記載のプローブ。
【請求項4】
バリエーションが、CFHタンパク質の402位でチロシンをコードする、請求項3記載のプローブ。
【請求項5】
プローブがDNAプローブである、請求項2記載のプローブ。
【請求項6】
プローブが約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである、請求項5記載のプローブ。
【請求項7】
プローブが約10ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドである、請求項5記載のプローブ。
【請求項8】
プローブが1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドを含む、請求項5記載のプローブ。
【請求項9】
1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドが、放射性、蛍光または化学標識されたヌクレオチドである、請求項8記載のプローブ。
【請求項10】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションの近位にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ポリヌクレオチドプライマー。
【請求項11】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションのすぐ近位にハイブリダイズする、請求項10記載のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項12】
第1のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションの1つの側にハイブリダイズし、第2のポリヌクレオチドプライマーがバリエーションのもう1つの側にハイブリダイズする、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションを特異的に検出する1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項13】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションを含むDNAの領域にハイブリダイズする1対のポリヌクレオチドプライマーであって、ポリヌクレオチドプライマーは、バリエーションの近位のハイブリダイズしたプライマーの末端が約20〜約10000ヌクレオチド離れているような様式で該領域にハイブリダイズする、1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項14】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする、請求項12記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項15】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でチロシンをコードする、請求項14記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項16】
プライマーがDNAプライマーである、請求項12記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項17】
プライマーが各々約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである、請求項16記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項18】
プライマーが各々約10ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドである、請求項16記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項19】
プライマーが1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドを含む、請求項16記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項20】
1つ以上の非天然または改変ヌクレオチドが、放射性または蛍光標識されたヌクレオチドである、請求項19記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項21】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子にはハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと試料を合わせる工程;および
(b)ハイブリダイゼーションの発生は、加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す、ハイブリダイゼーションが発生したかどうかを決定する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項22】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料を合わせ、それによって組み合わせを生成する工程;
(b)工程(a)において生成された組み合わせをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で維持する工程;および
(c)組み合わせにおいて生じるハイブリダイゼーションをコントロールにおけるハイブリダイゼーションと比較する工程であって、ここでコントロールは、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに結合しないかまたは、野生型CFH遺伝子のみに結合するポリヌクレオチドプローブであり、試料は、(a)におけるものと同じ型の試料であり、(a)における試料と同様に処理され、組み合わせにおいて発生するがコントロールにおいて発生しないハイブリダイゼーションは、加齢黄斑変性症に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す、工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項23】
ハイブリダイゼーションの程度が工程(c)において決定される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第1の部分を合わせる工程;
(b)野生型CFH遺伝子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブと試料の第2の部分を合わせる工程;および
(c)第1の部分において発生するが第2の部分において発生しないハイブリダイゼーションは、加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中に存在することを示す、ハイブリダイゼーションが生じたかどうかを決定する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項25】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードする、請求項21記載の方法。
【請求項26】
バリエーションがCFHタンパク質の402位でチロシンをコードする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
試料が、眼、耳、鼻、歯、舌、表皮、上皮、血液、涙、唾液、粘液、尿路、尿、筋肉、軟骨、皮膚、または任意の他の組織もしくは体液から得られた細胞を含む、請求項21記載の方法。
【請求項28】
ポリヌクレオチドプローブがDNAプローブである、請求項21記載の方法。
【請求項29】
ポリヌクレオチドプローブが約8ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドである、請求項21記載の方法。
【請求項30】
(a)1対のポリヌクレオチドプライマーと試料を合わせる工程であって、ここで第1のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAの1つの側にハイブリダイズし、第2のポリヌクレオチドプライマーがCFHタンパク質のアミノ酸402をコードするDNAのもう1つの側にハイブリダイズする工程;
(b)試料中のDNAを増幅し、それによって増幅されたDNAを生成する工程;
(c)増幅されたDNAを配列決定する工程;および
(d)バリエーションの存在は、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子が試料中で検出されることを示す、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションの存在をDNAにおいて検出する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子を個体から得られた試料において検出する方法。
【請求項31】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子の存在について個体から得られた試料をアッセイする工程を包含する、加齢黄斑変性症を発現する危険にある個体の同定または同定を補助する方法であって、バリアントCFH遺伝子の存在は、個体が加齢黄斑変性症を発現する危険にあることを示す、方法。
【請求項32】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするが、野生型CFH遺伝子にはハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと個体から得られた試料を合わせる工程;および
(b)ハイブリダイゼーションの発生は、個体が加齢黄斑変性症を発現する危険にあることを示す、ハイブリダイゼーションが発生したかどうかを決定する工程、
を包含する、加齢黄斑変性症を発現する危険にある個体の同定または同定を補助する方法。
【請求項33】
(a)個体からDNAを得る工程;
(b)CFHタンパク質のアミノ酸402をコードするヌクレオチドを含むDNAの領域を配列決定する工程;および
(c)バリエーションの存在は、個体が加齢黄斑変性症を発現する危険にあることを示す、CFHタンパク質の402位でヒスチジン以外のアミノ酸をコードするバリエーションがDNA中に存在するかどうかを決定する工程、
を包含する、加齢黄斑変性症を発現する危険にある個体の同定または同定を補助する方法。
【請求項34】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを内側に配置する少なくとも1つの容器手段;ならびに
(b)試料中のバリアントCFH遺伝子の検出における診断キットの使用のための標識および/または指示書、
を含む、個体からの試料中にバリアントCFH遺伝子を検出するための診断キット。
【請求項35】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションの1つの側の近位に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドプライマーを内側に配置する少なくとも1つの容器手段;ならびに
(b)試料中のCFHの検出における診断キットの使用のための標識および/または指示書、
を含む、個体からの試料中にバリアントCFH遺伝子を検出するための診断キット。
【請求項36】
ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するCFH遺伝子におけるバリエーションのもう1つの側に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする第2のポリヌクレオチドプライマーをさらに含む、請求項35記載の診断キット。
【請求項37】
(a)有効量の単離もしくは組換え産生された野生型CFHポリペプチドまたはそのフラグメント;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置するための組成物。
【請求項38】
CFHポリペプチドまたはそのフラグメントがC3の活性化を阻害する、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
有効量の請求項37記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置する方法。
【請求項40】
(a)CFHポリペプチドをコードする単離もしくは組換え産生された、有効量の核酸分子またはそのフラグメント;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置するための組成物。
【請求項41】
有効量の請求項40記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患する被験体を処置する方法。
【請求項42】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体と試料を合わせる工程;および
(b)結合が生じるかどうかを決定する工程、
を包含する、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドを個体から得られた試料において検出する方法であって、結合の発生は、加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドが試料中に存在することを示す、方法。
【請求項43】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子またはmRNAにハイブリダイズするアンチセンス配列を含む核酸分子;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物。
【請求項44】
バリアントCFH遺伝子に対するアンチセンス配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少する、請求項43記載の組成物。
【請求項45】
バリアントCFH mRNAに対するアンチセンス配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH mRNAから翻訳されるタンパク質の量を減少し、および/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する、請求項43記載の組成物。
【請求項46】
前記核酸分子が、インビボ安定性、細胞膜を越える輸送またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAに対するハイブリダイゼーションを増大する1つ以上の改変されたヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む、請求項43記載の組成物。
【請求項47】
有効量の請求項43記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項48】
(a)siRNAもしくはmiRNA配列またはその前駆体を含む、ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFH遺伝子またはmRNAにハイブリダイズする核酸分子;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物。
【請求項49】
バリアントCFH遺伝子に対するsiRNAまたはmiRNA配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH遺伝子から転写されるRNAの量を減少する、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
バリアントCFH mRNAに対するsiRNAまたはmiRNA配列のハイブリダイゼーションが、バリアントCFH mRNAから翻訳されたタンパク質の量を減少し、および/またはバリアントCFH mRNAのスプライシングを変更する、請求項48記載の組成物。
【請求項51】
前記核酸分子が、インビボ安定性、細胞膜を越える輸送またはバリアントCFH遺伝子もしくはmRNAに対するハイブリダイゼーションを増大する1つ以上の改変されたヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む、請求項48記載の組成物。
【請求項52】
有効量の請求項48記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項53】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合するアプタマー;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物であって、バリアントCFHポリペプチドに対するアプタマーの結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少する、組成物。
【請求項54】
有効量の請求項53記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項55】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する小分子;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物であって、バリアントCFHポリペプチドに対する小分子の結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少する、組成物。
【請求項56】
有効量の請求項55記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【請求項57】
(a)ヒトにおける加齢黄斑変性症の発生に関連するバリアントCFHポリペプチドに結合する抗体;および
(b)薬学的に許容され得る担体、
を含む、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置するための組成物であって、バリアントCFHポリペプチドに対する抗体の結合がバリアントCFHポリペプチドの活性を減少する、組成物。
【請求項58】
有効量の請求項57記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、加齢黄斑変性症を罹患するかまたはその危険にある被験体を処置する方法。
【図2D】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2008−520242(P2008−520242A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543226(P2007−543226)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/041664
【国際公開番号】WO2006/062716
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(392019352)イェール ユニバーシティ (38)
【氏名又は名称原語表記】YALE UNIVERSITY
【出願人】(507159496)ザ ロックフェラー ユニバーシティ (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/041664
【国際公開番号】WO2006/062716
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(392019352)イェール ユニバーシティ (38)
【氏名又は名称原語表記】YALE UNIVERSITY
【出願人】(507159496)ザ ロックフェラー ユニバーシティ (2)
【Fターム(参考)】
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