説明

視認性向上シートの製造方法および視認性向上シート

【課題】略矩形断面を有するような光吸収部を備えた視認性向上シートにおいて、視野角を維持しつつコントラストにも優れる視認性向上シートを製造する方法を提供する。
【手段】所定間隔で並列するように光透過部を形成することにより、前記光透過部の間に並列して設けられた略矩形断面を有する溝を形成し、前記溝に、透明な電離放射線硬化性樹脂組成物と着色微粒子とを含んでなるインキ組成物を充填し、前記充填されたインキ組成物中に微細な気泡がランダムに分散している状態で、前記インキ組成物を硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視認性向上シートの製造方法に関し、より詳細には、表示装置の前面に設置し、表示装置の性能、とりわけ、表示装置に外光が当たった時のコントラスト低下や、ぎらつき、像の映り込み等による性能の低下を防止する機能や、表示装置の有効光を好適に拡散ないし集光させて視野角を制御する機能等、を有する視認性向上シートを製造する方法、およびその方法により得られる視認性向上シートに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、通常、観察者がどのような位置から見ても良好な画像が得られるように、視野角が広いことが好まれる。一方、例えば通勤電車の中で仕事をする場合やATM等の公共の場に設置された液晶表示装置では、周りの人から画面を覗かれては困ることがあり、このような場合には液晶表示装置の観察者のみに見え、他人からは見えないようにプライバシーを保護するための覗き見防止機能が求められている。また、カーナビゲーションシステム等の車載型の液晶表示装置においては、夜間などに液晶表示装置の画面が窓ガラスに映り込み、視界を遮る現象がおこるため、映り込み防止機能が求められており、光線出光角度の制御が望まれている。
【0003】
このような要求に対して、例えば、例えば、特開2006−119365号公報(特許文献1)には、光透過層と遮光層とを交互に並べた構造であるルーバータイプの視認性向上シートが提案されており、遮光層として、光透過層を構成する材料にカーボンブラックやカーボンファイバー等の充填材を混合したものを用いることが開示されている。
【0004】
一方、上記のようなルーバー型の視認性向上シートは、斜め方向の映像光を単純にカットするものであるため、表示装置の種類によっては、観測者に到達させるべき映像光の拡散光を減少させてしまうことにもなるため、表示画面の輝度が低下する場合があった。
【0005】
上記の問題を解消するため、外光を遮光してコントラストを向上させ、かつ二重像の発生も減少させることができる視認性向上シートを液晶表示装置の光源と液晶パネルの間に設置することが提案されている。このような視認性向上シートとして種々の構造のものが提案されており、例えば、断面形状が台形のレンズ部を所定の間隔で配列するとともに、隣り合うレンズ部間の楔形部には、レンズ部よりも屈折率の低い材料とカーボン顔料等とを充填した構造を有するものが提案されている(例えば、特開2006−85050号公報等:特許文献2)。
【0006】
そして、視認性向上シートの製造において、電離放射線硬化性樹脂等のレンズ材料に着色樹脂ビーズを混合した組成物を楔形部に充填し、電離放射線を照射して硬化させて光吸収部を形成することが行われている(例えば、国際出願公開公報WO2006/090784:特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−119365号公報
【特許文献2】特開2006−85050号公報
【特許文献3】国際出願公開公報WO2006/090784
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の視認性向上シートの光吸収部は、通常、その断面が略三角形であるような、視認性向上シート面の法線方向に対して略三角形の斜辺が一定の角度を有するものであり、略三角形の底辺に相当する楔型の開口部から、上記したような着色樹脂ビーズを混合したインキ組成物を充填して樹脂を硬化させることにより、光吸収部が形成されていた。近年、光吸収部として、その断面が略三角形であるもの以外に、光吸収部の斜辺の角度が視認性向上シート面の法線方向に対して0°に近い、略矩形断面を有するような光吸収部を備えた視認性向上シートが提案されている。
【0009】
上記のような略矩形断面を有するような光吸収部を備えた視野角向上シートは、従来の略三角形断面を有する光吸収部を備えたものと比べて、コントラストの向上が図れるものの、光透過層と遮光層とを交互に並べたルーバータイプの構造に近いため、視野角を維持することが困難であった。
【0010】
本発明者らは、今般、略矩形断面を有する溝に、着色樹脂ビーズを混合したインキ組成物を充填して樹脂を硬化させることにより光吸収部を形成する際に、充填後のインキ組成物中に気泡を所定割合で含有させてインキを硬化させることにより、視野角を維持しつつコントラストにも優れる視認性向上シートを実現できる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、略矩形断面を有するような線幅の狭い光吸収部を備えた視認性向上シートにおいて、視野角を維持しつつコントラストにも優れる視認性向上シートを製造する方法を提供することである。
【0012】
また、本発明の別の目的は、上記の製造方法により得られる視認性向上シートを提供するものである。
【0013】
また、本発明の別の目的は、上記視認性向上シートを備えた表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による視認性向上シートの製造方法は、所定間隔で並列した光透過部と、前記光透過部の間に並列して設けられた、略矩形断面を有する光吸収部と、を備えた視認性向上シートを製造する方法であって、
所定間隔で並列するように光透過部を形成することにより、その光透過部の間に並列して設けられた略矩形断面を有する溝を形成し、
前記溝に、透明な電離放射線硬化性樹脂組成物と着色微粒子とを含んでなるインキ組成物を充填し、
前記充填されたインキ組成物中に微細な気泡がランダムに分散している状態で、前記インキ組成物を硬化させること、
を含んでなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の態様として、前記微細な気泡の平均径が、1〜10μmであることが好ましい。
【0016】
また、本発明の態様として、視認性向上シートの幅方向断面において、略矩形断面を有する溝の少なくとも1つに、前記微細な気泡が含まれることが好ましい。
【0017】
また、本発明の態様として、視認性向上シートの幅方向断面において、略矩形断面を有する溝の少なくとも1つに、前記微細な気泡が1〜5個含まれることが好ましい。
【0018】
また、本発明の態様として、前記略矩形断面を有する一つの溝中に、前記微細な気泡が連続して接していない状態で、インキ組成物を硬化させることが好ましい。
【0019】
また、本発明の態様として、前記略矩形断面を有する光吸収部の斜辺が、視認性向上シート面の法線方向に対して0〜3°の角度を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明の態様として、前記着色微粒子が、樹脂中にカーボンブラックを練り込んだ樹脂ビーズからなることが好ましい。
【0021】
また、本発明の態様として、前記カーボンブラックの平均粒子径が10〜500nmであることが好ましい。
【0022】
また、本発明の態様として、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、及び多価アルコールから選択される多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーからなることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明の態様として、前記インキ組成物の粘度が500〜5,000mPa・sであることが好ましい。
【0024】
また、本発明の別の態様として、上記の方法により得られる視認性向上シートは、所定間隔で並列した光透過部と、前記光透過部の間に並列して設けられた、略矩形断面を有する光吸収部と、を備え
前記光吸収部の少なくとも1つに、微細な気泡からなる空隙が含まれてなることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の態様として、前記光吸収部の少なくとも1つに、1〜5個の微細な気泡からなる空隙が含まれてなることが好ましい。
【0026】
また、本発明の態様として、前記光吸収部の全体積に対して、前記空隙が1〜30体積%含まれてなることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明の別の態様として、上記視認性向上シートを備えた表示装置も提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明においては、光透過部の間に並列して設けられた光吸収部を形成する際に、略矩形断面を有する溝にインキ組成物を充填し、充填されたインキ組成物中に微細な気泡がランダムに分散している状態で、インキ組成物を硬化させる。そのため、形成された略矩形断面を有する光吸収部中に、微細な気泡からなる空隙がランダムに形成されているため、略矩形断面を有する光吸収部を備えた視認性向上シートであっても、視野角を維持しつつ、優れたコントラストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態における視認性向上シートの製造方法を説明する概略工程図。
【図2】本発明による視認性向上シートの製造方法と従来の製造方法とを示した概略図。
【図3】本発明の一実施形態における視認性向上シートの製造方法を説明する概略工程図。
【図4】得られた視認性向上シートの一方向の断面の拡大図。
【図5】実施例1で得られた視認性向上シート断面の光学顕微鏡写真である。
【図6】実施例2で得られた視認性向上シート断面の光学顕微鏡写真である。
【図7】実施例3で得られた視認性向上シート断面の光学顕微鏡写真である。
【図8】比較例1で得られた視認性向上シート断面の光学顕微鏡写真である。
【図9】実施例1〜3および比較例1の視野角を測定した結果を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<視認性向上シートの製造方法>
本発明による視認性向上シートの製造方法は、所定間隔で並列した光透過部と、前記光透過部の間に並列して設けられた、略矩形断面を有する光吸収部と、を備えた視認性向上シートを製造する方法であって、
所定間隔で並列するように光透過部を形成することにより、前記光透過部の間に並列して設けられた略矩形断面を有する溝を形成し、前記溝に、透明な電離放射線硬化性樹脂組成物と着色微粒子とを含んでなるインキ組成物を充填し、前記充填されたインキ組成物中に微細な気泡がランダムに分散している状態で、前記インキ組成物を硬化させて光吸収部を形成することを含んでなる。以下、図面を参照しながら、各工程について順に説明する。
【0031】
図1は、本発明による視認性向上シートの製造方法の概略工程を示したものである。先ず、基材1上に、層厚方向断面において略矩形の複数の光透過部2を形成する(図1(a))。この光透過部2は、一方のシート面側が上辺、他方のシート面側が下辺となるように配置された略矩形断面を有する要素である。
【0032】
上記工程において使用される基材は、上記した光透過部2や光吸収部5を形成するためのベースとなる層である。基材としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスを用いることができる。透明樹脂フィルムとしては、トリアセテートセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルロニトリルフィルム等を好適に使用できるが、これらの中でも、ポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。ポリエステル系フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートの他、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0033】
この光透過部2の形成は、使用する樹脂の種類によって異なる。例えば、光透過部を透明な熱可塑性樹脂を用いて形成する場合には、加熱した金型を熱可塑性樹脂に押圧する熱プレス法や射出成型法、金型内に熱可塑性樹脂モノマーを注入して重合・固化させるキャスティング法等によって、所望形状の光透過部を形成することができる。また、電離放射線硬化性樹脂、特に紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、当該樹脂を成形型内に注入して紫外線を照射して硬化させる、いわゆるUV法によって、所望の形状の光透過部を形成することができる。これらの方法の中でも、本発明においては、量産性に優れるUV法が好適に使用できる。UV法によれば、図1(a)に示すように、ロール状の成形型6を用いて、配列した光透過部単位2を連続的に製造することができる。
【0034】
上記のようにして基材上に複数の光透過部2を形成することにより光透過部の間には、並列して設けられた略矩形断面の溝3が形成されることになる。次いで、この並列して設けられた略矩形段断面の溝3に、透明な電離放射線樹脂組成物と着色微粒子とを含んでなるインキ組成物4を充填する(図1(b))。インキ組成物の充填方法としては、ディスペンサーによる滴下、ダイヘッドによる塗布、あるいはフィニッシャーロールによりインキ組成物を楔形の溝に充填することができる。これらの中でも、インキの流動性が悪くインキ跡が目立つような場合には、図1(b)に示すようなダイヘッド7による塗布が適している。上記のようなインキ充填方法によって、略台形ないし略矩形の溝3にインキ組成物を充填する。
【0035】
すなわち、図2(b)に示すように、従来のような断面が略台形ないし略三角形の光吸収部を形成する場合には、光吸収部となるべき溝が楔形断面を有するため、楔形の斜辺は視認性向上シート面の法線方向に対してある程度の角度を有する。そのため、充填されるインキ組成物は、この斜辺を流れるように溝に充填されていくために空気がインキ組成物中に混入しにくい。これに対して、図2(a)に示すように、断面が略矩形の光吸収部を形成する場合、光吸収部となるべき溝が略矩形断面を有し、視認性向上シート面の法線方向に対する溝側面の角度が0〜3°程度である。また、溝が、略矩形断面の場合、従来の楔形断面を有する溝と比べて溝開口部の幅も狭く(8〜12μm程度)なる。このため、上記のような充填方法によりインキ組成物を充填すると、必然的に充填されたインキ組成物中には気泡が混入するものと考えられる。
【0036】
インキ組成物4を略矩形断面の溝3、すなわち複数の光透過部2の間の窪み3に充填した後、余剰のインキ組成物4を掻き取って、略矩形断面の溝3にインキ組成物4が充満するようにする(図3(a))。この際、インキ組成物中に含まれる気泡は、互いに結合してその体積を増やしながら重力反対方向へ上昇していくため、溝の底に近づくほど、気泡の含有量が少なくなる。樹脂を硬化させる直前の気泡の大きさは、その平均径が1〜10μm程度であることが好ましい。なお、気泡の平均径とは、気泡が球形である場合は球の直径を意味するが、気泡が溝の壁に付着している場合のように気泡が球形ではない場合、シート幅方向の断面における気泡の最大幅を意味するものとする。従って、気泡が溝の両壁に接したような状態にある場合は、気泡の平均径は溝幅と同じになる。
【0037】
インク組成物中に混入する空気(気泡)の量、インキ組成物中に含まれる気泡どうしの結合のし易さ、気泡の上昇速度等は、インキ組成物の粘度に影響される。本発明においては、インキ組成物の粘度は、500〜5,000mPa・sの範囲であることが好ましい。インキ粘度が5,000mPa・s以上であると、インキ組成物を溝へ充填する際に空気を含みやすくなる反面、粘度が高すぎて溝の底までインキが充填されない場合がある。また、後記するように、インキの掻き取り性が悪化する。一方、インキ粘度が500mPa・s未満であると、インク組成物中に含まれる気泡同士が結合し易いものの、重力反対方向への上昇速度が速くなるため、インキ組成物を硬化させる際にインキ組成物中に気泡が含まれなくなる場合がある。なお、インキ組成物の粘度は、B型粘度計を用いて25℃の環境下にて測定した値を意味するものとする。
【0038】
インキの掻き取り性を向上させるためには、図3(a)に示すように、ドクターブレード8やワイピングロール等による連続掻き取り装置などにより行う。インキ粘度が500mPa・s未満の場合、インキの掻き取り性は良好であるものの、楔形の溝にインキ組成物が充満させることが困難となり、一方、インキ粘度が5,000mPa・sを超える場合には、インキの流動性が悪くインキ跡が目立ち、所望の光吸収部を形成することが困難となる場合がある。
【0039】
ここで、本工程において使用するインキ組成物について説明する。インキ組成物は、透明な電離放射線樹脂組成物と着色微粒子とを必須成分として含むものである。電離放射線硬化型樹脂組成物としては、従来公知の視認性向上シートや視野角向上シート等に用いられる電離放射線硬化型樹脂組成物を用いることができる。例えば、アクリレート系の官能基を有するものを好適に使用することができ、具体的には、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマーを挙げることができる。なお、視認性向上シートの光透過部を構成する材料にもよるが、これらの樹脂のなかから光透過部を構成する材料よりも屈折率の小さい樹脂を選択すればよい。
【0040】
また、上記樹脂組成物中には、反応性希釈剤を添加してもよく、このような反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマーを使用してもよく、具体的は、リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、組成物中に光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
【0042】
本発明において用いられる着色微粒子としては、樹脂ビーズやガラスビーズに、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収できる着色微粒子を使用してもよく、カーボンブラック、グラファイト、繊維状炭素、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等の着色剤を練り込んだものを使用することができる。着色剤の練り込み易さの観点からは、樹脂ビーズを用いることが好ましい。樹脂ビーズとしては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩ビビーズ等を好適に使用することができる。また、ウレタン架橋微粒子やシリコン系ビーズも好適に使用できる。これらの樹脂ビーズは、上記した電離放射線硬化型樹脂組成物との屈折率差が0.1程度のものを用いることが好ましい。また、着色剤を練り込む前の樹脂としては、透明な樹脂でも使用できるが、顔料または染料等で着色された樹脂を用いることが好ましいく、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収するものであってよいが、好ましくは黒色に着色された樹脂ビーズが用いられる。
【0043】
着色剤としては、上記したもののなかでもカーボンブラックが好適に使用できる。樹脂ビーズへのカーボンブラックの練り込み量は、樹脂ビーズ1質量部に対してカーボンブラックを0.1〜0.7質量部程度であり、好ましくは0.15〜0.5質量部、より好ましくは0.2〜0.35質量部である。カーボンブラックの練り込み量が0.7質量部よりも多いと樹脂ビーズが割れやすくなる場合があり、一方、0.1質量部よりも少ないと、所望の黒色性を有する着色微粒子を得られない場合がある。また、カーボンブラックは、平均粒子径が10〜500nmのものを好適に使用することができ、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等が使用できる。また、市販のものを使用することもでき、例えば、HCFシリーズ、MCFシリーズ、RCFシリーズ、LFFシリーズ(いずれも三菱化学株式会社製)、バルカンシリーズ(キャボット社製)、ケッチェンシリーズ(ライオン株式会社製)を好適に使用することができる。なお、ここでの平均粒子径とは、カーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径を意味する。
【0044】
電離放射線硬化型樹脂組成物への着色微粒子の分散性を向上させるために、着色微粒子を表面処理しておくこともできる。表面処理としては、従来公知のシリカコーティングによる親水処理や、プラズマ等による表面改質が挙げられる。
【0045】
上記した各成分を含むインキ組成物は、電離放射線硬化型樹脂組成物に、所定量の着色微粒子を混合し、所望により重合開始剤等を添加することにより調製される。着色微粒子の添加量は、インキ組成物の全質量に対して15〜35%の範囲とすることが好ましく、この範囲とすることにより、よりコントラストに優れる視認性向上シートを実現することができる。着色微粒子の含有量が少なすぎると、楔形溝(光吸収部)の光遮光性が不十分となる場合があり、着色微粒子の含有量が多すぎると、樹脂ビーズどうしが接触し割れや欠けの問題が発生し易くなる。
【0046】
インキ組成物の調製においては、上記したように、インキ粘度が500〜5,000mPa・sとなるように各成分の配合量および各成分の種類を適宜選択することができる。
【0047】
上記したように、略矩形断面を有する溝に充填されインキ組成物を、硬化させて光吸収部5を形成する(図3(b))。この際、充填されたインキ組成物中に微細な気泡がランダムに分散している状態でインキ組成物を硬化させる。この状態でインキ組成物を硬化させることにより、後記するように、光吸収部の少なくとも1つに微細な気泡からなる空隙が含まれた視認性向上シートが得られる。その結果、略矩形断面を有するような光吸収部を備えた視認性向上シートであっても、左右視野角を維持しつつ優れたコントラストを実現できる。なお、本発明において、「ランダム」とは、視認性向上シートの幅方向(図2(a)のように、光透過部と光吸収部とが並列する方向)に光吸収部と光透過部とが並列して設けられている視認性向上シートにおいて、その各光吸収部のそれぞれ全てに気泡が含まれておらず、任意の光吸収部のみに気泡が含まれていることを意味する。即ち、視認性向上シートのシート長尺方向の任意の位置で、シート幅方向の断面を観察した際に、複数の光吸収部のうち、気泡が全く含まれていない光吸収部が存在してもよく、気泡が含まれている光吸収部がランダムに存在することを意味する。したがって、シート長尺方向の任意の位置でシート幅方向の断面を観察した際に、全ての光吸収部に気泡が含まれていないものや、逆に、全ての光吸収部に気泡が含まれているものは、本発明の範囲には含まれない。
【0048】
インキ組成物は、インキ中の気泡が、複数の微少な気泡どうしが結合して一つになった状態で、硬化されることが好ましく、例えば、視認性向上シートの幅方向断面において、略矩形断面を有する溝の少なくとも1つに、前記微細な気泡が平均で1〜5個含まれることが好ましい。平均で1〜5個とは、シート長尺方向(シート幅方向と垂直な方向)の任意位置での光吸収部の幅方向断面を観察した場合に、気泡が含まれている光吸収部のなかで、一つの光吸収部に含まれる気泡の数を平均したものを意味するものとする。したがって、気泡の数を算出するにあたり、全く気泡が含まれていない光吸収部は、その算出から除外される。光吸収部中の気泡の数やその大きさ等は、上記したようにインキ組成物の粘度以外にも、形成しようとする光吸収部の断面形状、すなわち、溝3の断面形状に依存する。インキ組成物の粘度が一定の場合、上記したように、溝の断面において視認性向上シート面の法線方向に対する溝側面の角度が付けられている場合は、インキ組成物が溝に充填されやすくなるため、気泡が混入しにくくなる。
【0049】
また、一つの溝の中に複数の気泡が存在する場合、それら気泡は互いに連続して接していない状態で、インキ組成物を硬化させることが好ましい。また、少なくとも1つの気泡が、各溝に含まれていることがこのましい。
【0050】
インキ組成物中の電離放射線硬化型樹脂の硬化方法としては、通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。例えば、電子線硬化の場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速機から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
【0051】
<視認性向上シート>
上記のようにして得られた視認性向上シートは、シート厚み方向断面において略矩形の光透過部と、その光透過部の間に並列して配置された、略矩形断面を有する光吸収部とを備えている。光透過部は、一方のシート面側が上辺、他方のシート面側が下辺となるように配置された略矩形断面を有する要素である。また、光吸収部は、光透過部の間に形成された略矩形断面を有する要素である。矩形の上辺に相当する面が光透過部の上辺側のシート面に面するように並列に配置される。これにより光吸収部(インキ組成物を充填した溝)の上辺および光透過部の上辺により、視認性向上シートの一方の面が構成されている。光吸収部における略矩形の長辺は、視認性向上シート面の法線方向に対して、0〜3°の範囲の角度を有していることが好ましい。なお、斜辺の角度が0度に近い場合は、実質的に矩形断面となる。テーパ角が3°を超えると、インキ組成物の溝への充填特性が上がるため、気泡が混入しにくくなるとともに、視認性向上シートのコントラスト特性が低下する。
【0052】
例えば、図4に示すように、高さが105μmで、上辺の幅が46μm、下辺の幅が48μmである略矩形断面を有する光透過部と、上辺(すなわち、溝の開口部)の幅が12μmで下辺の幅が10μmである略矩形断面を有する光吸収部とを1ピッチとする視認性向上シートとすることができる。光透過部及び光吸収部の厚み(高さ)は、概ね50〜150μmとすることができる。また、光吸収部は、深さ(厚み)と上辺の幅との比であるアスペクト比が1:6〜1:11程度であることが好ましく、このようなアスペクト比とすることにより、視野角とコントラストとをより高いレベルで実現できる。
【0053】
光吸収部は、光透過部の屈折率と同じかまたは小さい屈折率を有する。光透過部と光吸収部との屈折率が上記のような関係となることにより、所定条件で光透過部に入射した光源からの映像光を光吸収部と光透過部との境界面で適切に反射させ、観測者に明るい映像を提供することができる。また、観測者側からの外光の一部を吸収するため、コントラストも向上する。また、光吸収部と光透過部との境界面で反射せずに、光吸収部の内側に入射した迷光が、光吸収部中の着色微粒子によって吸収される。また、所定角度で入射した観測者側からの外光を適切に吸収することができるため、コントラストを向上させることもできる。
【0054】
また、本発明においては、光吸収部の少なくとも1つに微細な気泡からなる空隙が含まれていることから、視認性向上シートの光吸収部に入射した光のうち、光吸収部中の微細な気泡からなる空隙に入射した光は、空隙を通過、または空隙と樹脂との境界面で反射するため、空隙を含まない光吸収部を備えた視認性向上シートと比較して、視野が明るくなる。少なくとも1つの光吸収部に含まれる微細な気泡の数は1〜5個の範囲であることが好ましい。気泡の数が多すぎると視野は明るくなるものの、コントラストが低下する場合がある。また、少なくとも1つの気泡が各光吸収部に含まれていることが好ましい。視野角およびコントラストの両方の観点からは、光吸収部の全体積に対して、空隙が1〜30体積%含まれていることが好ましい。
【0055】
また、視認性向上シートを2層重ね合わせてもよく、その場合、各視認性向上シートで異なった構造となるようにしてもよい。例えば、1層目の視認性向上シートと2層目の視認性向上シートとで、光吸収部の幅やピッチ、深さ(楔形部の深さ)、形状を変えたり、光吸収部の厚み方向の向きを変えたり、映像光に対する光吸収部のバイアス角度(水平方向に対する光吸収部の傾斜角度)を変えたりすることができる。また、光吸収部を形成する材料(樹脂の種類や着色微粒子の濃度)を変えることもできる。例えば、1層目は効率良く外光をカットし、コントラストの向上を重視した設計とし、2層目は反射を利用した正面輝度向上効果を重視した設計とするような、各層で作用効果を変えることが好ましい。
【0056】
本発明による視認性向上シートは、従来の視認性向上シートや視野角拡大部材に採用されている他の機能層を含んでいてもよい。具体的には、反射防止層、粘着層、電磁波遮蔽層、波長フィルタ層、防眩層、ハードコート層などを適宜組み合わせてもよい。これらの各機能層の積層順や積層数は、使用する視認性向上シートの用途に応じて適宜決定することができる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例に本発明が限定されるものではない。
【0058】
実施例1
<インキ組成物の調製>
平均粒子径が24nmのカーボンブラック(RCF#45、三菱化学株式会社製)をアクリル樹脂(ハイパール、根本工業株式会社製)に練り込んだ樹脂ビーズを用いた。カーボンブラックの練り込み量は、アクリル樹脂に対して質量基準で35%であった。この樹脂ビーズの平均粒子径を粒子径分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所製)によって測定したところ、1.0μmであった。
【0059】
電離放射線硬化性樹脂として、ウレタンアクリレート33.6質量部、エポキシアクリレート14.4質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート28質量部、メトキシトリエチレングリコールアクリレート4質量部、およびアクリル二官能性モノマー(大阪有機化学工業株式会社製)240質量部と、光重合開始剤としてイルガキュアー184を4質量部とを混合し、さらに、上記の樹脂ビーズを21質量部と、を混合し、インキ組成物を調製した。得られたインキ組成物の粘度は、B型粘度計を用いて25℃の環境下にて測定したところ、3,800mPa・sであった。
【0060】
<視認性向上シートの作製>
厚みが100μmのPET基材(A4300、東洋紡製)上に、硬化後の屈折率が1.55のウレタン系紫外線硬化性樹脂を用いて、成形金型で連続賦型加工を行い、光透過部を形成した。次いで、上記で得られたインキ組成物を、光透過部の間に並列して設けられた略矩形断面を有する溝に充填し、金属製のドクターブレードで余剰のインキ組成物を掻き取った後、紫外線を照射してインキ組成物を硬化させることにより、光吸収部を形成した。得られた視認性向上シートの断面を光学顕微鏡で観察したところ、光吸収部(溝)の開口幅が12μmであり、溝の底の幅が10μmであり、深さが105μm、テーパ角θは1.1度であった。また、一つの光吸収部あたり、直径が3μm程度の空隙が1個含まれており、このときの空隙率は0.6体積%であった。光吸収部の光学顕微鏡写真(倍率500倍)は、図5に示される通りであった。
【0061】
実施例2
実施例1において、光吸収部の形状とインキ組成物の粘度を3000mpa・sに変更した以外は実施例1と同様にして視認性向上シートを作製した。得られた視認性向上シートの断面を光学顕微鏡で観察したところ、光吸収部(溝)の開口幅が10μmであり、溝の底の幅が5.5μmであり、深さが84.6μm、テーパ角θは1.5度であった。また、一つの光吸収部あたり、直径が5μm程度の空隙が1個含まれており、このときの空隙率は3体積%であった。光吸収部の光学顕微鏡写真(倍率1000倍)は、図6に示される通りであった。
【0062】
実施例3
実施例2において、インキ組成物の粘度を4000mPa・sに変更した以外は実施例2と同様にして視認性向上シートを作製した。得られた視認性向上シートの断面を光学顕微鏡で観察したところ、光吸収部(溝)の開口幅が10μmであり、溝の底の幅が5.5μmであり、深さが84.6μm、テーパ角θは1.5度であった。であった。また、一つの光吸収部あたり、直径が10μm程度の空隙が1〜2個含まれていた。なお、このときの空隙率は24体積%であった。光吸収部の光学顕微鏡写真(倍率500倍)は、図7に示される通りであった。
【0063】
比較例1
厚みが100μmのPET基材(A4300、東洋紡製)上に、硬化後の屈折率が1.55のウレタン系紫外線硬化性樹脂を用いて、成形金型で連続賦型加工を行い、光透過部を形成した。次いで、上記で得られたインキ組成物を、光透過部の間に並列して設けられた略矩形断面を有する溝に塗布し、ゴムロールでインキを押込みながら充填した。次いで、金属製のドクターブレードで余剰のインキ組成物を掻き取った後、紫外線を照射してインキ組成物を硬化させることにより、光吸収部を形成した。得られた視認性向上シートの断面を光学顕微鏡で観察したとこと、光吸収部(溝)の開口幅が12μmであり、溝の底の幅が10μmであり、深さが105μm、テーパ角θは1.1度であった。また、形成された光吸収部中に、空隙は観測されなかった。光吸収部の光学顕微鏡写真(倍率200倍)は、図8に示される通りであった。
【0064】
<コントラスト評価>
次に、得られた視認性向上シートについて、下記のような評価方法により、コントラストの評価を行った。先ず、視認性向上シートをディスプレイ画面に貼り付けた状態での黒画面の輝度と、視認性向上シートをディスプレイ画面に貼り付ける前の状態での黒画面の輝度とを、目視により観察した。コントラストの評価基準は以下の通りとした。
◎:明らかに黒い
○:同等以上の黒さ
△:ほぼ同等の黒さ
×:同等以下の黒さ
評価結果は、下記の表1に示される通りであった。
【0065】
【表1】

【0066】
<視野角測定>
得られた視認性向上シートの視野角を、微小偏角輝度計(GP−500、株式会社中村色彩技術研究所製)を用いて測定を行った。測定条件として、リファレンスに、角度−80°〜+80°でほぼ均一な拡散光が得られる基準片を用いて計測し、基準片のみの透過率を100%とした時の計算値より求めた。結果は、図9に示される通りであった。
【0067】
表1および図9の結果からも明らかなように、光吸収部に所定の空隙が設けられている視認性向上シート(実施例1)は、出射角が±40°の範囲において、空隙を有さない視認性向上シート(比較例1)と同様の輝度を有し、かつ、出射角が±40°〜±60°の範囲では、空隙を有さない視認性向上シートよりも輝度が向上していることがわかる。光吸収部に所定の空隙が設けられている視認性向上シートは、空隙を有さない視認性向上シートと同等のコントラストを有することがわかる。
【0068】
また、実施例1〜3の対比において、インキ組成物の粘度を低くしたり、金型のテーパ角をより大きくするにしたがい、空隙率は下がることがわかる。また、空隙率が30体積%を超えると、±50°〜±90°での透過率が高くなってしまい、コントラストが悪化するものと予想される。
【符号の説明】
【0069】
1 基材
2 光透過部
3 溝
4 着色インキ組成物
5 光吸収部
6 成形型
7 塗布装置(ダイコーター)
8 インキ掻き取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で並列した光透過部と、前記光透過部の間に並列して設けられた、略矩形断面を有する光吸収部と、を備えた視認性向上シートを製造する方法であって、
所定間隔で並列するように光透過部を形成することにより、前記光透過部の間に並列して設けられた略矩形断面を有する溝を形成し、
前記溝に、透明な電離放射線硬化性樹脂組成物と着色微粒子とを含んでなるインキ組成物を充填し、
前記充填されたインキ組成物中に微細な気泡がランダムに分散している状態で、前記インキ組成物を硬化させること、
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記微細な気泡の平均径が、1〜10μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
視認性向上シートの幅方向断面において、略矩形断面を有する溝の少なくとも1つに、前記微細な気泡が含まれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
視認性向上シートの幅方向断面において、略矩形断面を有する溝の少なくとも1つに、前記微細な気泡が1〜5個含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記略矩形断面を有する一つの溝中に、前記微細な気泡が連続して接していない状態で、インキ組成物を硬化させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溝の開口幅が、8〜12μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記略矩形断面を有する光吸収部の斜辺が、視認性向上シート面の法線方向に対して0〜3°の角度を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記着色微粒子が、樹脂中にカーボンブラックを練り込んだ樹脂ビーズからなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記カーボンブラックの平均粒子径が10〜500nmである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、及び多価アルコールから選択される多官能化合物の(メタ)アルリレートのオリゴマーまたはプレポリマーからなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記インキ組成物の粘度が500〜5,000mPa・sである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法により得られる視認性向上シートであって、
所定間隔で並列した光透過部と、前記光透過部の間に並列して設けられた、略矩形断面を有する光吸収部と、を備え
前記光吸収部の少なくとも1つに、微細な気泡からなる空隙が含まれてなることを特徴とする、視認性向上シート。
【請求項13】
前記光吸収部の少なくとも1つに、1〜5個の微細な気泡からなる空隙が含まれてなる、請求項12に記載の視認性向上シート。
【請求項14】
前記光吸収部の全体積に対して、前記空隙が1〜30体積%含まれてなる、請求項12または13に記載の視認性向上シート。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の視認性向上シートを備えた表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−14163(P2012−14163A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119299(P2011−119299)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】