説明

視野角向上フィルム及び液晶表示装置

【課題】 色調変化を抑制した視野角改善効果と正面輝度低下の抑制を高度なレベルで両
立させた、液晶表示装置の液晶層より観察者側に設置される視野角向上フィルムを提供す
ること。
【解決手段】 少なくとも二種の非相溶性の樹脂からなる混合物を溶融押し出し成型して
なる光拡散フィルムにおいて、明細書中で記載した方法で測定される主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I0)と出射角60度における透過度(I60)の割合(I60/I0×100)が0.06〜1.0%である。ことを特徴とする視野角向上フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見る角度による画質の自然さの低下と正面輝度低下の抑制を高度なレベルで両立させた、液晶表示装置の液晶層より観察者側に設置される視野角向上フィルム及び該視野角向上フィルムを用いた画質の自然さの低下抑制等の視野角改善効果と正面輝度低下の抑制を高度なレベルで両立させた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を活かしてフラットパネルディスプ
レイとして多用され、その用途は携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピ
ュータ、テレビなどの情報用表示デバイスとして年々拡大している。
【0003】
しかしながら、液晶表示装置は、CRTに比べて視野角が狭いという問題がある。
視野角とは、液晶表示装置の画面を観察する角度を変化させた場合に、画面の垂線に対
する角度を大きくして行く、すなわちより斜めの方向になるに従い正面より観察した場合
よりも画面の画像の画質が低下する現象を指している。該画質としては、カラー画像の色
合い、画像のコントラスト、白表示画像の輝度及び黒表示画像の光の漏れによる白ボケ、ガンマ曲線の歪みによる高角度での観察における画質の不自然さ等の現象が上げられる。該画質の低下の中で、観察方向による自然さの変化は特に重要である。
【0004】
上記自然さの変化は、例えば、白黒表示の画像を、角度を変えて観察した場合に、正面観察ではグラデーションがある画像が斜めから観察すると明るい部分の諧調が失われる現象の諧調変化の度合いで判定される。以下、該階調変化の度合いをガンマシフト度と、また、該ガンマシフトを抑制する効果をガンマシフト改善効果と称する。また、視野角改善効果と称することもある。
【0005】
上記の視野角改善効果を発現する方法として、液晶表示装置の液晶セルの視認側に光拡
散フィルムを設置する方法が知られている。該方法は液晶層内部の液晶配向や電極構造等
の変更なしで改善効果がだせるので、液晶表示装置の製造工程においては工程の増加等が
なく簡便ではあり有用である。しかし、画面より出光する光が拡散フィルムを通過する事
により透過する光が散乱されるために正面から見た場合の画面の明るさ、すなわち輝度が
低下して画像が黒っぽくなるという課題を有する。以下、正面輝度低下と称する。即ち、
視野角改善効果と正面輝度低下の抑制は二律背反事象となり両立が困難である。そのため
に、正面輝度低下をできるだけ小さくした形で大きな視野角改善効果が発現できる視野角
向上フィルムが嘱望されている。
【0006】
例えば、特許文献1において、入射光を散乱透過させる機能を有する光拡散性フィルム
を液晶表示画面上に設けることが提案されている。このフィルムは、屈折率の異なる透明
樹脂を海島構造とした組成物を溶融押出してシート状にし、さらに延伸することによって
得られるが、正面輝度低下が大きいことが示唆される。
【0007】
また、特許文献2では、波長により異なる散乱角度分布を有し、かつフィルム面に対し
方位角が90度異なる2方向で拡散光分布が異なる分光異方性散乱フィルムが提案されて
いる。このフィルムは、正面輝度低下が大きいことが示唆される。
【0008】
さらに、特許文献3では、単一の熱可塑性樹脂からなり、内部に微細な多数の空孔を含
有する部分を有する透過光散乱制御フィルムが提案されている。このフィルムは、溶融製
膜したポリカーボネートを延伸処理し、溝状の亀裂による光の散乱を利用したものである
が、ガンマシフト改善効果が非常に小さいことが示唆される。
【0009】
さらに、特許文献4では、レンズフィルムを用いた方法が提案されている。これは正面輝度の低下大きいことが示唆される。
【0010】
さらに、特許文献5では、基材フィルムの表面に透光性粒子と透光性樹脂からなる光拡
散層が形成されてなる透過光散乱制御フィルムが提案されているが、ガンマシフト改善効果が十分でないことが示唆される。
【0011】
上記のように、従来の光拡散フィルムにより視野角向上を図る方法においては、ガンマシフト改善効果と正面輝度低下の抑制のいずれか一方の特性を満足したものはあるが、両特性を
ともに高度なレベルで両立できたものは未だ存在しないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7−114013号公報
【特許文献2】特開2004−341309号公報
【特許文献3】特開平10−206836号公報
【特許文献4】特開平09−179113号公報
【特許文献5】特開2003−270409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、ガンマシフトを抑制した視野角改善効果と正面輝度低下の抑制を高度なレベルで両立させた、液晶表示装置の液晶層より観察者側に設置される視野角向上フィルム及び該視野角向上フィルムを用いた視野角改善効果と正面輝度低下の抑制を高度なレベルで両立させた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の組成の樹脂混合物
を溶融成形することにより得られた光拡散フィルムの光学特性を特定の範囲に制御するこ
とにより、二律背反事象であると思われていたガンマシフト改善効果と正面輝度低下の抑制を高度なレベルで両立できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0015】
即ち、本願発明は、少なくとも二種の非相溶性の樹脂からなる混合物を溶融押し出し成型してなる光拡散フィルムにおいて、明細書中で記載した方法で測定される主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I0)と出射角60度における透過度(I60)の割合(I60/I0×100)が0.06〜1.0%である。ことを特徴とする視野角向上フィルム。
【0016】
また、この場合において、非相溶性の樹脂の少なくとも一種がポリオレフィン系樹脂で
あることが好適である。
【0017】
さらにまた、この場合において、非相溶性の樹脂の二種がポリオレフィン系樹脂である
ことが好適である。
【0018】
さらにまた、この場合において、ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂より選ばれてなることが好適である。
【0019】
さらにまた、この場合において、上記視野角向上フィルムの観察者側の表面に、ハード
コート層、反射低減層および防眩層より選ばれた機能性層が少なくとも一層複合されてな
ることが好適である。
【0020】
さらにまた、請求項1〜5のいずれかに記載の視野角向上フィルムを、液晶表示装置の
液晶セルより観測者側に設置してなる液晶表示装置が好適である。
【0021】
さらにまた、視野角向上フィルムの主拡散方向を、液晶表示装置の水平方向に設置して
なる液晶表示装置が好適である。
【0022】
さらにまた、視野角向上フィルムの主拡散方向を、液晶表示装置の垂直方向に設置して
なる液晶表示装置が好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の視野角向上フィルムは、直進透過性と拡散透過性の両方の特徴のある特性を兼
備した配光分布パターンを有し、出射光の角度により出射される光の波長依存性が視野角
改善効果や正面輝度低下抑制に有効に働くように制御されているので、液晶表示装置の液
晶セルの視認側に設置することにより、視野角改善効果と正面輝度低下の抑制という二律
背反事象を高度なレベルで両立させることができ、視野角改善効果と正面輝度低下抑制と
が両立した液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】高拡散性の光拡散フィルムで視野角改善を図った場合の、観察角度による輝 度変化の一例を示す図である。
【図2】本発明の視野角向上フィルムの好ましい配光分布パターンの一例を示す図である。
【図3】TNパネルにおけるガンマシフト改善効果の一例を示す図
【図4】VAパネルにおけるガンマシフト改善効果の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(視野角向上フィルムの基本特性)
本発明の視野角向上フィルムは、少なくとも二種の非相溶性の樹脂からなる混合物を溶融押し出し成型してなる光拡散フィルムにおいて、明細書中で記載した方法で測定される主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I0)と出射角30度における透過度(I60)の割合(I60/I0×100)が0.06〜1.0%であることを特徴とする視野角向上フィルムである。ここで、ディスプレイを見る際、ディスプレイの法線方向に対して±60度以内で観察しているという報告があり、60度以上の視野角は日常的に必要な特性ではないと考え、60度の透過度の割合に注目した。さらに、前述のごとく自然さの低下という現象は斜め方向から観察して時に明るい部分の諧調が失われることにより引き起こされている。そのため、このような画質の低下には人の目に対して分光視感効率が最も高い550nmの波長が重要であると考え、注目した。
本発明者等は、上記の二律背反であると思われていた課題を解決する方法について鋭意検討をして、ガンマシフト改善効果は、配光分布パターンの裾の広がりで評価される拡散性を高めることで発現でき、かつ該拡散性が出射角0度の透過率と出射角60度の透過率の比で評価できることを見出した。
【0026】
前述のごとく、光拡散フィルムで視野角改善効果を発現できることは公知である。実際
に図1に示すごとく、半値幅が57度である高拡散性フィルムを本発明方法で用いた場合
は、斜め方向(高角度)から観察した時の輝度を向上させることができ、いわゆる視野角
向上効果が発現できるが、同時に正面の輝度が大幅に低下する。従って、視野角改善効果
と正面輝度低下とは、二律背反事象となる。
図1の輝度の角度依存性は、以下の方法で測定した。
【0027】
〔輝度の角度依存性の測定方法〕
RISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いて測定を行った。市販のVA型液晶表示装置試を料台上に水平に設置し、このパネルの中央部に131×131mmの大きさで白の画像(Nokia monitor test for windows V 1.0(Nokia 社製)のFarbeモード)を表示し、その白画像の上にスポイトにて水を3滴落とし、さらにその上に光拡散フィルムを置き、パネルとフィルムの間の水を均一に広げて密着させ、CCDカメラとディスプレイ間の距離を垂直状態で1mとして、CCDカメラを液晶表示装置のパネル表面に対して−70°から+70°までの間の赤道上を移動させて以下の条件で輝度を測定し、輝度の角度依存性のプロファイルを求めた。
ブランク測定は視野角向上フィルムを貼り付ける事なしに同様測定を行った。
輝度は上記の白の画像を5×5の25個の部分に分割し、その中心部の3×3の9個の
部分の全ピクセルの輝度を測定してその平均値で表示した。
【0028】
上記の光学特性を満たすのに好ましい配光分布パターンの一例を図2に示す。即ち、直
進透過性と拡散透過性の両方の透過性を兼ね備えた特徴のある特性の配光分布パターンで
ある。
本配光分布パターンは以下の方法で測定して得たものである。
〔配光分布パターンの測定方法〕
自動変角光度計(GP−200:株式会社村上色彩研究所製)を用いて測定を行った。
透過測定モード、光線入射角:0°(試料面に対して上下、左右共に直角になる角度)、
受光角度:−90°〜90°(赤道線面上の角度)、フィルター:ND10使用、光束絞
り:10.5mm(VS−1 3.0)、受光絞り:9.1mm(VS−3 4.0)の
条件で、主拡散方向が水平方向になるように試料台に固定し、透過光の変角光度曲線のピ
ークトップの値がフルスケールに対して約80%の範囲になるようにSENSITIVI
TY及びHIGH VOLTONの設定を調整し、透過光の変角光度曲線を求めた。
【0029】
(裾広がり拡散度比率)
実施例において記載される方法で測定される主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I0)と出射角60度における透過度(I60)の割合(I60/I0×100)が0.06〜1.0%であることが重要である。
該裾広がり拡散度比率は、0.07〜0.9%がより好ましく、0.08〜0.8%が
さらに好ましい。
以下上記特性を裾広がり拡散度比率と称する。
該裾広がり拡散度比率を上記範囲で満たすことにより初めて二律背反事象の上記の両特
性を高度なレベルで両立させるができる。即ち、裾広がり拡散度比率が0.06%未満では正面輝度低下抑制は良好であるが、視野角改善効果が不足するので好ましくない。逆に、裾広がり拡散度比率が1.0%を超えた場合は、正面輝度低下が大きくなるので好ましくない。
前記裾広がり拡散度比率は、0.07〜0.9%がより好ましく、0.08〜0.8%が
さらに好ましい。
例えば、前述の特許文献に記載された図より、主拡散方向の本裾広がり拡散度比率を求めると、特許文献1の図3、特許文献2の図3の(b)及び,特許文献4の図8より裾広がり拡散度比率はそれぞれ20%、13%、5%となり、上記の好ましい裾広がり拡散度比率はこれらの特許文献で開示されているフィルムに比べて著しく低い範囲にあると言える。
逆に、特許文献3の図13および特許文献5の表2より、裾広がり拡散度比率は0%以上、0.02%以下となり、上記の好ましい裾広がり拡散度比率はこれらの特許文献で開示されているフィルムに比べて高い範囲にある。
【0030】
該異方性度の高いフィルムの場合は、拡散度が高い方向である主拡散方向の視野角改善
効果が大きくなる。従って、視野角の改善を必要とする方向により、視野角向上フィルム
の設置方向を変える必要がある。即ち、液晶表示装置の左右方向の視野角向上を図る時は
、主拡散方向がパネルの左右方向に平行になるように、逆に、上下方向の視野角向上を図
る時は、主拡散方向が上下方向に平行になるように設置するのが好ましい。
該対応により、必要な方向のみの視野角改善効果を発現させることが可能であるという
メリットもある。
【0031】
(好ましい正面輝度低下の範囲)
本発明の正面輝度低下の度合いは限定されないが、バックライト装置の輝度向上等の液
晶表示装置全体のシステムの構成を変えることなく正面輝度低下の許容範囲で視野角改善
効果を図れる点よりして、視野角向上フィルムを設置しない場合の輝度を100%とした
時の視野角向上フィルムを設置した時の輝度の低下率を%で表示した輝度の低下率(以下
、該正面輝度低下率を含めて正面輝度低下の語句を統一する)が実施例において記載するTN方式のパネルでは20%以下である事が好ましい。18%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。また、実施例において記載するVA方式のパネルでは15%以下である事が好ましい。13%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
【0032】
(好ましいガンマシフト改善効果の範囲)
本発明においては、ガンマシフト改善効果は、実施例において記載する方法で評価した。まず、市販の液晶表示装置のパネルの入力値を0から255まで5階調ずつ変化させ、CCDカメラを該画像の赤道上の60°の位置に固定し、画像を撮影し、その画像の中心50ピクセル角の平均値を求め、各階調の輝度を255の出力値で規格化し、それらを入力値に対してプロットし、ガンマ曲線を求める。正面から測定したガンマ曲線に対してTN方式のパネルとVA方式のパネルでは歪み方が異なり、TN方式では入力値が200から255の範囲で、VA方式では125から230の範囲で歪みが最も大きくなるため、それぞれの傾きを求め、それらをガンマシフト改善効果と称する。このとき用いた液晶表示装置はTN方式のものはFlexScanS1901−B(ナナオ社製)で、VA方式のものはFlexScanS1921(ナナオ社製)である。
それぞれのパネルの法線方向(正面)で測定したガンマ曲線が60°で測定したのガンマ曲線の傾きに近いほどガンマシフト改善効果が大きいと言える。
該ガンマシフト改善効果はTN方式のパネルの場合は2.45〜2.85が好ましく、2.50〜2.80がより好ましい。また、VA方式のパネルでは1.05〜1.20が好ましく、1.10〜1.15がさらに好ましい。TN方式の場合は2.45を、VA方式の場合は1.10未満の場合はガンマシフト改善効果が小さく、明るい部分の諧調が失われ、不自然な画像になるので好ましくない。逆に、TN方式の場合は2.85以上、VA方式の場合は1.20以上の場合はガンマシフト改善効果は十分であるが、正面輝度の低下率が大きくなるため、好ましくない。
【0033】
(視野角向上フィルムの構成)
本発明の光拡散フィルムは、少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物を溶融
押し出し成型することによって得られることができる。少なくとも二種の非相溶性の熱可
塑性樹脂の混合物の存在形態は、上述の光学特性を満たせば特に限定されず、連続相及び
分散相としてそれぞれの樹脂が独立して存在するいわゆる海/島構造であってもよいし、
両樹脂が共連続相を形成した構造であってもよい。両樹脂の界面における光の屈折や散乱
により上述の特性を制御することができる。
【0034】
使用する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブ
テン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂及びポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィ
ン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
上記の少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂は、それぞれの樹脂を製膜工程で配合
してもよいし、予め混練法等で事前に配合した形で用いてもよい。
【0035】
本発明においては、三種以上の熱可塑性樹脂を配合してもよいし、それぞれの樹脂の馴
染み性向上のための相溶化剤や分散径調整剤等の添加剤を併用しても構わない。また、酸
化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤や帯電防止剤等の添加剤を配合してもよい。また、上
記の光学特性を阻害しない範囲であれば、無機粒子やポリマービーズ等の微粒子を添加し
てもよい。
【0036】
これらの熱可塑性樹脂より非相溶性(互いに溶け合わない)の樹脂の少なくとも二種類
を選択すればよい。上記の少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂の配合割合は、それ
ぞれ質量比で5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜90/10がより
好ましく、20/80〜80/20の割合が更に好ましいと言えるが、樹脂成分の種類及
び後述の層構成、光拡散層の厚み及び製造方法等により大きく変化する。
なお、二種の非相溶性の熱可塑性樹脂の配合割合が多い方が連続相となる傾向がある。
特にメルトフローレートが近い場合、比率により海島構造の成分が逆転することも考慮に
入れる必要がある。
【0037】
上記樹脂は、一般に市販されている汎用性の高い樹脂より選択すれば良いが、より安定
した生産ができる等の対応のために特注品を使用しても良い。
ポリエステル系樹脂は、上記光学特性が達成し易く、かつ光学特性以外の機械的特性や
熱的特性に優れている点より、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートの単一重合体及び/または共
重合体の使用が好ましい。また、経済的にも優位である。
ポリエステルと組み合わせる樹脂としては後述するポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、フッ素系樹脂も、上記特性を満たせば限定されないが、上記光学特性が達成し易
く、かつ経済的にも優位である点より、フッ化ビニリデン系樹脂及びパーフルオロエチレ
ン等のフッ素含有モノマーとエチレンやプロピレン等のオレフィン系モノマーとの共重合
体の使用が好ましい。
該フッ素樹脂は、耐光性に優れており、例えば、ポリオレフィン系樹脂と組み合わせる
ことにより、耐光性の優れた異方性光拡散フィルムを得ることができる。
フッ素系樹脂と組み合わせる樹脂としては後述するポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0038】
前述の特性を安定して発現させることができる点より、少なくとも1種がポリオレフィ
ン系樹脂よりなることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポチペ
ンテン、ポリヘキセン、ポリメチルペンテン等やこれらの共重合体、環状ポリオレフィン
等が挙げられる。
【0039】
耐光性や経済性の点より二種類ともにポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい
。二種類ともにポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、その組み合わせは特に限定され
ないが、二種類のポリオレフィン系樹脂の屈折率差を0.003〜0.07の範囲にする
のが好ましい。0.005〜0.06の範囲がより好ましく、0.01〜0.05がさら
に好ましい。この屈折率差を範囲にすることで、前述した光学特性の視野角向上をより安
定して得ることができる。例えば、屈折率差が0.07を超えた場合は、裾広がり拡散度比率が大きくなり、正面輝度低下率が大きくなるため、上記特性を満たすことができなくなる。
即ち、屈折率差が大きいほど、二種の非相溶性の熱可塑性樹脂の界面での角度変化が大
きくなり、拡散には有利に働くが、一方界面での反射は指数関数的に増加するためと考え
られる。
従って、上記範囲において、前述した種々の光学特性を同時に満足することができ易く
なる。
【0040】
環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネンやテトラシクロドデセン等
の環状のポリオレフィン構造を有したものが挙げられる。例えば、(1)ノルボルネン系
モノマーの開環(共)重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加
のごときポリマー変性を行なった後に、水素添加した樹脂、(2)ノルボルネン系モノマ
ーを付加型重合させた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィン
などのオレフィン系モノマーと付加型共重合させた樹脂などを挙げることができる。重合
方法及び水素添加方法は、常法により行なうことができる。
【0041】
これらのものはガラス転移温度を高くすることができ、ダイ内でのシェアやドラフトに
より細くなった島成分が冷却中に速やかに固化され、安定した特性を出しやすくなると考
えられる。
ガラス転移温度は好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上、特に好ま
しくは120℃以上である。上限はモノマー種により自ずと決まるが(環状モノマー10
0%のTg)、好ましくは230℃以下さらに好ましくは200℃以下、特に好ましくは
190℃以下である。上限を超えると溶融押し出し時に高温が必要となり、着色すること
があったり、未溶解物が発生することがある。なお値はISO11357−1,−2,−
3に準拠して10℃/minの昇温速度で測定した値である。
【0042】
環状ポリオレフィン系樹脂の環状成分の含有量としては、好ましくは70−90質量%
、さらに好ましくは73−85質量%である。特にノルボルネン系の場合はこの範囲が好
ましい。 特にエチレンを共重合させている環状ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂との親和性が高く特性を達成するためには好ましい。
エチレンの含有量としては好ましくは30−10質量%、さらに好ましくは27−15
質量%である。
【0043】
ポリエチレン系樹脂としては、単一重合体であってもよいし、共重合体であってもよい
。共重合体の場合は50モル%以上がエチレン成分であるのが好ましい。該ポリエチレン
樹脂の密度や重合方法等も限定されないが、密度が0.909以下の共重合体の使用が好
ましい。例えば、オクテンとの共重合体が挙げられる。重合方法はメタロセン触媒法及び
非メタロセン触媒法のいずれでも構わない。
特に、高拡散性が安定に付与できる点で、エチレンとオクテンのブロック共重合体の使
用が好ましい。例えば、該樹脂としては、ダウケミカル社製のINFUSE(TM)が挙
げられる。該樹脂は、ブロック構造のために、結晶性の部分を有するので、低密度であり
ながら高融点であるという特徴があり、得られる視野角向上フィルムの耐熱性等を向上さ
せることができるので好ましい。
【0044】
ポリプロピレン系樹脂としては、単一重合体であってもよいし、共重合体であってもよ
い。共重合体の場合は、50モル%以上がプロピレン成分であるのが好ましい。該樹脂の
製造方法、分子量等は、特に限定されないが、耐熱性等の点から結晶性の高いものが好ま
しい。具体的には、結晶性は、示差走査熱量計(DSC)による融解熱で判断され、融解
熱が65J/g以上のものが好ましい。
【0045】
エチレン及び/又はブテンが含まれたポリオレフィン系樹脂としては、ホモポリエチレ
ン樹脂、ホモポリブテン樹脂、及びこれらの樹脂の他のオレフィン系モノマーとの共重合
体、アクリル酸やメタクリル酸及びこれらのエステル誘導体との共重合体等が挙げられる
。他のオレフィン系モノマーとの共重合体の場合は、ランダム、ブロック及びグラフト共
重合体のいずれでもよい。また、EPラバー等の分散体でも構わない。該樹脂の製造方法
や分子量等も特に限定されない。例えば、上記したポリエチレン系樹脂やエチレンとブテ
ンの共重合体の使用が好ましい。
【0046】
ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂は、ポリマーの結晶/非晶構造
がナノオーダーで制御され、該結晶がナノオーダーで網目構造を有する熱可塑性のポリオ
レフィン系エラストマーであり、例えば、三井化学社製のノティオ(商標登録)が挙げら
れる。従来のポリオレフィン系エラストマー樹脂は結晶サイズがミクロンオーダーである
のに対して、ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂は、結晶サイズがナ
ノオーダーで制御されているという特徴を有する。このため、従来のポリオレフィン系エ
ラストマー樹脂に比べて、透明性、耐熱性、柔軟性、ゴム弾性などに優れている場合が多
い。従って、該ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂を配合することに
よって、得られるフィルムの外観を向上できる場合がある。
【0047】
上記の少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、上記の光学
特性を満たせば特に限定されない。それぞれの熱可塑性樹脂は、230℃で測定したメル
トフローレートが0.1〜100、好ましくは0.2〜50の範囲で適宜選択される。
【0048】
上記樹脂のメルトフローレートは、樹脂の組成、組成比、どちらの樹脂を海にするか及
び所望する光学特性等を考慮して適宜選択される。
その指針は組成割合の方が多くて、かつメルトフローレートが低い方が海になる。同量
の場合は、メルトフローレートが高い方が海になり易い。組成割合の高い方のメルトフロ
ーレートが高い場合は、単純な海/島構造ではなく、例えば共連続相といった構造が形成される場合もある。
【0049】
二種の樹脂が共にポリオレフィン系樹脂の場合は、環状ポリオレフィン系樹脂とポリエ
チレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂との組み合わせや、該三種の組み合わせが前述の特
性のフィルムが得られ易い点や経済性の点で好ましい。
【0050】
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂との組み合わ
せの場合は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を海相として、かつ該海相のポ
リエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートを島相の環状ポリオレフ
ィン系樹脂のメルトフローレートよりも高くするが好ましい。
【0051】
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂の組み合わせ
の場合は、全樹脂量中に環状ポリオレフィン系樹脂が10〜60質量%配合されているの
が好ましく、さらに好ましくは10〜50質量%である。
例えば、10質量%未満の場合、裾広がり拡散度比率が小さくなり、ガンマシフト改善効果が小さくなり、逆に、60質量%を超えると、裾広がり拡散度比率が大きくなり、正面輝度低下が大きくなり、上記特性を満たすことができなくなる。
上記範囲が、後述のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を海相とする好ましい
実施態様の実現に対して好ましい。
上記構成と逆の構成である環状ポリオレフィン系樹脂を海相とした場合は、ダイス内で
のシェア、海相の柔軟性や流動性が関係して、所望した光学特性、特に、異方性度の高い
視野角向上フィルムが得にくい。
【0052】
上記実施態様により、製膜装置を変えた場合においても、所望した光学特性を有する光
拡散フィルムが安定して得ることができるという効果もでる。この理由は定かでないが、
製膜装置を変えた場合に発生する押し出し条件の差異やダイス形状の相違によりシェア等
の変化があっても、海相の樹脂を島相樹脂より柔らかくして、かつその流動性を高めるこ
とにより、その影響が緩和されるためと推察している。
【0053】
二種共にポリオレフィン系樹脂よりなる場合の島相のサイズは特に限定されないが、レ
ーザ散乱法で求められる短径の平均サイズが0.1〜2μmが好ましい。0.1μm未満
では拡散度が不足するので好ましくない。逆に、2μmと超えた場合は、裾広がり拡散の度合
いが増加して、全光線透過率が低下するので好ましくない。
【0054】
(視野角向上フィルムの製造方法)
本発明の視野角向上フィルムの製造方法も前述の光学特性を満たせば特に限定されない
が、経済性の点で溶融押し出し成型により製膜する方法が好ましい。
本発明においては、光拡散性を付与するために、非溶融性微粒子を含有させる必要がな
いので、溶融押し出し成型法で実施しても、製膜工程における溶融樹脂の濾過フィルタの
目詰まりが低減でき、生産性が優れるとともに得られるフィルムの清澄度も高いという特
長を有する。
【0055】
上記溶融押し出し成型法による製膜方法としては、特に制限されず、例えば、Tダイ法
及びインフレーション法のいずれでもよい。また、未延伸のままのフィルムでもよく、延
伸処理を行ってもよい。
【0056】
上記溶融押し出し成型法は、一般に、押し出し機で溶融した樹脂をダイからシート状に
押し出してし、該シートを冷却ロールに密着させ冷却固化させて製膜される。冷却ロール
への密着は、一般に広く用いられている押し圧ロールで押さえ付けて行っても良いが、異
方性を付与するという点においては、上記の冷却ロールへの密着時に、該密着部の入り口
部分に液溜りゾーン(バンクと称されることもある)が形成されないことが好ましい。該
液溜りゾーンの形成は、冷却ロールへの密着時に圧接された場合、即ち、強い圧力で押さ
えられた時に発生するので、該密着時の密着圧力を低くするのが好ましい。例えば、一般
に広く用いられている押し圧ロールで圧接して密着させるという方法は避けた方がよい。
弱い圧力で密着させる方法であれば限定されないが、例えば、押し出し機で溶融した樹
脂をダイからシート状に押し出して、該シートをガス圧による押さえ方法及び/又は吸引
法及び/又は静電気密着法で密着させ冷却固化させて製膜されてなることが好ましい。該
方法により、異方性を有した視野角向上フィルムを安定して得ることができる。
【0057】
上記のガス圧による押さえ方法及び/又は吸引法及び/又は静電気密着法で密着させ冷
却固化させる方法は限定されない。例えば、ガス圧による押さえ方法としては、例えば、
空気等のガス圧で押さえ付ける、いわゆるエアーナイフ法等の方法、減圧ノズルで吸引し
て密着させるバキュームチャンバー法、静電気力で密着させる静電気密着法等が挙げられ
る。該方法は単独で用いてもよいし、複数の方法を併用しても良い。得られるフィルムの
厚み精度を高めることができる点で、後者で実施するのが好ましい実施態様である。
【0058】
本発明の視野角向上フィルムは、無延伸法及び延伸法のいずれで製造しても良い。例え
ば、光拡散層にポリエステル系樹脂を用いた場合は、一軸延伸をするのが好ましい。延伸
倍率は2倍以上が好ましい。上限は限定されないが、10倍未満が好ましい。該対応によ
り、島相が延伸方向に引き伸ばされ細長い構造になり、該島相の配向方向と直行した方向
の光拡散性が著しく向上し、異方性で、かつ高拡散性が確保できる。
【0059】
無延伸法で製造する場合に、溶融押し出しされたシートを冷却個化する前に伸長する方
法、即ち、ドラフト率を高める方法で製造しても良い。
【0060】
また、本発明の視野角向上フィルムは単層であってもよいし、2層以上の多層構成であ
っても構わない。多層構成の場合は、少なくとも一層が上記の構成よりなる光拡散フィル
ムからなる層であれば、他の層は、光拡散性を有しない単なる透明層であってもよい。ま
た、全層が光拡散層の構成であってもよい。
上記多層構成の場合は、多層共押出し法で製造してもよいし、押出しラミネート法やド
ライラミネート法で実施してもよい。
【0061】
上記の少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物は、それぞれの熱可塑性樹脂
を製膜工程の押出し機などで配合してもよいし、予め混練法等で事前に混合物とした形で
用いてもよい。
【0062】
本発明の視野角向上フィルムの厚みは10〜500μmが好ましく、20〜500μm
がより好ましく、20〜200μmがさらに好ましいと言えるが、光拡散層の樹脂成分の
種類、配合比、層構成及び製造方法等により大きく変化する。
なお、厚みを調整する場合、ドラフト比、押し出し流量、リップ幅等の変更により海島
構造が大きく変化した場合には、上記の傾向が逆転したり極端に大きくなったり
することもある。
【0063】
(液晶表示装置)
本発明が適用できる液晶表示装置は、バックライト光源と液晶セルと、液層セルの視認側に配した偏光子とを少なくとも有する液晶表示装置であれば限定されない。例えば、T
N、VA、OCB、IPS及びECBモードの液晶表示装置が挙げられる。
【0064】
(ハードコート層等の機能性層の複合使用)
本発明の液晶表示装置では、視野角向上フィルムの観察者側の表面に、ハードコート層
層、反射低減層および防眩層より選ばれた機能性層が少なくとも一層複合されてなること
が好ましい。上記機能層はそれぞれ単独の構成でも良いし、複数の機能を複合して用いて
も良い。
ハードコート層の複合により視野角向上フィルム表面の耐傷付き性が向上する。また、
反射低減層及び/または防眩層の複合により、液晶表示装置を外光が映り込む環境で使用
しても、外光の映り込みが低減され、画像の視認性が向上する。また、明るい環境で使用
しても、視野角向上効果の低減が見られなくなる。反射低減層や防眩層は、その表面が反
射防止機能を持てばよく、例えば、アンチグレアータイプ、アンチリフレクションタイプ
及びその両機能を併有したタイプ等が使用できる。特に、後二者の使用が好ましい。
上記機能層の複合は、視野角向上フィルムの表面に直接積層して複合しても良いし、上
記機能層を有する、TACやPET等のプラスチックフィルムと複合して用いても良い。
後者の方が広く市場に流通している製品を使用して実施できるので好ましい場合がある。
後者の機能性層を有したフィルムの複合方法は、粘着剤あるいは接着剤で固定するのが好
ましいが、単に重ね合わせて治具で固定しても良い。
接着剤や粘着剤は視野角向上フィルムと機能性層を有したフィルムとが固定できれば限
定されないが、光学用の製品を用いるのが好ましい。
【0065】
(液晶表示装置への設置方法)
本発明においては、視野角向上フィルムや上記の機能性層複合体の液晶表示装置への設
置方法としては、例えば反射損失の少ない接着剤や粘着剤等によって液晶セルの視認側に
配した偏光子や偏光板の視認側に貼着することが好ましい。
接着剤や粘着剤は視野角向上フィルムと対象物とが固定できれば限定されないが、光学
用の製品を用いるのが好ましい。
【0066】
本発明における視野角向上フィルムは、液晶セルの視認側に配した偏光子の視認側に積層して視野角向上フィルムが視認側になるように液晶表示装置のパネルに組み込んでも良い。
【0067】
偏光子と積層して用いる場合は、例えば、PVAなどにヨウ素を染着させた偏光子に直接積層しても良いし、偏光子保護フィルムを介して積層して用いても良い。
【0068】
上記の偏光子や偏光子と偏光子保護フィルムを貼り合せた構成のものと積層して液晶表示装置に組み込む場合は、液晶表示装置のモードの違いを配慮して対応するのが好ましい。
【0069】
また、本発明においては、上記視野角向上フィルムの片面に自己粘着層を積層し、液晶表示装置の表示画面に着脱自在の形で貼着して用いても良い。
【0070】
(視野角向上フィルムの貼り付け方向)
本発明の視野角向上フィルムは、前記の異方性度を高めることにより液晶表示装置の視
野角改善効果が発現される方向を変えることができる。
例えば、TVにおいては水平方向の視野角改善効果が求められるが、パソコンや各種装
置用のモニターやデジタルサイネージ用の表示装置においては、垂直方向の視野角改善効
果も求められることもある。
該要求に答えるには、視野角向上フィルムの設置方向を変更することで達成することが
できる。
すなわち、視野角向上フィルムの主拡散方向の視野角が改善されるので、例えば、水平
方向の視野角改善を図りたい時は、視野角向上フィルムの主拡散方向が液晶表示装置の略
横方向に設置するのが好ましい。一方、垂直方向の視野角改善を図りたい時は、視野角向
上フィルムの主拡散方向が液晶表示装置の略縦方向に設置するのが好ましい。
なお、上記設置方向は液晶表示装置を縦方向に立てて設置した場合の方向で表示してい
る。従って、水平方向は左右方向と、また、垂直方向は上下方向と表現することもできる

【実施例】
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によっ
て制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施す
ることも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例
で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」とあるのは断りの
ない限り「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
なお、本実施例においては、本発明の特性を満たさない比較例のフィルムも便宜上、視野
角向上フィルムと称する。
【0072】
3.裾広がり拡散度比率(主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度
(I0)と出射角60度における透過度(I60)の割合(I60/I0×100))
変角分光測色システムGCMS−4型(GSP−2型:株式会社村上色彩研究所製、変角分光光度計GPS−2型)を用いて測定を行った。透過測定モード、光線入射角:0°(フィルム法線方向)、受光角度:0°〜80°(フィルム法線からの極角。方位角は水平)、光源:D65、視野:2°の条件で、試料の主拡散方向が水平方向になるように試料台に固定(試料台の軸と主拡散方向の軸とのずれは20度程度までは許容される)し、透過光の変角分光光度曲線を求めた。あおり角は0°とした。
受光角0°から10°までは、1°ピッチで、10°から80°までは5°ピッチで測定した。
測定に先立ち株式会社村上色彩研究所製のGCMS−4用の透過拡散標準板(オパールガラス)を用いて装置の校正を行い、該透過拡散標準板の受光角度0度における透過光強度を基準(1.000)として、相対透過度を測定した。なお、前記透過拡散標準板は、積分球式分光計測で空気層を1.000とした時の440nmの透過率が0.3069であった。
本測定は波長550nmの出射角0°及び60°の透過度を測定して、出射角0度における透過度(I0)と出射角60度における透過度(I60)の割合(I60/I0×100)を求めて%表示した。
試料の両面で表面粗度が異なる場合は、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する
向きで試料を固定して測定する。本発明においては、表面粗度が低い方から入光する向き
で固定して測定した。
なお、主拡散方向とは最大の光拡散性が得られるフィルム面内の方向であり、レーザー
ポインター等を用いて簡単に決定することが出来る。
【0073】
6.正面輝度低下
RISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いて測定を行った。TN方式のパネル(FlexScanS1901−B、ナナオ社製)又はVA方式のパネル(FlexScanS1921、ナナオ社製)を料台上に水平に設置し、このパネルの中央部に131×131mmの大きさで白の画像(Nokia monitor test for windows V 1.0(Nokia 社製)のFarbeモード)を表示し、その白画像の上にスポイトにて水を3滴落とし、さらにその上に試料フィルムを置き、パネルとフィルムの間の水を均一に広げて密着させ、CCDカメラはディスプレイ表面から垂直方向1mの位置に固定し、以下の条件で輝度測定をした。求められた輝度をIsとした。
一方、試料フィルムを密着させないパネル自体の輝度を同様な方法で輝度測定をした。
求められた輝度をIbとし、下記(1)式で正面輝度低下を算出し、正面輝度低下を%で
表示した。
輝度の低下=(Ib−Is/Ib)×100(%) (1)
輝度は上記の白の画像を5×5の25個の部分に分割し、その中心部の3×3の9個の
部分の全ピクセルの輝度を測定してその平均値で表示した。
また、試料フィルムは主拡散方向がパネルの横方向と略平行になるように設置して測定
した。
【0074】
7.ガンマシフト改善効果
RISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いて測定を行った。TN方式のパネル(FlexScanS1901−B、ナナオ社製)又はVA方式のパネル(FlexScanS1921、ナナオ社製)を水平に設置し、まず、市販の液晶表示装置のパネルの入力値を0から255まで5階調ずつ変化させ、CCDカメラを該画像の赤道上の60°の位置に固定し、画像を撮影し、その画像の中心50ピクセル角の平均値を求め、各階調の輝度を255の出力値で規格化し、それらを入力値に対してプロットし、ガンマ曲線を求める。
正面から測定したガンマ曲線(フィルム有り、なしで同じ)に対して、TN方式のパネルとVA方式のパネルでは歪み方が異なり、TN方式では入力値が200から255の範囲で、VA方式では125から230の範囲で歪みが最も大きくなるため、それぞれの傾きを求め、その値を表示した。このとき用いた液晶表示装置はTN方式のものはFlexScanS1901−B(ナナオ社製)で、VA方式のものはFlexScanS1921(ナナオ社製)である。
また、試料フィルムは主拡散方向がパネルの横方向と略平行になるように設置して測定
した。
【0075】
(実施例1)
環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Ad
vanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))20
質量部とポリプロピレン樹脂2011D(住友化学社製、住友ノーブレン メルトフロー
レート:2.5(230℃))80質量部とを、池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて
樹脂温度250℃にて溶融混合してTダイで押出し、鏡面の冷却ロールで冷却することに
より厚み90μmの視野角向上フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの
密着は静電気密着法で行った。冷却ロールの表面温度は20℃に設定した。フィルムは3
m/分の速度で巻き取った。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本実施例で得られた視野角向上フィルムは、正面輝度低下がTNのパネルでは20%以内に、VAのパネルでは15%以内抑制され、かつ顕著なガンマシフト改善効果が発現しており、高品質であった。
【0076】
(実施例2)
2台の溶融押し出し機を用い、基層として第1の押し出し機にて、環状ポリオレフィン
系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced
Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチ
レンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM
) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))65質量部を事前に混
練をして供給し、表層として第2の押し出し機にて、ポリプロピレン系の接着性樹脂(ア
ドマー(TM)QF551 三井化学社製 メルトフローレート:5.7(190℃))
を供給して、Tダイ方式にて溶融共押出し後、梨地の冷却ロールで冷却することにより厚
み56μmの視野角向上フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着は
バキュームチャンバーを用いて行った。第1押し出し機および第2押し出し機共に一軸方
式であり、出口温度はそれぞれ230及び250℃とした。また、冷却ロールの表面温度
は50℃に設定した。フィルムは21m/分の速度で巻き取った。層厚み構成は8/40
/8(μm)であった。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本実施例で得られた視野角向上フィルムは、実施例1で得られた視野角向上フィルムよ
りもさらに正面輝度低下が少なく高品質であった。
【0077】
(実施例3)
実施例2の方法において、押し出し機の出口温度を両方共に230℃に変更する以外は、実施例2と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0078】
(実施例4)
実施例2の方法において、第1の押し出し機に供給する樹脂組成を環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))10質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))90質量部に、フィルム厚み及び層厚み構成を162μm及び36/90/36(μm)に変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0079】
(実施例5)
実施例2の方法において、第1の押し出し機に供給する樹脂組成を環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))20質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))80質量部に、フィルム厚み及び層厚み構成を162μm及び36/90/36(μm)に変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0080】
(実施例6)
実施例2の方法において、第1の押し出し機に供給する樹脂組成を環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))90質量部に、フィルム厚み及び層厚み構成を56μ m及び8/40/8(μm)に変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルム を得た。
【0081】
(実施例7)
実施例2の方法において、第1の押し出し機に供給する樹脂組成を環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))10質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))90質量部に、フィルム厚み及び層厚み構成を108μm及び24/60/24(μm)に変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0082】
(実施例8)
実施例2の方法において、第1の押し出し機に供給する樹脂組成を環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))20質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))80質量部に、フィルム厚み及び層厚み構成を56μm及び8/40/8(μm)に変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0083】
(実施例9)
実施例2の方法において、第1の押し出し機に供給する樹脂組成を環状ポリオレフィン
系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced
Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチ
レンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM
) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))65質量部に、厚みを
84μm、層厚み構成を12/60/12(μm)に変更する以外は、実施例2と同様
の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0084】
(実施例10)
実施例2の方法において、第1の押し出し機に供給する樹脂組成を環状ポリオレフィン
系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced
Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))20質量部とエチ
レンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM
) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))80質量部に、厚みを
84μm、層厚み構成を24/60/24(μm)に変更する以外は、実施例2と同様
の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0085】
(実施例11)
実施例1の方法において、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S
−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:
2.0(230℃))とポリプロピレン樹脂2011D(住友化学社製、住友ノーブレン
メルトフローレート:2.5(230℃))の配合割合をそれぞれ35質量部及び65
質量部に、フィルム厚みを90μmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向
上フィルムを得た。
【0086】
(実施例12)
実施例1の方法において、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S
−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:
2.0(230℃))とポリプロピレン樹脂2011D(住友化学社製、住友ノーブレン
メルトフローレート:2.5(230℃))の配合割合をそれぞれ10質量部及び90
質量部に、フィルム厚みを150μmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0087】
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)50質量
部、エチレン・ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー A0585X)30質量部及
びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ P
N3560)20質量部を予め2軸の押し出し機で溶融押し出しすることにより得た混練
されたポリオレフィン系樹脂組成物を、60mmφ単軸押出機(L/D;22)内で樹脂
温度240℃にて溶融混合してTダイで押出した後、20℃のキャスティングロールで冷
却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速
差を利用して延伸温度118℃で4.5倍に延伸し、更に横方向に145℃で8.2倍に
延伸をし、158度で熱セットをした。引き続きその片面にコロナ処理をして厚み25μ
mの光拡散フィルムを得た。
【0088】
(比較例2)
実施例1の方法において、樹脂組成を環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)5013S−04 Topas AdvancedPolymers社製 メルトフローレート:8.6(230℃))50質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9100.15 メルトフローレート:2.4(230℃))50質量部に、フィルム厚みを120μmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0089】
(比較例3)
実施例1の方法において、樹脂組成を環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas AdvancedPolymers社製 メルトフローレート:8.6(230℃))35質量部とポリメチルペンテンポリマー(三井化学社製 TPX(TM) DX350 メルトフローレート:110(260℃))65質量部に、フィルム厚みを100μmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0090】
(比較例4)
実施例2の方法で、厚みを175μmに、層厚み構成を25/125/25(μm)に
変更する以外は、実施例5と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0091】
(比較例5)
実施例2の方法において、厚みを126μmに、層厚み構成を28/70/28(μm)に変更する以外は、実施例2と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0092】
(比較例6)
実施例1の方法において、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S
−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:
2.0(230℃))とポリプロピレン樹脂2011D(住友化学社製、住友ノーブレン
メルトフローレート:2.5(230℃))の配合割合をそれぞれ20質量部及び80
質量部に、フィルム厚みを150μmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0093】
(比較例7)
実施例1の方法において、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))とポリプロピレン樹脂2011D(住友化学社製、住友ノーブレン メルトフローレート:2.5(230℃))の配合割合をそれぞれ10質量部及び90質量部に、フィルム厚みを30μmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
【0094】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の視野角向上フィルムは、直進透過性と拡散透過性の両方の特性兼備した配光分
布パターンを有し、かつ出射光の角度により出射される光の波長依存性が視野角改善効果
や正面輝度低下抑制に有効に働くように制御されているので、液晶表示装置の液晶セルの
視認側に設置することにより、視野角改善効果と正面輝度低下の抑制という二律背反事象
を高度なレベルで満足させることができ、ガンマシフト改善効果と正面輝度低下抑制とが両立し
た液晶表示装置を提供することができるので、液晶表示装置の機能向上に極めて有用であ
る。
また、液晶表示装置は、ガンマシフト改善効果と正面輝度低下抑制とが両立しており商品価値が高い。従って、産業界への寄与は大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二種の非相溶性の樹脂からなる混合物を溶融押し出し成型してなる光拡散フ
ィルムにおいて、明細書中で記載した方法で測定される主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I0)と出射角30度における透過度(I60)の割合(I60/I0×100)が0.06〜1.0%である。ことを特徴とする視野角向上フィルム。
【請求項2】
非相溶性の樹脂の少なくとも一種がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求
項1に記載の視野角向上フィルム。
【請求項3】
非相溶性の樹脂の二種がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載
の視野角向上フィルム。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及び環状ポリオレ
フィン系樹脂のいずれかより選ばれてなることを特徴とする請求項2に記載の視野角向上
フィルム。
【請求項5】
上記視野角向上フィルムの観察者側の表面に、ハードコート層、反射低減層および防眩
層より選ばれた機能性層が少なくとも一層複合されてなることを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の視野角向上フィルムを、液晶表示装置の液晶セルより
観測者側に設置してなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
視野角向上フィルムの主拡散方向を、液晶表示装置の水平方向に設置してなることを特
徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
視野角向上フィルムの主拡散方向を、液晶表示装置の垂直方向に設置してなることを特
徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−220662(P2012−220662A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85320(P2011−85320)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】