説明

親水性しみ除去剤

(a)分子当たり少なくとも3個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリイソシアネート、(b)式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは4、6、もしくは8、またはそれらの混合であるが、ただし、aは最高で50%が8である)の少なくとも1つのフルオロケミカル試薬、および(c)少なくとも1個の反応性ツェレウィチノフ水素原子を有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つの親水性の水溶媒和性試薬を接触させ、そしてその後(d)水と接触させることによって製造された少なくとも1つの尿素結合含有アルコキシポリオキシアルキレンフルオロカルバメートの自己乳化性または自己分散性の水性溶液または分散液を含み、前記ポリイソシアネートと前記試薬(b)および(c)の当量が、前記試薬が前記イソシアネート基の55%〜95%と反応し、そして水が残りのイソシアネート基の全てと反応するようなものである組成物であって、耐久性のある親水性およびしみ除去特性をそれで処理された基材に与える組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性およびしみ除去を繊維質材料に与えるための処理剤として有用なフルオロケミカル試剤を含む水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
布および他の繊維質基材はしばしば、撥性、しみ抵抗性、汚れ抵抗性などのような特定の表面特性を与えるために化学処理される。ソフトナー、スティフナー、滑剤、および他の公知の添加剤などの様々な改質添加剤または仕上げ剤もまた、所望の表面特性を有する織物またはカーペットなどの、好適な市販基材を与えるために一般的に用いられる。これらの改質は典型的には、基材の親油性を高め、それによって油しみを受け入れる傾向を顕著に増加させ、そしてかかるしみを洗濯中にとる能力を低下させる。しみ抵抗性は基材の初期しみ付きを抑制するのに役立つが、いったんしみが付くと、基材がしみの除去のための良好なしみ除去特性を有することが重要である。従って、しみ除去特性の低下は望ましくない。
【0003】
それ故、かかる基材は、それらの親油性を低下させ、そして洗濯中のしみ除去を容易にするのを助けるために親水性物質で共処理される必要がある。しみまたは汚れ除去剤と呼ばれる、かかる物質の例には、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、またはフルオロケミカルベースのシステムが挙げられる。米国特許公報(特許文献1)は、(a)少なくとも3個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリイソシアネートを(b)少なくとも1個のHとそれらのそれぞれが少なくとも2個のF原子を含有する少なくとも2個のC原子とを有する1つの官能基を含有する少なくとも1つのフルオロケミカル試薬、(c)少なくとも1個の反応性Hを有する単一の官能基を含有する少なくとも1つの親水性の水溶媒和性試薬、(d)1個の反応性Hを含有する、そしてイソシアネート基と反応すると繊維質基材との停止状態の化学反応性を有する官能性をもたらす少なくとも1つの試薬、そして次に(e)水と反応させ、反応体(b)、(c)および(d)が前記イソシアネート基の55%〜95%と、そして水が残りと反応することによって製造された尿素結合含有アルコキシポリオキシアルキレンフルオロカルバメートを基材に塗布する工程を含む撥油、撥水および防しみ性および汚れ除去性を基材に与える方法を開示している。好ましくは前記フルオロケミカル試薬は、式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは主に6、8および10混合からまたは主に8、10および12混合から選択される)のパーフルオロアルキルエチルアルコール混合物である。
【0004】
ここ数年、これまでに提供されたものより親水性のしみ除去特性に対する要求が増加してきた。高められた湿潤性のために処理された基材のより容易なクリーニングをもたらすので、より大きい親水性を有することが有利である。より高い親水性はまた、防護服および運動服に使用される織物にとって望ましい、吸上げによるより良好な全体水分管理を提供する。この要求は典型的には、より大量の界面活性剤または湿潤剤を使用するように公知の処理組成物を再調合することによって満たされてきた。しかしながら、調合のこの変更は、ホームランドリー洗濯中に、汚れ付着、または織物上への汚れの再沈着を引き起こすことが分かった。このように、大量の界面活性剤または湿潤剤を組成物に加える必要なく、より大きい親水性を与えるしみ除去剤が必要とされている。本発明は、親水性およびしみ除去を処理された基材に与えるためのかかる試剤を提供する。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,509,939号明細書
【特許文献2】米国特許第3,124,605号明細書
【非特許文献1】ツェレウィチノフ(Zerewitinoff)、Berichte 40(1907年)、2023ページ
【非特許文献2】ポール・カラー(Paul Karrer)、有機化学(Organic Chemistry)、英語翻訳版、エルスヴィール(Elsevier)社、1938年、135ページ
【非特許文献3】SRI国際報告書(SRI International Report)(イソシアネート(Isocyanates)No.1D、1983年7月、279ページ)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、耐久性のある親水性および耐久性のあるしみ除去を基材に与えるための改良されたシステムを含む。(a)分子当たり少なくとも3個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリイソシアネート、(b)少なくとも1個の反応性ツェレウィチノフ(Zerewitinoff)水素原子とそれらのそれぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する少なくとも2個の炭素原子とを有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つのフルオロケミカル試薬、および(c)少なくとも1個の反応性ツェレウィチノフ水素原子を有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つの親水性の水溶媒和性試薬を接触させ、そしてその後(d)水と接触させることによって製造された少なくとも1つの尿素結合含有アルコキシポリオキシアルキレンフルオロカルバメートの自己乳化性または自己分散性の水性溶液または分散液を含む組成物を用いる繊維質基材に表面特性を与えるためのシステムにおいて、前記ポリイソシアネートと前記試薬(b)および(c)の当量が、前記試薬が前記イソシアネート基の55%〜95%と反応し、そして水が残りのイソシアネート基の全てと反応するようなものであり、耐久性のある親水性および耐久性のあるしみ除去特性をそれで処理された基材に与えるために式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは4、6、もしくは8、またはそれらの混合であるが、ただし、aは最高で50%が8である)のフルオロケミカル試薬の使用を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明は、基材を上記のような組成物と接触させる工程を含む、耐久性のある親水性および耐久性のあるしみ除去を繊維質基材に与える方法をさらに含む。
【0008】
本発明は、上記のような組成物で処理された基材をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
商標は本明細書では大文字で示される。
【0010】
本発明は、繊維質基材上で使用するための組成物であって、前記組成物で処理された基材に高レベルの耐久性のある親水性およびまた耐久性のあるしみ除去を与える組成物を含む。本発明の組成物は、4、6、もしくは8、またはそれらの混合、主に4および6から選択された炭素原子の数を有するパーフルオロアルキルエチル基を含有する。8個の炭素を含有するパーフルオロアルキルエチル基は好ましくはパーフルオロアルキルエチル混合物の約50%未満である。
【0011】
本発明の組成物は、(1)分子当たり少なくとも3個のイソシアネート(NCO)基を含有する少なくとも1つのポリイソシアネートの(2)少なくとも1個のツェレウィチノフ反応性水素原子と、それらのそれぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する2〜8個の炭素原子とを有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つのフルオロケミカル試薬、および(3)少なくとも1個のツェレウィチノフ反応性水素原子を有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つの親水性の水溶媒和性試薬、そして次に(4)水との反応によって製造される化合物を含む。
【0012】
ツェレウィチノフ反応性水素原子は、(非特許文献1)にツェレウィチノフによって定義されている通りである。(非特許文献1)では、活性水素含有有機化合物[−OH、−COOH、−NHなど]はCH3Mgハロゲン化物と反応してCH4を遊離し、それは、容量分析で測定されて、化合物の活性水素含有率の定量的推定値を与える。第一級アミンは、低温度で反応させられたときに1モル、加熱されたときに通常2モルのCH4を与える[(非特許文献2)]。本発明の目的のためには、第一級アミンはツェレウィチノフらによって定義されたように1個の活性水素を提供すると考えられる。
【0013】
特にフルオロケミカル試薬(2)は式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは4、6、もしくは8、またはそれらの混合であるが、ただし、aは最高で50%が8である)のものである。本発明の組成物の調製でのかかるフルオロケミカル試薬の使用は、主に6〜14個の炭素原子を含有するより長い鎖長のパーフルオロアルキルエチル基を有するフルオロケミカル試薬の使用と比較して、優れた親水性およびしみ除去をそれで処理された基材に与える組成物をもたらすことが分かった。
【0014】
本発明の組成物の製造のための反応は、反応体装入物に化学的に不活性であり、そしてその後に除去され、可動性の、有機溶媒を含まない、かつ、安定な水性分散液としてフルオロケミカル化合物またはその混合物を得るために水で置き換えられる有機溶媒中で実施される。
【0015】
3個以上のイソシアネート基を有する、いかなるポリイソシアネート、またはポリイソシアネートの混合物も、本発明での第1反応体としての使用に好適である。例えば、式:
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、xは1以上であり、好ましくは1〜8の整数である)
で表されるヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーを使用することができる。それらの商業的入手性のために、かかるヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーの混合物が本発明の目的のために好ましい。式:
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、Bは二価の炭化水素基、好ましくは脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族である)
で表される炭化水素ジイソシアネート由来イソシアヌレート三量体もまた本明細書での使用に好適である。例えば、Bはヘキサメチレン(デスモデュール(DESMODUR)N−3300、バイエル・コーポレーション、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Bayer Corporation,Pittsburgh,PA))、トルエンまたはシクロヘキシレン(ポリイソシアネートIPDI付加体(Polyisocyanate IPDI Adduct)T1890/100、ヒュルス(Huels))であることができる。
【0020】
本発明の目的のために有用な他のポリイソシアネートは、3モルのトルエンジイソシアネートを1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)−エタンまたは1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)−プロパンと反応させることによって得られるものである。トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体および3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートのそれは、メチン−トリス−(フェニルイソシアネート)と同様に、本発明の目的のために有用なポリイソシアネートの他の例である。次の構造を有するポリイソシアネートもまた、本発明の目的のために有用である:
【0021】
【化3】

【0022】
多種多様なフルオロケミカル試薬、またはそれらの混合物は、それぞれが上に定義されたような1個または複数の反応性水素原子とそれらのそれぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する2〜約8個の炭素原子とを有する単一の官能基を含有する限りフルオロケミカル成分のための第2反応体として有用である。しかしながら、最終製品のフッ素含有率はフルオロケミカル試薬それ自体のフッ素含有率に、およびその中に組み入れられるフルオロケミカル部分の数にある程度依存するので、フルオロケミカル試薬、またはその混合物が3個以上のフッ素飽和炭素原子を含有することが有利である。好ましいフルオロケミカル試薬(2)は、式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは4、6、もしくは8、またはそれらの混合である)のパーフルオロアルキルエチルアルコールである。好ましくはaは主に4および/または6、またはそれらの混合である。aが8であるとき、好ましくはそれはパーフルオロアルキルエチル混合物の50%以下である。式中aが主に6〜14の範囲である上式のパーフルオロアルキルエチルアルコール混合物であるフルオロケミカル試薬と比較して、より短い鎖長のパーフルオロアルキルエチル基は増加した親水性および耐久性のあるしみ除去をそれで処理された基材に与えることが分かった。
【0023】
多数のおよび様々な親水性の水溶媒和性物質を、本発明の製品の製造における第3反応体として使用することができる。しかしながら、本発明のフルオロケミカル化合物を製造するために、水溶媒和性親水性物質は少なくとも1個のツェレウィチノフ反応性水素原子を有する単一の官能基を分子当たり含有することが不可欠である。生じたフルオロケミカル製品は安定な水性分散液であり、かつ、市販の布仕上げ浴調合物と相溶性である。
【0024】
好ましい実施形態では、親水性の水溶媒和性成分(3)は一般式:
【0025】
【化4】

【0026】
(式中、Rは6個以下の脂肪族または脂環式炭素原子を含有する一価の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ、繰り返しオキシエチレン(EO)およびオキシプロピレン(PO)基の平均数であるが、ただし、mは常に正の整数であるが、nは正の整数またはゼロである(後者の場合にはEOホモポリマーを意味する))
の少なくとも1つの、エチレンオキシド(EO)またはエチレンオキシド/プロピレンオキシド(PO)由来ポリマーである。より好ましくは、親水性の水溶媒和性成分(3)は、約200以上、最も好ましくは350〜2000の平均分子量を有する、商業的に入手可能なメトキシポリエチレングリコール(MPEG)、またはそれらの混合物である。等重量のオキシエチレンおよびオキシプロピレン基を含有する(ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)50−HBシリーズユーコン(Series UCON)流体および潤滑油)そして約1000より大きい平均分子量を有するブトキシポリオキシアルキレンもまた商業的に入手可能であり、本発明のポリフルオロ有機化合物の製造に好適である。最良の性能のためには、本発明の組成物は、yが1であるとき、成分(c)が約550以下の分子量を有するときxが最大で約2であるようなフルオロケミカル成分(b)対水溶媒和性成分(c)のモル比x:yを有する。このモル比は、yが1であるとき、成分(c)が約750の分子量を有するときxが最大で約3であるようなものである。より高い分子量の成分(c)については、成分(b)対成分(c)のより高いモル比を用いることができ、例えば、yが1であるときxは10以上である。非常に高い分子量を有する成分(c)については、反応中にゲル化する傾向があるかもしれない。しかしながら、これは、非常に高い分子量成分(c)と低分子量成分(c)との混合物を使用することによって容易に回避される。
【0027】
残りのイソシアネート基との水の反応は、誘導される生成物混合物の平均分子量と各生成物部分がフルオロケミカルの親水性/水溶媒和性特性を有する確率とを効果的に高める。本発明のフルオロケミカル組成物は、(1)分子当たり少なくとも3個のNCO基を含有する少なくとも1つのポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物を、化学量論的に不足の(2)(a)1個または複数の反応性ツェレウィチノフ水素原子を有するただ1つの官能基と(b)それらのそれぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する少なくとも2個の炭素原子とを分子当たり含有する少なくとも1つのフルオロケミカル化合物、(3)少なくとも1個の反応性ツェレウィチノフ水素原子を有するただ1つの官能基を分子当たり含有する少なくとも1つの親水性の水溶媒和性化合物、そして次に(4)水と反応させることによって製造される。
【0028】
一実施形態では、本発明のフルオロケミカル組成物は、化学量論的に不足の1つの官能基を含有するパーフルオロアルキル化合物、メトキシポリエチレングリコール、そして次に水とのデスモデュールN−100、デスモデュールN−3200もしくはデスモデュールN−3300、またはそれらの混合物の逐次触媒反応によって製造されてきた。デスモデュールN−100およびデスモデュールN−3200は、バイエル・コーポレーション、ペンシルバニア州ピッツバーグから商業的に入手可能なヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーである。おそらく両方とも、米国特許公報(特許文献2)に記載された、そしておそらくモノ、ビス、トリス、テトラおよびより高次誘導体を与えるための方法によって製造される。
【0029】
【表1】

【0030】
デスモデュールN−100の典型的なNCO含有率は、次の組成のヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーについてリストされたもの(非特許文献3)に近い。
【0031】
【表2】

【0032】
本発明のフルオロケミカル組成物は、ポリイソシアネート(1)、フルオロケミカル成分(2)、親水性の水溶媒和性化合物(3)、およびメチルイソブチルケトン(MIBK)などの乾燥有機溶媒を反応容器に先ず装入することによって典型的には製造される。
【0033】
試薬添加の順序は決定的に重要であるわけではない。装入されるポリイソシアネートおよび他の反応体の具体的な重量は、それらの当量におよび反応容器の作業容量に基づき、そして装入される全てのツェレウィチノフ活性水素が約55%〜約95%のある所望値の全NCO基装入物と反応するように調整される。乾燥溶媒の重量は典型的には、総装入物重量の15〜30%である。装入物はかき混ぜられ、温度は40℃〜70℃に調節される。それ自体か、または有機溶媒中の溶液としての触媒、典型的にはタイゾ−ル(Tyzor)TPT(本願特許出願人から入手可能な)が、装入物に依存するが通常は少量、例えばポリイソシアネートの10,000部当たり1〜2部である量でその後の反応を促進するために加えられる。生じた発熱の後、混合物は約95℃で、触媒添加の時から2〜20時間、好ましくは2〜4時間かき混ぜられる。反応混合物は、約70%の固形分含有率へと溶媒希釈され、残りのNCO基と反応するのに十分な水で処理され、60℃〜95℃で、イソシアネートについて負の反応試験まで(通常1〜24時間)かき混ぜられる。得られた生成物は、製造されたままでまたはさらなる溶媒希釈後に貯蔵するおよび/または使用することができる。それは好ましくは有機溶媒を含まない水性分散液に変換される。
【0034】
化学量論的に過剰のポリイソシアネートの使用は、フッ素化および非フッ素化有機化合物の完全な反応を確実にし、それは水とのその後の反応と組み合わされて、特に洗濯できる布を処理するために使用されるときに、先行技術と比較して高められた特性を有する本発明の生成物を与える。加えて、本発明のそれらの態様により、任意の未反応有機化合物を除去する必要がなくなる。それはこのように、かなりのプロセス利点を与え、それはまた、より高い製品純度および一様性を与える。
【0035】
後に続く実施例では、少なくとも3個のNCO基を含有するポリイソシアネートは、化学量論的に不足のフルオロケミカル試薬、および親水性の水溶媒和性試薬と反応させられる。残存NCO基との水のその後の反応は、本発明の尿素基結合生成物をもたらす。
【0036】
2つの経路のいずれかによって反応する水は、二重官能性のツェレウィチノフ活性水素化合物としての機能を果たす。残存NCO基の数当たり加えられる活性水素原子の数の観点から、すなわち、比として第2段階反応シーケンス用の合成混合物に加えられる水の量を記載することが好ましい。いずれの経路の化学量論を満たすために必要とされる理論的な水比も少なくとも1:1である。
【0037】
本発明の組成物は場合により、追加の表面効果を達成するための処理剤もしくは仕上げ剤、またはかかる試剤もしくは仕上げ剤と一緒に一般的に使用される添加剤などの追加成分をさらに含む。かかる追加成分は、ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔らかさ、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピル性、防しみ性、しみ除去、防汚性、汚れ除去、撥水性、撥油性、防臭、抗菌性、日焼け防止、および同様な効果などの表面効果を与える化合物または組成物を含む。1つまたは複数のかかる処理剤または仕上げ剤は、ブレンドされた組成物と組み合わせ、繊維質基材に塗布することができる。界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ワックス増量剤、および当業者によって知られる他の添加剤などの、かかる処理剤または仕上げ剤と一緒に一般的に使用される他の添加剤もまた存在してもよい。さらに、増量剤組成物およびブロックトイソシアネートが場合により、利益の組み合わせを得るために含められる。
【0038】
本発明は、繊維質基材を上記のような本発明の組成物と接触させる工程を含む、耐久性のある親水性および耐久性のあるしみ除去を前記基材に与える方法をさらに含む。本発明の組成物は、様々な慣用の手順によって好適な基材に塗布される。洗濯できる衣服織物への塗布のために、本発明の化合物は、はけ塗り、浸漬、吹き付け、パジング、ロール−コーティング、発泡などによって、例えば、水性分散液または有機溶媒溶液から塗布される。本発明の組成物は、それ自体でまたは他の織物もしくはフルオロ−仕上げ剤、加工助剤、滑剤、帯電防止剤、および上記のようなものなどと組み合わせて基材に塗布される。化合物はまた、撥油/撥水性および汚れ除去性を有する他の試剤とブレンドして繊維または布に塗布することもできる。それらは、染色されたおよび未染色の繊維質基材に塗布される。
【0039】
本発明は、本発明の上記の組成物で、すなわち本発明の上記の方法に従って処理された基材をさらに含む。本発明の組成物の塗布のための好適な基材は繊維質基材である。これらには、繊維、糸、布、フィラメント、織物および他の繊維質基材が含まれる。かかる基材は、天然の、変性された天然の、もしくは合成ポリマー材料から、またはこれらの他の繊維質材料とそれらの表面上に、または毛細管作用によりそれらの隙間中に低表面張力液体を吸収しそして運ぶ他の多孔質材料とのブレンドから誘導される。具体的な代表例は綿、絹、再生セルロース、ナイロン、繊維形成ポリエステル、繊維形成ポリアクリロニトリル、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、紙、プレスされた木材または他の方法で硬化させられた木材複合材料などである。染色されたおよび未染色の綿繻子、ポプリン、ブロードクロス、ジーンクロス、デニム、ギャバジンなどは特に本発明の組成物での処理に適応できて、油改良親水性およびしみ除去特性を有する、そしてまた熱、空気および光の作用による影響を比較的受けない製品を与える。
【0040】
本発明の組成物および方法は、洗濯およびドライクリーニング後にしみ除去特性をかなり保持しつつも高レベルの耐久性のある親水性を有する、かかる組成物および方法で処理された基材を与えるのに有用である。向上した親水性および耐久性のあるしみ除去は、基材の増加した湿潤のために処理基材のより容易なクリーニングを提供する。親水性は、防護服および運動服での使用のための本発明の処理織物基材において特に有用である。親水性は、先行技術の処理によって提供されるレベルを超えて高められ、着用者から水分を吸い取ることによってかかる衣服での水分管理を提供する。向上した親水性は、多くの先行技術の処理で受けるような、しみ除去の減少なしに提供される。親水性およびしみ除去の耐久性は、定期的な洗濯またはクリーニングにかけられるときにより長い期間にわたってこれらの特性を保持する織物をもたらす。
【実施例】
【0041】
(試験方法1−布処理)
布を、従来のパッド浴(浸漬)法を用いて水性フッ素化ポリマー調合物で処理した。30〜50g/Lのフッ素化ポリマー処理剤を含有する浴を用いた。塗布後に、布を約165℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に「静置」させた。
【0042】
(試験方法2−吸上げ試験)
吸上げ試験のために、5滴のDI水を、材料の異なる区域上の綿サンプル上に置いた。綿中へ完全に吸収するために要する時間(秒単位での)を計った。滴が180秒内に吸収されなかった場合、試験を失敗と格付けした。吸上げ時間は親水性の指標である。より速い吸上げ時間はより高い親水性を示唆する。
【0043】
(試験方法3−しみ除去評価)
しみ除去試験は、AATCC(米国繊維化学者・色彩技術者協会)試験方法130−1995から取った。鉱油かコーンオイルかのいずれかの5滴を、1枚の吸取紙上の各処理された綿サンプルの中心に置いた。1枚のグラシン紙(計量紙)をスポットにわたって置き、5ポンド重りを紙の上に置いた。60秒後に、重りおよびグラシン紙を取り除いた。4つの赤ドットを油スポットの周りにマークした。綿サンプルを、次の設定の大ロード、暖(100°F、38℃)/冷、1回の濯ぎ、ウルトラクリーン(設定12)、および標準(速/遅)(Large load,Warm(100°F,38℃)/Cold,One rinse,Ultra Clean(setting 12),and Normal(fast/slow))のケンモア(Kenmore)洗濯機に入れた。100gのAATCC WOB洗剤とバラストを含む4ポンドの材料とを洗濯機に加えた。洗濯後に、サンプルを高設定でのケンモア乾燥機に45分間入れた。サンプルを、下記のしみ除去レプリカ等級(Stain Release Replica Grades)に基づいて格付けした。
【0044】
(しみ除去等級)
【0045】
【表3】

【0046】
等級5は、最良のしみ除去を、そして等級1は最も不十分なしみ除去を表した。
【0047】
(試験方法4−洗濯耐久性)
布サンプルを、織物試験のための家庭洗濯手順を明記する国際標準(International Standard)に従って洗濯した。布サンプルを、4ポンドの総乾燥ロードを与えるためにバラストロードと共に水平ドラム、フロントローディング方式の(タイプA、ワッシュケーター型71MP−ラブ(Type A,WASCATOR Fom71MP−Lab))自動洗濯機へロードした。市販洗剤(AATCC1993標準基準洗剤WOB(Reference Detergent WOB)を加え、洗濯機を、温水(105°F、41℃)での高水レベル、15分の標準洗濯サイクル、引き続く2回の13分の濯ぎ、そして次に2分スピン乾燥でプログラムした。サンプルおよびバラストを指定の回数洗濯した(5回洗濯については5HW、20回洗濯については20HWなど)。洗濯後に、サンプルを高設定でのケンモア乾燥機に45分間入れた。サンプルを次に、吸上げおよびしみ除去評価について試験方法2および3に従って試験した。
【0048】
特に明記しない限り次の物質を実施例で使用した。
1)シグマ−アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI)から入手可能なメトキシポリエチレングリコール(MPEG)2000。
2)ユニオン・カーバイド社、コネチカット州ダンベリー(Union Carbide Co;Danbury,CT)から入手可能な、カーボワックスMPEG(CARBOWAX(MPEG))350、550、750、950および1200。
3)バイエル・コーポレーション、ペンシルバニア州ピッツバーグから入手可能な、デスモデュールN100。デスモデュールN100のモルは、実験でのNCO官能性のモルを表す(42g/モル)。
4)本願特許出願人から入手可能な、タイゾールTPT、触媒。
【0049】
(実施例1)
3口、1L丸底フラスコに、窒素注入口付き還流冷却器、温度プローブ、添加漏斗、およびテフロン(TEFLON)コートした磁気撹拌子を備え付けた。反応容器に、メトキシポリエチレングリコール750(45g、60ミリモル)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(41.7g、115ミリモル)およびデスモデュ−ルN100(82.3g、メチルイソブチルケトン(MIBK)中63%、270ミリモル)を装入した。無色の反応混合物を、温度が安定するまで65℃に加熱した。これに、3.3gのタイゾールTPT溶液(MIBK中5%タイゾールTPT)を添加漏斗によってゆっくり加え、引き続き95℃で3時間撹拌した。フラスコに、40gのMIBKおよび16gの水を加え、温度を75℃に4時間保持した。追加の295gの水を加え、混合物を78℃で30分間またはイソシアネートが全く検出されなくなるまで撹拌した。溶液を、デジタル超音波処理機を5分間用いて均質にし、MIBKを真空蒸留によって除去して30.2%固形分および5.67%フッ素である分散液をもたらした。
【0050】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表1で下にリストする。
【0051】
(実施例2)
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オールの代わりに3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサン−1−オール(30.2g、0.115モル)を使用することを除いて実施例1の手順を用いた。生じた分散液は33.4%固形分および4.26%フッ素であった。
【0052】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表1で下にリストする。
【0053】
(比較例A)
式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは6〜14の範囲であり、aは主に6、8および10である)のパーフルオロアルキルエチルアルコール混合物を使用した以外は、実施例1の手順を用いた。典型的な混合物は次の通りであった:aの27%〜37%=6、aの28%〜32%=8、aの14%〜20%=10、aの8%〜13%=12、aの3%〜6%=14。
【0054】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表1で下にリストする。
【0055】
【表4】

【0056】
比較例Aの6〜14個の炭素の混合物の同族体分布を有する成分(b)フルオロケミカルパーフルオロアルキル基を6個の炭素(実施例1)、または4個の炭素(実施例2)のパーフルオロアルキル基で置き換えると、ポリウレタン調合物は、同族体混合物を使用した130秒吸上げ時間の対照格付けと比較して、1〜5秒初期吸上げ時間の格付けで、良好な親水性しみ除去を与えた。初期吸上げ時間の減少は、親水性の増加を示唆した。実施例1および2の50%ローディングでさえ、しみ除去特性は依然として同程度であった。
【0057】
(実施例3)
3口、1L丸底フラスコに、窒素注入口付き還流冷却器、温度プローブ、添加漏斗、およびテフロン・コートした磁気撹拌子を備え付けた。反応容器に、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサン−1−オール(1.52g、5、77ミリモル)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(2.1g、5.77ミリモル)、メトキシポリエチレングリコール750(4.5g、6.0ミリモル)、0.3gのタイゾールTPT溶液触媒を装入し、そしてデスモデュールN100(8.2g、MIBK中63%、27ミリモル)を使用した。反応物を95℃で3時間加熱した。脱イオン水(1.6g、89ミリモル)を加えた後、反応物を95℃で、カラーメトリック・テクノロジーズ社(Colormetric Technologies,Inc)イソシアネート試験ストリップを用いて検出した際に、イソシアネートが全く存在しなくなるまで加熱した−溶液を7時間、そして75℃でさらに12時間加熱した。均質化を実施例1に記載されるように行い、15.7%固形分および3.08%Fである最終生成物を与えた。
【0058】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表2で下にリストする。
【0059】
(実施例4)
3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサン−1−オール(1.0g、3.79ミリモル)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(2.8g、7.69ミリモル)、メトキシポリエチレングリコール750(4.5g、6.0ミリモル)、0.3gのタイゾールTPT溶液触媒、およびデスモデュールN100(8.2g、MIBK中63%、27ミリモル)と磁気撹拌子の代わりにオーバーヘッド撹拌機とを使用して実施例3の手順を用いた。反応物を95℃で4時間加熱した。フラスコに、1.6gの水およびMIBKを加え、反応物を95℃で14時間、カラーメトリック・テクノロジーズ社イソシアネート試験ストリップを用いて検出した際に、イソシアネートが全く存在しなくなるまで加熱した。実施例1で上に記載されたような処理(Workup)は、安定な分散液(17.9%固形分、2.76%F)を与えた。
【0060】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表2で下にリストする。
【0061】
【表5】

【0062】
表2のデータは、調合物における4および6個の炭素のパーフルオロアルキル鎖同族体の混合物が低い吸上げ時間を達成したことを示し、綿基材を処理するための浴で用いられる、異なるレベルのパーセントフッ素で高い親水性を、そしてまた耐久性のあるしみ除去を示唆する。より低いパーセントフッ素を含有する実施例は、より高いパーセントフッ素を有するものより優れた親水性、およびそれらに匹敵するしみ除去を与えた。
【0063】
(比較例B)
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オールの代わりに3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデカン−1−オール(53.1g、114.4ミリモル)を使用して実施例1の手順を用いた。安定な分散液は32%固形分および7.41%Fにあった。
【0064】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表3で下にリストする。
【0065】
(実施例5)
フッ素化アルコールとして3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(20.8g、57.1ミリモル)および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデカン−1−オール(26.6g、57.3ミリモル)を使用して比較例Bの手順を用いた。本分散液は安定であった(35.1%固形分、6.73%F)。
【0066】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表3で下にリストする。
【0067】
(比較例C)
フッ素化アルコールとして3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(10.4g、28.6ミリモル)および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデカン−1−オール(39.8g、85.8ミリモル)を使用して比較例Bの手順を用いた。本分散液は安定であった(34.2%固形分、7.92%F)。
【0068】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表3で下にリストする。
【0069】
(実施例6)
フッ素化アルコールとして3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(31.2g、85.7ミリモル)および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデカン−1−オール(13.3g、28.7ミリモル)を使用して比較例Bの手順を用いた。本分散液は安定であった(33.1%固形分、6.75%F)。
【0070】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表3で下にリストする。
【0071】
【表6】

【0072】
表3のデータは、実施例5(C6=50%、C8=50%)および実施例6(C6=75%、C8=25%)におけるようにパーフルオロアルキル基中のより短い鎖長(6個の炭素)の含有率の増加で、しみ除去特性が同程度のままでありながら、比較例B(C8=100%)および比較例C(C6=25%、C8=75%)と比較して吸上げ時間の減少によって実証されるように親水性が増加することを示した。実施例5対比較例Cは、少なくとも50%のC6が増加した親水性を維持するために存在すべきであることを暗示した。
【0073】
(比較例D)
先ず乾燥させ、次に窒素パージ、撹拌機、水冷却器、加熱マントルおよび熱電対を備え付けた4口の500mLフラスコに、デスモデュールN100(53.1g、MIBK中63%、174ミリモル)、溶融したカーボワックス(MPEG)1200(56g、46.7ミリモル)、および式F(CF2aCH2CH2OHを有する溶融したフッ素化アルコール(25g、51.33ミリモル)、(約1%、38%、30%、16%、10%、4%および2%のそれぞれの相対的な量でのa=4、6、8、10、12、14、16、および18であり、前記モノマーは487の重量平均分子量を有する)を装入した。
【0074】
次に温度を、かき混ぜながら(150RPM)55℃に設定し、窒素ブランケットを導入した。温度が55℃で安定化してから、乾燥MIBKで製造された「触媒」溶液、ジブチルスズジラウレート(0.04%、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI)から入手可能な)を加えた。温度を90℃に上げ、3時間保持した。温度を85℃に下げ、25gのMIBKと10gの熱水、約80℃とを加えた。添加後に温度を75℃に下げ、4時間保持した。次に、173gの熱水、約80℃を加えた。溶液を30分間撹拌した。MIBKを真空下の蒸留器によって除去し、温度を55〜65℃に維持した。最終分散液は、30%固形分で212gの重さがあった。
【0075】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表4で下にリストする。
【0076】
(比較例E)
溶融したカーボワックス(MPEG)1200(61g、50.8ミリモル)を比較例Dの溶融したフッ素化アルコール(31g、64ミリモル)と組み合わせて使用することを除いて比較例Cの手順を繰り返した。
【0077】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表4で下にリストする。
【0078】
(比較例F)
溶融したカーボワックス(MPEG)1200(80g、66.7ミリモル)を比較例Dの溶融したフッ素化アルコール(25g、51.3ミリモル)と組み合わせて使用することを除いて比較例Dの手順を繰り返した。
【0079】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表4で下にリストする。
【0080】
(実施例7)
オーバーヘッド撹拌機、窒素注入口付き冷却器、および温度プローブを備え付けた500mLの4口フラスコに、メトキシポリエチレングリコール750(7.76g、10.3ミリモル)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(11.66g、32.0ミリモル)、およびデスモデュールN100(20.0g、MIBK中63%、66.7ミリモル)を加えた。無色の反応混合物を、温度が安定するまで65℃に加熱した。これに、0.8gのタイゾールTPT溶液(MIBK中5%タイゾールTPT)を加え、反応物を95℃に加熱し、3時間撹拌した(色は無色透明からコハク色に変わった)。脱イオン水(3.89g、216ミリモル)およびMIBKを加え、イソシアネートが全く検出されなくなるまで95℃で加熱した。反応物を実施例3について記載されたように処理して安定な分散液(12.7%固形分、3.05%F)をもたらした。
【0081】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表4で下にリストする。
【0082】
(実施例8)
本実験は、オーバーヘッド撹拌の代わりに磁気撹拌子、メトキシポリエチレングリコール750(14.12g、18.8ミリモル)、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(8.58g、23.5ミリモル)を使用して実施例8と同様に行った。本分散液は15.7%固形分および2.73%Fであった。
【0083】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表4で下にリストする。
【0084】
(実施例9)
本実験は、オーバーヘッド撹拌の代わりに磁気撹拌子、メトキシポリエチレングリコール750(18.89g、25.2ミリモル)、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(6.26g、17.2ミリモル)を使用して実施例8と同様に行った。本分散液は19.9%固形分および2.27%Fであった。
【0085】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表4で下にリストする。
【0086】
【表7】

【0087】
表4のデータは、組成物中のフッ素レベルに対して存在するMPEGの量を増やすことによってフッ素成分対メトキシポリエチレングリコール(MPEG)のモル比を減少させると親水性が向上することを示した。短鎖長パーフルオロアルキル基(6個の炭素)を含有する実施例7〜9でMPEGを増やしたとき、親水性は向上した。より長い鎖長のパーフルオロアルキル基(主に8〜12個の炭素)を含有する比較例D、EおよびFについては、同じ効果は観察されなかった。
【0088】
(実施例10)
本実験は、オーバーヘッド撹拌の代わりに磁気撹拌子、メトキシポリエチレングリコール2000(29.18g、14.6ミリモル)、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(10.12g、27.8ミリモル)を使用して実施例7と同様に行った。本分散液は17.2%固形分および2.09%Fであった。
【0089】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表5で下にリストする。
【0090】
(実施例11)
本実験は、オーバーヘッド撹拌の代わりに磁気撹拌子、メトキシポリエチレングリコール2000(7.98g、4.0ミリモル)、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(13.98g、38.4ミリモル)を使用して実施例7と同様に行った。本分散液は22.8%固形分および5.56%Fであった。
【0091】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表5で下にリストする。
【0092】
(実施例12)
オーバーヘッド撹拌の代わりに磁気撹拌子、シグマ−アルドリッチから入手可能なメトキシポリエチレングリコール350(5.11g、14.6ミリモル)および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(10.12g、27.8ミリモル)を使用して実施例7の手順を用いた。本分散液は9.4%固形分および2.33%Fであった。
【0093】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表5で下にリストする。
【0094】
(実施例13)
オーバーヘッド撹拌の代わりに磁気撹拌子、メトキシポリエチレングリコール350(8.82g、25.2ミリモル)、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(6.26g、17.2ミリモル)を使用して実施例7の手順を用いた。本分散液は10.0%固形分および1.51%Fであった。
【0095】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表5で下にリストする。
【0096】
(実施例14)
熱電対、窒素注入口付き冷却器、添加漏斗、およびオーバーヘッド撹拌機を備え付けた4口の500mL丸底フラスコに、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(14.1g、38.7ミリモル)、シグマ−アルドリッチから入手可能な、メトキシポリエチレングリコール350(12.6g、36ミリモル)およびデスモデュールN100(25.6g、MIBK中63%、85.3ミリモル)を加えた。反応マスを55℃に加熱し、1gのジブチルスズジラウレート溶液(4mg/1gのMIBK)をゆっくり加えた。反応物を90℃に3時間加熱し、その後0.8mLの脱イオン水を添加し、NCOが実施例3で検出されたように反応してしまうまで加熱した。追加の90gの水および10gのMIBKを加え、その後70℃で30分間加熱した。物質を1L丸底フラスコに移し、MIBKを蒸留によって除去して安定な分散液(32.1%固形分、6.97%F)を与えた。
【0097】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表5で下にリストする。
【0098】
(実施例15)
オーバーヘッド撹拌の代わりに磁気撹拌子、シグマ−アルドリッチから入手可能なメトキシポリエチレングリコール550(8.02g、14.6ミリモル)および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(10.12g、27.8ミリモル)を使用して実施例7の手順を用いた。本分散液は9.4%固形分および1.90%Fであった。
【0099】
本分散液を、試験方法1を用いて100%綿布に塗布した。布を、試験方法2を用いて吸上げ、試験方法3を用いてしみ除去、そして試験方法4を用いて耐久性について評価した。結果を表5で下にリストする。
【0100】
【表8】

【0101】
表5のデータは、一般に親水性が、フッ素成分対MPEG成分の所与のモル比のために使用されるより短い鎖長のパーフルオロアルキル基とより高い分子量のメトキシポリエチレングリコール部分との組み合わせで増加したことを示す(実施例10、12および16参照されたい)。さらに、フッ素対MPEGのモル比は、親水性しみ除去性能にも寄与した。約550未満のMPEG分子量については、2:1未満のフッ素対MPEGのモル比がより良好な親水性を与えた(実施例12、13、14および16を参照されたい)。より高いMPEG分子量については、フッ素対MPEGのより高い比もまた有効であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分子当たり少なくとも3個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリイソシアネート、(b)少なくとも1個の反応性ツェレウィチノフ水素原子とそれらのそれぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する少なくとも2個の炭素原子とを有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つのフルオロケミカル試薬、および(c)少なくとも1個の反応性ツェレウィチノフ水素原子を有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つの親水性の水溶媒和性試薬を接触させ、そしてその後(d)水と接触させることによって製造された少なくとも1つの尿素結合含有アルコキシポリオキシアルキレンフルオロカルバメートの自己乳化性または自己分散性の水性溶液または分散液を含む組成物を用いる繊維質基材に表面特性を与えるためのシステムにおいて、前記ポリイソシアネートと前記試薬(b)および(c)の当量が、前記試薬が前記イソシアネート基の55%〜95%と反応し、そして水が残りのイソシアネート基の全てと反応するようなものであり、耐久性のある親水性および耐久性のあるしみ除去特性をそれで処理された基材に与えるために式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは4、6、もしくは8、またはそれらの混合であるが、ただし、aは最高で50%が8である)のフルオロケミカル試薬の使用を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記フルオロケミカル試薬が式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは4もしくは6である)のパーフルオロアルキルエチルアルコールか、または式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは主に4もしくは6の混合である)のパーフルオロアルキルエチルアルコール混合物であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
親水性の水溶媒和性成分(c)が式
【化1】

(式中、Rは最大で6個の脂肪族または脂環式炭素原子を含有する一価炭化水素基であり、そしてmおよびnはそれぞれ繰り返しオキシエチレンおよびオキシプロピレン基の平均数であり、そしてmは正の整数であるが、nは正の整数かまたはゼロである)
の少なくとも1つの、エチレンオキシドまたはエチレンオキシド/プロピレンオキシド由来ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
親水性の水溶媒和性試薬(c)が、350〜2000の平均分子量を有する、メトキシポリエチレングリコールかまたはその混合物であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
親水性の水溶媒和性成分(c)が550以下の分子量を有するとき、フルオロケミカル試薬(b)対親水性の水溶媒和性試薬(c)の比x:yが、yが1であるときxが最大で2であるようなものであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
親水性の水溶媒和性成分(c)が750以下の分子量を有するとき、フルオロケミカル試薬(b)対親水性の水溶媒和性試薬(c)の比x:yが、yが1であるときxが最大で3であるようなものであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
(a)分子当たり少なくとも3個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリイソシアネート、(b)式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは4、6、もしくは8、またはそれらの混合であるが、ただし、aは最高で50%が8である)の少なくとも1つのフルオロケミカル試薬、および(c)少なくとも1個の反応性ツェレウィチノフ水素原子を有する単一の官能基を分子当たり含有する少なくとも1つの親水性の水溶媒和性試薬を接触させ、そしてその後(d)水と接触させることによって製造された少なくとも1つの尿素結合含有アルコキシポリオキシアルキレンフルオロカルバメートの自己乳化性または自己分散性の水性溶液または分散液を含む組成物と繊維質基材を接触させる工程を含み、前記ポリイソシアネートと前記試薬(b)および(c)の当量が、前記試薬が前記イソシアネート基の55%〜95%と反応し、そして水が残りのイソシアネート基の全てと反応するようなものであることを特徴とする、繊維質基材に耐久性のある親水性および耐久性のあるしみ除去を与える方法。
【請求項8】
親水性の水溶媒和性成分(c)が式
【化2】

(式中、Rは最高で6個の脂肪族または脂環式炭素原子を含有する一価炭化水素基であり、そしてmおよびnはそれぞれ繰り返しオキシエチレンおよびオキシプロピレン基の平均数であり、そしてmは正の整数であるが、nは正の整数かまたはゼロである)
の少なくとも1つのエチレンオキシドまたはエチレンオキシド/プロピレンオキシド由来ポリマーであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
親水性の水溶媒和性試薬(c)が、350〜2000の平均分子量を有する、メトキシポリエチレングリコールまたはその混合物であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物で処理されることを特徴とする繊維質基材。

【公表番号】特表2009−536695(P2009−536695A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509795(P2009−509795)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/011084
【国際公開番号】WO2007/133531
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】