説明

親水性コーティング層を持つゴルフボール

【課題】 本開示は、親水性水膨潤性材料で形成されたコーティング層を持つゴルフボールを提供する。更に、ゴルフボールの製造方法を提供する。
【解決手段】 親水性水膨潤性材料は、水に露呈されたとき、ドライ状態からウェット状態に物理的に変化する。ウェット状態は比較的浅いディンプル深さと関連し、コーティング層はドライ状態よりも軟質である。このようなコーティング層を使用することにより、ゴルフボールは、ウェット気候条件の悪い効果を補償できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、ゴルフボールの分野に関する。詳細には、本開示は、親水性コーティング層を持ち、コーティング層が膨潤するゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ競技は、アマチュアレベル及びプロレベルの両方で人気が上昇しているスポーツである。当該技術分野において、ゴルフボールの製造及び設計に関する様々な技術が知られている。こうした技術により、様々なプレー特性を持つゴルフボールが得られてきた。ゴルファーは、例えば好みやプレー条件に応じて、様々なプレー特性の様々なゴルフボールを使用できる。例えば、ディンプルの特性が異なると、飛翔中のゴルフボールの航空力学的特性に影響が及ぼされ、カバー層の硬度が異なると、バックスピン率に影響が及ぼされる。
【0003】
ゴルフボールの航空力学的特性に影響を及ぼす、ディンプルパターン、ディンプル形状、及びディンプル深さ等の様々なディンプル特性が周知である。理想的には、ディンプルは、抗力を低下し且つ揚力を増大することによって、最大可能な飛翔距離が得られるように設計されるべきである。一般的に周知であるように、抗力は、ゴルフボールの飛翔方向と逆方向に作用する空気抵抗である。抗力は、ゴルフボール前方の高い空気圧とゴルフボールの後流内の低い空気圧との間の差によって生じる。ディンプルにより、ゴルフボールの外面を包む空気の薄い境界層が乱流をなして流れる。乱流境界層は、分離点を後方に移動し、そのため、境界層は、ボールの外面に沿ってゴルフボールと隣接した状態に止まる。その結果、後流領域が減少し、ボール後方の圧力が上昇する。これによって抗力が減少し、ゴルフボールの飛翔距離が伸びる。
【0004】
更に、一般的に周知であるように、揚力は、ボール頂部とボール底部との間の圧力差によって生じる、ゴルフボールに作用する上方への力である。ゴルフボールのバックスピンにより、ボール頂部は空気流と同方向に移動し、これにより空気分離点が更に後方の位置に移動する。逆に、ボール底部は空気流とは逆方向に移動し、これにより空気分離点が前方に移動する。この非対称な分離により流れパターンにアーチを形成し、これによって、ボール頂部上を流れる空気がボール底部に沿って流れる空気よりも速い速度で移動する。その結果、ボール上方の空気の圧力はボール下側の空気よりも低い。この圧力差により、全体として、ボールに上向きに作用する揚力が生じる。従って、ゴルフボールの飛翔距離は、揚力により伸びる。これは、上方への揚力により、ゴルフボールが、空気中に更に長い時間に亘って止まるためである。
【0005】
詳細には、ディンプル深さがゴルフボールの飛翔距離に大きな航空力学的効果を及ぼす。一般的に知られているように、浅いディンプルは、ゴルフボールを、飛翔中、更に高く持ち上げる傾向がある。逆に、ゴルフボールのディンプルが深ければ深い程、ゴルフボールの飛翔距離が低下する。こうした傾向は、深いディンプルの内側での大きな乱流のため、揚力が減少するために生じると考えられているが、多くの様々な航空力学的現象がこれに関与している。
【0006】
同様に、ゴルフボールの外層の硬度もまたゴルフボールのプレー特性に大きな影響を及ぼす。一般的には、比較的硬質のカバー層を持つゴルフボールはスピンが減少するが、距離が伸びる。従って、比較的硬質のカバー層を持つゴルフボールはドライバーに適しているが、比較的短いショットについてはコントロールが比較的難しい。他方、比較的軟質のカバー層を持つゴルフボールは、一般的にはスピンがよくかかり、従って、コントロール及びグリーン上での停止が比較的容易であるが、ティーからの距離が伸びない。
【0007】
従って、ゴルファーは、様々な要因に応じて様々なディンプル深さ又は様々なカバー層硬度を持つゴルフボールを使用することを望んでいる。例えば、所望のプレー特性を良好に得る上で、浅いディンプル又は深いディンプルのいずれか、又は比較的硬質のカバー層又は比較的軟質のカバー層のいずれがよいのかは、気候条件又はゴルファーの運動者としての能力により決まる。
【0008】
詳細には、ウェットプレー条件では、雨天のため、ゴルフボールのプレー特性に大きな影響が及ぼされる。ウェット気候中、ゴルフボールの表面上に水が存在するため、ゴルフクラブのフェースとゴルフボールとの間の摩擦が小さくなる。この摩擦の減少により、ゴルフボールの飛翔軌道経路が低くなり、ボールに加わるスピンもまた減少する。このようにスピンが減少するため、ゴルファーがゴルフボールの飛翔経路及び着地条件に及ぼすコントロールの量が低下する。従って、ウェット気候条件では、最適のゴルフボールプレー特性を得るために特定の挑戦が必要とされる。
【0009】
アマチュアゴルファーは、一般的には新たなゴルフボールの購入費を小さくするのを好む。しかしながら、ゴルファーは、様々なプレー特性を得るため、数セットのゴルフボールを購入する必要がある。即ち、ゴルファーは、通常気候条件で使用するための1セットのゴルフボール及びウェット気候条件で使用するための別のセットのゴルフボールを購入する必要がある。様々なプレー特性を得るために数セットのゴルフボールを購入し、取って置き、それを持ち運ぶ必要があるということは、ゴルファーにとって不都合であり、費用が嵩む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、当該技術分野おいて、上文中に論じた従来技術の欠点に対処するゴルフボール及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様では、本開示は、コアと、少なくとも一つのディンプル、及びディンプルと隣接した少なくとも一つの平地区域を含む、コアを実質的に取り囲むカバー層と、このカバー層の少なくとも一部と重なるコーティング層とを含み、コーティング層は親水性水膨潤性材料で形成されており、コーティング層は、水に露呈されたとき、ドライ状態からウェット状態への物理的変化が加わるように形成されている、ゴルフボールを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、コアと、少なくとも一つのディンプル、及びディンプルと隣接した少なくとも一つの平地区域を含む、コアを実質的に取り囲むカバー層と、カバー層の少なくとも一つのディンプル部分と重なるコーティング層とを含み、コーティング層は親水性水膨潤性材料で形成されており、コーティング層は、水に露呈されたとき、ドライ状態からウェット状態へ物理的に変化するように形成されており、ドライ状態は第1ディンプル深さと関連し、ウェット状態は第2ディンプル深さと関連し、第2ディンプル深さは第1ディンプル深さよりも小さく、ドライ状態は第1硬度を持つコーティング層と関連し、ウェット状態は第2硬度を持つコーティング層と関連し、第2硬度は第1硬度よりも軟質である、ゴルフボールを提供する。
【0013】
更に別の態様では、本開示は、ゴルフボールの製造方法において、(1)少なくとも一つのディンプル及びディンプルと隣接した少なくとも一つの平地区域を持つカバー層によって実質的に取り囲まれたゴルフボールコアを受け取る工程と、(2)カバー層の少なくとも一つのディンプル部分を、水に露呈されたときにコーティング層がドライ状態からウェット状態に物理的に変化する親水性水膨潤性材料で形成されたコーティング層によってコーティングする工程とを含み、ドライ状態は第1ディンプル深さと関連し、ウェット状態は第2ディンプル深さと関連し、第2ディンプル深さは第1ディンプル深さよりも小さく、ドライ状態は第1硬度を持つコーティング層と関連し、ウェット状態は第2硬度を持つコーティング層と関連し、第2硬度は第1硬度よりも軟質である、方法を提供する。
【0014】
本発明のこの他のシステム、方法、特徴、及び利点は、添付図面及び以下の説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。この説明及びこの概要に含まれるこのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、本発明の範疇にあり、特許請求の範囲によって保護される。
【0015】
本発明は、添付図面及び以下の説明を参照することにより更によく理解されるであろう。添付図面の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、その代り、本発明の原理を例示するにあたり、強調がなされている。更に、添付図面において、様々な図面に亘り、同様の参照番号が対応する部分に付してある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、複数のディンプル及びこれらのディンプルを分離する平地区域を持つゴルフボールを示す図である。
【図2】図2は、図1のゴルフボールに設けられた一つのディンプルの二つの断面図である。
【図3】図3は、変形例のゴルフボールに設けられた一つのディンプルの二つの断面図である。
【図4】図4は、第3実施例のゴルフボールに設けられた一つのディンプルの二つの断面図である。
【図5】図5は、第4実施例のゴルフボールに設けられた一つのディンプルの二つの断面図である。
【図6】図6は、図1のゴルフボールに設けられたコーティング層を形成するポリマー分子の拡大図である。
【図7】図7は、通常の気候条件での、ゴルファーのスイングによってゴルフクラブが打った後の二つのゴルフボールの二つの同様の飛翔経路を示す図である。
【図8】図8は、ウェット気候条件での、ゴルファーのスイングによってゴルフクラブが打った後の二つのゴルフボールの二つの異なる飛翔経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、一般的には、親水性水膨潤性材料で形成されたコーティング層を持つゴルフボールに関する。詳細には、幾つかの実施例において、ディンプルの少なくとも一つを親水性水膨潤性材料でコーティングする。このコーティングは、水に露呈されたとき、物理的に変化する。この物理的変化は、例えばディンプル深さの変化であってもよく、又はコーティング層の硬さの変化であってもよい。こうした物理的変化により、ゴルフボールは、ウェットな気候条件においてこのような物理的変化が生じない場合に起こり得る望ましからぬプレー特性を補償できる。
【0018】
図1は、ゴルフボール100における本開示の一実施例を示す。ゴルフボール100の表面には、複数のディンプル102及びこれらのディンプルを分ける平地区域104を含む。以下に特に論じない限り、ゴルフボール100は、当該技術分野で周知の任意の種類のゴルフボールであってもよい。即ち、本開示に反しない限り、ゴルフボール100は、ゴルフボールについて従来使用された任意の構造を備えていてもよく、ゴルフボール構造で使用されることがわかっている様々な材料のうちの任意の材料で形成されていてもよい。
【0019】
ゴルフボール100は、外コーティング層110を含む。図示の実施例では、コーティング層110はカバー層108のほぼ全体と重なる。図1では、コーティング層110の下のカバー層108が破線で囲んだ部分に示してある。図1は、コーティング層110をカバー層108のほぼ全体と重なった状態で示してあるが、他の実施例では、コーティング層110がカバー層108の幾つかの部分としか重なっておらず、カバー層108全体よりも小さい。
【0020】
複数のディンプル102は、全体として、カバー層108上にゴルフボールの技術分野で周知のように任意のパターンで配置されていてもよい。様々な周知のディンプルパッキングパターンが当該技術分野で周知である。ディンプル102は、一般的には、円形、三角形、又は多角形等の任意の形状であってもよい。ディンプル102は、形状及び大きさが均等であってもよく、ディンプルパターンは、(例えば)大きさ及び形状が異なる二つ又はそれ以上の異なる種類のディンプルで形成されていてもよい。少なくとも一つの平地区域104が、少なくとも二つのディンプル102を分離するカバー層108の一部である。平地区域はディンプルの部分ではない。一般的には、平地区域104は、隣接したディンプル102間の「隆起」又は「フレット(fret)」である。ゴルフボール100は、図1に示すように、カバー層全体に亘って連続した一つの平地区域104を含んでいてもよいし、複数のディンプル102間に複数の別々の平地区域が設けられていてもよい。
【0021】
図2は、ゴルフボール100に設けられた特定のディンプル102の断面図である。図2には、ゴルフボール100の三つの別個の部分が示してある。コア106がゴルフボール100の中心を形成し、カバー層108がコア106を実質的に取り囲み、コーティング層110が図示のようにカバー層108と重なっている。図2にはゴルフボール106の三つの構成要素しか示してないが、ゴルフボール100は、ここに図示していない追加の層を含んでいてもよい。このような追加の層には、例えば、コア106と中間層108との間の一つ又はそれ以上の追加の内層、又は一つ又はそれ以上の追加の仕上げ層が含まれる。追加の内層には、「スリーピース」ゴルフボール、「マルチピース」ゴルフボールと一般的に関連した層、又は他の追加の内層が含まれる。仕上げ層には、例えばクリアコーティング層、コスメチックマーキング層、又は他の仕上げ層が含まれる。
【0022】
図2に示すように、カバー層108は少なくとも一つのディンプル102及びディンプル102と隣接した少なくとも一つの平地区域104を含む。ディンプル102は、線208の下の領域と定義される。線208は、平地区域104の最上面と定義される。コーティング層110は、図示のようにカバー層108と実質的に重なっている。カバー層108は、カバー層108がコーティング層110とディンプル102内で出会う場所に表面212を含み、カバー層108がコーティング層110と平地区域104で出会う場所に表面228を含む。
【0023】
図2に示す実施例では、コーティング層110は、平地部分104でカバー層108と重なる平地部分112を含む。コーティング層110は、更に、ディンプル102のところでカバー層108と重なるディンプル部分114を含む。コーティング層110の平地部分112は第1厚さ206を有し、コーティング層110のディンプル部分114は第2厚さ204を有する。図示の実施例では、第2厚さ204は第1厚さ206よりも大きい。しかしながら、他の実施例では、第1厚さ206及び第2厚さ204は、この他の相対的な値を備えていてもよい。
【0024】
ディンプル102は、図2の上部分で第1ディンプル深さ202を有する。図2の上部分は、ボール100による吸収をトリガーするのに十分なレベルの水分に露呈される前のボールの状態を示すため、一般的には「ドライ状態」と呼ばれる。第1ディンプル深さ202は、第1ディンプル底面210と線208との間の距離と定義される。第1ディンプル深さ202は、図示のように、ディンプル102の中心200のところで計測される。しかしながら、本開示で使用する「ディンプル深さ」という言い方は、必ずしもディンプル102の中心のところで計測される必要はなく、一般的には、任意の特定の箇所でのディンプル102の上面208とディンプル102の底面210との間の距離と理解されてもよく、又は(例えば)ディンプル102に亘るこの距離の平均であると理解されてもよい。
【0025】
図2の下部分に示すように、コーティング層110は、物理的に変化できるように形成されている。図2の下部分は、コーティング層110が水分を吸収できるのに十分に長い時間に亘って水分に露呈された後のボールの状態を示すため、一般的には「ウェット状態」と呼ばれる。図示の実施例では、物理的変化は膨張であり、ドライ状態からウェット状態に変化するときにコーティング層110が膨張する。膨張によりコーティング層110の形状が様々に変化する。例えば、コーティング層110の平地部分112は、ドライ状態の厚さ206からウェット状態の厚さ224まで膨張する。これらの厚さの差が距離226である。従って、コーティング層110の平地部分112のウェット状態の最上面は最上面214である。更に、コーティング層110のディンプル部分114は、ドライ状態の厚さ204からウェット状態の厚さ220まで膨張し、これらの厚さの差が距離222である。従って、コーティング層110のディンプル部分114は、新たなウェット状態表面216を有する。
【0026】
図示の特定の実施例では、コーティング層110の平地部分112及びディンプル部分114は同じ線型膨潤比(linear swelling ratio) を有する。線型膨潤比は、当該技術分野において、線型膨潤率(linear swelling rate)とも呼ばれ、元の厚さに対する厚さの変化の比であり、即ち、距離226の距離206に対する比及び距離222の距離204に対する比である。以下に論じる他の実施例では、平地部分及びディンプル部分の線型膨潤比が異なっていてもよい。
【0027】
更に詳細には、特定の実施例において、ゴルフボールがドライ状態からウェット状態に移行する際に生じる膨張によりディンプル深さが変化する。換言すると、ドライ状態は第1ディンプル深さ202と関連し、ウェット状態は第2ディンプル深さ218と関連する。第2ディンプル深さ218は、ウェット状態の平地の最上面とウェット状態のディンプル底面216との間で計測される。一般的には、第2ディンプル深さ218は、第1ディンプル深さ202と異なる任意のディンプル深さであってもよい。しかしながら、図示の特定の実施例では、第2ディンプル深さ218は第1ディンプル深さ202よりも小さい。特定の実施例では、第2ディンプル深さ218は第1ディンプル深さ202よりも特定のパーセンテージだけ小さくてもよい。例えば、第2ディンプル深さ218は、ディンプル深さ202の75%又はそれ以下であってもよく、又は第2ディンプル深さ218は第1ディンプル深さ202の50%又はそれ以下であってもよく、又は第2ディンプル深さ218は第1ディンプル深さ202の33%又はそれ以下であってもよい。
【0028】
図2に示す特定の実施例では、ドライ状態とウェット状態との間のディンプル深さの変化は、コーティング層110の平地区域部分112及びディンプル部分114で線型膨張比が同じであっても、これらの領域の厚さの差により生じる。換言すると、コーティング層110のディンプル部分114の厚さ204が平地部分112の厚さと比較して大きければ大きい程、ディンプルでの膨潤距離222が平地での膨潤距離226よりも大きくなる。
【0029】
図1を再度参照すると、図2に示すディンプル102の変化は、ゴルフボール100の全体に亘って設けられた複数のディンプル102のうちの一つ又はそれ以上に関して生じる。特定の実施例では、複数のディンプルの全てが、ドライ状態からウェット状態に物理的に変化するように形成されていなくてもよい。例えば、所望のパターンで配置された複数のディンプルの特定のサブセットがこのような変化を生じるように形成されていてもよい。このようなパターンは、例えば、球対称であってもよいし、非球対称であってもよい。形体を変化するディンプルの特定の対称パターンは、全米ゴルフ協会(U.S.G.A)のゴルフボール規格に適合する。詳細には、ゴルフボールは、変化可能なディンプルでパターンが形成されていることにより、ゴルフボールが、U.S.G.A規則第7条3項の対称性についての規格を満たすように形成されたディンプルのパターンを含んでいてもよい。
【0030】
他の実施例では、図1に示すように、複数のディンプルの全てが、ドライ状態からウェット状態への物理的変化が加わるように形成されていてもよい。換言すると、ゴルフボール100に設けられた全てのディンプル102は、コーティング層110での変化前の最初のディンプル深さ202が同じであってもよい。従って、コーティング層110の変化後、全てのディンプル102のディンプル深さ218は同じであってもよい。従って、ディンプルにおける深さの変化は、複数のディンプルの全てに亘って均等に生じてもよい。
【0031】
上文中に論じた変化に加え、コーティング層110には、ドライ状態からウェット状態に移行するときに他の物理的変化が加わってもよい。例えば、コーティング層110は、硬度が変化してもよい。ドライ状態は第1硬度のコーティング層110と関連し、ウェット状態は第2硬度のコーティング層110と関連する。第1硬度及び第2硬度は、ゴルフボール外層と一般的に関連した任意の硬度値であってもよく、例えばショアD硬度が約40乃至約80である。第1硬度及び第2硬度は硬度の値が異なっていてもよい。特定の実施例では、第2硬度は第1硬度よりも軟質である(即ち硬度が低い)。幾つかの実施例では、第2硬度は、ショアD硬度で、第1硬度よりも少なくとも5単位軟質である。他の実施例では、第2硬度は、ショアD硬度で、第1硬度よりも少なくとも10単位軟質である。
【0032】
コーティング層110は、親水性水膨潤性材料で形成されていてもよい。親水性水膨潤性材料は、分子の極性電荷が水との水素結合を形成でき、水を吸収し、膨潤により寸法が物理的に変化する任意の材料であってもよい。親水性水膨潤性材料は、水分に露呈されたとき、ドライ状態からウェット状態に物理的に変化する。親水性水膨潤性材料を以下に更に詳細に論じる。
【0033】
図3は、本開示の第2実施例によるゴルフボール300を示す。ゴルフボール300は、カバー層108の少なくとも一つのディンプル302と重なり且つカバー層108の少なくとも一つの平地区域304と重なるコーティング層310を含む。この実施例では、コーティング層310の平地部分312は、第1親水性水膨潤性材料を含み、コーティング層310のディンプル部分314は第2親水性水膨潤性材料を含む。図3の上部分に示すように、コーティング層310の厚さは、ドライ状態では、ディンプル部分314及び平地部分312に亘って一定である。即ち、厚さ404(ディンプル302でのカバー層108の上面412とドライ状態のディンプル底面410との間で計測した厚さ)は、厚さ406(平地区域304でのカバー層108の上面428と線408との間で計測した厚さ)と同じである。このことは、上文中に論じたように、ドライ状態(並びにウェット状態)でのこれらの部分の厚さが異なる図2の実施例とは対照的である。
【0034】
図3の実施例は、線型膨潤比が異なる二つの異なる材料を使用する実施例である。即ち、第1親水性水膨潤性材料312は第1線型膨潤比を有し、第2親水性水膨潤性材料314は第1線型膨潤比と異なる第2線型膨潤比を有する。特定の実施例では、第2線型膨潤比は第1線型膨潤比よりも大きい。
【0035】
従って、ゴルフボール300がウェット状態に移行するとき、コーティング層310のディンプル部分314は平地部分312よりも大きく膨潤する。詳細には、ディンプル部分314は、ドライ状態の厚さ404からウェット状態の厚さ420まで膨潤する。図示のように、厚さ404と厚さ420との間の差が距離422である。他方、平地部分312は、ドライ状態の厚さ406からウェット状態の厚さ424まで膨潤する。厚さ406と厚さ424との間の差が距離426である。図示の特定の実施例では、距離422は距離426よりも大きい。かくして、ディンプル部分314の線型膨潤比は、距離404に対する距離422の比であり、これは、距離406に対する距離426の比によって定義される平地部分312の線型膨潤比よりも遥かに大きい。従って、ディンプル302は、ドライ状態では、第1ディンプル深さ402(ディンプル中心400で、ドライ状態のディンプル底面410と線408との間で計測した深さ)を有し、ウェット状態では、第2ディンプル深さ418(ディンプル中心400で、ウェット状態のディンプル底面416と線414との間で計測した深さ)を有する。図示の実施例では、第2ディンプル深さ418は第1ディンプル深さ402よりも小さい。
【0036】
図4は、本開示の第3実施例によるゴルフボール500を示す。この実施例では、コーティング層510は、カバー層108のディンプル部分502と、特に表面612のところで重なっている。コーティング層510は、カバー層108の平地部分504とは重なっていない。コーティング層510は、ゴルフボール500の各ディンプル部分502と重なっていてもよい。これによって、コーティング層510は、集合的に、ゴルフボール500の全体に亘って設けられた別々のコーティング部分の各々を含んでいてもよい。別の態様では、コーティング層510は、ゴルフボール500の全てのディンプル部分502ではなく、そのうちの幾つかと重なっていてもよい。
【0037】
上文中に論じた別の実施例におけるように、コーティング層510は図4の上半分に示すようにドライ状態で存在していてもよい。ドライ状態は、ディンプル中央軸線600のところで、ドライ状態のディンプル底面610と線608との間で計測した第1ディンプル深さ602と関連している。ドライ状態は、更に、カバー層108の表面612とドライ状態のディンプル底面610との間で計測したドライ状態厚さ604を持つコーティング層510と関連している。
【0038】
その後、コーティング層510に、ドライ状態から、図4の下半分に示すウェット状態への物理的変化が加わってもよい。ウェット状態は、ディンプル中央軸線600のところで、ウェット状態のディンプル底面616と線608との間で計測した第2ディンプル深さ618と関連している。ウェット状態は、更に、コーティング層の表面612とウェット状態のディンプル底面616との間で計測したウェット状態厚さ620を持つコーティング層510と関連している。第1ディンプル深さ602と第2ディンプル深さ618との間の差が622である。
【0039】
図4に示す実施例は、上文中に論じたディンプル深さの変化に加え、この他の有利な効果を提供する。この実施例では、コーティング層510が平地区域504と重なっていないため、コーティング層510の硬度の変化により、硬度が異なる「ゾーン」が形成される。このような硬度ゾーンは、「変動性硬度を有するカバーを持つゴルフボール」という表題の同一出願人による出願である米国特許第____号(現在は2010年1月20日に出願された米国特許出願第12/690,761号)に詳細に論じられている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0040】
図5は、本開示の第4実施例によるゴルフボール700を示す。ゴルフボール700は、ディンプル部分702及び平地部分704と重なる厚さが均等なコーティング層710を含む。即ち、平地部分704でのコーティング層710の厚さ806は、ディンプル部分702でのコーティング層710の厚さ804と同じである。
【0041】
この実施例では、コーティング層710は厚さが均等であり、均等な連続した(従って、膨潤比が一定の)材料で形成されていてもよい。その結果、ドライ状態からウェット状態への物理的変化は、ディンプルの深さを変えない。ドライ状態は、ディンプル中央軸線800のところで、ドライ状態のディンプル底面810と線808との間で計測した第1ディンプル深さ802と関連している。ウェット状態は、ウェット状態のディンプル底面816と平地区域704の上面が形成する線814との間で計測した第2ディンプル深さ818と関連している。この実施例では、コーティング層710の平地部分712の膨潤距離826は、コーティング層710のディンプル部分714の膨張距離822と同じである。従って、第1ディンプル深さ802及び第2ディンプル深さ818は実質的に同じであり、厚さ804及び厚さ806は同じであり(ドライ状態)、厚さ820及び厚さ824は同じである(ウェット状態)。
【0042】
この実施例はディンプル深さを変えるように形成されていないが、コーティング層710は、それにも関わらず、硬度が所望の通りに変化する。ドライ状態からウェット状態への移行は、例えばコーティング層710の硬さを均等に低下する。上文中に論じたように、硬度が低下すると、ゴルフクラブのフェースがヒットした場合のスピンの速度が増大し、ゴルフボール700の制御が向上する。
【0043】
図6は、ゴルフボール100のコーティング層110(図1参照)を更に詳細に示す。 上述のように、コーティング層110は、親水性水膨潤性材料を含んでいてもよい。ここで、親水性水膨潤性材料は、分子の極性電荷が水との水素結合を形成でき、水を吸収し、膨潤により寸法が物理的に変化する任意の材料であってもよい。任意の特定の作用理論に括られることを望むものではないが、図6は、このような膨張が生じる一つの機構を示す。
【0044】
図6では、コーティング層110はポリマーストランド900で形成されていてもよい。図6に示すポリマーストランド900は、ポリマー材料の分子構造の単なる例示であって、縮尺通りではない。図6に示す特定の実施例では、第1ポリマーストランド902が第2ポリマーストランド910と隣接して配置されている。第1ポリマーストランド902及び第2ポリマーストランド910は、各々、遊離ペンダントヒドロキシル基(−OH
)904及び908を夫々含む。ヒドロキシル基904及び908は、水分子906と水素結合を形成できる。これらの水素結合が形成されることにより、水分子906がない場合に非常に近接したポリマーストランド902及び910間に水分子906が入り込む。従って、水分子906がポリマーストランド902及び910を押し離し、コーティング層110を膨潤する。
【0045】
特定の実施例では、ドライ状態からウェット状態への物理的変化は可逆的である。詳細には、水分子は、小孔912を通ってコーティング層110に進入し、同様に小孔912を通って出る。小孔912は多孔質の親水性水膨潤性材料の単なる例示であって、縮尺通りではない。従って、コーティング層110は、水に露呈されたとき、ドライ状態からウェット状態に移行し、再び戻る。ウェット状態からドライ状態への戻りは、(例えば)コーティング層110が水に露呈されていない状態で所定期間経過した後に生じる。又は、移行は、加熱等の特定の刺激によって行われてもよい。
【0046】
親水性水膨潤性ポリマー材料は、ポリマー化学の技術分野で一般的に周知である。親水性水膨潤性ポリマー材料に関する情報は、例えば、2004年9月7日にタケダ等に付与された「透湿防水素材およびその製造方法」という表題の米国特許第6,787487号に記載されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。更に、1993年11月30日にオンウナカ等に付与された「軟化性の非膨潤性ポリウレタン」という表題の米国特許第5,266,669号もまた、親水性水膨潤性ポリマー材料に関する関連情報を提供するが、ここに開示された特定のポリマーは、非膨潤性である。出典を明示することにより、米国特許第5,266,669号に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0047】
特定の実施例では、親水性水膨潤性材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。熱可塑性ポリウレタン材料はゴルフボール構造で使用されることが周知であるけれども、コーティング層110の形成に使用される熱可塑性ポリウレタンは、親水性であり且つ水膨潤性でなければならない。ポリマーは、こうした性質を持つように製造されなければならない。
【0048】
適当な親水性水膨潤性熱可塑性ポリウレタンは、例えば、1994年8月2日にゴウルド等に付与された「強度を向上した親水性ポリウレタン」という表題の米国特許第5,334,691号に開示されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0049】
他の適当な親水性水膨潤性熱可塑性ポリウレタンは、例えば、2000年1月25日にサト等に付与された「吸水性ポリウレタンファイバ及びその製造方法」という表題の米国特許第6,017,625号に開示されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0050】
最後に、他の適当な親水性水膨潤性熱可塑性ポリウレタンは、例えば、2009年11月26日にツオミネン等に付与された「親水性ポリウレタン化合物」という表題の米国特許出願第2009/0291120号に開示されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0051】
上文中で引用した文献は単なる例示であり、当業者は、本明細書中に開示したゴルフボールコーティング層の構造及び目的に適しているのであれば、これらの代りに他の周知の親水性水膨潤性熱可塑性ポリウレタン化合物を使用してもよい。
【0052】
本開示は、更に、ゴルフボール製造方法を提供する。一般的には、ゴルフボール製造方法は、(1)少なくとも一つのディンプル及びディンプルと隣接した少なくとも一つの平地区域を持つカバー層によって実質的に取り囲まれたゴルフボールコアを受け取る工程と、(2)カバー層の少なくとも一つのディンプル部分を、水に露呈されたときにドライ状態からウェット状態に物理的に変化する親水性水膨潤性材料で形成されたコーティング層によってコーティングする工程とを含む。
【0053】
本方法は、水に露呈されたときにドライ状態からウェット状態に物理的に変化するように形成されたゴルフボールを製造する。詳細には、本方法は、ドライ状態が第1ディンプル深さと関連し、ウェット状態が第2ディンプル深さと関連し、第2ディンプル深さが第1ディンプル深さよりも浅く、ドライ状態が第1硬度を持つコーティング層と関連し、ウェット状態が第2硬度を持つコーティング層と関連し、第2硬度が第1硬度よりも軟質である、ゴルフボールを製造する。
【0054】
図1乃至図5の様々な実施例に関して上文中に論じたように、本方法は、少なくともカバー層のディンプル部分をコーティングする。特定の実施例では、本方法は、カバー層のほぼ全体をコーティング層でコーティングしてもよい。他の実施例では、本方法は、カバー層の全体よりも小さい任意の部分をコーティングしてもよい。コーティングは、刷毛付け、浸漬、型成形、又はメッキ等の一般的に周知の任意のコーティング方法で行ってもよい。
【0055】
図7及び図8は、ウェット気候条件を補償するために本開示によるゴルフボールをどのように使用するのかを示す。任意の特定の使用又は効果によって括られることを望むものではないが、ゴルフボール100は、ドライ状態からウェット状態へのディンプル深さ及び硬度の変化によりウェット気候条件の効果を補償する。ウェット気候条件は、補償されない場合には、従来のゴルフボールでは不利である。詳細には、ウェット気候中、従来のゴルフボールに付着した水はゴルフクラブのフェースとゴルフボールとの間の摩擦の量を減少し、これによりゴルフボールの飛翔軌道経路が低くなり、スピンが減少する。
【0056】
図7は、良好な気候条件(即ち、通常の非ウェット条件)でゴルフをしているゴルファー1000を示す。こうした条件では、ゴルフボール100は、図1に示すようにドライ状態にある。詳細には、ゴルフボール100は第1ディンプル深さを有し、コーティング層110は第1硬度値を有する。ゴルフボール100は、ティー1004に向かって飛翔経路1006に従って飛び、垂直方向最大距離1010に達する。比較のため、従来のゴルフボール1016をほぼ同じ飛翔経路1008で示す。従来のゴルフボール1016は、ディンプル深さ及びカバー層の硬度等で、ドライ状態のゴルフボール100とほぼ同じ航空力学的特性を有する。
【0057】
図8は、ウェット気候条件でゴルフをしているゴルファー1000を示す。詳細には、雨1014により、ゴルフボール100及びゴルフボール1016並びにグリーン1002が濡れる即ちウェット状態になる。雨1014の形態の水に露呈されることにより、ドライ状態からウェット状態への物理的変化がゴルフボール100に加わる(図1参照)。ゴルフボール100は、ウェット状態では、第1ディンプル深さよりも小さい第2ディンプル深さを有し、第1硬度よりも軟質の第2硬度を有する。ウェット気候条件により、従来のゴルフボール1016では、ショット中、そのカバー層とゴルフクラブのフェースとの間の摩擦が低下する。従って、従来のゴルフボール1016は、先ず最初に、飛翔軌道経路1018の最大高さが小さくなる。従来のゴルフボール1016は、更に、スピンが減少し、その結果、着地時のショットの制御が低下することになる。
【0058】
これとは対照的に、ウェット状態のゴルフボール100は、ディンプル深さが減少し、最外層が軟質になることにより、ウェット状態に対して補償する。ディンプル深さが減少することにより、ゴルフボール100の飛翔経路1006は、ディンプル深さが減少しない場合に摩擦の低下により小さくなる軌道経路1018の最大高さよりも高くなる。更に、最外層が比較的軟質であるため、ゴルフボール100に、摩擦が低下した場合よりも多くのスピンが加わり、その結果、着地時のゴルフボール100の制御が良好になる。従って、本開示は、良好な気候条件及びウェット気候条件の両方で等しく良好に使用できるゴルフボールを提供する。
【0059】
本願と同日付けで出願された「変化可能なディンプルを持つゴルフボール」という表題の同一出願人による出願である米国特許第____号(現在の出願番号[代理人の事件番号第72−1100号])には、層の外径が変化し、これによりディンプル深さに影響が及ぼされる、ゴルフボールの追加の特徴が開示されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0060】
本発明の様々な実施例を説明したが、この説明は、限定でなく例示を意図したものであって、本発明の範疇でこの他の多くの実施例が可能であるということは当業者には理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義される範囲を除き、制限されるものではない。更に、添付の特許請求の範囲の範疇で様々な変形及び変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
100 ゴルフボール
102 ディンプル
104 平地区域
106 コア
108 カバー層
110 コーティング層
112 平地部分
114 ディンプル部分
206 第1厚さ
204 第2厚さ
208 線
228 表面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、
少なくとも一つのディンプル、及び前記ディンプルと隣接した少なくとも一つの平地区域を含む、前記コアを実質的に取り囲むカバー層、
前記カバー層の少なくとも一部と重なるコーティング層を含み、
前記コーティング層は親水性水膨潤性材料で形成されており、前記コーティング層は、水に露呈されたとき、ドライ状態からウェット状態への物理的変化が加わるように形成されていることを特徴とする、ゴルフボール。

【請求項2】
前記コーティング層は、前記カバー層の少なくとも一つのディンプル部分と重なっており、
前記ドライ状態は、第1ディンプル深さと関連しており、前記ウェット状態は、第2ディンプル深さと関連しており、前記第2ディンプル深さは前記第1ディンプル深さと異なることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項3】
前記第2ディンプル深さが前記第1ディンプル深さよりも小さいことを特徴とする、請求項2に記載のゴルフボール。

【請求項4】
前記第2ディンプル深さが前記第1ディンプル深さの約75%よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載のゴルフボール。

【請求項5】
前記ドライ状態は、第1硬度を持つコーティング層と関連しており、前記ウェット状態は、第2硬度を持つコーティング層と関連しており、前記第2硬度は前記第1硬度と異なることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項6】
前記第2硬度が前記第1硬度よりも軟質であることを特徴とする、請求項5に記載のゴルフボール。

【請求項7】
前記第2硬度が、ショアD硬度で、前記第1硬度よりも少なくとも約5単位軟質であることを特徴とする、請求項5に記載のゴルフボール。

【請求項8】
前記親水性水膨潤性材料が熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項9】
前記ドライ状態から前記ウェット状態への前記物理的変化が可逆的であることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項10】
前記コーティング層が実質的に前記カバー層全体と重なっていることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項11】
前記コーティング層は、前記カバー層の少なくとも一つのディンプル部分と重なっており、前記コーティング層は、前記カバー層の少なくとも一つの平地区域部分と重なっており、
前記コーティング層は、前記コーティング層が前記少なくとも一つの平地区域部分と重なった場所に第1厚さを有し、
前記コーティング層は、前記コーティング層が前記少なくとも一つのディンプル部分と重なった場所に第2厚さを有し、
前記第2厚さは前記第1厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項12】
前記コーティング層は、前記カバー層の前記少なくとも一つのディンプル部分と重なっており、前記コーティング層は、前記カバー層の前記少なくとも一つの平地区域部分と重なっており、
前記コーティング層は、前記コーティング層が前記少なくとも一つの平地区域部分と重なった場所に第1親水性水膨潤性材料を含み、
前記コーティング層は、前記コーティング層が前記少なくとも一つのディンプル部分と重なった場所に第2親水性水膨潤性材料を含み、
前記第1親水性水膨潤性材料は第1線型膨潤比を有し、前記第2親水性水膨潤性材料は第2線型膨潤比を有し、前記第2線型膨潤比は前記第1線型膨潤比よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項13】
コア、
少なくとも一つのディンプル、及び前記ディンプルと隣接した少なくとも一つの平地区域を含む、前記コアを実質的に取り囲むカバー層、
前記カバー層の少なくとも一つのディンプル部分と重なるコーティング層を含み、
前記コーティング層は親水性水膨潤性材料で形成されており、前記コーティング層は、水に露呈されたとき、ドライ状態からウェット状態へ物理的に変化するように形成されており、
前記ドライ状態は第1ディンプル深さと関連し、前記ウェット状態は第2ディンプル深さと関連し、前記第2ディンプル深さは前記第1ディンプル深さよりも小さく、
前記ドライ状態は第1硬度を持つコーティング層と関連し、前記ウェット状態は第2硬度を持つコーティング層と関連し、前記第2硬度は前記第1硬度よりも軟質であることを特徴とする、ゴルフボール。

【請求項14】
前記第2ディンプル深さが、前記第1ディンプル深さの約75%よりも小さいことを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。

【請求項15】
前記第2硬度が、ショアD硬度で、前記第1硬度よりも少なくとも約5単位軟質であることを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。

【請求項16】
前記ドライ状態から前記ウェット状態への前記物理的変化が可逆的であることを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。

【請求項17】
前記親水性水膨潤性材料が熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。

【請求項18】
(1)少なくとも一つのディンプル及びディンプルと隣接した少なくとも一つの平地区域を持つカバー層によって実質的に取り囲まれたゴルフボールコアを受け取る工程、
(2)前記カバー層の前記少なくとも一つのディンプル部分を、水に露呈されたとき、前記コーティング層がドライ状態からウェット状態に物理的に変化する親水性水膨潤性材料で形成されたコーティング層によってコーティングする工程を含み、
前記ドライ状態は第1ディンプル深さと関連し、前記ウェット状態は第2ディンプル深さと関連し、前記第2ディンプル深さは前記第1ディンプル深さよりも小さく、
前記ドライ状態は第1硬度を持つコーティング層と関連し、前記ウェット状態は第2硬度を持つコーティング層と関連し、前記第2硬度は前記第1硬度よりも軟質であることを特徴とする、ゴルフボールの製造方法。

【請求項19】
前記カバー層の少なくとも一つのディンプル部分をコーティング層によってコーティングする前記工程が、前記カバー層のほぼ全体を前記コーティング層で実質的にコーティングする工程を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。

【請求項20】
前記親水性水膨潤性材料が熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−5831(P2012−5831A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−133437(P2011−133437)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)