説明

親水性基剤中油型乳化組成物

【課題】油性物質が均一に乳化されており、皮膚に対して安全性が高く、使用感特性、外観(ツヤ、キメ等)、且つ保存安定性に優れた乳化型化粧料を提供する。
【解決手段】シソ科タツナミソウ属、ツバキ科ツバキ属、キク科、ドクダミ科ドクダミ属、ミカン科の植物より抽出物を得、該抽出物へ放線菌および乳酸菌を作用させて得られる醗酵転換物と1,3−プロパンジオールおよび/または炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールの親水性基剤を含有する親水性基剤中油型乳化組成物並びにこれを含有する化粧料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、醗酵転換物を含有する親水性基剤中油型乳化組成物および該乳化組成物を水中に分散させてなるエマルションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クリーム、乳液等の乳化型化粧料における必要条件としては、(1)皮膚、毛髪等に対して刺激がなく安全性が高いこと、(2)長期にわたって乳化安定性が高いこと(分離や析出物がないこと)、(3)キメ、ツヤ等の外観が良いこと、(3)使用時の感触(とれ、のび、感触(肌へのさっぱり感、しっとり感等))が良いこと、(4)使用後に皮膚、毛髪等に適度な保湿性を与えること、(5)長期保存しても変質(変色、変臭)を起こさないこと、などが挙げられる。しかしながら、これらの条件を満足させるために乳化剤の選定及び特定の組み合わせ、特殊基剤の併用等の十分な処方設計が行われているが、その目的を達成することは容易ではない。
【0003】
乳化剤として、通常の合成乳化剤(アニオン型、ノニオン型、そしてカチオン型の合成界面活性剤)を使用した乳化型化粧料(例えばクリーム、乳液等)では、一般に皮膚や毛髪等に刺激を起こさせやすいという難点があった。一方、比較的安全性が高い天然由来の界面活性剤としてよく用いられるものに大豆由来レシチン、リゾレシチン等のリン脂質誘導体があるが、乳化型化粧料を調製する場合、使用する油性物質により大きな制限を受け乳化力は十分ではなく、製法等を十分に検討することが必要であり、さらに外観や経日安定性に優れた化粧料を得るのは容易ではない。よって、皮膚、毛髪等に対して安全性が高く、乳化性、使用感特性、外観(ツヤ、キメ等)、且つ保存安定性に優れた乳化型化粧料が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記現状に鑑み、本発明は、油性物質が均一に乳化されており、皮膚に対して安全性が高く、使用感特性、外観(ツヤ、キメ等)、且つ保存安定性に優れた乳化型化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、特定の醗酵転換物を含有する親水性基剤中油型乳化組成物が、低刺激で高い安全性を有し、かつ保存安定性に優れることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、シソ科タツナミソウ属、ツバキ科ツバキ属、キク科、ドクダミ科ドクダミ属、ミカン科の植物より抽出物を得、該抽出物へ放線菌および乳酸菌を作用させて得られる醗酵転換物と、1,3−プロパンジオールおよび/または炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールの親水性基剤を含有する親水性基剤中油型乳化組成物を提供する。
本発明はまた該親水性基剤中油型乳化組成物を水中もしくは水性基剤へに分散させて得られる水中油型エマルションの形で提供されてもよい。
【0006】
別の態様において本発明は、上記醗酵転換物を0.1〜30重量%、1,3−プロパンジオールおよび/または炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールの親水性基剤を1〜80重量%、ならびに油相成分を1〜90重量%混合して得られる親水性基剤中油型乳化組成物もまた提供する。本発明はさらに該親水性基剤中油型乳化組成物を含有する化粧料もまた提供する。
【0007】
本発明の化粧料は、清浄用化粧料、頭髪用化粧料、基礎化粧料、メークアップ化粧料、芳香化粧料、日焼け・日焼け止め化粧料、爪化粧料、アイライナー化粧料、口唇化粧料、口腔化粧料または入浴化粧料として提供されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の親水性基剤中油型乳化組成物は、油相成分が均一に乳化されており、保存安定性が高い。また安全性にも優れている。本発明の化粧料は、通常の化粧料と同様に使用することができ、皮膚、毛髪等に対して安全性が高く、乳化性、使用感特性、外観(ツヤ、キメ等)、且つ保存安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例3のエマルションを40℃で3ヶ月保存した後のO/Wの乳化状態を示す写真である。なお、写真中のスケールは10μmを示す。
【図2】比較例3のエマルションを40℃で3ヶ月保存した後のO/Wの乳化状態を示す写真である。なお、写真中のスケールは50μmを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いる醗酵転換物は、シソ科タツナミソウ属の植物、ツバキ科ツバキ属の植物、キク科の植物(Artemisia princes var orientalis)、ドクダミ科ドクダミ属の植物(Houttuynia cordata)、ミカン科植物(Citrus junos)からの抽出物へ放線菌並びに乳酸菌を作用させて生物変換して得られる物質である。各植物として好適なものとしては、シソ科タツナミソウ属の植物としてオウゴン(Scutellaria baicalensis)、ツバキ科ツバキ属の植物として緑茶(Camellia sinensis leaf)、キク科の植物としてヨモギ (Artemisia princeps var orientalis)、ドクダミ科ドクダミ属の植物としてドクダミ(Houttuynia cordata)、ミカン科植物としてユズ(Citrus junos)が挙げられる。
【0011】
前記それぞれの植物エキスは、通常、植物から有効成分を抽出する各種の方法によって得られる。
【0012】
一例として、オウゴン抽出物を得る場合、オウゴン乾固物にエタノール、メタノールなどの極性溶媒またはそれらと精製水の混合溶液を粉砕物の10倍(重量比)程加え、冷却コンデンサー付き抽出機で約80℃の温度で24時間加熱して抽出物を得て、これをろ過し減圧濃縮させて濃縮抽出液を得る。そして、得られた濃縮抽出液に、その2倍(重量比)に該当する精製水を加えた後、酢酸エチル、塩化メチレンなどの非極性溶媒を4倍(重量比)ほど添加し、強く振盪した後、上層の非極性溶媒層を分離して減圧濃縮するとオウゴン抽出物が得られる。
【0013】
他の例として、オウゴン抽出物を得る場合、オウゴン乾燥物に精製水を2倍(重量比)加えて、これにエタノール、メタノールなどの極性溶媒またはそれらと精製水との混合溶液を粉砕物の20倍重量を加えて冷却コンデンサー付き抽出機で60℃の温度で10時間加熱して抽出物を得、これをろ過し減圧濃縮して濃縮抽出液を得る。 得られた濃縮抽出液に、その10倍(重量比)に該当するエタノール、メタノールなどの極性溶媒またはそれらと精製水との混合溶液を加えて強く振盪抽出した後、ろ過して固形分を除去するとオウゴン抽出物が得られる。
【0014】
さらに他の例として、オウゴン抽出物の場合、オウゴン抽出物の中の主要抗菌活性成分は超臨界流体抽出技術を使用した次のような抽出方法で得ることができる。つまり、超臨界流体抽出装置で70〜90℃、4,000〜6,000PSI圧力で主溶媒である二酸化炭素100体積部に対して2〜20(v/v)%のジエチルアミンまたはトリエチルアミンが溶解されたメタノール、エタノール、水またはこれの混合溶媒で選択された1種以上のアルカリ性共溶媒1〜20体積部を反応器で混合して抽出した後、カラムクロマトグラフィを利用して分離、ろ過、精製してオウゴン抽出物が得られる。
【0015】
以上の方法のほかにも様々な方法によりオウゴン抽出物を得ることができる。また同様の抽出方法により、緑茶抽出物、ヨモギ抽出物、ドクダミ抽出物、ユズ抽出物を得る事ができる。
【0016】
得られたオウゴン抽出物には、主成分のバイカレイン(baicalein)を含めてバイカリン(baicalin)、DTF、オウゴニン(wogonin)、7-メトキシバイカレイン(7-methoxybaicalein)、オロキシリン-A(oroxylin-A)、skμLlcapflavone I、IIなどのフラボノイドが含有されており、その他にも、ベータシトステロール(beta-sitosterol)、カンペステロール(campesterol)などのステロール類と、スクロース(sucrose)、D-グルコース(D-glucose)などの糖類、精油およびその他各種樹脂が含有されている。バイカリン、DTF、オウゴニンなどの特定フラボノイドは抗菌活性に優れることが知られており、前記オウゴン抽出物、緑茶抽出物、ヨモギ抽出物、ドクダミ抽出物、ユズ抽出物中に極微量含まれていることが知られている。
【0017】
本発明に用いられる醗酵転換物は、前記オウゴン抽出物、緑茶抽出物、ヨモギ抽出物、ドクダミ抽出物、ユズ抽出物を自然より単離された放線菌(Actinomycetes spp.)と乳酸菌(Lactobacillus spp.)の培養液と接触させ、抗菌活性を高めたものである。
【0018】
本発明に用いられる醗酵転換物は特に、醗酵転換物としてオウゴン抽出物由来のものを20〜60重量部、緑茶抽出物由来のものを10〜30重量部、ドクダミ抽出物由来のものを10〜30重量部、ヨモギ抽出物由来のものを10〜30重量部、ユズ抽出物由来のものを10〜20重量部で混合したものを用いるのが好ましい。特に、各抽出物を10〜20%含有するTSB培地へ放線菌および乳酸菌を接種し、5日または7日培養したものが好適に用いられる。かかる醗酵転換物としては、韓国バイオスキンテク社のMFP(商品名)が例示される。
【0019】
該醗酵転換物は、Bacillus subtilis(ATCC21770)、Staphylococcus aureus(ATCC29213)、グラム陰性菌としてEscherichia coli(ATCC25922)、Sal.typhimurium(ATCC14028)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC27853)、Staphylococcus serevisiae(ATCC24858)、酵母としてCandida albicans(ATCC32354)、真菌としてAspergillus Fumigatus(ATCC90906)等に対する抗菌特性を有しているのも特徴である。
【0020】
本発明の親水性基剤中油型乳化組成物中の上記醗酵転換物の配合量は、生成される親水性基剤中油型乳化組成物の状態が安定なゲル状となるという点からは0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上である。また、化粧料とした際の使用時のべたつきを考慮すると30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0021】
本発明に用いる1,3−プロパンジオールおよび/または炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールの親水性基剤の量は、生成される親水性基剤中油型乳化組成物の状態が安定なゲル状になるという点から1.0重量%以上、好ましくは5.0%以上である。また、化粧料とした際の感触を考慮すると90重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
【0022】
本発明における油相成分としては、公知の化粧料用油性物質を用いればよい。該油性物質としては、炭化水素類、シリコーン類、エステル類、トリグリセライド類、ワックス類、ロウ類および動植物油脂などが挙げられる。
【0023】
親水性基剤中油型乳化組成物中の油相成分の配合量は、生成される親水性基剤中油型乳化組成物の状態が安定なゲルになるという点から10重量%以上、好ましくは20重量%以上である。また、生成される親水性基剤中油型乳化組成物の安定性を考慮すると90重量%以下、好ましくは70重量%以下である。
【0024】
本発明の親水性基剤中油型乳化組成物は上記醗酵転換物、親水性基剤および油相成分の所定量を均一に混合することによって製造できる。混合方法は、上記成分の所定量を均一に混合できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な方法いずれを用いてもよい。例えば市販のホモミキサーやディスパーミキサーを用いればよい。
【0025】
このようにして得られる本発明の親水性基剤中油型乳化組成物は、均一で透明〜乳白色のゲル状または粘稠な液体であり、水を加えても安定である。したがって、このままの形態で、または水を加えてエマルションとして、化粧料として好適に使用することができる。
【0026】
本発明の親水性基剤中油型乳化組成物を含む化粧料を調製する場合、化粧料に含まれる親水性基剤中油型乳化組成物の量は特に限定的ではなく、化粧料の種類や使用目的に応じて適宜選択すればよい。典型的には醗酵転換物の量が化粧料の0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上となるよう配合し、化粧料の使用感触を考慮すると醗酵転換物の量の上限が90重量%、好ましくは90重量%以下となるよう配合するとよい。
【0027】
本発明の醗酵転換物を含有する親水性基剤中油型乳化組成物はそのまま、あるいはこれを水または水系溶媒に分散させて得られるエマルションとして化粧料に用いることができる。化粧料の形態としては、クリーム、乳液、化粧水等の基礎化粧料、口紅、ファンデーション等のメークアップ化粧料、日焼け・日焼け止め化粧料、ヘアクリーム、ヘアローション等の頭髪用化粧料や清浄用化粧料、芳香化粧品、爪化粧品、アイライナー化粧品、口唇化粧品、口腔化粧品、入浴化粧品等が例示される。
【0028】
本発明の醗酵転換物を含有する親水性基剤中油型乳化組成物を水系溶媒に分散させて化粧料を製造する場合、水系溶媒としては、水に加えて通常化粧料に用いられる各種成分および添加物を含有する溶媒がいずれも好適に用いられる。
本発明の醗酵転換物を含有する親水性基剤中油型乳化組成物を含有する化粧料は、必要に応じて通常化粧料に用いられる各種成分及び添加物、例えば、無機顔料、有機顔料、無機粉体、有機粉体、炭化水素類、シリコーン類、エステル類、トリグリセライド類、ワックス類、ロウ類、動植物油、界面活性剤、多価アルコール類、糖類、ビタミン類、アミノ酸類、酸化防止剤、防腐剤、香料、増粘剤、紫外線防止剤、アルコール類及びpH調整剤等を自体公知の方法により配合し、調製すればよい。各化粧料に用いられる成分、添加物については当業者に良く知られている。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下に示す配合量は、全て重量%である。
【0030】
実施例1〜14
表1の処方において、A成分を加熱攪拌し、75℃の均一な溶液を調製した。ホモジナイザーを作動させながら、この溶液に75℃に加温したB成分をゆっくり添加し、さらに20分間攪拌した。その後、C成分をゆっくりと添加し、室温まで冷却して表1の親水性基剤中油型乳化組成物を調製した。
【0031】
比較例1〜14
比較例として、実施例1〜14と同様の方法を用い、表2の処方の組成物を調製した。
【0032】
実施例1〜14、および比較例1〜14において調製した親水性基剤中油型乳化組成物の状態を観察した。さらに、この親水性基剤中油型乳化組成物に水を常温で攪拌しながら加えて水中油型エマルションを調製した。エマルションの状態を観察し、さらに40℃環境下1ヶ月経過後の状態も観察した。40℃環境下で1ヶ月経過後の保存安定性は、デジタルマイクロスコープVH-7000(キーエンス製)を用いて、乳化状態を1000倍で観察し、下記の基準に従い分散相(油)粒子の合一の有無にて判定した。その結果を、実施例については表1に、比較例については表2に処方と共に示す。なお、各成分の数字は重量部である。
【0033】
O/Wエマルションの判定(40℃、1ヶ月経過後)
○:分散相(油)粒子の合一がなく、エマルションが安定である。
△:分散相(油)粒子の合一が僅かにみられるが、エマルションの破壊はみられない。
×:分散相(油)粒子の合一がみられ、エマルションの破壊がみられる。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
実施例15(モイスチャージェルクリーム)
表3に記載されるA成分を加熱攪拌し、75℃の均一な溶液を調製した。ホモジナイザーを作動させながら、この溶液にB成分をゆっくり添加しゲルを形成させ、さらに30分間攪拌した。その後、C成分をゆっくりと添加し20分間攪拌した。これとは別に、D成分を混合し加温溶解後室温まで冷却して均一な溶液を調製した。A、B、Cの各成分の混合物をDに添加して全体を均一にした。その後、脱泡を行いモイスチャージェルクリームとした。
【0037】
表3.モイスチャージェルクリームの組成
【表3】

*2キサンタンガム(日清オイリオグループ製)
【0038】
得られたモイスチャージェルクリームはO/Wエマルションであり、分散相粒子は1〜3μmで、白く、ツヤのある外観であり、6ヶ月経過後も状態変化がみられなかった。また、抗菌性試験において、Bacillus subtilis(ATCC21770)、Staphylococcus aureus(ATCC29213)、Escherichia coli(ATCC25922)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC27853)、酵母としてCandida albicans(ATCC32354)、真菌としてAspergillus Fumigatus(ATCC90906)に対して十分な抗菌力を示した。
【0039】
実施例16(ホワイトニングミルキー)
表4に記載されるAおよびB成分を加熱攪拌し、75℃の均一な溶液を調製した。ホモジナイザーを作動させながら、A成分にB成分をゆっくり添加しゲルを形成させ、さらに30分間攪拌した。その後、C成分をゆっくりと添加し20分間攪拌した。これとは別に、D成分を混合し加温溶解後室温まで冷却して均一な溶液を調製した。A、B、Cの各成分の混合物をDの各成分の混合物に添加して全体を均一にした。その後、脱泡を行いホワイトニングミルキーとした。
【0040】
表4.ホワイトニングミルキー
【表4】

*32%クインスシードエキス液(大日本化成社製)
【0041】
得られたホワイトニングミルキーはO/Wエマルションであり、分散相粒子は2〜5μmで、白く、ツヤのある外観であり、3ヶ月経過後も腐敗も無く状態変化がみられなかった。また、抗菌性試験において、Bacillus subtilis(ATCC21770)、Staphylococcus aureus(ATCC29213)、Escherichia coli(ATCC25922)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC27853)、酵母としてCandida albicans(ATCC32354)、真菌としてAspergillus Fumigatus(ATCC90906)に対して十分な抗菌力を示した。
【0042】
[使用テスト]
「外観」、「塗布時ののび」、「塗布後のしっとり感」について官能評価を行った。女性パネラー(15名)が本実施例により得られたホワイトニングミルキーを通常の使用方法にて用いて化粧し、5:非常に良い、4.良い、3.普通、2.やや悪い、1.悪いの5段階で評価した。評価した総得点をパネラーの数で割り、評点として表5の判定符号を付した。さらに刺激感の有無も確認し、結果をパーセント表示した。表6に示す通り、本実施例により得られたホワイトニングミルキーは外観、使用性にすぐれ、刺激感もなく安全性の高い化粧料であることがわかった。
【0043】
使用性テストにおける評価点と判定符号
【表5】

【0044】
使用性テストの結果
【表6】

【0045】
実施例17(ブライトニングミルキー)
表7に記載されるAおよびB成分を加熱攪拌し、75℃の均一な溶液を調製した。ホモミキサーを作動させながら、A成分にB成分をゆっくり添加し乳化させ、室温まで冷却して均一な溶液を調製した。A、Bの各成分の混合物にCの成分を添加して全体を均一にした。その後、脱泡を行いブライトニングミルキーとした。
【0046】
表7.ブライトニングミルキー
【表7】

*22%クインスシードエキス液(大日本化成社製)
【0047】
得られたブライトニングミルキーはO/Wエマルションであり、分散相粒子は約0.5〜2μmで、白く、ツヤのある外観であり、6ヶ月経過後も状態変化がみられなかった。
【0048】
使用テスト「外観」、「塗布時ののび」、「塗布後のしっとり感」について官能評価を行った。女性パネラー15名が実施例17により得られたブライトニングミルキーを通常の使用方法にて用いて化粧し、5:非常に良い、4.良い、3.普通、2.やや悪い、1.悪いの5段階で評価した。評価した総得点をパネラーの数で割り、評点として表5に従い判定符号を付した。さらに刺激感の有無も確認し、結果をパーセント表示した。実施例17により得られたブライトニングミルキーは外観、使用性にすぐれ、刺激感もなく安全性の高い化粧料であることがわかった。
【0049】
【表8】

【0050】
実施例18(エモリエントクリーム)
表9に記載されるAおよびB成分を加熱攪拌し、75℃の均一な溶液を調製した。ホモミキサーを作動させながら、A成分にB成分をゆっくり添加し乳化させ、室温まで冷却して全体を均一にした。その後、脱泡を行いエモリエントクリームとした。同様にして対照用試料も調製した。
【0051】
表9.エモリエントクリーム
【表9】

【0052】
[使用テスト]
「外観」、「塗布時ののび」、「塗布後のしっとり感」について官能評価を行った。女性パネラー15名が実施例18により得られたエモリエントクリーム並びに対照用試料を通常の使用方法にて用いて化粧し、評価した。評価は5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:やや悪い、1:悪いの5段階で行った。評価した総得点をパネラーの数で割、評点として表5に従い判定符号を付した。さらに刺激感の有無も確認し、結果をパーセント表示した。使用テストの結果、実施例18より得られたエモリエントクリームは外観、使用性にすぐれ、刺激感もなく安全性の高い化粧料であることがわかった。
【0053】
表10.使用テストの結果
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シソ科タツナミソウ属、ツバキ科ツバキ属、キク科、ドクダミ科ドクダミ属、ミカン科の植物より抽出物を得、該抽出物へ放線菌および乳酸菌を作用させて得られる醗酵転換物と1,3−プロパンジオールおよび/または炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールの親水性基剤を含有する親水性基剤中油型乳化組成物。
【請求項2】
醗酵転換物を0.1〜30重量%、1,3−プロパンジオールおよび/または炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールの親水性基剤を1〜80重量%、ならびに油相成分を1〜90重量%混合して得られる請求項1記載の親水性基剤中油型乳化組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の親水性基剤中油型乳化組成物を含有する化粧料。
【請求項4】
親水性基剤中油型乳化組成物を、該乳化組成物を水系溶媒へ分散してなる、水中油型エマルションとして含有する、請求項3記載の化粧料。
【請求項5】
化粧料が清浄用化粧料、頭髪用化粧料、基礎化粧料、メークアップ化粧料、芳香化粧料、日焼け・日焼け止め化粧料、爪化粧料、アイライナー化粧料、口唇化粧料、口腔化粧料または入浴化粧料からなる群から選択されるいずれか1種として提供されるものである、請求項1〜4いずれかに記載の化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−173938(P2010−173938A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15146(P2009−15146)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(508351635)株式会社バイオスキンテク (2)
【氏名又は名称原語表記】BIOSKINTECH INC.
【出願人】(591119750)岩瀬コスファ株式会社 (16)
【Fターム(参考)】