説明

親水性発泡金属体

【課題】長期間の使用に亘り親水性の劣化が生じない親水性発泡金属体を提供する。
【解決手段】Ti、Cu、Ni、Al、Ag、ステンレス鋼等からなる発泡金属の空隙全体の気孔率が55〜99体積%、発泡金属の少なくとも一つの最外面に開口する空隙の開口率が5〜80面積%、最外面に開口する空隙の開口率が、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さい親水性発泡金属体であって、発泡金属の骨格表面は、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物で被覆され、かつ、発泡金属の気孔の内部には、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体が挿入・保持されている親水性発泡金属体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発泡金属体の親水性が格段に向上し、長期間の使用に亘っても、発泡金属体の親水性の劣化が生じない親水性発泡金属体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡金属等の多孔質金属の骨格の表面にシリカをコーティングした多孔質金属体は、例えば、燃料電池のガス拡散層、ルームエアコン、カーエアコンなどの熱交換器用のフィン材料、半導体チップのベーバチャンバウィック材料等として、従来から、各種技術分野において幅広く利用されている(特許文献1〜3参照)。
上記シリカをコーティングした多孔質金属体においては、いずれも、多孔質金属体の親水性向上が大きな課題とされ、種々の工夫がなされているが、例えば、発泡金属の骨格表面を、C:2.5〜15質量%を含有し、残部がシリカからなるシリカコーティング層を被覆形成することにより、親水性の向上を図ることが知られている(特許文献4参照)。
【0003】
また、発泡金属からなる多孔質金属の製造方法としては、例えば、原料粉末、水溶性樹脂結合剤、可塑剤、発泡剤および水を配合し混練して発泡スラリーを作製し、この発泡スラリーをキャリアシート上にドクターブレードなどにより薄板状に成形し、恒温・高湿度槽において前記発泡スラリーに発泡剤として含まれる揮発性有機溶剤の蒸気圧および界面活性剤の起泡性を利用して発泡させ、さらに乾燥槽において乾燥させて発泡グリーンシートを製造し、この発泡グリーンシートを脱脂装置および焼成炉を通し脱脂、焼成することにより製造することが知られている。(特許文献4、5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−100155号公報
【特許文献2】特許第3818882号明細書
【特許文献3】特開2009−92344号公報
【特許文献4】特開2008−195016号公報
【特許文献5】特開2004−43976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の多孔質金属の骨格表面にシリカをコーティングしたシリカコーティング多孔質金属体は、長期間にわたり使用された場合には、時間の経過とともに親水性が徐々に失われていく。そして、親水性の低下により、例えば、燃料電池のガス拡散層においては発電性能の低下が生じ、ルームエアコン、カーエアコンなどの熱交換器用フィン材料においては、熱交換特性の低下、水滴飛散、騒音の発生が生じ、また、半導体チップのベーバチャンバウィック材料においては、熱輸送効率の低下等、種々の問題が生じていた。
そこで、この発明では、発泡金属体の親水性が格段に向上し、長期間の使用に亘っても、発泡金属体の親水性の劣化が生じない親水性発泡金属体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、発泡金属体の親水性を格段に向上させ、その結果、長期間の使用に亘っても、発泡金属体の親水性の劣化が生じない親水性発泡金属体を得るべく研究を行なった結果、次のような知見を得たのである。
まず、発泡金属の構造として、発泡金属の空隙全体の気孔率を55〜99体積%とし、また、発泡金属の少なくとも一つの最外面に開口する空隙の開口率を、該最外面の面積の5〜80面積%とし、さらに、最外面に開口する空隙の開口率を、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さくするとともに、
上記発泡金属の骨格表面を、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物で被覆し、同時に、発泡金属の気孔の内部には、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体を挿入・保持することによって親水性発泡金属体を構成した場合には、ゾルゲル液から生成したシリカが、発泡金属の内部の気孔を含め全表面に固着させる作用を発揮するとともに、シリカ自身が親水性を示すことに加えシリカゲル粉末との共存により相乗的に親水性を向上させ、しかも、シリカゲル粉末は高比表面積を有する親水性粉末であることから、さらに一段と親水性が向上するとともに、長期に亘って、親水性が持続し劣化が生じないことを見出したのである。
【0007】
ここで、発泡金属とは、Ti、Cu、Ni、Al、Ag、ステンレス鋼等の金属焼結体の骨格により辺が構成されてなる複数の多面体状の空隙が相互に連続状態に形成されている金属多孔質体をいい、空隙は、骨格により辺が構成された複数の多面体状のポア(気孔)が相互に連続するように形成されている。
そして、発泡金属に占める空隙全体の体積割合(気孔率)は、発泡金属の重量をWpおよび同じ外形寸法の中実体の同じ金属材料とした時の重量をWとした場合、
気孔率(体積%)=(W−Wp)/W×100
によって算出する。
【0008】
この発明の発泡金属(焼結金属)は、その最外面に多数の空隙開口を有しており、この最外面に開口する空隙の面積割合(開口率)は、最外面を撮影した25〜300倍の顕微鏡写真を用い、視野面積Aと、この視野中に観察される最外面の全ての空隙開口の面積和Apとを観察測定した場合、
開口率(面積%)=Ap/A×100
によって算出することができる。
【0009】
また、発泡金属(焼結金属)の内部であって、最外面に平行な任意の断面に占める空隙開口の面積割合(断面開口率)は、上記開口率の算出の場合と同様、断面を撮影した25〜300倍の顕微鏡写真を用い、断面視野面積Acと、断面視野中に観察される全ての空隙開口の面積和Acpとを測定し、
断面開口率(面積%)=Acp/Ac×100
によって算出することができる。
【0010】
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 発泡金属の空隙全体の気孔率は55〜99体積%であり、また、発泡金属の少なくとも一つの最外面に開口する空隙の開口率は、該最外面の面積の5〜80面積%であり、さらに、最外面に開口する空隙の上記開口率は、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さい親水性発泡金属体であって、
上記発泡金属の骨格表面は、平均膜厚0.01〜1μmのシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物で被覆され、かつ、上記発泡金属の気孔の内部には、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体が挿入・保持されていることを特徴とする親水性発泡金属体。
(2) 親水性流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面に開口する空隙の開口率が、該最外面の面積の5〜80面積%である前記(1)に記載の親水性発泡金属体。
(3) 前記発泡金属の骨格が、Ti、Cu、Ni、Al、Ag、ステンレス鋼のうちのいずれかで構成されている前記(1)または(2)に記載の親水性発泡金属体。」
に特徴を有するものである。
【0011】
この発明について、以下に詳細に説明する。
まず、この発明では、発泡金属の構造について、「発泡金属の空隙全体の気孔率は55〜99体積%」、「発泡金属の少なくとも一つの最外面に開口する空隙の開口率は、該最外面の面積の5〜80面積%であり、さらに、最外面に開口する空隙の上記開口率は、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さい」と規定しているが、それぞれを規定した理由は次のとおりである。
【0012】
気孔率:
まず、発泡金属に形成された空隙全体の気孔率(=(W−Wp)/W×100(体積%)。但し、Wp:発泡金属の重量,W:同じ外形寸法の中実体の同じ金属材料とした時の重量)は、55〜99体積%とすることが必要である。
つまり、発泡金属の空隙全体の気孔率が55体積%未満では、微粒子酸化チタンとシリカとの混合物からなる凝集体を挿入・保持するための空隙が不足するばかりか、親水性発泡金属体中の毛細管として働く空隙が不足するため、親水性向上効果を十分に発揮することができず、一方、気孔率が99体積%を超えると、親水性発泡金属体としての強度が不足するため、気孔率は55〜99体積%とすることが必要である。
【0013】
空隙の開口率:
つぎに、発泡金属の少なくとも一つの最外面、好ましくは、流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面、に開口する空隙の開口率(=Ap/A×100(面積%)。但し、Ap:視野中に観察される最外面の全ての空隙開口の面積和,A:視野面積A)を5〜80面積%とすることが必要である。
例えば、燃料電池のガス拡散層におけるメタノールなどの液体燃料や生成した水などの親水性流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面に開口する空隙の開口率を5〜80面積%とする。
つまり、発泡金属の少なくとも一つの最外面(好ましくは、流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面)に開口する空隙の開口率が5面積%未満では、微粒子酸化チタンとシリカとの混合物からなる凝集体が、発泡金属の気孔の内部にまで均一に入り込めないばかりか、流体の流入口となる開口が少なすぎるため、流体の吸収や移動を妨げる。一方、開口率が80面積%を超えると、比較的小さな上記凝集体が抜け落ちてしまい、気孔内部に十分な量の凝集体を保持できなくなるとともに、自然落下に逆らうような流体の移動が難しくなることから、発泡金属の少なくとも一つの最外面、好ましくは、流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面、の開口率を5〜80面積%と定めた。
【0014】
また、この発明では、上記発泡金属の開口率は、断面開口率(=Acp/Ac×100(面積%))より小さいものとしているが、発泡金属の最外面における空隙の存在割合と該発泡金属の内部断面における空隙の存在割合とを敢えて異ならしめることにより、親水性発泡金属体全体としての、長期間使用による毛細管力の低下を防止するとともに、親水性の劣化防止を図っている。
つまり、上記発泡金属の開口率を、断面開口率より小さいものとすることによって、発泡金属の気孔内部に挿入・保持されている凝集体の抜け落ちを防止すると同時に、毛細管圧力差により、流体の引き込み力を増し、流体の移動速度を速くしているのである。
【0015】
ついで、この発明では、上記構造を備える発泡金属体において、「平均膜厚0.01〜1μmのシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物で被覆」し、かつ、上記「発泡金属の気孔の内部には、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体が挿入・保持」されると規定しているが、その理由は、次のとおりである。
まず、発泡金属の骨格表面を、平均膜厚0.01〜1μmのシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物で被覆することによって親水性を高めるのであるが、被覆するシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の平均膜厚が0.01μm未満では、発泡金属体が十分な親水性を有することができず、一方、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の平均膜厚が1μmを超えると、コーティング膜にクラックが発生し、脱落しやすくなり、長期間にわたる親水性の維持が困難になることから、この発明では、発泡金属の骨格表面に被覆するシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の平均膜厚を0.01〜1μmと定めた。
なお、被覆の平均膜厚は、被覆したシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の重量と発泡金属の比表面積から算出することができる。
【0016】
さらに、この発明では、発泡金属の気孔の内部に、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体を挿入・保持しているが、その理由は、次のとおりである。
上記凝集体の成分であるゾルゲル液から生成したシリカは、発泡金属の気孔の内部に挿入された凝集体を、気孔内部の全表面に固着・保持する作用を有するとともに、シリカ自身が親水性を示し、同時にシリカゲル粉末と相乗的に親水性を向上させる。そして、上記凝集体のもう一つの成分であるシリカゲル粉末は、高比表面積の親水性粉末であることから発泡金属の気孔内面における親水性を高めることから、より一段と親水性を向上させ、また、長期の使用に亘っての親水性を持続させ親水性の劣化を防止する。
【0017】
この発明における、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物は、例えば、直径約2mmのシリカゲルを磁性乳鉢ですりつぶし、シリカゲル粉末を作製し、また、重量%で、テトラエトキシシラン35%、エタノール35%、水30%を混合した。この混合液99.9%に酢酸を0.1%添加してシリカゾルゲル液を調製し、次いで、上記シリカゲル粉末と上記シリカゾルゲル液95%を混合することにより、シリカゲル粉末分散シリカゾルゲル液を作製する。
また、この発明における、発泡金属の気孔の内部のシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体は、例えば、上記のシリカゲル粉末分散シリカソルゲル液中に発泡金属を浸漬することによって、発泡金属の気孔内部に、上記凝集体を挿入し、気孔内面に固着させ、保持させることによって形成する。
また、この発明において、発泡金属に被覆する上記シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物、および、発泡金属の気孔内面に挿入・固着・保持するシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物(からなる凝集体)の合計量が、親水性発泡金属体全体に占める割合は、特に制限されるものではないが、多いほど親水性持続効果は高くなるが、水を保持する空隙が不足するという点から、0.5〜45重量%が望ましい。
ここで、
:シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の被覆および凝集体挿入前の重量(g)、
:シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の被覆および凝集体挿入後の重量(g)、
とした場合、
シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物割合(重量%)
=(m−m)/m×100(%)
で表される。
【0018】
図1に、Ti製発泡金属の空隙の存在形態についての一例を示す。
図1(a)は、Ti製発泡金属(厚さ:1.0mm)の最外面の顕微鏡像であり、この顕微鏡写真により求めた開口率は14面積%であり、また、図1(b)は、上記Ti製発泡金属の厚さ中央部分かつ最外面に平行な断面における顕微鏡像であり、この顕微鏡写真により求めた厚さ中央部分断面に占める開口空隙の面積割合(断面開口率)は83面積%である。
図1(a),(b)にも例示したように、この発明では、発泡金属の最外面における空隙の存在割合と該発泡金属の内部における空隙の存在割合とを敢えて異なる構造とし、毛細管圧力差による流体の引き込み力を増し、流体の移動速度を速くするとともに、発泡金属の気孔内部に挿入・保持されている凝集体の抜け落ち防止を図る。
【0019】
気孔率が55〜99体積%、開口率が5〜80面積%、かつ、開口率が断面開口率より小さな本発明の発泡金属体は、例えば、以下に示す製造方法によって作製することができる。
【0020】
発泡性スラリー作成工程:
まず、金属粉末と発泡剤とを含有する発泡性スラリーを作成する。
発泡性スラリーは、骨格を形成する金属粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)、発泡剤および水と、必要に応じて界面活性剤および/または可塑剤とを混合することにより作成される。
より具体的には、まず金属粉末、バインダおよび水を含有するスラリーを作成した後、このスラリーに発泡剤を添加し、ミキサーなどの攪拌装置で攪拌する。金属粉末としては、特に限定されず、Ni,Cu,Ti,Al,Ag,ステンレス鋼等を用いることができる。
【0021】
また、この金属粉末は平均粒径0.5μm以上30μm以下が好ましい。このような粉末は、水アトマイズ法,プラズマアトマイズ法などのアトマイズ法、酸化物還元法,湿式還元法,カルボニル反応法などの化学プロセス法によって製造することができる。
【0022】
バインダ(水溶性樹脂結合剤)としては、メチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースアンモニウム,エチルセルロース,ポリビニルアルコールなどを使用することができる。
【0023】
発泡剤は、ガスを発生してスラリーに気泡を形成できるものであればよく、揮発性有機溶剤、例えば、ペンタン,ネオペンタン,ヘキサン,イソヘキサン,イソペプタン,ベンゼン,オクタン,トルエンなどの炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤を使用することができる。この発泡剤の含有量としては、発泡性スラリーに対して0.1〜5重量%とすることが好ましい。
【0024】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩,α‐オレフィンスルホン酸塩,アルキル硫酸エステル塩,アルキルエーテル硫酸エステル塩,アルカンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤、ポリエチレングリコール誘導体,多価アルコール誘導体などの非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤などを使用することができる。
【0025】
可塑剤は、スラリーを成形して得られる成形体に可塑性を付与するために添加され、例えばエチレングリコール,ポリエチレングリコール,グリセリンなどの多価アルコール、鰯油,菜種油,オリーブ油などの油脂、石油エーテルなどのエーテル類、フタル酸ジエチル,フタル酸ジNブチル,フタル酸ジエチルヘキシル,フタル酸ジオクチル,ソルビタンモノオレート,ソルビタントリオレート,ソルビタンパルミテート,ソルビタンステアレートなどのエステル等を使用することができる。
【0026】
さらに、スラリーの特性や成形性を向上させるために任意の添加成分を加えてもよい。例えば、防腐剤を添加してスラリーの保存性を向上させたり、結合助材としてポリマー系化合物を加えて成形体の強度を向上させたりすることができる。
このように作成した発泡性スラリーから、成形装置を用いて、グリーンシートを形成する成形工程および発泡乾燥工程を行う。
【0027】
成形工程:
成形装置は、ドクターブレード法を用いてシートを形成する装置であり、発泡性スラリーが貯留されるホッパ、ホッパから供給された発泡性スラリーを移送するキャリアシート、キャリアシートを支持するローラ、キャリアシート上の発泡性スラリーを所定厚さに成形するブレード(ドクターブレード)、発泡性スラリーを発泡させる恒温・高湿度槽、発泡したスラリーを乾燥させる乾燥槽を備えている。
なお、キャリアシートの下面は、支持プレートによって支えられている。
上記の成形装置において、まず、均一化した発泡性スラリーをホッパに投入しておき、このホッパから発泡性スラリーをキャリアシート上に供給し、キャリアシート上に供給された発泡性スラリーは、キャリアシートとともに移動しながらブレードによって薄板状に成形される。
【0028】
発泡乾燥工程:
次いで、薄板状の発泡性スラリーは、所定条件(例えば温度30℃〜40℃、湿度75%〜95%)の恒温・高湿度槽内を、例えば10分〜20分かけて移動しながら発泡する。続いて、この恒温・高湿度槽内で発泡したスラリーは、所定条件(例えば温度50℃〜80℃)の乾燥槽内を例えば10分〜20分かけて移動し、乾燥される。
これにより、スポンジ状のグリーンシートが得られる。
【0029】
焼結工程:
このようにして得られたグリーンシートを脱脂・焼結することにより、薄板状の焼結体を形成する。
具体的には、例えば真空中、温度550℃〜650℃、25分〜35分の条件下でグリーンシート中のバインダ(水溶性樹脂結合剤)を除去(脱脂)した後、さらに、真空中、1200℃〜1300℃、60分〜120分の条件下で焼結する。
なお、焼結後、圧延することにより、任意の厚さ、気孔率に調整することが可能である。
例えば、焼結後、5〜90%の圧延率で圧延することによって、本発明の気孔率50〜99体積%を得ることができる。
ここで、圧延率とは、[1−(圧延後の板厚/圧延前の板厚)]×100で表される。
また、開口率、断面開口率の調整については、金属粉末の種類、スラリーの組成、キャリアシートの表面状態、恒温・高湿度槽の条件(温度、湿度、時間、圧力等)、乾燥槽の条件(温度、時間、圧力等)によって変化するが、具体的な条件については後記実施例に示すとおりである。
【発明の効果】
【0030】
この発明の親水性発泡金属体は、従来のシリカコーティング発泡金属体(多孔質金属体)と比べて、すぐれた親水性を長期間に亘って維持・発揮することができるとともに、長期間使用による毛細管力の持続が可能である。さらに、親水性が維持されることによって、長期に亘る表面汚染防止、水の保持力の持続という効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の親水性Ti製発泡金属体(実施例1)についての、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の被覆および凝集体挿入前の発泡体の顕微鏡像を示し、(a)は、最外面の開口空隙(開口率14%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示し、(b)は、厚さ方向中央部断面における開口空隙(断面開口率83%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。
【図2】シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の被覆および凝集体挿入後の本発明の親水性Ti製発泡金属体(実施例1)の表面状態の電子顕微鏡像(倍率:100倍)を示す。
【図3】本発明の親水性Cu製発泡金属体(実施例2)についての、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の被覆および凝集体挿入前の発泡体の最外面の開口空隙(開口率77%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明について、実施例を用いて以下に説明する。
なお、ここでは、Ti製発泡金属体、Cu製発泡金属体およびNi製発泡金属体に対して、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の被覆および凝集体挿入を行って得た親水性発泡金属体について説明するが、本発明はこれらに制限されるものではなく、Al、Ag、ステンレス鋼等の発泡金属についても適用できるものである。
【実施例】
【0033】
Ti製発泡金属の作製:
金属粉末として平均粒径10μmのTi粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース10%を含む水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意し、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤10質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤3質量%、発泡剤0.6質量%、残部:水となるように配合し、15分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.5mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を20分かけて移動し、引き続き温度80℃の乾燥槽内を20分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度550℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度1200℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率70%を有し、厚さ2.0mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するTi製発泡金属を作製した。
得られたTi製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
【0034】
シリカゲル粉末分散シリカゾルゲル液の作製:
直径約2mmのシリカゲルを磁性乳鉢ですりつぶし、シリカゲル粉末を作製し、また、重量%で、テトラエトキシシラン35%、エタノール35%、水30%を混合した。この混合液99.9%に酢酸を0.1%添加してシリカゾルゲル液を調製し、次いで、上記シリカゲル粉末と上記シリカゾルゲル液95%を混合することにより、シリカゲル粉末分散シリカゾルゲル液を作製した。
【0035】
親水性Ti製発泡金属体の作製:
上記Ti製発泡金属試験片を、上記のシリカゲル粉末分散シリカゾルゲル液に浸漬し、大気中にて、80℃、60分間保持の条件で熱処理を行い、Ti製発泡金属の骨格表面に、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物を0.1μmの膜厚で被覆するとともに、Ti製発泡金属の気孔の内部にシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体を挿入し、保持した、本発明の親水性Ti製発泡金属体(実施例1という)を作製した。
【0036】
表1に、実施例1について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および厚さ方向中央部の断面開口率(面積%)およびシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物割合(=(m−m)/m×100)の値を示す。
【0037】
また、図1(a)に、実施例1のTi製発泡金属の最外面の開口空隙(開口率14%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示し、図1(b)に、実施例1の中央断面における開口空隙(断面開口率83%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。
図2は、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物の被覆および凝集体挿入後の実施例1の親水性Ti製発泡金属体の表面状態を示す電子顕微鏡像(倍率:100倍)であり、気孔中に凝集体の存在(白っぽい部分)が観察される。
【0038】
Cu製発泡金属の作製:
金属粉末として平均粒径8μmのCu粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース10%を含む水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意し、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤10質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤6質量%、発泡剤3質量%、残部:水となるように配合し、15分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.05mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を20分かけて移動し、引き続き温度80℃乾燥槽内を20分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、大気中、温度450℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて水素雰囲気中、温度900℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率93%を有し、厚さ0.2mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するCu製発泡金属を作製した。
得られたCu製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
【0039】
親水性Cu製発泡金属体の作製:
上記Cu製発泡金属を、実施例1で作製したシリカゲル粉末分散シリカゾルゲル液に浸漬し、大気中にて、80℃、60分間保持の条件で熱処理を行い、Cu製発泡金属の骨格表面に、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物を0.1μmの膜厚で被覆するとともに、Cu製発泡金属の気孔の内部にシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体を挿入し、保持した、本発明の親水性Cu製発泡金属体(実施例2という)を作製した。
【0040】
表1に、実施例2について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および厚さ方向中央部の断面開口率(面積%)および微粒子酸化チタンとシリカとの混合物割合(=(m−m)/m×100)の値を示す。
【0041】
また、図3に、実施例2のCu製発泡金属の最外面の開口空隙(開口率77%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。
【0042】
Ni製発泡金属の作製:
金属粉末として平均粒径5μmのNi粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース10%を含む水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意し、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤10質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤3質量%、発泡剤1質量%、残部:水となるように配合し、15分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.3mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を20分かけて移動し、引き続き温度80℃乾燥槽内を20分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度550℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度1000℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率93%を有し、厚さ0.2mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するNi製発泡金属を作製した。
得られたNi製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
【0043】
親水性Ni製発泡金属体の作製:
上記Ni製発泡金属を、実施例1で作製したシリカゲル分散シリカゾルゲル液に浸漬し、大気中にて、80℃、60分間保持の条件で熱処理を行い、Ni製発泡金属の骨格表面に、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物を0.1μmの膜厚で被覆するとともに、Ni製発泡金属の気孔の内部にシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体を挿入し、保持した、本発明の親水性Ni製発泡金属体(実施例3という)を作製した。
【0044】
表1に、実施例3について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および厚さ方向中央部の断面開口率(面積%)および微粒子酸化チタンとシリカとの混合物割合(=(m−m)/m×100)の値を示す。
【0045】
比較のために、特許文献4(特開2008−195016号公報)に記載される方法で、Ti製発泡金属にシリカコーティングを行い、比較例のシリカコーティング多孔質Ti1〜3(比較例1〜3という)を作製した。
即ち、実施例1と同様な方法で、Ti製発泡金属試験片を作製した後、Ti製発泡金属試験片を、シランカップリング剤(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を10倍率のエタノールで希釈(比較例1)、または、50倍率のエタノールで希釈(比較例2)、または、100倍率のエタノールで希釈(比較例3)した溶液に浸漬し、大気乾燥機にて50℃、10分間保持の条件で乾燥した。その後、これを大気中、温度400℃、10分間保持の焼成を行い、骨格表面にシリカコーティング層を形成し、比較例1〜3のシリカコーティング多孔質Tiを作製した。
【0046】
参考のため、シリカコーティングを行わない焼結上がりのTi製発泡金属試験片を参考例1とした。
【0047】
また、本発明で規定する気孔率、開口率、断面開口率の条件から外れたTi製発泡金属体を参考例2として作製した。
参考例2のTi製発泡金属体の作成手順は次のとおりである。
まず、金属粉末として平均粒径20μmのTi粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤7質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤0.1質量%、残部:水となるように配合し、30分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.5mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を5分かけて移動し、引き続き温度110℃の乾燥槽内を5分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度550℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度1200℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率45%を有し、厚さ0.8mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するTi製発泡金属を作製した。
得られたTi製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
この試験片を、実施例1で作製したシリカゲル粉末分散シリカゾルゲル液に浸漬し、大気中にて、80℃、60分間保持の条件で熱処理を行い、Ti製発泡金属の骨格表面および気孔内部にシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなるコーティング処理を施すことにより、参考例2のTi製発泡金属体を作製した。
【0048】
表1に、比較例1〜3および参考例1,2について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および厚さ方向中央部の断面開口率(面積%)を示し、さらに、比較例1〜3についてはシリカの含有割合を、また、参考例2についてはシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物割合(=(m−m)/m×100)を示す。
【0049】
親水性評価試験:
上記の実施例1〜3、比較例1〜3および参考例1,2について、長期間使用条件下における親水性の良否を評価するため、以下の条件で親水性評価試験を実施した。
即ち、常温の水道水20mL/分の流水に1時間浸漬し、その後、大気中150℃で2〜12時間乾燥し、この試料を用い、スポイトにて蒸留水0.005mlを滴下し、蒸留水が吸い込まれるか、それとも、液滴のまま残るかを観察することにより、親水性の有無を判断した。
この操作を繰り返し行ない、液滴のまま残ることにより親水性無と判断されるまで続け、親水性が保持された回数を表1に示した。
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示す親水性評価試験の結果から、本発明の実施例1〜3については、親水性保持回数は100回以上であることから、すぐれた親水性を長期間の使用条件下において備えることは明らかである。
これに対して、比較例1〜3および参考例1,2では、親水性保持回数はせいぜい53回以下であり、本発明に比して、長期間の使用条件下における親水性がはるかに劣ることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の親水性発泡金属体は、長期間の使用条件下においてすぐれた親水性を維持し、また、毛細管力の持続、長期に亘る表面汚染防止、水の保磁力の持続などの効果も得られることから、例えば、燃料電池のガス拡散層、ルームエアコン、カーエアコンなどの熱交換器用のフィン材料、半導体チップのベーバチャンバウィック材料等として、長期にわたり安定した特性が必要とされる多方面の分野への適用が大いに期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡金属の空隙全体の気孔率は55〜99体積%であり、また、発泡金属の少なくとも一つの最外面に開口する空隙の開口率は、該最外面の面積の5〜80面積%であり、さらに、最外面に開口する空隙の上記開口率は、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さい親水性発泡金属体であって、
上記発泡金属の骨格表面は、平均膜厚0.01〜1μmのシリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物で被覆され、かつ、上記発泡金属の気孔の内部には、シリカゲル粉末とゾルゲル液から生成したシリカとの混合物からなる凝集体が挿入・保持されていることを特徴とする親水性発泡金属体。
【請求項2】
親水性流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面に開口する空隙の開口率が、該最外面の面積の5〜80面積%である請求項1に記載の親水性発泡金属体。
【請求項3】
前記発泡金属の骨格が、Ti、Cu、Ni、Al、Ag、ステンレス鋼のうちのいずれかで構成されている請求項1または2に記載の親水性発泡金属体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−111644(P2011−111644A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268268(P2009−268268)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】