説明

親水性膜の製造方法及びその多孔質膜

【課題】本来疎水性の多孔質ポリマー膜から永久に親水性にした多孔質ポリマー膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】多孔質疎水性膜から一体親水性膜を形成する方法は、多孔質疎水性ポリマー膜をプラズマに暴露することを含んでおり、このプラズマは、ポリマー膜の表面にカルボキシル官能基を共有結合させ一体親水性膜を形成するように構成された反応性二酸化炭素種を含有する。前記一体親水性膜を、膜の親水性を増大させる化学溶液に浸漬することをさらに含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に永久親水性膜の形成方法に関し、特に多孔質フルオロポリマー膜に親水性を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び延伸PTFE(ePTFE)のようなフルオロポリマーは機械的及び化学的に頑強な高温材料である。こうした有益な性質は、化学分解を軽減する炭素−フッ素結合の高い強度に由来する。膜は、化学的不活性及び機械的安定性の点から多孔質フルオロポリマーから形成されることが多い。膜は、例えば液体サイズ排除濾過用途に有用である。しかし、液体水濾過ではこの種のフルオロポリマーの疎水性が問題となり、親水性を付与する処理が必要とされることがある。
【0003】
親水性は「水を好む」性質として定義される。親水性は通例物質又は分子の性質を表すのに用いられ、通例物質又は分子が水との水素結合に関与する能力をいう。また、親水性の物質は通例水に引き付けられ、水に膨潤し、水によく溶解する。例えば、ビニルアルコール系ポリマー又はテトラフルオロエチレン/ビニルアルコール共重合体を用いた含浸によって、PTFE、ePTFE又はPVDF膜に親水性を付与することができる。このテトラフルオロエチレン/ビニルアルコール共重合体によるアプローチでは、ePTFEのペルフルオロポリマーへのコーティング材料中のペルフルオロポリマーの化学的親和性を利用する。しかし、その親和性はかなり低く、親水性は一時的なものでしかない。その他の方法として、連続細孔を有する膜内部を、親水性ではあるが水に不溶性のポリウレタンとフルオロ脂肪族界面活性剤との混合物で被覆するものがある。かかるアプローチでは、二相系を形成するためペルフルオロポリマー間の化学的親和性を利用し得る。別のアプローチでは、例えばPTFE粉末樹脂の照射線処理によってPTFE膜の親水性を生じさせることができる。樹脂をポロゲン及びバージンPTFE粉末と共に加工すればミクロ多孔質(マイクロポーラス)PTFE膜に親水性を付与できる。しかし、これらのプロセスのいずれによっても永続的な親水性は得られない。
【0004】
他の現行方法は「永続的な」親水性を与えるといわれる。1つの方法では、フルオロポリマー膜の架橋性コーティングとしてポリビニル求核性ポリマーを用いる。別の方法では、フルオロポリマー膜に結合した電子ビーム反応性基を含む親水性コーティングを用いる。これらの方法は膜に永続的な親水性を膜に付与できるものの、いずれも第二の親水性ポリマー系をプロセスに導入する必要がある。また、この第二のポリマーは膜に不要な追加層を膜に加えることになりかねない。
【0005】
また、多くのフルオロポリマー膜は液体水濾過に使用できるものの、水が流れるようにするため一般にアルコールでの予備湿潤段階が必要とされる。そのため、これらの膜は、膜製造業者によって予め湿らせてから湿潤状態でエンドユーザーに出荷しなければならないという製造面での考慮事項が生じる。かかる膜は脱湿又は乾燥しかねない。膜が乾燥するとその効果が損なわれ、例えば望ましくない出荷上の考慮事項(例えば、湿潤出荷)が必要とされることがある。他の望ましくない側面として、特殊な取扱い及び密封可能な容器の必要性、出荷重量の増加などの経済的な考慮事項がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4810384号明細書
【特許文献2】米国特許第6083393号明細書
【特許文献3】米国特許第6734386号明細書
【特許文献4】米国特許第7381331号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第20050164009号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第20070075013号明細書
【特許文献7】国際公開第02/04083号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、親水性膜の形成方法並びに多孔質膜について開示する。一実施形態では、多孔質疎水性膜から一体親水性膜を形成する方法は、ポリマー膜の表面に官能基が共有結合して一体親水性膜を形成するように構成された反応性二酸化炭素種を含有するプラズマに多孔質疎水性ポリマー膜を暴露することを含む。
【0008】
別の実施形態では、本方法は、膜の親水性を増大させる化学溶液に一体親水性膜を浸漬することをさらに含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、本方法は、一体親水性膜を化学溶液に浸漬し、化学溶液から親水性膜を取り出し、取り出した膜をオートクレーブ処理することをさらに含む。
【0010】
一体親水性膜は、表面と、フッ素化ポリマー表面に共有結合したペンダントな官能基とを含む多孔質フッ素化ポリマー膜を含んでおり、官能基は上記表面に親水性を付与するように構成されており、官能基はカルボン酸、カルボキシレート、潜在カルボン酸又はこれらの1種以上を含む組合せからなる。
【0011】
上記その他の特徴は添付の図面及び詳細な説明で例証する。
【0012】
例示的な実施形態について図面を参照するが、同様の要素には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】様々な処理時間のCO2プラズマ処理の前後のPVDF膜を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図2】ロールツーロールCO2プラズマ処理系の例示的な実施形態の概略図。
【図3】未処理PVDF膜と20分CO2プラズマ処理したPVDF膜とを比較したX線光電子分光法分析結果のチャート。
【図4】未処理PVDF膜と20分CO2プラズマ処理したPVDF膜とを比較した1H NMR分析結果のグラフ。
【図5】未処理PVDF膜と20分CO2プラズマ処理したPVDF膜とを比較したIR分光法結果のグラフ。
【図6】水の流量をPVDF膜のCO2プラズマ処理時間の関数として示すグラフ。
【図7】抽出性重量損失をPVDF膜に対するCO2プラズマ処理時間の関数としてグラフで示す。
【図8】処理PVDF膜をEGDE又はDEA化学溶液に浸漬した後の水の流量をCO2プラズマ処理時間の関数として示すグラフ。
【図9】処理PVDF膜をEGDE又はDEA化学溶液に浸漬した後の抽出性重量損失をCO2プラズマ処理時間の関数として示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、本来疎水性の多孔質ポリマー膜を、内部細孔の表面を含めた膜全体で一体親水性膜表面を生成する反応性二酸化炭素種を含むプラズマを用いて、永久に親水性にしたものについて開示する。得られる一体親水性膜は高い水流量、低い抽出物、及びオートクレーブ性能を示す。特に、膜は、多数の湿潤−乾燥サイクル及び/又は繰返し蒸気滅菌サイクル(オートクレーブ)を通して、優れた水濡れ性、一定の流量を示し、ほぼ抽出物がなく、膜の重量損失又は分解が実質的にない。本明細書に開示する方法は好適には一段階で実施できる。本方法は、多孔質ポリマー膜に対してコートしたり、結合したりなどする第二の親水性ポリマー系を必要とせず、また膜に親水性官能基を付与するための別の化合物を必要とすることもない。
【0015】
膜を形成するには、様々な材料を用いることができる。適当なフッ素化ポリマーとしては、特に限定されないが、ePTFE、PTFE、PVDF、ポリビニリデンジフルオライド、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリ(エチレン−alt−テトラフルオロエチレン)(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ペルフルオロプロピルビニルエーテル)(PFA)、ポリ(ビニリデンフルオライド−コ−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−コ−HFP)及びポリビニルフルオライド(PVF)が挙げられる。膜の形成に使用し得る他の材料及び方法として、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、置換ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリアクリロニトリル)、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、アクリル及びメタクリルポリマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタル酸エステル、ポリブチレンテレフタル酸エステル)、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルホン、セルロース系ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド(例えば、ナイロン、ポリフェニレンテレフタルアミド)並びにこれらのポリマーを2種以上含む組合せが挙げられる。
【0016】
膜の適当な製造方法としては、適当な材料の発泡、スカイビング又はキャスティングが挙げられる。膜は、例えばベース膜の多孔化、延伸、バブリング又は抽出の1以上によって多孔質にすることができる。別の実施形態では、繊維織物又は不織布から膜を形成できる。
【0017】
膜は閉細孔であってもよいし、或いは細孔は連続であってもよい。一実施形態では、膜の表面は、膜の両主側面に隣接する環境と流体連通する多数の相互連結細孔を画成する。液体(例えば水性極性液体)が細孔を濡らして細孔を通過できるようにする膜材料の傾向は、1以上の特性の関数として表すことができる。かかる特性には、膜の表面エネルギー、液体の表面張力、膜材料と液体との相対接触角、細孔の寸法又は有効流れ面積、膜材料と液体材料との相溶性が挙げられる。そこで、特定の実施形態では、連続細孔が存在して、膜に透過性を与える。
【0018】
いずれのタイプの膜においても、適当な気孔率は約10体積%を超える範囲である。一実施形態では、気孔率は約10〜約20体積%、約20〜約30体積%、約30〜約40体積%、約40〜約50体積%、約50〜約60体積%、約60〜約70体積%、約70〜約80体積%、約80〜約90体積%、又は約90体積%超の範囲である。本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の上下限は相互に結合及び/又は交換可能である。かかる範囲はその上下限で確定され、特記しない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を包含する。
【0019】
細孔径は細孔間で一定であってもよく、細孔は所定のパターンを画成し得る。或いは、細孔間で細孔径が異なっていてもよく、細孔は不規則なパターンを画成し得る。適当な細孔径は約50μm未満である。一実施形態では、平均細孔径は約50〜約40μm、約40〜約30μm、約30〜約20μm、約20〜約10μm、又は約10〜約1μmの範囲である。一実施形態では、平均細孔径は約1μm未満であり、約1〜約0.5μm、約0.5〜約0.25μm、約0.25〜約0.1μm、又は約0.1μm未満である。一実施形態では、平均細孔径は約0.1〜約0.01μmである。
【0020】
一実施形態では、膜は、複数のノードが複数のフィブリルで相互に連結した格子型構造を有するものでもよく、ノード及びフィブリルの表面は、膜の中で複数の細孔を画成する。少なくとも部分的に焼結したフィブリルの大きさは、フィブリルの長さ方向に垂直な方向に測った直径が約0.05〜約0.5μmである。多孔質膜の比表面積は、膜材料1g当たり約0.5〜約110m2である。
【0021】
透過性の膜を与えるため、ノード及びフィブリルの表面は、膜の両面の間を曲がりくねった経路で貫通する相互に連結した細孔を画成する。この実施形態では、膜内の細孔の平均有効孔径はマイクロメートル単位である。膜内の細孔の好適な平均有効孔径は、約0.01〜約0.1μm、約0.1〜約5μm、約5〜約10μm、又は約10μm超である。
【0022】
ノード及びフィブリル構造を有する膜は、微粉粒子と滑剤の混合物の押出によって製造し得る。押出物は、次いでカレンダリングに付す。カレンダリングした押出物を1以上の方向に「延伸」つまりストレッチすることによって、ノードを連結するフィブリルを形成して格子型の構造を画成する。「延伸」とは、材料の弾性限界を超えて延伸することによってフィブリルに永久歪み又は伸びを導入することをいう。膜を加熱つまり「焼結」することによって、材料の一部を結晶質から非晶質に変え、膜材料の残留応力を低減又は最小化することができる。一実施形態では、想定される膜の最終用途に応じて膜を焼結しなくてもよいし、或いは部分的に焼結してもよい。
【0023】
プラズマ暴露時に、膜は支持体で支持してもよいし、或いは支持体に結合(付着、接着、密着、一体保持、固定、貼付、積層、密封、固着など)してもよい。支持体は、後段での調製及び試験段階で劣化(例えば変形又は引裂)しない適当な材料であればよい。適当な支持体の例としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)を始めとするフルオロポリマー、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、セルロースエステル及びポリエステルのような合成樹脂シートが挙げられる。
【0024】
膜は、当業者に公知の方法(例えば、機械的、化学的、溶媒及び/又は熱的結合)で支持体に結合すればよい。例えば、膜は、熱、圧力、糊、接着剤、化学薬品及び/又は溶媒の適用によって支持体に結合させればよい。通例、膜は、取外し自在に又は一時的に支持体に結合させる。例えば、結合は、例えば変形、歪み、化学的若しくは物理的変化又は裂けなどによる著しい影響を多孔質膜に与えずに、膜を支持体から分離又は取り外すことができるように実施される。必要に応じて、最適の結合強度が達成されるように、例えば結合強度が増すように、膜及び/又は支持体を処理してもよい。膜及び支持体を次いでCO2プラズマ処理する。
【0025】
理論に束縛されるものではないが、膜の表面をCO2含有プラズマに暴露したときにCO2分子の炭素及び酸素原子が膜表面に共有結合することによって疎水性ポリマー膜が親水性になると考えられる。この方法は、プラズマガス混合物から反応性のイオン化二酸化炭素種を発生させ、多孔質疎水性ポリマー膜を該反応性種に暴露することを含んでいてもよい。プラズマ中の反応性二酸化炭素種は、カルボン酸官能基をポリマー膜の表面に共有結合させて一体親水性膜を形成するのに有効である。プラズマガス混合物の二酸化炭素成分の選択は、適当な条件下でガス及びプラズマを形成する能力に基づいてなされる。選択されるガス混合物は、膜のポリマー主鎖に非カルボン酸官能基を結合させるおそれのある他の反応性種を生じる成分は含まない。ガス混合物からプラズマ発生時に生成する反応性二酸化炭素種は、主に疎水性ポリマー中の炭素その他の原子と反応して親水性官能基を形成し、膜に一体親水性を付与する。一実施形態では、多孔質疎水性ポリマー膜は、プラズマ中の反応性二酸化炭素種に約10秒乃至約120分間暴露される。
【0026】
この方法の特に有益な特徴として、プラズマに対する膜の高い透過性の結果、細孔寸法が非常に小さくても、或いは細孔で画成される通路が高度に曲がりくねっていても、内部細孔の表面を含めた膜表面の実質的に全体が親水性になる。もう一つの有益な特徴として、この方法では、抽出物が非常に低く、ほぼ零に近い親水性表面を生じる(つまり、膜から不要物質が溶出しない)。本明細書で用いる「低い抽出物」とは、オートクレーブサイクル中に膜の約2重量%未満しか溶出しない膜を意味する。
【0027】
特定の実施形態では、80℃の撹拌した水中に24時間浸漬した後で、膜の10重量%未満、特に5重量%未満、さらに具体的には1重量%未満しか失われない。さらに、CO2親水性官能基の共有結合は、本質的に、現在の親水性ポリマーコーティング膜よりも高い耐久性と頑強さを与える。これらの現在の膜は水濾過用途において濾過媒体から移行又は溶出することが知られている。
【0028】
永久に親水性の多孔質PVDF膜を作るための理論上の反応を以下に示す。疎水性PVDF膜はCO2プラズマ処理によって以下の式のように官能化されると思われる。
【0029】
【化1】

CO2プラズマに暴露すると、繰返し単位当たり1〜4個のカルボン酸官能基を有する数多くの部分構造が生じ得る。C−H結合へのCO2の挿入、又は水素の引抜き後の反応性CO2プラズマの攻撃及びラジカル水素との反応によって、脂肪族カルボン酸が生じる。フッ素化カルボン酸はフッ素の引抜き並びにCO2プラズマの攻撃及び水素ラジカルとの反応によって作ることができる。図に示すように、プロトンNMRデータは2つの異なるCOOHピークを示すが、これらは少なくとも2つの磁気的に不等価なCOOH水素を示すものであり、大抵は繰返し単位当たり1又は2個のカルボン酸基しか含まない。一般に、CO2プラズマはポリマー膜の主鎖にカルボン酸基を共有結合させて、膜の表面及び膜の内部細孔表面に親水性を付与するのに有効である。
【0030】
プラズマ処理は疎水性ポリマー膜を親水性にするのに適当な条件下で実施される。処理のプロセス条件は、特に限定されないが、処理する膜の種類、プラズマのCO2含有量、プラズマ装置、電極間の印加電圧及び系の圧力を始めとするプラズマ処理条件、所望の処理時間などの多くの要因に依存することがある。例示的な実施形態では、CO2含有プラズマは約1〜約100重量%の二酸化炭素を含有する。別の例示的な実施形態では、プラズマ処理圧力は約50水銀柱ミリメートル(mtorr)〜約1000mtorr(約6.7Pa〜約133Pa)、特に約100〜約700mtorr(約13〜約93Pa)、さらに具体的には約250〜約500mtorr(約33〜約67Pa)である。プラズマ発生電極はプラズマを発生させてCO2分子をポリマー膜に共有結合させるのに有効な電力で作動させればよい。例示的な実施形態では、プラズマ電極電力は約500〜約10000W、特に約3000〜約7000Wである。同様に、CO2含有プラズマの流量はポリマー膜を永久に親水性にするのに適した速度であればよい。例示的なプラズマ流量は約0.1標準リットル毎分(slm)〜約100slm、特に約0.5〜約50slm、さらに具体的には約2〜約4slm、さらに一段と具体的には約2.5slmである。また、膜をプラズマに暴露する処理時間(滞留時間)は種々変更でき、上記プロセス条件、さらにはプラズマ組成、膜組成などに依存する。プラズマ処理時間の例は、1分未満乃至30分超である。ある例示的な実施形態では、処理時間は約1〜約30分、特に約2〜約20分、さらに具体的には約5〜約10分である。プラズマ処理中の温度は約25℃である。図1に、上記の方法で調製したPVDF多孔質膜のCO2プラズマ処理前、5分間、10分間及び20分間処理した後の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。CO2プラズマ処理は400mtorrの圧力及び2.5slmのプラズマ流量で実施した。
【0031】
疎水性ポリマー膜を親水性にするためのプラズマ装置はロールツーロール系を含んでいてもよい。図2は、ロールツーロールプラズマ装置100の例示的な実施形態を示す。装置全体100は、CO2プラズマ処理時に所望の圧力まで排気できるハウジング102内に配置することができる。疎水性ポリマー膜シートのロール104をプラズマ電極アレイ106の一端に配置することができる。疎水性ポリマー膜をアレイの各電極対108の間に通すと、CO2プラズマが発生してカルボニル基が膜に共有結合する。電極アレイ106を通過した後の親水性ポリマー膜シートは最終製品ロール110に巻き付ければよい。ロールツーロールプラズマ装置の例としては、Plasma Systems社からMarch(商標)として市販されているものがある。
【0032】
ある実施形態では、ポリマー膜はさらに、CO2プラズマ処理後膜の親水性(濡れ性)をさらに改善するために化学溶液で処理してもよい。カルボン酸と反応又はイオン性の塩を形成する親水性試薬を使用することができる。試薬の例としては、カルボン酸と共有結合で反応するアルコール、チオール、アルケン及びエポキシドが挙げられる。また、アミンもカルボン酸とイオン性の塩を形成し、所定の条件下で反応してアミドを形成する。さらに、カルボン酸はハロゲン化カルボニル、無水物その他のさらに反応性の高い基に誘導体化してもよい。処理膜のシートは、多孔質膜を飽和させるのに有効な時間化学溶液に浸漬すればよい。例示的な飽和時間は約1分間〜約24時間である。プラズマ処理した後の膜の濡れ性を高めるための例示的な化学溶液としては、特に限定されないが、ジエタノールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールドグリシジルエーテルと塩酸、これらの組合せなどが挙げられる。その他の例示的な化学溶液としては、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、水酸化ナトリウムなどの塩基性溶液中のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド又はグリシドール、これらの組合せが挙げられる。この場合、膜は反応性種(例えば、エチレンオキシド)と塩基溶液(例えば、4−ジメチルアミノピリジン)との混合溶液に浸漬してもよいし、或いは膜を別々に浸漬してもよい。例えば、膜をまず塩基性溶液に浸漬してカルボン酸を脱プロトン化してカルボキシレートとし、次いで反応性種の第二の溶液に浸漬してもよい。
【0033】
さらに別の実施形態では、プラズマ処理した膜を通過する水の流量を、膜をさらにオートクレーブ処理に付す場合の濾過用途において、向上させることができる。製造業者は概して製品中の微生物を死滅させるため加熱滅菌サイクルを用いる。従って、永続的なオートクレーブ性能はこうした膜には有用な考慮事項である。加熱滅菌に広く用いられている方法はオートクレーブ処理である。オートクレーブ処理では、大気圧を15psi超える圧力で約121℃に加熱した蒸気を使用する。好適には、オートクレーブは親水性ポリマー膜のCO2プラズマ処理に有害な影響を全く与えないだけでなく、上述の通り膜を通過する水の流量を増大させることができる。膜は、抽出性重量損失として測定される親水性を損なわずに、繰返しオートクレーブ処理できる。抽出性重量損失は膜の耐久性及び頑強さ並びに繰返し水濡れ性の指標である。抽出性重量損失の測定については、後述の実施例の欄でさらに詳しく説明する。なお、本発明は特定のオートクレーブ処理法又は装置にも限定されるものではない。
【0034】
本明細書に記載した膜は様々な寸法のものとすることができ、用途に特異的な基準で選択されるものもある。一実施形態では、膜は流体の流れる方向に約10μm未満の厚さを有する。別の実施形態では、膜は流体の流れる方向に約10μm超、例えば約10〜約100μm、約100μm〜約1mm、約1〜約5mmの範囲、又は約5mm超の厚さを有する。流体の流れる方向と垂直な方向では、膜は約10mm超の幅を有する。一実施形態では、膜は約10〜約45mm、約45〜約50mm、約50mm〜約10cm、約10〜約100cm、約100〜約500cm、約500cm〜約1mの範囲、又は約1m超の幅を有する。幅は円形領域の直径であってもよいし、多角形領域の最も近接した外周までの距離であってもよい。一実施形態では、膜はメートル域の幅と不確定な長さを有する長方形であってもよい。すなわち、膜は、ロールツーロールプラズマ装置でプラズマ処理した後の連続成形作業で所定の間隔に膜をカットすることによって決定される長さのロールへと形成し得る。
【0035】
本明細書に記載した方法で調製される膜は1以上の所定の特性を有する。例示的な特性としては、特に限定されないが、乾燥出荷された膜の濡れ性、湿/乾サイクル性能、極性溶液の濾過、非水性溶液の流動性、低pH条件下での流動性及び/又は耐久性、高pH条件下での流動性及び/又は耐久性、室温条件での流動性及び/又は耐久性、高温条件での流動性及び/又は耐久性、高圧での流動性及び/又は耐久性、所定の波長のエネルギーに対する透過性、音響エネルギーに対する透過性、又は触媒材料の担持性の1以上が挙げられる。耐久性は、例えば2日以上又は2サイクル(湿潤/乾燥、高温/低温、高/低pHなど)以上、連続して機能を保持できる膜の能力についてもいう。
【0036】
膜を通る流体の流量は1以上の要因に依存し得る。例示的な要因としては、特に限定されないが、膜の物理的及び/又は化学的性質、流体の性質(例えば、粘度、pH、溶質など)、環境特性(例えば、温度、圧力など)などの1以上が挙げられる。一実施形態では、膜は、流体若しくは液体ではなく蒸気に対して、或いは流体若しくは液体に加えて蒸気に対して透過性である。適当な蒸気透過率は、約1000g/m2/日未満、約1000〜約1500g/m2/日、約1500〜約2000g/m2/日、又は約2000g/m2/日超である。一実施形態では、膜は蒸気に対する透過性を保持したまま、液体又は流体に対して選択的に不透過性である。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は例示の目的とするものにすぎず、発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0038】
以下の実施例では、メルトブロー不織ポリプロピレン支持体上に配置したPVDFポリマーを用いて、上述の通り製造・処理した膜の特性及び効果について検討した。使用したPVDFポリマーは公称細孔寸法が1.2μmであり、GE Water and Process Technologies社から市販されている。実施例での膜の厚さは約76μm(3ミル)であった。幾つかの実施例では、プラズマ後処理用の化学溶液としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)及びジエタノールアミン(DEA)を使用した。これらの試薬はSigma−Aldrich社から市販されている。核磁気共鳴(NMR)スペクトルはBruker Avance 400(1H、400MHz)分光計で記録し、残留溶媒シフトを基準にした。オートクレーブ処理後に残った膜の量を測定し、オートクレーブ前の膜重量とオートクレーブ後の膜重量を関係付けることによって重量%を計算した。処理膜のX線光電子分光法(XPS)を行った。表面を、全体的な元素表面組成を求めるための低分解能サーベイスキャンと、存在する元素種を同定するための存在する元素の高分解能スペクトルの収集によって分析した。試料は、325WのAl Kα単色X線源を用いたKratos Ultra XPSで分析した。分析領域は700×350μmスロットであった。分析の概略深さは約50〜75Åであった。膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)分析も行った。FT−IR分析はNicolet Instrument社製Nicolet Protege 460で実施した。バックグランドスペクトルを得て、試料で16個のインターフェログラムを収集してから、フーリエ変換及びスペクトルのベースライン補正を行った。
【0039】
水の流量は20インチHgの圧力差で測定し、mL/min−cm2単位で示す。CO2プラズマ処理実験はMarch Plasma Systems社製の装置で実施した。各実験では、試料ラックに2平方フィートのPVDF膜サンプルを取り付け、プラズマ装置内の2枚の電極間に置いた。装置は40kHz、温度25℃で作動させた。プラズマ装置を流れるCO2プラズマ流量は2.5slmであり、装置は400mtorrの圧力下で作動させた。電極は電力1000Wに調整した。プラズマ装置内で膜を様々な処理時間で処理した。微量天秤を用いてプラズマ処理前後の膜を秤量した。抽出物試験は以下の手順で実施した。残留揮発分を除去するため膜を70℃で1時間乾燥してから、微量天秤を用いて秤量した。膜をメッシュスクリーンに入れ、撹拌した80℃の水に24時間浸漬した。膜を次いで70℃で1時間乾燥し、微量天秤を用いて秤量した。抽出前後の乾燥試料間の重量%の差によって抽出物%を求めた。幾つかの試料については、Steris Sterilizer、Amsco Century SV−148H Prevac Steam Sterilizerを用いて121℃、21psiで30分間オートクレーブ処理した。
【0040】
実施例1 分光分析
本実施例では、PVDF膜を、上述の装置及び条件下でCO2プラズマ処理した。PVDF膜を20分間プラズマ処理し、X線光電子分光法(XPS)、NMR及び赤外分光(IR)分析を行って、PVDF膜の微細構造に対するプラズマ処理の効果を評価した。図3に、未処理PVDF膜と実施例1のCO2プラズマ処理したPVDF膜のXPS分析を対比して示す。図3で強調文字で示す通り、XPSの結果は、CO2プラズマの炭素及び酸素分子がPVDFに共有結合していることを示している。図4は1H NMR分析の結果を示す。この図も、未処理PVDF膜と実施例1の膜を対比して示す。1H NMRは、CO2プラズマ処理で生成したカルボン酸官能基の近傍に化学シフトを示している。同様に、図5にみられるように、IR分析は、未処理PVDF膜のIRスペクトルには認められないカルボニル官能基の存在を示している。これらの各種分析法から明らかな通り、CO2プラズマ処理は、PVDF膜に部分カルボキシル基を結合させて膜に永続的な親水性を付与するのに有効である。
【0041】
実施例2 水流性能及びオートクレーブ
本実施例では、3枚の異なるPVDF膜を上述の装置及び条件下でCO2プラズマ処理した。3枚のPVDF膜は5分間、10分間又は20分間プラズマ処理した。4枚目のPVDF膜試料は比較のため未処理のまま残した。水の流れ性能をCO2プラズマ処理時間の関数として測定し、図6に示す。このチャートは、オートクレーブ処理前後の処理及び未処理膜試料を示す。オートクレーブ処理は上述の条件下で行った。図から明らかな通り、プラズマ処理時間の増加に伴って、処理膜を通過する水の流量が増大する。未処理試料では膜を通して水は流れなかったが、これはPVDFポリマーが非濡れ性で疎水性であることを示している。オートクレーブ処理後に、プラズマ処理膜の水の流量はさらに増大した。オートクレーブ処理後のPVDF膜の%重量変化もチャートに示す。オートクレーブ処理ではごくわずかな重量変化しか起こらない。これは、CO2プラズマ処理で生成する親水性表面から物質が溶出しないことを示している。図7はさらに、CO2プラズマ処理で生成した親水性表面の抽出物が低いことを示している。図7は、プラズマ処理時間の関数として測定した、プラズマ処理膜のオートクレーブ処理前の抽出物の%重量を示す棒グラフである。CO2プラズマ処理時間の増加に伴って膜からの抽出物が低下することが分かる。
【0042】
実施例3 化学溶液によるプラズマ後処理
本実施例では、4枚の異なるPVDF膜の2組を実施例2の装置及び条件下でCO2プラズマ処理した。本例でも、各試料の組で、PVDF膜の3枚は5分間、10分間又は20分間プラズマ処理し、4枚目のPVDF膜は比較のために未処理のまま残した。ただし、オートクレーブ処理前に、各試料を15時間化学溶液に浸漬した。第1の組のPVDF膜試料はEGDE溶液に浸漬した。第2の組のPVDF膜試料はDEA溶液に浸漬した。CO2プラズマ処理時間の関数としての水の流れ性能を測定し、図8に示す。このチャートは、プラズマ処理及び化学処理した膜試料のオートクレーブ処理前後を示す。本例でも、オートクレーブ処理は上述の条件下で行った。図から明らかな通り、特にオートクレーブ処理後に、CO2プラズマ処理後の化学溶液処理によって膜の水流量が大幅に向上した。本例でも、オートクレーブ後のPVDF膜の%重量変化もチャートに示す。膜を各化学溶液に浸漬した後のオートクレーブ処理ではごくわずかな重量変化しか起こらない。また、図9は、CO2プラズマ処理で生成する親水性表面の抽出物が低いことを示している。この棒グラフは、処理膜のEGDE又はDEA溶液への浸漬が、CO2プラズマ処理膜の低い抽出物にほとんど影響しないことを示している。従って、プラズマ後の化学薬品処理は、膜から溶出される抽出物の量を増大させずに、PVDF膜の濡れ性をさらに増大させるのに有効である。
【0043】
例示的な実施形態では、本明細書に記載した親水性多孔質膜は濾過装置に使用することができる。濾過装置は、例えば、カートリッジ、プレート−フレームアセンブリ、ディスクなどのあらゆる形態を取り得る。濾過装置はハウジングと上述のいずれかの実施形態の親水性多孔質ポリマー膜を含む。膜は適当な形態のものであればよく、フィルター素子の一体部品として利用することができる。
【0044】
別の例示的な実施形態では、流体を親水性ポリマー膜と接触させて流体を処理する方法は、流体(例えば、水性流体)を本明細書に記載した一実施形態の膜と接触させ、流体を膜に通して濾液を得て(例えば、流体から物質を除去し)、濾液及び/又は保持液(retentate)を回収することを含む。
【0045】
さらに、上述のCO2プラズマ処理した親水性膜は、特に限定されないが、その他、浄水、化学的分離、荷電型限外濾過膜、タンパク質単離/精製、廃棄物処理膜、生物医学用途、パーベーパレション(浸透気化)、ガス分離、燃料電池産業、電気分解、透析、陽イオン交換樹脂、電池、逆浸透、誘電体/蓄電器、工業電気化学、SO2電気分解、塩素アルカリ電解プロセス、及び超酸触媒を始めとする数多くの用途に使用し得る。本明細書に記載した通り、親水性ポリマー膜は、第二の親水性ポリマーを系に導入せずに製造することができる。従って、膜は単層にすることもできるし、多層を有することもできる。また、親水性ポリマー膜をプラズマ処理後に化学溶液に浸漬すると、膜の親水性を増大させることができる。さらに、膜の水の流量は、プラズマ処理した親水性ポリマー膜のオートクレーブ処理によってさらに増大する。膜は完全に濡らすことができ、オートクレーブサイクル後に水の高い流れを示し、抽出物はほとんどない。
【0046】
本明細書で用いた用語は特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本明細書に開示した範囲は包括的であり、組合せ自在である(例えば、「約25wt%以下、さらに具体的には約5〜約20wt%」という範囲は「約5〜約25wt%」の範囲の上下限及びあらゆる中間値を含む。)。「組合せ」という用語には、ブレンド、混合物、アロイ、反応生成物などが包含される。さらに、本明細書において、「第一」、「第二」などの用語は、順序、量又は重要度を示すものではなく、ある要素を他の要素から区別するために用いるものである。量に関して用いる「約」という用語は標記の値を含むとともに、状況に応じて定まる意味を有する(例えば、その量の測定に付随する誤差を含む)。本明細書において、「一実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」などの表現は、その実施形態に関して記載した特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/又は特性)が本明細書に記載した1以上の実施形態に含まれ、他の実施形態では存在していても存在していなくてもよいことを意味する。さらに、記載された要素同士を様々な実施形態で組合せてもよい。
【0047】
特記しない限り、本明細書で用いる用語(技術用語を含めて)はすべて本発明の実施形態が属する技術分野の当業者が通常理解する通りの意味を有する。さらに、一般的な辞書に定義されているような用語は、関連技術及び本発明に関してもその意味通りの意味を有するものと解釈され、本明細書で特に規定しない限り理想化された又は過度に厳格な意味に解釈すべきではない。
【0048】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲内で様々な変更をなすことができ、ある要素に均等なもので置き換えることができることは当業者には明らかであろう。さらに、本発明の本質的な技術的範囲内で、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるべく数多くの修正を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するための最良の形態と思料される特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
【符号の説明】
【0049】
100 ロールツーロールプラズマ装置
102 ハウジング
104 膜シートロール
106 プラズマ電極アレイ
108 電極対
110 最終製品ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質疎水性膜から一体親水性膜を形成する方法であって、ポリマー膜の表面に官能基が共有結合して一体親水性膜を形成するように構成された反応性二酸化炭素種を含有するプラズマに多孔質疎水性ポリマー膜を暴露することを含む方法。
【請求項2】
前記疎水性ポリマーがフッ素化ポリマーであり、フッ素化ポリマーがポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンジフルオライド、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(エチレン−alt−テトラフルオロエチレン)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ペルフルオロプロピルビニルエーテル)、ポリ(ビニリデンフルオライド−コ−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニルフルオライド又はこれらの1種以上を含む組合せかを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記官能基が、フッ素化ポリマーに結合したペンダントなカルボン酸、カルボキシレート、潜在カルボン酸又はこれらの1種以上を含む組合せを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記一体親水性膜を、膜の親水性を増大させる化学溶液に浸漬することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記化学溶液が、膜に共有結合又はイオン結合するように構成された試薬を含んでおり、該試薬がアルコール、チオール、アルケン、エポキシド、アミン又はこれらの1種以上を含む組合せかを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記化学溶液が塩基性溶液中に反応性種を含んでおり、該反応性種がエチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシドール又はこれらの1種以上を含む組合せからなり、塩基性溶液がトリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、水酸化ナトリウムなどの塩基又はこれらの1種以上を含む組合せを含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
一体親水性膜を化学溶液に浸漬し、該化学溶液から一体親水性膜を取り出し、取り出した膜をオートクレーブ処理することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
一体親水性膜であって、
表面を含む多孔質フッ素化ポリマーと、
フッ素化ポリマー表面に共有結合したペンダントな官能基と
を含んでおり、上記官能基が表面に親水性を付与するように構成されており、上記官能基がカルボン酸、カルボキシレート、潜在カルボン酸又はこれらの1種以上を含む組合せからなる、一体親水性膜。
【請求項9】
前記フッ素化ポリマーがポリビニリデンジフルオライドである、請求項8記載の一体親水性膜。
【請求項10】
前記親水性膜が次式を有する、請求項9記載の一体親水性膜。
【化1】

式中、a及びbは0〜2の整数である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−53361(P2010−53361A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194919(P2009−194919)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】