説明

親水性部材

【課題】本発明の目的は親水性層の耐久性に優れる表面親水性部材を提供することにある。
【解決手段】本発明の親水性部材は、有機−無機ハイブリッド膜で構成されており、その有機ドメインを緻密化することで耐久性を大幅に向上させることができる。有機ドメインを緻密化させるためには有機部と無機部の相溶性を向上させることが必要で、好ましくは親水ポリマーの架橋基を増やす、或いは親水性低分子添加剤を混入することで達成される。有機ドメインの平均最大慣性直径は0.5nm以上90nm以下が良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚性、防曇性に優れ、良好な耐久性を有する親水性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルム表面を有する製品・部材は、幅広い分野で用いられ、目的に応じ加工され機能を付与した上で使用されている。但しそれらの表面は、樹脂本来の特性から、疎水性・親油性を示すものが一般的である。従って、これらの表面に汚れ物質として、油分等が付着した場合、容易に除去することができず、また蓄積することにより、該表面を有する製品・部材の機能・特性を著しく低下させることがあった。また高湿度の条件や降雨下に曝される製品・部材では、水滴が付着することにより、透明な機能を有する製品・部材において、光の乱反射により光の透過性が阻害される問題があった。ガラスや金属等の無機表面を有する製品・部材においても、油分等の汚れ物質の付着に対する防汚性は十分とは言えず、水滴の付着による防曇性についても十分ではなかった。特に自動車用ガラス、建材用ガラスでは、都市媒塵、自動車等の排気ガスに含有されるカーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎水性汚染物質が付着する場合や、水滴の付着によりガラスを透して(鏡の場合は反射して)視界を確保することが妨げられる場合が多く、防汚性や防曇性の機能付与が強く求められていた。
【0003】
防汚性の観点から、汚れ物質を油分等の有機系物質と想定すると、汚れ防止の為には材料表面との相互作用を低減する、即ち親水化するか、撥油化する必要がある。また防曇性に対しても、付着水滴を表面に一様に拡げる拡張濡れ性(即ち親水性)を付与するか、付着水滴を除去し易くさせる撥水性を付与することが必要となる。従って、現在検討されている防汚・防曇材料は、親水化や撥水・撥油化に依拠しているものが多い。
従来提案されている親水化するための表面処理方法、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等によれば、高度に親水化されるものの、その効果は一時的であり、親水化状態を長期間維持することができない。また、親水性樹脂の一つとして親水性グラフトポリマーを使用した表面親水性塗膜も提案されている(非特許文献1)。この報告によればこの塗膜はある程度の親水性を有するものの、基材との親和性が充分とはいえず、より高い耐久性が求められている。
【0004】
その他の表面親水性機能を有する部材として、従来から光触媒として酸化チタンの利用が知られている。これは、光照射による有機物の酸化分解機能と親水化機能に基づくもので、例えば、特許文献1において、基材表面に光触媒含有層を形成すると、光触媒の光励起に応じて表面が高度に親水化されることが開示されており、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることが報告されている。酸化チタンをガラス表面にコーティングした部材は、セルフクリーニング材料として、建材用窓ガラスや自動車用フロントガラスに使用されているが、防汚性や防曇性の機能発現には、長時間太陽光の下に曝すことが必要であり、長期経時での汚れの蓄積により、その性質が劣化することは避けられなかった。また膜強度が十分とは言えず、耐久性の向上が必要であった。またプラスチック基板上に酸化チタン層を設けたセルフクリーニングフィルムも自動車用サイドミラー等に使用されているが、同じく十分な膜強度を有さず、より良好な耐摩耗性を有する親水性材料が求められていた。
【0005】
一方、撥水・撥油性に基づく防汚・防曇性材料としては、主にシリコーン化合物やフッ素化合物が使用されている。例えば、基板表面を末端シラノール有機ポリシロキサンで被覆した防汚材料が特許文献2に、ポリフルオロアルキル基を有するシラン化合物を有する材料が特許文献3に、二酸化珪素を主成分とする光学薄膜とパーフルオロアクリレートとアルコキシシラン基を有するモノマーとの共重合体との組み合わせが特許文献4に開示されている。しかしながらこれらのシリコーン化合物やフッ素化合物を用いた防汚材料は、防汚性が不十分であり、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れを除去し難く、フッ素やシリコーン等の表面エネルギーの低い化合物による表面処理は、経時による機能の低下が懸念され、耐久性の優れた防汚・防曇性部材の開発が望まれていた。
【特許文献1】国際公開第96/29375号パンフレット
【特許文献2】特開平4−338901号公報
【特許文献3】特公平6−29332号公報
【特許文献4】特開平7−16940号公報
【非特許文献1】化学工業日報、1995年1月30日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、各種基材表面に親水性に優れ、且つ、より良好な耐久性を有する親水性部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明者らはこれより先に、親水性ポリマーと金属アルコキシドを加水分解、縮重合することにより形成された架橋構造を備えた表面層により上記目的を達成し得ることを見出した。
さらに、基材上にSi、Ti、Zr、Alから選択される金属と親水ポリマーを含有した親水性膜を有する親水性部材について、詳細に観察した結果、親水性膜中の有機ドメインの平均最大慣性直径が0.5nm以上90nm以下であると、非常に良好な耐久性を有する優れた親水性被膜となることを見出し、以下の構成からなる本発明を完成した。
【0008】
(1)基材上に、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属と親水ポリマーを含有した親水性膜が形成されており、該親水性膜中のドメインの平均最大慣性直径が0.5nm以上90nm以下である親水性部材。
(2)前記平均最大慣性直径が1nm以上80nm以下である上記(1)に記載の親水性部材。
(3)前記親水性膜の表面自由エネルギーが72mN/m以上である上記(1)又は(2)に記載の親水性部材。
(4)前記親水性ポリマーが、下記一般式(I)で表される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の親水性部材。
【0009】
【化1】

【0010】
一般式(I)中、R〜R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。L1は単結合又は多価の有機連結基を表す。L2は単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。x、yは100〜0であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。Yは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表す。
【0011】
(5)前記親水性膜に、親水性の低分子添加剤を混入させた上記(1)〜(4)のいずれかに記載の親水性部材。
(6)前記低分子添加剤が、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、りん酸基、又はりん酸塩基を有する上記(5)に記載の親水性部材。
(7)前記親水性膜の摩擦係数が0.01〜0.7である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の親水性部材。
(8)前記親水性膜が、粒径10〜100nmの金属粒子を含有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の親水性部材。
(9)前記親水性膜表面に突出している金属粒子同士の距離が100nm〜1000nmである上記(8)に記載の親水性部材。
(10)前記基材が、ガラス、金属、セラミック、石、プラスチック又は樹脂である上記(1)に記載の親水性部材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各種基材表面に親水性に優れ、良好な耐久性を有する親水性被膜を形成した親水性部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の親水性部材では、基材上に、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属と親水ポリマーを含有した親水性膜が形成されている。
【0014】
親水性膜中の金属原子は親水性膜の架橋構造中に配位結合、共有結合あるいはイオン結合又はこれらが混ざった結合状態で分布していると考えられる。しかしながら、親水性組成物を塗布、硬化した親水性膜中では、有機部と無機部の相溶性の不足、架橋反応の不均一性などのため、金属原子が親水性膜中に均一に分布しているとは考え難い。同様に有機物の分布も不均一と考えられる。こうした有機物、金属原子の分布の状態は親水性膜の膜特性、とりわけ硬度等の機械的特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
そこで、親水性膜中の有機物、金属原子の分布の状態を調べるため、親水性膜を焼成し、有機部を除去した後の状態をAFMで観察した。その結果、親水性膜中の有機ドメインに起因すると考えられる凹部が認められ、また、金属粒子(かなり酸化した状態と考えられる)の突起が認められた。観察される凹部や突起は親水性膜中の有機物、金属原子(無機物)の分布の状態を反映したものと考えられ、親水性組成物の組成により大きく変化することが分った。
【0016】
また、親水性膜を焼成することで有機ドメインを除去した後、AFMにより表面凹凸を計測して得られる凹部の大きさを有機ドメインの大きさと定義したとき、その平均最大慣性直径が0.5nm以上90nm以下となる親水性膜では、親水性のみならず、耐久性が非常に優れた親水性被膜が得られることが判明した。このように平均最大慣性直径が小さいときに耐久性が優れるのは、緻密な架橋構造が形成されていたためと考えられる。平均最大慣性直径が0.5nm以上90nm以下となる親水性膜では摩擦係数が0.7以下になる。平均最大慣性直径は1nm以上80nm以下であることがより好ましい。なお、ここで言う最大慣性直径とは、有機ドメイン跡の凹部の径Rが最大となる直径Rm(換言すれば、凹部(有機ドメインがあった跡)に外接する最小の円の直径)である。
上記架橋構造を緻密化するには、親水ポリマーの架橋基を増やす、或いは親水性低分子添加剤を混入することが有効と考えられる。
【0017】
さらに、金属粒子の観察から、金属粒子の粒径が10nm〜100nmのときに耐久性に優れた親水性膜となり、金属粒子間の距離は100nm〜1000nmであることが好ましいことも分った。金属粒子間の距離は、最も近い粒子間における粒子末端間の距離のことを指し、AFM或いはSEMにより算出することができる。
【0018】
Si、Ti、Zr、Alから選択される金属と親水ポリマーを含有する親水性膜を有する親水性部材は、特に限定されないが、例えば下記構成及び製法のものを挙げることができる。すなわち、親水性部材は、支持体上に、
(a)親水性ポリマー、及び
(b)Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物
を含有する親水性層塗布液を塗布、乾燥して作製することができる。
【0019】
親水性層塗布液としては、上記(a)及び(b)成分の他に、(c)成分として、親水性の低分子添加剤、(d)成分として、(b)の金属アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、(a)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒を加えることが好ましい。
上記親水性層塗布液を用いることにより、親水性ポリマーと金属アルコキシドを加水分解、縮重合することにより形成された架橋構造を有する親水性層を得ることができる。こうして形成された架橋構造を、本発明では以下、適宜、ゾルゲル架橋構造とも称する。以下に、この好ましい態様である親水性層を形成するための親水性塗布液組成物に含まれる各成分について説明する。
【0020】
〔(a)親水性ポリマー〕
親水性ポリマーとしては、親水性基を有し、且つSi、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物と、触媒の作用により結合を生じる基を有するポリマーを挙げることができる。親水性基としては、好ましくはカルボキシ基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基等の官能基が挙げられる。これらの基は、ポリマー中のどの位置に存在しても良い。ポリマー主鎖より直接、または連結基を介し結合しているか、ポリマー側鎖やグラフト側鎖中に結合しており、複数個が存在するポリマー構造が好ましい。金属アルコキシド化合物と、触媒の作用により結合を生じる基としては、カルボキシル基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和基、エステル基、テトラゾール基などの反応性基が挙げられる。また親水性基、および金属アルコキシド化合物と触媒の作用により結合を生じる基を有するポリマー構造としては、エチレン性不飽和基(例えばアクリレート基、メタクリレート基、イタコン酸基、クロトン酸基、桂皮酸基、スチレン基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基など)がビニル重合したポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミック酸などのような縮重合したポリマー、ポリウレタンなどのような付加重合したポリマーの他、セルロース、アミロース、キトサンなどの天然物環状ポリマー構造を好ましく挙げることができる。
【0021】
本発明の親水性ポリマーの好ましい例として、前記一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。一般式(I)で表される化合物は側鎖に反応性基を多数含有させることができ、これにより緻密な架橋構造を有する親水性膜を形成できる。前記一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(I−a)、(I−b)で示される構造単位を有する。
なお、本明細書では、一般式(I)で表される化合物を特定親水性ポリマーとも呼ぶ。
【0022】
【化2】

【0023】
一般式(I−a)及び(I−b)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。L1は単結合又は多価の有機連結基を表す。L2は単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。x、yは100〜0であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。Yは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表す。
【0024】
1〜R6が炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
1〜R6は、効果および入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基である。
【0025】
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、
【0026】
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0027】
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、R1〜R6において挙げたアルキル基が同様に挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
【0028】
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
【0029】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
【0030】
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0031】
は単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とXが連結鎖なしに直接結合していることを表す。さらに、有機連結基とは非金属原子からなる連結基を示し、具体的には、0個から200個までの炭素原子、0個から150個までの窒素原子、0個から200個までの酸素原子、0個から400個までの水素原子、および0個から100個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
【0032】
【化3】

【0033】
また、L1はポリマー又はオリゴマーから形成されていてもよく、具体的には不飽和二重結合系モノマーからなるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンなどを含むことが好ましく、その他の好ましい例として、ポリ(オキシアルキレン)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミノ酸、ポリシロキサン等が挙げられ、好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンが挙げられ、より好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレートである。
これらポリマー及びオリゴマーに用いられる構造単位は1種類でもよく、2種類以上であってもよい。また、Lがポリマーまたはオリゴマーの場合は構成する元素数に制限は特になく、分子量は1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
【0034】
2は単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。ここで、単結合とはポリマー主鎖とSi原子が連結基なしに直接結合していることを表す。また、L2中に、前記構造は2つ以上存在してもよく、その場合には、互いに同じものでも、異なるものであってもよい。前記構造を1つ以上含むのであれば、他の構造はL1で挙げられたものと同様の構造を有することができる。
【0035】
また、Xは親水基であって、−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。また、−CON(R)(R)、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SON(R)(R)−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、−PO(R)(R)、−N(R)(R)(R)又は−N(R)(R)(R)(R)についてR〜Rがお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R〜Rはさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R1〜R6がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
【0036】
、R又はRとしては具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
、Rとしては具体的には、R〜Rで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、または、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
としては具体的には、R〜Rで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;硝酸アニオン、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等の無機アニオン、メタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等の有機アニオンが挙げられる。
また、このようなXとしては具体的には、−CONa、−CONH、−SONa、−SONH、−PO等が好ましい。
【0037】
x及びyは(a)特定親水性ポリマーにおける、一般式(I−a)で表される構造単位と一般式(I−b)で表される構造単位の重合モル比を表す。x及びyは100〜0であり、x+y=100となる数を表す。重合モル比x:yは、99:1〜10:90の範囲であることが好ましく、99:1〜50:50の範囲であることがさらに好ましい。
なお、ここで、ポリマー鎖を構成する構造単位である(I−a)及び(I−b)は、それぞれすべて同じものであっても、異なる複数の構造単位を含むものであってもよく、その場合、一般式(I−a)に相当する構造単位と一般式(I−b)に相当する構造単位の重合モル比が上記範囲であることが好ましい。
【0038】
(a)特定親水性ポリマーの分子量としては、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
【0039】
以下に、(a)特定親水性ポリマーの具体例〔例示化合物(1)〜(50)〕をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは、記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体であることを意味する。
【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
【化7】

【0044】
【化8】

【0045】
本発明の(a)特定親水性ポリマーを合成する前記各化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
(a)特定親水性ポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局) 等に記載されており、これらを適用することができる。
【0046】
また、上記特定親水性ポリマーは、後述するような他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
【0047】
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
【0048】
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0049】
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0050】
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0051】
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
【0052】
共重合体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、親水性膜としての機能が十分であり、(a)特定親水性ポリマーを添加する利点を十分得るために、割合は大きすぎないほうが好ましい。従って、(a)特定親水性ポリマー中の他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0053】
本発明に係る(a)特定親水性ポリマーは、本発明の親水性組成物の不揮発性成分に対して、硬化性と親水性の観点から、好ましくは5〜95質量%、更に好ましくは15〜90質量%、最も好ましくは20〜85質量%の範囲で含有される。これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。ここで、不揮発成分とは、揮発する溶媒を除いた成分をいう。
【0054】
〔(b)Si、Ti、Zi、Alから選択される元素のアルコキシド化合物〕
本発明で用いられるSi、Ti、Zi、Alから選択される元素のアルコキシド化合物(特定アルコキシドとも呼ぶ)は、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、(a)特定親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な被膜を形成する。
(b)特定アルコキシドは、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましく、親水性膜を硬化させるために、架橋構造を形成するにあたっては、前記(a)特定親水性ポリマー、(b)一般式(II)で表される特定アルコキシドを混合して支持体表面に被覆し、加熱、乾燥する。
【0055】
【化9】

【0056】
一般式(II)中、R7は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R8はアルキル基又はアリール基を表し、YはSi、Al、Ti又はZrを表し、kは0〜2の整数を表す。R7及びR8がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
【0057】
以下に、(b)一般式(II)で表される特定アルコキシドの具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。YがSiの場合、即ち、特定アルコキシド中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0058】
YがAlである場合、即ち、特定アルコキシド中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
YがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
YがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
これらの中でも、YがSiであるアルコキシドが被膜性の観点から好ましい。
【0059】
本発明に係る(b)特定アルコキシドは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
(b)特定アルコキシドは、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%の範囲で使用される。
特定アルコキシドは市販品が容易に入手できるし、公知の合成方法、たとえば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
【0060】
〔(c)親水性低分子添加剤〕
本発明にかかる親水性組成物には以下に示す特定親水性化合物である低分子添加剤を加えることができる。
(c)親水性化合物低分子添加剤としては、シランカップリング基または該シランカップリング基の加水分解物、あるいは金属アルコキシドの加水分解縮合物と反応する官能基の少なくとも1種と、酸性基又はその塩の少なくとも1種とを分子内に有する化合物であることが好ましい。シランカップリング基の加水分解物あるいは金属アルコキシドの加水分解縮合物と反応する官能基とはシランカップリング基およびその加水分解物中、あるいは金属アルコキシドの加水分解縮合物中に存在する水酸基(例えば金属がケイ素であればシラノール基)と反応する官能基であれば何でもよく、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基(ブロックイソシアナートとは、イソシアナート基が不活性化された官能基であり、加熱により活性なイソシアナート基が発生する基である)等が挙げられる。これらの官能基は分子内に少なくとも1個有していれば良く、膜強度の観点から複数個有していても良い。酸性基又は、その塩を表す官能基としてはカルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)、ホスホン酸(塩)、リン酸(塩)基が挙げられる。これらの官能基は分子内に少なくとも1個有していれば良く、親水性の観点から複数個有していても良い。また、低分子添加剤が、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、りん酸基、又はりん酸塩基を有することも好ましい。
本発明の(c)特定親水性化合物はそのlogPが−7〜2であるのが好ましく、−6〜1であるのがより好ましく、−6〜0であるのがより好ましい。この範囲において、良好な親水性が得られる。ここでlogPとは、Medicinal Chemistry Project, Pomona College, Claremont, Californiaで開発され、Daylight Chemical Information System Inc. より入手できるソフトウェアPCModelsを用いて算出した化合物のオクタノール/水分配係数(P)の値の対数である。
(c)特定親水性化合物の分子量としては膜強度の観点から50〜1000が好ましく、100〜800がさらに好ましく、100〜600が最も好ましい。分子量を前記の範囲とすることにより、ポリマー末端にのみシランカップリング基を持ち、重量当たりのSi基量の少ない親水性ポリマーバインダーの架橋効率を補い、より良好な親水性と膜強度を達成でき、好ましい。
特定親水性化合物は、単独で用いても2種以上併用しても良い。(c)特定親水性化合物は、本発明にかかる親水性膜形成用の組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%の範囲で使用される。この範囲において良好な親水性と膜強度が得られ、膜にクラックが入るなどの懸念もないため好ましい。
【0061】
本発明に好適に用い得る(c)特定親水性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
【化10】

【0063】
【化11】

【0064】
【化12】

【0065】
【化13】

【0066】
〔(d)触媒〕
本発明の親水性層の形成においては、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起する触媒を用いることができる。触媒としては、酸性を示す化合物が用いられるが、金属錯体からなるルイス酸触媒を好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ―ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素,Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
【0067】
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
【0068】
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
【0069】
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、アセチルアセトン、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
【0070】
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
【0071】
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol-Gel.Sci.and Tec. 16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
【0072】
親水性被膜における、a)親水性ポリマー:b)金属アルコキシド化合物:d)触媒の好ましい含有質量比は、20質量%:70質量%:10質量%である。
【0073】
〔無機微粒子〕
本発明の親水層は、親水性の向上や、皮膜のひび割れ防止、膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、耐久性の高い親水性に優れる親水性部材を形成することができる。
上述したような無機微粒子の中で、特にコロイダルシリカ分散物が好ましく、市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、親水層の全固形分に対して、80質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下であるのがより好ましい。
【0074】
〔その他の成分〕
以下に、必要に応じて本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
1)界面活性剤
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
【0075】
2)紫外線吸収剤
本発明においては、親水性部材の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましい。
【0076】
3)酸化防止剤
本発明の親水性部材の安定性向上のため、親水性層形成用塗布液に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
【0077】
4)溶剤
本発明の親水性部材の親水性層形成時に、基板に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、親水性層形成用塗布液に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水性部材形成時の塗布液全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
【0078】
5)高分子化合物
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
【0079】
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基板への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
【0080】
〔表面自由エネルギー〕
親水性層表面の親水性度は、汎用的に、水滴接触角で測定される。しかし、本発明のような非常に親水性の高い表面においては、水滴接触角が10°以下、さらには5°以下になることがあり、親水性度の相互比較を行うには、限界がある。一方、固体表面の親水性度をより詳細に評価する方法として、表面自由エネルギーの測定がある。種々の方法が提案されているが、本発明では、一例として、Zismanプロット法を用いて表面自由エネルギーを測定した。具体的には、塩化マグネシウムなどの無機電解質の水溶液が濃度とともに表面張力が大きくなる性質を利用し、その水溶液を用いて空中、室温条件で接触角を測定した後、横軸にその水溶液の表面張力、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力を、固体の表面自由エネルギーと定義する測定方法である。水の表面張力は72mN/mであり、表面自由エネルギーの値が大きいほど親水性が高いといえる。
このような方法で測定した表面自由エネルギーが、70mN/m〜95mN/m、好ましくは72mN/m〜93mN/m、さらに好ましくは75mN/m〜90mN/mの範囲にある親水層が、親水性に優れ、良好な性能を示す。
【0081】
本発明の親水性被膜を塗設した親水性部材は、窓ガラス等に使用する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。本発明の親水性被膜は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。
透明性は、分光光度計で可視光領域(380nm〜780nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性被膜を塗設した親水性部材を各種用途に適用することができる。
【0082】
本発明の親水性部材は、親水性層形成用塗布液組成物を、適切な基材上に塗布し、加熱、乾燥して表面親水性層を形成することで得ることができる。親水性層形成のための加熱温度と加熱時間は、ゾル液中の溶媒が除去され、強固な皮膜が形成できる温度と時間であれば特に制限はないが、加熱温度は100〜300℃であることが好ましく、加熱時間は10分〜10時間が好ましい。更に好ましくは、加熱温度が150℃〜200℃であることが好ましく、加熱時間は1〜10時間が好ましい。この際、上記温度で出来るだけ高い条件、上記加熱時間でできるだけ長い時間を選択した方が、より耐久性・耐水性に優れた部材を提供することができる。
【0083】
本発明の親水性部材が防曇効果を期待する場合には、その適用できる基材は透明な基板である。防曇効果を有する部材が適用可能な用途としては、車両用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;その他建材用ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の風防ガラス;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス;計測機器のカバーガラスが挙げられるが、最も好ましい用途は、自動車用及び建材用のガラスである。
【0084】
また、本発明の表面親水性部材に防汚効果を期待する場合には、その適用できる基材は、透明でも不透明でも良い。
防汚効果を有する部材が適用可能な用途としては、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、種々の乗物の外装、機械装置や物品の外装、防塵カバー、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、温室、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇などが挙げられるが、最も好ましい用途は、自動車用及び建材用のガラスである。
【実施例】
【0085】
以下本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0086】
〔実施例1〕
最も一般的な透明の板ガラスであるフロート板ガラス(厚み2mm)を準備し、該板ガラスの表面を10分間UV/O3処理により親水化した後、下記組成の第1層塗布液をスピンコート塗布し、100℃、10分でオーブン乾燥して、乾燥塗布量1.0g/m2の第1層を形成した。この親水性部材の表面自由エネルギーは、81.8mN/mで、非常に親水性の高い表面であった。親水性層の可視光透過率は、88%であった(日立分光光度計U3000で測定)。
【0087】
<第1層塗布液>
・コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックスC) 100g
・下記ゾルゲル調製液(1) 500g
・下記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液 30g
・精製水 450g
【0088】
【化14】

【0089】
<ゾルゲル調製液(1)>
エチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)8gと下記の側鎖にシランカップリング基を有する親水性ポリマー(特定親水性ポリマー(1−1))5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
【0090】
(特定親水性ポリマー(1−1)〜(1−3)の合成)
500ml三口フラスコにアクリルアミド56.9g、アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピル11.6g、及び1−メトキシ−2−プロパノール280gを入れ、80℃窒素気流下、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル2.3gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。アセトン2リットル中に投入し、析出した固体をろ取した。得られた固体をアセトンにて洗浄後、前記例示化合物(1)を得た。乾燥後の質量は65.6gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により求めた質量平均分子量8,500のポリマーであった。
実施例で使用した表1に示す特定親水性ポリマー(1−1)〜(1−3)は、上記と同様の手法により合成し、評価に使用した。
【0091】
(評価)
上記親水性部材について、以下の評価を行った。
親水性:空中水滴接触角(初期接触角)を測定(協和界面科学株式会社製DropMaster500で測定)した。
耐久性 鉛筆硬度:JIS K 5400に準じ、試験(安田精機製作所製鉛筆引っ掻き硬度試験機553−Mで試験)を行った。
透過率:JIS R 3106に準じ、測定(島津製作所製分光硬度計UV−3600)を行った。
摩擦係数:不織布(BEMCOT、旭化成製)を用い、接触部が2cm×3cmで500gの加重をかけて動摩擦係数を評価(新東科学株式会社製摩耗試験機Type14FWで測定)した。上記評価を、2mL蒸留水を不織布に滴下した場合(Wet)、しない場合(Dry)で行った。摩擦係数が低い方が摩耗に対する耐久性良好である。
耐久性 磨耗試験:不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で100回こすり、その前後の接触角測定。こすり後も水滴接触角が低い値を示す場合、耐久性が良好。
最大慣性直径:親水性部材を焼結炉で1000℃、1時間焼成して有機部を除去した後、AFM(ユニットにSII社製SPA400、プローブステーションにSPI3800を用い測定)測定により表面凹凸を測定し、凹部を有機ドメインとして最大慣性直径を算出した。測定は5箇所で行い、その平均値を平均最大慣性直径とした。
【0092】
〔実施例2〕
親水性ポリマーを表1に示した特定親水性ポリマー(1−2)に変更した以外は実施例1と同様にして親水性部材を作製した。
【0093】
〔実施例3〕
親水性ポリマーを表1に示した特定親水性ポリマー(1−3)に変更した以外は実施例1と同様にして親水性部材を作製した。
【0094】
〔実施例4〕
ゾルゲル調製液に0.5gの親水性低分子添加剤[グリオキザール重亜硫酸Na:ALDRICH]を混入した以外は実施例1と同様にして親水性部材を作製した。
【0095】
〔実施例5〕
ゾルゲル調製液に0.5gの親水性低分子添加剤[酒石酸Na:ALDRICH]を混入した以外は実施例1と同様にして親水性部材を作製した。
【0096】
〔実施例6〕
コロイダルシリカ分散物をスノーテックスXLに変更した以外は実施例1と同様にして親水性部材を作製した。
【0097】
〔実施例7〕
コロイダルシリカ分散物をスノーテックスXLに変更した以外は実施例4と同様にして親水性部材を作製した。
【0098】
〔比較例1〕
親水性ポリマーを下記特定親水性ポリマー(1−4)に変更した以外は、実施例1と同様にして親水性部材を作製した。特定親水性ポリマー(1−4)の合成方法は下記のとおりである。
【0099】
<特定親水性ポリマー(1−4)>
三口フラスコにアクリルアミド25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱し、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投入したところ固体が析出した。その後、濾過を行い、充分酢酸エチルで洗浄し、乾燥を行った(収量21g)。GPC(ポリスチレン標準)により、4000の質量平均分子量を有するポリマーであることを確認した。5%水溶液粘度は2.5cPs、親水性基の官能基密度は、13.4meq/gであった。
【0100】
なお、実施例1〜7、比較例1の親水性部材の評価結果を纏めて下記表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
上記表1中の特定親水ポリマー(1−1)〜(1−4)の構造式及び分子量、グリオキザール重亜硫酸Na及び酒石酸Naの構造式は以下の通りである。
【0103】
【化15】

【0104】
【化16】

【0105】
以上の結果より、ポリマーの架橋基数を増加させる、或いは親水性低分子添加剤を混入させて有機ドメインを緻密化し、平均最大慣性直径を90nm以下とすることで親水性膜の耐久性が向上することが分る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属と親水性ポリマーを含有した親水性膜が形成されており、該親水性膜中の有機ドメインの平均最大慣性直径が0.5nm以上90nm以下であることを特徴とする親水性部材。
【請求項2】
前記平均最大慣性直径が1nm以上80nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の親水性部材。
【請求項3】
前記親水性膜の表面自由エネルギーが72mN/m以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の親水性部材。
【請求項4】
前記親水性ポリマーが、下記一般式(I)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の親水性部材。
【化1】

一般式(I)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。L1は単結合又は多価の有機連結基を表す。L2は単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。x、yは100〜0であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。Yは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表す。
【請求項5】
前記親水性膜に、親水性の低分子添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜4に記載の親水性部材。
【請求項6】
前記低分子添加剤が、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、りん酸基、又はりん酸塩基を有することを特徴とする請求項5に記載の親水性部材。
【請求項7】
前記親水性膜の摩擦係数が0.01〜0.7であることを特徴とする請求項1〜6に記載の親水性部材。
【請求項8】
前記親水性膜が、粒径10〜100nmの金属粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の親水性部材。
【請求項9】
前記親水性膜表面に突出している金属粒子同士の距離が100nm〜1000nmであることを特徴とする請求項8に記載の親水性部材。
【請求項10】
前記基材が、ガラス、金属、セラミック、石、プラスチック又は樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の親水性部材。

【公開番号】特開2008−239789(P2008−239789A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82033(P2007−82033)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】