説明

親水性高分子およびそれを配合する化粧料または皮膚外用剤

【課題】 低湿度の条件下でも保湿性を維持し、配合製剤へ粘性や曳糸性、べたつき等を付与せず、被膜形成性が高く長時間皮膚上に滞留することが可能な、化粧料または皮膚外用剤用の親水性高分子を提供すること。
【解決手段】 アミド基を含有する特定の単位構造を有する親水性高分子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な親水性高分子およびそれを配合する化粧料または皮膚外用剤に関し、更に詳細には、被膜形成性が高く、保湿性に優れる親水性高分子およびそれを配合する化粧料または皮膚外用剤に関する。
【0002】
一般に皮膚の乾燥は、皮膚分泌物の量、特に皮脂分泌量の減退により、角層のバリア機能が低下し、経表皮性水分損失が大きくなったときにおこる。皮膚が乾燥状態になると皮膚のつやは低下し、小じわが目立つなどの弊害がでてくる。従って、皮膚の水分量を維持させることは重要な課題であり、そのため皮膚水分量を維持するための保湿剤に関する様々な研究が行われている。グリセリン、1,3−ブチレングリコール等の水溶性多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ等の有機酸塩類等の低分子量化合物を用いて角層内に存在する水分との水和効果を高める方法などが見出されているが、これらの保湿剤は、皮膚上で拡散しやすく、効果も一過性のものが多く、皮膚の水分量を高める作用は有するものの、その持続性には未だ課題が残っている。
【0003】
一方、高分子量の化合物も、保湿剤として用いられている。例えば、ヒアルロン酸や疎水基を有し油性基材にも配合できるアセチル化ヒアルロン酸(例えば、特許文献1参照)、細胞膜の構成に注目したホスファチジルコリンの極性基と同一の構造を有する2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位としたポリマー(例えば、特許文献2参照)、側鎖α−カルボキシル基と親水性アミノ酸のアミノ基とがアミド結合してなる保湿性を有するアミノ酸修飾γ−ポリグルタミン酸(例えば、特許文献3参照)等の高分子量化合物が提案されている。
【0004】
また、(メタ)アクリルアミド誘導体として、N−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドの単独または共重合体を、例えば、分子中に二個以上の二重結合を有する架橋性モノマーと共重合することで水に不溶化してなる調湿用樹脂(例えば、特許文献4参照)、水性ゲル用樹脂(例えば、特許文献5参照)、(メタ)アクリルアミド誘導の重合体を含む水の分離保持剤(例えば、特許文献6参照)、水蒸気の吸収、放出剤(例えば、特許文献7参照)が提案されているほか、ジアルキルアクリルアミドとイオン性アクリルアミド誘導体等の水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散層に溶解し、分散相中にラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤(例えば、特許文献8参照)、水性中に分散した油性相を含む水中油型ナノエマルジョンであって、中性のアクリル酸ホモポリマーを含む組成物(例えば、特許文献9参照)等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3557044号公報
【特許文献2】特許2832119号公報
【特許文献3】特開2007−297559号公報
【特許文献4】特開昭60−250013号公報
【特許文献5】特開昭60−250019号公報
【特許文献6】特開昭60−90010号公報
【特許文献7】特開昭61−263639号公報
【特許文献8】特開2005−298831号公報
【特許文献9】特開2002−68935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
グルセリンやピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ等に代表される従来の低分子量の保湿剤は、高湿度下では吸湿するが、低湿度下では、水分子を放出してしまい保湿性が維持されないことが多い。また、水への溶解性が高い為、皮膚上で拡散しやすく、皮膚上からの流出も阻止できない為、結果として、保湿効果の持続が望めない。また、高分子量の保湿剤においても、水溶性が高い点は低分子量保湿剤と同様で、皮膚上での拡散や、流出を完全には阻止できない。また、高分子量保湿剤は、配合製剤へ粘性や曳糸性、べたつき等の望ましくない特性を付与する場合があった。本発明の課題は、低湿度の条件下でも保湿性を維持し、配合製剤へ粘性や曳糸性、べたつき等を付与せず、被膜形成性が高く長時間皮膚上に滞留することが可能な、化粧料または皮膚外用剤用の親水性高分子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題に鑑み、被膜形成性に優れるマレイン酸系共重合体や無水マレイン酸系共重合体の一部を修飾することで、その被膜形成性を維持したまま、保湿効果が高く、配合製剤に悪影響を与えず、皮膚上での滞留性も良好な親水性高分子が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、以下の式(1)
【化1】

[式(1)中、Xは、−NHRまたはOMを示す(但し、両Xが同時にOMの場合は除く。Rは炭素数1〜3のアルキル基、Mは水素原子またはアルカリ金属原子または有機塩基基を示す。)。Rは、一方が水素原子、他方が水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、アセトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、アミド基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種を示す。]で表される1種または2種以上の単位構造を有する親水性高分子を提供する。
また、本発明は、上記記載の親水性高分子を配合する化粧料または皮膚外用剤を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の親水性高分子は、保湿効果が高く、配合製剤に悪影響を与えず、被膜形成能が良好なことによって皮膚上での滞留性も良好なものである。また、当該の親水性高分子を配合する本発明の化粧料または皮膚外用剤も、持続性のある保湿効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(親水性高分子)
本発明の親水性高分子は、式(1)で表される1種または2種以上の単位構造を有する高分子化合物である。
【0011】
【化2】

[式(1)中、Xは、−NHRまたはOMを示す(但し、両Xが同時にOMの場合は除く。Rは炭素数1〜3のアルキル基、Mは水素原子またはアルカリ金属原子または有機塩基基を示す。)。Rは、一方が水素原子、他方が水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、アセトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、アミド基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種を示す。]
【0012】
上記式(1)で表される単位構造をより詳細に説明すれば、Xは−NHRまたはOMを示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基のいずれかを示す。Rの炭素数が4以上となると、当該単位が与える高分子の親水性が減じ、充分な保湿能を示さなくなる場合がある。Mは、水素原子またはアルカリ金属原子または有機塩基基を示し、アルカリ金属原子は、ナトリウム原子またはカリウム原子を示す。有機塩基基は、アンモニア、アルキル置換アミン、アルカノール置換アミン等を示し、−OMの形式で具体的に例示すれば、−O、−O、−Oa2、−OHRa3(ここでRは、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基を示す。)等が挙げられる。但し、本発明では、両Xが同時にOMで示される単位は、発明の対象としない。Rは一方が水素原子、他方が水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、フェニル基、アセトキシ基(−OC(=O)CH)、カルボキシ基(−C(=O)OH)、塩型カルボキシ基(−C(=O)OM:ここでMは前記Mと同様である。)、アミド基(−CONH)、Nモノアルキル置換アミド基(−CONHR:ここでRは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を示す。)を示す。
【0013】
これらの単位構造の内、本発明の効果が高く奏される単位構造は、Xの一方が−NHCHCH、他方が−NHCHCH、−OH、−ONa、−OK、−O、−O(CHCHOH)、−O(CHCHOH)、−OH(CHCHOH)から選ばれる1種であり、Rは一方が水素原子、他方が水素原子、メトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、アミド基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種の場合である。また、本発明の効果がより高く奏される単位構造は、Xの両方が−NHCHCHであり、Rは一方が水素原子、他方がメトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種の場合である。更に、本発明の効果が最も高く奏される単位構造は、Xの両方が−NHCHCHであり、Rは一方が水素原子、他方がメトキシ基、カルボキシ基、Nモノエチル置換アミド基(−CONHCHCH)から選ばれる1種の場合である。
【0014】
本発明の式(1)で表される単位構造を有する親水性高分子は、例えば、マレイン酸系共重合体または無水マレイン酸系共重合体を化学的に修飾することによって得ることができる。具体的に例示すれば、エチレン−マレイン酸共重合体が有するマレイン酸由来のカルボキシ基にアンモニアやアルキル置換アミンを反応させアミド化することにより、式(1)におけるRの両方が水素原子であり、Xを−NH、−NHR(ここでRは、反応に供するアルキル置換アミンのアルキル基を示す。)と変化させた単位構造を有する親水性高分子を得ることができる。同様に、アクリル酸−マレイン酸共重合体が有するアクリル酸およびマレイン酸由来のカルボキシ基にアンモニアやアルキル置換アミンを反応させアミド化することにより、式(1)におけるRの一方が水素原子、他方が−CONH、−CONHR(ここでRは、前記と同様。)であり、Xを−NH、−NHR(ここでRは、前記と同様。)と変化させた単位構造を有する親水性高分子を得ることができる。また、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体が有する閉環酸無水物基にアンモニアやアルキル置換アミンを反応させ開環アミド化することにより、式(1)におけるRの一方が水素原子、他方がメトキシ基であり、Xを−NH、−NHR(ここでRは、前記と同様。)と変化させた単位構造を有する親水性高分子を得ることができる。アミド化は、カルボキシル基とアミノ基の直接的な脱水縮合反応、カルボニルジイミダゾールやジアルキルカルボジイミドのような縮合剤を用いた縮合反応、または尿素、アルキル化尿素を用いたアミド化反応を行うことができるが、上記以外の方法で本発明の親水性高分子を得ても構わない。
【0015】
本発明の親水性高分子は、被膜形成性と保湿能の両方を具備させるため、親水性の高分子である必要がある。本発明における親水性とは、当該高分子が、水、水−エタノール混合物、エタノールのいずれかに可溶であることを意味する。
【0016】
本発明の親水性高分子は、式(1)で表される1種または2種以上の単位構造を有するものであればその種を問わないが、親水性高分子の分子中に占める、式(1)で表される単位構造の割合が75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。最も好ましいのは、本発明の親水性高分子が、全て式(1)で表される1種または2種以上の単位構造で構成される場合である。親水性高分子の分子中に占める、式(1)で表される単位構造の割合が、75モル%未満の場合は、本発明の親水性高分子の保湿能が劣る場合がある。
【0017】
また、本発明の親水性高分子における、式(1)で表される構成単位以外の構成単位としては、本発明の効果を維持できるものであれば特に制限は無いが、親水性を大きく減じる構成単位は好ましくなく、その当該構成単位による単独重合物が、本発明における親水性を呈するものが好ましい。本発明の親水性高分子における、式(1)で表される構成単位以外の構成単位を具体的に例示すれば、アクリル酸が与える構成単位(−CHCH(COOH)−)、メタクリル酸が与える構成単位(−CHC(CH)(COOH)−)、アクリルアミドが与える構成単位(−CHCH(CONH)−)、メタクリルアミドが与える構成単位(−CHC(CH)(CONH)−)、ヒドロキシエチルアクリレートが与える構成単位(−CHCH(COOCHCHOH)−)、ヒドロキシエチルメタクリレートが与える構成単位(−CHC(CH)(COOCHCHOH)−)、N−モノメチルアクリルアミドが与える構成単位(−CHCH(CONH(CH))−)、N−モノメチルメタクリルアミドが与える構成単位(−CHC(CH)(CONH(CH))−)、N−モノエチルアクリルアミドが与える構成単位(−CHCH(CONH(CHCH))−)、N−モノエチルメタクリルアミドが与える構成単位(−CHC(CH)(CONH(CHCH))−)、N−モノプロピルアクリルアミドが与える構成単位(−CHCH(CONH(CHCHCH))−)、N−モノプロピルメタクリルアミドが与える構成単位(−CHC(CH)(CONH(CHCHCH))−)、N−ビニルピロリドンが与える構成単位等が挙げられ、それらの1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
本発明の親水性高分子は、式(1)で表される1種または2種以上の単位構造を有するものであればその種を問わないが、当該親水性高分子が架橋構造を有していても構わない。但し、架橋構造が増加するに従い、親水性高分子の溶解性が減じて被膜形成性も伴って減じるので、架橋構造は、本発明の親水性高分子中のモル分率として5%以下が好ましい。架橋構造のモル分率が5%を超えると、本発明の親水性高分子の水への溶解性が減じるため、溶解に代わり膨潤を呈する。但し、当該膨潤物は、被膜形成性は無いが、保湿性は有するものである。
【0019】
本発明の親水性高分子の分子量は、式(1)におけるR、Xの違いによる差異はあるが、概ね50,000から5,000,000の範囲である。分子量が50,000を下回ると、被膜形成性が減じる場合があり、分子量が5,000,000を超えると被膜形成性や保湿能には影響は無いが、もう一つの本発明である化粧料または皮膚外用剤への配合時において、粘稠性やべたつきが生じて化粧料や皮膚外用剤の感触を損ねる場合がある。
【0020】
(化粧料・皮膚外用剤)
本発明の化粧料または皮膚外用剤は、式(1)で表される1種または2種以上の単位構造を有する親水性高分子を配合してなるものであり、当該親水性高分子は、1種または2種以上の組み合わせで配合される。
【0021】
本発明の親水性高分子は、化粧料や皮膚外用剤の他、保湿性を付与させたい他の製剤にも配合可能なものだが、化粧料や皮膚外用剤に使用することが好ましく、化粧料に配合することがより好ましい。本発明における化粧料としては、化粧水、クリーム、乳液、美容液等の基礎化粧料や、シャンプー、リンス、トリートメント等の頭髪化粧料や、リキッドファンデーション、下地乳液等のメイクアップ化粧料や、日焼け止め化粧料等の化粧料(医薬部外品を含む)を例示することができ、皮膚外用剤としては、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤等の外用医薬品を例示することができる。
【0022】
本発明の化粧料または皮膚外用剤における、本発明の親水性高分子の配合割合は、本発明の効果が奏される限り特に制限されないが、通常、化粧料や皮膚外用剤全体に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0023】
本発明の化粧料または皮膚外用剤には、本発明の親水性高分子と共に、化粧料や皮膚外用剤に一般に用いられる成分、例えば、以下に示す油性成分、界面活性剤、アルコール類、保湿剤、ゲル化剤、粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、美肌用成分、香料等の1種または2種以上を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜組み合わせて配合してもよい。
【0024】
上記油性成分(油剤)としては、化粧料や皮膚外用剤に一般的に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源および固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、例えば炭化水素油、エステル油類、グリセライド油類、シリコーン油類、高級アルコール類、脂肪酸類、ラノリン誘導体類、ロウ類、硬化油類、フッ素系油類等を挙げることができ、これらの油剤は、肌にエモリエント感を与えることができる。
【0025】
上記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。
上記アルコール類としては、例えばエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールや、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコールや、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコールや、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール類などを挙げることができる。
上記保湿剤としては、例えば、尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等を挙げることができる。
【0026】
上記ゲル化剤としては、皮膚外用剤または化粧料に一般に用いられる水性ゲル化剤または油性ゲル化剤であれば特に制限されず、例えば、水性ゲル化剤としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ等由来の)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等由来の)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子や、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子や、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子や、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子や、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子や、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子や、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子や、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体、また、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系ゲル化剤増粘剤などを挙げることができ、油性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケンや、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体や、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸混合エステル等のデキストリン誘導体や、脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステルや、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体や、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー等の有機変性粘土鉱物などを挙げることができる。
【0027】
上記粉体としては、例えば、無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、有色顔料、パール顔料、金属粉末、タール色素、天然色素等を挙げることができ、その粒子形状(球状、針状、板状等)や、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)や、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わない。これらの粉体はそのまま使用してもよいが、2種以上の粉体を複合化したものを用いてもよく、油剤、シリコーン化合物、フッ素化合物等で表面処理を施してもよい。
【0028】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤や、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤や、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤や、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤や、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤や、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
防腐剤や抗菌剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等を挙げることができる。
【0029】
上記酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等を挙げることができる。
pH調整剤としては、例えば、乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等を挙げることができる。
【0030】
上記美肌用成分としては、例えば、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤や、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等の細胞賦活剤・肌荒れ改善剤や、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤や、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤や、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤などを挙げることができる。
【0031】
本発明の化粧料や皮膚外用剤の剤型としては特に限定されないが、水性、水中油型、油中水型等を挙げることができる。また、本発明の化粧料や皮膚外用剤の形態としては、クリーム状、ゲル状、液状を挙げることができ、本発明の効果が最も奏されるのは、化粧水、クリーム、乳液、美容液等の基礎化粧料やシャンプー、リンス、トリートメント等の頭髪化粧料や、リキッドファンデーション、下地乳液などである。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて、本発明を説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1[式(2)で表される単位構造を有する親水性高分子の合成]
内容量200mLのガラス製フラスコに、105℃で2時間乾燥させたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(ISP社製「Gantrez AN−119」平均分子量約130,000)1.56gを投入し、蒸留乾燥テトラヒドロフラン50mLで溶解させた。次いで、エチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(20質量%)2.25gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で12時間混合撹拌した。その後、析出した白色固形物を分取し、蒸留テトラヒドロフランで3回洗浄後、減圧乾燥して式(2)で表される単位構造を有する無色固体状の親水性高分子1.77g(収率88%)を得た。この親水性高分子は、水に可溶であった。また、この親水性高分子のポリスチレン換算による重量平均分子量は、約200,000であった。
【0033】
【化3】

[式中Rは、いずれか一方が水素原子、他方がメトキシ基(−OCH)を表す。Xはいずれか一方が水酸基、他方が−NHCHCHで示される基を表す。]
【0034】
実施例2[式(3)で表される単位構造を有する親水性高分子の合成]
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(ISP社製「Gantrez AN−169」平均分子量約2,500,000)2.50gに蒸留水50mLを加え、10時間還流させて加水分解を行った。その後、蒸留水を減圧留去して得られる無色の固形物を105℃で2時間乾燥させ、式(4)で表される単位構造を持つ化合物2.78gを得た。このものの1.74gを蒸留乾燥N−メチルピロリドン50mLに溶解させ、カルボニルジイミダゾール(東京化成工業社製)3.3gを添加し、室温で5時間撹拌した。次いで、エチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(20質量%)5gを1時間かけて滴下し、滴下後更に3時間室温で撹拌した。反応終了後、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランおよび余剰のエチルアミンを加熱減圧で留去し、無色の固形状物を得た。これをカラムクロマトグラフィーでイミダゾールを除去する精製を行い、式(3)で表される単位構造を有する無色固体状の親水性高分子1.58g(収率69%)を得た。この親水性高分子は、水に可溶であった。また、この親水性高分子のポリスチレン換算による重量平均分子量は、約3,600,000であった。
【0035】
【化4】

[式中Rは、いずれか一方が水素原子、他方がメトキシ基(−OCH)を表す。Meはメチル基を表す。]
【0036】
【化5】

[式中Rは、いずれか一方が水素原子、他方がメトキシ基(−OCH)を表す。]
【0037】
実施例3[式(5)で表される単位構造を有する親水性高分子の合成]
アクリル酸−マレイン酸共重合体塩溶液(日本触媒社製「アクアリックTL」)50gに蒸留水950mLを加え、陽イオン交換樹脂(強酸性型)で処理し、共重合体中のカルボン酸塩を遊離の酸型とし、その後、水分を減圧留去して無色の粉末を得た。このもの1.5gを蒸留乾燥テトラヒドロフラン100mLを加えて溶解し、エチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(20質量%)7gとジシクロヘキシルカルボジイミド(東京化成工業社製)6gを加え、室温で10時間撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランおよび余剰のエチルアミンを加熱減圧で留去し、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、式(5)で表される単位構造を有する無色固体状の親水性高分子1.75g(収率76%)を得た。この親水性高分子は、水に可溶であった。
【0038】
【化6】

[式中Rは、いずれか一方が水素原子、他方がNモノエチル置換アミド基(−CONHCHCH)を表す。Meはメチル基を表す。]
【0039】
実施例4[被膜形成性、保湿性の評価]
実施例2の製造過程で得られた式(4)で表される単位構造を持つ化合物(サンプル1)、式(4)で表される単位構造を持つ化合物が有するカルボキシ基をトリエタノールアミンで中和した塩(サンプル2)、実施例2の化合物(サンプル3)を用い、被膜形成性、保湿性の比較を行った。
(被膜形成性評価方法)
サンプル1〜3のそれぞれ2質量%水溶液を調製し、その20mLを直径10cmのガラス製シャーレに入れ、不織布で覆った後、風乾し、風乾後の状態を評価した。評価は、「表面が白化し、被膜にならない」を(×)、「部分的な白化が見られる」を(△)、「白化が無く、均一な被膜」を(○)とした。結果を表2に示す。
(保湿性評価方法)
サンプル1〜3を用い、表1に示す処方の化粧水(それぞれサンプル4〜6とする)を調製し、それぞれの化粧水を20名の化粧品専門評価者が前腕内側で「保湿性」の官能評価を行った。官能評価は、化粧水使用3時間後に、「保湿性を感じない」を(×)、「保湿性をやや感じる」を(△)、「高い保湿性を感じる」を(○)とした。結果を表2に示す。また、化粧水使用前の皮膚水分量と化粧水使用3時間後の皮膚水分量を皮表角層水分量測定装置(アイ・ビイ・エス社製 SKICON−200EX)を用いて測定した。測定値は、(「化粧水使用3時間後の皮膚水分量測定値」−「化粧水使用前の皮膚水分量測定値」)/「化粧水使用前の皮膚水分量測定値」×100の計算処理を行った。結果を表2に合わせて示す。
【0040】
【表1】

【0041】
[化粧水製造方法]
A.成分1〜9を混合溶解する。
B.成分10〜12を混合溶解する。
C.BにAを加えて溶解した後、容器に充填して化粧水を製した。
【0042】
【表2】

【0043】
表2の結果から明らかなように、本発明の親水性高分子は、被膜形成性が高く、保湿性の付与効果に優れるものであった。
【0044】
実施例5[化粧料(化粧水)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. エタノール 10.0
2. ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 0.1
3. 香料 適 量
4. 実施例3の化合物 0.5
5. 1,3−ブチレングリコール 15.0
6. 防腐剤 0.1
7. 精製水 残 量
【0045】
[製造方法]
A.成分1〜6を混合溶解した。
B.成分7にAを添加し、混合溶解した後、容器に充填して化粧料(化粧水)を調製した。
[評価]
実施例5の化粧料(化粧水)は、べたつきのないみずみずしい使用感を有し、保湿感にも優れており、しかもその効果が持続するものであった。
【0046】
実施例6[化粧料(保湿美容液)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. ショ糖脂肪酸エステル 0.6
2. モノステアリン酸グリセリル 0.1
3. モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.1
4. バチルアルコール 0.1
5. 流動パラフィン 4.5
6. トリオクタン酸グリセリル 1.5
7. 実施例3の化合物 1.0
8. 1,3−ブチレングリコール 6.0
9. グリセリン 2.0
10.エタノール 13.0
11.カルボキシビニルポリマー 0.1
12.水酸化ナトリウム 0.02
13.防腐剤 0.1
14.香料 適 量
15.精製水 残 量
【0047】
[製造方法]
A.成分1〜6を加熱混合溶解し、80℃とした。
B.成分7〜13および15を加熱混合溶解し、80℃とした。
C.AにBを添加、撹拌して乳化し、冷却中に成分14を添加した後、容器に充填して化粧料(保湿美容液)を調製した。
[評価]
実施例6の化粧料(保湿美容液)は、保湿感にも優れており、しかもその効果が持続するものであった。
【0048】
実施例7[化粧料(乳液)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. スクワラン 5.0
2. セタノール 1.0
3. ポリエキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレエート 2.0
4. セスキオレイン酸ソルビタン 0.8
5. グリセリン 5.0
6. 1,3−ブチレングリコール 10.0
7. 実施例1の化合物 1.0
8. カルボキシビニルポリマー 0.2
9. 水酸化カリウム 0.1
10.防腐剤 0.1
11.香料 適 量
12.精製水 残 量
【0049】
[製造方法]
A.成分1〜4を加熱混合溶解し、80℃とした。
B.成分5〜10および12を加熱混合溶解し、80℃とした。
C.AにBを添加、撹拌して乳化し、冷却中に成分11を添加した後、容器に充填して化粧料(乳液)を調製した。
[評価]
実施例7の化粧料(乳液)は、保湿感にも優れており、しかもその効果が持続するものであった。
【0050】
実施例8[化粧料(クリームパック)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. ポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(4モル)
セチルエーテル 0.8
2. モノステアリン酸ジグリセリル 0.2
3. トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
4. メドゥホーム油 1.0
5. グリセリン 5.0
6. 1,3−ブチレングリコール 3.0
7. 実施例1の化合物 2.0
8. 水酸化ナトリウム 0.4
9. ヒドロキシエチルセルロース 0.3
10.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
11.防腐剤 0.1
12.精製水 残 量
【0051】
[製造方法]
A.成分1〜4を加熱混合溶解し、80℃とした。
B.成分5〜12を加熱混合溶解し、80℃とした。
C.AにBを添加、撹拌して乳化し、その後、冷却した後、容器に充填して化粧料(クリームパック)を調製した。
[評価]
実施例8の化粧料(クリームパック)は、使用後の保湿感の持続に優れていた。
【0052】
実施例9[化粧料(白粉)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. 実施例2の化合物で表面処理したタルク(*1) 70.0
2. 撥水処理雲母チタン(*2) 5.0
3. ステアリン酸マグネシウム 2.0
4. グンジョウ 0.2
5. ベンガラ 0.1
6. パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7. 煙霧状無水珪酸(*3) 5.0
8. 香料 適 量
9. シリコーン処理セリサイト(*4) 残 量
*1:実施例2で得られた化合物5質量部をエタノール80質量部に溶解し、そこにタルク(JA−24R:浅田製粉社製)95質量部を加えて均一に混合した後、エタノールを加熱減圧留去し、ハンマーミルで粉砕して、表面処理したタルクを得た。
*2:5質量%のパーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理を施した雲母チタン(大東化成工業社製)
*3:アエロジル300(日本アエロジル社製)
*4:SAセリサイトFSE(三好化成社製)
【0053】
[製造方法]
A.成分1〜9を均一に混合後、ハンマーミルで粉砕した後、容器に充填して化粧料(白粉)を調製した。
[評価]
実施例9の化粧料(白粉)は、使用中および使用後の保湿感に優れていた。
【0054】
実施例10[化粧料(パウダーファンデーション)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. 酸化チタン 10.0
2. 酸化亜鉛 5.0
3. 実施例2の化合物で表面処理したマイカ(*5) 20.0
4. 実施例2の化合物で表面処理したセリサイト(*6) 残 量
5. 実施例2の化合物で表面処理したタルク(*7) 20.0
6. 無水珪酸 2.0
7. ベンガラ 0.5
8. 黄酸化鉄 2.0
9. 黒酸化鉄 0.3
10.雲母チタン 5.0
11.球状ナイロン末(*8) 1.0
12.球状シリコーン末(*9) 1.0
13.防腐剤 0.1
14.トリオクタン酸グリセリル 1.0
15.ジメチルポリシロキサン(*10) 1.0
16.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3.0
*5:実施例2で得られた化合物3質量部をエタノール80質量部に溶解し、そこにマイカ(PDM−8W:トピー工業社製)97質量部を加えて均一に混合した後、エタノールを加熱減圧留去し、ハンマーミルで粉砕して、表面処理したタルクを得た。
*6:実施例2で得られた化合物3質量部をエタノール80質量部に溶解し、そこにセリサイト(FSE:三信鉱業社製)97質量部を加えて均一に混合した後、エタノールを加熱減圧留去し、ハンマーミルで粉砕して、表面処理したタルクを得た。
*7:実施例2で得られた化合物5質量部をエタノール80質量部に溶解し、そこにタルク(JA−46R:浅田製粉社製)95質量部を加えて均一に混合した後、エタノールを加熱減圧留去し、ハンマーミルで粉砕して、表面処理したタルクを得た。
*8:ナイロン12 SP500(東レ社製)
*9:KSP−101(信越化学工業社製)
*10:KF−96A−20cs(信越化学工業社製)
【0055】
[製造方法]
A.成分1〜13を均一に混合後、ハンマーミルで粉砕した。
B.Aに成分14〜16の混合物を添加し、均一に混合後、ハンマーミルで粉砕した後、容器にプレス成型して化粧料(パウダーファンデーション)を調製した。
[評価]
実施例10の化粧料(パウダーファンデーション)は、使用中および使用後の保湿感に優れていた。
【0056】
実施例11[化粧料(リキッドファンデーション)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. スクワラン 10.0
2. デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
3. ラウリルPEG−9
ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(*11) 2.5
4. ラウリルポリグリセリル−3
ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(*12) 2.5
5. タルク 5.0
6. ベンガラ 0.5
7. 黄酸化鉄 1.0
8. 黒酸化鉄 0.1
9. 酸化チタン 10.0
10.プロピレングリコール 10.0
11.実施例1の化合物 1.0
12.トリエタノールアミン 0.15
13.防腐剤 0.1
14.香料 適 量
15.精製水 残 量
*11:KF−6038(信越化学工業社製)
*12:KF−6105(信越化学工業社製)
【0057】
[製造方法]
A.成分1〜4を均一に混合後、成分5〜9を加えビーズミル処理を行う。
B.成分10〜13および15を均一に混合溶解する。
C.AにBを撹拌しながら添加して乳化後、成分14を添加し、容器に充填して化粧料(リキッドファンデーション)を調製した。
[評価]
実施例11の化粧料(リキッドファンデーション)は、使用中および使用後の保湿感に優れていた。
【0058】
実施例12[化粧料(口紅)]
[処方]
成分 成分名 (単位:質量%)
1. カルナウバワックス 10.0
2. 重質流動イソパラフィン(*13) 20.0
3. α−オレフィンオリゴマー(*14) 20.0
4. 流動パラフィン 25.0
5. トリイソステアリン酸ジグリセリル 残 量
6. イソオクタン酸セチル 5.0
7. オゾケライトワックス 1.0
8. 水添ロジン酸ペンタエリトリット 1.0
9. (エチレン/プロピレン)コポリマー 0.1
10.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
11.赤色202号 0.3
12.黄色4号アルミニウムレーキ 0.7
13.実施例2の化合物 0.5
14.酸化チタン 0.5
15.酸化鉄被覆雲母チタン 3.0
*13:パールリーム18(日油社製)
*14:ノムコートHP−30(日清オイリオ社製)
【0059】
[製造方法]
A.成分13の10倍量(質量)のエタノール−精製水(4:1容混合液)に、成分13〜15を添加し、均一に混合した後、エタノール−精製水(4:1容混合液)を加熱減圧留去し、表面処理された酸化チタンおよび酸化鉄雲母チタンを得た。
B.成分1〜10を加熱混合溶解し、成分11、12、Aを添加し、三本ロールミルで混錬する。
C.Bを成形型に加熱溶融充填した後、冷却し、化粧料(口紅)を調製した。
[評価]
実施例12の化粧料(口紅)は、使用中および使用後の保湿感に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

[式(1)中、Xは、−NHRまたはOMを示す(但し、両Xが同時にOMの場合は除く。Rは炭素数1〜3のアルキル基、Mは水素原子またはアルカリ金属原子または有機塩基基を示す。)。Rは、一方が水素原子、他方が水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、アセトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、アミド基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種を示す。]で表される1種または2種以上の単位構造を有する親水性高分子。
【請求項2】
請求項1記載の親水性高分子を配合する化粧料または皮膚外用剤。

【公開番号】特開2011−213903(P2011−213903A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84144(P2010−84144)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】