親水性/親油性のポリマー性マトリクス投与製剤
【課題】親水性及び親油性成分の混合マトリックスを含む投与製剤又は錠剤であって、1以上の治療的に活性な薬剤が該製剤又は錠剤から放出される速度を調節することができる投与製剤又は錠剤の提供。
【解決手段】1以上の層を有し、そのうちの1層が生物学的に活性な物質を保持する医薬錠剤を含む経口製剤で、該錠剤の製剤は、親水性及び親油性材料、並びに佐剤を異なる割合で含む。錠剤は、錠剤中の活性物質の量とは無関係な速度で活性物質を放出する。
【解決手段】1以上の層を有し、そのうちの1層が生物学的に活性な物質を保持する医薬錠剤を含む経口製剤で、該錠剤の製剤は、親水性及び親油性材料、並びに佐剤を異なる割合で含む。錠剤は、錠剤中の活性物質の量とは無関係な速度で活性物質を放出する。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、親水性及び親油性成分の混合マトリックスを含む投与製剤又は錠剤であって、1以上の治療的に活性な薬剤が該製剤又は錠剤から放出される速度を調節することができる投与製剤又は錠剤に関する。
【0002】
近年、ヒトの治療及び獣医学の両分野において、活性な物質を投与することを意図して、画期的な剤形を調製することを目的とした製薬技術分野の研究に多大な努力が払われてきた。医薬剤形及び/又は調製した製剤系の画期的な特性の基本的側面の1つとして、特異的な作用部位を目標として薬物(又は活性物質)を放出し得ること、及び/又は適切なin vitroでの試験によって評価することができるアプリオリにプログラム可能な速度で、かかる活性物質を放出し得ることがある。
【0003】
ヒトの健康に関する部門だけでなく、他の部門、すなわち獣医及び農業部門も、これらの技術分野、特に、肥料、除草剤、殺虫剤、及び/又は特定の培養物のための特異的な保護剤の徐放に対して興味を寄せている。
【0004】
0次速度式に従って活性成分(活性物質)を放出することができる剤形の調製について記述した例が製薬部門には多数存在する。当分野の専門家には周知であるが、このことは、医薬中に保持された活性成分が、当該剤形によって、プログラム可能な期間中、一定の速度で放出されることを意味する。特に、薬物の放出は次の経験的な関係式 Mt/M0=Ktnによって表すことができ、放出された薬物の分率(Mt/M0)は、マトリックス中の拡散係数に依存する定数Kに比例し、一方、定数nは膨潤する最前面にある高分子鎖の膨潤特性と緩和速度に依存する。このような剤形の例は多数存在し、例えば、S. Dimitriu編「Polysaccharides in medical applications」, M. Dekker, New York 1996の巻に引用されている。
【0005】
異なる投与形態、すなわち経口、経皮、膣、及び眼球に利用可能な剤形に関する例及び医薬への応用例が多数存在している。もちろん、経口薬物投与が極めて重要であり、且つ広く行なわれているため、胃腸管中に活性成分を放出することを目的とした態様(例えば、米国特許第4,160,020号に記載されたOROSシステム)の数が多く、種類も多岐にわたっている。
【0006】
米国特許第4,839,177号及び米国特許第5,422,123号(それぞれEP−A−0226884号及びEP−A−0432607号の対応特許)に記載の経口用医薬剤形によっても本分野にさらなる進歩がもたらされており、一定の放出速度、すなわち0次の速度式(上式でn=0)に従って活性成分を確実に放出することができる経口用剤形の調製について記述している。特に、これらの文献は、活性成分を様々な速度で(すなわち、調節された放出速度で)放出させることができ、最も簡易な形態の場合、薬物と好適な賦形剤とを含有する親水性マトリックスからなる治療系の調製について記述している。
【0007】
活性成分を緩徐に放出させる上で重要な構成成分は親水性ポリマーであって、これはゲル化してもよく、さらに水及び/又は水性流体と接触すると膨潤することができ、そこからフィック型の速度式に従って活性成分が拡散するゲル化層を形成する。
【0008】
上記の米国特許第4,839,177号及び米国特許第5,422,123号に記載された治療系は、マトリックスの一部分が不透過性のバリヤー(米国特許第4,839,177号のように水及び水性媒体に不溶性のポリマーフィルムを適用することによって得られる)によって覆われること、又は材料及び/又はポリマー性材料混合物の層が圧縮によって付けられる(おそらくは既知の技術に従って得られる顆粒)ことを特徴とし、これによって不透過性を付与し、及び/又はいかなる場合でもマトリックス中に保持された薬物が防護された表面から放出されるのを所定期間妨げる(米国特許第5,422,123号のように)。その結果、親水性マトリックス中に保持された活性成分は、活性物質を含有する層の溶解媒体と直接接触している開放表面のみから放出されることになる。こうしたシステムは、引用した特許の請求範囲に強調されているように、前記剤形中に保持された活性成分が、一般に長期間一定な(0次の放出速度式)速度で放出されることを特徴とする。
【0009】
他の錠剤製剤では、多層錠剤中の層を適正に製剤することによって、1以上の薬物を異なる放出速度で放出する(国際公開第94/06416号)。薬物を段階的に放出する他のシステムとしては、不透過性膜を使用して薬物放出の時間を調節するもの(米国特許第5,487,901号)、生分解性ポリマー材料で完全にコートするもの(米国特許第6,027,748号)、あるいは透過性の調節された材料のより頑強な層をさらに有するもの(EP−A−0788790号)がある。さらに、胃中の滞在時間を延ばすように錠剤が胃の内容物と接触すると体積が増加する多層錠剤についての記述もある(EP−A−0795324号)。
【0010】
しかし、多くの治療用プロトコールにおいて、患者は長期間にわたって慢性疾患の治療のために薬物を服用しなければならず、時には、複雑な薬量パターンに従って、24時間にわたり複数の剤形を服用しなければならないこともある。こうした複雑で独特な治療モデルはあまり支持されておらず、入院していない患者が遵守していることはまれである。実際、外来患者が薬量モデルを正しく守らなくなることは非常に多く、良く知られたことであって、その日に必要とされ又は推奨される投与の複雑さと回数に正比例して患者は薬量モデルを遵守しなくなる。例えば、慢性疾患の治療、例えば高血圧症において、薬物の薬量は病状の重篤度に関連して調節しなければならず、したがって患者個人特有の治療上の必要性に応じて個別化しなければならない。
【0011】
多くの病理モデルにとって重要なことは、(薬量を個別化しやすいように)活性成分含量が細かく分けられた剤形で、保持される活性物質の量とは無関係に、ほぼ同じか全く同じ速度及び放出速度式で薬物を放出することができる剤形を利用可能にすることを医学界が要請していることである。
【0012】
したがって、同一薬物の異なる投与量を同じかほぼ同じ速度で放出することができる剤形を使用することが可能となれば、それが目標とするタイプの治療法に関して、治療上の重要な課題に対する社会的に至当な解決策が医学界にもたらされるであろう。このような剤形は、一般に薬物使用と生物学的に活性な物質の最適化を可能にするであろう。
【0013】
多層錠剤、好ましくは2層又は3層の層を含む多層錠剤からなる特定の製剤及び剤形を利用すると、たとえその錠剤が非常に異なる量の同一活性物質を保持していても、同様又は同一の放出速度を得られることが今回発見された。
【0014】
新しい治療システムの形態学的及び実用的な特性に加え、以下の詳細な記述の中で考案した新しい態様の独創性につきさらに説明を加える。
【0015】
本発明の一側面によれば、 (a)(i)活性物質と、(ii)水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する親水性ポリマー物質と、(iii)親油性物と、(iv)佐剤とを含有する一の活性層であって、前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が10:1〜0.5:1の範囲にある活性層と、 (b)水性液体、親油性物質、及び佐剤と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する1以上の親水性ポリマー物質を含有する1以上のバリヤー層とを備えた多層錠剤、特に多層調節放出性錠剤が提供される。
【0016】
本発明に従って調製される多層錠剤は、多層錠剤中の活性物質含有層における同一の活性物質を異なる量で処方する場合、実質的に等価な(又は同一の)放出速度式を与えることができる。本発明の医薬錠剤は、保持された活性物質をプログラムされた態様で放出し、好ましくはさらに過量放出の現象を回避するという利点を有し、したがって、活性物質を緩やかに徐放的に放出することによって特定の治療上のニーズに対処することができる。
【0017】
本発明の多層錠剤は、2層錠剤、3層錠剤、又は必要ならば4層以上の錠剤として調製することができる。少なくとも1層は錠剤から放出させるべき活性物質を含有し、少なくとも1層は活性物質含有層に対するバリヤー層又は支持層であろう。実施可能な多層錠剤の構成を図1〜9に示す。錠剤は全体として実質的に円形の断面とすることができ、あるいはこれより楕円形の断面又は他の適切な任意の幾何形状、例えば直線の形状をとることができる。錠剤は、キャプレット(カプセル型の錠剤)の形状でも良い。多層錠剤においては、多くの層配列が可能であることを理解されたい。
【0018】
活性物質含有層は、活性層と呼ぶことができるが、本発明の錠剤中には複数の活性物質を処方することができることに留意されたい。活性物質を一般に含有しない層は、バリヤー層又は支持層と呼ぶことができる。
【0019】
簡単な2層錠剤を図1に示すが、活性物質含有層(点付き)の側面の1つが1層のバリヤー層(斜線付き)で覆われている。この構成の変形例は図2に示されており、2つのバリヤー層が活性物質含有層の露出した両側面を覆っている。図3では、単一のバリヤー層が、活性層の1つの側面と側端を覆っている。図4ではバリヤー層が環状の形で存在して活性物質のコアを囲んでおり、図5では2つの活性層からなる活性物質のコアが環状のバリヤー層に囲まれる。
【0020】
図6は3層錠剤を示しており、上方側面と側端が露出した第1のバリヤー層(3)が、層の両側面が覆われ側端が露出した第2の活性層(2)に隣接しており、ついで第2の活性層(2)は底部側面が露出し、且つ側端が露出した第2の活性層(1)に隣接する。2つの活性層は、異なる活性物質又は異なる量の同じ活性物質を含有することができる。図7は図6の態様の別の配列例であり、活性物質層(5)は全体がバリヤー層(6)と第2の活性物質層(4)の中にある。図8は類似の3層錠剤であり、バリヤー層(8)が2つの活性物質含有層(9)と(7)との間に挟まれる。
【0021】
図9には、同じく、別の3層錠剤(キャプレット)の構成が示されており、該錠剤は2層の外面バリヤー層(10,12)と、そのバリヤー層の間に挟まれた1層の活性物質層(11)とを有する。
【0022】
錠剤の幾つかの構成では、第1の活性物質含有層に対してバリヤー層として作用するが、それ自体も活性物質含有層であるように、バリヤー層に活性物質を含有させてもよい。一般に、こうした実施態様においては、活性層中の活性物質は層が異なると異なるが、同じ活性物質が別の活性層中に異なる量で存在するような配置も考えられる。
【0023】
バリヤー層は、溶解媒体及び/又は生物学の体液に接触したときに、本発明の所定の実施例で強調されているように、厳密な方法によってインビトロでプログラムすることができる速度式に従って、露出した表面のみから保持された活性物質を放出できるように、活性層の放出面を限定する意味がある。
【0024】
錠剤の形で経口投与するのに好適な薬学的に活性なあらゆる物質を、本発明の錠剤中に処方することができる。したがって、活性物質は、治療用途を有する医薬品(薬物)であり、このような物質には、例えば食餌療法用の診断等の非治療用途のために投与される物質も含まれる。
【0025】
前記活性物質は好ましくは慢性疾患を治療するための物質とすることができ、例えば、心臓血管系に作用する薬物、抗不整脈薬、強心薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、血圧降下薬、例えば中枢及び末梢作用を有する抗アドレナリン性物質又は細動脈筋系に作用する物質、鎮痛性の物質、レニン−アンギオテンシン系に作用する物質、血圧降下薬及び関連する利尿薬、抗パーキンソン病薬、利尿薬及びアルツハイマー病の治療用薬物、抗ヒスタミン薬、及び/又は抗ぜん息薬である。
【0026】
このような剤形において使用できる活性物質の例としては、プロプラノロール、アテノロール、ピンドロール、ロピニロール、プラゾシン、ラミプリル、スピラプリル;スピロノラクトン、メチプラノロール、モルシドミン、モキソニジン(moxonidina)、ナドロール、ナドキソロール(nadoxolol)、レボドパ、メトプロロール、チモロールがある。特に好ましい態様においては、前記活性物質(i)は、その薬学的に許容される塩を含むロピニロールを含むか、又はその薬剤的に許容される塩を含むロピニロールである。
【0027】
ロピニロール、その化学構造、その製造方法、及びその治療上の利用は、EP−A−0113964号(実施例2を参照のこと)、EP−A−0299602号、EP−A−0300614号、国際公開第91/16306号、国際公開第92/00735号、及び国際公開第93/23035号にさらに十分に記載されており、これらの内容を参照により本明細書に組み込む。本明細書において「ロピニロール」とは、薬学的に許容されるその塩を含むと定義される。錠剤に使用されるロピニロールは、最も好ましくは塩酸塩の形である。ロピニロールは現在、パーキンソン病治療用の速効性錠剤中の塩酸塩として市販されている(EP−A−0299602号も参照のこと)。ロピニロールは国際公開91/16306に記載されている有利な方法によって合成することができる。
【0028】
前記活性物質がロピニロールを含むか、又は前記活性物質がロピニロールである本発明の実施態様においては、ロピニロール(その薬学的に許容される塩を含む)の量は、任意のロピニロール塩を形成するために加えられる任意量の酸(例えば、塩酸、HCl)を除いたロピニロール塩基の量として測定したときに、12.0mg以下、好ましくは0.75mg〜12.0mgの量とすることができる。ロピニロール(その薬学的に許容される塩を含む)の量は、ロピニロール塩基の量として測定したときに、活性層150mg当たり12.0mg以下、好ましくは0.75mg〜12.0mgの量とすることができる。以下、実施例13〜18を参照されたい。
【0029】
鎮痛物質には、ステロイド系抗炎症剤とオピオイド系鎮痛剤と非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)とが含まれるがこれらに限定されない。この鎮痛物質は、アセチルサリチル酸、サリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ディクロフェナック、ディクロフェナックナトリウム、エトドラック、ケトロラック、又は薬学的に許容される塩及び/又は誘導体、又はその混合物のような、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)であり得る。
【0030】
他の適切な鎮痛物質には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、べジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、及び薬学的に許容できる塩及び/又は誘導体、又はその混合物などのオピオイド鎮痛剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
血圧降下薬には、ジルチアゼム、トラピジル、ウラピジル、ベンズヨーダロン(benziodarone)、ジピリダモール、リドフラジン、ナフチドロフリルオキサレート、ペルヘキセリンマレアート、塩酸オキシフェドリンが含まれ得る。抗ヒスタミン及び/又は抗喘息薬には、エフェドリン、テルフェナジン、テオフィリン又はクロルフェニラミンが含まれ得る。
【0032】
いかなる場合でも、同一の放出キネティクスを有する活性物質を著しく異なる量で放出することを可能とする剤形が必要であり得る任意のタイプの活性成分を保持するマトリクスを調製することができる。
【0033】
本特許出願の錠剤において、保持すべき前記活性物質は、例えば、0.01mg/L〜3000g/L、好ましくは10mg/L〜1000g/L(例えば、ロピ二ロールは、133g/Lの溶解度を有する)又は、0.01mg/L〜100g/Lというように、水に対して、著しく広い範囲の溶解性を有し得る。
【0034】
好ましくは、前記活性層の0.05重量%〜50重量%の割合で、より好ましくは0.05重量%〜40重量%、0.05重量%〜30重量%、0.05重量%〜10重量%、0.05重量%〜20重量%の割合で活性物質を含有する。
【0035】
生体適合性及び/又は生分解性材料及び薬学的に許容される天然又は合成親水性ポリマー物質、例えばポリビニルピロリドン、特に非架橋性ポリビニルピロリドン(分子量の例として、30,000〜400,000)、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、非架橋性、例えば、典型的な分子量として90,000−700,000)、カルボキシメチルスターチ、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼンコポリマー、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、好ましくは分子量200〜15,000(より好ましくは、1000〜15000)の異なる分子量を有するポリエチレングリコール、及び分子量20,000,000以下(より好ましくは400,000〜7,000,000)のポリオキシエチレン、カルボキシビニルポリマー、ポロクサマー(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー)、ポリビニルアルコール、グルカン、カラゲナン、スクレログルカン、マンナン、ガラクトマンナン、ジェラン、キサン(xanthan)、アルギン酸及びその誘導体(例えば、アルギン酸ナトリウム又はカルシウム、アルギン酸プロピレングリコール)、ポリアミノ酸(例えばゼラチン)、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、エチルセルロース、メチルセルロース、デンプン及びデンプン誘導体、アルファ又はベータ又はガンマシクロデキストリン及び一般的デキストリン誘導体(例えばデキストリン)などを前記活性層の調製に使用することができる。従って、親水性ポリマー物質は、調節放出性ポリマー又は放出制御(CR)可能なポリマー物質として挙げることができる。
【0036】
より好ましくは、活性物質が有利な放出制御を達成するためには、前記活性層中の親水性ポリマー物質は、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、分子量2,000から4,000,000(より好ましくは、分子量10,000〜1,500,000、さらにより好ましくは、分子量20,000〜500,000、最も好ましくは、分子量約250,000)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース又はメチルセルロースを1以上含有する。最も好ましい調節放出性ポリマーは、HPMCである。
【0037】
増粘剤/ポリマー又は「ケージ形成(cage forming)」成分として作用するカルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はカルボキシセルロースカルシウムのような親水性ポリマー物質も、例えば活性層の好ましい成分である。経口投与後の最初の(概ね)一時間で無視できない量の活性物質を活性層から放出し得る可溶性活性物質(例えばロピニロール)においてしばしば起こる 「過量放出(dose−dumping)」効果の抑制が増粘性ポリマーにより促進されるため、活性層にこれらの増粘性ポリマーを与えることが好ましい。従って、この目的のためには、活性層の前記親水性ポリマー物質はカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース又はその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム)、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン、キサン、アルギン酸又はその誘導体(例えば、アルギン酸ナトリウム又はカルシウム、アルギン酸プロピレングリコール)、エチルセルロース、メチルセルロース、デキストリン及び/又はマルトデキストリンを含むことが好ましい。この目的のために最も好ましいのは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)(例えば、非架橋性、例えば、典型的な分子量が90,000〜700,000のもの)である。本発明は、増粘剤及び/又は「ケージ形成」成分として作用可能な他の同等なポリマーの使用をも包含する。
【0038】
活性層中の前記親水性ポリマー物質が上記の好ましい調節放出性ポリマー及び前に定義した増粘性ポリマーをともに含有することがより好ましい。従って、活性層の前記親水性ポリマー物質は、下記のものを含有することが好ましい。
【0039】
(a)以下のものを一以上:分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース又はメチルセルロース、及び、 (b)カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース又はその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム)、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン、キサン、アルギン酸又はその誘導体(例えばアルギン酸ナトリウム又はカルシウム、アルギン酸プロピレングリコール)、エチルセルロース、メチルセルロース、デキストリン及び/又はマルトデキストリン。
【0040】
従って、錠剤を経口投与した後の最初の一時間前後、HPMCのような調節放出性ポリマー(a)はなお徐々に膨潤し、及び/又はゲル化するが、活性層からロピニロールなどの溶解性活性物質が徐放される効果が弱い場合には、カルボキシメチルセルロース(NaCMC)のような増粘性ポリマー(b)によって、活性層からの活性物質の放出が抑制される。理論に拘泥するものではないが、NaCMCのようなイオン性増粘剤も、例えばHPMCのヒドロキシプロピル基と相互作用してHPMCの水和及び膨潤率を相乗作用的に増大させ、ゲル強度を高めるであろう。
【0041】
従って、とりわけロピニロールのように活性物質が水に対して高い溶解性(例えば、10mg/L〜1000g/L)を有する場合には、活性層中の前記親水性ポリマー物質はHMPC及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する(又は活性層の親水性ポリマー物質はHPMC及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである)のが最も好ましい組み合わせである。
【0042】
好ましくは、前記親水性ポリマー物質は、少なくともHLB値が10である(A.Gennaro及びJ.Remington,Remington‘s Pharmaceutical Sciences,第18版、Mack Publishing Company,Easton,Pa.,304(1990)及び、W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic Chemists,vol.1,311ページ、1949、HLB values and measurement thereof参照)。前記親水性ポリマー物質は、前記活性層の1重量%〜75重量%を占めるが、好ましい含有率は5重量%〜65重量%、及び/又は30重量%〜75重量%、より好ましい含有率は、43〜75重量%、又は43〜67重量%、又は43重量%〜65重量%である。活性層に存在するHPMCはいずれも、好ましくは活性層に対して約40〜63重量%で存在する。カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの上述の増粘性ポリマーが存在するのであれば、活性層に対して20重量%以下で存在することが好ましいが、(特にNaCMCの場合には)活性層に対して3〜20重量%、5〜20重量%、7〜15重量%又は約10重量%の割合で存在することがより好ましい。
【0043】
ここに挙げた全ポリマーに対して、異なる化学的、物理的、溶解性及びゲル化特性を有する異なるタイプのポリマーが市販されている。特に、異なる分子量を有する(分子量が、1,000〜4,000,000、好ましくは、2,000〜4,000,000、さらにより好ましくは、10,000から1,500,000、さらにより好ましくは、20,000〜500,000、最も好ましくは、約250,000)様々なタイプのヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用でき、且つ、それらは置換度が異なる。前記タイプのヒドロキシプロピルメチルセルロースは、粘性及びポリマー鎖に存在する置換度(D.S.)に応じて、主として侵食可能であるか、ゲル化可能であるかという点で多岐にわたる特性を有している。侵食可能なHPMCs(例えば、Methocel E グレード)よりもゲル化可能なHPMC(例えば、Methocel K グレード)が好ましい。ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレンは、同一の挙動を示す。実際、親水性及びゲル化特性の相違は分子量の相違に対応する。
【0044】
ポリマー分子量とポリマーの2%粘性は、直接的に相関し得る(“METHOCELTM in Aqueous Systems for Tablet Coating”,12頁,The Dow Chemical Companyより出版、www.dow.com、METHOCELTM は、The Dow Chemical Companyの商標である)。この場合、ポリマー粘性は、mPa.secondsとして測定される摂氏20度での2%水溶液の粘性として定義される。粘性は、Pascal seconds(SI単位)又はpoise(c.g.s.単位)で測定される。ここで、1centipoise=10−3Pa,secである。従って、例えば、METHOCELTMK100Mは、分子量約246,000、対応する2%粘性が100,000mPa.sec(80,000から120,000mPa.secの平均粘性を基にしている)である。METHOCELTMK4Mは、分子量約86,000、対応する2%粘性が4,000mPa.secであり、METHHOCELTMK100LVは、分子量約27,000、対応する2%粘性が100mPa.secである。この理由から、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーなどの好ましい分子量範囲のポリマー物質はまた、粘性によっても定義され得る。
【0045】
前に定義したようなヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーに対する一つの好ましい粘性範囲は、50〜150,000mPa.secの範囲、好適には、80,000〜120,000mPa.secの範囲(例えば、K100M、実施例13−21の活性及びバリヤー層におけるように)であり得る。このことは、活性層(上述)又はバリヤー/支持層(後述)の何れに対しても当てはまる。
【0046】
他の実施態様では、放出速度をより高速化するために、活性及び/又はバリヤー層のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーに対する粘性範囲を50〜25,000mPa.secの範囲(Methocels K4M、K15M,K100LVを含む)に設定しうる。この実施態様において、好ましくは、一部又は全部のHPMCポリマーが1000〜25,000mPa.sec(Methocels K4M及びK15Mを含むが、K100LV又はK100Mを含まない)の範囲の粘性を有する。より好ましくは、活性又はバリヤー層に対して5〜50重量%の割合で、1000〜25,000mPa.secの範囲の粘性を有するHPMCポリマーが前記活性層又はバリヤー層中に存在する。特に、下記の実施例22及び23では、とりわけ、例えばロピニロールなどの活性物質がバリヤー層をより速く移動するので、実施例13−18及び19−21のバリヤー層中に存在する約45重量%のK100M HPMCよりもin vitroでわずかに速い放出特性を与えるバリヤー層においては、それぞれ10〜40重量の%のこのようなHPMC(K4M)が使用される。好ましくは、活性又はバリヤー層中に含まれる、50〜1000mPa.sec未満の粘性を有する低粘性HPMCs(Methocel K100LVを含む)の割合は、その層に対して30重量%未満である。例えば、実施例22では、バリヤー層中に10重量%のK4M HPMCだけではなく、20重量%のこのようなHPMC(K100LV)を有している。活性層又はバリヤー層中に30%を超えない低粘性HPMCが存在すると水分の取り込みを増加させ、ゲル化を助けて、マトリクス粘性を向上させ且つ放出速度を低下させることができるが、それ以上の量は好ましくない。
【0047】
本発明の他の実施態様において、先に定義したような錠剤を提供する。その錠剤において、活性層には、緩徐に膨潤及び/又はゲル化し、及び/又は侵食し、及び/又は溶解性を有するポリマー物質が含有されている。
【0048】
本発明の錠剤の基本的な性質は、活性物質を含有する層及びバリヤー層の両層を処方するために、例えばそのままの状態の天然脂肪(ココナツ、大豆、ココア)又ははこれを全部若しくは一部水素化したもの、蜜ろう、ポリエトキシル化蜜ろう、モノ置換、ジ置換、及びトリ置換グリセリド、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル(トリベヘン酸グリセリル、C69H134CO6、例えば、Compritrol888、ここでベヘン酸=ドコサン酸=C21H43COOH)、パルミトステアリン酸ジエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、パルミトステアリン酸ポリエチレングリコール、パルミトステアリン酸ポリオキシエチレン−グリコール、モノパルミトステアリン酸グリセリル、パルミチン酸セチル、ベヘン酸モノグリセリル又はベヘン酸ジグリセリル(モノベヘン酸グリセリル又はジベヘン酸グリセリル)、ポリエトキシレート脂肪アルコールに関連する脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、飽和又は不飽和脂肪酸及びそれらの水素化誘導体、硬化ヒマシ油及び一般的な親油性物質などの親油性物質が利用されるということである。本発明のある好ましい実施態様では、硬化ヒマシ油及びベヘン酸グリセリルから選択される親油性物質が使用される。
【0049】
好ましくは、前記親油性物質は10未満の、より好ましくは5未満のHLB値を有する。
【0050】
好ましくは、前記親油性物質は、活性層の1重量%〜70重量%の割合を占めるが、好ましくは、5%〜55%、より好ましくは5〜35%の割合で存在する。
【0051】
活性物質含有層における親水性ポリマー物質と親油性物質含量との重量比は、10:1〜0.5:1(つまり、10:1〜0.5:1の範囲で)であり、好適には、10:1〜1:1(つまり、10:1から1:1の範囲で)であるが、好ましくは、7:1〜1:1(つまり、7:1から1:1の範囲で)である。
【0052】
前に挙げた親水性ポリマー及び親油性物質以外に、親油性及び/又は両親媒性の物質を前記製剤に使用しうる。この場合、親水性部分はグリセロール分子又は他のポリアルコール又は分子量100〜10,000のポリエチレングリコール分子(PEG)によって与えられるのに対して、親油性部分は、硬化植物油類における不飽和及び/又は飽和脂肪酸によって与えられる。親水性部分の脂肪鎖との結合は、エステル化反応又はPEG分子又はグリセロール又は他のポリオールによる硬化植物油の部分的アルコーリシスによって得られる。このようにして、異なる親水度を有することを特徴とした化合物を得ることができ、該化合物は親水性−親油性バランス(HLB)を測定することによって評価することができる。トリグリセリドは、1乃至2のHLB値を有するトリグリセリド、2乃至3のHLB値を有するジグリセリド、3乃至4のHLB値を有するモノグリセリド、6乃至15のHLBを有するPEGジエステル、10乃至17のHLB値を有するPEGモノエステルが使用可能である。実際に、HLB値が増加すると、親水性傾向が向上し、親油性傾向が明確に低下する。従って、本発明の錠剤には親油性の性質を持つポリマー物質も含まれる。
【0053】
最後に、例えば、希釈剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤及び、例えば、デンプン、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、タルク、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、マルトデキストリン及び当業者に公知である他の賦形剤のような非粘着型物質など、製剤技術において標準的に使用される佐剤を用いうる。
【0054】
層内又は核内への水及び/又は水性液体の浸透を促進するために、例えばマンニトール、ラクトース、由来の異なるデンプン、ソルビトール、キシリトールなどの親水性希釈剤を導入するか、又は湿潤性を有する物質及び/又は一般的に固体への水の浸透を促進する物質を製剤中に保持させることが好ましい。
【0055】
加えて、後に引用する実施例においてより詳しく説明されているように、前記層に所望の特性を与えることが可能な物質とともに、希釈剤、結合剤、潤滑剤、緩衝液、非粘着物質、流動促進剤(glidant)、及び可塑物質を用いることができる。
【0056】
前記佐剤は、好ましくは、前記活性層の5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、又は20重量%〜50重量%、又は20重量%〜35重量%の割合で含有される。活性層における佐剤成分(iv)重量比に対する活性物質(i)の重量比は、0.001:1〜4:1の範囲、好適には0.003:1〜3:1の範囲であり得る。
【0057】
他の佐剤を伴うバリヤー層を調製するために使用するポリマー物質は、その組成物に厳密に依存する期間中(これは1時間から約20〜24時間以上にわたって変動し得る)、その下層中に保持された活性物質に対して不浸透性となるバリヤー(圧縮によって付与される)を与えることができる。このような場合、前述の期間中(例えば、経口投与後最初の一時間、又は水様液体中に浸透してから最初の一時間)、活性物質の放出は、バリヤーによって被覆されていない錠剤表面からしか起こらない。「不浸透性」は、そのように解釈しなければならない。好ましくは、経口投与後の最初の一時間又は水性液体(例えば、水)中に浸透した後の最初の一時間、活性物質の放出は、実質的には、バリヤーによって被覆されていない錠剤表面からしか起こらない。
【0058】
薬学的錠剤の処方の当業者であれば、活性物質の放出に対する前記バリヤー層の不浸透性を試験するために様々な適切な試験を思いつくことができるであろう。しかしながら、このような試験の一つは、これらの表面を通じて活性成分の通常の放出が起こらないように、腸溶コート(例えば、「Eudragit」)、又はろう様物質(例えば、蜜ろう)などの適切な物質で、活性層の開放表面を選択的にコーティングすることに基づく試験であり得る。次に、in vitroにおける溶解試験を行い得る。この溶解試験では、適切な時点で溶解液を採取し得る。このようにして、バリヤー層の構成物質と周囲の液体との相互作用を通じて、活性物質がバリヤー層を通過して放出される時点(すなわち、バリヤー層のポリマーが放出される時点という)を決定することができる。あるいは、上記のようにバリヤー層の開放表面を選択的に被覆することが可能であり、溶解試験を行うことが可能である。得られた放出特性は、活性物質がバリヤー層を透過し非被覆錠剤から放出され得る時点まで、非被覆錠剤の放出特性に相当することになろう。
【0059】
上記のように、錠剤中の前記活性層の一以上の開放表面の上にバリヤー層を重層してもよい。一般的に、バリヤー層は、活性層の一以上の側面を被覆する層を形成するであろう。本発明の好ましい実施態様では、一以上のバリヤー層を使用して活性層の一方又は双方の表面又は基部が被覆された錠剤を提供する。従って、そのような配置によって、二重層又は三重層の錠剤が提供される。
【0060】
バリヤー層処方に使用可能な天然の合成親水性ポリマー物質は、活性層の調製のために挙げた物質中から選択することができる。前記層の総重量に対して前記ポリマー物質を5〜90重量%の割合で存在させることが可能であるが、25重量%〜85重量%の割合で存在させることが好ましい。
【0061】
個別に使用される前記ポリマー物質、又は互いに混合して、及び親油性物質と混合して使用される前記ポリマー物質は、その組成に応じて1時間から20〜24時間以上の間を変動し得る時間、その下の層に含まれる活性因子の放出に対する不浸透性をもたらし得る。
【0062】
バリヤー層を調製する場合には、このような親油性物質は、活性層調製用に列挙した物質の中から選択し得る。前記親油性物質は、前記層の総重量に対して5重量%〜70重量%の割合で存在し得るが、5重量%〜55重量%の間で存在することが好ましい。
【0063】
バリヤー層に含有される親油性物質に対する膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食可能な疎水性ポリマー物質の重量比は、1:1〜7.5:1、好適には1.5:1〜4:1、及び好ましくは2:1〜3.5:1の範囲でありうる。
【0064】
圧縮によって付与された前記バリヤー層は、0.1〜4.5mmの厚さを有し得る。例えば、混合してから乾燥圧縮することによって、又は湿式造粒してから圧縮することによって、好ましくは1000〜5000Kg/cm2で圧縮することにより、粉末又は顆粒混合物を圧縮してマトリックスの調製を行い得る。
【0065】
一般的に、錠剤形成は、直接的圧縮、すなわち乾燥粉末の混合物を圧縮して行われるが、この工程により偏析、低流動性などの品質上の問題が起こる場合がある。成分の混合の全部又は一部に対して造粒技術を用いることでこれらの問題を改善することができる。
【0066】
造粒は、粉末粒子を凝集させて顆粒を形成する工程である。これは、次の目的で行い得る。
【0067】
1.粉末混合物の流動性を向上させる2.成分粉末の偏析を防ぐ(均一性を向上させる)
3.圧縮特性を向上させる
4.粉末混合物の緻密化させる、及び/又は
5.粒子サイズ/形状/親水性を変化させる。
【0068】
本発明の錠剤は、乾燥造粒によって調製し得る。乾燥造粒とは、スラッギング又はローラー圧縮の何れかによって粉末を圧縮させることによる造粒である。乾燥造粒は、本質的には緻密化工程である。
【0069】
スラッギングでは、未精製コンパクト(スラグ)を、あるスラグ直径に対する所定の重量/厚さを有するようにする。次に、磨砕式ミル又はコミューティング式ミルのいずれかでこれらのスラグを縮小させて、必要なサイズ/範囲の粒子を産生する。
【0070】
ローラー圧縮あるいはチルソネーティング(Chilsonating)とは、(滑らかな、又は有溝の)2つのローラー間の螺旋状部を介して粉末状の混合物に力をかけることである。該物質の圧縮は、ローラーに対する送り速度及び共に押されているローラーの液圧力によって調節される。次に、得られたコンパクト(リボン又はストリップと呼ばれる)を磨砕式ミル又はコミューティング式ミルのいずれかによって縮小させて、必要な粒子サイズ/範囲の顆粒を得る。
【0071】
乾燥造粒を使用する場合には、湿式造粒と比べて佐剤が若干異なることが多い。例えば、ラクトース一水和物(湿式造粒において使用されることが多い)の代わりに、好ましくは無定形のラクトース(例えば、Fast−Flo lactose、Seppic,Paris,France)を含有する噴霧乾燥したラクトースを使用するのが好ましい。
【0072】
しかしながら、好ましくは、本発明の錠剤は湿式造粒によって調製される。湿式造粒は、最も広く使用されている造粒技術であり、粉末状の混合物に造粒液/媒質を取り込ませることよって粉末緻密化及び/又は凝集させることを含む。湿式造粒は、水をベースとしたものであるか、溶媒をベースとしたもの(例えば、有機溶媒をベースとする)であり得る。せん断は、粉末を通過する造粒装置のパドル/ブレードの速度に依存する。様々なデザインのミキサー、例えば、
湿式高せん断、(高いせん断力で回転する(Fielder))、
湿式低せん断、(低いせん断力で回転する(Planetary mixer))、
湿式低せん断回転、(タンブルミキサーに対して噴霧する、
増倍用のバー(intensifier bar)あり/なし)
押し出し加工、(湿潤固体を分別スクリーンから押し出す)
回転式造粒装置、(球形化、マルメリゼーション−回転ディスク又は容器壁)
流動床中での噴霧造粒、又は、
噴霧乾燥造粒が利用可能である。
【0073】
圧縮によって付与され得る前記層−バリヤーを処方する場合には、佐剤、特に希釈剤となり得る物質には、固形物の調製に慣例的に使用されている物質が含まれる。例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、ホウ酸、ポリエチレングリコール及び/又はコロイダルシリカを使用しうる。
【0074】
後述の実施例においてより詳細に説明されているように、希釈剤に加えて、前記層に所望の特性を与えることができる潤滑、非粘着性及び流動促進物質、及びその他の物質を使用し得る。考えられる他の成分には、例えば鉄酸化物(黄色酸化第2鉄)など、多層錠剤中に調製し処方される最終製品たる錠剤の層を着色し得る物質が含まれる。
【0075】
さらに、当業者に周知のコーティング工程及び/又は他の任意の工程によって、前記完成した錠剤を被覆することが可能となろう。コーティングの例は、「OPADRY OY−S−28876 WHITE」である。OPADRY OY−S−28876 WHITEは、63%のHPMC2910 6cP、7%のPEG 400、30%のTiO2である。赤/ピンク(0.01〜0.25%)及び/又は黄色(0.1〜1.5%)の着色剤を添加することもでき(鉄酸化物)、HPMC含有量は61%から66%の間で変化する。他の青色コーティングは、HPMC 2910 3cP及びHPMC 2910 5cPをそれぞれ31〜32%、8%のPEG400、23〜24%のTiO2、1%のポリソルベート、及び青色色素としてインジゴチンを4〜5%を用いている。
【0076】
錠剤が十二指腸−腸管に到達してから初めて系が活性化されるように、非胃溶性及び腸溶性ポリマー物質の着色層又はフィルムを前記完成錠剤に用いてもよい。特に腸管の後半部分、すなわち大腸のレベルで活性成分を放出するように設計された錠剤を得るために、後者のタイプの医薬系を使用することができる。非胃溶性にするために、酢酸フタル酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、トリメリト酸セルロース、ポリマー、及びアクリルとメタクリルのコポリマー等の分子量が異なり、異なるpH値に応じた溶解性を有するポリマー物質を使用することができる。有機溶媒又は水性分散系の溶液を使用し、噴霧又は流動床噴霧を行い、古典的コーティング工程によって完成剤形(活性層及びバリヤー層)に前記物質を付与することができる。前記胃不溶性及び腸溶性物質は、同様に、遅延凝固ポリマー(retarder polymer)と共に使用することもできる。
【0077】
ある革新的実施態様は、現在使用されている製造技術を使用することによって特許請求の範囲に記載の治療系を与えることができること、すなわち、直ちに工業レベルで該系を立ち上げることが可能なことを特徴とする。
【0078】
本発明の錠剤のある好ましい実施態様は前述した錠剤を備え、該錠剤において、前記活性層は成分(i)乃至(iv)からなり、前記活性剤は前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で存在し、前記佐剤物質は前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で存在し、親油性物質に対する親水性ポリマー物質の重量比は7:1〜1:1の範囲にある。
【0079】
あるいは、前記活性層は実質的に成分(i)乃至(iv)からなり、前記活性剤は前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で存在し、前記佐剤物質は活性層の5重量%〜50重量%の割合で存在し、親油性物質に対する親水性ポリマー物質の重量比は7:1〜1:1の範囲にある。
【0080】
ある好ましい実施態様において、親水性ポリマー物質は、分子量が2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有し得る。
【0081】
前記活性物質がロピ二ロールである実施態様において、前記錠剤は、(i)活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で存在するロピニロールと、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルボキシメチルセルロースカルシウムである親水性ポリマー物質と、(iii)硬化ヒマシ油又はベヘン酸グリセリルである親油性物質と、(iv)活性層の5重量%〜50重量%の割合で存在する佐剤物質とを備え、親油性物質に対する親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にあることを特徴とする。
【0082】
本発明は、本明細書中に記載されているように、錠剤を具備する治療方法にも及ぶ。本発明の第二の側面によれば、疾病を治療する方法であって、その治療を必要とする患者/ヒトに対して本明細書中に明記されているような錠剤を投与することを備えた方法を提供する。好ましい実施態様において、治療される疾患はパーキンソン病であり、前記活性物質は、ロピニロール又はかかる症状を治療するためのその他の治療剤を含有しているか、活性物質自体がロピニロール又はかかる症状を治療するその他の治療剤である。このような方法によれば、とりわけロピニロールを用いれば、このような治療を必要とするヒトに対して、一層以上の多層錠剤を一日一回投与することができ、又は、単一の多層錠剤を一日一回投与することができる。本発明の調節放出性ロピニロール錠剤は、24時間にわたって、全身濃度/Cmaxを、より定常的に及び/又はより低くするはずであって、ロピニロールを一日3回服用する即時放出(IR)錠剤を不要とし、IRロピニロールを投与した場合に起こり得る副作用の一部を回避することができるはずなので、市販されているロピニロール即時放出(IR)製剤と比較して有利であると思われる。とりわけ、ロピニロールの下記実施例13〜18に示されている約24時間の有利なin vitro放出を特に参照されたい。これは、パーキンソン病に対してほぼ最適である。
【0083】
本発明は、ヒトのパーキンソン病の治療用医薬における本明細書に記載の錠剤の使用であって、前記活性物質がロピ二ロールを含むか、又は前記活性物質がロピ二ロールである使用も提供する。本発明は、パーキンソン病の治療に使用するためのこのような錠剤も提供する。
【0084】
本発明の第二の側面及び以降の側面に対する好ましい特徴は、第一の側面に準じる。
【0085】
ここで、以下の実施例及び図面を参照しながら本発明についてさらに説明を加えるが、以下の実施例及び図面は例示にすぎず、本発明を限定するものと解釈してはならない。図面は番号によって参照される。
【0086】
例1:単一の二層錠剤からなる系−4.0mgピンドロール 例1では、第一の層は4mgのピンドロール(徐放性)を含有し、第二の層は「バリヤー」層からなる。
【0087】
1(a)4.0mgの徐放性ピンドロールを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表1】
【0088】
前記活性層は、合計で52.2重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー(PVP+HPMC)を含有する。
【0089】
ピンドロール、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びベヘン酸グリセリルを混合し、20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らす。25メッシュの篩にかけ、重量が一定するまで液体床乾燥器(Aeromatic mod. Strea)で乾燥し、再度、同メッシュの篩にかける。前記潤滑剤とシリカを加え、ターブラー中で10分間混合する。このようにして、良好な流れ(すべり)及び圧縮特性の顆粒(顆粒1(a))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0090】
1(b)第2層(バリヤー層)を構成する顆粒の調製
【表2】
【0091】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル及びラクトースを混合し、慎重に色素を分散させる。5%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)の中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。重量が一定になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラー中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒1(b))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0092】
1(c)二層系の調製(圧縮による) 多層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press、Liverpool、UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、1(b)の箇所で記載した顆粒を第一のフィードボックスに入れ、1(a)の箇所で記述した顆粒を第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径9mmの凹型円形穿孔装置を装備している。
【0093】
前記機械は、顆粒のバリヤーである100mgの層、活性成分(ピンドロール4.0mgと等しい)を含有する131.4mgの第二の層からなる二層系を製造するように設定される。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が4.0mgの活性成分を含有する平均重量231.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例1の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0094】
例2:単一の二層錠剤からなる製剤系−8.0mgピンドロール 例2では、第一の層(徐放性)は8mgのピンドロールを含有し、第二の層は「バリヤー」層からなる。
【0095】
保持されている活性成分の量を二倍にした以外は、例1の1(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。第二層(バリヤー)は、質的にも量的にも例1の1(b)の箇所の記載と同一にする。1(c)の箇所の記載に従って作業を行うと、100mgの初期量の顆粒バリヤー(バリヤー)、活性成分(ピンドロール8.0mgと等しい)を含有する135.4mgの第二の層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が8.0mgの活性成分を含有する平均重量235.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例2の錠剤からの前記活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0096】
例3:単一の二層錠剤からなる系−16.0mgピンドロール 例3では、二層錠剤系は例1及び2の記述どおりであるが、16.0mgのピンドロールを含有している。
【0097】
16mgの活性成分を保持させたこと以外は、例1の1(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。従って、143.4mgの顆粒は16.0mgのピンドロールを含有する。第二の層(バリヤー)は、質的にも量的にも、例1の1(b)の箇所の記述と同一とする。1(c)の箇所の記載どおりに作業を行って、100mgの初期量の顆粒バリヤー、活性成分(ピンドロール16.0mgと等しい)を含有する143.4mgの層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が16.0mgの活性成分を含有する平均重量243.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例3の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0098】
例4:単一の二層錠剤からなる系−24mgのピンドロール例4では、二層錠剤系は、例1及び2の記載どおりであるが、24.0mgのピンドロールを含有する。
【0099】
24mgの活性成分を保持させる以外は、例1の1(a)の箇所の記述どおりに顆粒を調製する。従って、151.4mgの顆粒は24.0mgのピンドロールを含有する。第二の層(バリヤー)は、質的にも量的にも、例1の1(b)の記載と同一とする。1(c)の箇所の記載どおりに作業を行って、初期量100mgの顆粒のバリヤー、活性成分(ピンドロール24.0mgと同じ)を含有する151.4mgの第二の層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が24.0mgの活性成分を含有する平均重量251.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例4の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0100】
例5:単一の二層錠剤からなる系−32.0mgのピンドロール 例5では、二層錠剤は例1及び2の記述どおりであるが、32.0mgのピンドロールを含有する。
【0101】
32.0mgの活性成分を保持させること以外は、例1の1(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。従って、159.4mgの顆粒は、32.0mgのピンドロール及び43重量%の完全なゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー物質(PVP+HPMC)又は40重量%(より正確には39.5重量%)のHPMCを含有する。
【0102】
第二の層(バリヤー)は、質的にも量的にも、例1の1(b)の箇所の記述と同一とする。1(c)の箇所の記載どおりに作業を行って、100mgの初期量の顆粒バリヤー、活性成分(32.0mgのピンドロールと等しい)を含有する159.4mgの第二の層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が32.0mgの活性成分を含有する平均重量259.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例5の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0103】
例1〜5で調製された錠剤の溶出試験 例1〜5に記述した前記二層錠剤からの活性成分の放出特性を評価するために、器具2を使用し、毎分100回転でへら(USP 23)を作動させ、37℃、0.1Mの塩酸900mLを溶解液として利用する。活性成分放出後に、自動サンプリング及び読み取りシステムを利用して、227nmでHPLC分析を行う。実施した実験結果を表1に示す。
【表3】
【0104】
調製した前記系からの薬物の放出が減速し、薬物が全て放出されるのに約20時間かかることが指摘できる。さらに、前記錠剤中に存在する活性物質のどの含量レベルにおいても、放出速度が実質的に変化していないことが明確である。かかる挙動は、本発明に適うものである。
【0105】
例6:三層錠剤からなる系−4mgのモルシドミン 例6では、第一の層は80mgの「バリヤー」層から成り、第二の層(徐放性)は4mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー層」からなる三層錠剤を調製する。
【0106】
6(a)4.0mgの徐放性モルシドミンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表4】
【0107】
前記活性層は、合計で66.8重量%(すなわち67重量%)のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー(PVP+HPMC)を含有する。
【0108】
モルシドミン、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びベヘン酸グリセリルを混合し、20%のポリビニルピロリドン溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、重量が一定になるまで液体床乾燥機(Aeromatic mod. Strea)中で乾燥して、再度、同メッシュの篩にかける。シリカを加えて、キュービックミキサー中で45分間混合し、その後、ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒6(a))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0109】
6(b)バリヤー層を構成する顆粒の調製
【表5】
【0110】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル、及びラクトースを混合し、慎重に色素を分散させる。5%のポリビニルピロリドン水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)の中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。一定重量になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラー中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒6(b))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0111】
6(c)前記三層システムの調製(圧縮による) 三層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press LP39、Liverpool, UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、前記第一及び第三のフィードボックスの中に、6(b)の箇所で記載した顆粒を入れ、6(a)に記載の顆粒は前記第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備する。
【0112】
前記機械は、最初80.0mgの顆粒バリアー、活性成分(4.0mgのモルシドミンと同じ)を含有する95.33mgの第二の層、及び100.0mgの顆粒バリヤーである第三の層からなる三層システムを製造するように設定されている。前述のとおりに作業を行うと、各錠剤が活性成分4.0mgを含有する275.33mgの平均重量を有する三層錠剤が得られる。表2には、例6の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0113】
例7:単一の三層錠剤からなる系−8mgのモルシドミン 例7では、第一の層は80mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は8mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0114】
保持されている活性成分の量を二倍にする以外は、例6の6(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は前記三層錠剤の第二の層を構成する。第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備している。
【0115】
前記機械は、最初80.0mgの顆粒バリヤー、活性成分(8.0mgのモルシドミンと等しい)を含有する99.33mgの第二の層、及び100.0mgの顆粒バリアーの第3の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が8.0mgの活性成分を含有する平均重量279.33mgの三層錠剤が得られる。表2には、例7の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0116】
例8:単一の三層錠剤からなる系−16mgのモルシドミン 例8では、第一の層は80mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は16mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。保持されている活性成分の量を二倍にする以外は、例6の6(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は前記三層錠剤の第二の層を構成する。
【0117】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備している。該機械は、最初80.0mgの顆粒バリヤー、活性成分を含有する107.33mgの第二の層(16.0mgのモルシドミンと等しい)、及び100.0mgの顆粒バリアーの第3の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が16.0mgの活性成分を含有する平均重量287.33mgの三層錠剤が得られる。表2には、例8の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0118】
例9:単一の三層錠剤からなる系−20mgのモルシドミン 例9では、第一の層は80mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は20mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。保持されている活性成分の量を二倍にする以外は、例6の6(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は前記三層錠剤の第二の層を構成する。第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備している。
【0119】
該機械は、最初80.0mgの顆粒バリヤー、活性成分と57.2重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー(PVP+HPMC)又は54重量%のHPMCとを含有する111.33mgの第二の層(20.0mgのモルシドミンと等しい)、100.0mgの顆粒バリアーの第3の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が20.0mgの活性成分を含有する平均重量291.33mgの三層錠剤が得られる。表2には、例9の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0120】
例6〜9で調製された錠剤の溶出試験 311nmでUV分光光度計による分析を行う。実施した実験の結果を表2に示す。
【表6】
【0121】
調製した前記系からの薬物の放出が減速し、薬物が全て放出されるのに約20時間かかることが指摘できる。さらに、前記錠剤中に存在する活性物質のどの含量レベルにおいても、放出速度が実質的に変化していないことが明確である。かかる挙動は、本発明に適うものである。
【0122】
例10:単一の三層錠剤からなる系−0.1mgのモキソニジン 例10では、第一の層は100mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は0.1mgのモキソニジンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0123】
10(a)0.1mgの徐放性モキソニジンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表7】
【0124】
該活性層は、合計で56.7重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー物質(PVP+HPMC)を含有する。
【0125】
モキソニジン、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びベヘン酸グリセリルを混合し、20%ポリビニルピロリドンの溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、重量が一定になるまで液体床乾燥機(Aeromatic mod. Strea)中で乾燥させ、再度、同じメッシュの篩にかける。シリカを加え、キュービックミキサー中で45分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒10(a))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0126】
10(b)バリヤー層を構成する顆粒の調製 例6(b)に記述の組成と顆粒を利用する。
【表8】
【0127】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル、及びラクトースを混合し、慎重に色素を分散させる。5%のポリビニルピロリドン水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。一定重量になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラーの中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒10(b))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0128】
10(c)三層系の調製(圧縮による) 三層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press LP 39、Liverpool、UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、10(b)の箇所で記載した顆粒を第一及び第三のフィードボックスに入れ、10(a)の箇所で記述した顆粒を第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径9mmの凹型円形穿孔装置を装備している。前記機械は、最初100mgの顆粒バリヤーと、活性成分を含有する97.00mgの第二の層(0.10mgのモキソニジンと等しい)と、100.00mgの顆粒バリアの第三の層からなる三層系を製造するように設定される。前述のとおりに作業を行うと、各錠剤が0.1mgの活性成分を含有する平均重量297.00mgの三層錠剤が得られる。表3には、例10の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0129】
例11:単一の三層錠剤からなる系−0.30mgのモキソニジン 例11では、第一の層は100mgの「バリヤー」層からなり、97.00mgの第二の層(徐放性)は活性成分を含有し(0.30mgのモキソニジンと等しい)、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0130】
11(a)0.3mgの徐放性モキソニジンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表9】
【0131】
保持されている活性成分の量を三倍にした以外は、例10の10(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は、三層錠剤の前記第二の層を構成する。
【0132】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径9.0mmの凹型円形穿孔装置を装備している。前記機械は、最初100.0mgの顆粒バリヤー、活性成分を含有する97.00mgの第二の層(0.3mgのモキソニジンと等しい)、及び100.0mgの顆粒バリアーの第三の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が0.3mgの活性成分を含有する平均重量279.00mgの三層錠剤が得られる。表3には、例11の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0133】
例12:単一の三層錠剤からなる系−1.2mgのモキソニジン 例12では、第一の層は100mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は1.2mgのモキソニジンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0134】
12(a)1.2mgの徐放性モキソニジンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表10】
【0135】
該活性層は、合計で56.7重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー物質(PVP+HPMC)を含有する。
【0136】
保持されている活性成分の量を四倍にした以外は、例11の11(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は、三層錠剤の第二の層を構成する。
【0137】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径9.0mmの凹型円形穿孔装置を装備している。前記機械は、最初100.0mgの顆粒バリヤー、活性成分を含有する97.00mgの第二の層(1.20mgのモキソニジンと等しい)、及び100.0mgの顆粒バリアーの第三の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が1.20mgの活性成分を含有する平均重量297.00mgを有する三層錠剤が得られる。表3には、例12の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0138】
例10〜12で調製された錠剤の溶出試験 例10〜12に記載した前記三層錠剤からの活性成分の放出特性を評価するために、器具2を利用し、毎分100回転でへら(USP 23)を作動させ、37℃の蒸留水900mLを溶解液として利用する。活性成分放出後に、ヒューレットパッカード社製自動ダイオードアレイ検出器を利用して、230nmでHPLC分析を行う。実施した実験の結果を表3に示す。
【表11】
【0139】
調製した前記系からの薬物の放出が減速し、薬物が全て放出されるのに約20時間かかることが指摘できる。さらに、前記錠剤中に存在する活性物質の含量が120%変動するとしても、放出速度は実質的に変化していないことが明確である。かかる挙動は、本発明に適うものである。
【0140】
例13:単一の三層錠剤からなる系−0.75mgのロピニロール 例13では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は0.75mg塩基相当のロピニロール塩酸0.86mgを含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0141】
13(a)0.75mg塩基相当の0.86mgロピニロール塩酸を含有する徐放性基剤層の調製に利用した顆粒の調製
【表12】
【0142】
該活性層は、合計で、51重量%又はマルトデキストリンを含有する場合には56重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又侵食可能な親水性ポリマー物質(HPMC+CMCナトリウム)を含有する。
【0143】
適切な混合造粒機(Niro−Fielder PMAタイプ)中で、前記ロピニロールとラクトースの一部を20分間混合する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硬化ヒマシ油、マルトデキストリン、及び残りはラクトースを加えて10分間混合し、水(用いた前記製品の重量の約30%)で湿らせる。得られた顆粒は、重量が一定になるまで液体床乾燥機(Niro−Fielder TSG2タイプ)中で乾燥させる。造粒機を再度振動させて0.800mmのメッシュの篩にかける。シリカを加えてキュービックミキサー中で20分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加えてさらに10分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒13(a))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0144】
13(b)バリヤー層を構成する顆粒の調製
【表13】
【0145】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル、及びマンニトールを混合し、慎重に色素を分散させる。5%のポリビニルピロリドンの水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)の中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。一定重量になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラー中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒13(b))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0146】
13(c)前記三層システムの調製(圧縮による) 三層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press LP39、Liverpool, UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、前記第一及び第三のフィードボックスの中に、13(b)の箇所で記載した顆粒を入れ、一方、13(a)の箇所で記載した顆粒を前記第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径9mmの僅かに凹型の円形穿孔装置を装備する。
【0147】
前記機械は、最初130.0mgの顆粒バリヤーと、活性成分を含有する150mgの第二の層(0.75mg塩基に相当する0.86mgのロピニロール塩酸)と、120.0mgの顆粒バリアの第三の層からなる三層系を製造するように設定される。前述のとおりに作業を行うと、各錠剤が0.86mgのロピニロール塩酸(それぞれ0.75mgの塩基に相当する)を含有する平均重量400.00mgの三層錠剤が得られる。表4には、例13の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0148】
例13A―例13の変法 例13の他の実施様態では、前記活性層13(a)用の顆粒の調製は下記のように行われる。
【0149】
HPMC、ロピニロール、ラクトース、CMCナトリウム、硬化ひまし油、及びマルトデキストリンを適切な混合造粒機(Niro Fielder PMAタイプ)中で6分間混合する。水(用いた製品の重量の約30%)で湿らせる。得られた顆粒は、含水量が1%〜4.5%になるまで液体床乾燥機(Niro Fielder TSG2タイプ)中で乾燥させる。円錐型粉砕機中で1.57mmメッシュの篩にかける。シリカを加えてキュービックミキサー中で20分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加えてさらに2分間混合する。
【0150】
この別の実施様態では、バリヤー層13(b)用の顆粒の調製は下記のように行われる。
【0151】
マンニトール、色素、ベヘン酸グリセリル、HPMC、及びPVPを適切な混合造粒機(Niro Fielder PMAタイプ)中で6分間混合する。水(使用した製品の重量の約25%)で湿らせる。得られた顆粒は、含水量が1.1%〜2.7%になるまで液体床乾燥機(Niro Fielder TSG2タイプ)中で乾燥させる。円錐型粉砕機中で1.57mmメッシュの篩にかける。シリカを加えて、キュービックミキサー中で20分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに2分間混合する。
【0152】
さらに別の実施様態では、以下の例14〜23の成分/処方を用いて、上記の代替的な操作に適切な変更を加えてこれを使用することも可能である。
【0153】
例14 単一の三層錠剤からなる系−1.00mgのロピニロール 例14では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0154】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。こうした顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0155】
14(a) 1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表14】
【0156】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径9mmの僅かに凹型の円形穿孔装置を装備している。
【0157】
最初130.0mgの第一の顆粒バリヤーと、1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロールに相当)を含有する三層錠剤を得る。表4に、例14の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0158】
例15:単一の三層錠剤からなる系−3.00mgのロピニロール 例15では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgの塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0159】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。こうした顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0160】
15(a) 3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表15】
【0161】
第一の層及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径9mmの僅かに凹型の円形穿孔装置を装備している。
【0162】
最初130.0mgの顆粒バリヤーと、3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgの塩基のロピニロール塩基に相当)を含有する三層錠剤を得る。表4に、例15の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0163】
例16 単一の三層錠剤からなる系−6.00mgのロピニロール 例16では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第二の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0164】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。このような顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0165】
16(a) 6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表16】
【0166】
第一の層及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径9mmの僅かに凹型となった円形穿孔装置を備えている。最初130.0mgの顆粒バリヤーと、6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機をセットする。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する三層錠剤を得る。表4に、例16の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0167】
例17:単一の三層錠剤からなる系−9.00mgのロピニロール 例17では、前記第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、前記第二の層(徐放性)は10.26mgのロピニロール塩酸塩(9.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0168】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通り調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。このような顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0169】
17(a) 10.26mgのロピニロール塩酸塩(9.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表17】
【0170】
第一及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径8mmの環状凹型穿孔装置を装備する。最初130.0mgの顆粒バリヤーと、活性成分(9.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが9.00mgの活性成分を含有する三層錠剤を得る。表4に、例17の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0171】
例18:単一の三層錠剤からなる系−12.00mgのロピニロール 例18では、前記第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、前記第二の層(徐放性)は13.68mgのロピニロール塩酸塩(12.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0172】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。こうした顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0173】
18(a) 13.68mgのロピニロール塩酸塩(12.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表18】
【0174】
第一及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径8mmの円形凹型穿孔機を備える。最初130.0mgの顆粒バリヤーと、活性成分(12.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが12.00mgの活性成分を含有する三層錠剤を得る。表4に、例18の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0175】
例13〜18で調製した錠剤の溶解試験 例13〜18に記した三層錠剤からの活性成分の放出特性を評価するために、装置2を使用し、へら(USP XXIII)を100rpmで運転し、溶解液として37℃のクエン酸の水性緩衝溶液(pH4.0)500mLを用いた。活性成分の放出は、HPLCを用いて波長250nmにて測定し、自動サンプリングと自動読取システムを利用して追跡した。実施した実験の結果を表4に示す。
【表19】
【0176】
調製した系からの薬物放出がスローダウンし、薬物の大部分が放出されるのに約24時間を要することがわかる。
【0177】
さらに、放出速度式が錠剤中の活性成分の任意含量において実質的に変わらないことが明らかである。こうした挙動は、本発明に適うものである。
【0178】
例19:ロピニロールの円形錠剤の調製 円形の錠剤として、ロピニロール錠剤製剤を以下のようにして調製した。錠剤は、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。HPMCは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの略語である。
【0179】
支持層(1)
【表20】
【0180】
活性層(2)
有効ロピニロール塩基として測定されたロピニロールが錠剤当たり0.75mg、1mg、又は3mgである3通りのロピニロール錠剤成分含量の処方を示す。
【表21】
【0181】
支持層(3)
【表22】
【0182】
顆粒化液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「b」で示されている。
【0183】
例20:ロピニロールキャプレット処方の調製 ロピニロール錠剤製剤をキャプレットとして以下のように調製した。錠剤は、図9(ここで符号10と12はバリヤー層を示し、同11は活性層を示す)に示すように、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。HPMCは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの略語である。有効ロピニロール塩基として測定されたロピニロールが錠剤当たり1mg、3mg、6mg、9mg又は12mgである4通りのロピニロール錠剤成分含量処方を示す。
【0184】
支持層(1)
【表23】
【0185】
活性層(2)
【表24】
【0186】
支持層(3)
【表25】
【0187】
フィルムコーティング
【表26】
【0188】
顆粒化液又はコーティング液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「c」で示す。OPADRY OY−S−28876 WHITEは、HPMC2910 6cPが63%、PEG400が7%、Ti02が30%である。赤/ピンク(0.01〜0.25%)及び/又は黄色(0.1〜1.5%)の着色剤も添加することができ(酸化鉄)、HPMCは61〜66%の間で変動する。別の青色コーティングは、HPMC2910 3cP又はHPMC 2910 5cPのいずれかを31〜32%、PEG400を8%、Ti02を23〜24%、ポリソルベートを1%、青色色素としてインジゴチンを4〜5%使用する。
【0189】
例21:ロピニロールキャプレット処方の調製 ロピニロールの錠剤製剤をキャプレットとして以下のように調製した。錠剤は、例20と同様に、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。存在する有効塩基として測定された錠剤ロピニロール当たり1mg、3mg、6mg、9mg又は12mgの4通りの錠剤ロピニロール成分含量処方を示す。この実施例は、支持層又はバリヤー層中に黄色酸化第二鉄が欠如している以外は例20と同じである。
【0190】
支持層(1)
【表27】
【0191】
活性層(2)
【表28】
【0192】
支持層(3)
【表29】
【0193】
フィルムコーティング
【表30】
【0194】
顆粒化液又はコーティング液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「d」で示す。
【0195】
例22及び23:ロピニロールキャプレット処方の調製 ロピニロールの錠剤製剤をキャプレットとして以下のように調製した。錠剤は、例20、21と同様に、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。22及び23の製剤の例を、それぞれ有効ロピニロール塩基として測定したロピニロール錠剤当たり0.75mg(塩酸塩として0.855mg)である単一の錠剤成分含量処方として示す。明らかなように、例22及び23は、例19のロピニロールが0.75mgの活性層と同一の活性層を含むが、バリヤー層は例19のものと異なっており、バリヤー層中のHPMCの量とグレードが異なり、マンニトールがラクトースで置き換えられており、ベヘン酸グリセリルの量が少ない。明らかなように、例22及び23は、それぞれ10重量%及び40重量%のK4M HPMCをバリヤー層中に有しており、それは実施例13〜18及び19〜21のバリヤー層中に存在する約45重量%のK100M HPMCよりもin vitroで僅かに速い放出プロフィールを与え、とりわけロピニロールがバリヤー層を通ってより速く移動する。例22では、10重量%のK4M HPMCに加え20重量%のK100LV HPMCをバリヤー層中に有するが、バリヤー層中の低粘度(LV)のHPMCは吸水量を増し、ゲル化を助け、マトリックスの粘度を増加させ、放出速度を減少させることがある。
【0196】
例22及び23の支持層(1)
【表31】
【0197】
例22及び23の活性層(2)
有効ロピニロール塩基として測定された錠剤ロピニロール当たり0.75mgである三通りの錠剤成分含量のロピニロール処方を示す。
【表32】
【0198】
例22及び23の支持層(3)
【表33】
【0199】
顆粒化液又はコーティング液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「c」で示す。
【0200】
注:上記各例22及び23の活性層は、存在する有効塩基として測定された1mg、3mg、6mg、9mg及び12mgのロピニロールを用いる例20及び21の活性層で置き換えることができる。
【0201】
注:例13〜18及び19〜23のすべてのロピニロールの実施例では、例えば12mgの錠剤2個を用いることによって、1日当たり最高で24mgのロピニロールというより多い投与量を投与することができる。他の投与量、例えば1日当たり4mgを、1日当たり1mgの錠剤を1個、3mgの錠剤を1個用いて投与することができる。また、例13〜23のすべてにおいて、活性層の全重量を一定に維持しつつ、ラクトースの量を変えることによって、例えば0.25mg、0.5mg及び2mgの異なる投与量のロピニロールを活性層中で使用することができる。
【0202】
例24 キャプレットの調製及び薬剤の溶解プロフィールに関する更に進んだ研究 キャプレットの調製に関する以下の更に進んだ研究によって、存在する有効塩基として測定した0.75mg、6mg、12mgのロピニロールを含有するロピニロールキャプレットの薬物溶解プロフィールを示す。
【表34】
【0203】
注:a=完成品には残留しない。
【0204】
0.855mgのロピニロール塩酸塩は、0.75mgのロピニロール塩基に相当。
【0205】
6.840mgのロピニロール塩酸塩は、6.00mgのロピニロール塩基に相当。
【0206】
13.680mgのロピニロール塩酸塩は、12.00mgのロピニロール塩基に相当。
【0207】
薬物放出プロフィールは、標準の技術を用いて測定した。結果は以下の通りであった(結果は、任意の時間間隔で放出される薬物の百分率で表した)。
【表35】
【表36】
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】図1は、二層錠剤の横断面を示しており、網掛けがバリヤー層を示し、小点が活性物質含有層を示す。
【図2】図2は、上部及び下部バリヤー層を有し、中央部活性層を有する三層錠剤の横断面を示す。
【図3】図3は、バリヤー層が活性層の側面及び側端を被覆している二層錠剤の横断面を示す。
【図4】図4は、バリヤー層が活性コアの周囲に環状リングとして存在する二層錠剤の横断面を示す。
【図5】図5は、活性コアが二つの異なる活性層からなる図4の錠剤の横断面を示す。
【図6】図6は、バリヤー層(3)が活性層(2)上に重層され、活性層(2)が順次活性層(1)に重層された三層錠剤の横断面を示す。
【図7】図7は、第一の活性層(5)がバリヤー層(6)と第二の活性層(4)の中に含まれる三層錠剤の横断面を示す。
【図8】図8は、バリヤー層(8)が活性層(9)と(7)の間に挿入された三層錠剤の横断面を示す。
【図9】図9は、活性物質層(11)がバリヤー層(10、12)の間に挿入された三層キャプレットの平面図、側方立面図、及び端部立面図を示す。断面図は、線X−Xでの断面を示す。
【図10】図10は、溶解特性の比較を示す。放出に対するコーティングの影響を調べるために、有効な遊離塩基として測定した0.75mg用量のロピニロールの反復バッチ。錠剤 P00K39Eの結果は「白四角」として、錠剤 P00K40Eは「白菱形」として、錠剤 P00K41Eは「白三角」として、錠剤C511は「黒四角」として、錠剤 C519は「黒菱形」として、錠剤 C529は、「黒三角」として示されている。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。
【図11】図11は、溶解特性の比較を示す。放出に対するコーティングの影響を調べるために有効な遊離塩基として測定した6mg用量のロピニロールの反復バッチ。錠剤 P00K45Eの結果は「白四角」として、錠剤P00K46Eは「白菱形」として、錠剤 P00K47Eは「白三角」として、錠剤 C530は「黒四角」、錠剤 C531は「黒菱形」、錠剤 C532は「黒三角」として示されている。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。
【図12】図12は、溶解特性の比較を示す。放出に対するコーティングの影響を調べるために有効な遊離塩基として測定した12mg用量のロピニロールの反復バッチ。錠剤 P00K42Eに対する結果は「白四角」として、錠剤 P00K43Eは「白菱形」として、錠剤 P00K44Eは「白三角」として、錠剤 C512は「黒四角」として、錠剤 C534は「黒菱形」として、錠剤 C535は「黒三角」として示されている。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。
【図13】図13は、遊離塩基として測定した0.75mg、6mg及び12mg用量のロピニロールの溶解特性の比較として表された、被覆錠剤に対する投与量の影響を示す(反復バッチの結果)。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。錠剤 C511,C519及びC529は0.75mgロピ二ロールであり「実線」で、錠剤 C530、C531及びC532は6mgロピ二ロールであり「一点鎖線」で、錠剤C512、C534及びC535は12mgロピ二ロールであり、「破線」で示されている。
【発明の開示】
【0001】
本発明は、親水性及び親油性成分の混合マトリックスを含む投与製剤又は錠剤であって、1以上の治療的に活性な薬剤が該製剤又は錠剤から放出される速度を調節することができる投与製剤又は錠剤に関する。
【0002】
近年、ヒトの治療及び獣医学の両分野において、活性な物質を投与することを意図して、画期的な剤形を調製することを目的とした製薬技術分野の研究に多大な努力が払われてきた。医薬剤形及び/又は調製した製剤系の画期的な特性の基本的側面の1つとして、特異的な作用部位を目標として薬物(又は活性物質)を放出し得ること、及び/又は適切なin vitroでの試験によって評価することができるアプリオリにプログラム可能な速度で、かかる活性物質を放出し得ることがある。
【0003】
ヒトの健康に関する部門だけでなく、他の部門、すなわち獣医及び農業部門も、これらの技術分野、特に、肥料、除草剤、殺虫剤、及び/又は特定の培養物のための特異的な保護剤の徐放に対して興味を寄せている。
【0004】
0次速度式に従って活性成分(活性物質)を放出することができる剤形の調製について記述した例が製薬部門には多数存在する。当分野の専門家には周知であるが、このことは、医薬中に保持された活性成分が、当該剤形によって、プログラム可能な期間中、一定の速度で放出されることを意味する。特に、薬物の放出は次の経験的な関係式 Mt/M0=Ktnによって表すことができ、放出された薬物の分率(Mt/M0)は、マトリックス中の拡散係数に依存する定数Kに比例し、一方、定数nは膨潤する最前面にある高分子鎖の膨潤特性と緩和速度に依存する。このような剤形の例は多数存在し、例えば、S. Dimitriu編「Polysaccharides in medical applications」, M. Dekker, New York 1996の巻に引用されている。
【0005】
異なる投与形態、すなわち経口、経皮、膣、及び眼球に利用可能な剤形に関する例及び医薬への応用例が多数存在している。もちろん、経口薬物投与が極めて重要であり、且つ広く行なわれているため、胃腸管中に活性成分を放出することを目的とした態様(例えば、米国特許第4,160,020号に記載されたOROSシステム)の数が多く、種類も多岐にわたっている。
【0006】
米国特許第4,839,177号及び米国特許第5,422,123号(それぞれEP−A−0226884号及びEP−A−0432607号の対応特許)に記載の経口用医薬剤形によっても本分野にさらなる進歩がもたらされており、一定の放出速度、すなわち0次の速度式(上式でn=0)に従って活性成分を確実に放出することができる経口用剤形の調製について記述している。特に、これらの文献は、活性成分を様々な速度で(すなわち、調節された放出速度で)放出させることができ、最も簡易な形態の場合、薬物と好適な賦形剤とを含有する親水性マトリックスからなる治療系の調製について記述している。
【0007】
活性成分を緩徐に放出させる上で重要な構成成分は親水性ポリマーであって、これはゲル化してもよく、さらに水及び/又は水性流体と接触すると膨潤することができ、そこからフィック型の速度式に従って活性成分が拡散するゲル化層を形成する。
【0008】
上記の米国特許第4,839,177号及び米国特許第5,422,123号に記載された治療系は、マトリックスの一部分が不透過性のバリヤー(米国特許第4,839,177号のように水及び水性媒体に不溶性のポリマーフィルムを適用することによって得られる)によって覆われること、又は材料及び/又はポリマー性材料混合物の層が圧縮によって付けられる(おそらくは既知の技術に従って得られる顆粒)ことを特徴とし、これによって不透過性を付与し、及び/又はいかなる場合でもマトリックス中に保持された薬物が防護された表面から放出されるのを所定期間妨げる(米国特許第5,422,123号のように)。その結果、親水性マトリックス中に保持された活性成分は、活性物質を含有する層の溶解媒体と直接接触している開放表面のみから放出されることになる。こうしたシステムは、引用した特許の請求範囲に強調されているように、前記剤形中に保持された活性成分が、一般に長期間一定な(0次の放出速度式)速度で放出されることを特徴とする。
【0009】
他の錠剤製剤では、多層錠剤中の層を適正に製剤することによって、1以上の薬物を異なる放出速度で放出する(国際公開第94/06416号)。薬物を段階的に放出する他のシステムとしては、不透過性膜を使用して薬物放出の時間を調節するもの(米国特許第5,487,901号)、生分解性ポリマー材料で完全にコートするもの(米国特許第6,027,748号)、あるいは透過性の調節された材料のより頑強な層をさらに有するもの(EP−A−0788790号)がある。さらに、胃中の滞在時間を延ばすように錠剤が胃の内容物と接触すると体積が増加する多層錠剤についての記述もある(EP−A−0795324号)。
【0010】
しかし、多くの治療用プロトコールにおいて、患者は長期間にわたって慢性疾患の治療のために薬物を服用しなければならず、時には、複雑な薬量パターンに従って、24時間にわたり複数の剤形を服用しなければならないこともある。こうした複雑で独特な治療モデルはあまり支持されておらず、入院していない患者が遵守していることはまれである。実際、外来患者が薬量モデルを正しく守らなくなることは非常に多く、良く知られたことであって、その日に必要とされ又は推奨される投与の複雑さと回数に正比例して患者は薬量モデルを遵守しなくなる。例えば、慢性疾患の治療、例えば高血圧症において、薬物の薬量は病状の重篤度に関連して調節しなければならず、したがって患者個人特有の治療上の必要性に応じて個別化しなければならない。
【0011】
多くの病理モデルにとって重要なことは、(薬量を個別化しやすいように)活性成分含量が細かく分けられた剤形で、保持される活性物質の量とは無関係に、ほぼ同じか全く同じ速度及び放出速度式で薬物を放出することができる剤形を利用可能にすることを医学界が要請していることである。
【0012】
したがって、同一薬物の異なる投与量を同じかほぼ同じ速度で放出することができる剤形を使用することが可能となれば、それが目標とするタイプの治療法に関して、治療上の重要な課題に対する社会的に至当な解決策が医学界にもたらされるであろう。このような剤形は、一般に薬物使用と生物学的に活性な物質の最適化を可能にするであろう。
【0013】
多層錠剤、好ましくは2層又は3層の層を含む多層錠剤からなる特定の製剤及び剤形を利用すると、たとえその錠剤が非常に異なる量の同一活性物質を保持していても、同様又は同一の放出速度を得られることが今回発見された。
【0014】
新しい治療システムの形態学的及び実用的な特性に加え、以下の詳細な記述の中で考案した新しい態様の独創性につきさらに説明を加える。
【0015】
本発明の一側面によれば、 (a)(i)活性物質と、(ii)水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する親水性ポリマー物質と、(iii)親油性物と、(iv)佐剤とを含有する一の活性層であって、前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が10:1〜0.5:1の範囲にある活性層と、 (b)水性液体、親油性物質、及び佐剤と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する1以上の親水性ポリマー物質を含有する1以上のバリヤー層とを備えた多層錠剤、特に多層調節放出性錠剤が提供される。
【0016】
本発明に従って調製される多層錠剤は、多層錠剤中の活性物質含有層における同一の活性物質を異なる量で処方する場合、実質的に等価な(又は同一の)放出速度式を与えることができる。本発明の医薬錠剤は、保持された活性物質をプログラムされた態様で放出し、好ましくはさらに過量放出の現象を回避するという利点を有し、したがって、活性物質を緩やかに徐放的に放出することによって特定の治療上のニーズに対処することができる。
【0017】
本発明の多層錠剤は、2層錠剤、3層錠剤、又は必要ならば4層以上の錠剤として調製することができる。少なくとも1層は錠剤から放出させるべき活性物質を含有し、少なくとも1層は活性物質含有層に対するバリヤー層又は支持層であろう。実施可能な多層錠剤の構成を図1〜9に示す。錠剤は全体として実質的に円形の断面とすることができ、あるいはこれより楕円形の断面又は他の適切な任意の幾何形状、例えば直線の形状をとることができる。錠剤は、キャプレット(カプセル型の錠剤)の形状でも良い。多層錠剤においては、多くの層配列が可能であることを理解されたい。
【0018】
活性物質含有層は、活性層と呼ぶことができるが、本発明の錠剤中には複数の活性物質を処方することができることに留意されたい。活性物質を一般に含有しない層は、バリヤー層又は支持層と呼ぶことができる。
【0019】
簡単な2層錠剤を図1に示すが、活性物質含有層(点付き)の側面の1つが1層のバリヤー層(斜線付き)で覆われている。この構成の変形例は図2に示されており、2つのバリヤー層が活性物質含有層の露出した両側面を覆っている。図3では、単一のバリヤー層が、活性層の1つの側面と側端を覆っている。図4ではバリヤー層が環状の形で存在して活性物質のコアを囲んでおり、図5では2つの活性層からなる活性物質のコアが環状のバリヤー層に囲まれる。
【0020】
図6は3層錠剤を示しており、上方側面と側端が露出した第1のバリヤー層(3)が、層の両側面が覆われ側端が露出した第2の活性層(2)に隣接しており、ついで第2の活性層(2)は底部側面が露出し、且つ側端が露出した第2の活性層(1)に隣接する。2つの活性層は、異なる活性物質又は異なる量の同じ活性物質を含有することができる。図7は図6の態様の別の配列例であり、活性物質層(5)は全体がバリヤー層(6)と第2の活性物質層(4)の中にある。図8は類似の3層錠剤であり、バリヤー層(8)が2つの活性物質含有層(9)と(7)との間に挟まれる。
【0021】
図9には、同じく、別の3層錠剤(キャプレット)の構成が示されており、該錠剤は2層の外面バリヤー層(10,12)と、そのバリヤー層の間に挟まれた1層の活性物質層(11)とを有する。
【0022】
錠剤の幾つかの構成では、第1の活性物質含有層に対してバリヤー層として作用するが、それ自体も活性物質含有層であるように、バリヤー層に活性物質を含有させてもよい。一般に、こうした実施態様においては、活性層中の活性物質は層が異なると異なるが、同じ活性物質が別の活性層中に異なる量で存在するような配置も考えられる。
【0023】
バリヤー層は、溶解媒体及び/又は生物学の体液に接触したときに、本発明の所定の実施例で強調されているように、厳密な方法によってインビトロでプログラムすることができる速度式に従って、露出した表面のみから保持された活性物質を放出できるように、活性層の放出面を限定する意味がある。
【0024】
錠剤の形で経口投与するのに好適な薬学的に活性なあらゆる物質を、本発明の錠剤中に処方することができる。したがって、活性物質は、治療用途を有する医薬品(薬物)であり、このような物質には、例えば食餌療法用の診断等の非治療用途のために投与される物質も含まれる。
【0025】
前記活性物質は好ましくは慢性疾患を治療するための物質とすることができ、例えば、心臓血管系に作用する薬物、抗不整脈薬、強心薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、血圧降下薬、例えば中枢及び末梢作用を有する抗アドレナリン性物質又は細動脈筋系に作用する物質、鎮痛性の物質、レニン−アンギオテンシン系に作用する物質、血圧降下薬及び関連する利尿薬、抗パーキンソン病薬、利尿薬及びアルツハイマー病の治療用薬物、抗ヒスタミン薬、及び/又は抗ぜん息薬である。
【0026】
このような剤形において使用できる活性物質の例としては、プロプラノロール、アテノロール、ピンドロール、ロピニロール、プラゾシン、ラミプリル、スピラプリル;スピロノラクトン、メチプラノロール、モルシドミン、モキソニジン(moxonidina)、ナドロール、ナドキソロール(nadoxolol)、レボドパ、メトプロロール、チモロールがある。特に好ましい態様においては、前記活性物質(i)は、その薬学的に許容される塩を含むロピニロールを含むか、又はその薬剤的に許容される塩を含むロピニロールである。
【0027】
ロピニロール、その化学構造、その製造方法、及びその治療上の利用は、EP−A−0113964号(実施例2を参照のこと)、EP−A−0299602号、EP−A−0300614号、国際公開第91/16306号、国際公開第92/00735号、及び国際公開第93/23035号にさらに十分に記載されており、これらの内容を参照により本明細書に組み込む。本明細書において「ロピニロール」とは、薬学的に許容されるその塩を含むと定義される。錠剤に使用されるロピニロールは、最も好ましくは塩酸塩の形である。ロピニロールは現在、パーキンソン病治療用の速効性錠剤中の塩酸塩として市販されている(EP−A−0299602号も参照のこと)。ロピニロールは国際公開91/16306に記載されている有利な方法によって合成することができる。
【0028】
前記活性物質がロピニロールを含むか、又は前記活性物質がロピニロールである本発明の実施態様においては、ロピニロール(その薬学的に許容される塩を含む)の量は、任意のロピニロール塩を形成するために加えられる任意量の酸(例えば、塩酸、HCl)を除いたロピニロール塩基の量として測定したときに、12.0mg以下、好ましくは0.75mg〜12.0mgの量とすることができる。ロピニロール(その薬学的に許容される塩を含む)の量は、ロピニロール塩基の量として測定したときに、活性層150mg当たり12.0mg以下、好ましくは0.75mg〜12.0mgの量とすることができる。以下、実施例13〜18を参照されたい。
【0029】
鎮痛物質には、ステロイド系抗炎症剤とオピオイド系鎮痛剤と非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)とが含まれるがこれらに限定されない。この鎮痛物質は、アセチルサリチル酸、サリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ディクロフェナック、ディクロフェナックナトリウム、エトドラック、ケトロラック、又は薬学的に許容される塩及び/又は誘導体、又はその混合物のような、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)であり得る。
【0030】
他の適切な鎮痛物質には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、べジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、及び薬学的に許容できる塩及び/又は誘導体、又はその混合物などのオピオイド鎮痛剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
血圧降下薬には、ジルチアゼム、トラピジル、ウラピジル、ベンズヨーダロン(benziodarone)、ジピリダモール、リドフラジン、ナフチドロフリルオキサレート、ペルヘキセリンマレアート、塩酸オキシフェドリンが含まれ得る。抗ヒスタミン及び/又は抗喘息薬には、エフェドリン、テルフェナジン、テオフィリン又はクロルフェニラミンが含まれ得る。
【0032】
いかなる場合でも、同一の放出キネティクスを有する活性物質を著しく異なる量で放出することを可能とする剤形が必要であり得る任意のタイプの活性成分を保持するマトリクスを調製することができる。
【0033】
本特許出願の錠剤において、保持すべき前記活性物質は、例えば、0.01mg/L〜3000g/L、好ましくは10mg/L〜1000g/L(例えば、ロピ二ロールは、133g/Lの溶解度を有する)又は、0.01mg/L〜100g/Lというように、水に対して、著しく広い範囲の溶解性を有し得る。
【0034】
好ましくは、前記活性層の0.05重量%〜50重量%の割合で、より好ましくは0.05重量%〜40重量%、0.05重量%〜30重量%、0.05重量%〜10重量%、0.05重量%〜20重量%の割合で活性物質を含有する。
【0035】
生体適合性及び/又は生分解性材料及び薬学的に許容される天然又は合成親水性ポリマー物質、例えばポリビニルピロリドン、特に非架橋性ポリビニルピロリドン(分子量の例として、30,000〜400,000)、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、非架橋性、例えば、典型的な分子量として90,000−700,000)、カルボキシメチルスターチ、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼンコポリマー、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、好ましくは分子量200〜15,000(より好ましくは、1000〜15000)の異なる分子量を有するポリエチレングリコール、及び分子量20,000,000以下(より好ましくは400,000〜7,000,000)のポリオキシエチレン、カルボキシビニルポリマー、ポロクサマー(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー)、ポリビニルアルコール、グルカン、カラゲナン、スクレログルカン、マンナン、ガラクトマンナン、ジェラン、キサン(xanthan)、アルギン酸及びその誘導体(例えば、アルギン酸ナトリウム又はカルシウム、アルギン酸プロピレングリコール)、ポリアミノ酸(例えばゼラチン)、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、エチルセルロース、メチルセルロース、デンプン及びデンプン誘導体、アルファ又はベータ又はガンマシクロデキストリン及び一般的デキストリン誘導体(例えばデキストリン)などを前記活性層の調製に使用することができる。従って、親水性ポリマー物質は、調節放出性ポリマー又は放出制御(CR)可能なポリマー物質として挙げることができる。
【0036】
より好ましくは、活性物質が有利な放出制御を達成するためには、前記活性層中の親水性ポリマー物質は、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、分子量2,000から4,000,000(より好ましくは、分子量10,000〜1,500,000、さらにより好ましくは、分子量20,000〜500,000、最も好ましくは、分子量約250,000)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース又はメチルセルロースを1以上含有する。最も好ましい調節放出性ポリマーは、HPMCである。
【0037】
増粘剤/ポリマー又は「ケージ形成(cage forming)」成分として作用するカルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はカルボキシセルロースカルシウムのような親水性ポリマー物質も、例えば活性層の好ましい成分である。経口投与後の最初の(概ね)一時間で無視できない量の活性物質を活性層から放出し得る可溶性活性物質(例えばロピニロール)においてしばしば起こる 「過量放出(dose−dumping)」効果の抑制が増粘性ポリマーにより促進されるため、活性層にこれらの増粘性ポリマーを与えることが好ましい。従って、この目的のためには、活性層の前記親水性ポリマー物質はカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース又はその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム)、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン、キサン、アルギン酸又はその誘導体(例えば、アルギン酸ナトリウム又はカルシウム、アルギン酸プロピレングリコール)、エチルセルロース、メチルセルロース、デキストリン及び/又はマルトデキストリンを含むことが好ましい。この目的のために最も好ましいのは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)(例えば、非架橋性、例えば、典型的な分子量が90,000〜700,000のもの)である。本発明は、増粘剤及び/又は「ケージ形成」成分として作用可能な他の同等なポリマーの使用をも包含する。
【0038】
活性層中の前記親水性ポリマー物質が上記の好ましい調節放出性ポリマー及び前に定義した増粘性ポリマーをともに含有することがより好ましい。従って、活性層の前記親水性ポリマー物質は、下記のものを含有することが好ましい。
【0039】
(a)以下のものを一以上:分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース又はメチルセルロース、及び、 (b)カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース又はその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム)、分子量100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン、キサン、アルギン酸又はその誘導体(例えばアルギン酸ナトリウム又はカルシウム、アルギン酸プロピレングリコール)、エチルセルロース、メチルセルロース、デキストリン及び/又はマルトデキストリン。
【0040】
従って、錠剤を経口投与した後の最初の一時間前後、HPMCのような調節放出性ポリマー(a)はなお徐々に膨潤し、及び/又はゲル化するが、活性層からロピニロールなどの溶解性活性物質が徐放される効果が弱い場合には、カルボキシメチルセルロース(NaCMC)のような増粘性ポリマー(b)によって、活性層からの活性物質の放出が抑制される。理論に拘泥するものではないが、NaCMCのようなイオン性増粘剤も、例えばHPMCのヒドロキシプロピル基と相互作用してHPMCの水和及び膨潤率を相乗作用的に増大させ、ゲル強度を高めるであろう。
【0041】
従って、とりわけロピニロールのように活性物質が水に対して高い溶解性(例えば、10mg/L〜1000g/L)を有する場合には、活性層中の前記親水性ポリマー物質はHMPC及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する(又は活性層の親水性ポリマー物質はHPMC及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである)のが最も好ましい組み合わせである。
【0042】
好ましくは、前記親水性ポリマー物質は、少なくともHLB値が10である(A.Gennaro及びJ.Remington,Remington‘s Pharmaceutical Sciences,第18版、Mack Publishing Company,Easton,Pa.,304(1990)及び、W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic Chemists,vol.1,311ページ、1949、HLB values and measurement thereof参照)。前記親水性ポリマー物質は、前記活性層の1重量%〜75重量%を占めるが、好ましい含有率は5重量%〜65重量%、及び/又は30重量%〜75重量%、より好ましい含有率は、43〜75重量%、又は43〜67重量%、又は43重量%〜65重量%である。活性層に存在するHPMCはいずれも、好ましくは活性層に対して約40〜63重量%で存在する。カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの上述の増粘性ポリマーが存在するのであれば、活性層に対して20重量%以下で存在することが好ましいが、(特にNaCMCの場合には)活性層に対して3〜20重量%、5〜20重量%、7〜15重量%又は約10重量%の割合で存在することがより好ましい。
【0043】
ここに挙げた全ポリマーに対して、異なる化学的、物理的、溶解性及びゲル化特性を有する異なるタイプのポリマーが市販されている。特に、異なる分子量を有する(分子量が、1,000〜4,000,000、好ましくは、2,000〜4,000,000、さらにより好ましくは、10,000から1,500,000、さらにより好ましくは、20,000〜500,000、最も好ましくは、約250,000)様々なタイプのヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用でき、且つ、それらは置換度が異なる。前記タイプのヒドロキシプロピルメチルセルロースは、粘性及びポリマー鎖に存在する置換度(D.S.)に応じて、主として侵食可能であるか、ゲル化可能であるかという点で多岐にわたる特性を有している。侵食可能なHPMCs(例えば、Methocel E グレード)よりもゲル化可能なHPMC(例えば、Methocel K グレード)が好ましい。ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレンは、同一の挙動を示す。実際、親水性及びゲル化特性の相違は分子量の相違に対応する。
【0044】
ポリマー分子量とポリマーの2%粘性は、直接的に相関し得る(“METHOCELTM in Aqueous Systems for Tablet Coating”,12頁,The Dow Chemical Companyより出版、www.dow.com、METHOCELTM は、The Dow Chemical Companyの商標である)。この場合、ポリマー粘性は、mPa.secondsとして測定される摂氏20度での2%水溶液の粘性として定義される。粘性は、Pascal seconds(SI単位)又はpoise(c.g.s.単位)で測定される。ここで、1centipoise=10−3Pa,secである。従って、例えば、METHOCELTMK100Mは、分子量約246,000、対応する2%粘性が100,000mPa.sec(80,000から120,000mPa.secの平均粘性を基にしている)である。METHOCELTMK4Mは、分子量約86,000、対応する2%粘性が4,000mPa.secであり、METHHOCELTMK100LVは、分子量約27,000、対応する2%粘性が100mPa.secである。この理由から、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーなどの好ましい分子量範囲のポリマー物質はまた、粘性によっても定義され得る。
【0045】
前に定義したようなヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーに対する一つの好ましい粘性範囲は、50〜150,000mPa.secの範囲、好適には、80,000〜120,000mPa.secの範囲(例えば、K100M、実施例13−21の活性及びバリヤー層におけるように)であり得る。このことは、活性層(上述)又はバリヤー/支持層(後述)の何れに対しても当てはまる。
【0046】
他の実施態様では、放出速度をより高速化するために、活性及び/又はバリヤー層のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーに対する粘性範囲を50〜25,000mPa.secの範囲(Methocels K4M、K15M,K100LVを含む)に設定しうる。この実施態様において、好ましくは、一部又は全部のHPMCポリマーが1000〜25,000mPa.sec(Methocels K4M及びK15Mを含むが、K100LV又はK100Mを含まない)の範囲の粘性を有する。より好ましくは、活性又はバリヤー層に対して5〜50重量%の割合で、1000〜25,000mPa.secの範囲の粘性を有するHPMCポリマーが前記活性層又はバリヤー層中に存在する。特に、下記の実施例22及び23では、とりわけ、例えばロピニロールなどの活性物質がバリヤー層をより速く移動するので、実施例13−18及び19−21のバリヤー層中に存在する約45重量%のK100M HPMCよりもin vitroでわずかに速い放出特性を与えるバリヤー層においては、それぞれ10〜40重量の%のこのようなHPMC(K4M)が使用される。好ましくは、活性又はバリヤー層中に含まれる、50〜1000mPa.sec未満の粘性を有する低粘性HPMCs(Methocel K100LVを含む)の割合は、その層に対して30重量%未満である。例えば、実施例22では、バリヤー層中に10重量%のK4M HPMCだけではなく、20重量%のこのようなHPMC(K100LV)を有している。活性層又はバリヤー層中に30%を超えない低粘性HPMCが存在すると水分の取り込みを増加させ、ゲル化を助けて、マトリクス粘性を向上させ且つ放出速度を低下させることができるが、それ以上の量は好ましくない。
【0047】
本発明の他の実施態様において、先に定義したような錠剤を提供する。その錠剤において、活性層には、緩徐に膨潤及び/又はゲル化し、及び/又は侵食し、及び/又は溶解性を有するポリマー物質が含有されている。
【0048】
本発明の錠剤の基本的な性質は、活性物質を含有する層及びバリヤー層の両層を処方するために、例えばそのままの状態の天然脂肪(ココナツ、大豆、ココア)又ははこれを全部若しくは一部水素化したもの、蜜ろう、ポリエトキシル化蜜ろう、モノ置換、ジ置換、及びトリ置換グリセリド、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル(トリベヘン酸グリセリル、C69H134CO6、例えば、Compritrol888、ここでベヘン酸=ドコサン酸=C21H43COOH)、パルミトステアリン酸ジエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、パルミトステアリン酸ポリエチレングリコール、パルミトステアリン酸ポリオキシエチレン−グリコール、モノパルミトステアリン酸グリセリル、パルミチン酸セチル、ベヘン酸モノグリセリル又はベヘン酸ジグリセリル(モノベヘン酸グリセリル又はジベヘン酸グリセリル)、ポリエトキシレート脂肪アルコールに関連する脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、飽和又は不飽和脂肪酸及びそれらの水素化誘導体、硬化ヒマシ油及び一般的な親油性物質などの親油性物質が利用されるということである。本発明のある好ましい実施態様では、硬化ヒマシ油及びベヘン酸グリセリルから選択される親油性物質が使用される。
【0049】
好ましくは、前記親油性物質は10未満の、より好ましくは5未満のHLB値を有する。
【0050】
好ましくは、前記親油性物質は、活性層の1重量%〜70重量%の割合を占めるが、好ましくは、5%〜55%、より好ましくは5〜35%の割合で存在する。
【0051】
活性物質含有層における親水性ポリマー物質と親油性物質含量との重量比は、10:1〜0.5:1(つまり、10:1〜0.5:1の範囲で)であり、好適には、10:1〜1:1(つまり、10:1から1:1の範囲で)であるが、好ましくは、7:1〜1:1(つまり、7:1から1:1の範囲で)である。
【0052】
前に挙げた親水性ポリマー及び親油性物質以外に、親油性及び/又は両親媒性の物質を前記製剤に使用しうる。この場合、親水性部分はグリセロール分子又は他のポリアルコール又は分子量100〜10,000のポリエチレングリコール分子(PEG)によって与えられるのに対して、親油性部分は、硬化植物油類における不飽和及び/又は飽和脂肪酸によって与えられる。親水性部分の脂肪鎖との結合は、エステル化反応又はPEG分子又はグリセロール又は他のポリオールによる硬化植物油の部分的アルコーリシスによって得られる。このようにして、異なる親水度を有することを特徴とした化合物を得ることができ、該化合物は親水性−親油性バランス(HLB)を測定することによって評価することができる。トリグリセリドは、1乃至2のHLB値を有するトリグリセリド、2乃至3のHLB値を有するジグリセリド、3乃至4のHLB値を有するモノグリセリド、6乃至15のHLBを有するPEGジエステル、10乃至17のHLB値を有するPEGモノエステルが使用可能である。実際に、HLB値が増加すると、親水性傾向が向上し、親油性傾向が明確に低下する。従って、本発明の錠剤には親油性の性質を持つポリマー物質も含まれる。
【0053】
最後に、例えば、希釈剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤及び、例えば、デンプン、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、タルク、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、マルトデキストリン及び当業者に公知である他の賦形剤のような非粘着型物質など、製剤技術において標準的に使用される佐剤を用いうる。
【0054】
層内又は核内への水及び/又は水性液体の浸透を促進するために、例えばマンニトール、ラクトース、由来の異なるデンプン、ソルビトール、キシリトールなどの親水性希釈剤を導入するか、又は湿潤性を有する物質及び/又は一般的に固体への水の浸透を促進する物質を製剤中に保持させることが好ましい。
【0055】
加えて、後に引用する実施例においてより詳しく説明されているように、前記層に所望の特性を与えることが可能な物質とともに、希釈剤、結合剤、潤滑剤、緩衝液、非粘着物質、流動促進剤(glidant)、及び可塑物質を用いることができる。
【0056】
前記佐剤は、好ましくは、前記活性層の5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、又は20重量%〜50重量%、又は20重量%〜35重量%の割合で含有される。活性層における佐剤成分(iv)重量比に対する活性物質(i)の重量比は、0.001:1〜4:1の範囲、好適には0.003:1〜3:1の範囲であり得る。
【0057】
他の佐剤を伴うバリヤー層を調製するために使用するポリマー物質は、その組成物に厳密に依存する期間中(これは1時間から約20〜24時間以上にわたって変動し得る)、その下層中に保持された活性物質に対して不浸透性となるバリヤー(圧縮によって付与される)を与えることができる。このような場合、前述の期間中(例えば、経口投与後最初の一時間、又は水様液体中に浸透してから最初の一時間)、活性物質の放出は、バリヤーによって被覆されていない錠剤表面からしか起こらない。「不浸透性」は、そのように解釈しなければならない。好ましくは、経口投与後の最初の一時間又は水性液体(例えば、水)中に浸透した後の最初の一時間、活性物質の放出は、実質的には、バリヤーによって被覆されていない錠剤表面からしか起こらない。
【0058】
薬学的錠剤の処方の当業者であれば、活性物質の放出に対する前記バリヤー層の不浸透性を試験するために様々な適切な試験を思いつくことができるであろう。しかしながら、このような試験の一つは、これらの表面を通じて活性成分の通常の放出が起こらないように、腸溶コート(例えば、「Eudragit」)、又はろう様物質(例えば、蜜ろう)などの適切な物質で、活性層の開放表面を選択的にコーティングすることに基づく試験であり得る。次に、in vitroにおける溶解試験を行い得る。この溶解試験では、適切な時点で溶解液を採取し得る。このようにして、バリヤー層の構成物質と周囲の液体との相互作用を通じて、活性物質がバリヤー層を通過して放出される時点(すなわち、バリヤー層のポリマーが放出される時点という)を決定することができる。あるいは、上記のようにバリヤー層の開放表面を選択的に被覆することが可能であり、溶解試験を行うことが可能である。得られた放出特性は、活性物質がバリヤー層を透過し非被覆錠剤から放出され得る時点まで、非被覆錠剤の放出特性に相当することになろう。
【0059】
上記のように、錠剤中の前記活性層の一以上の開放表面の上にバリヤー層を重層してもよい。一般的に、バリヤー層は、活性層の一以上の側面を被覆する層を形成するであろう。本発明の好ましい実施態様では、一以上のバリヤー層を使用して活性層の一方又は双方の表面又は基部が被覆された錠剤を提供する。従って、そのような配置によって、二重層又は三重層の錠剤が提供される。
【0060】
バリヤー層処方に使用可能な天然の合成親水性ポリマー物質は、活性層の調製のために挙げた物質中から選択することができる。前記層の総重量に対して前記ポリマー物質を5〜90重量%の割合で存在させることが可能であるが、25重量%〜85重量%の割合で存在させることが好ましい。
【0061】
個別に使用される前記ポリマー物質、又は互いに混合して、及び親油性物質と混合して使用される前記ポリマー物質は、その組成に応じて1時間から20〜24時間以上の間を変動し得る時間、その下の層に含まれる活性因子の放出に対する不浸透性をもたらし得る。
【0062】
バリヤー層を調製する場合には、このような親油性物質は、活性層調製用に列挙した物質の中から選択し得る。前記親油性物質は、前記層の総重量に対して5重量%〜70重量%の割合で存在し得るが、5重量%〜55重量%の間で存在することが好ましい。
【0063】
バリヤー層に含有される親油性物質に対する膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食可能な疎水性ポリマー物質の重量比は、1:1〜7.5:1、好適には1.5:1〜4:1、及び好ましくは2:1〜3.5:1の範囲でありうる。
【0064】
圧縮によって付与された前記バリヤー層は、0.1〜4.5mmの厚さを有し得る。例えば、混合してから乾燥圧縮することによって、又は湿式造粒してから圧縮することによって、好ましくは1000〜5000Kg/cm2で圧縮することにより、粉末又は顆粒混合物を圧縮してマトリックスの調製を行い得る。
【0065】
一般的に、錠剤形成は、直接的圧縮、すなわち乾燥粉末の混合物を圧縮して行われるが、この工程により偏析、低流動性などの品質上の問題が起こる場合がある。成分の混合の全部又は一部に対して造粒技術を用いることでこれらの問題を改善することができる。
【0066】
造粒は、粉末粒子を凝集させて顆粒を形成する工程である。これは、次の目的で行い得る。
【0067】
1.粉末混合物の流動性を向上させる2.成分粉末の偏析を防ぐ(均一性を向上させる)
3.圧縮特性を向上させる
4.粉末混合物の緻密化させる、及び/又は
5.粒子サイズ/形状/親水性を変化させる。
【0068】
本発明の錠剤は、乾燥造粒によって調製し得る。乾燥造粒とは、スラッギング又はローラー圧縮の何れかによって粉末を圧縮させることによる造粒である。乾燥造粒は、本質的には緻密化工程である。
【0069】
スラッギングでは、未精製コンパクト(スラグ)を、あるスラグ直径に対する所定の重量/厚さを有するようにする。次に、磨砕式ミル又はコミューティング式ミルのいずれかでこれらのスラグを縮小させて、必要なサイズ/範囲の粒子を産生する。
【0070】
ローラー圧縮あるいはチルソネーティング(Chilsonating)とは、(滑らかな、又は有溝の)2つのローラー間の螺旋状部を介して粉末状の混合物に力をかけることである。該物質の圧縮は、ローラーに対する送り速度及び共に押されているローラーの液圧力によって調節される。次に、得られたコンパクト(リボン又はストリップと呼ばれる)を磨砕式ミル又はコミューティング式ミルのいずれかによって縮小させて、必要な粒子サイズ/範囲の顆粒を得る。
【0071】
乾燥造粒を使用する場合には、湿式造粒と比べて佐剤が若干異なることが多い。例えば、ラクトース一水和物(湿式造粒において使用されることが多い)の代わりに、好ましくは無定形のラクトース(例えば、Fast−Flo lactose、Seppic,Paris,France)を含有する噴霧乾燥したラクトースを使用するのが好ましい。
【0072】
しかしながら、好ましくは、本発明の錠剤は湿式造粒によって調製される。湿式造粒は、最も広く使用されている造粒技術であり、粉末状の混合物に造粒液/媒質を取り込ませることよって粉末緻密化及び/又は凝集させることを含む。湿式造粒は、水をベースとしたものであるか、溶媒をベースとしたもの(例えば、有機溶媒をベースとする)であり得る。せん断は、粉末を通過する造粒装置のパドル/ブレードの速度に依存する。様々なデザインのミキサー、例えば、
湿式高せん断、(高いせん断力で回転する(Fielder))、
湿式低せん断、(低いせん断力で回転する(Planetary mixer))、
湿式低せん断回転、(タンブルミキサーに対して噴霧する、
増倍用のバー(intensifier bar)あり/なし)
押し出し加工、(湿潤固体を分別スクリーンから押し出す)
回転式造粒装置、(球形化、マルメリゼーション−回転ディスク又は容器壁)
流動床中での噴霧造粒、又は、
噴霧乾燥造粒が利用可能である。
【0073】
圧縮によって付与され得る前記層−バリヤーを処方する場合には、佐剤、特に希釈剤となり得る物質には、固形物の調製に慣例的に使用されている物質が含まれる。例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、ホウ酸、ポリエチレングリコール及び/又はコロイダルシリカを使用しうる。
【0074】
後述の実施例においてより詳細に説明されているように、希釈剤に加えて、前記層に所望の特性を与えることができる潤滑、非粘着性及び流動促進物質、及びその他の物質を使用し得る。考えられる他の成分には、例えば鉄酸化物(黄色酸化第2鉄)など、多層錠剤中に調製し処方される最終製品たる錠剤の層を着色し得る物質が含まれる。
【0075】
さらに、当業者に周知のコーティング工程及び/又は他の任意の工程によって、前記完成した錠剤を被覆することが可能となろう。コーティングの例は、「OPADRY OY−S−28876 WHITE」である。OPADRY OY−S−28876 WHITEは、63%のHPMC2910 6cP、7%のPEG 400、30%のTiO2である。赤/ピンク(0.01〜0.25%)及び/又は黄色(0.1〜1.5%)の着色剤を添加することもでき(鉄酸化物)、HPMC含有量は61%から66%の間で変化する。他の青色コーティングは、HPMC 2910 3cP及びHPMC 2910 5cPをそれぞれ31〜32%、8%のPEG400、23〜24%のTiO2、1%のポリソルベート、及び青色色素としてインジゴチンを4〜5%を用いている。
【0076】
錠剤が十二指腸−腸管に到達してから初めて系が活性化されるように、非胃溶性及び腸溶性ポリマー物質の着色層又はフィルムを前記完成錠剤に用いてもよい。特に腸管の後半部分、すなわち大腸のレベルで活性成分を放出するように設計された錠剤を得るために、後者のタイプの医薬系を使用することができる。非胃溶性にするために、酢酸フタル酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、トリメリト酸セルロース、ポリマー、及びアクリルとメタクリルのコポリマー等の分子量が異なり、異なるpH値に応じた溶解性を有するポリマー物質を使用することができる。有機溶媒又は水性分散系の溶液を使用し、噴霧又は流動床噴霧を行い、古典的コーティング工程によって完成剤形(活性層及びバリヤー層)に前記物質を付与することができる。前記胃不溶性及び腸溶性物質は、同様に、遅延凝固ポリマー(retarder polymer)と共に使用することもできる。
【0077】
ある革新的実施態様は、現在使用されている製造技術を使用することによって特許請求の範囲に記載の治療系を与えることができること、すなわち、直ちに工業レベルで該系を立ち上げることが可能なことを特徴とする。
【0078】
本発明の錠剤のある好ましい実施態様は前述した錠剤を備え、該錠剤において、前記活性層は成分(i)乃至(iv)からなり、前記活性剤は前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で存在し、前記佐剤物質は前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で存在し、親油性物質に対する親水性ポリマー物質の重量比は7:1〜1:1の範囲にある。
【0079】
あるいは、前記活性層は実質的に成分(i)乃至(iv)からなり、前記活性剤は前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で存在し、前記佐剤物質は活性層の5重量%〜50重量%の割合で存在し、親油性物質に対する親水性ポリマー物質の重量比は7:1〜1:1の範囲にある。
【0080】
ある好ましい実施態様において、親水性ポリマー物質は、分子量が2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有し得る。
【0081】
前記活性物質がロピ二ロールである実施態様において、前記錠剤は、(i)活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で存在するロピニロールと、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルボキシメチルセルロースカルシウムである親水性ポリマー物質と、(iii)硬化ヒマシ油又はベヘン酸グリセリルである親油性物質と、(iv)活性層の5重量%〜50重量%の割合で存在する佐剤物質とを備え、親油性物質に対する親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にあることを特徴とする。
【0082】
本発明は、本明細書中に記載されているように、錠剤を具備する治療方法にも及ぶ。本発明の第二の側面によれば、疾病を治療する方法であって、その治療を必要とする患者/ヒトに対して本明細書中に明記されているような錠剤を投与することを備えた方法を提供する。好ましい実施態様において、治療される疾患はパーキンソン病であり、前記活性物質は、ロピニロール又はかかる症状を治療するためのその他の治療剤を含有しているか、活性物質自体がロピニロール又はかかる症状を治療するその他の治療剤である。このような方法によれば、とりわけロピニロールを用いれば、このような治療を必要とするヒトに対して、一層以上の多層錠剤を一日一回投与することができ、又は、単一の多層錠剤を一日一回投与することができる。本発明の調節放出性ロピニロール錠剤は、24時間にわたって、全身濃度/Cmaxを、より定常的に及び/又はより低くするはずであって、ロピニロールを一日3回服用する即時放出(IR)錠剤を不要とし、IRロピニロールを投与した場合に起こり得る副作用の一部を回避することができるはずなので、市販されているロピニロール即時放出(IR)製剤と比較して有利であると思われる。とりわけ、ロピニロールの下記実施例13〜18に示されている約24時間の有利なin vitro放出を特に参照されたい。これは、パーキンソン病に対してほぼ最適である。
【0083】
本発明は、ヒトのパーキンソン病の治療用医薬における本明細書に記載の錠剤の使用であって、前記活性物質がロピ二ロールを含むか、又は前記活性物質がロピ二ロールである使用も提供する。本発明は、パーキンソン病の治療に使用するためのこのような錠剤も提供する。
【0084】
本発明の第二の側面及び以降の側面に対する好ましい特徴は、第一の側面に準じる。
【0085】
ここで、以下の実施例及び図面を参照しながら本発明についてさらに説明を加えるが、以下の実施例及び図面は例示にすぎず、本発明を限定するものと解釈してはならない。図面は番号によって参照される。
【0086】
例1:単一の二層錠剤からなる系−4.0mgピンドロール 例1では、第一の層は4mgのピンドロール(徐放性)を含有し、第二の層は「バリヤー」層からなる。
【0087】
1(a)4.0mgの徐放性ピンドロールを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表1】
【0088】
前記活性層は、合計で52.2重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー(PVP+HPMC)を含有する。
【0089】
ピンドロール、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びベヘン酸グリセリルを混合し、20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らす。25メッシュの篩にかけ、重量が一定するまで液体床乾燥器(Aeromatic mod. Strea)で乾燥し、再度、同メッシュの篩にかける。前記潤滑剤とシリカを加え、ターブラー中で10分間混合する。このようにして、良好な流れ(すべり)及び圧縮特性の顆粒(顆粒1(a))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0090】
1(b)第2層(バリヤー層)を構成する顆粒の調製
【表2】
【0091】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル及びラクトースを混合し、慎重に色素を分散させる。5%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)の中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。重量が一定になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラー中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒1(b))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0092】
1(c)二層系の調製(圧縮による) 多層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press、Liverpool、UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、1(b)の箇所で記載した顆粒を第一のフィードボックスに入れ、1(a)の箇所で記述した顆粒を第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径9mmの凹型円形穿孔装置を装備している。
【0093】
前記機械は、顆粒のバリヤーである100mgの層、活性成分(ピンドロール4.0mgと等しい)を含有する131.4mgの第二の層からなる二層系を製造するように設定される。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が4.0mgの活性成分を含有する平均重量231.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例1の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0094】
例2:単一の二層錠剤からなる製剤系−8.0mgピンドロール 例2では、第一の層(徐放性)は8mgのピンドロールを含有し、第二の層は「バリヤー」層からなる。
【0095】
保持されている活性成分の量を二倍にした以外は、例1の1(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。第二層(バリヤー)は、質的にも量的にも例1の1(b)の箇所の記載と同一にする。1(c)の箇所の記載に従って作業を行うと、100mgの初期量の顆粒バリヤー(バリヤー)、活性成分(ピンドロール8.0mgと等しい)を含有する135.4mgの第二の層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が8.0mgの活性成分を含有する平均重量235.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例2の錠剤からの前記活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0096】
例3:単一の二層錠剤からなる系−16.0mgピンドロール 例3では、二層錠剤系は例1及び2の記述どおりであるが、16.0mgのピンドロールを含有している。
【0097】
16mgの活性成分を保持させたこと以外は、例1の1(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。従って、143.4mgの顆粒は16.0mgのピンドロールを含有する。第二の層(バリヤー)は、質的にも量的にも、例1の1(b)の箇所の記述と同一とする。1(c)の箇所の記載どおりに作業を行って、100mgの初期量の顆粒バリヤー、活性成分(ピンドロール16.0mgと等しい)を含有する143.4mgの層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が16.0mgの活性成分を含有する平均重量243.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例3の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0098】
例4:単一の二層錠剤からなる系−24mgのピンドロール例4では、二層錠剤系は、例1及び2の記載どおりであるが、24.0mgのピンドロールを含有する。
【0099】
24mgの活性成分を保持させる以外は、例1の1(a)の箇所の記述どおりに顆粒を調製する。従って、151.4mgの顆粒は24.0mgのピンドロールを含有する。第二の層(バリヤー)は、質的にも量的にも、例1の1(b)の記載と同一とする。1(c)の箇所の記載どおりに作業を行って、初期量100mgの顆粒のバリヤー、活性成分(ピンドロール24.0mgと同じ)を含有する151.4mgの第二の層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が24.0mgの活性成分を含有する平均重量251.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例4の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0100】
例5:単一の二層錠剤からなる系−32.0mgのピンドロール 例5では、二層錠剤は例1及び2の記述どおりであるが、32.0mgのピンドロールを含有する。
【0101】
32.0mgの活性成分を保持させること以外は、例1の1(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。従って、159.4mgの顆粒は、32.0mgのピンドロール及び43重量%の完全なゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー物質(PVP+HPMC)又は40重量%(より正確には39.5重量%)のHPMCを含有する。
【0102】
第二の層(バリヤー)は、質的にも量的にも、例1の1(b)の箇所の記述と同一とする。1(c)の箇所の記載どおりに作業を行って、100mgの初期量の顆粒バリヤー、活性成分(32.0mgのピンドロールと等しい)を含有する159.4mgの第二の層からなる二層錠剤が調製される。従って、各錠剤が32.0mgの活性成分を含有する平均重量259.4mgの二層錠剤が得られる。表1には、例5の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0103】
例1〜5で調製された錠剤の溶出試験 例1〜5に記述した前記二層錠剤からの活性成分の放出特性を評価するために、器具2を使用し、毎分100回転でへら(USP 23)を作動させ、37℃、0.1Mの塩酸900mLを溶解液として利用する。活性成分放出後に、自動サンプリング及び読み取りシステムを利用して、227nmでHPLC分析を行う。実施した実験結果を表1に示す。
【表3】
【0104】
調製した前記系からの薬物の放出が減速し、薬物が全て放出されるのに約20時間かかることが指摘できる。さらに、前記錠剤中に存在する活性物質のどの含量レベルにおいても、放出速度が実質的に変化していないことが明確である。かかる挙動は、本発明に適うものである。
【0105】
例6:三層錠剤からなる系−4mgのモルシドミン 例6では、第一の層は80mgの「バリヤー」層から成り、第二の層(徐放性)は4mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー層」からなる三層錠剤を調製する。
【0106】
6(a)4.0mgの徐放性モルシドミンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表4】
【0107】
前記活性層は、合計で66.8重量%(すなわち67重量%)のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー(PVP+HPMC)を含有する。
【0108】
モルシドミン、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びベヘン酸グリセリルを混合し、20%のポリビニルピロリドン溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、重量が一定になるまで液体床乾燥機(Aeromatic mod. Strea)中で乾燥して、再度、同メッシュの篩にかける。シリカを加えて、キュービックミキサー中で45分間混合し、その後、ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒6(a))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0109】
6(b)バリヤー層を構成する顆粒の調製
【表5】
【0110】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル、及びラクトースを混合し、慎重に色素を分散させる。5%のポリビニルピロリドン水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)の中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。一定重量になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラー中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒6(b))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0111】
6(c)前記三層システムの調製(圧縮による) 三層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press LP39、Liverpool, UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、前記第一及び第三のフィードボックスの中に、6(b)の箇所で記載した顆粒を入れ、6(a)に記載の顆粒は前記第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備する。
【0112】
前記機械は、最初80.0mgの顆粒バリアー、活性成分(4.0mgのモルシドミンと同じ)を含有する95.33mgの第二の層、及び100.0mgの顆粒バリヤーである第三の層からなる三層システムを製造するように設定されている。前述のとおりに作業を行うと、各錠剤が活性成分4.0mgを含有する275.33mgの平均重量を有する三層錠剤が得られる。表2には、例6の錠剤からの活性成分の放出の検証に関するデータが記載されている。
【0113】
例7:単一の三層錠剤からなる系−8mgのモルシドミン 例7では、第一の層は80mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は8mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0114】
保持されている活性成分の量を二倍にする以外は、例6の6(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は前記三層錠剤の第二の層を構成する。第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備している。
【0115】
前記機械は、最初80.0mgの顆粒バリヤー、活性成分(8.0mgのモルシドミンと等しい)を含有する99.33mgの第二の層、及び100.0mgの顆粒バリアーの第3の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が8.0mgの活性成分を含有する平均重量279.33mgの三層錠剤が得られる。表2には、例7の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0116】
例8:単一の三層錠剤からなる系−16mgのモルシドミン 例8では、第一の層は80mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は16mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。保持されている活性成分の量を二倍にする以外は、例6の6(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は前記三層錠剤の第二の層を構成する。
【0117】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備している。該機械は、最初80.0mgの顆粒バリヤー、活性成分を含有する107.33mgの第二の層(16.0mgのモルシドミンと等しい)、及び100.0mgの顆粒バリアーの第3の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が16.0mgの活性成分を含有する平均重量287.33mgの三層錠剤が得られる。表2には、例8の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0118】
例9:単一の三層錠剤からなる系−20mgのモルシドミン 例9では、第一の層は80mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は20mgのモルシドミンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。保持されている活性成分の量を二倍にする以外は、例6の6(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は前記三層錠剤の第二の層を構成する。第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径8mmの凹型円形穿孔装置を装備している。
【0119】
該機械は、最初80.0mgの顆粒バリヤー、活性成分と57.2重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー(PVP+HPMC)又は54重量%のHPMCとを含有する111.33mgの第二の層(20.0mgのモルシドミンと等しい)、100.0mgの顆粒バリアーの第3の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が20.0mgの活性成分を含有する平均重量291.33mgの三層錠剤が得られる。表2には、例9の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0120】
例6〜9で調製された錠剤の溶出試験 311nmでUV分光光度計による分析を行う。実施した実験の結果を表2に示す。
【表6】
【0121】
調製した前記系からの薬物の放出が減速し、薬物が全て放出されるのに約20時間かかることが指摘できる。さらに、前記錠剤中に存在する活性物質のどの含量レベルにおいても、放出速度が実質的に変化していないことが明確である。かかる挙動は、本発明に適うものである。
【0122】
例10:単一の三層錠剤からなる系−0.1mgのモキソニジン 例10では、第一の層は100mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は0.1mgのモキソニジンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0123】
10(a)0.1mgの徐放性モキソニジンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表7】
【0124】
該活性層は、合計で56.7重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー物質(PVP+HPMC)を含有する。
【0125】
モキソニジン、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びベヘン酸グリセリルを混合し、20%ポリビニルピロリドンの溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、重量が一定になるまで液体床乾燥機(Aeromatic mod. Strea)中で乾燥させ、再度、同じメッシュの篩にかける。シリカを加え、キュービックミキサー中で45分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒10(a))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0126】
10(b)バリヤー層を構成する顆粒の調製 例6(b)に記述の組成と顆粒を利用する。
【表8】
【0127】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル、及びラクトースを混合し、慎重に色素を分散させる。5%のポリビニルピロリドン水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。一定重量になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラーの中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒10(b))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0128】
10(c)三層系の調製(圧縮による) 三層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press LP 39、Liverpool、UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、10(b)の箇所で記載した顆粒を第一及び第三のフィードボックスに入れ、10(a)の箇所で記述した顆粒を第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径9mmの凹型円形穿孔装置を装備している。前記機械は、最初100mgの顆粒バリヤーと、活性成分を含有する97.00mgの第二の層(0.10mgのモキソニジンと等しい)と、100.00mgの顆粒バリアの第三の層からなる三層系を製造するように設定される。前述のとおりに作業を行うと、各錠剤が0.1mgの活性成分を含有する平均重量297.00mgの三層錠剤が得られる。表3には、例10の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0129】
例11:単一の三層錠剤からなる系−0.30mgのモキソニジン 例11では、第一の層は100mgの「バリヤー」層からなり、97.00mgの第二の層(徐放性)は活性成分を含有し(0.30mgのモキソニジンと等しい)、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0130】
11(a)0.3mgの徐放性モキソニジンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表9】
【0131】
保持されている活性成分の量を三倍にした以外は、例10の10(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は、三層錠剤の前記第二の層を構成する。
【0132】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径9.0mmの凹型円形穿孔装置を装備している。前記機械は、最初100.0mgの顆粒バリヤー、活性成分を含有する97.00mgの第二の層(0.3mgのモキソニジンと等しい)、及び100.0mgの顆粒バリアーの第三の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が0.3mgの活性成分を含有する平均重量279.00mgの三層錠剤が得られる。表3には、例11の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0133】
例12:単一の三層錠剤からなる系−1.2mgのモキソニジン 例12では、第一の層は100mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は1.2mgのモキソニジンを含有し、第三の層は100mgの「バリヤー」層からなる。
【0134】
12(a)1.2mgの徐放性モキソニジンを含有する層の調製に利用した顆粒の調製
【表10】
【0135】
該活性層は、合計で56.7重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又は侵食可能な親水性ポリマー物質(PVP+HPMC)を含有する。
【0136】
保持されている活性成分の量を四倍にした以外は、例11の11(a)の箇所の記載どおりに顆粒を調製する。このような顆粒は、三層錠剤の第二の層を構成する。
【0137】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、質的にも量的にも例6の6(b)の箇所の記載と同一の顆粒を用いる。前記圧縮機械は直径9.0mmの凹型円形穿孔装置を装備している。前記機械は、最初100.0mgの顆粒バリヤー、活性成分を含有する97.00mgの第二の層(1.20mgのモキソニジンと等しい)、及び100.0mgの顆粒バリアーの第三の層からなる三層系を製造するように設定されている。前述どおりに作業を行うと、各錠剤が1.20mgの活性成分を含有する平均重量297.00mgを有する三層錠剤が得られる。表3には、例12の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0138】
例10〜12で調製された錠剤の溶出試験 例10〜12に記載した前記三層錠剤からの活性成分の放出特性を評価するために、器具2を利用し、毎分100回転でへら(USP 23)を作動させ、37℃の蒸留水900mLを溶解液として利用する。活性成分放出後に、ヒューレットパッカード社製自動ダイオードアレイ検出器を利用して、230nmでHPLC分析を行う。実施した実験の結果を表3に示す。
【表11】
【0139】
調製した前記系からの薬物の放出が減速し、薬物が全て放出されるのに約20時間かかることが指摘できる。さらに、前記錠剤中に存在する活性物質の含量が120%変動するとしても、放出速度は実質的に変化していないことが明確である。かかる挙動は、本発明に適うものである。
【0140】
例13:単一の三層錠剤からなる系−0.75mgのロピニロール 例13では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は0.75mg塩基相当のロピニロール塩酸0.86mgを含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0141】
13(a)0.75mg塩基相当の0.86mgロピニロール塩酸を含有する徐放性基剤層の調製に利用した顆粒の調製
【表12】
【0142】
該活性層は、合計で、51重量%又はマルトデキストリンを含有する場合には56重量%のゲル化可能、膨潤可能、及び/又侵食可能な親水性ポリマー物質(HPMC+CMCナトリウム)を含有する。
【0143】
適切な混合造粒機(Niro−Fielder PMAタイプ)中で、前記ロピニロールとラクトースの一部を20分間混合する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硬化ヒマシ油、マルトデキストリン、及び残りはラクトースを加えて10分間混合し、水(用いた前記製品の重量の約30%)で湿らせる。得られた顆粒は、重量が一定になるまで液体床乾燥機(Niro−Fielder TSG2タイプ)中で乾燥させる。造粒機を再度振動させて0.800mmのメッシュの篩にかける。シリカを加えてキュービックミキサー中で20分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加えてさらに10分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒13(a))が得られる。該顆粒は後述のように圧縮工程に供される。
【0144】
13(b)バリヤー層を構成する顆粒の調製
【表13】
【0145】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベヘン酸グリセリル、及びマンニトールを混合し、慎重に色素を分散させる。5%のポリビニルピロリドンの水溶液で湿らせる。25メッシュの篩にかけ、30℃のオーブン(炉)の中で約2時間乾燥させる。25メッシュの篩に再度かける。一定重量になるまで乾燥する。得られた顆粒にコロイド状シリカ及びステアリン酸マグネシウムを加え、ターブラー中で15分間混合する。このようにして、良好なすべり及び圧縮特性を有する顆粒(顆粒13(b))が得られる。該顆粒は、後述のように、圧縮工程に供される。
【0146】
13(c)前記三層システムの調製(圧縮による) 三層錠剤の製造に適した回転式圧縮機械(例えば、Manesty Layer−Press LP39、Liverpool, UK)のフィードボックスの中に、前述のように及びすべての当業者にとって周知である様式に従って得られた顆粒を入れる。詳しくは、前記第一及び第三のフィードボックスの中に、13(b)の箇所で記載した顆粒を入れ、一方、13(a)の箇所で記載した顆粒を前記第二のフィードボックスに入れる。前記圧縮機械は直径9mmの僅かに凹型の円形穿孔装置を装備する。
【0147】
前記機械は、最初130.0mgの顆粒バリヤーと、活性成分を含有する150mgの第二の層(0.75mg塩基に相当する0.86mgのロピニロール塩酸)と、120.0mgの顆粒バリアの第三の層からなる三層系を製造するように設定される。前述のとおりに作業を行うと、各錠剤が0.86mgのロピニロール塩酸(それぞれ0.75mgの塩基に相当する)を含有する平均重量400.00mgの三層錠剤が得られる。表4には、例13の錠剤からの活性成分の放出の検証に関連するデータが記載されている。
【0148】
例13A―例13の変法 例13の他の実施様態では、前記活性層13(a)用の顆粒の調製は下記のように行われる。
【0149】
HPMC、ロピニロール、ラクトース、CMCナトリウム、硬化ひまし油、及びマルトデキストリンを適切な混合造粒機(Niro Fielder PMAタイプ)中で6分間混合する。水(用いた製品の重量の約30%)で湿らせる。得られた顆粒は、含水量が1%〜4.5%になるまで液体床乾燥機(Niro Fielder TSG2タイプ)中で乾燥させる。円錐型粉砕機中で1.57mmメッシュの篩にかける。シリカを加えてキュービックミキサー中で20分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加えてさらに2分間混合する。
【0150】
この別の実施様態では、バリヤー層13(b)用の顆粒の調製は下記のように行われる。
【0151】
マンニトール、色素、ベヘン酸グリセリル、HPMC、及びPVPを適切な混合造粒機(Niro Fielder PMAタイプ)中で6分間混合する。水(使用した製品の重量の約25%)で湿らせる。得られた顆粒は、含水量が1.1%〜2.7%になるまで液体床乾燥機(Niro Fielder TSG2タイプ)中で乾燥させる。円錐型粉砕機中で1.57mmメッシュの篩にかける。シリカを加えて、キュービックミキサー中で20分間混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに2分間混合する。
【0152】
さらに別の実施様態では、以下の例14〜23の成分/処方を用いて、上記の代替的な操作に適切な変更を加えてこれを使用することも可能である。
【0153】
例14 単一の三層錠剤からなる系−1.00mgのロピニロール 例14では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0154】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。こうした顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0155】
14(a) 1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表14】
【0156】
第一の層及び第三の層(バリヤー)については、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径9mmの僅かに凹型の円形穿孔装置を装備している。
【0157】
最初130.0mgの第一の顆粒バリヤーと、1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが1.14mgのロピニロール塩酸塩(1.00mgのロピニロールに相当)を含有する三層錠剤を得る。表4に、例14の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0158】
例15:単一の三層錠剤からなる系−3.00mgのロピニロール 例15では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgの塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0159】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。こうした顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0160】
15(a) 3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表15】
【0161】
第一の層及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径9mmの僅かに凹型の円形穿孔装置を装備している。
【0162】
最初130.0mgの顆粒バリヤーと、3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが3.42mgのロピニロール塩酸塩(3.00mgの塩基のロピニロール塩基に相当)を含有する三層錠剤を得る。表4に、例15の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0163】
例16 単一の三層錠剤からなる系−6.00mgのロピニロール 例16では、第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、第二の層(徐放性)は6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第二の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0164】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。このような顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0165】
16(a) 6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表16】
【0166】
第一の層及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径9mmの僅かに凹型となった円形穿孔装置を備えている。最初130.0mgの顆粒バリヤーと、6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機をセットする。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが6.84mgのロピニロール塩酸塩(6.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する三層錠剤を得る。表4に、例16の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0167】
例17:単一の三層錠剤からなる系−9.00mgのロピニロール 例17では、前記第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、前記第二の層(徐放性)は10.26mgのロピニロール塩酸塩(9.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0168】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通り調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。このような顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0169】
17(a) 10.26mgのロピニロール塩酸塩(9.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表17】
【0170】
第一及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径8mmの環状凹型穿孔装置を装備する。最初130.0mgの顆粒バリヤーと、活性成分(9.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三の層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが9.00mgの活性成分を含有する三層錠剤を得る。表4に、例17の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0171】
例18:単一の三層錠剤からなる系−12.00mgのロピニロール 例18では、前記第一の層は130mgの「バリヤー」層からなり、前記第二の層(徐放性)は13.68mgのロピニロール塩酸塩(12.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有し、第三の層は120mgの「バリヤー」層からなる。
【0172】
顆粒は、例13の13(a)の箇所に記載の通りに調製するが、唯一の変更点は、保持する活性成分の量を増加し、それと同じ量だけラクトースの含量を削減することである。こうした顆粒は三層錠剤の第二の層を構成する。
【0173】
18(a) 13.68mgのロピニロール塩酸塩(12.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する徐放性の層を調製するために利用する顆粒の調製
【表18】
【0174】
第一及び第三の層(バリヤー)としては、例13の13(b)の箇所に記載の通り、質的及び量的に同一の顆粒を用いる。圧縮機は、直径8mmの円形凹型穿孔機を備える。最初130.0mgの顆粒バリヤーと、活性成分(12.00mgのロピニロール塩基に相当)を含有する150mgの第二の層と、120.0mgの顆粒バリヤーの第三層とからなる三層系を製造できるように前記圧縮機を設定する。前述のようにして、400.00mgの平均重量を有し、それぞれが12.00mgの活性成分を含有する三層錠剤を得る。表4に、例18の錠剤から放出される活性成分の検査に関するデータを示す。
【0175】
例13〜18で調製した錠剤の溶解試験 例13〜18に記した三層錠剤からの活性成分の放出特性を評価するために、装置2を使用し、へら(USP XXIII)を100rpmで運転し、溶解液として37℃のクエン酸の水性緩衝溶液(pH4.0)500mLを用いた。活性成分の放出は、HPLCを用いて波長250nmにて測定し、自動サンプリングと自動読取システムを利用して追跡した。実施した実験の結果を表4に示す。
【表19】
【0176】
調製した系からの薬物放出がスローダウンし、薬物の大部分が放出されるのに約24時間を要することがわかる。
【0177】
さらに、放出速度式が錠剤中の活性成分の任意含量において実質的に変わらないことが明らかである。こうした挙動は、本発明に適うものである。
【0178】
例19:ロピニロールの円形錠剤の調製 円形の錠剤として、ロピニロール錠剤製剤を以下のようにして調製した。錠剤は、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。HPMCは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの略語である。
【0179】
支持層(1)
【表20】
【0180】
活性層(2)
有効ロピニロール塩基として測定されたロピニロールが錠剤当たり0.75mg、1mg、又は3mgである3通りのロピニロール錠剤成分含量の処方を示す。
【表21】
【0181】
支持層(3)
【表22】
【0182】
顆粒化液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「b」で示されている。
【0183】
例20:ロピニロールキャプレット処方の調製 ロピニロール錠剤製剤をキャプレットとして以下のように調製した。錠剤は、図9(ここで符号10と12はバリヤー層を示し、同11は活性層を示す)に示すように、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。HPMCは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの略語である。有効ロピニロール塩基として測定されたロピニロールが錠剤当たり1mg、3mg、6mg、9mg又は12mgである4通りのロピニロール錠剤成分含量処方を示す。
【0184】
支持層(1)
【表23】
【0185】
活性層(2)
【表24】
【0186】
支持層(3)
【表25】
【0187】
フィルムコーティング
【表26】
【0188】
顆粒化液又はコーティング液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「c」で示す。OPADRY OY−S−28876 WHITEは、HPMC2910 6cPが63%、PEG400が7%、Ti02が30%である。赤/ピンク(0.01〜0.25%)及び/又は黄色(0.1〜1.5%)の着色剤も添加することができ(酸化鉄)、HPMCは61〜66%の間で変動する。別の青色コーティングは、HPMC2910 3cP又はHPMC 2910 5cPのいずれかを31〜32%、PEG400を8%、Ti02を23〜24%、ポリソルベートを1%、青色色素としてインジゴチンを4〜5%使用する。
【0189】
例21:ロピニロールキャプレット処方の調製 ロピニロールの錠剤製剤をキャプレットとして以下のように調製した。錠剤は、例20と同様に、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。存在する有効塩基として測定された錠剤ロピニロール当たり1mg、3mg、6mg、9mg又は12mgの4通りの錠剤ロピニロール成分含量処方を示す。この実施例は、支持層又はバリヤー層中に黄色酸化第二鉄が欠如している以外は例20と同じである。
【0190】
支持層(1)
【表27】
【0191】
活性層(2)
【表28】
【0192】
支持層(3)
【表29】
【0193】
フィルムコーティング
【表30】
【0194】
顆粒化液又はコーティング液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「d」で示す。
【0195】
例22及び23:ロピニロールキャプレット処方の調製 ロピニロールの錠剤製剤をキャプレットとして以下のように調製した。錠剤は、例20、21と同様に、上部支持層又はバリヤー層(1)、活性層(2)、及び下部支持層又はバリヤー層(3)を含む。22及び23の製剤の例を、それぞれ有効ロピニロール塩基として測定したロピニロール錠剤当たり0.75mg(塩酸塩として0.855mg)である単一の錠剤成分含量処方として示す。明らかなように、例22及び23は、例19のロピニロールが0.75mgの活性層と同一の活性層を含むが、バリヤー層は例19のものと異なっており、バリヤー層中のHPMCの量とグレードが異なり、マンニトールがラクトースで置き換えられており、ベヘン酸グリセリルの量が少ない。明らかなように、例22及び23は、それぞれ10重量%及び40重量%のK4M HPMCをバリヤー層中に有しており、それは実施例13〜18及び19〜21のバリヤー層中に存在する約45重量%のK100M HPMCよりもin vitroで僅かに速い放出プロフィールを与え、とりわけロピニロールがバリヤー層を通ってより速く移動する。例22では、10重量%のK4M HPMCに加え20重量%のK100LV HPMCをバリヤー層中に有するが、バリヤー層中の低粘度(LV)のHPMCは吸水量を増し、ゲル化を助け、マトリックスの粘度を増加させ、放出速度を減少させることがある。
【0196】
例22及び23の支持層(1)
【表31】
【0197】
例22及び23の活性層(2)
有効ロピニロール塩基として測定された錠剤ロピニロール当たり0.75mgである三通りの錠剤成分含量のロピニロール処方を示す。
【表32】
【0198】
例22及び23の支持層(3)
【表33】
【0199】
顆粒化液又はコーティング液として含まれる純水は完成品中には残留せず、符号「c」で示す。
【0200】
注:上記各例22及び23の活性層は、存在する有効塩基として測定された1mg、3mg、6mg、9mg及び12mgのロピニロールを用いる例20及び21の活性層で置き換えることができる。
【0201】
注:例13〜18及び19〜23のすべてのロピニロールの実施例では、例えば12mgの錠剤2個を用いることによって、1日当たり最高で24mgのロピニロールというより多い投与量を投与することができる。他の投与量、例えば1日当たり4mgを、1日当たり1mgの錠剤を1個、3mgの錠剤を1個用いて投与することができる。また、例13〜23のすべてにおいて、活性層の全重量を一定に維持しつつ、ラクトースの量を変えることによって、例えば0.25mg、0.5mg及び2mgの異なる投与量のロピニロールを活性層中で使用することができる。
【0202】
例24 キャプレットの調製及び薬剤の溶解プロフィールに関する更に進んだ研究 キャプレットの調製に関する以下の更に進んだ研究によって、存在する有効塩基として測定した0.75mg、6mg、12mgのロピニロールを含有するロピニロールキャプレットの薬物溶解プロフィールを示す。
【表34】
【0203】
注:a=完成品には残留しない。
【0204】
0.855mgのロピニロール塩酸塩は、0.75mgのロピニロール塩基に相当。
【0205】
6.840mgのロピニロール塩酸塩は、6.00mgのロピニロール塩基に相当。
【0206】
13.680mgのロピニロール塩酸塩は、12.00mgのロピニロール塩基に相当。
【0207】
薬物放出プロフィールは、標準の技術を用いて測定した。結果は以下の通りであった(結果は、任意の時間間隔で放出される薬物の百分率で表した)。
【表35】
【表36】
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】図1は、二層錠剤の横断面を示しており、網掛けがバリヤー層を示し、小点が活性物質含有層を示す。
【図2】図2は、上部及び下部バリヤー層を有し、中央部活性層を有する三層錠剤の横断面を示す。
【図3】図3は、バリヤー層が活性層の側面及び側端を被覆している二層錠剤の横断面を示す。
【図4】図4は、バリヤー層が活性コアの周囲に環状リングとして存在する二層錠剤の横断面を示す。
【図5】図5は、活性コアが二つの異なる活性層からなる図4の錠剤の横断面を示す。
【図6】図6は、バリヤー層(3)が活性層(2)上に重層され、活性層(2)が順次活性層(1)に重層された三層錠剤の横断面を示す。
【図7】図7は、第一の活性層(5)がバリヤー層(6)と第二の活性層(4)の中に含まれる三層錠剤の横断面を示す。
【図8】図8は、バリヤー層(8)が活性層(9)と(7)の間に挿入された三層錠剤の横断面を示す。
【図9】図9は、活性物質層(11)がバリヤー層(10、12)の間に挿入された三層キャプレットの平面図、側方立面図、及び端部立面図を示す。断面図は、線X−Xでの断面を示す。
【図10】図10は、溶解特性の比較を示す。放出に対するコーティングの影響を調べるために、有効な遊離塩基として測定した0.75mg用量のロピニロールの反復バッチ。錠剤 P00K39Eの結果は「白四角」として、錠剤 P00K40Eは「白菱形」として、錠剤 P00K41Eは「白三角」として、錠剤C511は「黒四角」として、錠剤 C519は「黒菱形」として、錠剤 C529は、「黒三角」として示されている。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。
【図11】図11は、溶解特性の比較を示す。放出に対するコーティングの影響を調べるために有効な遊離塩基として測定した6mg用量のロピニロールの反復バッチ。錠剤 P00K45Eの結果は「白四角」として、錠剤P00K46Eは「白菱形」として、錠剤 P00K47Eは「白三角」として、錠剤 C530は「黒四角」、錠剤 C531は「黒菱形」、錠剤 C532は「黒三角」として示されている。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。
【図12】図12は、溶解特性の比較を示す。放出に対するコーティングの影響を調べるために有効な遊離塩基として測定した12mg用量のロピニロールの反復バッチ。錠剤 P00K42Eに対する結果は「白四角」として、錠剤 P00K43Eは「白菱形」として、錠剤 P00K44Eは「白三角」として、錠剤 C512は「黒四角」として、錠剤 C534は「黒菱形」として、錠剤 C535は「黒三角」として示されている。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。
【図13】図13は、遊離塩基として測定した0.75mg、6mg及び12mg用量のロピニロールの溶解特性の比較として表された、被覆錠剤に対する投与量の影響を示す(反復バッチの結果)。結果は、時間(hour)に対する放出された薬物の割合(%)として示されている。錠剤 C511,C519及びC529は0.75mgロピ二ロールであり「実線」で、錠剤 C530、C531及びC532は6mgロピ二ロールであり「一点鎖線」で、錠剤C512、C534及びC535は12mgロピ二ロールであり、「破線」で示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)活性物質と、(ii)水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する親水性ポリマー物質と、(iii)親油性物質と、(iv)佐剤とを含有する一の活性層であって、前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が10:1〜0.5:1の範囲にある活性層と、 (b)水性液体、親油性物質、及び佐剤と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する1以上の親水性ポリマー物質を含有する1以上のバリヤー層とを備えた多層徐放性錠剤。
【請求項2】
前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、請求項1に記載の多層錠剤。
【請求項3】
前記親水性ポリマー物質(ii)を前記活性層の重量の1%〜75%、好ましくは5%〜65%の割合で含有する、請求項1又は2に記載の多層錠剤。
【請求項4】
前記親油性物質(iii)を前記活性層の重量の1%〜70%、好ましくは5%〜55%の割合で含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【請求項5】
前記佐剤(iv)を前記活性層の重量の5%〜50%、好ましくは10%〜40%の割合で含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【請求項6】
前記活性層中の前記佐剤(iv)に対する前記活性物質(i)の重量比が0.001:1〜4:1、好ましくは0.003:1〜3:1の範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【請求項7】
前記一以上のバリヤー層が前記活性層の一方又は両方の表面(ベース)に付けられている、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項8】
前記バリヤー層に含有される親油性物質に対する、膨潤し、及び/又はゲル化し、及び/又は侵食する親水性ポリマー物質の重量比が1:1〜7.5:1、好適には1.5:1〜4:1、好ましくは2:1〜3.5:1の範囲にある前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項9】
前記活性物質(i)を前記活性層の0.01重量%〜70重量%、好ましくは0.05重量%〜50重量%の重量割合で含有する、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項10】
前記活性物質(i)を前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有する、請求項9に記載の多層錠剤。
【請求項11】
前記活性層が、緩徐な膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食及び/又は溶解特性を有するポリマー材料を含有する、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項12】
前記活性層が親油性の性質を有するポリマー物質をさらに含有する、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項13】
前記親水性ポリマー物質が、非架橋ポリビニルピロリドン、分子量が100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼンコポリマー、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量200〜15,000のポリエチレングリコール、分子量20,000,000以下のポリオキシエチレン、カルボキシビニルポリマー、ポロクサマー(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー)、ポリビニルアルコール、グルカン、カラゲナン、スクレログルカン、マンナン、ガラクトマンナン、ジェラン、キサン、アルギン酸及び/又はその誘導体、ポリアミノ酸、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロース及び/又はその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、デンプン誘導体、アルファ又はベータ又はガンマシクロデキストリン及び/又はデキストリン誘導体を含む薬学的に許容される生体適合性及び/又は生分解性材料を含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項14】
前記親油性物質が、天然脂肪(例えばココナツ、大豆、カカオ)又はその全部若しくは一部を水素化したもの、蜜ろう、ポリエトキシル化蜜ろう、モノ置換グリセリド、ジ置換グリセリド、トリ置換グリセリド、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸ジエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、パルミトステアリン酸ポリオキシエチレングリコール、モノパルミトステアリン酸グリセリル、パルミチン酸セチル、パルミトステアリン酸ポリエチレングリコール、ベヘン酸モノグリセリル、ベヘン酸ジグリセリル、ポリエトキシレート脂肪アルコールに付随する脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、飽和又は不飽和脂肪酸又はそれらの水素化誘導体、及び/又は硬化ヒマシ油を含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項15】
前記活性物質が、慢性疾患を処置するための治療薬、例えば心臓血管系に作用する薬物、抗不整脈薬、強心薬、血管拡張薬、血圧降下薬、中枢及び末梢作用の抗アドレナリン性物質又は細動脈筋系に作用する物質、レニン−アンギオテンシン系に作用する物質、血圧降下薬及び関連する利尿薬、抗パーキンソン病薬、利尿薬及びアルツハイマー病治療用薬物である、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項16】
前記活性物質が、プロプラノロール、アテノロール、ピンドロール、ロピニロール、プラゾシン、ラミプリル、スピラプリル;スピロノラクトン、メチプラノロール、モルシドミン、モキソニジン、ナドロール、ナドキソロール、レボドパ、メトプロロール、又はチモロール(薬学的に許容されるこれらの塩を含む)から選択される、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項17】
前記錠剤の調製が、粉末若しくは顆粒状の混合物を圧縮し、かつ1000〜5000kg/cm2で作動することによって行われる、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項18】
前記活性層中に存在する前記親油性物質が、硬化ヒマシ油及びベヘン酸グリセリルから選択される、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項19】
前記活性物質が、ロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)を含むか、又はロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)である、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項20】
ロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)の量が、ロピニロール塩基の量として測定したときに12.0mg以下である、請求項19に記載の多層錠剤。
【請求項21】
ロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)の量が、ロピニロール塩基の量として測定したときに0.75mg〜12.0mgである、請求項19に記載の多層錠剤。
【請求項22】
前記活性層が成分(i)〜(iv)からなり、前記活性物質を前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有し、前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、かつ前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項23】
前記活性層が成分(i)〜(iv)から実質的になり、前記活性物質を前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有し、前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、かつ前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項24】
前記親水性ポリマー物質が、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項25】
(i)前記活性物質が前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有されるロピニロールであり、(ii)前記親水性ポリマー物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含み、(iii)前記親油性物質が硬化ヒマシ油又はベヘン酸グリセリルを含み、(iv)前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、かつ前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項26】
前記活性物質が前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有されるロピニロールであり、かつ前記活性層中の前記親水性ポリマー物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項27】
前記活性層が成分(i)〜(iv)からなり、 −前記活性物質が前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有されるロピニロールであり、 −前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、 −前記活性層中の前記親水性ポリマー物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、 −前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項28】
パーキンソン病の治療方法であって、かかる治療を必要とするヒトに、請求項19から27のいずれか一項に記載の1以上の多層錠剤を投与することを備えた方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、かかる治療を必要とするヒトに、請求項19から27のいずれか一項に記載の1以上の多層錠剤を1日に1回投与することを備えた方法。
【請求項30】
請求項19から27のいずれか一項に記載の単一の多層錠剤を1日に1回投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
請求項1から27のいずれか一項に記載の多層錠剤であって、 −前記1以上のバリヤー層が、前記活性層の一方又は両方の表面(ベース)に付けられており、 −水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する請求項13に記載の親水性ポリマー物質を含有し、 −親油性物質を含有する多層錠剤
【請求項32】
請求項1から27又は31のいずれか一項に記載の多層錠剤であって、 前記1以上のバリヤー層が、 −前記活性層の一方又は両方の表面(ベース)に付けられており、 −水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する親水性ポリマー物質と、親油性物質とを含有し、かつ、 −経口投与してから又は水性液体(例えば水)に浸漬してから1時間の間に、前記一以上のバリヤー層によって覆われていない前記錠剤の表面のみから前記活性物質が実質的に放出されるようにした多層錠剤。
【請求項33】
バリヤー層が前記活性層の両表面(ベース)に付いた、請求項1から27又は31から32のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【請求項1】
(a)(i)活性物質と、(ii)水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する親水性ポリマー物質と、(iii)親油性物質と、(iv)佐剤とを含有する一の活性層であって、前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が10:1〜0.5:1の範囲にある活性層と、 (b)水性液体、親油性物質、及び佐剤と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する1以上の親水性ポリマー物質を含有する1以上のバリヤー層とを備えた多層徐放性錠剤。
【請求項2】
前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、請求項1に記載の多層錠剤。
【請求項3】
前記親水性ポリマー物質(ii)を前記活性層の重量の1%〜75%、好ましくは5%〜65%の割合で含有する、請求項1又は2に記載の多層錠剤。
【請求項4】
前記親油性物質(iii)を前記活性層の重量の1%〜70%、好ましくは5%〜55%の割合で含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【請求項5】
前記佐剤(iv)を前記活性層の重量の5%〜50%、好ましくは10%〜40%の割合で含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【請求項6】
前記活性層中の前記佐剤(iv)に対する前記活性物質(i)の重量比が0.001:1〜4:1、好ましくは0.003:1〜3:1の範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【請求項7】
前記一以上のバリヤー層が前記活性層の一方又は両方の表面(ベース)に付けられている、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項8】
前記バリヤー層に含有される親油性物質に対する、膨潤し、及び/又はゲル化し、及び/又は侵食する親水性ポリマー物質の重量比が1:1〜7.5:1、好適には1.5:1〜4:1、好ましくは2:1〜3.5:1の範囲にある前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項9】
前記活性物質(i)を前記活性層の0.01重量%〜70重量%、好ましくは0.05重量%〜50重量%の重量割合で含有する、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項10】
前記活性物質(i)を前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有する、請求項9に記載の多層錠剤。
【請求項11】
前記活性層が、緩徐な膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食及び/又は溶解特性を有するポリマー材料を含有する、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項12】
前記活性層が親油性の性質を有するポリマー物質をさらに含有する、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項13】
前記親水性ポリマー物質が、非架橋ポリビニルピロリドン、分子量が100,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼンコポリマー、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量200〜15,000のポリエチレングリコール、分子量20,000,000以下のポリオキシエチレン、カルボキシビニルポリマー、ポロクサマー(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー)、ポリビニルアルコール、グルカン、カラゲナン、スクレログルカン、マンナン、ガラクトマンナン、ジェラン、キサン、アルギン酸及び/又はその誘導体、ポリアミノ酸、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロース及び/又はその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、デンプン誘導体、アルファ又はベータ又はガンマシクロデキストリン及び/又はデキストリン誘導体を含む薬学的に許容される生体適合性及び/又は生分解性材料を含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項14】
前記親油性物質が、天然脂肪(例えばココナツ、大豆、カカオ)又はその全部若しくは一部を水素化したもの、蜜ろう、ポリエトキシル化蜜ろう、モノ置換グリセリド、ジ置換グリセリド、トリ置換グリセリド、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸ジエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、パルミトステアリン酸ポリオキシエチレングリコール、モノパルミトステアリン酸グリセリル、パルミチン酸セチル、パルミトステアリン酸ポリエチレングリコール、ベヘン酸モノグリセリル、ベヘン酸ジグリセリル、ポリエトキシレート脂肪アルコールに付随する脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、飽和又は不飽和脂肪酸又はそれらの水素化誘導体、及び/又は硬化ヒマシ油を含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項15】
前記活性物質が、慢性疾患を処置するための治療薬、例えば心臓血管系に作用する薬物、抗不整脈薬、強心薬、血管拡張薬、血圧降下薬、中枢及び末梢作用の抗アドレナリン性物質又は細動脈筋系に作用する物質、レニン−アンギオテンシン系に作用する物質、血圧降下薬及び関連する利尿薬、抗パーキンソン病薬、利尿薬及びアルツハイマー病治療用薬物である、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項16】
前記活性物質が、プロプラノロール、アテノロール、ピンドロール、ロピニロール、プラゾシン、ラミプリル、スピラプリル;スピロノラクトン、メチプラノロール、モルシドミン、モキソニジン、ナドロール、ナドキソロール、レボドパ、メトプロロール、又はチモロール(薬学的に許容されるこれらの塩を含む)から選択される、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項17】
前記錠剤の調製が、粉末若しくは顆粒状の混合物を圧縮し、かつ1000〜5000kg/cm2で作動することによって行われる、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項18】
前記活性層中に存在する前記親油性物質が、硬化ヒマシ油及びベヘン酸グリセリルから選択される、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項19】
前記活性物質が、ロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)を含むか、又はロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)である、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項20】
ロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)の量が、ロピニロール塩基の量として測定したときに12.0mg以下である、請求項19に記載の多層錠剤。
【請求項21】
ロピニロール(薬学的に許容されるその塩を含む)の量が、ロピニロール塩基の量として測定したときに0.75mg〜12.0mgである、請求項19に記載の多層錠剤。
【請求項22】
前記活性層が成分(i)〜(iv)からなり、前記活性物質を前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有し、前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、かつ前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項23】
前記活性層が成分(i)〜(iv)から実質的になり、前記活性物質を前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有し、前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、かつ前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項24】
前記親水性ポリマー物質が、分子量2,000〜4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項25】
(i)前記活性物質が前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有されるロピニロールであり、(ii)前記親水性ポリマー物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含み、(iii)前記親油性物質が硬化ヒマシ油又はベヘン酸グリセリルを含み、(iv)前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、かつ前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項26】
前記活性物質が前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有されるロピニロールであり、かつ前記活性層中の前記親水性ポリマー物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項27】
前記活性層が成分(i)〜(iv)からなり、 −前記活性物質が前記活性層の0.05重量%〜20重量%の割合で含有されるロピニロールであり、 −前記佐剤を前記活性層の5重量%〜50重量%の割合で含有し、 −前記活性層中の前記親水性ポリマー物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、 −前記活性層に含有される前記親油性物質に対する前記親水性ポリマー物質の重量比が7:1〜1:1の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の多層錠剤。
【請求項28】
パーキンソン病の治療方法であって、かかる治療を必要とするヒトに、請求項19から27のいずれか一項に記載の1以上の多層錠剤を投与することを備えた方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、かかる治療を必要とするヒトに、請求項19から27のいずれか一項に記載の1以上の多層錠剤を1日に1回投与することを備えた方法。
【請求項30】
請求項19から27のいずれか一項に記載の単一の多層錠剤を1日に1回投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
請求項1から27のいずれか一項に記載の多層錠剤であって、 −前記1以上のバリヤー層が、前記活性層の一方又は両方の表面(ベース)に付けられており、 −水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する請求項13に記載の親水性ポリマー物質を含有し、 −親油性物質を含有する多層錠剤
【請求項32】
請求項1から27又は31のいずれか一項に記載の多層錠剤であって、 前記1以上のバリヤー層が、 −前記活性層の一方又は両方の表面(ベース)に付けられており、 −水性液体と接触すると膨潤及び/又はゲル化及び/又は侵食する親水性ポリマー物質と、親油性物質とを含有し、かつ、 −経口投与してから又は水性液体(例えば水)に浸漬してから1時間の間に、前記一以上のバリヤー層によって覆われていない前記錠剤の表面のみから前記活性物質が実質的に放出されるようにした多層錠剤。
【請求項33】
バリヤー層が前記活性層の両表面(ベース)に付いた、請求項1から27又は31から32のいずれか一項に記載の多層錠剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−29813(P2009−29813A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199847(P2008−199847)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【分割の表示】特願2001−575989(P2001−575989)の分割
【原出願日】平成13年4月12日(2001.4.12)
【出願人】(500322826)ヤゴテック アーゲー (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【分割の表示】特願2001−575989(P2001−575989)の分割
【原出願日】平成13年4月12日(2001.4.12)
【出願人】(500322826)ヤゴテック アーゲー (16)
【Fターム(参考)】
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