説明

親油性有効成分を含む粘着性が低い化粧品用又は皮膚科用組成物

本発明の目的は、組成物中に含まれる親油性有効成分によって生じ得る使用時のべたつき感が低減され、組成物の良好な触感が得られる、化粧品用又は皮膚科用組成物を提供することである。本目的を、a) 組成物の総量に対して少なくとも5重量%の1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分; b) シクロメチコンとは異なる非アルコール性揮発性溶媒;c)揮発性アルコール; d) ワックス粒子; 及びe) 少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物を用いることにより達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分を含む、水相及び油相を含む乳剤の形態の化粧品用若しくは皮膚科用組成物であって、有効成分によって生じ得るべたつき感は低減することができ、組成物の使用後に良好な感触を得ることができる化粧品用若しくは皮膚科用組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、皮膚及び/又は毛髪などのケラチン物質に適用される親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分によって生じ得る、ケラチン物質上のべたつき感を低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
UVフィルター又はビタミンなどの化粧品用又は皮膚科用有効成分を化粧品用若しくは皮膚科用組成物に組み入れることは周知である。化粧品用若しくは皮膚科用組成物に用いられるこれらの有効成分の多くのタイプは、脂溶性である。脂溶性有効成分を化粧品用若しくは皮膚科用組成物に加える場合には、皮膚又は毛髪への組成物の適用後に、有効成分によるべたつき感が生じることが多く、組成物の使用感が悪くなる。
【0004】
特開2008-247897号公報は、(a)2-エチルヘキシル2-エチルヘキサノアート及び/又は2-エチルヘキサン酸イソノニル、(b)UV吸収剤、及び(c)UV散乱剤、及び(d)O/W乳剤又はW/O乳剤の形態のシリコーン油を含むUV保護化粧品用組成物を開示しており、これらは、べたつき感の低減と共に、良好な使用感をもたらすことができる。
【0005】
特開2007-131612号公報は、親油性UVフィルターを含むUV保護化粧品用組成物及びUVフィルターによって生じるべたつき感を改善するためのアルキルアリール-1,3-プロパンジオン-シリコーン誘導体の使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-247897号公報
【特許文献2】特開2007-131612号公報
【特許文献3】WO99/10318
【特許文献4】WO99/32077
【特許文献5】FR-A-2581542
【特許文献6】EP-A-378936
【特許文献7】WO2007/068371
【特許文献8】US7,357,920
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cosmetics & Toiletries、February 1990年、105巻、53〜64頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、組成物中の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分による化粧品用若しくは皮膚科用組成物のべたつき感を低減し、良好な使用感を有する組成物を提供する代替方法がさらに望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、水相及び油相を含む乳剤の形態の化粧品用若しくは皮膚科用組成物中に、親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分、シクロメチコンとは異なる非アルコール性揮発性溶媒、揮発性アルコール、ワックス粒子、及び少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物の1種若しくはそれ以上の組み合わせを使用すると、親油性有効成分によって生じ得るべたつき感を低減でき、組成物の使用感を改善できることをこのたび発見した。すなわち、化粧品用若しくは皮膚科用組成物中への成分の上記の組み合わせの使用は、得られる化粧品用若しくは皮膚科用組成物に、脂っこくない及びべたつきのない感触を、多くの場合、有効成分の広がりの良さ、艶消し効果(non-glossy effect)及び滑らかな感触と共に、与えることができる。本明細書において、「べたつき感」という用語は、組成物の適用時に皮膚及び/又は毛髪にべたつく若しくはねばねばした感触を与える化粧品用若しくは皮膚科用組成物の特性を示すのに用いる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、本発明は、水相及び油相を含む、乳剤の形態の化粧品用又は皮膚科用組成物を特徴とし、この組成物は、
a)組成物の総量に対して少なくとも5重量%の、1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分;
b)シクロメチコンと異なる非アルコール性揮発性溶媒;
c)揮発性アルコール;
d)ワックス粒子;及び
e)少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物
を含む。
【0011】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総量に対して1重量%未満の量の揮発性シクロメチコンしか含まず、より好ましくは、揮発性シクロメチコンを含まない。
【0012】
[定義]
a) 親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分
本発明の組成物は、1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分を含む。「化粧品用又は皮膚科用有効成分」は、それを含む組成物の適用時に、具体的には、皮膚又は毛髪などのケラチン物質への適用時に、美容上若しくは皮膚科学的に有益な効果をもたらすことができる化合物又は組成物である。本明細書において、親油性有効成分の「親油性」という用語は、有効成分が本組成物の油相に完全に溶解できる又は組成物の油相にミセル形態などのコロイド形態で分散できることを意味する。
【0013】
親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分の例は、以下の通りであるが、これらに限定するものではない:本明細書中で「アミノフェノール類」とも称するアミノフェノール及びアミノフェノール誘導体、後述のようなサリチル酸誘導体; 2-アミノ-4-アルキルアミノピリミジン-3-オキシド誘導体、特に2-アミノ-4-ドデシルアミノピリミジン-3-オキシド; DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、それらの誘導体及びそれらの化学的前駆体、例えば、7-ヒドロキシ-DHEA及び7-ケト-DHEA; コレステロール及びそれらの誘導体、例えば、それらのエステル; フィトステロール及びシトステロールなどの植物ステロール並びにそれらのエステル; 5環式トリテルペン酸; 4-ヒドロキシスチルベンなどのヒドロキシスチルベン類; フラボノイド; UVフィルター; カロテノイド、例えば、ビタミンA及びそれらの誘導体などのレチノール、リコペン及びカロテン; 香料及び精油; ホルモン; ビタミンEなどのビタミン類; セラミド; 及び前述の化合物の2つ以上の組み合わせ。
【0014】
上記のアミノフェノール誘導体は、より具体的には、以下の式(1)の誘導体であるが、これらの特定の例に限定するものではない:
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、R'は、以下の(a)基、(b)基及び(c)基:
(a) -CO-NR1R2
(b) -CO-O-R3
(c) -SO2R3
(式中、R1は、水素原子、又はヒドロキシル化されている若しくはヒドロキシル化されていない飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基を表し、R2は、水素原子、又はヒドロキシル化されている若しくはヒドロキシル化されていない、飽和若しくは不飽和の直鎖、環状若しくは分岐C1〜C30アルキル基、特にC12〜C30アルキル基から選択される基を表し、R3は、ヒドロキシル化されている若しくはヒドロキシル化されていない、飽和又は不飽和の、直鎖の、環状又は分岐(縮合多環式を含む)C1〜C30アルキル基、特にC12〜C30アルキル基から選択される基を表す)
からなる群から選択される基である]。
【0017】
式(1)において、炭素数1〜30の直線状若しくは分岐R2又はR3基としては、有利には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ベヘニル基、オクタデシル基及び2-ブチルオクチル基を挙げることができる。これらの基は、好ましくは炭素数が1〜12個である。さらにより好ましくは、アルキル基は、一般に炭素数が1〜6である。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル及びヘキシル基を挙げることができる。
【0018】
不飽和である場合には、1つ若しくはそれ以上のエチレン性不飽和を有する基、より具体的にはアリル基などが好ましい。
【0019】
アルキル基が環状である場合には、特にシクロヘキシル基、コレステリル基又はtert-ブチルシクロヘキシ基を挙げることができる。ヒドロキシル化されている場合には、この基は、好ましくは、1〜6個の炭素原子及び1〜5個のヒドロキシル基を含む。モノヒドロキシアルキル基としては、炭素数が好ましくは1若しくは3の基、具体的には、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基又は3-ヒドロキシプロピル基が好ましい。
【0020】
ポリヒドロキシアルキル基としては、3〜6個の炭素原子及び2〜5個のヒドロキシル基、を含む基、例えば、2,3-ジヒドロキシプロピル、2,3,4-トリヒドロキシブチル、2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル又は2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル基が好ましい。
【0021】
アルコキシル化基は、特に前述のように、酸素原子が前に位置するアルキル基である。
【0022】
好ましくは、本発明において用いられるアミノフェノール誘導体は、以下の条件の少なくとも1つ、好ましくはすべてを満たすものである:
- フェニル基上の-OH官能基が、オルト位又は有利にはパラ位にあり、
- R'が、式(a)又は(b)の基から選択される。
直鎖又は分岐アルキル基R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基又はヘキシル基を挙げることができる。
【0023】
本発明の組成物において使用するアミノフェノール誘導体は、好ましくはp-アミノフェノール誘導体であり;さらにより好ましくは式(1a):
【0024】
【化2】

【0025】
のN-エトキシカルボニル-4-p-アミノフェノール、あるいは式(1b):
【0026】
【化3】

【0027】
のN-コレステリルオキシカルボニル-4-p-アミノフェノールである。
【0028】
これらのアミノフェノール誘導体、及びそれらの調製方法は、WO99/10318及びWO99/32077として公開された特許出願に記載されている。
【0029】
これらの誘導体は、窒素原子に結合した、ある程度長い炭化水素鎖を有することができ、好ましくはアルコキシカルボニル鎖を有することができる。
【0030】
親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分として使用できるサリチル酸誘導体は、式(2)の誘導体である:
【0031】
【化4】

【0032】
{式中、
R"1は、
式-O-CO-R"4
[式中、R"4は、炭素数1〜26、好ましくは炭素数1〜18の飽和又は不飽和の脂肪族基、又は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基で置換されているか若しくは非置換のアミン官能基又はチオール官能基である]
のヒドロキシ基又はエステルを表し、
R"2及びR"3は、互いにそれぞれ独立に、ベンゼン環上の3位、4位、5位又は6位にあり、互いにそれぞれ独立に、水素原子又は基;
-(O)n-(CO)m-R"5
[式中、
n及びmは、互いにそれぞれ独立に、それぞれ0又は1に等しい整数であるが、ただし、R"2及びR"3は、同時に水素原子でなく、
R"5は、水素、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環化飽和脂肪族基、又は1から9個の共役二重結合又は非共役二重結合を有する炭素数3〜18の不飽和基を表し、これらの基はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)及び以下の基: トリフルオロメチル基、遊離型の若しくは炭素数1〜6の酸でエステル化されているヒドロキシル基、又は遊離型の若しくは炭素数1〜6の低級アルコールでエステル化されているカルボキシル基、又は炭素数6〜10の芳香族基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されているか又は非置換である]
を表す}。
【0033】
好ましくは、サリチル酸誘導体は、R"5が炭素数3〜15の飽和脂肪族基を表すものである。
【0034】
好ましくは、サリチル酸誘導体は、R"1がヒドロキシル基を表すものである。
【0035】
好ましくは、サリチル酸誘導体は、R"5がベンゼン環の5位にあり、R"2が水素原子を表すものである。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、サリチル酸誘導体は、5-n-オクタノイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸、5-n-ドデカノイルサリチル酸、5-n-オクチルサリチル酸、5-n-ヘプチルオキシサリチル酸、4-n-ヘプチルオキシサリチル酸、5-tert-オクチルサリチル酸、3-tert-ブチル-5-メチルサリチル酸、3-tert-ブチル-6-メチルサリチル酸、3,5-ジイソプロピルサリチル酸、5-ブトキシサリチル酸、5-オクチルオキシサリチル酸、5-プロパノイルサリチル酸、5-n-ヘキサデカノイルサリチル酸、5-n-オレオイルサリチル酸、5-ベンゾイルサリチル酸の誘導体、それらの一価及び二価の塩、並びにそれらの混合物である。
【0037】
Chimex社によってMexoryl SABという商品名で販売中の2-ヒドロキシ-5-オクタノイル安息香酸の使用が特に好ましく、これは下記式に対応する:
【0038】
【化5】

【0039】
これは、例えば、ざ瘡を治療するための角質溶解薬として又は老化防止剤として局所組成物中にサリチル酸誘導体を使用することは公知の実務であり; FR-A-2581542及びEP-A-378936として公開されている特許出願は、このような誘導体を記載している。
【0040】
サリチル酸誘導体は、皮膚老化の主な徴候、すなわち、細かい線及びしわ、皮膚の「きめ(grain)」の乱れの防止又は修復、皮膚の色の改善並びに皮膚の堅さ及び弾力性(tonicity)の消失の改善に非常に有利である。しかし、サリチル酸誘導体をそのまま局所組成物中に組み入れた場合、サリチル酸誘導体が可溶化せず結晶状態のまま残り、これらを含む組成物の使用を皮膚の治療に対して効果なくさせる限りにおいて、これらの誘導体の使用は問題を引き起こす。
【0041】
本発明の組成物中に1種の化粧品用若しくは皮膚科用有効成分又は2種以上の化粧品用若しくは皮膚科用有効成分の組み合わせを使用することが可能である。
【0042】
特に、親油性UVフィルターは、本発明の組成物中の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分として好ましく使用できる。以下は、本発明において好ましく使用できる親油性UVフィルターの例であるが、これらに限定するものではない:「ジベンゾイルメタン」と称されるジベンゾイルメタン誘導体、p-アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アミノベンゾフェノン誘導体、アントラニル酸誘導体、β,β-ジフェニルアクリル酸誘導体、ベンジリデンカンファー誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン、ビス-レゾルシニルトリアジン、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロネート、4,4-ジアリールブタジエン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、メロシアニン、ジフェニルブタジエンマロネート又はマロノニトリル類、カルコン及び前述の化合物の2種以上の組み合わせ。これらのUVフィルターは、当技術分野で公知である。UVフィルターについての、より詳しい説明を下記に示す。
【0043】
本発明に使用するUVフィルターは、親油性UVAフィルター、親油性UVBフィルター、UVAフィルター及びUVBフィルターのいずれとしても作用できる親油性UVフィルター並びにそれらの組み合わせからなる群から選択できる。
【0044】
[親油性UVAフィルター]
320〜400nmの波長範囲の紫外線を吸収する親油性UVAフィルターとしては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定するものではない:
- 2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4'-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンなどの「ジベンゾイルメタン」とも称されるジベンゾイルメタン誘導体。
【0045】
下記式:
【化6】

【0046】
を有する、DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社によって「PARSOL 1789」の名称で市販されている、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン又はブチルメトキシジベンゾイルメタンが、特に好ましい。
【0047】
- BASF社によって「UVINUL A+」という名称で市販されている、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートなどの、アミノベンゾフェノン誘導体;
- Symrise社によって「NEO HELIPAN MA」という名称で市販されているアントラニル酸メンチルなどの、アントラニル酸誘導体; 及び
- 1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、及びジフェニルブタジエンマロネート及びマロノニトリル類などの、4,4-ジアリールブタジエン誘導体;
- 「カルコン類」とも称されるカルコン及びそれらの誘導体。
【0048】
特に、PARSOL 1789、UVINUL A+、又はそれらの組み合わせが、本発明の組成物中の親油性UVAフィルターとしての使用に特に好ましい。
【0049】
[親油性UVBフィルター]
280〜320nmの波長範囲の紫外線を吸収する親油性UVBフィルターとしては、以下の物が挙げられるが、これらに限定するものではない:
- パラアミノ安息香酸誘導体、例えば、パラアミノベンゾエート(PABA)、例えば、エチルPABA(パラアミノベンゾエート)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ISP社によって「ESCALOL 597」という名称で市販されているエチルヘキシルジメチルPABA;
- サリチル酸誘導体、例えば、Rona/EM industries社によって「Eusolex HMS」という名称で市販されているホモサレート、Symriseによって「NEO HELIOPAN OS」という名称で市販されているサリチル酸エチルヘキシル、SCHERによって「DIPSAL」という名称で市販されているサリチル酸ジプロピレングリコール、及びSymriseによって「NEO HELIOPAN TS」という名称で市販されているTEAサリシレート;
- 桂皮酸誘導体、例えば、DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社によって「PARSOL CX」という名称で市販されているエチルヘキシルメトキシシンナメート、イソプロピルメトキシシンナメート、Symrise社によって「NEO HELIOPAN E 1000」という名称で市販されているイソアミルメトキシシンナメート、ジイソプロピルメチルシンナメート、シノキサート及びグリセリルエチルへキサノアートジメトキシシンナメート;
- β,β(ベータ,ベータ)-ジフェニルアクリレート誘導体、例えば、BASF社によって「UVINUL N539」という名称で市販されているオクトクリレン、及びBASF社によって「UNIVUL N35」という名称で市販されているエトクリレン;
- ベンジリデンカンファー誘導体、例えば、CHIMEX社から「MEXORYL SD」という名称で市販されている3-ベンジリデンカンファー、MERCK社によって「EUSOLEX 6300」という名称で市販されているメチルベンジリデンカンファー、及びCHIMEX社によって「MEXORYL SW」という名称で市販されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、及びChimex社によって「Mexoryl SX」という名称で市販されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸;
- フェニルベンゾイミダゾール誘導体、例えば、Merck社によって「Eusolex 232」という名称で特に市販されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan AP」という名称で市販されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム;
- トリアジン、例えば、BASF社によって「UVINUL T150」という名称で市販されているエチルヘキシルトリアゾン、SIGMA 2V社によって「UVASORB HEB」という名称で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン;
- イミダゾリン誘導体、例えば、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート;
- ベンザルマロネート、例えば、ベンザルマロネート部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば、DSM NUTRITIONAL PRODUCTSによって「Parsol SLX」という名称で市販されているポリシリコーン-15、ジ-ネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート; 並びに
- メロシアニン、例えば、オクチル-5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノアート。
【0050】
組成物中の親油性化粧品用又は皮膚科用成分としてエチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、オクトクリレン、ホモサレート、エチルヘキシルサリシレート、及びエチルヘキシルメトキシシンナメートからなる群から選択される1種若しくはそれ以上の親油性UVBフィルターを用いることが好ましい。
【0051】
[親油性UVA及びUVBフィルター]
UVA及びUVBフィルターとして作用する親油性化合物はまた、別のUVフィルターと共に又は別のフィルターを用いずに、組成物中に使用できる。以下は、UVA及びUVBフィルターの非限定的例である。
- BASF社によって「UVINUL 400」という名称で市販されているベンゾフェノン-1、BASF社によって「UNIVUL 500」という名称で市販されているベンゾフェノン-2、BASF社によって「UVINUL M40」という名称で市販されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、Norquay社によって「Helisorb 11」という名称で市販されているベンゾフェノン-6、American Cyanamid社によって「Spectra-Sorb UV-24」という名称で市販されているベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-10、ベンゾフェノン-11、及びベンゾフェノン-12などのベンゾフェノン誘導体;
- Rhodia Chimie社によって「Silatrizole」という名称で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン及びCIBA-GEIGY社によって「TINOGUARTD AS」という名称で市販されているブメトリゾールなどのベンゾトリアゾール誘導体;
- CIBA-GEIGY社によって「TINOSORB S」という名称で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェニルメトキシフェニルトリアジンなどのビス-レゾルシニルトリアジン類; 及び
- Sigma 3V社によって「Uvasorb K2A」という名称で市販されている2,4-ビス[5-(1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジンなどのベンゾオキサゾール誘導体。
【0052】
ドロメトリゾールトリシロキサン及び/又はビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは、本発明の組成物中に、UVA及びUVBフィルターとして好ましく使用できる。
【0053】
上記で列挙したUVフィルターは、単独で又は、2つ以上のUVフィルターの組み合わせとして使用できる。UVAフィルター及びUVBフィルターの組み合わせは、好ましく使用できる。
【0054】
本発明の組成物に含まれる親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分の総量は、特定の量に限定するものではないが、本発明の組成物の総量に対して、好ましくは少なくとも5重量%、特に5重量%〜30重量%の範囲、より好ましくは10重量%〜20重量%の範囲である。
【0055】
本発明の組成物において、対象とする1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分を上記の量で、成分b)からe)と一緒に用いることによって、有効成分による所望の化粧品及び/又は皮膚科学的効果を得ることができ、且つ組成物の使用時のべたつき感を低減できる。
【0056】
b) 非アルコール性揮発性溶媒
「非アルコール性揮発性溶媒」という用語は、溶媒の95重量%超が、皮膚又は毛髪などのケラチン物質への接触後に、大気圧(760mmHg=1013×105Pa)下で室温(25℃)で1時間未満で蒸発しうる非アルコール性溶媒を意味する。通常、非アルコール性揮発性溶媒は、室温で液体の形態であり、室温で0(ゼロ)を超える蒸気圧、具体的には、0.13Pa〜40,000Pa(10-3〜300mmHg)の蒸気圧、より具体的には1.3Pa〜13,000Pa(0.01〜100mmHg)の蒸気圧、より好ましくは1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の蒸気圧を有する。「室温」という用語は、本明細書において25℃を意味する。
【0057】
本発明においては、シクロメチコンと異なる「非アルコール性揮発性溶媒」を使用する。これは、「非アルコール性揮発性溶媒」と共にシクロメチコンを使用することを排除することを意味しない。シクロメチコンは、式(CH3)2nOnSin(式中、n=3〜7である)の環状ジメチルポリシロキサン化合物を表すINCI名である。
【0058】
シクロメチコンとは異なる非アルコール性揮発性溶媒の例として、以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない:
(i) 炭素数8〜16の炭化水素、より具体的には炭素数8〜16のイソアルカン、すなわち、イソドデカン(又は2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタン)、イソデカン、イソヘキサデカンなどのC8〜C16(イソパラフィン)、例えば、「Isopers」又は「Permethyls」という名称で販売されている炭化水素; ネオペンタン酸イソヘキシルなどの炭素数8〜16の分岐エステル、及びその混合物; Shell Chemicals社によって市販されている「Shell Sol T」などの石油蒸留物;WO2007/068371に記載されているものなどの直鎖アルカン。
(ii) 直鎖シリコーン油などのシクロメチコンとは異なる揮発性シリコーン油、例えば、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン(L4)、信越化学工業株式会社製のKF96A、ポリジメチルシロキサン、例えば、Dow Corning Corporationによって「DC 200(1.5cSt)」、「DC 200(5cSt)」、及び「DC 200(3cSt)」という名称で市販されているもの、及び式(I):
(CH3)3Si-O-Si(CH3)(R)-O-Si(CH3)3 (I)
[式中、Rは、C2〜C4アルキル基を表し、1つ若しくはそれ以上の水素原子は、フッ素原子及び塩素原子から選択される1つ若しくはそれ以上のハロゲン原子によって置換されていてもよい]
の直鎖アルキルトリシロキサン。式Iの化合物の例は、式IのRとしてブチル基、プロピル基又はエチル基をそれぞれ有する、3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、3-プロピル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン及び3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンである。
(iii) フッ素化揮発油、例えば、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルカン、例えば、ペルフルオロデカリン及びペルフルオロアダマンタン; ペルフルオロアルキルホスフェート(モノエステル、ジエステル及びトリエステル); 並びにフッ素化エステル油。
【0059】
シクロメチコンとは異なる、本発明の組成物中に存在する非アルコール性揮発性溶媒の量は典型的には、組成物の総量に対して5〜20重量%の範囲であり、より好ましくは7〜15重量%の範囲であるが、これらに限定するものではない。
【0060】
c) 揮発性アルコール
「揮発性アルコール」という用語は、皮膚又は毛髪などのケラチン物質に接触後、大気圧(760mmHg=1013×105Pa)下で室温(25℃)で1時間未満で95重量%より多くが蒸発しうる、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する化合物を意味する。
【0061】
本発明の組成物に用いられる揮発性アルコールは好ましくは、モノアルコール、特にアルキルモノアルコール、特にC1〜C5低級アルキルモノアルコール、すなわち、炭素数1〜5のアルキルモノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノールから選択される。エタノール及びイソプロパノールが好ましい。エタノールが特に好ましい。揮発性アルコールの粘度は、直径60mm、角度2°を有するスピンドル及びサンドブラストコーティングを有するHAAKE Rheostress 600 machineを用いて20℃において剪断速度200s-1で測定した場合、好ましくは20℃で0.3〜3mPa・sの範囲である。
【0062】
組成物中に存在する揮発性アルコールの量は、特定の量に限定するものではないが、本発明の組成物の総量に対して、好ましくは0.5〜20重量%の範囲であり、より好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0063】
d) ワックス粒子
本発明の組成物用に用いられる本明細書において「マイクロワックス」とも称されるワックス粒子は、小さな粒子の形態であり、通常、組成物の油相に存在するワックスである。ワックス粒子の体積平均径は、好ましくは、0.5〜30マイクロメートルの範囲であり、特に1〜20マイクロメートルの範囲であり、より具体的には5〜10マイクロメートルの範囲であり、ASTM D 4464に準拠して測定される。本発明の組成物中の他の成分b)〜e)と組み合わせて、このような平均粒径を有するマイクロワックスを用いることによって、親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分によって生じうるべたつき感を効率的に低減でき、多くの場合、組成物ののびの改善及び皮膚又は毛髪上での滑らかな感触と共に、組成物の良好な使用感を得ることができる。
【0064】
「ワックス」という用語は、25℃で固体又は実質的に固体である化合物を意味し、その融点は一般に35℃を超える。ワックス粒子を構成するワックスは、特定のワックスに限定されるものではなく、合成ワックス及び天然起源のワックスなどの、任意のタイプのワックスであってよい。したがって、天然ワックス粒子、合成ワックス粒子及びその組み合わせからなる群から選択される1種若しくはそれ以上を本発明の組成物に使用できる。具体的には、カルナウバワックス粒子、合成ワックス粒子、ポリエチレンワックス粒子、及びその組み合わせからなる群から選択される1種若しくはそれ以上のワックス粒子を用いることが好ましい。
【0065】
本発明の組成物に使用できるマイクロワックスとしては、平均粒径6.0〜8.0マイクロメートルを有する、Micro Powders社によって「MicroCare 350(登録商標)」という名称で市販されているものなどのカルナウバワックスのマイクロワックス; 平均粒径6.0〜8.0マイクロメートルを有する、Micro Powders社によって「MicroEase 114S(登録商標)」という名称で市販されているものなどの合成ワックスマイクロワックス; Micro Powders社によってそれぞれ平均粒径4.5〜5.5マイクロメートルを有する「MicroCare 300(登録商標)」又は平均粒径4.0〜6.0マイクロメートルを有する「MicroCare 310(登録商標)」という名称で市販されているものなどの、カルナウバワックス及びポリエチレンワックスの混合物から構成されるマイクロワックス; 平均粒径4.5〜5.5マイクロメートルを有するMicro Powdersによって「MicroCare 325(登録商標)」という名称で市販されているものなどの、カルナウバワックス及び合成ワックスの混合物から構成されるマイクロワックス; 及びそれぞれ平均粒径6.0〜8.0、7.0〜9.0、8.0〜10.0、又は2.0〜4.0マイクロメートルを有する、Micro Powders社によって「Micropoly 200(登録商標)」、「Micropoly 220(登録商標)」、「Micropoly 220L(登録商標)」、及び「Micropoly 250S(登録商標)」という名称で市販されているものなどのポリエチレンマイクロワックスを挙げることができる。
【0066】
本発明の組成物中に存在するワックス粒子の量は、特定の量に限定するものではないが、組成物の全重量に対して、好ましくは0.5〜20重量%の範囲であり、より好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0067】
e) 少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物
「不揮発性化合物」という用語は、化合物の重量の50%より多くが、ケラチン物質への適用後3時間にわたって大気圧(760mmHg=1013×105Pa)下で25℃で皮膚及び毛髪などのケラチン物質上に維持される化合物を意味する。本発明に使用する不揮発性化合物は、通常、10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する。不揮発性化合物は、好ましくは、30分後の蒸発量が0.07mg/cm2未満であるような蒸発速度を有する。
【0068】
「親水性官能基」という用語は、水分子と共に水素結合を形成できる官能基を意味する。親水性官能基の典型的な例としては、これらに限定するものではないが、ヒドロキシル基又はアルコール基、第1級、第2級及び第3級アミノ基を含むアミノ基並びにカルボキシル基を挙げることができる。成分e)としての使用には、2つ以上のヒドロキシル基を有する不揮発性化合物が好ましく、炭素数2〜12のものが特に好ましい。少なくとも1つの親水性官能基を有する好ましい不揮発性化合物の例としては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、イソプレングリコール、ジグリセリン、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、マンニトール、D-グルコース、スクロース、D-フルクトース、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、ヒドロキシエチル尿素、及び前述の化合物の2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0069】
本発明の組成物中に存在する、少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物の量は、特定の量に限定するものではないが、組成物の総量に対して、好ましくは0.5〜20重量%の範囲であり、より好ましくは、1〜10重量%の範囲である。
【0070】
f) 他の成分
水相及び油相を含む、乳剤の形態の本発明の化粧品用若しくは皮膚科用組成物は、成分a)〜e)に加えて、化粧品用若しくは皮膚科用組成物に一般に使用される1種若しくはそれ以上の追加の成分を、任意選択で含んでいてもよい。
【0071】
このような追加の成分の例としては、これらに限定するものではないが、特に脂肪物質; 有機溶媒、イオン性又は非イオン性、親水性又は親油性増粘剤; 軟化剤; 湿潤剤; 乳白剤; 安定剤; 保存剤(preservative); 皮膚軟化剤; シリコーン; 消泡剤; 香料; 保存剤(preservatives); 陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性イオン性の又は両性界面活性剤; 親水性化粧品用又は皮膚科用有効成分; 充填剤; ポリマー; 噴射剤; 酸性化剤又は塩基性化剤; 顔料; 色素; 無機光保護剤; 並びに化粧品用若しくは皮膚科用組成物中に一般に用いられる任意の他の成分の中から選択される従来の化粧品用添加剤を挙げることができる。
【0072】
脂肪物質は、油であることができる。「油」という用語は、室温で親油性液体である化合物を意味する。油としては、鉱油(パラフィン); 植物油(スイートアーモンド油、マカダミア油、グレープシード油又はホホバ油); 合成油、例えば、ペルヒドロスクアレン、脂肪アルコール、脂肪酸又は脂肪酸エステル(例えば、Witco社によって「Witconol TN」の「Finsolv TN」という名称で市販されているC12〜C15アルキルベンゾエート、パルミチン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、ラノリン脂肪酸イソプロピル及びカプリン酸/カプリル酸トリグリセリドを含めたトリグリセリド)、炭酸ジカプリリルなどの炭酸ジアルキル、オキシエチレン化若しくはオキシプロピレン化脂肪酸エステル及びエーテル; シリコーン油(シクロメチコン及びジメチコンなどのポリジメチルシロキサン)又はフッ素油、及びポリアルキレンを挙げることができる。US7,357,920に開示されているもの(この開示は参照により本明細書に援用する)などの少なくとも1つのアミド構造を含む油も用いることができる。
【0073】
所望により、本発明の組成物には、その流動学的な特性を改良するために、親水性増粘剤及び親油性増粘剤からなる群から選択される1種若しくはそれ以上の増粘剤を添加することができる。
【0074】
親水性増粘剤としては、カルボポール製品(カルボマー)及びPemulen製品(アクリレート/C10〜13-アルキルアクリレートコポリマー)などのカルボキシビニルポリマー; ポリアクリルアミド、例えば、SEPPIC社によって「Sepigel 305」(CTFA名: ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス7)又は「Simulgel 600」(CTFA名: アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)という名称で市販されている架橋コポリマー; 架橋及び/又は中和されていることもある、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、例えば、「Hostacerin AMPS」(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)という名称でHoechst社によって市販されているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸); ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースに基づく誘導体; 多糖類、特に、キサンタンガムなどのガム類; 及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
親油性増粘剤としては、ヘクトライトなどの変性粘土及びそれらの誘導体、例えば、「Bentone」という名称で市販されている製品を挙げることができる。
【0076】
本発明の組成物中には、上記の成分a)〜e)に加えて、親水性の化粧品用又は皮膚科用有効成分を任意選択で使用できる。本明細書において、「親水性」有効成分という用語は、有効成分が本組成物の水相に溶解できるか、又は本組成物の水相にミセル形態でなどのコロイド形態で分散できることを意味する。アスコルビン酸及びそれらの誘導体などの、当技術分野で公知である親水性化粧品用又は皮膚科用有効成分を使用できる。
【0077】
本発明の組成物に加えることができる充填剤若しくはポリマーとしては、これらに限定するものではないが、絹、セルロース、及び羊毛などの天然繊維; 「Nylon(登録商標)」とも称されるポリアミド、及びレーヨンなどの合成繊維; 及びポリアミド、ポリアクリレート、及びポリメチルシルセスキオキサンなどのポリマーの粒子又はビーズを挙げることができる。
【0078】
前述した通り、無機光保護剤は、親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分と共に使用できる。本発明に使用する無機光保護剤は、顔料の中から、さらにより好ましくは、例えば、(ルチル及び/又はアナターゼの形態の非晶質の若しくは結晶化した)酸化チタンのナノ顔料、酸化鉄のナノ顔料、酸化亜鉛のナノ顔料、酸化ジルコニウムのナノ顔料又は酸化セリウムのナノ顔料などの、処理された又は非処理の金属酸化物のナノ顔料(一次粒子の平均径: 一般に5nm〜100nm、好ましくは、10nm〜50nm)から選択できる。
【0079】
処理されたナノ顔料は、例えば、Cosmetics & Toiletries、February 1990年、105巻、53〜64頁に記載されている化合物、例えば、アミノ酸、蜜ろう、脂肪酸、脂肪アルコール、陰イオン界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩又はアルミニウム塩、金属(チタン若しくはアルミニウム)アルコキシド、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン若しくはエラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、アルミナ又はグリセロールによって、化学的、電気的、機械化学的及び/又は機械的な性質の1種若しくはそれ以上の表面処理を行った顔料である。
【0080】
使用できる多くの特定の顔料及びナノ顔料は、その全体を参照により援用する、US7,357,920に開示されている。
【0081】
皮膚の人工的な日焼け及び/又は褐色化をもたらす少なくとも1種の薬剤も、本組成物中に使用できる。
【0082】
[本発明の組成物の配合物]
本発明の化粧品用若しくは皮膚科用組成物は、水相及び油相を含む乳剤の形態である。各相は、生理学的に許容される媒体を含む。具体的には、水相は水を含む。油相の生理学的に許容される媒体は、上記の通り油などの脂肪物質から一般に選択される。
【0083】
本発明の組成物は、当技術分野で公知の一般的な方法に従って、特に、乳剤の調製を目的とする方法に従って調製できる。組成物は、特に、単純な若しくは複雑な乳剤の形態、例えば、水中油型(O/W)、油中水型(W/O)、油中水中油型(oil-in-water-in-oil)(O/W/O)又は水中油中水型(water-in-oil-in-water)(W/O/W)乳剤の形態であることができ、好ましくは、油中水型又は水中油型乳剤の形態であることができる。組成物中に含まれる1種若しくはそれ以上の成分が経時的に分離する傾向がある場合には、使用前に組成物を均一に混合することが有利なことがある。
【0084】
本発明の組成物は、クリーム剤、ローション剤、乳液、油中水型流体、ゲル剤、及びクリーム-ゲル剤を含む、任意の所望の形態であることができるが、これらに限定するものではない。組成物は、噴射剤を用いたエアゾール剤として及びムース又はスプレー剤の形態で包装することもできる。
【0085】
本発明による組成物は、好ましくは、水中油型乳剤(O/W乳剤(emulstion))又は油中水型乳剤(W/O乳剤)の形態である。油中水型流体の形態の本発明の組成物は皮膚及び/又は毛髪にべたつき感を与えずに、使用時に極めて軽い塗布性などの優れた感覚特性を有することができるため、油中水型乳剤が最も好ましい。
【0086】
乳剤の調製方法は、当技術分野で公知である。当業者は、任意の所望の方法を使用できる。さらに、両性、陰イオン性、陽イオン性及び非イオン性乳化剤又は2種以上の乳化剤の混合物の中から選択される乳化剤を、乳剤の調製に使用できる。
【0087】
W/O乳剤の形態の本発明の組成物の調製に使用できる乳化界面活性剤としては、ソルビタン、グリセロール又は糖アルキルエステル若しくはエーテル; シリコーン界面活性剤、例えば、Dow Corning社によって「DC 5225 C」という名称で市販されているシクロメチコン及びメチコンコポリオールの混合物などのジメチコンコポリオール、及びDow Corning社によって「Dow Corning 5200 Formulation Aid」という名称で市販されているラウリルメチコンコポリオールなどのアルキルジメチコンコポリオール; セチルジメチコンコポリオール、例えば、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及びGoldschmidt社によって「Abil EM 90(登録商標)」という名称で市販されている製品並びにGoldschmidt社によって「Abil WE 09」という名称で市販されているセチルジメチコンコポリオール、イソシテアリン酸ポリグリセリル(4モル)及びラウリン酸ヘキシルの混合物を挙げることができる。1種若しくはそれ以上の共乳化剤をこれに加えることもでき、これは有利には、ポリオールアルキルエステルを含む群の中から選択できる。ポリオールアルキルエステルとしては特に、グリセロール及び/又はソルビタンエステル、例えば、イソシテアリン酸ポリグリセリル、例えば、Goldschmidt社によって「Isolan GI 34」という名称で市販されている製品、イソステアリン酸ソルビタン、例えば、ICI社によって「Arlacel 987」という名称で市販されている製品、ソルビタングリセリルイソステアレート、例えば、ICIによって「Arlacel 986」という名称で市販されている製品、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0088】
O/W乳剤の場合、乳化剤の例としては、グリセロールのオキシアルキレン化(より具体的にはポリオキシエチレン化)脂肪酸エステル; ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30などのジポリヒドロキシステアリン酸ポリオキシエチルグリコール; ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル; オキシアルキレン化された(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)脂肪酸エステル; オキシアルキレン化された(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)脂肪アルキルエーテル; 糖エステル、例えば、ステアリン酸スクロース; 糖の脂肪アルキルエーテル、特に、例えば、Henkel社によってそれぞれ「Plantaren 2000」及び「Plantaren 1200」という名称で市販されているデシルグルコシド及びラウリルグルコシド、場合によっては、例えば、SEPPIC社によって「Montanov 68」という名称で、Goldschmidtによって「Tegocare CG90」という名称で及びHenkelによって「Emulgade KE3302」という名称で市販されているセトステアリルアルコールとの混合物としてのセトステアリルグルコシド、また、例えば、SEPPIC社によって「Montanov 202」という名称で市販されているアラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びアラキジルグルコシドの混合物の形態のアラキジルグルコシドなどのポリアルキルグルコシド(APG); 及び「ポロキサマー407」などのポリプロピレングリコールブロック及びポリエチレングリコールブロックを有するブロックコポリマーなどの非イオン性乳化剤を挙げることができる。
【0089】
乳剤の形態の本発明の組成物は、典型的には、油などの適当な生理学的に許容される媒体中で、好ましくは界面活性剤の存在下で、水及び親水性成分を含む水相及び親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分を含む油相を混合することによって調製する。乳剤を調製するために水相及び油相を混合する場合には、乳剤を調製するための、当技術分野で公知の従来の方法及び装置を使用できる。
【0090】
本発明の組成物は、パーソナルケア製品、例えば、皮膚、唇及び/又は毛髪をメークアップ、ケア及び/又は保護するための1種若しくはそれ以上の化粧品用有効成分を含む化粧品、並びに医薬部外品などの皮膚科学組成物及び1種若しくはそれ以上の親油性皮膚科学有効成分を含む医薬組成物などの広範囲の用途に使用できる。
【0091】
最も好ましい実施形態において、乳剤の形態の本発明の組成物は、
A) 全体で5〜30重量%、好ましくは15〜30重量%の量の成分a)として前述されている1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分、より好ましくはUVフィルター;
B) 5〜20重量%の量の成分b)としてのジメチコン;
C) 1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%の量の成分c)としてのエタノール;
D) 成分d)として0.5〜30マイクロメートル、好ましくは1〜20マイクロメートル、より好ましくは5〜10マイクロメートルの範囲内の体積平均径を有する、合成ワックス粒子、天然ワックス粒子及びそれらの組み合わせから選択されるワックス粒子;
E) 組成物の全重量に対して1〜15重量%の量の、好ましくは3〜10重量%の量の成分e)としてのグリセロール
を含む。
【0092】
本発明の組成物は、使用感を改善する成分として周知である揮発性シクロメチコンを用いなくても、べたつき感のない使用感を、多くの場合、有効成分の良好な広がり、艶消し効果及び滑らかな感触と共に提供できることを特徴とする。したがって、本発明の他の実施形態では、本発明の組成物は、組成物の総量の1重量%未満の量の揮発性シクロメチコンしか含まず、好ましくは揮発性シクロメチコンを含まない。
【0093】
加えて、さらなる実施形態において、本発明は、前述の成分b)、c)、d)及びe)の組み合わせを用いることによって、水相及び油相を含む乳剤の形態の化粧品用若しくは皮膚科用組成物中に含まれる親油性の化粧品用又は皮膚科用有効成分によって生じうるべたつき感を低減するための方法を提供する。本方法において、組成物の全重量に対して1重量%未満などの少量の揮発性シクロメチコンを用いることにより又は任意の揮発性シクロメチコンを用いずに、べたつき感が少ない化粧品用若しくは皮膚科用組成物を得ることができる。
【0094】
本発明及び本発明の利点をさらに説明するために、以下の具体例を示す。これらの例は、単なる例示として記載するのであって、限定的なものではないことを理解されたい。これらの例において、すべての部及び百分率は、別段の指示がない限り重量によって示す。
【実施例】
【0095】
(実施例)
(例1)
日焼け止めローション剤
油中水型乳剤の形態の日焼け止め組成物を、以下の表1中に示した成分を用いることにより調製した。本発明の組成物(実施例)は、他の成分の中でも粒子、変性アルコール、及びグリセリンの形態の合成ワックスを含む。しかし、比較例1から3のいずれも、それらを1つも含まない。
【0096】
【表1】

【0097】
表1中の「濃度%」は、「重量%」を示す。
【0098】
「合成ワックス」は、ASTM D4464に準拠して測定した場合に、6〜8μmの平均直径、すなわち、体積平均径を有する球状粒子の形態の合成炭化水素ワックスである。
【0099】
前記実施例及び前記比較例による組成物の調製方法は、以下の通りである。
水相(相C)は、室温で表1に列挙した相C用のすべての成分を混合することによって調製した。油相(相A)は、タービンタイプの羽根車を有するタービンミキサーにおいて65℃で表1に列挙した相A用のすべての成分を混合することによって調製した。相Aを室温まで冷却後、相Cを相Aに加え、得られた混合物を、タービンミキサーを用いることにより乳化させて、油中水型乳剤組成物を得た。次いで、得られた乳剤組成物を室温まで冷却した。タービンミキサーを用いて、粉末相(相B)を乳剤中に導入及び混合することによって、粉末、すなわち、ワックス粒子を乳剤中に分散させて、ワックス粒子を含む乳剤組成物を得た。
【0100】
[実施例及び比較例の評価]
5名の専門家パネリストが、実施例及び比較例の「艶消し効果」、「ぬめりなし(non-slippery)効果」及び「使用後の感触」を評価した。各パネリストは、それぞれのサンプルを手に取り、次いで、顔の右側及び左側に別々の製品を塗布して、各サンプルの艶消し効果、ぬめりなし効果、及び使用後の感触の良さを評価し、それぞれの効果について1(不良)から5(優)まで採点し、次いで、これをそのグレードの平均値に基づいた以下の4つカテゴリー、すなわち、「優」(5.0〜4.0)、「良」(3.9〜3.0)、「可」(2.9〜2.0)、又は「不良」(1.9〜1.0)に分類した。例及び比較例のこれらの評価では、「艶消し効果」についての「優」は、塗布したローション剤が、つやつやした外観を全く示さない又はほんのわずかにしか示さないことを意味する。「ぬめりなし効果」についての「優」は、組成物がすべりの良い感触であるが、ぬめりすぎず皮膚上でなめらかに広げることができることを意味する。「使用後の良好な感触」の「優」は、ローション剤が不快なべたつき感を与えず皮膚上で良好な感触をもたらすことを意味する。
【0101】
これらの結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表2に示すように、本発明の組成物を用いれば、使用時にべたつき感を生じうる親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分を含んでいても、比較例1〜3に比べて、不快なべたつき感を与えない、優れた艶消し効果及びぬめりなし効果並びに使用後の良好な感触を得ることができる。これらの結果は、乳剤の形態の組成物中に成分a)〜e)の組み合わせを使用することにより、組成物中に含まれる親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分a)によって生じうる粘着性を低減できるということを明確に示している。
【0104】
さらに、本発明の組成物は、皮膚又は毛髪に対して容易に均一に広がることができることが判明した。
【0105】
乳剤の形態の化粧品用若しくは皮膚科用組成物中に成分a)と共に成分b)〜e)を用いることによって得られた上記の結果は、親油性UVフィルターが有効成分a)として使用する場合に限定されない。本発明の効果は、いずれの親油性の化粧品用又は皮膚科用有効成分の場合にも得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 組成物の総量に対して少なくとも5重量%の、1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分;
b) シクロメチコンとは異なる非アルコール性揮発性溶媒;
c) 揮発性アルコール;
d) ワックス粒子;及び
e) 少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物
を含む、水相及び油相を含む乳剤の形態の化粧品用又は皮膚科用組成物。
【請求項2】
組成物の総量に対して1重量%未満の量でしか揮発性シクロメチコンを含まず、好ましくは揮発性シクロメチコンを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物の全重量に対して、5重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜20重量%の量の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分a);
5重量%〜20重量%、より好ましくは7重量%〜15重量%の量の非アルコール性揮発性溶媒b);
0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の量の揮発性アルコールc);
0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の量のワックス粒子d);
0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の量の少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物e)
を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
不揮発性化合物e)の親水性官能基が、ヒドロキシル、アミノ及びカルボキシル基からなる群から選択される1種若しくはそれ以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
1種若しくはそれ以上の親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分a)が、アミノフェノール類; サリチル酸誘導体; 2-アミノ-4-アルキルアミノピリミジン-3-オキシド誘導体、特に2-アミノ-4-ドデシルアミノピリミジン-3-オキシド;デヒドロエピアンドロステロン、それらの誘導体、及びそれらの化学的前駆体; コレステロール及びそれらのエステル、フィトステロール、シトステロール及びそれらのエステル; 5環式トリテルペン酸; ヒドロキシスチルベン類; フラボノイド; UVフィルター; カロテノイド、例えば、ビタミンA及びそれらの誘導体、リコペン、及びカロテン類; 香料又は精油; ホルモン; ビタミンE; 並びにセラミドからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
親油性化粧品用又は皮膚科用有効成分a)が、1種若しくはそれ以上のUVフィルターである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
1種若しくはそれ以上のUVフィルターが、ジベンゾイルメタン類、p-アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アミノベンゾフェノン誘導体、アントラニル酸誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、ベンジリデンカンファー誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン類、ビス-レゾルシニルトリアジン類、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロネート類、4,4-ジアリールブタジエン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、メロシアニン、ジフェニルブタジエンマロネート又はマロノニトリル類、カルコン及び前述の化合物の2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
非アルコール性揮発性溶媒b)が、炭素数8〜16の直鎖若しくは分岐炭化水素、炭素数8〜16の分岐エステル、揮発性直鎖シリコーン油、揮発性フッ素化油及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
揮発性アルコールc)が、炭素数1〜5のアルキルモノアルコールからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ワックス粒子d)が、0.5〜30マイクロメートル、特に1〜20マイクロメートル、より特には5〜10マイクロメートルの範囲の体積平均径を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ワックス粒子d)が、天然ワックス粒子、合成ワックス粒子及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ワックス粒子d)が、カルナウバワックス粒子、合成ワックス粒子、ポリエチレンワックス粒子及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの親水性官能基を有する不揮発性化合物e)が、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、イソプレングリコール、ジグリセリン、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、マンニトール、D-グルコース、スクロース、D-フルクトース、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、及びヒドロキシエチル尿素からなる群から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
A) 合計で5重量%〜30重量%の量の、成分a)としての1種又はそれ以上のUVフィルター;
B) 5重量%〜20重量%の量の、成分b)としてのジメチコン;
C) 1重量%〜15重量%の量の、成分c)としてのエタノール;
D) 成分d)としての、0.5〜30マイクロメートルの範囲の体積平均径を有する、合成ワックス粒子、天然ワックス粒子及びそれらの組み合わせから選択されるワックス粒子;
E) 組成物の総量に対して1重量%〜15重量%の量の、成分e)としてのグリセロール
を含み、シクロメチコンを含まないか又は組成物の全重量に対して1重量%未満の量のシクロメチコンを含む、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−511469(P2013−511469A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524010(P2012−524010)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/JP2009/070080
【国際公開番号】WO2011/061864
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】