観察装置
【課題】 透明な物体の表面に付着した微小な異物、及び透明な物体の表面の微小な欠陥を精度良く検出することができる観察装置を提供する。
【解決手段】 表面観察装置は、光源装置、偏光変換装置、ハーフミラー、レンズ、受光モジュール、回路基板、筐体、処理装置などを備えている。受光モジュールは、偏光フィルタ151、マイクロレンズアレイ153、イメージセンサなどを有している。そして、偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙Dintは、マイクロレンズアレイ153におけるレンズピッチPml以下となるように設定されている。
【解決手段】 表面観察装置は、光源装置、偏光変換装置、ハーフミラー、レンズ、受光モジュール、回路基板、筐体、処理装置などを備えている。受光モジュールは、偏光フィルタ151、マイクロレンズアレイ153、イメージセンサなどを有している。そして、偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙Dintは、マイクロレンズアレイ153におけるレンズピッチPml以下となるように設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置に係り、更に詳しくは、対象物の表面を光学的に観察する観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の製造現場において、物体に異物が付着していないことや、物体に傷がないことを担保するのは、その後の工程を予定通りに行い、所望の製品を高い歩留まりで製造するのに重要である。
【0003】
そこで、製造ラインでは、例えば、物体で反射された光をCCDカメラなどのイメージセンサで受光し、画像処理によって物体に異物が付着しているか否か、物体に傷があるか否かを検出する検出装置が用いられている。
【0004】
ところで、上記の検出装置では、透明なICチップ、ガラス、フィルムなどは、下地の影響で、表面に異物が存在するか否か、物体に傷があるか否かを検出するのは困難であった。
【0005】
そこで、透明な物体の表面が健全であるか否かを検出するための装置が種々提案された。
【0006】
例えば、特許文献1には、透明固体の表面及び内部に存在する異物又は欠陥を検出する検査装置が開示されている。この検査装置は、白色光の面光源と、面光源からの光を透過する第1の偏光板と、第1の偏光板を透過して被検査対象物に照射され、被検査対象物を透過した光を受光して透過させる第2の偏光板とを有し、第2の偏光板を通った光の強度むら又は色むらに基づいて、異物又は欠陥を検出する機能を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、部材表面の健全性に関する要求が厳しくなり、1μm程度の微小な異物の付着も許されなくなってきている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている検査装置では、1μm程度の微小な異物の検出は困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、対象物の表面を光学的に観察する観察装置であって、前記対象物を介した光の光路上に配置されたレンズと、前記レンズを通過した光の光路上に配置された偏光フィルタと、前記偏光フィルタを通過した光の光路上に配置されたマイクロレンズアレイと、前記マイクロレンズアレイを介した光の光路上に配置され、複数の受光部を有するイメージセンサとを備え、前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイとの間隔が、前記マイクロレンズアレイにおけるレンズピッチ以下である観察装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の観察装置によれば、対象物を介した光が干渉することなくマイクロレンズに入射し、透明な物体の表面に付着した異物、及び透明な物体の表面の欠陥を精度良く観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る表面観察装置の構成を説明するための図である。
【図2】図1における光源装置を説明するための図である。
【図3】図1における偏光変換装置を説明するための図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、それぞれ偏光変換装置における保持部材の移動を説明するための図である。
【図5】偏光変換装置における偏光板111を説明するための図である。
【図6】偏光変換装置における偏光板112を説明するための図である。
【図7】受光モジュールが回路基板に実装されている状態を説明するための図(その1)である。
【図8】受光モジュールが回路基板に実装されている状態を説明するための図(その2)である。
【図9】受光モジュールの構成を説明するための図である。
【図10】偏光フィルムの偏光パターンを説明するための図である。
【図11】偏光フィルムとマイロレンズアレイとの位置関係を説明するための図である。
【図12】ガラス板の表面を観察したときの観察結果を説明するための図(その1)である。
【図13】ガラス板の表面を観察したときの観察結果を説明するための図(その2)である。
【図14】偏光フィルムとマイロレンズアレイとの間隔が大きい場合の不都合を説明するための図である。
【図15】図14のときに観察される異物の像を説明するための図である。
【図16】本実施形態の利点を説明するための図である。
【図17】図16の一部を拡大した図である。
【図18】図16のときに観察される異物の像を説明するための図である。
【図19】照明用の光束が対象物の表面に斜入射されたときに観察される異物の像を説明するための図である。
【図20】偏光パターンの変形例を説明するための図である。
【図21】図20の一部を拡大した図である。
【図22】図20の偏光パターンの変形例を用いた受光モジュールを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図18に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る表面観察装置10の概略構成が示されている。
【0013】
この表面観察装置10は、光源装置100、偏光変換装置110、ハーフミラー120、レンズ130、受光モジュール150、回路基板170、筐体180、処理装置200、入力装置210、表示装置220、HDD装置230及び水平駆動装置240などを備えている。
【0014】
ここでは、観察される対象物300は、透明な板状部材である。この対象物300は、搬送ベルト400に載置され、表面観察の際に、所定の位置に搬送される。
【0015】
なお、本明細書では、対象物300の表面に直交する方向をZ軸方向、該Z軸方向に直交する面内で互いに直交する方向をX軸方向及びY軸方向とする。
【0016】
ここでは、表面観察装置10は、対象物300の+Z側に配置され、対象物300の+Z側の面を観察する。以下では、対象物300の+Z側の面を「対象面」ともいう。
【0017】
光源装置100は、一例として図2に示されるように、LEDを含む光源101、該光源101から射出された光束を略平行光とするコリメートレンズ102を有している。
【0018】
光源101は、処理装置200によって点灯及び消灯される。
【0019】
光源装置100は、−X方向に光束を射出する。
【0020】
偏光変換装置110は、光源装置100の−X側に配置され、一例として図3に示されるように、2つの偏光板(111、112)、該2つの偏光板(111、112)を保持する保持部材113、及び該保持部材113をZ軸方向に移動させる駆動機構を有している。
【0021】
駆動機構は、保持部材113に形成された「めねじ部」にねじ込まれるねじ部材と、該ねじ部材の−Z側端部に取り付けられた第1歯車と、該第1歯車にかみ合わされた第2歯車を含むシャフトと、該シャフトを回転させるステッピングモータ115などを有している。このステッピングモータ115は、処理装置200によって制御される。
【0022】
そこで、ステッピングモータ115が駆動されると、2つの偏光板(111、112)のZ軸方向に関する位置が変化する。
【0023】
ここでは、処理装置200は、図4(A)に示されるように、光源装置100からの光束が偏光板111のほぼ中央部を通過する第1位置、及び図4(B)に示されるように、光源装置100からの光束が偏光板112のほぼ中央部を通過する第2位置、のいずれかを選択してステッピングモータ115を制御する。
【0024】
偏光板111は、偏光方向がZ軸方向に直交する直線偏光を透過させ、偏光板112は、偏光方向がZ軸方向に平行な直線偏光を透過させる(図5及び図6参照)。
【0025】
ハーフミラー120は、偏光変換装置110の−X側に配置され、偏光変換装置110から射出された光束の約半分を−Z方向に反射する。
【0026】
レンズ130は、ハーフミラー120の−Z側に配置され、ハーフミラー120で反射された光束を対象面近傍に集光する。ここでは、レンズ130として、倍率が1000倍の集光レンズが用いられている。
【0027】
なお、レンズ130に代えて、複数のレンズからなるレンズ系を用いても良い。例えば、倍率が100倍のレンズをハーフミラー120の−Z側に配置し、倍率が10倍のレンズをハーフミラー120と受光モジュール150との間に配置しても良い。
【0028】
ここでは、ハーフミラー120で反射された光束は、対象面を落射照明する。そして、対象面で反射された光束の大部分は、再度レンズ130を通過してハーフミラー120に入射する。
【0029】
ハーフミラー120に入射した光束は、約半分がハーフミラー120を透過する。
【0030】
受光モジュール150は、ハーフミラー120を透過した光束の光路上に配置されている。
【0031】
受光モジュール150は、一例として図7及び図8に示されるように、回路基板170の−Z側の面に実装されている。
【0032】
受光モジュール150は、一例として図9に示されるように、偏光フィルタ151、マイクロレンズアレイ153、イメージセンサ155などを有し、これらが一体化されている。
【0033】
偏光フィルタ151は、透明な板状部材の+Z側の面に偏光パターン152が形成されている。ここでは、偏光パターン152は、一例として図10に示されるように、マトリックス状に配列された2種類の微小パターン(152a、152b)からなっている。各微小パターンは、同じ大きさの四角形状であり、ここでは、dx=dy=6μmである。
【0034】
微小パターン152aは、偏光方向がX軸方向に直交する直線偏光を透過させ、微小パターン152bは、偏光方向がX軸方向に平行な直線偏光を透過させる。
【0035】
微小パターン152aの+X側、−X側、+Y側、及び−Y側には微小パターン152bが配置され、微小パターン152bの+X側、−X側、+Y側、及び−Y側には微小パターン152aが配置されている。
【0036】
マイクロレンズアレイ153は、偏光フィルタ151の+Z側に配置されている。偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙Dint(図11参照)は、マイクロレンズアレイ153におけるレンズピッチPml(図11参照)以下となるように設定されている。具体的には、Pml=6μm、Dint=2μmである。
【0037】
マイクロレンズアレイ153は、偏光フィルタ151を透過した光束を集光する。
【0038】
イメージセンサ155は、マイクロレンズアレイ153の+Z側に配置され、マイクロレンズアレイ153を介した光束を受光する複数の受光領域を有している。ここでは、各受光領域は、1辺の長さが6μmの略正方形である。すなわち、マイクロレンズと受光領域は、1対1で対応している。そこで、上記間隙Dintは、受光領域の大きさ以下である。なお、以下では、便宜上、イメージセンサ155の受光領域を「画素」ともいう。
【0039】
ここでは、イメージセンサ155は、対象面における直径0.178mmの領域からの反射光を受光することができる。
【0040】
イメージセンサ155の受光情報は処理装置200に出力される。なお、イメージセンサ155からは、1画素毎に256階調の濃度に対応したデータが出力される。
【0041】
光源装置100、偏光変換装置110、ハーフミラー120、レンズ130、受光モジュール150、及び回路基板170は、筐体180に取り付けられている。
【0042】
水平駆動装置240は、処理装置200の指示によって、筐体180をXY面内で移動させる。筐体180の位置情報は、水平駆動装置240から処理装置200に通知される。なお、ここでは、XY面内でのレンズ130の光軸位置が、筐体180の位置情報として水平駆動装置240から出力される(図1参照)。
【0043】
処理装置200は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、ネットワークを介して他の装置と情報通信を行うための通信制御装置などを有している。
【0044】
入力装置210は、例えばキーボード、マウス、タブレット、ライトペン及びタッチパネルなどのうち少なくとも1つの入力媒体(図示省略)を備え、作業者から入力された各種情報をCPUに通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されても良い。
【0045】
表示装置220は、例えばCRT、液晶ディスプレイ(LCD)及びプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)などを用いた表示部(図示省略)を備え、CPUから指示された各種情報を表示する。
【0046】
なお、表示装置220と入力装置210とが一体化されたものとして、例えばタッチパネル付きLCDなどがある。
【0047】
HDD装置230は、ハードディスクと、該ハードディスクを駆動するための駆動装置などから構成されている。
【0048】
次に、処理装置200の動作について説明する。
【0049】
(1)不図示のセンサ出力から対象物300が表面観察開始位置に搬送されたことを確認すると、光源101を点灯させる。
(2)光源装置100からの光束が偏光板111のほぼ中央部を通過するように、ステッピングモータ115を制御する。
(3)イメージセンサ155の出力を第1偏光イメージとして、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(4)光源装置100からの光束が偏光板112のほぼ中央部を通過するように、ステッピングモータ115を制御する。
(5)イメージセンサ155の出力を第2偏光イメージとして、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(6)水平駆動装置240を介して、筐体180を次の観察位置に移動させる。
(7)上記(2)〜(5)を行う。
(8)すべての観察位置での観察が完了するまで、上記(6)及び(7)を繰り返し行う。
(9)すべての観察位置での観察が完了すると、筐体180の位置情報毎に、第1偏光イメージと第2偏光イメージを合成する。ここで合成されたイメージは、入力装置210に表示される。
(10)筐体180の位置情報毎に、上記合成結果に基づいて、異物及び欠陥の有無を判断し、その判断結果を筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(11)異物及び欠陥の少なくとも一方が有れば、その形状及び大きさを求め、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(12)異物が有れば、その像の階調から、該異物が金属、樹脂、セラミックのいずれであるかを判断し、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。なお、像の階調と材質との関係は予め求められ、ROMに格納されている。
(13)異物及び欠陥の少なくとも一方が有れば、筐体180の位置情報から、対象物300における該異物及び欠陥の位置情報を求め、RAMに保存する。
(14)対象物300における異物及び欠陥の有無情報、形状、大きさ、材質、対象物300における該異物及び欠陥の位置情報を、入力装置210に表示するとともに、ネットワークを介して他の装置に通知する。
(15)観察結果を、観察日時、対象物300を特定することができる情報(例えば、ID番号)とともに、HDD装置230に保存する。
(16)次の対象物を待つ。
【0050】
図12及び図13には、透明なガラス板の表面に付着している異物の画像が示されている。いずれも、1μm程度の大きさである。このように、1μm程度の大きさの異物であっても形状を明確に知ることができる。
【0051】
そして、例えば、上記他の装置が、合否判別工程の判別装置であれば、該判別装置は、処理装置200からの観察結果に基づいて、異物及び欠陥がなければ、あるいは、異物及び欠陥の少なくとも一方があっても、形状、大きさが設定されている許容範囲内であれば合格と判断し、異物及び欠陥の形状、大きさが許容範囲内でなければ不合格と判断する。また、判別装置は、処理装置200からの観察結果に基づいて、異物が除去可能であると判断すると、該対象物を再生処理工程に送る。
【0052】
また、例えば、上記他の装置が、洗浄工程の洗浄装置であれば、該洗浄装置は、処理装置200からの観察結果に基づいて、異物が付着している位置を重点的に洗浄する。
【0053】
このように、表面観察装置10を製造ラインに組み込むことにより、不良品の抽出、再生可能品の抽出を自動化することができる。また、効率的な洗浄処理が可能となる。また、ラインの速度を上げることができる。さらに、正確な検品が可能となり、製造歩留まりの向上を図ることができる。
【0054】
ところで、仮に偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙DintがレンズピッチPmlよりも大きいと、一例として図14に示されるように、干渉した光束がマイクロレンズに入射する。この場合は、一例として図15に示されるように、対象面に付着している異物の形状、大きさは、不明確な状態で観察される。
【0055】
一方、本実施形態では、偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙DintがレンズピッチPml以下であるため、一例として図16及び図17に示されるように、干渉した光束がマイクロレンズに入射することはない。なお、図17は、図16の一部を拡大した図である。この場合は、一例として図18に示されるように、対象面に付着している異物の形状及び大きさは、明確な状態で観察される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る表面観察装置10によると、表面観察装置10は、光源装置100、偏光変換装置110、ハーフミラー120、レンズ130、受光モジュール150、回路基板170、筐体180、処理装置200、入力装置210、表示装置220、HDD装置230及び水平駆動装置240などを備えている。
【0057】
受光モジュール150は、偏光フィルタ151、マイクロレンズアレイ153、イメージセンサ155などを有している。そして、偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙Dintは、マイクロレンズアレイ153におけるレンズピッチPml以下となるように設定されている。
【0058】
この場合は、各マイクロレンズに入射する光束が、互いに干渉するのを抑制することができ、異物あるいは欠陥の鮮明な像を得ることができる。
【0059】
そこで、表面観察装置10によれば、透明な物体の表面に付着した微小な異物、及び透明な物体の表面の微小な欠陥を精度良く観察することができる。その結果、1μm程度の異物があっても、その形状、大きさ、及び材質を知ることができる。同様に、1μm程度の欠陥があっても、その形状、及び大きさを知ることができる。
【0060】
また、特許文献1に開示されている検査装置と異なり、表面観察装置10によれば、対象物が、不透明な物体に載置されていても、透明な物体の表面に付着した微小な異物、及び透明な物体の表面の微小な欠陥を精度良く観察することができる。
【0061】
また、従来の観察装置では、微小な異物及び微小な欠陥の形状を求めるには、高い倍率のレンズが必要となる。この場合、視野が狭くなり、対象物の全面を観察するのに多大な時間を必要とする。また、この場合、ピント合わせが難しくなる。
【0062】
一方、表面観察装置10では、レンズの倍率をそれほど高くしなくても鮮明な像を得ることができる。そこで、従来よりも短時間で、対象物の全面を観察することができる。また、ピント合わせも容易である。すなわち、通常の顕微鏡観察と同様の間隔で透明部材の表面観察を非接触で行うことができる。
【0063】
また、表面観察装置10では、落射照明によって対象物の表面で照明しているため、装置の小型化を図ることができる。
【0064】
また、表面観察装置10では、高価な部品を用いることなく、従来よりも鮮明な像を得ることができ、コストパフォーマンスの向上を図ることができる。
【0065】
なお、上記実施形態では、光源装置100からの光束が、対象物の表面に対して直交する方向から入射する場合について説明したが、これに限定されるものではない。光源装置100からの光束が、対象物の表面に斜入射されても良い。この場合は、一例として図19に示されるように、異物や欠陥の3次元形状を知ることができる。
【0066】
また、上記実施形態において、前記偏光フィルタ151の偏光パターン152に代えて、一例として図20〜図22に示される偏光パターン152’を用いても良い。ここでは、図21における符号d1は符号d2と同じであり、6μmに設定されている。
【0067】
この場合は、予め、対象物300の位置に全反射部材(例えば、ミラー)をおき、イメージセンサ155の全ての画素について、偏光フィルタ151がないときの入射光量を基準とし、光源装置100からの光束が偏光板111を通過しているときに入射光量が50%以上となる画素(便宜上、「第1画素群」という)であるか、光源装置100からの光束が偏光板112を通過しているときに入射光量が50%以上(便宜上、「第2画素群」という)となる画素であるかを求める。
【0068】
そして、処理装置200は、対象物300を観察する際に、上記工程(3)では、上記第1画素群に属する複数の画素の出力から前記第1偏光イメージを求め、上記工程(5)では、上記第2画素群に属する複数の画素の出力から前記第2偏光イメージを求める。
【0069】
この場合は、イメージセンサ155と偏光フィルタ151の位置合わせを、上記実施形態よりも簡略化することができる。
【0070】
また、上記実施形態において、光源101が複数の発光部を有していても良い。
【0071】
また、上記実施形態では、偏光変換装置110において、保持部材113をZ軸方向に移動させて、光源装置100からの光束が通過する偏光板を選択する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、保持部材113をY軸方向に移動させたり、あるいは保持部材113をX軸方向に平行な軸まわりに回転させて、光源装置100からの光束が通過する偏光板を選択しても良い。また、1つの偏光板をX軸方向に平行な軸まわりに回転させても良い。要するに、偏光変換装置110から射出される光束の偏光方向を選択することができれば良い。
【0072】
また、上記実施形態では、レンズ130の倍率が1000倍の場合について説明したが、これに限定されるものではない。必要な検出精度や、検出対象の異物及び欠陥の大きさに応じて適切な倍率のレンズを用いることができる。例えば、検出対象の異物及び欠陥の大きさが大きい場合には、低倍率のレンズを用いることができ、広い視野を一度に観察することができる。その結果、観察に要する時間を短縮することができる。また、倍率が可変のレンズを用いても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、マイクロレンズと画素が1対1に対応している場合について説明したが、これに限定されるものではない。必要な検出精度があまり高くない場合や、検出対象の異物及び欠陥の大きさがある程度大きい場合には、例えば、4つの画素に対して1つのマイクロレンズが設けられても良い。
【0074】
また、上記実施形態では、1画素の大きさが6μmの場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0075】
また、上記実施形態では、レンズピッチPmlが6μm、間隙Dintが2μmの場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、間隙DintがレンズピッチPml以下であれば良い。
【0076】
また、上記実施形態では、観察対象の視野を異ならせる際に、筐体180を移動させる場合について説明したが、これに限らず、対象物300を移動させても良い。
【0077】
また、上記実施形態において、前記対象物は、有色の透明部材であっても良い。
【0078】
また、上記実施形態において、回路基板170上に処理回路を含むICチップを実装し、処理装置200が行っていた処理の少なくとも一部を該ICチップで行っても良い。
【符号の説明】
【0079】
10…表面観察装置(観察装置)、100…光源装置、101…光源、102…コリメートレンズ、110…偏光変換装置(偏光変換機構)、111…偏光板(第1の偏光選択部材)、112…偏光板(第2の偏光選択部材)、113…保持部材、115…ステッピングモータ、120…ハーフミラー、130…レンズ、150…受光モジュール、151…偏光フィルタ、152…偏光パターン、152’…偏光パターン、153…マイクロレンズアレイ、155…イメージセンサ、170…回路基板、180…筐体、200…処理装置、210…入力装置、220…表示装置、230…HDD装置、240…水平駆動装置、300…対象物。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2008−008787号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置に係り、更に詳しくは、対象物の表面を光学的に観察する観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の製造現場において、物体に異物が付着していないことや、物体に傷がないことを担保するのは、その後の工程を予定通りに行い、所望の製品を高い歩留まりで製造するのに重要である。
【0003】
そこで、製造ラインでは、例えば、物体で反射された光をCCDカメラなどのイメージセンサで受光し、画像処理によって物体に異物が付着しているか否か、物体に傷があるか否かを検出する検出装置が用いられている。
【0004】
ところで、上記の検出装置では、透明なICチップ、ガラス、フィルムなどは、下地の影響で、表面に異物が存在するか否か、物体に傷があるか否かを検出するのは困難であった。
【0005】
そこで、透明な物体の表面が健全であるか否かを検出するための装置が種々提案された。
【0006】
例えば、特許文献1には、透明固体の表面及び内部に存在する異物又は欠陥を検出する検査装置が開示されている。この検査装置は、白色光の面光源と、面光源からの光を透過する第1の偏光板と、第1の偏光板を透過して被検査対象物に照射され、被検査対象物を透過した光を受光して透過させる第2の偏光板とを有し、第2の偏光板を通った光の強度むら又は色むらに基づいて、異物又は欠陥を検出する機能を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、部材表面の健全性に関する要求が厳しくなり、1μm程度の微小な異物の付着も許されなくなってきている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている検査装置では、1μm程度の微小な異物の検出は困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、対象物の表面を光学的に観察する観察装置であって、前記対象物を介した光の光路上に配置されたレンズと、前記レンズを通過した光の光路上に配置された偏光フィルタと、前記偏光フィルタを通過した光の光路上に配置されたマイクロレンズアレイと、前記マイクロレンズアレイを介した光の光路上に配置され、複数の受光部を有するイメージセンサとを備え、前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイとの間隔が、前記マイクロレンズアレイにおけるレンズピッチ以下である観察装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の観察装置によれば、対象物を介した光が干渉することなくマイクロレンズに入射し、透明な物体の表面に付着した異物、及び透明な物体の表面の欠陥を精度良く観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る表面観察装置の構成を説明するための図である。
【図2】図1における光源装置を説明するための図である。
【図3】図1における偏光変換装置を説明するための図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、それぞれ偏光変換装置における保持部材の移動を説明するための図である。
【図5】偏光変換装置における偏光板111を説明するための図である。
【図6】偏光変換装置における偏光板112を説明するための図である。
【図7】受光モジュールが回路基板に実装されている状態を説明するための図(その1)である。
【図8】受光モジュールが回路基板に実装されている状態を説明するための図(その2)である。
【図9】受光モジュールの構成を説明するための図である。
【図10】偏光フィルムの偏光パターンを説明するための図である。
【図11】偏光フィルムとマイロレンズアレイとの位置関係を説明するための図である。
【図12】ガラス板の表面を観察したときの観察結果を説明するための図(その1)である。
【図13】ガラス板の表面を観察したときの観察結果を説明するための図(その2)である。
【図14】偏光フィルムとマイロレンズアレイとの間隔が大きい場合の不都合を説明するための図である。
【図15】図14のときに観察される異物の像を説明するための図である。
【図16】本実施形態の利点を説明するための図である。
【図17】図16の一部を拡大した図である。
【図18】図16のときに観察される異物の像を説明するための図である。
【図19】照明用の光束が対象物の表面に斜入射されたときに観察される異物の像を説明するための図である。
【図20】偏光パターンの変形例を説明するための図である。
【図21】図20の一部を拡大した図である。
【図22】図20の偏光パターンの変形例を用いた受光モジュールを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図18に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る表面観察装置10の概略構成が示されている。
【0013】
この表面観察装置10は、光源装置100、偏光変換装置110、ハーフミラー120、レンズ130、受光モジュール150、回路基板170、筐体180、処理装置200、入力装置210、表示装置220、HDD装置230及び水平駆動装置240などを備えている。
【0014】
ここでは、観察される対象物300は、透明な板状部材である。この対象物300は、搬送ベルト400に載置され、表面観察の際に、所定の位置に搬送される。
【0015】
なお、本明細書では、対象物300の表面に直交する方向をZ軸方向、該Z軸方向に直交する面内で互いに直交する方向をX軸方向及びY軸方向とする。
【0016】
ここでは、表面観察装置10は、対象物300の+Z側に配置され、対象物300の+Z側の面を観察する。以下では、対象物300の+Z側の面を「対象面」ともいう。
【0017】
光源装置100は、一例として図2に示されるように、LEDを含む光源101、該光源101から射出された光束を略平行光とするコリメートレンズ102を有している。
【0018】
光源101は、処理装置200によって点灯及び消灯される。
【0019】
光源装置100は、−X方向に光束を射出する。
【0020】
偏光変換装置110は、光源装置100の−X側に配置され、一例として図3に示されるように、2つの偏光板(111、112)、該2つの偏光板(111、112)を保持する保持部材113、及び該保持部材113をZ軸方向に移動させる駆動機構を有している。
【0021】
駆動機構は、保持部材113に形成された「めねじ部」にねじ込まれるねじ部材と、該ねじ部材の−Z側端部に取り付けられた第1歯車と、該第1歯車にかみ合わされた第2歯車を含むシャフトと、該シャフトを回転させるステッピングモータ115などを有している。このステッピングモータ115は、処理装置200によって制御される。
【0022】
そこで、ステッピングモータ115が駆動されると、2つの偏光板(111、112)のZ軸方向に関する位置が変化する。
【0023】
ここでは、処理装置200は、図4(A)に示されるように、光源装置100からの光束が偏光板111のほぼ中央部を通過する第1位置、及び図4(B)に示されるように、光源装置100からの光束が偏光板112のほぼ中央部を通過する第2位置、のいずれかを選択してステッピングモータ115を制御する。
【0024】
偏光板111は、偏光方向がZ軸方向に直交する直線偏光を透過させ、偏光板112は、偏光方向がZ軸方向に平行な直線偏光を透過させる(図5及び図6参照)。
【0025】
ハーフミラー120は、偏光変換装置110の−X側に配置され、偏光変換装置110から射出された光束の約半分を−Z方向に反射する。
【0026】
レンズ130は、ハーフミラー120の−Z側に配置され、ハーフミラー120で反射された光束を対象面近傍に集光する。ここでは、レンズ130として、倍率が1000倍の集光レンズが用いられている。
【0027】
なお、レンズ130に代えて、複数のレンズからなるレンズ系を用いても良い。例えば、倍率が100倍のレンズをハーフミラー120の−Z側に配置し、倍率が10倍のレンズをハーフミラー120と受光モジュール150との間に配置しても良い。
【0028】
ここでは、ハーフミラー120で反射された光束は、対象面を落射照明する。そして、対象面で反射された光束の大部分は、再度レンズ130を通過してハーフミラー120に入射する。
【0029】
ハーフミラー120に入射した光束は、約半分がハーフミラー120を透過する。
【0030】
受光モジュール150は、ハーフミラー120を透過した光束の光路上に配置されている。
【0031】
受光モジュール150は、一例として図7及び図8に示されるように、回路基板170の−Z側の面に実装されている。
【0032】
受光モジュール150は、一例として図9に示されるように、偏光フィルタ151、マイクロレンズアレイ153、イメージセンサ155などを有し、これらが一体化されている。
【0033】
偏光フィルタ151は、透明な板状部材の+Z側の面に偏光パターン152が形成されている。ここでは、偏光パターン152は、一例として図10に示されるように、マトリックス状に配列された2種類の微小パターン(152a、152b)からなっている。各微小パターンは、同じ大きさの四角形状であり、ここでは、dx=dy=6μmである。
【0034】
微小パターン152aは、偏光方向がX軸方向に直交する直線偏光を透過させ、微小パターン152bは、偏光方向がX軸方向に平行な直線偏光を透過させる。
【0035】
微小パターン152aの+X側、−X側、+Y側、及び−Y側には微小パターン152bが配置され、微小パターン152bの+X側、−X側、+Y側、及び−Y側には微小パターン152aが配置されている。
【0036】
マイクロレンズアレイ153は、偏光フィルタ151の+Z側に配置されている。偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙Dint(図11参照)は、マイクロレンズアレイ153におけるレンズピッチPml(図11参照)以下となるように設定されている。具体的には、Pml=6μm、Dint=2μmである。
【0037】
マイクロレンズアレイ153は、偏光フィルタ151を透過した光束を集光する。
【0038】
イメージセンサ155は、マイクロレンズアレイ153の+Z側に配置され、マイクロレンズアレイ153を介した光束を受光する複数の受光領域を有している。ここでは、各受光領域は、1辺の長さが6μmの略正方形である。すなわち、マイクロレンズと受光領域は、1対1で対応している。そこで、上記間隙Dintは、受光領域の大きさ以下である。なお、以下では、便宜上、イメージセンサ155の受光領域を「画素」ともいう。
【0039】
ここでは、イメージセンサ155は、対象面における直径0.178mmの領域からの反射光を受光することができる。
【0040】
イメージセンサ155の受光情報は処理装置200に出力される。なお、イメージセンサ155からは、1画素毎に256階調の濃度に対応したデータが出力される。
【0041】
光源装置100、偏光変換装置110、ハーフミラー120、レンズ130、受光モジュール150、及び回路基板170は、筐体180に取り付けられている。
【0042】
水平駆動装置240は、処理装置200の指示によって、筐体180をXY面内で移動させる。筐体180の位置情報は、水平駆動装置240から処理装置200に通知される。なお、ここでは、XY面内でのレンズ130の光軸位置が、筐体180の位置情報として水平駆動装置240から出力される(図1参照)。
【0043】
処理装置200は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、ネットワークを介して他の装置と情報通信を行うための通信制御装置などを有している。
【0044】
入力装置210は、例えばキーボード、マウス、タブレット、ライトペン及びタッチパネルなどのうち少なくとも1つの入力媒体(図示省略)を備え、作業者から入力された各種情報をCPUに通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されても良い。
【0045】
表示装置220は、例えばCRT、液晶ディスプレイ(LCD)及びプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)などを用いた表示部(図示省略)を備え、CPUから指示された各種情報を表示する。
【0046】
なお、表示装置220と入力装置210とが一体化されたものとして、例えばタッチパネル付きLCDなどがある。
【0047】
HDD装置230は、ハードディスクと、該ハードディスクを駆動するための駆動装置などから構成されている。
【0048】
次に、処理装置200の動作について説明する。
【0049】
(1)不図示のセンサ出力から対象物300が表面観察開始位置に搬送されたことを確認すると、光源101を点灯させる。
(2)光源装置100からの光束が偏光板111のほぼ中央部を通過するように、ステッピングモータ115を制御する。
(3)イメージセンサ155の出力を第1偏光イメージとして、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(4)光源装置100からの光束が偏光板112のほぼ中央部を通過するように、ステッピングモータ115を制御する。
(5)イメージセンサ155の出力を第2偏光イメージとして、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(6)水平駆動装置240を介して、筐体180を次の観察位置に移動させる。
(7)上記(2)〜(5)を行う。
(8)すべての観察位置での観察が完了するまで、上記(6)及び(7)を繰り返し行う。
(9)すべての観察位置での観察が完了すると、筐体180の位置情報毎に、第1偏光イメージと第2偏光イメージを合成する。ここで合成されたイメージは、入力装置210に表示される。
(10)筐体180の位置情報毎に、上記合成結果に基づいて、異物及び欠陥の有無を判断し、その判断結果を筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(11)異物及び欠陥の少なくとも一方が有れば、その形状及び大きさを求め、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。
(12)異物が有れば、その像の階調から、該異物が金属、樹脂、セラミックのいずれであるかを判断し、筐体180の位置情報とともにRAMに保存する。なお、像の階調と材質との関係は予め求められ、ROMに格納されている。
(13)異物及び欠陥の少なくとも一方が有れば、筐体180の位置情報から、対象物300における該異物及び欠陥の位置情報を求め、RAMに保存する。
(14)対象物300における異物及び欠陥の有無情報、形状、大きさ、材質、対象物300における該異物及び欠陥の位置情報を、入力装置210に表示するとともに、ネットワークを介して他の装置に通知する。
(15)観察結果を、観察日時、対象物300を特定することができる情報(例えば、ID番号)とともに、HDD装置230に保存する。
(16)次の対象物を待つ。
【0050】
図12及び図13には、透明なガラス板の表面に付着している異物の画像が示されている。いずれも、1μm程度の大きさである。このように、1μm程度の大きさの異物であっても形状を明確に知ることができる。
【0051】
そして、例えば、上記他の装置が、合否判別工程の判別装置であれば、該判別装置は、処理装置200からの観察結果に基づいて、異物及び欠陥がなければ、あるいは、異物及び欠陥の少なくとも一方があっても、形状、大きさが設定されている許容範囲内であれば合格と判断し、異物及び欠陥の形状、大きさが許容範囲内でなければ不合格と判断する。また、判別装置は、処理装置200からの観察結果に基づいて、異物が除去可能であると判断すると、該対象物を再生処理工程に送る。
【0052】
また、例えば、上記他の装置が、洗浄工程の洗浄装置であれば、該洗浄装置は、処理装置200からの観察結果に基づいて、異物が付着している位置を重点的に洗浄する。
【0053】
このように、表面観察装置10を製造ラインに組み込むことにより、不良品の抽出、再生可能品の抽出を自動化することができる。また、効率的な洗浄処理が可能となる。また、ラインの速度を上げることができる。さらに、正確な検品が可能となり、製造歩留まりの向上を図ることができる。
【0054】
ところで、仮に偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙DintがレンズピッチPmlよりも大きいと、一例として図14に示されるように、干渉した光束がマイクロレンズに入射する。この場合は、一例として図15に示されるように、対象面に付着している異物の形状、大きさは、不明確な状態で観察される。
【0055】
一方、本実施形態では、偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙DintがレンズピッチPml以下であるため、一例として図16及び図17に示されるように、干渉した光束がマイクロレンズに入射することはない。なお、図17は、図16の一部を拡大した図である。この場合は、一例として図18に示されるように、対象面に付着している異物の形状及び大きさは、明確な状態で観察される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る表面観察装置10によると、表面観察装置10は、光源装置100、偏光変換装置110、ハーフミラー120、レンズ130、受光モジュール150、回路基板170、筐体180、処理装置200、入力装置210、表示装置220、HDD装置230及び水平駆動装置240などを備えている。
【0057】
受光モジュール150は、偏光フィルタ151、マイクロレンズアレイ153、イメージセンサ155などを有している。そして、偏光フィルタ151の+Z側の面とマイクロレンズアレイ153との間隙Dintは、マイクロレンズアレイ153におけるレンズピッチPml以下となるように設定されている。
【0058】
この場合は、各マイクロレンズに入射する光束が、互いに干渉するのを抑制することができ、異物あるいは欠陥の鮮明な像を得ることができる。
【0059】
そこで、表面観察装置10によれば、透明な物体の表面に付着した微小な異物、及び透明な物体の表面の微小な欠陥を精度良く観察することができる。その結果、1μm程度の異物があっても、その形状、大きさ、及び材質を知ることができる。同様に、1μm程度の欠陥があっても、その形状、及び大きさを知ることができる。
【0060】
また、特許文献1に開示されている検査装置と異なり、表面観察装置10によれば、対象物が、不透明な物体に載置されていても、透明な物体の表面に付着した微小な異物、及び透明な物体の表面の微小な欠陥を精度良く観察することができる。
【0061】
また、従来の観察装置では、微小な異物及び微小な欠陥の形状を求めるには、高い倍率のレンズが必要となる。この場合、視野が狭くなり、対象物の全面を観察するのに多大な時間を必要とする。また、この場合、ピント合わせが難しくなる。
【0062】
一方、表面観察装置10では、レンズの倍率をそれほど高くしなくても鮮明な像を得ることができる。そこで、従来よりも短時間で、対象物の全面を観察することができる。また、ピント合わせも容易である。すなわち、通常の顕微鏡観察と同様の間隔で透明部材の表面観察を非接触で行うことができる。
【0063】
また、表面観察装置10では、落射照明によって対象物の表面で照明しているため、装置の小型化を図ることができる。
【0064】
また、表面観察装置10では、高価な部品を用いることなく、従来よりも鮮明な像を得ることができ、コストパフォーマンスの向上を図ることができる。
【0065】
なお、上記実施形態では、光源装置100からの光束が、対象物の表面に対して直交する方向から入射する場合について説明したが、これに限定されるものではない。光源装置100からの光束が、対象物の表面に斜入射されても良い。この場合は、一例として図19に示されるように、異物や欠陥の3次元形状を知ることができる。
【0066】
また、上記実施形態において、前記偏光フィルタ151の偏光パターン152に代えて、一例として図20〜図22に示される偏光パターン152’を用いても良い。ここでは、図21における符号d1は符号d2と同じであり、6μmに設定されている。
【0067】
この場合は、予め、対象物300の位置に全反射部材(例えば、ミラー)をおき、イメージセンサ155の全ての画素について、偏光フィルタ151がないときの入射光量を基準とし、光源装置100からの光束が偏光板111を通過しているときに入射光量が50%以上となる画素(便宜上、「第1画素群」という)であるか、光源装置100からの光束が偏光板112を通過しているときに入射光量が50%以上(便宜上、「第2画素群」という)となる画素であるかを求める。
【0068】
そして、処理装置200は、対象物300を観察する際に、上記工程(3)では、上記第1画素群に属する複数の画素の出力から前記第1偏光イメージを求め、上記工程(5)では、上記第2画素群に属する複数の画素の出力から前記第2偏光イメージを求める。
【0069】
この場合は、イメージセンサ155と偏光フィルタ151の位置合わせを、上記実施形態よりも簡略化することができる。
【0070】
また、上記実施形態において、光源101が複数の発光部を有していても良い。
【0071】
また、上記実施形態では、偏光変換装置110において、保持部材113をZ軸方向に移動させて、光源装置100からの光束が通過する偏光板を選択する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、保持部材113をY軸方向に移動させたり、あるいは保持部材113をX軸方向に平行な軸まわりに回転させて、光源装置100からの光束が通過する偏光板を選択しても良い。また、1つの偏光板をX軸方向に平行な軸まわりに回転させても良い。要するに、偏光変換装置110から射出される光束の偏光方向を選択することができれば良い。
【0072】
また、上記実施形態では、レンズ130の倍率が1000倍の場合について説明したが、これに限定されるものではない。必要な検出精度や、検出対象の異物及び欠陥の大きさに応じて適切な倍率のレンズを用いることができる。例えば、検出対象の異物及び欠陥の大きさが大きい場合には、低倍率のレンズを用いることができ、広い視野を一度に観察することができる。その結果、観察に要する時間を短縮することができる。また、倍率が可変のレンズを用いても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、マイクロレンズと画素が1対1に対応している場合について説明したが、これに限定されるものではない。必要な検出精度があまり高くない場合や、検出対象の異物及び欠陥の大きさがある程度大きい場合には、例えば、4つの画素に対して1つのマイクロレンズが設けられても良い。
【0074】
また、上記実施形態では、1画素の大きさが6μmの場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0075】
また、上記実施形態では、レンズピッチPmlが6μm、間隙Dintが2μmの場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、間隙DintがレンズピッチPml以下であれば良い。
【0076】
また、上記実施形態では、観察対象の視野を異ならせる際に、筐体180を移動させる場合について説明したが、これに限らず、対象物300を移動させても良い。
【0077】
また、上記実施形態において、前記対象物は、有色の透明部材であっても良い。
【0078】
また、上記実施形態において、回路基板170上に処理回路を含むICチップを実装し、処理装置200が行っていた処理の少なくとも一部を該ICチップで行っても良い。
【符号の説明】
【0079】
10…表面観察装置(観察装置)、100…光源装置、101…光源、102…コリメートレンズ、110…偏光変換装置(偏光変換機構)、111…偏光板(第1の偏光選択部材)、112…偏光板(第2の偏光選択部材)、113…保持部材、115…ステッピングモータ、120…ハーフミラー、130…レンズ、150…受光モジュール、151…偏光フィルタ、152…偏光パターン、152’…偏光パターン、153…マイクロレンズアレイ、155…イメージセンサ、170…回路基板、180…筐体、200…処理装置、210…入力装置、220…表示装置、230…HDD装置、240…水平駆動装置、300…対象物。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2008−008787号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面を光学的に観察する観察装置であって、
前記対象物を介した光の光路上に配置されたレンズと、
前記レンズを通過した光の光路上に配置された偏光フィルタと、
前記偏光フィルタを通過した光の光路上に配置されたマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイを介した光の光路上に配置され、複数の受光部を有するイメージセンサとを備え、
前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイとの間隔が、前記マイクロレンズアレイにおけるレンズピッチ以下である観察装置。
【請求項2】
前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイとの間隔が、前記イメージセンサにおける受光部の大きさ以下であることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記偏光フィルタは、前記イメージセンサにおける最も近接する2つの受光部が、それぞれ互いに直交する直線偏光を受光するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の観察装置。
【請求項4】
前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイと前記イメージセンサは、一体化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の観察装置。
【請求項5】
光源と、
互いに直交する2つの直線偏光のいずれかが選択され、前記光源からの光を該選択された直線偏光に変換して射出する偏光変換機構と、
前記レンズと前記偏光フィルタとの間に配置され、前記偏光変換機構からの直線偏光の一部を前記レンズを介して前記対象物に向かう方向に反射する反射部材と、を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の観察装置。
【請求項6】
前記反射部材は、ハーフミラーであることを特徴とする請求項5に記載の観察装置。
【請求項7】
前記偏光変換機構は、前記2つの直線偏光の一方を透過させる第1の偏光選択部材と、他方を透過させる第2の偏光選択部材と、前記第1の偏光選択部材及び前記第2の偏光選択部材のうち前記選択された直線偏光を透過させるほうを、前記光源からの光の光路上に配置させる駆動機構と、を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の観察装置。
【請求項8】
前記イメージセンサの出力信号に基づいて、前記対象物における異物及び欠陥の少なくとも一方の有無を判断する処理装置とを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の観察装置。
【請求項9】
前記処理装置は、更に前記対象物における異物及び欠陥の少なくとも一方の形状を求めることを特徴とする請求項8に記載の観察装置。
【請求項10】
前記処理装置は、更に前記対象物における異物及び欠陥の少なくとも一方が存在する位置情報を求めることを特徴とする請求項8又は9に記載の観察装置。
【請求項1】
対象物の表面を光学的に観察する観察装置であって、
前記対象物を介した光の光路上に配置されたレンズと、
前記レンズを通過した光の光路上に配置された偏光フィルタと、
前記偏光フィルタを通過した光の光路上に配置されたマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイを介した光の光路上に配置され、複数の受光部を有するイメージセンサとを備え、
前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイとの間隔が、前記マイクロレンズアレイにおけるレンズピッチ以下である観察装置。
【請求項2】
前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイとの間隔が、前記イメージセンサにおける受光部の大きさ以下であることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記偏光フィルタは、前記イメージセンサにおける最も近接する2つの受光部が、それぞれ互いに直交する直線偏光を受光するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の観察装置。
【請求項4】
前記偏光フィルタと前記マイクロレンズアレイと前記イメージセンサは、一体化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の観察装置。
【請求項5】
光源と、
互いに直交する2つの直線偏光のいずれかが選択され、前記光源からの光を該選択された直線偏光に変換して射出する偏光変換機構と、
前記レンズと前記偏光フィルタとの間に配置され、前記偏光変換機構からの直線偏光の一部を前記レンズを介して前記対象物に向かう方向に反射する反射部材と、を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の観察装置。
【請求項6】
前記反射部材は、ハーフミラーであることを特徴とする請求項5に記載の観察装置。
【請求項7】
前記偏光変換機構は、前記2つの直線偏光の一方を透過させる第1の偏光選択部材と、他方を透過させる第2の偏光選択部材と、前記第1の偏光選択部材及び前記第2の偏光選択部材のうち前記選択された直線偏光を透過させるほうを、前記光源からの光の光路上に配置させる駆動機構と、を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の観察装置。
【請求項8】
前記イメージセンサの出力信号に基づいて、前記対象物における異物及び欠陥の少なくとも一方の有無を判断する処理装置とを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の観察装置。
【請求項9】
前記処理装置は、更に前記対象物における異物及び欠陥の少なくとも一方の形状を求めることを特徴とする請求項8に記載の観察装置。
【請求項10】
前記処理装置は、更に前記対象物における異物及び欠陥の少なくとも一方が存在する位置情報を求めることを特徴とする請求項8又は9に記載の観察装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図8】
【図12】
【図13】
【図15】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図8】
【図12】
【図13】
【図15】
【図22】
【公開番号】特開2013−36908(P2013−36908A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174453(P2011−174453)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]