説明

観察装置

【課題】1画素当りの読出し速度が低速である光検出器を用いる場合であっても移動している対象物の蛍光像を、移動に伴うぶれ(motion blur)なく、結果、空間解像度を損なうことなく得ることができる観察装置を提供することを目的とする。
【解決手段】観察装置1は、光源部10、第1変調器20、第2変調器30、レンズ40、ビームスプリッタ41、光検出器46および演算部50を備える。レンズ40は、移動している対象物2で生じた蛍光を入力して対象物2のフーリエ変換像を形成する。光検出器46は、レンズ40を経て受光面上の各位置に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータのv方向についての総和を表すデータを、u方向の各位置について各時刻に出力する。演算部50は、光検出器46の出力に基づいて対象物2の像を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の蛍光像を観察する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞やガラス体等の無色透明な対象物(位相物体)は、その対象物に光が照射されたときに生じる透過光の強度分布(振幅像)に基づいて観察することが困難であるから、内因性または外因性の蛍光物質を励起光で照明し、対象物で生じた蛍光像を観察する。内因性の蛍光物質からの蛍光としては、たとえば自家蛍光が挙げられる。外因性の蛍光物質からの蛍光としては、たとえば対象物に標識した蛍光物質からの蛍光が挙げられる。このような対象物の蛍光像を観察する装置として蛍光顕微鏡が知られている。しかし、蛍光顕微鏡を用いて移動する対象物の蛍光像を得る場合、その撮影速度および画質が制約されるという問題がある。
【0003】
移動する対象物の蛍光像を観察する技術として、特許文献1や非特許文献1に記載されたTime Delay Integration(TDI)方式を用いたものが知られている。このTDI方式に拠る観察装置では、対象物の像が、TDI方式を内蔵したカメラ(以後TDIカメラという)の受光面に結像され、その像の移動と、TDIカメラ内での電荷の移動(電荷の移動方向は、像の移動方向に一致)を完全に同期させることで、移動する対象物でもブレの無い多重露光画像を得ることができる。そのため、蛍光像の様な低照度の像であって、かつ高速に移動する対象物の像を鮮明に撮影することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−506919号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】H.-S. Yong, et al, "TDI charge coupled devices: Design andapplications,” IBM J. Res. Develop., Vol.36, No.1, 83-106, (1992).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や非特許文献1に記載されたTDI方式を用いた観察装置では、対象物の像の移動に同期して電荷を移動させる必要がある。同期が不完全であると、ぼけた画像が得られることになり、その結果、空間解像度を損ねるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、空間解像度を損なうことなく、移動に伴うぶれ(motion blur)を解消した蛍光像を得ることができる観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観察装置は、(1) 移動している対象物が有する蛍光物質を励起させ、該対象物から蛍光を生じさせる光を該対象物へ照射する光源部と、(2) 前記光源部による光照射により前記対象物から生じた蛍光のうち所定平面に到達した光において対象物の移動に因るドップラーシフト効果が一定となる所定平面上の方向を第1方向とし、この第1方向に直交する所定平面上の方向を第2方向としたときに、所定平面上の各位置に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータの第2方向についての総和を表すデータを第1方向の各位置について各時刻に出力する検出部と、(3)所定平面上の第1方向の位置および時刻を変数とするデータについての時刻変数に関するフーリエ変換と、このフーリエ変換後のデータについての2次元フーリエ変換とを行って、この2次元フーリエ変換により得られたデータを対象物の像として得る演算部と、を備えることを特徴とする。ここで第1方向は、対象物の移動方向に垂直な方向であり、第2方向は対象物の移動方向に平行な方向である。
【0009】
本発明の観察装置では、移動している蛍光物質を有する対象物は、光源部により励起光が照射されて、蛍光を発生させる。その蛍光の散乱光は、散乱方向に応じた量のドップラーシフトを受ける。その蛍光の散乱光は、検出部により受光される。所定平面に到達した光において対象物の移動に因るドップラーシフト効果が一定となる所定平面上の方向を第1方向とし、この第1方向に直交する所定平面上の方向を第2方向とする。光学系を経て所定平面上の各位置に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータの第2方向についての総和を表すデータが、第1方向の各位置について各時刻に検出部から出力される。演算部では、所定平面上の第1方向の位置および時刻を変数とするデータについての時刻変数に関するフーリエ変換と、このフーリエ変換後のデータについての2次元フーリエ変換とが行われて、この2次元フーリエ変換により得られたデータが対象物の像として得られる。
【0010】
検出部は、(a) 光源部から出力された光により対象物から生じた蛍光を入力して、その入力した蛍光を対象物の後段にて2分割して第1の光および第2の光とし、第2の光を変調器で変調した後に、所定平面上で第1の光と当該変調後の第2の光とをヘテロダイン干渉させる光学系と、(b)所定平面に受光面を有し該受光面において第1方向に画素構造を有する光検出器と、を含む。
【0011】
演算部は、時刻変数に関する1次元フーリエ変換を行う第1フーリエ変換部と、2次元フーリエ変換を行う第2フーリエ変換部と、を備え、第2フーリエ変換部は、周波数に関する1次元フーリエ変換を行う第3フーリエ変換部と、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う第4フーリエ変換部と、を備えるものであってもよい。
【0012】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズの第1方向における後焦点面であって、レンズの第2方向における後焦点面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0013】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0014】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0015】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0016】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第4フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置され、レンズは、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行うものであってもよい。
【0017】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第4フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置され、レンズは、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行うものであってもよい。
【0018】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第4フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置され、レンズは、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行うものであってもよい。
【0019】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物のフレネル回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0020】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物のフレネル回折像が形成される面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0021】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物のフレネル回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0022】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物のフレネル回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第4フーリエ変換部、第3フーリエ変換部、第4フーリエ変換部の順に配置されるものであってもよい。
【0023】
本発明の観察装置は、移動している対象物が有する蛍光物質を励起させ、該対象物から蛍光を生じさせる光を該対象物へ照射する光源部と、光源部による光照射により対象物から生じた蛍光のうち所定平面に到達した光において対象物の移動に因るドップラーシフト効果が一定となる所定平面上の方向であって、対象物の移動方向に垂直な方向を第1方向とし、この第1方向に直交する所定平面上の方向であって、対象物の移動方向に平行な方向を第2方向としたときに、所定平面上の各位置に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータの、第2方向についての総和を表すデータを、第1方向の各位置について各時刻に出力する検出部と、所定平面上の第1方向の位置および時刻を変数とするデータについて、時刻変数に関する1次元フーリエ変換、周波数に関する1次元フーリエ変換、および第1方向に関する1次元フーリエ変換を行って、これらの1次元フーリエ変換により得られたデータを対象物の像として得る演算部と、を備え、検出部が、光源部から出力された光により対象物から生じた蛍光を入力して、その入力した蛍光を対象物の後段にて2分割して第1の光および第2の光とし、第2の光を変調器で変調した後に、所定平面上で第1の光と当該変調後の第2の光とをヘテロダイン干渉させる光学系と、所定平面に受光面を有し該受光面において第1方向に画素構造を有する光検出器と、を含む。
【0024】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部の順に配置され、レンズは、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う作用を含むものであってもよい。
【0025】
本発明の観察装置では、光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部の順に配置され、レンズは、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う作用を含むものであってもよい。
【0026】
光源部と検出部の間に配置されるレンズを更に備え、検出部の受光面は、レンズにより第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、光源部、レンズ、検出部、第1フーリエ変換部、第3フーリエ変換部の順に配置され、レンズは、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う作用を含むものであってもよい。
【0027】
本発明の観察装置では、演算部は、時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータに含まれる初期位相を補正する初期位相補正部を更に備えるものであってもよい。
【0028】
本発明の観察装置では、検出部は、複数存在し、演算部は、複数の検出部からの出力の総和を求める出力総和器を更に備えるものであってもよい。
【0029】
本発明の観察装置は、第2方向に関するフーリエ変換またはフレネル変換を行う第2方向変換部を更に備えるものであってもよい。
【0030】
本発明の観察装置では、演算部が、フーリエ変換により得られたデータのうち、第1変調周波数と第2変調周波数との差周波数を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて2次元フーリエ変換を行うこととしてもよい。
【0031】
本発明の観察装置では、演算部が、時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、第1変調周波数と第2変調周波数との差周波数を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、周波数に関する1次元フーリエ変換、および第1方向に関する1次元フーリエ変換を行うこととしてもよい。
【0032】
本発明の観察装置では、変調器は、一つの変調器として構成され、演算部が、時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、一つの変調器における変調周波数または該変調周波数の倍波を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、2次元フーリエ変換を行うこととしてもよい。
【0033】
本発明の観察装置では、変調器は、一つの変調器として構成され、演算部が、時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、一つの変調器における変調周波数または該変調周波数の倍波を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、周波数に関する1次元フーリエ変換、および第1方向に関する1次元フーリエ変換を行うこととしてもよい。
【0034】
本発明の観察装置は、対象物の移動速度を検出する速度検出部を更に備えてもよい。この場合、演算部は、速度検出部により検出された対象物の速度に基づいて、時間方向の1次元フーリエ変換または2次元フーリエ変換の際に対象物の速度変化に関する補正を行うことができる。
【0035】
本発明の観察装置は、対象物への光の照射が、透過照明の光学配置であってもよいし、反射照明の光学配置であってもよいし、限外照明の光学配置であってもよい。本発明の観察装置は、光源部が、単一縦モードの光を生成する光源であってもよいし、広帯域の光を生成する光源であってもよく、後者の場合にはモードロックレーザーであってもよい。
【0036】
本発明の観察装置では、検出器は、受光面の前面に配置され、光源部からの光を遮断し、対象物から生じた蛍光を透過するフィルタを更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、空間解像度を損なうことなく、移動に伴うぶれ(motion blur)を解消した蛍光像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態の観察装置による対象物の蛍光像の取得の原理を説明する図である。
【図2】対象物で生じる蛍光の散乱光の散乱方向を説明する図である。
【図3】対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達する位置を説明する図である。
【図4】対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達する位置を更に説明する図である。
【図5】対象物が移動する場合に対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達する位置を説明する図である。
【図6】対象物が移動する場合に対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達するまでの光路長の変化を説明する図である。
【図7】対象物で生じる蛍光の散乱光の散乱方向単位ベクトルと移動する対象物の速度ベクトルの成す角度を説明する図である。
【図8】本実施形態の観察装置1の構成を示す図である。
【図9】本実施形態の観察装置1の詳細な構成を示す図である。
【図10】本実施形態の観察装置1における対象物2,レンズ40および光検出器46の間の配置の関係を説明する図である。
【図11】本実施形態の観察装置1に含まれるレンズ40の構成例を示す図である。
【図12】本実施形態の観察装置1において第1配置例を採用した場合にuv平面上で観測される信号を模式的に示す図である。
【図13】本実施形態の観察装置1において第1配置例を採用した場合であって変調器20,30による周波数シフトがない場合(Ω=0)にuv平面上で観測される信号を模式的に示す図である。
【図14】本実施形態の観察装置1において第1配置例を採用した場合に、各uについてv方向に平行な直線上の信号h〜hの総和を表す信号s(u,t)を得る操作を模式的に示す図である。
【図15】第1配置例における光検出部46および演算部50の構成を示すブロック図である。
【図16】本実施形態の観察装置1において第2配置例を採用した場合にu'v'平面上で観測される信号を模式的に示す図である。
【図17】第2配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図18】第2配置例におけるレンズ40、光検出部46および演算部50の構成を示すブロック図である。
【図19】第3配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図20】第3配置例における光検出部46および演算部50の構成を示すブロック図である。
【図21】第4配置例の演算部50による演算の模式図である。
【図22】第4配置例における光検出部46および演算部50の構成を示すブロック図である。
【図23】第5配置例の演算部50による演算の模式図である。
【図24】第5配置例における光検出部46および演算部50の構成を示すブロック図である。
【図25】第6配置例の演算部50による演算の模式図である。
【図26】第6配置例における光検出部46および演算部50の構成を示すブロック図である。
【図27】第7配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図28】第8配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図29】第9配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図30】第10配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図31】第11配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図32】第12配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図33】第13配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図34】第14配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図35】第15配置例におけるレンズ40の構成例を示す図である。
【図36】第1〜第15配置例における演算器構成の概略を示すブロック図である。
【図37】第16配置例における演算器構成の概略を示すブロック図である。
【図38】第16配置例における演算器構成の概略の変形例を示すブロック図である。
【図39】第16配置例における演算器構成の概略の変形例を示すブロック図である。
【図40】第16配置例における演算器構成の概略の変形例を示すブロック図である。
【図41】第16配置例における演算器構成の概略の変形例を示すブロック図である。
【図42】第16配置例における時間波形s(m)(u,t)を示すグラフである。
【図43】第16配置例における時間波形S(m)(u,ω)を示すグラフである。
【図44】第18配置例における演算器構成の概略の変形例を示すブロック図である。
【図45】第17〜19配置例の変形例の構成を示すブロック図である。
【図46】第17〜19配置例の変形例の構成を示すブロック図である。
【図47】第20配置例におけるレンズ構成を示す図である。
【図48】第21配置例における観察装置1の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0040】
本実施形態の観察装置は、移動している対象物に光が照射された際に生じるドップラーシフト効果を利用し、特に、対象物で生じた蛍光の散乱方向とドップラーシフト量との間に一定の関係が存在することを利用して、対象物の蛍光像を取得するものである。初めに、図1〜図7を用いて、本実施形態の観察装置による対象物の蛍光像の取得について原理的な事項について説明する。
【0041】
図1は、本実施形態の観察装置による対象物の蛍光像の取得の原理を説明する図である。この図には、ξη座標系,xy座標系およびuv座標系が示されている。ξ軸,η軸,x軸,y軸,u軸およびv軸は、何れもレンズ40の光軸に垂直である。ξ軸,x軸およびu軸は、互いに平行である。η軸,y軸およびv軸は、互いに平行である。観察対象である対象物2はξη平面上に存在する。レンズ40はxy平面上に存在する。また、レンズ40の後焦点面はuv平面と一致する。ξη平面とxy平面との間の距離はdである。xy平面とuv平面との間の距離はレンズ40の焦点距離fと一致する。
【0042】
対象物2は蛍光物質を有しており、ξη平面上で−η方向に移動しているものとする。ξη平面に垂直なζ方向に進む光L0が対象物2に照射されるとする。ここで、光L0は、対象物2が有する蛍光物質を励起する励起光である。この光L0は例えば平面波である。対象物2に光L0が照射されることにより対象物2が有する蛍光物質が励起され、対象物から蛍光を生じさせる。この蛍光は様々な方向に進む散乱光となる。この蛍光の散乱光L〜Lは、対象物2の移動によりドップラーシフトを受ける。対象物2の移動方向と同じ方向に散乱方向ベクトル成分を有する蛍光の散乱光Lは、光周波数が高くなる。対象物2の移動方向に散乱方向ベクトル成分を有しない散乱光Lは、光周波数が変化しない。対象物2の移動方向と逆の方向に散乱方向ベクトル成分を有する蛍光の散乱光Lは、光周波数が低くなる。これらの散乱光L〜Lは、レンズ40を経てuv平面に到達する。
【0043】
図2は、対象物で生じる蛍光の散乱光(以下、単に散乱光ともいう。)の散乱方向を説明する図である。対象物2で生じる散乱光の散乱方向を表現するには、仰角θおよび方位角φの2つの変数で記述する必要がある。対象物2内に仮想的に配置した点光源をξηζ座標系の原点とする。そして、その原点に位置する点光源からの散乱光の方向ベクトルとζ軸とがなす角度を仰角θとする。また、その散乱方向ベクトルのξη平面への投影ベクトルとξ軸とがなす角度を方位角φとする。
【0044】
図3は、対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達する位置を説明する図である。光L0が対象物2に照射されることにより生じる蛍光の散乱光は、対象物2内に仮想的に配置した点光源から発した光として扱うことができる。同図では、対象物2内に5個の仮想的な点光源が配置されている。これらの点光源は、レンズ40の前焦点面上だけでなく、レンズ40の前焦点面の前後にも存在する場合がある。
【0045】
これらの点光源から発した光のうち同じ仰角θおよび方位角φを有する散乱光L〜Lは、レンズ40の後焦点面上の一点Paに到達する。また、他の同じ仰角θおよび方位角φを有する散乱光L〜Lは、レンズ40の後焦点面上の他の一点Pbに到達する。なお、光線L,Lは、レンズ40の前焦点位置の点光源から発した光であるので、レンズ40以降ではレンズ40の光軸に平行に進む。光L0のうち対象物2により散乱されなかった光は、レンズ40の光軸に平行に進んでレンズ40に入射されるので、レンズ40の後焦点位置Poに集光される。
【0046】
対象物2がξη平面上で−η方向に移動している場合、ドップラーシフト効果により、点Paで観測される光周波数は元の光周波数fより小さく、点Pbで観測される光周波数は元の光周波数fより大きい。散乱角(仰角θ,方位角φ)がレンズ後焦点面上に展開されることから、レンズ後焦点面での像は角度スペクトルと呼ばれることがある。大きな仰角θを有する光線は、レンズ後焦点面上において中心点Poから遠い位置に集光される。まとめると、異なる仮想点光源であっても同じ散乱角を有する散乱光はレンズ後焦点面上で一点に集光される。
【0047】
図4は、対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達する位置を更に説明する図である。ここでは、対象物2中のレンズ前焦点面上に存在する異なる仮想点光源から、異なる散乱角で散乱光L〜Lが発するものとする。レンズ40の前焦点位置の仮想点光源から発した散乱光Lは、レンズ40以降ではレンズ40の光軸に平行に進み、レンズ40の後焦点面上の点Psを通過する。レンズ40の前焦点面上の或る仮想点光源から発した散乱光Lは、レンズ40の前焦点位置の仮想点光源から発した散乱光L4と散乱角が同じであるとすると、レンズ40の後焦点面上の点Psを通過する。レンズ40の前焦点位置の仮想点光源から発した散乱光Lは、Lとは散乱角が異なるため、レンズ40以降ではレンズ40の光軸に平行に進むが、点Psを通過しない。レンズ40の前焦点面上の他の或る仮想点光源から発した散乱光L3は、レンズ40の中心を通過するものとすると、レンズ40の入射の前後で進行方向が変わらない。結局、光線L〜Lは、レンズ後焦点面より更に後方の点Prに集光される。異なる散乱角を有する散乱光はレンズ後焦点面では1点で交わらない。
【0048】
図5は、対象物が移動する場合に対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達する位置を説明する図である。ここでは、各位置に移動した対象物2a〜2eが示されている。また、対象物2a〜2e中に仮想点光源が存在するものとする。対象物2a中の仮想点光源はレンズ前焦点位置に存在する。対象物2b,2c中の仮想点光源は、対象物2a中の仮想点光源の位置に対して上下に存在する。対象物2d,2e中の仮想点光源は、対象物2a中の仮想点光源の位置に対して前後に存在する。空間的に一様な光L0が対象物2a〜2eに照射されるので、対象物2a〜2e中の各点光源で発する散乱光の角度スペクトルの強度分布は一定である。すなわち、対象物2が移動したとしても、レンズ後焦点面における角度スペクトルの強度分布は一定である。
【0049】
対象物2が移動することによって光の位相が変化する。例えば、レンズ前焦点面上の対象物2b,2c中の各点光源で発した光L1b,L1cがレンズ後焦点面上の位置Paに到達するまでの光路長差は以下のようになる。対象物2b中の点光源で発した光L1bがレンズ40の入射面に達するまでの光路長と、対象物2c中の点光源で発した光L1cがレンズ40の入射面に達するまでの光路長とは、互いに等しい。しかし、レンズ40の肉厚差により、レンズ40の入射面から点Pに到達するまでの光L1b,L1cそれぞれの光路長は異なるものとなる。対象物2が等速移動することにより、この光路長差は時間的に直線的に変化する。
【0050】
図6は、対象物が移動する場合に対象物で生じる蛍光の散乱光がレンズの後焦点面に到達するまでの光路長の変化を説明する図である。ただし、ここでは、レンズ40を用いることなく無限遠方にて散乱光を観察する場合を想定する。対象物2がレンズ前焦点面上において対象物2b位置から対象物2c位置へ移動する場合、点Paで散乱光を観測する場合と無限遠方にて散乱光を観測する場合とは互いに等しい。
【0051】
対象物2がξη平面上で−η方向に移動しているとき、対象物2から発せられる散乱光が無限遠方のuv平面上の点Ppに達するまでの光路長の単位時間当たりの変化量ΔLは、下記(1)式で表される。ここで、eprは散乱方向単位ベクトルであり、vは対象物2の速度ベクトルである。この単位時間当たりの光路長変化量ΔLを用いると、位相差すなわち光周波数の変化量fは下記(2)式で表される。λは光の波長である。uv平面上の位置Ppで散乱光を観測する場合、対象物2が移動することにより、位置Ppに到達する散乱光の光路長が変化して光周波数が変化する。これがドップラーシフトの原因である。
【0052】
【数1】

【0053】
【数2】

【0054】
ドップラーシフトは、フーリエ変換の性質の一つである時間軸移動によっても説明することができる。対象物2の複素振幅をg(x)で表し、対象物2のフーリエ変換をG(k)で表す。対象物2が位置x0から位置(x0+x)へ移動したとき、移動後の対象物2のフーリエ変換G'(k)は下記(3)式で表される。この(3)式の右辺の指数関数内の項は位相を表している。対象物2が移動することにより、この位相が波数ベクトルkに比例して回転することから、周波数シフトが生じる。指数関数内の位相をφとすると、周波数シフトfは下記(4)式で表される。eprは波数ベクトルkの単位ベクトルである。vは位置xの時間微分すなわち対象物2の速度を表す。この(4)式は、前述した単位時間当たりの光路長変化から説明される周波数シフト式(2)と合致する。
【0055】
【数3】

【0056】
【数4】

【0057】
図7は、対象物で生じる蛍光の散乱光の散乱方向単位ベクトルと対象物2の速度ベクトルの成す角度を説明する図である。散乱方向単位ベクトルeprをηζ平面へ投影したベクトルとζ軸とがなす角度をθ'と表す。このとき、散乱方向単位ベクトルeprと対象物2の速度ベクトルvとがなす角度はθ'+π/2となる。このことから、(2)式または(4)式の右辺の散乱ベクトルと速度ベクトルとの内積は下記(5)式で表される。Vは対象物2の移動の速さである。レンズ40の開口数NAはsinθ'で定義されるので、ボケのない画像を得るためのナイキスト周波数fnyqは下記(6)式で表される。
【0058】
【数5】

【0059】
【数6】

【0060】
次に、具体的な数値を当てはめて、ドップラーシフトによる光周波数の変化量fを見積もる。現在市販されているフローサイトメーターにより対象物2が流れるものとして、対象物2の移動速度が1m/秒であるとする。対象物2に照射される光L0は、波長488nmのアルゴンレーザ光であるとする。光L0の励起光によって波長520nmの蛍光が励起されるとする。レンズ40は、NAが0.45であり、倍率が20倍相当であるとする。このようなレンズ40を使用する場合、速度ベクトルvに対する散乱角θ'の正弦の最大値は0.45をとる。したがって、最大ドップラーシフト周波数は、(5)式から860kHzと見積もられる。また、速度100μm/秒の場合であれば、最大86Hzのドップラーシフト周波数が観測される。
【0061】
散乱角θ'を有する散乱光は、焦点距離fのレンズ40により、uv平面上の下記(7)式で表される位置に到達する。したがって、(5)式,(7)式を用い、角度θ'が小さい場合に成り立つtanθ'≒sinθ' の近似の式を用いると、ドップラーシフト周波数fは、下記(8)式のようにv座標値の関数として表現され得る。なお、近似を用いない場合には、下記(9)式で表される。
【0062】
【数7】

【0063】
【数8】

【0064】
【数9】

【0065】
本実施形態の観察装置1は、以上に説明した原理に基づいて、対象物2の蛍光像を取得するものである。対象物2は、観察対象であり、FITC(fluorescein isothiocyanate)等の蛍光物質を含んでいる。この蛍光物質は波長488nmの光で励起され、波長520nmの蛍光を発するものである。図8は、本実施形態の観察装置1の構成を示す図である。本実施形態の観察装置1は、光源部10、照明用レンズ11、ビームスプリッタ12、第1変調器20、第1シグナルジェネレータ21、第1増幅器22、第2変調器30、第2シグナルジェネレータ31、第2増幅器32、レンズ40、ビームスプリッタ41、ミラー42、ミラー43、レンズ44、フィルタ45、光検出器46および演算部50を備える。レンズ40は、レンズ401およびレンズ402から構成される。図9は以上の観察装置1の構成をより詳細に示す図である。
【0066】
光源部10は、例えばアルゴンレーザ光源であり、対象物2が有する蛍光物質を励起する励起光を出力する励起光光源である。光源部10は、対象物2に波長488nmの励起光を照射し、対象物2の蛍光物質を励起して、波長520nmの蛍光(光周波数f)を生じさせる。ビームスプリッタ12は、レンズ401およびレンズ402の間に配置される。ビームスプリッタ12は、光源部10から出力された光により対象物から生じた蛍光を入力し、その入力した蛍光を対象物2の後段にて2分割して第1の光および第2の光とし、そのうちの第1の光をレンズ402を介してビームスプリッタ41へ出力し、第2の光を第1変調器20へ出力する。第1変調器20および第2変調器30それぞれは、例えば音響光学素子である。第1変調器20は、第1シグナルジェネレータ21から出力されて第1増幅器22により増幅された第1変調信号を与えられて、光源部10から出力された光を回折させ、その回折光を第2変調器30へ出力する。第2変調器30は、第2シグナルジェネレータ31から出力されて第2増幅器32により増幅された第2変調信号を与えられて、第1変調器20から出力された光を回折させ、その回折光をミラー42へ出力する。
【0067】
第1変調器20に与えられる第1変調信号および第2変調器30に与えられる第2変調信号の強度それぞれは例えば29dBmである。第1変調信号の周波数(第1変調周波数)と第2変調信号の周波数(第2変調周波数)とは僅かに異なる。例えば、第1変調周波数は40MHzであり、第2変調周波数は40.000010MHzであり、両者の周波数差は10Hzである。第1変調信号および第2変調信号それぞれは正弦波である。なお、第1シグナルジェネレータ21と第2シグナルジェネレータ31との間で同期を得るために、第1シグナルジェネレータ21と第2シグナルジェネレータ31との間は配線で接続されている。第1変調器20と第2変調器30が音響光学素子の場合、第1変調器によるm次回折光を、第2変調器30へ入力し、第2変調器30からn次回折光をミラー42へ出力する。m、nは整数であり、一般的にはm=+1、n=−1またはm=−1、n=+1の値をとる。この両者の場合、第1変調周波数40MHzと第2変調周波数40.000010MHzの差周波数の周波数Ω=10Hzだけ周波数遷移した光が、第2変調器30から出力されることになる。
【0068】
第1変調器20と第2変調器30を合わせて参照光変調器と呼べば、結局、参照光変調器は、光の周波数を周波数Ωだけ周波数遷移する役割を有するものであればよく、参照光変調器を構成する変調器は1つでもよいし、複数個でもよい。また参照光変調器に入力した光周波数fは、参照光変調器の作用により、その出力光は、周波数がΩだけ遷移したf+Ωの光が出射される。
【0069】
レンズ40は、レンズ11からの光照射により対象物2で生じた蛍光の散乱光を入力して対象物2のフーリエ変換像を形成する。図11はレンズ40の構成を示している。レンズ40は、図11に示すようにレンズ401およびレンズ402から構成され、レンズ401とレンズ402の間にビームスプリッタ12が配置される。なお図11における点線は結像の様子を表す。
【0070】
図11に示すように、レンズ401の後焦点面では、物体のフランフォーファー回折像を得る。レンズ401の後焦点面におけるフランフォーファー回折像の中心にはドップラー効果を受けなかった光またはドップラー効果が小さかった光が現れる。このフランフォーファー回折像における像の中心に集まる光は0次光と呼ばれる。0次光および0次光とみなせる蛍光は、対象物2で生じた蛍光のうち、ドップラー効果を受けなかった光またはドップラー効果が小さかった光である。本明細書では、これらの光を略0次光と称する。略0次光とは、散乱方向の単位ベクトルeprと対象物2の速度ベクトルvが略直交するとき、上記(2)式に示されるドップラーシフト周波数fがほぼ0となる散乱方向単位ベクトルeprを持つ蛍光のことである。
【0071】
すなわち、対象物2で生じた蛍光のうち略0次光のドップラーシフト周波数fは略0である。ビームスプリッタ12は、レンズ401の後焦点面に配置されており、対象物2で生じた蛍光から略0次光を抜き出す。ビームスプリッタ12は,レンズ401から出力された光を2分し,その一方を第1の光としてレンズ402へ出力する。他方、ビームスプリッタ12は、図9に示すように、反射した略0次光を第2の光として、レンズ60、レンズ61,ピンホール62,およびミラー63を介して第1変調器20に導く。
【0072】
レンズ60の前焦点面は、レンズ401の後焦点面(u−v面)に一致する。レンズ60は,ビームスプリッタ12から出力された略0次光を平行光として出力する。レンズ60より出力される平行光は、レンズ61によりビーム径が拡大縮小される。レンズ61は、レンズ501およびレンズ502の2枚のレンズからなる、いわゆる4f光学系を示す。4f光学系とはレンズ501の後焦点面とレンズ502の前焦点面が一致し、レンズ501の前焦点面の像がレンズ502の後焦点面に結像する光学系である。
【0073】
また、レンズ501の後焦点面には、ピンホール62が配置されている。ピンホール62は、その大きさを変更することにより、前記ビームスプリッタ12が抜き出す略0次光における0次光成分の純度を調整することができる。ピンホール径が小さい場合には0次光成分の純度が高まり、ピンホール径が大きい場合には0次光成分の純度は低下する.第2の光は、レンズ61とピンホール62によりビーム径と、0次光成分の純度が調整された後、ミラー63を介して第1変調器に入力される。
【0074】
レンズ11は、光源部10から出力された光を平行光とし、この平行光を対象物2へ照射する。レンズ44は、第2変調器30から出力されてミラー42,43により順次に反射された光を平行光として、これをビームスプリッタ41へ出力する。レンズ44は、レンズ503,レンズ504から構成されており、それらは4f光学系の構成を取る。レンズ44により所望のビーム径に調整されたあと、ビームスプリッタ41に入力される。
【0075】
ビームスプリッタ41は、レンズ40およびレンズ44それぞれから到達した光を光検出器46の受光面へ入射させて、両光を受光面上でヘテロダイン干渉させる。つまり、光源部10から出力された励起光により対象物2から生じた蛍光をビームスプリッタ12が入力して、その入力した光をビームスプリッタ12が2分割して第1の光および第2の光とし、当該第2の光が変調器20、30で変調された後に、ビームスプリッタ41が所定平面上で第1の光と当該変調後の第2の光とをヘテロダイン干渉させる。
【0076】
光検出器46の受光面の前にはフィルタ45が設けられている。フィルタ45は、光源部10から出力される光を遮断し、対象物2において生じる蛍光を透過する光学フィルタである。具体的には、フィルタ45は、波長448nm付近の光を遮断し、波長520nm付近の光を透過する。フィルタ45により、光検出器46の受光面には対象物2から生じた蛍光のみが入射する。第2変調器30から出力されて光検出器46の受光面に入射される光の周波数は、f+Ωとなる。観察装置1の場合,周波数Ωは、第1変調周波数と第2変調周波数との差周波数である。
【0077】
対象物2はξη平面上で−η方向に移動しているものとすると、レンズ40を経て光検出器46の受光面に到達した光において対象物2の移動に因るドップラーシフト周波数が一定となる第1方向は、ξ軸に平行なu方向である。すなわち、第1方向は、対象物2の移動方向に垂直な方向である。この第1方向に直交する受光面上の第2方向は、η軸に平行なv方向である。すなわち、第2方向は、対象物2の移動方向に平行な方向である。光検出器46は、レンズ40を経て受光面上の各位置に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータの第2方向(v方向)についての総和を表すデータを、第1方向(u方向)の各位置について各時刻に出力することができる。
【0078】
光検出器46は、第1方向(u方向)に画素構造を有するのが好適であり、また、各画素の光感応領域の形状が第2方向(v方向)に長尺であるのが好適である。光検出器46の受光面は、レンズ40の第1方向における後焦点面であって、レンズ40の第2方向における後焦点面に一致していてもよいし(後述する第1配置例)、レンズ40により第1方向において対象物2の像が形成される像面(結像面)であって、第2方向において対象物2の像が形成される像面に一致していてもよいし(第2,5配置例)、また、第1方向および第2方向ともにレンズ40の前段または後段の光軸に垂直な任意の面(フレネル回折面)に一致していてもよい(第3,6配置例)。
【0079】
さらに、光検出器46の受光面は、レンズ40により第1方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置されてもよいし(第7配置例)、また、レンズ40により第1方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面に配置されてもよいし(第8配置例)、また、レンズ40により第1方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置されてもよい(第9配置例)。
【0080】
さらに、光検出器46の受光面は、レンズ40により第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置されてもよいし(第10配置例)、また、レンズ40により第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面に配置されてもよいし(第11配置例)、また、レンズ40により第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置されてもよい(第12配置例)。
【0081】
加えて、光検出器46の受光面は、レンズ40により第1方向において対象物のフレネル回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置されてもよいし(第13配置例)、また、レンズ40により第1方向において対象物のフレネル回折像が形成される面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面に配置されてもよいし(第14配置例)、また、レンズ40により第1方向において対象物のフレネル回折像が形成される面であって、第2方向において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置されてもよい(第15配置例)。
【0082】
演算部50は、光検出器46から出力された受光面上の第1方向(u方向)の位置および時刻を変数とするデータについて所定の演算を行って対象物2の像を得る。この演算を行うために、演算部50は、時刻変数に関する1次元フーリエ変換を行う第1フーリエ変換部51と、2次元フーリエ変換を行う第2フーリエ変換部52とを備える。また、第2フーリエ変換部52は、周波数に関する1次元フーリエ変換を行う第3フーリエ変換部53と、第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う第4フーリエ変換部54とを備える。詳細な演算内容については後述する。
【0083】
図10は、本実施形態の観察装置1における対象物2,レンズ40および光検出器46の間の配置の関係を説明する図である。同図(a)はη方向に見た図であり、同図(b)はξ方向に見た図である。同図では、レンズ40の前焦点位置に原点を有するξη座標系、レンズ40の中心に原点を有するxy座標系、レンズ40の後焦点位置に原点を有するuv座標系、レンズ40による結像面中心位置に原点を有するu'v'座標系、および、レンズ40の光軸上の任意位置に原点を有するu"v"座標系、が示されている。第1配置例では光検出器46の受光面はuv平面に一致し、第2配置例では光検出器46の受光面はu'v'平面に一致し、また、第3配置例では光検出器46の受光面はu"v"平面に一致する。
【0084】
同図(b)に示されるように、対象物2中の仮想点光源g〜gで同じ角度で発生した光線L〜Lは、レンズ後焦点面であるuv平面上の一点aで交わり、やがて発散していき、レンズ結像面であるu'v'平面上の点h,g,fに到達する。これらの光線L〜Lは、同じ散乱角θ'を有することから、同じ量のドップラーシフトを受ける。
【0085】
第1配置例および第2配置例それぞれの場合に光検出器46により受光される信号の相違について説明すると以下のとおりである。第1配置例では、周波数シフトがv方向に規則正しく観測され、v方向の位置と周波数シフト量との間には1対1の対応関係が存在する。これに対して、第2配置例では、周波数シフトがv'方向に規則正しく配置されず、v'方向の位置と周波数シフト量との間には1対1の対応関係が存在しない。
【0086】
ここで、第2配置例においてv'方向に不規則に配置された周波数シフト量を順序正しくする(すなわち、第1配置例で光検出器46の受光面で観測されるような順序にする)には,u'v'平面上の点f,g,hで観測される波形を合波(和算)した後にフーリエ変換を施せばよく、このようにすることにより、その周波数軸が線形となり、かつその振幅および位相が得られる。
【0087】
このことは、光検出器46の受光面においても規則正しく周波数シフトがv方向に並んでいる第1配置例において図14中のグラフに示されるようにv方向に波形h,h,hを和算した後にフーリエ変換により各周波数における振幅および位相が得られることと同じである。別の説明をすれば、対象物2によりドップラーシフトを受けた散乱光をカバーするだけの大きさの受光面を光検出器46が有していれば、どの位置に配置された光検出器46により受光しようとも得られる信号は変わらず、かつ、周波数にエンコードされているので、第1配置例の光検出器46の受光面で得られる分布を回復することが可能である。
【0088】
一方、同図(a)に示されるように、u方向に関してはドップラーシフトを受けないことから、u方向に信号を積分しても、演算等により分布を回復することはできない。以上のことから、光検出器46は、u方向には画素構造を有する必要があるが、v方向には画素構造を有する必要がない。
【0089】
以下では、本実施形態の観察装置1において第1〜第15配置例それぞれを採用した場合の演算部50の演算内容について説明する。
【0090】
(第1配置例)
第1配置例では、光検出器46の受光面はレンズ40の第1方向における後焦点面であってレンズ40の第2方向における後焦点面(uv平面)に配置される。このとき、ξη平面上の対象物2の複素振幅像g(ξ,η)に対し、レンズ40によるフーリエ変換作用によりuv平面上に得られる対象物2の像は下記(10)式で表される。(10)式は、対象物2のフーリエ変換像G(u,v)の項を含み、d=fの条件ときに完全にG(u,v)と一致する。
【0091】
【数10】

【0092】
図8および図9に示される本実施形態の観察装置1の構成において、対象物2でドップラーシフトを受けてレンズ40を経た散乱光(光周波数f−f)と、第1変調器20および第2変調器30により光周波数fからΩだけ周波数遷移した参照光(光周波数f+Ω)とが、ビームスプリッタ41を経て、レンズ40の後焦点面であるuv平面(光検出器46の受光面)に到達する。そのuv平面上において両光がヘテロダイン干渉することにより、uv平面上の各位置において、散乱光および参照光それぞれの光周波数の差周波数(Ω+f)を有するビート信号が観測される。ドップラーシフトによる散乱光の光周波数変化量fは、上記(8)式のようにv座標値の関数として表現され得る。なお、観察装置1における各光学部品は、散乱光と参照光との干渉性を高めるために、散乱光の光路と参照光の光路とが等しくなるように配置されている。
【0093】
図12は、本実施形態の観察装置1において第1配置例を採用した場合にuv平面上で観測される信号を模式的に示す図である。この図には、uv平面上で各u(n=1〜N)についてv方向に平行な直線上の位置v,v,vそれぞれにおける信号の時間波形が模式的に示されている。対象物2がξη平面上で−η方向に移動しているので、uv平面上においてv座標値vが正である位置(u,v)ではΩより低い周波数(Ω−|f|)の信号hが得られる。uv平面上においてv座標値v2が0である位置(u,v)では周波数Ωの信号hが得られる。また、uv平面上においてv座標値vが負である位置(u,v)ではΩより高い周波数(Ω+|f|)の信号hが得られる。
【0094】
参考として示す図13は、本実施形態の観察装置1において第1配置例を採用した場合であって変調器20,30による周波数シフトがない場合(Ω=0)にuv平面上で観測される信号を模式的に示す図である。この場合には、uv平面上においてv座標値vが0である位置(u,v)ではDC信号h3が得られる。uv平面上においてv座標値の絶対値が同じで符号が異なる2つの位置(u,v),(u,v)では、周波数|f|が同じであるが位相がπだけ相違する信号h,hが得られる。同様に、uv平面上においてv座標値の絶対値が同じで符号が異なる2つの位置(u,v),(u,v)では、周波数|f|が同じであるが位相がπだけ相違する信号h,hが得られる。
【0095】
本実施形態の観察装置1において第1配置例を採用した場合、レンズ後焦点面であるuv平面上の位置(u,v)で観測される信号hは、周波数Ω+f=Ω−(V/λf)vを有する。すなわち、位置(u,v)で観測される信号hはv座標値によって異なる周波数を有する。v座標値と周波数とは1対1に対応している。したがって、任意のuについて、v方向に平行な直線上の信号h〜hの総和を表す信号s(u,t)が得られれば、この信号s(u,t)を周波数解析することにより、各位置(u,v)における信号(振幅,位相)を特定することができる。
【0096】
図14は、本実施形態の観察装置1において第1配置例を採用した場合に、各uについてv方向に平行な直線上の信号h〜hの総和を表す信号s(u,t)を得る操作を模式的に示す図である。この図において、記号Σは、信号h〜hの総和を求める演算を示す。任意のu座標値についてv方向に平行な直線上の信号h(v)の総和を表す信号s(u,t)は下記(11)式で表される。ここで、G(u,v)はuv平面上に得られる対象物2のフーリエ変換像(複素振幅)である。記号∠は複素振幅の位相を表す。φは、散乱光、参照光の光学的条件に起因する初期位相を表す。Aは散乱光および参照光の強度ムラを表す。tは時刻変数である。なお、直流成分の項は省略した。
【0097】
【数11】

【0098】
前述したように、光検出器46として、u方向に画素e〜eが配列された画素構造を有し、各uに対応する画素eの光感応領域の形状がv方向に長尺であるものが好適に用いられる。このような光検出器46の画素eから出力される信号は、上記(11)式で表される信号s(u,t)に相当する。
【0099】
上記(11)式を複素表示すると下記(12)式で表される。ωは、ドップラーシフト周波数fを角周波数表記したものであり、ω=2πfである。v=aωであり、a=λf/(2πV) である。(12)式では、A,φを省略した。以後の数式ではA,φを省略する。
【0100】
【数12】

【0101】
この(12)式の右辺において、積分記号の前の指数関数exp(iΩt)は、積分記号以降の関数が周波数Ωで変調されることを意味する。具体的には周波数領域において周波数Ωだけ周波数遷移が生じることを意味する。また、(12)式の積分記号は、変数vまたはωに関する複素振幅G(u,v)の逆フーリエ変換を示している。
【0102】
時刻変数tに関する信号s(u,t)の1次元フーリエ変換は下記(13)式で表される。この(13)式の最右辺は、対象物2の複素振幅像g(ξ,η)に対する2次元フーリエ変換像G(u,v)において周波数Δv=aΩだけ周波数シフトした信号を表している。
【0103】
【数13】

【0104】
次に、信号s(u,t)のデータを時刻変数tに関して1次元フーリエ変換(上記(13)式)して得られたデータから周波数Ω=10Hzを中心とする一定範囲を切り出す。このとき切り出す一定範囲は、周波数Ωを中心として、上記(6)式で示されるナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域である。この切り出し作業により、(14)式に示されるG(u,v)が得られる。
【0105】
【数14】

【0106】
続いて、下記(15)式に示すように、複素振幅像G(u,v)を2次元フーリエ変換して対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る。
【0107】
【数15】

【0108】
本実施形態の観察装置1の構成において、光検出器46の受光面はレンズ40の第1方向における後焦点面であってレンズ40の第2方向における後焦点面(uv平面)に配置される。第1配置例では、演算部50は以上のような演算処理を行って対象物2の像を得る。すなわち、演算部50は、uv平面上の位置uおよび時刻tを変数とする信号s(u,t)のデータを取得し、この信号s(u,t)のデータについて時刻変数tに関する1次元フーリエ変換を行い(上記(13)式)、この1次元フーリエ変換で得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出し(上記(14)式)、この切り出したデータについて2次元フーリエ変換を行って(上記(15)式)、対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0109】
図15は、以上のような演算処理を行う第1配置例における光検出部46および演算部50の構成を示す図である。演算部50は、第1フーリエ変換部51と、第2フーリエ変換部52と、特定領域切出部55と、を備える。第2フーリエ変換部52は、第3フーリエ変換部53と、第4フーリエ変換部54とを含む。第1フーリエ変換部51は、uv平面上の位置uおよび時刻tを変数とする信号s(u,t)のデータについて時刻変数tに関する1次元フーリエ変換(上記(13)式)を行う。特定領域切出部55は、この1次元フーリエ変換で得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出す(上記(14)式)。第3フーリエ変換部53は、この切り出したデータについて時間周波数ωに関する1次元フーリエ変換(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)を行う。第4フーリエ変換部54は、変数uに関するフーリエ変換(上記(15)式の変数uに関するフーリエ変換)を行う。フーリエ変換部に着目すると、第1配置例では、演算部50が第1フーリエ変換部51、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。なお、第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第1フーリエ変換部51と第3フーリエ変換部53との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。このような演算部50を用いて信号s(u,t)に対して演算を行うことにより対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0110】
なお、第1配置例では、光検出器46の受光面は、レンズ40の後焦点面と同等の面に配置されればよいので、対象物2から十分遠方であってフラウンフォーファー回折と見做し得る領域内の平面に配置されてもよい。
【0111】
ここで、信号s(u,t)のデータを得るには、光検出器46は、2次元の画素構造を有するものでなくてもよく、1次元の画素構造を有するものであればよい。したがって、本実施形態の観察装置1は、1次元の画素構造を有して1画素当りの読出し速度が低速である光検出器46を用いる場合であっても移動している対象物2の蛍光像を高感度に得ることができる。また、空間解像度を損なうことなく、移動に伴うぶれ(motion blur)を解消した蛍光像を得ることができる。
【0112】
また、光検出器46として、検出光の変調周波数を素子内で直接算出可能なチップ内演算機能カメラ(例えば、ビジョンチップやプロファイルセンサー)を利用することも可能である。このとき、変調周波数に対応した画像が直接得られるため、図1に示した画像を実時間表示することも可能となる。さらに、上記のチップ内演算機能カメラを用いれば、速度の再構成画像を検出器から直接出力することも可能である。
【0113】
(第2配置例)
次に、第2配置例について説明する。第2配置例では、図17に示すように、光検出器46の受光面はレンズ40により第1方向において対象物2の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物2の像が形成される結像面(u'v'平面)に配置される。図10に示されるように、レンズ40による結像面(u'v'平面)上の点hに到達する光線L〜Lは、対象物2内の共通の仮想点光源gから発したものである。これら光線L〜Lは、仮想点光源gから発する際の散乱角θ'が互いに異なるので、ドップラーシフト周波数fも互いに異なる。
【0114】
図16は、本実施形態の観察装置1において第2配置例を採用した場合にu'v'平面上で観測される信号を模式的に示す図である。第2配置例では、u'v'平面上の各点に種々の周波数を有する散乱光が入射する。したがって、同図左に示されるように、u'v'平面上の各点において散乱光と参照光とがヘテロダイン干渉して得られるビート信号h(u',v')は、種々の周波数成分を含むものとなる。u'v'平面上の位置(u',v')で観測される信号をh10と表し、位置(u',v')で観測される信号をh11と表し、位置(u',v')で観測される信号をh12と表す。また、任意のu'についてv'方向に平行な直線上の信号h10〜h12の総和を表す信号をs(u',t)と表す(同図中央)。
【0115】
時刻変数tに関して信号s(u',t)を1次元フーリエ変換すると、同図右に示されるように、第1配置例の場合のレンズ後焦点面(uv平面)でv方向に沿った周波数分布と同様のものが得られる。すなわち、u'v'平面上における不規則な周波数分布(同図左)が、時刻変数tに関する信号s(u',t)の1次元フーリエ変換により、規則的な周波数分布(同図右)に変換される。第2配置例では、光検出器46の受光面がレンズ40による結像面(u'v'平面)に配置されるので、信号s(u',t)を変数u'に関してもフーリエ変換することで、uv平面と同じ分布を得ることができる。u'方向に関して詳しく説明すれば、図17のレンズ404による光学的なフーリエ変換と、演算部50による逆フーリエ変換により、結果、u'方向にはフーリエ変換が行われていない事であり、結果、第1配置例のu方向に関する分布を得る。
【0116】
すなわち、下記(16)式により、対象物2の複素振幅像g(ξ,η)に対する2次元フーリエ変換像G(u,Δv+v)を得ることができる。このフーリエ変換像G(u,Δv+v)は第1配置例の場合と同様のものであるから、以降は第1配置例の場合と同様の演算処理をすることにより対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得ることができる。
【0117】
【数16】

【0118】
本実施形態の観察装置1の構成において、光検出器46の受光面がレンズ40により第1方向において対象物2の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物2の像が形成される結像面(u'v'平面)に配置される第2配置例では、演算部50は以上のような演算処理を行って対象物2の像を得る。すなわち、演算部50は、u'v'平面上の位置u'および時刻tを変数とする信号s(u',t)のデータを取得し、この信号s(u',t)のデータについて変数u'および時刻変数tに関するフーリエ変換を行い(上記(16)式)、このフーリエ変換で得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出し(上記(14)式)、この切り出したデータについて2次元フーリエ変換を行って(上記(15)式)、対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0119】
図18は、以上のような演算処理を行う第2配置例におけるレンズ40、光検出部46および演算部50の構成を示す図である。演算部50は、第1フーリエ変換部51と、第2フーリエ変換部52と、第4フーリエ変換部54と、特定領域切出部55と、を備える。第2フーリエ変換部52は、第3フーリエ変換部53と、第4フーリエ変換部54とを含む。第1フーリエ変換部51は、レンズ40により光学的にフーリエ変換されたu'v'平面上の位置u'および時刻tを変数とする信号s(u',t)のデータについて時刻変数tに関するフーリエ変換(上記(16)式の時刻変数tに関するフーリエ変換)を行う。第1フーリエ変換部51の後段に配置される第4フーリエ変換部54は、このフーリエ変換で得られたデータについて変数u'に関するフーリエ変換(上記(16)式の変数u'に関するフーリエ変換)を行う。特定領域切出部55は、このフーリエ変換で得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出す(上記(14)式)。第3フーリエ変換部53は、この切り出したデータについて時間周波数ωに関する1次元フーリエ変換(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)を行う。第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54は、変数uに関するフーリエ変換(上記(15)式の変数uに関するフーリエ変換)を行う。フーリエ変換部に着目すると、第2配置例では、演算部50が第1フーリエ変換部51、第4フーリエ変換部54、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。なお、第1フーリエ変換部51の後段に配置される第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第3フーリエ変換部53と第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。また、第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第1フーリエ変換部51の後段に配置される第4フーリエ変換部54と第3フーリエ変換部53との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。このような演算部50を用いて信号s(u',t)に対して演算を行うことにより対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0120】
(第3配置例)
次に、第3配置例について説明する。第3配置例では、図19に示すレンズ構成が用いられる。図19に示すように、第3配置例では、レンズ405の後焦点面に略0次光を2分するようにビームスプリッタ12が配置される。ビームスプリッタ12において反射される光は第2の光としてレンズ60へ入力される。また、第3配置例では、光検出器46の受光面は、第1方向および第2方向ともにレンズ40の前段または後段の光軸に垂直な任意の面であるu"v"平面に配置される。このu"v"面はフレネル回折面として扱われる。対象物2の複素振幅像g(ξ,η)のフレネル回折像g"(u",v")は下記(17)式で表される。この(17)式中のhは下記(18)式で表される。Hはhのフーリエ変換である。Gは対象物2の複素振幅像g(ξ,η)のフーリエ変換である。FT−1は2次元逆フーリエ変換の演算を表す記号である。なお、式中の変数zは、ξη面とu"v"面の間隔(距離)である。kは波数であり、λは波長である。
【0121】
【数17】

【0122】
【数18】

【0123】
この(17)式は、uv平面におけるG(u,v)にH(u,v)を乗算したものの逆フーリエ変換像g"(u",v")がu"v"平面上に現れることを意味している。換言すれば、この(17)式は、u"v"平面上に現れる像g"(u",v")をフーリエ変換すると、GにHを乗算したものが得られることを意味している。
【0124】
したがって、u"v"平面上の任意のu"についてv"方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs(u",t)と表すと、下記(19)式に表されるように、この信号s(u",t)のデータを変数u"および時刻変数tに関してフーリエ変換することにより、uv平面におけるG(u,v)にH(u)を乗算したものが得られる。
【0125】
ここで、H(u)とは、(18)式の2次元フーリエ変換で得られる関数Hのうち、v方向に一様である関数を表している。u"方向に関して詳しく説明すれば,演算部50による変数u"に関するフーリエ変換は、図1におけるレンズ40を配置する光学的なフーリエ変換と同じ作用であり、(10)式においてd≠fで示される分布を得る。一方,v"方向に関しては、前述の理由により第1配置例のvと同じ分布を得る。
【0126】
【数19】

【0127】
上記(19)式からuv平面におけるG(u,v)を求めるには、下記(20)式のとおりH(u)で除算すればよい。以降は第1配置例の場合と同様の演算処理をすることにより対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得ることができる。
【0128】
【数20】

【0129】
本実施形態の観察装置1の構成において、光検出器46の受光面がレンズ40の前段または後段の光軸に垂直な任意のu"v"平面に配置される第3配置例では、演算部50は以上のような演算処理を行って対象物2の像を得る。すなわち、演算部50は、u"v"平面上の位置u"および時刻tを変数とする信号s(u",t)のデータを取得し、この信号s(u",t)のデータについて変数u"および時刻変数tに関するフーリエ変換を行い(上記(19)式)、このフーリエ変換で得られたデータをHで除算してuv平面におけるGを求め(上記(20)式)、これにより得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出し(上記(14)式)、この切り出したデータについて2次元フーリエ変換を行って(上記(15)式)、対象物2の像g(ξ,η)を得る。なお、フォーカスの合った複素振幅像g(ξ,η)を得るには、参照光,散乱光の光学的条件による初期位相を適宜補正する必要がある。
【0130】
図20は、以上のような演算処理を行う第3配置例における光検出部46および演算部50の構成を示す図である。演算部50は、第1フーリエ変換部51と、第2フーリエ変換部52と、第4フーリエ変換部54と、特定領域切出部55と、2次位相除算部57と、を備える。第2フーリエ変換部52は、第3フーリエ変換部53と、第4フーリエ変換部54とを含む。第1フーリエ変換部51は、u"v"平面上の位置u"および時刻tを変数とする信号s(u",t)のデータについて時刻変数tに関するフーリエ変換(上記(19)式の時刻変数tに関するフーリエ変換)を行う。第1フーリエ変換部51の後段に配置される第4フーリエ変換部54は、このフーリエ変換で得られたデータについて変数u"に関するフーリエ変換(上記(19)式の変数u"に関するフーリエ変換)を行う。2次位相除算部57は、第4フーリエ変換部54で得られたデータをHで除算してuv平面におけるGを求める(上記(20)式)。特定領域切出部55は、これにより得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出す(上記(14)式)。第3フーリエ変換部53は、この切り出したデータについて時間周波数ωに関する1次元フーリエ変換(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)を行う。第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54は、変数uに関するフーリエ変換(上記(15)式の変数uに関するフーリエ変換)を行う。フーリエ変換部に着目すると、第3配置例では、演算部50が第1フーリエ変換部51、第4フーリエ変換部54、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。なお、第1フーリエ変換部51の後段に配置される第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第3フーリエ変換部53と第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。また、第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第1フーリエ変換部51の後段に配置される第4フーリエ変換部54と第3フーリエ変換部53との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。このような演算部50を用いて信号s(u",t)に対して演算を行うことにより対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0131】
なお、第3配置例の特殊な場合が第1配置例または第2配置例に相当する。すなわち、第2配置例は、第3配置例の(17)式においてH(u,v)=1 とした場合に相当する。また、第1配置例は、第3配置例においてフーリエ面(フランフォファー回折)をu"v"平面とした場合に相当する。後者について以下に説明する。
【0132】
(17)式に(18)式を代入して展開すると下記(21)式が得られる。この(21)式においてzを無限大とすると、右辺の積分内の指数関数の値が1に近似され、(21)式は下記(22)式に近似される。この(22)式は、(10)式と等価である。したがって第3配置例の特別な場合、すなわち式(10)においてd=fの場合が、第1配置例である。
【0133】
【数21】

【0134】
【数22】

【0135】
(第4配置例)
以上説明した第1配置例、第2配置例および第3配置例では、蛍光の散乱光、参照光の光学的条件に起因する初期位相φについて省略して演算内容を説明した。第1配置例と同様に、光検出器46の受光面がレンズ40の第1方向における後焦点面であって、レンズ40の第2方向における後焦点面に一致するように配置された観察装置1において、演算部50が時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータに含まれる初期位相φを補正する構成を第4配置例として以下に詳細に説明する。なお、第4配置例におけるレンズ40は、図11に示した第1配置例におけるレンズ40と同様のレンズ構成を備える。
【0136】
図21は、本実施形態の観察装置1において第4配置例を採用した場合に、各uについてv方向に平行な直線上の信号h〜hの総和を表す信号s(u,t)を得る操作を模式的に示す図である。この図21において、記号Σは、信号h〜hの総和を求める演算を示す。任意のu座標値についてv方向に平行な直線上の信号h(v)の総和を表す信号s(u,t)は(11)式で表される。
【0137】
第1配置例では、初期位相φを省略して(13)式を導出したが、初期位相φを加味すると、uv平面上の位置uおよび時刻変数tに関する信号s(u,t)の1次元フーリエ変換は下記(23)式で表されるs(u,t)と同様の演算により算出される。
【0138】
【数23】

【0139】
この(23)式の左辺をS(u,Δv+v)と表すと、(23)式の両辺に初期位相φを含む項exp(−iφ)を乗ずることで(23)式の右辺は比例定数aと関数Gのみになり、(13)式の右辺となる。すなわち、初期位相φの補正とは、信号S(u,Δv+v)に対してexp(−iφ)を乗ずることと等しい。
【0140】
このように、信号S(u,Δv+v)に対してexp(−iφ)を乗ずることで対象物2からの蛍光の複素振幅像g(ξ,η)に対する2次元フーリエ変換像G(u,Δv+v)を得ることができる。このフーリエ変換像G(u,Δv+v)は第1配置例の場合と同様のものであるから、以降は第1配置例の場合と同様の演算処理をすることにより対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得ることができる。
【0141】
本実施形態の観察装置1の構成において、光検出器46の受光面がレンズ40の後焦点面(uv平面)に配置される第4配置例では、演算部50は以上のような演算処理を行って対象物2の像を得る。すなわち、演算部50は、uv平面上の位置uおよび時刻tを変数とする信号s(u,t)のデータを取得し、この信号この信号s(u,t)のデータについて時刻変数tに関する1次元フーリエ変換を行い(上記(23)式)、この1次元フーリエ変換で得られたデータを初期位相φで補正し、この補正して得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出し(上記(14)式)、この切り出したデータについて2次元フーリエ変換を行って(上記(15)式)、対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0142】
図22は、以上のような演算処理を行う第4配置例における演算部50の構成を示す図である。すなわち、演算部50は、uv平面上の位置uおよび時刻tを変数とする信号s(u,t)のデータについて時刻変数tに関する1次元フーリエ変換(上記(23)式)を行う第1フーリエ変換部51と、この1次元フーリエ変換で得られたデータを初期位相φで補正する初期位相補正器56と、この補正されたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出す(上記(14)式)特定領域切出部55と、この切り出したデータについて時間周波数ωに関する1次元フーリエ変換(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)を行う第3フーリエ変換部53と、変数uに関するフーリエ変換(上記(15)式の変数uに関するフーリエ変換)を行う第4フーリエ変換部54とを備える。フーリエ変換部に着目すると、第4配置例では、演算部50が第1フーリエ変換部51、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。なお、第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第1フーリエ変換部51と第3フーリエ変換部53との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。このような演算部50を用いて信号s(u,t)に対して演算を行うことにより対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0143】
第4配置例に示すように、参照光、散乱光の光学的条件による初期位相φを補正することにより初期位相φに起因する複素振幅像g(ξ,η)のボケを防止することができ、フォーカスの合った複素振幅像g(ξ,η)を得ることができる。光検出器46の受光面がレンズ40の後焦点面に一致するように配置された配置例を例に挙げて初期位相φの補正処理を説明したが、他の配置例においても同様の演算により初期位相φの補正を行うことができる。なお、以下に示す配置例では、すべて初期位相φの補正を行う例を示すが、初期位相φの補正処理は必ずしも必要とされるものではない。
【0144】
(第5配置例)
上記で説明した第2配置例では、演算部50が第1フーリエ変換部51、第4フーリエ変換部54、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。第2配置例と同様に、光検出器46の受光面はレンズ40により第1方向において対象物の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物の像が形成される結像面(u'v'平面)に配置された観察装置1において、演算部50を簡略化した構成を第5配置例として第2配置例と比較しながら以下に説明する。なお、第5配置例におけるレンズ40は、図17に示す第2配置例におけるレンズ40と同様のレンズ構成を備える。
【0145】
図17のu−v面はレンズ403の後焦点面を示している。第2配置例においてはu−v面に前焦点面を持つレンズ404の後焦点面に光検出器46の受光面が配置されている。図17において、Xは第1方向でありu'と一致する方向である。Yは第2方向でありv'と一致する方向である。Zは第1方向および第2方向に直交する方向である。レンズ403およびレンズ404は球面レンズであり、X−Y方向で同じ作用を示す。X方向とY方向は直交していることから、X方向のフーリエ変換およびY方向のフーリエ変換は、互いに影響を与えるものでなく、独立して考えても数学上支障がない。
【0146】
図17において、第2配置例におけるレンズ404の作用は、u−v面に現れる像を光学的に変数uに関する1次元フーリエ変換を行うとともに、変数vに関する1次元フーリエ変換を行う事に相当する。また、第2配置例における演算部50では、(16)式により信号s(u',t)について第1の2次元フーリエ変換を行うことでG(u,Ω+ω)を得る。この第1の2次元フーリエ変換は、時刻変数tに関して1次元フーリエ変換を行うとともに、変数u'に関して1次元フーリエ変換した事に相当する。
【0147】
また、第2配置例における演算部50では、G(u,Ω+ω)についてΩを中心周波数としてナイキスト周波数fnyqをその前後に含む周波数領域を切り出した分布G(u,ω)に対して第2の2次元逆フーリエ変換を行いg(u',t)を得る。この第2の2次元フーリエ変換は、時間周波数ωに関して1次元フーリエ変換を行うとともに、変数uに関して1次元フーリエ変換した事に相当する。すなわち、第2配置例における演算部50は、第1の2次元フーリエ変換における変数u'に関する1次元フーリエ変換と、第2の2次元フーリエ変換における変数uに関する1次元フーリエ変換とを行った結果、u'方向にはフーリエ変換を行っていないことになる。したがって、第2配置例では、光検出部46の出力を入力する演算部50にu方向またはu'方向(第1方向)のフーリエ変換の冗長性が存在するともいえる。
【0148】
第2配置例を簡略化してフーリエ変換の回数を減らした第5配置例の演算部50による演算の模式図を図23に示す。観察装置1において光検出器46の受光面はレンズ404により第1方向において対象物2の像が形成される結像面であって、第2方向において対象物2の像が形成される結像面(u'v'平面)に配置される第5配置例では、演算部50は以下のような演算処理を行って対象物2の像を得る。すなわち、レンズ40を構成するレンズ404は、光学的に第1方向のフーリエ変換を行う。演算部50は、uv平面上の位置uおよび時刻tを変数とする信号s(u',t)のデータを取得し、この信号s(u',t)のデータについて時刻変数tに関する1次元フーリエ変換を行う(上記(23)式)。この1次元フーリエ変換で得られたデータを初期位相φで補正し、この補正して得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出す(上記(14)式)。この切り出したデータについて時間周波数ωに関して1次元フーリエ変換を行って(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)、対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0149】
図24は、以上のような演算処理を行う第5配置例における演算部50の構成を示す図である。すなわち、演算部50は、レンズ40と、第1フーリエ変換部51と、第3フーリエ変換部53と、初期位相補正器56、特定領域切出部55と、を備える。レンズ404は、レンズ403の後焦点面にできた対象物2のフランフォーファー回折像を、光学的にフーリエ変換を行う。第1フーリエ変換部51は、このフーリエ変換で得られたデータS(u',ω)について時刻変数tに関する1次元フーリエ変換(上記(16)式の時刻変数tに関するフーリエ変換)を行う。初期位相補正器56は、この1次元フーリエ変換で得られたデータを初期位相φで補正する。特定領域切出部55は、この補正されたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出す(上記(14)式)。第3フーリエ変換部53は、この切り出したデータについて時間周波数ωに関する1次元フーリエ変換(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)を行う。フーリエ変換部に着目すると、第5配置例では、演算部50がレンズ404、第1フーリエ変換部51、第3フーリエ変換部53の順に配置される。このような演算部50を用いて信号s(u',t)に対して演算を行うことにより対象物2の像g(ξ,η)を得る。前記レンズ403の後焦点面には、フランフォーファー回折像が現れる。さらにレンズ404にて、フーリエ変換を行い、光検出器46の受光面には像が形成される。すなわちレンズ404は、第1方向と第2方向にフーリエ変換を光学的に行うことから、第1方向のフーリエ変換の作用が含まれる。第1配置例の演算部と比較をすれば、第5配置例は、第1配置例の演算部における第4フーリエ変換部54を、前記レンズ404にて光学的に行ったことに相当する。
【0150】
(第6配置例)
第3配置例と同様に、光検出器46の受光面はレンズ40の第1方向および第2方向ともにレンズ40の前段または後段の光軸に垂直な任意の面であるu"v"平面(対象物のフレネル回折像が形成される面)に配置される観察装置1において、第3配置例の演算部50の演算器の配置順序を変更した構成を第6配置例として以下に説明する。なお、第6配置例におけるレンズ40は、図19に示す第3配置例におけるレンズ40と同様のレンズ構成を備える。
【0151】
第3配置例における演算部50は、光検出器46が出力する信号s(u",t)について第1の2次元フーリエ変換を行い(19)式のようにG(u,Ω+ω)H(u)を得る。この第1の2次元フーリエ変換は、時刻変数tに関して1次元フーリエ変換を行うとともに、変数u"に関して1次元フーリエ変換した事に相当する。第3配置例における演算部50は、得られたG(u,Ω+ω)H(u)についてΩを中心周波数としてナイキスト周波数fnyqをその前後に含む周波数領域を切り出した分布G(u,ω)H(u)に対して、2次位相H(u)で除した後、第2の2次元逆フーリエ変換を行いg(ξ,η)を得る。この第2の2次元フーリエ変換の作用は,時間周波数ωに関して1次元フーリエ変換を行うとともに、変数uに関して1次元フーリエ変換した事に相当する。
【0152】
上記演算のうち、第1方向(u"方向およびu方向)の演算に着目すれば、変数u"に関する1次元フーリエ変換と、2次位相H(u)で除す除算演算(2次位相除算部57)と、変数uに関する1次元フーリエ変換の順番で構成されている。以後、これら第1方向に関して演算を行う演算をまとめて2次位相補正器60と称する。
【0153】
なお、第3配置例における演算部50は、第2配置例における演算部50に2次位相除算部57を加えた構成と等価である。また、第3配置例における演算部50は、第5配置例における演算部50に、2次位相補正器60を加えた構成と等価である。
【0154】
第6実施例では、第3実施例と同様に、レンズ40として図19に示されるような対物レンズ405およびレンズ406を含む構成のものが用いられ、光検出部46は、第1方向および第2方向の前段または後段の光軸に垂直な任意の面に配置される。
【0155】
第6配置例の演算部50による演算の模式図を図25に示す。第6配置例では、第3配置例と同様のレンズ40を備え、第5配置例における演算部50の後段に2次位相補正器60が配置される。すなわち、第6配置例では、演算部50は以下のような演算処理を行って対象物2の像を得る。すなわち、演算部50は、u"v"平面上の位置u"および時刻tを変数とする信号s(u",t)のデータを取得し、この信号s(u",t)のデータについて時刻変数tに関するフーリエ変換を行い(上記(19)式の時間定数tに関するフーリエ変換)、この1次元フーリエ変換で得られたデータを初期位相φで補正し、この補正して得られたデータGのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出し(上記(14)式)、この切り出したデータについて時間周波数ωに関して1次元フーリエ変換(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)を行い、このフーリエ変換で得られたデータについて変数u"に関して1次元フーリエ変換(上記(19)式の定数u"に関するフーリエ変換)を行い、Hで除算してuv平面におけるGを求め(上記(20)式)、これにより得られたデータについて変数uに関して1次元フーリエ変換(上記(15)式の変数uに関するフーリエ変換)を行うことにより対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0156】
以上のように、第6配置例では、第3配置例の2回の2次元フーリエ変換について第1方向とそれ以外の方向の1次元フーリエ変換に分解し、それらの1次元フーリエ変換を再配置したものであり、数学的な演算方法は第3配置例と同じである。なお、2次位相補正器60は、第3配置例のレンズ40を構成するレンズ406の第1方向の作用と合わせて、第2配置例におけるレンズ404の第1方向の作用を示す。したがって第6配置例においてレンズ406と2次位相補正器60をはずし、光検出器46の受光面をu−v面に配置した構成は第1配置例となる。
【0157】
図26は、以上のような演算処理を行う第6配置例における演算部50の構成を示す図である。演算部50は、第1フーリエ変換部51と、第2フーリエ変換部52と、特定領域切出部55、初期位相補正器56、2次位相除算部57、と、を備える。第2フーリエ変換部52は、第3フーリエ変換部53と、2つの第4フーリエ変換部54とを含む。第1フーリエ変換部51は、u"v"平面上の時刻tを変数とする信号s(u",t)のデータについて時刻変数tに関する1次元フーリエ変換(上記(19)式の時刻変数tに関するフーリエ変換)を行う。初期位相補正器56は、この1次元フーリエ変換で得られたデータを初期位相φで補正する。特定領域切出部55は、この補正されたデータのうち周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域のデータを切り出す(上記(14)式)。第3フーリエ変換部53は、この切り出したデータについて時間周波数ωに関する1次元フーリエ変換(上記(15)式の時間周波数ωに関するフーリエ変換)を行う。第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54は、変数u"に関する1次元フーリエ変換(上記(19)式の変数u"に関するフーリエ変換)を行う。2次位相除算部57は、このフーリエ変換されたデータを2次位相H(u)で除す(上記(20)式)。2次位相除算部57の後段に配置される第4フーリエ変換部54は、変数uに関する1次元フーリエ変換(上記(15)式の変数uに関するフーリエ変換)を行う。フーリエ変換部に着目すると、第6配置例では、演算部50が第1フーリエ変換部51、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54、第4フーリエ変換部54の順に配置される。なお、第3フーリエ変換部53の後段に配置される第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第1フーリエ変換部51と第3フーリエ変換部53との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。また、第4フーリエ変換部54の後段に配置される第4フーリエ変換部54の位置はこれに限られることなく、例えば第1フーリエ変換部51と第3フーリエ変換部53との間に配置されてもよく、または第1フーリエ変換部51の前に配置されてもよい。演算部50は、このような演算器を用いて信号s(u",t)に対して演算を行うことにより対象物2の像g(ξ,η)を得る。
【0158】
本実施形態の観察装置1において対象物2と光検出器46との間に設けられたレンズ40は、以上までの説明においては、散乱光に対しx方向およびy方向について同じ作用をするものであった。しかし、対象物2と光検出器46との間の光学系は、扁平倍率を有するリレー光学系にてフーリエ面を拡大縮小してもよい。
【0159】
(第7配置例)
次に、第7配置例について説明する。第7配置例はレンズ40の構成が第1配置例と異なり、それ以外の点は第1配置例と同じである。第7配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において対象物2のフランフォーファー回折像が形成される面であって、y方向(第2方向)において対象物2のフランフォーファー回折像が形成される面に配置される。第7配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0160】
図27に第7配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第7配置例では、レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例におけるレンズ40に、レンズLS2を付加した3枚のレンズによりレンズ40が構成される。レンズ40を構成する3枚のレンズは球面レンズである。レンズによる結像作用において,これらの球面レンズによりx方向およびy方向に同じ作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0161】
第2配置例のレンズ40は、面IPに物体像を結像する。x方向、y方向ともに、レンズ403および404により、一旦対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS2の前焦点面は面IPと一致する。また、レンズLS2の後焦点面は光検出器46の受光面と一致する。このように、レンズx方向、y方向ともに,対象物2のフランフォーファー回折像が光検出器46の受光面に形成される。
【0162】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第1配置例と同じくu−v平面とする。第1配置例では、uおよびv方向においてフランフォーファー回折像がuv平面に表れた。第7配置例では、uおよびv方向にはフランフォーファー回折像が現れる。すなわち第7配置例は,レンズ40の構成が第1配置例と異なる。
【0163】
v方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs(u,t)とする。光検出部46が出力するs(u,t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第1配置例で得られたs(u,t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。そのため、光検出部46が出力するs(u,t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0164】
(第8配置例)
次に、第8配置例について説明する。第8配置例はレンズ40の構成が第1配置例と異なり、それ以外の点は第1配置例と同じである。第8配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において対象物2のフランフォーファー回折像が形成される面であって、y方向(第2方向)において対象物2の像が形成される結像面に配置される。第8配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0165】
図28に第8配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第8配置例では、レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例におけるレンズ40に、レンズLS1,LS2,およびLS3を付加した5枚のレンズでレンズ40が構成される。レンズ40を構成する5枚のレンズのうち,403および404は,球面レンズであり、LS1,LS2,LS3はシリンドリカルレンズである。レンズによる結像作用において、これらのシリンドリカルレンズによりx方向y方向に異なる作用を示す。なお、レンズLS1,LS2,LS3の焦点距離をそれぞれfLS1,fLS2,fLS3とする。また、これらの焦点距離は、fLS1=fLS3,fLS2=2fLS1=2fLS3の関係を有するものとする。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0166】
すなわち、レンズLS1およびレンズLS3は、x方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがって、x方向においては、図28上段に示すようにレンズ403,404,LS2のみが配置された構成と等価である。一方、レンズLS2は,y方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってy方向においては、図28下段に示すようにレンズ403,404,LS1およびLS3のみが配置された構成と等価である。
【0167】
x方向には、レンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。次にレンズLS2の第7配置例と同じ作用により、受光面にその像のフランフォーファー回折像が形成される。一方、y方向には、レンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系を構成している。4f光学系とは、LS1の後焦点面とLS3の前焦点面が一致し、LS1の前焦点面の像がLS3の後焦点面に結像する光学系である。このように、第8配置例のレンズ40によりx方向には対象物2のフランフォーファー回折像が、y方向においては対象物2の像が光検出器46の受光面に形成される。
【0168】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第一配置例と同じくuv平面とする。第1配置例では、uおよびv方向においてフランフォーファー回折像がuv平面に現れる。第8配置例では、u方向にはフランフォーファー回折像が現れ、v方向には物体の像が現れる。v方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs(u,t)とする。光検出部46が出力するs(u,t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第1配置例で得られたs(u,t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。そのため、光検出部46が出力するs(u,t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0169】
(第9配置例)
次に、第9配置例について説明する。第9配置例はレンズ40の構成が第1配置例と異なり、それ以外の点は第1配置例と同じである。第9配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において対象物2のフランフォーファー回折像が形成される面であって、y方向(第2方向)において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置される。第9配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0170】
図29に第9配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第9配置例では,レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例におけるレンズ40に、レンズLS1,LS2,およびLS3を付加した5枚のレンズでレンズ40が構成される。レンズ40を構成する5枚のレンズのうち、403および404は球面レンズであり、LS1,LS2,およびLS3はシリンドリカルレンズである。レンズによる結像作用において、これらのシリンドリカルレンズによりx方向y方向に異なる作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0171】
すなわち、レンズLS1およびレンズLS3は、x方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってx方向においては、図29上段に示すようにレンズ403,404,LS2のみが配置された構成と等価である。一方、y方向においてレンズLS2は、曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってy方向においては、図29下段に示すようにレンズ403,404,LS1およびLS3のみが配置された構成と等価である。
【0172】
x方向には、レンズ403,404により、一旦対象物2の像が面IPに結像される。次にレンズLS2の第7配置例と同じ作用により、光検出部46の受光面に、その像のフランフォーファー回折像が形成される。一方、y方向にはレンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系の構成をとらない。すなわち、図29下段に示すように、LS3の前焦点面がLS1の後焦点面と一致しない。したがって、光検出部46の受光面では対象物2の像やフーリエ像は形成されない。このように,レンズ40により,x方向には対象物2のフランフォーファー回折像が、y方向においては対象物2のフレネル回折像が光検出器46の受光面に形成される。
【0173】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第一配置例と同じくu−v平面とする。第1配置例では、uおよびv方向においてフランフォーファー回折像がu−v面に表れる。第9配置例では、u方向にはフランフォーファー回折像が現れ、v方向には物体のフレネル回折像が現れる。v方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs(u,t)とする。光検出部46が出力するs(u,t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第1配置例で得られたs(u,t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。そのため、光検出部46が出力するs(u,t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0174】
(第10配置例)
次に、第10配置例について説明する。第10配置例はレンズ40の構成が第2または第5配置例と異なり、それ以外の点は第2または第5配置例と同じである。第10配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において対象物2の像が形成される結像面であって、y方向(第2方向)において、対象物2のフランフォーファー回折像が形成される面に配置される。第10配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0175】
図30に第10配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第10配置例では、レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例におけるレンズ40に、レンズLS1,LS2,およびLS3を付加した5枚のレンズで,レンズ40が構成される。レンズ40を構成する5枚のレンズのうち403および404は球面レンズであり、LS1,LS2,LS3はシリンドリカルレンズである。レンズによる結像作用において、これらのシリンドリカルレンズによりx方向y方向に異なる作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0176】
すなわちレンズLS2は、x方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってx方向においては、図30上段に示すようにレンズ403,404,LS1およびLS3のみが配置された構成と等価である。一方、レンズLS1およびレンズLS3は、y方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがって、y方向においては、図30下段に示すようにレンズ403,404,LS2のみが配置された構成と等価である。
【0177】
x方向には、レンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系を構成している。4f光学系とは、LS1の後焦点面とLS3の前焦点面が一致し、LS1の前焦点面の像がLS3の後焦点面に結像する光学系である。一方、y方向にはレンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。次にレンズLS2の第7配置例と同じ作用により光検出部46の受光面にその像のフラウンフォーファー回折像が形成される。このように、レンズ40によりx方向には対象物2の像が、y方向においては対象物2のフランフォーファー回折像が光検出器46の受光面に形成される。
【0178】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第2配置例と同じくu'v'平面とする。第2または第5配置例では,u'およびv'方向において,対象物2の像がu'v'平面に表れる。第10配置例では、u'方向には対象物2の像が現れ,v'方向には物体のフラウンフォーファー回折像が現れる。v'方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs10(u',t)とする。光検出部46が出力するs10(u',t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第2,5配置例で得られたs(u',t),s(u',t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。すなわち、第2配置例と同じ構成を採用する場合には、光源部10、レンズ40、光検出部46、第1フーリエ変換部51、第4フーリエ変換部54、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。また、第5配置例と同じ構成を採用する場合には、光源部10、レンズ40、光検出部46、第1フーリエ変換部51、第3フーリエ変換部53の順に配置される。そのため、光検出部46が出力するs10(u',t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0179】
(第11配置例)
次に、第11配置例について説明する。第11配置例はレンズ40の構成が第2または第5配置例と異なり、それ以外の点は第2または第5配置例と同じである。第11配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において対象物2の像が形成される結像面であって、y方向(第2方向)において対象物2の像が形成される結像面に配置される。第12配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0180】
図31に第11配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第11配置例では,レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例で使用したレンズ40にレンズLS1,およびLS3を付加した4枚のレンズでレンズ40が構成される。レンズ40を構成する4枚のレンズは球面レンズである。レンズによる結像作用において、これらの球面レンズによりx方向、y方向ともに同じ作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0181】
したがって、x方向、y方向ともに、レンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系を構成している。4f光学系とは、LS1の後焦点面とLS3の前焦点面が一致し、LS1の前焦点面の像がLS3の後焦点面に結像する光学系である。
このようにレンズ40により、x方向には対象物2の像が、y方向においても対象物2の像が光検出器46の受光面に形成される。
【0182】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第2配置例と同じくu'−v'平面とする。第2または第5配置例では、u'およびv'方向において対象物2の像がu'v'平面に表れる。第11配置例においても同様に、u'およびv'方向において対象物2の像がu'v'平面に表れる。すなわち第10配置例は、レンズ40の構成が第2配置例と異なる。v'方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs11(u',t)とする。光検出部46が出力するs11(u,t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第2,5配置例で得られたs(u',t),s(u',t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。すなわち、第2配置例と同じ構成を採用する場合には、光源部10、レンズ40、光検出部46、第1フーリエ変換部51、第4フーリエ変換部54、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。また、第5配置例と同じ構成を採用する場合には、光源部10、レンズ40、光検出部46、第1フーリエ変換部51、第3フーリエ変換部53の順に配置される。そのため、光検出部46が出力するs11(u',t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0183】
(第12配置例)
次に、第12配置例について説明する。第12配置例はレンズ40の構成が第2または第5配置例と異なり、それ以外の点は第2または第5配置例と同じである。第12配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において、対象物2の像が形成される結像面であって、y方向(第2方向)において対象物2のフレネル回折像が形成される面に配置される。第12配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0184】
図32に第12配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第12配置例では、レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例で使用したレンズ40にレンズLS1,LS2,およびLS3を付加した5枚のレンズでレンズ40が構成される。レンズ40を構成する5枚のレンズのうち403および404は球面レンズであり、LS1,LS2,LS3はシリンドリカルレンズである。レンズによる結像作用において、これらのシリンドリカルレンズによりx方向y方向に異なる作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0185】
すなわちレンズLS2は,x方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってx方向においては、図32上段に示すようにレンズ403,404,LS1,LS3のみが配置された構成と等価である。一方、レンズLS1およびレンズLS3は、y方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってy方向においては、図32下段に示すようにレンズ403,404,LS2のみが配置された構成と等価である。
【0186】
x方向には、レンズ403,404により、一旦対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系を構成している。4f光学系とは、LS1の後焦点面とLS3の前焦点面が一致し、LS1の前焦点面の像がLS3の後焦点面に結像する光学系である。一方,y方向には,レンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。次にレンズLS2の前焦点面は、対象物2の像の面IPとは異なり、さらにLS2の後焦点面は、光検出器46の受光面とは異なる。したがって受光面には,その像のフレネル回折像が形成される。このように、配置例12のレンズ40によりx方向には対象物2の像が、y方向においては対象物2のフレネル回折像が光検出器46の受光面に形成される。
【0187】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第2または第5配置例と同じくu'v'平面とする。第2または第5配置例では、u'およびv'方向において対象物2の像がu'v'平面に表れる。第12配置例では、u'方向には対象物2の像が現れ、v'方向には物体のフレネル回折像が現れる。v'方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs12(u',t)とする。光検出部46が出力するs12(u',t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第2,5配置例で得られたs(u',t),s(u',t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。すなわち、第2配置例と同じ構成を採用する場合には、光源部10、レンズ40、光検出部46、第1フーリエ変換部51、第4フーリエ変換部54、第3フーリエ変換部53、第4フーリエ変換部54の順に配置される。また、第5配置例と同じ構成を採用する場合には、光源部10、レンズ40、光検出部46、第1フーリエ変換部51、第3フーリエ変換部53の順に配置される。そのため、光検出部46が出力するs12(u',t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0188】
(第13配置例)
次に、第13配置例について説明する。第13配置例はレンズ40の構成が第3または第6配置例と異なり、それ以外の点は第3または第6配置例と同じである。第13配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において、対象物2のフレネル回折像が形成される面であって、y方向(第2方向)において対象物2のフランフォーファー回折像が形成される面に配置される。第13配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0189】
図33に第13配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第13配置例では、レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例で使用したレンズ40にレンズLS1,LS2,およびLS3を付加した5枚のレンズでレンズ40が構成される。レンズ40を構成する5枚のレンズのうち403および404は球面レンズであり、LS1,LS2,LS3はシリンドリカルレンズである。レンズによる結像作用において、これらのシリンドリカルレンズによりx方向y方向で異なる作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0190】
すなわちレンズLS2は,x方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってx方向においては、図33上段に示すようにレンズ403,404,LS1,LS3のみが配置された構成と等価である。一方、レンズLS1およびレンズLS3は、y方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってy方向においては、図33下段に示すようにレンズ403,404,LS2のみが配置された構成と等価である。
【0191】
x方向には、レンズ403,404により、一旦対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系の構成を取らない。すなわち図33上段が示すように、LS3の前焦点面がLS1の後焦点面と一致しない。したがって受光面では対象物2の像やフランフォーファー回折像は形成されない。一方、y方向には、レンズ403,404により、一旦、対象物2の像が面IPに結像される。次にレンズLS2の第7配置例と同じ作用により受光面にその像のフランフォーファー回折像が形成される。このように、レンズ40によりx方向には対象物2のフレネル回折像が、y方向においては対象物2のフランフォーファー回折像が光検出器46の受光面に形成される。
【0192】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第3または第6配置例と同じくu"v"平面とする。第3または第6配置例では、u"およびv"方向においてフレネル回折像がu"v"平面に表れる。第13配置例では、u"方向にはフレネル回折像が現れ、v方向には物体のフラウンフォーファー回折像が現れる。v"方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs13(u",t)とする。光検出部46が出力するs13(u",t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第3,第6配置例で得られたs(u",t),s(u",t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。そのため、光検出部46が出力するs13(u",t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0193】
(第14配置例)
次に、第14配置例について説明する。第14配置例はレンズ40の構成が第3または第6配置例と異なり、それ以外の点は第3または第6配置例と同じである。第14配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において、対象物2のフレネル回折像が形成される面であって、y方向(第2方向)において対象物2の像が形成される結像面に配置される。第14配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0194】
図34に第14配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第14配置例では、レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例で使用したレンズ40にレンズLS1,LS2,およびLS3を付加した5枚のレンズでレンズ40が構成される。レンズ40を構成する5枚のレンズのうち403および404は球面レンズであり、LS1,LS2,LS3はシリンドリカルレンズである。レンズによる結像作用において,これらのシリンドリカルレンズによりx方向、y方向で異なる作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0195】
すなわち、レンズLS1およびレンズLS3は,x方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってx方向においては、図34上段に示すようにレンズ403,404,LS2のみが配置された構成と等価である。一方、レンズLS2は、y方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってy方向においては、図34下段に示すようにレンズ403,404,LS1,LS3のみが配置された構成と等価である。
【0196】
x方向には、レンズ403,404により、一旦対象物2の像が面IPに結像される。次にレンズLS2の前焦点面は、対象物2の像の面IPとは異なり、さらにLS2の後焦点面は、光検出器46の受光面とは異なる。したがって受光面には、面IPに結像された像のフレネル回折像が形成される。一方、y方向には、レンズ403,404により、一旦対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系を構成している。4f光学系とは、LS1の後焦点面とLS3の前焦点面が一致し、LS1の前焦点面の像がLS3の後焦点面に結像する光学系である。このようにレンズ40により、x方向には対象物2のフレネル回折像が、y方向においては対象物2の像が光検出器46の受光面に形成される。
【0197】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第3または第6配置例と同じくu"v"平面とする。第3または第6配置例では,u"およびv"方向において,フレネル回折像がu"v"平面に表れる。第14配置例では、u"方向にはフレネル回折像が現れ、v方向には対象物2の像が現れる。v"方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs14(u",t)とする。光検出部46が出力するs14(u",t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第3,6配置例で得られたs(u",t),s(u",t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。そのため、光検出部46が出力するs14(u",t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0198】
(第15配置例)
次に、第15配置例について説明する。第15配置例はレンズ40の構成が第3または第6配置例と異なり、それ以外の点は第3または第6配置例と同じである。第15配置例では、光検出部46の受光面は、レンズ40によりx方向(第1方向)において対象物2のフレネル回折像が形成される面であって、y方向(第2方向)において対象物のフレネル回折像が形成される面に配置される。第15配置例のレンズ40は、対象物2と光検出部46との間に配置される。
【0199】
図35に第15配置例におけるレンズ40の詳細を示す。第15配置例では、レンズ403およびレンズ404で構成される第2配置例で使用したレンズ40にレンズLS1,LS2,およびLS3を付加した5枚のレンズでレンズ40が構成される。レンズ40を構成する5枚のレンズのうち403および404は球面レンズであり、LS1,LS2,LS3はシリンドリカルレンズである。レンズによる結像作用において、これらのシリンドリカルレンズによりx方向y方向に異なる作用を示す。ビームスプリッタ12は、レンズ40を構成するレンズ403の後焦点面に、略0次光を2分するように配置される。ビームスプリッタ12にて反射する光は第2の光としてレンズ60へ入力される。
【0200】
すなわち,レンズLS1およびレンズLS3は,x方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってx方向においては、図35上段に示すようにレンズ403,404,LS2のみが配置された構成と等価である。一方、レンズLS2は、y方向において曲率形状を持たないことから結像に寄与しない。したがってy方向においては、図35下段に示すようにレンズ403,404,LS1,LS3のみが配置された構成と等価である。
【0201】
x方向には、レンズ403,404により,一旦対象物2の像が面IPに結像される。次にレンズLS2の前焦点面は、対象物2の像の面IPとは異なり、さらにLS2の後焦点面は、光検出器46の受光面とは異なる。したがって受光面には、面IPに結像された像のフレネル回折像が形成される。一方、y方向には、レンズ403,404により、一旦対象物2の像が面IPに結像される。レンズLS1およびLS3は、いわゆる4f光学系の構成を取らない。すなわち図35下段に示すように、LS3の前焦点面がLS1の後焦点面と一致しない。したがって受光面では対象物2の像やフランフォーファー回折像は形成されない。したがって、レンズ40によりx方向には対象物2のフレネル回折像が、y方向においても対象物2のフレネル回折像が光検出器46の受光面に形成された。
【0202】
次に、このようなレンズ40により光検出器46で得られた信号の処理方法について説明する。光検出器46の受光面における座標系を第3または第6配置例と同じくu"v"平面とする。第3または第6配置例では,u"およびv"方向において,フレネル回折像がu"v"平面に現れる。第15配置例でも、u"方向およびv"方向にフレネル回折像が現れる。すなわち第15配置例は、レンズ40の構成が第3または第6配置例と異なる。v"方向に平行な直線上の信号の総和を表す信号をs15(u",t)とする。光検出部46が出力するs15(u",t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成は、第3,6配置例で得られたs(u",t),s(u",t)に基づいて対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る演算処理およびこの処理を行う演算器構成と同じである。そのため、光検出部46が出力するs15(u",t)に基づいて複素振幅像g(ξ,η)を得るための演算処理およびこの処理を行う演算器構成の説明は省略する。
【0203】
上記で説明した第1配置例〜第15配置例の演算部50は、図36に示すように、時刻変数tに関する1次元フーリエ変換を行う演算器である第1フーリエ変換部51、周波数Ωを中心としてナイキスト周波数fnyqを含む領域のデータを切り出す演算器である特定領域切出部55、時間周波数に関する1次元フーリエを行う演算器である第3フーリエ変換部53、および第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う演算器である第4フーリエ変換部54から構成される。以降、本明細書では、上記4種類の演算器を総称して基本演算器ともいう。
【0204】
第1配置例〜第15配置例では、図36の紙面に垂直方向(X方向)に、光検出部46および演算部50が並列して配置される。図36では、並列して配置される光検出部46および演算部50のうち、位置uにおける光検出部46および演算部50を例示した図である。以下に示す、図37〜図41,図44,図45,図46においても、紙面に垂直方向(X方向)に光検出部46および演算部50が並列して配置されており、並列して配置される光検出部46および演算部50のうちの一つである、位置uにおける光検出部46および演算部50を例示した図である。なお、配置例に応じて位置uを、u',u"と変えて記載する。
【0205】
(第16配置例)
次に第16配置例について説明する。第16配置例は、複数の光検出部46および複数の光検出器46からの出力の総和を求める各出力総和器(出力総和器)58を備える点で第1〜15配置例と異なる。これに伴い、第16配置例では、基本演算器の配置が第1〜15配置例と異なる。
【0206】
第16配置例では,1つの光源部10と、1つのレンズ40と,M個(M>1)の検出部(複数の検出器)と、複数個の基本演算器および各出力総和器58を含む演算部50とから構成される。
【0207】
第16配置例では,M個の光検出部46は第2方向に並んで構成される。第2方向に並んだm番目の光検出部46mは、第2方向についての総和を表すデータを第1方向の各位置について各時刻に出力する。
【0208】
第16配置例における演算部50は、第2方向にM個並んだ検出部の出力を入力し、1からMまでの総和を出力する演算器である各出力総和器58を備える。また、各出力総和器58は、第2方向にM個並んだ光検出部46の出力を入力するM個の基本演算器の出力を入力し、1からMまでの総和を出力してもよい。
【0209】
図37に示すように、各出力総和器58が第1フーリエ変換部51より前段にある場合、各出力総和器58は、M個の検出部が出力するM個の信号を入力する。また各出力総和器58は、M個の信号に対して時刻毎に1からMまでの総和を得て、時刻毎に結果を出力する。
【0210】
図38および図39に示すように、各出力総和器58が第1フーリエ変換部51と第3フーリエ変換部53の間にある場合、各出力総和器58は、第1フーリエ変換部51によりフーリエ変換されたM個の信号を入力する。図38に示すように、各出力総和器58が第1フーリエ変換部51の直後に配置される場合には、各出力総和器58は、第1フーリエ変換部51が出力するM個の信号を入力する。また、図39に示すように各出力総和器58が特定領域切出部55の直後に配置される場合には、各出力総和器58は、特定領域切出部55が出力するM個の信号を入力する。各出力総和器58は、M個の信号に対して時間周波数毎に1からMまでの総和を得て、時間周波数毎に結果を出力する。
【0211】
図40および図41に示すように、各出力総和器58が、第3フーリエ変換部53より後段にある場合、各出力総和器58は、第3フーリエ変換部53または第4フーリエ変換部54が出力するM個の信号を入力する。各出力総和器58は、M個の信号に対して時刻毎に1からMまでの総和を得て、時刻毎に結果を出力する。
【0212】
次に、各出力総和器58の出力について説明する。各出力総和器58が第1フーリエ変換部51と第3フーリエ変換部53の間にある場合、各出力総和器58は、(24)式より時間周波数ω(=Ω+ω)毎に1からMまでの総和を得る。ここでS(m)(u,ω)は、第1フーリエ変換部51の第2方向にm番目に配置された検出部の出力データs(m)(u,t)を入力し、時刻変数tに関してフーリエ変換する第1フーリエ変換部51の出力信号を表す。フーリエ変換の線形性により(24)式中辺のフーリエ演算子FTは総和演算子Σと交換可能であり、その結果(24)式最右辺を得る。
【0213】
【数24】

【0214】
最右辺の時刻変数tに関する1次元フーリエ変換演算子FTが作用する項は,M個の検出部が出力する波形s(m)(u,t)の1〜Mまでの総和s(u,t)を表している。すなわち、演算部に設けた各出力総和器58は、第1〜15配置例における検出部が出力する信号を入力する第1フーリエ変換部51の出力を出力する。したがって、第16配置例は第2方向の総和を表すデータを各時刻に出力する検出部の一部を、演算部に含む構成であるともいえる。
【0215】
一方、各出力総和器58が第3フーリエ変換部53より後段にある場合、各出力総和器58は、(25)式により時刻毎に1からMまでの総和を得る。ここでs'(m)(u,t)は,第3フーリエ変換部53mの出力データを表す。第3フーリエ変換部53mの入力には,第2方向に並べられたm番目の検出部の出力が、第1フーリエ変換部51m,特定領域切出部55mを介して第3フーリエ変換部53mへと接続されている。またs'(m)(u,t)の時刻変数tに関する1次元フーリエ変換は,S'(m)(u,ω)となる。(25)式の右辺の1次元フーリエ変換演算子FTωが作用する項は,特定領域切出部55の出力データである。したがって特定領域切出部55の入力は,(26)式左辺に示される周波数Ωだけ周波数シフトした信号S(m)(u,Ω+ω)である。さらに(26)式の最右辺は,M個の検出部が出力する波形s(m)(u,t)の1〜Mまでの時刻毎の総和を表している。
【0216】
【数25】

【0217】
【数26】

【0218】
すなわち、演算部に設けた各出力総和器58の出力は、第1〜15配置例における検出部が出力する信号と一致することから、第16配置例は、第2方向の総和を表すデータを各時刻に出力する検出部の一部を、演算部に含む構成であるといえる。
【0219】
第16配置例の場合の実施例について以下に説明する。第16配置例においては図11に示す第1配置例と同様のレンズ40を用いた。すなわち、光検出器46の受光面が、レンズ40の第1方向における後焦点面であって、レンズ40の第2方向における後焦点面に配置された。光検出器46は、2次元画素を有し、1画素サイズ8.3x8.3μmの画素を640x480の画素数をデジタルCCDカメラを用いた。また、そのフレームレートfCCDは30Hzとした。v方向画素番号をm,u方向画素番号をnとする。v方向と平行な方向に移動物体が移動するように光検出器46を配置した。光検出器46の全画素640x480画素のうち312x312画素の領域のみを実験に用いた。したがって、M=N=312である。M,Nは,縦横の画素数を表し、その小文字m,nで画素番号を表す。
【0220】
すなわち、第16配置例における光検出器46は、N個の受光セルd(m)を第1方向に並べた1次元ラインセンサーが第2方向にM個並んだ光検出器である。各受光セルd(m)から出力される時間波形s(m)(u,t)に対して時刻変数tに関してフーリエ変換した後、得られる波形をS(m)(u,ω)とした。図42に時間波形s(m)(u,t)を,図43にS(m)(u,ω)を示した。
【0221】
(第17配置例)
第17配置例は、第16配置例と同様に、複数の光検出部46および各出力総和器58を含む構成である。すなわち,第17配置例では、第16配置例と同様に、1つの光源部10と、1つのレンズ40と、M個(M>1)の光検出部46と、演算部50とから構成される。演算部50は、複数個の基本演算器および光検出部46からの出力の総和を求める各出力総和器58を含む。すなわち、第17配置例では、複数の検出器を備え、また演算部50は、複数の検出器からの出力の総和を求める出力総和器58を更に備える。
【0222】
レンズ40および演算部50を演算部とみなせば、第17配置例では、レンズ40が演算部50に組み入れられている。第17配置例では、第1配置例にて使用したレンズ40に検出部をM(M>1)個配置し、さらに、第2方向に関するフーリエ変換またはフレネル変換を行う演算器(以降、第2方向変換器59(第2方向変換部)という)を付加した構成である。
【0223】
第2方向変換器59は、図44,図45,図46で例示するように、光検出部46からの出力を入力する演算部50内の各出力総和器58の前段に配置される。第2方向変換器59は、その演算位置によらず、位置n(u,u',u")における出力をM個入力し、その演算結果を出力する。
【0224】
第2方向変換器59がフーリエ変換器である場合、光検出器46の受光面において第1方向にフラウンフォーファー回折像を、第2方向には物体像を受光する第8配置例と等価である。すなわち第1配置例で使用したレンズ40と第2方向変換器59とにより第8配置例のレンズ40が構成される。
【0225】
第2方向変換器59がフレネル変換器である場合、光検出器46の受光面において第1方向にフラウンフォーファー回折像を、第2方向にはフレネル回折像を受光する第9配置例と等価である。すなわち第1配置例で使用したレンズ40と第2方向変換器59とにより第9配置例のレンズ40が構成される。
【0226】
(第18配置例)
第18配置例は、第16配置例と同様に、複数の光検出部46および各出力総和器58を含む構成である。すなわち第18配置例では、第16配置例と同様に、第16配置例では,1つの光源部10と、1つのレンズ40と,M個(M>1)の検出部と、複数個の基本演算器および各出力総和器58を含む演算部50から構成される。すなわち、第18配置例では、複数の検出器を備え、また演算部50は、複数の検出器からの出力の総和を求める出力総和器58を更に備える。
【0227】
レンズ40および演算部50を演算部とみなせば、第18配置例では、レンズ40が演算部50に組み入れられている。第18配置例では、第2配置例にて使用したレンズ40に検出部をM(M>1)個配置し、さらに、第2方向に関する(すなわちmに関して)フーリエ変換またはフレネル変換を行う第2方向変換器59を付加した構成である。
【0228】
第2方向変換器59は、図44,図45,図46で例示すように、検出部からの出力を入力する演算部内の各出力総和器58の前段に配置される。第2方向変換器59は、その演算位置によらず、位置n(u,u',u")における出力をM個入力し、その演算結果を出力する。
【0229】
第2方向変換器59がフーリエ変換器である場合、光検出器46の受光面において第1方向に物体像を、第2方向にはフランフォーファー回折像を受光する第10配置例と等価である。すなわち、第2配置例で使用したレンズ40と第2方向変換器59とにより第10配置例のレンズ40が構成される。
【0230】
第2方向変換器59がフレネル変換器である場合、光検出器46の受光面において第1方向に物体像を、第2方向にはフレネル回折像を受光する第12配置例と等価である。すなわち第2配置例で使用したレンズ40と第2方向変換器59とにより第12配置例のレンズ40が構成される。
【0231】
第2方向変換器59がフーリエ変換器である場合において、第18配置例における演算処理について説明する。第2方向変換器59が出力する波形Re[FT[s(m)(u',t)]]は、各出力総和器58に送られ、mに関して総和を取り、s(u',t)を得る。FTは、変数mに関する1次元フーリエ変換を表す。Reは、複素数の実部を取る演算子である。すなわち、第2配置例で使用したレンズ40と第2方向変換器59とにより第10配置例のレンズ40が構成されていることから、各出力総和器58が出力するデータは、第10配置例の検出部が出力する信号と同じである。さらに第10配置例の検出部が出力する信号は第2配置例の演算方法と同じであることを第10配置例を説明したので、第18配置例の演算は、第2配置例の演算方法により対象物2の複素振幅像g(ξ,η)を得る。
【0232】
(第19配置例)
第19配置例は,第16配置例と同様に、複数の光検出部46および各出力総和器58を含む構成である。すなわち、第19配置例は、第16配置例と同様に、1つの光源部10と、1つのレンズ40と,M個(M>1)の検出部と、複数個の基本演算器および各出力総和器58を含む演算部50から構成される。すなわち、第19配置例では、複数の検出器を備え、また演算部50は、複数の検出器からの出力の総和を求める出力総和器58を更に備える。
【0233】
レンズ40および演算部50を演算部とみなせば,第19配置例では、レンズ40が演算部50に組み入れられている。第19配置例は、第3配置例にて使用したレンズ40に検出部をM(M>1)個配置し、さらに、第2方向に(すなわちmに関して)フーリエ変換またはフレネル変換を行う第2方向変換器59を付加した構成である。
【0234】
第2方向変換器59の演算位置は,図44,図45,図46で例示すように、検出部からの出力を入力する演算部内の各出力総和器58の前段に配置する。第2方向変換器59は,その演算位置によらず,位置n(u,u',u")における出力をM個入力し,その演算結果を出力する。
【0235】
第2方向変換器59がフーリエ変換器である場合、光検出器46の受光面において第1方向にフレネル回折像を、第2方向にはフレネル回折像を受光する第15配置例と等価である。すなわち、第3配置例で使用したレンズ40と第2方向変換器59とにより第15配置例のレンズ40が構成される。
【0236】
第2方向変換器59がフレネル変換器である場合、光検出器46の受光面において第1方向にフレネル回折像を、第2方向にはフレネル回折像を受光する第15配置例と等価である。すなわち、第3配置例で使用したレンズ40と第2方向変換器59とにより第15配置例のレンズ40が構成される。
【0237】
次に第2方向変換器59の光検出部46からの出力を入力する演算部50における演算位置について説明する。第2方向変換器59がレンズ40に含まれる場合は、そのレンズ40の位置である。第2方向変換器59がレンズ40に含まれない場合には、第2方向変換器59は、光検出部46からの出力を入力する演算部50内の各出力総和器58より前段に配置される。
【0238】
第2方向変換器59が検出部と第1フーリエ変換部51の間にある場合、第2方向変換器59の入力は、時刻毎にM個の検出部からの出力を入力し、時刻毎にその演算結果を出力する。
【0239】
第2方向変換器59が第1フーリエ変換部51と第3フーリエ変換部53の間にある場合、第2方向変換器59の入力は、時間周波数毎にM個の検出部からの出力を入力し、時間周波数毎にその演算結果を出力する。
【0240】
第2方向変換器59が第3フーリエ変換部53より後段にある場合、第2方向変換器59の入力は、時刻毎にM個の検出部からの出力を入力し、時刻毎にその演算結果を出力する。
【0241】
(第20配置例)
次に、第20配置例について説明する。第1〜19配置例では、物体光(物体からの蛍光の散乱光)のうち0次光と高次光(非ドップラーシフト光とドップラーシフト光)に分離する方法は文献1(Gabriel Popescu, “Fourier phase microscopy for investigation ofbiological structures and dynamics,” Optics letters, 29, 2503, (2004).)に記載の方法を用いた。すなわち、レンズ40は、対象物2と光検出器46の受光面の間に配置される。また、レンズ40は、一時的にフランフォーファー回折像を対象物2と光検出器46の受光面の間に形成する。フランフォーファー回折像の中心近傍に集まる略0次光を参照光とした。
【0242】
第20配置例では、略0次光を抜き出す方法として文献2(Gabriel Popescu, “Diffraction phase microscopy for quantifying cellstructure and dynamics,” Optics letters, 31, 775, (2006).)に記載の回折格子を用いる。図47にその具体的な光学系を示す。
【0243】
図47に示すように、レンズ40は、対象物2と光検出器46の受光面の間に配置される。レンズ40は、一時的に物体像に続いてフランフォーファー回折像を対象物2と光検出器46の受光面の間に形成する。第20配置例のレンズ40は、第2配置例のレンズ40と、レンズ40できた物体像をリレーするレンズ407、408により構成される。レンズ407,レンズ408は4f光学系を構成する。第20配置例におけるレンズ40は、4枚の球面レンズで構成されている。
【0244】
上記のようにレンズ40を構成することにより、レンズ404とレンズ407の間に対象物2の物体像が形成され、レンズ407とレンズ408の間に対象物2のフランフォーファー回折像が形成される。なお、物体像ができる面を物体像面といい、フランフォーファー回折像ができる面をフランフォーファー回折像面という。
【0245】
物体像面に回折格子を配置し、フランフォーファー回折像面にビームスプリッタ12を配置する。回折格子は、フランフォーファー回折像面にて複数のフランフォーファー回折像を形成する。そのうち、0次と+1次の回折像を、それぞれ0次回折像、1次回折像と呼ぶことにする。回折格子における凹凸の方向はX方向と一致する。このため、回折格子によって0次回折像および1次回折像は、Y方向と垂直な直線状に配置される。
【0246】
ピンホール63は、回折格子によって作成された0次回折像の略0次光と1次回折像を含むように形成された2つの穴である。0次回折像のうち、略0次光を含むように開けられた穴(ピンホール63A)を通過した光は第2の光となり、ビームスプリッタ12,レンズ60を介して第1変調に入力される。1次回折像を含むように開けられた穴(ピンホール63B)を通過した光は第1の光となり、レンズ408に入力される.すなわち、回折格子およびピンホール63A,およびピンホール63Bにより第1の光と第2の光に分波するため、これらの光学素子により第1〜19配置例におけるビームスプリッタ12と同様の役割を果たす。
【0247】
第20配置例のビームスプリッタ12は、光を反射させ、透過しないミラーでもよい。ビームスプリッタ12は、ピンホール63のうち略0次光を含むように開けられた穴(ピンホール63A)を通過した光をレンズ60へと出力する。レンズ60の前焦点面はピンホール63と同じ面にあり、レンズ60の前焦点はピンホール63Aの中心と一致する。以上のように構成することで、第20配置例においても第1〜19配置例と同じく略0次光を参照光として、抜き出すことができる。
【0248】
(第21配置例)
上記第1〜第20配置例において、観察装置1は、Ωだけ周波数が異なる変調周波数が与えられる第1変調器および第2変調器を備え、この周波数Ωを中心にナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域を切り出している。本配置例は、図48に示すように、第1変調器および第2変調器に代えて、単一の周波数変調器70(一つの変調器)を用いる点で、上記第1〜第20配置例と異なる。たとえば、周波数変調器70は、音響光学効果を用いた変調器である。
【0249】
第1シグナルジェネレータ21から出力されて第1増幅器22により増幅された周波数Ωが周波数変調器70に与えられた場合、ビームスプリッタ12に反射されて周波数変調器70に入力された光周波数ωの光は、周波数変調を受けて、光周波数ω+nΩ(n:整数)の光として周波数変調器70の出力端から出力される。このため、光検出器46では、ヘテロダイン干渉により、散乱光および参照光それぞれの光周波数の差周波数を有するビート信号が観測される。ここで、周波数変調器70へ印加する周波数Ωは、対象物2の移動による蛍光の最大ドップラーシフト周波数ωdmaxが、Ω>ωdmaxの条件を満たすように決定される。
【0250】
なお、最大ドップラーシフト周波数ωdmaxは、ナイキスト角周波数ωnyqと同じ値を示す。ここで、ナイキスト角周波数ωnyqは、上記(6)式に示されるナイキスト周波数fnyqを角周波数表記したものであり、ωnyq=2π・fnyqである。
【0251】
本配置例において、演算部50は、周波数変調器70へ印加する周波数Ωを中心にナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域を切り出す。また、上述のように周波数変調器70から出力される光には、ω+nΩの周波数をもつ光が存在するため、適宜、それらを参照光として選択すれば、光検出器46で得られる干渉信号としては、nΩを含む信号が観測される。このため、周波数変調器70へ印加する周波数Ωの2次波(2Ω)、3次波(3Ω)等の倍波であるnΩ(n:0以外の整数)を中心に、ナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域を切り出してもよい。
【0252】
以上で述べた一つの変調器からなる構成は、上記第1〜第20配置例に適用することができる。すなわち、第1〜第20配置例において備える第1変調器および第2変調器に代えて、上記周波数変調器70を備えることで、第1〜第20配置例で示した出力と同じ出力を得ることができる。この場合、演算器50は、周波数変調器70へ印加する周波数Ωまたはその倍波であるnΩを中心にナイキスト周波数fnyqを前後に含む領域を切り出す点以外は、第1〜第20配置例で示したものと同じ演算処理および演算器構成となる。すなわち、演算部50が、時刻変数tに関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、一つの変調器における変調周波数Ωまたはその倍波であるnΩを中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、フーリエ変換を行って複素振幅像g(ξ,η)を得る。
【0253】
本配置例では、第1変調器および第2変調器に代えて、単一の周波数変調器70を用いている。そのため、使用する変調器の数を減らすことができ、観察装置1の小型化を図ることができる。また、観察装置1の製造コストを低減することができる。
【0254】
本実施形態の観察装置1では、対象物2の速度が変化するとドップラー信号に周波数変調が生じて、最終的に得られる対象物2の像が流れ方向に伸縮する。このような伸縮を補正するために、本実施形態の観察装置1は、対象物2の移動速度を検出する速度検出部を更に備えるのが好適である。そして、演算部50は、速度検出部により検出された対象物2の速度に基づいて、時間方向の1次元フーリエ変換または2次元フーリエ変換の際に対象物2の速度変化に関する補正を行うのが好適である。または、速度検出部より検出された対象物2の速度に基づいて、光検出器46の撮影タイミングを図ってもよい。
【0255】
この速度検出部は、任意のものが用いられ得るが、移動速度とドップラーシフト量との間の関係を利用して、レンズ40の後焦点面の散乱光到達位置における信号の周波数を検出することでも対象物2の移動速度を求めることができる。この場合、速度検出部は、ビームスプリッタ41から光検出器46へ向う光の一部が分岐されたものをフーリエ面上で検出してもよいし、或いは、光検出器46の受光面の一部に独立に設けられた画素を含むものであってもよい。その画素の大きさは、対象物2の移動速度Vとドップラー周波数fとの関係から導かれる移動速度の分解能を有する面積を持つことが好ましい。
【0256】
本実施形態の観察装置1において、第1配置例では、対象物2からの蛍光のうち、光軸方向に発せられる蛍光(略0次光)は、レンズ40により1点に集光される。この略0次光が光検出器46の受光面に到達すると、光検出器46により得られる信号の質が劣化する。そこで、このような略0次光が光検出器46の受光面にすべてが到達しないように略0次光を減衰させるための減光フィルタ47が設けられるのが好ましい。或いは、略0次光の発生が少ないようなビーム断面を有する光L0を対象物2に照射するのが好ましい。そして、減光フィルタ47の透過率を加味させ、強度ムラを補正することが好ましい。
【0257】
以上の説明では、ξη平面上で対象物2が一方向に移動する場合について説明した。本発明は、ξη平面に垂直なζ方向(レンズ40の光軸の方向)に対象物2が往復移動する場合にも適用可能である。この場合、レンズ後焦点面において径方向にドップラーシフトが生じるので、周方向に画素構造を有し各画素が放射状に延在する光検出器が用いられる。
【0258】
以上の説明では、光源の対象物の蛍光像を透過照明で取得する実施例を主に示したが、反射(落射)照明、または限外照明で取得してもよいことは、明らかである。光源として、単一縦モードの光の利用が好適であるが、これに限定されない。例えば、広帯域の光を用いることで、蛍光強度を高めることが可能となる。その他、広帯域の光として、波長成分間の位相関係が一定であるものを用いるのが好適である。このような光源として、例えばモードロックレーザーを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0259】
近年注目を集めている血中癌細胞(Circulating Tumor Cell、 CTC)は、正常血液有核細胞(白血球のこと)中およそ1000万分の1の頻度で含まれることから、検出能を高めるためには検査の迅速化が求められる。本発明は、このような分野に利用可能である。本発明は、スループットが高いフローサイトメトリーにも応用可能である。本発明は、光検出器46として1次元のものを用いて、移動している対象物2を観察することができるので、フレームレートの向上が可能であり、細胞等の対象物2を高速に流すことでできるので検査効率の向上が可能である。また、スライドガラスに貼り付けら得た細胞標本,組織標本に対しても非染色にてコントラスト良く撮影可能になる。また、金属顕微鏡のような反射光による複素振幅像も得ることができる。
【符号の説明】
【0260】
1…観察装置、2…対象物、10…光源部、11…照明用レンズ、12…ビームスプリッタ、20…第1変調器、21…第1シグナルジェネレータ、22…第1増幅器、30…第2変調器、31…第2シグナルジェネレータ、32…第2増幅器、40…レンズ、41…ビームスプリッタ、42,43…ミラー、44…レンズ、45…フィルタ、46…光検出器、47…減光フィルタ、50…演算部、51…第1フーリエ変換部、52…第2フーリエ変換部、53…第3フーリエ変換部、54…第4フーリエ変換部、55…特定領域切出部、56…初期位相補正器、57…2次位相除算部、58…各出力総和器、59…第2方向変換器、60…2次位相補正器、70…周波数変調器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動している対象物が有する蛍光物質を励起させ、該対象物から蛍光を生じさせる光を該対象物へ照射する光源部と、
前記光源部による光照射により前記対象物から生じた蛍光のうち所定平面に到達した光において前記対象物の移動に因るドップラーシフト効果が一定となる前記所定平面上の方向であって、前記対象物の移動方向に垂直な方向を第1方向とし、この第1方向に直交する前記所定平面上の方向であって、前記対象物の移動方向に平行な方向を第2方向としたときに、前記所定平面上の各位置に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータの、前記第2方向についての総和を表すデータを、前記第1方向の各位置について各時刻に出力する検出部と、
前記所定平面上の前記第1方向の位置および時刻を変数とするデータについての時刻変数に関する1次元フーリエ変換と、このフーリエ変換後のデータについての2次元フーリエ変換とを行って、この2次元フーリエ変換により得られたデータを前記対象物の像として得る演算部と、
を備え、
前記検出部が、
前記光源部から出力された光により前記対象物から生じた蛍光を入力して、その入力した蛍光を前記対象物の後段にて2分割して第1の光および第2の光とし、前記第2の光を変調器で変調した後に、前記所定平面上で前記第1の光と当該変調後の第2の光とをヘテロダイン干渉させる光学系と、
前記所定平面に受光面を有し、該受光面において前記第1方向に画素構造を有する光検出器と、
を含む、観察装置。
【請求項2】
演算部は、
前記時刻変数に関する1次元フーリエ変換を行う第1フーリエ変換部と、
前記2次元フーリエ変換を行う第2フーリエ変換部と、
を備え、
前記第2フーリエ変換部は、周波数に関する1次元フーリエ変換を行う第3フーリエ変換部と、前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う第4フーリエ変換部と、を備える、
請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズの前記第1方向における後焦点面であって、前記レンズの前記第2方向における後焦点面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項4】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、前記第2方向において前記対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項5】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、前記第2方向において前記対象物の像が形成される結像面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項6】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物のフランフォーファー回折像が形成される面であって、前記第2方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項7】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物の像が形成される結像面であって、前記第2方向において前記対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置され、
前記レンズは、前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項8】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物の像が形成される結像面であって、前記第2方向において前記対象物の像が形成される結像面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置され、
前記レンズは、前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項9】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物の像が形成される結像面であって、前記第2方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置され、
前記レンズは、前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項10】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面であって、前記第2方向において前記対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項11】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面であって、前記第2方向において前記対象物の像が形成される結像面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項12】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面であって、前記第2方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項13】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面であって、前記第2方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部、前記第4フーリエ変換部の順に配置される、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項14】
移動している対象物が有する蛍光物質を励起させ、該対象物から蛍光を生じさせる光を該対象物へ照射する光源部と、
前記光源部による光照射により前記対象物から生じた蛍光のうち所定平面に到達した光において前記対象物の移動に因るドップラーシフト効果が一定となる前記所定平面上の方向であって、前記対象物の移動方向に垂直な方向を第1方向とし、この第1方向に直交する前記所定平面上の方向であって、前記対象物の移動方向に平行な方向を第2方向としたときに、前記所定平面上の各位置に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータの、前記第2方向についての総和を表すデータを、前記第1方向の各位置について各時刻に出力する検出部と、
前記所定平面上の前記第1方向の位置および時刻を変数とするデータについて、時刻変数に関する1次元フーリエ変換、周波数に関する1次元フーリエ変換、および前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行って、これらの1次元フーリエ変換により得られたデータを前記対象物の像として得る演算部と、
を備え、
前記検出部が、
前記光源部から出力された光により前記対象物から生じた蛍光を入力して、その入力した蛍光を前記対象物の後段にて2分割して第1の光および第2の光とし、第2の光を変調器で変調した後に、前記所定平面上で前記第1の光と当該変調後の第2の光とをヘテロダイン干渉させる光学系と、
前記所定平面に受光面を有し該受光面において前記第1方向に画素構造を有する光検出器と、
を含む、観察装置。
【請求項15】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物の像が形成される結像面であって、前記第2方向において前記対象物の像が形成される結像面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部の順に配置され、
前記レンズは、前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項14に記載の観察装置。
【請求項16】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物の像が形成される結像面であって、前記第2方向において前記対象物のフランフォーファー回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部の順に配置され、
前記レンズは、前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項14に記載の観察装置。
【請求項17】
前記光源部と前記検出部の間に配置されるレンズを更に備え、
前記検出部の受光面は、前記レンズにより前記第1方向において前記対象物の像が形成される結像面であって、前記第2方向において前記対象物のフレネル回折像が形成される面に配置され、
前記光源部、前記レンズ、前記検出部、前記第1フーリエ変換部、前記第3フーリエ変換部の順に配置され、
前記レンズは、前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項14に記載の観察装置。
【請求項18】
前記演算部は、前記時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータに含まれる初期位相を補正する初期位相補正部を更に備える、
請求項1〜17の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項19】
前記検出部は、複数存在し、
前記演算部は、前記複数の検出部からの出力の総和を求める出力総和器を更に備える、
請求項1〜18の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項20】
前記演算部は、前記第2方向に関するフーリエ変換またはフレネル変換を行う第2方向変換部を更に備える、
請求項1〜19の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項21】
前記演算部が、前記時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、第1変調周波数と第2変調周波数との差周波数を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、前記2次元フーリエ変換を行う、
請求項1〜13、および18〜20の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項22】
前記演算部が、前記時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、第1変調周波数と第2変調周波数との差周波数を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、前記周波数に関する1次元フーリエ変換、および前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項14〜20の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項23】
前記変調器は、一つの変調器として構成され、
前記演算部が、前記時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、前記一つの変調器における変調周波数または該変調周波数の倍波を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、前記2次元フーリエ変換を行う、
請求項1〜13、および18〜20の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項24】
前記変調器は、一つの変調器として構成され、
前記演算部が、前記時刻変数に関する1次元フーリエ変換により得られたデータのうち、前記一つの変調器における変調周波数または該変調周波数の倍波を中心としてナイキスト周波数を前後に含む領域のデータについて、前記周波数に関する1次元フーリエ変換、および前記第1方向に関する1次元フーリエ変換を行う、
請求項14〜20の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項25】
前記対象物の移動速度を検出する速度検出部を更に備え、
前記演算部が、前記速度検出部により検出された前記対象物の速度に基づいて、前記時刻変数に関する1次元フーリエ変換または前記2次元フーリエ変換の際に前記対象物の速度変化に関する補正を行う、
請求項1〜24の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項26】
前記対象物への光の照射が、透過照明の光学配置である請求項1〜25の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項27】
前記対象物への光の照射が、反射照明の光学配置である請求項1〜25の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項28】
前記光源部が、単一縦モードの光を生成する光源である請求項1〜27の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項29】
前記光源部が、広帯域の光を生成する光源である請求項1〜27の何れか1項に記載の観察装置。
【請求項30】
前記光源部が、モードロックレーザーである請求項29に記載の観察装置。
【請求項31】
前記検出器は、前記受光面の前面に配置され、前記光源部からの光を遮断し、前記対象物から生じた蛍光を透過するフィルタを更に備える請求項1〜30の何れか1項に記載の観察装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図1】
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【図12】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2013−88520(P2013−88520A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227119(P2011−227119)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】