説明

観測衛星システム

【課題】 空間航行体に搭載され地上観測を行うレーダ装置から照射される電波ビームの走査範囲を広げ、観測不能領域を狭める。
【解決手段】 太陽電池パドル12により生成された電力をマイクロ波に変換して送電する送電アンテナ9と、レーダ衛星2との間で制御情報および観測情報を授受する衛星間通信装置14を備えた制御衛星2と、レーダ装置1と、自衛星の姿勢角を変更する姿勢角変更機28と、制御衛星2から送電されたマイクロ波を電力に変換するマイクロ波電力変換機22と、マイクロ波電力変換機22からの電力を蓄電するバッテリ23を備えた複数のレーダ衛星1から構成され、各レーダ衛星1は、制御衛星2からの制御情報に基づいて、各レーダ装置1のビーム軸が互いに観測領域内の異なる方向を向くようにレーダ衛星の姿勢角変更機28を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空間航行体に搭載されたレーダ装置を用いてレーダ画像を得る観測衛星システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空間航行体に人工衛星を用いて、レーダ装置を搭載した人工衛星の軌道運動、及びレーダ装置のビーム走査機能を利用することで、地球表面上の目標観測領域に対して電波ビームを様々な方向から照射し、レーダ画像を取得していた(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5-61963号公報
【特許文献2】特開平11-085284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定長の観測領域についてレーダ画像を得るには、空間航行体の移動に応じてレーダ装置のビームを走査する。この際、分解能が高くかつ観測幅の広いレーダ画像を取得するには、レーダ装置のビーム走査範囲を広く取る必要があり、そのためには、レーダ装置のアンテナを大きくする必要がある。
【0005】
しかしながら、空間航行体への搭載重量や慣性モーメントなどの制約から、レーダ装置のアンテナの大きさは制限され、電波ビームの走査範囲を広く取ることができないという問題があった。
【0006】
また、隣接する観測領域を連続して観測する際、2つの観測領域の間でレーダ装置のビーム方向を切替える。ビーム方向の切替え時は、レーダ装置による観測ができず、この間は観測不能領域となる。従来、電波ビームの走査範囲に制約があることから、観測不能領域を狭めることができないという問題があった。
【0007】
この発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、空間航行体に搭載されたレーダ装置から照射される電波ビームの走査範囲を広げ、観測不能領域を狭めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による観測衛星システムは、太陽電池パドルと、上記太陽電池パドルにより生成された電力をマイクロ波に変換するマイクロ波変換機と、上記マイクロ波変換機により変換されたマイクロ波を送電する送電アンテナと、地上局との通信により制御指令を受信し、観測情報をダウンリンクする地上通信装置と、上記制御指令に基づき制御情報を生成する計算機と、上記制御情報を送信するとともに、上記観測情報を受信して地上通信装置に送出する衛星間通信装置と、自衛星の姿勢角を変更する姿勢角変更機とを備えた制御衛星と、上記観測情報を得るレーダ装置と、上記制御衛星の衛星間通信装置から制御情報を受けるとともに、レーダ装置の得た観測情報を上記制御衛星の衛星間通信装置に送信するレーダ衛星用衛星間通信装置と、レーダ衛星用計算機と、自衛星の姿勢角を変更するレーダ衛星用姿勢角変更機と、上記制御衛星から送電されたマイクロ波を受電する給電アンテナと、上記給電アンテナの受信波を電力に変換するマイクロ波電力変換機と、上記マイクロ波変換機により変換された電力を蓄電し、蓄電された電力を各衛星搭載機器に供給するバッテリと、を備えた複数のレーダ衛星とを備え、
上記各レーダ衛星の計算機は、上記制御衛星から送信される制御情報に基づいて、各レーダ装置のビーム軸が互いに観測領域内の異なる部分領域を指向するように、それぞれのレーダ衛星のレーダ衛星用姿勢角変更機を制御するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、レーダ装置を個々に搭載する複数のレーダ衛星に対し、それぞれ電力及び制御情報を供給してレーダ装置のビーム方向を制御することにより、レーダ装置1台当たりについて、観測領域の画像取得に必要な動作時間を短縮し、観測領域を広く取ることが可能となる。また、これにより観測不能領域を狭めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る観測衛星システムは、レーダ装置を個々に搭載する複数の空間航行体(以下、レーダ衛星と称す)を群配置し、それぞれのレーダ衛星のビーム軸方向を制御する制御衛星を用いることで、レーダ装置のビーム走査範囲を広く取ることができるようにしたことを特徴とする。以下、図を用いて実施の形態1について説明する。
【0011】
図1は、観測衛星システムの配置構成を示す図である。図1(a)はレーダ衛星が観測領域100を観測している状態を示し、図1(b)はレーダ衛星が制御衛星から電力供給を受けている状態を示す図である。図において、複数のレーダ衛星1a〜1dは地球101を周回する軌道102上を航行する。レーダ衛星1a〜1dはそれぞれレーダ装置8a〜8dを備えている。制御衛星2は地球101を周回する軌道102よりも高い高度の軌道103上を航行する。レーダ衛星1a〜1dは制御衛星2からマイクロ波4の電力供給を受ける。レーダ衛星1a〜1dは、制御衛星2から制御情報3a〜3dの供給を受けて、各レーダ装置8a〜8dのそれぞれのビーム軸が所望の方向を指向するように制御する。また、レーダ衛星1a〜1dは、各自己位置の観測によって得られる航法情報5a〜5dを、それぞれ制御衛星2へ送信する。
【0012】
制御情報3a〜3dは、各レーダ衛星1a〜1dのレーダ装置8a〜8dが、観測領域100内における各目標領域(部分領域)を視野内に納めるために、レーダ装置8a〜8dが傾けるべき姿勢角θa〜θdの目標値情報を含んでいる。また、制御情報3a〜3dは、制御衛星2の自己位置観測によって得られる、制御衛星2の航法情報を含んでいる。航法情報5a〜5dは、各レーダ衛星1a〜1dの自己位置観測によって得られた空間位置情報、及びバッテリ放電量を含む。
【0013】
地上局6は、軌道103上を航行する制御衛星2に対し地上からの制御指令7を送信する。また、地上局6は、制御衛星2から送信されるテレメトリ情報を受信する。テレメトリ情報には、制御衛星2の各搭載機器から送られるテレメトリや観測情報が含まれる。制御指令7は、観測領域100の中心座標及び領域の幅の情報を含む。観測領域100は、レーダ画像の合成開口処理によって地形や地物の画像を得たり、領域内に発生する変化領域の抽出を行うための監視対象エリアである。
【0014】
このレーダシステムでは、図1(a)に示すように、レーダ衛星1a〜1dが制御情報3a〜3dに基づいて自身の姿勢を変更することで、レーダ装置8a〜8dのビーム軸方向を観測領域100へ向け、レーダ波を照射する。複数のレーダ衛星1a〜1dは、軌道進行方向に群を成すように離間した異なる位置に配置され、群を成して航行する。また、各レーダ装置8a〜8dのビーム軸の方向が、互いに連結して観測領域内の全領域を覆う異なる部分領域を指向するように姿勢制御されて、各レーダ装置によって合成開口アンテナが構成される。この各レーダ装置8a〜8dにより得られた観測データを用いて、合成開口レーダ信号処理を行うことにより、観測領域のレーダ画像を得ることができる。このような衛星配置を取ることにより、各レーダ衛星1a〜1dについて観測開始から観測終了までに必要なビーム走査角を狭めることが可能であり、レーダ装置の姿勢切替えに伴って、観測不可能となる観測不能領域を狭めることができる。これについて、図2を用いてさらに詳しく説明する。
【0015】
図2は、従来のレーダ衛星が地上観測を行う際の運用形態の一例を示している。図において、地球周回軌道を航行中のレーダ衛星200は、軌道上で位置PaからPfの間を通過する。レーダ衛星200は位置PaからPcまでの間で観測領域A1を観測し、位置PdからPfまでの間で観測領域A2を観測する。レーダ衛星200が位置PaからPfに至るまでの間に、搭載するレーダ装置は、レーダ画像を取得するのに必要なビーム走査角αaからαdを取る。また、符号L1は観測領域A1の観測幅であり、符号L2は観測領域A2の観測幅である。符号d12は、観測領域A1と観測領域A2の間に存在する観測不可能な領域幅を有した観測不能領域を示す。
【0016】
図2において、レーダ装置のビーム走査範囲はアンテナの大きさに制限される一方、観測領域のレーダ画像を取得するためには、位置PaからPfまで移動する軌道運動に伴い、角度αaからαdまでビームを走査する必要がある。ここで、観測領域A1を観測した後、続けて観測領域A2を観測する場合、ビーム走査角を一旦角度αbからαcへ戻す必要があるため、観測領域A1と観測領域A2の間に観測不能領域d12が発生してしまう。
また、観測時に、観測領域の両端を所望の入射角Φで観測することが要求されるが、レーダ装置のビーム走査可能範囲の制約上、空間航行体の姿勢を変更することが必要となる。この際、観測領域幅を長くするとより長い姿勢変更期間Gが必要になるが、入射角Φの増大に伴い、観測に必要なレーダ波の送信電力も増大するため、必要な電力を得るための太陽電池パドルが大型化し、その結果素早い姿勢変更が困難となる。このため、姿勢変更期間Gを狭めることができず、観測不能エリアd12を狭めることもできなくなる。
【0017】
これに対し、図1に示す実施の形態1による観測衛星システムでは、複数のレーダ衛星1a〜1dを用いて所定長の観測領域を観測するため、レーダ衛星一機あたりのビーム走査角を狭めることができる。したがって、レーダ衛星一機あたりの観測に必要な移動量を低減でき、次の観測の開始可能位置を、位置Pcよりも手前の位置にもっていくことができるため、観測不能領域を狭めることができる。
【0018】
次に、図1(b)によりレーダ衛星1a〜1dへの給電動作について説明する。レーダ衛星1a〜1dの動作に必要な電力は、制御衛星2からマイクロ波4により供給する。この電力供給は非観測領域で実施する。レーダ衛星1a〜1dへの電力供給は、地上指令7に含まれる観測領域の中心座標及び領域幅の情報から解析される非観測領域上空にて、制御衛星2により行われる。
【0019】
この場合、電力供給は地上局6から地上指令7で与えられる時間T毎に実施する。また、レーダ衛星毎に、航法情報5a〜5dに含まれるバッテリ放電量を制御衛星2にて解析して、制御衛星2からレーダ衛星へ電力を供給する電力供給時間Ta〜Td分を求める。この求めた電力供給時間だけ各レーダ衛星に電力供給を実施する。ここで、T=Ta+Tb+・・・+Tdである。なお、レーダ衛星1a〜1dは、何れも制御衛星2からマイクロ波4により電力を充分に供給できる範囲内に配置されることは言うまでもない。
【0020】
マイクロ波4による効率的な電力供給を実現するため、送電中、制御衛星2は航法情報5a〜5dに基づき、送電アンテナ9のビーム軸方向が、所定の供給時間毎に順次レーダ衛星1a〜1dを向くように、自己の姿勢を順次変更するように姿勢制御を行う。また、レーダ衛星1a〜1dは、給電アンテナ10a〜10dがそれぞれ制御衛星2を向くように、制御情報3a〜3dに含まれる制御衛星2の航法情報に基づき自己の姿勢をそれぞれ制御する。制御衛星2から電力を供給することにより、レーダ衛星1a〜1dについては、電力の発生に必要な太陽電池パドルを廃することができる。このため、各レーダ衛星1a〜1dが素早い姿勢変更を行うことが可能となり、レーダ装置8a〜8dに必要なビーム入射角を素早く実現できる。したがって、所望の観測領域をレーダ装置8a〜8dの所望の入射角Φで観測する際にも、レーダ装置個々の観測領域を狭めることができる。
【0021】
レーダ衛星1a〜1dが取得したレーダ観測データ11a〜11dは、一旦、レーダ衛星1a〜1dから制御衛星2へ送信される。制御衛星2は、各レーダ衛星1a〜1dから収集したレーダ観測データ11a〜11dを纏めて、地上局6へ一括送信する。地上局6では、レーダ観測データ11a〜11dについてデータ処理を施し、合成開口レーダ信号処理を行うことによってレーダ画像を生成する。制御衛星2がレーダ観測データ11a〜11dを一括して地上局へ送信することにより、レーダ衛星を個々に追尾する地上局をそれぞれ設ける必要はなく、原則として、制御衛星2を追尾する地上局6のみを用意すればよい。この際、地上局6は複数あっても良く、地上指令7を送信する送信局とレーダ観測データ11a〜11dを受信する受信局とが異なって配置されても良い。
【0022】
図3は、実施の形態1における、制御衛星2の機能構成図を表している。制御衛星2は、送電アンテナ9と、太陽電池パドル12と、マイクロ波変換機13と、衛星間通信装置14と、計算機15と、記録装置16と、地上通信装置17と、航法衛星信号受信機19と、姿勢角検出器20と、姿勢角変更機21を備えて構成される。太陽電池パドル12は、制御衛星2及びレーダ衛星1a〜1dの動作に必要な電力を発生する。レーダ衛星1a〜1dの動作に必要な電力は、マイクロ波変換機13によりマイクロ波に変換され、送電アンテナ9により各レーダ衛星1a〜1dへそれぞれ送信される。衛星間通信装置14は、レーダ衛星1a〜1dから航法情報5a〜5d及びレーダ観測データ11a〜11dを受信する。
【0023】
衛星間通信装置14は、レーダ衛星1a〜1dから受信した航法情報5a〜5dを計算機15へ出力する。また、レーダ観測データ11a〜11dについては、記録装置16へ出力し、記録する。記録装置16に記録したレーダ観測データ11a〜11dは、地上局6へ送信可能な地域の上空にて、記録装置16から地上通信装置17へ送信され、地上通信装置17から地上局6へ送信する。航法衛星信号受信機19は、複数の航法衛星18a、18bなどが発する測距用電波を受信して、制御衛星2の位置情報を解析し、解析した位置情報を計算機15へ出力する。姿勢角検出器20は、恒星センサや慣性基準装置などにより構成し、解析した自己の姿勢角情報を計算機15へ出力する。地上通信装置17は地上局6より地上指令7を受信し、計算機15へ出力する。計算機15は地上指令7及び航法情報5a〜5dに基づき、所要の電力供給時間Ta〜Tdを解析する。また、計算機15は地上指令7に基づき、レーダ衛星1a〜1dを指向させるための目標の姿勢角θa〜θbを解析する。計算機15は、供給時間Ta〜Td及び姿勢角θa〜θbに基づく解析により、レーダ衛星1a〜1dのレーダ装置10a〜10dを姿勢角θa〜θbに向かせるための、姿勢変更角を含む制御情報3a〜3dを得る。得られた制御情報3a〜3dは衛星間通信装置14へ出力され、レーダ衛星1a〜1dへ送信される。さらに、計算機15は、航法情報5a〜5d、位置情報及び姿勢角情報に基づき、制御衛星2がレーダ衛星1a〜1dをそれぞれ指向するための姿勢角制御情報を解析して、姿勢角変更機21へ出力する。これにより、各電力供給時(Ta〜Td)には、送電アンテナ9が、それぞれレーダ衛星1a〜1dへ向くように、姿勢角制御情報に基づいて姿勢角変更機21を制御し、制御衛星2の姿勢を調整する。
【0024】
図4は、実施の形態1におけるレーダ衛星1a〜1dの機能構成図を表している。各レーダ衛星1a〜1dは、レーダ装置8(8a〜8d)と、給電アンテナ10(10a〜10d)と、マイクロ波電力変換機22と、レーダ衛星用のバッテリ23と、レーダ衛星用の計算機24と、レーダ衛星用の衛星間通信装置25と、レーダ衛星用の航法衛星信号受信機26と、レーダ衛星用の姿勢角検出器27と、レーダ衛星用の姿勢角変更機28を備えて構成される。給電アンテナ10a〜10dは、レーダ衛星1a〜1dに必要な電力を、制御衛星2の送電アンテナ9から送出されるマイクロ波として受信する。受信したマイクロ波はマイクロ波電力変換機22を用いて電力に変換され、バッテリ23へ蓄積される。バッテリ23の放電量は計算機24がバッテリ23から検出する充放電情報に基づき解析する。衛星間通信装置25は、制御衛星2から制御情報3を受信し、計算機24へ出力する。航法衛星信号受信機26は、複数の航法衛星18a、18bなどが発する測距用電波を受信して、レーダ衛星2の自己の位置情報を解析し、計算機24へ出力する。姿勢角検出器27は、恒星センサや慣性基準装置などにより構成され、レーダ衛星2の自己の姿勢角情報を解析し、計算機24へ出力する。観測領域上空では、計算機24は制御情報3、航法衛星信号受信機26からの位置情報、及び姿勢角検出器27からの姿勢角情報に基づき、姿勢角制御情報を求める。計算機24は、求めた姿勢角制御情報に基づいて姿勢角変更機28を駆動し、レーダ装置10a〜10dの指向方向を制御することにより、レーダ装置10a〜10dによる観測を実施する。レーダ装置10a〜10dによる各レーダ観測により得られたレーダ観測データ11は、衛星間通信装置25により、それぞれ制御衛星2へ送信される。また、計算機24は、バッテリ23の放電量及び自己の位置情報から航法情報5を生成し、衛星間通信装置25を用いて制御衛星2へ送信する。
【0025】
以上説明したとおり、実施の形態1による観測衛星システムは、太陽電池パドル12と、太陽電池パドル12により生成された電力をマイクロ波に変換するマイクロ波変換機13と、マイクロ波変換機13により変換されたマイクロ波を送電する送電アンテナ9と、地上局との通信により制御指令を受信し観測情報をダウンリンクする地上通信装置17と、上記制御指令に基づき制御情報を生成する計算機15と、上記制御情報を送信するとともに、上記観測情報を地上通信装置17に送出する衛星間通信装置14と、自衛星の姿勢角を変更する姿勢角変更機21とを備えた制御衛星2と、上記観測情報を得るレーダ装置1と、制御衛星2の衛星間通信装置14から制御情報を受けるとともに、レーダ装置8の得た観測情報を制御衛星2の衛星間通信装置14に送信する衛星間通信装置25と、計算機24と、自衛星の姿勢角を変更する姿勢角変更機28と、制御衛星2から送電されたマイクロ波を受電する給電アンテナ9と、給電アンテナ9の受信波を電力に変換するマイクロ波電力変換機22と、マイクロ波電力変換機22により変換された電力を蓄電し、蓄電された電力を各衛星搭載機器に供給するバッテリ23とを備えた複数のレーダ衛星1から構成され、各レーダ衛星1の計算機24は、制御衛星2から送信される制御情報に基づいて、各レーダ装置1のビーム軸が互いに観測領域内の異なる部分領域を指向するように、それぞれのレーダ衛星の姿勢角変更機28を制御するものである。これにより、レーダ装置を個々に搭載する複数のレーダ衛星に対し、それぞれ電力及び制御情報を供給してレーダ装置のビーム方向を制御することにより、レーダ装置1台当たりについて、観測領域の画像取得に必要な動作時間を短縮し、観測領域を広く取ることが可能となる。また、これにより観測不能領域を狭めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明に係る実施の形態1による観測衛星システムの運用形態を示す図である。
【図2】従来のレーダ衛星の運用形態を示す図である。
【図3】この発明に係る実施の形態1による制御衛星の構成を示す図である。
【図4】この発明に係る実施の形態1によるレーダ衛星の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1a〜1d レーダ衛星、2 制御衛星、6 地上局、8a〜8d レーダ装置、9 送電アンテナ、12 太陽電池パドル、13 マイクロ波変換機、14 衛星間通信装置、15 計算機、16 記録装置、17 地上通信装置、19 航法衛星信号受信機、20 姿勢角検出器、21 姿勢角変更機、22 マイクロ波電力変換機、23 バッテリ、24 計算機、25 衛星通信装置、26 航法衛星信号受信機、27 姿勢角検出器、28 姿勢角変更機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パドルと、
上記太陽電池パドルにより生成された電力をマイクロ波に変換するマイクロ波変換機と、
上記マイクロ波変換機により変換されたマイクロ波を送電する送電アンテナと、
地上局との通信により制御指令を受信し、観測情報をダウンリンクする地上通信装置と、
上記制御指令に基づき制御情報を生成する計算機と、
上記制御情報を送信するとともに、上記観測情報を受信して地上通信装置に送出する衛星間通信装置と、
自衛星の姿勢角を変更する姿勢角変更機と、
を備えた制御衛星と、
上記観測情報を得るレーダ装置と、
上記制御衛星の衛星間通信装置から制御情報を受けるとともに、レーダ装置の得た観測情報を上記制御衛星の衛星間通信装置に送信するレーダ衛星用衛星間通信装置と、
レーダ衛星用計算機と、
自衛星の姿勢角を変更するレーダ衛星用姿勢角変更機と、
上記制御衛星から送電されたマイクロ波を受電する給電アンテナと、
上記給電アンテナの受信波を電力に変換するマイクロ波電力変換機と、
上記マイクロ波変換機により変換された電力を蓄電し、蓄電された電力を各衛星搭載機器に供給するバッテリと、
を備えた複数のレーダ衛星と、
を備え、
上記各レーダ衛星の計算機は、上記制御衛星から送信される制御情報に基づいて、各レーダ装置のビーム軸が互いに観測領域内の異なる部分領域を指向するように、それぞれのレーダ衛星のレーダ衛星用姿勢角変更機を制御することを特徴とした観測衛星システム。
【請求項2】
太陽電池パドルと、
上記太陽電池パドルにより生成された電力をマイクロ波に変換するマイクロ波変換機と、
上記マイクロ波変換機により変換されたマイクロ波を複数のレーダ衛星にそれぞれ送電する送電アンテナと、
地上局との通信により制御指令を受信し、観測情報をダウンリンクする地上通信装置と、
上記制御指令に基づき制御情報を生成する計算機と、
上記制御情報を複数のレーダ衛星にそれぞれ送信するとともに、観測情報を上記地上通信装置に送出する衛星間通信装置と、
自衛星の姿勢角を変更する姿勢角変更機と、
を備え、
上記衛星間通信装置は、上記各レーダ衛星に搭載されたレーダ装置のビーム軸が互いに観測領域内の異なる部分領域を指向するように、それぞれのレーダ衛星に対し姿勢角を変更するための制御情報を送信することを特徴とした観測衛星システム。
【請求項3】
レーダ装置と、
上記レーダ装置のビーム軸が観測領域内において他のレーダ装置とは異なる部分領域を指向するための制御情報を、制御衛星から受けるとともに、上記レーダ装置の観測情報を制御衛星に送信する衛星間通信装置と、
計算機と、
自衛星の姿勢角を変更する姿勢角変更機と、
上記制御衛星から送電されたマイクロ波を受電する給電アンテナと、
上記給電アンテナの受信波を電力に変換するマイクロ波電力変換機と、
上記マイクロ波変換機により変換された電力を蓄電し、蓄電された電力を各搭載機器に供給するバッテリと、
を備えたレーダ衛星であって、
上記計算機は、上記制御衛星から送信される制御情報に基づいて、他のレーダ衛星に対してビーム軸が観測領域内の異なる部分領域を指向するように、姿勢角変更機を制御することを特徴とした観測衛星システム。
【請求項4】
上記それぞれのレーダ衛星は、複数の航法衛星からの測距用電波を受信して航法情報を得る航法衛星信号受信機を備え、
上記レーダ衛星用計算機は、上記衛星間通信装置を介して上記航法衛星受信機により得られた航法情報を上記制御衛星へ供給し、
上記制御衛星は、上記それぞれのレーダ衛星からの航法情報に基づいて、上記レーダ衛星を順次指向するように、上記姿勢角変更機を制御することを特徴とした請求項1記載の観測衛星システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−103656(P2009−103656A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277817(P2007−277817)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】