説明

角度の付いた外科用ドライバー

【課題】中心連結ピンを必要としない作動機構を有する角度の付いた外科用ドライバーを提供する。
【解決手段】第1の回転部材、第2の回転部材、角度の付いたハウジング18及び複数のピン20を含む角度の付いた外科用ドライバー10である。第1の回転部材と第2の回転部材は、互いに角度を持って関連付けられる。角度の付いたハウジングは、第1の回転部材及び第2の回転部材と回転可能に接続される。複数のピンは、第1の回転部材を第2の回転部材に動力を伝えるように接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外科用ドライバーに関し、特に角度の付いた外科用ドライバーに関する。
【背景技術】
【0002】
関節交換手術は米国で、1960年代初頭から行われてきた。最小限の侵襲の手術を用いる補綴寛骨臼殻のインプラント又は修復は、ネジ穴プラグ及び寛骨臼殻にねじ込まれるネジを必要とする。殻を骨に固定するために、骨ネジは、しばしば、ネジ穴を通って寛骨臼殻にねじ込まれ、周囲の皮質骨まで到達する。寛骨臼殻のネジ穴開口は、一般に、手術領域に対して角度を持っている。これは、しばしば、まっすぐなドライバー装置を、殻のネジ穴開口にアクセスするための適切な角度にすることを妨げる。
【0003】
外科手術において、最小限の侵襲性による外科技術は、手術領域の周囲の組織の外傷を減らすという利点を有する。寛骨臼殻の受け入れのためのインプラント領域を準備するために、しばしば拡孔器が必要になる。拡孔器はドライバーに接続され、また、回転器具に接続される。ドライバーは、(手術領域に)近い端部において、独特の構造を備え、この構造は、拡孔器の独特の取り付け機構と互換性がある。
【0004】
整形外科用の拡孔器アセンブリは、ドライバーを含み、また、これは骨の外部表面を成形するのに用いられる。回転器具は、拡孔器が接続されているドライバーに接続され、またこれに動力を付与する。ドライバーは、一般にシャフト及び作動端部を有する。可撓性のシャフトを備える整形外科拡孔器が知られている。可撓性のシャフトにより、拡孔器は、髄内の管のような非直線の通路の経路に沿って移動でき、非線形開口部を広げることができる。
【0005】
作動体と複数のL字作動棒が間に搭載された被作動体との間に搭載される、L字連結棒を備える作動体を備えることが知られている。作動体は、連結穴の周縁部付近に配置された複数の搭載穴と共に中心連結穴を備える。これは、米国特許出願公開第2004/0045417号A1明細書に記載されている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0045417号A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本技術分野において、中心連結ピンを必要としない作動機構が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ピン駆動の角度の付いた外科用ドライバーを提供する。
本発明は、その一形態として、第1の回転部材、第2の回転部材、角度の付いたハウジング及び複数のピンを備える、角度の付いた外科用ドライバーを有する。第1の回転部材及び第2の回転部材は、互いに角度を付けて関連付けられる。角度の付いたハウジングは、第1の回転部材及び第2の回転部材に回転可能に接続される。複数のピンは、第1の回転部材を第2の回転部材に動力を伝えるように接続する。
【0008】
本発明の利点は、中心に位置する連結ピンがないことである。本発明の他の利点は、用いられるピンが、第1のシャフトから第2のシャフトに力を伝達する作動ピンであることである。更に、本発明の利点は、角度の付いたハウジングが、2つの回転シャフトの間の回転可能な角度を画定するということである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による外科用ドライバー実施形態の分解斜視図である。
【図2】組立てられた、図1の外科用ドライバーを示す図である。
【図3】図1及び図2の外科用ドライバーのピンアセンブリを示す部分図である。
【図4】図1乃至3の外科用ドライバーのピンアセンブリを示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の上述の及び他の特徴及び利点並びにこれらの実現方法は以下に明らにされ、後述する本発明の実施形態の説明を添付した図面とともに参照することで、本発明はより理解されるであろう。
【0011】
図面を通して、対応する参照符号は、対応する部分を示している。図面に示される実施例は、本発明の好ましい実施形態を1つの形態として示すものであり、これらの実施例はいかなる意味でも本発明の範囲を限定するように解釈されない。
【0012】
ここで図面、特に図1乃至4を参照すると、シャフト12、シャフト14、スリーブ16、角度の付いたハウジング18、ピン20及び保持カラー22及び24を備える角度の付いた外科用ドライバー10が示されている。シャフト12は軸34を中心に回転し、シャフト14は、軸36を中心に回転する。スリーブ16は、実質的にシャフト12の長さを囲む。スリーブ16は、角度の付いたハウジング18に接続され、シャフト12がスリーブ内で回転しているときに、術者に把持される回転しない表面を提供する。簡潔さのために、シャフト14の遠方端部の取り付け構成は省略する。このような構成により、切断、穴あけ、拡張、ドライバー装置をシャフト14に取り付けることができる。
【0013】
ピン20は、角度の付いたハウジング18と整合する角度を備える。ピン20は、に概ね円筒形状であり、ピン20のほぼ中間点で曲がった形状である。シャフト12は、穴30を備えるボス26を有する。シャフト14は、穴32を備えるボス28を有する。穴30及び32は、それぞれ軸34及び軸36から離れた周縁部付近に配置される。穴30及び32は、それぞれ軸34及び36から所定距離だけ離れている。ピン20は、穴30及び32に滑入できるように配置され、シャフト12及び14が角度の付いたハウジング18に組立てられる。シャフト12及び14は、定められた角度で回転し且つ角度の付いたハウジング18により決定される距離だけ互いに離間するように束縛されているので、ピン20は、アセンブリの中でだけ保持されている。回転力源がシャフト12に接続されているので、シャフト12の回転力がピン20によりシャフト14に伝達される。バネ42が、穴30及び32内に位置決めされており、ピン20運動を制御する。バネ42は、ピン20が穴30及び32内に挿入されるように圧縮され、また、ピン20が、穴30及び32内で変位できるように拡張される。バネ42は、シャフト12及び14から実質的に等しくピン20を変位させる。バネ42により、シャフト12及び14は滑らかに回転することができる。これは、シャフト12及び14が回転しているときに、ピン20は、穴30及び32内で等距離で延びているからである。
【0014】
角度の付いたハウジング18が存在するので、軸34及び36上に配置される中心の保持ピンを設ける必要がなくなる。この利点により、アセンブリ中の中心穴及び保持ピンの配置に関わらず、ピン20を離れて配置させることができる。
【0015】
保持カラー22及び24は、角度の付いたハウジング18と螺合してボス26及び28をそれぞれ角度の付いたハウジング18に位置決めし、シャフト12及び14の回転軸を画定する。まず、ピン20は、穴30及び32のいずれかに挿入され、その後、角度の付いたハウジング18に挿入され、そして適当な保持カラー22又は24が角度の付いたハウジング18にねじ込まれる。その後、ピン20は、穴30又は32に整合するように挿入される。シャフトが、搭載されている保持カラー22又は24と共に角度の付いたハウジング18に挿入された状態であるので、ピン20は、穴に挿入されたままである。異なる寸法で示されるベアリング40は、シャフト12及び14を回転可能に保持する。ハウジング18の構造により、シャフト12及び14が互いに定められた距離で且つ角度の付いたハウジング18により定められた角度で互いに回転できるように、ベアリング40が位置決めされる。
【0016】
このアセンブリは、ピン20によりシャフト12から伝えられる力を伝達するとともに、シャフト14の滑らかな動作を有利に可能にする。4つのピン20が示されているけれども、このアセンブリにおいて、任意の数のピンを使用することができる。更に、ピン20は、軸34及び36から等距離に配置されて示されているが、このような配置は必要的ではなく、また、本発明の他の実施形態として非対称の配置も考慮される。
【0017】
本発明を好ましい設計として説明してきたけれども、本発明は、本開示の精神及び範囲内で更に変形することができる。従って、本願は、一般的な原理を用いてなされる本発明の任意の変形例、使用方法、応用を包含する趣旨である。更に、本願は、本開示から本発明の関係する知識又は慣習的な実践から生ずる逸脱を包含することを意図しており、これらは添付した特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度の付いた外科用ドライバーであって、
第1の回転部材と、
前記第1の回転部材に角度を付けて関連付けられる第2の回転部材と、
前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材に回転可能に接続される、角度の付いたハウジングと、
前記第1の回転部材を前記第2の回転部材に動力を伝えるように接続する複数のピンと、を有することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項2】
請求項1に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記複数のピンの各々は、角度の付いた曲げ部を含むことを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項3】
請求項2に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記複数のピンの全ては、前記第1の回転部材の第1の回転軸から、及び前記第2の回転部材の第2の回転軸からずれていることを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項4】
請求項3に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記角度のついたハウジングは、前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸を画定することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項5】
請求項1に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記複数のピンは、前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材の両方と、滑動可能に関連付けられることを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項6】
請求項5に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、更に、第1のバネ及び第2のバネを含む複数のバネを有し、前記複数のピンは、第1の端部及び第2の端部を備える第1のピンを有し、前記第1のバネは、前記第1の端部を、前記第1の回転部材から離れる方向に変位させ、前記第2のバネは、前記第2の端部を、前記第2の回転部材から離れる方向に変位させることを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項7】
請求項2に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記複数のピンは、前記ピンの各々の中央部分に近接した位置で角度のついた曲げ部を有する円筒形であることを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項8】
請求項1に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、更にカラーを有し、前記カラーは、前記角度の付いたハウジングから取り外し可能であり、前記カラーは、前記第1の回転部材の一部を通す軸開口部を有することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項9】
請求項8に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記カラーは、前記第1の回転部材を前記角度の付いたハウジングに保持することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項10】
請求項9に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記カラーは、前記角度の付いたハウジングと螺合することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項11】
請求項10に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記カラーに実質的に類似するもう1つのカラーを更に有し、前記もう1つのカラーは、前記第2の回転部材を前記角度の付いたハウジングに保持することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項12】
角度の付いた外科用ドライバーであって、
第1の軸を中心に回転する第1の回転部材と、
第2の軸を中心に回転し、前記第1の回転部材に角度を付けて関連付けられる第2の回転部材と、
前記第1の回転部材を前記第2の回転部材に動力を伝えるように接続する複数のピンとを有し、前記複数のピンは、前記第1の軸上及び前記第2の軸上にピンの中心が配置されないことを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項13】
請求項12に記載の角度のついた外科用ドライバーであって、更に、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との両方に回転可能に接続される、角度の付いたハウジングを有することを特徴とする角度のついた外科用ドライバー。
【請求項14】
請求項13に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記複数のピンの各々は、角度の付いた曲げ部を有することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項15】
請求項14に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記角度の付いたハウジングは、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸とを画定することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項16】
請求項15に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記ピンは、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との両方に滑動可能に関連付けられることを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項17】
請求項16に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記複数のピンは、前記ピンの各々の中央部分に近接する位置で角度のついた曲げ部を有する円筒形であることを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項18】
請求項15に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、更にカラーを有し、前記カラーは、前記角度の付いたハウジングに取り外し可能に接続され、前記カラーは、前記第1の回転部材の一部を通す軸開口部を有することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項19】
請求項18に記載の角度の付いた外科用ドライバーであって、前記カラーは、前記第1の回転部材を前記角度の付いたハウジングに保持することを特徴とする角度の付いた外科用ドライバー。
【請求項20】
外科用ドライバーの使用方法であって、
第1の回転部材に回転運動を与えるステップと、
前記第1の回転部材及び第2の回転部材を動力を伝えるように接続する複数のピンを含む連結装置により、前記第2の回転部材を駆動するステップとを有し、前記複数のピンの各々は、前記第1の回転部材の回転中心である第1の軸から離れており且つ前記第2の回転部材の回転中心である第2の軸から離れていることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記複数のピンは、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との両方に滑動可能に係合することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、更に、前記複数のピンを、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との両方から離れる方向に変位させるステップを有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−46787(P2013−46787A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−233565(P2012−233565)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2007−75723(P2007−75723)の分割
【原出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(504035353)シンメトリー・メディカル・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】