説明

角度依存干渉顔料

【課題】本発明は、新規な角度依存干渉顔料を提供する。
【解決手段】当該顔料は透明或いは半透明な無機材料薄片を基材とし、基材の表面に、外に向って(A)+(B)+(C)層と、非必要の(D)層を順に被覆し、「高―低―高」のような屈折率を有する被覆層構造が形成され、高屈折率の材料からなる被覆層(A)と(C)は、金属酸化物とケイ酸塩、アルミン酸塩又は/及びこれらの混合物を含有し、低屈折率の被覆層(C)は、酸化ケイ素、水和酸化ケイ素、アルミナ、水和アルミナ、酸化マグネシウム、水和酸化マグネシウム又は/及びこれらの混合物或いは化合物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顔料に関し、特に、多層塗装片状基質を基づく光干渉顔料に関し、さらに詳しくは、彩度が高く、角度依存性が顕著である新規な角度依存干渉顔料(angle dependent interference pigments)に関する。
【背景技術】
【0002】
交替で配列された高屈折率の層と低屈折率の層を有する多層干渉顔料が知られている。これらの多層干渉顔料は、基料の違いや、各塗装層の材料または厚さの違いや、製造方法の違いによって、光学効果が異なる。角度依存干渉顔料は、観察する角度の違いによって、顔料の色が二種又は多種の強い干渉色の間に変更できるものである。無機材料薄片及び金属酸化物層と非金属酸化物層を交替で被覆して得られた角度依存干渉顔料は、金属酸化物層と非金属酸化物層との間の屈折率の相違が大きいため、高屈折率の層と低屈折率の層の界面における屈折率の変化は、ジャンプのような変化であり、顔料の過渡領域に色の彩度が低く、変色過渡領域に色の変化が不顕著であるなどの欠点を招いてしまい、化粧品、自転車罩面漆などの高級の領域に応用することが影響された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の課題を解決するために、本発明は、新規な角度依存干渉顔料を提供し、当該顔料は高い彩度と顕著な角度依存という特徴がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を実現するために、本発明の角度依存干渉顔料は、透明或いは半透明な無機材料薄片を基材とし、基材表面において、外に向って順に
(A)高屈折率の材料からなる被覆層、
(B)無色な屈折率n ≦ 1.8の低屈折率の被覆層、
(C)高屈折率の材料からなる被覆層、及び
選択可能である層構造とする(D)外保護層、
の層構造が袋式被覆された。
【0005】
その中、「高ー低ー高」のような屈折率を有する被覆層構造を形成するように、層(B)と層(C)が少なくとも一回に出現し、層(B)は常に二つの高屈折率材料からなる被覆層の間に位置して、また、上記「高ー低ー高」のような屈折率を有する被覆層構造の層数は、3以上の奇数であり、高屈折率の材料からなる被覆層(A)と(C)には、金属酸化物とケイ酸塩、アルミン酸塩又は/及びこれらの混合物を含有し、低屈折率の被覆層(B)には酸化ケイ素、水和酸化ケイ素、アルミナ、水和アルミナ、酸化マグネシウム、水和酸化マグネシウム又は/及びこれらの混合物或いは化合物を含有することを特徴とする角度依存干渉顔料。
【0006】
上記低屈折率の被覆層(B)は、二酸化ケイ素、或いは二酸化ケイ素と水和二酸化ケイ素の混合物であることが好ましい。
【0007】
被覆層(A)と(C)に好適な材料は、非選択的光吸収性を有する材料である無色金属酸化物、ケイ酸塩、アルミン酸塩及びこれらの混合物と、選択的光吸収性を有する材料である有色金属酸化物、ケイ酸塩、アルミン酸塩及びこれらの混合物である。当該被覆層の屈折率は、小さいから大きくなる変化がある。層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に近いほど、屈折率が小さくなるが、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に遠いほど、屈折率が大きくなる。
【0008】
上記被覆層(A)と(C)の材料は、無色な高屈折率の二酸化チタンとケイ酸チタン、チタンケイ酸塩又は/及びこれらの混合物である。ここで、ケイ酸チタンとチタンケイ酸塩の中のチタニウムとケイ素の含有量が変化し、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に近いほど、ケイ素の含有量が多くなり、チタニウムの含有量が少なくなり、屈折率が小さくなるが、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に遠いほど、ケイ素の含有量が少なくなり、チタニウムの含有量が多くなり、屈折率が大きくなる。
【0009】
上記被覆層(A)と(C)の材料は、有色の高屈折率の酸化鉄とケイ酸鉄又は/及びこれらの混合物である。ここで、ケイ酸鉄中の鉄とケイ素の含有量が変化し、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に近いほど、ケイ素の含有量が多くなり、鉄の含有量が少なくなり、屈折率が小さくなるが、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に遠いほど、ケイ素の含有量が少なくなり、鉄の含有量が多くなり、屈折率が大きくなる。
【0010】
上記低屈折率の被覆層(B)には、さらにケイ酸チタンを均一或いは不均一に含有することができる。
【0011】
顔料干渉色の変化は、被覆層(B)の厚さにより決められるが、色の変化範囲及び色度は、被覆層(B)の厚さに関するだけでなく、層(A)と(C)の厚さも関する。
【0012】
上記低屈折率の被覆層(B)の厚さは、通常20〜1000 nmであり、好ましくは50〜900 nmである。
【0013】
上記高屈折率の材料からなる被覆層(A)と(C)の厚さは、通常5〜165 nmであり、好ましくは10〜150 nmである。
【0014】
上記好適な無機材料薄片としては、片状ケイ酸塩である。当該片状ケイ酸塩は、主に薄い色雲母或いは白色雲母、好ましくは湿式粉砕白雲母であり、その他の天然雲母、人工合成雲母、タルク或いはガラス片であってもよい。
【0015】
高屈折率の材料と、透明或いは半透明な低屈折率の材料で交替被覆された構造は、顔料が一連の干渉色の変化をさせ、観察角度の変化によって、色の流れがあり、即ち、角度依存異色という。
【0016】
出願人は、基材上に高屈折率の材料(A)層(例えば、二酸化チタン)だけを被覆する場合には、被覆率が増加するにつれて、単一の干渉色(例えば、銀白色、黄色、橘色、赤色、紫色、青色と緑色)がそれぞれ出現されたが、色の流れが現れないことを見出する。
【0017】
基材上に、高屈折率の材料(A)層を被覆した後、更に低屈折率の材料(B)層を被覆した後、干粉末状の場合に、干渉色を有するが、その後、クリヤーの中に分散すると、干渉色が消える。
【0018】
基材上に、(A)層と(B)層を被覆した後、更に高屈折率の材料(C)層を被覆した後、変化の干渉色を得ることができ、当該三つの層の厚さは、それぞれ適当の比率範囲にあれば、色の流れの効果が得られ、且つ彩度が最高である。
【0019】
本発明の角度依存異色顔料は、外被覆保護層(D)を含んでもよい。当該層の主な目的は、顔料を屋外に使用することを有利にするために、顔料の耐候性、耐水性を与える。耐水性と耐光性を有するため、上記顔料は、例えば、外壁塗料と自動車塗料などの用途に使用されている。
【0020】
保護層(D)は低屈折率或いは高屈折率の金属酸化物であってもよく、これらは無色であってもよく、有色であってもよい。例えば、酸化ケイ素、水和酸化ケイ素、アルミナ、水和アルミナ、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化クロム(III)、酸化セリウム等、或いはこれらの混合物。
【0021】
保護層(D)は、ケイ酸塩と酸化物の混合物であってもよい。
【0022】
保護層(D)の被覆量は、応用分野の必要によって決めることもできる。
【0023】
保護層(D)は、顔料の最終干渉色に一定の影響もあり、保護層(D)が低屈折率の無色金属酸化物で被覆された場合に、例えば酸化ケイ素、水和酸化ケイ素、アルミナ、水和アルミナで被覆された場合に、屈折率が低いため、顔料の干渉色に影響は大きくない。
【0024】
また、保護層(D)が有色金属酸化物で被覆された場合に、例えば、酸化クロム(III)で被覆された場合に、顔料の外観色と干渉色に一定の影響があるが、保護層(D)が無色高屈折率の金属酸化物で被覆された場合に、例えば、酸化ジルコニウム、酸化錫で被覆された場合に、顔料の干渉色が増すため、これらの使用は注意しなければならない。
【0025】
本発明の顔料は、湿式化学法で基材の表面に、高屈折率の金属酸化物、ケイ酸塩、アルミン酸塩の混合層及低屈折率の酸化ケイ素或いはアルミナ層を交替で堆積されたものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の角度依存干渉顔料は、高屈折率の材料からなる被覆層には、金属酸化物の他に、ケイ酸塩、アルミン酸塩又は/及びこれらの混合物も含み、また、ケイ酸塩、アルミン酸塩又は/及びこれらの混合物は、高屈折率の被覆層と低屈折率の被覆層の界面に含有量が最高であり、界面に遠いほど、含有量が低くなる。また、ケイ酸塩とアルミン酸塩の屈折率は、金属酸化物より小さいが、酸化ケイ素より大きい。これによって、屈折率が次第に均一変化の構造を形成した。このような構造で得られた角度依存異色顔料は、その過渡領域における彩度が高く、色の変化過渡領域における色の次第に変化が非常に顕著であり、これらの顔料は、有色塗料、例えば、印刷インク、プラスチック、ガラス、セラミック等の装飾性材料の製造に、特に、製品の色の次第に変化の要求が高い化粧品分野に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】本発明の実施例1の角度依存干渉顔料の試料の電子顕微鏡走査図である。
【図1b】図1aの角度依存干渉顔料の試料の成分の線形走査図。
【図2a】本発明の実施例1の角度依存干渉顔料の試料の電子顕微鏡走査図。
【図2b】図2aに対応するエネルギー分散型X線分析結果図。
【図3a】図2aの角度依存干渉顔料の試料の電子顕微鏡走査図。
【図3b】図3aに対応するエネルギー分散型X線分析結果図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施例1)
構造:「ガラス片/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」
【0029】
厚さが2〜3mm、粒子径が30〜50mmのケイ酸カルシウム・ナトリウムガラス薄片100gを取って、塩化第二鉄或いは硫酸鉄溶液でガラス薄片の表面に、ヒドロキシ基含有酸化鉄層を加水分解沈積(hydrolysis precipitation)し、加水分解温度が80℃であり、pH4.0に制御した。ケイ酸ナトリウム溶液で順にヒドロキシ基含有酸化ケイ素層を加水分解沈積し、加水分解温度が80℃であり、pH9に制御した。そして、第二層として、塩化第二鉄或いは硫酸鉄溶液を用い、ヒドロキシ基含有酸化鉄層を加水分解沈積し、加水分解温度が80℃であり、pH4.0に制御した。鉄塩とケイ酸ナトリウム溶液の添加量によって、所望の終点に達するまでに各被覆層の厚さを制御した。スラリーを濾過し、150℃で乾燥し、そして、700℃で1時間焼成した。熱運動の作用によって、鉄イオンがヒドロキシ基含有酸化ケイ素層へ、ケイ素酸基イオンがヒドロキシ基含有酸化鉄層への拡散、浸透と代替作用を発生し、最後、Fe層とSiO層との界面及び界面付近に、ケイ酸鉄が蓄積され、ケイ酸鉄の含有量は、界面に最高であり、界面に遠いほど、含有量が低くなり、これによって、高屈折率の酸化鉄とケイ酸鉄の混合層、及び低屈折率のSiO層からなる「ガラス片/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」の構造を得た。
【0030】
上記得られた顔料と、無色透明なニトロセルロースからなる接着剤とを、一定の比率で混合し、その後、黒白の下地のスクラッチ用紙上に、スクラッチを行った。その結果、彩度が高く、色の次第に変化が非常に顕著で、紫赤色から黄緑色への色の流れを示すことが分かる。
【0031】
上記得られた顔料を取って、電子顕微鏡走査と成分線形走査を行い、結果を図1aと図1bに示す。図1より、試料の両層には、ケイ酸鉄を含有することを示すことが分かる。
【0032】
ケイ酸鉄層の成分は、一般式「Fe2−xSi3x/4」で表すことができる。成分線形走査スペクトル(図1b)により、ガラス片層に近接する「酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」と最外の「酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」におけて、純粋な二酸化ケイ素層に近いほど、「x」値は小さくなり。
【0033】
図2a、2b、3aと3bには、酸化鉄とケイ酸鉄の混合層のSi/Fe比率が、位置によって変化することを示す。純粋な二酸化ケイ素層に近接する点でのSi/Fe比率は1:0.24であるが、ガラス片層に近接する点でのSi/Fe比率は1:3.65である。ケイ素鉄の比率は位置によって変化するため、両層の「酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」の屈折率も勾配変化である。両層の「酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」の屈折率の勾配変化は、彩度が高く、色の過渡が滑らかの要因である。
【0034】
(実施例2)
構造:「白雲母/ 二酸化チタンとケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩の混合層/ SiO層/ケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩と二酸化チタンの混合層」
【0035】
粒子径が10〜60の白雲母粉16gを取って、四塩化チタン溶液を用い、白雲母粉の表面に、ヒドロキシ基含有酸化チタニウム層を加水分解沈積し、加水分解温度が75℃であり、pHを2.5に制御した。ケイ酸ナトリウム溶液を用い、順にヒドロキシ基含有酸化ケイ素層を加水分解沈積し、加水分解温度が80℃であり、pH8.5に制御し;そして、第二層として、四塩化チタン溶液を用い、ヒドロキシ基酸化チタニウム層を加水分解沈積し、加水分解温度が75℃であり、pH 2.5に制御した。四塩化チタンとケイ酸ナトリウム溶液の添加量によって、所望の終点に達するまでに各被覆層の厚さを制御した。スラリーを濾過し、150℃で乾燥し、そして、800℃で1時間焼成した。熱運動の作用によって、チタニウムイオンがヒドロキシ基含有酸化ケイ素層へ、ケイ素酸基イオンがヒドロキシ基酸化チタニウム層への拡散、浸透と代替作用を発生し、最後、TiO層とSiO層との界面及び界面付近に、ケイ酸チタン或いはチタンケイ酸塩が蓄積され、これによって、高屈折率の二酸化チタンとケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩の混合層、及び低屈折率のSiO層からなる「白雲母/二酸化チタンとケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩の混合層/ SiO層/ ケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩と二酸化チタンの混合層」の構造を得た。
【0036】
上記得られた顔料と、水性酸化淀粉とPVAからなる接着剤とを、一定の比率で混合し、その後、黒白の下地のスクラッチ用紙上に、スクラッチを行った。その結果、彩度が高く、色の次第に変化が非常に顕著で、青緑色から橘黄色への色の流れを示すことが分かる。
【0037】
実施例3
構造:「ガラス片/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/アルミナと二酸化ケイ素の混合層」
【0038】
実施例1で得られた顔料を脱イオン水に懸濁し、塩化アルミニウム溶液を用い、顔料の表面にヒドロキシ基アルミナ層を加水分解沈積し、加水分解温度が75℃であり、pH5に調整し、15分間攪拌し、溶液を水酸化ナトリウムでpH 8.5に調整し、所望の終点に達するまでにケイ酸ナトリウム溶液を滴下した。また、濾過、乾燥し、焼成した後、「ガラス片/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/アルミナと二酸化ケイ素の混合層」構造の顔料を得た。塩化アルミニウムとケイ酸ナトリウム溶液の添加量によって、保護層であるアルミナと二酸化ケイ素の混合層の厚さが制御された。
【0039】
上記顔料と、無色透明なニトロセルロースからなる接着剤とを、一定の比率で混合し、その後、黒白の下地のスクラッチ用紙上に、スクラッチを行った。その結果、彩度が高く、色の次第に変化が非常に顕著で、紫赤色から黄緑色への色の流れを示す。これによって、保護層は、低屈折率の材料である場合に、顔料の干渉色に与える影響は大きくないことが分かる。
【0040】
実施例4
構造:「ガラス片/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」
【0041】
実施例1で得られた顔料を、ケイ酸ナトリウム溶液を用い、ヒドロキシ基含有酸化ケイ素層を順に加水分解沈積し、加水分解温度が80℃であり、pH9に制御した。さらに、第二層として、塩化第二鉄或いは硫酸鉄溶液を用い、ヒドロキシ基含有酸化鉄層を加水分解沈積し、加水分解温度が80℃であり、pH4.0を制御した。鉄塩とケイ酸ナトリウム溶液の添加量によって、所望の終点に達するまでに各被覆層の厚さを制御した。スラリーを濾過し、150℃で乾燥し、そして、700℃で1時間焼成した後、「ガラス片/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層/二酸化ケイ素層/酸化鉄とケイ酸鉄の混合層」の構造を得た。
【0042】
上記得られた顔料と、無色透明なニトロセルロースからなる接着剤とを、一定の比率で混合し、その後、黒白の下地のスクラッチ用紙上に、スクラッチを行った。その結果、彩度がより高く、色の過渡がより柔らかいを示す。
【0043】
実施例5
構造:「白雲母/ 二酸化チタンとケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩の混合層/ SiO層/ケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩と二酸化チタンの混合層/SiO層/ケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩と二酸化チタンの混合層」
【0044】
実施例2で得られた顔料を、ケイ酸ナトリウム溶液を用い、ヒドロキシ基含有酸化ケイ素層を順に加水分解沈積し、加水分解温度が80℃であり、pH8.5に制御し;更に、第二層として、四塩化チタン溶液を用い、ヒドロキシ基酸化チタニウム層を加水分解沈積し、加水分解温度が75℃であり、pH 2.5に制御し;四塩化チタンとケイ酸ナトリウム溶液の添加量によって、所望の終点に達するまでに各被覆層の厚さを制御した。スラリーを濾過し、150℃で乾燥し、そして、800℃で1時間焼成した。「白雲母/ 二酸化チタンとケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩の混合層/ SiO層/ケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩と二酸化チタンの混合層/SiO層/ケイ酸チタンまたはチタンケイ酸塩と二酸化チタンの混合層」の構造を得た。
【0045】
上記得られた顔料と、水性酸化淀粉とPVAからなる接着剤とを、一定の比率で混合し、その後、黒白の下地のスクラッチ用紙上に、スクラッチを行った。その結果、彩度がより高く、色の過渡がより柔らかいを示す。
【0046】
本発明の角度依存異色顔料は、粉末状顔料であり、他の数種の顔料と混合し使用することによって、特に、透明な有機顔料、金属顔料或いは金属酸化物顔料と混合する場合に、見事な色彩と光学効果を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度依存干渉顔料であって、
当該顔料は、透明或いは半透明な無機材料薄片を基材とし、基材表面において、外に向って順に、
(A)高屈折率の材料からなる被覆層、
(B)無色な屈折率n ≦ 1.8の低屈折率の被覆層、
(C)高屈折率の材料からなる被覆層、及び
選択可能である層構造とする(D)外保護層、
の層構造が袋式被覆された、
その中、「高―低―高」のような屈折率を有する被覆層構造を形成するように、層(B)と層(C)が少なくとも一回に出現し、且つ、層(B)が常に二つの高屈折率材料からなる被覆層の間に位置し、
前記「高―低―高」のような屈折率を有する被覆層構造の層数は、3以上の奇数であり、
高屈折率の材料からなる被覆層(A)と(C)には、金属酸化物とケイ酸塩、アルミン酸塩又は/及びこれらの混合物を含有し、
低屈折率の被覆層(B)には、酸化ケイ素、水和酸化ケイ素、アルミナ、水和アルミナ、酸化マグネシウム、水和酸化マグネシウム又は/及びこれらの混合物を含有する、
ことを特徴とする角度依存干渉顔料。
【請求項2】
前記低屈折率の被覆層(B)は、二酸化ケイ素、或いは二酸化ケイ素と水和二酸化ケイ素の混合物である、
ことを特徴とする請求項1記載の角度依存干渉顔料。
【請求項3】
前記被覆層(A)と(C)の材料は、無色な高屈折率の二酸化チタンとケイ酸チタン、チタンケイ酸塩又は/及びこれらの混合物であり、ここで、ケイ酸チタンとチタンケイ酸塩におけるチタニウムとケイ素の含有量が変化し、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に近いほど、ケイ素の含有量が多くなり、チタニウムの含有量が少なくなり、屈折率が小さくなり、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に遠いほど、ケイ素の含有量が少なくなり、チタニウムの含有量が多くなり、屈折率が大きくなる、
ことを特徴とする請求項2記載の角度依存干渉顔料。
【請求項4】
前記被覆層(A)と(C)の材料は、有色の高屈折率の酸化鉄とケイ酸鉄又は/及びこれらの混合物であり、その中、ケイ酸鉄中の鉄とケイ素の含有量が変化し、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に近いほど、ケイ素の含有量が多くなり、鉄の含有量が少くなり、屈折率が小さくなり、層(A)と(B)の界面、及び層(C)と(B)の界面に遠いほど、ケイ素の含有量が少なくなり、鉄の含有量が多くなり、屈折率が大きくなる、
ことを特徴とする請求項2記載の角度依存干渉顔料。
【請求項5】
前記低屈折率の被覆層(B)には、さらに、ケイ酸チタンを均一或いは不均一に含有する、
ことを特徴とする請求項3記載の角度依存干渉顔料。
【請求項6】
前記低屈折率の被覆層(B)には、さらに、ケイ酸鉄を均一或いは不均一に含有する、
ことを特徴とする請求項4記載の角度依存干渉顔料。
【請求項7】
前記低屈折率の被覆層(B)の厚さは、20〜1000 nmであり、好ましくは50〜900 nmである、
ことを特徴とする請求項5或いは6記載の角度依存干渉顔料。
【請求項8】
前記高屈折率の材料からなる被覆層(A)と(C)の厚さは、5〜165 nmであり、好ましくは10〜150 nmである、
ことを特徴とする請求項5或いは6記載の角度依存干渉顔料。
【請求項9】
前記保護層(D)は、無色或いは有色金属酸化物、金属オキシ水酸化物、非金属酸化物、非金属オキシ水酸化物又は/及びリン酸塩からなる、
ことを特徴とする請求項5或いは6記載の角度依存干渉顔料。
【請求項10】
塗料、ペンキ、インク、プラスチックとガラスとセラミック製品の着色、及び化粧品の作製における、請求項1記載の角度依存干渉顔料の使用。

【図1a】
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【図2a】
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【図3a】
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【図1b】
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【図2b】
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【図3b】
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【公表番号】特表2013−520534(P2013−520534A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554191(P2012−554191)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070734
【国際公開番号】WO2011/103713
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(507045362)汕頭市龍華珠光顔料有限公司 (2)
【Fターム(参考)】