角度調整機構を備えた物体検出装置
【課題】外部の自動角度調整ユニットの着脱が容易で、外部から容易に自動角度調整を行うことができる角度調整機構を備えた物体検出装置を提供する。
【解決手段】角度調整機構は、水平角度調整部が、検知ユニットを水平方向に回動させる水平回動部材と、これを駆動させて水平角度を調整するとともに、外部から係合可能な水平調整・係合部材とを有し、垂直角度調整部が、検知ユニットを上下方向に回動させる垂直回動部材と、これを駆動させて垂直角度を調整するとともに、外部から係合可能な垂直調整・係合部材とを有する。水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した固定位置に配置されており、外部の自動角度調整ユニットに前面から容易に着脱自在に係合され、その駆動力により、レベル出力手段からの検出信号レベルに基づいて自動的に調整される。
【解決手段】角度調整機構は、水平角度調整部が、検知ユニットを水平方向に回動させる水平回動部材と、これを駆動させて水平角度を調整するとともに、外部から係合可能な水平調整・係合部材とを有し、垂直角度調整部が、検知ユニットを上下方向に回動させる垂直回動部材と、これを駆動させて垂直角度を調整するとともに、外部から係合可能な垂直調整・係合部材とを有する。水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した固定位置に配置されており、外部の自動角度調整ユニットに前面から容易に着脱自在に係合され、その駆動力により、レベル出力手段からの検出信号レベルに基づいて自動的に調整される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出用の検知線を送信する送信用検知ユニットを有する送信器、検知線を受信して検出信号を出力する受信用検知ユニットを有する受信器、および検知ユニットの角度を調整する角度調整機構を備えた物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、赤外線のような物体検出用の検知線を送信する送信用光学系(検知ユニット)を有する送信器と、送信器に相対向して配置され、前記検知線を受信して検出信号を出力する受信用光学系(検知ユニット)有する受信器とを備えた、送信器、受信器の対向型の物体検出装置は、両光学系間での遮光による信号レベルの変化により物体を検出するとともに、各光学系の光軸(角度)を調整する角度調整機構とを有する。この光軸調整に際しては、照準器を用いて目視により手動で、これら光学系の垂直角度および水平角度の調整をして光軸を合わせる。
【0003】
その一方、光軸調整を自動的に行う赤外線センサの角度自動調整装置も知られている(例えば、特許文献1)。この角度調整機構では、送信器の光軸を直交する2方向に所定角度揺動させて、受信器で受信した信号レベルが最大になったときの角度位置に固定する。この光軸の揺動は信号レベルに応じて装置内部のモータを駆動させることにより自動的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−87240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、光軸調整を自動的に行うために、装置内部に垂直角度および水平角度を調整するための駆動モータやその制御部からなる自動角度調整部が組み込まれており、装置全体が大型化かつ高コスト化する。
【0006】
その一方、検出装置と自動角度調整部とを分離して、外部から該ユニットにより光軸調整を自動的に行うことも考えられる。しかし、一般の角度調整機構は、ユニットを垂直軸回りに回動させる水平回動部材の上に、水平軸回りに回動させる垂直回動部材が組み込まれており、水平回動部材に連結されてこれを駆動するダイヤルのような水平調整部材と、垂直回動部材に連結されてこれを駆動するねじのような調整部材との位置が互いに離間するとともに、水平回動部材の位置の変化に伴って垂直回動部材の位置が変化すると、調整部材の位置も変化してしまう。このため、構造的に装置に対する自動角度調整ユニットの着脱が容易でないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、小型かつ低コストの構造を有し、外部の自動角度調整ユニットの着脱が容易で、外部から容易に自動角度調整を行うことができる角度調整機構を備えた物体検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる角度調整機構を備えた物体検出装置は、物体検出用の検知線を送信する送信用検知ユニットを有する送信器と、前記検知線を受信する受信用検知ユニットを有して検出信号を出力する受信器とを有し、前記検出信号の信号レベルに基づき物体を検出する物体検出装置であって、前記検知ユニットの角度を前記検出信号レベルに基づいて調整する角度調整機構と、前記検出信号レベルを外部へ出力するレベル出力手段とを有し、
前記角度調整機構は、前記検知ユニットを水平方向に回動させる水平回動部材と、これを駆動させて水平角度を調整するとともに、外部から係合可能な水平調整・係合部材とを有する水平角度調整部、および、前記検知ユニットを上下方向に回動させる垂直回動部材と、これを駆動させて垂直角度を調整するとともに、外部から係合可能な垂直調整・係合部材とを有する垂直角度調整部を備え、
前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した位置に配置されており、外部の自動角度調整ユニットにより前面から容易に着脱自在に係合されて駆動され、前記レベル出力手段からの検出信号レベルに基づいて角度が自動的に調整される。
【0009】
この構成によれば、角度調整機構の両調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した上下方向に相対移動不能に固定された位置に配置されているので、外部の自動角度調整ユニットは、両調整・係合部材に容易に着脱することができ、かつ自動角度調整ユニットを外付けとしているので、装置自体を小型化できる。
【0010】
好ましくは、前記垂直回動部材と前記水平回動部材が相対水平回動不能で、前記水平回動部材が水平回動自在に装置筐体に支持されており、前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材が、ともに水平回転自在に装置筐体に支持されている。したがって、簡単な構造で、両調整・係合部材に対する外部の自動角度調整ユニットの係合、駆動が容易となり、着脱もより容易となる。
【0011】
好ましくは、前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材の係合部は、ともに外歯歯車状のローレット加工が施されている。したがって、外部の自動角度調整ユニットと、両調整・係合部材との係合を確実に行うことができる。
【0012】
好ましくは、前記垂直回動部材に雄ねじ部を有する軸部が設けられ、前記水平回動部材は前記雄ねじ部に螺合しており、前記垂直回動部材が、前記水平回動部材に対して水平軸回りに相対回動自在で、かつ垂直軸回りに相対回動不能に支持され、前記垂直調整・係合部材の回転による前記垂直回動部材の軸部の軸方向移動により、前記垂直回動部材が水平軸回りに回動する。したがって、簡単な構造で、垂直調整・係合部材の回転により垂直回動部材を上下方向に傾動させることができる。
【0013】
本発明の他の構成に係る物体検出システムは、前記物体検出装置と、この物体検出装置の両調整・係合部材に前面から容易に着脱自在に係合して、その角度調整機構を外部から駆動して、前記検出信号の信号レベルに基づき光軸を自動的に調整する、外付けの自動角度調整ユニットとを備えている。
【0014】
この構成によれば、小型かつ低コストの構造を有し、物体検出装置と外部の自動角度調整ユニットとの着脱が容易で、外部から容易に物体検出装置の自動角度調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、角度調整機構の両調整・係合部材が、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した上下方向に相対移動不能に固定された位置に配置されているので、外部の自動角度調整ユニットは、両調整・係合部材に容易に着脱することができ、かつ自動角度調整ユニットを外付けとしているので、装置自体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る角度調整機構を備えた物体検出装置を示す概略側面図、(B)は、その受光器を示す構成図である。
【図2】(A)は図1の物体検出装置の受信部2のカバーを外した状態、(B)はカバーを示す斜視図である。
【図3】受信器を示す斜視図である。
【図4】受信器の取付状態を示す分解図である。
【図5】受信器を示す分解図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る自動角度調整ユニットを含む物体検出システムを示す斜視図である。
【図7】受信器に自動角度調整ユニットを取り付けた状態を示す正面図である。
【図8】自動角度調整ユニットを示す斜視図である。
【図9】(A)、(B)は自動角度調整ユニットの内部構造を示す平面図である。
【図10】自動角度調整ユニットの内部構造を示す側面図である。
【図11】自動角度調整ユニットの電気系統を示す図である。
【図12】物体検出システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る角度調整機構を備えた物体検出装置の概略側面図を示す。この物体検出装置Dは、それぞれ送信素子a、aを有する送信器1Aと送信器1Bが上下に配置された送信部1と、この送信器1A、1Bと相対向して配置されて、送信器1A、1Bから送信された赤外線(IR)のような検知線をそれぞれ受信する受信素子b、bを有する受信器2Aと受信器2Bが上下に配置された受信部2とを備えている。
【0018】
送信部1および受信部2は、それぞれ本体ケース16内に収納され、壁、ポール等の装着部Kに装着される。この物体検出装置Dは、例えば送信器1Aからの赤外線(IR)が遮光されたとき、相対向する受信器2Aで受信された検出信号の信号レベルの変化により物体を検出する。
【0019】
送信器1A、1Bおよび受信器2A、2Bはともに、それぞれ検出信号のレベルに基づいて検知ユニット(光学系)の光軸(角度)を調整する同一の角度調整機構を有する。光軸調整では、まずユニットの光軸の方向を合わせる粗調整と、最良の光軸状態になって検知信号レベルが所定値以上になるようにする微調整とが行われる。この場合、送信部1および受信部2は図示しない通信機能を有し、送信器1A、1Bは、受信器2A、2Bから送信された検出信号レベルに基づいて光軸調整を行う。なお、物体検出装置に上記送受信機能を設けない場合には、送信器1A、1Bでは手動で光軸合わせを行い、受信器2A、2Bでのみ検出信号レベルに基づいて光軸調整を行う。以下、各送信器および受信器の構成については、代表して受信器2Aについて説明する。
【0020】
図1(B)は、受信器2Aを示す構成図である。受信器2A全体を制御する制御部(CPU)10は、送信器1Aからの検知線の受信量に応じて受信素子aから出力される電気信号(検出信号)は、増幅回路3で増幅され、この増幅信号の信号強度、すなわち赤外線光束の変動量がレベル検出手段5で常時監視されている。レベル検出手段5は、入力する電気信号の検出信号レベルを検出する。警報出力手段6は、検出信号レベルが物体検出用の基準値以下のとき警報信号を出力する。レベル出力手段7は、この検出信号レベルを外部へ出力する。
【0021】
図2は、角度調整機構を備えた物体検出装置Dを示す斜視図である。図2(A)は受信部2のカバーを外した状態、図2(B)はカバーを示す。図2(A)のように、上下の受信器2A、2Bは固定ホルダ60により保持されて、上下方向に細長い平板状のシャーシ17上に固定されている。受信部2の本体ケース16は、図2(A)のシャーシ17と、これを覆う図2(B)の樹脂製のカバー18とにより構成されており、カバー18の上部の係止突部22にシャーシ17の係合段部21を係合させるとともに、カバー18の下部に固定ねじ24をシャーシ17のねじ孔23にねじ込んでシャーシ17とカバー18とが結合されている。固定ホルダ60とシャーシ17により装置筐体を構成する。レベル出力手段7は、固定ホルダ60に設けられた出力端子65を有する。
【0022】
この例では、受信部2はホルダ60により上下に受信器2A、2Bが一体に形成されているが、上下に分離して設けてもよいし、受信器2Aまたは2Bのみでもよい。送信部1も同様である。
【0023】
図3は受信器2Aを示す斜視図、図4は受信器2Aの取付状態を示す分解図、図5は受信器2Aを示す分解図である。図3のように、受信器2Aは、有底の略円筒形の保持部材25の内部に受信素子b(図1(A))が収納され、保持部材25の前面部にレンズ26が嵌め込み固定されている。この受信素子bとレンズ26により受信器2Aの受信用光学系(検知ユニット)12が形成される。同様に、送信素子aとレンズ26により送信器1Aの送信用光学系(検知ユニット)11が形成される(図1(A))。
【0024】
受信器2Aの角度調整機構30は、各光学系12の水平角度を調整する水平角度調整部31、および垂直角度を調整する垂直角度調整部35を有する。水平角度調整部31は各光学系12を水平方向に回動駆動させる回動ホルダからなる水平回動部材32と、この回動ホルダ32に係合して、これを駆動させるように回転するとともに、外部から係合可能な水平調整ダイヤルのような水平調整・係合部材33とを備えている。垂直角度調整部35は各光学系12を垂直方向に回動駆動させるコンロッドからなる垂直回動部材36と、このコンロッド36に係合して、これを駆動させるように回転するとともに、外部から係合可能な垂直調整ダイヤルのような垂直調整・係合部材37とを備えている。
【0025】
光学系12は、垂直回動部材であるコンロッド36内に収納されている。このコンロッド36は、その上下方向中央部に設けられた支軸39により、水平回動部材である回動ホルダ32に相対水平回動不能で、上下移動自在に支持された状態で、回動ホルダ32内に収納されている。光学系12のレンズ26は、コンロッド36および回動ホルダ32の前面に露出している。回動ホルダ32は、固定ホルダ(装置筐体)60に水平回動自在に支持されている。
【0026】
水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37は、表面が例えば外歯歯車状のローレット加工が施されており、後述する外部から固定ホルダ60に装着される自動角度調整ユニット70による自動角度調整時には、自動角度調整ユニット70の歯車72、73に係合してダイヤル33、37が回転して光軸が微調整される。粗調整時には、手動でダイヤル33、37が回転される。なお、ダイヤル33、37をローレットに代えてゴムローラとしてもよい。
【0027】
図4のように、受信器2Aはその下部が固定ホルダ60に保持される。固定ホルダ60は、前後に2つ割りの第1および第2半体60a、60bからなり、中央に回動ホルダ32の円筒部43を水平回動自在に貫通する貫通孔61が設けられている。円筒部43の外周面には周方向に離間した複数(この例では2つ)の突起45が設けられ、これら突起45が、第1および第2半体60a、60bのそれぞれに設けた貫通孔61内の周方向溝部62に収納されて、回動ホルダ32の軸方向(上下方向)に沿った移動を規制している。固定ホルダ60には、垂直調整ダイヤル37を水平回転自在に収納する収納部63が設けられている。
【0028】
固定ホルダ60の第1半体60aには、水平調整ダイヤル33が前面に露出して、水平回転可能に保持されている。第2半体60bには、その両外側部に物体検出装置Dの外部における自動角度調整ユニット70のクランプ手段76が嵌合する溝部67が形成されている。両半体60a、60b同士は図示しない複数のねじで締め付け連結される。固定ホルダ60はねじをねじ孔66からシャーシ17のねじ孔27にねじ込んでシャーシ17に固定される。シャーシ17の凹部17aに受信器2Aのコンロッド36の背面部が収納される。また、シャーシ17には、装着部Kに取り付けるための複数の取付孔28が配置されて、シャーシ17が装着部Kにねじ止めされて固定される。
【0029】
図3の水平角度調整部31を構成する回動ホルダ32は、図5のように、上蓋41と底壁42をもつ略円筒形の形状を有して前面が開口している。底壁42には、下方へ突出した円筒部43(垂直軸心vを持つ)が連結され、その中央部と円筒部43の中心部とを貫通する貫通孔44が設けられている。ここで、垂直軸心vとは、物体検出装置Dの長手方向に合致した軸心で、水平調整ダイヤル33によって得られる回動動作の軸心をいう。
【0030】
回動ホルダ32の両側部40、40には、コンロッド36を回動自在に支持する雄ねじ39からなる支軸(水平軸心hを持つ)が螺合されるねじ孔49が設けられている。水平軸心hとは、物体検出装置Dの長手方向に直交する軸心で、垂直調整ダイヤル37によって得られる回動動作の軸心をいう。
【0031】
2つの光学系12、12および照準器9からなる光学ユニットUの両側面中央には、雌ねじ部55およびその後方位置の突起部56がそれぞれ外方に突出して設けられている。コンロッド36の両側部50には、後方位置に水平方向に延びる水平長孔58および前方位置に上下方向に延びる垂直長孔59が設けられている。光学ユニットUの突起部56をコンロッド36の水平長孔58に回転自在に嵌め込み、雄ねじ(支軸)39を雌ねじ部55にねじ込むことにより、コンロッド36は回動ホルダ32に保持された状態で、光学ユニットUが垂直長孔59間を上下方向に移動自在となる。
【0032】
円筒部43内をコンロッド36の底部51から下方へ突出した軸部52が貫通孔44内に上下移動可能に挿通されている。回動ホルダ32の底壁42は上方へ凹入しており、底壁42の内周面42aに、周方向に沿って内歯歯車46が形成されている。
【0033】
水平調整ダイヤル33は、固定ホルダ60に上下方向に相対移動不能で、水平方向に回転可能に取り付けられて、回動ホルダ32の下方に配置されている。固定ホルダ60から前面の一部が露出し、粗調整時には手動で操作可能で、微調整時には外部から係合可能となって自動的に駆動される。なお、手動での微調整も操作可能である。
【0034】
水平調整ダイヤル33は、回動ホルダ32の円筒部43と平行な軸心38の回りに回転する。このダイヤル33の回転に連動して、光学ユニットUが内蔵されたコンロッド36を支持する回動ホルダ32を垂直軸v回りに回動させる。すなわち、ダイヤル33の上面中央部に形成された外歯車からなる駆動歯車34と、回動ホルダ32の底壁内周面42aに形成された内歯歯車からなる従動歯車46とが係合して、回動ホルダ32は、水平調整ダイヤル33の回転により、その垂直軸V回りの水平角が移動する。
【0035】
図3の垂直角度調整部35を構成するコンロッド36は、図5のように、有底の略円筒形の形状を有して前面が開口され、その底部51から下方へ突出した軸部52を有し、軸部52の中央部分に雄ねじ部53が形成されている。
【0036】
コンロッド36の軸部52は、回動ホルダ32の貫通孔44内に上下移動自在に挿入され、その外周に、コンロッド36の底部51下面と回動ホルダ32の底壁42上面との間でコイルばね54が介装され、コンロッド36に対し上方向にばね力が付加されている。コンロッド36の軸部52の雄ねじ部53が垂直調整ダイヤル37の中央のねじ孔に形成された雌ねじ55とねじ結合する。
【0037】
垂直調整ダイヤル37は、固定ホルダ60に上下方向に相対移動不能で、水平方向に回転可能に取り付けられて、回動ホルダ32の下方に配置されている。ホルダ60から垂直調整ダイヤル37の前面の一部が露出し、粗調整時には手動で操作可能で、微調整時には外部から係合可能となって自動的に駆動される。なお、手動での微調整も操作可能である。
【0038】
コンロッド36は、支軸39によって回動ホルダ32に対する水平方向の相対回動が阻止されることにより、垂直調整ダイヤル37の回転が軸部52の軸方向往復運動に変換され、かつ、回動ホルダ32の支軸39に軸支されている。これにより、軸部52を有するコンロッド36内の光学ユニットUが、軸部52の軸方向の移動に伴い、垂直長孔59を通る突出した雌ねじ部55と水平長孔58を通る突起部56との間の距離が保持されることから、垂直長孔59の中心に雌ねじ部55が位置する状態から雌ねじ部55に対し長手方向に垂直長孔59が移動されると、水平長孔58の長手方向に突起部56が移動されて、傾動され、支軸39を中心軸として、つまり水平軸h回りに回動する。こうして、光学ユニットUの光学系12、12の上下角が調整される。つまり、光学系12、12は、垂直調整ダイヤル37、支軸39、軸部52、雌ねじ部55、突起部56、水平長孔58、垂直長孔59を含むクランク機構により、水平軸h回りに傾動自在に設定されている。
【0039】
また、図3の受信器2Aは、光軸の粗調整用に照準器9を備えている。この照準器9は、受信器2Aの側面側からのぞくための左右一対ののぞき窓14、前面に形成されたマーキング15、および図示しない内部に図1の送信器1Aを写すミラー、対物レンズ、マイクロレンズをもつ接眼レンズを有している。光軸調整においては、のぞき窓13から見て、水平角度調整ダイヤル33および垂直角度調整ダイヤル37を手動で回転させて光軸の方向が調整される。なお、後述するGPS機能を自動角度調整ユニット70に搭載した場合には、設置位置情報により粗調整を行うことができるので、照準器9を不要とすることが可能となる。
【0040】
本発明は、水平角度調整ダイヤル33と垂直角度調整ダイヤル37が、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した固定位置に配置されている。このため、本発明は、従来のように、水平回動部材の回動位置によって垂直調整ダイヤルの位置が変化することなく、回動ホルダ(水平回動部材)32の回動位置にかかわらず垂直調整ダイヤル37の位置が固定されるため、自動角度調整ユニット70の係合が容易となる。また、水平角度調整ダイヤル33と垂直角度調整ダイヤル37が近接して配置されているので、本発明は、外部の自動角度調整ユニット70を両調整・係合部材に容易に着脱することができる。しかも、外部に自動角度調整ユニット70が設けられているので、物体検出装置の大型化を抑制できる。さらに、水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37がともに垂直軸回りに回転するように配置されているので、両調整ダイヤル33、37に対する外部の自動角度調整ユニット70の係合、駆動が容易となり、着脱もより容易となる。水平角度調整ダイヤル33と垂直角度調整ダイヤル37がともに前面に隣接して配置されているので、手動での操作も容易となる。
【0041】
図6は、本発明の第2実施形態に係る物体検出システムを示す斜視図である。この物体検出システムは、物体検出装置Dのほかに、物体検出装置Dの受信器2Aの角度調整機構30に係合し、その光学系12の水平角度および垂直角度を調整して、光軸を外部から自動的に調整する自動角度調整ユニット70と、これを制御する制御ボックス71とを備えている。制御ボックス71は、検出信号レベルの入力用プローブPを有している。この自動角度調整ユニット70は、受信器2Aの角度調整機構30の水平および垂直調整ダイヤル33、37に前面から容易に着脱自在に係合して、これを駆動させる水平および垂直調整ギアである係合・駆動伝達手段72、73と、これらが係合した状態で受信器2Aに該自動角度調整ユニット70を固定する一対のアーム部材であるクランプ手段76とを備えている。図7は、受信器2Aに自動角度調整ユニット70が固定された状態を示す。
【0042】
図8は、自動角度調整ユニット70を示す斜視図、図9は、そのギア機構を示す概略側面図、図10は、内部機構を示す平面図である。図8のように、自動角度調整ユニット70は、平面視で台形状の蓋部81、略U字状の台座82、およびボックス状のギアケース83を備えている。蓋部81の下面に水平調整ギア72が水平回動自在に取り付けられている(図10)。蓋部81と台座82との間に、水平および垂直調整ギア72、73と水平および垂直調整ダイヤル33、37(図9)とが係合した状態で受信器2Aに該ユニット70を固定する、一対のアーム部材であるクランプ手段76が設けられている。一対のアーム部材76は、台座82とアーム取付板84の間に支軸86でアーム取付板84に軸支されて水平回動可能に取り付けられている。アーム取付板84の下面に垂直調整ギア73が水平回動自在に取り付けられている(図10)。ギアケース83には、図10の水平調整ギア72および垂直調整ギア73を駆動する減速機R付きモータ74、75が着座されている。
【0043】
図9のように、蓋部81に取り付けられた水平調整ギア72にはこの水平調整ギア72の垂直軸v1回りの回転に連動する駆動ギア78が設けられており、この駆動ギア78を減速機R付きモータである駆動手段74が駆動する。アーム取付板84に取り付けられた垂直軸v2回りに回転する垂直調整ギア73を減速機R付きモータである駆動手段75が駆動する。水平調整ギア72および垂直調整ギア73の駆動により、これと歯合した水平および垂直調整ダイヤル33、37を回転させる。
【0044】
図10(A)のように、一対のアーム部材76は、基端に取手部103と、中央に内側方に突出する突出部104が設けられて、その先端に棒状の蹴り出し部材105が形成され、アーム先端76aにフック部106を有している。突出部104の基端が支軸86の回りに回動可能に支持されている。ばね部材101は、その一端がアーム取付板84に、他端が突出部104の上端に係止され、突出部194に上方向へのばね力を付加してアーム先端76aを内方に押圧する。図6の固定ホルダ60の両側壁の外面に係合溝67が形成されており、アーム先端76aの内面およびフック部106が係合溝67に嵌合する。
【0045】
一対のアーム部材76は、受信器2Aの固定ホルダ60へのクランプを解除するとき、固定ホルダ60を蹴り出して水平および垂直調整ダイヤル33、37と水平および垂直調整ギア72、73との係合解除をスムーズに導く、蹴り出し部材105が先端に形成された突出部104からなるイジェクト部を有する。
【0046】
図10(B)において、指で取手部103をばね部材102のばね力に抗して内方へ狭めることによりアーム先端76aを外方へ広げ、受信器2Aの固定ホルダ60の両側壁の係合溝67にアーム先端76aを接近させ、つぎに、図10(A)のように、指を取手部103から離してアーム先端76aを内方へ狭めて、係合溝67にアーム先端76aを嵌め込み、フック部106を係合溝67の角部裏面に係止させる。こうして、ユニット70を固定ホルダ60に装着して、固定する。
【0047】
図10(B)において、イジェクト部102は、指で取手部103をばね部材102のばね力に抗して内方へ狭めることによりアーム先端76aを外方へ広げたとき、フック部106が係合溝67から脱離するとともに、突出部104が内方へ回動し、その先端の蹴り出し部材105が固定ホルダ60外面に当たって、ユニット70を両調整ダイヤル33、37から水平方向に蹴り出す。これにより、水平調整ギア72および垂直調整ギア73を水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37から係合方向と反対方向に移動させて、係合部分がこじられることなく、その係合をスムーズに解除するので、ユニット70の離脱時に水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37に設定時からの角度ずれが発生することを防止することができる。
【0048】
図11の制御ボックス71の上面には、電源スイッチ91、駆動スイッチ92、検出信号レベルの電圧値を表示する電圧値表示部93が設けられている。制御ボックス71内には電池のような電源供給用の電源94、および調整ユニット制御部(CPU)80が設けられている。
【0049】
図11は、制御ボックス71内の電気系統を示す構成図である。調整ユニット制御部(CPU)80は、ユニット70全体を制御するとともに、検出信号レベルに基づき水平および垂直調整ギア72、73によりモータ74、75を駆動させて、水平および垂直調整ダイヤル33、37を駆動させる制御を行う。調整ユニット制御部(CPU)80は、プローブPからの検知信号レベルが入力されるレベル入力手段77、駆動スイッチ92による駆動指令を出力する駆動指令手段95、駆動指令に基づいて、モータ74を駆動させる水平角度用駆動回路96、モータ75を駆動させる垂直角度用駆動回路97、および検出信号レベルのピーク位置を決定するピーク位置決定手段98を備えている。決定された検出信号レベルのピーク位置で水平および垂直調整ダイヤル33、37を停止させて、物体検出装置の光学系12の水平角度および垂直角度が設定される。
【0050】
このように、本発明では、自動角度調整ユニットが物体検出装置の水平および垂直調整・係合部材に前面から着脱自在に容易に係合して、外部からこれを駆動し、光学系の水平角度および垂直角度を調整するので、小型かつ低コストで着脱が容易となり、外部から容易に自動角度調整を行うことができる。
【0051】
以下、上記の物体検出装置Dおよび自動角度調整ユニット70を備えた物体検知システムの動作を説明する。図3の上下受信器2A、2Bはそれぞれ光学系12を有しているので、前述した目視による光軸の粗調整の後の光軸微調整の際には、光軸調整を行う光学系以外の光学系を予め図示しない遮光プレートで覆っておく。この例では、送信器1A、1B、受信器2A、2Bともに角度調整機構を有しているので、各送信器、受信器ごとに光軸調整を行う。
【0052】
制御ボックス71上の電源スイッチ91のオンで、電源94から調整ユニット制御部80へ電源が供給され、駆動スイッチ92のオンで、駆動指令部95から駆動指令が出力され、レベル入力手段77からの検知信号レベルに基づいて、水平角度用駆動回路96、垂直角度用駆動回路97がモータ74、75により水平および垂直調整ギア72、73を駆動させる。ピーク位置決定手段98により検出信号レベルのピーク位置が決定される。
【0053】
水平および垂直調整ギア72、73は、それぞれ予め規定された回転のエンドで回転方向が自動的に切り替わって、水平調整ダイヤル33と垂直調整ダイヤル37とをそれぞれ所定角度回転させる。調整ユニット制御部80は、決定された検出信号レベルのピーク位置でモータ74、75を停止させて、物体検出装置の光学系12の水平角度および垂直角度を設定させる。
【0054】
ピーク位置決定手段98は、水平および垂直ダイヤル33、37の回転方向をそれぞれ正方向と逆方向の2方向で行い、それぞれの検出信号レベルのピーク位置の中点をピーク位置と決定する。すなわち、水平調整ギア72は、一方向へ回転を開始し、一方向の回転のエンドを検知すると、自動的に逆方向に回転を切り替える。このとき、図示しないピーク位置検出手段によりピーク位置(P1)を求め、そのピーク位置(P1)を記憶させながら、逆方向の回転のエンドを検知するまで回転させる。つぎに、逆方向の回転のエンドを検知すると、自動的に逆方向(一方向)に回転を切り替える。このとき、同様にピーク位置検出手段によりピーク位置(P2)を求め、そのピーク位置(P2)を記憶させながら、一方向の回転のエンドを検知するまで回転させる。その後、ピーク位置(P1)とピーク位置(P2)の中点まで回転させて、水平方向のピーク位置に停止させる。垂直調整ギア73も、上記と同様の動作を行い、垂直方向のピーク位置に停止させる。
【0055】
これにより、モータ74、75のヒステリシスや水平および垂直調整ギア72、73のガタつきなどによるピークずれを防止して、検出信号レベルのピーク位置を正確に決定することができる。
【0056】
また、ピーク位置決定手段98は、図12のように、検出信号レベルが飽和して検出信号ピークの位置を検出できない場合に、飽和点に達する立上がり位置A、および飽和点から外れる立下り位置Bの中点Cに基づいて、検出信号レベルのピーク位置を決定する。すなわち、中点Cをピーク位置と仮定し、前記したように正方向と逆方向で行い、それぞれ仮定したピーク位置の中点をピーク位置と決定する。これにより、検出信号レベルが飽和した場合にも、検出信号レベルのピーク位置を正確に決定することができる。
【0057】
回動ホルダ32の水平角度調整部とコンロッド36の垂直角度調整部は、それぞれ独立して調整されるものであるが、最初に水平角度を調整するときには、垂直角度がピーク位置にあるとは限らず、仮の水平角度のピークしか調整できない。仮の水平角度のピークを求めた後、垂直角度のピークを調整することで、垂直角度のピークが真値に近づくが、先ほど仮に得られた水平角度のピークを真値に近づけるためにもう一度水平角度を調整する必要がある。そこで、ピーク位置決定手段98は、垂直調整と水平調整または水平調整と垂直調整を行った後、垂直調整または水平調整を行って、少なくとも1回、垂直調整または水平調整を繰り返すことにより、検出信号レベルのピーク位置を決定する。すなわち、垂直調整−水平調整−垂直調整、水平調整−垂直調整−水平調整を行う。少なくとも合計で3回の調整が行われる。なお、垂直調整と水平調整をそれぞれ2回以上交互に繰り返してもよい。これにより、より正確に光軸調整ができる。
【0058】
自動角度ユニットにGPS機能を搭載し、2台の自動角度ユニット間で互いの位置情報を通信する通信手段を有する場合には、設置位置情報により粗調整を行うことができる。さらに、この通信手段を利用することで、送信部1および受信部2に検出信号レベルを送受信する通信機能を有しない物体検出装置Dでも投光部の角度調整を自動で行うことが可能となる。この場合、最初に駆動スイッチ92をオンにすると、GPSの位置情報による粗調整を行ったのち、検出信号レベルによる微調整を行う。
【0059】
なお、上記各実施形態では、水平調整ダイヤルおよび垂直調整ダイヤルがともに垂直軸回りに回動するように配置されているが、垂直角度調整部を例えばラック・ピニオン機構として、垂直調整ダイヤルを水平軸回りに回動するように配置してもよい。
【0060】
なお、上記各実施形態では、検知線として赤外線を使用しているが、これに何ら限定されず、可視光線、マイクロウェーブ、レーザーなどを使用してもよい。また、検知線に応じて、光学系で表現される検知ユニットは、検知線を効果的に送信、受信する手段、例えばアンテナを使用してもよい。
【0061】
なお、上下の受信器2A、2Bを各コンロッド36の軸部52で連結した場合には、自動角度調整ユニット70により、上下の受信器2A、2Bを1回で調整できる。また、相対向して送信器、受信器を設置する検知器以外でも、送信器からの検知線を反射させて受信器に受信させる回帰ミラーを用いた物体検出装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1:送信部
1A、2A:送信器
2:受信部
2A、2B:受信器
5:レベル検出手段
7:レベル出力手段
10:制御部
11:送信用検知ユニット(光学系)
12:受信用検知ユニット(光学系)
30:角度調整機構
31:水平角度調整部
32:水平回動部材(回動ホルダ)
33:水平調整・係合部材(水平調整ダイヤル)
35:垂直角度調整部
36:垂直回動部材(コンロッド)
37:垂直調整・係合部材(垂直調整ダイヤル)
60:ホルダ
70:自動角度調整ユニット
72、73:係合・駆動伝達手段
74、75:駆動手段(モータ)
76:クランプ手段
77:レベル入力手段
80:調整ユニット制御部
98:ピーク位置決定手段
D:物体検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出用の検知線を送信する送信用検知ユニットを有する送信器、検知線を受信して検出信号を出力する受信用検知ユニットを有する受信器、および検知ユニットの角度を調整する角度調整機構を備えた物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、赤外線のような物体検出用の検知線を送信する送信用光学系(検知ユニット)を有する送信器と、送信器に相対向して配置され、前記検知線を受信して検出信号を出力する受信用光学系(検知ユニット)有する受信器とを備えた、送信器、受信器の対向型の物体検出装置は、両光学系間での遮光による信号レベルの変化により物体を検出するとともに、各光学系の光軸(角度)を調整する角度調整機構とを有する。この光軸調整に際しては、照準器を用いて目視により手動で、これら光学系の垂直角度および水平角度の調整をして光軸を合わせる。
【0003】
その一方、光軸調整を自動的に行う赤外線センサの角度自動調整装置も知られている(例えば、特許文献1)。この角度調整機構では、送信器の光軸を直交する2方向に所定角度揺動させて、受信器で受信した信号レベルが最大になったときの角度位置に固定する。この光軸の揺動は信号レベルに応じて装置内部のモータを駆動させることにより自動的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−87240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、光軸調整を自動的に行うために、装置内部に垂直角度および水平角度を調整するための駆動モータやその制御部からなる自動角度調整部が組み込まれており、装置全体が大型化かつ高コスト化する。
【0006】
その一方、検出装置と自動角度調整部とを分離して、外部から該ユニットにより光軸調整を自動的に行うことも考えられる。しかし、一般の角度調整機構は、ユニットを垂直軸回りに回動させる水平回動部材の上に、水平軸回りに回動させる垂直回動部材が組み込まれており、水平回動部材に連結されてこれを駆動するダイヤルのような水平調整部材と、垂直回動部材に連結されてこれを駆動するねじのような調整部材との位置が互いに離間するとともに、水平回動部材の位置の変化に伴って垂直回動部材の位置が変化すると、調整部材の位置も変化してしまう。このため、構造的に装置に対する自動角度調整ユニットの着脱が容易でないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、小型かつ低コストの構造を有し、外部の自動角度調整ユニットの着脱が容易で、外部から容易に自動角度調整を行うことができる角度調整機構を備えた物体検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる角度調整機構を備えた物体検出装置は、物体検出用の検知線を送信する送信用検知ユニットを有する送信器と、前記検知線を受信する受信用検知ユニットを有して検出信号を出力する受信器とを有し、前記検出信号の信号レベルに基づき物体を検出する物体検出装置であって、前記検知ユニットの角度を前記検出信号レベルに基づいて調整する角度調整機構と、前記検出信号レベルを外部へ出力するレベル出力手段とを有し、
前記角度調整機構は、前記検知ユニットを水平方向に回動させる水平回動部材と、これを駆動させて水平角度を調整するとともに、外部から係合可能な水平調整・係合部材とを有する水平角度調整部、および、前記検知ユニットを上下方向に回動させる垂直回動部材と、これを駆動させて垂直角度を調整するとともに、外部から係合可能な垂直調整・係合部材とを有する垂直角度調整部を備え、
前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した位置に配置されており、外部の自動角度調整ユニットにより前面から容易に着脱自在に係合されて駆動され、前記レベル出力手段からの検出信号レベルに基づいて角度が自動的に調整される。
【0009】
この構成によれば、角度調整機構の両調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した上下方向に相対移動不能に固定された位置に配置されているので、外部の自動角度調整ユニットは、両調整・係合部材に容易に着脱することができ、かつ自動角度調整ユニットを外付けとしているので、装置自体を小型化できる。
【0010】
好ましくは、前記垂直回動部材と前記水平回動部材が相対水平回動不能で、前記水平回動部材が水平回動自在に装置筐体に支持されており、前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材が、ともに水平回転自在に装置筐体に支持されている。したがって、簡単な構造で、両調整・係合部材に対する外部の自動角度調整ユニットの係合、駆動が容易となり、着脱もより容易となる。
【0011】
好ましくは、前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材の係合部は、ともに外歯歯車状のローレット加工が施されている。したがって、外部の自動角度調整ユニットと、両調整・係合部材との係合を確実に行うことができる。
【0012】
好ましくは、前記垂直回動部材に雄ねじ部を有する軸部が設けられ、前記水平回動部材は前記雄ねじ部に螺合しており、前記垂直回動部材が、前記水平回動部材に対して水平軸回りに相対回動自在で、かつ垂直軸回りに相対回動不能に支持され、前記垂直調整・係合部材の回転による前記垂直回動部材の軸部の軸方向移動により、前記垂直回動部材が水平軸回りに回動する。したがって、簡単な構造で、垂直調整・係合部材の回転により垂直回動部材を上下方向に傾動させることができる。
【0013】
本発明の他の構成に係る物体検出システムは、前記物体検出装置と、この物体検出装置の両調整・係合部材に前面から容易に着脱自在に係合して、その角度調整機構を外部から駆動して、前記検出信号の信号レベルに基づき光軸を自動的に調整する、外付けの自動角度調整ユニットとを備えている。
【0014】
この構成によれば、小型かつ低コストの構造を有し、物体検出装置と外部の自動角度調整ユニットとの着脱が容易で、外部から容易に物体検出装置の自動角度調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、角度調整機構の両調整・係合部材が、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した上下方向に相対移動不能に固定された位置に配置されているので、外部の自動角度調整ユニットは、両調整・係合部材に容易に着脱することができ、かつ自動角度調整ユニットを外付けとしているので、装置自体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る角度調整機構を備えた物体検出装置を示す概略側面図、(B)は、その受光器を示す構成図である。
【図2】(A)は図1の物体検出装置の受信部2のカバーを外した状態、(B)はカバーを示す斜視図である。
【図3】受信器を示す斜視図である。
【図4】受信器の取付状態を示す分解図である。
【図5】受信器を示す分解図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る自動角度調整ユニットを含む物体検出システムを示す斜視図である。
【図7】受信器に自動角度調整ユニットを取り付けた状態を示す正面図である。
【図8】自動角度調整ユニットを示す斜視図である。
【図9】(A)、(B)は自動角度調整ユニットの内部構造を示す平面図である。
【図10】自動角度調整ユニットの内部構造を示す側面図である。
【図11】自動角度調整ユニットの電気系統を示す図である。
【図12】物体検出システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る角度調整機構を備えた物体検出装置の概略側面図を示す。この物体検出装置Dは、それぞれ送信素子a、aを有する送信器1Aと送信器1Bが上下に配置された送信部1と、この送信器1A、1Bと相対向して配置されて、送信器1A、1Bから送信された赤外線(IR)のような検知線をそれぞれ受信する受信素子b、bを有する受信器2Aと受信器2Bが上下に配置された受信部2とを備えている。
【0018】
送信部1および受信部2は、それぞれ本体ケース16内に収納され、壁、ポール等の装着部Kに装着される。この物体検出装置Dは、例えば送信器1Aからの赤外線(IR)が遮光されたとき、相対向する受信器2Aで受信された検出信号の信号レベルの変化により物体を検出する。
【0019】
送信器1A、1Bおよび受信器2A、2Bはともに、それぞれ検出信号のレベルに基づいて検知ユニット(光学系)の光軸(角度)を調整する同一の角度調整機構を有する。光軸調整では、まずユニットの光軸の方向を合わせる粗調整と、最良の光軸状態になって検知信号レベルが所定値以上になるようにする微調整とが行われる。この場合、送信部1および受信部2は図示しない通信機能を有し、送信器1A、1Bは、受信器2A、2Bから送信された検出信号レベルに基づいて光軸調整を行う。なお、物体検出装置に上記送受信機能を設けない場合には、送信器1A、1Bでは手動で光軸合わせを行い、受信器2A、2Bでのみ検出信号レベルに基づいて光軸調整を行う。以下、各送信器および受信器の構成については、代表して受信器2Aについて説明する。
【0020】
図1(B)は、受信器2Aを示す構成図である。受信器2A全体を制御する制御部(CPU)10は、送信器1Aからの検知線の受信量に応じて受信素子aから出力される電気信号(検出信号)は、増幅回路3で増幅され、この増幅信号の信号強度、すなわち赤外線光束の変動量がレベル検出手段5で常時監視されている。レベル検出手段5は、入力する電気信号の検出信号レベルを検出する。警報出力手段6は、検出信号レベルが物体検出用の基準値以下のとき警報信号を出力する。レベル出力手段7は、この検出信号レベルを外部へ出力する。
【0021】
図2は、角度調整機構を備えた物体検出装置Dを示す斜視図である。図2(A)は受信部2のカバーを外した状態、図2(B)はカバーを示す。図2(A)のように、上下の受信器2A、2Bは固定ホルダ60により保持されて、上下方向に細長い平板状のシャーシ17上に固定されている。受信部2の本体ケース16は、図2(A)のシャーシ17と、これを覆う図2(B)の樹脂製のカバー18とにより構成されており、カバー18の上部の係止突部22にシャーシ17の係合段部21を係合させるとともに、カバー18の下部に固定ねじ24をシャーシ17のねじ孔23にねじ込んでシャーシ17とカバー18とが結合されている。固定ホルダ60とシャーシ17により装置筐体を構成する。レベル出力手段7は、固定ホルダ60に設けられた出力端子65を有する。
【0022】
この例では、受信部2はホルダ60により上下に受信器2A、2Bが一体に形成されているが、上下に分離して設けてもよいし、受信器2Aまたは2Bのみでもよい。送信部1も同様である。
【0023】
図3は受信器2Aを示す斜視図、図4は受信器2Aの取付状態を示す分解図、図5は受信器2Aを示す分解図である。図3のように、受信器2Aは、有底の略円筒形の保持部材25の内部に受信素子b(図1(A))が収納され、保持部材25の前面部にレンズ26が嵌め込み固定されている。この受信素子bとレンズ26により受信器2Aの受信用光学系(検知ユニット)12が形成される。同様に、送信素子aとレンズ26により送信器1Aの送信用光学系(検知ユニット)11が形成される(図1(A))。
【0024】
受信器2Aの角度調整機構30は、各光学系12の水平角度を調整する水平角度調整部31、および垂直角度を調整する垂直角度調整部35を有する。水平角度調整部31は各光学系12を水平方向に回動駆動させる回動ホルダからなる水平回動部材32と、この回動ホルダ32に係合して、これを駆動させるように回転するとともに、外部から係合可能な水平調整ダイヤルのような水平調整・係合部材33とを備えている。垂直角度調整部35は各光学系12を垂直方向に回動駆動させるコンロッドからなる垂直回動部材36と、このコンロッド36に係合して、これを駆動させるように回転するとともに、外部から係合可能な垂直調整ダイヤルのような垂直調整・係合部材37とを備えている。
【0025】
光学系12は、垂直回動部材であるコンロッド36内に収納されている。このコンロッド36は、その上下方向中央部に設けられた支軸39により、水平回動部材である回動ホルダ32に相対水平回動不能で、上下移動自在に支持された状態で、回動ホルダ32内に収納されている。光学系12のレンズ26は、コンロッド36および回動ホルダ32の前面に露出している。回動ホルダ32は、固定ホルダ(装置筐体)60に水平回動自在に支持されている。
【0026】
水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37は、表面が例えば外歯歯車状のローレット加工が施されており、後述する外部から固定ホルダ60に装着される自動角度調整ユニット70による自動角度調整時には、自動角度調整ユニット70の歯車72、73に係合してダイヤル33、37が回転して光軸が微調整される。粗調整時には、手動でダイヤル33、37が回転される。なお、ダイヤル33、37をローレットに代えてゴムローラとしてもよい。
【0027】
図4のように、受信器2Aはその下部が固定ホルダ60に保持される。固定ホルダ60は、前後に2つ割りの第1および第2半体60a、60bからなり、中央に回動ホルダ32の円筒部43を水平回動自在に貫通する貫通孔61が設けられている。円筒部43の外周面には周方向に離間した複数(この例では2つ)の突起45が設けられ、これら突起45が、第1および第2半体60a、60bのそれぞれに設けた貫通孔61内の周方向溝部62に収納されて、回動ホルダ32の軸方向(上下方向)に沿った移動を規制している。固定ホルダ60には、垂直調整ダイヤル37を水平回転自在に収納する収納部63が設けられている。
【0028】
固定ホルダ60の第1半体60aには、水平調整ダイヤル33が前面に露出して、水平回転可能に保持されている。第2半体60bには、その両外側部に物体検出装置Dの外部における自動角度調整ユニット70のクランプ手段76が嵌合する溝部67が形成されている。両半体60a、60b同士は図示しない複数のねじで締め付け連結される。固定ホルダ60はねじをねじ孔66からシャーシ17のねじ孔27にねじ込んでシャーシ17に固定される。シャーシ17の凹部17aに受信器2Aのコンロッド36の背面部が収納される。また、シャーシ17には、装着部Kに取り付けるための複数の取付孔28が配置されて、シャーシ17が装着部Kにねじ止めされて固定される。
【0029】
図3の水平角度調整部31を構成する回動ホルダ32は、図5のように、上蓋41と底壁42をもつ略円筒形の形状を有して前面が開口している。底壁42には、下方へ突出した円筒部43(垂直軸心vを持つ)が連結され、その中央部と円筒部43の中心部とを貫通する貫通孔44が設けられている。ここで、垂直軸心vとは、物体検出装置Dの長手方向に合致した軸心で、水平調整ダイヤル33によって得られる回動動作の軸心をいう。
【0030】
回動ホルダ32の両側部40、40には、コンロッド36を回動自在に支持する雄ねじ39からなる支軸(水平軸心hを持つ)が螺合されるねじ孔49が設けられている。水平軸心hとは、物体検出装置Dの長手方向に直交する軸心で、垂直調整ダイヤル37によって得られる回動動作の軸心をいう。
【0031】
2つの光学系12、12および照準器9からなる光学ユニットUの両側面中央には、雌ねじ部55およびその後方位置の突起部56がそれぞれ外方に突出して設けられている。コンロッド36の両側部50には、後方位置に水平方向に延びる水平長孔58および前方位置に上下方向に延びる垂直長孔59が設けられている。光学ユニットUの突起部56をコンロッド36の水平長孔58に回転自在に嵌め込み、雄ねじ(支軸)39を雌ねじ部55にねじ込むことにより、コンロッド36は回動ホルダ32に保持された状態で、光学ユニットUが垂直長孔59間を上下方向に移動自在となる。
【0032】
円筒部43内をコンロッド36の底部51から下方へ突出した軸部52が貫通孔44内に上下移動可能に挿通されている。回動ホルダ32の底壁42は上方へ凹入しており、底壁42の内周面42aに、周方向に沿って内歯歯車46が形成されている。
【0033】
水平調整ダイヤル33は、固定ホルダ60に上下方向に相対移動不能で、水平方向に回転可能に取り付けられて、回動ホルダ32の下方に配置されている。固定ホルダ60から前面の一部が露出し、粗調整時には手動で操作可能で、微調整時には外部から係合可能となって自動的に駆動される。なお、手動での微調整も操作可能である。
【0034】
水平調整ダイヤル33は、回動ホルダ32の円筒部43と平行な軸心38の回りに回転する。このダイヤル33の回転に連動して、光学ユニットUが内蔵されたコンロッド36を支持する回動ホルダ32を垂直軸v回りに回動させる。すなわち、ダイヤル33の上面中央部に形成された外歯車からなる駆動歯車34と、回動ホルダ32の底壁内周面42aに形成された内歯歯車からなる従動歯車46とが係合して、回動ホルダ32は、水平調整ダイヤル33の回転により、その垂直軸V回りの水平角が移動する。
【0035】
図3の垂直角度調整部35を構成するコンロッド36は、図5のように、有底の略円筒形の形状を有して前面が開口され、その底部51から下方へ突出した軸部52を有し、軸部52の中央部分に雄ねじ部53が形成されている。
【0036】
コンロッド36の軸部52は、回動ホルダ32の貫通孔44内に上下移動自在に挿入され、その外周に、コンロッド36の底部51下面と回動ホルダ32の底壁42上面との間でコイルばね54が介装され、コンロッド36に対し上方向にばね力が付加されている。コンロッド36の軸部52の雄ねじ部53が垂直調整ダイヤル37の中央のねじ孔に形成された雌ねじ55とねじ結合する。
【0037】
垂直調整ダイヤル37は、固定ホルダ60に上下方向に相対移動不能で、水平方向に回転可能に取り付けられて、回動ホルダ32の下方に配置されている。ホルダ60から垂直調整ダイヤル37の前面の一部が露出し、粗調整時には手動で操作可能で、微調整時には外部から係合可能となって自動的に駆動される。なお、手動での微調整も操作可能である。
【0038】
コンロッド36は、支軸39によって回動ホルダ32に対する水平方向の相対回動が阻止されることにより、垂直調整ダイヤル37の回転が軸部52の軸方向往復運動に変換され、かつ、回動ホルダ32の支軸39に軸支されている。これにより、軸部52を有するコンロッド36内の光学ユニットUが、軸部52の軸方向の移動に伴い、垂直長孔59を通る突出した雌ねじ部55と水平長孔58を通る突起部56との間の距離が保持されることから、垂直長孔59の中心に雌ねじ部55が位置する状態から雌ねじ部55に対し長手方向に垂直長孔59が移動されると、水平長孔58の長手方向に突起部56が移動されて、傾動され、支軸39を中心軸として、つまり水平軸h回りに回動する。こうして、光学ユニットUの光学系12、12の上下角が調整される。つまり、光学系12、12は、垂直調整ダイヤル37、支軸39、軸部52、雌ねじ部55、突起部56、水平長孔58、垂直長孔59を含むクランク機構により、水平軸h回りに傾動自在に設定されている。
【0039】
また、図3の受信器2Aは、光軸の粗調整用に照準器9を備えている。この照準器9は、受信器2Aの側面側からのぞくための左右一対ののぞき窓14、前面に形成されたマーキング15、および図示しない内部に図1の送信器1Aを写すミラー、対物レンズ、マイクロレンズをもつ接眼レンズを有している。光軸調整においては、のぞき窓13から見て、水平角度調整ダイヤル33および垂直角度調整ダイヤル37を手動で回転させて光軸の方向が調整される。なお、後述するGPS機能を自動角度調整ユニット70に搭載した場合には、設置位置情報により粗調整を行うことができるので、照準器9を不要とすることが可能となる。
【0040】
本発明は、水平角度調整ダイヤル33と垂直角度調整ダイヤル37が、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した固定位置に配置されている。このため、本発明は、従来のように、水平回動部材の回動位置によって垂直調整ダイヤルの位置が変化することなく、回動ホルダ(水平回動部材)32の回動位置にかかわらず垂直調整ダイヤル37の位置が固定されるため、自動角度調整ユニット70の係合が容易となる。また、水平角度調整ダイヤル33と垂直角度調整ダイヤル37が近接して配置されているので、本発明は、外部の自動角度調整ユニット70を両調整・係合部材に容易に着脱することができる。しかも、外部に自動角度調整ユニット70が設けられているので、物体検出装置の大型化を抑制できる。さらに、水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37がともに垂直軸回りに回転するように配置されているので、両調整ダイヤル33、37に対する外部の自動角度調整ユニット70の係合、駆動が容易となり、着脱もより容易となる。水平角度調整ダイヤル33と垂直角度調整ダイヤル37がともに前面に隣接して配置されているので、手動での操作も容易となる。
【0041】
図6は、本発明の第2実施形態に係る物体検出システムを示す斜視図である。この物体検出システムは、物体検出装置Dのほかに、物体検出装置Dの受信器2Aの角度調整機構30に係合し、その光学系12の水平角度および垂直角度を調整して、光軸を外部から自動的に調整する自動角度調整ユニット70と、これを制御する制御ボックス71とを備えている。制御ボックス71は、検出信号レベルの入力用プローブPを有している。この自動角度調整ユニット70は、受信器2Aの角度調整機構30の水平および垂直調整ダイヤル33、37に前面から容易に着脱自在に係合して、これを駆動させる水平および垂直調整ギアである係合・駆動伝達手段72、73と、これらが係合した状態で受信器2Aに該自動角度調整ユニット70を固定する一対のアーム部材であるクランプ手段76とを備えている。図7は、受信器2Aに自動角度調整ユニット70が固定された状態を示す。
【0042】
図8は、自動角度調整ユニット70を示す斜視図、図9は、そのギア機構を示す概略側面図、図10は、内部機構を示す平面図である。図8のように、自動角度調整ユニット70は、平面視で台形状の蓋部81、略U字状の台座82、およびボックス状のギアケース83を備えている。蓋部81の下面に水平調整ギア72が水平回動自在に取り付けられている(図10)。蓋部81と台座82との間に、水平および垂直調整ギア72、73と水平および垂直調整ダイヤル33、37(図9)とが係合した状態で受信器2Aに該ユニット70を固定する、一対のアーム部材であるクランプ手段76が設けられている。一対のアーム部材76は、台座82とアーム取付板84の間に支軸86でアーム取付板84に軸支されて水平回動可能に取り付けられている。アーム取付板84の下面に垂直調整ギア73が水平回動自在に取り付けられている(図10)。ギアケース83には、図10の水平調整ギア72および垂直調整ギア73を駆動する減速機R付きモータ74、75が着座されている。
【0043】
図9のように、蓋部81に取り付けられた水平調整ギア72にはこの水平調整ギア72の垂直軸v1回りの回転に連動する駆動ギア78が設けられており、この駆動ギア78を減速機R付きモータである駆動手段74が駆動する。アーム取付板84に取り付けられた垂直軸v2回りに回転する垂直調整ギア73を減速機R付きモータである駆動手段75が駆動する。水平調整ギア72および垂直調整ギア73の駆動により、これと歯合した水平および垂直調整ダイヤル33、37を回転させる。
【0044】
図10(A)のように、一対のアーム部材76は、基端に取手部103と、中央に内側方に突出する突出部104が設けられて、その先端に棒状の蹴り出し部材105が形成され、アーム先端76aにフック部106を有している。突出部104の基端が支軸86の回りに回動可能に支持されている。ばね部材101は、その一端がアーム取付板84に、他端が突出部104の上端に係止され、突出部194に上方向へのばね力を付加してアーム先端76aを内方に押圧する。図6の固定ホルダ60の両側壁の外面に係合溝67が形成されており、アーム先端76aの内面およびフック部106が係合溝67に嵌合する。
【0045】
一対のアーム部材76は、受信器2Aの固定ホルダ60へのクランプを解除するとき、固定ホルダ60を蹴り出して水平および垂直調整ダイヤル33、37と水平および垂直調整ギア72、73との係合解除をスムーズに導く、蹴り出し部材105が先端に形成された突出部104からなるイジェクト部を有する。
【0046】
図10(B)において、指で取手部103をばね部材102のばね力に抗して内方へ狭めることによりアーム先端76aを外方へ広げ、受信器2Aの固定ホルダ60の両側壁の係合溝67にアーム先端76aを接近させ、つぎに、図10(A)のように、指を取手部103から離してアーム先端76aを内方へ狭めて、係合溝67にアーム先端76aを嵌め込み、フック部106を係合溝67の角部裏面に係止させる。こうして、ユニット70を固定ホルダ60に装着して、固定する。
【0047】
図10(B)において、イジェクト部102は、指で取手部103をばね部材102のばね力に抗して内方へ狭めることによりアーム先端76aを外方へ広げたとき、フック部106が係合溝67から脱離するとともに、突出部104が内方へ回動し、その先端の蹴り出し部材105が固定ホルダ60外面に当たって、ユニット70を両調整ダイヤル33、37から水平方向に蹴り出す。これにより、水平調整ギア72および垂直調整ギア73を水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37から係合方向と反対方向に移動させて、係合部分がこじられることなく、その係合をスムーズに解除するので、ユニット70の離脱時に水平調整ダイヤル33および垂直調整ダイヤル37に設定時からの角度ずれが発生することを防止することができる。
【0048】
図11の制御ボックス71の上面には、電源スイッチ91、駆動スイッチ92、検出信号レベルの電圧値を表示する電圧値表示部93が設けられている。制御ボックス71内には電池のような電源供給用の電源94、および調整ユニット制御部(CPU)80が設けられている。
【0049】
図11は、制御ボックス71内の電気系統を示す構成図である。調整ユニット制御部(CPU)80は、ユニット70全体を制御するとともに、検出信号レベルに基づき水平および垂直調整ギア72、73によりモータ74、75を駆動させて、水平および垂直調整ダイヤル33、37を駆動させる制御を行う。調整ユニット制御部(CPU)80は、プローブPからの検知信号レベルが入力されるレベル入力手段77、駆動スイッチ92による駆動指令を出力する駆動指令手段95、駆動指令に基づいて、モータ74を駆動させる水平角度用駆動回路96、モータ75を駆動させる垂直角度用駆動回路97、および検出信号レベルのピーク位置を決定するピーク位置決定手段98を備えている。決定された検出信号レベルのピーク位置で水平および垂直調整ダイヤル33、37を停止させて、物体検出装置の光学系12の水平角度および垂直角度が設定される。
【0050】
このように、本発明では、自動角度調整ユニットが物体検出装置の水平および垂直調整・係合部材に前面から着脱自在に容易に係合して、外部からこれを駆動し、光学系の水平角度および垂直角度を調整するので、小型かつ低コストで着脱が容易となり、外部から容易に自動角度調整を行うことができる。
【0051】
以下、上記の物体検出装置Dおよび自動角度調整ユニット70を備えた物体検知システムの動作を説明する。図3の上下受信器2A、2Bはそれぞれ光学系12を有しているので、前述した目視による光軸の粗調整の後の光軸微調整の際には、光軸調整を行う光学系以外の光学系を予め図示しない遮光プレートで覆っておく。この例では、送信器1A、1B、受信器2A、2Bともに角度調整機構を有しているので、各送信器、受信器ごとに光軸調整を行う。
【0052】
制御ボックス71上の電源スイッチ91のオンで、電源94から調整ユニット制御部80へ電源が供給され、駆動スイッチ92のオンで、駆動指令部95から駆動指令が出力され、レベル入力手段77からの検知信号レベルに基づいて、水平角度用駆動回路96、垂直角度用駆動回路97がモータ74、75により水平および垂直調整ギア72、73を駆動させる。ピーク位置決定手段98により検出信号レベルのピーク位置が決定される。
【0053】
水平および垂直調整ギア72、73は、それぞれ予め規定された回転のエンドで回転方向が自動的に切り替わって、水平調整ダイヤル33と垂直調整ダイヤル37とをそれぞれ所定角度回転させる。調整ユニット制御部80は、決定された検出信号レベルのピーク位置でモータ74、75を停止させて、物体検出装置の光学系12の水平角度および垂直角度を設定させる。
【0054】
ピーク位置決定手段98は、水平および垂直ダイヤル33、37の回転方向をそれぞれ正方向と逆方向の2方向で行い、それぞれの検出信号レベルのピーク位置の中点をピーク位置と決定する。すなわち、水平調整ギア72は、一方向へ回転を開始し、一方向の回転のエンドを検知すると、自動的に逆方向に回転を切り替える。このとき、図示しないピーク位置検出手段によりピーク位置(P1)を求め、そのピーク位置(P1)を記憶させながら、逆方向の回転のエンドを検知するまで回転させる。つぎに、逆方向の回転のエンドを検知すると、自動的に逆方向(一方向)に回転を切り替える。このとき、同様にピーク位置検出手段によりピーク位置(P2)を求め、そのピーク位置(P2)を記憶させながら、一方向の回転のエンドを検知するまで回転させる。その後、ピーク位置(P1)とピーク位置(P2)の中点まで回転させて、水平方向のピーク位置に停止させる。垂直調整ギア73も、上記と同様の動作を行い、垂直方向のピーク位置に停止させる。
【0055】
これにより、モータ74、75のヒステリシスや水平および垂直調整ギア72、73のガタつきなどによるピークずれを防止して、検出信号レベルのピーク位置を正確に決定することができる。
【0056】
また、ピーク位置決定手段98は、図12のように、検出信号レベルが飽和して検出信号ピークの位置を検出できない場合に、飽和点に達する立上がり位置A、および飽和点から外れる立下り位置Bの中点Cに基づいて、検出信号レベルのピーク位置を決定する。すなわち、中点Cをピーク位置と仮定し、前記したように正方向と逆方向で行い、それぞれ仮定したピーク位置の中点をピーク位置と決定する。これにより、検出信号レベルが飽和した場合にも、検出信号レベルのピーク位置を正確に決定することができる。
【0057】
回動ホルダ32の水平角度調整部とコンロッド36の垂直角度調整部は、それぞれ独立して調整されるものであるが、最初に水平角度を調整するときには、垂直角度がピーク位置にあるとは限らず、仮の水平角度のピークしか調整できない。仮の水平角度のピークを求めた後、垂直角度のピークを調整することで、垂直角度のピークが真値に近づくが、先ほど仮に得られた水平角度のピークを真値に近づけるためにもう一度水平角度を調整する必要がある。そこで、ピーク位置決定手段98は、垂直調整と水平調整または水平調整と垂直調整を行った後、垂直調整または水平調整を行って、少なくとも1回、垂直調整または水平調整を繰り返すことにより、検出信号レベルのピーク位置を決定する。すなわち、垂直調整−水平調整−垂直調整、水平調整−垂直調整−水平調整を行う。少なくとも合計で3回の調整が行われる。なお、垂直調整と水平調整をそれぞれ2回以上交互に繰り返してもよい。これにより、より正確に光軸調整ができる。
【0058】
自動角度ユニットにGPS機能を搭載し、2台の自動角度ユニット間で互いの位置情報を通信する通信手段を有する場合には、設置位置情報により粗調整を行うことができる。さらに、この通信手段を利用することで、送信部1および受信部2に検出信号レベルを送受信する通信機能を有しない物体検出装置Dでも投光部の角度調整を自動で行うことが可能となる。この場合、最初に駆動スイッチ92をオンにすると、GPSの位置情報による粗調整を行ったのち、検出信号レベルによる微調整を行う。
【0059】
なお、上記各実施形態では、水平調整ダイヤルおよび垂直調整ダイヤルがともに垂直軸回りに回動するように配置されているが、垂直角度調整部を例えばラック・ピニオン機構として、垂直調整ダイヤルを水平軸回りに回動するように配置してもよい。
【0060】
なお、上記各実施形態では、検知線として赤外線を使用しているが、これに何ら限定されず、可視光線、マイクロウェーブ、レーザーなどを使用してもよい。また、検知線に応じて、光学系で表現される検知ユニットは、検知線を効果的に送信、受信する手段、例えばアンテナを使用してもよい。
【0061】
なお、上下の受信器2A、2Bを各コンロッド36の軸部52で連結した場合には、自動角度調整ユニット70により、上下の受信器2A、2Bを1回で調整できる。また、相対向して送信器、受信器を設置する検知器以外でも、送信器からの検知線を反射させて受信器に受信させる回帰ミラーを用いた物体検出装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1:送信部
1A、2A:送信器
2:受信部
2A、2B:受信器
5:レベル検出手段
7:レベル出力手段
10:制御部
11:送信用検知ユニット(光学系)
12:受信用検知ユニット(光学系)
30:角度調整機構
31:水平角度調整部
32:水平回動部材(回動ホルダ)
33:水平調整・係合部材(水平調整ダイヤル)
35:垂直角度調整部
36:垂直回動部材(コンロッド)
37:垂直調整・係合部材(垂直調整ダイヤル)
60:ホルダ
70:自動角度調整ユニット
72、73:係合・駆動伝達手段
74、75:駆動手段(モータ)
76:クランプ手段
77:レベル入力手段
80:調整ユニット制御部
98:ピーク位置決定手段
D:物体検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体検出用の検知線を送信する送信用検知ユニットを有する送信器と、前記検知線を受信する受信用検知ユニットを有して検出信号を出力する受信器とを有し、前記検出信号の信号レベルに基づき物体を検出する物体検出装置であって、
前記検知ユニットの角度を前記検出信号レベルに基づいて調整する角度調整機構と、前記検出信号レベルを外部へ出力するレベル出力手段とを有し、
前記角度調整機構は、前記検知ユニットを水平方向に回動させる水平回動部材と、これを駆動させて水平角度を調整するとともに、外部から係合可能な水平調整・係合部材とを有する水平角度調整部、および、前記検知ユニットを上下方向に回動させる垂直回動部材と、これを駆動させて垂直角度を調整するとともに、外部から係合可能な垂直調整・係合部材とを有する垂直角度調整部を備え、
前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した位置に配置されており、外部の自動角度調整ユニットにより前面から容易に着脱自在に係合されて駆動され、前記レベル出力手段からの検出信号レベルに基づいて角度が自動的に調整される、
角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記垂直回動部材と前記水平回動部材が相対水平回動不能で、前記水平回動部材が水平回動自在に装置筐体に支持されており、前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材が、ともに水平回転自在に装置筐体に支持されている、角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材の係合部は、ともに外歯歯車状のローレット加工が施されている、角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項4】
請求項2において、さらに、
前記垂直回動部材に雄ねじ部を有する軸部が設けられ、前記水平回動部材は前記雄ねじ部に螺合しており、前記垂直回動部材が、前記水平回動部材に対して水平軸回りに相対回動自在で、かつ垂直軸回りに相対回動不能に支持され、前記垂直調整・係合部材の回転による前記垂直回動部材の軸部の軸方向移動により、前記垂直回動部材が水平軸回りに回動する、角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の物体検出装置と、この物体検出装置の両調整・係合部材に前面から容易に着脱自在に係合して、外部から駆動し、前記検出信号の信号レベルに基づき角度を自動的に調整する、外付けの自動角度調整ユニットとを備えた物体検出システム。
【請求項1】
物体検出用の検知線を送信する送信用検知ユニットを有する送信器と、前記検知線を受信する受信用検知ユニットを有して検出信号を出力する受信器とを有し、前記検出信号の信号レベルに基づき物体を検出する物体検出装置であって、
前記検知ユニットの角度を前記検出信号レベルに基づいて調整する角度調整機構と、前記検出信号レベルを外部へ出力するレベル出力手段とを有し、
前記角度調整機構は、前記検知ユニットを水平方向に回動させる水平回動部材と、これを駆動させて水平角度を調整するとともに、外部から係合可能な水平調整・係合部材とを有する水平角度調整部、および、前記検知ユニットを上下方向に回動させる垂直回動部材と、これを駆動させて垂直角度を調整するとともに、外部から係合可能な垂直調整・係合部材とを有する垂直角度調整部を備え、
前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材は、ともに装置の前面にその一部が露出して互いに隣接した位置に配置されており、外部の自動角度調整ユニットにより前面から容易に着脱自在に係合されて駆動され、前記レベル出力手段からの検出信号レベルに基づいて角度が自動的に調整される、
角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記垂直回動部材と前記水平回動部材が相対水平回動不能で、前記水平回動部材が水平回動自在に装置筐体に支持されており、前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材が、ともに水平回転自在に装置筐体に支持されている、角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記水平調整・係合部材および垂直調整・係合部材の係合部は、ともに外歯歯車状のローレット加工が施されている、角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項4】
請求項2において、さらに、
前記垂直回動部材に雄ねじ部を有する軸部が設けられ、前記水平回動部材は前記雄ねじ部に螺合しており、前記垂直回動部材が、前記水平回動部材に対して水平軸回りに相対回動自在で、かつ垂直軸回りに相対回動不能に支持され、前記垂直調整・係合部材の回転による前記垂直回動部材の軸部の軸方向移動により、前記垂直回動部材が水平軸回りに回動する、角度調整機構を備えた物体検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の物体検出装置と、この物体検出装置の両調整・係合部材に前面から容易に着脱自在に係合して、外部から駆動し、前記検出信号の信号レベルに基づき角度を自動的に調整する、外付けの自動角度調整ユニットとを備えた物体検出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−104691(P2013−104691A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246778(P2011−246778)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
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