説明

角膜潰瘍治療剤

本発明は、角膜潰瘍を効果的に治療することが可能な医薬、詳細にはトリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩を含有する角膜潰瘍治療剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は角膜潰瘍治療剤に関する。より詳細には、本発明は、トリプトライドまたはその誘導体を含有する角膜潰瘍治療剤に関する。
【背景技術】
角膜は、上皮細胞、ボーマン膜、角膜実質、デスメ膜、内皮細胞からなる。角膜は正常では無血管組織であり、血管の代わりに前眼房の房水から栄養を受け取る。角膜はまた免疫系細胞も有していない。従って、角膜は他の組織に比べ、非常に特殊な組織であると言える。
角膜潰瘍は、主にコラーゲンから構成されている角膜実質(以下、単に実質と記載することもある)がコラーゲン分解酵素の活性化や過剰分泌により融解し欠損している状態である。角膜潰瘍を引き起こすコラーゲン分解酵素としては、細菌性コラゲナーゼとマトリックスメタロプロテアーゼ群(MMPs)が知られている。角膜に細菌などが感染すると、細菌性コラゲナーゼが分泌され、これが直接的に角膜実質のコラーゲンを分解し、角膜潰瘍を引き起こす。同時に、細菌などの微生物はその他の酵素や毒素を分泌し、これらの因子が生物学的信号となって角膜実質細胞(角膜線維芽細胞と呼ばれることもある)の活性化を引き起こし、活性化された角膜実質細胞が不活性なMMPs(proMMPs)を産生し、proMMPsが分泌される。さらにproMMPsは、亢進した活性化機構および細菌性の酵素による限定分解により活性なMMPsとなりこれが角膜潰瘍を引き起こす(活性化MMPsの活性のコントロールは、TIMPs(Tissue Inhibitors of Metalloproteinases)の濃度に依存する)。実質コラーゲンの破壊により生じた細胞外環境の変化はさらに角膜実質細胞の活性化に伴うMMPsの産生・活性化または浸潤してきた炎症性細胞により分泌されるMMPsにより潰瘍を進行させるので、ここに角膜実質細胞の活性化と角膜実質の破壊の悪循環が生じる。抗生物質などで細菌が殺されると細菌性コラゲナーゼ分泌は抑制され細菌による直接的な角膜実質破壊は抑制されるが、抗生物質などは一旦細菌などから角膜実質細胞に送られた生物学的信号による角膜実質細胞の活性化を抑制することができないため、臨床的には潰瘍の進行が認められることがある。この悪循環を抑制する因子は現在のところステロイド薬だけであると考えられていた(西田輝夫ら編,「月刊眼科診療プラクティス(第79号)角結膜疾患の薬物療法」,第1版,株式会社文光堂,2002年1月,p.9−11)。
トリプトライドは、雷公藤(Tripterygium wilfordii)の主活性成分である。トリプトライドおよびその誘導体は免疫抑制作用を有することが知られており、自己免疫疾患治療剤や抗炎症剤としての使用が公知である(例えば、国際公開第97/31920号パンフレット、特表2001−504437号公報、国際公開第96/08262号パンフレット、国際公開第98/52951号パンフレット、国際公開第00/12483号パンフレット、国際公開第02/28862号パンフレット、国際公開第00/63212号パンフレット、国際公開第98/52933号パンフレット、米国特許第5972998号明細書、米国特許第6004999号明細書、国際公開第02/070472号パンフレット、および国際公開第02/074759号パンフレット)。しかし、トリプトライドおよびその誘導体が角膜においてproMMPs産生抑制やproMMPs活性化抑制を示すことは記載も示唆もされていない。
フィニ(Fini)ら著,「アーカイブズ・オブ・ダーマトロジカル・リサーチ(Archives of Dermatological Research)」,(独国),1998年,第290巻追補,p.S12−S23には、合成MMP阻害剤が、角膜のMMPsを阻害することによって動物モデルにおいて角膜潰瘍の進行を阻害しうることが記載されている。しかし、トリプトライドおよびその誘導体が角膜においてproMMPs産生抑制やproMMPs活性化抑制を示すことは記載も示唆もされていない。
リン(Lin)ら著,「アースライティス・アンド・ルーマティズム(ARTHRITS & RHEUMATISM)」,(米国),2001年9月,第44巻,第9号,p.2193−2220には、トリプトライドがヒト滑液線維芽細胞においてMMPsの前駆体であるproMMP1および3の産生を抑制することが記載されている。しかし、トリプトライドおよびその誘導体が角膜においてもproMMPs産生抑制やproMMPs活性化抑制を示すことを示唆する記載はない。
【発明の開示】
上述したように角膜実質細胞の活性化と角膜実質破壊の悪循環を抑制することが可能な角膜潰瘍治療剤は現在ステロイド薬だけであるが、ステロイド薬は様々な副反応を引き起こすことが知られており、角膜潰瘍の治療においてもステロイド薬の使用により症状が悪化する例も多い。従って、本発明者らは、ステロイド薬を使用しなくとも上記悪循環を断ち切り角膜潰瘍を治療することが可能な医薬を創製すべく鋭意検討を重ねた結果、トリプトライドおよびその誘導体が角膜においてTIMPsの産生に影響を与えることなくproMMPsの産生および活性化を有効に阻害し、これにより角膜潰瘍の症状を治癒・緩解することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)トリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩を含有する角膜潰瘍治療剤。
(2)眼局所投与用である、上記(1)に記載の角膜潰瘍治療剤。
(3)点眼剤である、上記(2)に記載の角膜潰瘍治療剤。
(4)トリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩を含有する角膜潰瘍治療用医薬組成物。
(5)眼局所投与用に用いる、上記(4)に記載の角膜潰瘍治療用医薬組成物。
(6)点眼剤に用いる、上記(5)に記載の角膜潰瘍治療用医薬組成物。
(7)トリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩を投与することを含む角膜潰瘍の治療方法。
(8)眼局所投与用として投与することを含む、上記(7)に記載の角膜潰瘍の治療方法。
(9)点眼剤として投与することを含む、上記(8)に記載の角膜潰瘍の治療方法。
(10)角膜潰瘍治療剤を製造するためのトリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩の使用。
(11)角膜潰瘍治療剤が眼局所投与用である、上記(10)に記載の使用。
(12)角膜潰瘍治療剤が点眼剤である、上記(11)に記載の使用。
(13)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の角膜潰瘍治療剤、および当該治療剤を角膜潰瘍の治療に使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。
(14)上記(4)〜(6)のいずれか1項に記載の医薬組成物、および当該組成物を角膜潰瘍の治療に使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。
【図面の簡単な説明】
図1はIL−1βにより誘発したコラーゲン分解に対してトリプトライドが及ぼす影響を、分解したコラーゲンの量を、1ウェルあたりのヒドロキシプロリン量で表したグラフである。N=3,平均±SEM,IL−1β濃度0.1ng/ml。*p<0.001(シェフェ法)
図2はウサギ角膜実質細胞によるMMPおよびproMMPsの発現にトリプトライドが及ぼす影響を示す図である。プラスミノーゲン非添加条件下で培養を行い、グリコシル化proMMP−1、proMMP−1およびproMMP−3についてはウエスタンブロットを、proMMP−9、proMMP−2およびMMP−2についてはゼラチンザイモグラフィーを行った結果を示している。またIL−1β(−)はIL−1β非添加時、IL−1β(+)はIL−1β添加時の結果をそれぞれ示している。
図3はウサギ角膜実質細胞によるMMPsおよびproMMPsの発現にトリプトライドが及ぼす影響を示す図である。60mg/mlのプラスミノーゲン添加条件下で培養を行い、グリコシル化proMMP−1、proMMP−1、MMP−1、proMMP−3およびMMP−3についてはウエスタンブロットを、proMMP−9二量体、proMMP−9、MMP−9中間体、MMP−9、proMMP−2およびMMP−2についてはゼラチンザイモグラフィーを行った結果を示している。またIL−1β(−)はIL−1β非添加時、IL−1β(+)はIL−1β添加時の結果をそれぞれ示している。
図4はIL−1βにより誘発したコラーゲン分解に対してデキサメタゾンが及ぼす影響を、分解したコラーゲンの量を、1ウェルあたりのヒドロキシプロリン量で表したグラフである。N=3,平均±SEM,IL−1β濃度0.1ng/ml。*p<0.05,**p<0.001(シェフェ法)
図5はウサギ角膜実質細胞によるMMPおよびproMMPsの発現にデキサメタゾンが及ぼす影響を示す図である。プラスミノーゲン非添加条件下で培養を行い、グリコシル化proMMP−1、proMMP−1およびproMMP−3についてはウエスタンブロットを、proMMP−9、proMMP−2およびMMP−2についてはゼラチンザイモグラフィーを行った結果を示している。またIL−1β(−)はIL−1β非添加時、IL−1β(+)はIL−1β添加時の結果をそれぞれ示している。
図6はウサギ角膜実質細胞によるMMPsおよびproMMPsの発現にデキサメタゾンが及ぼす影響を示す図である。60mg/mlのプラスミノーゲン添加条件下で培養を行い、グリコシル化proMMP−1、proMMP−1、MMP−1、proMMP−3およびMMP−3についてはウエスタンブロットを、proMMP−9二量体、proMMP−9、MMP−9中間体、MMP−9、proMMP−2およびMMP−2についてはゼラチンザイモグラフィーを行った結果を示している。またIL−1β(−)はIL−1β非添加時、IL−1β(+)はIL−1β添加時の結果をそれぞれ示している。
図7はTIMP−1産生を、mRNAのコピー数の相対値で表したグラフである。N=2〜4,平均±SD,IL−1β濃度0.1ng/ml,デキサメタゾン濃度1nM,トリプトライド濃度3μM。
図8はIL−1βにより誘発したコラーゲン分解に対してトリプトライドおよびコハク酸トリプトライドナトリウム塩が及ぼす影響を、分解したコラーゲンの量を、1ウェルあたりのヒドロキシプロリン量で表したグラフである。またIL−1β(−)はIL−1β非添加時、IL−1β(+)はIL−1β添加時の結果をそれぞれ示している。N=3、平均±SD、IL−1β濃度0.1ng/ml。*p<0.001(ダネット法)
図9はウサギ角膜実質細胞によるMMPsおよびproMMPsの発現にトリプトライドおよびコハク酸トリプトライドナトリウム塩が及ぼす影響を示す図である。プラスミノーゲン添加条件下で培養を行い、proMMP−9、MMP−9、proMMP−2およびMMP−2についてゼラチンザイモグラフィーを行った結果を示している。またIL−1β(−)はIL−1β非添加時、IL−1β(+)はIL−1β添加時の結果をそれぞれ示している。IL−1β濃度0.1ng/ml。
発明の詳細な説明
本明細書における角膜潰瘍とは、角膜の上皮が欠損し、当該上皮欠損部分の実質も一部欠損している状態を示し、細菌感染などの生物学的刺激に由来するものであっても化学的または物理的刺激に由来するものであってもよく、その要因は特に限定されない。
本明細書におけるトリプトライドとは以下の構造を有する化合物であって、その由来は天然であっても合成であってもよい。

天然由来のトリプトライドとしては、Tripterygium wilfordii由来のものが挙げられる。例えば、国際公開第98/52951号パンフレットに記載のようなTripterygium wilfordiiのエタノール抽出物等の溶媒抽出物、またその抽出物をさらに精製したものなどが挙げられ、Tripterygium wilfordii由来であれば液体、固体等どのような最終形態をとっていようとも本発明に用いることができる。
本明細書におけるトリプトライドの誘導体としては、国際公開第97/31920号パンフレット、特表2001−504437号公報、国際公開第96/08262号パンフレット、国際公開第98/52951号パンフレット、国際公開第00/12483号パンフレット、国際公開第02/28862号パンフレット、国際公開第00/63212号パンフレット、国際公開第98/52933号パンフレット、米国特許第5972998号明細書、米国特許第6004999号明細書、国際公開第02/070472号パンフレット、国際公開第02/074759号パンフレットに記載のトリプトライド誘導体が挙げられ、これらの誘導体は、それぞれの文献を参照することにより合成可能である。以下に各文献に記載のトリプトライド誘導体を具体的に記載する。
国際公開第97/31920号パンフレットおよび特表2001−504437号公報には、
コハク酸トリプトライド

コハク酸トリプトライド Tris塩

コハク酸トリプトライド ナトリウム塩

コハク酸トリプトライド リジン塩

トリプトライド 14−N,N−ジメチルグリシンエステル

トリプトライドの14−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピオン酸)エステル 塩酸塩

トリプトライドの14−(4’−N−ピロリジノ)ブチレートエステル 塩酸塩

16−ヒドロキシトリプトライド ビス−N,N−ジメチルグリシンエステル

などのトリプトライド誘導体が記載されている。
国際公開第96/08262号パンフレットには、以下に示す構造を有するTripterygium wilfordiiのエタノール抽出物およびその精製トリプトライド成分が記載されている。

国際公開第98/52951号パンフレットおよび米国特許第6004999号明細書には、
[5aR−(5aα,6α,6aα,7aα,7bβ,8aS,8bα)]−3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a,6−ジヒドロキシ−8b−メチル−6a−(1−メチルエチル)−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−1−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,11aα)]−3−クロロ−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,2,11a−トリヒドロキシ−4b−メチル−2−(1−メチルエチル)−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,11β,11aα)]−3−クロロ−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,11a−ジヒドロキシ−4b−メチル−2−(1−メチルエチル)−2,11−エポキシ−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,11β,11aα)]−3−ブロモ−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,11a−ジヒドロキシ−4b−メチル−2−(1−メチルエチル)−2,11−エポキシ−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ,10β)]−3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a,6,10−トリヒドロキシ−8b−メチル−6a−(1−メチルエチル)−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−1−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,6α,9bβ,11aα)]−3−クロロ−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,2,6,11a−テトラヒドロキシ−4b−メチル−2−(1−メチルエチル)−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,6α,9bβ,11β,11aα)]−3−クロロ−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,6,11a−トリヒドロキシ−4b−メチル−2−(1−メチルエチル)−2,11−エポキシ−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ)]−3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a,6−ジヒドロキシ−6a−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−8b−メチル−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−1−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,9bβ,11aα)]−3−クロロ−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,2,11a−トリヒドロキシ−2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−4b−メチル−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,9bβ,11β,11aα)]−3−クロロ−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,11a−ジヒドロキシ−2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−4b−メチル−2,11−エポキシ−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ)]−6a−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a,6−ジヒドロキシ−8b−メチル−1H−ビスオキシレノ「4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−1−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,9bβ,11aα)]−3−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,2,11a−トリヒドロキシ−4b−メチル−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,9bβ,11β,11aα)]−3−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1,2,3,3a,4b,5,6,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−1,11a−ジヒドロキシ−4b−メチル−1,11−エポキシ−7H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[1,2−c]フラン−7−オン

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ)]−モノ[3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a−ヒドロキシ−8b−メチル−6a−(1−メチルエチル)−1−オキソ−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−6−イル]エステル・ブタン二酸

[1S−(1α,2β,3α,3aβ,4aR,4bα,9bβ,11aα)]−モノ[3−クロロ−1,3,3a,4b,5,6,7,9,9b,10,11,11a−ドデカヒドロ−2,11a−ジヒドロキシ−4b−メチル−2−(1−メチルエチル)−7−オキソ−2H−オキシレノ[4b,5]フェナントロ[2,1−c]フラン−1−イル]エステル・ブタン二酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ)]−モノ[3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a−ヒドロキシ−8b−メチル−6a−(1−メチルエチル)−1−オキソ−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−6−イル]エステル・ペンタン二酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ,10β)]−3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a−ヒドロキシ−8b−メチル−6a−(1−メチルエチル)−1−オキソ−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−6,10−ジイルエステル・ブタン二酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ)]−モノ[2−[6−(3−カルボキシ−1−オキソプロポキシ)−1,3,3b,4,5,5a,6,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a−ヒドロキシ−8b−メチル−1−オキソ−6aH−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−6a−イル]−プロピル]エステル・ブタン二酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ)]−3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a−ヒドロキシ−8b−メチル−6a−(1−メチルエチル)−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−6−イルエステル・L−アラニントリフルオロ酢酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,6aβ,7aβ,7bα,8aR,8bβ)]−3,3b,4,5,5a,6,6a,7a,7b,8b,9,10−ドデカヒドロ−5a−ヒドロキシ−8b−メチル−6a−(1−メチルエチル)−1H−ビスオキシレノ[4b,5:6,7]フェナントロ[1,2−c]フラン−6−イルエステル・L−フェニルアラニントリフルオロ酢酸

などのトリプトライド誘導体が記載されている。
国際公開第00/12483号パンフレットには、以下に示す構造を有するトリプトライド誘導体が記載されている。



国際公開第02/28862号パンフレットには、以下に示す構造を有する化合物が記載されている。

国際公開第00/63212号パンフレットには、
12−チオシアノ−13−ヒドロキシトリプトライド

が記載されている。
国際公開第98/52933号パンフレットおよび米国特許第5972998号明細書には、[5aS−(5aα,5bα,8β,9α,9aR,10aβ)]−4,5a,5b,8,9,10a,11,11a−オクタヒドロ−5b,8,9−トリヒドロキシ−5a−メチル−8−(1−メチルエチル)−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−3(5H)−オン

[5aR−(5aα,6α,7β,9aα,9bα)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−デカヒドロ−5a,6,7,9a−テトラヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−フェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[5R−(5α,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,10,11−デカヒドロ−5a,6,9a−トリヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−5,7−エポキシフェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[5aS−(5aα,5bα,8β,9α,9aR,10aβ)]−4,5a,5b,6,7,8,9,10a,11,11a−デカヒドロ−5b,8,9−トリヒドロキシ−5a−メチル−8−(1−メチルエチル)−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−3(5H)−オン

[5aR−(5aα,6α,7β,9aα,9bα)]−3b,4,5,5a,6,7,8,9,9a,9b,10,11−ドデカヒドロ−5a,6,7,9a−テトラヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−フェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[5R−(5α,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−3b,4,5,5a,6,7,8,9,9a,9b,10,11−ドデカヒドロ−5a,6,9a−トリヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−5,7−エポキシフェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[4S−(4α,5aα,5bα,8β,9α,9aR,10aβ,11aβ)]−8−(1−メチルエチル)−4,5a,5b,8,9,10a,11,11a−オクタヒドロ−4,5b,8,9−テトラヒドロキシ−5a−メチル−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−3(5H)−オン

[5aR−(5aα,6α,7β,9aα,9bα,11α)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−デカヒドロ−5a,6,7,9a,11−ペンタヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−フェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[3bS−(3bα,5α,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ,11β)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−デカヒドロ−5a,6,9a,11−テトラヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−5,7−エポキシフェナントロ[1,2−c]−フラン−1(3H)−オン

[5aS−(5aα,5bα,8β,9α,9aR,10aβ,11aβ)]−4,5a,5b,8,9,10a,11,11a−オクタヒドロ−5b,8,9−トリヒドロキシ−8−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−5a−メチル−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−3(5H)−オン

[5aR−(5aα,6α,7β,9aα,9bα)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−デカヒドロ−5a,6,7,9a−テトラヒドロキシ−7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−9b−メチル−フェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[3bS−(3bα,5α,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−デカヒドロ−5a,6,9a−トリヒドロキシ−7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−9b−メチル−5,7−エポキシフェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[5aS−(5aα,5bα,8β,9α,9aR,10aβ)]−4,5a,5b,8,9,10a,11,11a−オクタヒドロ−5b,8,9−トリヒドロキシ−5a−メチル−8−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−3(5H)−オン

[5aR−(5aα,6α,7β,9aα,9bα)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−デカヒドロ−5a,6,7,9a−テトラヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−9b−メチル−フェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[5R−(5α,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−デカヒドロ−5a,6,9a−トリヒドロキシ−9b−メチル−7−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−5,7−エポキシフェナントロ[1,2−c]フラン−1(3H)−オン

[5aS−(5aα,5bα,8β,9α,9aS,10aβ,11aβ)]−モノ[3,4,5,5a,5b,8,9,10a,11,11a−デカヒドロ−5b,8−ジヒドロキシ−5a−メチル−8−(1−メチルエチル)−3−オキソ−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−9−イル]エステル・ブタン二酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−モノ[1,3,3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−ドデカヒドロ−5a,7,9a−トリヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−1−オキソフェナントロ[1,2−c]フラン−6−イル]エステル・ブタン二酸

[3bS−(3bα,5α,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−モノ[1,3,3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−ドデカヒドロ−5a,9a−ジヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−1−オキソ−5,7−エポキシフェナントロ[1,2−c]フラン−6−イル]エステル・ブタン二酸

[5aS−(5aα,5bβ,8β,9α,9aS,10aβ,11aβ)]−モノ[3,4,5,5a,8,9,10a,11,11a−デカヒドロ−5b,8−ジヒドロキシ−5a−メチル−8−(1−メチルエチル)−3−オキソ−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−9−イル]エステル・ペンタン二酸

[4S−(4α,5aα,5bα,8β,9α,9aS,10aβ,11aβ)]−3,4,5,5a,5b,8,9,10a,11,11a−デカヒドロ−5b,8−ジヒドロキシ−5a−メチル−8−(1−メチルエチル)−3−オキソ−1H−オキシレノ[8a,9]フェナントロ[1,2−c]フラン−4,9−ジイルエステル・ブタン二酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−1,3,3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−ドデカヒドロ−5a,7,9a−トリヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−1−オキソフェナントロ[1,2−c]フラン−6−イルエステル・L−アラニン・トリフルオロ酢酸

[3bS−(3bα,5aβ,6β,7α,9aβ,9bβ)]−1,3,3b,4,5,5a,6,7,9a,9b,10,11−ドデカヒドロ−5a,7,9a−トリヒドロキシ−9b−メチル−7−(1−メチルエチル)−1−オキソフェナントロ[1,2−c]フラン−6−イルエステル・L−フェニルアラニン・トリフルオロ酢酸

などのトリプトライド誘導体が記載されている。
国際公開第02/070472号パンフレットには、以下に示す構造を有するトリプトライド誘導体が記載されている。


国際公開第02/074759号パンフレットには、
トリプトライド 14−N−tert−ブトキシカルボニル−α−t−ブチル−L−グルタミン酸エステル

トリプトライド 14−α−ベンジルオキシカルボニル−D−グルタミン酸エステル

トリプトライド 14−γ−ベンジル−N−ベンジルオキシカルボニル−(L)−グルタミン酸エステルD体混合物

トリプトライド 14−β−ベンジル−N−ベンジルオキシカルボニル−(L)−アスパラギン酸エステルD体混合物

トリプトライド 14−N−tert−ブトキシカルボニル−β−tert−ブトキシカルボニル−β−tert−ブチル−(L)−アスパラギン酸エステルD体混合物

トリプトライド 14−γ−L−グルタミン酸エステル

などのトリプトライド誘導体が記載されている。
本発明で用いるトリプトライドまたはその誘導体は、医薬上許容しうる塩の形態のものを適宜用いることもできる。そのような塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、メチルマレイン酸塩、フマール酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、イソチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機塩基塩;リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等の酸付加塩および塩基付加塩などを挙げることができる。また、場合によっては水和物、またはアルコール等との溶媒和物であってもよい。
本発明の角膜潰瘍治療剤は、トリプトライドまたはその誘導体の角膜潰瘍治癒作用に悪影響を与えない限り、トリプトライドまたはその誘導体以外の任意の成分を含むことができる。そのような成分には例えば、抗菌剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、抗ウイルス剤、血管収縮剤などが挙げられ、具体的には、塩酸ロメフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、エリスロマイシン、スルフイソキサゾール、塩酸オキシテトラサイクリン、硫酸ポリオキシンB、塩酸セフメノキシム、クロラムフェニコール、スルベニシリン、トブラマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸ミクロマイシン等の抗菌剤;シクロスポリン、ラパマイシン、タクロリムス等の免疫抑制剤;アズレン、インドメタシン、塩化リゾチーム、ジクロフェナクナトリウム、プラノプロフェン等の抗炎症剤;フマル酸ケトチフェン、トラニラスト、メタキジン、ジフェンヒドラミン等の抗アレルギー剤;アシクロビル、イドクスウリジン、ピマリシン等の抗ウイルス剤;硝酸テトラハイドロゾリン、塩酸オキシメタゾリン等の血管収縮剤などが挙げられる。
本発明の角膜潰瘍治療剤は、当該分野で通常用いられているような添加剤を投与形態に応じ適宜加えることも可能である。
本発明の角膜潰瘍治療剤は、角膜潰瘍の治療効果を奏する限りその投与経路は特に限定されないが、好ましくは眼局所投与される。眼局所投与用剤形には、例えば、点眼剤や眼軟膏剤が挙げられる。
例えば、本発明の角膜潰瘍治療剤を点眼剤または眼軟膏剤として用いる場合、安定剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなど)、溶解補助剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、懸濁化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、乳化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、大豆レシチン、卵黄レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80など)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸、イプシロンアミノカプロン酸など)、粘稠剤(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなど)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、エデト酸ナトリウム、ホウ酸など)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ブドウ糖、プロピレングリコールなど)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)、清涼化剤(例えば、1−メントール、d−カンフル、d−ボルネオール、ハッカ油など)、軟膏基剤(白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン、植物油(オリーブ油、椿油、落花生油など)など)などを添加剤として加えることができる。これら添加剤の添加量は、添加する添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよい。
本発明の角膜潰瘍治療剤を点眼剤または眼軟膏剤とする場合、製剤分野で通常用いられている方法に従って製造すればよく、例えば第14改正日本薬局方、製剤総則、点眼剤の項および眼軟膏剤の項に記載された方法に基づき製造することができる。
本発明の角膜潰瘍治療剤の投与対象は特に限定されず、ヒトをはじめサル、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、ウマ、ウシ等種々の哺乳動物における角膜潰瘍治療に有用である。
本発明の角膜潰瘍治療剤をヒトに投与する場合には、トリプトライドまたはその誘導体の濃度として約100nM〜約1000μM、好ましくは約1μM〜約100μMのトリプトライドまたはその誘導体を含む溶液を、1日1回〜6回、1回に片眼あたり1〜2滴を投与すればよい。
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に記載するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1.トリプトライド
試薬の調製
〔トリプトライド溶液の調製〕
トリプトライド〔PG490〕(ALEXIS BIOCHEMICALS社製,スイス、Tripterygium wilfordiiからの単離物、純度98%)1mgをジメチルスルホキシド(DMSO)0.925mlに溶解した(3.0×10−3M)。この溶液を無血清イーグル最小必須培地(MEM)にて500倍希釈した(6.0×10−6M)。以降、順次0.2%DMSOの入った無血清MEMで10倍希釈した。
〔デキサメタゾン溶液の調製〕
デキサメタゾン(シグマアルドリッチジャパン社製)39.25mgをDMSO1.0mlに溶解した(1.0×10−1M)。この溶液を無血清MEMにて500倍希釈した(2.0×10−4M)。以降、0.2%DMSOの入った無血清MEMで順次10倍希釈した。
〔エールリッヒ試薬溶液の調製〕
60%過塩素酸10mlと2−プロパノール65mlとを混合し、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド6.6gを加えて溶解した。
〔ヒドロキシプロリン標準溶液の調製〕
ヒドロキシプロリン20mgを全量50mlの蒸留水に溶解して、400μg/mlのヒドロキシプロリン溶液を調製し冷蔵保存した。
400μg/mlヒドロキシプロリン(HYP)溶液をもとに20μg/ml、15μg/ml、10μg/ml、5μg/ml、0μg/ml HYP溶液を調製した。
〔使用動物〕
Japanese albino rabbit(体重2.5〜3.0kg、オス)をバイオテック(日)から購入して用いた。
〔その他用いた物質〕
MEMおよび組織培養培地199(TCM199)は、Gibco(米国)製のものを使用した。組織培養プレートはCorning Costar Corporation(米国)製のものを使用した。Ultra−free(登録商標)−MCフィルターはMillipore Corporation(米国)製のものを使用した。ネイティブなブタタイプIコラーゲン(酸可溶化)および5倍濃縮ダルベッコ改変イーグル最小必須培地(DMEM)は、新田ゼラチン(日本)から入手した。ウシプラスミノーゲンは、Sigma(米国)から入手した。IL−1βは、R&D Systems(米国)から入手した。S−2251(H−D−Val−Leu−Lys−pNA)は第一化学薬品株式会社(日本)から入手した。ヒツジ抗ウサギMMP−1抗体およびヒツジ抗ウサギMMP−3抗体は、Department of Biochemistry and Molecular Biology,University of Kansas Medical Centerの永瀬氏から提供されたものを用いた。
角膜実質細胞の調製
ウサギ角膜実質細胞はMishimaら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.28,1521−6(1987)の記載に従って調製し培養した。ウサギをペントバルビタールナトリウムの過投与により供死した。眼球を摘出し、角強膜切開して角膜を摘出した。実質を上皮および内皮から分離した。角膜実質細胞は、コラゲナーゼ(Collagenase from Clostridium histolyticum,Sigma(米国)#C−0130)(2mg/ml)で37℃3〜4時間消化して実質から遊離させた。細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したMEMで培養し、37℃湿度100%のインキュベーター中、5%CO条件下で増殖させ、その後、10%FBSを含むMEMで継代培養した。
三次元培養
コラーゲンゲルを新田ゼラチンのマニュアルに基づいて調製した。すなわち、得られたウサギ角膜実質細胞をPBS(−)で洗浄後、0.05%トリプシンを1ml加え、COインキュベーター内で数分間放置し細胞を剥離した。10%FBSを含むMEM 5mlを加えて、トリプシンの反応を止め、15ml遠心管に細胞懸濁液を移して、1500rpm、5分間遠心した。上清を除去した後、一定量の無血清MEMを加えて細胞を懸濁し、ビルケルチュルク血球計算板(萱垣医理科工業)を用いて細胞数をカウントした。1500rpm、5分間遠心し上清を除去後、無血清MEMを加えて220万個/mlの細胞懸濁液を調製した。A.酸可溶化タイプIコラーゲン(3mg/ml)、B.5倍濃縮DMEM、C.再構築緩衝液(0.05N NaOH、0.26M NaHCO、0.2M HEPES、pH 7.3)、D.細胞懸濁液(2.2×10細胞/ml)を、A:B:C:D=7:2:1:1の割合で、氷中で冷却しながら混合した。このコラーゲン溶液を0.5ml/ウェルで24ウェルの培養プレートに入れ、37℃、5%COのインキュベーター内で0.5〜5時間放置した。次いで、IL−1β(0.1ng/mL)および種々の濃度のトリプトライドまたはデキサメタゾンを含む0.5mlの無血清MEMを重層し、48時間培養した。
実験例
〔コラーゲン分解活性の測定〕
三次元培養後、培地を回収し、100kDaを超える分子量の分解されていないコラーゲン原線維を限外濾過により取り除いた。濾液をヒートブロックで110℃24時間、塩酸により加水分解した。加水分解物中のヒドロキシプロリン量を、エールリッヒ試薬を用い分光光度計を用いて測定した(Bergmanら、Anal.Chem.,35,1961−5(1963))。分解したコラーゲンの量を、1ウェルあたりのヒドロキシプロリン量で表した。
〔ウエスタンブロット〕
三次元培養後、回収した培地を還元条件下12.5%SDS/ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、分離されたタンパク質をPVDFメンブレン(Immobilon(登録商標)−P、Millipore社製,米国)上に転写した。転写したメンブレンをブロックした後、ヒツジ抗(ウサギMMP−1)抗体またはヒツジ抗(ウサギMMP−3)抗体と反応させた。抗原の免疫検出をECL(登録商標)ウエスタンブロット検出キット(Amersham社製,英国)を用いて行った。抗体との反応性および分子量によって各MMPを同定した。
〔ゼラチンザイモグラフィー〕
三次元培養後、0.1%ゼラチンを含有する10%SDS/ポリアクリルアミドゲルでBirkedal−Hansenら、Biochem.Biophys.Res.Commun.107,1173−8(1982)に記載の方法に従って回収した培地を分離した。培地のサンプルを、還元剤を含まないSDS−サンプル緩衝液(125mM Tris、pH 6.8、20%グリセロール、2% SDS、0.002%ブロモフェノールブルー)と混合した。4℃で電気泳動した後、ゲルを2.5% Triton X−100で1時間洗浄し、プロテアーゼ活性を回復させた。次いで、反応緩衝液(50mM Tris、pH 7.5、5mM CaClおよび1% Triton X−100)中で、37℃18時間、ゲルをインキュベートした。ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色した。分子量により各MMPを同定した。
〔RT−PCR〕
三次元培養後、コラゲナーゼを添加してコラーゲンゲルを溶解し、細胞を回収した。細胞よりRNeasy Mini Kit(Qiagen社製,独国)を用いてtotal RNAを抽出した後、total RNA 1μgをReverse Transcription System(Promega社製,米国)を用いてcDNAへ変換した。このcDNAとQuantiTect SYBR Green PCR Master Mix溶液(QuantiTect−SYBR Green PCR kit,Qiagen社製,独国)、nuclease free waterおよびウサギTIMP−1 primer(日本遺伝子研究所にて合成。Hanら,Nagoya J.Med.Sci.62,115−126(1999))を混合し、LightCycler(Roche Molecular Biochemicals社製,独国)を用いてTIMP−1のmRNAの発現量を検討した。
実験例1
トリプトライドがIL−1β誘発コラーゲン分解に及ぼす影響を調べた。トリプトライド溶液を用いて上記三次元培養を行った後、上記コラーゲン溶解活性の測定に記載の方法に従って、実験を行った。結果を図1に示す。
図1によれば、トリプトライドがIL−1β誘発コラーゲン分解を濃度依存的に抑制することがわかる。
実験例2
トリプトライドがウサギ角膜実質細胞のMMPおよびproMMPsの発現に及ぼす影響を調べた。トリプトライド溶液を用いて上記三次元培養を行った後、上記ウエスタンブロットまたはゼラチンザイモグラフィーに記載の方法に従って、実験を行った。結果を図2に示す。
図2によれば、トリプトライドがIL−1βによって引き起こされるグリコシル化proMMP−1、proMMP−1、proMMP−3の増加を抑制することがわかる。
実験例3
トリプトライドがウサギ角膜実質細胞のMMPsおよびproMMPsの発現に及ぼす影響を調べた。トリプトライド溶液を用いて上記三次元培養を行った後、上記ウエスタンブロットまたはゼラチンザイモグラフィーに記載の方法に従って、実験を行った。結果を図3に示す。
図3によれば、トリプトライドがIL−1βおよびプラスミノーゲンによって引き起こされるグリコシル化proMMP−1、proMMP−1、proMMP−3の増加および活性化ならびにproMMP−9活性化を抑制することがわかる。
実験例4
デキサメタゾンがIL−1β誘発コラーゲン分解に及ぼす影響を調べた。デキサメタゾン溶液を用いて上記三次元培養を行った後、上記コラーゲン溶解活性の測定に記載の方法に従って、実験を行った。結果を図4に示す。
図4によれば、デキサメタゾンがIL−1β誘発コラーゲン分解を濃度依存的に抑制することがわかる。
実験例5
デキサメタゾンがウサギ角膜実質細胞のMMPおよびproMMPsの発現に及ぼす影響を調べた。デキサメタゾン溶液を用いて上記三次元培養を行った後、上記ウエスタンブロットまたはゼラチンザイモグラフィーに記載の方法に従って、実験を行った。結果を図5に示す。
図5によれば、デキサメタゾンがIL−1βにより引き起こされるグリコシル化proMMP−1、proMMP−1およびproMMP−3の増加を抑制することがわかる。
実験例6
トリプトライドがウサギ角膜実質細胞のMMPsおよびproMMPsの発現に及ぼす影響を調べた。トリプトライド溶液を用いて上記三次元培養を行った後、上記ウエスタンブロットまたはゼラチンザイモグラフィーに記載の方法に従って、実験を行った。結果を図6に示す。
図6によれば、デキサメタゾンがIL−1βおよびプラスミノーゲンによって引き起こされるproMMP−1活性化、proMMP−3増加、ならびにproMMP−2およびproMMP−9の活性化を抑制することがわかる。
実験例7
トリプトライドおよびデキサメタゾンがTIMP−1産生に及ぼす影響を調べた。上記RT−PCRに記載の方法に従って、実験を行った。結果を図7に示す。
図7によれば、IL−1βによって引き起こされるTIMP−1産生(mRNAレベル)をデキサメタゾンは抑制してしまうが、トリプトライドは抑制しないことがわかる。
デキサメタゾンがTIMP−1産生を抑制するということはすなわち、内因性MMP阻害剤の発現量を抑制するということを意味し、これによりコラーゲン分解が亢進する可能性がある。しかしながら、トリプトライドはTIMP−1産生には影響を与えないので、デキサメタゾンよりもより効果的にコラーゲン分解を抑制すると考えられる。
実施例2.コハク酸トリプトライド ナトリウム塩
コハク酸トリプトライド
トリプトライド〔PG490〕(CALBIOCHEM社製、米国、Tripterygium wilfordiiからの単離物、純度98%)(0.05g、0.13mmol)と4−ジメチルアミノピリジン(0.017g、0.14mmol)をジメチルホルムアミド(1mL)とピリジン(5mL)の混合溶液に溶解させ、無水コハク酸(0.075g、0.75mmol)を加え、窒素雰囲気下、85℃で30分間攪拌した。溶媒を減圧蒸留し、1N−水酸化カリウム水溶液(2mL)を加え、酢酸エチルで洗浄した。水層を1N−塩酸で酸性とし、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。溶媒を減圧留去して、コハク酸トリプトライド(0.012g、18.7%)を黄色固体として得た。
H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)δ:0.83(3H、d、J=6.6Hz)、0.94(3H、d、J=7.2Hz)、1.05(3H、s)、1.21(1H、m)、1.55(1H、m)、1.89(2H、m)、2.15(2H、m)、2.30(1H、m)、2.74−2.76(5H、m)、3.45(1H、d、J=5.7Hz)、3.52(1H、d、J=3.3Hz)、3.82(1H、d、J=3.0Hz)、4.66(2H、s)、5.09(1H、s).
コハク酸トリプトライドナトリウム塩
上記で得られたコハク酸トリプトライド(0.01g、0.02mmol)と炭酸水素ナトリウム(0.002g、0.02mmol)に水(20mL)を加え、室温で30分間攪拌した。水溶液を濾過し、濾液を凍結乾燥してコハク酸トリプトライドナトリウム塩(0.01g、95.4%)を黄色フォームとして得た。
H−NMRスペクトル(300MHz、DMSO−d)δ:0.74(3H、d、J=7.2Hz)、0.86(3H、d、J=6.9Hz)、0.91(3H、s、20−CH)、1.28−1.30(2H、br)、1.80−2.23(7H、m)、2.38−2.51(3H、m)、3.55(1H、m)、3.70(1H、m)、3.95(1H、d、J=3.0Hz)、4.83(2H、brs)、4.97(1H、s、14−CH).
試薬の調製
被験物質としてトリプトライド〔PG490〕(CALBIOCHEM社製、米国、Tripterygium wilfordiiからの単離物、純度98%)、および上記で得られたコハク酸トリプトライドナトリウム塩を用いた。
〔トリプトライド溶液の調製〕
トリプトライド〔PG490〕(CALBIOCHEM社製、米国、Tripterygium wilfordiiからの単離物、純度98%)1mgをDMSO27.7μLに溶解した(1.0×10−1M)。これをDMSOにて10倍希釈した(1.0×10−2M)。それぞれのDMSOを用いて調製した溶液を無血清MEMで500倍希釈した(2.0×10−4M、2.0×10−5M)。
〔コハク酸トリプトライドナトリウム塩溶液の調製〕
上記で得られたコハク酸トリプトライドナトリウム塩2.17mgをDMSO45μLに溶解した(1.0×10−1M)。これをDMSOにて10倍希釈した(1.0×10−2M)。それぞれのDMSOを用いて調製した溶液を無血清MEMで500倍希釈した(2.0×10−4M、2.0×10−5M)。
〔使用動物〕
Japanese albino rabbit(体重約2kg、オス、北山ラベスから購入)を用いた。
その他は実施例1と同様にして行った。
実験例8
トリプトライドおよびコハク酸トリプトライドナトリウム塩がウサギ角膜実質細胞によるIL−1β誘発コラーゲン分解に及ぼす影響を調べた。被験物質溶液を用いて前述の三次元培養を行った後、前述のコラーゲン分解活性の測定の記載の方法に従って、実験を行った。結果を図8に示す。
図8によれば、トリプトライドおよびコハク酸トリプトライドナトリウム塩がIL−1β誘発コラーゲン分解を濃度依存的に抑制することがわかる。
実験例9
トリプトライドおよびコハク酸トリプトライドナトリウム塩がウサギ角膜実質細胞のMMPsおよびproMMPsの発現に及ぼす影響を調べた。被験物質溶液を用いて前述の三次元培養を行った後、前述のゼラチンザイモグラフィーに記載の方法に従って、実験を行った。結果を図9に示す。
図9によれば、トリプトライドがIL−1βによって引き起こされるproMMP−2およびMMP−2の増加、並びにproMMP−9活性化を抑制し、コハク酸トリプトライドナトリウム塩がMMP−2増加およびMMP−9活性化を抑制することがわかる。
製剤例1:点眼剤
トリプトライド 3.6mg
ポリソルベート80 0.1g
リン酸二水素ナトリウム 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
水酸化ナトリウム 適量(pH7.0)
滅菌精製水 Total 100mL
以上を混和して懸濁点眼剤とする。
製剤例2:点眼剤
トリプトライド 36mg
ホウ酸 700mg
ホウ砂 適量
塩化ナトリウム 500mg
ヒドロキシメチルセルロース 500mg
エデト酸ナトリウム 0.05mg
塩化ベンザルコニウム 0.0005mg
滅菌精製水 Total 100mL
以上を混和して懸濁点眼剤とする。
製剤例3:眼軟膏剤
トリプトライド 3.6mg
精製ラノリン 10g
白色ワセリン 100g
以上を混和して眼軟膏剤とする。
製剤例4:眼軟膏剤
トリプトライド 3.6mg
ダイズ油 5g
白色ワセリン 100g
以上を混和して眼軟膏剤とする。
製剤例5:点眼剤
コハク酸トリプトライド ナトリウム塩 4.8mg
ホウ酸 700mg
ホウ砂 適量
塩化ナトリウム 500mg
ヒドロキシメチルセルロース 500mg
エデト酸ナトリウム 0.005mg
塩化ベンザルコニウム 0.0005mg
滅菌精製水 Total 100mL
以上を混和して懸濁点眼剤とする。
製剤例6:眼軟膏剤
コハク酸トリプトライド ナトリウム塩 4.8mg
精製ラノリン 10g
白色ワセリン 100g
以上を混和して眼軟膏剤とする。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、ステロイド薬のような副作用の危惧なく、角膜潰瘍を治療することが可能となる。
本出願は、日本で出願された特願2003−052072を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含されるものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩を含有する角膜潰瘍治療剤。
【請求項2】
眼局所投与用である、請求の範囲1に記載の角膜潰瘍治療剤。
【請求項3】
点眼剤である、請求の範囲2に記載の角膜潰瘍治療剤。
【請求項4】
トリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩を含有する角膜潰瘍治療用医薬組成物。
【請求項5】
眼局所投与用に用いる、請求の範囲4に記載の角膜潰瘍治療用医薬組成物。
【請求項6】
点眼剤に用いる、請求の範囲5に記載の角膜潰瘍治療用医薬組成物。
【請求項7】
トリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩を投与することを含む角膜潰瘍の治療方法。
【請求項8】
眼局所投与用として投与することを含む、請求の範囲7に記載の角膜潰瘍の治療方法。
【請求項9】
点眼剤として投与することを含む、請求の範囲8に記載の角膜潰瘍の治療方法。
【請求項10】
角膜潰瘍治療剤を製造するためのトリプトライドもしくはその誘導体またはその医薬上許容しうる塩の使用。
【請求項11】
角膜潰瘍治療剤が眼局所投与用である、請求の範囲10に記載の使用。
【請求項12】
角膜潰瘍治療剤が点眼剤である、請求の範囲11に記載の使用。
【請求項13】
請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の角膜潰瘍治療剤、および当該治療剤を角膜潰瘍の治療に使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。
【請求項14】
請求の範囲4〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物、および当該組成物を角膜潰瘍の治療に使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。

【国際公開番号】WO2004/075888
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502964(P2005−502964)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002406
【国際出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(503079354)
【出願人】(000199175)千寿製薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】