説明

角質溶解洗浄剤組成物、及び角質溶解洗浄剤

【課題】高い安全性と角質溶解効果を有する角質溶解洗浄剤組成物、及び角質溶解洗浄剤を提供する。
【解決手段】ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤と、アルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤とを、組成物中に、重量比で60:40〜10:90の割合で含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角質を溶解させることのできる角質溶解洗浄剤組成物、及び角質溶解洗浄剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老化した角質を除去する方法の一つとして、強酸性、もしくは強アルカリ性の化学薬剤を肌に塗布し、角質を溶解させる方法、即ち、ケミカルピーリング法が知られている。このようなケミカルピーリング法は、強酸性もしくは強アルカリ性の薬剤により、角質を化学的に溶かして、新しい皮膚の再生を促すことによって、より健康で美しい肌を取り戻す方法であるが、健常である皮膚や目、粘膜等を痛める危険性があった。
【0003】
このため、従来、安全性の高い、即ち、皮膚に対する刺激が弱い角質溶解剤の開発が進められてきた(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−186036号公報
【特許文献2】特開2007−269669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のケミカルピーリング剤を使用したケミカルピーリング法は、ケミカルピーリング剤を含有する第1剤を皮膚に塗布し、その前または後にL−アスコルビン酸を含有する第2剤を1回又は複数回塗布することにより行われるものである、即ち、2つの薬剤を使用して行われるものであり、利便性に欠けていた。加えて、専門医師により実施されることを要件としており、一般消費者が安全に使用できるものではなかった。
【0006】
また、特許文献2に記載の水中油型角質溶解化粧料は、皮膚への刺激が少なく、一般消費者が安全に使用できるものの、十分な角質溶解効果が得られるものではなかった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、高い安全性と角質溶解効果を有する角質溶解洗浄剤組成物、及び角質溶解洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤と、アルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤とを含有する組成物が、安全性及び角質溶解性に優れていることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物は、下記一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは水素、無機カチオン、又は有機カチオンを示す。)で示されるヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤と、下記一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基又はポリオキシエチレンアルキルエーテル基を示し、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基から選ばれたものを示す。)で示されるアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤とを含有し、前記アニオン性界面活性剤と前記半極性界面活性剤との重量比が、60:40〜10:90であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物では、殺菌成分を含有してもよい。この場合において含有される殺菌成分は、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルへキシジン、クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、ピリチオン亜鉛、及びヒノキチオールから選択される1種以上であってよい。
【0015】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物では、保湿成分を含有してもよい。
【0016】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物では、肌あれ防止成分を含有してもよい。
【0017】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物では、スクラブ剤を含有してもよい。
【0018】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤は、容器に角質溶解洗浄剤組成物を充填して構成された角質溶解洗浄剤であって、前記角質溶解洗浄剤組成物として、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物が充填されたものであってもよい。
【0019】
あるいは、本発明に係る角質溶解洗浄剤は、ポンプフォーマー容器に角質溶解洗浄剤組成物を充填して構成された角質溶解洗浄剤であって、前記角質溶解洗浄剤組成物として、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物が充填されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、安全性及び角質溶解性に優れた角質溶解洗浄剤組成物、及び角質溶解洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
<界面活性剤>
本発明の角質溶解洗浄剤組成物は、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤と、アルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤とを必須成分として含有するものである。
【0023】
本発明で使用されるヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤は、下記一般式(1)
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、Rは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは水素、無機カチオン、又は有機カチオンを示す。)で示されるものである。
【0026】
具体的には、Rは、6〜20の炭素原子、好ましくは、8〜14の炭素原子を有する飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
【0027】
また、Xは、水素、無機カチオン、又は有機カチオンであり、無機カチオンの具体例としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、K)を挙げることができ、有機カチオンの具体例としては、アンモニウムイオン(NH)、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、アルギニン、リジン、N−メチルタウリン塩等を挙げることができる。
【0028】
このような上記した一般式(1)で示されるヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤としては、三洋化成工業株式会社から販売されているレボンHSA−3(ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム)等を挙げることができる。
【0029】
また、本発明で使用されるアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤は、下記一般式(2)
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基又はポリオキシエチレンアルキルエーテル基を示し、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基から選ばれたものを示す。)で示されるものである。
【0032】
具体的には、Rは、8〜22の炭素原子、好ましくは、10〜18の炭素原子を有する飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
【0033】
このような上記した一般式(2)で示したアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤の具体例としては、日油株式会社製のユニセーフA−LMR(ラウリルジメチルアミンオキサイド)を挙げることができる。
【0034】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物において、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤と、アルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤とは、組成物中における重量比が、60:40〜10:90、より好ましくは、30:70〜10:90となるように、配合されている。アルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤に対するヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤の含有量が、60/40よりも多いと、皮膚に対する刺激が強くなりすぎるとともに、角質溶解性が低下する。逆に、アルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤に対するヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤の含有量が、10/90よりも少なくても、皮膚に対する刺激が強くなりすぎるとともに、角質溶解性が低下する。
【0035】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物において、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤及びアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤の含有量は、皮膚に対する刺激が少なく、且つ、高い角質溶解効果を得ることができる量であれば、特に限定されるものではないが、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤及びアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤の含有量の合計は、組成物全体に対して、界面活性剤有効分として2〜30重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましい。ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤及びアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤の含有量の合計が、2重量%よりも少ないと、十分な角質溶解効果を得ることができないおそれがあり、逆に、30重量%よりも多いと、皮膚に対する刺激が強くなりすぎるおそれがある。
【0036】
上述のようにして、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤と、アルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤とが必須成分として含有された本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物は、高い安全性と角質溶解効果を有する。加えて、良好な起泡性を有することから、洗浄剤としての使用に適している。
【0037】
<殺菌成分>
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、殺菌成分が含有されていてもよい。殺菌成分としては、殺菌効果を有するものをいずれも使用することができ、具体例としては、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルへキシジン、クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、ピリチオン亜鉛、及びヒノキチオール等を挙げることができる。これらの殺菌成分は、単独で使用されても、2種以上を併用して使用されてもよい。
【0038】
このようにして、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物に、殺菌成分が含有されると、例えば、アクネの予防又は治療用の洗浄剤組成物や、水虫の予防又は治療用の洗浄剤組成物としての使用が可能となる。
【0039】
<保湿成分>
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、保湿成分が含有されていてもよい。保湿成分としては、保湿効果を有するものをいずれも使用することができ、具体例としては、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、キシリトール、プロピレングリコール、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ソルビトール、イソプロピレングリコール、1,2−オクタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール等を挙げることができる。これらの保湿成分は、単独で使用されても、2種以上が併用されて使用されてもよい。
【0040】
このようにして、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物に、保湿成分が含有されると、使用後のつっぱり感等を解消することができ、使用性のよりよい洗浄剤組成物を提供することができる。なお、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物に保湿成分を含有させる場合、組成物全体に対する保湿成分の含有量は、1〜30重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましい。組成物全体に対する保湿成分の含有量が1重量%未満の場合には、良好な保湿効果を得ることができないおそれがあり、逆に、30重量%超では、角質溶解効果が損なわれたり、べたつき感が生じるおそれがある。
【0041】
<肌あれ防止成分>
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、肌あれ防止成分が含有されていてもよい。肌あれ防止成分としては、肌あれ防止効果を有する公知のものをいずれも使用することができ、具体例としては、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、トラネキサム酸、ビタミン類、アミノ酸類及びシコンエキス、ビワ葉エキス等の植物抽出物等を挙げることができる。なお、これらの肌あれ防止成分は、単独で使用されても、2種以上が併用されて使用されてもよい。
【0042】
このようにして、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物に、肌あれ防止成分が含有されると、肌に対する負担のより少ない洗浄剤組成物を提供することができる。
【0043】
<スクラブ剤>
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内でスクラブ剤が含有されてもよい。スクラブ剤としては、公知のものをいずれも使用することができ、具体例としては、球状シリカP−1500(触媒化成工業株式会社製)、SST−H1000(角八魚鱗箔製)、トスパール2000−B(東芝シリコーン製)、ハイドロキシアパタイト(アドバンス製)、アルギニン酸カルシウム、球状ポリエチレンSS(住友精化株式会社製)、サンワックス151P(三洋化成工業株式会社製)、PWパウダーM−2010(パリコ社製)、球状ポリエチレンSS−2(住友精化株式会社製)、ナイロンSP−500(日興理化学産業製)、セルロフローC−25(チッソ株式会社製)等を挙げることができる。
【0044】
このようにして、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物に、スクラブ剤が含有されると、スクラブ剤によるピーリング効果により、角質溶解効果をさらに、増強させることができる。
【0045】
<その他成分>
本発明の角質溶解洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、洗浄剤組成物に通常配合される成分、例えば、増粘効果を有する水溶性高分子、使用性向上効果を有するカチオン性高分子・両性高分子・ノニオン性高分子、金属イオン封鎖剤(キレート剤)、防腐剤、消臭剤、色素、香料、顆粒、カプセル等が配合されていてよい。
【0046】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物は、ジェル状、液状等の従来公知のどのような形態でも使用することができる。
【0047】
本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物は、従来の公知の方法により調製することができる。例えば、液状の角質溶解洗浄剤組成物は、水やアルコール等の溶媒に各種成分を溶解することにより調製することができる。
【0048】
また、ジェル状の角質溶解洗浄剤組成物は、増粘効果を有する水溶性高分子(キサンタンガムとヒドロキシエチルセルロースの混合等)を、あらかじめ保湿剤(1、3−ブチレングリコール等)で湿潤させた後、精製水を張った主釜に添加、分散し加熱溶解させ、次いで、その他の配合成分(上記アニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤等)を添加し、最後に必要に応じてスクラブ剤を加えて攪拌混合後、冷却することにより、調製することができる。なお、この調製方法では、増粘効果を有する水溶性高分子等により増粘基材を調製してからその他の配合成分(上記アニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤等)を添加しているが、増粘効果を有する水溶性高分子を除く各種成分を均一に混合したものに、増粘効果を有する水溶性高分子を添加して、増粘させ、ジェル状としてもよい。
【0049】
また、本発明に係る角質溶解洗浄剤は、容器に、上記した本発明に係る角質溶解洗浄剤組成物を充填したものである。容器の形態は、特に限定されるものではないが、具体例としては、ボトル式容器、チューブ式容器、ポンプ付きのディスペンサー容器、ポンプフォーマー容器を挙げることができる。ディスペンサー容器又はポンプフォーマー容器を使用した角質溶解洗浄剤は、使用に際して、適量の角質洗浄剤組成物を取り出すことができることから、利便性に優れる。また、使用量のみを取りだすことができるので、複数の人が共有して使用しても、衛生面が損なわれることがない。さらに、ポンプフォーマー容器を使用した角質溶解洗浄剤は、使用に際して、角質溶解洗浄組成物を泡の状態で取り出すことができることから、より利便性に優れる。なお、ポンプフォーマー容器に充填する場合は、角質溶解洗浄剤組成物は液状とされていることが好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
<実施例1〜12及び比較例1〜8>
下記表1〜3に示す配合成分及び配合量で実施例1〜12及び比較例1〜8に係る角質溶解洗浄剤組成物を、次に示す用法により調製した。なお、表1〜3中に記載の成分量は、全て純分換算である。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
実施例1〜12及び比較例1〜3に係る角質溶解洗浄剤組成物は、まず、アニオン性界面活性剤としてのレボンHSA3Pと、半極性界面活性剤としてのユニセーフA−LMRとを測り取り、その後精製水を加えて攪拌溶解することにより、調製した。また、比較例4〜8に係る角質溶解洗浄剤組成物は、まず、精製水以外の原料を測り取り、その後精製水を加えて攪拌溶解することにより、調製した。なお、比較例8については、70℃精製水に乳酸、パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタインを溶解し、ホモジナイザーを用いてエチルヘキサン酸セチルを乳化して調製した。
【0056】
このようにして調製された実施例1〜12及び比較例1〜8に係る各角質溶解洗浄剤組成物の「角質溶解性」、「安全性」、及び「起泡性」を下記の評価基準により評価した。結果を上記表1〜3中に示す。
【0057】
[角質溶解性]
角質溶解性は、次に示す方法により判定した。すなわち、60℃の温水中に1分間浸漬され、氷冷された豚皮より剥離された表皮を、0.1%トリプシンで37℃の温度にて30分間処理し、生細胞を除去し、角質層を得た。この角質層を、水洗し、乾燥させた後、0.5cm×0.5cmの大きさに切り、試験サンプル(角質溶解洗浄剤組成物)15mlに浸漬させて、25℃の恒温槽中に保存した。この時の角質層の崩壊の度合を、肉眼で観察し、下記の評価基準により溶解性を評価した。
【0058】
◎:角質層が非常に細かく崩壊している。
○:角質層が崩壊している。
△:角質層が僅かに崩壊している。
×:角質層が全く崩壊していない。
【0059】
[安全性]
安全性は、次に示す細胞毒性試験により判定した。すなわち、角質溶解洗浄剤組成物の希釈倍率を変えた各試料を、それぞれ、96穴プレートで培養したSIRC細胞(ウサギ角膜由来樹立細胞)に添加した。そして、各試料が添加されたSIRC細胞を、それぞれ、クリスタルバイオレットで染色して、その染色部分の595nmでの吸光度を測定した。そして、角質溶解洗浄剤組成物を添加していない場合における吸光度の50%の吸光度を示すときの、角質溶解洗浄剤組成物濃度LD50値(生存率50%濃度)を求めた。そして、下記評価基準により安全性を評価した。
【0060】
◎:LD50値が濃度0.1%以上
○:LD50値が濃度0.05%以上〜0.1%未満
△:LD50値が濃度0.01%以上〜0.05%未満
×:LD50値が濃度0.01%未満
【0061】
[起泡性]
試料(角質溶解洗浄剤組成物)400mlを、温度40℃の条件下で攪拌機つき円筒型シリンダーを用いて攪拌し、泡の量を測定して、下記評価基準により起泡性を評価した。
【0062】
◎:泡量2000ml以上
○:泡量1500ml以上〜2000ml未満
△:泡量1000ml以上〜1500ml未満
×:泡量1000ml未満
【0063】
表1〜表3に示す結果より、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤(レボンHSA3P)とアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤(ユニセーフA−LMR)とを含有する実施例1〜12は、いずれも、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びエチルヘキサン酸セチル等が角質溶解成分として配合された従来の角質溶解組成物(比較例4〜8)と比べ、角質溶解性、安全性、及び起泡性に優れていることが認められた。
【0064】
また、実施例1〜12と、比較例1〜3との比較より、アニオン性界面活性剤(レボンHSA3P)と、半極性界面活性剤(ユニセーフA−LMR)との重量比が、60:40〜10:90の時に、従来の角質溶解組成物(比較例4〜8)と比べて、良好な角質溶解性と安全性を示すことが認められた。
【0065】
さらに、実施例1〜12に示す結果より、アニオン性界面活性剤(レボンHSA3P)と半極性界面活性剤(ユニセーフA−LMR)の合計量は、多いほど、角質溶解性と起泡性とが向上し、少ないほど、安全性が向上することが認められ、アニオン性界面活性剤(レボンHSA3P)と半極性界面活性剤(ユニセーフA−LMR)の合計量が3〜20重量%の時に(即ち、実施例5〜8の場合において)、特に、角質溶解性、安全性、及び起泡性のいずれもが良好となることが認められた。
【0066】
<実施例13>
フットケア用洗浄剤として適用することができる実施例13の角質溶解洗浄剤組成物を、次に示す用法により調製した。なお、実施例13の角質溶解洗浄剤組成物の配合成分及び配合量は、表4に示す通りである。
【0067】
【表4】

【0068】
即ち、まず、アニオン性界面活性剤としてのレボンHSA3Pと、半極性界面活性剤としてのユニセーフA−LMRと、1,3−ブチレングリコール(保湿剤)とを、精製水を加えて攪拌溶解させた。これに、エタノールにトリクロサン(殺菌剤)を溶解させたものを添加した。さらに、茶乾留エキス(消臭剤)を加えて全体を攪拌混合溶解させて、実施例13に係るフットケア用洗浄剤としての角質溶解洗浄剤組成物を得た。
【0069】
この実施例13の角質溶解洗浄剤組成物は、例えば、適宜、水を加えて泡立てて足に塗布されて足の洗浄に使用される。なお、足に付着された角質溶解洗浄剤組成物は、洗浄後、水で洗い流される。
【0070】
このような使用において、実施例13の角質溶解洗浄剤組成物の泡立ち具合は、良好であった。また、洗浄後の足には、つるっと感が得られた。さらに、洗浄時及び洗浄後において、足がひりひりするといったような刺激を感じることもなかった。
【0071】
<実施例14>
アクネ用洗浄剤として適用することができる実施例14の角質溶解洗浄剤組成物を、次に示す用法により調製した。なお、実施例14の角質溶解洗浄剤組成物の配合成分及び配合量は、表5に示す通りである。
【0072】
【表5】

【0073】
即ち、まず、アニオン性界面活性剤としてのレボンHSA3Pと、半極性界面活性剤としてのユニセーフA−LMRと、1,3−ブチレングリコール(保湿剤)とを、精製水を加えて攪拌溶解させた。これに、エタノールにトリクロサン(殺菌剤)を溶解させたものを添加し、さらに、一部の精製水にグリチルリチン酸ジカリウム(肌荒れ防止剤)を溶解させたものを添加して全体を攪拌混合溶解させて、実施例14に係るアクネ用洗浄剤としての角質溶解洗浄剤組成物を得た。
【0074】
この実施例14の角質溶解洗浄剤組成物は、例えば、適宜、水を加えて泡立てて顔又は身体に塗布されて顔又は身体の洗浄に使用される。なお、顔又は身体に付着された角質溶解洗浄剤組成物は、洗浄後、水で洗い流される。
【0075】
このような使用において、実施例14の角質溶解洗浄剤組成物の泡立ち具合は、良好であった。また、洗浄後の顔又は身体には、つるっと感が得られた。さらに、洗浄時及び洗浄後において、顔又は身体がひりひりするといったような刺激を感じることもなかった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは水素、無機カチオン、又は有機カチオンを示す。)で示されるヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型のアニオン性界面活性剤と、
下記一般式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基又はポリオキシエチレンアルキルエーテル基を示し、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基から選ばれたものを示す。)で示されるアルキルアミンオキサイド型の半極性界面活性剤とを含有し、
前記アニオン性界面活性剤と前記半極性界面活性剤の組成物中における重量比が、60:40〜10:90であることを特徴とする角質溶解洗浄剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の角質溶解洗浄剤組成物であって、
組成物中に、前記アニオン性界面活性剤と前記半極性界面活性剤とを合計で、3〜20重量%含有することを特徴とする角質溶解洗浄剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の角質溶解洗浄剤組成物であって、
殺菌成分を含有することを特徴とする角質溶解洗浄剤組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の角質溶解洗浄剤組成物であって、
前記殺菌成分として、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルへキシジン、クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、ピリチオン亜鉛、及びヒノキチオールから選択される1種以上を含有することを特徴とする角質溶解洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の角質溶解洗浄剤組成物であって、
保湿成分を含有することを特徴とする角質溶解洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の角質溶解洗浄剤組成物であって、
肌あれ防止成分を含有することを特徴とする角質溶解洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の角質溶解洗浄剤組成物であって、
スクラブ剤を含有することを特徴とする角質溶解洗浄剤組成物。
【請求項8】
容器に角質溶解洗浄剤組成物を充填して構成された角質溶解洗浄剤であって、
前記角質溶解洗浄剤組成物として請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のものが充填されてなることを特徴とする角質溶解洗浄剤。
【請求項9】
ポンプフォーマー容器に角質溶解洗浄剤組成物を充填して構成された角質溶解洗浄剤であって、
前記角質溶解洗浄剤組成物として請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のものが充填されてなることを特徴とする角質溶解洗浄剤。

【公開番号】特開2010−265214(P2010−265214A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117913(P2009−117913)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(593170702)株式会社ピーアンドピーエフ (27)
【Fターム(参考)】