説明

角質物質のケアのためのリコペンとポリフェノールとビタミンとの組み合わせ

【課題】角質物質、特に皮膚の生体力学特性を維持しかつ/または回復させるための経口美容的使用を提供する。
【解決手段】有効成分として、リコペンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚のケアを意図した栄養補助食品の領域に関する。従って、本発明は、結合組織のような角質物質、より詳しくは皮膚の生体力学特性を維持および/または回復させることを意図した有効成分の組み合わせを含む経口投与および/または非経口投与用の組成物の使用に関する。本発明は、また、前記有効成分の特定の組み合わせから構成される経口経路および/または非経口経路による投与のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト皮膚は、3つの区画: 表皮、真皮、皮下から構成される。最後に述べた区画は、本質的に、脂肪の蓄積と貯蔵に分化した種類の細胞、脂肪細胞から構成される。皮下は、体のエネルギーリザーバーである。
正常ヒト表皮は、主に、3種類の細胞: 大多数を構成するケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞から構成される。これらの細胞タイプの各々は、特定の機能によって、皮膚が行う本質的な役割に関与する。
真皮は、表皮に固体支持体を与える。真皮は、また、栄養要素である。真皮は、主に、線維芽細胞と、順に主にコラーゲン、エラスチンおよび基質と呼ばれる物質から構成される細胞外マトリックスとから構成され、これらの成分は線維芽細胞によって合成されている。
また、白血球、マスト細胞或いは組織マクロファージもある。また、血管や神経繊維が横切っている。正常な皮膚、即ち、病的でもなく瘢痕もない皮膚において、線維芽細胞は、静穏状態、即ち、非増殖性である。
【0003】
真皮の固体性を与えるのは、コラーゲン線維である。コラーゲン線維は一緒に封入されているフィブリルから構成されるので、10種類を超える異なる構造が形成される。真皮の固体性は、大部分は、全方向に相互に詰め込まれたコラーゲン線維のからみ合いによる。コラーゲン線維は、皮膚および/または粘膜の弾性と緊張度に関与する。
コラーゲン線維は絶えず再生されるが、この再生は年齢と共に減少し、真皮の薄層化につながる。この真皮の薄層化は、また、病的原因、例えば、コルチコイドホルモンの過剰分泌、ある種の病状或いはビタミン欠乏症(壊血病の場合ビタミンC)によることがある。また、紫外線、タバコまたはある種の治療(例えば、グルココルチコイド、ビタミンDや誘導体)のような外部要因もまた、皮膚やコラーゲンレベルに影響するとみなされる。
様々な要因がコラーゲンの分解につながり、すべての結果において皮膚および/または粘膜の構造および/または堅さが想像され得る。
コラーゲン線維は、非常に強いが、コラゲナーゼと呼ばれるある種の酵素に感受性がある。コラーゲン線維の分解は、たるんでしわが寄っている皮膚の外観につながり、滑らかでピンと張った皮膚の外観を好む人間は常に防止を試みてきた。
【0004】
コラゲナーゼは、3つのシステイン残基に配位結合した亜鉛原子と活性部位にメチオニンを有しかつ細胞外マトリックスや基底膜の高分子成分を中性pHで分解させる(コラーゲン、エラスチン等)それ自体タンパク質分解酵素(エンドプロテアーゼまたはエンドペプチダーゼ)のファミリーの一部であるメタロプロテイナーゼ(MMP)と呼ばれる酵素のファミリーの一部をなしている。これらの酵素は、生物に非常に広く分布されて存在しているが、器官の成長や組織の再生のような正常な生理学的状況には低レベルで発現されている。
ヒトにおける過剰発現およびその活性化は、マトリックスの破壊と再形成を含む、多くの過程、しばしば病状に関係がある。このことは、細胞外マトリックスの制御されない再吸収に、或いは逆に線維症の状態の発生につながる。
【0005】
メタロプロテイナーゼファミリーは、構造および基質特異性に関する類似性に基づくいくつかの充分に定義されたグループから構成される。これらのグループの中で、我々は、線維状コラーゲン(MMP-1または間質コラゲナーゼ、MMP-8または好中球コラゲナーゼ、MMP-13またはコラゲナーゼ3)を分解することを意図したコラゲナーゼ、タイプIVコラーゲンまたは変性したコラーゲン(MMP-2またはゼラチナーゼA(72kDa)、MMP-9またはゼラチナーゼB(92kDa))の形態を分解させるゼラチナーゼ、広範囲の活性が糖タンパク質(フィブロネクチン、ラミニン)、プロテオグリカン等の細胞外マトリックスのタンパク質に適用されるストロメライシン(MMP-3)、または膜メタロプロテイナーゼを挙げることができる。
【0006】
更に、ロイシンに富んだ小さなプロテオグリカン(SLRP)ファミリーに属するもののようなある種のプロテオグリカンは、皮膚の機械的特性の老化と低下の負の影響を防止することを視野に入れて興味深い目標を構成する。これらのSLRPは、実際に、原線維発生と線維周囲空間の水和に直接関与している。SLRPは、特に、TGF-βのようなある種の成長因子のバイオアべイラビリティを増加させるのを援助する: SLRPの中で、我々は、デコリン、ルミカン、フィブロモジュリン、ビグリカンを挙げることができる。更に、ある種の免疫組織化学的所見は、老化皮膚においてビグリカン蓄積の低下を示している。更に、ルミカンおよびフィブロモジュリンの著しい低下は、コラーゲンの原線維発生の低下だけでなく線維構築の妨害を誘導する。その結果、SLRPファミリーのプロテオグリカンは、皮膚の構造の構築組織化に基本的な役割を果たしている。
最後に、SLRPは、MMPの作用にだけでなく、アグリカナーゼまたはADAMTS (トロンボスポンジンタイプIリピートを有するジスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ)のタンパク分解作用にも感受性がある。メタロプロテイナーゼのこの新しいファミリーのある部分、特にADAMTS 1および4が皮膚に確認されており、ADAMTS4がデコリンを切断することが知られている。
【0007】
紫外線、特にタイプAおよび/またはタイプB紫外線に長時間さらすと、コラゲナーゼ、特にMMP-1の発現を刺激するという作用がある。これは、光誘導性皮膚老化の成分の1つである。
更に、閉経で、真皮に影響する主な変化は、コラーゲンの割合や皮膚の厚さの低下である。閉経後の女性において、このことは、皮膚および/または粘膜の薄層化につながる。次に、女性は「紙様皮膚」または皮膚が引っ張られる感覚を受け、細かいしわや表面ラインが強調される。皮膚は、触ってみたときに粗く感じる。最後に、皮膚は、柔軟性が低い。
【0008】
最後に、太りすぎの、より詳しくは体重増加中の被検者において、脂肪細胞は、容積が急速に増加する傾向がある(増加量の脂質の貯蔵)。次に、脂肪小葉が徐々に膨張し、相互に平行し皮膚の表面に垂直な結合組織のストランドの形成につながる。真皮に対して脂肪細胞が及ぼす強い圧力によって、急速に皮膚の表面の変形が引き起こされる。皮膚に関して、セルライトと呼ばれるこの現象は、所々に「オレンジピール」の作用を示すくぼみのある外観に反映される。最後に、臨床用語で、セルライトは、皮下組織と表面組織の組織の変化に反映され、特に以下の特徴を有する:
- 全体により厚い皮膚、
- より丈夫な皮膚、
- より感受性があり、セルライトがどれくらい進行しているかによっては、触ったときに痛みを伴うことがあり得る皮膚
- 皮膚の深層部の接着や凝集の損失のためにより動きにくい皮膚組織。
更にまた、この現象は、女性において、結合組織フレームワークが垂直構造を有するより細かい皮膚を有するのでより目に見え、男性においては、対照的に、斜めの十字構造を有する。
セルライトは、太りすぎや肥満によってしばしば更に悪くなり、特に骨盤や下肢に局在する(「乗馬ズボン」または「道化のズボン」としてのセルライト)。これらの変化は、また、永続的な瘢痕性変形につながり得る。
【0009】
脂肪組織の肥大は、張力を受けている線維網が真皮レベルで付随し、常在細胞の機能変化につながる。実際に、この張力増加は、細胞交換、ならびに毛細管の圧縮による静脈循環およびリンパ循環を妨害するので、現象が持続する。結局、線維は変質し、皮膚は基本的な構造を失う。
生物学的に、線維芽細胞が正常な組織張力を受ける場合には、皮膚の支持組織の補強に関与する基本的分子、コラーゲン、エラスチン、およびグリコサミノグリカンを活発に合成する。同様に、脂質で過負荷がかけられる脂肪細胞もまた、真皮に対して張力を与え、線維症までコラーゲンの生産過剰につながる。
【0010】
逆に、体重減少で、特にやせるためのダイエットで、脂肪細胞が急速に減ると、支持組織に対して皮下が与える張力のかなりの低下につながる。その結果、真皮が張力をもはや受けていないので、結合組織は徐々にその凝集を失う: 線維芽細胞のコラーゲンへの接着の低下、ネオコラーゲン量の減少、エラスチン線維の膨張、プロテオグリカンの解重合等。従って、線維芽細胞が細胞外マトリックスの線維と相互作用しなくなるので、その環境から、真皮の基本的な巨大分子の合成を制御する活性および修復のためのシグナルをもはや受容しない。更に、線維芽細胞がその線維環境からシグナルをもはや受容しないので、これらはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、線維構造の分解を引き起こす酵素を分泌する。線維芽細胞の代謝、およびMMPによる線維の分解のこの著しい遅延は、その結果、皮膚の粘弾性または生体力学特性の悪化によって反映される(堅さ、緊張、弾性等の低下)。
上記を読み取ることから、我々は、時間生物学的皮膚老化或いは光誘起皮膚老化と関連してもしなくても、皮膚の粘弾性特性または生体力学特性の悪化(堅さ、緊張等の低下)に対抗するようにコラーゲンおよび組織の構造、特に皮膚および/または粘膜におけるグリコサミノグリカンの重要性、および分解を防止する重要性を理解することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、実際に、皮膚の生体力学特性の悪化、それ故、前記悪化に直接関連する皮膚障害の症状、例えば、関連障害、真皮の薄層化および/またはコラーゲン線維の分解を改善および/または予防するのに有効な有効成分の新規な組み合わせを提案することを目的とし、このすぐ前に述べた効果は、実際に本発明の目的であるたるんだかつ/またはしわの多い皮膚の外観の防止につながる。
本発明は、より詳細には、皮膚の粘弾性特性または生体力学特性の悪化と関連した皮膚状態の、経口経路および/または非経口経路による、予防および/または治療に関する。本発明は、より詳細には、皮膚の生体力学特性を維持および/または回復させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
より正確には、本発明者らは、リコピンとビタミンCとビタミンEと少なくとも1つのポリフェノール化合物、特にマツ樹皮に由来するポリフェノール化合物との組み合わせの、経口経路および/または非経口経路による、投与が、角質物質、特に真皮の成分に有益な活性を示し、かつ角質物質の生体力学特性の悪化を防止することを可能にしかつ/または特に角質物質、特に結合組織、更に詳しくは皮膚の生体力学特性を維持および/または回復させるのに有利な作用を有することを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
リコピンは、熟した果実、特にトマトに存在する天然色素である。リコピンはカロチノイドファミリーに属し、構造はβ-カロテンに似ている。
果実の熟成におけるリコピンの役割は、先行技術から知られている。リコピンは、メラニン合成に作用する日焼け能力を有する組成物(国際公開第97/47278号パンフレット)、5α-レダクターゼに対して活性な毛髪および/またはざ瘡の治療を意図した組成物(日本特許第2940964号公報)に、抗ラジカル剤(特開平8-283136号公報)として用いられ、或いはリコピンは、皮膚の老化徴候を治療、即ち、予防および/または治癒させることを意図した組成物(欧州特許第1 090 628号明細書)に用いられる。
【0014】
ポリフェノール化合物は、特に、その強力な酸化防止力が知られかつ化粧品において一般に用いられている。経口経路による心臓血管疾患を予防する際の役割も記載されている。ポリフェノール化合物の一部は、また、局所適用のための組成物、例えば、耐酸化性を改善するためにこれらを脂溶性にするように引例の仏国特許発明第2 706 478号明細書にはエステル化形態で用いられている。
ビタミンC(またはアスコルビン酸)は、補因子として、酵素のリシン-ヒドロキシラーゼおよびプロリン-ヒドロキシラーゼの自動不活性化を予防することによってかつプロコラーゲンのmRNAの合成を増加させることによってコラーゲンの合成を刺激することが知られている。アスコルビン酸(またはビタミンC)は、また、皮膚のエラスチンの合成を刺激し或いはしわを治療することが知られている。
【0015】
上述の化合物は、特に、このようにして治療した被検者に、特に、心臓病、リウマチ、循環器系統の病気に対してより良好な防御(米国特許第6,605,296号明細書)または滑らかさと柔らかさに関して皮膚のより良好な外観に反映される良好な生理的状態を与えることを意図した、経口組成物、例えば栄養補助食品において他の有効成分と組み合わせてすでに提唱されている。
皮膚の老化徴候を治療するための少なくとも1つのカロチノイドとビタミンCの組み合わせの使用は、引例の国際公開第02/34210号パンフレットから既知である。
更に、ビタミンE、ビタミンC、およびバイチャ(baitcha)ティーエキス、ならびに必要によりブドウ種子、トマト、大豆および/またはカモミールから抽出した酸化防止剤、グリコサミノグリカンを含む抽出物および少なくとも1つの遷移金属を含む、皮膚の老化徴候を治療するのに有効な経口投与のための組成物は、引例の国際公開第2006/000226号パンフレットから既知である。
【0016】
最後に、Segger et al.は、有効成分として、ビタミンとカロチノイドとセレンと亜鉛とアミノ酸とグリコサミノグリカンとビルベリー抽出物とPycnogenol(登録商標)の混合物を含む経口組成物を記載し、特に皮膚の粗さおよび/または弾性の低下を治療することが提唱されている(Journal of Dermatological Treatment (2004), 15, 222-226)。
一般に、皮膚弾性の低下は、皮膚網の線維を包囲する間質液の流動性を制御する、真皮の弾性線維網の変化から、また、グリコサミノグリカンの低下からも生じる。従って、これは、一グループの集団に特定しないので、非常に若い年齢でさえ現れ得る。
【0017】
その一部として、本発明は、より詳細には、皮膚の緊張度、堅さ、柔軟性および/または密度の保護、または改善にさえも関する。
皮膚の緊張度、堅さ、柔軟性および/または密度の不足は、ほとんどの場合、皮膚老化から、また、疲労状態から生じる。従って、これらの不足は、典型的にはしわについては30歳から現れるしわおよび/またはラインのような皮膚老化徴候、また、年齢に直接関連しないがより詳しくは眼の下のたるみやくまのような成人に直面する皮膚徴候の外観の直接原因であり得る。
生物学的メカニズムに関して、しわは、筋肉減少または反復筋肉の過労、脂肪付着物の減少、持続する重力および顔の骨および軟骨の減少から生じる。真皮と表皮の間の接合部の平坦化だけでなくコラーゲンIVの低下もしわの形成に影響する因子であるとみなされる。
組織の観点から、表皮は萎縮して見え、皮膚組織の下垂の明確な症状が皮膚弾性の低下で見られる。
【0018】
予想外に、本発明者らは、非常に特定の組成物の投与による皮膚の生体力学特性を効果的に刺激することによってこれらの皮膚徴候、即ち、特に眼の下のしわ、ライン、たるみおよびくまの症状を治療することが可能であること見いだした。
本発明者らの最良の知識に対して、角質物質、より詳しくは真皮の成分の生体力学特性の悪化を予防および/または治療するために経口経路または非経口経路によって投与される場合のこれらの化合物の効力はこれまで記載されていない。
更に、特に老化と関連した皮膚徴候を防止する局所治療は知られている。しかしながら、皮膚透過が不充分なために、推奨される局所有効成分は、必ずしも真皮のレベルで作用を有しない。更に、局所製品は、定義上は、治療すべきゾーンに局所的に作用し、これらは前記ゾーンに不均一に分配されることになり、かつ注意深い反復適用を必要とする。局所製品は、ある場合には皮膚の副作用、または不快感を引き起こすことがある。
【0019】
対照的に、経口経路は、迅速であまり制限していない投与方法に従い皮膚のすべてにおよびその深層部(真皮、皮下)に全体的に作用する利点を有する。実際に、代謝産物および他の活性栄養物が、特に、血液循環を介して経皮マトリックス内に分配される。経口経路またはパッチによる投与は、また、迅速であまり制限していない投与方法の利点を与える。
更により詳しくは、本発明とみなされる組み合わせが皮膚の緊張度、堅さ、柔軟性および/または密度の特性を維持および/または回復させることを可能にする。
本発明は、特に、しわやラインのような皮膚徴候を予防および/または治療しかつ/または眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、輝きが鈍く欠いている皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療する、好ましくは眼周囲のたるみを予防および/または治療するための前記組み合わせの使用に関する。
【0020】
好ましい実施態様によれば、本発明とみなされる組み合わせは、眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きがない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを可能にする。
これは、また、爪の品質を改善することも可能にする。
この組み合わせは、かなり具体的には、閉経後の女性において皮膚の堅さを維持および/または回復させることへの有益な影響に関して興味深いことがわかる。従って、真皮の細胞活性の増加、真皮の細胞外マトリックスの品質の改善および細胞外マトリックスのマトリックスゲルのより良好な水和が、この組み合わせを含有する経口サプリメントの経口投与に従い示された。
【0021】
本発明は、また、治癒を促進させることを意図した経口投与および/または非経口投与用の組成物を調製するための有効成分としてリコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせの使用に関する。
特に、本発明の組成物は、特に、皮膚の緊張度、堅さ、柔軟性、および/または密度の特性を維持および/または回復させるのに有効である。
本発明は、更に、爪の品質を改善することを意図した有効成分としてリコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせの経口経路による美容的使用に関する。
【0022】
本発明は、また、単一の活性成分として、リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせを含む経口投与および/または非経口投与用の組成物に関する。
本発明は、更に、リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせを含む経口投与および/または非経口投与用の組成物であって、ポリフェノール化合物の質量含量と、リコピンとビタミンCとビタミンEの質量による含量の和との比が0.05〜1.2、とりわけ0.2〜1、更に特に0.3〜0.7である、前記組成物に関する。
有利には、前記組成物は、更に、軟カプセル、ラップカプセル、ゲル、乾燥エマルジョン、液体エマルジョン、錠剤、希釈用散剤、経口アンプル剤、または機能性食品、例えばヨーグルト、飲料等の形である。
【0023】
本発明の組成物は、特に、皮膚の緊張度、堅さ、柔軟性および/または密度の特性を維持および/または回復させるのに有効である。
特に、リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来した少なくとも1つのポリフェノール化合物の組み合わせは、特に、上述の特性の悪化と関連する皮膚徴候を予防および/または治療することを意図した経口投与および/または非経口投与用の組成物を調製するのに有効である。
「皮膚の粘弾性特性または生体力学特性」は、本発明の範囲内で、皮膚の伸展性、緊張度、堅さおよび/または柔軟性の特性を意味する。
【0024】
「皮膚徴候」は、皮膚の外見の変化、例えば、しわ、特に眼と口角のまわり、ライン、しわくちゃの皮膚、ゆるんだ皮膚、たるんだ皮膚、薄い皮膚、鈍く輝きのない皮膚、眼の下のたるみ、皮膚小溝、皮膚弾性および/または色合いの欠如、また、外見の変化に必ずしも反映されない皮膚の内部のすべて、例えば、紫外線暴露後の皮膚のすべての内部分解、特にコラーゲン線維の内部分解を意味する。
「皮膚の疲労徴候」は、疲労、睡眠不足および/またはストレスの多い生活、例えば、眼周囲のたるみ、眼周囲のくままたは鈍く輝きのない皮膚によって誘導および/または強調される皮膚の外見の変化を意味する。
【0025】
「体重を減らすダイエット或いはやせるためのダイエットによって誘導される皮膚障害」は、皮膚の外見の変化、例えば、減量後多かれ少なかれはっきりしたたるんだ皮膚外観を意味する。
「セルライトによって誘導される皮膚障害」は、皮膚の外観、例えば、大腿、腕または腹部のような過剰体重を有するゾーンに多かれ少なかれ局在され得るディンプリングまたは「オレンジピール」を意味する。
【0026】
本発明の範囲内で、「経口経路による美容的使用は、経口経路によって投与される製品の使用を包含し、例えば、経口投与の場合について以下に示される栄養補助食品の形態の前記製品は、美的外観と快適さの観点から、或いは美しさのために、例えば、皮膚を保護し、皮膚を良好な状態で維持し、皮膚の外観を変え、特に皮膚を美しくする観点から、皮膚に効果をもたらすことが理解される。
本発明の範囲内で、非経口経路は、筋肉注射、静脈注射またはパッチによる全身投与を意味する。言い換えれば、この定義は、有効成分が血液循環によって分配される限り、経口(または消化)経路による以外のすべての投与方法を包含することを意図する。
パッチによる全身投与は、非経口投与として好ましい。局所作用のみを有するパッチは、本発明から除外される。
「経皮デバイス」、「パッチ」または「経皮送達のためのシステム」は、本発明の意味において、経皮経路によって活性物質の能動放出または受動放出を可能にするシステム、即ち、全身の体循環に皮膚を通る移動を可能にするシステムを意味する。
【0027】
リコピン
本発明に用いられるリコピンは、天然由来或いは合成由来であり得る。天然由来は、天然成分、例えば野菜抽出物、特にトマトから得られる、純粋状態或いは溶液での前記溶液の濃度にかかわらずリコピンを意味する。合成由来は、化学合成によって得られる、純粋状態或いは溶液での前記溶液の濃度にかかわらずリコピンを意味する。
リコピンが天然由来である場合には、それは生体内で栽培される全植物体に由来するかまたは生体外栽培物に由来する植物材料から得ることができる。
生体内栽培は、慣用のタイプの栽培、即ち、屋外の或いは温室内の土壌においてまたは土壌なしでの栽培を意味する。
生体外栽培物は、人工的に野菜または野菜の一部を得るための当業者によって知られるすべての技術を意味する。生体外で植物細胞の成長の間、物理化学的条件によって課される選択圧力は、生体内で栽培される植物とは対照的に、1年を通じて利用可能である標準化された植物材料を得ることを可能にする。
【0028】
好ましくは、本発明によれば、生体内栽培に由来する野菜が用いられる。非常に好ましくは、本発明によれば、リコピンの豊富なトマト抽出物が用いられる。
リコピンは、メロン、グアバおよびグレープフルーツにも存在する。
当業者によって知られる抽出方法は、本発明に用いられるリコピンを調製するために使用し得る。
リコピンは、水性懸濁液であり得る。このために、冷たいまたは熱い、水分散性形態、例えば、名称Lyc-o-Mato CWD(登録商標)としてLycored社から市販されているものを用いることが可能である。
【0029】
一例として、本発明によれば、例えば6〜10%の純粋なリコピンを含有するオレオレジン抽出物から構成される、名称LycOMato(登録商標)として市販されているLycored社によって調製された、リコピンの豊富なトマト抽出物を用いることが可能である。
他のより複雑なリコピンベースの成分もまた、本発明の用途に使用し得る。
従って、より複雑な成分は、例えばリコピンとホエータンパク質を含む一次組成物を意味する。この一次組成物は、特に、引例国際公開第01/91588号パンフレットに記載されている。この一次組成物は、ラクトリコピンとも呼ばれている。実施例1の栄養補助食品において用いられるのは、この成分である。これは、リコピンおよび/または栄養補助食品(サッシェ、カプセル、錠剤、コーティング錠、軟カプセル等)に容易に配合されるバイオアべイラビリティを増加させる利点を有する。
【0030】
本発明に使用できる抽出物の量は、もちろん望ましい効果に左右されるので、広く変動させることができる。
大きさの程度を示すために、組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.001〜10 wt.%の量で、より好ましくは0.05〜0.2 wt.%の量で純粋状態のリコピンを用いることが可能である。
例えば、組成物が、より詳しくは、眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを意図する場合には、純粋状態のリコピンを組成物の全質量に相対して0.001〜1 wt.%、特に0.005〜0.1 wt.%の量で用いることが可能である。
もちろん、溶液の形でリコピン、例えば、野菜抽出物を用いる場合には、当業者は、上で定義されるように、組成物中のリコピンの最終量が用いるべき量と一致するように組成物中で用いる溶液の量をどのように調整するかを知っている。
【0031】
ビタミンC
本発明によれば、ビタミンCまたはアスコルビン酸および/またはその類似体は、単独でまたはいかなる種類の混合物でもすべて割合でも使用することができかつ天然由来または合成由来であり得る。
アスコルビン酸は、一般に、植物界で生じるのが特にこの形態であるので、L型である。
本発明に使用できるビタミンCの量は、もちろん望ましい効果に左右されるので、広く変動させることができる。
大きさの程度を示すために、本発明の組成物中の純粋状態のビタミンCは、組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.001〜10 wt.%の含量で、好ましくは3〜6 wt.%の含量で存在し得る。
例えば、組成物が、眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを意図する場合、純粋状態のビタミンCを組成物の全質量に相対して0.001〜5 wt.%、特に0.005〜1 wt.%の含量で存在し得る。
もちろん、ビタミンCが溶液の形で、例えば、植物抽出物で存在する場合には、当業者は、上記のビタミンCの濃度範囲を得るように、本発明の組成物中のこの溶液の量をどのように調整するかを知っている。
【0032】
ビタミンE
ビタミンEは、経口投与および/または非経口投与用の組成物中に組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.1〜10 wt.%、更により好ましくは0.5〜2 wt.%の含量で存在し得る。
例えば、組成物が、眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを意図する場合、ビタミンEは、組成物の全質量に相対して0.001〜5 wt.%、特に0.005〜1 wt.%の含量で存在し得る。
【0033】
ポリフェノール化合物
ポリフェノール化合物は、植物界で非常に広く分布している大きなファミリーの化合物を含む。従って、ポリフェノール化合物は、特に、植物の根から果実で見られる。ポリフェノールの分類の中で、我々は、特に、フラボノイド、プロアントシアニジン、リグナン、リグニン、スチルベン、クマリンを挙げることができる。従って、本発明の範囲内で用いられるポリフェノール化合物は、上述のこれらの形態のすべてであり得る。
ポリフェノール化合物は、特に、緑茶、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)のようなブドウ、マツ、特にマツ樹皮、リンゴ、ブルーベリー、ホップ、グアバ、ココア、クリ、オーク、セイヨウトチノキ、ハシバミのような木の抽出物から選ばれる植物抽出物由来であり得る。
それ故、本発明の範囲内の用語「ポリフェノール化合物」は、これらのポリフェノール化合物に豊富な植物抽出物自体にまでも及ぶ。
【0034】
フラボノイドは、ポリフェノールの主なグループである。
アセンヤクノキポリフェノールは、その一部として、フラボノイドのサブグループを構成し、フラバノン、フラボンおよびアントシアニン、ならびにフラボノールをも含んでいる。
ポリフェノール化合物は、正確には、以下に定義されるアセンヤクノキポリフェノールである。
アセンヤクノキポリフェノールのサブグループは、カカオ、チャノキ、ブドウのつるおよびその誘導体、マツ(ピヌス・マルティナ(Pinus maritima))、カシュー、ある種の果実のような植物から慣用的に分離しかつ可変重合度を有する一組の化合物を含む。
カテキンまたはカテコールとも呼ばれる塩基単位は、ペンタヒドロキシ-3,5,7,3',4'ジヒドロ-2,3-フェニル-2クロメンであり、シスまたはトランスの形であり得る; エピカテキンは、その異性体であり、シスまたはトランスの形で存在し得る。
【0035】
アセンヤクノキポリフェノールには、また、塩基単位(モノマー)、およびオリゴマー(またはプロアントシアニドール)またはポリマー(タンニン)の種々の異性体が含まれる。
より詳しくは、本発明に有効なアセンヤクノキポリフェノールは、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキンおよびこれらの塩、エステルおよび/または誘導体を、モノマーまたはオリゴマーの形で含むグループから選ばれる。
オリゴマーが用いられる場合には、有利には2〜14塩基単位、特に2〜10を含む。
好ましくは、その重合度は、5以下である。
一般にプロアントサニドールまたはプロシアニドールと呼ばれ、また、アントシアニン前駆物質またはプロシアニドールオリゴマー(PCO)と呼ばれる化合物が特に用いられる。これらのオリゴマーは、部分的に、経口経路および/または非経口経路によって吸収した後に分解し、モノマーが放出される。
これらのポリフェノールは、糖類、例えば、グルコース、ガラクトース、ラムノース、ガラクツロン酸と結合し得る。
【0036】
「アセンヤクノキポリフェノール」は、特に、本文において、前に定義された、モノマーと2〜14単位を有する種々のオリゴマーのすべての割合での混合物を意味する。
プロシアニドールファミリーまたはプロシアニドールオリゴマーの広く分布された二量体の中で、その使用が本発明の範囲内で特に有利であり、我々は、プロシアニジンB1、プロシアニジンB2、プロシアニジンB3またはプロシアニジンB6またはB7を挙げることができる。
プロシアニジンB1、B2、B3は、マツ樹皮、カカオ、リンゴ、コケモモ、セイヨウトチノキ、ホップ、グアバ、ハシバミの植物抽出物に存在する。従って、本発明の組成物は、有利には、これらの植物抽出物の1つを含む。
【0037】
本発明の組成物に存在するポリフェノール化合物は、マツ樹皮に由来する。
マツ樹皮に由来する前記ポリフェノール化合物は、有利には、ポリフェノール化合物の全質量に相対して5〜25 wt.%、好ましくは10〜20 wt.%であり得るフェノール三量体の含量を有する。更に、有利には、ポリフェノール化合物の全質量に相対して少なくとも5 wt.%または5〜25 wt.%、好ましくは少なくとも10 wt.%または10〜20 wt.%のポリフェノール二量体の含量を有する。
マツ樹皮に由来するポリフェノール化合物は、有利には、ポリフェノール化合物の全質量に相対して2〜15 wt.%、例えば、5〜10 wt.%のフェルラ酸、p-クマル酸、カフェイン酸、プロトカテク酸のようなフェノール酸を含有する。
従って、本発明を行うのに特に有利なポリフェノール化合物は、以下の特徴を有し得る:
【0038】

(1) フェルラ酸 + p-クマル酸 + プロトカテク酸 + カフェイン酸。
【0039】
また、第1の目的と第2の目的において本発明の一実施形態によれば、マツ樹皮に由来するポリフェノール化合物は、フランスカイガンショウエキスに由来する。前記フランスカイガンショウエキスは、特に、論文「A review of French Maritime Pine Bark Extract (PYCNOGENOL(登録商標)), a herbal medication with a diverse clinical pharmacology」, P. ROHDEWALD, International Journal of Clinical Pharmacology and Therapeutics, Vol. 40-No 4/2002(158-168)に記載されている。
本発明の組成物は、好ましくは、ポリフェノール化合物を組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.001〜10 wt.%、更により好ましくは0.5〜2 wt.%の含量で含む。
例えば、組成物が眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍くて輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを意図する場合、ポリフェノール化合物は、組成物の全質量に相対して0.001〜5 wt.%、特に0.1〜1 wt.%の含量で存在し得る。
【0040】
以下の実施例に示されるように、本発明者らは、リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来するポリフェノール化合物とを必要とされた含量比で含有する組成物が、有利には、真皮の細胞活性を増加させて、真皮の細胞外マトリックスの品質を改善することによって、また、細胞外マトリックスのマトリックスゲルのより良好な水和によって皮膚マトリックスに作用することができることを証明した。
従って、本発明の組成物は、皮膚の老化徴候を防止することを意図し、かなり具体的には、皮膚の生体力学特性を維持および/または回復させることを意図する。
従って、すでに述べたように、本発明の組成物は、特に、皮膚の緊張度、堅さ、柔軟性および/または密度を維持および/または回復させるのに有効である。
その結果、本発明の組成物は、特に、経時的老化によって誘導される、特に閉経前または閉経後女性の成熟皮膚の皮膚障害の予防および/または美容的治療、また、紫外線による老化によって誘導される障害の予防および/または美容的治療を意図する。
それ故、本発明の組成物は、閉経によって誘導される皮膚障害の予防および/または治療にも適している。
【0041】
従って、好ましい実施態様の1つによれば、本発明は、閉経によって誘導される皮膚障害の予防および/または治療を意図した組成物としての本発明の組成物の美容的使用に関する。
本発明の組成物は、また、特に、例えば、やせるためのダイエットおよび/または体重減少ダイエットで見られるような体重減少によって誘導される皮膚障害、例えば、支持組織のたるみ、皮膚緊張度と柔軟性の低下、目に見えるディンプリングの増加の予防および/または美容的治療に適切である。
本発明は、また、皮膚柔軟性および/または緊張性がないことを防止することを意図した組成物としての本発明の組成物の美容的使用に関する。
本発明は、最後に、セルライト、例えば、ディンプリングや「オレンジピール」と関連した外観を予防および/または治療を意図した組成物としての本発明の組成物の美容的使用に関する。
実施例1に示されるように、ビタミンの遺伝子が著しく増加するので、本発明の組み合わせが治癒に有利な作用を有すると思われる。
【0042】
本発明は、また、しわやラインのような皮膚徴候を予防および/または治療することおよび/または眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを意図した組成物としての本発明の組成物の美容的使用に関する。
本発明は、治癒を促進させることを意図した組成物としての本発明の組成物の経口経路および/または非経口経路による美容的使用にまで及ぶ。
【0043】
好ましい実施態様によれば、リコピンは、組成物の全質量に相対して0.05〜0.2 wt.%の含量で本組成物に存在し、ビタミンCは、3〜6 wt.%の含量で存在し、ビタミンEは、0.5〜2 wt.%の含量で存在し、ポリフェノール化合物は、0.5〜2 wt.%の含量で存在する。
組成物が、より詳しくは、眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを意図する場合、リコピンは、この組成物に組成物の全質量に相対して0.005〜0.1 wt.%の含量で存在し、ビタミンCは、0.05〜1 wt.%の含量で存在し、ビタミンEは、0.005〜1 wt.%の含量で存在し、ポリフェノール化合物は、0.1〜1 wt.%含量で存在する。
更に他の好ましい実施態様によれば、ポリフェノール化合物の質量による含量とリコピンとビタミンCとビタミンEの質量による含量の和との比は、0.2〜1、更により好ましくは0.3〜0.7である。
組成物が、より詳しくは、眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療することを意図する場合、ポリフェノール化合物の質量による含量とリコピンとビタミンCとビタミンEの質量による含量の和との比は、0.3〜0.7、更により好ましくは0.4〜0.6である。
【0044】
追加の有効成分
本発明の有利な実施態様によれば、特許請求された使用は、本発明の組み合わせを、更に、少なくとも1つの栄養老化防止有効成分、光防御栄養有効成分、閉経のための栄養有効成分および/または減量のための栄養有効成分と使うことができる。
老化防止栄養有効成分の中で、我々は、特に、食物抗酸化剤、抗ラジカル特性を有する栄養および内因性酸抗酸化酵素の補因子: ビタミンA、カロチノイド、キサントフィル、イソフラボン、亜鉛、銅、マグネシウム、セレンのようなある種のミネラル、リポ酸、補酵素Q10、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)またはタウリンを挙げることができる。老化防止有効成分の中で、我々は、特に、植物由来の脂質から抽出される非けん化性画分、アロエベラ、未変性マリンコラーゲン、加水分解マリンコラーゲン、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6(ガンマ-リノレン酸を含む)が豊富な植物油または魚油等挙げることができる。
光防御栄養有効成分の中で、我々は、特に、抗酸化剤および抗ラジカル剤: ビタミンA、カロチノイド、キサントフィル、亜鉛、銅、マグネシウム、セレンのようなある種のミネラル、補酵素Q10、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、プロバイオティクス挙げることができる。
【0045】
我々は、また、水和特性または免疫調節作用を示す栄養成分: プロバイオティクス、ポリポジウム・ロイコトモス(Polypodium leucotomos)の抽出物、ガンマ-リノレン酸を含む、オメガ3、オメガ-6が豊富な植物油または魚油を挙げることができる。
閉経の臨床的症状(例えば、顔面潮紅等)に活性である栄養有効成分の中で、我々は、特に、イソフラボン、リグナン、DHEA、ヤムイモの抽出物、セージの抽出物、ホップの抽出物、カルシウム、マグネシウム、タンパク質の水解物、オメガ-3脂肪酸が豊富な植物油または魚油等を挙げることができる。
もちろん、特に上記のように、マツ樹皮に由来するポリフェノール化合物以外のポリフェノール化合物も、更に、本発明の組成物において組み込まれ得る。
減量の領域で使われる栄養成分の中で、我々は、特に、緑茶、マテ茶、セイヨウトチノキ 、コーラ、カフェイン、テオブロミン、シネフリン、ブロメライン、マオウ、シトラス・オーランティアム(citrus aurantium)、カルシウム、フーディア、ガルシニア、キトサン、植物繊維(サボテン、リンゴ、パイナップル等)、ウイキョウ、クロフサスグリの実、シモツケ、ブラック・ラディッシュ等を挙げることができる。
【0046】
組成物
本発明の組み合わせは、経口経路および/または非経口経路によって投与される。対応する組成物は、問題の投与方法に従って通常用いられるすべての医薬形態であり得る。
経口経路の場合には、栄養補助食品タイプまたは機能性食品の組成物、或いは医薬組成物であり得る。
本発明の組成物は、特に、軟カプセル、ラップカプセル、ゲル、乾燥エマルジョン、液体エマルジョン、錠剤、希釈用粉末または経口アンプルまたは当業者によって知られる他の形態であり得る。組成物は、必要により、着色剤、甘味剤、香味剤、充填剤、結合剤、防腐剤等の適切な賦形剤を含有してもよい。
本発明の他の好ましい実施態様によれば、リコピン、ビタミンC、ビタミンEおよびポリフェノール化合物は、食品バーのような機能性食品、油、バター、マーガリン、圧縮粉末、繊維のような強化食品または飲料におけるエマルジョンの形で製造するダイエットマトリックスにも組み込まれ得る。
従って、本発明の組成物は、機能性食品であり得る。
組成物は、更に、欧州指令EC 2002/46に記載される栄養補助食品に関して許可された他の抗酸化剤、他のビタミン、ミネラルを含有することができる。
【0047】
非経口経路による投与の場合、組成物は、注射用溶液または経皮送達のためのパッチまたはシステムの形態であり得る。
参考のために、本発明の目的を達成するのに供給されるリコピンの用量は、望ましい効果に関して適合される。例えば、1〜22 mg、例えば2〜11 mg/日、または4〜7 mg/日までもの用量が想定され得る。
【0048】
更に、本発明の目的を達成するのに供給されるモノマー或いはオリゴマーの形のポリフェノール化合物の用量は、6〜75 mg、例えば13〜75 mg、特に20〜75 mg/日、より詳しくは30〜50 mg/日に変動し得る。
更に、本発明の目的を達成するのに供給されるビタミンCの用量は、10〜105 mg、例えば20〜105 mg、特に33〜105 mg/日、有利には50〜70 mg/日に変動し得る。
最後に、本発明の目的を達成することに供給されるビタミンEの用量は、1〜17 mg、例えば3〜17 mg、特に6〜17 mg/日、有利には9〜11 mg/日に変動し得る。
本発明の組み合わせが、より詳しくは、眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療すること、好ましくは眼周囲のたるみを予防および/または治療することを意図する場合、リコピンの一日量は2〜11 mgであり得、かつ/またはビタミンCの一日量は20〜70 mgであり得、かつ/またはビタミンEの一日量は3〜12 mgであり得、かつ/またはポリフェノール化合物の一日量は13〜50 mgであり得る。
【0049】
一実施態様によれば、本発明は、リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせを含む経口投与用の組成物であって、ポリフェノールの質量による含量と、リコピンとビタミンCとビタミンEの質量による含量の和との比が0.3〜0.7である前記組成物であって、軟カプセル、ラップカプセル、ゲル、乾燥エマルジョン、液体エマルジョン、錠剤、希釈用粉末または経口アンプル、機能性食品、例えば、ヨーグルト、飲料等の形態であることを特徴とする、前記組成物に関する。
本発明は、また、皮膚の老化および/または疲労徴候、好ましくは皮膚の疲労徴候、特に眼周囲のたるみを予防および/または治療することを意図した経口および/または非経口投与用の組成物を調製するための本発明の組み合わせの使用に関する。
特に、リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来した少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせは、特に、皮膚の伸展性の低下、緊張度の低下、堅さの低下、柔軟性の低下、密度の低下および/または弾性の低下と関連した皮膚の老化徴候を予防および/または治療することを意図した経口および/または非経口投与用の組成物を調製するのに有効である。
【0050】
本発明の組成物は、美容的組成物、皮膚科的組成物または医薬組成物であり得る。
本発明の意味において、美容的組成物は、美的外観および快適さに関して、または美しさに対して、例えば、保護し、良好な状態に維持し、外観を変え、特に装飾するために、皮膚に効果を生じる組成物を示す。美容的組成物は、栄養製品の形態であり得る。
本発明を以下の実施例によって示す。
【実施例】
【0051】
実施例1: 栄養補助食品Aを摂取することによって誘導される基準mRNAの定量化に関係がある予備臨床実験
栄養補助食品Aの製剤
- 医薬形態: フィルムコーティング錠
- 薬量: 2錠/日
- 製剤栄養補助食品A
【0052】
表1

(1) 2%のリコピン
(2) 90%のL-アスコルビン酸
(3) モノグラフUSP28、Maritime Pine Extract, Appendix A (a)の規格に従う。
ここで、
- 65〜75%のプロシアニジン;
- 乾燥時に≦8%減少。
(4) USPモノグラフ(ビタミンE)、Ph. Eur. 5(RRR-アルファ-トコフェリル水素スクシネート)およびFCC IV(d-アルファ-トコフェリル酸スクシネート)の規格に従う。
栄養補助食品Aは、好ましくは、皮膚の堅さの低下を有する閉経後の女性を意図する。
【0053】
臨床試験の目的
栄養補助食品Aを2ヶ月間摂取した後、皮膚の生化学的性質の変化と関連があり得る皮膚のバイオマーカーに対して栄養補助食品Aの作用とプラセボを評価する。
方法
- 50歳を超え、ホルモン補充療法を受けてなく、腕の内面上の皮膚の堅さがない、閉経後2年より長い18人の女性(栄養補助食品Aを摂取するグループが9人/プラセボグループが9人)に関する研究を2ヶ月続ける。
- 全mRNAの抽出のためT0ヶ月とT2ヶ月に腕に対して3 mmの生検を行う。
- 皮膚の生化学的性質の変化と関連があり得るタンパク質をコードする特異的mRNAの定量化。
【0054】
RT-PCRのためのmRNAの調製
2つの生検をプールし、液体窒素(Mikro Dismenbrator S, B. Braun Biotech Int
ernational)中で粉砕し、次に、塩化セシウム勾配による超遠心分離で全RNAを抽出し精製した。260 nmでOD(光学密度)を測定する(Nanodrop)ことによって、精製されたRNAの量を評価し、OD 260/OD 280比を計算することによって、抽出されたRNAの品質を確認した。Agilent製のBioAnalyzerを用いて、抽出されたRNAの完全性も確認した。1.25ng/μlに近い濃度を得るためにRNAの原液を調製した。
皮膚のバイオマーカの量の評価
RNA濃度をリボソームRNA 28Sの量に相対して標準化した。RT-PCR技術は、各反応管において、必要とされたRNAと同時に共転写され共増幅されることになる合成RNAからつくられた既知濃度の内部標準を添加することによって定量的にした。各志願者のT0およびT2に対応する試料を同じ系列で分析し、同じポリアクリルアミドゲルに付着し移動した。各グループのT0とT2における値を比較して、ペア試料の一方的スチューデント検定を用いて統計解析を行った。比率T2/T0=1.00は、2つの値が匹敵することを意味する。比率T2/T0>1.00は、試験した転写物の増加を反映している。逆に、比率T2/T0<1.00は、試験したmRNAの発現の減少を反映している。
【0055】
結果/標的mRNAの定量化
表II: 栄養補助食品A(またはプラセボ)を摂取した後の標的バイオマーカーの発現

VIM:ビメンチン; DEC: デコリン; LUM: ルミカン; FIBMOD: フィブロモジュリン; XYL: キシロシルトランスフェラーゼ。
【0056】
栄養補助食品を摂取したグループにおいて、ビメンチンをコードするmRNAは、著しく増加する(p=0.03)。間葉由来の細胞、例えば、線維芽細胞や内皮細胞において、ビメンチンは、中間径フィラメントの主な構造成分である。この細胞骨格網は、直接細胞機械的機能に関与する。特に、ビメンチンの低発現は、治癒過程に影響する。ビメンチンに欠けた細胞は、特に、低機械的安定性だけでなく運動特性と収縮特性の低下を有する。更に、ビメンチンは、限局性複合体の3次元器質化、アクチン依存性マイクロフィラメントの器質化および細胞外マトリックスとの相互作用に関与する。これらの相互作用のいくらかは、細胞移動、増殖および収縮の制御にまたは代謝表現型の制御に影響を有するもののような皮膚老化に直接影響する。
【0057】
それ故、ビメンチンのmRNAの研究は、栄養補助食品Aが線維芽細胞の細胞骨格に有利な作用を有することを示している。これは、細胞の活性増加の徴候である。
更に、デコリンをコードするmRNAは、栄養補助食品Aを摂取した後に著しく過剰発現する(p=0.03)が、このmRNAの発現は、プラセボを摂取した後に変わらない。デコリンは、ロイシンの豊富な小さなプロテオグリカン(SLRP)のファミリーに属する小さなグリコシル化タンパク質(プロテオグリカン)である。デコリンは、真皮の全体に存在するが、表皮に存在しない。デコリンは合成され、線維芽細胞が分泌する。主な役割は、コラーゲン原線維発生の調節である。実際に、デコリンは、コラーゲンン線維の良好な凝集に関与する: 線維に固定することによって、器質化し、コラーゲン線維束を形成することを可能にする。デコリンが年齢と共に減少することは知られている。
【0058】
デコリンに対する結果から、栄養補助食品Aがコラーゲン線維の構造に対して安定効果を有するようであるので、真皮の細胞外マトリックスの品質の改善に関与することがわかる。
補助食品を摂取した後、我々は、また、他のロイシンの豊富な小さなプロテオグリカン(SLRP)、特に、原線維発生と線維周囲空間の水和に強く関与するルミカン(p=0.002)およびフィブロモジュリン(p=0.02)をコードするmRNAの著しい増加を認識した。
最後に、他のmRNAは、食事補助食品Aを摂取した後に著しく過剰発現した。これは、キシロシルトランスフェラーゼをコードするmRNAであり(p=0.01)、線維芽細胞においてコンドロイチン硫酸またはデルマタン硫酸タイプのプロテオグリカンの合成に関与する第1の酵素である。キシロシルトランスフェラーゼは、グリコシル化、即ち、プロテオグリカンの中央タンパク鎖に糖の固定を開始する酵素である。次に、プロテオグリカンが細胞外マトリックスの中に入り、ここで水分子を吸収することによって水和ゲルを形成する。皮膚細胞だけでなくコラーゲン線維とエラスチン線維もこのゲルに浸される。プロテオグリカンは、圧縮力が抵抗され得るように水リザーバーとしての役割を果たすだけでなく、マトリックスの構造と情報伝送の組織的役割も果たす。プロテオグリカンは、年齢と共に減少し、マトリックスゲルの分解につながる。キシロシルトランスフェラーゼに作用することによって、食事補助食品Aは、このゲルの品質を回復させるのに部分に関与する。水分子をより良好に固定することによって、この水和マトリックスゲルは、真皮を「再膨潤」することを可能にするので、皮膚の表面が改善される。
【0059】
結論
総合すれば、これらの結果から、食事補助食品「A」が以下のことによって真皮の品質に世界的な作用を有することがわかる:
1) ビメンチン、細胞骨格の鍵となるタンパク質の遺伝子の転写増加により、線維芽細胞の代謝を増加させる;
2) キシロシルトランスフェラーゼ、プロテオグリカンの形成に関与する第1の酵素の遺伝子の転写増加により、真皮の線維と細胞が浸されている細胞外マトリックスの水和ゲルを改善する;
3) ルミカン、フィブロモジュリンおよびデコリン、原線維発生に関与するプロテオグリカンの遺伝子の転写増加により、コラーゲン線維を構築する。
【0060】
実施例2: 皮膚の生体力学特性に関する栄養補助食品Aとプラセボの効力の評価
栄養補助食品の製剤とその投与薬量は、実施例1に使われる通りである。
臨床試験の目的: 皮膚および皮膚の表面形態の生体力学特性の悪化に対する栄養補助食品Aを摂取する効果の研究。
方法
2つのグループについて単一施設二重盲検試験、1つはプラセボグループである。介在のグループのより良好な比較を確実にするために制約して無作為化の手順を行った。
72人の健康な女性志願者は、40〜65歳で、この試験に参加する介在と非介在の基準を満たし、全持続時間が6ヶ月である。
栄養補助食品A: n=49
プラセボ: n=23
栄養補助食品Aの効力は、以下により評価した:
- 皮膚科医による種々の写真アトラスによる
- 皮膚科医による0〜5の6点臨床スコアによる。パラメーターの状態が多いほど良好とみなされ、スコアが5に近く、その逆も同じである。
- 計器測定(Torquemeter(登録商標)および画像分析は皮膚プリントに基づく)。
- 志願者が完成する自己評価アンケート。
【0061】
Torquemeter(登録商標)による測定
Torquemeter(登録商標)は、非侵襲的デバイスである。DTMの測定ヘッドは、直径20 mmの可動中央ディスクと固定円プレートから構成される。このデバイスは、固定同心両面粘着テープによって皮膚に貼付される。中央ディスクの回転角は、非常に高解像度の角度センサによって測定される。測定ヘッドの適用の間、中央ディスクは旋回する。次に、角度Ueを有するねじり応力は、可動中央ディスクと周辺固定リングの間の皮膚のゾーンに適用される(急速な変形)。次に、回転角は、角度Uvを有する低速度で増加し続ける。
ねじりモーメントを停止した後、皮膚は2段階で、始点まで急速(変形Ur)と緩慢に最初の状態に戻る。
正確な測定ゾーンは、円形のマスクによって印がつけられる。測定されるパラメーターは、(Ue、Uv、Ur)である。
【0062】
皮膚プリントからの画像の分析
皮膚の表面のしわの負の複製を、シリコーンゴムを用いて作成する。分析のために、グレージングライトでこのプリントを照射し、各しわの後ろに陰が生じる。
Toposurfソフトウェアを用いてしわの分析を行う。
【0063】
結果
写真アトラスによる皮膚科的評価
表2: 皮膚徴候の変化 - 栄養補助食品A

SD: 標準偏差
【0064】
表3:皮膚徴候の変化 - プラセボ

SD: 標準偏差; NS: 統計的に有意でない
【0065】
栄養補助食品Aを摂取したグループにおいて、目尻のしわの深さは、12週間から始まって統計学的に低下する。また、栄養補助食品Aを摂取すると、12週間から始まって口角のしわだけでなく、24週間で目の下のたるみの統計的に有意な低下をもたらす。これらのパラメーターは、プラセボグループの変化を示さない。
【0066】
臨床スコアによる皮膚科的評価
表4: 皮膚徴候の変化 - 栄養補助食品A

SD: 標準偏差; NS: 統計的に有意でない
【0067】
表5: 皮膚の徴候の変化 - プラセボ

SD: 標準偏差; NS: 統計的に有意でない
【0068】
栄養補助食品Aは、皮膚徴候、即ち、しわやライン、また、皮膚の柔軟性の統計的に著しい改善を生じる。プラセボは、これらのパラメーターを変えない。
【0069】
計器評価
栄養補助食品Aまたはプラセボによる6ヶ月間補給した後のTorquemeter(登録商標)による測定
表6: 皮膚 - 栄養補助食品Aの生体力学特性の変化

SD: 標準偏差
【0070】
表7: 皮膚 - プラセボの生体力学特性の変化

SD: 標準偏差; NS: 統計的に有意でない
【0071】
栄養補助食品Aを6ヶ月間摂取した後、皮膚の生体力学特性に関係があるパラメーターは、統計学的に改善される。これらのパラメーターは、プラセボを摂取することによって変わらない。
【0072】
栄養補助食品Aまたはプラセボによる6ヶ月間の補給後の皮膚プリントからの画像の分析
表8: 皮膚トポグラフィーの変化 - 栄養補助食品

SD: 標準偏差
【0073】
表9: 皮膚トポグラフィーの変化 - プラセボ

SD: 標準偏差; NS: 統計的に有意でない
【0074】
皮膚のレリーフは、非常に細かく、小児では皮膚拡大鏡によって目に見えるだけであるが、老年期には肉眼で目に見える。更に、皮膚のレリーフは、真皮の機械的性質と相関している。織り交ざっている深い真皮のコラーゲン線維は、緻密なネットワークを形成することによって若者にピンと張った皮膚を保持する。このネットワークは、年齢とともに破壊され、皮膚がたるみ、深いしわがより深くなる。皮膚トポグラフィーは、特定のネットワークを示し、平行な深いしわと十字の深いしわが矩形、正方形、台形、ダイアモンドおよび三角形を形成している。一次的なラインは広く、部位および年齢によっては20〜100μmの深さがある。二次的なラインは狭い。
栄養補助食品Aを6週間摂取すると、皮膚異方性に統計的に有意な改善、二次的な深いしわ(密度<Z1)の密度の増加および一次的な深いしわ(密度>Z2)の低下がもたらされる。これらのパラメーターは、プラセボグループにおいて変化していない。言い換えれば、栄養補助食品Aは、若い皮膚、一次的な深いしわ(密度>Z2)の深さの減少が特徴であり、老いた皮膚、および通常は年齢と共に増加する、皮膚異方性の低下が特徴である二次的な深いしわ(密度<Z1)の再現につながる。
【0075】
志願者による自己評価
爪の品質は、視覚アナログ尺度(0 cm: 不充分な品質; 10 cm: 良好な品質)を用いて志願者が評価した。それ故、測定値の増加は、改善と同義である。
【0076】
表10: 爪の品質の変化 - 栄養補助食品A

SD: 標準偏差
【0077】
表11: 爪の品質の変化 - プラセボ

SD: 標準偏差; NS: 統計的に有意でない
【0078】
爪の品質は、栄養補助食品Aを摂取している志願者が統計学的に有意に改善される。プラセボを摂取すると、このパラメーターが変わらない。
結論
総合すれば、これらの結果から、栄養補助食品Aが、特に皮膚の生体力学特徴の損失に関連した、特に皮膚の望ましくない徴候を修正することを可能にし、皮膚のトポグラフィーだけでなくレリーフが改善されることがわかる。栄養補助食品Aは、より堅い皮膚のためにおよび表面での目に見える結果のために内部に皮膚を再構築するのに役に立つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角質物質、特に皮膚の生体力学特性を維持および/または回復させるための有効成分としてリコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせの経口経路による美容的使用。
【請求項2】
ポリフェノール化合物の質量による含量と、リコピンとビタミンCとビタミンEの質量による含量の和との比が、0.05〜1.2、特に0.2〜1、かなり具体的には0.3〜0.7であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
リコピンの一日量が、1〜22 mg、例えば2〜11 mg、特に4〜7 mgであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
ビタミンCの一日量が、10〜105 mg、例えば20〜105 mg、特に33〜105 mg、とりわけ50〜70 mgであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
ビタミンEの一日量が、1〜17 mg、例えば3〜17 mg、特に6〜17 mg、とりわけ9〜11 mgであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
ポリフェノール化合物の一日量が、6〜75 mg、例えば13〜75 mg、特に20〜75 mg、とりわけ30〜50 mgであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
皮膚の緊張度、堅さ、柔軟性および/または密度の特性を維持および/または回復させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
しわ、特に眼と口角のまわり、ライン、しわくちゃの皮膚、たるんだ皮膚、薄い皮膚、鈍く輝きのない皮膚、眼の下のたるみ、皮膚小溝、好ましくはしわ、ライン、目の下のたるみのような皮膚徴候を予防および/または治療することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
爪の品質を改善させることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
減量によって誘導される、特にやせるためのダイエットを行うときに見られる皮膚徴候を防止することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項11】
閉経によって誘導される皮膚障害を予防および/または治療することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
皮膚弾性および/または緊張性がないことを防止することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
セルライトと関連した外見を予防および/または治療することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項14】
眼周囲のたるみ、眼周囲のくま、鈍く輝きのない皮膚のような皮膚の疲労徴候を予防および/または治療する、好ましくは眼周囲のたるみを予防または治療することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
眼周囲のたるみを予防および/または治療すること、およびリコピンの一日量が2〜11 mgであり、かつ/またはビタミンCの一日量が20〜70 mgであり、かつ/またはビタミンEの一日量が3〜12 mgであり、かつ/またはポリフェノール化合物の一日量が13〜50 mgであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
治癒を促進させる経口投与および/または非経口投与用の組成物を調製するための有効成分としてリコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせの使用。
【請求項17】
マツ樹皮に由来するポリフェノール化合物が、全質量に相対して5〜25 wt.%、好ましくは10〜20 wt.%の範囲にあり得る含量のポリフェノール三量体を有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
マツ樹皮に由来するポリフェノール化合物が、全質量に相対して少なくとも5 wt.%または5〜25 wt.%、好ましくは少なくとも10 wt.%または10〜20 wt.%の範囲にあり得る含量のポリフェノール二量体を有することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
マツ樹皮に由来するポリフェノール化合物が、全質量に相対して2〜15 wt.%、例えば、5〜10 wt.%のフェノール酸、例えば、フェルラ酸、p-クマル酸、カフェイン酸、プロトカテク酸を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
経口投与および/または非経口投与用の組成物であって、単一の活性成分として、リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせを含む、前記組成物。
【請求項21】
ポリフェノール化合物の質量による含量と、リコピンとビタミンCとビタミンEの質量による含量の和との比が、0.05〜1.2、特に0.2〜1、かなり具体的には0.3〜0.7である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
フェノール化合物が、組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.01〜10 wt.%、更により好ましくは0.5〜0.2 wt.%の範囲にある含量で存在する、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項23】
リコピンが、組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.001〜10 wt.%、更により好ましくは0.05〜0.2 wt.%の範囲にある含量で存在する、請求項20〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
ビタミンCが、組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.1〜10 wt.%、更により好ましくは3〜6 wt.%の範囲にある含量で存在する、請求項20〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
ビタミンEが、組成物の全質量に相対して0.0001〜50 wt.%、好ましくは0.1〜10 wt.%、更により好ましくは0.5〜2 wt.%の範囲にある含量で存在する、請求項20〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
組成物の全質量に相対して、リコピンが0.05〜0.2 wt.%の範囲にある含量で存在し、ビタミンCが3〜6 wt.%の範囲にある含量で存在し、ビタミンEが0.5〜2 wt.%の範囲にある含量で存在し、ポリフェノール化合物が0.5〜2 wt.%の範囲にある含量で存在する、請求項20〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
軟カプセル、ラップカプセル、ゲル、ドライエマルジョン、液体エマルジョン、錠剤、希釈用粉末または経口アンプル或いは機能性食品の形態であることを特徴とする、請求項20〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
リコピンとビタミンCとビタミンEとマツ樹皮に由来する少なくとも1つのポリフェノール化合物との組み合わせを含む経口投与用の組成物であって、ポリフェノール化合物の質量による含量と、リコピンとビタミンCとビタミンEの質量による含量の和との比が0.3〜0.7である前記組成物であって、軟カプセル、ラップカプセル、ゲル、ドライエマルジョン、液体エマルジョン、錠剤、希釈用粉末または経口アンプルの形態である、前記組成物。
【請求項29】
マツ樹皮に由来するポリフェノール化合物が、請求項17〜19のいずれか1項に記載の通りである、請求項20〜28のいずれか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−510509(P2012−510509A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539163(P2011−539163)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055489
【国際公開番号】WO2010/064210
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511135857)
【Fターム(参考)】