説明

角質表面を改変するための装置及び方法

モータ及び第1の改変用組成物と流体連通しているアプリケータ開口部を含むアプリケータを有する、角質表面を改変するための装置。アプリケータはセンサ及びCPUを更に有する。センサが角質表面の小部分の性質を読み取り、この読み取り値がCPUに送信され、CPUが角質表面のセンサによる読み取り値を分析する。CPUが分析された表面を処理する、又は処理しないという信号をアプリケータに送信し、CPUが表面を処理するという信号をアプリケータに送信する場合、モータが作動されてスタイラスを角質表面へと動かして第1の改変用組成物の一部を、センサによって読み取られた角質表面の同じ部分に塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚、毛幹、及び他の角質表面に組成物を塗布するための装置に関する。この組成物は角質表面の色又は構造を改変しうるものである。構造改変には、人の皮膚から完全に毛髪を除去すること、及び人の皮膚のきめを変化させることが含まれる。
【背景技術】
【0002】
化粧料、染毛剤、育毛用組成物、及び脱毛用組成物が知られている。これらはいずれも、正確な塗布が極めて困難であるという共通の欠点を有している。化粧用組成物は、一般的に、広範囲の方法で塗布される。すなわち、例えば頬骨又はまぶたといった広範囲を1つの組成物で覆う。リップライナー及びアイライナーは、目及び唇にアクセントを与えたり、又はこれらを強調するための比較的厚めのラインである。しかしながらこれらの方法は、自分自身又は別の人の補助によって手で行われる。やはりこれらの方法も、様々な色の、広範囲の非常に目立つアクセントを与えるものである。顔面にごく少量の化粧料を塗布することは非常に困難で極めて時間がかかることである。更に重要な点として、このような限定的な塗布を行う動機付けはこれまでになかった。
【0003】
脱毛用組成物は一般に脱毛剤と呼ばれ、一般的に刺激性の化学物質である。こうした組成物は、不要な毛髪に塗布されることを目的としている。脱毛剤は、基本的に毛髪を溶解することによって毛髪を除去する。しかしながら、従来の技術では、脱毛剤が毛髪及び毛髪の周囲の皮膚に塗布されてしまう。このため皮膚が刺激される場合がある。また、配合者は、皮膚に刺激を与えないような脱毛剤を調製することもできるが、そうすると脱毛剤の効果は必然的に弱まってしまう。
【0004】
同様に、染毛剤は、一般的に毛髪に塗布されるものであるが、どうしても毛髪の周囲の皮膚に付着してしまう。染毛剤は脱毛剤と比較して皮膚に対する害は往々にして低いものであるが、染毛剤は刺激性であり、皮膚の色を変えてしまう場合がある。染毛剤は、通常、粘度が高い粘稠の組成物であり、毛幹に組成物が付着して所望の範囲を着色するようにまとまった量で毛髪に塗布される。しかしながら、より少量のより低粘度の着色剤を用いて所望の範囲のみをより正確に着色することができるような、より正確な塗布方法があれば都合がよい。
【0005】
最後に、育毛用組成物は、基本的に組成物が必要とされる部位の毛嚢孔に一部が浸透するように頭皮に注がれる。この場合もやはり、より正確な塗布方法があれば、頭皮全体にふりかけなくても少量の育毛用組成物を必要な場所の毛嚢孔に供給することができるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、液体組成物を、非常に細かい顔の毛、毛幹の一部、又は毛嚢孔のような狭い範囲に正確に塗布することができる方法及び装置が求められている。これらの方法及び装置を本発明によって定義する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、角質表面を改変するための装置であって、モータ、及び第1の改変用組成物と流体連通しているアプリケータ開口部を含むアプリケータを備える装置に関する。センサ及びCPUが更に提供される。センサは角質表面の小部分の性質を読み取り、この読み取り値がCPUに送信される。CPUは角質表面のセンサによる読み取り値を分析し、分析された表面を処理する、又は処理しないという信号をアプリケータに送信する。CPUが表面を処理するという信号をアプリケータに送信する場合、モータが作動されてアプリケータ開口部を角質表面へと動かして第1の改変用組成物の一部を、分析された角質表面の同じ部分に塗布する。センサによって得られる読み取り値は、色、明るさ、反射率、温度、きめ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される特性の値を含む。第1の改変用組成物は、インク、染料、顔料、接着剤、硬化性組成物、光学的に活性化される化合物、染毛剤、脱毛用組成物、育毛刺激剤、金属酸化物、漂白剤、テクスチャ低減ポリマー、スキンケア組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0008】
本発明の更なる別の実施形態では、角質表面を改変するための方法であって、角質表面の小部分の性質を読み取るセンサを与える工程と、所定のベースライン値及び少なくとも1つの所定の閾値をプログラミングされたCPUに読み取り値を送信する工程と、を含む方法が提供される。CPUは、読み取り値をベースライン値と比較して、読み取り値とベースライン値との間の分散を計算する。計算された分散が閾値を上回る場合、CPUは表面を処理するという信号をアプリケータに送信し、この信号がモータを作動させてアプリケータ開口部を角質表面へと動かし、第1の改変用組成物の一部を、分散が閾値を上回る読み取り値を有する角質表面の同じ部分に塗布する。
【0009】
本発明は、従来の装置及び方法の多くの問題を解決するものである。詳細には、本発明の方法及び装置により、化粧料、染毛剤、脱毛用組成物及び育毛用組成物を必要とされる部位に正確に塗布することができる。これにより、組成物の使用量を大幅に低減することが可能である。更に、改変用組成物で処理されない周囲の改変用組成物は刺激を受けず、必ずしも着色されない。また、化粧料が塗布される際の皮膚の被覆率は小さくとも、消費者の皮膚の外観の自然かつ大幅な向上がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書は、本発明を具体的に指し示し、明確に権利主張する特許請求の範囲をもって結論となすものであるが、本明細書は以下の説明文を添付図面と併せて読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。
【図1】本発明に基づく装置。
【図2】改変用組成物を塗布する前の本発明に基づく装置。
【図3】改変用組成物を塗布中の本発明に基づく装置。
【図4】改変用組成物を塗布した後の本発明に基づく装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下の、発明を実施するための好ましい実施形態を参照することにより更に容易に理解することが可能である。特許請求の範囲は本明細書に述べられる具体的な組成物、方法、条件、装置、又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用する用語は権利主張される発明を限定することを目的としたものではない点は理解されるべきである。また、添付の特許請求の範囲を含めた本明細書において使用する、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数形を含むものであり、特定の数値の言及は、その文脈において特に明確に断られていないかぎり、少なくともその特定の値を含むものである。ある値の範囲が述べられている場合、別の実施形態はその一方の特定の値から及び/又は他方の特定の値までを含む。同様に、ある値が、これに先立つ「約」の使用により近似値として述べられている場合、その特定の値は別の実施形態をなすものと理解される。範囲はすべて、包括的かつ結合可能である。
【0012】
特に断らないかぎり、本明細書において使用するすべての比率及び比は組成物全体の重量にによるものであり、測定はすべては25℃で行うものとする。
【0013】
本発明の方法、装置、及び組成物は、その使用方法を参照することによってもっとも深い理解がなされる。方法の各工程、並びにその工程において使用される装置及び組成物を下記に順次述べる。
【0014】
最初に、例えば毛髪又は皮膚などの角質表面の一部をセンサで読み取る。センサからのデータは、例えばCPUのような分析装置によって分析される。分析結果に基づき、分析した角質表面の部分がアプリケータによって処理されるか、あるいは処理されない。アプリケータは、分析結果が表面を処理する必要があることを示した場合に、改変用組成物を塗布する。
【0015】
角質表面を読み取る方法、使用されるセンサ、角質表面の読み取り、及び分析装置については、以下の公開済みの特許出願にすべて述べられている。すなわち、2007年2月11日に最初に出願された国際特許出願公開第2008/098234 A2号「化粧品及び他の表面の自動塗布用の手持ち式装置並びに方法」(Handheld Apparatus and Method for the Automated Application of Cosmetics and Other Surfaces)、2007年2月12日に最初に出願された国際特許出願公開第2008/100878 A1号「デジタル画像に基づいて人の外観を変えるために改変用組成物を塗布するためのシステム及び方法」(System and Method for Applying a Modification composition to Change a Person's Appearance Based on a Digital Image)、2007年2月11日に最初に出願された国際特許出願公開第2008/098235 A2号「化粧品モニタリングによってシミュレーション画像を与えるためのシステム及び方法」(System and Method for Providing Simulated Images Through Cosmetic Monitoring)、2007年2月12日に最初に出願された国際特許出願公開第2008/100880 A1号「ヒトの皮膚に静電気によって薬剤を塗布するためのシステム及び方法」(System and Method for Applying Agent Electrostatically to Human Skin)、2005年8月12日に最初に出願された米国特許出願公開第2007/0049832 A1号「化粧品モニタリング及び処理による医療用モニタリング及び処理のためのシステム並びに方法」(System and Method for Medical Monitoring and Treatment Through Cosmetic Monitoring and Treatment)、及び、2005年8月12日に最初に出願された米国特許出願公開第2007/0035815 A1号「ヒトの皮膚の視覚的魅力を向上させるために改変用組成物を塗布するためのシステム及び方法」(System and Method for Applying a Modification composition to Improve the Visual Attractiveness of Human Skin)。6つの出願はすべてエドガー(Edgar)らによる。これら6つのエドガー(Edgar)らによる出願のそれぞれの全開示内容を本明細書に援用する。
【0016】
本発明で用いる方法及び装置は、以下のように簡単に要約することができる。まず図1を参照すると、上記6つのエドガー(Edgar)らによる出願に述べられるように、アプリケータ20はセンサ24を備えている。電池に入射する光が、散乱、吸収、又はより多く反射される際の電圧の変化を読み取る光電池は、本発明における使用に適したセンサのほんの一例である。センサ24は、場合に応じて用いられるセンサリード線26又は無線接続によって装置10と電子通信している。センサ24は、例えば皮膚12、毛髪14又はその両方などの角質表面の特定の領域を分析又は「読み取り」、読み取り値を複数のフレクセルに分割した後、複数のフレクセルのそれぞれの少なくとも1つの光学属性を測定する。フレクセルの光学属性から、視覚的魅力に影響する少なくとも1つの測定された特性が特定される。
【0017】
「フレクセル」なる用語は、小さなピクセル状の角質表面の領域として定義される。フレクセルは、そばかす又は皮膚の他の特徴部の小さな部分に対応するか、あるいは特別な特徴部を有さない角質表面の特定の領域に対応しうる。フレクセルなる用語は、測定対象が平坦な表面ではなく立体的な表面上にあることを示唆するために用いる。角質表面の所定の領域は、複数のフレクセルからなる。例えば、1mm当たり11.8個のドット「dpmm」(300ドット/インチ)の解像度が用いられる場合、フレクセル1個は約0.085mm(1/300インチ)の幅及び高さを有しうるため、1平方mm当たり約140個のフレクセルが存在することになる(90,000フレクセル/平方インチ)。人体の表面は、数百万のフレクセルを有しうる。
【0018】
センサ24は、場合に応じて用いられるセンサリード線26を介してCPU 32と電子通信している。これらの電子要素の内の任意のもの、又はすべてのものを無線通信で接続することが可能であり、特定の実施形態では好ましい場合がある。センサ24からの読み取り値はCPU 32に送信され、皮膚の特性の所望の状態が、その特徴的な読み取り値に対する所定の外観に基づいて決定される。本発明では、場合により用いられる弁28及び開口部18が、モータ48と連動したアプリケータ20を構成している。モータ48は、先端部19が角質表面と接触した後、わずかに後退するようにアプリケータ20を充分に近くに動かすことが可能な任意の装置である。より詳細には、場合により用いられるモータリード線50を介してモータ48に信号が送信されうる。次いで場合により用いられる弁28が、少なくとも1種類の改変用組成物16を開口部18から特定のフレクセルに吐出することによって、測定された皮膚特性を角質表面の特性の所望の状態に近づくように改変する。改変用組成物16はリザーバ40内に収容されており、開口部18から吐出することができる。
【0019】
場合により用いられる他の要素としては、これらに限定されるものではないが、光源22、光源リード線21、電源42、及び、装置をオン及びオフするためのスイッチ34がある。本発明の好ましい一実施形態では、アプリケータ20が角質表面上を動く速度、角質表面に対するアプリケータ20の角度、及びアプリケータ20の角質表面からの距離を求めるために運動センサ36を使用する。これらの寸法はすべて、改変用組成物16をより正確かつより選択的に付着させるために用いることができる。
【0020】
次に図2を参照すると、CPU 132は、センサ(図に示されていない)の読み取り値に基づいて角質表面112を分析する。修正が望ましい場合には、CPU 132は、場合に応じて用いられるモータリード線150を介してモータ148を作動させる。次いでアプリケータ120が、図3に示されるように角質表面112と接触、又はほぼ接触するまで角質表面112の方向に推進させられる。接触又はほぼ接触すると、改変用組成物116が場合により用いられる弁128を通じて角質表面116上に放出される。次いで図4に示されるように、アプリケータ120は後退させられて改変用組成物の液滴152が残る。
【0021】
場合により用いられる弁128は、例えば市販のマジックペンに用いられている多孔質の材料片のような、簡単な吸い出し装置隣接先端部119に置き換えることができる。更に、市販のボールペンの技術を使用して、アプリケータ120の先端部119から改変用組成物116を吐出させることもできる。インクジェット噴射器を先端部119に使用することもできる。
【0022】
また、処理しようとする角質表面の部分をCPU 132が識別した際に、CPU 132が装置の操作者に信号を送るようにしてもよい。この後、操作者は、角質表面の識別された部分を処理するか、あるいは処理しないかを選択することができる。操作者が角質表面の部分を処理することを選択した場合、操作者はモータを作動させてアプリケータの開口部を角質表面へと動かして、第1の改変用組成物の一部を、分析した角質表面の同じ部分に塗布する。操作者に送信された信号は、視覚的、聴覚的、触覚的及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
CPU 32のプログラミングは、当業者には周知のものである。ただし、ロジックは、所望のベースライン又は所望の光学特性を識別することを含む。これにより、所望のベースラインからの変動を容易に識別することができる。識別後、CPUは改変用組成物を塗布することによって直ちに修正するか、操作者に変動についての通知がなされ、操作者がそのように選択する場合に修正を開始することができる。皮膚の場合、ベースラインは、皮膚の特定の色又はきめであってよい。例えば、そばかすは局所的な暗色変化として読み取られ、しわはきめの異常として読み取られる。この場合もやはり、改変用組成物は、装置の制御手順に応じて使用者が自動的又は選択的に塗布することができる。そばかすを明るい色にするために使用される改変用組成物は、しわを充填したり、平滑化するために使用される組成物とは異なりうる。染毛剤の場合では、ベースラインは毛髪の所望の色とすることができる。脱毛の用途では、ベースラインは毛髪のない皮膚とすることができる。育毛剤の場合では、ベースラインは毛髪が生える孔とすることができる。閾値は、修正を必要とするベースラインからの所定のずれとすることができる。毛髪の着色用途では、閾値は、分析した毛髪の領域が染毛剤の塗布を必要とすることを示す、ベースラインからの色の変化である。同様に、脱毛の場合では、皮膚のきめを測定することが可能であり、きめの変化によって脱毛用組成物を塗布する不要な毛髪の存在が示される。
【0024】
最後に、本発明の装置は、皮膚12を読み取って、毛幹を含む、不健康な毛幹を含む、又は毛髪が失われそうな頭皮の領域(例えば、男性型脱毛症の領域)の毛幹を含む孔を探すようにプログラムすることができる。本装置は、例えば育毛刺激物質(市販のミノキシジルなど)であってよい改変用組成物を孔内に塗布することができる。この方法により、より高い濃度の改変用組成物を必要とされる正確な領域に選択的に塗布することができる。
【0025】
装置10は手持ち式であることが好ましいが、改変しようとする角質表面上に装置10を動かす構造と連結させてもよい。手持ち式の場合、消費者は、改変しようとする角質表面上に装置10を単純に動かすだけでよい。場合により、複数の装置を固定構造内に配列し、改変しようとする角質表面を消費者が固定式構造内に置いて、複数回の読み取り及び塗布を同時又は順次に行うこともできる。
【0026】
別の実施形態では、ほぼ同時に走査及び塗布を行い、表面上を複数回通過させることによって、改変用組成物を角質表面に塗布することができる。複数回の通過の応用例によって幾つかの利点が得られる。複数回の通過の応用例のプロセスでは、改変用組成物を部分的に塗布した後、部分塗布された皮膚の領域を再び走査する。審美的目標に近づくように、改変用組成物を更に塗布し、更なる複数回の通過走査及び塗布を行うことができる。
【0027】
改変用組成物は、「流量制御」装置又は非液滴制御装置によって塗布することができる。流量制御装置は、物質の個々の液滴を制御する「液滴制御法」として一般的に特徴付けられる。当該技術分野では周知のインクジェットプリンタは、ドロップオンデマンド方式のアプリケータの例であり、この技術を本発明における使用に適用することが可能である。スプレー装置及び静電スプレー装置は、液滴が集合体としてのみ生成及び制御される、非液滴制御装置である。スプレー装置ではしばしば、個々の液滴の制御が行われないこと、すなわち「ランダムさ」が、比較的大きな範囲に滑らかな塗布を行ううえで望ましい。これに対し、改変用組成物の量及び配置の極めて精密な制御を行うことが望ましい場合もしばしばある。
【0028】
液滴制御の例には、望みどおりに液滴が供給されるように物質の流れを精密に制御する「精密流量制御」、及び「インクジェット技術」がある。より古いインクジェット技術では、帯電した液滴の連続流を交互に帯電される静電偏向プレートを通過するようにして供給することにより、プレートが液滴を通過させるか、あるいはガターへと偏向する。この方法が、インクジェットプリンタの最初の設計の基本であった。他のインクジェット技術としては、ヒューレット・パッカード社(Hewlett Packard)によって提供されるサーマル装置などの「ドロップオンデマンド」方式、及びエプソン社及び他のプリンタ製造業者によって提供されるような圧電素子がある。本発明の一実施形態では、ドロップオンデマンド技術を、液滴を帯電させることと組み合わせる。
【0029】
多くの皮膚の欠陥が表面下で生じることは当業者には認識されるところである。しかしこれらの欠陥は、検出及び処理することが可能である。すなわち、角質表面は厚さ約1mm〜約5mmの外表面、及び外表面の直ぐ下の内側コアを有するが、センサが内側コア又は角質表面を読み取り、次いでアプリケータが内部の欠陥をマスキング又は修正するように外表面を処理する。
【0030】
装置は、センサによって読み取られた角質表面の約1.0%〜約10%を改変用組成物によって処理することが望ましい場合がある。本発明の一実施形態では、アプリケータは、CPUによってアプリケータが作動されると角質表面に対して約0.01μg〜約100μgの第1の改変用組成物を塗布する。更にアプリケータは、第1の改変用組成物を約0.1μm〜約50μmの平均粒径を有する液滴として塗布することもできる。
【0031】
改変用組成物
本発明では、例えばインク、染料、含量、接着剤、硬化性組成物、光学活性化化合物、金属酸化物(例えば、二酸化チタン)、漂白剤、テクスチャ低減剤、スキンケア組成物、染毛剤、脱毛用組成物(しばしば脱毛剤と呼ばれる)、育毛刺激剤、及びこれらの混合物などの各種の改変用組成物を使用することができる。
【0032】
本発明の改変用組成物は、単独で、あるいは皮膚科学的に許容される担体の存在下で供給することができる。本明細書で使用する「皮膚科学的に許容される担体」なる語句は、担体が角質組織への局所的塗布に適しており、良好な審美的特性を有し、スキンケア組成物の更なる成分と適合性を有し、不適当な安全性又は毒性の問題を一切生じないことを意味する。担体は多様な形態をとりうる。その非限定的な例としては、単純な溶液(水又は油ベース)、エマルション、及び固形物(ジェル、スティック、流動性固体、非晶質材料)が挙げられる。特定の実施形態では、皮膚科学的に許容される担体はエマルションの形態である。エマルションは、連続的な水相(例えば、水中油型及び水中油中水型)及び連続的な油相(例えば、油中水型及び油中水中油型)を有するものとして一般的に分類される。本発明の油相には、シリコーンオイル、非シリコーンオイル(炭化水素油、エステル類、エーテル類など)、及びこれらの混合物が含まれうる。例えば、エマルション担体としては、これらに限定されるものではないが、水中シリコーン型、水中油型、及び水中油中水型のエマルションなどの連続水相エマルション、並びに油中水型及びシリコーン中水型エマルションなどの連続油相エマルション、並びにシリコーン中水中油型エマルションが挙げられる。改変用組成物は、これらに限定されるものではないが、クリーム、ローション、ジェル、フォーム、ペースト、又は血清などの各種の製品形態で供給することができる。更に、改変用組成物は、適切な配合及び安定化を目的として抗真菌成分及び抗細菌成分を含んでもよい。
【0033】
インク、染料、金属酸化物及び顔料(以下、「着色剤」と総称する)が、角質表面の色又は反射率を改変するために用いられる。これらの組成物は、化粧用の「メークアップ」組成物の色及び反射率を改変するために一般的に使用されているものである。ファンデーション、リップスティック、アイライナーは、これらの組成物のほんの幾つかの例であるが、これらはいずれも角質表面の広い部分にわたって均一に塗布される。すなわち、これらは広範囲塗布型のものである。これとは極めて対照的に、本発明の改変用組成物は選択された領域に極めて小規模に選択的に塗布される、すなわち、微小範囲塗布型のものである。好適な着色剤としては、無機又は有機顔料及び粉末が挙げられる。有機顔料としては、天然着色剤、及び合成モノマー及びポリマー着色剤が挙げられる。有機顔料としては、医薬品及び化粧品用、並びに食品、医薬品及び化粧品用ブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどとして指定されるアゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料を含む各種の芳香族型が挙げられる。有機顔料は、レーキと呼ばれる認可された着色料の不溶性金属塩からなるものでよい。無機顔料としては、酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム着色剤、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの顔料は、顔料を疎水化する1以上の成分でコーティングすることができる。顔料の性質をより親油性とする好適なコーティング材料としては、シリコーン、レシチン、アミノ酸、リン脂質、無機及び有機油、ポリエチレン、並びに他のポリマー材料が挙げられる。好適なシリコーン処理顔料が、米国特許第5,143,722号に開示されている。無機の白色又は無色の顔料には、多くの供給元より市販されている、二酸化チタン、酸化亜鉛、又は二酸化亜鉛が含まれる。他の好適な着色剤は、米国特許第7,166,279号に特定されている。着色剤は、スキンケア組成物が知覚可能な色を呈するような所定の重量比率(%)で一般的に添加される。一実施形態では、スキンケア組成物は、アプリケータの色とは知覚可能に異なる色を呈する。知覚可能に異なる、とは、正常な知覚能力を有する人が標準的な照明条件(例えば、日中に屋外で経験されるような自然光、標準的な100ワットの白熱白色電球から2mの距離の照明、又は、CIE D65標準照明によって規定される、1964 CIE標準観測者に対する800ルクスの照明)下で知覚することが可能な色の差異のことを指す。
【0034】
角質表面と適合性を有する接着剤は、本発明の装置によって塗布することが可能な任意の公知のこうした接着剤でよい。角質表面と適合性を有する市販の接着剤は、ミネソタ州ミネアポリス所在のスリー・エム社(3M Corporation)より販売されている。例えば、2001年4月23日出願のブラッチフォード(Blatchford)らに付与された米国特許第6,461,467号、1994年11月4日出願のデルガド(Delgado)らに付与された米国特許第5,614,310号、及び1991年4月5日出願のハイネッケ(Heinecke)らに付与された米国特許第5,160,315号を参照されたい。これらの特許出願の全容を援用する。接着剤が角質表面に選択的に塗布された後、第2の改変用組成物を角質表面上に散布すると第2の改変用組成物はそこで接着剤に膠着する。次いで角質表面に接着しなかった第2の改変用組成物を除去すると、選択的に微小範囲塗布された第2の改変用組成物が残る。特定のエネルギーの波長、例えば赤外線に曝露すると硬化する組成物は、当該技術分野では周知のものであり、本発明の装置によって塗布することができる。この方法では、硬化性組成物を角質表面に選択的に塗布した後、角質表面を硬化エネルギー源に曝露することによって硬化させる。角質表面全体を曝露するか、あるいは塗布と同時に曝露を行うこともできる。
【0035】
しわ又はテクスチャ低減ポリマー及び皮膚の引き締めは公知のものである。例えば、2000年10月31日にエストリン(Estrin)に付与された米国特許第6,139,829号、並びに、2005年3月21日出願のルイジ(Luizzi)らによる米国特許出願公開第20060210513A1号、2005年3月18日出願のカシン(Cassin)らによる米国特許出願公開第20070224158A1号、及び2005年1月14日出願のオムラ(Omura)らによる米国特許出願公開第20070148120A1号を参照されたい。この特許及びこれらの公開された特許出願の全容を援用する。より詳細には、しわが形成された皮膚のしわを柔らかくするための美容的方法は、顔の皮膚への局所的塗布に適した生理学的に許容される媒質中に、組成物の全重量に対して0.1〜20重量%の少なくとも1種類の張り付与剤を含む美容組成物、特に抗しわ組成物をしわが形成された皮膚に塗布することを含みうる。
【0036】
光学活性化粒子を本発明の改変用組成物として使用するか、又は本発明の改変用組成物に添加することができる。「干渉性顔料」と呼ばれることもあるこれらの粒子は、ナイロン、アクリル、ポリエステル、他のプラスチックポリマー、天然材料、再生セルロース、金属及びミネラルからなる群から選択される複数の基材粒子、並びに、複数の基材粒子のそれぞれと化学的に結合し、光を拡散するための光学活性化粒子の形態の一体の単位を形成する光学的光沢剤を含む。これらの粒子は、セルライト、くま、皮膚の変色、及びしわを含む皮膚の欠陥を視覚的に認識されにくくするうえで有効である。光学活性化粒子はそれぞれ、光の拡散性を高めて皮膚の欠陥を視覚的に更に認識されにくくするように、紫外線透過コーティングに封入される。封入された光学活性化粒子は、紫外線を吸収して可視光線を放射することが可能であり、光学的活性化粒子が皮膚表面に塗布される際に、セルライト、しわ、くま、及び皮膚の変色を含む皮膚の欠陥を視覚的に認識されにくくするため、光が拡散するように散乱及び吸収することが可能である。
【0037】
染毛剤及び脱毛用組成物も、本発明の装置と使用するうえで適している。これらの組成物及びその成分は、以下の実施例によって最も分かりやすく説明される。染毛剤として以下に述べる個々の化学組成物のそれぞれは、他の組成物の成分のいずれのものと組み合わせてもよく、同様に、当業者であれば、脱毛剤として与えられる個々の組成物は、他の実施例において列記される他の成分と使用することができる点は認識されるであろう。
【0038】
本発明の装置によってスキンケア組成物を塗布することができる。スキンケア組成物は、例えば保湿剤、コンディショナー、アンチエイジングトリートメント、美白トリートメント、日焼け止め、サンレスタナー、及びこれらの組み合わせとして使用することができる。
【0039】
スキンケア組成物は、皮膚の状態を調節及び/又は改善するうえで有用な1以上のスキンケア活性物質(「活性物質」)の安全かつ有効な量を含みうる。「安全かつ有効な量」とは、正の効果を誘導するうえで充分であるが、重い副作用を引き起こさないだけ充分に低い(すなわち、当業者の判断の範囲内で妥当なリスク対効果比を与える)、化合物又は組成物の量を意味する。スキンケア活性物質の安全かつ有効な量は、組成物全体の約1×10-6〜約25重量%であり、別の実施形態では組成物全体の約0.0001〜約25重量%であり、別の実施形態では組成物全体の約0.01〜約10重量%であり、別の実施形態では組成物全体の約0.1〜約5重量%であり、別の実施形態では組成物全体の約0.2〜約2重量%である。好適な活性物質としては、これらに限定されるものではないが、ビタミン類(例えば、ナイアシンアミド、ナイアシンニコチン酸、ニコチン酸トコフェリルなどのB3化合物;パンテノールなどのB5化合物;レチノイド、レチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、レチノイン酸、レチンアルデヒド、プロピオン酸レチニル、カロチノイド(プロビタミンA)などのビタミンA化合物並びにビタミンAの天然及び/又は合成の類似体;ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロールなどのビタミンE化合物、又はトコフェロール;アスコルビン酸塩、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、並びに、リン酸アスコルビルマグネシウム及びリン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビルグルコシド、及びアスコルビルソルベートを含むアスコルビン酸誘導体などのビタミンC化合物)、ペプチド(例えば、10個以下のアミノ酸を有するペプチド、その誘導体、異性体、及び金属イオンなどの他の化学種との複合体)、糖アミン類(例えば、N−アセチル−グルコサミン)、サンスクリーン、油分調整剤、日焼け活性物質、抗にきび活性物質、剥離活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、皮膚美白剤、フラボノイド、プロテアーゼ阻害剤(例えば、ヘキサミジン及びその誘導体)、非ビタミン系抗酸化物質及びラジカルスカベンジャー、ペプチド、サリチル酸、育毛調節剤、抗しわ活性物質、抗萎縮活性物質、ミネラル、植物ステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ阻害剤、N−アシルアミノ酸化合物、保湿剤、植物抽出物、並びに上記の活性物質のいずれかの誘導体が挙げられる。本明細書で使用する「誘導体」なる用語は、示されてはいないが当業者であれば基礎化合物の変異体として理解される構造のことを指す。例えば、ベンゼンから水素原子を脱離してメチル基と置換することが挙げられる。好適な活性物質は、米国特許出願公開第2006/0275237A1号及び同第2004/0175347A1号に更に述べられている。
【0040】
スキンケア組成物は粒子状物質を含んでもよい。粒子は、軽度の研磨性を有するポリマーマイクロビーズから、重炭酸ナトリウムなどの中度の研磨性を有する材料、アルミナ結晶のような比較的アグレッシブな材料まで、広範囲に及びうる。本明細書における使用に適した粒子状物質としては、これらに限定されるものではないが、オキシ塩化ビスマス、セリサイト、雲母、硫酸バリウム又は他の物質で処理された雲母、ゼオライト、カオリン、シリカ、窒化ホウ素、ラウロイルリジン、ナイロン、ポリエチレン、タルク、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン/アクリル酸コポリマー、セリサイト、酸化アルミニウム、シリコーン樹脂、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酢酸セルロース、PTFE、ポリメチルメタクリレート、デンプン、アルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩等の加工デンプン、絹、ガラス、繊維、挽きつぶした種子、軽石、干渉性顔料及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
スキンケア組成物は、例えば、米国特許第2,995,521号(ブラード(Bluard))、同第3,541,581号(モンソン(Monson))、同第4,405,489号(シスバロ(Sisbarro))、同第4,528,111号(スー(Su))、同第4,651,503号(アンダーソン(Anderson))、同第5,248,495号(パターソン(Patterson))、同第5,308,643号(オシポウ(Osipow))、同第5,326,556号(バーネット(Barnet))、及び同第5,500,211号(ジョージ(George))に述べられるようなシェービングジェル又はフォームであってもよい。これらの組成物は一般的に、後発泡(post-foaming)剤、通常は揮発性(すなわち、低沸点)の脂肪族炭化水素が油相中に可溶化され、水相が水分散性の石鹸、中断構造石鹸(interrupted soap)成分、及び/又は界面活性剤を含む水中油エマルションの形態をとる。こうした製品は一般的に、後発泡(post-foaming)性ジェルを製品の放出に必要な噴射剤から隔離するピストン又は圧潰式の袋などの隔壁を備えたエアゾール容器内にパッケージングされる。製品は、皮膚に塗り広げられるまでほとんど発泡しない透明、半透明又は不透明のジェルとして吐出され、皮膚に塗り広げられた時点で揮発性炭化水素発泡剤の揮発によって起泡を生ずる。
【実施例】
【0042】
以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる実施形態を更に説明及び実証するものである。これらの実施例はあくまで例示を目的として与えられるものであって、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。実施例には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの変形例が可能である。
【0043】
染毛剤改変用組成物
染毛用組成物は、一般的に、酸化剤及び発色剤を含んでいる。場合により、結合剤を使用することもできる。各種の芳香族化合物を、一般的に結合剤として知られる各種の他の化合物とともに発色剤(前駆体又は一次中間体としても知られる)として使用することができる。これらは、発色に酸化剤を必要とすることから、酸化的染毛剤と呼ばれる。発色剤として述べられる化合物は、酸化剤と反応して反応性の酸化中間体を形成するものである。次いでこの中間体が、1乃至複数の結合剤と反応して着色分子を生成する。特定の発色剤は、別の同種の分子と反応することができる(すなわち、自己結合)。結合剤は一般的に酸化剤とは反応せず、発色剤と酸化剤との反応によって形成される反応性酸化中間体と反応する。
【0044】
本発明によれば、染毛用組成物は、
(i)少なくとも1種類の発色剤、
(ii)少なくとも1種類の酸化剤、及び
(iii)場合により、少なくとも1種類の結合剤、を含んでいる。
【0045】
結合剤、発色剤、及び酸化剤は、国際特許出願公開第98/52522号、並びに米国特許第7,066,962号及び同第6,432,147号に一般的に述べられている。これら3つの参照文献の全開示内容を本明細書に援用する。結合剤は、例えば0.01〜4%、好ましくは0.01〜2%、より好ましくは0.03〜3%(例えば0.03〜2%)、組成物によっては1又は0.5%以下の量で使用することができる。発色剤及び結合剤の合計濃度は、必要とされるシェードに従って一般的に変化する。金髪のシェードでは、0.001〜4重量%の量が好ましい。赤髪のシェードでは、0.001〜4重量%の量が好ましい。茶髪のシェードでは、0.01〜4%の量が好ましい。黒髪のシェードでは、0.1〜4重量%が好ましい。
【0046】
好ましい酸化剤の1つとして過酸化水素がある。過酸化水素は、毛髪に塗布される組成物の重量に基づいて最大で10重量%の量でしばしば使用される。使用可能な他の酸化剤としては、他の無機過酸素酸化剤、予め形成された有機ペルオキシ酸酸化剤、及び過酸化尿素、過酸化メラミンなどの他の有機過酸化物、並びにこれらの任意のものの混合物が挙げられる。
【0047】
好適な酸化剤は好ましくは水溶性、すなわち1000mLの脱イオン水中に25℃で少なくとも約5gの溶解度を有するものである(「Chemistry」C.E.Mortimer,5th Edition,page 277)。
【0048】
通常、本発明の染毛用組成物は、7よりも高いpH、詳細にはpH 8又は9よりも高いpHを有する。9〜12のpHがしばしば好適である。本発明のシステムは、低pH(例えば、pH 1〜6)の染毛システムに取り入れることもできる。
【0049】
(実施例1)
表1に示した下記の組成物は、ピードモント毛髪の染色に使用することができる。100gの染色組成物を20容量の過酸化水素100gと混合した。得られた混合物を毛髪に塗布し、30分間毛髪と接触させた。この後、染色した毛髪をシャンプーし、水ですすぎ、乾燥した。表1に示される成分の範囲は、毛髪染料製品中における記載物質の有用な濃度を例示したものである。
【0050】
【表1】

1合計で、これらの成分は2〜15重量%の範囲内である。
2これらの染料前駆体の少なくとも1つが通常存在する。
*結合剤は、3−(N−アセチル)アミノ−1−フェノール−2−ピラゾリン−5−オン(NAPP)、2,6−ジクロロ−p−アミノフェノール(DCP)、p−フェニレンジアミン(PPD)、1.2% 3−アセトアミドフェノール(3AP)、及びこれらの混合物からなる群から所望の毛髪の色に応じて選択される。
【0051】
脱毛用組成物
多数の脱毛用組成物を下記に例示する。通常、これらの組成物は、担体及び活性物質の2つの一般的な成分を含んでいる。共通の担体は、水、アルコール、グリコール、グリセリン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。活性成分は、下記に示す異なる実施例によって最も分かりやすく述べられる。
【0052】
(実施例2)
下記の成分を従来の混合法を用いて合わせることによって局所用組成物を調製し、水酸化ナトリウムを加えてpHを6.0に調整した。
【0053】
【表2】

【0054】
100cm2の皮膚当たり1000mgの組成物を1日2回顔に局所的に塗布して不要な軟毛を脱毛した。
【0055】
(実施例3)
下記の成分を従来の混合法を用いて合わせることによって局所用組成物を調製し、水酸化ナトリウムを加えてpHを4.5に調整した。
【0056】
【表3】

【0057】
100cm2の皮膚当たり4000mgの組成物を両脚に1日1回局所的に塗布することによって硬毛を軟らかくした。
【0058】
(実施例4)
下記の成分を従来の混合法を用いて合わせることによって局所用組成物を調製し、水酸化ナトリウムを加えてpHを約3.0に調整した。
【0059】
【表4】

【0060】
100cm2の皮膚当たり2000mgの組成物を1日2回顔に局所的に塗布して不要な軟毛を脱毛した。
【0061】
(実施例5)
下記の成分を従来の混合法を用いて合わせることによって局所用組成物を調製し、水酸化ナトリウムを加えてpHを5.0に調整した。
【0062】
【表5】

【0063】
100cm2の皮膚当たり500mgの組成物を1日1回顔に局所的に塗布して不要な軟毛を脱毛した。
【0064】
(実施例6)
下記の成分を従来の混合法を用いて合わせることによってローションを調製し、水酸化ナトリウムを加えてpHを4.0に調整した。
【0065】
【表6】

*ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.)より販売されるジメチルポリシロキサン。
【0066】
100cm2の皮膚当たり100mgの組成物を1日3回顔に局所的に塗布して不要な軟毛を脱毛した。
【0067】
(実施例7)
下記の成分を従来の混合法を用いて合わせることによって油中水エマルションを調製し、水酸化ナトリウムを加えてpHを6.5に調整した。
【0068】
【表7】

【0069】
10部の油相をとり、これを90体積部の水相に攪拌下、徐々に加えることによってエマルションを調製した。最初の毛髪の剃毛により除去した後、100cm2当たり約1000gのエマルションを1日3回両脚に塗布するだけの量のエマルションの使用が適切であった。生え替わった硬毛は、脱毛された毛髪よりも軟らかかった。
【0070】
(実施例8)
下記の成分を混合することによって水中油クリームを調製し、水酸化ナトリウムを加えてpHを3.5に調整した。
【0071】
【表8】

【0072】
クリームは油相を混合し、65℃に加熱することによって調製した。水相を合わせ、70℃に加熱した。適宜攪拌しながら水相を油相に加えた。冷却しながら適度の攪拌を加えた。100cm2当たり約5mgのクリームを1日1回顔に塗布して不要な軟毛を脱毛した。
【0073】
本明細書で開示する寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解すべきではない。むしろ特に断らないかぎり、こうした各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は「約40mm」を意味するものとする。
【0074】
相互参照される若しくは関連するあらゆる特許又は特許出願を含め、本明細書において引用する文献はすべて、明らかに除外又は限定しないかぎりはその全容を本明細書に援用するものである。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他の任意の参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを容認するるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反するかぎりにおいては、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が優先されるものとする。
【0075】
以上、本発明の特定の実施形態を例示、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行いうる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそうした変更及び改変はすべて、添付の「特許請求の範囲」において網羅するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角質表面を改変するための装置であって、
モータ、及び第1の改変用組成物と流体連通しているアプリケータ開口部を含むアプリケータと、
センサと、
CPUと、を備え、
前記センサが前記角質表面の小部分の性質を読み取り、該読み取り値が前記CPUに送信され、前記CPUが前記角質表面の前記センサによる読み取り値を分析し、前記CPUが前記分析された表面を処理する、又は処理しないという信号を前記アプリケータに送信し、前記CPUが前記表面を処理するという信号を前記アプリケータに送信する場合、前記モータが作動されて前記アプリケータ開口部を前記角質表面へと動かして前記第1の改変用組成物の一部を、前記センサによって読み取られた前記角質表面の同じ部分に塗布する、装置。
【請求項2】
前記アプリケータ開口部が先端部、及び前記第1の改変用組成物を保持するための容器を有し、前記先端部が前記第1の改変用組成物と常に流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記先端部が、前記第1の改変用組成物を前記容器から処理しようとする前記角質表面へと吸い出す、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記先端部が、前記角質表面が開口部と接触する際に変位して、前記第1の改変用組成物を前記容器から処理しようとする前記角質表面へと流すボールである、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の改変用組成物が接着剤であり、前記装置によって前記角質表面が処理された後、第2の改変用組成物が前記角質表面に塗布されて前記接着剤に膠着することで前記角質表面の改変が完了する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記センサによって読み取られる前記角質表面の約1.0%〜約10%が、前記第1の改変用組成物の塗布によって改変される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記アプリケータは、前記CPUによって前記アプリケータが作動されると、前記角質表面に対して約0.01μg〜約100μgの前記第1の改変用組成物を塗布する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
第2の改変用組成物を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記センサによって得られる前記読み取り値が、色、明るさ、反射率、温度、きめ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される特性の値を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の改変用組成物が、インク、染料、顔料、接着剤、硬化性組成物、光学的に活性化される化合物、染毛剤、脱毛用組成物、育毛刺激剤、金属酸化物、漂白剤、テクスチャ低減ポリマー、スキンケア組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記角質表面が厚さ約1mm〜約5mmの外表面、及び該外表面の直ぐ下の内側コアを有し、前記センサが前記内側コア又は前記角質表面を読み取る、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記アプリケータが、平均粒径が約0.1μm〜約50μmの液滴として前記第1の改変用組成物を塗布する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
角質表面を改変するための装置であって、モータ、及び第1の改変用組成物と流体連通しているアプリケータ開口部を含むアプリケータと、
センサと、
CPUと、を備え、
前記センサが前記角質表面の小部分の性質を読み取り、該読み取り値が前記CPUに送信され、前記CPUが前記角質表面の前記センサによる読み取り値を分析し、前記CPUが装置の操作者に信号を送信し、次いで前記操作者が前記角質表面の前記特定された部分を処理するか、又は処理しないかを選択し、前記操作者が前記角質表面の前記部分を処理することを選択した場合、前記操作者は前記モータを作動して前記アプリケータ開口部を前記角質表面へと動かして前記第1の改変用組成物の一部を、前記センサによって読み取られた前記角質表面の同じ部分に塗布する、装置。
【請求項14】
前記操作者に送信される前記信号が、視覚的、聴覚的、触覚的、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−515062(P2012−515062A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546380(P2011−546380)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/021178
【国際公開番号】WO2010/083400
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】