説明

解答用紙及び試験用紙

【課題】解答用紙と試験用紙との対応関係を、主催者側が識別し易く、受講者側が識別できにくくすることを実現した解答用紙を提供する。
【解決手段】名前を記入する記名欄10と、試験問題の解答を記入する解答欄30とを有する解答用紙1であって、記名欄10は、試験問題の種類に応じて、記名欄10を形成する罫線の太さを変更して、例えばアルファベットや数字を模して形成された識別パターンを備える。これにより、主催者側は、記名欄10の罫線によって形成される識別パターンを視認することによって、解答用紙と試験用紙との対応関係を識別することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験に用いられる解答用紙及び試験用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種教育の講習会においては、講習の終りに受講者の理解度を確かめるために試験が実施されることが多い。ここで、講習会は一回限りではなく、同じ内容の講習会が、日付を替えて何回も実施される。このため、各回の講習会において同じ試験問題を使用したのでは、新旧の受講者間で試験内容が伝達されてしまい、試験を実施する意味がなくなってしまうおそれがある。
【0003】
そこで、従来、講習会の主催者側では、試験問題を数種類用意して、講習会毎に試験問題を替えるという対策を取っていた。
【0004】
しかし、この場合、主催者側において、解答用紙がどの種類の試験に対応した解答用紙であるかを、解答用紙を見ただけで識別することは困難である。このため、試験用紙の配布時に試験用紙と解答用紙とが対応していなかったり、採点の際に、採点用の解答用紙と受講者の解答用紙とが対応していなかったりするなど、間違う可能性があった。このような問題を解決するには、解答用紙と試験用紙との対応関係を識別させる識別情報を解答用紙に付与することが考えられる。
【0005】
また、従来におけるこの種の技術として、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、学習プリントに、学習者を特定する学習者情報と、学習問題を特定する問題情報と、学習問題に対する成績を特定する成績情報とを識別可能にするバーコードを配置する、という技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−193474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の技術を適用して、バーコードによって解答用紙と試験用紙とを対応付けることにより、受講者に対し、試験問題が数種類あることや、その中で自分がどの試験問題を実施しているのか分かりにくくすることができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1のようにバーコードによって解答用紙と試験用紙とを対応付けたのでは、主催者側において、一見して解答用紙と試験用紙との対応を識別することが困難である。
【0009】
本発明は、このような問題を解決し、解答用紙と試験用紙との対応関係を、主催者側が識別し易く、受講者側が識別できにくくすることを実現した解答用紙及び試験用紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0011】
(1) 名前を記入する記名欄と、試験問題の解答を記入する解答欄とを有する解答用紙であって、前記記名欄は、前記試験問題の種類に応じて、前記記名欄を形成する罫線の太さを変更して形成された識別パターンを備えることを特徴とする解答用紙。
【0012】
(1)によれば、解答用紙の記名欄を形成する罫線の太さを変更することによって、試験問題の種類に対応する識別パターンが形成され、この識別パターンが解答用紙の記名欄に表示される。ここで、主催者側は、識別パターンとしてどのようなものがあるか予め把握していることから、解答用紙の記名欄を視認することによって識別パターンを容易に認識することが可能になり、解答用紙がどの試験問題に対応しているかについて容易に把握することが可能になる。一方、受講者側は、記名欄が識別パターンを備えていることを把握しておらず、しかも、識別パターンが目立たないように表示されるため、識別パターンを認識することが受講者にとって困難になる。これにより、解答用紙の混同を防止するとともに、受講者間の情報伝達によって試験結果に影響がでることを防止することができる。
【0013】
(2) (1)において、前記記名欄は、複数行複数列のマス目からなり、前記識別パターンは、英数字からなることを特徴とする解答用紙。
【0014】
(2)によれば、識別パターンが英数字からなるため、主催者側において識別パターンをより印象深く認識することが可能になる。これにより、解答用紙がどの試験問題に対応しているか、容易に把握することが可能になる。
【0015】
(3) 試験問題を記載している問題用紙と、罫線を有し、名前を記入する記名欄及び試験問題の解答を記入する解答欄を有する解答用紙とを備える試験用紙であって、前記記名欄の前記罫線の少なくとも一部は、前記罫線の太さを変更してなる識別パターンを形成し、前記問題用紙は、前記識別パターンに対応するパターンを記載していることを特徴とする試験用紙。
【0016】
(3)によれば、問題用紙に記載されているパターンを視認することにより、問題用紙がどの解答用紙に対応しているかについて容易に把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記名欄が、前記試験問題の種類に応じて、記名欄を形成する罫線の太さを変更してなる識別パターンを備えるため、解答用紙と試験用紙との対応関係を、主催者側が識別し易くなり、受講者側が識別しにくくした解答用紙を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における解答用紙1を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態における解答用紙1を示す説明図である。
【図3】識別パターンの例を示す説明図である。
【図4】識別パターンの例を示す説明図である。
【図5】識別パターンの例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態の試験用紙に係る問題用紙3を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態の試験用紙に係る解答用紙1を示す説明図である。
【図8】図6の問題用紙の裏面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1、図2は、本発明の一実施形態における解答用紙1を示す説明図である。図1、図2に示す解答用紙1は、用紙に、記名欄10、試験問題20及び解答欄30等を印刷したものであり、問題用紙を兼ねたものである。
【0021】
記名欄10は、3本の縦の罫線12と4本の横の罫線12によって2行3列に区切られた6つのマス目を備えている。記名欄10の1列目は、表題を記入する欄であり、「講習年月日」、「受講番号」、「受講者氏名」という文字が印刷されている。記名欄10の2列目は、受講者が表題に対応する内容を記入する欄であり、受講者が講習を受けた年月日、受講者の受講番号、受講者の氏名が、受講者によって記入される。
【0022】
また、記名欄10の下方に、試験問題20及び解答欄30が記載されている。
【0023】
図2に示す解答用紙1は、図1に示す解答用紙1と同様に、記名欄10、試験問題20及び解答欄30等を印刷したものであるが、試験問題20の内容及び解答欄30が異なっている。このため、図1に示す解答用紙1と図2に示す解答用紙1とは、別の試験問題であることから、別々に管理されることになる。
【0024】
また、図1に示す記名欄10の罫線12において、1列目の3つの欄における、左側の罫線と、2列目の3つの欄における、右側の罫線と、1、2行目の2つの欄における上方の罫線とが、他の罫線12よりも太く形成されている。これにより、記名欄10は、記名欄10の罫線12の太い部分によってアルファベットの「A」を模した識別パターンを備えるようになる。
【0025】
また、図2に示す記名欄10の罫線12において、1列目の3つの欄における、左側の罫線と、2列目の3つの欄における、右側の罫線と、1、2行目の2つの欄における上方の罫線と、3行目の2つの欄における下方の罫線とが、他の罫線12よりも太く形成されている。これにより、記名欄10は、記名欄10の罫線12の太い部分によってアルファベットの「B」を模した識別パターンを備えるようになる。
【0026】
図3、図4は識別パターンの例を示す説明図である。本実施形態においては、記名欄10が2行3列に区切られた6つのマス目を備えているため、縦9つのライン、横8つのラインそれぞれにおいて、罫線12の太さを変更することができる。このため、2の17乗パターンの識別パターンを形成することが可能である。本実施形態においては、特に、図3に示すように、A〜Zのアルファベットを模した26個のパターンを識別パターンとして使用する。
【0027】
なお、図3に示す識別パターンは一例であって、他の識別パターンであってもよい。例えば、図4に示すように、1〜10の数字を模したパターンとして形成することが可能である。また、図5に示すように、数字を反転した識別パターンとしてもよく、更には、主催者が独自に設定してもよい。
【0028】
そして、試験問題用紙を兼ねた解答用紙1が複数種類準備されている場合には、解答用紙1の種類に対応した識別パターンを、各解答用紙の記名欄10に表示させる。例えば、試験問題用紙を兼ねた解答用紙1が7種類準備されている場合には、各解答用紙1の記入欄に、「A」〜「G」の識別パターンが付与される。そして、仮に、識別パターンが「A」の解答用紙1を用いる場合には、主催者は、記名欄10に表示されている識別パターンが「A」であることを確認することにより、解答用紙1を間違えて配布するといった事態を防止する可能になる。しかも、他の種類の解答用紙1が混ざってしまったとしても、識別パターンを確認することによって、混ざってしまった他の種類の解答用紙1を容易に取り出すことが可能になる。
【0029】
上述した実施形態の解答用紙1は問題用紙を兼ねているが、解答用紙1と問題用紙とを別々にしてもよい。具体的には、試験時に、図6に示す問題用紙3と、図7に示す解答用紙1とをペアにして受講者に配布する。
【0030】
図6に示す問題用紙3には、試験問題が記載されており、図7に示す解答用紙1には、記名欄10及び解答欄30が印刷されている。ここで、記名欄10は、図1に示す解答用紙1の記名欄10と同一であり、問題用紙3に記載されている試験問題に対応する識別パターンを備えている。
【0031】
また、問題用紙3の裏面には、図8に示すように、講習情報欄40が印刷されている。講習情報欄40は、記名欄10(図7参照)と同様に、3本の縦の罫線12と4本の横の罫線12によって2行3列に区切られた6つのマス目を備えている。講習情報欄40の1列目は、表題を記入する欄であり、「講習名」、「講習場所」、「主管部署」という文字が印刷されている。記名欄10の2列目は、受講者が、表題に対応する内容が印刷されている。なお、図8に示す講習情報欄40は一例であって、2行3列に区切られた6つのマス目を備えている欄であれば、適用可能である。
【0032】
ここで、図7に示す解答用紙1の記名欄10には、「A」を模した識別パターンが備えられており、図8に示す問題用紙3の講習情報欄40にも、「A」を模した識別パターンが備えられている。すなわち、問題用紙3には、識別情報として解答用紙1と同一の識別パターンが記載されている。
【0033】
これにより、主催者側においては、解答用紙1の記名欄10と問題用紙3の講習情報欄40とを確認することにより、解答用紙1と問題用紙3との対応が正しいか否かを容易に判別することが可能になる。また、問題用紙3に、他の種類の試験問題用紙が混ざってしまったとしても、識別パターンを確認することによって、混ざってしまった他の種類の問題用紙3を容易に取り出すことが可能になる。
【0034】
なお、図8に示す問題用紙3においては、解答用紙1の記名欄10における識別パターンと問題用紙3の講習情報欄40における識別パターンとが同一であるが、問題用紙3の識別パターンは、解答用紙1の記名欄10における識別パターンに関連付けられたパターンであれば、同一のパターンでなくてもよい。例えば、識別パターンが「A」の解答用紙1には識別パターンが「1」の問題用紙3が対応し、識別パターンが「B」の解答用紙1には識別パターンが「2」の問題用紙3が対応する、というように関連付ける。これにより、仮に、受講者が解答用紙1及び問題用紙3のそれぞれから識別パターンを読み取ったとしても、両パターンが互いに異なるために、受講者が解答用紙1と問題用紙3との関連性を疑う可能性を低減することができる。
【0035】
以上、説明したように、本実施形態によれば、解答用紙1の記名欄10を形成する罫線12の太さを変更することによって、試験問題の種類に対応する識別パターンが形成され、この識別パターンが解答用紙の記名欄に表示される。ここで、主催者側は、識別パターンとしてどのようなものがあるか予め把握していることから、解答用紙1の記名欄10を視認することによって識別パターンを容易に認識することが可能になり、解答用紙1がどの試験問題に対応しているかについて容易に把握することが可能になる。一方、受講者側は、記名欄10が識別パターンを備えていることを把握しておらず、しかも、識別パターンが目立たないように表示されるため、識別パターンを認識することが受講者にとって困難になる。これにより、解答用紙1の混同を防止するとともに、受講者間の情報伝達によって試験結果に影響がでることを防止することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、識別パターンが英数字からなるため、主催者側において識別パターンをより印象深く認識することが可能になる。これにより、解答用紙1がどの試験問題に対応しているか、容易に把握することが可能になる。
【0037】
以上、本発明の本実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態によれば、記名欄10が2行3列に区切られた6つのマス目を備えたものであるが、行数及び列数は2行3列より大きくても小さくてもよい。例えば、上下2マスのマス目とした場合には、所謂、7セグメント表示のように数字の識別パターンを形成することが可能になる。
【符号の説明】
【0038】
1 解答用紙
3 問題用紙
10 記名欄
12 罫線
20 試験問題
30 解答欄
40 講習情報欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
罫線を有し、名前を記入する記名欄と、試験問題の解答を記入する解答欄とを有する解答用紙であって、
前記記名欄の前記罫線の少なくとも一部は、前記罫線の太さを変更してなる識別パターンを形成することを特徴とする解答用紙。
【請求項2】
前記記名欄の前記罫線は、複数行複数列のマス目を形成し、
前記識別パターンは、英数字からなることを特徴とする請求項1記載の解答用紙。
【請求項3】
試験問題を記載している問題用紙と、罫線を有し、名前を記入する記名欄及び試験問題の解答を記入する解答欄を有する解答用紙とを備える試験用紙であって、
前記記名欄の前記罫線の少なくとも一部は、前記罫線の太さを変更してなる識別パターンを形成し、
前記問題用紙は、前記識別パターンに対応するパターンを記載していることを特徴とする試験用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−56430(P2013−56430A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194806(P2011−194806)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)