説明

触媒、触媒組成物、カソード触媒層、膜電極接合体、および燃料電池

【課題】 酸性雰囲気下で化学的安定性に優れ、触媒活性も高い非白金触媒を含む触媒、触媒組成物、カソード触媒層、膜電極接合体、および燃料電池を提供する。
【解決手段】
本発明の触媒は、希土類元素から選択される少なくとも一種からなる元素Lと、B、P、Mo、WおよびSよりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Xとを含有する希土類オキソ酸塩担体と、前記希土類オキソ酸塩担体の表面に担持され、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Mを含有する酸化物粒子とを含有する複合体であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、触媒、触媒組成物、カソード触媒層、膜電極接合体、および燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒は、導電性担持体に白金(Pt)等の触媒金属を担持したもの、金属酸化物あるいは金属化合物を使用したものが使用されており、この触媒と高分子電解質を含有したものを燃料電池用の触媒層等、各種用途に利用されている。
【0003】
例えば、燃料電池は、燃料(例えば、水素)と酸化剤(たとえば、酸素)とを電気化学的に反応させることにより発電させるシステムである。この反応による生成物は原理的に水であることから環境への負荷が少ない。その中でも、固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池と比較して低温で作動可能であることから、家庭用など定置向け電源として開発、実用化されている。
【0004】
このような固体高分子型燃料電池は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜、およびその膜を挟んで2つの電極、すなわち、水素が供給される燃料極(アノード)と酸素が供給される空気極(カソード)が配置されたものを基本構成とした膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と呼んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−071760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、酸性雰囲気下で化学的安定性に優れ、触媒活性も高い非白金触媒を含む触媒、触媒組成物、カソード触媒層、膜電極接合体、および燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の触媒は、希土類元素から選択される少なくとも一種からなる元素Lと、ボロン(B)、リン(P)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)およびイオウ(S)よりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Xとを含有する希土類オキソ酸塩担体と、前記希土類オキソ酸塩担体の表面に担持され、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)よりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Mを含有する酸化物粒子とを含有する複合体であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の実施形態の触媒組成物は、本発明の触媒と、導電性材料とを含有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施形態のカソード触媒層は、本発明の触媒組成物と、高分子電解質とを含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の実施形態の膜電極接合体は、本発明のカソード触媒層を用いたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の実施形態の燃料電池は、本発明の膜電極接合体を用いたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の燃料電池の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
例えば、燃料電池は、水素(燃料)と酸素とを電気化学的に反応させることにより発電させるシステムである。この反応による生成物は原理的に水であることから環境への負荷が少ない。固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池と比較して低温で作動可能であることから、家庭用など定置向け電源として開発、実用化されている。
【0015】
固体高分子型燃料電池は、水素イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜、及びその膜を挟んで2つの電極、すなわち、水素が供給されるアノードと酸素が供給されるカソードが配置されたものを基本構成としたMEAを有している。電極は、電気化学反応を促進させる触媒、電子伝導性材料、およびイオン伝導性を有する固体高分子電解質との混合物により形成された多孔質層であり、触媒層と呼ばれている。
【0016】
MEAでは、下記化学式に示すように、アノードでは燃料である水素を酸化して水素イオンと電子が生成する。水素イオンは固体高分子電解質膜を通過してカソードに移動し、電子は外部回路を経由してカソードに移動する。カソードでは酸化剤ガスに含まれる酸素が水素イオンと電子とで還元され、水が生成する。固体高分子型燃料電池は、電気化学反応により得られた反応エネルギーから電気エネルギーを直接得るものである。
【0017】
アノード反応(燃料極):H→2H+2e
カソード反応(空気極):2H+2e+1/2O→H
このような固体高分子形燃料電池は、低温発電が可能であるため耐高温用断熱材などを使わなくても良いメリットがあるものの、高い触媒機能を有する白金(Pt)を使用した白金触媒なければならないデメリットがある。
【0018】
白金触媒は高価であるため、燃料電池の普及にとって大きな課題である。また一般に、Ptは化学的に安定であると思われているが、カソード触媒として用いられたPtは、強酸性電解質中などの酸性酸化雰囲気でイオンとなって溶解する。その結果、長期に安定した発電が困難となる。触媒からの金属の溶出を少なくするには、触媒層に使用される強酸性電解質の量を減らす必要がある。しかし、使用量を減らすとプロトン伝導性が低下し、高い出力を得ることができないという課題がある。
【0019】
一方、低コスト化のため白金触媒量を少なくすると電池寿命そのものがさらに短くなるという課題がある。燃料電池のコストダウン・寿命の増大を図るためには、Ptに代わる高い酸素還元特性と安定性を有する非白金触媒の開発が必要不可欠である。
【0020】
非白金触媒には、特にカソードにおいては、強酸性電解質中などの酸性雰囲気下で化学的な安定性に優れ、かつ、高い酸素還元活性が求められる。しかしながら、従来においては、一般的な金属酸化物および金属化合物では強酸性雰囲気において溶出するなど化学的安定性に欠ける問題があり、また活性が満足ではないために、PtおよびPt合金以外でカソード触媒として有効なものが見つかっていないのが現状である。
【0021】
燃料電池の触媒層は電解質であるナフィオン(Nafion:デュポン社登録商標)などの強酸性電解質により強酸性雰囲気(pH=1程度)となっている。一部を除き、遷移金属酸化物は触媒層中で溶解する可能性がある。同様にアルカリ金属や遷移金属、希土類金属の硫酸塩も容易に溶解する。また、遷移金属酸化物や硫酸塩には、一部を除き酸素還元触媒活性は有してはいない。
【0022】
本発明者らは、前記課題を解決するために、触媒として、各種組成を検討した結果、本発明に至ったものである。具体的には、希土類硫酸塩に遷移金属酸化物を担持することで、遷移金属酸化物や希土類金属硫酸塩が強酸性環境下(pH=1程度)で溶解を抑制される化学的安定性を有し、酸素還元活性が発現することを見出した。
【0023】
本発明の実施形態の触媒は、希土類元素から選択される少なくとも一種からなる元素Lと、B、P、Mo、WおよびSよりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Xとを含有する希土類オキソ酸担体と、前記希土類オキソ酸塩担体の表面に担持され、Mn、Fe、Co、およびNiよりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Mを含有する酸化物粒子とを含有する複合体であることを特徴とする。
【0024】
本発明における各構成について以下に説明する。
【0025】
本発明の実施形態の希土類金属オキソ酸塩担体は、希土類元素から選択される少なくとも一種からなる元素Lとオキソアニオンとで構成された塩を基本とする。
【0026】
希土類元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロビウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルビウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Y)およびルテチウム(Lu)の群から選択される少なくとも一種からなる元素Lである。
【0027】
オキソアニオンは、B、P、Mo、WおよびSよりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Xが酸素と結合して形成するXO(2n−x)−(ここで、nは元素Xに結合した酸素原子の数、xは元素Xの酸化数を示す)のようなアニオンである。
【0028】
本発明においては、触媒の詳細な酸素還元触媒の触媒機構に関してはまだ解明されていないが、希土類金属オキソ酸塩担体のオキソアニオンと遷移金属酸化物の金属元素との間に生じる結合により、遷移金属元素の電子状態が影響を受け、遷移金属元素に触媒活性が発現した可能性が考えられる。さらに、強酸性環境下においても溶解することのない化学的安定性を有すことができると考えられる。さらに、遷移金属を酸化物の状態で遷移金属酸化物の遷移金属イオンが溶出することを抑制できるため、他の燃料電池材料や装置の汚染も回避することができる。従って、本発明によれば、燃料電池において高い長期信頼性を得ることができる。
【0029】
前記希土類金属オキソ酸塩担体を構成する元素Lは、好ましくはLaである。また、元素Xは、好ましくはSである。
【0030】
また、酸化物粒子を構成する元素Mは、好ましくはCoである。
【0031】
本発明の実施形態においては、元素Lと前素Xに対する元素Mとの元素比(M/(L+X))が、0.01〜2(mol比)の範囲であることが好ましい。
【0032】
これは、元素Lと前素Xに対する元素Mとの元素比(M/(L+X))があまり小さいと、触媒反応に必要な活性点が不足し、十分な触媒性能を得ることができない。逆に、その元素比(M/(L+X))があまり大きいと、希土類金属オキソ酸塩単体の表面が過剰の遷移金属酸化物に覆われてしまい、触媒活性の低下が見られる。そのため、元素比(M/(L+X))は、前記範囲とした。好ましい元素比は、0.05〜1であり、より好ましくは、0.2〜0.9である。
【0033】
本発明の実施形態の触媒において、その形状および大きさは、特に限定されるものではなく、公知の触媒の形状および大きさのものを使用することが可能である。
【0034】
なお、触媒の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため触媒活性や触媒反応により得られる反応電流値も高くなり好ましい。本発明の触媒は球形に近い不定形であり、その平均粒子径は、好ましくは5nm〜300nmであり、より好ましくは10nmから50nmである。
【0035】
本発明の実施形態における触媒の組成分析は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP:Inductively Coupled Plasma)により評価できる。分析試料は、合成された電極触媒や燃料電池のカソードに使用されている触媒層の一部を削りだした粉末試料でも評価が可能である。
【0036】
分析試料の前処理(溶液化)方法には、いくつかの手法があり、それらを本発明の触媒に使用している元素に応じて適宜、組み合わせて使用できる。例えば、酸溶解法であれば、多くの元素と錯体を形成し溶解を助ける濃塩酸、強い酸化力を有する硝酸、高温加熱分解が可能な熱濃硫酸などを用いることができる。また、単一の酸での溶解が困難な場合、これらの酸を組み合わせた混酸を用いてもよい。酸分解が困難な場合、高温溶融により溶解力が強力なアルカリ融解法があり、分解剤にはNaCO、Na、NaOH+NaNOがなどを用いることができる。
【0037】
希土類オキソ酸塩担体に酸化物粒子が担持されていることの確認は、透過型電子顕微鏡像(TEM:Transmission Electron Microscope)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)による組成分析により行うことが可能である。本発明では、透過型電子顕微鏡像(TEM)に日本電子(株)製、JEM−200CXを使用し、加速電圧:200kV、倍率は33万倍で観察する。具体的には、希土類オキソ酸塩担体に属酸化物粒子が接着していることを直接、像を観察して確認するとともに、エネルギー分散型X線分光分析(EDS)によるスポットで組成分析を行い、希土類金属硫酸塩粒子表面から遷移金属酸化物の構成元素が検出されることで確認する。
【0038】
また、本発明の実施形態における触媒の結晶構造は、X線回折分析(XRD)における回折ピークを帰属することで確認できる。本発明においては、X線回折分析(XRD)装置にRigaku製、RINT1200を使用する。
【0039】
試料は、合成された触媒や燃料電池のカソードに使用されている触媒層の一部を削りだした粉末試料でも評価が可能である。
【0040】
分析試料はメノウ乳鉢で粉砕し、45μmのフルイを通過した粉末を用いた。測定は、ガラス製の試料板(試料部の大きさ;縦20mm×横20mm×深さ0.2mm)にガラス板を用いて分析試料が試料板表面と平滑になるように充填した。
【0041】
測定条件は以下の通りである。その他の測定手法に関する詳細は理学電気(株)発行「X線回折の手引(改訂第三版)」を参考にして行っている。
【0042】
管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
発散スリット:1deg
散乱スリット:1deg
受光スリット:0.30mm
サンプリング角度:0.020deg
スキャンスピード:2 deg/min
本発明の実施形態における触媒成分の平均粒径は、X線回折分析(XRD)における触媒成分の最強回折ピークの半値幅より求められる結晶子径より算出できる。算出に用いたのはScherrerの式である。
【0043】
なお、触媒から試料を取り出す際には、製品の表面の最大面積を有する面の実質的に中央部の断面,試料を用いる。
【0044】
次に、本発明の第1の実施形態の触媒の製造方法について説明する。
【0045】
希土類金属オキソ酸塩は、一般に市販されているものを使用してもよい。あるいは、希土類金属硝酸塩の水溶液にオキソ酸水溶液、具体的には、ホウ酸(HBO)、リン酸(HPO)、モリブデン酸(HMoO)、タングステン酸(HWO)、硫酸(HSO)の水溶液またはそれらオキソ酸のアンモニウム塩の水溶液を添加し、水溶媒を除去後、焼成して合成された希土類金属オキソ酸塩を使用しても良い。希土類オキソ酸塩の合成方法はこれらに限定されるものではない。また、希土類金属オキソ酸塩は複数種類の希土類金属元素を含む複合塩でもよい。希土類金属元素は原子半径が互いに近いため、複合塩として結晶構造は許容可能である。これらのうち、触媒活性を十分に高くするためには、硫酸ランタンを使用することが望ましい。
【0046】
得られた希土類金属オキソ酸塩を担体とし、元素Mを含有する酸化物を担持させる方法は、希土類金属オキソ酸塩を溶解または分散した水溶液に、元素Mを含む塩を溶解した溶液、例えば塩化物、硝酸塩、酢酸塩などの水溶液を混合し、溶媒を除去することで、希土類金属オキソ酸塩と遷移金属元素Mを含む塩の混合物が触媒の前駆体として得られる。
【0047】
この触媒前駆体を粉砕した後、熱処理することで遷移金属元素Mを含む塩が熱分解して元素Mを含む酸化物へ変化し、希土類金属オキソ酸塩を担体とし遷移金属酸化物が担持される。さらに希土類金属オキソ酸塩と遷移金属酸化物との間に結合が形成され、本発明の触媒となる。前記希土類金属オキソ酸塩と元素Mを含む塩を溶解した溶液から溶媒を除去する方法には、自然乾燥、蒸発乾固法、ロータリーエバポレーター、噴霧乾燥機、ドラムドライヤーなど公知の方法を用いて溶媒を除去させてもよい。溶媒除去の時間や温度は、使用する方法に応じて適宜、選択すれば良い。
【0048】
希土類金属オキソ酸塩担体に遷移金属酸化物を担持させる際の熱処理の温度は、元素Mを含む塩、例えば塩化物、硝酸塩、酢酸塩などを熱分解して元素Mを含む酸化物とした後、元素Mを含む酸化物が希土類金属オキソ酸塩と化学的な結合を形成するのに必要である。したがって、熱処理条件は元素Mを含む塩の熱分解温度と酸化物が希土類金属オキソ酸塩と結合を形成するのに最適な温度によって決定される。この熱処理温度は、400〜1000℃である。この熱処理温度があまり低温では元素Mを含む塩の熱分解が不十分で酸化物を形成しない場合、あるいは、酸化物となっていても希土類金属オキソ酸塩担体と十分な結合を形成していないことがあるため触媒活性が低くなる。また熱処理温度があまり高温となると元素Mを含有する酸化物や希土類金属オキソ酸塩が粒成長をして触媒の比表面積の低下による反応面積の低下や希土類金属オキソ酸塩が熱分解をして酸化物となり、触媒が失活する。そのため、熱処理温度は、前記範囲とした。熱処理温度は、好ましくは500〜800℃であり、より好ましくは550〜700℃である。
【0049】
希土類金属オキソ酸塩担体と元素Mを含有する酸化物粒子は前述のような化学的な結合を形成することで触媒として機能する。触媒の合成に前述の熱処理は必須であり、焼成過程においてや希土類金属オキソ酸塩や元素Mを含有する酸化物粒子は結晶化する。
【0050】
希土類金属オキソ酸塩に元素Mを含有する酸化物粒子を担持させる熱処理の雰囲気は、元素Mを含む塩、例えば塩化物、硝酸塩、酢酸塩などを熱分解して遷移金属元素を含む酸化物とするため、酸化性の雰囲気、例えば空気あるいは酸素などの雰囲気で処理されることが好ましい。
【0051】
希土類金属オキソ酸塩担体に元素Mを含有する酸化物粒子を担持させる方法はこれらに限定されるものではない。また、酸化物粒子は複数の元素を含む複合酸化物の状態でもよい。これらのうち、触媒活性を十分に高くするためには、コバルト酸化物を使用することが好ましい。
【0052】
本発明の実施形態の触媒は、優れた触媒活性を有するが、特に2H+2e+1/2O→HO等で示される酸素還元活性に優れることから、カソード触媒として用いられるのが好ましい。
【0053】
上記第1の実施形態の触媒により、酸性雰囲気下で化学的安定性に優れ、触媒活性も高い非白金触媒を含む触媒を得ることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係わる第2の実施形態の触媒組成物について説明する。
【0055】
前記第1の実施形態で示した本発明の触媒は導電性を有していない。したがって、電極反応を促進させるため、触媒に導電性材料を含有する触媒組成物として使用される。
【0056】
前記導電性材料としては、電極触媒を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであるのが好ましい。例えば、アセチレンブラック、バルカン(キャボット社登録商標)、ケッチェンブラック等のカーボンブラックを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、導電性と安定性に優れる担体であれば使用することができる。最近、ナノカーボン材料、例えば、ファイバー状、チューブ状、コイル状などが開発されている。
【0057】
前記導電性材料の比表面積は、触媒を高分散担持させるのに十分な比表面積であればよい。50m/g〜1400m/gである。比表面積があまり小さいと導電性材料への触媒成分の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、逆に、比表面積があまり大きいと触媒成分の有効利用率が低下する恐れがある。そのため前記範囲とした。好ましい比表面積は80m/g〜1200m/gであり、さらに好ましくは100m/g〜1000m/gである。
【0058】
前記導電性材料の大きさは、特に限定されないが、希土類オキソ酸塩担体への担持の容易さおよび触媒利用率を適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均直径を30nm〜500nm、好ましくは50nm〜300nm程度とするのがよい。導電性材料の大きさは透過型電子顕微鏡像(TEM)より調べられる導電性材料の粒子径の平均値により測定することができる。
【0059】
本発明の第2の実施形態の触媒組成物における触媒の含有量は、触媒組成物の全量に対して、10〜90質量%とすることが好ましい。触媒の含有量があまり少ないと、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の触媒活性を得るために多量の電極触媒が必要となり、また触媒層における反応物質の拡散性が低下するため好ましくない。逆に、触媒の含有量があまり多いと導電性材料上での触媒の分散度が下がるため電気抵抗が増大し、活性が低下する恐れがある。触媒の含有量は、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは30〜70重量%である。とするのがよい。なお、電極触媒の含有量は誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
【0060】
本発明の実施形態の触媒と導電性材料とを含有する触媒組成物とするには、得られた触媒と導電性材料を混合すれば良い。
【0061】
上記第2の実施形態の触媒組成物により、酸性雰囲気下で化学的安定性に優れ、触媒活性も高い非白金触媒を含む触媒組成物を得ることができる。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係わる第3の実施形態の触媒組成物について説明する。
【0063】
本発明の第3実施形態(第2の触媒組成物)は、前記第1の実施形態で示した触媒と、導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒とを含む触媒組成物である。
【0064】
第3の実施形態においては、従来、一般的に使用されているような公知の貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を含む酸素還元触媒と混合して用いることにより、Pt使用量の大幅な低減が図れるとともに、本発明の電極触媒による電極反応が促進され触媒活性がさらに優れる触媒組成物が得られる。
【0065】
前記導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒としては、従来、一般的に用いられている公知のものであれば特に制限されずに用いられる。
【0066】
前記貴金属粒子としては、特に制限されないが、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)よりなる群から選択される少なくとも一種の貴金属からなるものが好ましい。
【0067】
また、触媒の耐溶解性、活性等などを向上させるために、触媒成分として貴金属合金粒子を用いても良い。貴金属合金粒子としては、特に制限されないが、二種以上の貴金属元素のみからなる合金、貴金属元素とその他の金属元素とを含む合金などが挙げられる。
【0068】
貴金属合金粒子は、高い触媒活性が得られることから、Ptを基体とした貴金属合金触媒が好ましい。前記貴金属合金触媒として、具体的には、Ru、Rh、Pd、IrなどのPt以外の貴金属、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、Mn、Fe、Co、Niからなる群から選ばれる一種以上の金属元素と、Ptとの合金が好ましい。
【0069】
前記貴金属合金粒子の合金組成は、合金化する金属元素の種類にもよるが、Ptが30〜95原子%、合金化する金属元素が5〜70原子%とするのが良い。
【0070】
なお、合金とは、複数の金属元素あるいは金属元素と非金属元素から成る金属的性質を有しているものの総称である。合金には、完全に溶け込んでいる固溶体、結晶レベルでは成分の金属元素がそれぞれ独立している共晶、原子のレベルで一定割合で結合した金属間化合物などがあるが、本発明においてはいずれかに限定されるものではない。
【0071】
導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒において、触媒成分として貴金属粒子および貴金属合金粒子の双方を用いる場合、貴金属粒子および貴金属合金粒子は、同じ導電性材料に担持されても良く、異なる導電性材料にそれぞれを担持させても良い。
【0072】
第3の実施形態の触媒組成物の導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒において、貴金属粒子および/または貴金属合金粒子などの金属成分の担持量は、酸素還元触媒の全量に対して、10〜90質量%であることが好ましい。これは金属成分の担持量があまり少ないと、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の発電性能を得るために多量の電極触媒が必要となり、また触媒層における反応物質の拡散性が低下するため好ましくない。逆にその担持量があまり多いと、触媒成分の導電性材料上での分散度が下がり、担持量が増加する割に発電性能の向上が小さく経済上での利点が低下する恐れがある。したがって、前記担持量は前記範囲とした。好ましい担持量は20〜80質量%であり、より好ましくは30〜70質量%である。
【0073】
また、第3の実施形態の触媒組成物の、第1の実施形態で示される本発明の触媒の含有量は、触媒組成物の全量に対して、30〜97質量%であることが好ましい。これは、本発明の触媒の含有量があまり少ないと、第1の実施形態で示される希土類オキソ酸塩担体の表面に担持される元素Mを含有する酸化物粒子を含有する複合体による酸素還元活性が十分に発現しない恐れがあり、逆に、その含有量があまり多いと貴金属粒子および貴金属合金粒子による酸素還元活性が十分に発現しない恐れがあるためである。第1の実施形態で示される本発明の触媒の好ましい含有量は、40〜95質量%であり、より好ましくは50〜93質量%である。
【0074】
上記第3の実施形態の触媒組成物により、酸性雰囲気下で化学的安定性に優れ、触媒活性も高い非白金触媒を含む触媒組成物を得ることができる。
【0075】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係わる第4の実施形態のカソード触媒層について説明する。
【0076】
本発明の第4実施形態は、前記第2の実施形態および第3の実施形態の触媒組成物を用いるものである。
【0077】
カソード触媒層は、本発明の触媒組成物と高分子電解質を用いる以外は、従来一般的な電極触媒層と同様な構成を有する。
【0078】
本発明の第4の実施形態のカソード触媒層に用いられる高分子電解質としては、特に限定されず公知のものを用いることができるが、少なくとも高いプロトン伝導性、化学的安定性を有する部材であれば良い。高分子電解質として使用できる固体高分子電解質は、ポリマー骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(Nafion:デュポン社登録商標)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーが挙げられる。
【0079】
本発明の実施形態のカソード触媒層において、触媒組成物の含有量は、全カソード触媒層成分量(触媒組成物と高分子電解質との総和)に対して、5〜97質量%とするのが好ましい。これは、触媒組成物の含有量があまり少ない、触媒組成物が不足し、十分な発電性能が得られない恐れがあり、逆にその含有量があまり多いと高分子電解質が不足し、プロトン伝導性が不十分なため十分な発電性能が得られない恐れがあるためである。触媒組成物の好ましい含有量は、7〜95質量%であり、より好ましくは10〜90質量%である。
【0080】
本発明の実施形態の電極触媒を含むカソード触媒層において、カソード触媒層を二層構造とし、どちらか一方のカソード触媒層に電極触媒を含ませてもよい。
【0081】
本発明の実施形態のカソード触媒層は、複数の組成よりなるカソード触媒層をカソード触媒層の厚さ方向に積層されたものでもよい。例えば、本発明の触媒組成物および高分子電解質を含有するカソード触媒層と、導電性材料に貴金属粒子および/ または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒および高分子電解質を含むカソード触媒層を積層した構成を採用することもできる。
【0082】
本発明の実施形態のカソード触媒層は、例えば、前述した構成材料を水やアルコールなどの有機溶媒に混合、分散して触媒スラリーとし、このスラリーを基体(導電性多孔質シートなど)に塗布、乾燥して触媒層を形成する。分散方法は特に限定されるものではなく、ディソルバー、ボールミルなどが挙げられる。
【0083】
本発明の実施形態のカソード触媒層は、酸化剤ガスなどの反応ガスを十分に拡散させるための空隙を確保することができる。したがって、触媒の酸素還元活性の更なる向上が図れる。また、集電体として十分な電子導電性を有している導電性材料を用いることにより、電極反応を阻害することもない。
【0084】
以上のように、本発明の実施形態のカソード触媒層は、発電性能さらには耐久性がさらに向上することが可能となる。
【0085】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係わる第5の実施形態の膜電極接合体および燃料電池について説明する。
【0086】
本発明の第5実施形態は、前記第4の実施形態のカソード触媒層を用いるものである。
【0087】
図1は、第5の実施形態の膜電極接合体(MEA)およびそれを用いた燃料電池を模式的に示す断面図である。
【0088】
燃料電池20は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜1、およびその膜1を挟んで2つの電極、すなわち、水素が供給される燃料極(アノード)2と酸素が供給される空気極(カソード)3が配置されたものを基本構成とした膜電極接合体(MEA)12を具備する。アノード2は、拡散層4と、その上に積層されたアノード触媒層5とを含む。カソード3は、拡散層6と、その上に積層されたカソード触媒層7とを含む。アノード2とカソード3は、高分子電解質膜1を介して、アノード触媒層とカソード触媒層とが対向するように積層される。
【0089】
MEA12は図示しない空気(酸素)等の酸化剤を供給する供給機構から空気(酸素)をカソードへ供給するための酸化剤ガス供給溝8付きのカソードホルダー9と、燃料である水素等をアノードへ供給するための燃料供給溝10付きのアノードホルダー11との内部に組み込んで、図1に示すような単電池を構成して発電を行う。燃料電池20においては、燃料電池20が所望する電圧等を得られるように、カソードホルダー9およびアノードホルダー11を介してMEA12を複数積層して直列に繋いだスタック構造あるいは平面配置構造を形成してもよい。燃料電池20の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
【0090】
カソード触媒層7は、第4の実施形態のカソード触媒層により構成される。
【0091】
カソード触媒層7が、複数の組成よりなるカソード触媒層をカソード触媒層の厚さ方向に積層されたものでもよい。例えば、第1のカソード触媒層が本発明の触媒組成物および高分子電解質を含有するカソード触媒層とし、第2のカソード触媒層が導電性材料に貴金属粒子および/ または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒および高分子電解質を含むカソード触媒層を積層した構成を採用することもできる。
【0092】
この積層構造のカソード触媒層7を採用することにより、発電性能または耐久性がさらに向上されたカソード触媒層を提供することが可能となる。例えば、上記積層構造を有するカソード触媒層7を用いてMEA12を構成する際に、前記第1のカソード触媒層を高分子電解質膜1側に配置することで、電極反応の副反応により生成した過酸化水素の分解を本発明の触媒が促進し、これにより過酸化水素によるカソード触媒層7や高分子電解質膜1に含まれる電解質成分の劣化を抑制することができ、カソード触媒層7やMEA12の耐久性をさらに向上させることが可能となる。
【0093】
また、前記積層構造を有するカソード触媒層7を用いてMEA12を構成する際に前記第1のカソード触媒層を高分子電解質膜1とは反対側に配置することで、発電によって生成した水を保持する保水層としての役割を担うことによって、燃料電池20の加湿条件を管理する負担を軽減でき、長期間の安定した発電を行うことができる。
【0094】
アノード触媒層5には、導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた燃料酸化触媒、高分子電解質が含有される。
【0095】
アノード触媒層5において、導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた燃料酸化触媒としては、従来一般的に用いられているものであれば特に制限されずに用いられる。具体的には、貴金属粒子としては、Pt、Ru、Ir、Pdよりなる群から選択される少なくとも一種の貴金属からなるものが好ましい。
【0096】
また、燃料ガスに含まれる触媒被毒成分、例えば一酸化炭素などによる触媒活性低下を抑制させるために、触媒成分として貴金属合金粒子を用いてもよい。
【0097】
前記貴金属粒子としては、特に制限されないが、Pt、Ru、Rh、Pd、Irよりなる群から選択される少なくとも一種の貴金属からなるものが好ましい。
【0098】
また、触媒の耐溶解性、活性等などを向上させるために、触媒成分として貴金属合金粒子を用いても良い。貴金属合金粒子としては、特に制限されないが、二種以上の貴金属元素のみからなる合金、貴金属元素とその他の金属元素とを含む合金などが挙げられる。
【0099】
貴金属合金粒子は、高い触媒活性が得られることから、Ptを基体とした貴金属合金触媒が好ましい。前記貴金属合金触媒として、具体的には、Ru、Rh、Pd、IrなどのPt以外の貴金属、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niからなる群から選ばれる一種以上の金属元素と、Ptとの合金が好ましい。
【0100】
前記貴金属合金粒子の合金組成は、合金化する金属元素の種類にもよるが、Ptが30〜95原子%、合金化する金属元素が5〜70原子%とするのが良い。
【0101】
なお、合金とは、複数の金属元素あるいは金属元素と非金属元素から成る金属的性質を有しているものの総称である。合金には、完全に溶け込んでいる固溶体、結晶レベルでは成分の金属元素がそれぞれ独立している共晶、原子のレベルで一定割合で結合した金属間化合物などがあるが、本発明においてはいずれかに限定されるものではない。
【0102】
導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた燃料酸化触媒において、触媒成分として貴金属粒子および貴金属合金粒子の双方を用いる場合、貴金属粒子および貴金属合金粒子は、同じ導電性材料に担持されても良く、異なる導電性材料にそれぞれを担持させても良い。
【0103】
アノード触媒層5の導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた燃料酸化触媒において、貴金属粒子および/または貴金属合金粒子などの金属成分の担持量は、酸素還元触媒の全量に対して、10〜90質量%であることが好ましい。これは金属成分の担持量があまり少ないと、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の発電性能を得るために多量の電極触媒が必要となり、また触媒層における反応物質の拡散性が低下するため好ましくない。逆にその担持量があまり多いと、触媒成分の導電性材料上での分散度が下がり、担持量が増加する割に発電性能の向上が小さく経済上での利点が低下する恐れがある。したがって、前記担持量は前記範囲とした。好ましい担持量は20〜80質量%であり、より好ましくは30〜70質量%である。
【0104】
拡散層4、6には、導電性多孔質シートを使用することができる。拡散層4、6は、電各触媒層5、7の高分子電解質膜1が接する面とは反対の面に配置される。
【0105】
拡散層4,6は、特に限定されず公知のものが同様にして使用でき、例えば、炭素製の織物、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状の基材からなるものなどが挙げられる。
【0106】
前記基材の厚さは、得られる拡散層4、6の特性を考慮して適宜決定されるが、30μm〜500μm程度とすれば良い。拡散層4、6の厚さがあまり薄いと、十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、逆にその厚さがあまり厚いとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。したがって、拡散層4、6の厚さは、前記範囲とした。好ましい基材の厚さは35μm〜480μmであり、より好ましくは40μm〜450μmである。
【0107】
前記基材には、撥水性をより高めて、発電によって生成する水が触媒層の内部から排出されずに水詰まりを起こし、いわゆるフラッディング現象などを防ぐことを目的として、撥水剤を含んでいるのが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP) などのフッ素系の高分子材料などが挙げられる。
【0108】
また、撥水性をより向上させるために、拡散層4、6は、基材上、触媒層5、7との中間に撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるカーボン粒子層を有するものであっても良い。
【0109】
前記カーボン粒子としては、特に限定されず、カーボンブラック、グラファイトなどの従来一般的なものであればよい。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。
【0110】
カーボン粒子層に用いられる撥水剤としては、前記基材に用いられる撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
【0111】
前記カーボン粒子層におけるカーボン粒子と、撥水剤との混合比は、カーボン粒子が多過ぎると撥水性が十分に得られない恐れがあり、撥水剤が多過ぎると電子伝導性が低下する恐れがある。これらを考慮して、カーボン層におけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、質量比で、90:10〜30:70とするのが良い。
【0112】
前記カーボン粒子層の厚さは、得られるガス拡散層の撥水性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜50μmとするのが良い。
【0113】
本発明の実施形態のMEA12 に用いられる高分子電解質膜1としては、特に限定されず、電極触媒層に用いたものと同様の高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、ナフィオン(Nafion:デュポン社登録商標)等に代表されるパーフルオロスルホン酸膜が挙げられる。
【0114】
前記高分子電解質膜1の厚さは、得られるMEA12の特性を考慮して適宜決定すれば良いが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜150μmのものが使用される。製膜時の強度やMEA12作動時の耐久性の観点から5μm以上であることが好ましく、MEA作動時の出力特性の観点から300μm以下であることが好ましい。
【0115】
アノードおよびカソードは公知の製法により形成することができる。
【0116】
例えば、各構成材料を水やアルコールなどの有機溶媒に混合、分散して触媒スラリーとし、このスラリーを導電性多孔質シートに塗布、乾燥して各触媒層を形成する。分散方法は特に限定されるものではなく、ディソルバー、ボールミルなどが挙げられる。
【0117】
また、例えば、触媒組成物を水に分散した分散液を導電性及び多孔質性を有するシート状の基材を介して通過することで触媒組成物を基材上に堆積させた後、高分子電解質溶液を含浸、乾燥して触媒層を形成する。触媒組成物を水に分散させるにはホモジナイザーなどが挙げられる。
【0118】
高分子電解質膜1とアノード2およびカソード3との接合は、加熱、加圧できる装置を用いて実施される。一般的にはホットプレス機により行われる。その際のプレス温度は電極、電解質膜に結着剤として使用する高分子電解質のガラス転移温度以上であれば良く、一般には100〜400℃である。プレス圧は使用する電極の硬さに依存するが、通常、5〜200kg/cmである。
【0119】
以上のように、本発明の実施形態の膜電極接合体および燃料電池は、発電性能さらには耐久性がさらに向上することが可能となる。
【0120】
本発明の実施形態の燃料電池は、上記では高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明したがこれに限定されず、ダイレクトメタノール燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池など各種燃料電池に対して用いることができる。なかでも、高密度・高出力化が可能であるから、固体高分子型燃料電池に適用されるのが好ましい。
【0121】
前記燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、製造コストが低減され、かつ、発電性能に優れることから、自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
【0122】
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明する。
【0123】
<触媒および触媒組成物の作製>
(実施例1)
純水100mLに硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gと硝酸水溶液(HNO、60wt%溶液)3mLを混合した溶液に、純水100mLに硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.4gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で600℃まで加熱し、さらに600℃を1時間保持することによりコバルト酸化物担持硫酸ランタンを得る。
【0124】
得られるコバルト酸化物担持硫酸ランタンについて、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/La+S)は0.4であった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ランタン(La(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0125】
次に、コバルト酸化物担持硫酸ランタンとケッチェンブラック((株)ライオン製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0126】
(実施例2)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸セシウム8水和物(Ce(SO)3・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸セリウムを得る。
【0127】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、セリウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Ce+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸セシウム(Ce(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0128】
次にコバルト酸化物担持硫酸セリウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0129】
(実施例3)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸プラセオジム8水和物(Pr(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸プラセオジムを得る。
【0130】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、プラセオジム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Pr+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸プラセオジム(Pr(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0131】
次にコバルト酸化物担持硫酸プラセオジムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0132】
(実施例4)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ネオジム8水和物(Nd(SO)3・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ネオジムを得る。
【0133】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ネオジム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Nd+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ネオジム(Nd(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0134】
次にコバルト酸化物担持硫酸ネオジムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0135】
(実施例5)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸サマリウム8水和物(Sm(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸サマリウムを得る。
【0136】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、サマリウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Sm+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸サマリウム(Sm(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0137】
次にコバルト酸化物担持硫酸サマリウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0138】
(実施例6)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ユーロピウム8水和物(Eu(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ユーロピウムを得る。
【0139】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ユーロピウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Eu+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ユーロピウム(Eu(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0140】
次にコバルト酸化物担持硫酸ユーロピウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0141】
(実施例7)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ガドリニウム8水和物(Gd(SO・8HO)3gに変更した以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ガドリニウムを得る。
【0142】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ガドリニウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Gd+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ガドリニウム(Gd(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0143】
次にコバルト酸化物担持硫酸ガドリニウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0144】
(実施例8)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸テルビウム8水和物(Tb(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸テルビウムを得る。
【0145】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、テルビウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Tb+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸テルビウム(Tb(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0146】
次にコバルト酸化物担持硫酸テルビウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0147】
(実施例9)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ジスプロシウム8水和物(Dy(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ジスプロシウムを得る。
【0148】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ジスプロシウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Dy+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ジスプロシウム(Dy(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0149】
次にコバルト酸化物担持硫酸ジスプロシウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0150】
(実施例10)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ホルミウム8水和物(Ho(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ホルミウムを得る。
【0151】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ホルミウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Ho+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ホルミウム(Ho(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0152】
次にコバルト酸化物担持硫酸ホルミウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0153】
(実施例11)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸エルビウム8水和物(Er(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸エルビウムを得る。
【0154】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、エルビウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Er+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸エルビウム(Er(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0155】
次にコバルト酸化物担持硫酸エルビウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0156】
(実施例12)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ツリウム8水和物(Tm(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ツリウムを得る。
【0157】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ツリウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Tm+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ツリウム(Tm(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0158】
次にコバルト酸化物担持硫酸ツリウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0159】
(実施例13)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸イッテルビウム8水和物(Yb(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸イッテルビウムを得る。
【0160】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、イッテルビウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Yb+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸イッテルビウム(Yb(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0161】
次にコバルト酸化物担持硫酸イッテルビウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0162】
(実施例14)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ルテチウム8水和物(Lu(SO・8HO)3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ルテチウムを得る。
【0163】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ルテチウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Lu+S)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ルテチウム(Lu(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0164】
次にコバルト酸化物担持硫酸ルテチウムとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0165】
(実施例15)
硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.4gを硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)3gと硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)0.2gに変更すること以外は実施例1と同様の製法により鉄酸化物−ニッケル酸化物担持硫酸ランタンを得る。
【0166】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素と硫黄元素の合計に対する鉄元素とニッケル元素の合計の元素比(Fe+Ni/La+S)は0.4で、鉄元素とニッケル元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ランタンに鉄酸化物とニッケル酸化物が担持されていることを確認した。
【0167】
次に鉄酸化物−ニッケル酸化物担持硫酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0168】
(実施例16)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)2.7gと硫酸セシウム8水和物(Ce(SO・8HO)0.3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持ランタン−セリウム複合硫酸塩を得る。
【0169】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とセリウム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/La+Ce+S)は0.4でランタン元素とセリウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、ランタン−セリウム複合硫酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0170】
次にコバルト酸化物担持ランタン−セリウム複合硫酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0171】
(実施例17)
硫酸ランタン9水和物(La(SO・9HO)3gを硫酸プラセオジム8水和物(Pr(SO・8HO)2.7gと硫酸ネオジム8水和物(Nd(SO・8HO)0.3gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持プラセオジム−ネオジム複合硫酸塩を得る。
【0172】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、プラセオジム元素とネオジム元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Pr+Nd+S)は0.4でプラセオジム元素とネオジム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、プラセオジム−ネオジム複合硫酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0173】
次にコバルト酸化物担持プラセオジム−ネオジム複合硫酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0174】
(実施例18)
純水100mLに硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)7gを溶解した溶液に、純水100mLにホウ酸(HBO)1gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で700℃まで加熱し、さらに700℃を1時間保持することによりホウ酸ランタン(LaBO)を得る。
【0175】
純水100mLにホウ酸ランタン(LaBO)3.2gを分散した溶液に、純水100mLに硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)3.8gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で600℃まで加熱し、さらに600℃を1時間保持することによりニッケル酸化物担持ホウ酸ランタンを得る。
【0176】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とホウ素元素の合計に対するニッケル元素の元素比(Ni/La+B)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、ホウ酸ランタン(LaBO)にニッケル酸化物が担持されていることを確認した。
【0177】
次に、ニッケル酸化物担持ホウ酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0178】
(実施例19)
硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)3.8gを硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)3.3gと硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)0.4gに変更すること以外は実施例18と同様の製法によりマンガン酸化物−コバルト酸化物担持ホウ酸ランタンを得る。
【0179】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とホウ素元素の合計に対するマンガン元素とコバルト元素の合計の元素比(Mn+Co/La+B)は0.4で、マンガン元素とコバルト元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、ホウ酸ランタン(LaBO)にマンガン酸化物とコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0180】
次に、マンガン酸化物−コバルト酸化物担持ホウ酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0181】
(実施例20)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)7gを硝酸サマリウム6水和物(Sm(NO・6HO)6.3gと硝酸ユーロピウム6水和物(Eu(NO・6HO)0.7gに変更すること以外は実施例18と同様の製法によりサマリウム−ユーロピウム複合ホウ酸塩を得る。
【0182】
ホウ酸ランタン(LaBO)3.2gをサマリウム−ユーロピウム複合ホウ酸塩3.3gに、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)3.8gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)3.7gに変更した以外は実施例18と同様の製法によりコバルト酸化物担持サマリウム−ユーロピウム複合ホウ酸塩を得る。
【0183】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、サマリウム元素とユーロピウム元素とホウ素元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Sm+Eu+B)は0.4で、サマリウム元素とユーロピウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、サマリウム−ユーロピウム複合ホウ酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0184】
次に、コバルト酸化物担持サマリウム−ユーロピウム複合ホウ酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0185】
(実施例21)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)7gを硝酸ガドリニウム5水和物(Gd(NO・5HO)6.3gと硝酸テルビウム6水和物(Eu(NO・6HO)0.7gに変更すること以外は実施例18と同様の製法によりガドリニウム−テルビウム複合ホウ酸塩を得る。
【0186】
ホウ酸ランタン(LaBO)3.2gをガドリニウム−テルビウム複合ホウ酸塩3.5gに、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)3.8gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)3.7gに変更した以外は実施例18と同様の製法によりコバルト酸化物担持ガドリニウム−テルビウム複合ホウ酸塩を得る。
【0187】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ガドリニウム元素とテルビウム元素とホウ素元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Gd+Tb+B)は0.4で、ガドリニウム元素とテルビウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、ガドリニウム−テルビウム複合ホウ酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0188】
次に、コバルト酸化物担持ガドリニウム−テルビウム複合ホウ酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0189】
(実施例22)
純水100mLに硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)6gを溶解した溶液に、純水100mLにリン酸(HPO)1.6gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で700℃まで加熱し、さらに700℃を1時間保持することによりリン酸ランタン(LaPO4)を得る。
【0190】
純水100mLにリン酸ランタン(LaPO)3.2gを分散した溶液に、純水100mLに硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)4.5gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で700℃まで加熱し、さらに700℃を1時間保持することにより鉄酸化物担持リン酸ランタンを得る。
【0191】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とリン元素の合計に対する鉄元素の元素比(Fe/La+P)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、リン酸ランタン(LaPO)に鉄酸化物が担持されていることを確認した。
【0192】
次に、鉄酸化物担持リン酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0193】
(実施例23)
硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)4.5gを硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)2.9gと硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)0.3gに変更すること以外は実施例22と同様の製法によりニッケル酸化物−マンガン酸化物担持リン酸ランタンを得る。
【0194】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とリン元素の合計に対するニッケル元素とマンガン元素の合計の元素比(Ni+Mn/La+P)は0.4で、ニッケル元素とマンガン元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、リン酸ランタン(LaPO)にニッケル酸化物とマンガン酸化物が担持されていることを確認した。
【0195】
次に、ニッケル酸化物−マンガン酸化物担持リン酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0196】
(実施例24)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)6gを硝酸ジスプロシウム5水和物(Dy(NO・5HO)5.4gと硝酸ホルミウム5水和物(Ho(NO・5HO)0.6gに変更すること以外は実施例22と同様の製法によりジスプロシウム−ホルミウム複合リン酸塩を得る。
【0197】
リン酸ランタン(LaPO)3.2gをジスプロシウム−ホルミウム複合リン酸塩3.5gに、硝酸鉄9水和物(Ni(NO・9HO)4.5gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)3.2gに変更した以外は実施例22と同様の製法によりコバルト酸化物担持ジスプロシウム−ホルミウム複合リン酸塩を得る。
【0198】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ジスプロシウム元素とホルミウム元素とリン元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Dy+Ho+P)は0.4で、ジスプロシウム元素とホルミウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、ジスプロシウム−ホルミウム複合リン酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0199】
次に、コバルト酸化物担持ジスプロシウム−ホルミウム複合リン酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0200】
(実施例25)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)6gを硝酸エルビウム5水和物(Er(NO・5HO)5.4gと硝酸ツリウム4水和物(Tm(NO・4HO)0.6gに変更すること以外は実施例22と同様の製法によりエルビウム−ツリウム複合リン酸塩を得る。
【0201】
リン酸ランタン(LaPO)3.2gをエルビウム−ツリウム複合リン酸塩3.6gに、硝酸鉄9水和物(Ni(NO・9HO)4.5gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)3.2gに変更した以外は実施例22と同様の製法によりコバルト酸化物担持エルビウム−ツリウム複合リン酸塩を得る。
【0202】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、エルビウム元素とツリウム元素とリン元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Er+Tm+P)は0.4で、エルビウム元素とツリウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、エルビウム−ツリウム複合リン酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0203】
次に、コバルト酸化物担持エルビウム−ツリウム複合リン酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0204】
(実施例26)
純水100mLに硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)5.7gを溶解した溶液に、純水100mLにパラモリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)3.5gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら80℃で4時間の加熱した後、ろ過して得られた固体成分を120℃で4時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で600℃まで加熱し、さらに600℃を1時間保持することによりモリブデン酸ランタン(La(MoO)を得る。
【0205】
純水100mLにモリブデン酸ランタン(La(MoO)5gを分散した溶液に、純水100mLに硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)3.8gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で600℃まで加熱し、さらに600℃を1時間保持することによりマンガン酸化物担持モリブデン酸ランタンを得る。
【0206】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とモリブデン元素の合計に対するマンガン元素の元素比(Mn/La+Mo)は0.4だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、モリブデン酸ランタン(La(MoO)にマンガン酸化物が担持されていることを確認した。
【0207】
次に、マンガン酸化物担持モリブデン酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0208】
(実施例27)
硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)3.8gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)3.5gと硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)0.5gに変更すること以外は実施例26と同様の製法によりコバルト酸化物−鉄酸化物担持モリブデン酸ランタンを得る。
【0209】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とモリブデン元素の合計に対するコバルト元素と鉄元素の合計の元素比(Co+Fe/La+Mo)は0.4で、コバルト元素と鉄元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、モリブデン酸ランタン(La(MoO)にコバルト酸化物と鉄酸化物が担持されていることを確認した。
【0210】
次に、コバルト酸化物−鉄酸化物担持モリブデン酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0211】
(実施例28)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)5.7gを硝酸イッテルビウム3水和物(Yb(NO・3HO)4.9gと硝酸ルテチウム3水和物(Lu(NO・3HO)0.6gに変更すること以外は実施例26と同様の製法によりイッテルビウム−ルテチウム複合モリブデン酸塩を得る。
【0212】
モリブデン酸ランタン(La(MoO)5gをイッテルビウム−ルテチウム複合モリブデン酸塩5.5gに、硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)3.8gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)3.9gに変更した以外は実施例26と同様の製法によりコバルト酸化物担持イッテルビウム−ルテチウム複合モリブデン酸塩を得る。
【0213】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、イッテルビウム元素とルテチウム元素とモリブデン元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Yb+Lu+Mo)は0.4で、イッテルビウム元素とルテチウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、イッテルビウム−ルテチウム複合モリブデン酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0214】
次に、コバルト酸化物担持イッテルビウム−ルテチウム複合モリブデン酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0215】
(実施例29)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)5.7gを硝酸テルビウム6水和物(Tb(NO・6HO)5.4gと硝酸プラセオジム6水和物(Pr(NO・6HO)0.6gに変更すること以外は実施例26と同様の製法によりテルビウム−プラセオジム複合モリブデン酸塩を得る。
【0216】
モリブデン酸ランタン(La(MoO)5gをイッテルビウム−ルテチウム複合モリブデン酸塩5.3gに、硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)3.8gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)3.8gに変更した以外は実施例26と同様の製法によりコバルト酸化物担持テルビウム−プラセオジム複合モリブデン酸塩を得る。
【0217】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、テルビウム元素とプラセオジム元素とモリブデン元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Tb+Pr+Mo)は0.4で、テルビウム元素とプラセオジム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、テルビウム−プラセオジム複合モリブデン酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0218】
次に、コバルト酸化物担持テルビウム−プラセオジム複合モリブデン酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0219】
(実施例30)
純水100mLに硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)4.2gを溶解した溶液に、純水100mLにメタタングステン酸アンモニウム((NH[H1240]・6HO)3.8gを溶解した溶液を混合する。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥する。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で900℃まで加熱し、さらに900℃を1時間保持することによりタングステン酸ランタン(La(WO)を得る。
【0220】
純水100mLにタングステン酸ランタン(La(WO)5gを分散した溶液に、純水100mLに硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)3.6gと硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)0.3gを溶解した溶液を混合した。混合溶液を攪拌しながら100℃に加熱して水溶媒を除去し、得られた固体成分を120℃で12時間乾燥した。その後、固体成分を乳鉢で粉砕し、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で600℃まで加熱し、さらに700℃を1時間保持することにより鉄酸化物−マンガン酸化物担持タングステン酸ランタンを得る。
【0221】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とタングステン元素の合計に対する鉄元素とマンガン元素の合計の元素比(Fe+Mn/La+W)は0.4で、鉄元素とマンガン元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、タングステン酸ランタン(La(WO)に鉄酸化物とマンガン酸化物が担持されていることを確認した。
【0222】
次に、鉄酸化物−マンガン酸化物担持タングステン酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0223】
(実施例31)
硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)3.6gと硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)0.3gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.6gと硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)0.3gに変更すること以外は実施例30と同様の製法によりコバルト酸化物−ニッケル酸化物担持タングステン酸ランタンを得る。
【0224】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素とタングステン元素の合計に対するコバルト元素とニッケル元素の合計の元素比(Co+Ni/La+W)は0.4で、コバルト元素とニッケル元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、タングステン酸ランタン(La(WO)にコバルト酸化物とニッケル酸化物が担持されていることを確認した。
【0225】
次に、コバルト酸化物−ニッケル酸化物担持タングステン酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0226】
(実施例32)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)4.2gを硝酸ネオジム6水和物(Nd(NO・6HO)3.8gと硝酸サマリウム6水和物(Sm(NO・6HO)0.4gに変更すること以外は実施例30と同様の製法によりネオジム−サマリウム複合タングステン酸塩を得る。
【0227】
タングステン酸ランタン(La(WO)5gをネオジム−サマリウム複合タングステン酸塩5gに、硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)3.6gと硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)0.3gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.8gに変更した以外は実施例30と同様の製法によりコバルト酸化物担持ネオジム−サマリウム複合タングステン酸塩を得る。
【0228】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ネオジム元素とサマリウム元素とタングステン元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Nd+Sm+W)は0.4で、ネオジム元素とサマリウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、ネオジム−サマリウム複合タングステン酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0229】
次に、コバルト酸化物担持ネオジム−サマリウム複合タングステン酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0230】
(実施例33)
硝酸ランタン6水和物(La(NO・6HO)4.2gを硝酸ユーロピウム6水和物(Eu(NO・6HO)3.8gと硝酸ガドリニウム5水和物(Gd(NO・5HO)0.4gに変更すること以外は実施例30と同様の製法によりユーロピウム−ガドリニウム複合タングステン酸塩を得る。
【0231】
タングステン酸ランタン(La(WO)5gをユーロピウム−ガドリニウム複合タングステン酸塩5gに、硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO)3.6gと硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO)0.3gを硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.8gに変更した以外は実施例30と同様の製法によりコバルト酸化物担持ユーロピウム−ガドリニウム複合タングステン酸塩を得る。
【0232】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ユーロピウム元素とガドリニウム元素とタングステン元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/Eu+Gd+W)は0.4で、ユーロピウム元素とガドリニウム元素の元素組成は0.9:0.1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、ユーロピウム−ガドリニウム複合タングステン酸塩にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0233】
次に、コバルト酸化物担持ユーロピウム−ガドリニウム複合タングステン酸塩とケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0234】
(実施例34)
硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.4gを12gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ランタンを得る。
【0235】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/La+S)は2だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ランタン(La(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0236】
次にコバルト酸化物担持硫酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0237】
(実施例35)
硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.4gを6gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ランタンを得る。
【0238】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/La+S)は1だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ランタン(La(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0239】
次にコバルト酸化物担持硫酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0240】
(実施例36)
硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.4gを1.2gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ランタンを得る。
【0241】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/La+S)は0.2だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ランタン(La(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0242】
次にコバルト酸化物担持硫酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0243】
(実施例37)
硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO)2.4gを0.06gに変更すること以外は実施例1と同様の製法によりコバルト酸化物担持硫酸ランタンを得る。
【0244】
誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析の結果、ランタン元素と硫黄元素の合計に対するコバルト元素の元素比(Co/La+S)は0.01だった。透過型電子顕微鏡像(TEM)で観察した粒子をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による組成分析や粉末X線回折分析(XRD)の結果、硫酸ランタン(La(SO)にコバルト酸化物が担持されていることを確認した。
【0245】
次にコバルト酸化物担持硫酸ランタンとケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0246】
(実施例38)
ケッチェンブラック(ライオン社製、ECP)2.7gを80℃に設定した1000mLの純水に分散させ、そこに塩化白金酸水溶液(Pt換算で0.3g相当)100mLを混合し、ついで5wt%炭酸水素ナトリウム水溶液を2mL/minの速度で滴下して、溶液のpHを7〜8とした後、1時間、攪拌し続ける。次いで、反応溶液をろ過し、得られる固体生成物は0.3wt%硫酸水溶液1000mL、純水1000mLの順に分散し、各溶液で煮沸洗浄を30分間行う。洗浄溶液をろ過して固体生成物を回収した後、大気中、100℃で一晩、乾燥する。得られる固体生成物を粉砕し、100%水素ガス気流中、400度で1時間の還元処理を行い、Ptで担持カーボン(Pt/C:Pt担持量10wt%)を得る。なお、カーボン上へのPt担持量は誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)による分析を実施して求めた。
【0247】
実施例1のコバルト酸化物担持硫酸ランタンと前記Pt/C(Pt担持量10wt%)とを重量比1:1で秤量し、乳鉢で混合して触媒組成物を得る。
【0248】
<カソードの作製>
実施例1〜38にて得られる触媒組成物1gと5wt%Nafion溶液(デュポン社製登録商標)4g、1−プロパノール4g、水4gとをジルコニアボールの入ったポットに入れ、ボールミルによる分散を6時間行い、触媒スラリーを製造する。
【0249】
拡散層には、カーボンとPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる導電性多孔質層を有したカーボンペーパー(東レ製、TGP−H−060、厚さ180μm)を用いる。なお、導電性多孔質層は、厚さが5μmで、カーボンとPTFEが重量比で40:60となっている。
【0250】
アプリケーターを用いて触媒スラリーを導電性多孔質層の表面に均一な厚さとなるように塗布する。なお、拡散層において触媒組成物は20mg/cmになるように塗布厚みを調整する。さらに、これを100℃で乾燥する。
【0251】
(実施例39)
実施例38で得られるPt担持カーボン(Pt/C)を用いて作製される触媒スラリーを、アプリケーターを用いて導電性多孔質層の表面に均一な厚さとなるように塗布する。なお、拡散層において触媒組成物は1mg/cmになるように塗布厚みを調整する。さらに、これを100℃で乾燥する。
【0252】
次いで、実施例1で得られた触媒組成物を用いて作製された触媒スラリーを、アプリケーターを用いてPt/Cの表面に均一な厚さとなるように塗布する。なお、あらかじめPt/C表面には触媒スラリーとの燃焼を抑制するため、水をスプレーで噴霧する。また、拡散層において触媒組成物は20mg/cmになるように塗布厚みを調整する。さらに、これを100℃で乾燥する。
【0253】
(実施例40)
実施例1で得られる触媒組成物を用いて作製された触媒スラリーを、アプリケーターを用いて導電性多孔質層の表面に均一な厚さとなるように塗布する。なお、拡散層において触媒組成物は20mg/cmになるように塗布厚みを調整する。さらに、これを100℃で乾燥する。
【0254】
次いで、実施例38で得られるPt担持カーボン(Pt/C)を用いて作製される触媒スラリーを、アプリケーターを用いて実施例1で得られた触媒組成物の表面に均一な厚さとなるように塗布する。拡散層において触媒組成物は1mg/cmになるように塗布厚みを調整する。さらに、これを100℃で乾燥する。
【0255】
(比較例1)
実施例38で得られるPt担持カーボン(Pt/C)を用いて作製される触媒スラリーを、アプリケーターを用いて導電性多孔質層の表面に均一な厚さとなるように塗布する。なお、拡散層において触媒組成物は1mg/cmになるように塗布厚みを調整する。さらに、これを100℃で乾燥する。
【0256】
<アノードの作製>
実施例38で得られるPt担持カーボン(Pt/C):Pt担持量10wt%)と5wt%Nafion溶液(デュポン社製登録商標)4g、1−プロパノール4g、水4gとをジルコニアボールの入ったポットに入れ、ボールミルによる分散を6時間行い、触媒スラリーを製造する。
【0257】
拡散層には、カーボンとPTFEからなる導電性多孔質層を有したカーボンペーパー(東レ製、TGP−H−060、厚さ180μm)を用いる。なお、導電性多孔質層は、厚さが5μmで、カーボンとPTFEが重量比で40:60となっている。
【0258】
アプリケーターを用いて触媒スラリーを導電性多孔質層の表面に均一な厚さとなるように塗布する。なお、拡散層においてPt/Cは1mg/cmになるように塗布厚みを調整する。さらに、これを100℃で乾燥する。
【0259】
<膜電極接合体の作製>
実施例1〜40および比較例1のカソードとアノードそれぞれを電極面積が12cmとなるように切り出し、カソードとアノードの間に高分子電解質膜としてNafion212(商品名:デュポン社製)を挟んで、125℃、10分、30kg/cmの圧力で熱圧着して、膜電極複合体を製造する。
【0260】
次に、実施例1〜40にて得られた膜電極接合体のカソードの酸素還元活性を以下の方法により評価する。
【0261】
実施例1〜40および比較例1にて得られた膜電極接合体を図1に示すような酸化剤ガス供給溝8付きのカソードホルダー9と、燃料供給溝10付きのアノードホルダー11との内部に組み込んで単電池を製造し発電を行う。
【0262】
発電試験では、膜電極接合体の温度を一定に設定するように外部からヒーターで温度制御し、加湿器によって加湿された水素ガスと酸素ガスを膜電極接合体に供給する。膜電極接合体と電子負荷装置とは端子間が配線で接続され、電流(負荷)を変化させたときの電圧の変化を測定した。発電試験の測定条件は以下とする。
【0263】
温度80℃
圧力:大気圧
アノード:水素(200mL/min・cm)、95%加湿
カソード:酸素(400mL/min・cm)、95%加湿
電子負荷装置:菊水電子社製、PLZ70UA
カソード触媒の酸素還元活性の指標としては、電極内部の物質拡散の影響を無視し、触媒本来の活性を比較するため、所定電位(0.9V)における触媒質量あたりの電流値、すなわち質量活性(A/mg)を評価する。
【0264】
次に、触媒組成物の劣化耐久性試験として電位サイクル試験を行う。
【0265】
電位サイクル試験では、膜電極接合体の温度を一定に設定するように外部からヒーターで温度制御し、加湿器によって加湿された水素ガスと窒素ガスを膜電極接合体に供給する。膜電極接合体と電気化学評価システムとは端子間を配線で接続する。カソードの劣化耐久試験を行うため、カソードを作用極、アノードを対極および参照極とし、カソードの劣化が促進される電位範囲をサイクルするようにカソード電位を設定する。電位サイクル前後の質量活性を測定することで劣化の程度を評価できる。電位サイクル試験の測定条件は以下とする。
【0266】
温度80℃
圧力:大気圧
電位範囲:0.9V(30秒保持)⇔1.3V(30秒保持)
※1サイクルの所要時間は1分
アノード:水素(200mL/min・cm)、95%加湿
カソード:窒素(200mL/min・cm)、95%加湿
サイクル回数:10000回
電気化学測定システム:北斗電工社製、Hz−5000
得られる結果を、発電初期の質量活性(P0)、電位サイクル後の質量活性(P)および質量活性維持率(P/P0:%)として、表1〜表4に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0267】

表1〜表4に示すように、本実施の形態の触媒、さらには触媒組成物は、いずれも比較例1に比べ発電初期の質量活性が高い。
【0268】
また、電位サイクルによる触媒劣化加速試験においても、比較例1に比べ質量活性維持率が高い。
【0269】
そして、これら触媒組成物を用いた膜電極接合体、さらには燃料電池に使用した場合には、発電性能さらには耐久性がさらに向上する。
【0270】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0271】
1 高分子電解質膜
2 燃料極(アノード)
3 空気極(カソード)
4、6 拡散層
5 アノード触媒層
7 カソード触媒層
8 酸化剤ガス供給溝
9 カソードホルダー
10 燃料供給溝
11 アノードホルダー
12 膜電極接合体(MEA)
20 燃料電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素から選択される少なくとも一種からなる元素Lと、B、P、Mo、WおよびSよりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Xとを含有する希土類オキソ酸塩担体と、前記希土類オキソ酸塩担体の表面に担持され、Mn、Fe、Co、およびNiよりなる群から選択される少なくとも一種からなる元素Mを含有する酸化物粒子とを含有する複合体であることを特徴とする触媒。
【請求項2】
前記複合体は、前記元素Lと前記元素Xに対する前記元素Mとの元素比(M/(L+X))が、0.01〜2以下(mol比)の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか1項に記載の触媒と、導電性材料とを含有することを特徴とする触媒組成物。
【請求項4】
請求項1および2のいずれか1項に記載の触媒と、導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒とを含有することを特徴とする触媒組成物。
【請求項5】
請求項3および4のいずれか1項に記載の触媒組成物と、高分子電解質とを含有することを特徴とするカソード触媒層。
【請求項6】
前記カソード触媒層は、少なくとも、導電性材料に貴金属粒子および/または貴金属合金粒子を担持させた酸素還元触媒および高分子電解質を含む触媒層が積層されてなることを特徴とする請求項5に記載のカソード触媒層。
【請求項7】
請求項5および6のいずれか1項に記載のカソード触媒層を用いたことを特徴とする膜電極接合体。
【請求項8】
請求項7に記載の膜電極接合体を用いたことを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【公開番号】特開2012−76013(P2012−76013A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223176(P2010−223176)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】