説明

触媒の支持材料の製造方法

【課題】経済的且つ迅速に、特に香料拡散装置のバーナー等に用いられる触媒の支持材料を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる触媒の支持材料の製造方法は、以下の順で、下記工程(a)〜(c);(a)焼結していない多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の成形、(b)焼結していない多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の表面における少なくとも一部に、基礎の支持材料の表面積を広げることができる結合層を形成するための、溶剤又は混合溶剤におけるセラミックが懸濁した懸濁液の沈着、(c)少なくとも懸濁液で被覆した部分を含む基礎の支持材料の焼結、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して多孔質セラミックからなる触媒の支持材料の分野に関する。特に触媒燃焼支持材料(catalytic combustion supports)に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質セラミックは多くの適用例において触媒の支持材料として利用される。触媒の支持材料は、自動車の触媒のコンバーター内にてとりわけ有用である。触媒のコンバーターは一般的に、(多くの場合、白金を基にした)触媒で被覆された蜂巣状のセラミックの支持材料を備えている。これらの(触媒で被覆された)支持材料は、支持材料を通過する排気ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物のような汚染物質の還元に触媒作用を示す。
【0003】
多孔質セラミックは、香料拡散装置(fragrance diffuser)のバーナー等のバーナーの製造にも用いられている。そのような装置は、特に仏国特許第2779509号、仏国特許第2856775号又は仏国特許第2856776号に開示されている。多くの場合、これらの装置は、例えば、アルコール(臭気物質及び/又は脱臭物質との混合物であってもよい)等の溶剤を収容したフラスコからなる。多孔質セラミックのバーナーは、フラスコの首(neck)に配置されている。このバーナーの形状は、その装置に応じて変化し得る。一例として、バーナーは、円錐台の形状を有する多孔質セラミックの部材から構成され得る。バーナーの上部は、中央領域と環状の周辺領域とを備える。この周辺領域は実際の燃焼領域である。周辺領域は触媒の薄い層で塗装されている。この触媒の組成は変化し得るが、多くの場合、白金を基にした組成である。フラスコは、一方の端がバーナーに固定されている織物素材の芯又は多孔質の芯を備える。例えば、芯は、バーナーの下部に存在し、フラスコに直接開口しているバーナーの空洞に挿入される。芯の他方の端では、芯が溶剤に浸されている。そうすることで、毛細管現象により芯に沿って溶剤が拡散し、バーナーに浸透するようになる。燃焼を開始するために、バーナーの上側に炎を点火し、その結果、溶剤の蒸気及びバーナーに浸透した溶剤に火が点く。その炎は数分間燃焼し続けてバーナーの温度を上昇させ、そして、その炎は鎮火する。その燃焼は、触媒燃焼(catalytic combustion)の形態としてバーナーの周辺領域で続く。
【0004】
触媒燃焼のバーナー(catalytic combustion burner)は、以下の方法に従い製造される。初めに、多孔質セラミックからなる基礎の支持材料又は“生素地(greenware)”を成形する。次に、この基礎の支持材料を焼結する。言い換えると、この基礎の支持材料に、セラミック粒子を結合するための熱加工を施し、支持材料に機械強度を付与する。次に、触媒の組成物を、焼結した支持材料の一部に被覆する。例えば、香料拡散装置のバーナーの場合には、触媒の組成物を周辺領域上に被覆する。
【0005】
上記技術は、バーナーの表面で触媒が凝集体を形成するので触媒の分散性が乏しいという欠点がある。しかし、触媒が、粒径が数ナノメートルの範囲内の非常に細かい粒子の形態をなしており、且つ、支持材料の表面上に完全に分散している場合のみ、燃焼反応が起こり得る。燃焼反応には十分な数の触媒の粒子も必要である。実際には、触媒のこれら細かい粒子の各々が活性部位を構成し、そして、反応の間、性能の変化を伴わないで反応を維持するための十分な熱を生成できるように、活性部位の数は、触媒燃焼を確保できるだけ十分でなければならない。
【0006】
他の方法としては、触媒のコンバーターのための、蜂巣状の支持材料の分野で、触媒のコンバーターを製造するための従来の方法がある。この方法は、焼結した多孔質セラミックの支持材料を製造し、そして、焼結した支持材料上に熱加工を施すための結合層(interface layer)を沈着させる。結合層は、支持材料の表面における触媒の分散性を高めることができる表面積が広い物質からなる。したがって、利用できる活性部位の数が増加し、それによって、触媒燃焼の形態となる。上述のように、この方法は、二つの熱加工工程が必要である。その二つの熱加工工程は、多孔質セラミックの支持材料の、高温での焼結、及び、結合層の焼結である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許第2779509号
【特許文献2】仏国特許第2856775号
【特許文献3】仏国特許第2856776号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記二つの熱加工工程は、高い製造コスト及び長い製造時間が必要であり、適切なコストで支持材料を製造することができず、非常に不利である。このことは、香料拡散装置のバーナーのような比較的低い販売価格である部材の製造に関して特に不利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の目的は、以下の順で、下記工程を含むことを特徴とする、触媒の支持材料の製造方法を提供することである。
【0010】
(a)焼結していない多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の成形
(b)上記焼結していない多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の表面における少なくとも一部に、上記基礎の支持材料の表面積を広げることができる結合層を形成するための、溶剤又は混合溶剤にセラミックの粉末が懸濁した懸濁液の沈着
(c)少なくとも懸濁液で被覆した部分を含む基礎の支持材料の焼結。
【0011】
本発明に係る方法は、多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の焼結、及び、基礎の支持材料の表面に沈着された懸濁液の熱加工の両方を行う一工程のみの焼結工程を含む。
【発明の効果】
【0012】
上記方法により、触媒の支持材料に関して、製造コストや製造時間を大幅に抑えることができる。
【0013】
基礎の支持材料の表面への、一つ又はそれ以上の溶剤にセラミックの粉末が懸濁した懸濁液の沈着は、基礎の支持材料の全体又は一部を被覆する結合層を形成することを目的としている。この結合層の特徴(結晶相、微細構造)は、基礎の支持材料の表面に懸濁液を沈着する工程(c)における熱加工の間に形成される。その結合層は、基礎の支持材料の表面積を増加させることができる。そのため、触媒の沈着を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フラスコの形態を採る本発明に係る香料拡散装置のバーナーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の製造は、先行技術でよく知られた手段によって行われ得る。本発明に係る支持材料の製造方法には、一般的に、適切なセラミックの組成物の調製及びその組成物を望ましい形状にするための成形が含まれる。この成形は、特に、鋳造(casting)、注入成形(injection molding)、圧縮により行われる。
【0016】
多孔質セラミックは、1100℃未満の焼結温度で得られる多孔質セラミックであることが好ましい。その多孔質セラミックは、粘土又はムライトやコーディエライトのようなシリカ−アルミナ(silico-aluminous)無機物の中から選ばれることが特に好ましい。
【0017】
一般的に、上記タイプのセラミックを用いることにより、1100℃未満の温度での焼結工程(c)を行うことができる。これにより、同一の熱加工を施すことで、結合層の構造や特徴を最良の状態に保つことができる。
【0018】
セラミックの空隙は、特に熱加工で除去することができる高分子粒子のような空隙形成剤の添加により得ることができる。また、セラミックの空隙は、適当なサイズの粒子の粒状積層構造(granular stacking)により得ることもできる。
【0019】
多孔質セラミックの空隙率は、30%〜70%の範囲内であることが好ましく、40%〜60%の範囲内であることがより好ましい。
【0020】
香料拡散装置のバーナーの場合には、過度に空隙率を低くすると、香料を含む溶剤による触媒の支持材料への浸透が過度に低くなる。反対に、過度に空隙率を高くすると、材料の機械的強度が過度に低下する。
【0021】
懸濁液は以下の特徴を備える方が好ましい。
【0022】
懸濁液は、セラミックの粉末を15wt%〜30wt%の範囲内で含んでいることが好ましい。
【0023】
セラミックの粉末の表面積は、5m/g以上であることが好ましく、5m/g〜30m/gの範囲内であることがより好ましい。
【0024】
上記表面積は、一般的に先行技術で用いられている、ベルナウアー(Brunauer)、エミット(Emett)及びテラー(Teller)の技術(BET法)により測定することができる。
【0025】
広い表面積の結合層を用いることで、支持材料の表面での触媒の拡散を改善させることができ、それにより、その効率性を改善することができる。触媒は、目的とする反応(例えば燃焼反応)を触媒するために利用できる活性部位の数が増加するように、数ナノメートルの範囲の小さな粒子の形態で沈着される。
【0026】
このように、香料拡散装置のバーナーの場合には、基礎の支持材料の表面での結合層の存在により、燃焼を再開するには頻度が多すぎる間隔で炎が再発火することを防ぐことができる。
【0027】
排気ガスに含まれているような汚染物質を触媒的に還元する場合には、結合層の存在により、より効率的に汚染物質を還元することができる。
【0028】
特に、セラミックの粉末は、スピネル、アルミナ、ペロブスカイト、ジルコニア、ヒドロキシアパタイトのようなリン灰石タイプのセラミック、二酸化チタン及びそれらの混合物からなる一群の中から選ばれる材料を基にしている。
【0029】
少なくとも一つの溶剤は、水、有機溶剤及びそれらの混合物の中から選ばれる。特に、高濃度の水を含む混合溶剤が用いられ得る。
【0030】
懸濁液は分散剤を含んでいてもよい。分散剤は、溶剤におけるセラミックの粉末の分散を促進する。それゆえ、懸濁液中の、セラミックの粉末の表面積を分散状態のように増加する。結果的に、結合層は、触媒のためのより望ましい付着面を形成し、その分散を改善することができる。
【0031】
懸濁液はセラミックの粉末の活性表面の基となるセラミックの粉末1mあたり、0.2〜2mgの範囲内の分散剤が含まれていることが好ましく、0.5〜1mgの範囲内の分散剤が含まれていることがより好ましい。
【0032】
セラミックの粉末の活性表面は、例えば表面領域が質量単位あたりの活性表面と同じであると定義される。
【0033】
分散剤は、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸2ナトリウム塩、ポリアクリル酸アンモニウムのようなポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸アンモニウムのようなポリメタクリル酸塩及びそれらの混合物からなる一群の中から選ばれる。例えば、Darvan Cという名前のR.T. Vanderbilt Company製のポリメタクリル酸アンモニウムが利用され得る。
【0034】
懸濁液はバインダを含んでいてもよい。これにより、懸濁液の粘度を増加させることができ、支持材料の物質に付着させることができる。そして、基礎の支持材料の表面での沈着と機械的特性を促進することができる。
【0035】
懸濁液は、バインダを、セラミックの粉末に対して1wt%〜10wt%の範囲内で含んでいることが好ましく、3wt%〜5wt%の範囲内で含んでいることがより好ましい。
【0036】
バインダは、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体、ポリ酢酸ビニルのようなビニル重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)、セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる一群の中から選ばれる。
【0037】
バインダとして利用される典型的なアクリル系重合体の適切な組成物として、Duramaxという名前のダウ・ケミカル(Dow Chemical)製の組成物が挙げられる。
【0038】
上述した懸濁液の特徴は、とりわけ本発明に係る方法を実行するために有利である。上述した懸濁液の特徴により、焼結していない多孔質セラミックの支持材料において結合層のさらなる粘着性を達成することができる。上述した懸濁液の特徴は、結合層の質を落とさずに、支持材料を焼結するのと同時に結合層の焼結を行うのに有用である。それにより、結合層における微小な穴の発生を防ぐことができる。また、上述した懸濁液の特徴は、結合層の表面で触媒の更なる分散のために適切な均一な構造を達成するためにも有用である。
【0039】
焼結は、1100℃未満の温度で行うことが好ましく、特に、500℃〜1000℃の範囲内で行うことがより好ましい。焼結温度は、多孔質セラミックと結合層の、両方の材料の構造や性質を維持しつつ、多孔質セラミックの適切な焼結と、結合層の適切な焼結との両方を確実に行える温度でなければならない。焼結温度が高すぎると、微小な穴が発生する等することにより、結合層が損傷する。焼結温度が低すぎると、例えば、セラミックの適切な粘着性を保証するため等の支持材料の焼結を行うのに適切ではない。
【0040】
焼結は、昇温速度1℃/min〜5℃/minの範囲内で、温度500℃〜1100℃の範囲内で1時間行うことが好ましい。
【0041】
また、別の実施形態として、本発明は触媒を被覆した触媒の支持材料の製造方法に関する。
【0042】
この別の実施形態における、本発明に係る方法は、工程(c)の後に、結合層の少なくとも一部に少なくとも一つの触媒を沈着させる工程(d)を備える。即ち、工程(d)で触媒を沈着させる結合層は、工程(b)で基礎の支持材料の表面に沈着する懸濁液であり、その後、工程(c)で基礎の支持材料と共に熱処理される。
【0043】
従って、触媒で被覆され、いつでも利用できる触媒の燃焼支持材料が得られる。
【0044】
触媒の沈着は、形式的に先行技術を用いることにより達成され得る。先行技術としては、例えば、結合層の表面での触媒の組成物の浸漬沈着、スプレー沈着、又は、ブラシ等を用いた塗布コーティング等が挙げられる。
【0045】
少なくとも一つの触媒は、白金を基にした触媒(platinum-based catalyst)、パラジウムを基にした触媒(palladium-based catalyst)、ロジウムを基にした触媒(rhodium-based catalyst)、又は、これらの金属の混合物を基にした触媒の中から選ばれることが好ましい。
【0046】
例えば、少なくとも一つの触媒は、望ましい金属の上記触媒の前駆体を含む溶液の形態として沈着してもよい。用いられ得る上記触媒の前駆体としては、硝酸白金、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、塩化ロジウムの水和物、ロジウムカルボニル錯体、硝酸パラジウム、臭化パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化白金、又は、硝酸白金が挙げられる。
【0047】
また、別の実施形態として、本発明は触媒の支持材料に関する。この別の実施形態における支持材料は、触媒が被覆されていなくてもよく、又は、被覆されていてもよい。被覆されている場合には、具体的に、上述したような方法に従って製造された香料拡散装置のバーナーを構成し得る。
【0048】
従って、利用の目的に合った望ましい形の支持材料が製造され得る。香料拡散装置のバーナーの場合には、先行技術において多くの実施例がある。例えば、仏国特許第2779509号、仏国特許第2856775号又は仏国特許第2856776号には、バーナーの詳細な様態が記載されている。
【0049】
支持材料の表面で結合層を利用することは、良好な触媒の分散、及び、それによる良好な触媒の燃焼ができるという利点がある。さらに、支持材料の製造時間及び製造コストは、実在する(現在の)触媒の燃焼支持材料に比べて少ない。
【0050】
下記の実施例及び図面は、本発明の範囲を制限するものではない。
【0051】
図1は、フラスコの形態を採る本発明に係る香料拡散装置のバーナーの断面図である。
【0052】
図1に示すように、バーナー1は円錐台の形状である。また、バーナー1の上部には、円状の中央領域(拡散領域とも呼ばれる)2、環状の周辺領域(燃焼領域とも呼ばれる)3が示されている。周辺領域3は、環状溝4を介して中央領域2とは分離している。バーナー1の下部には、フラスコ7の方向に空けられた円筒形の空洞5が示されている(バーナーが、溶剤8で部分的に満たされたフラスコ7の上に形成された利用位置にある場合)。空洞5には芯6の端が収納されている。バーナーを利用する場合、もう一方の端は、フラスコ7の中の溶剤8に浸されている。
【実施例】
【0053】
香料拡散装置のバーナーは、以下の方法に基づいて製造される。
【0054】
初めに、ここで用いるセラミックの組成物は、75wt%の上質のモンモリナイト粘土と、空隙形成剤として25wt%の砕かれた木の実とを含んでいる。この組成物に、粘土の重さに対して3wt%のバインダを添加した。ここで用いられるバインダは、分子量が20000g/molのポリエチレングリコールである。
【0055】
次に、図1の断面図に示されるように、香料拡散装置のバーナーの形をしている焼結していないセラミックの支持材料を得るために、上記セラミックの組成物を圧縮成形した。
【0056】
次に、結合層の組成物は、分散剤としてのR.T. Vanderbilt Company製のDarvan C 0.5gと、Zschimmer and Schwarz製のZusoplast 5gとを含む172mLの水中に50gのアルミナ粉末を分散させて調製した。次に、結合層の組成物を、バーナーとして成形されたセラミックの支持材料における環状の周辺領域に沈着して、結合層を形成した。その沈着は、浸し塗り(dipping)によって行った。
【0057】
次に、結合層により被覆した支持材料を、1000℃の温度で1時間焼結し、そして、室温まで冷却した。
【0058】
最後に、結合層で被覆されたバーナーの周辺領域に、ブラシを用いたコーティング法により、10.6wt%の白金を含む硝酸白金の溶液を沈着させた。
【0059】
結果的に、結合層を有さない従来のバーナーと比較して、環状の周辺領域3の表面において、触媒をより細かくすることができ、且つ、触媒の分散性を向上させることができた。それゆえ、触媒燃焼が向上した。
【0060】
上述した実施例や実施の形態は、特定の内容を説明するものであり、本発明に係る範囲を制限するものではなく、さらに、本発明に係る範囲からそれない範囲で変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、多孔質セラミックからなる触媒の支持材料の製造方法に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 バーナー
2 中央領域
3 周辺領域
4 環状溝
5 空洞
6 芯
7 フラスコ
8 溶剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の順で、下記工程(a)〜(c)を含む触媒の支持材料の製造方法であって、
(a)焼結していない多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の成形
(b)上記焼結していない多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の表面における少なくとも一部に、上記基礎の支持材料の表面積を広げることができる結合層を形成するための、溶剤又は混合溶剤におけるセラミックが懸濁した懸濁液の沈着
(c)少なくとも懸濁液で被覆した部分を含む基礎の支持材料の焼結
上記多孔質セラミックからなる基礎の支持材料の焼結、及び、基礎の支持材料の表面に沈着された上記懸濁液の熱加工の両方を行う一工程のみの焼結工程を備えることを特徴とする触媒の支持材料の製造方法。
【請求項2】
上記多孔質セラミックは、1100℃未満の焼結温度で得られる多孔質セラミックであることを特徴とする請求項1に記載の支持材料の製造方法。
【請求項3】
上記多孔質セラミックの空隙率が、30%〜70%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の支持材料の製造方法。
【請求項4】
上記懸濁液は、さらに、上記セラミックの粉末を15wt%〜30wt%の範囲内で含んでいることを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項5】
上記セラミックの粉末の表面積が、5m/g以上であることを特徴とする請求項1〜4のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項6】
上記セラミックの粉末が、スピネル、アルミナ、ペロブスカイト、ジルコニア、ヒドロキシアパタイトのようなリン灰石タイプのセラミック、二酸化チタン及びそれらの混合物からなる一群の中から選ばれる材料を基にしていることを特徴とする請求項1〜5のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項7】
少なくとも一つの上記溶剤は、水、有機溶剤及びそれらの混合物からなる一群の中から選ばれることを特徴とする請求項1〜6のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項8】
上記懸濁液は、分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項9】
上記分散剤は、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸2ナトリウム塩、ポリアクリル酸アンモニウムのようなポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸アンモニウムのようなポリメタクリル酸塩及びそれらの混合物からなる一群の中から選ばれることを特徴とする請求項8に記載の支持材料の製造方法。
【請求項10】
上記懸濁液は、バインダを含むことを特徴とする請求項1〜9のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項11】
上記バインダは、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体、ポリ酢酸ビニルのようなビニル重合体、ポリエチレンオキシド、セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる一群の中から選ばれることを特徴とする請求項10に記載の支持材料の製造方法。
【請求項12】
上記焼結が、1100℃未満で行われることを特徴とする請求項1〜11のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項13】
工程(c)の後に、結合層の少なくとも一部に少なくとも一つの触媒を沈着することを含む工程(d)を含むことを特徴とする請求項1〜12のうち何れか一項に記載の支持材料の製造方法。
【請求項14】
少なくとも一つの触媒は、白金を基にした触媒、パラジウムを基にした触媒、ロジウムを基にした触媒、又は、これらの金属の混合物を基にした触媒の中から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の支持材料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−200727(P2012−200727A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65470(P2012−65470)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(512073943)
【氏名又は名称原語表記】3DCERAM
【住所又は居所原語表記】RUE SOYOUZ PARC D ESTER 87000 LIMOGES France
【Fターム(参考)】