説明

触媒コンバータの製造方法、および触媒コンバータ

【課題】 触媒コンバータの浄化機能低下を抑制する触媒コンバータの製造方法、および触媒コンバータを提供すること。
【解決手段】 触媒コンバータ9の製造方法として、金属触媒担体1を円柱ロール状に巻く第1工程と、内径が円柱ロール状の金属触媒担体1よりも大径であって、内周に複数の凸部(ロッド6)を有する略円筒形の外筒5に、金属触媒担体1を挿入する第2工程と、外筒5の外周側から外筒5および金属触媒担体1を縮径する第3工程と、外筒5および金属触媒担体1に熱を加えることで拡散接合を行う第4工程と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化用の触媒コンバータの製造方法、および触媒コンバータの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、触媒担体を金属シェル(外筒)内に挿入した状態で、金属シェルの外部から加圧して縮径するとともに高温加熱するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−74336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
触媒コンバータは外筒内にステンレス箔からなる波板と平板を重ねて巻回して細い排気ガス流路を形成した金属触媒担体を有し、その表面に浄化触媒をコーティングしているので、この排気ガス通路を通過する間に排気ガスを浄化している。このステンレス箔同士を接合する方法に拡散接合法がある。拡散接合では接合部材同士を密接させるために接合面を加圧しながら加熱する必要がある。外筒内に金属触媒担体を収容し、外筒と金属触媒担体とを外側から加圧し縮径したときに金属触媒担体の一部が座屈して、外筒と金属触媒担体との間に凹部が生じることがある。この凹部が一箇所に集中して大きいと排気ガスが触媒の影響を受けずに通過する部分が出来ると共に、排気ガス通路より通気抵抗が低くなる。そのため金属触媒担体内の排気ガス通路を通らずに凹部を通ってしまい触媒に触れずに通過する排気ガスの量が多くなり触媒コンバータの浄化機能が低下するおそれがあった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、触媒コンバータの浄化機能低下を抑制する触媒コンバータの製造方法、および触媒コンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明においては、波板状と平板状に成形されたステンレス箔を重ねて円柱ロール状に巻く第1工程と、内径が円柱ロール状の前記金属触媒担体よりも大径であって、内周に複数の凸部を有する円筒形の外筒に、前記金属触媒担体を挿入する第2工程と、前記外筒の外周側から前記外筒および前記金属触媒担体を縮径する第3工程と、前記外筒および前記金属触媒担体に熱を加えることで拡散接合を行う第4工程と、を設けた。
【0006】
第2の発明においては、略円筒形の外筒と、円柱ロール状であって、前記外筒内に挿入された金属触媒担体と、を備え、拡散接合により前記金属触媒担体の波板と平板の接合点とを接続した触媒コンバータにおいて、前記金属触媒担体の外周面に複数の凹部を設けた。
【発明の効果】
【0007】
第1の本発明においては、金属触媒担体が外筒内周のあらかじめ設けられた凸部部分と当接する位置に凹部を設けることができ、また凹部を多数設けることができるため、一つ一つの凹部を小さく、比較的等間隔に設けることが可能となる。そのため、触媒の影響を受けずに排気ガスが通過する部分をなくすと共に、排気ガス通路をバイパスして凹部に逃げる排気ガスの量を抑制することができ、触媒コンバータの浄化機能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の触媒コンバータの斜視図である。
【図2】実施例1の金属触媒担体の斜視図である。
【図3】実施例1の金属触媒担体の端面の拡大図である。
【図4】実施例1のロッドの斜視図である。
【図5】実施例1の外筒、金属触媒担体およびロッドの軸方向視図である。
【図6】実施例1の外筒、金属触媒担体およびロッドの図5のA−Aに沿った断面図である。
【図7】実施例1のチャック機構による縮径工程を示す図である。
【図8】実施例1の金属触媒担体および外筒の軸方向視図である。
【図9】実施例2の外筒、金属触媒担体およびロッドの断面図である。
【図10】実施例2の触媒コンバータの軸方向視図である。
【図11】実施例3の外筒および金属触媒担体の軸方向視図である。
【図12】実施例3の外筒および金属触媒担体の図12のB−Bに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
実施例1の触媒コンバータ9の製造方法、および触媒コンバータ9について説明する。
【0010】
〔触媒コンバータの構成〕
図1は触媒コンバータ9の斜視図である。触媒コンバータ9は、円筒状の外筒5と、この外筒5に挿入された金属触媒担体1とを有している。金属触媒担体1の外周には複数(実施例1では20個)の凹部8が形成されている。
図2は金属触媒担体1の斜視図、図3は金属触媒担体1の端面の拡大図である。金属触媒担体1は厚さ50[μm]程度のステンレス材からなる波板状の金属箔2と、平板状の金属箔3とを重ねた状態で多重に巻回してロール状に形成されている。波板状金属箔2と平板に状金属箔3により形成された空間は金属触媒担体1の軸方向につながっており、ここが排気ガス通路となる。金属箔2,3には、排気を金属触媒担体1の軸方向のみではなく径方向にも通過させることによって浄化機能を向上させるためにスリット孔4が多数形成されている。スリット孔形状は長孔の他に例えば丸孔形状でも良い。スリット孔4は無くてもよい。
また、金属箔2,3の巻回終端部は最外周部にスポット溶接等により止着されている。
【0011】
外筒5は金属よりなり、円筒状に形成されており、この内径はロール状の前記金属触媒担体1よりもやや大径に形成されている。また外筒5の軸方向長さは、金属触媒担体1の軸方向長さと同じくらいか、長く形成されている。また外筒5の厚さは1.2[mm]〜2[mm]程度に形成されている。
【0012】
図4はロッド6の斜視図である。ロッド6は円柱状に形成されており、金属触媒担体1の軸方向長さよりも高く形成されている。また、直径は抜き取った際の金属触媒担体1の波板状金属箔2のスプリングバックを考慮して、波の振幅より大きくしてある。
【0013】
〔触媒コンバータの製造方法〕
図5は外筒5の内周に金属触媒担体1とロッド6とを挿入した状態を軸方向から見た図、図6は図5に示す外筒5の内周に金属触媒担体1とロッド6とを挿入した状態を軸方向にA−A線に沿って切断した図である。
【0014】
まず、波板状の金属箔2と、平板状の金属箔3とを重ねた状態で多重に巻回してロール状の金属触媒担体1を作成する。
【0015】
次に、図5,6に示すように外筒5の内周に、金属触媒担体1と、この金属触媒担体1の外周の一部にロウ箔材を巻回したものに、複数(実施例1では20本)のロッド6を沿わせた状態で挿入する。このときロッド6の一端部は、外筒5の軸方向外側に突出している。金属触媒担体の外周または、ロッド6に加熱により蒸発して後述する拡散接合に支障を及ぼさない接着剤を塗布して仮接合しても良い。また、各ロッド6の端部をフレキシブルなベルトに連結しておき、海苔巻き状に巻回するようにしておくと、縮径後引き抜くことが容易になる。
【0016】
図7はチャック機構7による縮径工程を示す図である。図7に示すように、外筒5の内周に金属触媒担体1とロッド6とを挿入した状態でチャック機構7の内周に挿入される。チャック機構7は外筒5に径方向内側に力を加えることによって外筒5を縮径させる。この工程により、金属触媒担体1の外周と外筒5の内周とが密着するとともに、ロール状に巻回した金属箔2,3同士も加圧され密着することとなる。縮径工程の後、ロッド6を引き抜く。
【0017】
図8はロッド6を引き抜いた後の金属触媒担体1と外筒5とを軸方向から見た図である。図8に示すように、金属触媒担体1の外周にはロッド6を引き抜いた跡(凹部8)が形成されている。前述のチャック機構7により縮径方向に加圧した状態にされた金属触媒担体1および外筒5を熱して金属触媒担体の各接触点を拡散接合させると共に、外筒5と金属触媒担体1は溶融したロウ材により接合される。その後、金属触媒担体の表面に排気浄化触媒をコーティングする。また、加熱後にロッド6を引き抜くようにすると、接合まで金属触媒担体のずれがより確実に防止できる。
【0018】
〔作用〕
拡散接合では接合部材同士を密接させるために加圧しながら加熱する必要がある。しかしながら、金属触媒担体1は厚さが非常に薄い(実施例1では50[μm])の金属箔2,3から形成されているため、未接合状態の金属触媒担体1に縮径する方向に圧力が加わると金属触媒担体1の外周が座屈して、外筒5と金属触媒担体1との間に凹部が生じることがある。この凹部が大きいと、触媒のコーティングされた金属触媒担体1の排気ガス通路内を通らずに凹部を通る排気ガスの量が多くなり触媒に触れずに通過してしまう排気ガスが出るため触媒コンバータ9の浄化機能が低下するおそれがあった。
【0019】
そこで実施例1では、触媒コンバータ9の製造方法として、内径が円柱ロール状の金属触媒担体1よりも大径であって、内周に複数の凸部(ロッド6)を有する円筒形の外筒5に、金属触媒担体1を挿入し、外筒5の外周側から外筒5および金属触媒担体1を縮径し、外筒5および金属触媒担体1に熱を加えることで拡散接合を行うこととした。その後、金属触媒担体の表面に排気浄化触媒をコーティングする。
これにより、外筒5内周の凸部(ロッド6)と金属触媒担体1が当接する部分に凹部8を設けることができ、また凹部8を多数、均等に設けることができるため、一つ一つの凹部8を小さく、比較的等間隔に設けることが可能となる。そのため、排気ガス通路をバイパスして凹部8に逃げる排気ガスの量を抑制することが出来ると共に、浄化触媒の影響を受けずに凹部8を通過する排気ガスを無くすことが出来るようになり、触媒コンバータ9の浄化機能を向上することができる。
【0020】
また実施例1では、触媒コンバータ9の製造方法として、金属触媒担体1とともに円柱状のロッド6を外筒5に挿入することで、外筒5の内周に凸部を設けるようにした。
これにより、簡単な形状の部材を用いて、外筒5の内周に凸部を設けることができる。
【0021】
また実施例1では、触媒コンバータ9の製造方法として、ロッド6を抜く工程を設けた。
これにより、触媒コンバータ9内に余分な部材であるロッド6を残すことがなく、触媒コンバータ9を製造することができる。
【0022】
また実施例1の触媒コンバータ9では、金属触媒担体1の外周面に複数の凹部8を設けた。
一つ一つの凹部8を小さく多数設けることにより、凹部8に逃げる排気ガスの量を抑制することができると共に、凹部8においても触媒の影響を受けずに流れる排気ガスが無くなるので、触媒コンバータ9の浄化機能の低下を抑制することができる。
【0023】
〔効果〕
実施例1の触媒コンバータ9の製造方法、および触媒コンバータ9の効果について以下に列記する。
【0024】
(1)触媒コンバータ9の製造方法として、金属触媒担体1を円柱ロール状に巻く第1工程と、内径が円柱ロール状の金属触媒担体1よりも大径であって、内周に複数の凸部(ロッド6)を有する略円筒形の外筒5に、金属触媒担体1を挿入する第2工程と、外筒5の外周側から外筒5および金属触媒担体1を縮径する第3工程と、外筒5および金属触媒担体1に熱を加えることで拡散接合を行う第4工程と、を設けた。
よって、金属触媒担体1が外筒5内周の凸部(ロッド6)部分と当接する位置に凹部8を設けることができ、また凹部8を多数均等に設けることができるため、一つ一つの凹部8を小さく、比較的等間隔に設けることが可能となる。そのため、排気ガス通路をバイパスして凹部8に逃げる排気の量を抑制することができるとともに凹部8においても触媒の影響を受けずに流れる排気ガスが無くなるため、触媒コンバータ9の浄化機能を向上することができる。ロッド6の断面形状を丸としているため、外周から加圧し縮径しても金属箔よりなる金属触媒担体に亀裂を生じることも無い。断面形状は丸に限らず、金属触媒担体の直径に合わせて楕円形状、三角形状等を選択する事が出来る。
【0025】
(2)触媒コンバータ9の製造方法として、第2工程では金属触媒担体1とともに略円柱状のロッド6を外筒5に挿入することで、外筒5の内周に凸部を設けた。
よって、簡単な形状の部材を用いて、外筒5の内周に凸部を設けることができる。
【0026】
(3)触媒コンバータ9の製造方法として、第3工程の後に、ロッド6を抜く工程を設けた。
よって、触媒コンバータ9内に余分な部材であるロッド6を残すことがなく、触媒コンバータ9を製造することができる。
【0027】
(4)略円筒形の外筒5と、円柱ロール状であって、外筒5の内周に挿入された金属触媒担体1と、を備え、拡散接合により金属触媒担体1を接合した触媒コンバータにおいて、金属触媒担体1の外周面に複数の凹部8を設けた。
一つ一つの凹部8を小さく多数設けることにより、排気ガス通路をバイパスして凹部8に逃げる排気の量を抑制することができると共に、浄化触媒の影響を受けずに流下する排気ガスを無くすことが出来るので、触媒コンバータ9の浄化機能の低下を抑制することができる。
【0028】
[実施例2]
実施例2の触媒コンバータ9の製造方法、および触媒コンバータ9について説明する。実施例2の触媒コンバータ9の製造方法では、金属触媒担体1と外筒5との間からロッド6を抜く工程を省き、ロッド6を残した状態で拡散接合を行っている点で、実施例1と相違する。また実施例2の触媒コンバータ9では、金属触媒担体1と外筒5との間にロッド6が挿入されている点で実施例1と相違する。
実施例1と同様の構成について説明を省略し、同一の符号を付す。
【0029】
図9は外筒5の内周に金属触媒担体1とロッド6とを挿入した状態を図5と同様に軸方向に切断した図である。図9に示すように外筒5の内周に、金属触媒担体1と、この金属触媒担体1の外周に複数(実施例1では20本)のロッド6を沿わせた状態で挿入する。ロッド6の軸方向長さは金属触媒担体1の軸方向長さよりも短く形成されており、ロッド6を挿入した状態で外筒5の内部に収容されている。この状態で実施例1において説明したように、チャック機構7によって外筒5に径方向内側に力を加えることによって外筒5を縮径させる。この工程により、金属触媒担体1の外周と外筒5の内周とが密着するとともに、ロール状に巻回した金属箔2,3同士も密着することとなる。この後、実施例2では金属触媒担体1と外筒5との間にロッド6を残したまま拡散接合をさせる。
【0030】
図10は金属触媒担体1および外筒5を熱して拡散接合をさせたのちの触媒コンバータ9を軸方向から見たである。図10に示すように、拡散接合の後には金属触媒担体1の凹部8にロッド6が挿入されている。
【0031】
〔作用〕
実施例2では、触媒コンバータ9の製造方法として、ロッド6を挿入したまま拡散接合を行うようにした。
これにより、ロッド6を取り除く工程を省くことができ、製造工程を簡略化することができる。
また実施例2では、触媒コンバータ9として、金属触媒担体1の複数の凹部8の位置であって、外筒5と金属触媒1との間に略円筒状のロッド6が挿入した状態で残される。
これにより、ロッド6を取り除く工程を省くことができ、製造工程を簡略化することができる。
【0032】
〔効果〕
実施例2の触媒コンバータ9の製造方法、および触媒コンバータ9の効果について以下に列記する。
【0033】
(5)触媒コンバータ9の製造方法において、ロッド6を挿入したまま拡散接合を行うようにした。
そのため、ロッド6を取り除く工程を省くことができ、製造工程を簡略化することができる。
【0034】
(6)金属触媒担体1の複数の凹部8の位置であって、外筒5と金属触媒1との間に円筒状のロッド6を挿入した。
これにより拡散接合を行う前に金属触媒担体1の凹部8が崩れることなく、ロッド6により、金属触媒担体1の凹部8を塞ぐことが可能となる。よって、凹部8に逃げる排気の量を抑制することができ、触媒コンバータ9の浄化機能の低下を抑制することができる。
【0035】
[実施例3]
実施例3の触媒コンバータ9の製造方法、および触媒コンバータ9について説明する。実施例3の触媒コンバータ9の製造方法では、内周に設けた複数の凸部10を一体に形成した外筒5を用いている点で実施例1と相違する。また実施例3の触媒コンバータ9では、外筒5の内周には複数の凸部10が設けられている点で実施例1と相違する。
【0036】
図11は外筒5の内周に金属触媒担体1を挿入した状態を軸方向から見た図、図12は外筒5の内周に金属触媒担体1を挿入した状態を軸方向に切断した図である。
【0037】
図11、12に示すように、外筒5の内周には複数(実施例3では20本)の凸部10が形成されている。凸部10は外筒5の軸方向長さ方向に対して、端部分を除く一部に形成されている。この状態で実施例1において説明したように、チャック機構7によって外筒5に径方向内側に力を加えることによって外筒5を縮径させる。この工程により、金属触媒担体1の外周と外筒5の内周とが密着するとともに、ロール状に巻回した金属箔2,3同士も密着することとなる。この後、金属触媒担体1の波板状と平板状箔の接触部分を拡散接合をさせる。
【0038】
〔作用〕
実施例3では触媒コンバータ9の製造方法において、複数の凸部を一体に形成した外筒5を用いた。
これにより、1つの部材(金属触媒担体1)のみを外筒5に挿入することとなり、製造効率を向上することができる。
【0039】
また実施例3では触媒コンバータ9において、外筒5の内周には複数の凸部10を設けた。
これにより拡散接合を行う前に金属触媒担体1の凹部8が崩れることなく、外筒5の凸部10により、金属触媒担体1の凹部8を塞ぐことが可能となる。よって、排気ガス通路をバイパスし凹部8に逃げる排気ガスの量を抑制することができと共に、浄化触媒の影響を受けずに流下する排気ガスを無くすことが出来るので、触媒コンバータ9の浄化機能の低下を抑制することができる。
【0040】
〔効果〕
(7)触媒コンバータ9の製造方法として、内周に設けた複数の凸部10を一体に形成した外筒5を用いた。
これにより、1つの部材(金属触媒担体1)のみを外筒5に挿入することとなり、製造効率を向上することができる。
【0041】
(8)外筒5の内周に複数の凸部10を設けた。
これにより拡散接合を行う前に金属触媒担体1の凹部8が崩れることなく、外筒5の凸部10により、金属触媒担体1の凹部8を塞ぐことが可能となる。よって、排気ガス通路をバイパスして凹部8に逃げる排気ガスの量を抑制することができと共に、浄化触媒の影響を受けずに流下する排気ガスを無くすことが出来るので、触媒コンバータ9の浄化機能の低下を抑制することができる。
【0042】
〔他の実施例〕
以上、本発明の触媒コンバータ9の製造方法、および触媒コンバータ9を実施例に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されず、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0043】
例えば実施例1ないし実施例3では、金属箔2,3にはスリット孔4を設けているが、このスリット孔4の配置、形成数、形状等は適宜設定できる。また、スリット孔が無い設定も可能である。
また実施例1ないし実施例3では、金属箔2,3の厚さは50[μm]程度、外筒5の厚さを1.2[mm]〜2[mm]程度としているが、この厚さは適宜設定できる。
また実施例1ないし実施例3では、チャック機構7により縮径方向に加圧した状態で拡散接合を行っているが、チャック機構7による縮径工程が終了したのちにチャック機構7から外した状態で拡散接合を行うようにしても良い。
また実施例1ないし実施例3では、金属触媒担体1の外周に20個の凹部8を形成しているが、この個数は適宜設定しても良い。
また実施例1および実施例2では、ロッド6を20本用いているが、この本数は適宜設定して良い。
また実施例3では、外筒5の内周に10本の凸部10を形成しているが、この本数は適宜設定して良い。
また実施例1では、ロッド6の一端部を外筒5の軸方向外側に突出しているが、ロッド6を外筒5内に収納した状態であっても良い。この場合、ロッド6を押し出す治具等を用いてロッド6を抜き取るようにすれば良い。
【符号の説明】
【0044】
1 金属触媒担体
2 波板状の金属箔
3 平板状の金属箔
5 外筒
6 ロッド
8 凹部
9 触媒コンバータ
10 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒担体1を波板状の金属箔2と、平板状の金属箔3とを重ねた状態で多重に巻回して円柱ロール状に形成する第1工程と、
内径が前記金属触媒担体の外径よりも大径であって、内周に複数の凸部を有する円筒形の外筒に、前記金属触媒担体を挿入する第2工程と、
前記外筒の外周側から前記外筒および前記金属触媒担体を縮径する第3工程と、
前記外筒および前記金属触媒担体に熱を加えることで拡散接合を行う第4工程と、
を設けたことを特徴とする触媒コンバータの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒コンバータの製造方法において、
前記第2工程では前記金属触媒担体とともに円柱状のロッドを前記外筒に挿入することで、前記外筒の内周に凸部を設けたことを特徴とする触媒コンバータの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の触媒コンバータの製造方法において、
前記第3工程の後に、前記ロッドを抜く工程を設けたことを特徴とする触媒コンバータの製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の触媒コンバータの製造方法において、
前記第4工程では、前記ロッドを挿入したまま拡散接合を行うことを特徴とする触媒コンバータの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の触媒コンバータの製造方法において、
内周に設けた複数の凸部を一体に形成した外筒を用いたことを特徴とする触媒コンバータの製造方法。
【請求項6】
円筒形の外筒と、
円柱ロール状であって、前記外筒の内周に挿入された金属触媒担体と、
を備え、拡散接合により前記外筒と前記金属触媒担体とを接続した触媒コンバータにおいて、
前記金属触媒担体の外周面に複数の凹部を設けたことを特徴とする触媒コンバータ。
【請求項7】
請求項6に記載の触媒コンバータにおいて、
前記金属触媒担体の複数の凹部の位置であって、前記外筒と前記金属触媒との間に円筒状のロッドが挿入されていることを特徴とする触媒コンバータ。
【請求項8】
請求項6に記載の触媒コンバータにおいて、
前記外筒の内周には複数の凸部が設けられていることを特徴とする触媒コンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−125778(P2011−125778A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285269(P2009−285269)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】