説明

触媒塗膜を備えた多孔質セラミックフィルタ

【課題】高い下塗り塗膜添加量にも拘わらず、セラミック担体またはフィルタ材料の低い熱膨張係数と高い通気性とを同時に維持することができる改良された材料および方法を提供する。
【解決手段】多孔質セラミック触媒担体に、液体ビヒクル、架橋促進剤、およびアミン官能性イオネン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、およびポリアクリルアミンからなる群より選択された、熱架橋性で熱分解性水溶性炭化水素ポリマーを含むポリマー溶液または分散液を施し、加熱して前記炭化水素ポリマーを架橋させ、前記微細気孔部分および前記マイクロチャンネル部分が前記架橋されたポリマーによって優先的に閉塞された担体を提供し、該被覆された担体に水性下塗り塗膜または触媒塗膜を施し塗膜で被覆された担体をを熱分解して該ポリマーの被覆を除去し、前記触媒塗膜または下塗り塗膜が前記粗大気孔部分に選択的に分布した担体を得る

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック担体上に触媒塗膜または触媒担持塗膜を施す方法に関する。特に本発明は、セラミック基体を触媒塗膜でコーティングする方法に関し、プレコーティングまたはパッシベーションステップを用いて、基体の微細気孔、マイクロチャンネル(個々の気孔を相互結合するネック部分)、および微小亀裂内への触媒塗膜および/または担持塗膜の拡散を軽減することによって、触媒が付された基体の特性を改良する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国およびヨーロッパにおいて採用されたディーゼルエンジンのエミッション規制の強化に対処するために、近年、ディーゼル排ガスを処理するためのセラミックハニカムフィルタの構造および特性における基本的な改良に関心が集中している。その他の改善点のなかで、触媒塗膜を用いて炭化水素および/または窒素酸化物の排出を制御するのを可能にする設計変更が行なわれている。最終目的は、現在の高価なおよび/または触媒を用いない微粒子フィルタを代替することが可能な、進歩した排ガス規制技術と相性が良い、優れた高温耐性、高い熱衝撃耐性を備えた安価な微粒子フィルタを開発することにある。
【0003】
この用途のために開発されたフィルタの構造のなかには、始動および再生の過程で生じるフィルタの急速な温度上昇および温度降下時に発生する熱衝撃条件に対してのみでなく、脱炭素処理フィルタ再生サイクル中に遭遇する高い排気温度に対して優れた耐性を備えている耐火性セラミック酸化物フィルタがある。進歩したコージェライトおよびチタン酸アルミニウム化合物ならびにハニカムフィルタ構造の例が、特許文献1ならびに同時係属の2002年7月31日付けで提出された特許文献2、2002年7月31日付けで提出された特許文献3および2002年3月14日付けで提出された特許文献4に開示されている。耐火性で触媒適合性セラミック微粒子フィルタのための候補である他の材料のなかには、耐火性アルカリ燐酸ジルコニウム並びにβユークリプタイトおよびポルサイトなどの低膨張率のアルカリアルミノ珪酸塩がある。これらの同様の組成物およびその他のアルミン酸カルシウムのような微小亀裂のあるセラミック材料は、自動車エンジンおよびディーゼルエンジンからの窒素酸化物(NO)の排出を制御するためのフロースルー型触媒担体としての使用が考慮されている。
【0004】
これらのセラミック材料は、ディーゼルエンジンの排ガスフィルタの用途に対し要求される高融点、高熱容量および低熱膨張率に関する殆どの仕様を満足しまたはこれを上回る。しかしながら、微粒子フィルタとしての機能を期待された多孔質セラミックが遭遇する一つの難点は、触媒塗膜および触媒担持塗膜がフィルタの壁に施されるのにつれて通気性が減少しかつ熱膨張率が増大する傾向があることである。良好な耐熱衝撃性を得るためには、下塗り塗膜(washcoat)および触媒を施すことによるCTEの増大が、25〜1000℃の範囲に亘って平均して10×10−7/℃を超えてはならず、下塗り塗膜が施されたフィルタに関するCTEは上記温度範囲に亘って20×10−7/℃を超えてはならない。さらに触媒フィルタを通るガスの通気性は、捕捉された微粒子を取り除くフィルタ再生を行なった後の排ガスの空間速度150,000hr−1において圧力低下を8kPa未満に維持するのに十分なものでなければならない。
【0005】
フィルタの壁の多孔度およびこれらセラミック材料の大多数のものに存在する構造的微小亀裂(クラックの幅が0.1〜3μmのクラック)の双方は、下塗り塗膜コーティング処理工程または触媒コーティング工程において、下塗り塗膜材料で塞がれることが多いことが現在判明している。チタン酸アルミニウムなどの微小亀裂が非常に形成されているセラミックの場合に、特に下塗り塗膜形成が極めて微小な微粒子サイズ(例えば粒径が0.02〜0.1μmの範囲)の材料を含む場合に問題が最も深刻である。
【0006】
微小亀裂は、これがなければ加熱時に寸法が増大するのをかなり緩和することによって、これらの多くの材料が示す低いCTEに大きく寄与している。したがって、これら微小亀裂が下塗り塗膜成分で塞がれると、下塗りコーティングが施された構造体において、ある場合には熱膨張係数が例えば40〜50×10−7/℃の範囲内にまで上昇する結果となる。このようなCTEレベルは、排ガスフィルタの正常な使用状態においても構造破壊が生じる危険性があるので容認できない。
【0007】
ガソリンエンジンの排ガス制御のための旧来の通気型触媒基体の触媒コーティング中に採用されている下塗りコーティングが、微小亀裂を詰まらせる問題の一つの対策として、いわゆるパッシベーションコーティングがある。これらは、下塗り処理に先立ってセラミック基体の壁に施される前処理であって、セラミックの微小亀裂組織内に下塗り塗膜材が侵入するのを阻止することができる。特許文献5には、炭化され、または他の様式で固化されて、下塗り塗膜バリアーを提供することが可能なコーティング材料の例が開示されている。
【0008】
微小亀裂を備えたセラミックの壁を通すフィルタおよび通気型触媒担体の下塗りに先立つパッシベーション処理に関する材料および工程における最近の進歩が、2003年8月14日付けで提出され、その内容のすべてが引例として本明細書に組み入れられる同時係属の特許文献6に記載されている。この出願には、このようなセラミックにポリマーバリアー層またはパッシベーション層のプレコーティングを施して、セラミックの微小亀裂および/または微細気孔への下塗り塗膜微粒子の侵入を防止することが開示されている。採用されたバリアー塗膜は炭化水素ポリマーからなり、このポリマーは、イオン化した媒体中で可溶性または分散性であり、多孔質セラミック担体上で中性または親水性表面を形成することが可能で、適度の下塗り塗膜安定化温度または触媒活性化温度において完全に気化する。
【0009】
上記出願に開示されたポリマーバリアー塗膜は、ある場合には、疎水性ポリマー塗膜と親水性下塗り塗膜との間の表面相互作用が観察されはするものの、CTEの増大を緩和し、かつ微細気孔を備えたセラミックフィルタに下塗り塗膜層を施すことから必然的に発生する排気通気性の低下を制限する。かくして、下塗り塗膜層を付けることによる背圧増大および気孔の閉塞を完全に回避することが困難ではあるものの、上記塗膜は、広範なセラミックフィルタ材料を現在の市場の要求に適合し得る熱膨張および通気特性における改善を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,541,407号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第60/400,248号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/209,684号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/098,711号明細書
【特許文献5】米国特許第4,532,228号明細書
【特許文献6】米国特許出願第10/641,638号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
触媒フィルタの開発において大幅な進歩があるものの、それでもなお、熱膨張および圧力低下および/または多孔性に関しては、触媒フィルタのみでなく、通常のフロースルー型セラミック触媒担体の鍵となる特性である。したがって、高い下塗り塗膜添加量にも拘わらず、セラミック担体またはフィルタ材料の低い熱膨張係数と高い通気性とを同時に維持することができる改良された材料および方法が、依然として現在の開発プログラムの重要な課題として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下塗りコーティングおよび触媒塗膜コーティングが施される、微小亀裂を備えた高多孔質セラミックハニカムフィルタのパッシベーションに関して特別の効果を奏する優れた表面処理方法を提供するものである。本発明の優れた材料および工程によれば、下塗り工程中に微小亀裂、微細気孔およびマイクロチャンネルが防護されまたは予め満たされて、フィルタの高多孔質のセラミック壁の通気性がより選択的に防護される。
【0013】
本発明の効果は、その後に触媒コーティングが施される多孔質セラミック担体すなわちフィルタ構造を防護する熱架橋性ポリマーの利用によって齎される。かくして、一つの実施の形態においては、本発明は、先ず触媒コーティングを施すべき物品に対し、水のような適当なビヒクルに加えて、架橋促進剤と、熱架橋性かつ熱分解性炭化水素ポリマーとを含むポリマー溶液または分散液を施すことを含む多孔質セラミック物品の微細気孔組織の防護方法を包含する。上記ポリマー溶液は、十分に希釈され、および/または、セラミックの気孔組織を効果的に透過するのに適した粘性を保証する流動性を有する。
【0014】
上記水性ポリマー溶液または分散液を施した後、上記セラミック物品を、水または他のビヒクルが実質的に除去されかつ炭化水素ポリマーの熱架橋が達成されるのに十分な温度に加熱する。完全な乾燥と上記ポリマーの十分な架橋とが単一の加熱サイクル中に効果的に達成されるように、上記ポリマーの架橋が上記ビヒクルの気化温度の近傍で開始されることが望ましい。しかしながら、乾燥と架橋とが別個の段階またはサイクルを用いることもできる。乾燥/架橋工程の重要な様相は、セラミックの微細気孔、マイクロチャンネルおよび微小亀裂の内部にポリマーコーティング材料をより選択的に堆積させるポリマー溶液濃度を実現することであるようである。
【0015】
第2の様相において、本発明は、触媒を用いたガスフィルタなどのセラミック触媒担体に対し触媒または触媒の下塗り塗膜を施す改良された方法を提供するものである。この方法によれば、先ず、上述したポリマーコーティング法により、熱架橋性ポリマーからなるバリアー塗膜を上記触媒担体に施す。その後、このポリマーで被覆された担体に対し、触媒懸濁液または、触媒を含むまたは含まない下塗り塗膜を施し、そして触媒懸濁液または下塗り塗膜を乾燥させて、触媒で被覆されたまたは下塗り塗膜で被覆された担体を提供する。
【0016】
最後に、下塗り塗膜または触媒で被覆された担体を、少なくとも架橋されたポリマー塗膜が熱分解または酸化によって除去されるのに十分な温度に加熱する。得られた触媒で被覆されたまたは下塗り塗膜で被覆された担体は、触媒コーティングまた下塗りコーティング後の圧力低下度合いが、従来技術で提供された同様のコーティングが施された担体よりも少ないので、燃焼排ガスのような流体流から微粒子を除去するフィルタとして用いるのに特に適している。
【0017】
本発明の有効性に関する理由は完全に確認されてはいないが、熱架橋を伴う加熱は、セラミック物品の微細気孔および微細に繋がるマイクロチャンネル内部にポリマー溶液を充填するのに役立つものと現在は理解されている。溶液の乾燥工程の最終段階において熱的活性化による架橋が開始されるように、毛細管効果がマイクロチャンネルおよび微細気孔内の溶液の沸点を高め、セラミック内部の微細気孔および相互連結しているマイクロチャンネルの開口部を選択的に占有または閉塞する。微細気孔/マイクロチャンネルが閉塞された結果、触媒および/または下塗り塗膜溶液は、より粗大なセラミックの気孔組織内に導入されることとなる。
【0018】
架橋されたポリマーを除去する熱処理によって、ポリマーで閉塞されていたセラミックの微細気孔およびチャンネル組織がきれいにされ、ガスが流動する当初の多孔質フィルタ壁の通気性が回復され再確立される。さらに、セラミックの壁の気孔の容積の大部分は粗大気孔組織によって形成されているので、下塗りコーティングが施された壁の圧力低下度合いの少なさと組み合わされた高い触媒添加特性が実現される。
【0019】
上述した本発明の方法の重要な利点は、選択的なポリマーコーティングが、微小亀裂の防護または微細な気孔の閉塞に必要なポリマーの量を低減させることにある。これにより、処理コストが低減し、かつ触媒付け工程からの二次的排出もかなり低減する。触媒コーティング処理業者にとっては双方とも重要な動機である。
【0020】
さらなる様相において、本発明は、多孔質セラミック物品が粗大気孔部分と微細気孔/マイクロチャンネル部分との存在によって特徴付けられる気孔組織を有し、この気孔組織が、この物品の微細気孔/マイクロチャンネル気孔部分を優先的に閉塞する架橋されたポリマーバリアーコーティングを可能にする。物品の微細気孔/マイクロチャンネル部分を優先的に閉塞するということは、物品の微細気孔/マイクロチャンネル部分の容積が、バリアー塗膜の存在によって粗大気孔部分の容積に比較して低減されるという意味である。本発明によるポリマーバリアー塗膜を備えた多孔質セラミックの中で好ましいのは、主としてチタン酸アルミニウムまたはコージェライトセラミック材料からなる多孔質セラミックフィルタ基体である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】架橋性ポリマー溶液により、選択的な触媒下塗りコーティングを選択的に施すことが可能な工程の概略的説明図
【図2】架橋性ポリマーによる前処理を施した場合と施さない場合との双方の場合における、下塗りコーティングを施さない多孔質フィルタの圧力低下に対する下塗りコーティングを施した多孔質フィルタの圧力低下の比をプロットしたグラフ
【図3】本発明による架橋されたポリマーバリアー塗膜を備えた多孔質セラミックの粗大気孔および微細気孔/マイクロチャンネルの相対容積をプロットしたグラフ
【図4】組織内に存在するポリマーの局部的分布を示す、ポリマーで被覆されたフィルタの断面の顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に用いるための好ましい架橋性ポリマーは、アミン官能性水溶性イオネンを含む水溶性ポリマーイオネンである。これらのポリマーは、正常に架橋されると、一般的な水性下塗り塗膜または触媒調剤の存在下で中性または親水性の表面を維持しつつ、セラミックの微細気孔およびマイクロチャンネル内への微粒子の侵入に対して特に抵抗力のある適切に目標を定めたバリアーを提供し、その結果、これら溶液による触媒または下塗り塗膜の効率的な堆積を阻害することはない。さらに、これらのポリマーから形成する架橋されたバリアー被膜は、適度の温度において、残留物を残すことなく、かつその上にある下塗り塗膜を崩壊させることなく熱分解することによって、セラミック材料の相互連結されたマイクロチャンネル組織から完全に除去することができる。
【0023】
イオネン形式の熱架橋性炭化水素ポリマーの代表的な例は、米国ペンシルバニア州トレヴォース所在のジー・イー・ウォーター・テクノロジーズ(GE Water Technologies)社のジー・イー・ベッツ(GE Betz)部門から販売されているPC-1195(登録商標)溶液などの市販の水処理ポリマー調剤である。このポリマーは、約170,000の分子量を有し、分子の側鎖に2モル%の官能性アミン基を備えた標準的第四アンモニウム基主鎖からなる。
【0024】
架橋剤であるエピクロロヒドリンの存在下でのこのポリマーの熱架橋の一般的な反応経路は下記の通りである。


【化1】

【0025】
上記の特定のポリマーに関し、xの値は一般に1960であり、yの値は一般に約40である。上記の架橋過程において、官能性側鎖上のアミノ基(A)が先ず架橋剤のエポキシ基と反応して付加物(B)を形成する。次に付加物上の塩化物の部位がメンシュトキン反応により未反応のポリマー側鎖の官能性アミノ基と反応して、架橋された生成物を形成する。
【0026】
上記メンシュトキン反応は、低いポリマー濃度における遅い反応であり、したがって、これらの反応によりゲル化点まで進行する架橋は、通常、高温においてのみ、かつ比較的濃縮されたポリマー溶液中で生じる。それ故に、この反応経路は、広範囲の異なる多孔質セラミック材料に関する架橋されたポリマー塗膜の分布および特性を調節するための効果的な調節メカニズムを提供する。
【0027】
理論に縛られるつもりはないが、ここで理解されているような多孔質セラミック物品の選択的下塗りコーティングまたは触媒コーティングに関するメカニズムが、図1に示されている。先ず図1(a)を参照すると、下塗りコーティングのために選択された多孔質セラミック物品の一部分10は、粗大気孔12と、これら粗大気孔12に接続された、および/または粗大気孔12同士を相互連結するマイクロチャンネル14および微細気孔16との双方を含む気孔組織によって特徴付けられている。この気孔組織の連続的な相互連結された性質は、このセラミックに高い通気性を与えている。
【0028】
図1(b)を参照すると、架橋されるポリマーコーティングをこのようなセラミック物品の気孔組織内に施す過程で、先ずポリマー溶液18がセラミックの気孔組織に、特にその微細気孔16およびマイクロチャンネル14に完全に充填されることになる。次にセラミックを加熱してポリマー18を乾燥かつ架橋させて、図1(c)に示されているように、架橋されたポリマー18aを生成させる。注目すべきは、架橋されたポリマー18aの分布は、セラミックの粗大気孔の壁上には比較的薄い塗膜を形成するが、セラミックの微細気孔およびマイクロチャンネル内では、これらのより小さい開口部の大部分を満たし、および/または塞ぐのに十分なサイズのポリマー濃度を含むようであるという事実である。
【0029】
結論付けではないにしても、図1(c)に示されているような熱によって架橋されたバリアー塗膜の分布に関する証拠は、バリアーコーティングされたセラミックサンプル内の粗大気孔の容積よりも微細気孔/マイクロチャンネルの容積を優先的に減少させることを示す水銀多孔度計のデータによって提供される。多孔質セラミック内部の約5μm以下の最小断面寸法を有する気孔およびチャンネルを意味する微細気孔およびマイクロチャンネルに関し、この材料の微細気孔/マイクロチャンネルの容積は、このような気孔およびチャンネルで形成された材料の全体の気孔容積のほんの僅かの部分である。
【0030】
セラミックの多孔質構造内に触媒または触媒下塗り塗膜を施しかつ固定し、図1(c)に示されているような架橋されたポリマーバリアー塗膜を除去すると、図1(d)に示されているような塗膜分布が得られる。この塗膜分布は、粗大気孔の表面上には効果的な厚さの下塗り塗膜または触媒塗膜20が存在するが、セラミックのマイクロチャンネルおよび微細気孔には、下塗り塗膜が殆ど存在しないことによって特徴付けられる。この触媒および/または触媒下塗り塗膜の選択的分布は、良好な触媒効率のみでなく良好な通気性を備えた触媒付けされたセラミック製品を生む。
【0031】
架橋されたポリマー塗膜は、多孔質セラミックのための他のポリマー塗膜または有機塗膜よりも3倍も勝る利点を有する。第1に、架橋ステップはポリマーをより水に溶け難く分散し難くし、後に施される水性下塗りコーティング懸濁液によってポリマー塗膜が運び出されたり除去されたりする傾向を最少にするかまたは全く排除する。第2に、架橋はポリマー塗膜の厚さを著しく薄くして、触媒および/または下塗り塗膜の堆積に応じる粗大気孔の容積割合を増大させることができる。第3に、微小亀裂、微細気孔およびマイクロチャンネルの効果的な閉塞に用いられるポリマーの量を著しく減らすことができる。
【0032】
上述したバリアー塗膜の堆積には、特定の機能要求を満たすものであれば、理論的にはいかなる種類の架橋性ポリマーをも採用することができる。一つの要求は、ポリマーが、多孔質セラミックの活性の気孔表面と最初に接触したときに、架橋またはその他によって、急速には粘度が増大しない低粘度の安定な溶液または懸濁液を形成していることである。第2に、選択されたポリマーは、水性下塗りコーティング溶液および/または触媒コーティング溶液に濡れる、および/または相溶性の架橋されたポリマー塗膜を形成しなければならない。そして最後に、ポリマーで形成された架橋された塗膜は完全に熱分解可能なこと、すなわち、適度の下塗り塗膜安定化温度または触媒活性化温度において特に残渣を残さずに気化可能なことである。
【0033】
これらの与えられた要求に対して、水溶性アミン官能性イオネンは、現在のところこれらのバリアーコーティングのための好ましいポリマーを構成する。しかしながら、気化可能な液体中に安定的に分散もしくは溶解されて低粘度の溶液を形成でき、かつこの溶液の乾燥温度の近辺でポリマーの架橋を開始することができるポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、およびポリアクリルアミンのような他のポリマー系も代わりに使用可能である。
【0034】
低CTE、高通気性を有するセラミック製品の製造に関して好ましいポリマー溶液は、一般に水溶性ポリマーの約1〜20重量%を含む比較的低濃度のポリマー水溶液である。使用される架橋剤の量は、選択されるポリマーおよび架橋剤に応じて異なるが、日常の実験によって容易に決定される。エピクロロヒドリンは、アミン官能性イオネンのためのより効果的な架橋剤の一つであり、溶液中に存在する約1〜20重量%の範囲内のポリマー濃度における溶液の約8〜9の範囲内のpH値において一般に有用である。しかしながら、良く知られた二塩化物および/またはジアミンポリマー架橋剤を含む他の架橋剤も、代わりにまたは追加して、使用可能である。多孔質セラミック基体に施されるような溶液から水分を除去するには、セラミックを100℃の範囲内の温度に加熱することによって都合良く実施することができ、残っているポリマーの架橋もこの温度で効率的に進行する。
【実施例】
【0035】
以下、下記の実施例を参照して、本発明を説明するが、これは限定ではなく説明のためのものである。
【0036】
実施例1
架橋性ポリマー溶液を下記の二つの手順のうちの1つによって提供する。第1の手順においては、70%(重量)ヘキサメチレンジアミン溶液の4.0gおよび99%(重量)エピクロロヒドリンの7.5gを、3種類のイオネンポリマー溶液2500mlサンプルに混合する。これらポリマー溶液は、どの溶液についても、市販のイオネンポリマー調剤を適当な水で希釈することによって得られる、1.5%(重量)、3%(重量)および6%(重量)のポリマー濃度を有する溶液である。上記市販の調剤は、米国ペンシルバニア州トレヴォース所在のジー・イー・ウォーター・テクノロジーズ社のジー・イー・ベッツ部門から販売されているPC-1195(登録商標)ポリマー溶液であり、約40〜50重量%の約170,000の分子量を有する溶解されたアミン官能性イオネンポリマー固形分を含む。このようにして提供された3種類の架橋性ポリマー溶液を、使用に先立って5日間寝かす。
【0037】
第2の手順においては、12%(重量)「PC-1195」イオネン溶液の3450mlサンプルを、室温において、70%(重量)ヘキサメチレンジアミン溶液の30.0gおよび99%(重量)エピクロロヒドリンの63.4gに混合する。得られた溶液を5日間寝かし、その後、そのままの濃度で、または水で希釈された濃度で用いて、多孔質セラミックを前処理するための適当な濃度のポリマー溶液を提供する。
【0038】
セラミック触媒担体内で低熱膨張率および高通気性を維持することに関するこれらポリマー溶液の有効性をテストするために、ポリマーコーティングのための多数のセラミックハニカム・サンプルを選ぶ。選ばれたサンプルは、多孔質ストロンチウム長石(SrO・Al・2SiO)チタン酸アルミニウムセラミックからなり、かつハニカムの断面の1平方センチ当たり31個(1平方インチ当たり200個)のセル密度において軸線方向に延びる、交互に栓をされたチャンネルを備えた直径約5cm、長さ約12cmの円筒状セラミックハニカムフィルタ・サンプルである。これらのフィルタを形成するチタン酸アルミニウムセラミック材料は、完全に焼結された密度約3.5g/cmと15〜16×10−7/℃の線膨張係数(25〜1000℃)とを有する。ハニカムの多孔質の壁は、約0.4mmの厚さと、容積約47〜48%の多孔度とを有する。
【0039】
テストされる各溶液に対し、上述したハニカムフィルタ・サンプルを真空中で溶液中に浸し、取り出し、次いで炉内で乾燥させ、かつ温度100℃で約3時間の加熱によって架橋させる。
【0040】
上述した処理によるこれらハニカムのバリアーコーティングに続いて、コーティングされたサンプルを、市販のアルミナを主成分とする下塗りコーティング溶液を利用して通常の下塗りコーティング処理を実施する。採用されたこの下塗りコーティング溶液は、米国マサチューセッツ州アシュランド所在のナイアコル・ナノ・テクノロジーズ(Nyacol Nano Technologies)社から発売されている Nyacol(登録商標)AL20 コロイド状アルミナゾルである。下塗りコーティング処理は、バリアーコーティングされたフィルタを下塗りコーティング溶液中に2分間浸漬して、一様な塗膜層を得る浸漬コーティングであり、次いで圧縮空気を用いて余分な塗膜をサンプルから取り除く。
【0041】
このようにして下塗りコーティングが施されたフィルタサンプルを、次に室温で15分間空気乾燥させ、次にプログラム可能な炉内で100℃において3時間炉内乾燥させる。次に乾燥済みの下塗り塗膜が施されたフィルタサンプルを、炉内で550℃の保持温度にまで加熱し、この温度を3時間保持して、架橋されたポリマーバリアー材料を熱分解させ、アルミナ下塗り塗膜を定着させる。最後に、熱処理されたサンプルを炉から取り出し、秤量して各サンプルに堆積された下塗り塗膜の量を測定し、熱膨張変化特性および圧力低下特性を評価する。
【0042】
上述のような、架橋性ポリマーバリアー溶液で前処理されたこれらの下塗りコーティングが施されたフィルタのテストから得られた典型的な結果が、下記の表1に報告されている。各サンプルに関して表1に含まれているのは、サンプルの裸の重量、採用されたポリマーバリアーコーティング溶液の濃度、コーティングされたサンプル重量に対する乾燥され架橋されたポリマー塗膜の重量%、グラム/リットルで表された、下塗りコーティングが施されたサンプルの容積に対する下塗り塗膜の重量、25〜1000℃の温度範囲に亘る1℃当たりの平均膨張として表される、下塗りコーティングが施されたサンプルに関する線熱膨張係数(CTE)値、および人工排ガス(空気)の流れにおいて測定された、下塗りコーティングが施されたサンプルに関する流体の圧力低下である。
【0043】
表1に含まれる圧力低下データは、圧力低下比として報告されており、いずれの場合も、標準的なテスト条件下における初期の(裸の)フィルタの圧力低下に対する下塗り塗膜が施されたフィルタの圧力低下の比である。標準的なテスト条件は、フィルタに約5g/リットルの人工的に捕捉された炭素微粒子を添加した後にフィルタを通る約0.75m/分のガス流量におけるフィルタの圧力低下を測定したものである。
【表1】

【0044】
表1に示されているように、架橋されたポリマー塗膜の重量は、前処理溶液の濃度の増大に伴って線形に増大し、サンプルのCTEは、塗膜重量の増大に伴って急激に減少している。この一連のテストに関し、三つのケースのすべてにおいて下塗り塗膜添加量は基本的に同一(53〜55g/L)であり、かつ裸のフィルタの圧力低下に対する下塗りコーティングが施されたフィルタの圧力低下の比に示されているように、下塗りコーティングが施されたフィルタにおける圧力低下の増大量は、これら三つのケースのすべてにおいて55%以下である。ポリマーバリアーコーティングを施されていないで下塗りコーティングが施された同じ組成のフィルタで観察される一般的な圧力低下比は、施された下塗りコーティング材料の重量に直接的に左右されて1.6〜2.0の範囲内にある。
【0045】
実施例2
上述した実施例1のテストに続いて、実施例1のフィルタサンプルと同様の組成を有するが、25〜1000℃の温度範囲に亘って約4.7×10−7/℃のより低い平均線膨張係数(CTE)を有するいくつかのさらに別のチタン酸アルミニウムセラミックサンプルに、上述の実施例のようにポリマーコーティングと下塗りコーティングとを施した。次にこれら下塗りコーティングが施されたサンプルのCTEの増大程度をテストし、そのテスト結果が表2に報告されている。
【表2】

【0046】
表2に報告されたデータが示唆しているように、高濃度の架橋性イオネンポリマー溶液でコーティングされたセラミックハニカムのサンプルは、下塗りコーティング処理の結果、熱膨張変化レベルが低下している。実際に、十分に高い架橋されたポリマーバリアー塗膜重量を提供することができる高濃度のバリアーポリマーコーティング溶液を用いれば、下塗りコーティングが施されたチタン酸アルミニウムセラミック・ハニカムのCTEを、裸のフィルタのCTEに極めて近づけることができる。
【0047】
架橋されるポリマーによるバリアーコーティングの優れた効果は、特定のセラミック一族に限定されるものではなく、多種類の通気性セラミック触媒担体に関しても得ることができる。したがって、架橋されるポリマーによるバリアーコーティングを、下記に示すようにコージェライト(アルミノ珪酸マグネシウム)セラミックフィルタに施した場合においても、下塗りコーティングが施されたフィルタの通気性およびCTEにおける同様の改善結果が得られる。
【0048】
実施例3
コージェライトハニカムの原料から多数のセラミックコーティング・サンプルを調製し、それらの両端に交互に栓を施して小型のハニカムフィルタのサンプルを提供する。コージェライトハニカムは、約31セル/cmのセル密度と、約300μmの壁厚と、約8×10−7/℃の平均線膨張係数(25〜1000℃)を有する。
【0049】
各フィルタサンプルに、上述したイオネンポリマー溶液から選択された架橋性イオネンポリマーのコーティングを施し、次に、実施例1に記載されているように、加熱して、水分を除去しかつポリマーを架橋させる。次に、市販の「Nyacol」AL20 アルミナ下塗りコーティング懸濁液が使用に先立って先ず水で希釈されてpH3.5にされたことを除いて、実施例1に記載されているようにアルミナ懸濁液でサンプルに下塗りコーティングを施す。最後に懸濁液でコーティングされたサンプルを加熱して下塗り塗膜を定着させかつポリマー塗膜を熱分解させる。
【0050】
下記の表3は、上述のように生成されたコージェライトサンプルのテストから得られたデータを、下塗りコーティング処理に先立つ架橋性ポリマーバリアーコーティングが施されていない2個の追加サンプルのデータとともに示す。テストされた各サンプルのデータに関する表3に含まれているのは、裸のサンプル重量、サンプルのコーティングに採用されたポリマーバリアーコーティング溶液の濃度、サンプルの重量に対する架橋されたポリマー塗膜の重量の百分率、サンプル容積に対するグラム/リットルで表された、下塗りコーティングが施された各サンプルの下塗り塗膜の重量、下塗りコーティングが施されたサンプルの25〜1000℃の温度範囲に亘る1℃当たりの平均膨張を表す線膨張係数値(CTE)、および下塗りコーティングが施されたサンプルの圧力低下データである。圧力低下データは、実施例1と同様に、上述したのと同様の圧力低下テスト条件下での裸のフィルタの圧力低下に対する下塗りコーティングが施されたフィルタの圧力低下の比である。
【表3】

【0051】
表3のデータに示されているように、ポリマーで前処理されたコージェライトフィルタは、下塗りコーティング処理に先立つポリマーコーティングが施されなかったフィルタと比較して、著しい熱膨張係数の減少を示している。防護されていないフィルタが示すCTE値から約10〜30%のCTEの減少が一般的である。さらに重要なのは、ポリマーで前処理されたフィルタに関する圧力低下比が、同様の下塗り塗膜添加量において、下塗りコーティングのみでポリマーバリアーコーティングを施す前処理がなされなかったフィルタよりも40〜65%も減少していることである。
【0052】
炉内乾燥および架橋工程中におけるポリマーによる微細な気孔およびチャンネルの閉塞は、これらのコージェライトセラミック材料における下塗り塗膜の最終的分布の調節に重要な役割を演じていると考えられる。約40〜65%の多孔度を有するコージェライトフィルタに関しては、架橋されるポリマーによるバリアーコーティングを採用すると、裸のフィルタの圧力低下レベルから約50%もの減少が可能になることが分った。
【0053】
図2は、二種類のシリーズのコージェライトフィルタに関するアルミナ下塗り塗膜添加量に対する上述のような圧力低下比をプロットしたグラフである。図2にデータ曲線Aで示された第1のシリーズは、架橋されるポリマーバリアーコーティングによる前処理を施されないで下塗りコーティングが施されたフィルタを含んでいる。データ曲線Bで示された第2のシリーズは、下塗りコーティング処理に先立って前処理された、架橋されるポリマーバリアー被膜を備えた同様に下塗りコーティングが施されたフィルタを含んでいる。これらのデータが示しているように、バリアーコーティングが施されたフィルタ(B)に関する圧力低下比は、下塗り塗膜添加量の増大に伴って、バリアー塗膜によって防護されていないフィルタの圧力低下比よりも緩やかに上昇している。したがって、バリアーコーティングが施されたフィルタにおいては、旧来の態様で下塗りコーティングが施されたフィルタによってもたらされる圧力低下を超えることなしに、フィルタの下塗り塗膜および/または触媒の添加量を著しく増大させることができ、あるいは旧来の下塗り塗膜/触媒添加量においても極めて低い圧力低下をもってフィルタを動作させることができる利点がある。
【0054】
図3は、上述のような2種類の架橋されたポリマーバリアー塗膜を備えた多孔質セラミック材料における種々の範囲に亘る気孔サイズの関数としての相対気孔分布をプロットしたものである。評価されるコーティングされたセラミックサンプルは、この目的のために約5μm以下の範囲内の直径を有するように画成された微細気孔と、この目的のために5μmから40μmまでの直径を有するように画成された粗大気孔との双方を備えている。
【0055】
曲線Aは、第1のセラミックサンプルに、架橋されるポリマーバリアーコーティングを3重量%イオネンポリマー溶液により施すことによってもたらされた、気孔サイズ分布における、無変化を表すゼロ基線からの気孔分布の相対変化をプロットしたものであり、曲線Bは、6量%イオネンポリマー溶液の使用による第2のセラミックサンプルの対応する変化をプロットしたものである。双方の曲線は、微細気孔/マイクロチャンネルのサイズ範囲における気孔分布が、粗大気孔のサイズ範囲における気孔分布に比較して実質的に低下している点で、施されたバリアーコーティングによるセラミックの微細気孔/マイクロチャンネルの気孔部分の優先的な閉塞を示唆している。より高い濃度のポリマー溶液が、より大きい優先的閉塞効果を奏している。
【0056】
図4は、ポリマーコーティングが施されたセラミックハニカムフィルタ・サンプルの小断面の電子マイクロプローブ分析から得られた顕微鏡写真である。図4の分析は、セラミックの気孔組織内部の架橋されたポリマーの集中に伴う塩素を調べたものであり、気孔組織はダークグレイの大きく相互連結された網状組織部分Xによって示されている。顕微鏡写真における明るい領域は、気孔組織の微細気孔およびマイクロチャンネル領域Y内のポリマー分布を示しており、このポリマーコーティングが、気孔組織内の下塗り塗膜の堆積をポリマー塗膜によって阻止しながら、下塗り塗膜および触媒の堆積のために開放されたセラミックの気孔部分を残している。
【0057】
勿論、上述した実施例および記述内容は、本発明を限定するものではなく、添付の請求項の範囲内で実施される本発明の説明を意図したものである。
【符号の説明】
【0058】
10 多孔質セラミック物品の一部分
12 粗大気孔
14 マイクロチャンネル
16 微細気孔
18 ポリマー
18a 架橋されたポリマー
20 触媒塗膜または下塗り塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒または触媒下塗り塗膜を多孔質セラミック触媒担体に施す方法であって、
粗大気孔部分、微細気孔部分およびマイクロチャンネル部分を有する気孔組織を備えた多孔質セラミック触媒担体を用意し、
(i)液体ビヒクル、(ii)架橋促進剤、および(iii)アミン官能性イオネン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、およびポリアクリルアミンからなる群より選択された、熱架橋性で熱分解性水溶性炭化水素ポリマー、を含むポリマー溶液または分散液を前記多孔質セラミック触媒担体に施し、
該多孔質セラミック触媒担体を加熱して、施されたポリマー溶液または分散液を乾燥させ、そして前記炭化水素ポリマーを架橋させ、これにより、前記微細気孔部分および前記マイクロチャンネル部分が前記架橋されたポリマーによって優先的に閉塞された、架橋されたポリマーで被覆された担体を提供し、
該架橋されたポリマーで被覆された担体に水性下塗り塗膜または触媒塗膜を施しかつ該触媒塗膜または下塗り塗膜を乾燥させて、触媒塗膜または下塗り塗膜で被覆された担体を提供し、
該触媒塗膜または下塗り塗膜で被覆された担体を加熱して、前記架橋されたポリマーを熱分解して該ポリマーの被覆を除去し、それによって、前記触媒塗膜または下塗り塗膜が前記粗大気孔部分に選択的に分布した、前記触媒塗膜または下塗り塗膜で被覆された担体を得る、
各ステップを有してなる方法。
【請求項2】
前記炭化水素ポリマーが、5000〜200000の範囲内の分子量を有するアミン官能性イオネンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
80〜120℃の範囲内の温度に加熱して前記炭化水素ポリマーを架橋させることを特徴とする請求項2項記載の方法。
【請求項4】
前記架橋促進剤が、エピクロロヒドリンおよびジアミンからなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記多孔質セラミック触媒担体が、チタン酸アルミニウムおよびコージェライトからなる群より選択された主結晶相を備えたセラミックハニカムであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記水性下塗り塗膜または触媒塗膜が、アルミナ、アルミナ先駆物質、またはアルミナを含む混合物の分散体を含むことを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−27868(P2013−27868A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191549(P2012−191549)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【分割の表示】特願2007−500878(P2007−500878)の分割
【原出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】