触媒性放射性フッ素化
本発明のある局面は、放射性フッ素化された置換アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアルケニル化合物を投与する方法に関する。好ましい態様において、カリウムフッ化物−18を用いる。本発明の別の局面は、イメージング剤として有用なフッ素−18を含有するピペラジン化合物に関する。いくつかの態様において、ピペラジン化合物は、一定量のアミンを含有する。本発明の別の局面は、イメージング剤として有用なフッ素−18を含有するアリールホスホニウム化合物に関する。いくつかの態様において、ホスホニウム化合物は、テトラアリールホスホニウム塩である。本発明の別の局面は、哺乳動物の陽電子放出画像を取得する方法であって、哺乳動物に本発明の化合物を投与するステップおよび該哺乳動物の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2004年2月24日に出願された米国仮特許出願第60/547,206号の優先権を主張する。これらの出願の内容全体を本明細書中に引用によって援用する。
【背景技術】
【0002】
現代のメディカルイメージングは、放射性同位元素の使用に大いに依存している。最初に臨床的に採用された放射性同位元素の1つは、テクネチウム(Tc)であった。この元素は、1961年に、Na99mTcO4の形で初めてヒト被験者に投与された。ハロゲンを初めとした、他の放射性同位元素、例えば、125I、131I、および82Brなど、および鉛、ガリウム、レニウム、ヒ素および銅の種々の金属放射性核種のアイソトープが、潜在的なイメージング剤として調べられた。メディカルイメージングを、脳、腫瘍、心臓血管系の構成要素の撮像を含む、種々の医学的用途に用いる。
【0003】
血流イメージング剤は、心機能を測定するためのツールとして現在最も重要なものである。Tl−201、Tc−99−MIBIおよびTc−99−テトロフォスミンは、静止している心筋および運動後の心筋の画像化のために、ルーチンで用いられている。これらの物質は非常に有用であるが、最適ではない。これらのトレーサー(tracer)は、単一光子イメージング剤であり、それらの解像度は、SPECT撮像カメラの特性および技術に限定される。しかしながら、フッ素−18は、放出された放射減衰に対する高い解像度や修正を含む、いくつかの利点を持つ陽電子放出断層撮影法の画像技術によって検出することができる。実際、PETカメラの数、および画像中心は、フッ素―18の優れた性能に反応して増える。
【0004】
F−18は、臨床的核医学診断において現在用いられている、最も有用な陽電子放出性の放射性核種の1つである。例えば、2−[F−18]FDG(2−[F−18]−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)は、いくつかの癌および脳疾患の診断において選択される放射性薬物である。この放射性薬剤は、優れた高解像度画像および組織の定量的部分的取り込みを行う。110分半減期のフッ素−18は、2−[F−18]FDGを作製し、サイクロトロンセンター(cyclotron center)近くの核医学施設に分配することができる。フッ素−18は、身体半減期が比較的長いことによって、中等度に遅い生理学的プロセスのPET研究も可能である。フッ素−18は、主に陽電子の放出(97%)、および放出された陽電子が比較的低エネルギー(最大0.635MeV)であることによって腐敗し、したがって、短い平均射程(水中で2.39mn)を有する。フッ素−18は、粒子加速機および広範囲の核反応を持つ核反応器の双方によって容易に取得可能であり、1.171x109Ci/mmolの理論上の限界値に近づく特殊な活性において作製することができる。
【0005】
それらの優れたメディカルイメージング特性に加えて、フッ素原子は、多くの薬学的化合物の成分である。フッ素は、多くの生物学的活性分子において、2−デオキシ−D−グルコースの場合において成されるように、ほぼそれらの特性を変更することなく、水素原子の代替物としての機能を果たすことができる。
【0006】
F−18の有用性にもかかわらず、F−18を有機分子に導入するための方法は、非常に少ない。これまで、F−18の一重結合への導入は、メシラートまたはトリフラート上での交換反応を介して行われていた。別法として、F−18は、適切なスズ化合物および[F−18]F2を介して、または無水[F−18]フッ化物を用いて、電子求引性の活性化環上で、C−C二重結合もしくは芳香族環上に導入することもできるであろう。交換反応は、メシラートもしくはトリフラートを、F−18、炭酸カリウムおよびクリプトフィックスなどのクラウンエーテルの混合物で処理することによって行われる。その反応の最善の例は2−[F−18]FDGである。[F−18]−F2、[F−18]XeF2、[F−18]DAST、[F−18]トリエチルアンモニウムフッ化物を用いた他の反応も、特異的な放射能標識として報告されている。トリブチルスズ置換二重結合および芳香族環の放射性フッ素化(radioフッ素化)は、試薬として[F−18]F2を用いていた。しかしながら、これらの放射性フッ素化の特異的な活性は、冷F2担体のために非常に低い。活性化された芳香族環上での、F−18無水フッ化物を用いた、ニトロ部分の放射性フッ素化も報告されていた。しかしながら、大半のフッ素含有薬物は、ニトロ、アルデヒド、ケトン、エステルその他の電子吸引基によって活性化されることはない。したがって、この反応は、多くの化合物において適用することはできない。
【0007】
心筋層の分子挙動、生理学的特性、解剖学的特性および機能を理解することによって、心臓疾患の診断を向上させる新たな薬剤の開発を急ぐ必要がある。しかしながら、F-18を備え付けるために用いられる方法には特有の限定があるため、多くの生物学的に活性のある分子、薬剤、レセプターリガンド、ペプチド、およびタンパク質は、臨床的核医学に容易に利用することができない。したがって、化合物を、多岐にわたる有機基質に馴染みやすいF−18で標識するための新たな方法が必要である。
【発明の開示】
【0008】
本発明の一局面は、フルオロ置換アルキル、シクロアルキル、アリール、およびアルケニル化合物を調製する方法に関する。いくつかの態様において、無水カリウムフッ化物(flouride)は、アルキルまたはシクロアルキルスルホン酸塩、例えば、メシラートと反応する。いくつかの態様において、無水カリウムフッ化物(flouride)は、ニトロ芳香族化合物と反応する。ある好ましい態様において、該反応は、クリプトフィックスの存在下で行われる。ある好ましい態様において、カリウムフッ化物−18を使用する。
【0009】
本発明の別の局面は、イメージング剤として有用なフッ素―18を含有するピペラジン化合物に関する。いくつかの態様において、ピペラジン化合物は、4級アミンを含有する。いくつかの態様において、ピペラジン化合物は、シクロアルキル基またはアリール基で、N-置換されている。ある好ましい態様において、ピペラジン化合物は、4位においてフェニル基で置換され、1位においてフルオロシクロアルキル基で置換されている。
【0010】
本発明の別の局面は、イメージング剤として有用なフッ素―18を含有するアリールホスホニウム化合物に関する。いくつかの態様において、ホスホニウム化合物はテトラアリールホスホニウム塩である。ある好ましい態様において、アリールホスホニウム化合物は、テトラフェニルホスホニウム塩である。
【0011】
本発明の別の局面は、哺乳動物に本発明の化合物を投与するステップ、哺乳動物の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、哺乳動物の陽電子放出画像を取得する方法に関する。ある好ましい態様において、本発明の化合物は、フッ素−18で置換されたピペラジンである。
【発明の詳細な説明】
【0012】
放射性同位元素イメージング
タリウム−201、Tc−99−セスタミビ、およびテトロホスミンは、心筋かん流の臨床評価において現在最も広く用いられている放射性薬物である。しかしながら、陽電子放出断層撮影法(Positron Emission Tomography)(PET)技術の使用の普及や、SPECT薬剤の特性に関わる、これらの薬剤の制限から、より好適なPETトレーサーを探求することが促されてきた。心筋かん流薬を開発するための大半のアプローチは、通常、ヨード−123またはテクネチウム−99mをカチオン部分に組み込み、それによって、モノカチオン性タリウム(I)種の分散特性を潜在的に保持しながら、ヨードおよびテクネチウムのよりよい放射性核種特性の利点を利用するものである。多くの出版物が、心疾患の研究および臨床診断のための上記の単一光子放射形コンピュータ断層撮影法(Single Photon Emission Tomography)(SPECT)市販薬剤について記載している。血流剤をデザインする別の方法は、アンチピリンのような自由に拡散する薬剤を使用することである。しかしながら、このアプローチは、自由に拡散し、組織に顕著に溜まる薬剤と比較して、これらの薬剤は、モデリングが困難であること、および動力学データを迅速に回収する必要があることから避けられることが多い。
【0013】
F−18FDGの普及およびPETスキャナーの指数関数的増加によって、我々の努力は適切なF−18親油性カチオン性薬剤の開発に向けられてきた。発明者らは、帯電されたピペラジニウム塩およびテトラフェニルホスホニウム塩の変形に基づいて、2つの一連の薬剤を開発した。これらの塩の合成とF−18放射能標識は、好適なプレカーサーおよび放射能標識の適切な状態が必要であるため、容易な事ではない。ここで、発明者らは、いくつかの特異的な構造および血流剤などのそれらのアナログについて説明する。発明者らは、これらの薬剤の合成および放射能標識手順を考案した。
【0014】
触媒性放射性ハロゲン化
本発明の触媒性放射性ハロゲン化反応は、無水カリウムハライド、クラウンエーテル、および脱離基を持つ有機化合物を反応させることを含む。ある好ましい態様において、放射性ハロゲン化は、放射性フッ素化である。該反応は、脱離基をハライドで置換することによって進行する。重要なことは、本発明の反応は、脱離基の再活性化を高めるために化合物が活性化基を含む必要がないということである。例えば、放射性フッ素化反応は、非活性化ニトロアリール基、例えば、ニトロフェニル基に作用する。本発明の放射性フッ素化反応が、「活性化」および「非活性化」の双方の化合物に作用するという事実は、重要な突破口であり、医学的なイメージングに有用な多くの18F標識化合物の容易な調製を可能にするであろう。
【0015】
さらに、該反応は、溶媒の存在下もしくは不存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行われる反応では、該反応は、反応の基質と反応するかもしれないヒドロキシル基を持たない、大半の溶媒になじみやすいものでなければならない。好適な溶媒の代表的な選択は、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンジグライム、ジメトキシエタン(グライム)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ヘプタン、オクタン、酢酸ブチルなどを含む。特定の反応のための理想的な溶媒は、当該技術分野の当業者が、好ましい反応温度、溶媒の沸点、および溶媒中への基質の溶解性を考慮して決定することができる。
【0016】
いくつかの態様において、クラウンエーテル(crown
either)は、クリプトフィックスである。1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザ−シクロペンタデカン(クリプトフィックス(登録商標)21)、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプトフィックス(登録商標)222),4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサン(クリプトフィックス(登録商標)221)、および4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン(クリプトフィックス(登録商標)211)を含む、種々のクリプトフィックス組成物が、本発明において作用するであろう。
【0017】
最適な反応温度は、脱離基の反応性および反応に用いる溶媒の沸点を考慮して調整することができる。溶媒の不存在下では、約200℃までの温度で、反応を行うことができる。比較的高い反応温度は、反応時間を減少させる。あるいは、溶媒としてアセトニトリルを用いた場合、約120℃の反応温度がいくつかの基質において最適である。フッ素化反応は、より低い反応温度で行うことができる。より低い反応温度は、温度が上昇すれば分解されるかもしれない基質にとって有利である。しかしながら、反応を低温で行う場合、反応を完了させるのにより長い時間の間反応を行わなければならない。いくつかの態様において、反応は、少なくとも約25℃、40℃、50℃、または75℃で行われる。より好ましい態様において、反応は、少なくとも約100℃、110℃、120℃、または140℃で行われる。いくつかの態様において、反応は、少なくとも約180℃、200℃、または220℃で行われる。一般的に、約200℃付近で行われる反応は、溶媒を用いずに行われる。
【0018】
脱離基は、ハロゲン求核物質で置き換えることができるあらゆる化学的フラグメントとすることができる。いくつかの態様において、脱離基は、酢酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ハロゲン、ニトロ基などである。ある好ましい態様において、脱離基は、メシラート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、またはニトロ基である。脱離基は、アルキルまたはシクロアルキル基の第1または第2炭素原子に付着することができる。さらに、本発明のハロゲン化反応は、芳香族環に付着した脱離基にも作用する。ある好ましい態様において、芳香族環は、ベンゼン環であり、脱離基はニトロ基である。
【0019】
本発明のハロゲン化反応は、反応条件が無水であるとき、最もよく作用する。いくつかの態様において、該反応は、約5%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の水の存在下で行われる。ある好ましい態様において、反応条件は無水である。あらゆる水も用いる溶媒から除去することが重要である。さらに、カリウムフッ化物が無水であることが重要である。いくつかの態様において、カリウムフッ化物は、約3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、または0.1重量%未満の水を含有する。ある好ましい態様において、カリウムフッ化物は、1重量%未満の水を含有する。
【0020】
本発明のハロゲン化反応は、カリウムフッ化物以外のハロゲン源を用いて行うことができる。例えば、カリウムカチオンは、リチウム、ナトリウム、セシウム、またはルビジウムカチオンに置き換えることができる。さらに、カリウムカチオンは、正に帯電した遷移金属、例えば、ランタニド、アクチニドに置き換えることができる。いくつかの態様において、カリウムカチオンは、テトラアルキルアンモニウムカチオン、例えば、テトラブチルアンモニウムに置き換えることができる。本発明のハロゲン化反応を用いて、フッ化物のアイソトープ、例えば、18Fを導入することができる。いくつかの態様において、本発明のハロゲン化反応を用いて、ヨウ化物、臭素、または塩素のアイソトープを導入することができる。例えば、ヨウ化物は、放射性同位元素、例えば、123I、124I、125I、または131Iである。例えば、クロライドは、放射性同位元素、例えば、36Clである。例えば、臭素は、放射性同位元素、例えば、77Br、80Brまたは82Brである。
【0021】
いくつかの態様において、反応は、遷移金属の存在下でより急速に進行するかもしれない。いくつかの遷移金属は、芳香族炭素原子と複合体を形成して、それによって炭素原子を求核物質により影響を受けやすい状態に置くことが知られている。いくつかの遷移金属は、精力的にアクセスしやすいd-軌道を有している。それは、部分的にのみ電子が充填されている。これらの軌道の数および形状は、これらの触媒によって可能な多くの反応経路に起用する。金属活性化アレーンは、求核反応(図1)を行う。該金属は、しばしばニトロ基にたとえられる強い電子求引基として機能し、したがって、アレーンは、入ってくる求核物質からの電子密度を受け入れることができる。
【0022】
放射性フッ素化反応は、スルホン酸塩、ニトロ、酢酸塩、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、テロアリール、アラルキル、もしくはアルケニル化合物のハロゲン誘導体を含む広範囲の化合物になじみやすい。いくつかの好ましい態様において、放射性フッ素化置換基は、ニトロ芳香族化合物、アルキルメシラート、またはシクロアルキルメシラートである。アルケニルハライドおよびアルケニル酢酸塩はまた、反応条件になじみやすい。以下の予言的な例は、本発明の放射性フッ素化反応がF−18標識アルケニル化合物を調製するために使用することができるであろうことを示すものである。
【0023】
【化15】
【0024】
本発明の別の局面は、トリアジンをナトリウムヨウ化物およびクロロトリメチルシランと反応させることによって、アリールハライドを調製する方法に関する。ある好ましい態様において、ヨウ化物は放射性である。いくつかの態様において、ヨウ化物は、123I、124I、125I、または131Iである。ある好ましい態様において、ヨウ化物は、125Iである。反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行う反応においては、該反応は、反応のための基質と反応するかもしれないヒドロキシル基を持たない大半の有機溶媒になじみ深いもので無ければならない。好適な溶媒の代表的な例としては、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンジグライム、ジメトキシエタン(グライム)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ヘプタン、オクタン、酢酸ブチルなどがあげられる。特定の反応のための理想的な溶媒は、当該技術分野の当業者が、好ましい反応温度、溶媒の沸点、および溶媒中への基質の溶解性を考慮して決定することができる。
【0025】
最適な反応温度は、基質の熱感受性および反応に用いる溶媒の沸点を考慮して調整することができる。例えば、溶媒としてアセトニトリルを用いた場合、約120℃の反応温度がいくつかの基質において最適である。ヨウ素化反応は、より低い反応温度で行うことができる。より低い反応温度は、温度が上昇すれば分解されるかもしれない基質にとって有利である。しかしながら、反応を低温で行う場合、反応を完了させるのにより長い時間の間反応を行わなければならない。 いくつかの態様において、いくつかの態様において、反応は、少なくとも約25℃、40℃、50℃、または75℃で行われる。より好ましい態様において、反応は、少なくとも約100℃、110℃、120℃、または140℃で行われる。しかしながら、いくつかの態様において、反応は、少なくとも約150℃または180℃で行ってもよい。
【0026】
本発明のハロゲン化反応は、ナトリウムヨウ化物以外のハロゲン源を用いて行うことができる。例えば、ナトリウムカチオンは、リチウム、カリウム、セシウム、またはルビジウムカチオンに置き換えることができる。さらに、ナトリウムカチオンは、正に帯電した遷移金属、例えば、ランタニド、アクチニドに置き換えることができる。本発明のハロゲン化反応を用いて、ヨウ化物のアイソトープ、例えば、123I、124I、125I、または131Iを導入することができる。いくつかの態様において、本発明のハロゲン化反応を用いて、フッ化物、クロライド、または臭化物のアイソトープを導入することができる。例えば、ヨウ化物は、放射性同位元素、例えば、123I、124I、125I、または131Iである。いくつかの態様において、フッ化物は、18Fである。例えば、クロライドは、放射性同位元素、例えば、36Clである。例えば、臭素は、放射性同位元素、例えば、77Br、80Brまたは82Brである
【0027】
クロロシランは、アルキルおよびアリール基の数の合計が3になるように、1〜2のアルキル基および1〜2のアリール基を持つ、トリアルキルクロロシラン、トリアリールクロロシラン、トリアラルキルクロロシラン、またはクロロシランのいずれかである。いくつかの態様において、クロロシランはtert-ブチルジメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、またはトリメチルクロロシラン、ジフェニルクロロメチルシランである。ある好ましい態様において、クロロシランは、トリメチルクロロシランである。
【0028】
本発明は、触媒交換反応を用いて、フッ化物−18を多くの有機分子に導入する方法を提供する。この方法の1つの有利な点は、多くの生物学的活性のある分子を、多くの施設においてルーチンで生成されている、単純な形態のフッ化物−18で放射性標識付けすることができる簡易さ、および可能性である。この方法によって、多くの新しい、価値のある放射性薬物を広く製造し、使用することを可能とするであろう。本発明の放射性フッ素化方法は、フッ化物−18および他のハロゲンを一重結合、または二重結合、すなわち、sp3−ハイブリダイズされた炭素およびsp2−ハイブリダイズされた炭素上に備えるのに有用である。
【0029】
生体分布分析
ラット
CD Fisherラット(175〜225g)に、エーテル麻酔を施し、尾部静脈を介して、0.2 mL(20〜40mCi)のF−18標識化合物を注射する。1群6匹のラットのそれぞれを、注射の5分後、30分後、および60分後に、エーテルで窒息させることによって屠殺する。適切な臓器を切開し、ブロット乾燥(blotted dry)させ、重量計測し、NaI(Tl)ガンマウェル型シンチレーションカウンターで放射能の有無を調べた。胸部腔内の静脈から血液を採取し、放射能の有無を調べる。
【0030】
サル
動物をマイクロPET断層カメラに配置し、2.5mLの0.9%塩水の溶けた2〜5mCiのF−18−メチル化フェニルピペラジニウム誘導体を数秒間かけて静脈投与する。PETデータを1時間かけて回収し、最初に10分、続いて1分の間は10秒統合露出を行う。分散、偶然の一致、自己吸収、および検出の単一性変化についてのデータを回収する。定量的断層構築物を算定する。対象試薬の時間−活性曲線を回収する。
【0031】
可能な心筋のイメージング剤としての、これらの放射性化学物質の評価において対象となるパラメーターは、心臓での取り込み、肝臓、胚、および血液などの周辺組織と比較して心臓を選択すること、ならびに心臓の活性化を保持することを含む。
【0032】
本発明によれば、[F−18]−1−メチル−1−(フルオロアルキル)−4−フェニルピペラジニウム誘導体は、容易に調製することができ、それらは、マークされた心筋の取り込みおよび選択性を有する。放射性標識された化合物は、急速にラット心筋層に位置づけられ、有意な保持率で、高い取り込み、良好な標的と非標的との選択性を提供する。組織分布を、既に評価されている125I標識化合物と比較する。さらなる前臨床研究を、これらの試薬の分布を、マイクロスフェアや他の潅流マーカーと比較する。
【0033】
血流剤としての薬物をPETイメージングおよびマイクロスフェア注射によって確認する方法
動物(ブタまたはラット)を、アクセプトされているプロトコルにしたがって、簡潔に述べれば、カテーテルを頸動脈および大腿静脈に挿入することによって準備した。該動物ををPETカメラ内に配置する。
【0034】
異なるタグマイクロスフェアおよび血流剤を持つ2セットを、2部構成の実験において、以下のとおり注入する。両方の部分において、マイクロスフェアを1つの血管(動脈)および特別の流速に設定したポンプを用いて他から採取した血液中に注射する。最初の注入は、動物の正常の流速で行う。[F−18]血流剤および第1のタグマイクロスフェアを注入する。公知の流速での血液採取が描かれ、PETを用いたイメージングスケジュールを行い(下記の画像収集スケジュールを参照されたい)および2。アデノシンボーラス注射によって血流量を増加させたあと、第2のタグマイクロスフェアおよび同じ[F−18]血流剤を注射する。血液採取およびイメージングスケジュールを上記のように繰り返す。第2のイメージング処置終了時、動物を屠殺し、心臓を取り出し、血液および心臓組織のマイクロスフェア濃度を計測する。血流量を計測する(Carter, E., J.
Appl. Physiol., 1988)。マイクロスフェア(金標準)によって測定する血流量の上昇を、イメージングによって得たものと比較する。ヒトマイクロスフェアイメージング測定は許されていない。
【0035】
血流量および膜輸送のモニタリング方法
イメージングスケジュール:PETイメージングの目的のために、動物を、プラスチックイメージングクレードル(plastic-imaging cradle)を用いて、陽電子カメラに配置する。画像化の前に、PETスキャンの68Gaの連続する減衰補正を含む回転ピンソースを持つ伝達データを取得する。約2〜10mCiの[18F]血流剤を注射したあと、1、3、6、9、12、15、20、25、30、および60分後、動脈の血液サンプルを採取する。30−60秒フレームの連続イメージングを取得し、心臓の血流剤の薬動力学を、心臓の活性を時間の関数としてプロットすることによって、測定する。
【0036】
膜輸送をモニタリングするための処置は、血流量をモニタリングするためのものと類似している。
【0037】
定義
本明細書、実施例、および添付の請求項の中で用いられる特定の用語を便宜上、この項目に集めた。
【0038】
用語「脱離基」は、結合、分裂が起こると、電子対とともに分離する官能基性を言う。一般的に、良好な脱離基は、弱い塩基としての基質から除去される部分である。例えば、硫酸塩、スルホン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩などが良好な脱離基である。さらに、プロトン化されたとき、または、ルイス酸と複合体形成されたとき、いくつかの部分が良好な脱離基となる。例えば、アルコキシドイオンは、通常、不良な脱離基であるが、アルコールは良好な脱離基である。尚、いくつかのケースにおいては、リングストレイン(ring strain)は、エポキシド、アジリジンなどの場合のように、やや不良な脱離基を除外することができるかもしれない。
【0039】
用語「クラウンエーテル」は、エーテル基(すなわち、ポリエーテル)がジメチレン結合によって結合した環状分子を言う。
【0040】
本明細書において用いられているところの用語「ヘテロ原子」は、当該技術において認識されており、炭素または水素以外のあらゆる元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、イオウおよびセレニウムがあげられる。
【0041】
用語「アルキル」は、当該技術において認識されており、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を意味する。いくつかの態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格に30以下の炭素原子を有している(例えば、直鎖ではC1−C30、分枝鎖ではC3−C30)、あるいは、20以下の炭素原子を有している。同様に、シクロアルキルは、それらの環構造に約3〜約10、より好ましくは、約5、6または7の炭素原子を有している。
【0042】
炭素数が特に規定されていなければ、本明細書において用いられている「低級アルキル」は、上で定義したように、その骨格構造に1〜約10の炭素原子、あるいは1〜約6の炭素原子を有するアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、同様の鎖長を持つ。
【0043】
用語「アラルキル」は技術的に認識されており、アリール基で置換されたアルキル基を言う(例えば、芳香族基またはヘテロ芳香族基)。
【0044】
「アルケニル」および「アルキニル」は技術的に認識されており、長さが類似し、上述のアルキルに置換することができるが、少なくとも1つの二重または三重結合をそれぞれ含有する不飽和脂肪族基を言う。
【0045】
本明細書において用いられている用語「アリール」は技術的に認識されており、0〜4個のヘテロ原子を含むことができる5、6および7員環芳香族基を含む。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが含まれる。環構造中にヘテロ原子を持つこれらのアリール基はまた、「アリールへテロ環」または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香族環は、1以上の環位置において上記したような置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族もしくは芳香族部分、−CF3、−CNなどと置換することができる。用語「アリール」もまた、2以上の炭素原子が2つの結合環に共通しており(そのような環を「融合環」という)、そのような環の少なくとも1つが芳香族である(例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはへテロ環であることができる)、2以上の環式環を持つ多環系を含む。
【0046】
用語オルト、メタおよびパラは技術的に認識されており、1,2−、1,3−および1,4−ジ置換ベンゼンにそれぞれ該当する。例えば、1,2−ジメチルベンゼンおよびオルト−ジメチルベンゼンは同義である。
【0047】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロアリール」、または「ヘテロ環基」は技術的に認識されており、その環構造が1〜4のヘテロ原子を含む3〜10員環、より好ましくは3〜7員環構造を言う。ヘテロ環はまた、多環であることもできる。ヘテロ環基としては、例えば、チオフェン、チアンスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタム、スルタム、サルトンなどが挙げられる。ヘテロ環式環は、1以上の位置において上記の置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CNなどが含まれる。
【0048】
用語「多環」または「多環基」は技術的に認識されており、2以上の炭素原子が2つの結合環に共通している(例えば、そのような環は「融合環」である)、2以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはへテロ環)を意味する。隣接しない原子を介して結合する環は、「架橋された」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミノ、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CNなどと置換され得る。
【0049】
用語「カルボサイクリック」は技術的に認識されており、環の各原子が炭素である、芳香族または非芳香族の環を言う。
【0050】
用語「ニトロ」は技術的に認識されており、−NO2を意味し;用語「ハロゲン」は技術的に認識されており、−F、−Cl、−Brまたは−Iを示し;用語「スルフヒドリル」は技術的に認識されており、−SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は−OHを意味し;用語「スルホニル」は技術的に認識されており、−SO2−を意味する。「ハライド」は、対応するハロゲンのアニオンを示し、「プソイドハライド」は、 “Advanced Inorganic Chemistry”560、CottonとWilkinson著に記載の定義を持つ。
【0051】
用語「アミン」および「アミノ」は、技術的に認識されており、非置換型アミンおよび置換型アミンの双方を意味し、例えば、下記の一般式で表すことができる部分を意味する。
【化16】
但し、式中、R50、R51およびR52は、それぞれ個別に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R61を表し、またはR50およびR51は、それらが付着するN原子と一緒に、その環構造中に4〜8の原子を持つヘテロ環を完成させる;R61は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環または多環を表し;mは、ゼロまたは1〜8の範囲の整数を表す。別の態様において、R50およびR51(任意にR52)は、それぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2)m−R61を表す。したがって、用語「アルキルアミン」は、上で定義したように、置換された、もしくは置換されていないアルキルがそこに付着したアミン基を表す。すなわち、R50およびR51の少なくとも1つは、アルキル基を表す。
【0052】
用語「アシルアミノ」は、技術的に認識されており、下記の一般式で表すことができる部分を意味する。
【化17】
但し、式中、R50は、上で定義したとおりであり、R54は、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2)m−R61を表し、mおよびR61は、上で定義したとおりである。
【0053】
用語「アミド」は、アミノ置換型カルボニルとして技術的に認識されており、下記の一般式で表すことができる部分を意味する。
【化18】
但し、式中、R50、R51は、上で定義したとおりである。アミドの好ましい態様は、不安定かもしれないイミド類を含まない。
【0054】
用語「アルキルチオ」は、上記のように、そこにイオウラジカルが付着したアルキル基を意味する。いくつかの態様において、「アルキルチオ」部分は、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、および−S−(CH2)m−R61のいずれかによって表され、ここで、mおよびR61は、上で定義したとおりである。代表的なアルキルチオ基は、メチルチオ、エチルチオなどを含む。
【0055】
用語「カルボキシル」は、技術的に認識されており、下記の一般式で表すことができるような部分を意味する。
【化19】
但し、式中、X50は、結合であり、または酸素もしくは硫黄を表し、R55およびR56は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R61、もしくは薬学的に受け入れられる塩を表し、R56は、水素、アルキル、アルケニルもしくは−(CH2)m−R61を表し、mおよびR61は上記したとおりである。X50が酸素であり、R55またはR56が水素でない場合、該式は「エステル」を表す。X50が酸素であり、R55が上記したとおりであれば、該部分は、ここではカルボキシル基と称され、特に、R55が水素である場合、該式は、「カルボン酸」を表す。X50が酸素であり、R56が水素である場合、該式は「ホルマート」を表す。通常、上記式の酸素原子がイオウに置き換えられると、該式は、「チオールカルボニル」基を表す。Xがイオウであり、R55またはR56が水素でない場合、式は「チオールエステル」を表す。Xがイオウであり、R55が水素である場合、式は「チオールカルボン酸」を表す。X50がイオウであり、R56が水素である場合、式は「チオールホルマート」を表す。一方、X50が結合であり、R55が水素でない場合、上記式は、「ケトン」基を表す。X50が結合であり、R55が水素である場合、上記式は、「アルデヒド」基を表す。
【0056】
用語「カルバモイル」は、−O(C=O)NRR’を言う。式中、RおよびR’はそれぞれ個別にH、脂肪族基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。
【0057】
用語「オキサ」は、カルボニル酸素(=O)を意味する。
【0058】
用語「オキシム」および「オキシムエーテル」は、技術的に認識されており、下記の一般式で表され得る部分を意味する。
【化20】
式中、R75は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、または−(CH2)m−R61を表す。RがHであるとき、該部分は「オキシム」であり、Rが、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ラルキル、または−(CH2)m−R61であるとき、それは「オキシムエーテル」である。
【0059】
用語「アルコキシル」または「アルコキシ」は、技術的に認識されており、上記のようにそこに酸素ラジカルが付着したアルキル基を表す。代表的なアルコキシル基は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、第三ブトキシなどを含む。「エーテル」は酸素と共有結合した2つの炭化水素である。したがって、アルキルを置換することによって、アルキルをエーテルにし、または、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH2)m−R61などのようなアルコキシルに類似する。ここで、mおよびR61は、上で定義したとおりである。
【0060】
用語「スルホネート」は、技術的に認識されており、下記の一般式によって表すことができる部分を含む。
【化21】
式中、R57は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0061】
用語「サルフェート」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化22】
式中、R57は、上で定義したとおりである。
【0062】
用語「スルホンアミド」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化23】
式中、R50およびR56は、上記したとおりである。
【0063】
用語「スルファモイル」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化24】
式中、R50およびR51は、上記したとおりである。
【0064】
用語「スルホニル」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化25】
式中、R58は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールのうちの1つである。上記したとおりである。
【0065】
用語「スルホキシド」は、技術的に認識されており、下記一般式によって表される部分を言う。
【化26】
式中、R58は上記したとおりである。
【0066】
用語「ホスホリル」は、技術的に認識されており、下記一般式によって表される部分を言う。
【化27】
式中、Q50は、SまたはOを表し、R59は水素、低級アルキル、またはアリールを表す。置換基、例えば、アルキルとして用いられるとき、ホスホリルアルキルのホスホリル基は、以下の一般式によって表すことができる。
【化28】
式中、Q50およびR59は、それぞれ個別に上記したとおりであり、Q51は、O、SまたはNを表す。Q50がSであるとき、ホスホリル部分は、「ホスホロチオエート」である。
【0067】
用語「ホスホラミダイト」は、技術的に認識されており、以下の一般式によって表すことができる。
【化29】
式中、Q51、R50、R51およびR59は、上記したとおりである。
【0068】
用語「ホスホンアミダイト(phosphonamidite)」は、技術的に認識されており、以下の一般式によって表すことができる。
【化30】
式中、Q51、R50、R51およびR59は、上記したとおりであり、R60は、低級アルキルまたはアリールである。
【0069】
類似の置換を行って、アルケニル基とアルキニル基で、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換アルケニル、またはアルキニルを作製することができる。
【0070】
例えば、アルキル、m、nなどの各表現の定義は、あらゆる構造に1回以上出てくる場合、同じ構造の他の箇所とは、その定義は独立していることが意図される。
【0071】
「セレノアルキル」は、技術的に認識されており、置換されたセレノ基が付着したアルキル基を言う。アルキルに置換し得る「セレノエーテル」の例としては、−Se−アルキル、−Se−アルケニル、−Se−アルキニル、−Se−(CH2)m−R61から選択されるものがあげられる。mおよびR61は、上で定義したとおりである。
【0072】
用語、トリフリル、トシル、メシルおよびノナフリル(nonaflyl)は、技術的に認識されており、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、およびノナフルオロブタンスルホニル基をそれぞれ表す。用語トリフラート、トシラート、メシラート、およびノナフラート(nonaflate)は、技術的に認識されており、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、およびノナフルオロブタンスルホン酸エステルの官能基および前記基を含有する分子をそれぞれ表す。
【0073】
Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、およびMsは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、およびメタンスルホニルをそれぞれ表す。有機化学の当業者によって用いられる、略語のより総合的なリストは、Journal
of Organic Chemistryの各巻の最初の項目にあり、通常は、Standard List of Abbreviationsというタイトルの表で書かれている。
【0074】
本発明のいくつかの化合物は、特定の幾何学形状または立体異性体形状で存在し得る。さらに、本発明のポリマーは、任意に活性的でもある。本発明は、シス−およびトランスアイソマー、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(d)−アイソマー、(l)−アイソマー、そのラセミ混合物、およびその他の混合物を含む全てのそのような化合物を本発明の範囲であると考えている。さらに非対称的な炭素原子は、アルキル基などの置換基に存在することができる。そのような全てのアイソマーならびにその混合物は、本発明に含まれることが意図されている。
【0075】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合、それは非対称合成、またはキラル補助による誘導体化によって調製してもよい。そこでは、得られたジアステレオマー混合物が分離され、補助基が切断され、純粋な所望のエナンチオマーが提供される。あるいは、分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩は、適切な、任意に活性のある酸または塩基を用いて形成され、当該技術分野において公知の分別結晶作用またはクロマトグラフィーの手段によって形成されたジアステレオマーを溶解させ、その後純粋なエナンチオマーが回収される。
【0076】
「置換」または「〜で置換された」は、そのような置換が、その置換された原子および置換基の許容される原子価にしたがっていること、および置換の結果、例えば、再組み換え、環形成、除去などの変性を自発的に行わない安定した化合物が得られるという暗黙の条件を含んでいることが理解されるであろう。
【0077】
本明細書において用いられている用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容可能な置換基を含むことを意図している。広い局面において、許容可能な置換基は、非環式および環式、枝分かれしているおよび枝分かれしていない、炭素環式およびヘテロ環式、芳香族および非芳香族基の置換基を含む。例示の置換基は、例えば、本明細書において上記したものを含む。許容可能な置換基は、1もしくは複数の、および同じもしくは異なる適切な有機化合物とすることができる。本発明の目的において、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/または、本明細書に記載した、該ヘテロ原子の原子価を満たすあらゆる有機化合物の許容可能な置換基を含むことができる。本発明は、許容可能な、有機化合物の置換基によって、いかなる方法においても制限されることを意図していない。
【0078】
本明細書において用いられているフレーズ「保護基」は、潜在的に反応性のある官能基を望ましくない化学的変性から保護する一時的な置換基を意味する。そのような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールを、それぞれ含む。保護基化学の分野は概説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.;
Wiley: New York, 1991)。本発明の化合物の保護された形態は、本発明の範囲に含まれる。
【0079】
本発明の目的において、化学元素は、CAS版、Handbook
of Chemistry and Physics, 第67刷、1986〜87年の裏表紙に記載の元素周期表によって確認される
【0080】
本発明の化合物
本発明のある局面は、心筋のPETイメージングの血流量マーカーとして有用なF−18カチオン性およびカチオン性親油性化合物に関する。いくつかの態様において、該化合物は、帯電したフェニルピペラジン化合物およびテトラフェニルホスホニウム化合物である。本発明の化合物は、F−18がTc−99m(PET対SPECT)よりも良好な放射標識であるため、イメージング剤と比較して優れた特性を有している。例えば、F−18は、解像度が高く、半減期は短いことから、優れたイメージング材となっている。さらに、本発明の化合物は、1)細胞の内外での自由な拡散に対向するように、マイクロスフェアと類似の挙動、および、2)ピペラジンコアによるレセプター結合効果、を示すはずである。さらに、F−18テトラフェニルホスホニウム化合物は、潜在的に脳腫瘍の画像化に有用である。これらの化合物の優れた技術的属性は、陽電子吸引の同時発生的検出(180°)のために、このようなPETイメージング剤が、測定された生理学パラメーターの局所定量化により好適であるという事実に部分的に関連する。これによって、精度および縦深解像度に対する感受性が増加することになる。さらに、テトラフェニルホスホニウム剤は、脳腫瘍に限らず、腫瘍を画像化するために使用することができる。テトラフェニルホスホニウム剤は、細胞膜およびミトコンドリアに対する負電荷を増やす腫瘍、例えば、乳癌において濃度を増すであろう。最後に、本発明の化合物は、哺乳動物の血流量および膜輸送を質的および定量的に評価するために使用することもできる。
【0081】
本発明のある局面は、下式Iで表される化合物に関する。
【化31】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである。
【0082】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0083】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0084】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0085】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0086】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0087】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、H、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0088】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、Hである。
【0089】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、アリールである。
【0090】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、フェニル基である。
【0091】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHまたはアルキルである。
【0092】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHである。
【0093】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R4はアルキルである。
【0094】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2−ブチル、またはペンチルである。
【0095】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R4はメチルである。
【0096】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである。
【0097】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換シクロアルキルである。
【0098】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである。
【0099】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換シクロブチルまたはフルオロ置換シクロヘキシルである。
【0100】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0101】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換アリールである。
【0102】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換フェニルである。
【0103】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、4-フルオロフェニルである。
【0104】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、PO4M2、SO4M、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、または安息香酸塩であり、Mはアルカリ金属である。
【0105】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である。
【0106】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは硝酸塩である。
【0107】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xはハライドである。
【0108】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは、クロライドまたはヨウ化物である。
【0109】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は、フルオロ置換アリールである。
【0110】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は、4-フルオロフェニルである。
【0111】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は4-フルオロフェニルであり、Xはクロライドである。
【0112】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1はフェニルであり、R2およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5はフルオロ置換シクロアルキルである。
【0113】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1はフェニルであり、R2およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0114】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1はフェニルであり、R2およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、Xはヨウ化物であり、R5は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0115】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5のフルオロ置換基は、天然存在度で18Fを含む。
【0116】
本発明の別の局面は、下記式IIで表される化合物に関する。
【化32】
式中、
R1はフルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルであり、前記フルオロ置換基は、18Fを含み、
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである。
【0117】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0118】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0119】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0120】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0121】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0122】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R5は、H、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0123】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R5は、Hである。
【0124】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R5は、アリールである。
【0125】
いくつかの態様において、本発明は、、化合物IIに関し、R5は、フェニル基である。
【0126】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHまたはアルキルである。
【0127】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHである。
【0128】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R4はアルキルである。
【0129】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2−ブチル、またはペンチルである。
【0130】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R4は、メチルである。
【0131】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである。
【0132】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換アルキルである。
【0133】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである。
【0134】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換 シクロブチルまたはフルオロ置換
シクロヘキシルである。
【0135】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0136】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換アリールである。
【0137】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換フェニルである。
【0138】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、4-フルオロフェニルである。
【0139】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、PO4M2、SO4M、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、または安息香酸塩であり、Mはアルカリ金属である。
【0140】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である。
【0141】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xはハライドである。
【0142】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xは硝酸塩である。
【0143】
本発明の別の局面は、式IIIで表される化合物に関する。
【化33】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R5は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【0144】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0145】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0146】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0147】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0148】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0149】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1は、H、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0150】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はHである。
【0151】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はアリールである。
【0152】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はフェニル基である。
【0153】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R2、R3はそれぞれ個別に、Hまたはアルキルである。
【0154】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R2、R3はそれぞれ個別に、Hである。
【0155】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリールである。
【0156】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4はフルオロ置換シクロアルキルである。
【0157】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである。
【0158】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、フルオロ置換シクロブチルまたはフルオロ置換シクロヘキシルである。
【0159】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルである。
【0160】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4はフルオロ置換アリールである。
【0161】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4はフルオロ置換フェニルである。
【0162】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は4−フルオロフェニルである。
【0163】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はフルオロ置換アリールである。
【0164】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は4−フルオロフェニルである。
【0165】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はフェニルであり、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はフルオロ置換シクロアルキルである。
【0166】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はフェニルであり、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は、2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルフルオロ置換シクロアルキルである。
【0167】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R5のフルオロ置換基は、天然存在度で18Fを含む。
【0168】
本発明の別の局面は、下記式IVで表される化合物に関する。
【化34】
式中、
R1は、それぞれ個別にアリールまたはヘテロアリールを表し;
R2は、ハロゲン置換アルキル、ハロゲン置換シクロアルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アラルキル、ハロゲン置換アルケニルであり、前記ハロゲン置換基は、18Fを含むフッ化物であり、または、前記ハロゲン置換基は、123I、124I、125I、もしくは131Iを含むヨウ化物であり;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンである。
【0169】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0170】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0171】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0172】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0173】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0174】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0175】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0176】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0177】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0178】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0179】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0180】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0181】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0182】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0183】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0184】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0185】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0186】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0187】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0188】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0189】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0190】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0191】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0192】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0193】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0194】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1は、それぞれ個別にアリールを表す。
【0195】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1は、それぞれ個別に、任意に置換されたフェニルを表す。
【0196】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1は、それぞれ個別にフェニルを表す。
【0197】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2は、ハロゲン置換シクロアルキルまたはハロゲン置換アリールである。
【0198】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2はハロゲン置換アリールである。
【0199】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2はハロゲン置換フェニルである。
【0200】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルである。
【0201】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、PO4M2、SO4M、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、または安息香酸塩であり、Mはアルカリ金属である。
【0202】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である。
【0203】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、Xは硝酸塩である。
【0204】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルであり、Xは硝酸塩である。
【0205】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−ヨードフェニルであり、Xは硝酸塩である。
【0206】
本発明の別の局面は、式I、II、IIIまたはIVで表される化合物、および薬学的に許容される添加剤を含む製剤に関する。
【0207】
本発明の方法
本発明のある局面は、スキーム1で示されたハロゲン化された化合物を製造する方法に関する。
【化35】
スキーム中、Aは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニルであり、または下記式aもしくはbを有する。
【化36】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Xは、スルホン酸塩、ニトロ、酢酸塩、またはハロゲンであり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属であり;
Yは、フッ化物、またはヨウ化物であり;
クラウンエーテルは、酸素原子(oxgen atom)が任意に置換されたジメチレン結合が結合している環状分子であり;
前記方法は、ほぼ無水状態で実施される。
【0208】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、放射性フッ化物または放射性ヨウ化物である。
【0209】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yはフッ化物である。
【0210】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは18Fを含む。
【0211】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0212】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0213】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0214】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0215】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0216】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含む。
【0217】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0218】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0219】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0220】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0221】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0222】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは124Iを含む。
【0223】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0224】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0225】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0226】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0227】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0228】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは125Iを含む。
【0229】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0230】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0231】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0232】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0233】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0234】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは131Iを含む。
【0235】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0236】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0237】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0238】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0239】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0240】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記方法は無水状態で実施される。
【0241】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0242】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルである。
【0243】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、アルキル基は、第一炭素原子においてXと置換されている。
【0244】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、アルキル基は、第二炭素原子においてXと置換されている。
【0245】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルである。
【0246】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルであり、アルキル基は、第二炭素原子においてXと置換されている。
【0247】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルである。
【0248】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは、シクロブチルまたはシクロヘキシルである。
【0249】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式aを有する。
【化37】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である。
【0250】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式bを有する。
【化38】
式中、
R2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンであり;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルであり;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5である。
【0251】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式aを有する。
【化39】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別にアリールであり;
Zは、硝酸塩である。
【0252】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式aを有する。
【化40】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に任意に置換されたフェニルであり;
Zは、硝酸塩である。
【0253】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式bを有する。
【化41】
式中、
R2は、シクロアルキルを表し;
R3は、Hを表し;
R4は、Hを表し;
R5は、アリールである。
【0254】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩またはニトロである。
【0255】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩である。
【0256】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはアルカリ金属である。
【0257】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである。
【0258】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mは、カリウムである。
【0259】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記クラウンエーテルは、クリプトフィックスである。
【0260】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記クラウンエーテルは、1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザ−シクロペンタデカン(クリプトフィックス(登録商標)21)、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプトフィックス(登録商標)222)、4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサン(クリプトフィックス(登録商標)221)、および4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン(クリプトフィックス(登録商標)211)から選択される。
【0261】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応温度は、約50℃および約220℃である。
【0262】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応温度は、約100℃および約200℃である。
【0263】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応は溶媒の存在下で行われる。
【0264】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応はアセトニトリルの存在下で行われる。
【0265】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは無水である。
【0266】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは約2%未満の水を含有する。
【0267】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは約1%未満の水を含有する。
【0268】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは約0.5%未満の水を含有する。
【0269】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、Xはスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0270】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、Xはメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0271】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルであり、Xはスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0272】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルであり、Xはメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0273】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、Aは、任意に置換されたシクロブチルまたは任意に置換されたシクロヘキシルである。
【0274】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、Aは、シクロブチルまたはシクロヘキシルである。
【0275】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアリールであり、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0276】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは任意に置換されたフェニルであり、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0277】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは任意にシクロアルキルであり、Xはメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、反応温度は、約100℃から約200℃の間である。
【0278】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアリールであり、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、反応温度は、約100℃から約200℃の間である。
【0279】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、反応温度は、約100℃から約200℃の間であり、Aは、下記式aで表される。
【化42】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、任意に置換されたフェニルであり;
Zは、硝酸塩である。
【0280】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、Yは18Fであり、Aは、下記式bで表される。
【化43】
式中、
R2は、それぞれ個別に、シクロアルキルであり;
R3は、それぞれ個別に、Hであり;
R4は、それぞれ個別に、Hであり;
R5は、Hまたはアリールである。
【0281】
本発明の別の局面は、スキーム2に記載されたハロゲン化された化合物を製造する方法に関する。
【化44】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、アラルキルを表し;またはR1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し;
Rは、アルケニル、アリール、ヘテロアリールであり、または、下記式aまたはbで表される方法。
【化45】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属、またはテトラアルキルアンモニウム塩であり;
Yは、フッ化物またはヨウ化物であり;
R3は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、またはアラルキルを表す。
【0282】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yはフッ化物である。
【0283】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yはヨウ化物である。
【0284】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは18Fを含む。
【0285】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0286】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0287】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0288】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0289】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0290】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含む。
【0291】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0292】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0293】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0294】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0295】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0296】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは124Iを含む。
【0297】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0298】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0299】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0300】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0301】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0302】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは125Iを含む。
【0303】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0304】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0305】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0306】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0307】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0308】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは131Iを含む。
【0309】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0310】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0311】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0312】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0313】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0314】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、方法は無水状態で実施される。
【0315】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Rはアリールである。
【0316】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Rは、下記式aで表される。
【化46】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である。
【0317】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Rは、下記式aで表される。
【化47】
R4およびR5は、それぞれ個別に、アリールであり;
Zは、ハライドである。
【0318】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成する。
【0319】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはアルカリ金属である。
【0320】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである。
【0321】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはナトリウムである。
【0322】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R3はそれぞれ個別に、Hを表す。
【0323】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R3はそれぞれ個別に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはブチルを表す。
【0324】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R3はそれぞれ個別に、メチルを表す。
【0325】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはナトリウムであり、Yはヨウ化物−125であり、R3はそれぞれ個別に、メチルであり、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し、そして、Rは下記式aで表される。
【化48】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別にアリールを表し、
Zはハライドである。
【0326】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはナトリウムであり、Yはヨウ化物−125であり、R3はそれぞれ個別に、メチルであり、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し、そして、Rは下記式aで表される。
【化49】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別に、任意に置換されたフェニルを表し、
Zはヨウ化物である。
【0327】
本発明の別の局面は、哺乳動物の一部の陽電子放出画像を得るための方法であって、哺乳動物に、式I、II、III、またはIVで表される化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む方法に関する。
【0328】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式Iで表される。
【0329】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIで表される。
【0330】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIIで表される。
【0331】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IVで表される。
【0332】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである。
【0333】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒトである。
【0334】
本発明の別の局面は、哺乳動物の心臓の血液量を測定する方法であって、哺乳動物に式I、II、III、またはIVで表される化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む方法を含む。
【0335】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式Iで表される。
【0336】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIで表される。
【0337】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIIで表される。
【0338】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IVで表される。
【0339】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである。
【0340】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒトである。
【0341】
本発明の別の局面は、哺乳動物における膜輸送を測定する方法であって、哺乳動物に、式I、II、III、またはIVで表される化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む方法に関する。
【0342】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式Iで表される。
【0343】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIで表される。
【0344】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIIで表される。
【0345】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IVで表される。
【0346】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである。
【0347】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒトである。
【0348】
薬学的組成物
別の局面において、本発明は、1以上の薬学的に許容される単体(添加物)および/または希釈剤とともに製剤される上記化合物の治療的有効量を含む薬学的に許容される組成物を提供する。下記に詳細に示すように、本発明の薬学的組成物は、固体もしくは液体剤型で投与するために具体的に製剤することができる。下記に適用されるものを含む。(1)経口投与、例えば、飲薬(水性もしくは非水性溶液、または懸濁液)、錠剤(例えば、頬側、舌下および全身吸収を目標としたもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌に投与するためのパスタ剤;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋内、静脈内もしくは硬膜外注射、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、または持続性放出製剤;(3)局所投与、例えば、クリーム、軟膏、または徐放パッチ、または皮膚に適用されるスプレー;(4)膣内もしくは腸内投与、例えば、ペッサリー、クリームもしくは泡剤;(5)舌下投与;(6)眼内投与;(7)経皮投与;または(8)経鼻投与。
【0349】
本明細書において用いられているフレーズ「治療的有効量」は、化合物、材料、または本発明の化合物を含む組成物の、少なくとも動物の細胞のサブポピュレーションにおいて、あらゆる医学的治療に適用可能な合理的な利益/リスク比で、なんらかの所望の治療的効果を生じさせるのに有効な量を意味する。
【0350】
本明細書において用いられている「薬学的に許容される」というフレーズは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応もしくは他の問題、または合併症を引き起こすことなく、ヒトおよび動物の組織に接触させて用いるのに適した、合理的な利益/リスク比率をもたらす化合物、材料、組成物および/または剤型を意味する。
【0351】
本明細書において用いられている「薬学的に許容される担体」というフレーズは、対象となる化合物を1つの臓器から、または体の一部から、他の臓器または体の一部へ運ぶ、または輸送することに関与する、薬学的に許容される材料、組成物、または液体もしくは固体の充填剤などの賦形剤、希釈剤、添加剤、製造補佐(例えば、潤滑剤、タルクマグネシウム、カルシウム、もしくはステアリン酸亜鉛、もしくはステアリン酸)、または材料をカプセル化する溶媒を意味する。各担体は、製剤の他の成分と相溶性であるという意味で、「許容可能」でなくてはならず、患者に対して有害であってはならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなど;(4)粉末化されたトラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオ脂や座剤用ワックスなどの添加剤;(9)ピーナッツオイル、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油および大豆油などの油類;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱因子を含まない水;(17)等張塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水化物;ならびに(22)薬学的製剤に採用される他の非毒性相溶性物質が含まれる。
【0352】
上記したように、本発明化合物のいくつかの態様は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有し、したがって、薬学的に許容される酸を用いて薬学的に許容される塩を作製することができる。この意味における用語「薬学的に許容される塩」は、相対的に非毒性の、本発明の化合物の無機および有機酸添加塩を言う。これらの塩は、賦形剤の投与または剤型製造プロセスにおいて、または精製された本発明の化合物をその遊離塩基形態において個別に好適な有機もしくは無機の酸と反応させ、続く精製の間に形成された塩を単離させることによってin situ で調製することができる。代表的な塩としては、水素酸塩、ヒドロクロリド硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(napthylate)、メシラート、グルコヘプトン酸、ラクトビオネート(lactobionate)、およびラウリルスルフォン酸塩などが含まれる(例えば、Berge et al. (1977)
"Pharmaceutical Salts", J.
Pharm. Sci. 66:1-19参照)。
【0353】
対象となる化合物の薬学的に許容される塩としては、従来の非毒性の塩、例えば、非毒性の有機もしくは無機酸からのまたは化合物の4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の非毒性塩としては、ヒドロクロリド、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸由来のもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製された塩が含まれる。
【0354】
別の場合において、本発明の化合物は、1以上の酸性官能基を含有し、したがって、薬学的に許容される塩基を用いて薬学的に許容される塩を作製することが可能である。これらの例における用語「薬学的に許容される塩」は、相対的に非毒性の、本発明の化合物の無機および有機塩基添加塩を言う。これらの塩は同様に、賦形剤の投与または剤型製造プロセスにおいて、または精製された本発明の化合物をその遊離塩形態において、個別に好適な塩基、例えば、薬学的許容される金属カチオンのヒドロキシド、カーボネートまたは重炭酸塩と、アンモニア、または薬学的に許容される有機1級アミン、2級アミン、もしくは3級アミンとを反応させることによってin situ で調製することができる。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などがある。塩基添加塩を作製するために有用な代表的な無機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、Berge et al.,の上掲文献参照)。
【0355】
湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)、ならびに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料および香味剤、防腐剤および抗酸化剤もまた組成物中に含むことができる。
【0356】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システインヒドロクロリド、ナトリウム重硫酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レクチン、プロピルプロピルガレート、アルファトコフェノール、など、ならびに(3)メタルキレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸、などが含まれる。
【0357】
本発明の製剤は、経口、鼻腔内、局所(頬側および舌下投与を含む)、直腸内、膣内、および/または非経口投与に好適なものを含む。該製剤は、都合よく単一の剤型で存在してもよく、また、薬学の分野において公知の方法によって調製されてもよい。担体材料とともに組み合わされて単一の剤型を成す活性成分の量は、治療を受ける患者、特定の投与形態によって変わる。担体材料とともに組み合わされて単一の剤型を成す活性成分の量は、通常、治療効果を生み出す化合物の量である。一般的に、100%中、この量は、約0.1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは、約10%〜約30%の活性成分の量となるであろう。
【0358】
いくつかの態様において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、胆汁酸などのミセル形成剤、およびポリエステルやポリ無水物などのポリマー担体から選択される添加剤、ならびに本発明の化合物を含む。いくつかの態様において、上記製剤は、本発明の化合物に経口の生物学的利用可能性を付与する。
【0359】
これらの製剤または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、担体および任意に1以上の副成分と結合させることを含む。一般的に、該製剤は、均一かつ緊密に本発明の化合物を液体担体もしくは細かく分割された固体担体もしくはその両方と結合させることによって、さらに必要であれば、その生成物を形づくることによって、調製される。
【0360】
経口投与に好適な本発明の製剤としては、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ(香料基剤、通常は、スクロースおよびアラビアゴムもしくはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒、または水性もしくは非水性溶液または懸濁液、または油中水または水中油液体エマルジョン、またはエリキシル剤もしくはシロップ、または香錠(ゼラチンやグリセリンなどの不活性基剤、または、スクロースやアラビアゴムを用いる)、および/またはマウス含嗽液などがある。それぞれは、活性成分として所定量の本発明の化合物を含有している。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤またはパスタ剤として投与することもできる。
【0361】
経口投与のための本発明の固体剤型(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣丸、粉末、顆粒など)においては、活性成分は、クエン酸ナトリウム、またはリン酸二カルシウム、および/または下記のうちのいずれかといった1以上の薬学的に許容される担体と混合されている。(1)充填剤または拡張剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴム;(3)湿潤剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモやタピオカのデンプン、アルギン酸、いくつかのケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなど;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン;(6)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、およびポロキサマーやラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアリン酸、および非イオン界面活性剤;(8)吸着剤、例えば、カオリンやベントナイト粘土など;(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、およびそれらの混合物;(10)着色剤;ならびに、(11)徐放剤、例えば、クロスポビドン(crospovidone)またはエチルセルロース。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、薬学的組成物は、緩衝剤を含んでもよい。同様の種類の固体組成物は、ラクトースや乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような添加剤を用いた、ゼラチン軟カプセルおよびゼラチン硬カプセルにおいて充填剤として用いることができる。
【0362】
錠剤は、任意に1以上の副成分を用いて、圧縮または成形によって作製することができる。圧縮された錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコレート、または架橋されたナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤または分散剤)を用いて調製することができる。成形された錠剤は、好適な機械の中で、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合物を成形することによって作製することができる。
【0363】
本発明の薬学的組成物の錠剤および他の固体剤型、例えば、糖衣丸、カプセル剤、丸薬、および顆粒は、任意に刻みをつけてもよいし、または例えば、腸溶コーティングや薬学的製剤の技術分野において公知の他のコーティングなどのコーティングやシェルによって調製してもよい。それらはまた、例えば、所望の放出プロファイルを提供するためのヒドロキシプロピルメチルセルロースや他のポリマー基質、リポソームおよび/または小球体を、比率を変えて用いて、その内部の活性成分を徐放または制御された放出させるように製剤することもできる。それらは、急速に放出が行われるように製剤することもできる(例えば、フリーズドライ)。それらは、例えば、細菌捕獲フィルターで濾過することによって、または滅菌水に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって、または使用直前にいくつかの他の滅菌注射可能媒体を用いて、滅菌することができる。これらの組成物は、任意に不透明化剤を含有してもよく、好ましくは、胃腸管の特定の部分において、任意に徐放によって、活性成分のみを放出する組成物にしてもよい。使用可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスがある。活性成分はまた、適切であれば、1以上の上記添加剤を用いて、マイクロカプセル化の形状で作製することもできる。
【0364】
本発明の化合物の経口投与用液体剤型は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、該液体剤型は、当該技術分野において一般的に用いられる不活性の希釈剤、例えば、水もしくは他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、胚芽油、オリーブオイル、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物が含まれる。
【0365】
不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香料、着色剤、香料および防腐剤などのアジュバントも含むこともできる。
【0366】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシ化されたイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカント、ならびにその混合物のような懸濁化剤を含有することができる。
【0367】
本発明の直腸投与または膣投与用の薬学的組成物の製剤は、1以上の本発明の化合物を、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスもしくはサリチレートを含み、室温では固体であるが、体温では液体となり、したがって、直腸もしくは膣腔では液体となり活性化合物を放出させる、1以上の好適な非刺激性の添加剤もしくは担体と混合させることによって調製され得る坐剤である。
【0368】
膣内投与に好適な本発明の製剤はまた、当該技術分野において適切であることが既知の担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ剤、泡剤またはスプレー製剤が含まれる。
【0369】
局所または経皮投与用の本発明の化合物の剤型は、粉末、スプレー、軟膏、パスタ剤、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が含まれる。活性化合物は、必要かもしれない、薬学的に許容される担体、およびあらゆる防腐剤、緩衝剤、もしくは噴射剤と、無菌条件の下で混合することができる。
【0370】
軟膏、パスタ剤、クリームおよびゲルは、本発明の化合物に加えて、動物油および植物油、オイル類、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、珪酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの添加剤を含有することができる。
【0371】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの添加剤を含有することができる。スプレーは、さらに、クロロフルオロカーボネートなどの通常の噴射剤、およびブタンやプロパンなどの揮発性非置換型炭化水素を含有することができる。
【0372】
経皮パッチは、本発明の化合物の体へのコントロールされた送達を提供するという更なる利点を有する。そのような剤型は、適切な媒体中に化合物を溶解させるか、または分散させることによって作製することができる。皮膚を介しての化合物の流動を増加させるために吸収増強剤を用いることもできる。そのような流動の速度は、速度制御膜を設けるか、またはポリマー基質またはゲル中に化合物を分散させることによって制御することができる。
【0373】
眼科用製剤、眼内軟膏、粉末、溶液なども、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0374】
非経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、1以上の本発明の化合物を、1以上の薬学的に許容される無菌の等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または使用直前に無菌の注射可能溶液もしくは分散剤に再構成し得る無菌の粉末と組み合わせて含む。それは、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、製剤を、予定されているレシピエントの血液と等張にするための溶質、または懸濁化剤もしくは硬化剤を含有することができる。
【0375】
本発明の薬学的組成物に用いることができる好適な水溶性および非水溶性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物、オリーブオイルなどの植物油、オレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料を用いることによって、分散剤の場合、必要な粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0376】
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散などのアジュバントを含むこともできる。対象となる化合物による微生物の活動の阻害は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどを含むことによって確実に行うことができる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含むことも望ましいかもしれない。さらに、注入可能な剤型の持続性吸収は、アルミニウムモノステアリン酸やゼラチンなど、吸収を遅らせる物質を含むことによってもたらされる。
【0377】
いくつかのケースにおいて、薬物の効き目を持続させるために、皮下または筋内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶性もしくは非結晶性の液体懸濁剤を用いることによって達成してもよい。そのとき、薬物の吸収速度は、溶解の速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶の形状に依存する。別法として、非経口的に投与される薬物の吸収を遅らせることは、油性賦形剤中に薬物を溶解もしくは懸濁させることによって達成することができる。
【0378】
注射可能なデポー製剤は、対象となる化合物を、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生物分解性のポリマー中でマイクロカプセル基質を作製することによって作製することができる。薬物とポリマーの比率、および用いられる特定のポリマーの性質によって、薬物の放出速度を制御することができる。他の生物分解性のポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能製剤はまた、体組織に相溶性のリポソームまたはマクロエマルジョン中に薬物をエントラップすることによって調製することができる。
【0379】
本発明の化合物を調合薬として、ヒトおよび動物に投与するとき、それ自身または、例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する薬学的組成物として投与される。
【0380】
本発明の調剤は、経口的、非経口的、局所的、または直腸的に投与される。それらはもちろん、各投与経路のために好適な形状で付与される。例えば、それらは、錠剤またはカプセル形状、注射、吸入剤、眼内ローション、軟膏、坐剤などの、注射、注入もしくは吸入による投与、および坐剤による直腸投与によって投与される。経口投与が好ましい。
【0381】
本明細書において用いられているフレーズ「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、経腸および局所投与以外の投与形態、通常は注射による投与を意味し、それは、限定されないが、静脈内、筋内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、ならびに組織内に注射および注入される。
【0382】
本明細書において用いられている「全身投与」、「全身に投与される」、「末端投与」および「末端に投与される」というフレーズは、化合物、薬物または他の物質の、中枢神経系に直接投与しない投与で、患者の系に入り、代謝などのプロセスを経るような投与、例えば、皮下投与を意味する。
【0383】
これらの化合物は、治療のために、ヒトおよび他の動物に、経口、経鼻(例えば、スプレーによる)、経直腸、経膣、非経口、嚢内、および局所(粉末、軟膏または滴剤、頬側および舌下を含む)を含めたあらゆる好適な投与経路によって投与される。
【0384】
選択された投与経路とは無関係に、好適な水和された形状で用いられ得る本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の、従来の方法によって、薬学的に許容される剤型に製剤される。
【0385】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者の所望の治療的反応、組成物、および投与形態を、患者に対して毒性をもたらさずに達成するのに有効な活性成分の量を取得するために変化させることができる。
【0386】
選択された用量レベルは、用いられた本発明の特定の化合物、またはエステル、塩もしくはそのアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられた特定の化合物の排出または代謝の速度、吸収時間および程度、治療の継続時間、用いられた化合物と組み合わせて用いられる他の薬剤、化合物、および/または材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、健康状態、全身的な健康状態、および病歴、および当該技術分野において公知の同様のファクターを含む種々のファクターに依存する。
【0387】
通常の技量を有する内科医または獣医は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、薬学的組成物中において用いられる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要なものより低いレベルで開始し、所望の効果を達成するため徐々に用量を増加させることができる。
【0388】
通常、本発明の化合物の好適な1日用量は、治療効果を達成するために有効な最低限の用量となる化合物の用量である。そのような有効用量は、通常上記のファクターに依存する。通常、ある患者に対する本発明の化合物の経口、静脈内、脳室内および皮下投与の用量は、指示さた鎮痛剤効果に用いられる場合、体重1kgあたり、1日0.0001〜約100mgであろう。
【0389】
望ましければ、活性のある化合物の1日の有効用量は、1日を通して適切な間隔で、任意にユニット剤型で、別個に投与される、2、3、4、5、6またはそれ以上のサブ用量として投与してもよい。
【0390】
本発明の化合物は単独で投与することができるが、該化合物は、薬学的製剤(組成物)として投与することが好ましい。
【0391】
本発明の化合物は、他の薬物と同様に、ヒト医学または獣医において使用されるあらゆる都合のよいやり方で、投与のために製剤してもよい。
【0392】
別の局面において、本発明は、治療的有効量の1以上の上記対象となる化合物を含み、1以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤ととも製剤される薬学的に許容される組成物を提供する。下記に詳細に示すように、本発明の薬学的組成物は、固体もしくは液体剤型で投与するために特別に製剤することができる。下記に適用されるものを含む。(1)経口投与、例えば、飲薬(水性もしくは非水性溶液、または懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌に投与するためのパスタ剤;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋内、静脈内もしくは硬膜外注射、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、または持続性放出製剤;(3)局所投与、例えば、クリーム、軟膏、または皮膚、肺もしくは粘膜に適用するスプレー;または、(4)膣内もしくは腸内投与、例えば、ペッサリー、クリームもしくは泡剤;(5)舌下投与または頬側投与;(6)眼内投与;(7)経皮投与;または(8)経鼻投与。
【0393】
用語「治療」は、予防、治療および治癒をも含むことが意図される。
【0394】
この治療を受ける患者は、霊長類、特にヒトおよび他の哺乳動物、例えば、ウマ、家畜、ブタおよびヒツジなど、ならびに家禽および一般的なペット動物を含んだ、治療を必要とするあらゆる動物である。
【0395】
本発明の化合物は、そのまま、または薬学的に許容される担体との混合物において投与することができ、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグルコシドおよびグリコペプチドなどの殺菌薬と組み合わせて投与することもできる。したがって、組み合わせの治療は、引き続いて投与が行われたとき、最初の投与の治療効果が全て消失してしまわないように、連続的、同時、および別個に化合物を投与することを含む。
【0396】
本発明の活性な化合物の、動物の餌への添加は、活性な化合物の治療的有効量を含有する適切な飼料プレミックスを調製し、そのプレミックスを完全な糧食に組み込むことによって達成することができる。
【0397】
別法として、中間濃縮物または活性成分を含有する餌補充剤を餌に混合させることができる。そのような餌プレミックスおよび完全な糧食を調製し、投与する方法は、参照文献に記載されている(例えば、"Applied Animal Nutrition", W.H.
Freedman and CO., San Francisco, U.S.A., 1969 or "Livestock Feeds and
Feeding" O and B books, Corvallis, Ore., U.S.A., 1977)
【0398】
ミセル
近年、薬学業界では、いくつかの親油性(水に不溶性)の薬剤のバイオアベイラビリティーを向上させるために、マイクロ乳化技術を導入している。その例として、トリメトリン(Trimetrine)(Dordunoo, S. K., et
al., Drug Development and Industrial Pharmacy, 17(12),
1685-1713, 1991)、およびREV 5901 (Sheen, P. C., et al.,
J Pharm Sci 80(7), 712-714, 1991)がある。とりわけ、マイクロ乳化は、循環系ではなく、リンパ系に優先的に直接吸収させることによって、それによって、肝臓をバイパスし、肝胆管循環における化合物の破壊を阻止することによって、バイオアベイラビリティーを向上させる。
【0399】
本発明の一局面において、製剤は、本発明の化合物および少なくとも1つの両親媒性担体から形成されるミセルを含有する。ミセルは、平均直径が約100nmである。より好ましい態様においては、平均直径が約50nm未満のミセルを提供する。さらに好ましい態様においては、平均直径が約30nm未満、さらには20nm未満のミセルを提供する。
【0400】
全ての好適な両親媒性担体を考慮することができるが、現時点で好ましい担体は、通常Generally-Recognized-as-Safe(GRAS)状態のものであり、本発明の化合物を溶解し、溶液が複合体化された水相(例えば、ヒト胃腸管において認められる)に接触する後の段階において、それをマイクロ乳化することができるものである。通常、これらの要件を満足する両親媒性の成分は、HLB(親水性と新油性のバランス)値が2〜20であり、それらの構造が直鎖脂肪族ラジカルをC−6〜C−20の範囲で含有している。例としては、ポリエチレングリコール化された脂肪グリセリドおよびポリエチレングリコールがあげられる。
【0401】
特に好ましい両親媒性担体は、飽和およびモノ不飽和ポリエチレングリコール化された脂肪酸グリセリド、例えば、完全にまたは部分的に水素化された種々の植物オイルから得たものである。そのようなオイルは、対応する脂肪酸の、トリ、およびモノ脂肪酸グリセリド、ならびにジおよびモノポリエチレングリコールエステルからなることが有利である。そして、特に好ましい脂肪酸組成物は、カプリン酸4〜10%、カプリン酸3〜9%、ラウリン酸40〜50%、ミリスチン酸14〜24%、パルミチン酸4〜14%、およびステアリン酸5〜15%を含有している。別の有用なクラスの両親媒性担体は、特に、エステル化されたソルビタンおよび/またはソルビトールを、飽和もしくはモノ不飽和脂肪酸(SPAN−シリーズ)、または対応するエトキシ化アナログ(TWEEN−シリーズ)とともに含む。
【0402】
市販の両親媒性担体を特に考慮する。それには、Gelucire-series、Labrafil、Labrasol、またはLauroglycol(全て、Gattefosse
Corporation、Saint Priest、Franceによって製造および流通されている)、PEG−モノ−オレイン酸塩、PEG−ジ−オレイン酸塩、PEG−モノ−ラウリン酸塩、およびジラウリン酸塩、レシチン、Polysorbate 80など(米国および世界中の多数の企業によって製造および流通されている)が含まれる。
【0403】
ポリマー
本発明において使用するのに適した親水性ポリマーは、容易に水に溶解可能であり、小胞形成脂質に共有的に付着することができ、in vivoで認容性を示し、毒性効果をもたらさないもの(すなわち、生体適合性をもつもの)である。好適なポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(ポリラクチドとも称する)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも称する)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー、およびポリビニルアルコールを含む。好ましいポリマーは、分子量が約100もしくは120ダルトンから、約5,000もしくは10,000ダルトンまで、より好ましくは、約300ダルトンから約5,000ダルトンまでのものである。特に好ましい態様において、ポリマーは、分子量が約100ダルトンから約5,000ダルトンまで、特により好ましくは、分子量が約300ダルトンから約5,000ダルトンまでのポリエチレングリコールである。特に好ましい態様において、ポリマーは、750ダルトンのポリエチレングリコール(PEG(750))である。ポリマーはまた、そこにあるモノマーの数で定義してもよい。本発明の好ましい態様は、少なくとも3つのモノマーからなるポリマー、例えば、3つのモノマーからなるPEGポリマー(約150ダルトン)である。
【0404】
本発明に好適に使用することができる他の親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン(polymethoxazoline)、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、および誘導体かされたセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0405】
いくつかの態様において、本発明の製剤は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、アクリルエステルおよびメタクリルエステルのポリマー、ポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、およびそれらのコポリマー、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(ブチック酸(butic acid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリサッカライド、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、およびブレンド、混合物、またはそれらのコポリマーからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む。
【0406】
シクロデキストリン
シクロデキストリンは、6、7もしくは8のグルコースユニットからなる環式オリゴ糖類であり、ギリシア文字α、β、γでそれぞれ示される。6未満のグルコースユニットを持つシクロデキストリンが存在することがわかっていない。そのグルコースユニットは、α−1,4−グルコシド結合によって結合する。糖ユニットのいす形配座の結果、すべての第2ヒドロキシル基(C−2、C−3)は、環の1つの側に位置する。一方、C−6の全ての第1ヒドロキシル基は、他方の側に位置する。その結果、外側の面は親水性であり、シクロデキストリンを水溶性にしている。対照的に、シクロデキストリンの凹部は疎水性である。それらは、原子C−3およびC−5の水素、およびエーテル様酸素によって裏打ちされているからである。これらのマトリクスは、種々の比較的疎水性の化合物、例えば、17βエストラジオールなどのステロイド化合物とともに複合体を形成する(例えば、van Uden et al. Plant Cell Tiss. Org. Cult.
38:1-3-113 (1994)参照)。その複合体形成は、Van der Waals相互作用および水素結合形成によって行われる。シクロデキストリンの化学的性質を概観するには、Wenz, Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 33:803-822 (1994)を参照されたい。
【0407】
シクロデキストリン誘導体の物理化学的特性は、置換の種類および程度に強く依存する。例えば、それらの水への溶解性は、不溶性(例えば、トリアセチル−ベータ−シクロデキストリン)から、147%溶解性(w/v)(G−2−ベータ−シクロデキストリン)の範囲にある。さらに、それらは、多くの有機溶媒に可溶性がある。シクロデキストリンの特性によって、溶解性を増加もしくは減少させることによって、種々の製剤成分の溶解性をコントロールすることができる。
【0408】
多くのシクロデキストリンおよびそれらの調製方法が記載されている。例えば、Parmeter (I)ら(米国特許第3,453,259号)およびGrameraら(米国特許第3,459,731号)は、電気的に中立なシクロデキストリンを記載している。他の誘導体としては、カチオン性の特徴を有するシクロデキストリン [Parmeter(II)、米国特許第3,453,257号]、不溶性架橋シクロデキストリン(Solms、米国特許第3,420,788号)、およびアニオン性の特徴を持つシクロデキストリン[Parmeter(III)、米国特許第3,426,011号]がある。アニオン性の特徴を持つシクロデキストリン誘導体の中で、カルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、チオホスフィン酸、およびスルホン酸が親シクロデキストリンにぶら下がっている[Parmeter (III)、前掲文献参照]。さらに、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体がStellaらによって記載されている(米国特許第5,134,127号)。
【0409】
リポソームは、水溶性内側コンパートメントを包含する少なくとも1つの脂質二重膜からなる。リポソームは、膜のタイプおよび膜の大きさによって直腸付けることができる。小単ラメラ小胞(SUV)は、単一の膜をもち、典型的には、0.02μm乃至0.05μmの直径を持つ;大単ラメラ小胞(LUV)は、典型的には、0.05μmより大きな直径を持つ。オリゴマー大小胞およびマルチラメラ小胞は、多数の、通常同心の膜層を持ち、典型的には、0.1μmより大きな直径を持つ。大きな小胞に含まれる複数の同心でない膜を持つリポソームは、多胞体小胞と呼ばれる。
【0410】
本発明のある局面は、本発明の化合物を含有するリポソームを含む製剤であって、該リポソーム膜の輸送能力が増加したリポソームを提供するように製剤されているリポソームに関する。別法として、あるいは、追加的に、本発明の化合物は、リポソームのリポソーム二重層内または上に吸収される。本発明の化合物は、脂質界面活性剤を持つ凝集物で、リポソームの内側スペースに存在してもよい。これらの場合、リポソーム膜は、破壊的な活性剤−界面活性剤凝集物の破壊的作用に抵抗するよう製剤される。
【0411】
本発明のある態様によれば、リポソームの脂質二重層は、ポリエチレングリコール(PEG)によって誘導体化された脂質を含有し、PEG鎖は、脂質二重層の内側層からリポソームによってカプセル化された内側スペースに延び、脂質二重層から周囲の環境に延びるようになる。
【0412】
本発明のリポソーム内に含有される活性剤は、可溶性形状である。界面活性剤の凝集物および活性剤(例えば、該活性剤を含有するエマルジョンまたはミセル)は、本発明のリポソームの内側のスペースに捕捉される。界面活性剤は、活性剤を分散させ、活性剤を溶解させる機能を果たし、それは、限定されないが、鎖長が変化する(例えば、約C14〜C20)生体適合性リソホスファチジルコリン(LPC)を含む好適な脂肪族、シクロ脂肪族または芳香族界面活性剤から選択することができる。それらは、ミセル/膜融合を阻害するように機能するので、ポリマーを界面活性剤分子に添加することによって、界面活性剤のCMCが減少し、ミセル形成を助けるので、PEG−脂質などのポリマー−誘導体化脂質を用いてミセル形成することができる。マイクロモル範囲のCMCを持つ界面活性剤が好ましい。より高いCMC界面活性剤を用いて、本発明のリポソーム中にミセルを調製してもよい。しかしながら、ミセル界面活性剤モノマーは、リポソーム二重層の安定性に影響を及ぼしうる。そして、所望の安定性を有するリポソームを設計する際のファクターとなりうる。
【0413】
本発明のリポソームは、当業者に公知のあらゆる技術によって調製することができる。例えば、米国特許第4,235,871号;PCT国際公開第96/14057号; New RRC、Liposomes: A
practical approach, IRL Press, Oxford (1990),
pages 33-104; Lasic DD, Liposomes from physics to applications, Elsevier
Science Publishers BV, Amsterdam, 1993を参照されたい。
【0414】
例えば、本発明のリポソームは、親水性ポリマーによって誘導体化された脂質を、予め形成しておいたリポソーム中に拡散させることによって、例えば、予め形成されているリポソームを、脂質グラフトポリマーからなるミセルに曝露することによって、望ましくはリポソーム中に誘導体化された脂質の最終的なモル濃度に対応する脂質濃度で調製してもよい。親水性ポリマーを含有するリポソームは、当該技術分野において公知の、均質化、脂質−フィールド水和、または押し出し技術によって、形成することができる。
【0415】
別の製剤手順の例では、まず活性剤を超音波処理によって、疎水性分子を容易に安定化させるリソホスファチジルコリン中、または他の低CMC界面活性剤(ポリマーグラフト脂質)中で拡散させる。次いで得られた活性剤のミセル懸濁液を用いて、好適なモルパーセントのポリマーグラフト脂質またはコレステロールを含有する乾燥脂質サンプルを再水和する。次いで、抽出技法を用いて、当該技術において知られているように脂質および活性剤懸濁液をリポソームに形成し、カプセル化されていない溶液から標準的なカラム分離によって、リポソームを分離して得る。
【0416】
本発明のある局面において、リポソームは、選択された大きさの範囲内においてほぼ均質な大きさになるように調製される。サイズに基づく効果的な分類方法としては、リポソームの水溶性懸濁液を、選択された孔径の一連のポリカーボネート膜を介して押し出しすることを含む。膜の孔径は、膜から抽出することによって製造される、ほぼ最大サイズのリポソームに対応する。例えば、米国特許第4,737,323号(1988年4月12日)を参照されたい。
【0417】
放出改質剤
本発明の製剤の放出特性は、カプセル化する材料、カプセル化された薬物の濃度、および放出改質剤の存在に依存する。例えば、胃のようなpHの低いところでのみ放出する、または、腸のようなpHの高いところでのみ放出する、pH感受性コーティングを用いて、pH依存性となるように操作することができる。腸溶コーティングを用いて、胃を通過するまで、放出が起こらないように阻止することができる。多数のコーティグまたは異なる材料中にカプセル化されたシアンアミドの混合物を用いて、胃で最初の放出を起こし、その後、腸で放出を起こすようにすることができる。放出はまた、カプセルからの拡散による水分の取り込みおよび放出を増加させ得る塩または孔形成剤を入れることによって操作することもできる。薬物の溶解性を改質する添加剤を用いて、放出速度を制御することもできる。マトリクスの分解またはマトリクスからの放出を促進する薬剤を組み込むこともできる。それらは、薬物に添加することができるし、別個の相(すなわち、粒子)として添加することができるし、または、化合物によっては、ポリマー相に共溶解することもできる。いずれの場合も、その量は、0.1%乃至30%(w/wポリマー)とすべきである。分解促進剤の種類としては、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどの無機塩、クエン酸、安息香酸、およびアスコルビン酸などの有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、および水酸化亜鉛などの無機塩基、ならびに硫酸プロタミン、スペルミン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどの有機塩基、Tween(登録商標)やPluronic(登録商標)などの界面活性剤がある。マトリクスを微小構造にする孔形成剤(すなわち、無機塩や糖類などの水溶性化合物)を粒子として添加する。その範囲は、1%乃至30%(w/wポリマー)とすべきである。
【0418】
取り込みは、粒子の腸における滞留時間を変えることによって、操作することができる。これは、例えば、粒子をコーティングすることによって、または、カプセル化材料として粘膜吸着性ポリマーを選択することによって、達成することができる。その例としては、キトサン、セルロース、および特にポリアクリレート(本明細書において用いられているところのポリアクリレートは、シアノアクリレートやメタクリレートといった、アクリレート基や改質されたアクリレート基を含むポリマーを言う)などの、カルボキシル基を含まない多くのポリマーが挙げられる。
【0419】
コンビナトリアルライブラリー
対象となる化合物は、このセクションに記載のコンビナトリアル合成の方法を用いて合成することもできる。化合物のコンビナトリアルケミストリーは、薬学的、アグロケミカルもしくは他の生物学的もしくは医学に関連する活性、または材料に関連する質のスクリーニングを行うために利用することができる。本発明の目的のためのコンビナトリアルライブラリーは、所望の特性についてスクリーニングすることができる、化学的に関連する化合物の混合物であり、前記ライブラリーは、溶液の形状でもよいし、または固体支持体に共有結合されていてもよい。多くの関連する化合物の、単一の反応における調製は、行う必要のある多くのスクリーニングプロセス数を大幅に減らし、単純化する。適切な生物学的、薬学的、農薬学的または物理学的特性のスクリーニングは、従来の方法によって行ってもよい。
【0420】
ライブラリーの多様化は、種々の異なるレベルで可能である。例えば、コンビナトリアルアプローチに用いられる基質アリール基は、コアアリール部分の点で多様であることができる。例えば、リング構造について多様である。および/または、他の置換基に関して多様であることができる。
【0421】
小有機分子のコンビナトリアルライブラリーを作製するためには、当該技術分野における種々の技法を用いることができる。例えば、Blondelle et al.(1995)Trends Anal.
Chem. 14:83;
Affymaxの米国特許第5,359,115号および第5,362,899号: Ellmanの米国特許第5,288,514号:StillらのPCT国際公開公報WO94/08051号;Chen et al. (1994) JACS 116:2661: Kerr et al. (1993) JACS 115:252;PCT国際公開公報WO92/10092号、WO93/09668号およびWO91/07087号;Lerner et alらのPCT国際公開公報WO93/20242号)を参照されたい。したがって、約16〜1,000,000以上のダイバーソマーを持つ、種々のライブラリーを合成し、特別の活性もしくは特性についてスクリーニングすることができる。
【0422】
ある実施態様において、置換されたダイバーソマー(diversomer)のライブラリーは、StillらのPCT国際公開公報WO94/08051号に記載の望ましい技法に適用される対象となる反応、例えば、加水分解可能または光分解可能基によるポリマービーズに結合させる、例えば、基質の部分基質の1つに位置づけるといった反応を用いて合成することができる。Stillらの技法によれば、ライブラリーは、1セットのビーズ上に合成される。各ビーズは、ビーズ上の特定のダイバーソマーを同定する1セットのタグを含んでいる。酵素阻害剤を発見するために特に好適なある態様において、該ビーズは、浸透膜の表面に分散させることができ、ダイバーソマーは、ビーズリンカーの溶解によってビーズから放出され得る。各ビーズからのダイバーソマーは、膜を超えてアッセイ帯域まで分散し、酵素アッセイと相互作用することになる。多くのコンビナトリアル方法の詳細な説明を以下に示す。
【0423】
A.直接的な特徴づけ
コンビナトリアルケミストリーの分野において増大している傾向は、例えば、化合物のサブフェムトモル量の特徴を調べる、および直接的にコンビナトリアルライブラリーから選択された化合物の化学的構造を決定するために用いることができるマススペクトロメトリー(MS)などの技法の開発である。例えば、ライブラリーが、不溶性支持体基質上に設けられている場合、化合物の別個のポピュレーションをまず最初に支持体から放出させ、MSによって特徴付けることができる。別の態様において、MSサンプル調製技法の一部として、そのようなMS技法をMALDIとして使用して、特に、当初から化合物を基質につなぐために、不安定な結合が用いられている場合に、基質から化合物を放出させることができる。例えば、ライブラリーから選択されたビーズは、MALDIステップにおいて、基質からダイバーソマーを放出し、MS分析するために該ダイバーソマーをイオン化するために、照射することができる。
【0424】
B)マルチピン合成
当該方法のライブラリーは、マルチピンライブラリーフォーマットを用いることができる。簡潔に言えば、Geysenと共同研究者(Geysen et al. (1984) PNAS 81:3998-4002)は、マイクロタイタープレートフォーマットに配列されたポリアクリル酸グレートの(grated)ポリエチレンピン上でのパラレル合成によって化合物ライブラリーを作製する方法を導入した。Geysenの技法を使用して、マルチピン法を用いて、1週間に数千もの化合物を合成およびスクリーニングすることができる。そして、結合された化合物は、多くのアッセイにおいて再利用することができる。適切なリンカー部分をピンに付加して用い、純度の評価およびさらなる評価を行った後、化合物を支持体から切断してもよい(Bray et al. (1990) Tetrahedron Lett 31:5811-5814; Valerio
et al. (1991) Anal
Biochem 197:168-177; Bray et al. (1991) Tetrahedron Lett 32:6163-6166参照)。
【0425】
C)分割−結合−組換え
さらに別の態様において、化合物の多様なライブラリーは、分割−結合−組換え法を用いて、1セットのビーズ上に設けることができる(例えば、Houghten (1985) PNAS 82:5131-5135; and 米国特許第4,631,211号;第5,440,016号;第5,480,971号参照)。簡潔に述べれば、名前が示唆しているように、縮退がライブラリーに導入される各合成ステップにおいては、ビーズをライブラリーの特定の位置に付加されるべき異なる置換基の数と等しい別個のグループに分割して入れ、別個の反応において異なる置換基を結合し、そして次の反復のために1つのプールに組み込んだ。
【0426】
ある態様において、Houghtenが最初に開発した、内部の多孔性のポリプロピレンバッグに密閉された樹脂上で化合物の合成が行われる、いわゆる「ティーバッグ」法に類似するアプローチを用いた分割−結合−組換え法を用いることができる(Houghten et al. (1986) PNAS 82:5131-5135)。バッグを適切な反応溶液に置くことによって、置換基を化合物を持つ樹脂に結合する。一方、全てに共通のステップ、例えば、樹脂洗浄や脱保護は、1つの反応容器において同時に行われる。合成が終わったとき、各バッグは、単一の化合物を含有している。
【0427】
D)光指示、空間アドレス可能なパラレル化学合成によるコンビナトリアルライブラリー
合成基質上のその位置によって化合物の同定がなされるコンビナトリアル合成のスキームを空間アドレス可能合成と呼ぶ。ある態様において、コンビナトリアルプロセスは、化学的試薬を、固体支持体の特異的な位置への添加をコントロールすることによって行うことができる(Dower et al. (1991) Annu Rep Med Chem 26:271-280; Fodor,
S.P.A. (1991) Science 251:767; Pirrung et al. (1992) 米国特許第5,143,854号;
Jacobs et al. (1994) Trends
Biotechnol 12:19-26)。フォトリソグラフィーの空間分解能によって小型化が可能になる。この技法は、感光性保護基を用いた保護/脱保護反応によって行うことができる。
【0428】
この技法のキーポイントは、Gallop et al. (1994) J Med Chem 37:1233-1251に示されている。合成基質は、感光性ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)保護アミノリンカーまたは他の感光性リンカーの共有結合的付着を介して結合するために調製される。結合のための合成支持体の特異的な領域を活性化するために光が選択的に用いられる。感光保護基を光によって除去(脱保護)した結果、選択された領域が活性化される。活性化の後、それぞれ感光性保護基をアミノ末端に有している第1のアミノ酸アナログのセットを表面全体に曝露する。先行するステップにおいて、光によってアドレス指定された領域にのみ結合が生じる。反応を止め、プレートを洗浄し、基質を第2のマスクを介して再び照射し、第2の保護構築ブロックを用いた反応の異なる領域を活性化する。マスクのパターンおよび反応物の配列によって生成物およびそれらの位置を定義する。このプロセスは、フォトリソグラフィー技法を用いているので、合成され得る化合物の数は、適切な分解能によってアドレス指定され得る合成部位の数によってのみ限定される。各化合物の位置は、正確に知られている。したがって、その他の分子との相互作用を直接的に評価することができる。
【0429】
光指向型化学合成において、生成物は、その照射パターンおよび反応物の添加のレベルに依存する。リソグラフィーのパターンを変化させることによって、多くの異なるセットの試験化合物を同時に合成することができる。この特徴によって、多くの異なるマスキング法を作り出すことになる。
【0430】
E)コードされたコンビナトリアルライブラリー
さらに別の態様において、対象となる方法は、コードされたタグシステムを備えた化合物ライブラリーを使用する。近年、所与のビーズの反応ステップを独自にコードするタグ用いた化学的指標系および推測でそれが持つ構造を採用して、コンビナトリアルライブラリーからの活性化合物の同定が向上している。概念上、このアプローチは、活性が発現したペプチドに由来するファージディスプレイライブラリーを模倣しているが、活性ペプチドの構造は、対応するゲノムDNA配列から推論される。合成コンビナトリアルライブラリーの第1のコード化は、コードとしてDNAを採用した。配列可能なバイオ−オリゴマー(例えば、オリゴヌクレオチドおよびペプチド)、および更なる非配列可能タグを用いたバイナリーコード化を含む、他の形態の種々のコード化が報告されている。
【0431】
1)配列可能なバイオオリゴマーを用いたタグ付け
コンビナトリアル合成ライブラリーをコードするオリゴヌクレオチドを用いる原則は、1992年に記載されている(Brenner et al. (1992)
PNAS 89:5381-5383)。そのようなライブラリーの例は、翌年にも報告されている(Needles et al. (1993) PNAS 90:10700-10704)。各々、特異的なジヌクレオチド(それぞれTA、TC、CT、AT、TT、CAおよびAC)によってコードされているArg、Gln、Phe、Lys、Val、d−ValおよびThr(3文字アミノ酸コード)の全ての組み合わせからなる、名目上77(=823,543)個のペプチドのコンビナトリアルライブラリーを、固体支持体上で一連のペプチドおよびオリゴヌクレオチド合成を交互に行うことによって調製した。本研究において、ビーズ上のアミン結合機能性は、ビーズを、オリゴヌクレオチド合成のための保護OH基およびペプチド合成のための保護NH2基(ここでは、比率は1:20)を生成する試薬を用いて同時にプレインキュベートし、ペプチドまたはオリゴヌクレオチド合成へ特異的に分化させた。完了時、タグはそれぞれ69量体からなり、そのうち14ユニットはコードを有していた。ビーズ結合ライブラリーを、蛍光標識した抗体、および強く蛍光発光した結合抗体を含有するビーズを蛍光活性化された細胞分類によって回収した(FACS)。DNAタグは、PCRによって増幅し、配列させ、予測されるペプチドを合成した。そのような技法を行った後、当該方法で使用するために化合物ライブラリーを誘導することができ、タグのオリゴヌクレオチド配列は、特定のビーズが行う連続的なコンビナトリアル反応を同定し、したがって、ビーズ上で化合物を同定する。
【0432】
オリゴヌクレオチドタグによって、優れて感受性の高いタグ分析が可能となる。そうであっても、この方法は、タグとライブラリーメンバーの共合成を選択するために必要とされる保護基の直交系の選択には注意が必要である。さらに、タグの化学的不安定性、特にリン酸塩と糖のアノマー結合は、非オリゴマーライブラリーに用いることができる試薬の選択と条件を制限することになる。好ましい態様において、ライブラリーは、アッセイのための試験化合物ライブラリーメンバーの選択的解離を可能とするリンカーを採用する。
【0433】
ペプチドもまた、コンビナトリアルライブラリーのタグ分子として使用されてきた。2つのアプローチの例が当該技術分野において記載されている。その双方は、コーディングおよびリガンド鎖が交互に作製された固体相への分枝リンカーを採用している。第1のアプローチにおいては(Kerr JM et al. (1993) J Am Chem Soc 115:2529-2531)、コード鎖の酸不安定保護および化合物鎖の塩基不安的保護を採用することによって、合成の直交性が達成されている。
【0434】
もう一方のアプローチ(Nikolaiev et al. (1993) Pept Res 6:161-170)では、コードユニットと試験化合物の両方が樹脂上の同じ官能基に付着することができるように分枝リンカーが採用される。ある態様においては、切断によってコードと化合物の双方を含有する分子を放出することができるように切断可能なリンカーを分枝点とビーズの間に配置する(Ptek et al. (1991) Tetrahedron Lett 32:3891-3894)。別の態様において、切断可能リンカーは、コードを後ろにした状態で、試験化合物が選択的にビーズから分離され得るように配置することができる。この最後の構築物は、特に価値がある。なぜなら、それは、コード基に妨害される可能性なく、試験化合物のスクリーニングを可能とするからである。独立した切断およびペプチドライブラリーメンバーの配列の例、並びに、それらの対応するタグによって、該タグが正確にペプチド構造を予測することができることが確認された。
【0435】
2)非配列可能タグ:バイナリーコーディング
試験化合物ライブラリーをコードするための別の形態は、バイナリーコードとして使用される一連の配列可能な電気泳動的な分子のタグ付けを採用する(Ohlmeyer et al. (1993) PNAS 90:10922-10926)。タグの例としては、トリメチルシリルエーテルとして、電子捕獲型ガスクロマトグラフィー(ECGC)によって、フェムトモル量未満で検出可能なハロ芳香族アルキルエーテルがあげられる。アルキル鎖の長さ、ならびに芳香族ハライド置換基の性質および位置を変化させることで、原則的に240(例えば、1012まで)の異なる分子をコードすることができる、少なくとも40のそのようなタグの合成が可能となる。最初の報告(Ohlmeyer et al., 上掲)においては、該タグは、ペプチドライブラリーの約1%の入手可能なアミン基へ、光分裂可能なo−ニトロベンジルリンカーを介して結合している。このアプローチは、ペプチド様もしくは他のアミン含有分子を調製する場合に便利である。しかしながら、本質的にあらゆるコンビナトリアルライブラリーをコードすることが可能な、より万能な系が開発された。ここで、化合物は、光分裂可能なリンカーを解して固体支持体に付着し、タグは、カテコールエーテルリンカーに、カルベンのビーズ基質への挿入を介して結合することになる(Nestler et al. (1994) J Org Chem 59:4723-4724)。この直交な付着法によって、溶液中のアッセイのためのライブラリーメンバーの選択的付着および、続く、タグセットの酸性の分解後のECGCによるデーコーディングを可能とする。
【0436】
当該技術分野におけるいくつかのアミド結合ライブラリーは、アミン基に付着した電気泳動的タグを用いたバイナリーコーディングを採用しているが、これらのタグを直接的にビーズ基質に付着させることによって、コードされたコンビナトリアルライブラリーにおいて調製可能な構造中にさらに高い万能性をもたらす。このように付着されているので、タグおよびそれらのリンカーは、殆どビーズ基質自身として反応しない。電気泳動的タグが直接的に固体相に付着した2つのバイナリーコードされたコンビナトリアルライブラリーが報告されており(Ohlmeyer et al.(1995)PNAS 92:6027-6031)、対象となる化合物ライブラリーを生成する指示を提供している。双方のライブラリーは、ライブラリーメンバーが固体相に結合し、タグが、強い酸化によってのみ分解されうるリンカーを介して付着された、直交付着法を用いて構築された。ライブラリーメンバーは、それぞれ固体支持体から部分的に光溶出が可能であるので、ライブラリーメンバーは、多くのアッセイにおいて使用することができる。連続した光溶出は、非常にハイスループットの相互作用的スクリーニング法を可能にしている。第1に、多数のビーズを96ウェルマイクロタイタープレートに置き、第2に、化合物をアッセイプレートに部分的に付着させ、移し、第3に、金属結合アッセイが活性なウェルを同定し、第4に、対応するビーズを新しいマイクロタイタープレートに単一に再配列し、第5に、単一の化合物を同定し、そして第6に、構造をデコーディングする。
【0437】
実施例
本発明について、一般的に説明したが、以下の実施例を参照することによってより容易に理解することができよう。実施例は、本発明のいくつかの局面および態様を説明の目的のためだけに記載したものであって、本発明を限定することを意図していない。
【0438】
実施例1
[F−18]−1−メチル−1−(4−フルオロフェニル)ピペラジニウム塩の合成
【化50】
【0439】
t−BOC−保護メチルピペラジンを、圧力をかけながら、ベンゼン中、1−フルオロ−4−ニトロベンゼンの存在下で加熱し、4−t−BOC−保護1−メチル−1−(4−ニトロフェニル)ピペラジニウム塩を得た。ピペラジニウム塩を、カリウム[18F]フッ化物およびクリプトフィックスの存在下で、200℃で20分間加熱した。3M HCl水溶液を用いてそのオイルを処理し、[F−18]−1−メチル−1−(4−フルオロフェニル)ピペラジニウムクロライドを得た。
【0440】
実施例2
[F−18]−1−(4−フルオロシクロヘキシル)−1−メチル−4−フェニルピペラジニウムヨウ化物の合成
【化51】
【0441】
1,4−シクロヘキサジオール(シス/トランス混合物、10g、86mmol)、ベンゾイルクロライド(12g、86mmol)およびDMAP(50mg)のメチレンクロライド/ピリジン溶液(80/20)を25℃で4時間攪拌した。水性層が酸性になるまで反応混合物を10%HClで洗浄し、メチレンクロライド層を飽和NaHCO3、塩水で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒除去後、粗材料のクロマトグラフィー(シリカゲル、メチレンクロライド/メタノール、95:5)を行い、6g(30%)のベンゾイルアルコールを得た。
【0442】
4−ベンゾイルシクロヘキサノール(5g、23mmol)をPCC(7.4g、34.5)mmol)のメチレンクロライド溶液(50mL)を用いて、2時間25℃で酸化させた。黒色の反応混合物をシリカゲルのショートベッド(short bed)に通して濾過し、溶媒を除去した。クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/エチル酢酸塩、85:15)を行い、3g(60%)のケトン;Mp58−60℃を得た。
【0443】
1−(4−ベンゾオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを得るために、公開されている手順[J. Org. Chem. 1996, 61, 3849-3862]を用いて、還元性アミノ化を行った。1−フェニルピペラジン(1g、6.2mmol)と4−ベンゾオキシシクロヘキサノン(1.4g、6.2mmol)とを、1,2−ジコロエタン(dichoroethane)(35mL)中で合成し、その後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.2g)と氷酢酸(0.25g)で処理した。その混合物を窒素下で、25℃で16時間攪拌した。その反応混合物を1N NaOH(20mL)を添加することによって急冷し、生成物を、メチレンクロライドを用いて抽出した。その抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)し、溶媒を蒸発させて、粗自由塩基を得た。クロマトグラフィー(シリカゲル、メチレンクロライド、95:5)を行って、1.8g(80%)の1−(4−ベンゾオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを得た。
【0444】
メタノール(25mL)中で、1M
水酸化リチウム(5mL)を用いて、1−(4−ベンゾオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジン(1g、2.7mmol)の脱保護を80℃で1時間行い、0.6g(85%)の1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを得た。
【0445】
メタンスルホニルクロライド(0.23g、2mmol)の10mLのメチレンクロライド/ピリジン溶液(90/10)を用いて、25℃で、1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジン(0.5g、1.9mmol)をメシラートに変換した。その反応混合物を2時間撹拌し、真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物をメチレンクロライド(20mL)中に溶解し、飽和NaHCO3で2回洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒除去後、粗生成物をメチレンクロライド/メタノール(90:10)を用いたシリカゲル上でクロマトグラフにかけ、0.4g(80%)のピペラジンメシラートを得た。1H NMR(CDCl3)、δ1.4−2.4(9H、m、環−CH)、2.7(4H、m、ピペラジン−CH2)、3.05(3H、s、CH3)、3.2(4H、m、ピペラジン−CH2)、4.6(1H、m、O−CH)、6.83−6.9(2H、m、フェニル−CH)、7.2−7.3(3H、m、フェニル−CH)。
【0446】
0.5mLの18O−に富んだ水中にフッ素−18(20mCi)、クリプトフィックス2.2.2(10mg)および炭酸カリウム(2mg)を含有しているウィートン(Wheaton)5mL反応バイアルを118℃で加熱し、窒素ガス流の助けを借りて溶媒を蒸発させた。1mLのアセトニトリルを添加っすることによって、K18F/クリプトフィックス複合体を3倍に乾燥させ、窒素流を用いて、溶媒を蒸発させた。5mgの1−(4−メタンスルホンオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを含んだ1mlのアセトニトリル溶液をバイアルに添加し、120℃で10分間、フッ素化反応を行い、1mLのヘキサン/エチル酢酸塩/メタノール(50:45:5)溶液で置換した。混合後、該溶液をシリカゲルSepPak(Waters、Milford、MA)に載せ、活性を2mLの同じ溶液で溶出させた。標識されたピペラジン誘導体をHPLC(セミプレップシリカゲルカラム、ヘキサン/エチル酢酸塩/メタノール、50:45:5)によって精製した。その溶媒を除去し、ヨードメタン(0.1mL)のアセトニトリル溶液(1mL)を活性物を含有するバイアルに添加した。反応バイアルを120℃で20分加熱し、溶媒を蒸発させて、[F−18]−1−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペラジニウムヨウ化物(7mCi)を得た。
【0447】
実施例3
[F−18]−1−(3−フルオロシクロブチル)−1−メチル−4−フェニルピペラジニウムヨウ化物の合成
【化52】
【0448】
シクロブタノン−4−ベンジルオキシエーテルを公知の手順により作製した(J. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 130; Bull. Chem. Soc. Jpn, 1988, 57, 1637)。1−(3−ベンズオキシシクロブチル)−4−フェニルピペラジンを得るために、シクロヘキシルアナログを用いた公知の手順[J. Org. Chem. 1996, 61, 3849-3862]によって還元アミノ化を行った。上記のようにして、水素化、メシラート形成、および放射能標識化を行った。
【0449】
実施例4
[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(FTTP)の合成
【化53】
【0450】
非放射性標準および、放射能標識に用いられる化合物を、Horner [Chem. Ber.
1958, 91,45]およびRieke [J. Am. Chem.
Soc. 1976, 98,
6872]の方法によって調製した。4−ニトロアニリン(2.8g、0.02mol)および等モル量の亜硝酸ナトリウムを、10mlの濃縮塩酸HClの入った10mlの水中に0℃で溶解した。ナトリウム酢酸塩(5.6g)を溶解させた水(20ml)を添加した。トリフェニルホスフィン(5.6g)を溶解させた酢酸エチル(80ml)を攪拌しながら滴下した。1時間後、得られた溶液を酸性化し、水層を酢酸エチルから分離し、水溶性部分をエーテルで2回に抽出した。その酢酸エチル溶液を水で2回抽出し、該抽出物を水溶性断片と結合させた。ナトリウムヨウ化物の水溶液を添加することによって、ホスホニウムヨウ化物が沈澱した。mp225〜227℃(Lit.228.5℃;Chem. Ber. 1958, 91, 45)。4−ニトロフェニルホスホニウムのヨウ化物をAgNO3水溶液で処理した5mLのエタノール中に溶解した。濾過により銀ヨウ化物を除去し、その溶液を蒸発させ乾燥させた。粗塩をシリカゲル(メチレンクロライド/メタノール(90:10))上でクロマトグラフィーにかけて精製し、4−ニトロフェニルホスホニウム硝酸塩を得た;mp215〜127℃。C24H19N2O5PのAnal. calcd:C、64.57;H、4.29;Found:C、64.49;H、4.14。
【0451】
4−ニトロフェニルトリフェニルホスホニウム硝酸塩と[18F]フッ化物から、求核性芳香族置換によって[18F]FTPPを調製した。フッ素−18(600mCi)の入った1mLの18Oに富んだ水と100μLの水酸化アンモニアを含有するWheaton 5−mL反応バイアルを120℃で加熱し、水を蒸発させ、窒素ガス流の助けを借りてほぼ乾燥させた(約25μL)。1mLのニトロ化合物のアセトニトリル溶液をバイアルに添加し、蒸発さえて水と溶媒を除去した。1mLのアセトニトリルを添加することによって3回含有物を乾燥させ、窒素流を用いて溶媒を蒸発させた。該反応バイアルを200℃に10分間加熱し、25℃に冷却させ、含有物を1mlの50%0.1M Ca(NO3)2アセトニトリル溶液中に溶解させた。該溶液をアンモニアSepPak (Waters, Milford, MA)に載せ、未処理のフッ化物を除去し、その生成物をHPLC (Waters:Bondapak C-18、19X150mmカラム、フロー:6mL/分;溶離液:50:50アセトニトリル水溶液/0.01M H3PO4水溶液)によって精製した。回転蒸発によって、溶媒を除去し、[18F]FTPPを塩水に溶解させ、重炭酸ナトリウムを用いてpHを7.0に調節し、濾過した(0.22μm、Millipore:Millex-GV)。合成は2時間以内に完了した;[18F]FTPPの収率は20mCi(6%EOB)であった。
【0452】
実施例5
[F−18]−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩の合成
【化54】
【0453】
メタニトロアナログを[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩について説明したのと同様の方法で調製した。
【0454】
(4−ニトロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩と[18F]フッ化物から、求核性芳香族置換によって[18F]FTPPを調製した。フッ素−18(600mCi)の入った0.5mLの18Oに富んだ水と100μLの水酸化アンモニアを含有するWheaton 5−mL反応バイアルを120℃で加熱し、水を蒸発させ、窒素ガス流の助けを借りてほぼ乾燥させた(〜25μL)。1mLのニトロ化合物のアセトニトリル溶液をバイアルに添加し、蒸発させて水と溶媒を除去した。1mLのアセトニトリルを添加することによって3回含有物を乾燥させ、窒素流を用いて溶媒を蒸発させた。該反応バイアルを200℃に10分間加熱し、25℃に冷却させ、含有物を1mlの50%0.1M Ca(NO3)2アセトニトリル溶液中に溶解させた。該溶液をシリカSepPak(Waters, Milford, MA)に載せ、未処理のフッ化物を除去し、粗生成物を10%のメタノールのメチレンクロライド溶液(4mL)で溶出した。蒸発によって溶媒を除去した後、残留物を50:50アセトニトリル水溶液/0.01M H3PO4水溶液に溶解し、HPLC(Waters:Bondapak C-18、19X150mmカラム、フロー:6mL/分;溶離液:同じ溶媒)によって精製した。回転蒸発によって、溶媒を除去し、[18F]FTPPを塩水に溶解させ、重炭酸ナトリウムを用いてpHを7.0に調節し、濾過した(0.22μm、Millipore:Millex-GV)。合成は2時間以内に完了した;[18F]FTPPの収率は10mCi(3%EOB)であった。
【0455】
実施例6
[I−l25]−p−ヨードフェニルトリフェニルホスホニウム硝酸塩(ITPP)の合成
トリアゼン、4−ピペリジニルアゾフェニルトリフェニルホスホニウムヨウ化物からの位置特異的なI−125標識4−ヨードフェニルトリフェニルホスホニウム(ITPP)の合成がShoupとElmalehによって報告されている。トリアゼンは、高特異的活性レセプタープローブを調製するためによく使用されており、この経路は、高い収率と精度を提供するものである。4−ヨードアニリンのトリアゼンへの変換は、ジアゾニウムイオンをピペラジンでトラッピングすることによって行った。トリアゼンをトリフェニルホスフィンおよび触媒量のパラジウム(II)酢酸塩で処理し、I−125標識のための最終的なプレカーサーを得た。
【0456】
【化55】
【0457】
5.5g(25.1mmol)の4−ヨードアニリンが入った48mLの6N−HCl混合物を氷塩浴中で冷却した。該混合物に、予め冷却しておいた1.89g(27.4mmol)のNaNO2が入った12mLの水溶液を添加した。10分間撹拌した後、氷冷却した10.5gのKOH中の5.81mL(58.7mmol)のピペリジンの水溶液(90mL)を添加し、攪拌を続けた。10分後、塩基性になるまでアンモニアを添加し、生成物をCH2Cl2:EtOAc(1:1)中に抽出した。粗化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン中の30%メチレンクロライド溶出によって精製し、2.1g(25.4%)とした。分析サンプルをヘキサンから再結晶化した。:mp63〜65℃。NMR:d1.70(s、6H)、3.78(s、4H)、7.19および7.63(d、J=8.7Hz、4H)。C11H14IN3のAnal. Calcd:C、41.92;H、4.48;N、13.33;I、40.27。Found:C、42.08;H、4.60;N、12.99;I、4.075。
【0458】
パラジウム(II)酢酸塩(4.48mg、0.02mmol)を630mg(2mmol)のトリアゼンと524mg(2mmol)のトリフェニルホスフィンのキシレン溶液をに添加し、その混合物を110℃で一晩攪拌した。その析出物を濾過し、ベンゼンで洗浄し、167mg(14.5%)の固形物を得た。それをさらに精製することなく使用した。分析サンプルは、メチレンクロライドで溶出することによってシリカゲル上でさらに精製して作製し、CH2Cl2−エーテルから再結晶化した:255〜257℃。NMR:d1.75(m、6H)、3.96(m、4H)、7.72(m、19H)。C29H29IN3PのAnal. calcd:C、60.32;H、5.06;N、7.28;I、21.98;P、5.36。Found:C、59.70;H、5.14;N、7.33;I、21.65;P、5.30。
【0459】
ナトリウム125I(340μCi)を、MeCNを用いた共沸条件下で、反応バイアル中で、窒素流のもと110℃で乾燥させた。前の反応から得た600μgのトリアゼン、30μLのMeCN、および5μLのClSiMe3を該バイアルに添加し、その混合物を60℃で加熱した。15分後、100μLのNaHCO3溶液を添加し、その反応混合物をCH2Cl2で抽出した。20%AgNO3溶液を用いて有機相を3回完全に洗浄した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を0.1mLのCH2Cl2中に溶解し、シリカゲルプラグに通した。このミニカラムをCH2Cl2およびアセトンをそれぞれ用いて溶出した。そのアセトン断片は、Radio−TLC(CH2Cl2中10%MeOH)上で均質な望ましい生成物であった。放射化学的収率は67%であり、特異的活性は17.4Ci/mgであった。
【0460】
実施例7
[I−l25]−p−ヨードフェニルトリフェニルホスホニウム(phosponium)硝酸塩の細胞および成体分布(TPPI)
5、30、60分後の、ラットでのTPPIの生体分布(1時点につき6)を図2に示す。心臓活性は、0.7%用量/グラムであった。マイクロスフェアから予期されるように、その活性は、心臓において60分間一定に維持された。その活性は、血液から迅速に洗浄し、心臓対血液比率は、2.9から8.3乃至12.1とそれぞれ上昇した。心臓対肺の比率は、0.96から、1.62乃至1.5と変化した。心臓濃度は、肺濃度の2倍であり、よって、特に断層撮像において、心臓の撮像を鮮明なものとすることができる。
【0461】
TPPIの細胞分散は、そのトリチウムアナログのそれに類似しており、その化合物は、蓄積され、カルシノーマ細胞によって保持された。MCF−7およびC−6BAGグリオーマにおいて、240分間の期間中、高保持率が観察された。C6グリオーマ細胞系列は、30分後の最大蓄積からの部分的なウォッシュアウトが示された。CV−1正常細胞系列は、著明な取り込みなしに一定に保たれた。図3は、トリチウムテトラフェニルホスホニウムとそれが放射性ヨード化されたTPPIの双方が同じような振る舞いを示した。
【0462】
C6−BAGグリオーマを移植されたラットでのTPPIの成体分布は、腫瘍組織における放射性ヨウ化物の蓄積を示した。60、120および240分後の腫瘍対脳の比率は、それぞれれ40、17および44であった。腫瘍対血液の比率は、いずれの時点においても12であった。このグループでは平均腫瘍サイズが小さいため、脳対腫瘍のより低い比率が120分後に測定された。通常、脳の取り込みは、脳血液関門の破壊に部分的に関連しうる。240分後においては、腫瘍からのウォッシュアウトがなかったので、高い保持が観察されるのは、TPPIの選択取り込みメカニズムに部分的に起因するものであると当然想定される。図4は、C6−BAGグリオーマを脳に移植されたラットでのTPPIの成体分布をまとめた図である。取り込みは、%用量/グラムで示している。
【0463】
実施例8
[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(FTTP)の細胞および成体分布
塩水に溶かしたFTTP(50〜75μCi)を、麻酔をかけていないラットおよび動物の大腿静脈に直接注射して犠牲にし、5つの時点:5、30および60分後(1つの時点につき6匹のラット)において評価を行った。血液は心臓穿刺により採取した。注射する前後に、注射器を計量し、送達された体積を測定した。単位体積あたりの活性(Thqe activity)は、標準から得た。8つの異なる組織(血液、骨、肺、肝臓、腎臓、心臓、筋肉、および全血)を摘出し、計量し、Packard Cobra II
Auto-Gamma Counter (Packard Instrument Co., Downers Grove, IL)でカウントした。自然な状態の数は、腐敗に関連していた。全ての結果を、注射された用量/グラムで表した(%ID/g;中間値± 標準偏差)。
【0464】
図5は、ラットにおける静脈投与の5、30および60分後のFTPPの成体分布を示す図である(1時点につき5)。5分後、心臓でのFTPPの蓄積(1.64ID/g)は、血液に比べ11倍の高さ、肝臓と比べ5倍の高さとなった。FTPPの肺、肝臓、および腎臓での蓄積は、血液、筋肉、および脳よりも大きかった。30分後、放射能の心臓での取り込みは、1.5ID/gであり、心臓対血液の比率は、75:1であった(表1)。血液の活性は、5分から60分で著明に変化した。肺の活性は、5分で0.69ID/g、30分で0.30ID/g、60分で0.38ID/gであった。一方、肝臓での取り込みは、5分で0.18ID/g、30分で0.17ID/g、60分で0.17ID/gであった。5、30および60分後における心臓対肺の比率は、それぞれ2.4、5.0、3.2であった。脱フッ素化を示す骨での蓄積は、最低であり、5分で0.31ID/g、60分後には0.39ID/gに上昇していた。
【0465】
表1:投与5、30および60分後における、FTTPの心臓対組織比率
【表1】
【0466】
実施例9
[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(FTTP)を用いたPETイメージング
ラット(250〜300グラム)またはウサギ(3〜4Kg)に麻酔をかけ、撮像部を腹側にして配置し、0.4〜1mCiのFTPPを静脈に注射した。放射性標識リガンドの注射から1時間の間に3次元動的データをリスト形式で取得した。
【0467】
マイクロPET、P4システム(Concorde Microsystems
Inc, Knoxville, TN)を用いて、PETイメージングを行った。視野の長さは8cmであり、直径は22cmである。ラットあるいはウサギの全体の上半身を、1回で撮影することができる大きさである。このシステム撮像のパラメーターは、平面内であり、軸解像度は、最大数の半分での測定において1.2mm全幅の光電ピークである。両動物種におけるMicroPET撮像から、FTPPの注入後、最初の活性は、血流量に対応し、次いで、1分後、プラトーな状態で、心臓に取り込まれることがわかった。図2は、FTPP投与の30〜31分後に回収した中位の軸(左)、冠状(中央)、矢状(左)の図の画像を示す図である。ラットでの1時間の連続イメージングによって得た、典型的な血液および組織の時間−活性曲線である。
【0468】
図10および11は、同じ動物において翌日に行った、LAD閉塞前後のウサギから取得したいくつかの心臓トモグラフを示す図である。該ウサギに麻酔をかけ、マイクロPETカメラ内に配置し(カメラの位置づけの際、体にマークを付した)、3mCiのN−13−アンモニアの投与後10分間の連続画像を取得した(図10)。1時間後、FTPPを注射し、その後60分間、ウサギの連続イメージングを行った(図11)。N−13−アンモニア活性を維持するために、適切なプログラムを用いて画像の相関を行った。1日後、同じウサギに対してLAD閉塞プロトコルを行い、同じカメラの視野内に配置し、上記2重の薬剤の連続撮像(dual agent imaging
sequence)を繰り返した。図10および11は、N−13−アンモニアとFTTPのそれぞれを注射後1日目の正常なウサギのいくつかの心臓濃度と時間−活性曲線を示す図である。図12および13は、閉塞によって影響を受けた1つの部位におけるLAD閉塞後に取得した撮像結果を示す図である。時間−活性曲線および画像は、LAD閉塞内において活性の減少した部分をはっきりと示している。質の高いウサギ画像は、N−13−アンモニア、確立した心筋かん流剤と比較した場合、FTTPを用いた場合、心臓筋肉の輪郭が、同様により明確であることを示している。60分後の後期画像は、心筋によるFTTPの高い保持を示している。
【0469】
引用による援用
本明細書において引用した全ての特許および文献は、引用によりここに援用している。
【0470】
均等物
当業者なら、ルーチンの実験法を用いるだけで、ここに記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識または確認することになろう。そのような均等物は、以下の請求項に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0471】
【図1】図1は、種々の金属活性化アレーンを示す図である。
【図2】図2は、[F−18]1−(4−フルオロシクロヘキシル)−1−メチル−4−フェニルピペラジウムのラットにおける成体分布データを示す図である(実施例7)。
【図3】図3は、[I−125]TPPIの細胞分布を示す図である(実施例7)。
【図4】図4は、C6−BAGグリオーマを移植されたラットでの[I−125]TPPIの成体分布を示す図である(実施例7)。
【図5】図5は、[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム(TPPF)のラットでの成体分布を示す図である。
【図6】図6は、[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム塩{[F−18]FTPP}を注射後、MicroPETカメラで撮影したラット心臓断片(冠状面(左)、横断面(中央)、矢状面(右))の画像を示す図である。
【図7】図7は、[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(正常状態:黄色)のIV注射後、ならびに[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩の第2の注射後、およびアデノシンボラス注射後(青)に取得したラット心臓についての時間−活性曲線を示す図である。フローにおいて29%の上昇が認められた。
【図8】図8は、左心室(下)および心筋(上)内部の血液プールにおけるFTTPの時間依存性活性を示す図である。
【図9】図9は、左心室および心筋内部の血液プールにおけるFTTPの時間依存性活性を示す図である。
【図10】図10は、LAD閉塞前後のN−13−アンモニア画像と時間活性曲線を示す図である。
【図11】図11は、LAD閉塞前後のウサギのFTTPトモグラフと時間活性曲線を示す図である。
【図12】図12は、N−13−アンモニアおよびFTTP画像、およびそれらの対応するLAD閉塞後の時間活性曲線を示す図である(ROI分析)。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2004年2月24日に出願された米国仮特許出願第60/547,206号の優先権を主張する。これらの出願の内容全体を本明細書中に引用によって援用する。
【背景技術】
【0002】
現代のメディカルイメージングは、放射性同位元素の使用に大いに依存している。最初に臨床的に採用された放射性同位元素の1つは、テクネチウム(Tc)であった。この元素は、1961年に、Na99mTcO4の形で初めてヒト被験者に投与された。ハロゲンを初めとした、他の放射性同位元素、例えば、125I、131I、および82Brなど、および鉛、ガリウム、レニウム、ヒ素および銅の種々の金属放射性核種のアイソトープが、潜在的なイメージング剤として調べられた。メディカルイメージングを、脳、腫瘍、心臓血管系の構成要素の撮像を含む、種々の医学的用途に用いる。
【0003】
血流イメージング剤は、心機能を測定するためのツールとして現在最も重要なものである。Tl−201、Tc−99−MIBIおよびTc−99−テトロフォスミンは、静止している心筋および運動後の心筋の画像化のために、ルーチンで用いられている。これらの物質は非常に有用であるが、最適ではない。これらのトレーサー(tracer)は、単一光子イメージング剤であり、それらの解像度は、SPECT撮像カメラの特性および技術に限定される。しかしながら、フッ素−18は、放出された放射減衰に対する高い解像度や修正を含む、いくつかの利点を持つ陽電子放出断層撮影法の画像技術によって検出することができる。実際、PETカメラの数、および画像中心は、フッ素―18の優れた性能に反応して増える。
【0004】
F−18は、臨床的核医学診断において現在用いられている、最も有用な陽電子放出性の放射性核種の1つである。例えば、2−[F−18]FDG(2−[F−18]−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)は、いくつかの癌および脳疾患の診断において選択される放射性薬物である。この放射性薬剤は、優れた高解像度画像および組織の定量的部分的取り込みを行う。110分半減期のフッ素−18は、2−[F−18]FDGを作製し、サイクロトロンセンター(cyclotron center)近くの核医学施設に分配することができる。フッ素−18は、身体半減期が比較的長いことによって、中等度に遅い生理学的プロセスのPET研究も可能である。フッ素−18は、主に陽電子の放出(97%)、および放出された陽電子が比較的低エネルギー(最大0.635MeV)であることによって腐敗し、したがって、短い平均射程(水中で2.39mn)を有する。フッ素−18は、粒子加速機および広範囲の核反応を持つ核反応器の双方によって容易に取得可能であり、1.171x109Ci/mmolの理論上の限界値に近づく特殊な活性において作製することができる。
【0005】
それらの優れたメディカルイメージング特性に加えて、フッ素原子は、多くの薬学的化合物の成分である。フッ素は、多くの生物学的活性分子において、2−デオキシ−D−グルコースの場合において成されるように、ほぼそれらの特性を変更することなく、水素原子の代替物としての機能を果たすことができる。
【0006】
F−18の有用性にもかかわらず、F−18を有機分子に導入するための方法は、非常に少ない。これまで、F−18の一重結合への導入は、メシラートまたはトリフラート上での交換反応を介して行われていた。別法として、F−18は、適切なスズ化合物および[F−18]F2を介して、または無水[F−18]フッ化物を用いて、電子求引性の活性化環上で、C−C二重結合もしくは芳香族環上に導入することもできるであろう。交換反応は、メシラートもしくはトリフラートを、F−18、炭酸カリウムおよびクリプトフィックスなどのクラウンエーテルの混合物で処理することによって行われる。その反応の最善の例は2−[F−18]FDGである。[F−18]−F2、[F−18]XeF2、[F−18]DAST、[F−18]トリエチルアンモニウムフッ化物を用いた他の反応も、特異的な放射能標識として報告されている。トリブチルスズ置換二重結合および芳香族環の放射性フッ素化(radioフッ素化)は、試薬として[F−18]F2を用いていた。しかしながら、これらの放射性フッ素化の特異的な活性は、冷F2担体のために非常に低い。活性化された芳香族環上での、F−18無水フッ化物を用いた、ニトロ部分の放射性フッ素化も報告されていた。しかしながら、大半のフッ素含有薬物は、ニトロ、アルデヒド、ケトン、エステルその他の電子吸引基によって活性化されることはない。したがって、この反応は、多くの化合物において適用することはできない。
【0007】
心筋層の分子挙動、生理学的特性、解剖学的特性および機能を理解することによって、心臓疾患の診断を向上させる新たな薬剤の開発を急ぐ必要がある。しかしながら、F-18を備え付けるために用いられる方法には特有の限定があるため、多くの生物学的に活性のある分子、薬剤、レセプターリガンド、ペプチド、およびタンパク質は、臨床的核医学に容易に利用することができない。したがって、化合物を、多岐にわたる有機基質に馴染みやすいF−18で標識するための新たな方法が必要である。
【発明の開示】
【0008】
本発明の一局面は、フルオロ置換アルキル、シクロアルキル、アリール、およびアルケニル化合物を調製する方法に関する。いくつかの態様において、無水カリウムフッ化物(flouride)は、アルキルまたはシクロアルキルスルホン酸塩、例えば、メシラートと反応する。いくつかの態様において、無水カリウムフッ化物(flouride)は、ニトロ芳香族化合物と反応する。ある好ましい態様において、該反応は、クリプトフィックスの存在下で行われる。ある好ましい態様において、カリウムフッ化物−18を使用する。
【0009】
本発明の別の局面は、イメージング剤として有用なフッ素―18を含有するピペラジン化合物に関する。いくつかの態様において、ピペラジン化合物は、4級アミンを含有する。いくつかの態様において、ピペラジン化合物は、シクロアルキル基またはアリール基で、N-置換されている。ある好ましい態様において、ピペラジン化合物は、4位においてフェニル基で置換され、1位においてフルオロシクロアルキル基で置換されている。
【0010】
本発明の別の局面は、イメージング剤として有用なフッ素―18を含有するアリールホスホニウム化合物に関する。いくつかの態様において、ホスホニウム化合物はテトラアリールホスホニウム塩である。ある好ましい態様において、アリールホスホニウム化合物は、テトラフェニルホスホニウム塩である。
【0011】
本発明の別の局面は、哺乳動物に本発明の化合物を投与するステップ、哺乳動物の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、哺乳動物の陽電子放出画像を取得する方法に関する。ある好ましい態様において、本発明の化合物は、フッ素−18で置換されたピペラジンである。
【発明の詳細な説明】
【0012】
放射性同位元素イメージング
タリウム−201、Tc−99−セスタミビ、およびテトロホスミンは、心筋かん流の臨床評価において現在最も広く用いられている放射性薬物である。しかしながら、陽電子放出断層撮影法(Positron Emission Tomography)(PET)技術の使用の普及や、SPECT薬剤の特性に関わる、これらの薬剤の制限から、より好適なPETトレーサーを探求することが促されてきた。心筋かん流薬を開発するための大半のアプローチは、通常、ヨード−123またはテクネチウム−99mをカチオン部分に組み込み、それによって、モノカチオン性タリウム(I)種の分散特性を潜在的に保持しながら、ヨードおよびテクネチウムのよりよい放射性核種特性の利点を利用するものである。多くの出版物が、心疾患の研究および臨床診断のための上記の単一光子放射形コンピュータ断層撮影法(Single Photon Emission Tomography)(SPECT)市販薬剤について記載している。血流剤をデザインする別の方法は、アンチピリンのような自由に拡散する薬剤を使用することである。しかしながら、このアプローチは、自由に拡散し、組織に顕著に溜まる薬剤と比較して、これらの薬剤は、モデリングが困難であること、および動力学データを迅速に回収する必要があることから避けられることが多い。
【0013】
F−18FDGの普及およびPETスキャナーの指数関数的増加によって、我々の努力は適切なF−18親油性カチオン性薬剤の開発に向けられてきた。発明者らは、帯電されたピペラジニウム塩およびテトラフェニルホスホニウム塩の変形に基づいて、2つの一連の薬剤を開発した。これらの塩の合成とF−18放射能標識は、好適なプレカーサーおよび放射能標識の適切な状態が必要であるため、容易な事ではない。ここで、発明者らは、いくつかの特異的な構造および血流剤などのそれらのアナログについて説明する。発明者らは、これらの薬剤の合成および放射能標識手順を考案した。
【0014】
触媒性放射性ハロゲン化
本発明の触媒性放射性ハロゲン化反応は、無水カリウムハライド、クラウンエーテル、および脱離基を持つ有機化合物を反応させることを含む。ある好ましい態様において、放射性ハロゲン化は、放射性フッ素化である。該反応は、脱離基をハライドで置換することによって進行する。重要なことは、本発明の反応は、脱離基の再活性化を高めるために化合物が活性化基を含む必要がないということである。例えば、放射性フッ素化反応は、非活性化ニトロアリール基、例えば、ニトロフェニル基に作用する。本発明の放射性フッ素化反応が、「活性化」および「非活性化」の双方の化合物に作用するという事実は、重要な突破口であり、医学的なイメージングに有用な多くの18F標識化合物の容易な調製を可能にするであろう。
【0015】
さらに、該反応は、溶媒の存在下もしくは不存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行われる反応では、該反応は、反応の基質と反応するかもしれないヒドロキシル基を持たない、大半の溶媒になじみやすいものでなければならない。好適な溶媒の代表的な選択は、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンジグライム、ジメトキシエタン(グライム)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ヘプタン、オクタン、酢酸ブチルなどを含む。特定の反応のための理想的な溶媒は、当該技術分野の当業者が、好ましい反応温度、溶媒の沸点、および溶媒中への基質の溶解性を考慮して決定することができる。
【0016】
いくつかの態様において、クラウンエーテル(crown
either)は、クリプトフィックスである。1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザ−シクロペンタデカン(クリプトフィックス(登録商標)21)、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプトフィックス(登録商標)222),4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサン(クリプトフィックス(登録商標)221)、および4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン(クリプトフィックス(登録商標)211)を含む、種々のクリプトフィックス組成物が、本発明において作用するであろう。
【0017】
最適な反応温度は、脱離基の反応性および反応に用いる溶媒の沸点を考慮して調整することができる。溶媒の不存在下では、約200℃までの温度で、反応を行うことができる。比較的高い反応温度は、反応時間を減少させる。あるいは、溶媒としてアセトニトリルを用いた場合、約120℃の反応温度がいくつかの基質において最適である。フッ素化反応は、より低い反応温度で行うことができる。より低い反応温度は、温度が上昇すれば分解されるかもしれない基質にとって有利である。しかしながら、反応を低温で行う場合、反応を完了させるのにより長い時間の間反応を行わなければならない。いくつかの態様において、反応は、少なくとも約25℃、40℃、50℃、または75℃で行われる。より好ましい態様において、反応は、少なくとも約100℃、110℃、120℃、または140℃で行われる。いくつかの態様において、反応は、少なくとも約180℃、200℃、または220℃で行われる。一般的に、約200℃付近で行われる反応は、溶媒を用いずに行われる。
【0018】
脱離基は、ハロゲン求核物質で置き換えることができるあらゆる化学的フラグメントとすることができる。いくつかの態様において、脱離基は、酢酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ハロゲン、ニトロ基などである。ある好ましい態様において、脱離基は、メシラート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、またはニトロ基である。脱離基は、アルキルまたはシクロアルキル基の第1または第2炭素原子に付着することができる。さらに、本発明のハロゲン化反応は、芳香族環に付着した脱離基にも作用する。ある好ましい態様において、芳香族環は、ベンゼン環であり、脱離基はニトロ基である。
【0019】
本発明のハロゲン化反応は、反応条件が無水であるとき、最もよく作用する。いくつかの態様において、該反応は、約5%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の水の存在下で行われる。ある好ましい態様において、反応条件は無水である。あらゆる水も用いる溶媒から除去することが重要である。さらに、カリウムフッ化物が無水であることが重要である。いくつかの態様において、カリウムフッ化物は、約3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、または0.1重量%未満の水を含有する。ある好ましい態様において、カリウムフッ化物は、1重量%未満の水を含有する。
【0020】
本発明のハロゲン化反応は、カリウムフッ化物以外のハロゲン源を用いて行うことができる。例えば、カリウムカチオンは、リチウム、ナトリウム、セシウム、またはルビジウムカチオンに置き換えることができる。さらに、カリウムカチオンは、正に帯電した遷移金属、例えば、ランタニド、アクチニドに置き換えることができる。いくつかの態様において、カリウムカチオンは、テトラアルキルアンモニウムカチオン、例えば、テトラブチルアンモニウムに置き換えることができる。本発明のハロゲン化反応を用いて、フッ化物のアイソトープ、例えば、18Fを導入することができる。いくつかの態様において、本発明のハロゲン化反応を用いて、ヨウ化物、臭素、または塩素のアイソトープを導入することができる。例えば、ヨウ化物は、放射性同位元素、例えば、123I、124I、125I、または131Iである。例えば、クロライドは、放射性同位元素、例えば、36Clである。例えば、臭素は、放射性同位元素、例えば、77Br、80Brまたは82Brである。
【0021】
いくつかの態様において、反応は、遷移金属の存在下でより急速に進行するかもしれない。いくつかの遷移金属は、芳香族炭素原子と複合体を形成して、それによって炭素原子を求核物質により影響を受けやすい状態に置くことが知られている。いくつかの遷移金属は、精力的にアクセスしやすいd-軌道を有している。それは、部分的にのみ電子が充填されている。これらの軌道の数および形状は、これらの触媒によって可能な多くの反応経路に起用する。金属活性化アレーンは、求核反応(図1)を行う。該金属は、しばしばニトロ基にたとえられる強い電子求引基として機能し、したがって、アレーンは、入ってくる求核物質からの電子密度を受け入れることができる。
【0022】
放射性フッ素化反応は、スルホン酸塩、ニトロ、酢酸塩、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、テロアリール、アラルキル、もしくはアルケニル化合物のハロゲン誘導体を含む広範囲の化合物になじみやすい。いくつかの好ましい態様において、放射性フッ素化置換基は、ニトロ芳香族化合物、アルキルメシラート、またはシクロアルキルメシラートである。アルケニルハライドおよびアルケニル酢酸塩はまた、反応条件になじみやすい。以下の予言的な例は、本発明の放射性フッ素化反応がF−18標識アルケニル化合物を調製するために使用することができるであろうことを示すものである。
【0023】
【化15】
【0024】
本発明の別の局面は、トリアジンをナトリウムヨウ化物およびクロロトリメチルシランと反応させることによって、アリールハライドを調製する方法に関する。ある好ましい態様において、ヨウ化物は放射性である。いくつかの態様において、ヨウ化物は、123I、124I、125I、または131Iである。ある好ましい態様において、ヨウ化物は、125Iである。反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行う反応においては、該反応は、反応のための基質と反応するかもしれないヒドロキシル基を持たない大半の有機溶媒になじみ深いもので無ければならない。好適な溶媒の代表的な例としては、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンジグライム、ジメトキシエタン(グライム)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ヘプタン、オクタン、酢酸ブチルなどがあげられる。特定の反応のための理想的な溶媒は、当該技術分野の当業者が、好ましい反応温度、溶媒の沸点、および溶媒中への基質の溶解性を考慮して決定することができる。
【0025】
最適な反応温度は、基質の熱感受性および反応に用いる溶媒の沸点を考慮して調整することができる。例えば、溶媒としてアセトニトリルを用いた場合、約120℃の反応温度がいくつかの基質において最適である。ヨウ素化反応は、より低い反応温度で行うことができる。より低い反応温度は、温度が上昇すれば分解されるかもしれない基質にとって有利である。しかしながら、反応を低温で行う場合、反応を完了させるのにより長い時間の間反応を行わなければならない。 いくつかの態様において、いくつかの態様において、反応は、少なくとも約25℃、40℃、50℃、または75℃で行われる。より好ましい態様において、反応は、少なくとも約100℃、110℃、120℃、または140℃で行われる。しかしながら、いくつかの態様において、反応は、少なくとも約150℃または180℃で行ってもよい。
【0026】
本発明のハロゲン化反応は、ナトリウムヨウ化物以外のハロゲン源を用いて行うことができる。例えば、ナトリウムカチオンは、リチウム、カリウム、セシウム、またはルビジウムカチオンに置き換えることができる。さらに、ナトリウムカチオンは、正に帯電した遷移金属、例えば、ランタニド、アクチニドに置き換えることができる。本発明のハロゲン化反応を用いて、ヨウ化物のアイソトープ、例えば、123I、124I、125I、または131Iを導入することができる。いくつかの態様において、本発明のハロゲン化反応を用いて、フッ化物、クロライド、または臭化物のアイソトープを導入することができる。例えば、ヨウ化物は、放射性同位元素、例えば、123I、124I、125I、または131Iである。いくつかの態様において、フッ化物は、18Fである。例えば、クロライドは、放射性同位元素、例えば、36Clである。例えば、臭素は、放射性同位元素、例えば、77Br、80Brまたは82Brである
【0027】
クロロシランは、アルキルおよびアリール基の数の合計が3になるように、1〜2のアルキル基および1〜2のアリール基を持つ、トリアルキルクロロシラン、トリアリールクロロシラン、トリアラルキルクロロシラン、またはクロロシランのいずれかである。いくつかの態様において、クロロシランはtert-ブチルジメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、またはトリメチルクロロシラン、ジフェニルクロロメチルシランである。ある好ましい態様において、クロロシランは、トリメチルクロロシランである。
【0028】
本発明は、触媒交換反応を用いて、フッ化物−18を多くの有機分子に導入する方法を提供する。この方法の1つの有利な点は、多くの生物学的活性のある分子を、多くの施設においてルーチンで生成されている、単純な形態のフッ化物−18で放射性標識付けすることができる簡易さ、および可能性である。この方法によって、多くの新しい、価値のある放射性薬物を広く製造し、使用することを可能とするであろう。本発明の放射性フッ素化方法は、フッ化物−18および他のハロゲンを一重結合、または二重結合、すなわち、sp3−ハイブリダイズされた炭素およびsp2−ハイブリダイズされた炭素上に備えるのに有用である。
【0029】
生体分布分析
ラット
CD Fisherラット(175〜225g)に、エーテル麻酔を施し、尾部静脈を介して、0.2 mL(20〜40mCi)のF−18標識化合物を注射する。1群6匹のラットのそれぞれを、注射の5分後、30分後、および60分後に、エーテルで窒息させることによって屠殺する。適切な臓器を切開し、ブロット乾燥(blotted dry)させ、重量計測し、NaI(Tl)ガンマウェル型シンチレーションカウンターで放射能の有無を調べた。胸部腔内の静脈から血液を採取し、放射能の有無を調べる。
【0030】
サル
動物をマイクロPET断層カメラに配置し、2.5mLの0.9%塩水の溶けた2〜5mCiのF−18−メチル化フェニルピペラジニウム誘導体を数秒間かけて静脈投与する。PETデータを1時間かけて回収し、最初に10分、続いて1分の間は10秒統合露出を行う。分散、偶然の一致、自己吸収、および検出の単一性変化についてのデータを回収する。定量的断層構築物を算定する。対象試薬の時間−活性曲線を回収する。
【0031】
可能な心筋のイメージング剤としての、これらの放射性化学物質の評価において対象となるパラメーターは、心臓での取り込み、肝臓、胚、および血液などの周辺組織と比較して心臓を選択すること、ならびに心臓の活性化を保持することを含む。
【0032】
本発明によれば、[F−18]−1−メチル−1−(フルオロアルキル)−4−フェニルピペラジニウム誘導体は、容易に調製することができ、それらは、マークされた心筋の取り込みおよび選択性を有する。放射性標識された化合物は、急速にラット心筋層に位置づけられ、有意な保持率で、高い取り込み、良好な標的と非標的との選択性を提供する。組織分布を、既に評価されている125I標識化合物と比較する。さらなる前臨床研究を、これらの試薬の分布を、マイクロスフェアや他の潅流マーカーと比較する。
【0033】
血流剤としての薬物をPETイメージングおよびマイクロスフェア注射によって確認する方法
動物(ブタまたはラット)を、アクセプトされているプロトコルにしたがって、簡潔に述べれば、カテーテルを頸動脈および大腿静脈に挿入することによって準備した。該動物ををPETカメラ内に配置する。
【0034】
異なるタグマイクロスフェアおよび血流剤を持つ2セットを、2部構成の実験において、以下のとおり注入する。両方の部分において、マイクロスフェアを1つの血管(動脈)および特別の流速に設定したポンプを用いて他から採取した血液中に注射する。最初の注入は、動物の正常の流速で行う。[F−18]血流剤および第1のタグマイクロスフェアを注入する。公知の流速での血液採取が描かれ、PETを用いたイメージングスケジュールを行い(下記の画像収集スケジュールを参照されたい)および2。アデノシンボーラス注射によって血流量を増加させたあと、第2のタグマイクロスフェアおよび同じ[F−18]血流剤を注射する。血液採取およびイメージングスケジュールを上記のように繰り返す。第2のイメージング処置終了時、動物を屠殺し、心臓を取り出し、血液および心臓組織のマイクロスフェア濃度を計測する。血流量を計測する(Carter, E., J.
Appl. Physiol., 1988)。マイクロスフェア(金標準)によって測定する血流量の上昇を、イメージングによって得たものと比較する。ヒトマイクロスフェアイメージング測定は許されていない。
【0035】
血流量および膜輸送のモニタリング方法
イメージングスケジュール:PETイメージングの目的のために、動物を、プラスチックイメージングクレードル(plastic-imaging cradle)を用いて、陽電子カメラに配置する。画像化の前に、PETスキャンの68Gaの連続する減衰補正を含む回転ピンソースを持つ伝達データを取得する。約2〜10mCiの[18F]血流剤を注射したあと、1、3、6、9、12、15、20、25、30、および60分後、動脈の血液サンプルを採取する。30−60秒フレームの連続イメージングを取得し、心臓の血流剤の薬動力学を、心臓の活性を時間の関数としてプロットすることによって、測定する。
【0036】
膜輸送をモニタリングするための処置は、血流量をモニタリングするためのものと類似している。
【0037】
定義
本明細書、実施例、および添付の請求項の中で用いられる特定の用語を便宜上、この項目に集めた。
【0038】
用語「脱離基」は、結合、分裂が起こると、電子対とともに分離する官能基性を言う。一般的に、良好な脱離基は、弱い塩基としての基質から除去される部分である。例えば、硫酸塩、スルホン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩などが良好な脱離基である。さらに、プロトン化されたとき、または、ルイス酸と複合体形成されたとき、いくつかの部分が良好な脱離基となる。例えば、アルコキシドイオンは、通常、不良な脱離基であるが、アルコールは良好な脱離基である。尚、いくつかのケースにおいては、リングストレイン(ring strain)は、エポキシド、アジリジンなどの場合のように、やや不良な脱離基を除外することができるかもしれない。
【0039】
用語「クラウンエーテル」は、エーテル基(すなわち、ポリエーテル)がジメチレン結合によって結合した環状分子を言う。
【0040】
本明細書において用いられているところの用語「ヘテロ原子」は、当該技術において認識されており、炭素または水素以外のあらゆる元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、イオウおよびセレニウムがあげられる。
【0041】
用語「アルキル」は、当該技術において認識されており、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を意味する。いくつかの態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格に30以下の炭素原子を有している(例えば、直鎖ではC1−C30、分枝鎖ではC3−C30)、あるいは、20以下の炭素原子を有している。同様に、シクロアルキルは、それらの環構造に約3〜約10、より好ましくは、約5、6または7の炭素原子を有している。
【0042】
炭素数が特に規定されていなければ、本明細書において用いられている「低級アルキル」は、上で定義したように、その骨格構造に1〜約10の炭素原子、あるいは1〜約6の炭素原子を有するアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、同様の鎖長を持つ。
【0043】
用語「アラルキル」は技術的に認識されており、アリール基で置換されたアルキル基を言う(例えば、芳香族基またはヘテロ芳香族基)。
【0044】
「アルケニル」および「アルキニル」は技術的に認識されており、長さが類似し、上述のアルキルに置換することができるが、少なくとも1つの二重または三重結合をそれぞれ含有する不飽和脂肪族基を言う。
【0045】
本明細書において用いられている用語「アリール」は技術的に認識されており、0〜4個のヘテロ原子を含むことができる5、6および7員環芳香族基を含む。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが含まれる。環構造中にヘテロ原子を持つこれらのアリール基はまた、「アリールへテロ環」または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香族環は、1以上の環位置において上記したような置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族もしくは芳香族部分、−CF3、−CNなどと置換することができる。用語「アリール」もまた、2以上の炭素原子が2つの結合環に共通しており(そのような環を「融合環」という)、そのような環の少なくとも1つが芳香族である(例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはへテロ環であることができる)、2以上の環式環を持つ多環系を含む。
【0046】
用語オルト、メタおよびパラは技術的に認識されており、1,2−、1,3−および1,4−ジ置換ベンゼンにそれぞれ該当する。例えば、1,2−ジメチルベンゼンおよびオルト−ジメチルベンゼンは同義である。
【0047】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロアリール」、または「ヘテロ環基」は技術的に認識されており、その環構造が1〜4のヘテロ原子を含む3〜10員環、より好ましくは3〜7員環構造を言う。ヘテロ環はまた、多環であることもできる。ヘテロ環基としては、例えば、チオフェン、チアンスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタム、スルタム、サルトンなどが挙げられる。ヘテロ環式環は、1以上の位置において上記の置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CNなどが含まれる。
【0048】
用語「多環」または「多環基」は技術的に認識されており、2以上の炭素原子が2つの結合環に共通している(例えば、そのような環は「融合環」である)、2以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはへテロ環)を意味する。隣接しない原子を介して結合する環は、「架橋された」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミノ、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CNなどと置換され得る。
【0049】
用語「カルボサイクリック」は技術的に認識されており、環の各原子が炭素である、芳香族または非芳香族の環を言う。
【0050】
用語「ニトロ」は技術的に認識されており、−NO2を意味し;用語「ハロゲン」は技術的に認識されており、−F、−Cl、−Brまたは−Iを示し;用語「スルフヒドリル」は技術的に認識されており、−SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は−OHを意味し;用語「スルホニル」は技術的に認識されており、−SO2−を意味する。「ハライド」は、対応するハロゲンのアニオンを示し、「プソイドハライド」は、 “Advanced Inorganic Chemistry”560、CottonとWilkinson著に記載の定義を持つ。
【0051】
用語「アミン」および「アミノ」は、技術的に認識されており、非置換型アミンおよび置換型アミンの双方を意味し、例えば、下記の一般式で表すことができる部分を意味する。
【化16】
但し、式中、R50、R51およびR52は、それぞれ個別に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R61を表し、またはR50およびR51は、それらが付着するN原子と一緒に、その環構造中に4〜8の原子を持つヘテロ環を完成させる;R61は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環または多環を表し;mは、ゼロまたは1〜8の範囲の整数を表す。別の態様において、R50およびR51(任意にR52)は、それぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2)m−R61を表す。したがって、用語「アルキルアミン」は、上で定義したように、置換された、もしくは置換されていないアルキルがそこに付着したアミン基を表す。すなわち、R50およびR51の少なくとも1つは、アルキル基を表す。
【0052】
用語「アシルアミノ」は、技術的に認識されており、下記の一般式で表すことができる部分を意味する。
【化17】
但し、式中、R50は、上で定義したとおりであり、R54は、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2)m−R61を表し、mおよびR61は、上で定義したとおりである。
【0053】
用語「アミド」は、アミノ置換型カルボニルとして技術的に認識されており、下記の一般式で表すことができる部分を意味する。
【化18】
但し、式中、R50、R51は、上で定義したとおりである。アミドの好ましい態様は、不安定かもしれないイミド類を含まない。
【0054】
用語「アルキルチオ」は、上記のように、そこにイオウラジカルが付着したアルキル基を意味する。いくつかの態様において、「アルキルチオ」部分は、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、および−S−(CH2)m−R61のいずれかによって表され、ここで、mおよびR61は、上で定義したとおりである。代表的なアルキルチオ基は、メチルチオ、エチルチオなどを含む。
【0055】
用語「カルボキシル」は、技術的に認識されており、下記の一般式で表すことができるような部分を意味する。
【化19】
但し、式中、X50は、結合であり、または酸素もしくは硫黄を表し、R55およびR56は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R61、もしくは薬学的に受け入れられる塩を表し、R56は、水素、アルキル、アルケニルもしくは−(CH2)m−R61を表し、mおよびR61は上記したとおりである。X50が酸素であり、R55またはR56が水素でない場合、該式は「エステル」を表す。X50が酸素であり、R55が上記したとおりであれば、該部分は、ここではカルボキシル基と称され、特に、R55が水素である場合、該式は、「カルボン酸」を表す。X50が酸素であり、R56が水素である場合、該式は「ホルマート」を表す。通常、上記式の酸素原子がイオウに置き換えられると、該式は、「チオールカルボニル」基を表す。Xがイオウであり、R55またはR56が水素でない場合、式は「チオールエステル」を表す。Xがイオウであり、R55が水素である場合、式は「チオールカルボン酸」を表す。X50がイオウであり、R56が水素である場合、式は「チオールホルマート」を表す。一方、X50が結合であり、R55が水素でない場合、上記式は、「ケトン」基を表す。X50が結合であり、R55が水素である場合、上記式は、「アルデヒド」基を表す。
【0056】
用語「カルバモイル」は、−O(C=O)NRR’を言う。式中、RおよびR’はそれぞれ個別にH、脂肪族基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。
【0057】
用語「オキサ」は、カルボニル酸素(=O)を意味する。
【0058】
用語「オキシム」および「オキシムエーテル」は、技術的に認識されており、下記の一般式で表され得る部分を意味する。
【化20】
式中、R75は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、または−(CH2)m−R61を表す。RがHであるとき、該部分は「オキシム」であり、Rが、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ラルキル、または−(CH2)m−R61であるとき、それは「オキシムエーテル」である。
【0059】
用語「アルコキシル」または「アルコキシ」は、技術的に認識されており、上記のようにそこに酸素ラジカルが付着したアルキル基を表す。代表的なアルコキシル基は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、第三ブトキシなどを含む。「エーテル」は酸素と共有結合した2つの炭化水素である。したがって、アルキルを置換することによって、アルキルをエーテルにし、または、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH2)m−R61などのようなアルコキシルに類似する。ここで、mおよびR61は、上で定義したとおりである。
【0060】
用語「スルホネート」は、技術的に認識されており、下記の一般式によって表すことができる部分を含む。
【化21】
式中、R57は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0061】
用語「サルフェート」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化22】
式中、R57は、上で定義したとおりである。
【0062】
用語「スルホンアミド」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化23】
式中、R50およびR56は、上記したとおりである。
【0063】
用語「スルファモイル」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化24】
式中、R50およびR51は、上記したとおりである。
【0064】
用語「スルホニル」は技術的に認識されており、下記の一般式によって表される部分を含む。
【化25】
式中、R58は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールのうちの1つである。上記したとおりである。
【0065】
用語「スルホキシド」は、技術的に認識されており、下記一般式によって表される部分を言う。
【化26】
式中、R58は上記したとおりである。
【0066】
用語「ホスホリル」は、技術的に認識されており、下記一般式によって表される部分を言う。
【化27】
式中、Q50は、SまたはOを表し、R59は水素、低級アルキル、またはアリールを表す。置換基、例えば、アルキルとして用いられるとき、ホスホリルアルキルのホスホリル基は、以下の一般式によって表すことができる。
【化28】
式中、Q50およびR59は、それぞれ個別に上記したとおりであり、Q51は、O、SまたはNを表す。Q50がSであるとき、ホスホリル部分は、「ホスホロチオエート」である。
【0067】
用語「ホスホラミダイト」は、技術的に認識されており、以下の一般式によって表すことができる。
【化29】
式中、Q51、R50、R51およびR59は、上記したとおりである。
【0068】
用語「ホスホンアミダイト(phosphonamidite)」は、技術的に認識されており、以下の一般式によって表すことができる。
【化30】
式中、Q51、R50、R51およびR59は、上記したとおりであり、R60は、低級アルキルまたはアリールである。
【0069】
類似の置換を行って、アルケニル基とアルキニル基で、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換アルケニル、またはアルキニルを作製することができる。
【0070】
例えば、アルキル、m、nなどの各表現の定義は、あらゆる構造に1回以上出てくる場合、同じ構造の他の箇所とは、その定義は独立していることが意図される。
【0071】
「セレノアルキル」は、技術的に認識されており、置換されたセレノ基が付着したアルキル基を言う。アルキルに置換し得る「セレノエーテル」の例としては、−Se−アルキル、−Se−アルケニル、−Se−アルキニル、−Se−(CH2)m−R61から選択されるものがあげられる。mおよびR61は、上で定義したとおりである。
【0072】
用語、トリフリル、トシル、メシルおよびノナフリル(nonaflyl)は、技術的に認識されており、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、およびノナフルオロブタンスルホニル基をそれぞれ表す。用語トリフラート、トシラート、メシラート、およびノナフラート(nonaflate)は、技術的に認識されており、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、およびノナフルオロブタンスルホン酸エステルの官能基および前記基を含有する分子をそれぞれ表す。
【0073】
Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、およびMsは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、およびメタンスルホニルをそれぞれ表す。有機化学の当業者によって用いられる、略語のより総合的なリストは、Journal
of Organic Chemistryの各巻の最初の項目にあり、通常は、Standard List of Abbreviationsというタイトルの表で書かれている。
【0074】
本発明のいくつかの化合物は、特定の幾何学形状または立体異性体形状で存在し得る。さらに、本発明のポリマーは、任意に活性的でもある。本発明は、シス−およびトランスアイソマー、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(d)−アイソマー、(l)−アイソマー、そのラセミ混合物、およびその他の混合物を含む全てのそのような化合物を本発明の範囲であると考えている。さらに非対称的な炭素原子は、アルキル基などの置換基に存在することができる。そのような全てのアイソマーならびにその混合物は、本発明に含まれることが意図されている。
【0075】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合、それは非対称合成、またはキラル補助による誘導体化によって調製してもよい。そこでは、得られたジアステレオマー混合物が分離され、補助基が切断され、純粋な所望のエナンチオマーが提供される。あるいは、分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩は、適切な、任意に活性のある酸または塩基を用いて形成され、当該技術分野において公知の分別結晶作用またはクロマトグラフィーの手段によって形成されたジアステレオマーを溶解させ、その後純粋なエナンチオマーが回収される。
【0076】
「置換」または「〜で置換された」は、そのような置換が、その置換された原子および置換基の許容される原子価にしたがっていること、および置換の結果、例えば、再組み換え、環形成、除去などの変性を自発的に行わない安定した化合物が得られるという暗黙の条件を含んでいることが理解されるであろう。
【0077】
本明細書において用いられている用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容可能な置換基を含むことを意図している。広い局面において、許容可能な置換基は、非環式および環式、枝分かれしているおよび枝分かれしていない、炭素環式およびヘテロ環式、芳香族および非芳香族基の置換基を含む。例示の置換基は、例えば、本明細書において上記したものを含む。許容可能な置換基は、1もしくは複数の、および同じもしくは異なる適切な有機化合物とすることができる。本発明の目的において、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/または、本明細書に記載した、該ヘテロ原子の原子価を満たすあらゆる有機化合物の許容可能な置換基を含むことができる。本発明は、許容可能な、有機化合物の置換基によって、いかなる方法においても制限されることを意図していない。
【0078】
本明細書において用いられているフレーズ「保護基」は、潜在的に反応性のある官能基を望ましくない化学的変性から保護する一時的な置換基を意味する。そのような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールを、それぞれ含む。保護基化学の分野は概説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.;
Wiley: New York, 1991)。本発明の化合物の保護された形態は、本発明の範囲に含まれる。
【0079】
本発明の目的において、化学元素は、CAS版、Handbook
of Chemistry and Physics, 第67刷、1986〜87年の裏表紙に記載の元素周期表によって確認される
【0080】
本発明の化合物
本発明のある局面は、心筋のPETイメージングの血流量マーカーとして有用なF−18カチオン性およびカチオン性親油性化合物に関する。いくつかの態様において、該化合物は、帯電したフェニルピペラジン化合物およびテトラフェニルホスホニウム化合物である。本発明の化合物は、F−18がTc−99m(PET対SPECT)よりも良好な放射標識であるため、イメージング剤と比較して優れた特性を有している。例えば、F−18は、解像度が高く、半減期は短いことから、優れたイメージング材となっている。さらに、本発明の化合物は、1)細胞の内外での自由な拡散に対向するように、マイクロスフェアと類似の挙動、および、2)ピペラジンコアによるレセプター結合効果、を示すはずである。さらに、F−18テトラフェニルホスホニウム化合物は、潜在的に脳腫瘍の画像化に有用である。これらの化合物の優れた技術的属性は、陽電子吸引の同時発生的検出(180°)のために、このようなPETイメージング剤が、測定された生理学パラメーターの局所定量化により好適であるという事実に部分的に関連する。これによって、精度および縦深解像度に対する感受性が増加することになる。さらに、テトラフェニルホスホニウム剤は、脳腫瘍に限らず、腫瘍を画像化するために使用することができる。テトラフェニルホスホニウム剤は、細胞膜およびミトコンドリアに対する負電荷を増やす腫瘍、例えば、乳癌において濃度を増すであろう。最後に、本発明の化合物は、哺乳動物の血流量および膜輸送を質的および定量的に評価するために使用することもできる。
【0081】
本発明のある局面は、下式Iで表される化合物に関する。
【化31】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである。
【0082】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0083】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0084】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0085】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0086】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0087】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、H、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0088】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、Hである。
【0089】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、アリールである。
【0090】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1は、フェニル基である。
【0091】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHまたはアルキルである。
【0092】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHである。
【0093】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R4はアルキルである。
【0094】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2−ブチル、またはペンチルである。
【0095】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R4はメチルである。
【0096】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである。
【0097】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換シクロアルキルである。
【0098】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである。
【0099】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換シクロブチルまたはフルオロ置換シクロヘキシルである。
【0100】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0101】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換アリールである。
【0102】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、フルオロ置換フェニルである。
【0103】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5は、4-フルオロフェニルである。
【0104】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、PO4M2、SO4M、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、または安息香酸塩であり、Mはアルカリ金属である。
【0105】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である。
【0106】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは硝酸塩である。
【0107】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xはハライドである。
【0108】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、Xは、クロライドまたはヨウ化物である。
【0109】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は、フルオロ置換アリールである。
【0110】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は、4-フルオロフェニルである。
【0111】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は4-フルオロフェニルであり、Xはクロライドである。
【0112】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1はフェニルであり、R2およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5はフルオロ置換シクロアルキルである。
【0113】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1はフェニルであり、R2およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0114】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R1はフェニルであり、R2およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、Xはヨウ化物であり、R5は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0115】
いくつかの態様において、本発明は、化合物Iに関し、R5のフルオロ置換基は、天然存在度で18Fを含む。
【0116】
本発明の別の局面は、下記式IIで表される化合物に関する。
【化32】
式中、
R1はフルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルであり、前記フルオロ置換基は、18Fを含み、
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである。
【0117】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0118】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0119】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0120】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0121】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0122】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R5は、H、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0123】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R5は、Hである。
【0124】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R5は、アリールである。
【0125】
いくつかの態様において、本発明は、、化合物IIに関し、R5は、フェニル基である。
【0126】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHまたはアルキルである。
【0127】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R2およびR3は、それぞれ個別にHである。
【0128】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R4はアルキルである。
【0129】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2−ブチル、またはペンチルである。
【0130】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R4は、メチルである。
【0131】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである。
【0132】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換アルキルである。
【0133】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである。
【0134】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換 シクロブチルまたはフルオロ置換
シクロヘキシルである。
【0135】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、2-フルオロシクロブチルまたは4-フルオロシクロヘキシルである。
【0136】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換アリールである。
【0137】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、フルオロ置換フェニルである。
【0138】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、R1は、4-フルオロフェニルである。
【0139】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、PO4M2、SO4M、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、または安息香酸塩であり、Mはアルカリ金属である。
【0140】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である。
【0141】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xはハライドである。
【0142】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIに関し、Xは硝酸塩である。
【0143】
本発明の別の局面は、式IIIで表される化合物に関する。
【化33】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R5は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【0144】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0145】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0146】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0147】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0148】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関する。前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0149】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1は、H、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0150】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はHである。
【0151】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はアリールである。
【0152】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はフェニル基である。
【0153】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R2、R3はそれぞれ個別に、Hまたはアルキルである。
【0154】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R2、R3はそれぞれ個別に、Hである。
【0155】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリールである。
【0156】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4はフルオロ置換シクロアルキルである。
【0157】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである。
【0158】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、フルオロ置換シクロブチルまたはフルオロ置換シクロヘキシルである。
【0159】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は、2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルである。
【0160】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4はフルオロ置換アリールである。
【0161】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4はフルオロ置換フェニルである。
【0162】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R4は4−フルオロフェニルである。
【0163】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はフルオロ置換アリールである。
【0164】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は4−フルオロフェニルである。
【0165】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はフェニルであり、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はフルオロ置換シクロアルキルである。
【0166】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R1はフェニルであり、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は、2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルフルオロ置換シクロアルキルである。
【0167】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IIIに関し、R5のフルオロ置換基は、天然存在度で18Fを含む。
【0168】
本発明の別の局面は、下記式IVで表される化合物に関する。
【化34】
式中、
R1は、それぞれ個別にアリールまたはヘテロアリールを表し;
R2は、ハロゲン置換アルキル、ハロゲン置換シクロアルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アラルキル、ハロゲン置換アルケニルであり、前記ハロゲン置換基は、18Fを含むフッ化物であり、または、前記ハロゲン置換基は、123I、124I、125I、もしくは131Iを含むヨウ化物であり;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンである。
【0169】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0170】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0171】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0172】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0173】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は18Fを含むフッ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0174】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0175】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0176】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0177】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0178】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0179】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0180】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0181】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0182】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0183】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0184】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0185】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0186】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0187】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0188】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0189】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0190】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0191】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約10キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0192】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0193】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2の前記ハロゲン置換基は131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約1,000キュリー/mmol以上の放射能を有する。
【0194】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1は、それぞれ個別にアリールを表す。
【0195】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1は、それぞれ個別に、任意に置換されたフェニルを表す。
【0196】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1は、それぞれ個別にフェニルを表す。
【0197】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2は、ハロゲン置換シクロアルキルまたはハロゲン置換アリールである。
【0198】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2はハロゲン置換アリールである。
【0199】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R2はハロゲン置換フェニルである。
【0200】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルである。
【0201】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、PO4M2、SO4M、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、または安息香酸塩であり、Mはアルカリ金属である。
【0202】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である。
【0203】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、Xは硝酸塩である。
【0204】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルであり、Xは硝酸塩である。
【0205】
いくつかの態様において、本発明は、化合物IVに関し、R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−ヨードフェニルであり、Xは硝酸塩である。
【0206】
本発明の別の局面は、式I、II、IIIまたはIVで表される化合物、および薬学的に許容される添加剤を含む製剤に関する。
【0207】
本発明の方法
本発明のある局面は、スキーム1で示されたハロゲン化された化合物を製造する方法に関する。
【化35】
スキーム中、Aは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニルであり、または下記式aもしくはbを有する。
【化36】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Xは、スルホン酸塩、ニトロ、酢酸塩、またはハロゲンであり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属であり;
Yは、フッ化物、またはヨウ化物であり;
クラウンエーテルは、酸素原子(oxgen atom)が任意に置換されたジメチレン結合が結合している環状分子であり;
前記方法は、ほぼ無水状態で実施される。
【0208】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、放射性フッ化物または放射性ヨウ化物である。
【0209】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yはフッ化物である。
【0210】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは18Fを含む。
【0211】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0212】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0213】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0214】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0215】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0216】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含む。
【0217】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0218】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0219】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0220】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0221】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0222】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは124Iを含む。
【0223】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0224】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0225】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0226】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0227】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0228】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは125Iを含む。
【0229】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0230】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0231】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0232】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0233】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0234】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは131Iを含む。
【0235】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0236】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0237】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0238】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0239】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0240】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記方法は無水状態で実施される。
【0241】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0242】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルである。
【0243】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、アルキル基は、第一炭素原子においてXと置換されている。
【0244】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、アルキル基は、第二炭素原子においてXと置換されている。
【0245】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルである。
【0246】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルであり、アルキル基は、第二炭素原子においてXと置換されている。
【0247】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルである。
【0248】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは、シクロブチルまたはシクロヘキシルである。
【0249】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式aを有する。
【化37】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である。
【0250】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式bを有する。
【化38】
式中、
R2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンであり;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルであり;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5である。
【0251】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式aを有する。
【化39】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別にアリールであり;
Zは、硝酸塩である。
【0252】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式aを有する。
【化40】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に任意に置換されたフェニルであり;
Zは、硝酸塩である。
【0253】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは下記式bを有する。
【化41】
式中、
R2は、シクロアルキルを表し;
R3は、Hを表し;
R4は、Hを表し;
R5は、アリールである。
【0254】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩またはニトロである。
【0255】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩である。
【0256】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはアルカリ金属である。
【0257】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである。
【0258】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mは、カリウムである。
【0259】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記クラウンエーテルは、クリプトフィックスである。
【0260】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記クラウンエーテルは、1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザ−シクロペンタデカン(クリプトフィックス(登録商標)21)、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプトフィックス(登録商標)222)、4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサン(クリプトフィックス(登録商標)221)、および4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン(クリプトフィックス(登録商標)211)から選択される。
【0261】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応温度は、約50℃および約220℃である。
【0262】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応温度は、約100℃および約200℃である。
【0263】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応は溶媒の存在下で行われる。
【0264】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、反応はアセトニトリルの存在下で行われる。
【0265】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは無水である。
【0266】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは約2%未満の水を含有する。
【0267】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは約1%未満の水を含有する。
【0268】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、MYは約0.5%未満の水を含有する。
【0269】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、Xはスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0270】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアルキルであり、Xはメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0271】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルであり、Xはスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0272】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはシクロアルキルであり、Xはメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0273】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、Aは、任意に置換されたシクロブチルまたは任意に置換されたシクロヘキシルである。
【0274】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、Aは、シクロブチルまたはシクロヘキシルである。
【0275】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアリールであり、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0276】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは任意に置換されたフェニルであり、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスである。
【0277】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aは任意にシクロアルキルであり、Xはメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、反応温度は、約100℃から約200℃の間である。
【0278】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Aはアリールであり、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、反応温度は、約100℃から約200℃の間である。
【0279】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xはニトロであり、Mはカリウムであり、Yは18Fであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、反応温度は、約100℃から約200℃の間であり、Aは、下記式aで表される。
【化42】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、任意に置換されたフェニルであり;
Zは、硝酸塩である。
【0280】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩であり、Mはカリウムであり、クラウンエーテル(crown either)はクリプトフィックスであり、Yは18Fであり、Aは、下記式bで表される。
【化43】
式中、
R2は、それぞれ個別に、シクロアルキルであり;
R3は、それぞれ個別に、Hであり;
R4は、それぞれ個別に、Hであり;
R5は、Hまたはアリールである。
【0281】
本発明の別の局面は、スキーム2に記載されたハロゲン化された化合物を製造する方法に関する。
【化44】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、アラルキルを表し;またはR1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し;
Rは、アルケニル、アリール、ヘテロアリールであり、または、下記式aまたはbで表される方法。
【化45】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属、またはテトラアルキルアンモニウム塩であり;
Yは、フッ化物またはヨウ化物であり;
R3は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、またはアラルキルを表す。
【0282】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yはフッ化物である。
【0283】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yはヨウ化物である。
【0284】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは18Fを含む。
【0285】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0286】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0287】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0288】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0289】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0290】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含む。
【0291】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0292】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0293】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0294】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0295】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、123Iを含むヨウ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0296】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは124Iを含む。
【0297】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0298】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0299】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0300】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0301】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、124Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0302】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは125Iを含む。
【0303】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0304】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0305】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0306】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0307】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0308】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは131Iを含む。
【0309】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1キュリー/mmol以上である。
【0310】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である。
【0311】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約10キュリー/mmol以上である。
【0312】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である。
【0313】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Yは、131Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約1,000キュリー/mmol以上である。
【0314】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、方法は無水状態で実施される。
【0315】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Rはアリールである。
【0316】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Rは、下記式aで表される。
【化46】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である。
【0317】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Rは、下記式aで表される。
【化47】
R4およびR5は、それぞれ個別に、アリールであり;
Zは、ハライドである。
【0318】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成する。
【0319】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはアルカリ金属である。
【0320】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである。
【0321】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはナトリウムである。
【0322】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R3はそれぞれ個別に、Hを表す。
【0323】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R3はそれぞれ個別に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはブチルを表す。
【0324】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、R3はそれぞれ個別に、メチルを表す。
【0325】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはナトリウムであり、Yはヨウ化物−125であり、R3はそれぞれ個別に、メチルであり、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し、そして、Rは下記式aで表される。
【化48】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別にアリールを表し、
Zはハライドである。
【0326】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、Mはナトリウムであり、Yはヨウ化物−125であり、R3はそれぞれ個別に、メチルであり、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し、そして、Rは下記式aで表される。
【化49】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別に、任意に置換されたフェニルを表し、
Zはヨウ化物である。
【0327】
本発明の別の局面は、哺乳動物の一部の陽電子放出画像を得るための方法であって、哺乳動物に、式I、II、III、またはIVで表される化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む方法に関する。
【0328】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式Iで表される。
【0329】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIで表される。
【0330】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIIで表される。
【0331】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IVで表される。
【0332】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである。
【0333】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒトである。
【0334】
本発明の別の局面は、哺乳動物の心臓の血液量を測定する方法であって、哺乳動物に式I、II、III、またはIVで表される化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む方法を含む。
【0335】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式Iで表される。
【0336】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIで表される。
【0337】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIIで表される。
【0338】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IVで表される。
【0339】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである。
【0340】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒトである。
【0341】
本発明の別の局面は、哺乳動物における膜輸送を測定する方法であって、哺乳動物に、式I、II、III、またはIVで表される化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む方法に関する。
【0342】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式Iで表される。
【0343】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIで表される。
【0344】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IIIで表される。
【0345】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記化合物は、式IVで表される。
【0346】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである。
【0347】
いくつかの態様において、本発明は、上記方法に関し、前記哺乳動物は、ヒトである。
【0348】
薬学的組成物
別の局面において、本発明は、1以上の薬学的に許容される単体(添加物)および/または希釈剤とともに製剤される上記化合物の治療的有効量を含む薬学的に許容される組成物を提供する。下記に詳細に示すように、本発明の薬学的組成物は、固体もしくは液体剤型で投与するために具体的に製剤することができる。下記に適用されるものを含む。(1)経口投与、例えば、飲薬(水性もしくは非水性溶液、または懸濁液)、錠剤(例えば、頬側、舌下および全身吸収を目標としたもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌に投与するためのパスタ剤;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋内、静脈内もしくは硬膜外注射、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、または持続性放出製剤;(3)局所投与、例えば、クリーム、軟膏、または徐放パッチ、または皮膚に適用されるスプレー;(4)膣内もしくは腸内投与、例えば、ペッサリー、クリームもしくは泡剤;(5)舌下投与;(6)眼内投与;(7)経皮投与;または(8)経鼻投与。
【0349】
本明細書において用いられているフレーズ「治療的有効量」は、化合物、材料、または本発明の化合物を含む組成物の、少なくとも動物の細胞のサブポピュレーションにおいて、あらゆる医学的治療に適用可能な合理的な利益/リスク比で、なんらかの所望の治療的効果を生じさせるのに有効な量を意味する。
【0350】
本明細書において用いられている「薬学的に許容される」というフレーズは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応もしくは他の問題、または合併症を引き起こすことなく、ヒトおよび動物の組織に接触させて用いるのに適した、合理的な利益/リスク比率をもたらす化合物、材料、組成物および/または剤型を意味する。
【0351】
本明細書において用いられている「薬学的に許容される担体」というフレーズは、対象となる化合物を1つの臓器から、または体の一部から、他の臓器または体の一部へ運ぶ、または輸送することに関与する、薬学的に許容される材料、組成物、または液体もしくは固体の充填剤などの賦形剤、希釈剤、添加剤、製造補佐(例えば、潤滑剤、タルクマグネシウム、カルシウム、もしくはステアリン酸亜鉛、もしくはステアリン酸)、または材料をカプセル化する溶媒を意味する。各担体は、製剤の他の成分と相溶性であるという意味で、「許容可能」でなくてはならず、患者に対して有害であってはならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなど;(4)粉末化されたトラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオ脂や座剤用ワックスなどの添加剤;(9)ピーナッツオイル、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油および大豆油などの油類;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱因子を含まない水;(17)等張塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水化物;ならびに(22)薬学的製剤に採用される他の非毒性相溶性物質が含まれる。
【0352】
上記したように、本発明化合物のいくつかの態様は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有し、したがって、薬学的に許容される酸を用いて薬学的に許容される塩を作製することができる。この意味における用語「薬学的に許容される塩」は、相対的に非毒性の、本発明の化合物の無機および有機酸添加塩を言う。これらの塩は、賦形剤の投与または剤型製造プロセスにおいて、または精製された本発明の化合物をその遊離塩基形態において個別に好適な有機もしくは無機の酸と反応させ、続く精製の間に形成された塩を単離させることによってin situ で調製することができる。代表的な塩としては、水素酸塩、ヒドロクロリド硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(napthylate)、メシラート、グルコヘプトン酸、ラクトビオネート(lactobionate)、およびラウリルスルフォン酸塩などが含まれる(例えば、Berge et al. (1977)
"Pharmaceutical Salts", J.
Pharm. Sci. 66:1-19参照)。
【0353】
対象となる化合物の薬学的に許容される塩としては、従来の非毒性の塩、例えば、非毒性の有機もしくは無機酸からのまたは化合物の4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の非毒性塩としては、ヒドロクロリド、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸由来のもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製された塩が含まれる。
【0354】
別の場合において、本発明の化合物は、1以上の酸性官能基を含有し、したがって、薬学的に許容される塩基を用いて薬学的に許容される塩を作製することが可能である。これらの例における用語「薬学的に許容される塩」は、相対的に非毒性の、本発明の化合物の無機および有機塩基添加塩を言う。これらの塩は同様に、賦形剤の投与または剤型製造プロセスにおいて、または精製された本発明の化合物をその遊離塩形態において、個別に好適な塩基、例えば、薬学的許容される金属カチオンのヒドロキシド、カーボネートまたは重炭酸塩と、アンモニア、または薬学的に許容される有機1級アミン、2級アミン、もしくは3級アミンとを反応させることによってin situ で調製することができる。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などがある。塩基添加塩を作製するために有用な代表的な無機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、Berge et al.,の上掲文献参照)。
【0355】
湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)、ならびに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料および香味剤、防腐剤および抗酸化剤もまた組成物中に含むことができる。
【0356】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システインヒドロクロリド、ナトリウム重硫酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レクチン、プロピルプロピルガレート、アルファトコフェノール、など、ならびに(3)メタルキレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸、などが含まれる。
【0357】
本発明の製剤は、経口、鼻腔内、局所(頬側および舌下投与を含む)、直腸内、膣内、および/または非経口投与に好適なものを含む。該製剤は、都合よく単一の剤型で存在してもよく、また、薬学の分野において公知の方法によって調製されてもよい。担体材料とともに組み合わされて単一の剤型を成す活性成分の量は、治療を受ける患者、特定の投与形態によって変わる。担体材料とともに組み合わされて単一の剤型を成す活性成分の量は、通常、治療効果を生み出す化合物の量である。一般的に、100%中、この量は、約0.1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは、約10%〜約30%の活性成分の量となるであろう。
【0358】
いくつかの態様において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、胆汁酸などのミセル形成剤、およびポリエステルやポリ無水物などのポリマー担体から選択される添加剤、ならびに本発明の化合物を含む。いくつかの態様において、上記製剤は、本発明の化合物に経口の生物学的利用可能性を付与する。
【0359】
これらの製剤または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、担体および任意に1以上の副成分と結合させることを含む。一般的に、該製剤は、均一かつ緊密に本発明の化合物を液体担体もしくは細かく分割された固体担体もしくはその両方と結合させることによって、さらに必要であれば、その生成物を形づくることによって、調製される。
【0360】
経口投与に好適な本発明の製剤としては、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ(香料基剤、通常は、スクロースおよびアラビアゴムもしくはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒、または水性もしくは非水性溶液または懸濁液、または油中水または水中油液体エマルジョン、またはエリキシル剤もしくはシロップ、または香錠(ゼラチンやグリセリンなどの不活性基剤、または、スクロースやアラビアゴムを用いる)、および/またはマウス含嗽液などがある。それぞれは、活性成分として所定量の本発明の化合物を含有している。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤またはパスタ剤として投与することもできる。
【0361】
経口投与のための本発明の固体剤型(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣丸、粉末、顆粒など)においては、活性成分は、クエン酸ナトリウム、またはリン酸二カルシウム、および/または下記のうちのいずれかといった1以上の薬学的に許容される担体と混合されている。(1)充填剤または拡張剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴム;(3)湿潤剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモやタピオカのデンプン、アルギン酸、いくつかのケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなど;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン;(6)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、およびポロキサマーやラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアリン酸、および非イオン界面活性剤;(8)吸着剤、例えば、カオリンやベントナイト粘土など;(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、およびそれらの混合物;(10)着色剤;ならびに、(11)徐放剤、例えば、クロスポビドン(crospovidone)またはエチルセルロース。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、薬学的組成物は、緩衝剤を含んでもよい。同様の種類の固体組成物は、ラクトースや乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような添加剤を用いた、ゼラチン軟カプセルおよびゼラチン硬カプセルにおいて充填剤として用いることができる。
【0362】
錠剤は、任意に1以上の副成分を用いて、圧縮または成形によって作製することができる。圧縮された錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコレート、または架橋されたナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤または分散剤)を用いて調製することができる。成形された錠剤は、好適な機械の中で、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合物を成形することによって作製することができる。
【0363】
本発明の薬学的組成物の錠剤および他の固体剤型、例えば、糖衣丸、カプセル剤、丸薬、および顆粒は、任意に刻みをつけてもよいし、または例えば、腸溶コーティングや薬学的製剤の技術分野において公知の他のコーティングなどのコーティングやシェルによって調製してもよい。それらはまた、例えば、所望の放出プロファイルを提供するためのヒドロキシプロピルメチルセルロースや他のポリマー基質、リポソームおよび/または小球体を、比率を変えて用いて、その内部の活性成分を徐放または制御された放出させるように製剤することもできる。それらは、急速に放出が行われるように製剤することもできる(例えば、フリーズドライ)。それらは、例えば、細菌捕獲フィルターで濾過することによって、または滅菌水に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって、または使用直前にいくつかの他の滅菌注射可能媒体を用いて、滅菌することができる。これらの組成物は、任意に不透明化剤を含有してもよく、好ましくは、胃腸管の特定の部分において、任意に徐放によって、活性成分のみを放出する組成物にしてもよい。使用可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスがある。活性成分はまた、適切であれば、1以上の上記添加剤を用いて、マイクロカプセル化の形状で作製することもできる。
【0364】
本発明の化合物の経口投与用液体剤型は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、該液体剤型は、当該技術分野において一般的に用いられる不活性の希釈剤、例えば、水もしくは他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、胚芽油、オリーブオイル、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物が含まれる。
【0365】
不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香料、着色剤、香料および防腐剤などのアジュバントも含むこともできる。
【0366】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシ化されたイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカント、ならびにその混合物のような懸濁化剤を含有することができる。
【0367】
本発明の直腸投与または膣投与用の薬学的組成物の製剤は、1以上の本発明の化合物を、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスもしくはサリチレートを含み、室温では固体であるが、体温では液体となり、したがって、直腸もしくは膣腔では液体となり活性化合物を放出させる、1以上の好適な非刺激性の添加剤もしくは担体と混合させることによって調製され得る坐剤である。
【0368】
膣内投与に好適な本発明の製剤はまた、当該技術分野において適切であることが既知の担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ剤、泡剤またはスプレー製剤が含まれる。
【0369】
局所または経皮投与用の本発明の化合物の剤型は、粉末、スプレー、軟膏、パスタ剤、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が含まれる。活性化合物は、必要かもしれない、薬学的に許容される担体、およびあらゆる防腐剤、緩衝剤、もしくは噴射剤と、無菌条件の下で混合することができる。
【0370】
軟膏、パスタ剤、クリームおよびゲルは、本発明の化合物に加えて、動物油および植物油、オイル類、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、珪酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの添加剤を含有することができる。
【0371】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの添加剤を含有することができる。スプレーは、さらに、クロロフルオロカーボネートなどの通常の噴射剤、およびブタンやプロパンなどの揮発性非置換型炭化水素を含有することができる。
【0372】
経皮パッチは、本発明の化合物の体へのコントロールされた送達を提供するという更なる利点を有する。そのような剤型は、適切な媒体中に化合物を溶解させるか、または分散させることによって作製することができる。皮膚を介しての化合物の流動を増加させるために吸収増強剤を用いることもできる。そのような流動の速度は、速度制御膜を設けるか、またはポリマー基質またはゲル中に化合物を分散させることによって制御することができる。
【0373】
眼科用製剤、眼内軟膏、粉末、溶液なども、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0374】
非経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、1以上の本発明の化合物を、1以上の薬学的に許容される無菌の等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または使用直前に無菌の注射可能溶液もしくは分散剤に再構成し得る無菌の粉末と組み合わせて含む。それは、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、製剤を、予定されているレシピエントの血液と等張にするための溶質、または懸濁化剤もしくは硬化剤を含有することができる。
【0375】
本発明の薬学的組成物に用いることができる好適な水溶性および非水溶性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物、オリーブオイルなどの植物油、オレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料を用いることによって、分散剤の場合、必要な粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0376】
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散などのアジュバントを含むこともできる。対象となる化合物による微生物の活動の阻害は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどを含むことによって確実に行うことができる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含むことも望ましいかもしれない。さらに、注入可能な剤型の持続性吸収は、アルミニウムモノステアリン酸やゼラチンなど、吸収を遅らせる物質を含むことによってもたらされる。
【0377】
いくつかのケースにおいて、薬物の効き目を持続させるために、皮下または筋内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶性もしくは非結晶性の液体懸濁剤を用いることによって達成してもよい。そのとき、薬物の吸収速度は、溶解の速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶の形状に依存する。別法として、非経口的に投与される薬物の吸収を遅らせることは、油性賦形剤中に薬物を溶解もしくは懸濁させることによって達成することができる。
【0378】
注射可能なデポー製剤は、対象となる化合物を、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生物分解性のポリマー中でマイクロカプセル基質を作製することによって作製することができる。薬物とポリマーの比率、および用いられる特定のポリマーの性質によって、薬物の放出速度を制御することができる。他の生物分解性のポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能製剤はまた、体組織に相溶性のリポソームまたはマクロエマルジョン中に薬物をエントラップすることによって調製することができる。
【0379】
本発明の化合物を調合薬として、ヒトおよび動物に投与するとき、それ自身または、例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する薬学的組成物として投与される。
【0380】
本発明の調剤は、経口的、非経口的、局所的、または直腸的に投与される。それらはもちろん、各投与経路のために好適な形状で付与される。例えば、それらは、錠剤またはカプセル形状、注射、吸入剤、眼内ローション、軟膏、坐剤などの、注射、注入もしくは吸入による投与、および坐剤による直腸投与によって投与される。経口投与が好ましい。
【0381】
本明細書において用いられているフレーズ「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、経腸および局所投与以外の投与形態、通常は注射による投与を意味し、それは、限定されないが、静脈内、筋内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、ならびに組織内に注射および注入される。
【0382】
本明細書において用いられている「全身投与」、「全身に投与される」、「末端投与」および「末端に投与される」というフレーズは、化合物、薬物または他の物質の、中枢神経系に直接投与しない投与で、患者の系に入り、代謝などのプロセスを経るような投与、例えば、皮下投与を意味する。
【0383】
これらの化合物は、治療のために、ヒトおよび他の動物に、経口、経鼻(例えば、スプレーによる)、経直腸、経膣、非経口、嚢内、および局所(粉末、軟膏または滴剤、頬側および舌下を含む)を含めたあらゆる好適な投与経路によって投与される。
【0384】
選択された投与経路とは無関係に、好適な水和された形状で用いられ得る本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の、従来の方法によって、薬学的に許容される剤型に製剤される。
【0385】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者の所望の治療的反応、組成物、および投与形態を、患者に対して毒性をもたらさずに達成するのに有効な活性成分の量を取得するために変化させることができる。
【0386】
選択された用量レベルは、用いられた本発明の特定の化合物、またはエステル、塩もしくはそのアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられた特定の化合物の排出または代謝の速度、吸収時間および程度、治療の継続時間、用いられた化合物と組み合わせて用いられる他の薬剤、化合物、および/または材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、健康状態、全身的な健康状態、および病歴、および当該技術分野において公知の同様のファクターを含む種々のファクターに依存する。
【0387】
通常の技量を有する内科医または獣医は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、薬学的組成物中において用いられる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要なものより低いレベルで開始し、所望の効果を達成するため徐々に用量を増加させることができる。
【0388】
通常、本発明の化合物の好適な1日用量は、治療効果を達成するために有効な最低限の用量となる化合物の用量である。そのような有効用量は、通常上記のファクターに依存する。通常、ある患者に対する本発明の化合物の経口、静脈内、脳室内および皮下投与の用量は、指示さた鎮痛剤効果に用いられる場合、体重1kgあたり、1日0.0001〜約100mgであろう。
【0389】
望ましければ、活性のある化合物の1日の有効用量は、1日を通して適切な間隔で、任意にユニット剤型で、別個に投与される、2、3、4、5、6またはそれ以上のサブ用量として投与してもよい。
【0390】
本発明の化合物は単独で投与することができるが、該化合物は、薬学的製剤(組成物)として投与することが好ましい。
【0391】
本発明の化合物は、他の薬物と同様に、ヒト医学または獣医において使用されるあらゆる都合のよいやり方で、投与のために製剤してもよい。
【0392】
別の局面において、本発明は、治療的有効量の1以上の上記対象となる化合物を含み、1以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤ととも製剤される薬学的に許容される組成物を提供する。下記に詳細に示すように、本発明の薬学的組成物は、固体もしくは液体剤型で投与するために特別に製剤することができる。下記に適用されるものを含む。(1)経口投与、例えば、飲薬(水性もしくは非水性溶液、または懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌に投与するためのパスタ剤;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋内、静脈内もしくは硬膜外注射、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、または持続性放出製剤;(3)局所投与、例えば、クリーム、軟膏、または皮膚、肺もしくは粘膜に適用するスプレー;または、(4)膣内もしくは腸内投与、例えば、ペッサリー、クリームもしくは泡剤;(5)舌下投与または頬側投与;(6)眼内投与;(7)経皮投与;または(8)経鼻投与。
【0393】
用語「治療」は、予防、治療および治癒をも含むことが意図される。
【0394】
この治療を受ける患者は、霊長類、特にヒトおよび他の哺乳動物、例えば、ウマ、家畜、ブタおよびヒツジなど、ならびに家禽および一般的なペット動物を含んだ、治療を必要とするあらゆる動物である。
【0395】
本発明の化合物は、そのまま、または薬学的に許容される担体との混合物において投与することができ、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグルコシドおよびグリコペプチドなどの殺菌薬と組み合わせて投与することもできる。したがって、組み合わせの治療は、引き続いて投与が行われたとき、最初の投与の治療効果が全て消失してしまわないように、連続的、同時、および別個に化合物を投与することを含む。
【0396】
本発明の活性な化合物の、動物の餌への添加は、活性な化合物の治療的有効量を含有する適切な飼料プレミックスを調製し、そのプレミックスを完全な糧食に組み込むことによって達成することができる。
【0397】
別法として、中間濃縮物または活性成分を含有する餌補充剤を餌に混合させることができる。そのような餌プレミックスおよび完全な糧食を調製し、投与する方法は、参照文献に記載されている(例えば、"Applied Animal Nutrition", W.H.
Freedman and CO., San Francisco, U.S.A., 1969 or "Livestock Feeds and
Feeding" O and B books, Corvallis, Ore., U.S.A., 1977)
【0398】
ミセル
近年、薬学業界では、いくつかの親油性(水に不溶性)の薬剤のバイオアベイラビリティーを向上させるために、マイクロ乳化技術を導入している。その例として、トリメトリン(Trimetrine)(Dordunoo, S. K., et
al., Drug Development and Industrial Pharmacy, 17(12),
1685-1713, 1991)、およびREV 5901 (Sheen, P. C., et al.,
J Pharm Sci 80(7), 712-714, 1991)がある。とりわけ、マイクロ乳化は、循環系ではなく、リンパ系に優先的に直接吸収させることによって、それによって、肝臓をバイパスし、肝胆管循環における化合物の破壊を阻止することによって、バイオアベイラビリティーを向上させる。
【0399】
本発明の一局面において、製剤は、本発明の化合物および少なくとも1つの両親媒性担体から形成されるミセルを含有する。ミセルは、平均直径が約100nmである。より好ましい態様においては、平均直径が約50nm未満のミセルを提供する。さらに好ましい態様においては、平均直径が約30nm未満、さらには20nm未満のミセルを提供する。
【0400】
全ての好適な両親媒性担体を考慮することができるが、現時点で好ましい担体は、通常Generally-Recognized-as-Safe(GRAS)状態のものであり、本発明の化合物を溶解し、溶液が複合体化された水相(例えば、ヒト胃腸管において認められる)に接触する後の段階において、それをマイクロ乳化することができるものである。通常、これらの要件を満足する両親媒性の成分は、HLB(親水性と新油性のバランス)値が2〜20であり、それらの構造が直鎖脂肪族ラジカルをC−6〜C−20の範囲で含有している。例としては、ポリエチレングリコール化された脂肪グリセリドおよびポリエチレングリコールがあげられる。
【0401】
特に好ましい両親媒性担体は、飽和およびモノ不飽和ポリエチレングリコール化された脂肪酸グリセリド、例えば、完全にまたは部分的に水素化された種々の植物オイルから得たものである。そのようなオイルは、対応する脂肪酸の、トリ、およびモノ脂肪酸グリセリド、ならびにジおよびモノポリエチレングリコールエステルからなることが有利である。そして、特に好ましい脂肪酸組成物は、カプリン酸4〜10%、カプリン酸3〜9%、ラウリン酸40〜50%、ミリスチン酸14〜24%、パルミチン酸4〜14%、およびステアリン酸5〜15%を含有している。別の有用なクラスの両親媒性担体は、特に、エステル化されたソルビタンおよび/またはソルビトールを、飽和もしくはモノ不飽和脂肪酸(SPAN−シリーズ)、または対応するエトキシ化アナログ(TWEEN−シリーズ)とともに含む。
【0402】
市販の両親媒性担体を特に考慮する。それには、Gelucire-series、Labrafil、Labrasol、またはLauroglycol(全て、Gattefosse
Corporation、Saint Priest、Franceによって製造および流通されている)、PEG−モノ−オレイン酸塩、PEG−ジ−オレイン酸塩、PEG−モノ−ラウリン酸塩、およびジラウリン酸塩、レシチン、Polysorbate 80など(米国および世界中の多数の企業によって製造および流通されている)が含まれる。
【0403】
ポリマー
本発明において使用するのに適した親水性ポリマーは、容易に水に溶解可能であり、小胞形成脂質に共有的に付着することができ、in vivoで認容性を示し、毒性効果をもたらさないもの(すなわち、生体適合性をもつもの)である。好適なポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(ポリラクチドとも称する)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも称する)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー、およびポリビニルアルコールを含む。好ましいポリマーは、分子量が約100もしくは120ダルトンから、約5,000もしくは10,000ダルトンまで、より好ましくは、約300ダルトンから約5,000ダルトンまでのものである。特に好ましい態様において、ポリマーは、分子量が約100ダルトンから約5,000ダルトンまで、特により好ましくは、分子量が約300ダルトンから約5,000ダルトンまでのポリエチレングリコールである。特に好ましい態様において、ポリマーは、750ダルトンのポリエチレングリコール(PEG(750))である。ポリマーはまた、そこにあるモノマーの数で定義してもよい。本発明の好ましい態様は、少なくとも3つのモノマーからなるポリマー、例えば、3つのモノマーからなるPEGポリマー(約150ダルトン)である。
【0404】
本発明に好適に使用することができる他の親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン(polymethoxazoline)、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、および誘導体かされたセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0405】
いくつかの態様において、本発明の製剤は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、アクリルエステルおよびメタクリルエステルのポリマー、ポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、およびそれらのコポリマー、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(ブチック酸(butic acid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリサッカライド、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、およびブレンド、混合物、またはそれらのコポリマーからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む。
【0406】
シクロデキストリン
シクロデキストリンは、6、7もしくは8のグルコースユニットからなる環式オリゴ糖類であり、ギリシア文字α、β、γでそれぞれ示される。6未満のグルコースユニットを持つシクロデキストリンが存在することがわかっていない。そのグルコースユニットは、α−1,4−グルコシド結合によって結合する。糖ユニットのいす形配座の結果、すべての第2ヒドロキシル基(C−2、C−3)は、環の1つの側に位置する。一方、C−6の全ての第1ヒドロキシル基は、他方の側に位置する。その結果、外側の面は親水性であり、シクロデキストリンを水溶性にしている。対照的に、シクロデキストリンの凹部は疎水性である。それらは、原子C−3およびC−5の水素、およびエーテル様酸素によって裏打ちされているからである。これらのマトリクスは、種々の比較的疎水性の化合物、例えば、17βエストラジオールなどのステロイド化合物とともに複合体を形成する(例えば、van Uden et al. Plant Cell Tiss. Org. Cult.
38:1-3-113 (1994)参照)。その複合体形成は、Van der Waals相互作用および水素結合形成によって行われる。シクロデキストリンの化学的性質を概観するには、Wenz, Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 33:803-822 (1994)を参照されたい。
【0407】
シクロデキストリン誘導体の物理化学的特性は、置換の種類および程度に強く依存する。例えば、それらの水への溶解性は、不溶性(例えば、トリアセチル−ベータ−シクロデキストリン)から、147%溶解性(w/v)(G−2−ベータ−シクロデキストリン)の範囲にある。さらに、それらは、多くの有機溶媒に可溶性がある。シクロデキストリンの特性によって、溶解性を増加もしくは減少させることによって、種々の製剤成分の溶解性をコントロールすることができる。
【0408】
多くのシクロデキストリンおよびそれらの調製方法が記載されている。例えば、Parmeter (I)ら(米国特許第3,453,259号)およびGrameraら(米国特許第3,459,731号)は、電気的に中立なシクロデキストリンを記載している。他の誘導体としては、カチオン性の特徴を有するシクロデキストリン [Parmeter(II)、米国特許第3,453,257号]、不溶性架橋シクロデキストリン(Solms、米国特許第3,420,788号)、およびアニオン性の特徴を持つシクロデキストリン[Parmeter(III)、米国特許第3,426,011号]がある。アニオン性の特徴を持つシクロデキストリン誘導体の中で、カルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、チオホスフィン酸、およびスルホン酸が親シクロデキストリンにぶら下がっている[Parmeter (III)、前掲文献参照]。さらに、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体がStellaらによって記載されている(米国特許第5,134,127号)。
【0409】
リポソームは、水溶性内側コンパートメントを包含する少なくとも1つの脂質二重膜からなる。リポソームは、膜のタイプおよび膜の大きさによって直腸付けることができる。小単ラメラ小胞(SUV)は、単一の膜をもち、典型的には、0.02μm乃至0.05μmの直径を持つ;大単ラメラ小胞(LUV)は、典型的には、0.05μmより大きな直径を持つ。オリゴマー大小胞およびマルチラメラ小胞は、多数の、通常同心の膜層を持ち、典型的には、0.1μmより大きな直径を持つ。大きな小胞に含まれる複数の同心でない膜を持つリポソームは、多胞体小胞と呼ばれる。
【0410】
本発明のある局面は、本発明の化合物を含有するリポソームを含む製剤であって、該リポソーム膜の輸送能力が増加したリポソームを提供するように製剤されているリポソームに関する。別法として、あるいは、追加的に、本発明の化合物は、リポソームのリポソーム二重層内または上に吸収される。本発明の化合物は、脂質界面活性剤を持つ凝集物で、リポソームの内側スペースに存在してもよい。これらの場合、リポソーム膜は、破壊的な活性剤−界面活性剤凝集物の破壊的作用に抵抗するよう製剤される。
【0411】
本発明のある態様によれば、リポソームの脂質二重層は、ポリエチレングリコール(PEG)によって誘導体化された脂質を含有し、PEG鎖は、脂質二重層の内側層からリポソームによってカプセル化された内側スペースに延び、脂質二重層から周囲の環境に延びるようになる。
【0412】
本発明のリポソーム内に含有される活性剤は、可溶性形状である。界面活性剤の凝集物および活性剤(例えば、該活性剤を含有するエマルジョンまたはミセル)は、本発明のリポソームの内側のスペースに捕捉される。界面活性剤は、活性剤を分散させ、活性剤を溶解させる機能を果たし、それは、限定されないが、鎖長が変化する(例えば、約C14〜C20)生体適合性リソホスファチジルコリン(LPC)を含む好適な脂肪族、シクロ脂肪族または芳香族界面活性剤から選択することができる。それらは、ミセル/膜融合を阻害するように機能するので、ポリマーを界面活性剤分子に添加することによって、界面活性剤のCMCが減少し、ミセル形成を助けるので、PEG−脂質などのポリマー−誘導体化脂質を用いてミセル形成することができる。マイクロモル範囲のCMCを持つ界面活性剤が好ましい。より高いCMC界面活性剤を用いて、本発明のリポソーム中にミセルを調製してもよい。しかしながら、ミセル界面活性剤モノマーは、リポソーム二重層の安定性に影響を及ぼしうる。そして、所望の安定性を有するリポソームを設計する際のファクターとなりうる。
【0413】
本発明のリポソームは、当業者に公知のあらゆる技術によって調製することができる。例えば、米国特許第4,235,871号;PCT国際公開第96/14057号; New RRC、Liposomes: A
practical approach, IRL Press, Oxford (1990),
pages 33-104; Lasic DD, Liposomes from physics to applications, Elsevier
Science Publishers BV, Amsterdam, 1993を参照されたい。
【0414】
例えば、本発明のリポソームは、親水性ポリマーによって誘導体化された脂質を、予め形成しておいたリポソーム中に拡散させることによって、例えば、予め形成されているリポソームを、脂質グラフトポリマーからなるミセルに曝露することによって、望ましくはリポソーム中に誘導体化された脂質の最終的なモル濃度に対応する脂質濃度で調製してもよい。親水性ポリマーを含有するリポソームは、当該技術分野において公知の、均質化、脂質−フィールド水和、または押し出し技術によって、形成することができる。
【0415】
別の製剤手順の例では、まず活性剤を超音波処理によって、疎水性分子を容易に安定化させるリソホスファチジルコリン中、または他の低CMC界面活性剤(ポリマーグラフト脂質)中で拡散させる。次いで得られた活性剤のミセル懸濁液を用いて、好適なモルパーセントのポリマーグラフト脂質またはコレステロールを含有する乾燥脂質サンプルを再水和する。次いで、抽出技法を用いて、当該技術において知られているように脂質および活性剤懸濁液をリポソームに形成し、カプセル化されていない溶液から標準的なカラム分離によって、リポソームを分離して得る。
【0416】
本発明のある局面において、リポソームは、選択された大きさの範囲内においてほぼ均質な大きさになるように調製される。サイズに基づく効果的な分類方法としては、リポソームの水溶性懸濁液を、選択された孔径の一連のポリカーボネート膜を介して押し出しすることを含む。膜の孔径は、膜から抽出することによって製造される、ほぼ最大サイズのリポソームに対応する。例えば、米国特許第4,737,323号(1988年4月12日)を参照されたい。
【0417】
放出改質剤
本発明の製剤の放出特性は、カプセル化する材料、カプセル化された薬物の濃度、および放出改質剤の存在に依存する。例えば、胃のようなpHの低いところでのみ放出する、または、腸のようなpHの高いところでのみ放出する、pH感受性コーティングを用いて、pH依存性となるように操作することができる。腸溶コーティングを用いて、胃を通過するまで、放出が起こらないように阻止することができる。多数のコーティグまたは異なる材料中にカプセル化されたシアンアミドの混合物を用いて、胃で最初の放出を起こし、その後、腸で放出を起こすようにすることができる。放出はまた、カプセルからの拡散による水分の取り込みおよび放出を増加させ得る塩または孔形成剤を入れることによって操作することもできる。薬物の溶解性を改質する添加剤を用いて、放出速度を制御することもできる。マトリクスの分解またはマトリクスからの放出を促進する薬剤を組み込むこともできる。それらは、薬物に添加することができるし、別個の相(すなわち、粒子)として添加することができるし、または、化合物によっては、ポリマー相に共溶解することもできる。いずれの場合も、その量は、0.1%乃至30%(w/wポリマー)とすべきである。分解促進剤の種類としては、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどの無機塩、クエン酸、安息香酸、およびアスコルビン酸などの有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、および水酸化亜鉛などの無機塩基、ならびに硫酸プロタミン、スペルミン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどの有機塩基、Tween(登録商標)やPluronic(登録商標)などの界面活性剤がある。マトリクスを微小構造にする孔形成剤(すなわち、無機塩や糖類などの水溶性化合物)を粒子として添加する。その範囲は、1%乃至30%(w/wポリマー)とすべきである。
【0418】
取り込みは、粒子の腸における滞留時間を変えることによって、操作することができる。これは、例えば、粒子をコーティングすることによって、または、カプセル化材料として粘膜吸着性ポリマーを選択することによって、達成することができる。その例としては、キトサン、セルロース、および特にポリアクリレート(本明細書において用いられているところのポリアクリレートは、シアノアクリレートやメタクリレートといった、アクリレート基や改質されたアクリレート基を含むポリマーを言う)などの、カルボキシル基を含まない多くのポリマーが挙げられる。
【0419】
コンビナトリアルライブラリー
対象となる化合物は、このセクションに記載のコンビナトリアル合成の方法を用いて合成することもできる。化合物のコンビナトリアルケミストリーは、薬学的、アグロケミカルもしくは他の生物学的もしくは医学に関連する活性、または材料に関連する質のスクリーニングを行うために利用することができる。本発明の目的のためのコンビナトリアルライブラリーは、所望の特性についてスクリーニングすることができる、化学的に関連する化合物の混合物であり、前記ライブラリーは、溶液の形状でもよいし、または固体支持体に共有結合されていてもよい。多くの関連する化合物の、単一の反応における調製は、行う必要のある多くのスクリーニングプロセス数を大幅に減らし、単純化する。適切な生物学的、薬学的、農薬学的または物理学的特性のスクリーニングは、従来の方法によって行ってもよい。
【0420】
ライブラリーの多様化は、種々の異なるレベルで可能である。例えば、コンビナトリアルアプローチに用いられる基質アリール基は、コアアリール部分の点で多様であることができる。例えば、リング構造について多様である。および/または、他の置換基に関して多様であることができる。
【0421】
小有機分子のコンビナトリアルライブラリーを作製するためには、当該技術分野における種々の技法を用いることができる。例えば、Blondelle et al.(1995)Trends Anal.
Chem. 14:83;
Affymaxの米国特許第5,359,115号および第5,362,899号: Ellmanの米国特許第5,288,514号:StillらのPCT国際公開公報WO94/08051号;Chen et al. (1994) JACS 116:2661: Kerr et al. (1993) JACS 115:252;PCT国際公開公報WO92/10092号、WO93/09668号およびWO91/07087号;Lerner et alらのPCT国際公開公報WO93/20242号)を参照されたい。したがって、約16〜1,000,000以上のダイバーソマーを持つ、種々のライブラリーを合成し、特別の活性もしくは特性についてスクリーニングすることができる。
【0422】
ある実施態様において、置換されたダイバーソマー(diversomer)のライブラリーは、StillらのPCT国際公開公報WO94/08051号に記載の望ましい技法に適用される対象となる反応、例えば、加水分解可能または光分解可能基によるポリマービーズに結合させる、例えば、基質の部分基質の1つに位置づけるといった反応を用いて合成することができる。Stillらの技法によれば、ライブラリーは、1セットのビーズ上に合成される。各ビーズは、ビーズ上の特定のダイバーソマーを同定する1セットのタグを含んでいる。酵素阻害剤を発見するために特に好適なある態様において、該ビーズは、浸透膜の表面に分散させることができ、ダイバーソマーは、ビーズリンカーの溶解によってビーズから放出され得る。各ビーズからのダイバーソマーは、膜を超えてアッセイ帯域まで分散し、酵素アッセイと相互作用することになる。多くのコンビナトリアル方法の詳細な説明を以下に示す。
【0423】
A.直接的な特徴づけ
コンビナトリアルケミストリーの分野において増大している傾向は、例えば、化合物のサブフェムトモル量の特徴を調べる、および直接的にコンビナトリアルライブラリーから選択された化合物の化学的構造を決定するために用いることができるマススペクトロメトリー(MS)などの技法の開発である。例えば、ライブラリーが、不溶性支持体基質上に設けられている場合、化合物の別個のポピュレーションをまず最初に支持体から放出させ、MSによって特徴付けることができる。別の態様において、MSサンプル調製技法の一部として、そのようなMS技法をMALDIとして使用して、特に、当初から化合物を基質につなぐために、不安定な結合が用いられている場合に、基質から化合物を放出させることができる。例えば、ライブラリーから選択されたビーズは、MALDIステップにおいて、基質からダイバーソマーを放出し、MS分析するために該ダイバーソマーをイオン化するために、照射することができる。
【0424】
B)マルチピン合成
当該方法のライブラリーは、マルチピンライブラリーフォーマットを用いることができる。簡潔に言えば、Geysenと共同研究者(Geysen et al. (1984) PNAS 81:3998-4002)は、マイクロタイタープレートフォーマットに配列されたポリアクリル酸グレートの(grated)ポリエチレンピン上でのパラレル合成によって化合物ライブラリーを作製する方法を導入した。Geysenの技法を使用して、マルチピン法を用いて、1週間に数千もの化合物を合成およびスクリーニングすることができる。そして、結合された化合物は、多くのアッセイにおいて再利用することができる。適切なリンカー部分をピンに付加して用い、純度の評価およびさらなる評価を行った後、化合物を支持体から切断してもよい(Bray et al. (1990) Tetrahedron Lett 31:5811-5814; Valerio
et al. (1991) Anal
Biochem 197:168-177; Bray et al. (1991) Tetrahedron Lett 32:6163-6166参照)。
【0425】
C)分割−結合−組換え
さらに別の態様において、化合物の多様なライブラリーは、分割−結合−組換え法を用いて、1セットのビーズ上に設けることができる(例えば、Houghten (1985) PNAS 82:5131-5135; and 米国特許第4,631,211号;第5,440,016号;第5,480,971号参照)。簡潔に述べれば、名前が示唆しているように、縮退がライブラリーに導入される各合成ステップにおいては、ビーズをライブラリーの特定の位置に付加されるべき異なる置換基の数と等しい別個のグループに分割して入れ、別個の反応において異なる置換基を結合し、そして次の反復のために1つのプールに組み込んだ。
【0426】
ある態様において、Houghtenが最初に開発した、内部の多孔性のポリプロピレンバッグに密閉された樹脂上で化合物の合成が行われる、いわゆる「ティーバッグ」法に類似するアプローチを用いた分割−結合−組換え法を用いることができる(Houghten et al. (1986) PNAS 82:5131-5135)。バッグを適切な反応溶液に置くことによって、置換基を化合物を持つ樹脂に結合する。一方、全てに共通のステップ、例えば、樹脂洗浄や脱保護は、1つの反応容器において同時に行われる。合成が終わったとき、各バッグは、単一の化合物を含有している。
【0427】
D)光指示、空間アドレス可能なパラレル化学合成によるコンビナトリアルライブラリー
合成基質上のその位置によって化合物の同定がなされるコンビナトリアル合成のスキームを空間アドレス可能合成と呼ぶ。ある態様において、コンビナトリアルプロセスは、化学的試薬を、固体支持体の特異的な位置への添加をコントロールすることによって行うことができる(Dower et al. (1991) Annu Rep Med Chem 26:271-280; Fodor,
S.P.A. (1991) Science 251:767; Pirrung et al. (1992) 米国特許第5,143,854号;
Jacobs et al. (1994) Trends
Biotechnol 12:19-26)。フォトリソグラフィーの空間分解能によって小型化が可能になる。この技法は、感光性保護基を用いた保護/脱保護反応によって行うことができる。
【0428】
この技法のキーポイントは、Gallop et al. (1994) J Med Chem 37:1233-1251に示されている。合成基質は、感光性ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)保護アミノリンカーまたは他の感光性リンカーの共有結合的付着を介して結合するために調製される。結合のための合成支持体の特異的な領域を活性化するために光が選択的に用いられる。感光保護基を光によって除去(脱保護)した結果、選択された領域が活性化される。活性化の後、それぞれ感光性保護基をアミノ末端に有している第1のアミノ酸アナログのセットを表面全体に曝露する。先行するステップにおいて、光によってアドレス指定された領域にのみ結合が生じる。反応を止め、プレートを洗浄し、基質を第2のマスクを介して再び照射し、第2の保護構築ブロックを用いた反応の異なる領域を活性化する。マスクのパターンおよび反応物の配列によって生成物およびそれらの位置を定義する。このプロセスは、フォトリソグラフィー技法を用いているので、合成され得る化合物の数は、適切な分解能によってアドレス指定され得る合成部位の数によってのみ限定される。各化合物の位置は、正確に知られている。したがって、その他の分子との相互作用を直接的に評価することができる。
【0429】
光指向型化学合成において、生成物は、その照射パターンおよび反応物の添加のレベルに依存する。リソグラフィーのパターンを変化させることによって、多くの異なるセットの試験化合物を同時に合成することができる。この特徴によって、多くの異なるマスキング法を作り出すことになる。
【0430】
E)コードされたコンビナトリアルライブラリー
さらに別の態様において、対象となる方法は、コードされたタグシステムを備えた化合物ライブラリーを使用する。近年、所与のビーズの反応ステップを独自にコードするタグ用いた化学的指標系および推測でそれが持つ構造を採用して、コンビナトリアルライブラリーからの活性化合物の同定が向上している。概念上、このアプローチは、活性が発現したペプチドに由来するファージディスプレイライブラリーを模倣しているが、活性ペプチドの構造は、対応するゲノムDNA配列から推論される。合成コンビナトリアルライブラリーの第1のコード化は、コードとしてDNAを採用した。配列可能なバイオ−オリゴマー(例えば、オリゴヌクレオチドおよびペプチド)、および更なる非配列可能タグを用いたバイナリーコード化を含む、他の形態の種々のコード化が報告されている。
【0431】
1)配列可能なバイオオリゴマーを用いたタグ付け
コンビナトリアル合成ライブラリーをコードするオリゴヌクレオチドを用いる原則は、1992年に記載されている(Brenner et al. (1992)
PNAS 89:5381-5383)。そのようなライブラリーの例は、翌年にも報告されている(Needles et al. (1993) PNAS 90:10700-10704)。各々、特異的なジヌクレオチド(それぞれTA、TC、CT、AT、TT、CAおよびAC)によってコードされているArg、Gln、Phe、Lys、Val、d−ValおよびThr(3文字アミノ酸コード)の全ての組み合わせからなる、名目上77(=823,543)個のペプチドのコンビナトリアルライブラリーを、固体支持体上で一連のペプチドおよびオリゴヌクレオチド合成を交互に行うことによって調製した。本研究において、ビーズ上のアミン結合機能性は、ビーズを、オリゴヌクレオチド合成のための保護OH基およびペプチド合成のための保護NH2基(ここでは、比率は1:20)を生成する試薬を用いて同時にプレインキュベートし、ペプチドまたはオリゴヌクレオチド合成へ特異的に分化させた。完了時、タグはそれぞれ69量体からなり、そのうち14ユニットはコードを有していた。ビーズ結合ライブラリーを、蛍光標識した抗体、および強く蛍光発光した結合抗体を含有するビーズを蛍光活性化された細胞分類によって回収した(FACS)。DNAタグは、PCRによって増幅し、配列させ、予測されるペプチドを合成した。そのような技法を行った後、当該方法で使用するために化合物ライブラリーを誘導することができ、タグのオリゴヌクレオチド配列は、特定のビーズが行う連続的なコンビナトリアル反応を同定し、したがって、ビーズ上で化合物を同定する。
【0432】
オリゴヌクレオチドタグによって、優れて感受性の高いタグ分析が可能となる。そうであっても、この方法は、タグとライブラリーメンバーの共合成を選択するために必要とされる保護基の直交系の選択には注意が必要である。さらに、タグの化学的不安定性、特にリン酸塩と糖のアノマー結合は、非オリゴマーライブラリーに用いることができる試薬の選択と条件を制限することになる。好ましい態様において、ライブラリーは、アッセイのための試験化合物ライブラリーメンバーの選択的解離を可能とするリンカーを採用する。
【0433】
ペプチドもまた、コンビナトリアルライブラリーのタグ分子として使用されてきた。2つのアプローチの例が当該技術分野において記載されている。その双方は、コーディングおよびリガンド鎖が交互に作製された固体相への分枝リンカーを採用している。第1のアプローチにおいては(Kerr JM et al. (1993) J Am Chem Soc 115:2529-2531)、コード鎖の酸不安定保護および化合物鎖の塩基不安的保護を採用することによって、合成の直交性が達成されている。
【0434】
もう一方のアプローチ(Nikolaiev et al. (1993) Pept Res 6:161-170)では、コードユニットと試験化合物の両方が樹脂上の同じ官能基に付着することができるように分枝リンカーが採用される。ある態様においては、切断によってコードと化合物の双方を含有する分子を放出することができるように切断可能なリンカーを分枝点とビーズの間に配置する(Ptek et al. (1991) Tetrahedron Lett 32:3891-3894)。別の態様において、切断可能リンカーは、コードを後ろにした状態で、試験化合物が選択的にビーズから分離され得るように配置することができる。この最後の構築物は、特に価値がある。なぜなら、それは、コード基に妨害される可能性なく、試験化合物のスクリーニングを可能とするからである。独立した切断およびペプチドライブラリーメンバーの配列の例、並びに、それらの対応するタグによって、該タグが正確にペプチド構造を予測することができることが確認された。
【0435】
2)非配列可能タグ:バイナリーコーディング
試験化合物ライブラリーをコードするための別の形態は、バイナリーコードとして使用される一連の配列可能な電気泳動的な分子のタグ付けを採用する(Ohlmeyer et al. (1993) PNAS 90:10922-10926)。タグの例としては、トリメチルシリルエーテルとして、電子捕獲型ガスクロマトグラフィー(ECGC)によって、フェムトモル量未満で検出可能なハロ芳香族アルキルエーテルがあげられる。アルキル鎖の長さ、ならびに芳香族ハライド置換基の性質および位置を変化させることで、原則的に240(例えば、1012まで)の異なる分子をコードすることができる、少なくとも40のそのようなタグの合成が可能となる。最初の報告(Ohlmeyer et al., 上掲)においては、該タグは、ペプチドライブラリーの約1%の入手可能なアミン基へ、光分裂可能なo−ニトロベンジルリンカーを介して結合している。このアプローチは、ペプチド様もしくは他のアミン含有分子を調製する場合に便利である。しかしながら、本質的にあらゆるコンビナトリアルライブラリーをコードすることが可能な、より万能な系が開発された。ここで、化合物は、光分裂可能なリンカーを解して固体支持体に付着し、タグは、カテコールエーテルリンカーに、カルベンのビーズ基質への挿入を介して結合することになる(Nestler et al. (1994) J Org Chem 59:4723-4724)。この直交な付着法によって、溶液中のアッセイのためのライブラリーメンバーの選択的付着および、続く、タグセットの酸性の分解後のECGCによるデーコーディングを可能とする。
【0436】
当該技術分野におけるいくつかのアミド結合ライブラリーは、アミン基に付着した電気泳動的タグを用いたバイナリーコーディングを採用しているが、これらのタグを直接的にビーズ基質に付着させることによって、コードされたコンビナトリアルライブラリーにおいて調製可能な構造中にさらに高い万能性をもたらす。このように付着されているので、タグおよびそれらのリンカーは、殆どビーズ基質自身として反応しない。電気泳動的タグが直接的に固体相に付着した2つのバイナリーコードされたコンビナトリアルライブラリーが報告されており(Ohlmeyer et al.(1995)PNAS 92:6027-6031)、対象となる化合物ライブラリーを生成する指示を提供している。双方のライブラリーは、ライブラリーメンバーが固体相に結合し、タグが、強い酸化によってのみ分解されうるリンカーを介して付着された、直交付着法を用いて構築された。ライブラリーメンバーは、それぞれ固体支持体から部分的に光溶出が可能であるので、ライブラリーメンバーは、多くのアッセイにおいて使用することができる。連続した光溶出は、非常にハイスループットの相互作用的スクリーニング法を可能にしている。第1に、多数のビーズを96ウェルマイクロタイタープレートに置き、第2に、化合物をアッセイプレートに部分的に付着させ、移し、第3に、金属結合アッセイが活性なウェルを同定し、第4に、対応するビーズを新しいマイクロタイタープレートに単一に再配列し、第5に、単一の化合物を同定し、そして第6に、構造をデコーディングする。
【0437】
実施例
本発明について、一般的に説明したが、以下の実施例を参照することによってより容易に理解することができよう。実施例は、本発明のいくつかの局面および態様を説明の目的のためだけに記載したものであって、本発明を限定することを意図していない。
【0438】
実施例1
[F−18]−1−メチル−1−(4−フルオロフェニル)ピペラジニウム塩の合成
【化50】
【0439】
t−BOC−保護メチルピペラジンを、圧力をかけながら、ベンゼン中、1−フルオロ−4−ニトロベンゼンの存在下で加熱し、4−t−BOC−保護1−メチル−1−(4−ニトロフェニル)ピペラジニウム塩を得た。ピペラジニウム塩を、カリウム[18F]フッ化物およびクリプトフィックスの存在下で、200℃で20分間加熱した。3M HCl水溶液を用いてそのオイルを処理し、[F−18]−1−メチル−1−(4−フルオロフェニル)ピペラジニウムクロライドを得た。
【0440】
実施例2
[F−18]−1−(4−フルオロシクロヘキシル)−1−メチル−4−フェニルピペラジニウムヨウ化物の合成
【化51】
【0441】
1,4−シクロヘキサジオール(シス/トランス混合物、10g、86mmol)、ベンゾイルクロライド(12g、86mmol)およびDMAP(50mg)のメチレンクロライド/ピリジン溶液(80/20)を25℃で4時間攪拌した。水性層が酸性になるまで反応混合物を10%HClで洗浄し、メチレンクロライド層を飽和NaHCO3、塩水で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒除去後、粗材料のクロマトグラフィー(シリカゲル、メチレンクロライド/メタノール、95:5)を行い、6g(30%)のベンゾイルアルコールを得た。
【0442】
4−ベンゾイルシクロヘキサノール(5g、23mmol)をPCC(7.4g、34.5)mmol)のメチレンクロライド溶液(50mL)を用いて、2時間25℃で酸化させた。黒色の反応混合物をシリカゲルのショートベッド(short bed)に通して濾過し、溶媒を除去した。クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/エチル酢酸塩、85:15)を行い、3g(60%)のケトン;Mp58−60℃を得た。
【0443】
1−(4−ベンゾオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを得るために、公開されている手順[J. Org. Chem. 1996, 61, 3849-3862]を用いて、還元性アミノ化を行った。1−フェニルピペラジン(1g、6.2mmol)と4−ベンゾオキシシクロヘキサノン(1.4g、6.2mmol)とを、1,2−ジコロエタン(dichoroethane)(35mL)中で合成し、その後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.2g)と氷酢酸(0.25g)で処理した。その混合物を窒素下で、25℃で16時間攪拌した。その反応混合物を1N NaOH(20mL)を添加することによって急冷し、生成物を、メチレンクロライドを用いて抽出した。その抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)し、溶媒を蒸発させて、粗自由塩基を得た。クロマトグラフィー(シリカゲル、メチレンクロライド、95:5)を行って、1.8g(80%)の1−(4−ベンゾオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを得た。
【0444】
メタノール(25mL)中で、1M
水酸化リチウム(5mL)を用いて、1−(4−ベンゾオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジン(1g、2.7mmol)の脱保護を80℃で1時間行い、0.6g(85%)の1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを得た。
【0445】
メタンスルホニルクロライド(0.23g、2mmol)の10mLのメチレンクロライド/ピリジン溶液(90/10)を用いて、25℃で、1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジン(0.5g、1.9mmol)をメシラートに変換した。その反応混合物を2時間撹拌し、真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物をメチレンクロライド(20mL)中に溶解し、飽和NaHCO3で2回洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒除去後、粗生成物をメチレンクロライド/メタノール(90:10)を用いたシリカゲル上でクロマトグラフにかけ、0.4g(80%)のピペラジンメシラートを得た。1H NMR(CDCl3)、δ1.4−2.4(9H、m、環−CH)、2.7(4H、m、ピペラジン−CH2)、3.05(3H、s、CH3)、3.2(4H、m、ピペラジン−CH2)、4.6(1H、m、O−CH)、6.83−6.9(2H、m、フェニル−CH)、7.2−7.3(3H、m、フェニル−CH)。
【0446】
0.5mLの18O−に富んだ水中にフッ素−18(20mCi)、クリプトフィックス2.2.2(10mg)および炭酸カリウム(2mg)を含有しているウィートン(Wheaton)5mL反応バイアルを118℃で加熱し、窒素ガス流の助けを借りて溶媒を蒸発させた。1mLのアセトニトリルを添加っすることによって、K18F/クリプトフィックス複合体を3倍に乾燥させ、窒素流を用いて、溶媒を蒸発させた。5mgの1−(4−メタンスルホンオキシシクロヘキシル)−4−フェニルピペラジンを含んだ1mlのアセトニトリル溶液をバイアルに添加し、120℃で10分間、フッ素化反応を行い、1mLのヘキサン/エチル酢酸塩/メタノール(50:45:5)溶液で置換した。混合後、該溶液をシリカゲルSepPak(Waters、Milford、MA)に載せ、活性を2mLの同じ溶液で溶出させた。標識されたピペラジン誘導体をHPLC(セミプレップシリカゲルカラム、ヘキサン/エチル酢酸塩/メタノール、50:45:5)によって精製した。その溶媒を除去し、ヨードメタン(0.1mL)のアセトニトリル溶液(1mL)を活性物を含有するバイアルに添加した。反応バイアルを120℃で20分加熱し、溶媒を蒸発させて、[F−18]−1−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペラジニウムヨウ化物(7mCi)を得た。
【0447】
実施例3
[F−18]−1−(3−フルオロシクロブチル)−1−メチル−4−フェニルピペラジニウムヨウ化物の合成
【化52】
【0448】
シクロブタノン−4−ベンジルオキシエーテルを公知の手順により作製した(J. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 130; Bull. Chem. Soc. Jpn, 1988, 57, 1637)。1−(3−ベンズオキシシクロブチル)−4−フェニルピペラジンを得るために、シクロヘキシルアナログを用いた公知の手順[J. Org. Chem. 1996, 61, 3849-3862]によって還元アミノ化を行った。上記のようにして、水素化、メシラート形成、および放射能標識化を行った。
【0449】
実施例4
[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(FTTP)の合成
【化53】
【0450】
非放射性標準および、放射能標識に用いられる化合物を、Horner [Chem. Ber.
1958, 91,45]およびRieke [J. Am. Chem.
Soc. 1976, 98,
6872]の方法によって調製した。4−ニトロアニリン(2.8g、0.02mol)および等モル量の亜硝酸ナトリウムを、10mlの濃縮塩酸HClの入った10mlの水中に0℃で溶解した。ナトリウム酢酸塩(5.6g)を溶解させた水(20ml)を添加した。トリフェニルホスフィン(5.6g)を溶解させた酢酸エチル(80ml)を攪拌しながら滴下した。1時間後、得られた溶液を酸性化し、水層を酢酸エチルから分離し、水溶性部分をエーテルで2回に抽出した。その酢酸エチル溶液を水で2回抽出し、該抽出物を水溶性断片と結合させた。ナトリウムヨウ化物の水溶液を添加することによって、ホスホニウムヨウ化物が沈澱した。mp225〜227℃(Lit.228.5℃;Chem. Ber. 1958, 91, 45)。4−ニトロフェニルホスホニウムのヨウ化物をAgNO3水溶液で処理した5mLのエタノール中に溶解した。濾過により銀ヨウ化物を除去し、その溶液を蒸発させ乾燥させた。粗塩をシリカゲル(メチレンクロライド/メタノール(90:10))上でクロマトグラフィーにかけて精製し、4−ニトロフェニルホスホニウム硝酸塩を得た;mp215〜127℃。C24H19N2O5PのAnal. calcd:C、64.57;H、4.29;Found:C、64.49;H、4.14。
【0451】
4−ニトロフェニルトリフェニルホスホニウム硝酸塩と[18F]フッ化物から、求核性芳香族置換によって[18F]FTPPを調製した。フッ素−18(600mCi)の入った1mLの18Oに富んだ水と100μLの水酸化アンモニアを含有するWheaton 5−mL反応バイアルを120℃で加熱し、水を蒸発させ、窒素ガス流の助けを借りてほぼ乾燥させた(約25μL)。1mLのニトロ化合物のアセトニトリル溶液をバイアルに添加し、蒸発さえて水と溶媒を除去した。1mLのアセトニトリルを添加することによって3回含有物を乾燥させ、窒素流を用いて溶媒を蒸発させた。該反応バイアルを200℃に10分間加熱し、25℃に冷却させ、含有物を1mlの50%0.1M Ca(NO3)2アセトニトリル溶液中に溶解させた。該溶液をアンモニアSepPak (Waters, Milford, MA)に載せ、未処理のフッ化物を除去し、その生成物をHPLC (Waters:Bondapak C-18、19X150mmカラム、フロー:6mL/分;溶離液:50:50アセトニトリル水溶液/0.01M H3PO4水溶液)によって精製した。回転蒸発によって、溶媒を除去し、[18F]FTPPを塩水に溶解させ、重炭酸ナトリウムを用いてpHを7.0に調節し、濾過した(0.22μm、Millipore:Millex-GV)。合成は2時間以内に完了した;[18F]FTPPの収率は20mCi(6%EOB)であった。
【0452】
実施例5
[F−18]−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩の合成
【化54】
【0453】
メタニトロアナログを[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩について説明したのと同様の方法で調製した。
【0454】
(4−ニトロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩と[18F]フッ化物から、求核性芳香族置換によって[18F]FTPPを調製した。フッ素−18(600mCi)の入った0.5mLの18Oに富んだ水と100μLの水酸化アンモニアを含有するWheaton 5−mL反応バイアルを120℃で加熱し、水を蒸発させ、窒素ガス流の助けを借りてほぼ乾燥させた(〜25μL)。1mLのニトロ化合物のアセトニトリル溶液をバイアルに添加し、蒸発させて水と溶媒を除去した。1mLのアセトニトリルを添加することによって3回含有物を乾燥させ、窒素流を用いて溶媒を蒸発させた。該反応バイアルを200℃に10分間加熱し、25℃に冷却させ、含有物を1mlの50%0.1M Ca(NO3)2アセトニトリル溶液中に溶解させた。該溶液をシリカSepPak(Waters, Milford, MA)に載せ、未処理のフッ化物を除去し、粗生成物を10%のメタノールのメチレンクロライド溶液(4mL)で溶出した。蒸発によって溶媒を除去した後、残留物を50:50アセトニトリル水溶液/0.01M H3PO4水溶液に溶解し、HPLC(Waters:Bondapak C-18、19X150mmカラム、フロー:6mL/分;溶離液:同じ溶媒)によって精製した。回転蒸発によって、溶媒を除去し、[18F]FTPPを塩水に溶解させ、重炭酸ナトリウムを用いてpHを7.0に調節し、濾過した(0.22μm、Millipore:Millex-GV)。合成は2時間以内に完了した;[18F]FTPPの収率は10mCi(3%EOB)であった。
【0455】
実施例6
[I−l25]−p−ヨードフェニルトリフェニルホスホニウム硝酸塩(ITPP)の合成
トリアゼン、4−ピペリジニルアゾフェニルトリフェニルホスホニウムヨウ化物からの位置特異的なI−125標識4−ヨードフェニルトリフェニルホスホニウム(ITPP)の合成がShoupとElmalehによって報告されている。トリアゼンは、高特異的活性レセプタープローブを調製するためによく使用されており、この経路は、高い収率と精度を提供するものである。4−ヨードアニリンのトリアゼンへの変換は、ジアゾニウムイオンをピペラジンでトラッピングすることによって行った。トリアゼンをトリフェニルホスフィンおよび触媒量のパラジウム(II)酢酸塩で処理し、I−125標識のための最終的なプレカーサーを得た。
【0456】
【化55】
【0457】
5.5g(25.1mmol)の4−ヨードアニリンが入った48mLの6N−HCl混合物を氷塩浴中で冷却した。該混合物に、予め冷却しておいた1.89g(27.4mmol)のNaNO2が入った12mLの水溶液を添加した。10分間撹拌した後、氷冷却した10.5gのKOH中の5.81mL(58.7mmol)のピペリジンの水溶液(90mL)を添加し、攪拌を続けた。10分後、塩基性になるまでアンモニアを添加し、生成物をCH2Cl2:EtOAc(1:1)中に抽出した。粗化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン中の30%メチレンクロライド溶出によって精製し、2.1g(25.4%)とした。分析サンプルをヘキサンから再結晶化した。:mp63〜65℃。NMR:d1.70(s、6H)、3.78(s、4H)、7.19および7.63(d、J=8.7Hz、4H)。C11H14IN3のAnal. Calcd:C、41.92;H、4.48;N、13.33;I、40.27。Found:C、42.08;H、4.60;N、12.99;I、4.075。
【0458】
パラジウム(II)酢酸塩(4.48mg、0.02mmol)を630mg(2mmol)のトリアゼンと524mg(2mmol)のトリフェニルホスフィンのキシレン溶液をに添加し、その混合物を110℃で一晩攪拌した。その析出物を濾過し、ベンゼンで洗浄し、167mg(14.5%)の固形物を得た。それをさらに精製することなく使用した。分析サンプルは、メチレンクロライドで溶出することによってシリカゲル上でさらに精製して作製し、CH2Cl2−エーテルから再結晶化した:255〜257℃。NMR:d1.75(m、6H)、3.96(m、4H)、7.72(m、19H)。C29H29IN3PのAnal. calcd:C、60.32;H、5.06;N、7.28;I、21.98;P、5.36。Found:C、59.70;H、5.14;N、7.33;I、21.65;P、5.30。
【0459】
ナトリウム125I(340μCi)を、MeCNを用いた共沸条件下で、反応バイアル中で、窒素流のもと110℃で乾燥させた。前の反応から得た600μgのトリアゼン、30μLのMeCN、および5μLのClSiMe3を該バイアルに添加し、その混合物を60℃で加熱した。15分後、100μLのNaHCO3溶液を添加し、その反応混合物をCH2Cl2で抽出した。20%AgNO3溶液を用いて有機相を3回完全に洗浄した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を0.1mLのCH2Cl2中に溶解し、シリカゲルプラグに通した。このミニカラムをCH2Cl2およびアセトンをそれぞれ用いて溶出した。そのアセトン断片は、Radio−TLC(CH2Cl2中10%MeOH)上で均質な望ましい生成物であった。放射化学的収率は67%であり、特異的活性は17.4Ci/mgであった。
【0460】
実施例7
[I−l25]−p−ヨードフェニルトリフェニルホスホニウム(phosponium)硝酸塩の細胞および成体分布(TPPI)
5、30、60分後の、ラットでのTPPIの生体分布(1時点につき6)を図2に示す。心臓活性は、0.7%用量/グラムであった。マイクロスフェアから予期されるように、その活性は、心臓において60分間一定に維持された。その活性は、血液から迅速に洗浄し、心臓対血液比率は、2.9から8.3乃至12.1とそれぞれ上昇した。心臓対肺の比率は、0.96から、1.62乃至1.5と変化した。心臓濃度は、肺濃度の2倍であり、よって、特に断層撮像において、心臓の撮像を鮮明なものとすることができる。
【0461】
TPPIの細胞分散は、そのトリチウムアナログのそれに類似しており、その化合物は、蓄積され、カルシノーマ細胞によって保持された。MCF−7およびC−6BAGグリオーマにおいて、240分間の期間中、高保持率が観察された。C6グリオーマ細胞系列は、30分後の最大蓄積からの部分的なウォッシュアウトが示された。CV−1正常細胞系列は、著明な取り込みなしに一定に保たれた。図3は、トリチウムテトラフェニルホスホニウムとそれが放射性ヨード化されたTPPIの双方が同じような振る舞いを示した。
【0462】
C6−BAGグリオーマを移植されたラットでのTPPIの成体分布は、腫瘍組織における放射性ヨウ化物の蓄積を示した。60、120および240分後の腫瘍対脳の比率は、それぞれれ40、17および44であった。腫瘍対血液の比率は、いずれの時点においても12であった。このグループでは平均腫瘍サイズが小さいため、脳対腫瘍のより低い比率が120分後に測定された。通常、脳の取り込みは、脳血液関門の破壊に部分的に関連しうる。240分後においては、腫瘍からのウォッシュアウトがなかったので、高い保持が観察されるのは、TPPIの選択取り込みメカニズムに部分的に起因するものであると当然想定される。図4は、C6−BAGグリオーマを脳に移植されたラットでのTPPIの成体分布をまとめた図である。取り込みは、%用量/グラムで示している。
【0463】
実施例8
[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(FTTP)の細胞および成体分布
塩水に溶かしたFTTP(50〜75μCi)を、麻酔をかけていないラットおよび動物の大腿静脈に直接注射して犠牲にし、5つの時点:5、30および60分後(1つの時点につき6匹のラット)において評価を行った。血液は心臓穿刺により採取した。注射する前後に、注射器を計量し、送達された体積を測定した。単位体積あたりの活性(Thqe activity)は、標準から得た。8つの異なる組織(血液、骨、肺、肝臓、腎臓、心臓、筋肉、および全血)を摘出し、計量し、Packard Cobra II
Auto-Gamma Counter (Packard Instrument Co., Downers Grove, IL)でカウントした。自然な状態の数は、腐敗に関連していた。全ての結果を、注射された用量/グラムで表した(%ID/g;中間値± 標準偏差)。
【0464】
図5は、ラットにおける静脈投与の5、30および60分後のFTPPの成体分布を示す図である(1時点につき5)。5分後、心臓でのFTPPの蓄積(1.64ID/g)は、血液に比べ11倍の高さ、肝臓と比べ5倍の高さとなった。FTPPの肺、肝臓、および腎臓での蓄積は、血液、筋肉、および脳よりも大きかった。30分後、放射能の心臓での取り込みは、1.5ID/gであり、心臓対血液の比率は、75:1であった(表1)。血液の活性は、5分から60分で著明に変化した。肺の活性は、5分で0.69ID/g、30分で0.30ID/g、60分で0.38ID/gであった。一方、肝臓での取り込みは、5分で0.18ID/g、30分で0.17ID/g、60分で0.17ID/gであった。5、30および60分後における心臓対肺の比率は、それぞれ2.4、5.0、3.2であった。脱フッ素化を示す骨での蓄積は、最低であり、5分で0.31ID/g、60分後には0.39ID/gに上昇していた。
【0465】
表1:投与5、30および60分後における、FTTPの心臓対組織比率
【表1】
【0466】
実施例9
[F−18]−(4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(FTTP)を用いたPETイメージング
ラット(250〜300グラム)またはウサギ(3〜4Kg)に麻酔をかけ、撮像部を腹側にして配置し、0.4〜1mCiのFTPPを静脈に注射した。放射性標識リガンドの注射から1時間の間に3次元動的データをリスト形式で取得した。
【0467】
マイクロPET、P4システム(Concorde Microsystems
Inc, Knoxville, TN)を用いて、PETイメージングを行った。視野の長さは8cmであり、直径は22cmである。ラットあるいはウサギの全体の上半身を、1回で撮影することができる大きさである。このシステム撮像のパラメーターは、平面内であり、軸解像度は、最大数の半分での測定において1.2mm全幅の光電ピークである。両動物種におけるMicroPET撮像から、FTPPの注入後、最初の活性は、血流量に対応し、次いで、1分後、プラトーな状態で、心臓に取り込まれることがわかった。図2は、FTPP投与の30〜31分後に回収した中位の軸(左)、冠状(中央)、矢状(左)の図の画像を示す図である。ラットでの1時間の連続イメージングによって得た、典型的な血液および組織の時間−活性曲線である。
【0468】
図10および11は、同じ動物において翌日に行った、LAD閉塞前後のウサギから取得したいくつかの心臓トモグラフを示す図である。該ウサギに麻酔をかけ、マイクロPETカメラ内に配置し(カメラの位置づけの際、体にマークを付した)、3mCiのN−13−アンモニアの投与後10分間の連続画像を取得した(図10)。1時間後、FTPPを注射し、その後60分間、ウサギの連続イメージングを行った(図11)。N−13−アンモニア活性を維持するために、適切なプログラムを用いて画像の相関を行った。1日後、同じウサギに対してLAD閉塞プロトコルを行い、同じカメラの視野内に配置し、上記2重の薬剤の連続撮像(dual agent imaging
sequence)を繰り返した。図10および11は、N−13−アンモニアとFTTPのそれぞれを注射後1日目の正常なウサギのいくつかの心臓濃度と時間−活性曲線を示す図である。図12および13は、閉塞によって影響を受けた1つの部位におけるLAD閉塞後に取得した撮像結果を示す図である。時間−活性曲線および画像は、LAD閉塞内において活性の減少した部分をはっきりと示している。質の高いウサギ画像は、N−13−アンモニア、確立した心筋かん流剤と比較した場合、FTTPを用いた場合、心臓筋肉の輪郭が、同様により明確であることを示している。60分後の後期画像は、心筋によるFTTPの高い保持を示している。
【0469】
引用による援用
本明細書において引用した全ての特許および文献は、引用によりここに援用している。
【0470】
均等物
当業者なら、ルーチンの実験法を用いるだけで、ここに記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識または確認することになろう。そのような均等物は、以下の請求項に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0471】
【図1】図1は、種々の金属活性化アレーンを示す図である。
【図2】図2は、[F−18]1−(4−フルオロシクロヘキシル)−1−メチル−4−フェニルピペラジウムのラットにおける成体分布データを示す図である(実施例7)。
【図3】図3は、[I−125]TPPIの細胞分布を示す図である(実施例7)。
【図4】図4は、C6−BAGグリオーマを移植されたラットでの[I−125]TPPIの成体分布を示す図である(実施例7)。
【図5】図5は、[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム(TPPF)のラットでの成体分布を示す図である。
【図6】図6は、[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム塩{[F−18]FTPP}を注射後、MicroPETカメラで撮影したラット心臓断片(冠状面(左)、横断面(中央)、矢状面(右))の画像を示す図である。
【図7】図7は、[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩(正常状態:黄色)のIV注射後、ならびに[F−18](4−フルオロフェニル)トリフェニルホスホニウム硝酸塩の第2の注射後、およびアデノシンボラス注射後(青)に取得したラット心臓についての時間−活性曲線を示す図である。フローにおいて29%の上昇が認められた。
【図8】図8は、左心室(下)および心筋(上)内部の血液プールにおけるFTTPの時間依存性活性を示す図である。
【図9】図9は、左心室および心筋内部の血液プールにおけるFTTPの時間依存性活性を示す図である。
【図10】図10は、LAD閉塞前後のN−13−アンモニア画像と時間活性曲線を示す図である。
【図11】図11は、LAD閉塞前後のウサギのFTTPトモグラフと時間活性曲線を示す図である。
【図12】図12は、N−13−アンモニアおよびFTTP画像、およびそれらの対応するLAD閉塞後の時間活性曲線を示す図である(ROI分析)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iで表される化合物。
【化1】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【請求項2】
前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1はHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1はアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R2およびR3は、それぞれ個別にHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R4はアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は4−フルオロフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は4−フルオロフェニルであり、Xはクロライドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、Xはヨウ化物であり、R5は2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
下記式IIで表される化合物。
【化2】
式中、
R1はフルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルであり、前記フルオロ置換基は、18Fを含み、
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【請求項14】
前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
R5はHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
R5はアリールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項18】
R2およびR3は、それぞれ個別にHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項19】
R4はアルキルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項20】
R1は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項21】
R1は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項22】
R1は、フルオロ置換フェニルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項23】
Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である、請求項13に記載の化合物。
【請求項24】
下記式IIIで表される化合物。
【化3】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R5は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【請求項25】
前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
R1はHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項28】
R1はアリールである、請求項24に記載の化合物。
【請求項29】
R2およびR3は、それぞれ個別にHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項30】
R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである、請求項24に記載の化合物。
【請求項31】
R4は、フルオロ置換シクロブチルまたはフルオロ置換シクロヘキシルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項32】
R4はフルオロ置換フェニルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項33】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は4−フルオロフェニルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項34】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は、2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項35】
下記式IVで表される化合物。
【化4】
式中、
R1は、それぞれ個別にアリールまたはヘテロアリールを表し;
R2は、ハロゲン置換アルキル、ハロゲン置換シクロアルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アラルキル、ハロゲン置換アルケニルであり、前記ハロゲン置換基は、18Fを含むフッ化物であり、または、前記ハロゲン置換基は、123I、124I、125I、もしくは131Iを含むヨウ化物であり;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンである、化合物。
【請求項36】
R2の前記ハロゲン置換基はフッ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
R2の前記ハロゲン置換基がフッ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
R2の前記ハロゲン置換基が123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項39】
R2の前記ハロゲン置換基が123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項40】
R2の前記ハロゲン置換基が124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項41】
R2の前記ハロゲン置換基が124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項42】
R2の前記ハロゲン置換基が125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項43】
R2の前記ハロゲン置換基が125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項44】
R2の前記ハロゲン置換基が131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項45】
R2の前記ハロゲン置換基が131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項46】
R1はそれぞれ個別に、任意に置換されたフェニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項47】
R2は、ハロゲン置換シクロアルキルまたはハロゲン置換アリール、請求項35に記載の化合物。
【請求項48】
R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項49】
Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である、請求項35に記載の化合物。
【請求項50】
R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルであり、Xは硝酸塩である、請求項35に記載の化合物。
【請求項51】
R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−ヨードフェニルであり、Xは硝酸塩である、請求項35に記載の化合物。
【請求項52】
請求項1、13、24、または35に記載の化合物、および薬学的に許容される添加剤を含む、製剤。
【請求項53】
スキーム1に記載のハロゲン化された化合物を作製するための方法。
【化5】
スキーム中、
Aは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニルであり、または下記式aもしくはbを有する。
【化6】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Xは、スルホン酸塩、ニトロ、酢酸塩、またはハロゲンであり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属であり;
Yは、フッ化物、またはヨウ化物であり;
クラウンエーテルは、酸素原子(oxgen atom)が任意に置換されたジメチレン結合が結合している環状分子であり;
前記方法は、ほぼ無水状態で実施される、方法。
【請求項54】
Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記方法は、無水状態で実施される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
Aは、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
Aは、下記式aで表される、請求項53に記載の方法。
【化7】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
Aは、下記式bで表される、請求項53に記載の方法。
【化8】
式中、
R2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンであり;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルであり;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5である。
【請求項62】
Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩である、請求項53に記載の方法。
【請求項63】
Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである、請求項53に記載の方法。
【請求項64】
Mは、カリウムである、請求項53に記載の方法。
【請求項65】
クラウンエーテルは、クリプトフィックスである、請求項53に記載の方法。
【請求項66】
Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩であり;Mはカリウムであり;前記クラウンエーテルはクリプトフィックスであり;Yは18Fであり、そしてAは、下記式bで表される、請求項53に記載の方法。
【化9】
式中、
R2はシクロアルキルを表し;
R3はそれぞれ個別に、Hを表し;
R4はそれぞれ個別に、Hを表し;
R5は、Hまたはアリールである。
【請求項67】
スキーム2に記載のハロゲン化された化合物を作製するための方法。
【化10】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、アラルキルを表し;またはR1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し;
Rは、アルケニル、アリール、ヘテロアリールであり、または、下記式aまたはbで表される方法。
【化11】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属、またはテトラアルキルアンモニウム塩であり;
Yは、フッ化物またはヨウ化物であり;
R3は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、またはアラルキルを表す。
【請求項68】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記方法は、無水状態で実施される、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
Rはアリールである、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
Rは下記式aで表される、請求項67に記載の方法。
【化12】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である。
【請求項73】
Aは、下記式bで表される、請求項67に記載の方法。
【化13】
式中、
R2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンであり;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルであり;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5である。
【請求項74】
R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成する、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
Mは、カリウムである、請求項67に記載の方法。
【請求項77】
Mは、ナトリウムであり、Yは125Iであり、R3は、それぞれ個別にメチルを表し、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し、Rは、下記式aで表される、請求項67に記載の方法。
【化14】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別にアリールを表し、
Zは、ハライドである。
【請求項78】
哺乳動物の一部の陽電子放出画像を得るための方法であって、
哺乳動物に、請求項1、13、24、または35に記載の化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、方法。
【請求項79】
哺乳動物の心臓の血流量を測定する方法であって、
哺乳動物に、請求項1、13、24、または35に記載の化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、方法。
【請求項80】
哺乳動物における膜輸送を測定する方法であって、
哺乳動物に、請求項1、13、24、または35に記載の化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、方法。
【請求項81】
前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである、請求項78、79、または80に記載の方法。
【請求項82】
前記哺乳動物はヒトである、請求項78、79、または80に記載の方法。
【請求項1】
下記式Iで表される化合物。
【化1】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【請求項2】
前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1はHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1はアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R2およびR3は、それぞれ個別にHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R4はアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R5は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は4−フルオロフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、R5は4−フルオロフェニルであり、Xはクロライドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4はメチルであり、Xはヨウ化物であり、R5は2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
下記式IIで表される化合物。
【化2】
式中、
R1はフルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルであり、前記フルオロ置換基は、18Fを含み、
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、アルキルまたはアラルキルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R6を表し;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R6は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【請求項14】
前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
R5はHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
R5はアリールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項18】
R2およびR3は、それぞれ個別にHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項19】
R4はアルキルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項20】
R1は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項21】
R1は、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロヘプチル、またはフルオロ置換シクロオクチルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項22】
R1は、フルオロ置換フェニルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項23】
Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である、請求項13に記載の化合物。
【請求項24】
下記式IIIで表される化合物。
【化3】
式中、
R1は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
R2はそれぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R3はそれぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、フルオロ置換アリール、フルオロ置換アラルキル、またはフルオロ置換アルケニルを表し、前記フルオロ置換基は18Fを含み;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンであり;
R5は、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである、化合物。
【請求項25】
前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
R1はHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項28】
R1はアリールである、請求項24に記載の化合物。
【請求項29】
R2およびR3は、それぞれ個別にHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項30】
R4は、フルオロ置換アルキル、フルオロ置換シクロアルキル、またはフルオロ置換アリールである、請求項24に記載の化合物。
【請求項31】
R4は、フルオロ置換シクロブチルまたはフルオロ置換シクロヘキシルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項32】
R4はフルオロ置換フェニルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項33】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は4−フルオロフェニルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項34】
R1、R2、およびR3は、それぞれ個別にHであり、R4は、2−フルオロシクロブチルまたは4−フルオロシクロヘキシルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項35】
下記式IVで表される化合物。
【化4】
式中、
R1は、それぞれ個別にアリールまたはヘテロアリールを表し;
R2は、ハロゲン置換アルキル、ハロゲン置換シクロアルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アラルキル、ハロゲン置換アルケニルであり、前記ハロゲン置換基は、18Fを含むフッ化物であり、または、前記ハロゲン置換基は、123I、124I、125I、もしくは131Iを含むヨウ化物であり;
Xは、全体の負荷が−1のアニオンである、化合物。
【請求項36】
R2の前記ハロゲン置換基はフッ化物であり、前記化合物は、約1キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
R2の前記ハロゲン置換基がフッ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
R2の前記ハロゲン置換基が123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項39】
R2の前記ハロゲン置換基が123Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項40】
R2の前記ハロゲン置換基が124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項41】
R2の前記ハロゲン置換基が124Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項42】
R2の前記ハロゲン置換基が125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項43】
R2の前記ハロゲン置換基が125Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項44】
R2の前記ハロゲン置換基が131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約5キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項45】
R2の前記ハロゲン置換基が131Iを含むヨウ化物であり、前記化合物は、約100キュリー/mmol以上の放射能を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項46】
R1はそれぞれ個別に、任意に置換されたフェニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項47】
R2は、ハロゲン置換シクロアルキルまたはハロゲン置換アリール、請求項35に記載の化合物。
【請求項48】
R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項49】
Xは、ハライド、酢酸塩、または硝酸塩である、請求項35に記載の化合物。
【請求項50】
R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−フルオロフェニルであり、Xは硝酸塩である、請求項35に記載の化合物。
【請求項51】
R1はそれぞれ個別にフェニルであり、R2は4−ヨードフェニルであり、Xは硝酸塩である、請求項35に記載の化合物。
【請求項52】
請求項1、13、24、または35に記載の化合物、および薬学的に許容される添加剤を含む、製剤。
【請求項53】
スキーム1に記載のハロゲン化された化合物を作製するための方法。
【化5】
スキーム中、
Aは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニルであり、または下記式aもしくはbを有する。
【化6】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Xは、スルホン酸塩、ニトロ、酢酸塩、またはハロゲンであり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属であり;
Yは、フッ化物、またはヨウ化物であり;
クラウンエーテルは、酸素原子(oxgen atom)が任意に置換されたジメチレン結合が結合している環状分子であり;
前記方法は、ほぼ無水状態で実施される、方法。
【請求項54】
Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
Yは、18Fを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記方法は、無水状態で実施される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
Aは、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
Aは、下記式aで表される、請求項53に記載の方法。
【化7】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
Aは、下記式bで表される、請求項53に記載の方法。
【化8】
式中、
R2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンであり;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルであり;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5である。
【請求項62】
Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩である、請求項53に記載の方法。
【請求項63】
Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである、請求項53に記載の方法。
【請求項64】
Mは、カリウムである、請求項53に記載の方法。
【請求項65】
クラウンエーテルは、クリプトフィックスである、請求項53に記載の方法。
【請求項66】
Xは、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩であり;Mはカリウムであり;前記クラウンエーテルはクリプトフィックスであり;Yは18Fであり、そしてAは、下記式bで表される、請求項53に記載の方法。
【化9】
式中、
R2はシクロアルキルを表し;
R3はそれぞれ個別に、Hを表し;
R4はそれぞれ個別に、Hを表し;
R5は、Hまたはアリールである。
【請求項67】
スキーム2に記載のハロゲン化された化合物を作製するための方法。
【化10】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、アラルキルを表し;またはR1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し;
Rは、アルケニル、アリール、ヘテロアリールであり、または、下記式aまたはbで表される方法。
【化11】
式中、
R1およびR2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールを表し;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンを表し;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルを表し;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5を表し;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩であり;
Mは、アルカリ金属、または遷移金属、またはテトラアルキルアンモニウム塩であり;
Yは、フッ化物またはヨウ化物であり;
R3は、それぞれ個別に、アルキル、アリール、またはアラルキルを表す。
【請求項68】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約5キュリー/mmol以上である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
Yは、125Iを含むフッ化物であり、MY、A−Yまたはその両方の放射能は、約100キュリー/mmol以上である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記方法は、無水状態で実施される、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
Rはアリールである、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
Rは下記式aで表される、請求項67に記載の方法。
【化12】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
Zは、ハライド、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、またはスルホン酸塩である。
【請求項73】
Aは、下記式bで表される、請求項67に記載の方法。
【化13】
式中、
R2は、それぞれ個別に、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R3は、それぞれ個別に、H、アルキル、またはハロゲンであり;
R4は、それぞれ個別に、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、またはアルコキシルであり;
R5は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、または−CO2R5である。
【請求項74】
R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成する、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
Mは、カリウム、ナトリウム、またはリチウムである、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
Mは、カリウムである、請求項67に記載の方法。
【請求項77】
Mは、ナトリウムであり、Yは125Iであり、R3は、それぞれ個別にメチルを表し、R1およびR2は、一緒にシクロアルキル基を形成し、Rは、下記式aで表される、請求項67に記載の方法。
【化14】
式中、
R4およびR5は、それぞれ個別にアリールを表し、
Zは、ハライドである。
【請求項78】
哺乳動物の一部の陽電子放出画像を得るための方法であって、
哺乳動物に、請求項1、13、24、または35に記載の化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、方法。
【請求項79】
哺乳動物の心臓の血流量を測定する方法であって、
哺乳動物に、請求項1、13、24、または35に記載の化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、方法。
【請求項80】
哺乳動物における膜輸送を測定する方法であって、
哺乳動物に、請求項1、13、24、または35に記載の化合物を投与し、前記哺乳動物の一部の陽電子放出スペクトルを取得するステップを含む、方法。
【請求項81】
前記哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、モルモット、またはウサギである、請求項78、79、または80に記載の方法。
【請求項82】
前記哺乳動物はヒトである、請求項78、79、または80に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−527423(P2007−527423A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500961(P2007−500961)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/005837
【国際公開番号】WO2005/082425
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506286973)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション (27)
【氏名又は名称原語表記】THE GENERAL HOSPITALCORPORATION
【住所又は居所原語表記】55 Fruit Street, Boston, MA02114 (US).
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/005837
【国際公開番号】WO2005/082425
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506286973)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション (27)
【氏名又は名称原語表記】THE GENERAL HOSPITALCORPORATION
【住所又は居所原語表記】55 Fruit Street, Boston, MA02114 (US).
【Fターム(参考)】
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