説明

触媒燃焼を採用する回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム及び方法

触媒燃焼を採用する回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム及びそれに関連する方法であって、燃焼器入口温度は、広い範囲の動作条件、すなわち、全負荷から部分負荷までの条件及び暑い日から寒い日までの条件において、必要とされる最低触媒動作温度を超えたままであるように制御される。そして、燃料は、空気及びタービンからの排気の一部分と共に圧縮機を通って流される。再循環排気の流量は、燃焼器入口温度を制御するように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒燃焼が採用される回収熱交換式ガスタービンエンジンシステムに関する。
(発明の背景)
【0002】
燃焼又は酸化のための触媒プロセスの使用は、ガスタービンエンジンシステムからの窒素酸化物(NOx)排出量のレベルを低減する可能性がある、よく知られている方法である。燃料内の化学エネルギーを転換生成物の熱エネルギーに変換する種々のプロセスが存在する。主要なプロセスは、1)ガス相燃焼、2)触媒燃焼、及び3)触媒酸化である。ガス相燃焼プロセスが後に続く第1ステージの触媒酸化を有するプロセス(触熱(cata−thermal)と呼ばれることが多い)などの、これらのプロセスの組み合わせも存在する。触媒酸化において、空気−燃料混合気は、触媒の存在下で酸化される。全ての触媒プロセスにおいて、触媒によって、酸化が起こる温度が、非触媒燃焼温度に対して減少することが可能になる。より低い酸化温度は、NOx生成物の低減をもたらす。触媒酸化において、全ての反応は、触媒表面上で起こり、局所的に高温にはならず、したがって、NOxが形成される可能性が最も低い。触媒燃焼か、触熱(catathermal)燃焼のいずれかにおいて、反応のある割合は、ガス相で起こり、局所的に温度を増加させ、NOxが形成される可能性が高くなる。触媒酸化を使用すると、最適な触媒酸化条件下で、100万分の1未満のNOxレベルが達成され、このような低レベルは、一般に、従来の非触媒燃焼器、触媒燃焼、又は触熱(cata−thermal)燃焼で達成することができない。本出願では、「触媒燃焼器」という用語は、触媒を利用する任意の燃焼器、好ましくは、触媒酸化を利用する燃焼器を指すのに使用される。
【0003】
触媒燃焼器で採用される触媒は、一定の温度条件下で最もよく動作する傾向がある。特に、所与の触媒がそれより低くては機能しないことになる最低温度が通常存在する。たとえば、パラジウム触媒は、天然ガスが燃料である時、800Kより高い、空気−燃料混合気についての燃焼器入口温度を必要とする。さらに、触媒酸化が有する欠点は、炭化水素燃料の完全な酸化のために供給されなければならない物理的反応表面が、燃焼器入口温度の減少に伴って指数関数的に増加し、それによって、燃焼器のコストが著しく増加し、全体の設計が複雑になることである。比較的高い燃焼器入口温度についての必要性は、一般に触媒燃焼、特に触媒酸化が、ガスタービンエンジンシステムにおいて広範囲に及んで使用されていない主要な理由の1つである。より具体的には、こうした高い燃焼器入口温度は、回収熱交換器サイクルが採用されなければ、約40未満の圧縮機圧力比で動作するガスタービンでは、一般に達成することができない。回収熱交換器サイクルでは、空気−燃料混合気は、タービン排気との熱交換によって、燃焼前に予熱される。そのため、回収熱交換は、少なくともいくつかの条件下で、適切な触媒の動作のために必要とされる燃焼器入口温度を達成するのに役立つことができる。しかしながら、回収熱交換を使用しても、必要とされる最低燃焼器入口温度をやはり達成することができない他の動作条件が存在することが多い。
【0004】
たとえば、回収熱交換が、小型ガスタービンで適用される時、回収熱交換器の材料温度限界が、最高の空気又は空気−燃料混合気温度を制限する可能性がある。例を挙げると、回収熱交換器において従来の高温材料を使用すると、回収熱交換器の最高安全動作温度は、約900Kであり得、したがって、約800〜850Kの空気−燃料混合気温度が、達成することができるほぼ最高温度である。この温度範囲は、あるタイプの触媒の最低触媒動作温度より高く、したがって、触媒燃焼器は、100パーセント負荷及び標準日大気条件などの1つの特定の動作条件で適切に動作し得る。しかしながら、部分負荷及び/又は
低温大気条件などの他の動作条件において、燃焼器入口温度は最低触媒動作温度より低くなり得る。
【0005】
触媒酸化の低NOxの可能性が、小型ガスタービンエンジンシステムで実現することができるように、こうした問題を克服することができることが望ましいであろう。さらに、触媒プロセスに関して達成することができる他の利益が存在する。これらのプロセスは、埋立地ガス、嫌気性消化ガス、天然ガス、及びメタンを含むがそれらに限定されない、気体炭化水素燃料の動作可燃限界を拡張する。そのため、プロセスは、従来の燃焼より著しく薄い(希薄な)燃料/空気比で起こる可能性がある。これは、燃料ガスが圧縮プロセスの前か、又は、その間に空気と混合することを可能にし、それにより、均一な燃料−空気混合気が燃焼器に入る。これは、次に、特に小型ガスタービンについて非常に高価である燃料ガス圧縮機を削除することを可能にする。燃料ガス圧縮機は、600ドル/kW〜900ドル/kWの範囲内に通常あるエンジンコストに60ドル/kW以上のコストを付加する場合がある。さらに、燃料ガス圧縮機は、エンジンが動作するように動作しなければならないため、エンジンの信頼性及び可用性を低下させ、油、フィルタ、機械的又は電気的磨耗などのために維持管理のコストを増やす。
(発明の概要)
【0006】
本発明は、触媒酸化若しくは燃焼又は触熱(cata−thermal)燃焼を採用する、回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム及び関連する方法を提供することによって上記必要性に対処し、更に他の利点を達成し、そのシステム及び方法において、燃焼器入口温度は、必要とされる最低触媒動作温度を超えたままであるように制御され、さらに、広い範囲の動作条件、すなわち、全負荷から部分負荷までの条件及び暑い日から寒い日までの条件において、燃料/空気比の関数としてさらに最適化されることができる。
【0007】
本発明の方法の態様によれば、ガスタービンエンジンを動作させる方法は、圧縮機内で空気を圧縮するステップと、燃料を圧縮機からの圧縮空気と混合し空気−燃料混合気を生成するステップと、触媒燃焼器内で空気−燃料混合気を燃焼させて高温燃焼ガスを生成するステップと、タービン内で燃焼ガスを膨張させて機械的動力を生成し、機械的動力を使用して圧縮機を駆動するステップと、排気との熱交換によって空気−燃料混合気を予熱する回収熱交換器を通して、タービンからの排気を流すステップと、を含む。当該方法は、タービンからの排気の一部分を圧縮機内に誘導する更なるステップを含む。燃料はまた、空気及び排気の一部分と共に、圧縮機を通って流される。排気の再循環は、燃焼器への入口温度を、仮に排気再循環が無い場合に該入口温度がなると思われる温度を超えて、上昇させる。最終的に、燃焼器に入るものは、電力出力に適合し、効率を最大にし、空気汚染を最小にするように最適化され空気、燃料、及び排気の混合気である。
【0008】
空気、燃料、及び排気の混合は、種々の方法で達成することができる。一実施形態では、排気と燃料との混合は、圧縮機の上流で達成され、混合された排気と燃料は、空気とは別に、圧縮機内に誘導される。別法として、燃料と空気との少なくとも一部の混合は、圧縮機の上流で達成することができ、混合された燃料と空気は、排気とは別に、圧縮機内に誘導することができる。さらに別の代替として、空気、燃料、及び排気は、互いに個別に圧縮機内に誘導され、混合は、圧縮機又は圧縮機及び他の部品に関連する通路内で起こる。
【0009】
本発明によれば、圧縮機内に誘導される排気の流量は、エンジンに関連する1つ又は複数のパラメータに応答して制御され、パラメータのうちの少なくとも1つは、燃料/空気比である。たとえば、制御ステップは、その燃料/空気比における触媒燃焼器が適切に動作するのに必要な所定の最低温度より、燃焼器入口温度を高く維持するために、測定された燃焼器入口温度に応答して流量を制御することを含むことができる。こうして、圧縮機
内への排気の流量を、大気温度及び/又は相対的なエンジン負荷の変化を補償するように最適化することができる。
【0010】
圧縮機内に誘導される排気の一部分は、回収熱交換器の下流点において、排気の残りから分離されることができる。この場合、再循環排気は、回収熱交換器を通過することによって、温度が低下する。別法として、圧縮機内に誘導される排気の一部分は、再循環排気が回収熱交換器をバイパスするように、回収熱交換器の上流点において、前記排気の残りから分離されることができる。こうした配置構成では、圧縮機に供給される再循環排気の温度は高くなり、従って、再循環排気の流量は、先に述べた配置構成より低い可能性がある。
【0011】
本発明による触媒燃焼を採用する回収熱交換式ガスタービンエンジンシステムは、空気を受け取り、その空気を圧縮するように構成された圧縮機と、燃料を圧縮機内に供給するように動作可能な燃料システムであって、それによって、圧縮空気と燃料の混合気が圧縮機から放出される燃料システムと、混合気を燃焼させて、高温の燃焼ガスを生成するように動作可能な触媒燃焼器と、燃焼ガスを受け取り、そのガスを膨張させて圧縮機を駆動する機械的動力を生成するように構成されたタービンと、タービンからの排気及び圧縮機から放出される混合気を受け取り、排気と混合気の間で熱交換を引き起こし、それによって、混合気が触媒燃焼器に入る前に予熱されるように構成された回収熱交換器と、タービンからの排気の一部分を圧縮機内に誘導し、それによって、圧縮機から放出される混合気が排気によって温度上昇し、以て、触媒燃焼器への入口温度が上昇するように動作可能な再循環システムとを備える。
【0012】
再循環システムは、圧縮機への排気の流量を可変に調整するように制御可能な弁及び弁に動作可能に接続された制御システムを含み得る。燃料/空気比及び燃焼器入口温度を示すパラメータを測定するように動作可能なセンサが、制御システムに接続され、制御システムは、燃焼器入口温度が、触媒燃焼器が適切に動作するのに必要な所定の最低温度を超えるように、且つ、測定された燃料/空気比についての最適温度に一致するように、弁を制御するように動作することができる。述べたように、弁は、回収熱交換器の上流又は下流に位置することができる。
【0013】
本発明による回収熱交換式エンジンシステムは、小型発電システムを含む種々の用途において有用性を有する。そのため、発電機は、タービンによって駆動されるように構成されることができる。
【0014】
本システムは、一軸タービンエンジンに限定されるのではなく、複数軸エンジン又は一軸エンジンの連動システムに適用されることができる。
【0015】
本システム及び方法の利益は、触媒酸化プロセスについて最も大きくなるが、触媒を採用する全てのプロセスが利益を受け得る。
【0016】
本発明を一般的な観点からこうして述べてきたが、ここで、必ずしも一定比例尺で描かれていない添付図面が参照される。
(発明の詳細な説明)
【0017】
ここで、本発明は、本発明の全てではないがいくつかの実施形態が示される添付図面を参照して、以降でより詳細に述べられるであろう。実際に、これらの発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書で述べる実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでない。これらの実施形態は、必要とされる法的な要件を本開示が満たすように提供される。同じ数字は、全体を通して同じ要素を指す。
【0018】
触媒燃焼を用いた回収熱交換式ガスタービンエンジンによって駆動される従来技術の発電システム10が図1に示される。このシステムは、圧縮機14と、圧縮機14を駆動するために軸18によって連結されるタービン16と、触媒燃焼器20を備えるガスタービンエンジン12を含む。このシステムは、タービン排気用の1つ又は複数の通路26と熱伝達関係を持つように構成された、圧縮機放出流体用の1つ又は複数の通路24を有する熱交換器又は回収熱交換器22を、更に含む。このシステムは、空気と燃料をまとめて混合し、その混合気を圧縮機14内に供給する配置構成28を、更に含む。
【0019】
圧縮された空気−燃料混合気は、回収熱交換器22において予熱され、その後、燃焼が起こる触媒燃焼器20内に供給される。高温の燃焼ガスが、燃焼器からタービン16内に導かれ、タービン16は、高温のガスを膨張させて、機械的動力を生成する。そして、その動力は軸18によって圧縮機16に伝達される。同様に、軸には発電機30が連結され、発電機30は、負荷に供給するための電流を生成するために駆動される。
【0020】
図1に示すようなシステムでは、比較的高いエンジン負荷及び標準日条件において、触媒燃焼器20内に供給される空気−燃料混合気の温度が、触媒反応の適切な動作のために必要とされる触媒最低温度であるか、又は、それを超えるように、エンジン部品を設計することが可能である。最も広く使用されるパラジウム触媒は、少なくとも800Kの燃焼器入口温度を必要とする。しかしながら、低負荷及び/又は低温大気条件において、燃焼器入口温度は、触媒最低温度より低くなる可能性がある。図1に示す従来技術タイプのサイクルについての、相対負荷の関数としての種々の熱力学的変数のモデル計算を示す図4の点線を参照されたい。100%負荷条件において、燃焼器入口温度は、約850Kであるが、約80%負荷においては、800Kの触媒最低温度に低下する。さらに低い負荷では、燃焼器入口温度は、低過ぎて、触媒燃焼器の適切な動作を維持することができない。
【0021】
本発明は、この問題を克服するガスタービンエンジンシステム及び方法を提供する。図2は、本発明の第1の実施形態によるタービンエンジンシステムによって駆動される発電システムを示す。発電機30は、先に述べたように、圧縮機14、タービン16、軸18、及び触媒燃焼器20を有するタービンエンジン12によって駆動される。先に述べたように、空気−燃料混合気を、燃焼器内に導入する前に予熱するために、回収熱交換器22が採用される。
【0022】
しかしながら、燃焼器入口温度は、タービン排気の一部分を圧縮機内に導入することによって調節される。排気は、圧縮機に入る周囲空気より実質的に高い温度を有し、したがって、圧縮機を通過する流体の温度を高めるのに役立ち、それによって、燃焼器入口温度が高められる。
【0023】
そのため、システムは、タービンからの排気の一部分をライン42を通してミキサ44へ分流させるための、回収熱交換器22の下流に配設された作動可能な弁40を含む。ミキサ44はまた、空気、燃料、及び排気のうちの少なくとも2つを受け取り、3つの成分の少なくとも2つを少なくとも部分的に混合する。混合気は、その後、圧縮機14内に供給され、そこで、さらなる混合が起こり得る。混合されない任意の第3の成分は、他の2つと同時に圧縮機内に導入され、圧縮機内で、又は、回収熱交換器に達する前に後続の通路内で混合され得る。
【0024】
弁40は、ライン42を通してミキサ44へ送り出されるタービン排気量を選択的に変えるように動作する。さらに、弁は、燃焼器入口温度を検出するために構成された温度センサ52からの温度信号に応答する制御システム50(PC、PLC、ニューラルネットワークなどであってもよい)によって制御可能である。制御システムはまた、空気流量を
検出するように構成された空気流量センサ54からの空気流量信号、及び、燃料流量を検出するように構成された燃料流量センサ56からの燃料流量信号に応答することができる。排出量、特に未燃焼炭化水素を検出するセンサ58はまた、所望であれば、回収熱交換器の後の排気ダクト内に構成することができ、測定された排出量は、制御システムによって考慮されることができる。別法として、排出量は、理論及びエンジン試験から決定されるモデルを使用して、燃焼器入口温度及び燃料/空気比から計算されてもよい。さらに、回収熱交換器入口温度を測定するセンサ60もまた採用することができる。センサ54、56、58、及び60と制御システム50の間の接続ラインは、図2及び3には示されないが、これらのセンサは制御システムと接続されていることが理解されるであろう。制御システムは、燃焼器入口温度を所望に調節するため、弁40の動作を制御するように適切にプログラムされる。特に、制御システムは、燃焼器入口温度が、常に、燃焼器内での適切な触媒反応のために必要な所定の最低温度に等しいか、又は、それを超えるように、弁40の閉ループ又は開ループ制御用のロジックを含むことが好ましい。有利には、好ましくは同時に排出量を最小にし(又は、排出量を所望の限界未満に維持し)、且つ、効率を最大にしながら、回収熱交換器入口温度が、最高許容可能回収熱交換器入口温度を超えないようにも、制御が実行される。一般に、燃焼器入口温度を所望の最低レベルを超えるように維持するため、負荷が低下するにつれて、圧縮機内に戻されなければならないタービン排気の割合が増加する。
【0025】
排気を空気と燃料と混合する効果は、図4の実線で示される。負荷が低下するにつれて、圧縮機入口温度が増加し、益々大きな割合の排気が圧縮機へ再循環されることを反映している。結果として、燃焼器入口温度は、全ての負荷条件について800Kを超えて維持される。同時に、好ましい実施形態では、回収熱交換器入口温度は、全ての動作条件について、その最高許容可能値を超えないようにされ、エンジンの効率は、再循環される排気流量及び燃料/空気比の同時制御によって最適化される。
【0026】
同じシステム及び方法は、変化する大気温度を補償することができる。そのため、大気温度が減少する時、必要とされる燃焼器入口温度を維持するために、必要である場合には、再循環される排気の割合が増加され得る。変化する負荷と大気温度についての組み合わされた効果は、また本発明のシステム及び方法によって補償することができる。
【0027】
図3は、弁40が回収熱交換器22の下流ではなく、上流に配置されることを除いて、図2の実施形態と全体が同じ、本発明の第2の実施形態を示す。そのため、ライン42は、回収熱交換器をバイパスし、排気は、再循環される前に、回収熱交換器内で冷却されない。再循環される排気の温度がより高いため、再循環されなければならない排気の相対的な割合は、全ての他の要素が同じであるとすると、図2の実施形態より小さい。他の点において、このシステムの動作は、図2のものと同じである。
【0028】
排気が再循環され、空気及び燃料と混合される方法は、本発明のやり方に応じて変わる可能性がある。図5A〜図5Cは、いくつかの可能性を示すが、それらは、網羅的ではなく、他の変形を使用することもできる。これらの例は全て、弁40が回収熱交換器22の下流にあることに基づくが、弁が回収熱交換器の上流にあるシステムにも同様に適用される。図5Aの実施形態では、再循環された排気は、ミキサ44において、燃料と混合され、得られる混合気は、空気とは別に、圧縮機14内に供給される。この配置構成は、燃料が最初に液体の形態(たとえば、プロパン)である時に、高温の排気が、圧縮機内に供給される前に、燃料の少なくとも一部を気化させる点で、有利であり得る。
【0029】
図5Bの配置構成では、空気と燃料は、ミキサ44で混合され、得られる混合気は圧縮機内に供給される。ライン42からの排気は、個別に圧縮機内に供給され、空気及び燃料との混合は、圧縮機内で起こる。
【0030】
さらに別の可能性が、図5Cに示され、空気、燃料、及び排気は、全て個別に圧縮機内に供給され、3つ全ての混合が圧縮機内で起こる。
【0031】
本明細書で述べる本発明の多くの変更形態及び他の実施形態を、当業者が思いつくと思われ、これらの発明は、当業者に関連し、先の説明及び関連する図面において提示された教示の利益を有する。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されないこと、及び、変更形態及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図されることは理解されたい。本明細書において、特定の用語が採用されるが、用語は、一般的で、且つ、記述的な意味でのみ使用され、制限する目的で使用されない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来技術によるタービンエンジンシステムの略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるタービンエンジンシステムの略図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるタービンエンジンシステムの略図である。
【図4】圧縮機入口における排気混合の無い、従来技術のタービンエンジンシステムと、圧縮機入口における排気混合を有する、本発明によるタービンエンジンシステムの両方についての、相対負荷の関数としての、タービン入口温度、燃焼器入口温度、効率、及び圧縮機入口温度のモデル計算を示すグラフである。
【図5A】燃料及び排気が、混合され、且つ空気との混合が完全に圧縮機内で起こるように、空気とは別に圧縮機内に供給される、本発明の別の実施形態を示す図である。
【図5B】燃料及び燃料が、圧縮機内に供給される前に混合され、且つ排気が個別に圧縮機内に供給される、さらなる実施形態を示す図である。
【図5C】空気、燃料、及び排気が、全て個別に圧縮機内に供給され、圧縮機内で混合される、さらに別の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒燃焼を採用する回収熱交換式ガスタービンエンジンシステムであって、
空気を受け取り、該空気を圧縮するように構成された圧縮機と、
燃料を前記圧縮機内に供給するように動作可能な燃料システムであって、それによって、圧縮空気と燃料の混合気が該圧縮機から放出される燃料システムと、
前記混合気を燃焼させて、高温の燃焼ガスを生成するように動作可能な触媒燃焼器と、
前記燃焼ガスを受け取り、該ガスを膨張させて前記圧縮機を駆動する機械的動力を生成するように構成されたタービンと、
前記タービンからの排気及び前記圧縮機から放出される混合気を受け取り、該排気と該混合気の間で熱交換を引き起こし、それによって、該混合気が、前記触媒燃焼器に入る前に予熱されるように構成された回収熱交換器と、
前記タービンからの排気の一部分を前記圧縮機内に誘導することで、該圧縮機から放出される混合気が、前記排気によって温度上昇し、以て前記触媒燃焼器への入口温度が上昇するように動作可能なシステムと、
を備える回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項2】
前記タービンからの排気の一部分を前記圧縮機内に誘導するように動作可能な前記システムは、該圧縮機への排気の流量を可変に調整するように制御可能な弁及び該弁に動作可能に接続された制御システムを含む請求項1に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項3】
前記制御システムは、燃焼器入口温度を示すパラメータを測定するように動作可能なセンサを含み、
前記制御システムは、前記燃焼器入口温度が、前記触媒燃焼器が適切に動作するのに必要な所定の最低温度を超えるように、前記弁を制御するよう動作可能である請求項2に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項4】
前記制御システムは、空気流量を測定するように動作可能なセンサと、燃料流量を測定するように動作可能なセンサと、回収熱交換器入口温度を測定するように動作可能なセンサとを更に備え、
前記制御システムは、空気、燃料、及び排気の流量に基づいて前記燃焼器に入る混合気の燃料/空気比を決定し、前記圧縮機への前記排気の流量を制御して、最高許容可能回収熱交換器温度を超えないように、該燃料/空気比に対して前記燃焼器入口温度を最適化するように動作可能である請求項3に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記エンジンの効率が最大になるように、前記燃料/空気比に対して、前記燃焼器入口温度を制御するように更に動作可能である請求項4に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項6】
前記エンジンからの排出量のレベルを決定する手段を、更に備え、
前記制御システムは、最大許容可能排出量を超えないように、前記燃料/空気比に対して前記燃焼器入口温度を制御するように動作可能である請求項5に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項7】
排出量のレベルを決定する手段は、排出量センサを備える請求項6に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項8】
前記エンジンからの排出量のレベルを決定する手段を、更に備え、
前記制御システムは、排出量が最小になるように、前記燃料/空気比に対して前記燃焼
器入口温度を制御するように動作可能である請求項5に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項9】
前記弁は、前記排気が、前記圧縮機内に誘導される前に、前記回収熱交換器において冷却されるように、該回収熱交換器の下流に配置される請求項2に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項10】
前記弁は、前記排気の一部分が、前記回収熱交換器をバイパスし、その後、前記圧縮機内に誘導されるように、該回収熱交換器の上流に配置される請求項2に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項11】
前記タービンによって駆動されるように構成された発電機を、更に備える請求項1に記載の回収熱交換式ガスタービンエンジンシステム。
【請求項12】
ガスタービンエンジンを動作させる方法であって、
圧縮機内で空気を圧縮するステップと、
燃料を前記圧縮機からの圧縮空気と混合し空気−燃料混合気を生成するステップと、
触媒燃焼器内で前記空気−燃料混合気を燃焼させて、高温燃焼ガスを生成するステップと、
タービン内で前記燃焼ガスを膨張させて機械的動力を生成し、該機械的動力を使用して前記圧縮機を駆動するステップと、
前記排気との熱交換によって混合気を予熱する回収熱交換器を通して、前記タービンからの排気と前記空気−燃料混合気とを流すステップと、
前記タービンからの排気の一部分を前記圧縮機内に誘導し、前記燃焼器への入口温度を上昇させるステップと、を含み、
前記燃料は、前記空気及び前記排気の一部分と共に前記圧縮機を通って流れる
ガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項13】
前記排気と前記燃料との混合は、前記圧縮機の上流で達成される請求項12に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項14】
前記混合された排気と燃料は、前記空気とは別に、前記圧縮機内に誘導される請求項13に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項15】
前記燃料と前記空気との少なくとも一部の混合は、前記圧縮機の上流で達成される請求項12に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項16】
前記混合された燃料と空気は、前記排気とは別に、前記圧縮機内に誘導される請求項15に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項17】
前記空気、燃料、及び排気は、互いに個別に前記圧縮機内に誘導され、それらの混合が、前記圧縮機内で起こる請求項12に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項18】
前記圧縮機内に誘導される排気の流量を制御するステップを、更に含む請求項12に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項19】
前記制御するステップは、前記エンジンに関連するパラメータに応答して前記流量を制御することを含む請求項18に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項20】
前記制御するステップは、測定された燃焼器入口温度に応答して前記流量を制御するこ
とを含む請求項19に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項21】
前記流量は、前記燃焼器入口温度を、前記触媒燃焼器が適切に動作するのに必要な所定の最低温度より常に高く維持するように制御される請求項20に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項22】
前記燃焼器に入る混合気の燃料/空気比を推定し、最高許容可能回収熱交換器温度を常に超えないように、該燃料/空気比に対して前記燃焼器入口温度を最適化するように該燃焼器入口温度を制御するステップを、更に含む請求項21に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項23】
前記燃焼器に入る混合気の燃料/空気比を推定し、最大許容可能排出量を超えないように、該燃料/空気比に対して前記燃焼器入口温度を最適化するように該燃焼器入口温度を制御するステップを、更に含む請求項21に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項24】
前記燃焼器に入る混合気の燃料/空気比を推定し、前記エンジンの効率が最大になるように、該燃料/空気比に対して前記燃焼器入口温度を最適化するように該燃焼器入口温度を制御するステップを、更に含む請求項23に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項25】
前記燃焼器に入る前記混合気の燃料/空気比を推定し、排出量が最小になるように、該燃料/空気比に対して前記燃焼器入口温度を最適化するように該燃焼器入口温度を制御するステップを、更に含む請求項21に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項26】
前記燃焼器に入る混合気の燃料/空気比を推定し、効率が最大になるように、該燃料/空気比に対して前記燃焼器入口温度を最適化するように該燃焼器入口温度を制御するステップを、更に含む請求項25に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項27】
前記制御するステップは、大気温度の変化を補償するように、前記流量を制御することを含む請求項19に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項28】
前記圧縮機内に誘導される前記排気の相対的な部分は、大気温度の低下があると増加される請求項27に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項29】
前記制御するステップは、相対的なエンジン負荷の変化を補償するように、前記流量を制御することを含む請求項19に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項30】
前記圧縮機内に誘導される前記排気の相対的な割合は、相対的なエンジン負荷の低下があると増加される請求項29に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項31】
前記圧縮機内に誘導される前記排気の一部分は、前記回収熱交換器の下流点において、排気の残りから分離される請求項12に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項32】
前記圧縮機内に誘導される排気の一部分は、該一部分が前記回収熱交換器をバイパスするように、該回収熱交換器の上流点において、排気の残りから分離される請求項12に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。
【請求項33】
発電機を前記タービンで駆動するステップを、更に含む請求項12に記載のガスタービンエンジンを動作させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2007−500815(P2007−500815A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521925(P2006−521925)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/023589
【国際公開番号】WO2005/012793
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506002775)メス インターナショナル,インコーポレイテッド (4)