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触媒粒子、触媒液、触媒組成物および触媒成形体
説明

触媒粒子、触媒液、触媒組成物および触媒成形体

【課題】溶媒および/または樹脂に対する分散性に優れる触媒粒子と、触媒粒子が溶媒に分散され、透明性に優れる触媒液と、樹脂の劣化が抑制され、透明性に優れる触媒組成物および触媒成形体とを提供すること。
【解決手段】触媒作用を有する無機粒子と、無機粒子の表面に結合する有機基とを含有し、有機基の立体障害により、無機粒子が互いに接触しない形状を有している触媒粒子を調製し、樹脂に、その触媒粒子を分散して、触媒組成物を調製し、その触媒組成物から触媒成形体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒粒子、触媒液、触媒組成物および触媒成形体、詳しくは、触媒作用を有する触媒粒子、触媒液、触媒組成物および触媒成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、酸化チタンなどの酸化物が、光触媒作用を発現することが知られている。
【0003】
例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウムまたは酸化タングステンなどの酸化物が、その光触媒作用によって、有機物を分解することが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】表面科学Vol.24、No.1、第13〜18頁、2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、触媒の用途または目的によっては、特許文献1で提案される酸化物を樹脂に配合して触媒樹脂組成物を調製した後、かかる触媒樹脂組成物から成形体を形成する場合がある。
【0006】
しかしながら、上記した成形体において、樹脂は、酸化物と接触していることから、酸化物の上記した触媒作用によって、劣化し易いという不具合がある。
【0007】
また、上記した樹脂組成物の調製時には、酸化物が、樹脂中で容易に凝集し、そのため、透明性が低下するという不具合がある。
【0008】
本発明の目的は、溶媒および/または樹脂に対する分散性に優れる触媒粒子と、触媒粒子が溶媒に分散され、透明性に優れる触媒液と、樹脂の劣化が抑制され、透明性に優れる触媒組成物および触媒成形体とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の触媒粒子は、触媒作用を有する無機粒子と、前記無機粒子の表面に結合する有機基とを含有し、前記有機基の立体障害により、前記無機粒子が互いに接触しない形状を有していることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の触媒粒子では、気体および/または液体に対して触媒作用を有することが好適である。
【0011】
また、本発明の触媒粒子では、気体および/または液体に対して光触媒作用を有することが好適である。
【0012】
また、本発明の触媒粒子では、溶媒および/または樹脂中に1次粒子で分散することが好適である。
【0013】
また、本発明の触媒粒子は、互いに異なる複数種類の前記有機基を含有することが好適である。
【0014】
また、本発明の触媒粒子では、前記有機基は、結合基を介して前記無機粒子の表面に結合しており、前記結合基が、リン酸基および/またはリン酸エステル基を含有していることが好適である。
【0015】
また、本発明の触媒粒子では、前記無機粒子が、酸化物を含有することが好適である。
【0016】
また、本発明の触媒粒子では、前記無機粒子が、TiO、WOおよびSrTiOからなる群から選択される少なくとも1種の酸化物を含有することが好適であり、また、Pt、Pd、Cu、CuO、RuOおよびNiOからなる群から選択される少なくとも1種の無機物をさらに含有することが好適である。
【0017】
また、本発明の触媒粒子では、最大長さの平均値が、450nm以下であることが好適である。
【0018】
また、本発明の触媒粒子は、無機物および/またはその錯体を、前記有機基を含む有機化合物により表面処理することにより得られることが好適であり、また、前記無機物および/または前記錯体を、高温高圧の水中下、前記有機化合物で表面処理することが好適であり、あるいは、前記無機物および/または前記錯体を、高温の前記有機化合物中で表面処理することが好適でもある。
【0019】
また、本発明の触媒液は、溶媒と、前記溶媒に分散される上記した触媒粒子とを含むことを特徴としている。
【0020】
また、本発明の触媒組成物は、樹脂と、前記樹脂に分散される上記した触媒粒子とを含むことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の触媒成形体は、上記した触媒組成物から形成されていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の触媒成形体は、光学フィルムであることが好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の触媒粒子は、有機基の立体障害により、無機粒子が互いに接触しない形状を有しているので、溶媒および/または樹脂中に均一に分散される。
【0024】
また、本発明の触媒粒子が溶媒に分散された本発明の触媒液では、触媒粒子が均一に分散されるので、透明性を向上させることができる。
【0025】
さらに、本発明の触媒粒子が樹脂に分散された本発明の触媒組成物、および、それから形成された本発明の触媒成形体では、触媒粒子における有機基の立体障害に基づく上記した形状によって、無機粒子が、樹脂と直接接触しにくくなる。そのため、触媒組成物および触媒成形体における樹脂の劣化を抑制することができながら、気体や液体に対する触媒作用を発現することができる。
【0026】
その結果、本発明の触媒組成物および本発明の触媒成形体は、耐久性に優れながら、解毒作用、消臭作用、除菌(あるいは抗菌または殺菌)作用、防汚作用、分解作用などの各種触媒作用を発現することができる。
【0027】
さらにまた、本発明の触媒組成物および本発明の触媒成形体には、触媒粒子が均一に分散されるので、透明性を向上させることができる。
【0028】
その結果、本発明の触媒成形体を、各種光学用途および各種建材用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施例10における、光の照射開始時、30分経過時、1時間経過時、2時間経過時、3時間経過時および4時間経過時の各時における紫外可視吸収スペクトルを示す。
【図2】図2は、実施例66における、光の照射開始時、5分経過時、10分経過時、15分経過時、30分経過時、1時間経過時および2時間経過時の各時における紫外可視吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の触媒粒子は、触媒作用を有する無機粒子と、無機粒子の表面に結合する有機基とを含有している。
【0031】
無機粒子は、好ましくは、光の吸収により、気体および/または液体(後述)に対して触媒作用を発現する光触媒作用を有する。
【0032】
そのような触媒粒子は、例えば、無機物および/またはその錯体を、有機化合物により表面処理することによって得られる。
【0033】
無機物としては、典型元素、遷移元素などの金属元素からなる金属、例えば、ホウ素、ケイ素などの非金属元素からなる非金属、例えば、金属元素および/または非金属を含む無機化合物などが挙げられる。
【0034】
金属元素または非金属元素としては、例えば、長周期型周期表(IUPAC、1989)で第IIIB属のホウ素(B)−第IVB属のケイ素(Si)−第VB属のヒ素(As)−第VIB属のテルル(Te)−第VIIB属のアスタチン(At)を境界として、これらの元素およびその境界より、長周期型周期表において左側および下側にある元素が挙げられ、具体的には、例えば、Sc、YなどのIIIA属元素、例えば、Ti、Zr、HfなどのIVA属元素、例えば、V、Nb、TaなどのVA属元素、例えば、Cr、Mo、WなどのVIA属元素、例えば、Mn、ReなどのVIIA属元素、例えば、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、PtなどのVIII属元素、例えば、Cu、Ag、AuなどのIB属元素、例えば、Zn、Cd、HgなどのIIB属元素、例えば、B、Al、Ga、In、TlなどのIIIB属元素、例えば、Si、Ge、Sn、PbなどのIVB属元素、例えば、As、Sb、BiなどのVB元素、例えば、Te、PoなどのVIB属元素、例えば、Atなどの第VIIB属元素、例えば、La、Ce、Pr、Ndなどのランタニド系列元素、例えば、Ac、Th、Uなどのアクチニウム系列元素などが挙げられる。
【0035】
無機化合物としては、例えば、水素化合物、水酸化物、窒化物、ハロゲン化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、硫化物、炭化物、リン化合物などが挙げられる。また、無機化合物は複合化合物でもよく、例えば、酸化窒化物、複合酸化物などが挙げられる。
【0036】
上記した無機物のうち、好ましくは、無機化合物が挙げられ、さらに好ましくは、例えば、酸化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、複合酸化物、とりわけ好ましくは、酸化物が挙げられる。
【0037】
酸化物として、例えば、酸化金属が挙げられ、好ましくは、酸化チタン(二酸化チタン、酸化チタン(IV)、チタニア:TiO)、酸化タングステン(三酸化タングステン、酸化タングステン(VI)、WO)、酸化セリウム(二酸化セリウム、酸化セリウム(IV)、セリア:CeO)、酸化ジルコニウム(二酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム(IV)、ジルコニア:ZrO)、酸化タンタル(二酸化タンタル、酸化タンタル(IV)、TaO)などが挙げられる。
【0038】
また、酸化物における原子の配列状態は、特に限定されず、例えば、結晶質および非結晶質(アモルファス)のいずれであってもよい。
【0039】
酸化物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0040】
硫酸塩は、硫酸イオン(SO2−)と、金属元素のカチオンとの化合物(より具体的には、硫酸(HSO)の水素原子が金属と置換した化合物)であって、硫酸塩に含まれる金属元素としては、例えば、IVA属元素、IB元素、好ましくは、Ti、Cuが挙げられる。
【0041】
具体的には、硫酸塩としては、好ましくは、硫酸チタン、硫酸ジルコニウム、硫酸ハフニウム、硫酸銅、硫酸銀などが挙げられ、さらに好ましくは、硫酸チタン、硫酸銅が挙げられる。
【0042】
硫酸塩は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0043】
硝酸塩は、硝酸イオン(NO)と、金属元素のカチオンとの化合物(より具体的には、硝酸(HNO)の水素原子が金属と置換した化合物)であって、硝酸塩に含まれる金属元素としては、例えば、VIII属元素が挙げられ、好ましくは、Pd、Ptが挙げられる。
【0044】
具体的には、硝酸塩としては、好ましくは、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸ルテニウム、硝酸ロジウム、硝酸パラジウム、硝酸オスミウム、硝酸イリジウムなどが挙げられ、さらに好ましくは、硫酸パラジウム、硫酸白金が挙げられる。
【0045】
硝酸塩は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0046】
酢酸塩は、酢酸イオン(CHCOO)と、金属元素のカチオンとの化合物(より具体的には、酢酸におけるカルボキシル基(−COOH)の水素原子が金属と置換した化合物)であって、酢酸塩に含まれる金属元素としては、例えば、VIII属元素、好ましくは、Niが挙げられる。
【0047】
具体的には、酢酸塩としては、好ましくは、酢酸ニッケルが挙げられる。
【0048】
酢酸塩は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0049】
蟻酸塩は、蟻酸イオン(HCOO)と、金属元素のカチオンとの化合物(より具体的には、蟻酸におけるカルボキシル基(−COOH)の水素原子が金属と置換した化合物)であって、蟻酸塩に含まれる金属元素としては、例えば、IB属元素、好ましくは、Cuが挙げられる。
【0050】
具体的には、蟻酸塩としては、好ましくは、蟻酸銅が挙げられる。
【0051】
蟻酸塩は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0052】
複合酸化物は、酸素と複数の元素との化合物であって、複数の元素としては、上記した 酸化物における酸素以外の元素、第I属元素および第II属元素からなる元素から選択される少なくとも2種以上の組合せが挙げられる。
【0053】
第I元素としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属が挙げられる。また、第II属元素としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raなどのアルカリ土類金属が挙げられる。
【0054】
複数の元素の組合せとして、例えば、第II属元素とIVB属元素との組合せ、第II属元素とVIII属元素との組合せ、第II属元素とIVA属元素との組合せ、第II属元素とVA属元素との組合せなど、少なくとも第II属元素を含む組合せ、例えば、第I属元素とIVA属元素との組合せ、第I属元素とIVA属元素とランタニド系列元素との組合せ、第I属元素とVA属元素との組合せなど、少なくとも第I属元素を含む組合せ、例えば、VA属元素とIIB属元素との組合せなどが挙げられる。
【0055】
少なくとも第II属元素を含む複合酸化物としては、例えば、チタン酸アルカリ土類金属塩、ジルコン酸アルカリ土類金属塩、鉄酸アルカリ土類金属塩、スズ酸アルカリ土類金属塩、ニオブ酸アルカリ土類金属塩などが挙げられる。
【0056】
少なくとも第I属元素を含む複合酸化物としては、例えば、チタン酸アルカリ金属塩、ジルコン酸アルカリ金属塩、バナジウム酸アルカリ金属塩、ニオブ酸アルカリ金属塩などが挙げられる。
【0057】
VA属元素とIIB属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、ニオブ酸金属塩などが挙げられる。
【0058】
複合酸化物酸化物として、好ましくは、チタン酸アルカリ土類金属塩、チタン酸アルカリ金属塩、ニオブ酸アルカリ土類金属塩、ニオブ酸アルカリ金属塩、ニオブ酸金属塩が挙げられる。
【0059】
チタン酸アルカリ土類金属塩としては、例えば、チタン酸ベリリウム(BeTiO)、チタン酸マグネシウム(MgTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、四チタン酸バリウム(BaTi)、チタン酸ラジウム(RaTiO)などが挙げられる。
【0060】
チタン酸アルカリ金属塩としては、例えば、六チタン酸ナトリウム(NaTi13)、チタン酸カリウムランタン(KLaTi10)などが挙げられる。
【0061】
ニオブ酸アルカリ土類金属塩としては、例えば、二ニオブ酸ストロンチウム(SrNb)などが挙げられる。
【0062】
ニオブ酸アルカリ金属塩としては、例えば、六ニオブ酸カリウム(KNb17)などが挙げられる。
【0063】
ニオブ酸金属塩としては、例えば、二ニオブ酸亜鉛(ZnNb)などが挙げられる。
【0064】
複合酸化物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0065】
錯体は、中心原子および/または中心イオンと、それに配位する配位子とを含んでいる。
【0066】
中心原子としては、上記した金属元素と同様の金属元素が挙げられ、好ましくは、IVA属元素、VIII属元素、IVB属元素、さらに好ましくは、Ti、Zr、Fe、Ni、Ru、Snなどが挙げられる。
【0067】
中心イオンとしては、上記した金属元素のカチオンが挙げられる。
【0068】
配位子としては、例えば、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アセチルアセトンなどの配位化合物、例えば、上記した配位化合物のカチオン、水酸化物イオンなどの配位イオンなどが挙げられる。
【0069】
カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、フタル酸などのジカルボン酸などが挙げられる。
【0070】
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2−ヒドロキシオクタン酸、乳酸、グリコール酸などのモノヒドロキシモノカルボン酸(具体的には、α−モノヒドロキシカルボン酸)、例えば、リンゴ酸などのモノヒドロキシジカルボン酸、例えば、クエン酸などのモノヒドロキシトリカルボン酸などが挙げられる。
【0071】
配位数は、例えば、1〜6、好ましくは、1〜3である。
【0072】
錯体は、上記した金属元素および配位子から調製して、得ることができる。
【0073】
上記した無機物(具体的には、酸化物、複合酸化物)および錯体は、塩および/または水和物として形成(調製)することもできる。塩としては、アンモニウムイオンなどのカチオンとの塩が挙げられる。
【0074】
また、上記した無機物および錯体は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0075】
無機物および/または錯体が併用される場合には、そのような組合せとして、例えば、複数種類の無機物の組合せ(第1の組合せ)、例えば、無機物と錯体との組合せ(第2の組合せ)が挙げられる。
【0076】
第1の組合せとしては、例えば、複数種類の無機物の組合せが挙げられ、具体的には、例えば、酸化物(第1の無機物)と、金属、硫酸塩、硝酸塩および蟻酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の無機物(第2の無機物)との組合せが挙げられる。
【0077】
より具体的には、第1の組合せとして、例えば、酸化金属と金属(VIII属元素)との組合せ、酸化金属と硫酸塩との組合せ、酸化金属と蟻酸塩との組合せが挙げられる。詳しくは、第1の組合せとして、例えば、酸化タングステンとパラジウムとの組合せ、酸化タングステンと白金との組合せ、酸化タングステンと硫酸銅との組合せ、酸化タングステンと蟻酸銅との組合せが挙げられる。
【0078】
第2の組合せとしては、例えば、配位子がヒドロキシカルボン酸である錯体と、金属との組合せ、例えば、配位子がヒドロキシカルボン酸である錯体と、水酸化物と、酢酸塩との組合せ、例えば、配位子がヒドロキシカルボン酸である錯体と、水酸化物と、配位子がアセチルアセトンである錯体との組合せが挙げられる。
【0079】
詳しくは、第2の組合せとして、例えば、中心原子がチタンであり、配位子が2−ヒドロキシオクタン酸であるチタン錯体と、白金との組合せ、例えば、中心原子がチタンであり、配位子が2−ヒドロキシオクタン酸であるチタン錯体と、水酸化ストロンチウムと、酢酸ニッケルとの組合せ、例えば、中心原子がチタンであり、配位子が2−ヒドロキシオクタン酸であるチタン錯体と、水酸化ストロンチウムと、中心原子がルテニウムであり、配位子がアセチルアセトンであるルテニウム錯体との組合せが挙げられる。
【0080】
有機化合物は、例えば、無機粒子の表面に有機基を導入する(配置させる)有機基導入化合物であって、具体的には、無機粒子の表面と結合可能な結合基と、有機基とを含んでいる。つまり、有機基は、結合基を介して無機粒子の表面と結合している。
【0081】
結合基としては、無機粒子の種類に応じて適宜選択され、例えば、リン酸基(−PO(OH)、ホスホノ基)、リン酸エステル基(ホスホン酸エステル基)、カルボキシル基、カルボン酸エステル基(カルボキシエステル基)、アミノ基、スルホ基、ヒドロキシル基、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、ニトロ基、アゾ基、シリルオキシ基、イミノ基、アルデヒド基(アシル基)、ニトリル基、ビニル基(重合性基)などの官能基が挙げられる。好ましくは、リン酸基、リン酸エステル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基、ヒドロキシル基、チオール基、エポキシ基、アゾ基、ビニル基などが挙げられ、さらに好ましくは、リン酸基、リン酸エステル基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基が挙げられる。
【0082】
リン酸エステル基は、例えば、リン酸(具体的には、オルトリン酸)のアルキルエステル基、つまり、アルコキシホスホニルであって、下記式(1)で示される。
【0083】
−PO(OR)2−n (1)
(式中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基、nは、1または2の整数を示す。)
上記式(1)において、Rで示されるアルキル基として、好ましくは、メチル、エチルである。
【0084】
nは、好ましくは、2である。
【0085】
リン酸エステル基としては、例えば、リン酸ジメチルエステル(ジメトキシホスホニル:−PO(OCH)、リン酸ジエチルエステル(ジエトキシホスホニル:−PO(OC)、リン酸ジプロピルエステル(ジプロポキシホスホニル:−PO(OC)などのリン酸ジアルキルエステル、例えば、リン酸モノメチルエステル(モノメトキシホスホニル:−PO(OCH)H、リン酸モノエチルエステル(モノエトキシホスホニル:−PO(OCH)H)、リン酸モノプロピルエステル(モノプロポキシホスホニル:−PO(OCH)H)などのリン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。好ましくは、リン酸ジアルキルエステルが挙げられる。
【0086】
結合基は、上記した無機粒子に応じて適宜選択され、具体的には、無機粒子が酸化チタンを含んでいる場合には、例えば、リン酸基および/またはリン酸エステル基が選択され、無機粒子がタングステン酸(後述)を含んでいる場合には、例えば、アミノ基が選択され、無機粒子が、チタン酸ストロンチウムを含んでいる場合には、例えば、カルボン酸、リン酸基および/またはリン酸エステル基が選択される。
【0087】
これら結合基は、有機化合物に1つあるいは複数含まれる。具体的には、結合基は、有機基の末端または側鎖に結合されている。
【0088】
有機基は、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香脂肪族基、芳香族基などの炭化水素基などを含んでいる。
【0089】
脂肪族基としては、例えば、飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基などが挙げられる。
【0090】
飽和脂肪族基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基などが挙げられる。
【0091】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルへキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルなどの、炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキル基(パラフィン炭化水素基)などが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜12の直鎖または分岐アルキル基が挙げられる。
【0092】
不飽和脂肪族基としては、例えば、炭素数2〜20のアルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。
【0093】
アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル(オレイル)、イコセニルなどの炭素数2〜20のアルケニル基(オレフィン炭化水素基)が挙げられる。
【0094】
アルキニル基としては、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニルなどの炭素数2〜20のアルキニル基(アセチレン炭化水素基)が挙げられる。
【0095】
脂環族基としては、例えば、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数7〜20のシクロアルケニルアルキレン基などが挙げられる。
【0096】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルなどが挙げられる。
【0097】
シクロアルケニルアルキレン基としては、例えば、ノルボルネンデシル(ノルボネリルデシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル−デシル)などが挙げられる。
【0098】
芳香脂肪族基としては、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、フェニルヘプチル、ジフェニルメチルなどの炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
【0099】
芳香族基としては、例えば、フェニル、キシリル、ナフチル、ビフェニルなどの炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
【0100】
上記した有機基は、無機粒子の表面に疎水性を付与するための疎水基とされる。
【0101】
従って、上記した疎水基を含む有機化合物は、無機粒子を疎水処理するための疎水化有機化合物として供される。
【0102】
そのような疎水化有機化合物としては、結合基がリン酸基である場合には、具体的には、例えば、メチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、デシルホスホン酸などの飽和脂肪族基含有ホスホン酸(飽和ホスホン酸)などの脂肪族基含有ホスホン酸などが挙げられる。また、疎水化有機化合物としては、例えば、シクロヘキサンホスホン酸などの脂環族基含有ホスホン酸(脂環族ホスホン酸)、例えば、6−フェニルヘキシルホスホン酸などの芳香脂肪族基含有ホスホン酸(芳香脂肪族ホスホン酸)、例えば、フェニルホスホン酸、トルエンホスホン酸などの芳香族基含有ホスホン酸(芳香族ホスホン酸)などが挙げられる。
【0103】
また、疎水化有機化合物として、結合基がリン酸エステル基である場合には、具体的には、例えば、ヘキシルホスホン酸ジエチルエステル、オクチルホスホン酸ジエチルエステル、デシルホスホン酸ジエチルエステルなどの飽和脂肪族基含有ホスホン酸エステル(飽和ホスホン酸ジアルキルエステル)などの脂肪族基含有ホスホン酸エステルなどが挙げられる。また、疎水化有機化合物としては、例えば、シクロヘキサンホスホン酸ジエチルエステルなどの脂環族基含有ホスホン酸アルキルエステル(脂環族ホスホン酸ジアルキルエステル)、例えば、6−フェニルヘキシルホスホン酸ジエチルエステルなどの芳香脂肪族基含有ホスホン酸エステル(芳香脂肪族ホスホン酸ジアルキルエステル)、例えば、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、トルエンホスホン酸ジエチルエステルなどの芳香族基含有ホスホン酸アルキルエステル(芳香族ホスホン酸ジアルキルエステル)などが挙げられる。
【0104】
また、疎水化有機化合物として、結合基がカルボキシル基である場合には、具体的には、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸などの脂肪族基含有カルボン酸(脂肪酸)、例えば、6−フェニルヘキサン酸などの芳香脂肪族基含有カルボン酸などが挙げられる。
【0105】
また、疎水化有機化合物として、結合基がアミノ基である場合には、具体的には、例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミンなどの脂肪族基含有アミンなどが挙げられる。
【0106】
一方、有機化合物を、無機粒子を親水処理するための親水化有機化合物として供することもでき、その場合には、親水化有機化合物における有機基は、上記した炭化水素基と、それに結合する親水基とを有している。
【0107】
つまり、親水基は、親水化有機化合物において、上記した炭化水素基の末端(結合基に結合される末端(一端)と逆側の末端(他端))または側鎖に結合されている。
【0108】
親水基は、極性を有する官能基(つまり、極性基)であって、例えば、リン酸基、リン酸エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルデヒド基、チオール基などが挙げられる。
【0109】
親水基として、好ましくは、リン酸基、リン酸エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基(カルボキシエステル基)、アミノ基、スルホ基が挙げられる。さらに好ましくは、リン酸基、リン酸エステル基が挙げられる。
【0110】
これら親水基は、親水化有機化合物に1つあるいは複数含まれる。親水基が親水化有機化合物に複数含まれる場合には、例えば、アミノ基およびスルホ基の併用が挙げられる。
【0111】
リン酸基を含む有機基(リン酸基含有有機基)としては、例えば、3−ホスホノプロピル、6−ホスホノヘキシル、10−ホスホノデシルなどのホスホノ飽和脂肪族基(ホスホノ脂肪族基)、例えば、6−ホスホノフェニルヘキシルなどのホスホノ芳香脂肪族基などが挙げられる。
【0112】
リン酸エステル基を含む有機基(リン酸エステル基含有有機基)としては、例えば、3−(ジエトキシ−ホスホニル)プロピル、6−(ジエトキシ−ホスホニル)ヘキシル、10−(ジエトキシ−ホスホニル)デシルなどのアルコキシホスホニル飽和脂肪族基(アルコキシホスホニル脂肪族基)、例えば、6−(ジエトキシ−ホスホニル)フェニルヘキシルなどのアルコキシホスホニル芳香脂肪族基などの、アルコキシホスホニル炭化水素基が挙げられる。
【0113】
ヒドロキシル基を含む有機基(ヒドロキシ基含有有機基)としては、例えば、10−ヒドロキシデシルなどのヒドロキシ脂肪族基などが挙げられる。
【0114】
カルボキシル基を含む有機基(カルボキシル基含有有機基)としては、例えば、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、7−カルボキシヘプチル、8−カルボキシオクチル、9−カルボキシノニル、10−カルボキシデシルなどのカルボキシ飽和脂肪族基(カルボキシ脂肪族基)などが挙げられる。
【0115】
カルボン酸エステル基を含む有機基(カルボキシエステル基含有有機基)としては、例えば、2−(メトキシ−カルボニル)エチル、3−(メトキシ−カルボニル)プロピル、4−(メトキシ−カルボニル)ブチル、5−(メトキシ−カルボニル)ペンチル、6−(メトキシ−カルボニル)ヘキシル、7−(メトキシ−カルボニル)ヘプチル、8−(メトキシ−カルボニル)オクチル、9−(メトキシ−カルボニル)ノニル、10−(メトキシ−カルボニル)デシルなどの、カルボキシエステル脂肪族基が挙げられる。
【0116】
アミノ基およびスルホ基を含む有機基(アミノ基/スルホ基併有有機基)としては、2−アミノ−3−スルホプロピルなどのアミノ/スルホ脂肪族基が挙げられる。
【0117】
具体的には、親水基を含む有機化合物としては、例えば、リン酸基含有有機化合物、リン酸エステル基含有有機化合物、ヒドロキシル基含有有機化合物、カルボキシルエステル基含有有機化合物、アミノ基含有有機化合物、スルホ基含有有機化合物、カルボニル基含有有機化合物、シアノ基含有有機化合物、ニトロ基含有有機化合物、アルデヒド基含有有機化合物、チオール基含有有機化合物などが挙げられる。
【0118】
好ましくは、リン酸基含有有機化合物、リン酸エステル基含有有機化合物、ヒドロキシル基含有有機化合物、カルボキシエステル基含有有機化合物が挙げられる。
【0119】
リン酸基含有有機化合物としては、結合基がリン酸基であり、極性基がカルボキシル基である場合(より具体的には、酸化チタンを含む無機粒子にリン酸基が結合する場合)には、例えば、モノホスホノカルボン酸が挙げられ、具体的には、3−ホスホノプロピオン酸、6−ホスホノヘキサン酸、10−ホスホノデカン酸、6−ホスホノフェニルヘキサン酸などが挙げられる。
【0120】
リン酸エステル基含有有機化合物としては、結合基がリン酸エステル基であり、極性基カルボキシエステル基である場合(より具体的には、酸化チタンを含む無機粒子にリン酸エステル基が結合する場合)には、例えば、3−(ジエトキシ−ホスホニル)プロピオン酸エチルエステル、6−(ジエトキシ−ホスホニル)ヘキサン酸エチルエステル、10−(ジエトキシ−ホスホニル)デカン酸エチルエステルなどが挙げられる。上記したリン酸エステル基含有有機化合物は、カルボキシエステル基含有有機化合物でもある。
【0121】
また、リン酸エステル基含有有機化合物としては、結合基がリン酸エステル基であり、極性基がヒドロキシル基である場合(より具体的には、酸化チタンを含む無機粒子にリン酸エステル基が結合する場合)には、例えば、10−(ジエトキシ−ホスホニル)デカノールなどのリン酸エステル基/ヒドロキシル基併有化合物などが挙げられる。なお、リン酸エステル基/ヒドロキシル基併有化合物は、ヒドロキシル基含有化合物でもある。
【0122】
また、上記した有機基は、互いに同一または相異なっていてもよい。
【0123】
有機基が相異なる場合、つまり、有機基が、種類が異なる複数の有機基を含む場合には、複数の同族の有機基および/または複数の互いに異なる族の有機基を含んでいる。
【0124】
同族の有機基としては、例えば、複数の脂肪族基同士の組合せ、複数のホスホノ脂肪族基同士の組合せ、複数のアルコキシホスホニル脂肪族基同士の組合せ、複数のカルボキシ脂肪族基同士の組合せ、複数のカルボキシエステル脂肪族基同士などが挙げられる。
【0125】
複数の脂肪族基同士の組合せとしては、例えば、炭素数10未満の飽和脂肪族基および炭素数10以上の飽和脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、オクチルおよびデシルの組合せ、メチルおよびデシルの組合せが挙げられる。また、複数の脂肪族基同士の組合せとして、例えば、炭素数7未満の飽和脂肪族基および炭素数7以上の飽和脂肪族基の組合せも挙げられ、具体的には、メチルおよびオクチルの組合せ、ヘキシルおよびデシルの組合せ、ヘキシルおよびオクチルの組合せが挙げられる。また、炭素数5未満の飽和脂肪族基および炭素数5以上の飽和脂肪族基の組合せも挙げられ、具体的には、メチルおよびヘキシルの組合せが挙げられる。
【0126】
複数のホスホノ脂肪族基同士の組合せとしては、例えば、炭素数5未満のホスホノ脂肪族基および炭素数5以上のホスホノ脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、3−ホスホノプロピルおよび6−ホスホノヘキシルの組合せが挙げられる。
【0127】
複数のアルコキシホスホニル脂肪族基同士の組合せとしては、例えば、炭素数10未満のアルコキシホスホニル脂肪族基および炭素数10以上のアルコキシホスホニル脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、3−(ジエトキシ−ホスホニル)プロピルおよび6−(ジエトキシ−ホスホニル)ヘキシルの組合せ、3−(ジエトキシ−ホスホニル)プロピルおよび10−(ジエトキシ−ホスホニル)デシルの組合せが挙げられる。
【0128】
複数のカルボキシ脂肪族基同士の組合せとしては、例えば、炭素数5未満のカルボキシ脂肪族基および炭素数5以上のカルボキシ脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、2−カルボキシエチルおよび5−カルボキシプロピルの組合せが挙げられる。
【0129】
複数のカルボキシエステル脂肪族基同士の組合せとしては、例えば、炭素数7未満のカルボキシエステル脂肪族基および炭素数7以上のカルボキシエステル脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、2−(メトキシ−カルボニル)エチルおよび5−(メトキシ−カルボニル)ヘプチルの組合せ、2−(メトキシ−カルボニル)エチルおよび9−(メトキシ−カルボニル)ノニルの組合せが挙げられる。
【0130】
有機基が複数の同族の有機基を含んでいれば、有機基が、サイズ(長さまたは/および大きさ。つまり、炭素数。)が異なる複数の有機基を含んでいる。そのため、隣接する大きいサイズの有機基の間には、小さいサイズの有機基に対応して形成される空隙(ポケット)に樹脂の分子が入り込み、大きいサイズの有機基と樹脂分子との相互作用を向上させることができる。その結果、触媒粒子の分散性を向上させることができる。
【0131】
異なる族の有機基としては、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香脂肪族基、芳香族基、ホスホノ脂肪族基、ホスホノ芳香脂肪族基、アルコキシホスホニル脂肪族基、アルコキシホスホニル芳香脂肪族基、ヒドロキシ脂肪族基、カルボキシ脂肪族基、カルボキシ芳香脂肪族基、カルボキシ芳香族基、カルボキシエステル脂肪族基、アミノ/スルホ脂肪族基からなる群から選択される少なくとも2つの異なる族の組合せが挙げられる。
【0132】
異なる族の有機基として、好ましくは、脂肪族基および芳香脂肪族基の組合せ、脂肪族基およびカルボキシ脂肪族基の組合せ、脂肪族基およびカルボキシエステル脂肪族基の組合せ、カルボキシ脂肪族基およびカルボキシエステル脂肪族基の組合せが挙げられる。
【0133】
脂肪族基および芳香脂肪族基の組合せとしては、例えば、炭素数6〜12の飽和脂肪族基および炭素数7〜15の芳香脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、オクチルおよびフェニルヘキシルの組合せが挙げられる。
【0134】
脂肪族基およびカルボキシ脂肪族基の組合せとしては、例えば、炭素数6未満の脂肪族基および炭素数6未満のカルボキシ脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、メチルおよび2−カルボキシエチルの組合せ、メチルおよび5−カルボキシペンチルの組合せが挙げられる。また、炭素数6以上の脂肪族基および炭素数6未満のカルボキシ脂肪族基の組合せも挙げられ、具体的には、オクチルおよび2−カルボキシエチルの組合せ、オクチルおよび5−カルボキシペンチルの組合せが挙げられる。
【0135】
脂肪族基およびカルボキシエステル脂肪族基の組合せとして、例えば、炭素数6未満の脂肪族基および炭素数6未満のカルボキシエステル脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、メチルおよび2−(メトキシ−カルボニル)エチルの組合せが挙げられる。
【0136】
また、脂肪族基およびカルボキシエステル脂肪族基の組合せとして、例えば、炭素数6未満の脂肪族基および炭素数6以上のカルボキシエステル脂肪族基の組合せも挙げられ、具体的には、メチルおよび9−(メトキシ−カルボニル)ノニルの組合せが挙げられる。
【0137】
さらに、脂肪族基およびカルボキシエステル脂肪族基の組合せとして、例えば、炭素数7以上の脂肪族基および炭素数7以上のカルボキシエステル脂肪族基の組合せも挙げられ、具体的には、オクチルおよび9−(メトキシ−カルボニル)ノニルの組合せ、デシルおよび9−(メトキシ−カルボニル)ノニルの組合せが挙げられる。
【0138】
脂肪族基およびカルボキシエステル脂肪族基の組合せとして、例えば、炭素数6以上の脂肪族基および炭素数6未満のカルボキシエステル脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、デシルおよび2−(メトキシ−カルボニル)エチルの組合せが挙げられる。
【0139】
カルボキシ脂肪族基およびカルボキシエステル脂肪族基の組合せとしては、例えば、炭素数5未満のカルボキシ脂肪族基および炭素数6以上のカルボキシエステル脂肪族基の組合せが挙げられ、具体的には、2−カルボキシエチルおよび9−(メトキシ−カルボニル)ノニルの組合せが挙げられる。
【0140】
有機基が複数の異なる族の有機基を含んでいれば、樹脂が複数の樹脂成分の混合物として調製される場合に、有機基は、各族の有機基と相溶性が優れた各樹脂成分の樹脂分子に対して、優れた相溶性をそれぞれ発現することができる。そのため、有機基と樹脂成分の樹脂分子との相互作用を向上させることができる。その結果、触媒粒子の分散性を向上させることができる。
【0141】
上記した有機基は、触媒粒子における無機粒子の表面に存在する。具体的には、有機基は、無機粒子の表面から結合基を介して無機粒子の外側に向かって延びている。
【0142】
上記した触媒粒子は、無機物および/または錯体と、有機化合物とを、反応処理、好ましくは、高温処理することによって製造される。
【0143】
高温処理は、溶媒中で実施される。溶媒としては、例えば、水、例えば、上記した有機化合物が挙げられる。
【0144】
具体的には、無機物および/または錯体を、高温高圧の水中下、有機化合物により表面処理する(水熱合成:水熱反応)か、または、無機物および/または錯体を、高温の有機化合物中で表面処理することにより、触媒粒子を得る。つまり、無機物および/または錯体(により形成される無機粒子)の表面を、上記した有機基を含む有機化合物で表面処理することにより、触媒粒子を得る。
【0145】
水熱合成では、例えば、上記した無機物と、有機化合物とを、高温および高圧下において、水の存在下で、反応させる(第1の水熱合成)。
【0146】
第1の水熱合成に供せられる無機物として、好ましくは、酸化物、硫酸塩、硝酸塩、蟻酸塩、水酸化物、金属が挙げられる。
【0147】
第1の水熱合成に供せられる無機物は、単独使用または併用することができる。無機物が併用される場合には、上記した第1の組合せが採用される。
【0148】
第1の水熱合成を実施するには、まず、無機物、有機化合物および水を耐圧性の密閉容器に投入し、それらを加熱することにより、反応系を高温および高圧下に調製する。
【0149】
各成分の配合割合は、無機物100質量部に対して、有機化合物が、例えば、1〜1500質量部、好ましくは、5〜500質量部、さらに好ましくは、5〜250質量部であり、水が、例えば、50〜8000質量部、好ましくは、80〜6600質量部、さらに好ましくは、100〜4500質量部である。
【0150】
なお、有機化合物の密度が、通常、0.8〜1.1g/mLであることから、有機化合物の配合割合は、無機物100gに対して、例えば、1〜1500mL、好ましくは、5〜500mL、さらに好ましくは、5〜250mLである。
【0151】
また、有機化合物の配合数は、無機物1モルに対して、例えば、0.01〜1000モル、好ましくは、0.02〜50モル、さらに好ましくは、0.1〜10モルに設定することもできる。
【0152】
有機化合物は、種類が異なる複数(例えば、2つ)の有機基を含んでいる場合、具体的には、一方の有機基を含む有機化合物と、他方の有機基を含む有機化合物とのモル比は、例えば、10:90〜99.9:0.1、好ましくは、20:80〜99:1である。
【0153】
また、水の密度が、通常、1g/mL程度であることから、水の配合割合は、無機物100gに対して、例えば、50〜8000mL、好ましくは、80〜6600mL、さらに好ましくは、100〜4500mLである。
【0154】
無機物が併用される場合、具体的には、上記した第1の組合せが採用される場合には、第1の無機物が第2の無機物に比べて多量に配合され、具体的には、第1の無機物100質量部に対する第2の無機物の配合割合は、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下、さらに好ましくは、5質量部以下であり、通常、0.01質量部以上である。換言すると、第1の無機物1モルに対する第2の無機物の配合割合は、例えば、0.2モル以下、好ましくは、0.1モル以下、さらに好ましくは、0.05モル以下であり、通常、0.0001モル以上である。
【0155】
水熱反応における反応条件は、具体的には、加熱温度が、例えば、100〜600℃、好ましくは、200〜500℃である。また、圧力が、例えば、0.2〜50MPa、好ましくは、1〜50MPa、さらに好ましくは、10〜50MPaである。また、反応時間が、例えば、1〜2000分間、好ましくは、2〜1000分間、さらに好ましくは、3〜500分間である。一方、連続式の反応装置を用いた場合の反応時間は、例えば、1分以下である。
【0156】
上記の反応において、得られる反応物は、主に水中に沈殿する沈殿物と、密閉容器の内壁に付着する付着物とを含んでいる。
【0157】
沈殿物は、例えば、反応物を、重力または遠心力場によって、沈降させる沈降分離によって得る。好ましくは、遠心力場によって沈降させる遠心沈降(遠心分離)によって、反応物の沈殿物として得られる。
【0158】
また、付着物は、例えば、へら(スパ−テル)などによって、回収する。
【0159】
なお、反応物は、溶媒を加えて未反応の有機化合物を洗浄し(つまり、有機化合物を溶媒に溶解させ)、その後、溶媒を除去して、回収(分離)することもできる。
【0160】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール(ヒドロキシル基含有脂肪族炭化水素)、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン(カルボニル基含有脂肪族炭化水素)、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、例えば、アンモニア水などのpH調整水溶液などが挙げられる。好ましくは、アルコールが挙げられる。
【0161】
洗浄後における反応物は、例えば、濾過、デカンテーションなどによって、溶媒(上澄み液)から分離して、回収する。その後、必要に応じて、反応物を、例えば、加熱または気流などにより乾燥する。
【0162】
これにより、無機粒子と、その表面する結合する有機基とを有する触媒粒子を得る。
【0163】
一方、上記した第1の水熱合成と異なり、無機物および/または錯体(仕込み原料)と、有機化合物とを水熱合成させることにより、仕込み原料と異なる無機物および/または錯体から形成される無機粒子を含む触媒粒子を得ることもできる(第2の水熱合成)。
【0164】
第2の水熱合成に供せられる無機物としては、例えば、水酸化物、硫酸塩、酢酸塩、金属、および、それらの水和物などが挙げられる。
【0165】
水酸化物において、水酸化物に含まれる元素(ヒドロキシルイオン(OH)と化合するカチオンを構成する元素。)としては、上記した酸化物における酸素と化合する元素と同様のものが挙げられる。
【0166】
水酸化物としては、具体的には、例えば、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))などが挙げられる。
【0167】
第2の水熱合成に供せられる錯体として、例えば、チタン錯体などが挙げられる。
【0168】
第2の水熱合成に供せられる水和物として、例えば、タングステン酸(WO・HO)、タングステン酸アンモニウム5水和物((NHWO・5HO)などが挙げられる。なお、上記した水和物は、第2の水熱合成によって、水和水が脱離することにより、酸化タングステンを生成する。
【0169】
そのような無機物および錯体(原料)は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0170】
第2の水熱合成に供せられる原料が併用される場合には、上記した第1の組合せ、第2の組合せが採用される。
【0171】
第1の組合せが採用され、第2の無機物が金属である場合には、第2の無機物は、反応(第2の水熱合成)の前後において化学組成に変更を生じない。
【0172】
第1の組合せとして、第2の水熱合成に供せられる第2の無機物は、具体的には、パラジウム、白金などが挙げられ、これらは、反応(第2の水熱合成)の前後において、化学組成に変更を生じない。
【0173】
そして、第2の水熱合成後には、第2の無機物を形成する金属またはその酸化物は、第1の無機物に担持されている。
【0174】
担持されるとは、金属または酸化物が、第1の無機物の内部および/または表面に実質的に均一に存在する状態であると定義される。
【0175】
具体的には、硫酸塩(銅)を形成する金属(銅)は、第2の水熱合成後に、酸化物(酸化タングステン)に担持されている。また、VIII属元素(パラジウムおよび白金)は、第2の水熱合成後に、酸化物(酸化タングステン)に担持されている。さらに、蟻酸塩(蟻酸銅)を形成する金属(銅)は、第2の水熱合成後に、酸化タングステンに担持されている。
【0176】
第2の水熱合成における各成分の配合割合は、無機物および錯体100質量部に対して、有機化合物が、例えば、1〜1500質量部、好ましくは、5〜500質量部、さらに好ましくは、5〜250質量部であり、水が、例えば、50〜8000質量部、好ましくは、80〜6600質量部、さらに好ましくは、80〜4500質量部である。
【0177】
また、有機化合物の配合割合は、無機物および錯体100gに対して、例えば、0.9〜1880mL、好ましくは、4.5〜630mL、さらに好ましくは、4.5〜320mLであり、有機化合物の配合モル数は、無機物および錯体1モルに対して、例えば、0.01〜10000モル、好ましくは、0.1〜10モルに設定することもできる。
【0178】
また、水の配合割合は、無機物および錯体100gに対して、例えば、50〜8000mL、好ましくは、80〜6600mL、さらに好ましくは、100〜4500mLである。
【0179】
無機物および錯体が併用される場合において、上記した第2の組合せが採用され、より具体的には、錯体と無機物との組合せが採用される場合には、錯体100質量部に対する無機物の配合割合は、例えば、10質量部以下、好ましくは、8質量部以下、さらに好ましくは、5質量部以下であり、通常、0.001質量部以上である。換言すると、錯体1モルに対する無機物の配合割合は、例えば、0.1モル以下、好ましくは、0.08モル以下、さらに好ましくは、0.05モル以下であり、通常、0.00001モル以上である。
【0180】
また、錯体が複数用いられる場合、具体的には、チタン錯体とルテニウム錯体との組合せが採用される場合には、チタン錯体100質量部に対するルテニウム錯体の配合割合は、例えば、50質量部以下、好ましくは、25質量部以下であり、通常、0.1質量部以上である。換言すると、チタン錯体1モルに対するルテニウム錯体の配合割合は、例えば、0.5モル以下、好ましくは、0.25モル以下であり、通常、0.0001モル以上である。
【0181】
第2の水熱合成における反応条件は、上記した第1の水熱合成における反応条件と同一である。
【0182】
第2の組合せとして、チタン錯体と白金との組合せが採用される場合には、チタン錯体は、反応(第2の水熱合成)によって、酸化チタンを生成する一方、白金は、反応の前後によって、化学組成に変更を生じない。また、第2の組合せとして、チタン錯体と水酸化ストロンチウムと酢酸ニッケルとの組合せが採用される場合には、チタン錯体および水酸化ストロンチウムは、反応(第2の水熱合成)によって、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)を生成し、酢酸ニッケルは、酸化ニッケル(NiO)を生成する。さらに、第2の組合せとして、チタン錯体と水酸化ストロンチウムとルテニウム錯体との組合せが採用される場合には、チタン錯体および水酸化ストロンチウムは、反応(第2の水熱合成)によって、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)を生成し、ルテニウム錯体は、酸化ルテニウム(RuO)を生成する。
【0183】
これにより、仕込み無機原料と異なる無機物および錯体から形成される無機粒子と、その表面に結合する有機基とを有する触媒粒子を得る。
【0184】
また、上記した第1の水熱合成および第2の水熱合成の処方では、各成分に、さらに、pH調整剤を適宜の割合で配合することができる。
【0185】
pH調整剤としては、例えば、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。
【0186】
高温の有機化合物中での表面処理では、無機物および/または錯体と、有機化合物とを配合し、例えば、常圧下において、それらを加熱する。なお、有機化合物は、有機基導入化合物、および、無機物および/または錯体を分散または溶解させるための溶媒を兼ねながら、高温処理に供される。
【0187】
有機化合物の配合割合は、無機物および錯体100質量部に対して、例えば、1〜10000質量部、好ましくは、10〜5000質量部、さらに好ましくは、20〜1000質量部である。また、有機化合物の体積基準の配合割合は、無機物および錯体100gに対して、例えば、1〜10000mL、好ましくは、10〜5000mL、さらに好ましくは、20〜1000mLである。
【0188】
加熱温度は、例えば、100℃を超過する温度、好ましくは、125℃以上、さらに好ましくは、150℃以上であり、通常、例えば、600℃以下である。加熱時間は、例えば、1〜2000分間、好ましくは、2〜1000分間、さらに好ましくは、3〜500分間である。一方、連続式の反応装置を用いた場合の反応時間は、例えば、1分以下である。
【0189】
また、例えば、加熱とともに高圧にすることもできる。高圧条件は、上記した水熱合成の圧力と同様である。
【0190】
高温の有機化合物中での表面処理によって、無機物および/または錯体を形成する金属の酸化物からなる無機粒子と、その表面に結合する有機基とを備える触媒粒子を得る。
【0191】
また、上記した高温処理(表面処理)を、単独で実施することができ、あるいは、処理効率を向上させる観点から、複数実施することができる。
【0192】
高温処理を複数実施する方法としては、例えば、上記した第1の水熱合成、第2の水熱合成、および、高温の有機化合物中での表面処理をそれぞれ繰り返す方法、あるいは、上記した各処理を組み合わせて実施する方法が採用される。好ましくは、上記した各処理を組み合わせて実施する方法が採用される。さらに好ましくは、第2の水熱合成後、高温の有機化合物中で表面処理する方法が採用される。
【0193】
具体的には、チタン錯体を、上記したリン酸エステル基含有有機化合物(カルボキシエステル基含有有機化合物)中で高温処理して、酸化チタンにリン酸基を介してカルボキシ脂肪族基が結合した有機無機複合粒子を得る。その後、得られた有機無機複合粒子をアルコール中で高温処理することにより、有機基において、カルボキシ脂肪族基からカルボキシエステル基含有有機基を生成する。すなわち、脂肪族基の末端に結合するカルボキシル基をアルコールによってエステル反応させる。
【0194】
このようにして得られる触媒粒子(1次粒子)の形状は特に限定されず、例えば、異方性または等方性を有していてもよく、その平均粒子径(異方性を有している場合には、最大長さの平均値)が、例えば、450nm以下、好ましくは、1〜450nm、さらに好ましくは、1〜200nm、とりわけ好ましくは、透明性の観点から、1〜100nmである。
【0195】
触媒粒子の平均粒子径は、後の実施例で詳述するが、動的光散乱法(DLS)による測定、または、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)の画像解析、さらには、X線回折法(XRD)のデータに基づいたシェラーの式を用いる計算によって、算出される。
【0196】
平均粒子径が上記した範囲を超えると、触媒液、触媒樹脂組成物および触媒成形体の透明性が低下する場合があり、また、樹脂と混合する際に破砕される場合がある。
【0197】
また、平均粒子径が上記した範囲に満たないと、触媒粒子の表面に対する有機基の体積の割合が高くなり、無機粒子が触媒作用を発現しにくくなる場合がある。
【0198】
このようにして得られる触媒粒子は、乾燥状態で、凝集しにくくなっており、たとえ、乾燥状態で見かけ上凝集しても、触媒組成物および触媒成形体において、凝集(2次粒子の形成)が防止され、樹脂中にほぼ均一に分散される。
【0199】
また、触媒粒子において、有機基の表面積の、無機粒子の表面積に対する割合、つまり、触媒粒子における有機基の表面被覆率(=(有機基の表面積/無機粒子の表面積)×100)は、例えば、30%以上、好ましくは、60%以上であり、通常、200%以下である。
【0200】
なお、表面被覆率の算出では、まず、透過型電子顕微鏡(TEM)により無機物粒子の形状を確認し、さらに平均粒子径を算出し、無機物粒子の形状と平均粒子径とから粒子の比表面積を算出する。また、示差熱天秤(TG−DTA)により触媒粒子を800℃まで加熱したときの重量変化から、触媒粒子に占める有機基の割合を算出する。その後、有機基の分子量、粒子の密度、平均体積から、粒子一個に占める有機基の量を算出する。そして、それらから、表面被覆率を求める。
【0201】
また、少なくとも、表面被覆率が高く、触媒粒子の有機基が無機粒子の電荷を打消す程度の長さがある場合には、触媒粒子を分散させる溶媒(媒体)の種類を、有機基の種類で制御(設計または管理)することができる。
【0202】
また、上記により得られた触媒粒子を、湿式分級することもできる。
【0203】
すなわち、触媒粒子に溶媒を加えて、それらを攪拌後、静置し、その後、上澄みと沈殿物とに分離する。溶媒としては、有機基の種類に依存するが、例えば、上記と同様のものが挙げられ、好ましくは、ヒドロキシル基含有脂肪族炭化水素、カルボニル基含有脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、pH調整水溶液が挙げられる。
【0204】
その後、上済みを回収することにより、平均粒子径の小さい触媒粒子を得ることができる。
【0205】
湿式分級により、得られる触媒粒子(1次粒子)の平均粒子径を、例えば、400nm以下、1nm〜400nm、好ましくは、1nm〜200nm、さらに好ましくは、1nm〜100nmに調整することができる。
【0206】
そして、上記により得られた触媒粒子は、溶媒および樹脂にそれぞれ分散させて、触媒液および触媒組成物としてそれぞれ調製することができる。
【0207】
触媒液は、溶媒と、上記した触媒粒子とを含んでいる。
【0208】
そのような触媒液を調製するには、溶媒と触媒粒子とを配合して、それらを攪拌して、触媒粒子を溶媒中に分散させる。
【0209】
溶媒としては、特に限定されず、例えば、上記した洗浄で用いられる溶媒が挙げられ、さらには、それら以外に、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環属炭化水素、例えば、酢酸エチルなどのエステル、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどのポリオール、例えば、N−メチルピロリドン、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物、イソステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソボロニルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸、テトラヒドロフルフリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、アクロイルモルフォリンなどのアクリル系モノマー、例えば、スチレン、エチレンなどのビニル基含有モノマー、例えば、ビスフェノールA型エポキシなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられる。
【0210】
これら溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、ハロゲン化脂肪族炭化水素が挙げられる。
【0211】
触媒粒子の配合割合は、触媒液100質量部に対して、例えば、0.1〜70質量部、好ましくは、0.2〜60質量部、さらに好ましくは、0.5〜50質量部である。
【0212】
このようにして得られた触媒液では、触媒粒子は、無機粒子が互いに接触しない形状を有しているので、溶媒中に1次粒子として均一に分散される。そのため、触媒液における透明性を向上させることができる。
【0213】
また、触媒組成物は、樹脂と、上記した触媒粒子とを含んでいる。
【0214】
樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0215】
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂などが挙げられる。
【0216】
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、マレイミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、セルロース樹脂、液晶ポリマー、アイオノマーなどが挙げられる。
【0217】
これら樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0218】
また、触媒粒子と樹脂とを、それらの溶解度パラメーター(SP値)が所定の関係を満たすように、選択することもできる。
【0219】
すなわち、触媒粒子と樹脂とは、所定のSP値の差(ΔSP、詳しくは、樹脂の溶解度パラメーター(SPresin値)と触媒粒子の溶解度パラメーター(SPparticle値)との差の絶対値)となるように、選択される。
【0220】
上記した樹脂のうち、触媒組成物から成形される触媒成形体に優れた機械強度を付与したい場合には、好ましくは、高い配向性を有する高配向性樹脂が挙げられ、具体的には、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、液晶ポリマーなどが挙げられる。
【0221】
オレフィン樹脂としては、例えば、環状オレフィン樹脂、鎖状オレフィン樹脂などが挙げられる。好ましくは、環状オレフィン樹脂が挙げられる。
【0222】
環状オレフィン樹脂としては、例えば、ポリノルボルネン、エチレン・ノルボルネン共重合体、またはそれらの誘導体が挙げられる。
【0223】
鎖状オレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などが挙げられる。
【0224】
アクリル樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられる。
【0225】
ポリエステル樹脂としては、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。
【0226】
ポリビニルアルコール樹脂は、例えば、酢酸ビニルを主成分とするビニルモノマーを適宜の方法で重合して得られるポリ酢酸ビニル樹脂の完全または部分的なケン化により得られる。ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、例えば、70〜99.99モル%、好ましくは、70〜99.9モル%である。
【0227】
また、上記した樹脂は、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基などの親水基、例えば、炭化水素基などの疎水基などを有している。
【0228】
そして、触媒組成物を調製するには、まず、上記した溶媒と樹脂とを配合して、樹脂を溶媒中に溶解させて、樹脂溶液を調製する。その後、樹脂溶液と触媒粒子とを配合して、それらを攪拌することによって、触媒組成物を調製する(第1の調製方法)。
【0229】
樹脂の配合割合は、樹脂溶液100質量部に対して、例えば、40質量部以下、好ましくは、35質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下であり、通常、1質量部以上である。樹脂の配合割合が上記した範囲を超える場合には、樹脂の溶解性が低下する場合がある。
【0230】
触媒粒子の配合割合は、樹脂溶液の固形分(樹脂)100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは、5〜500質量部、さらに好ましくは、10〜300質量部である。また、触媒粒子の配合割合は、樹脂溶液の総量(樹脂および溶媒の総量)100質量部に対して、例えば、0.1〜300質量部、好ましくは、1〜200質量部、さらに好ましくは、3〜100質量部でもある。
【0231】
また、まず、上記した触媒液を調製し、その後、触媒液と樹脂とを配合して、それらを攪拌することによって、触媒組成物を調製することもできる(第2の調製方法)。
【0232】
なお、触媒液において、触媒粒子は、溶媒中に1次粒子として分散されている。
【0233】
樹脂の配合割合は、触媒液の固形分(触媒粒子)100質量部に対して、例えば、10〜10000質量部、好ましくは、20〜2000質量部、さらに好ましくは、40〜1000質量部である。
【0234】
さらに、例えば、溶媒と触媒粒子と樹脂とを一度に配合して、それらを攪拌することにより、触媒組成物を調製することもできる(第3の調製方法)。
【0235】
各成分の配合割合は、触媒組成物の総量100質量部に対して、触媒粒子で、例えば、0.1〜50質量部、好ましくは、1〜40質量部、さらに好ましくは、3〜30質量部であり、樹脂で、40質量部以下、好ましくは、35質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下であり、通常、1質量部以上である。また、溶媒の配合割合は、触媒組成物において触媒粒子および樹脂を除いた残部である。
【0236】
また、触媒組成物を調製するには、まず、樹脂溶液と、触媒液とをそれぞれに調製し、次いで、樹脂溶液と触媒液とを配合して攪拌することもできる(第4の調製方法)。
【0237】
樹脂溶液における樹脂の配合割合は、上記した第1の調製方法で例示した配合割合と同様である。
【0238】
触媒液における触媒粒子の配合割合は、上記した触媒液の調製方法で例示した配合割合と同様である。
【0239】
樹脂溶液と触媒液とを、樹脂と触媒粒子との配合割合が、質量基準で、例えば、99:1〜10:90、好ましくは、95:5〜20:80、さらに好ましくは、90:10〜30:70となるように、配合する。
【0240】
さらにまた、触媒組成物を調製するには、例えば、溶媒を配合することなく、樹脂を加熱により溶融させて、触媒粒子と配合することもできる(第5の調製方法)。
【0241】
このようにして調製される触媒組成物は、溶媒を含まない触媒組成物の溶融物とされる。
【0242】
加熱温度は、樹脂が熱可塑性樹脂からなる場合には、その溶融温度と同一あるいはそれ以上であり、具体的には、200〜350℃である。また、樹脂が熱硬化性樹脂からなる場合には、樹脂がBステージ状態となる温度であって、例えば、85〜140℃である。
【0243】
樹脂および触媒粒子の配合割合は、質量基準で、例えば、99:1〜10:90、好ましくは、95:5〜20:80、さらに好ましくは、90:10〜30:70である。
【0244】
上記した各調製方法により得られる触媒組成物では、触媒粒子が樹脂中に均一に分散されている。詳しくは、触媒組成物では、触媒粒子が樹脂中に1次粒子として(実質的に凝集することなく)分散されている。
【0245】
その後、得られた触媒組成物を、例えば、公知の支持板上に塗布して塗膜を作製し、この塗膜を乾燥することにより、触媒成形体をフィルムとして成形する。
【0246】
触媒組成物の塗布では、例えば、スピンコータ法、バーコータ法などの公知の塗布方法が用いられる。なお、この触媒組成物の塗布において、塗布と同時にまたは直後には、溶媒が、揮発により除去される。なお、必要により、塗布後に、加熱により、溶媒を乾燥させることもできる。
【0247】
得られるフィルムの厚みは、用途および目的に応じて適宜設定され、例えば、0.1〜2000μm、好ましくは、0.1〜1000μm、さらに好ましくは、0.1〜500μmである。
【0248】
なお、上記した触媒組成物を押出成形機などによって押出成形する溶融成形方法によって、触媒成形体をフィルムとして成形することもできる。
【0249】
また、触媒組成物を金型などに注入し、その後、例えば、熱プレスなどの熱成形によって、触媒成形体をブロック(塊)として成形することもできる。
【0250】
そして、この触媒成形体は、触媒粒子が樹脂に分散された触媒組成物から形成されており、触媒粒子における有機基の立体障害に基づく上記した形状によって、無機粒子が、樹脂と直接接触しにくくなる。そのため、触媒成形体は、樹脂の劣化を抑制することができながら、気体や液体に対する触媒作用を発現することができる。
【0251】
具体的には、触媒成形体は、光、具体的には、例えば、波長1000nm以下の光、好ましくは、波長900nm以下の光、さらに好ましくは、波長800nm以下の光を吸収することによって、大気などの気体中に含まれる毒、臭気(悪臭)、菌、有機物などに対する解毒作用、消臭作用、除菌(あるいは抗菌または殺菌)作用、分解作用を発現することができる。さらには、水などの液体中に含まれる毒、菌、汚物、有機物などに対する解毒作用、除菌作用、防汚作用、分解作用を発現することができる。
【0252】
その結果、触媒成形体は、耐久性に優れながら、解毒作用、消臭作用、除菌作用、防汚作用、分解作用などの各種触媒作用(光触媒作用)を有する触媒成形体として用いることができる。
【0253】
さらにまた、この触媒成形体には、触媒粒子が均一に分散されるので、透明性を向上させることができる。
【0254】
その結果、この触媒成形体を、透明性が必要とされる各種光学用途および各種建材用途に用いることができる。
【0255】
具体的には、触媒成形体は、フィルムとして成形される場合には、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンス装置などの画像表示装置に用いられる、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルム、高屈折率フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルムとして用いることができる。
【0256】
また、触媒成形体は、フィルムとして成形される場合には、例えば、紫外線吸収フィルム、防汚性フィルム、抗菌フィルム、防臭フィルム、超親水性フィルム、殺菌フィルム、解毒フィルム、化学物質分解フィルムなどの建材(建築)用フィルムとして用いることもできる。
【実施例】
【0257】
以下に調製例、実施例、比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。
【0258】
なお、触媒粒子、触媒液およびフィルム(触媒成形体)の評価方法を以下に記載する。
<評価方法>
(1)X線回折法(XRD)
触媒粒子をガラスフォルダーにそれぞれ充填し、下記の条件でX線回折をそれぞれ実施した。その後、得られたピークから、データベース検索によって無機化合物の成分を帰属した。
【0259】
X線回折装置:D8 DISCOVER with GADDS、Bruker AXS社製
(入射側光学系)
・X線源:CuKα(λ=1.542Å)、45kV、360mA
・分光器(モノクロメータ):多層膜ミラー
・コリメータ直径:300μm
(受光側光学系)
・カウンタ:二次元PSPC(Hi−STAR)
・触媒粒子およびカウンタ間距離:15cm
・2θ=20、50、80度、ω=10、25、40度、Phi=0度、Psi=0度
・測定時間:10分
・帰属(半定量ソフトウェア):FPM EVA、Bruker AXS社製
(2)フーリエ変換赤外分光光度法(FT−IR)
下記の装置を用いるKBr法によって、触媒粒子のフーリエ変換赤外分光光度測定を実施した。
【0260】
フーリエ変換赤外分光光度計:FT/IR−470Plus、JASCO社製
(3)平均粒子径の測定
A. DLS(動的光散乱法)
触媒粒子を溶媒に分散させてサンプル(触媒液、固形分濃度1質量%以下)を調製し、サンプルにおける触媒粒子の平均粒子径を動的光散乱光度計(型番「ZEN3600」:シスメックス社製)にて測定した。
B. SEM(走査型電子顕微鏡)
触媒液を試料台上に滴下乾燥し、走査型電子顕微鏡(S−4800、日立ハイテクノロジーズ社製、または、JSM−7001F、日本電子社製)にて観察して、触媒粒子の平均粒子径を観察した。
C. TEM(透過型電子顕微鏡)
TEM用グリッド(コロジオン膜、カーボン支持膜)上に溶媒で希釈したサンプル(触媒液、固形分濃度1質量%以下)を滴下して、乾燥し、透過型電子顕微鏡(TEM、H−7650、日立ハイテクノロジーズ社製)にて触媒粒子を観察するとともに、画像解析によって、触媒粒子の平均粒子径を算出した。
D. XRD
上記(1)XRDにおいて、得られたデータを、下記のシェラーの式(1)に代入することにより、触媒粒子の平均粒子径を算出した。
【0261】
D=Kλ/(βcosθ) (1)
(式中、Dが結晶粒子径の平均粒子径、Kがシェラー定数、λがX線管球の波長、βが半値幅、θが回折角を示す。)
(4)触媒作用の評価
A.実施例1〜78および比較例1〜5
ローダミンB(Rhordamine B、分子量 479.01)の0.01質量%(0.02m mol/L)水溶液を調製した。
【0262】
次いで、透明な2mLバイアル瓶に、実施例1〜78および比較例1〜5の触媒粒子0.01gを加え、続いて、調製したローダミンB水溶液1gを加えた。
【0263】
その後、暗室中で、バイアル瓶に、ブラックライト(波長365nmの紫外線)を照度1mW/cmで、1時間、照射した。
【0264】
その後、バイアル瓶中のローダミンB水溶液を紫外可視吸光分析した。かかる分析は、紫外可視吸光光度計(U−560、JASCO社製)によって実施した。
【0265】
そして、触媒粒子の触媒作用の有無を次の評価基準に従って評価した。
【0266】
○:ローダミンBに由来するピーク(波長550nm)が消失した。
【0267】
×:ローダミンBに由来するピーク(波長550nm)が残存した。
【0268】
図1および図2に、実施例10および66における照射開始時から所定経過時における紫外可視吸収スペクトルをそれぞれ示す。
【0269】
B.実施例79〜94および比較例6〜13
1mol/Lのアセトアルデヒド水溶液を調製した。
【0270】
次いで、バイアル瓶(10mL)に、実施例1〜78および比較例1〜5の触媒粒子0.1gを加え、続いて、調製したアセトアルデヒド水溶液100μLをシリンジで加えた。その後、バイアル瓶の口にセプタムキャップを付け、それらをよく攪拌した。
【0271】
その後、バイアル瓶に、300Wのキセノンランプ(Cermax LX−300、Perkin Elmer社製)によって光を30分間照射した。なお、キセノンランプに、カットオフフィルター(HOYA L42、HOYA社製)を設けることにより、紫外光(波長420nm以下の紫外光)を遮蔽(遮光)した。
【0272】
その後、バイアル瓶において、ホルムアルデヒドの分解によって生成したCOの濃度をガスクロマトグラフィー(HP5890 SeriesIIplus/HP5972、カラム:Ultra−1 (0.2mmφ×25m、df=0.33um)、Agilent社製)で測定した。
【0273】
そして、触媒粒子の触媒作用の有無を次の評価基準に従って評価した。
【0274】
○:CO濃度が10ppm以上であった。
【0275】
×:CO濃度が10ppm未満であった。
(5)樹脂劣化の評価
触媒粒子が分散された白色のフィルム(後述)を乾燥機で80℃、1時間加熱した。その後、フィルムに、ブラックライト(波長365nmの紫外線)を照度1mW/cmで、24時間、照射した。
【0276】
その後、フィルムの劣化を目視で観察して、下記の評価基準に従って評価した。
【0277】
○:フィルムが白色であった。
【0278】
×:フィルムが黄色であった。
【0279】
<チタン錯体の調製>
調製例1
(配位子が2−ヒドロキシオクタン酸であるチタン錯体の調製)
500mLのビーカーに、30体積%過酸化水素水100mLと、25重量%アンモニア25mLとを氷冷下で加えた。さらに、それらにチタン粉末1.5gを加え、完全に溶解するまで氷冷下で3時間攪拌した。次に、エタノール25mLに溶解させた2−ヒドロキシオクタン酸15.5gを加え攪拌した。全ての成分が溶解した後、攪拌を止め一昼夜静置した。その後、乾燥機で75℃で3時間乾燥させることにより、水溶性のチタン錯体を得た。
【0280】
このチタン錯体は、後述する実施例8〜17、31〜69、78、89および比較例3における錯体(表1、3〜7および9参照)として供される。
【0281】
調製例2
(配位子がグリコール酸であるチタン錯体の調製)
2−ヒドロキシオクタン酸15.5gに代えて、グリコール酸3.6gを加えた以外は、調製例1と同様に処理して、水溶性のチタン錯体を得た。
【0282】
このチタン錯体は、後述する実施例21における錯体(表2参照)として供される。
【0283】
調製例3
(配位子がクエン酸であるチタン錯体の調製)
2−ヒドロキシオクタン酸15.5gに代えて、クエン酸9.1gを加えた以外は、調製例1と同様に処理して、水溶性のチタン錯体を得た。
【0284】
このチタン錯体は、後述する実施例18〜20における錯体(表2参照)として供される。
【0285】
調製例4
(配位子がリンゴ酸であるチタン錯体の調製)
2−ヒドロキシオクタン酸15.5gに代えて、リンゴ酸6.3gを加えた以外は、調製例1と同様に処理して、水溶性のチタン錯体を得た。
【0286】
このチタン錯体は、後述する実施例22における錯体(表2参照)として供される。
【0287】
<触媒粒子の調製>
実施例1〜94および比較例1〜13
表1〜9に記載の処方に従って、各成分(無機物および/または錯体、有機化合物、pH調整剤および水)を、5mLの高圧反応器(AKICO社製)に仕込んだ。
【0288】
次いで、高圧反応器の蓋を締め、振とう式加熱炉(AKICO社製)にて、表1〜9に記載の高温処理条件に従って処理した。
【0289】
その後、高圧反応器を冷水中に投入することによって、急速冷却した。
【0290】
次いで、エタノール(和光純薬工業社製)を加えて攪拌し、続いて、遠心機(商品名:MX−301、トミー精工社製)にて、12000Gで20分間遠心分離して、沈殿物(反応物)を上澄みから分離した(洗浄工程)。この洗浄操作を5回繰り返した。
【0291】
その後、沈殿物中のエタノールを80℃で加熱乾燥して、触媒粒子を得た。
【0292】
その後、得られた触媒粒子について、上記の(1)XRD、(2)FT−IR、(3)平均粒子径、(4)触媒作用をそれぞれ評価した。
【0293】
その結果、(1)XRDでは、無機粒子が、TiO(実施例1〜78および比較例1〜5)、WO(実施例79〜86および比較例6〜13)、SrTiO(実施例87〜94)であることを確認した。
【0294】
また、(2)FT−IRでは、無機粒子の表面に、表1〜9に記載の有機基が存在していることを確認した。
【0295】
(3)平均粒子径の測定では、表1〜9から明らかなように、実施例1〜9の触媒粒子の平均粒子径450nm以下であることが分かる。
【0296】
また、実施例1〜78および比較例1〜5では、ローダミンBに由来するピークが消失していたこと、および、実施例79〜94および比較例6〜13では、ホルムアルデヒドの分解に基づいてCOが発生していたことから、実施例1〜94および比較例1〜13の触媒粒子が、有機物の分解作用(光触媒作用)を発現することが分かった。
<触媒成形体の作成>
ポリアリレート(特開2009−80440号公報の実施例4のポリアリレート樹脂)とクロロホルムとを配合して、それらを均一に混合することにより、固形分濃度10質量%の樹脂溶液を調製した。
【0297】
別途、各実施例および各比較例の触媒粒子とクロロホルムとを配合して、それらを均一に混合することにより、触媒粒子がクロロホルムに分散させて、固形分濃度10質量%の触媒液を調製した。
【0298】
次いで、樹脂溶液と触媒液とを、樹脂と触媒粒子との配合割合が質量基準で90:10(樹脂の質量部数:触媒粒子の質量部数)となるように配合して、超音波分散機を用いて、触媒粒子を樹脂溶液に分散させた。これにより、透明な触媒組成物のワニスを調製した。
【0299】
次いで、得られた触媒組成物のワニスを、スピンコート法によって支持板上に塗布した。なお、クロロホルムは、塗布中にほとんど揮発した。その後、塗布された触媒組成物を、50℃で、1時間、乾燥(1段階目の乾燥)し、続いて、100℃で、10分間、乾燥(2段階目の乾燥)することにより、触媒粒子を含有するフィルム(触媒成形体)を作製した。
【0300】
その後、得られたフィルムについて、(5)樹脂劣化を評価した。
【0301】
それらの結果を表1〜9に示す。
【0302】
表1〜9から分かるように、樹脂劣化の評価では、各比較例では、フィルムが黄変したことから、フィルムを形成するポリアリレート樹脂が劣化したことが分かった。
【0303】
一方、各実施例では、フィルムが白色または無色透明で変色がなく、ポリアリレート樹脂の劣化を抑制できたことが分かった。
【0304】
なお、表中、配合処方の配合量の欄において、()で示す括弧内の数値は、配合容積mLを示し、それ以外の数値、つまり、括弧で示されない数値は、配合質量gを示す。
【0305】
また、表中、平均粒子径の欄において、[]で示す括弧内の数値は、TEMまたはSEMの画像解析によって算出した平均粒子径を示し、<>で示す括弧内の数値は、XRDのデータに基づいたシェラーの式を用いる計算によって算出した平均粒子径を示し、それ以外の数値、つまり、括弧で示されない数値は、DLSによって測定した平均粒子径を示す。
【0306】
なお、実施例1〜7、30で使用したTiOについて、以下で詳述する。
【0307】
実施例1および実施例2のTiO:平均粒子径7nm、商品名「CSB−M」、堺化学工業製
実施例3および実施例30のTiO:平均粒子径9nm、商品名「SSP−25」、堺化学工業社製
実施例4および実施例5のTiO:短径5〜15nm、長径30〜90nm、商品名「TTO−V−3」、石原産業社製
実施例6のTiO:平均粒子径30〜50nm、「TTO−55(A)」、石原産業社製
実施例7のTiO:平均粒子径10〜30nm、TTO−51(A)、石原産業社製
【0308】
【表1】

【0309】
【表2】

【0310】
【表3】

【0311】
【表4】

【0312】
【表5】

【0313】
【表6】

【0314】
【表7】

【0315】
【表8】

【0316】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒作用を有する無機粒子と、
前記無機粒子の表面に結合する有機基とを含有し、
前記有機基の立体障害により、前記無機粒子が互いに接触しない形状を有していることを特徴とする、触媒粒子。
【請求項2】
気体および/または液体に対して触媒作用を有することを特徴とする、請求項1に記載の触媒粒子。
【請求項3】
気体および/または液体に対して光触媒作用を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の触媒粒子。
【請求項4】
溶媒および/または樹脂中に1次粒子で分散することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒粒子。
【請求項5】
互いに異なる複数種類の前記有機基を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒粒子。
【請求項6】
前記有機基は、結合基を介して前記無機粒子の表面に結合しており、
前記結合基が、リン酸基および/またはリン酸エステル基を含有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒粒子。
【請求項7】
前記無機粒子が、酸化物を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒粒子。
【請求項8】
前記無機粒子が、TiO、WOおよびSrTiOからなる群から選択される少なくとも1種の酸化物を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒粒子。
【請求項9】
前記無機粒子が、Pt、Pd、Cu、CuO、RuOおよびNiOからなる群から選択される少なくとも1種の無機物をさらに含有することを特徴とする、請求項8に記載の触媒粒子。
【請求項10】
最大長さの平均値が、450nm以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒粒子。
【請求項11】
無機物および/またはその錯体を、前記有機基を含む有機化合物により表面処理することにより得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の触媒粒子。
【請求項12】
前記無機物および/または前記錯体を、高温高圧の水中下、前記有機化合物で表面処理することを特徴とする、請求項11に記載の触媒粒子。
【請求項13】
前記無機物および/または前記錯体を、高温の前記有機化合物中で表面処理することを特徴とする、請求項11に記載の触媒粒子。
【請求項14】
溶媒と、
前記溶媒に分散される請求項1〜13のいずれか一項に記載の触媒粒子と
を含むことを特徴とする、触媒液。
【請求項15】
樹脂と、
前記樹脂に分散される請求項1〜13のいずれか一項に記載の触媒粒子と
を含むことを特徴とする、触媒組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の触媒組成物から形成されていることを特徴とする、触媒成形体。
【請求項17】
光学フィルムであることを特徴とする、請求項16に記載の触媒成形体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−235280(P2011−235280A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86701(P2011−86701)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】