説明

触媒組成物及びそれを用いた水素化方法

【課題】少量の高活性触媒組成物を使用して高収率で共役ジエン系重合体を水素化する方法を提供する。
【解決手段】(a)乃至(c)の化合物を含む触媒組成物を用い、共役ジエン系重合体を水素化する。(a)チタン化合物(b)化学式IIの構造を有する化合物


(Rは、アルキレン、アルケニレン、アミノ、エーテル、ケトンおよびエステル基の何れか一つであり、RとRは、アルキル又はアルケニル基、RとR7は、アルキル、アルケニル、アミノ、エーテル、ケトン及びエステル基の何れか一つである)(c)アルキルアルミニウム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒組成物及びそれを用いた水素化方法に関し、特に、共役ジエン系重合体を水素化するための触媒組成物及びそれを用いて水素化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本分野では、共役ジエン単量体は、単独重合又は共重合することにより、重合体分子鎖中に不飽和アルケニル基を含む重合体を形成する。これらの重合体は、加硫する場合に有利となる。しかし、不飽和二重結合が大量に存在するため、耐候性、耐熱性、抗酸化性の低下を引き起こし、これらの状況は、特に、共役ジエン単量体及びビニル芳香族炭化水素を単量体として使用して重合する熱可塑性ゴムの物理的架橋反応が関与する重合体に対して厳しくなり、そしてスチレン系樹脂及びアルケニル系樹脂の変性剤及び耐衝撃性材にこれを使用すれば尚更不利である。また屋外材料の応用分野においてその耐候性、耐熱性、耐酸化性性能が劣るために厳しく制限されている。
【0003】
共役ジエン単量体及びビニル芳香族炭化水素単量体を重合することによって形成されるポリマーについて、その耐候性、耐熱性、抗酸化性等の欠陥を改善することは、不飽和二重結合を大幅に減少する水素化法により改善され、更に、既に多くの触媒が不飽和二重結合を有する化合物に用いられている。
【0004】
これらの水素化触媒は、2つのタイプに分けられる。
(1)不均一触媒は、通常、担体上に担持される。担体は、例えば活性炭、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等であり、そして金属を含む不均一触媒は、通常、ニッケル、白金、パラジウムによって組成される化合物である。
【0005】
(2)均一触媒は、例えば、(a)ニッケル、コバルト、鉄、またはクロム等の有機酸塩と還元剤(例えば、有機アルミニウム化合物)で構成されるチーグラー型(Ziegler−Natta)触媒であり、(b)Ru、Rh、Ti、及びLaのいずれかを含む有機金属化合物である。
【0006】
不均一触媒は、工業上に広く利用されるが、均一触媒に比べてその活性が比較的低いので、所望の水素化反応に供するために、大量の触媒を使用しなければならず、且つ比較的高い温度及び圧力下で行わなければならない。これに対し、均一触媒は、通常比較的に高い活性を有しているので、少量の触媒で足りると共に、その水素化反応は、比較的低い圧力及び温度条件下で行うことができる。
【0007】
不均一触媒を用いる水素化方法は、次のように記載されている。先ず水素化したい重合体を適宜の溶剤中に溶解させた後、不均一触媒の存在下で水素と接触させる。水素化の際の重合体の粘度は、相当に高く、重合体の立体障害及び高吸着性のため、一旦水素化すると、重合体が容易に触媒表面に滞留し、活性化中心の接近を妨げるので、反応原料と触媒との接触が困難になる。同時に、この種の触媒は、重合体の水素化時に、その活性が突然急激に低下するので、高温と高圧で反応を進行しなければならない。この場合、水素化の反応熱が非常に高いので、高温下で水素化すると反応温度が急激に上昇し、重合体が容易に分解されるか又はゲルを形成する場合もある。このような操作条件において、共役ジエン単量体とビニル芳香族炭化水素単量体から形成される共重合体を水素化する場合、共重合体中の共役ジエン部分の不飽和二重結合を選択的に水素化するのは、きわめて困難である。これは高温高圧下においては、ビニル芳香族炭化水素単位のベンゼン環が水素化されるということがある。また、触媒を既に水素化した後の重合体溶液から分離するのは容易でなく、それは、重合体が不均一触媒上に強力に吸着されるので、触媒を完全に除去することは不可能である。
【0008】
そして、チーグラー型触媒系を使用する方法において、実質的に均一媒体中で水素化反応が起こるので、共重合体の水素化を温和な圧力及び温度条件下で制御することができる。更には、十分に水素化の条件を選択することにより、選択的に共役ジエン部分の二重結合を水素化し、ビニル芳香族炭化水素部分の芳香族環を水素化しないようにすることができる。しかしながら、その使用する触媒用量が比較的高く(比較的高い触媒濃度を必要とする)、得られた反応物から触媒を完全に除去することは容易ではないので、水素化反応後の後処理のために触媒除去工程を要し、製品の不安定を来し且つ触媒の除去にエネルギーを浪費する。
【0009】
従来のプロセスで均一触媒を使用して共役ジエン系重合体を水素化するための方法は、以下に紹介する。
【0010】
特許文献1(アメリカ特許4,980,421号明細書)には、共役ジエン系重合体の不飽和二重結合の選択性水素化反応は、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(+4)化合物、アルコキシリチウム化合物 (LiOR)及び有機金属化合物(アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の化合物)を含む水素化触媒を利用して水素化を行うと開示されている。この水素化触媒は、高い活性を有しているので、少量の水素化触媒で効果的な水素化効果を達成すると共に、脱灰工程を必要とせず、温和の条件下で進行することができる。
【0011】
特許文献2(アメリカ特許5,270,274号明細書)には、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(+4)化合物、極性化の為にカルボニル基又はエポキシ基を含む化合物、及び有機リチウム化合物を含有した水素化触媒組成物が開示されている。共役ジエン系重合体中の不飽和二重結合を優先的に水素化することができ、水素化した重合体は、優れた物理的特性及び耐候性を持っている。
【0012】
特許文献3(アメリカ特許5,244,980号明細書)には、リビング共役ジエン系重合体を水素ガスで停止する水素化工程において、有機アルカリ金属(特に有機リチウム金属)を添加すると共に、テブ(Tebbe)触媒を添加すると、良好な水素化効果があると開示されている。
【0013】
特許文献4(アメリカ特許5,886,108号明細書)には、リビング共役ジエン系重合体を水素化する際、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(+4)化合物及びトリメチルアルミニウムの反応により調製されたテブ触媒を用いて水酸基、カルボニル基またはエステル基を導入したリビング共役ジエンポリマーの水素化を開示する。この化合物で水素化反応を行うと良好な水素化効率が得られると開示されている。
【0014】
特許文献5(アメリカ特許5,985,995号明細書)には、水素化ゴムを製造するための工程で、水素化工程の前に、リビング重合体が容易に且つ効果的に不活性化されると開示されている。ビング重合体の活性化は、アルキルケイ素ハロゲン化物またはアルキル錫ハロゲン化物を用いて行われる。不活性重合体の水素化において使用される触媒は、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(PhOCHである。特許文献5には、上記触媒組成物を用いて反応する反応が、非常に高い水素化効率を得ることが開示されている。
【0015】
特許文献6(アメリカ特許5,948,869号明細書)には、共役ジエン系重合体を選択的に水素化する時の触媒組成物が有効であると開示されている。前記触媒組成物は、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(+4)の化合物、アルキル亜鉛やアルキルマグネシウム、及びエーテルや芳香族基含有溶剤の促進剤を含んでいる。前記触媒組成物は、明らかに水素化効率を向上する。
【0016】
特許文献7(ヨーロッパ特許出願第0434469A2号明細書)には、共役ジエン系重合体を水素化するための触媒組成物が開示されている。前記触媒組成物は、ビス(シクロペンタジエニル)チタン化合物、アルコキシアルカリ金属、及びエーテルやケトンの極性化合物を含んでいる。該触媒系は、共役ジエン系重合体及びその共重合体を水素化する能力を有する。
【0017】
特許文献8(ヨーロッパ特許出願第0544304A号明細書)に下記の触媒組成物は、ビス(シクロペンタジエニル)遷移金属化合物、一塩基酸又は二塩基酸のエステル、内部エステル、内部アミド、又はエポキシの如きカルボニル基やエポキシ基含有の極性化合物、有機リチウム化合物、及びアルミニウム化合物、亜鉛化合物、マグネシウム化合物などの還元有機金属化合物を含んでいることが記載されている。前記触媒組成物は、明らかに水素化効率を向上する。
【0018】
特許文献9(アメリカ特許6,313,230号明細書)には、共役ジエン系重合体を選択的に水素化するための触媒組成物が有効であると開示されている。前記触媒組成物は、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(+4)化合物及びSi−H官能基を有する三置換シランを含んでいる。前記触媒組成物は、さらに水素化効率を向上させる旨記載する。しかし、シランは水素を含有しており容易に加水分解して酸素または極性基と容易に反応するので、室温で貯蔵するのが困難である。その上、特許文献9の実施例によると、水素化反応の最高温度は約60℃であり、且つこの触媒組成物では、高温水素化反応の場合に容易に失活するので、水素化反応時大量の反応熱を排除しなければ水素化率がよくないほか、この触媒組成は窒素ガス環境下において、貯蔵時間が短く、触媒活性が容易に低下すると共に、調合後極短時間内に使用しなければ水素化効率の制御が容易でないことが知られている。したがって、この水素化触媒組成物は連続式プロセスの生産に適用されない。
【0019】
上記に説明したように、既に多種多数の触媒組成物が共役ジエン系重合体の水素化に使用されているが、製品の不安定、又は、大量の触媒を使用するため、面倒な手順で触媒を除去する等の問題に直面する。本発明による水素化方法は、安定且つ容易に貯蔵できる触媒組成物を有し、少量の触媒組成物を使用しても、十分に共役ジエンの重合体を水素化でき、水素化した化合物に触媒を除去する必要がなく、且つ、この触媒組成物は、高い反応温度下において、なお相当高い触媒活性を有し、商業化の大量生産に適用される。
【0020】
したがって、本発明はこのような従来の課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明の触媒組成物及びそれを用いた水素化方法を見出すに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、少量の触媒組成物を使用するだけで良好に共役ジエン系重合体を水素化でき、且つ十分に活性を示す触媒組成物及びそれを用いた水素化方法を提供することにある。使用する触媒濃度が非常に低いので、水素化重合体中から触媒を除去する必要がなく、大幅に経済効率を向上することができる。更には、本発明の水素化反応は非常に迅速であり、広汎な温度及び圧力範囲下において良好な結果をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明は安定且つ容易に貯蔵できる触媒組成物及びそれを用いた水素化方法を提供する。共役ジエン系重合体を水素化するための触媒組成物であって、前記共役ジエン系重合体は、共役ジエンによって形成される単独重合体又は共役ジエンとビニル芳香族化合物によって形成される共重合体であり、前記触媒組成物は、下記(a)乃至(c)化合物を含むことを特徴とする触媒組成物である。
(a)チタン化合物
(b)下記化学式IIの構造を有する化合物
【化1】

(上記化学式IIにおいて、Rは、C〜C12のアルキレン基、C〜C12のアルケニレン基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基およびC〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエステル基から成る群から選ばれた一つであり、RとRは、C〜C12のアルキル基またはアルケニル基のいずれかであり、RとR7は、C〜C12のアルキル基、C〜C12のアルケニル基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基及びC〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエステル基から成る群から選ばれた一つであり、n、mは自然数であり、n≦3であり、m≦3である)
(c)アルキルアルミニウム。
【0023】
上記構成の本発明に係る触媒組成物において、前記チタン化合物(a)は、(Cp*)TiRであり、RとRは同一又は異なる置換基であり、水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜C12のシクロアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、C〜C10のアリールアルコキシ基、C〜C10のアリールアルキル基、カルボキシ基、−CH2P(フェニル)2、−CH2Si(C1〜C5アルキル)3及び−P(フェニル)2から成る群から選ばれた一つであり、前記Cp*は、シクロペンタジエニル、フルオレニル、インデニル及びその誘導体から成る群から選ばれた一つであり、前記誘導体は、シクロペンタジエニル、フルオレニル、インデニルから成る群から一つを選び、それの少なくとも一つの水素を、置換基によって置換するものであり、前記アルキルアルミニウム(c)は、R10Alであり、R、R及びR10の中のいずれかは、同一又は異なる置換基であり、C〜C12のアルキル基、C〜C12のアリール基、水素原子及びハロゲン原子から成る群から選ばれる一つである。
【0024】
上記構成の本発明に係る触媒組成物において、前記(a)チタン化合物は、ビス(シクロペンタジエニル及びその誘導体)チタンハロゲン化物、ビス(シクロペンタジエニル及びその誘導体)チタンのアルコキシまたはアルキル化合物、ビス(フルオレン及びその誘導体)チタンハロゲン化物、ビス(フルオレン及びその誘導体)チタンのアルコキシまたはアルキル化合物、ビス(インデニル及びその誘導体)チタンハロゲン化物、並びにビス(インデニル及びその誘導体)チタンのアルコキシまたはアルキル化物から成る群から選ばれる一つである。
【0025】
上記構成の本発明に係る触媒組成物において、前記チタン化合物(a)は、ビス(シクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(メトキシシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(シクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(エチルシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(n −プロピルシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(n −ブチル − シクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(2 − エチルヘキシルシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ジメチルジシクロペンタジエニルチタン、ジメトキシジシクロペンタジエニルチタン、ジメチル − ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジメトキシ − ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジエチルジシクロペンタジエニルチタン、ジエチル − ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジエトキシビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジフェノキシビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジフェノキシビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンジフルオレニル二塩化チタン、ジインデニル二塩化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二塩化チタン、ジフルオレニル二フッ化チタン、ジインデニル二フッ化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二フッ化チタン、ジフルオレニル二臭化チタン、ジインデニル二臭化チタン、ジインデニル二塩化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二臭化チタン、ジインデニル二臭化チタン、ジメチルジフルオレニルチタン、ジメトキシジフルオレニルチタン、ジメトキシジインデニルチタン、ジメトキシビス(ジメトキシフルオレニル)チタン、ジフェノキシジフルオレニルチタン、ジフェノキシ−ビス(ジメトキシフルオレニル)チタン及びジフェノキシジインデニルチタンから成る群から選ばれる一つであり、前記アルキルアルミニウム(c)は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ− n −プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ− n −ブチルアルミニウム、トリ− tert −ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ− n −ペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリ− n −ヘキシルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリ(1 − メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2,5 − ジメチルオクチル)アルミニウム、トリ(2,6 − ジメチルオクチル)アルミニウム、トリ(2 − エチルヘキシル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジエチル塩化アルミニウム、エチル二塩化アルミニウム、ジプロピル塩化アルミニウム、ジブチル塩化アルミニウム、ジイソブチル塩化アルミニウム、ブチル二塩化アルミニウム及びそれらの組合せから成る群から選ばれる一つである。
【0026】
上記構成の本発明に係る触媒組成物において、前記化学式IIの構造を有する化合物(b)は、前記化学式IIの構造を有する化合物(b1)において、RとRは、C〜Cアルキル基であり、RとRは、C〜Cアルキル基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基及びC〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基から成る群から選ばれた一つであり、Rは、C〜Cのアルキレン基またはアルケニレン基、C〜Cのアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜Cのアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基及びC〜Cのアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基から成る群から選ばれる一つであり、前記化学式IIの構造を有する化合物(b2)において、RとRのいずれかは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、C〜Cのアルキレン基またはアルケニレン基であり、前記化学式IIの構造を有する化合物(b3)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、2つの条件のいずれかを有するR111213Nであり、前記条件は、R11、R12とR13は、C〜Cのアルキレン基であり、又は、R11、R12とR13の中で、ただ一つは水素原子であり、他のものはC−Cのアルキレン基であり、前記化学式IIの構造を有する化合物(b4)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、R14OR15であり、R14とR15のいずれかは、C〜Cのアルキレン基であり、前記化学式IIの構造を有する化合物(b5)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、R16COR17のケトン基であり、R16とR17のいずれかは、C〜Cのアルキル基、アルキレン基であり、前記化学式IIの構造を有する化合物(b6)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレンまたはアルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレンまたはアルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基及びC〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレンまたはアルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基から成る群から選ばれた一つであり、Rは、C〜Cのアルキレン基またはR18NHR19のいずれかであり、R18とR19のいずれかは、C〜Cのアルキレン基であり、
前記(b1)乃至(b6)化合物から成る群より選ばれる一つである。
【0027】
上記構成の本発明に係る触媒組成物において、前記共役ジエン系重合体は、カチオン重合、ラジカル重合、配位重合又はアニオン重合によって重合され、
前記共役ジエン系重合体は、1000〜1,000,000の範囲の重量平均分子量を有し、
前記共役ジエン系重合体は、5%〜85%の重量%の共役ジエン単位を含む。
【0028】
上記構成の本発明に係る触媒組成物において、前記チタン化合物(a)、前記化学式IIの構造を有する化合物(b)及び前記アルキルアルミニウム(c)のそれぞれは、同時に、又は順番に、前記共役ジエン系重合体の溶液に添加され、前記チタン化合物(a)は、100グラムの前記共役ジエン系重合体に対し、0.001〜50の範囲のミリモルを有し、前記化学式IIの構造を有する化合物(b)と前記チタン化合物(a)とのモル比は、0.1〜50の範囲を有し、前記アルキルアルミニウム(c)と前記チタン化合物(a)とのモル比は、0.1〜50の範囲を有する。
【0029】
上記目的を達成するために、本発明は、安定且つ容易に貯蔵できる触媒組成物を用いた水素化方法を提供する。共役ジエンによって形成される単独重合体及び前記共役ジエンとビニル芳香族によって形成される共重合体のいずれかである共役ジエン系重合体を水素化するための水素化方法であって、不活性溶媒中で不飽和二重結合を有する共役ジエン単位を含む前記共役ジエン系重合体を溶解する工程と、請求項1に記載の触媒組成物を前記共役ジエン系重合体の溶液に添加する工程と、水素ガスを導入することによって前記不飽和二重結合を水素化する工程と、を備えていることを特徴とする水素化方法である。
【0030】
上記工程の本発明に係る水素化方法において、前記水素化方法の工程は、0℃〜200℃の範囲の温度及び1〜90 kg/cm(9.8X10〜8.8X10Pa)の範囲の圧力で行われ、前記不飽和二重結合の水素化率は、50%以上であり、前記共役ジエン系重合体は、フェニル二重結合を有するビニル芳香族ユニットを含み、前記フェニル二重結合の水素化率は、10%以下であり、前記共重合体は、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体及びスチレン(ブタジエン/イソプレン)共重合体から成る群から選ばれる一つであり、前記共重合体は、ブロック共重合体やランダム共重合体である。
【0031】
上記工程の本発明に係る水素化方法において、前記スチレン−ブタジエン共重合体は、前記水素化の後に、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体になり、前記スチレン−イソプレン共重合体は、前記水素化の後に、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体になり、前記スチレン(ブタジエン/イソプレン)共重合体は、前記水素化の後に、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、水素化反応全体の水素化効率が向上し、その他の触媒活性が安定する。したがって、本発明の触媒組成物は長時間貯蔵でき、長期間経過後でも触媒の活性は依然として良好な安定性及び再現性があり、経済効率に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下のように、本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含んでいる。
【0034】
本発明の水素化触媒組成物は、下記触媒(a)乃至(c)から成るものである。触媒(a)は、下記化学式Iに示すチタン化合物又はその混合物を含むものである。
【0035】
【化2】

【0036】
化学式Iにおいて、R1とR2は同一又は異なる置換基であり、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜C12のシクロアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、C〜C10のアリールアルコキシ基、C〜C10のアリールアルキル基、カルボキシ基、−CHP(フェニル)、−CHSi(C1〜C5のアルキル基)及び−P(フェニル)から成る群から選ばれた一つであり、Cp *は、シクロペンタジエニル、フルオレニル、インデニル及びその誘導体から成る群から選ばれる一つである。その誘導体は、インデニル、フルオレニル、又はシクロペンタジエニルの環に、少なくとも一つ水素を、置換基によって置換するものである。
【0037】
本発明の好適な例によれば、Cp*は、C1112131415(シクロペンタジエニル及びその誘導体)であってもよく、ここで、R11、R12、R13、R14、及びR15は、同一又は異なる置換基であり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、−CHP(フェニル)、−CHSi(C〜Cアルキル)、及び−P(フェニル)から成る群から選ばれるものである。
【0038】
本発明に適用される化学式Iの触媒(a)は、ビス(シクロペンタジエニルおよびその誘導体)チタンハロゲン化物であり、その具体的な例示は、ビス(シクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(2,4 −ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(ジメトキシシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(シクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(エチルシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(n −プロピルシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(n −ブチル − シクロペンタジエニル)二塩化チタン、及びビス(2 − エチルヘキシルシクロペンタジエニル)二塩化チタンから成る群から選ばれる一つである。
【0039】
本発明に適用される化学式Iの触媒(a)は、ビス(シクロペンタジエニルおよびその誘導体)チタンのアルコキシまたはアルキル化合物であり、その具体的な例示は、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジメトキシ、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンジメトキシ、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンジメトキシ、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジメトキシ、ビス(2 ,4 −ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンジメトキシ、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンジメトキシ、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンディフェノキシ、及びビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンジフェノキシから成る群から選ばれる一つである。
【0040】
本発明に適用される化学式Iの触媒(a)は、ビス(フルオレニルまたはインデニルまたはその誘導体)チタンハロゲン化物であり、その具体的な例示は、ビス(1 −フルオレニル)二塩化チタン、ビス(1 − インデニル)二塩化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二塩化チタン、ビス(インデニル)二塩化チタン、ビス(フルオレニル)二フッ化チタン、ビス(インデニル)二フッ化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二フッ化チタン、ビス(インデニル)二フッ化チタン、ビス(フルオレニル)二臭化チタン、ビス(インデニル)二臭化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)チタン、及びビス(インデニル)二臭化チタンから成る群から選ばれる一つである。
【0041】
本発明に適用される化学式Iの触媒(a)は、ビス(フルオレニル、又はインデニル又はその誘導体)チタンのアルコキシまたはアルキル化合物であり、その具体的な例示は、ビス(フルオレニル)チタンジメチル、ビス(フルオレニル)チタンジメトキシ、ビス(インデニル)チタンジメトキシ、ビス(ジメトキシフルオレニル)チタンジメトキシ、ビス(フルオレニル)チタンジフェノキシ、ビス(インデニル)チタンジフェノキシ、ビス(ジメトキシフルオレニル)チタンジフェノキシ、及びビス(インデニル)チタンジフェノキシから成る群から選ばれる一つである。ここで、前記誘導体は、フルオレニル、インデニル、又はシクロペンタジエニルの環に、少なくとも一つ水素を、置換基によって置換するものである。前記置換基は、メチル、メトキシ、p − tert −ブチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、及び3,5 −ジ(tert −ブチル)−4 − メトキシフェニルから成る群から選ばれる一つである。
【0042】
本発明の触媒(b)は、下記化学式IIの構造を有する化合物を含むものである。
【0043】
【化3】

【0044】
化学式IIにおいて、ORとROは、アルコキシ基であり、Rは、C〜C12のアルキレン基、C〜C12のアルケニレン基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基およびC〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエステル基から成る群から選ばれた一つであり、RとRは、C〜C12のアルキル基またはアルケニル基のいずれかであり、RとR7は、C〜C12のアルキル基、C〜C12のアルケニル基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基、C〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基及びC〜C12のアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエステル基から成る群から選ばれた一つであり、n、mは自然数であり、n≦3であり、m≦3である。
【0045】
本発明による一つ実施形態では、化学式IIの構造を有する化合物(b)において、RとRは、C〜Cアルキル基であり、RとRは、C〜Cアルキル基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基及びC〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基から成る群から選ばれる一つであり、Rは、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜Cのアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基及びC〜Cのアルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基から成る群から選ばれる一つである。
【0046】
本発明による一つ実施形態では、化学式IIの構造を有する化合物(b)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、R5は、C〜Cのアルキレン基である。
【0047】
本発明による一つ実施形態では、化学式IIの構造を有する化合物(b)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、2つの条件のいずれかを有するR111213Nであり、前記条件は、R11、R12とR13は、C〜Cのアルキル基またはアルキレン基であり、又は、R11、R12とR13の中で、ただ一つは水素原子であり、他のものはC−Cのアルキレン基である。
【0048】
本発明による一つ実施形態では、化学式IIの構造を有する化合物(b)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、R14OR15であり、R14とR15は、C〜Cのアルキレン基である。
【0049】
本発明による一つ実施形態では、化学式IIの構造を有する化合物(b)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、R16(C=O)R17のケトン基であり、R16とR17は、C〜Cのアルキレン基である。
【0050】
本発明による一つ実施形態では、化学式IIの構造を有する化合物(b)において、RとRは、C〜Cのアルキルであり、RとRは、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むアミノ基、C〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むエーテル基及びC〜Cのアルキル基、アルケニル基、アルキレン、アルケニレン基等の脂肪族基を含むケトン基から成る群から選ばれる一つであり、Rは、C〜Cのアルキル基とR18NHR19のいずれかであり、R18とR19のいずれかは、C〜Cのアルキレン基である。
【0051】
本発明による一つ実施形態では、n = 1及びm = 1になると、化学式IIの構造を有する化合物(b)は、ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、ビス(メトキシジメチルシリル)ヘキサン、ビス(メトキシジメチルシリルプロピル)アミン、ビス(メトキシジエチルシリル)エタン、ビス(メトキシジエチルシリル)ヘキサン、ビス(メトキシジエチルシリルプロピル)アミン、ビス(エトキシジメチルシリル)ブタン、ビス(エトキシジメチルシリル)ヘキサン、ビス(エトキシジメチルシリルプロピル)アミン、ビス(エトキシジエチルシリル)エタン、ビス(エトキシジエチルシリル)ヘキサン、ビス(エトキシジエチルシリルプロピル)アミン、ビス(プロピルジメチルシリル)エタン、ビス(プロポキシジメチルシリル)ヘキサン、ビス(プロポキシジメチルシリルプロピル)アミン、ビス(プロポキシジエチルシリル)エタン、ビス(プロポキシジエチルシリル)ヘキサン、ビス(プロポキシジエチルシリルプロピル)アミン、ビス(イソプロポキシジメチルシリル)ヘキサン、ビス(イソプロポキシジメチルシリルプロピル)アミン、ビス(イソプロポキシジエチルシリル)エタン、ビス(イソプロポキシジエチルシリル)ヘキサン、ビス(イソプロポキシジエチルシリルプロピル)アミン、またはビス(イソプロポキシジエチルシリルプロピル)アミンである。
【0052】
本発明による一つ実施形態では、n = 1及びm = 2になると、化学式IIの構造を有する化合物(b)は、(ジメトキシメチルシリル)(メトキシジメチルシリル)エタン、(ジメトキシメチルシリル)(メトキシジメチルシリル)ヘキサン、[(ジメトキシメチルシリル)プロピル] − [(メトキシジメチルシリル)プロピル]アミン、(ジメトキシエチルシリル)(メトキシジエチルシリル)エタン、(ジメトキシエチルシリル)(メトキシジエチルシリル)ヘキサン、[(ジメトキシエチルシリル)プロピル] − [(メトキシジエチルシリル)プロピル]アミン、(ジエトキシメチルシリル)(エトキシジメチルシリル)エタン、(ジエトキシメチルシリル)(エトキシジメチルシリル)ヘキサン、[(ジエトキシメチルシリル)プロピル] − [(エトキシジメチルシリル)プロピル]アミン、(ジエトキシエチルシリル)(エトキシジエチルシリル)エタン、(ジエトキシエチルシリル)(エトキシジエチルシリル)ヘキサン、[(ジエトキシエチルシリル)プロピル] − [(エトキシジエチルシリル)プロピル]アミン、(ジプロポキシメチルシリル)(プロポキシジメチルシリル)エタン、((ジプロポキシメチルシリル)(プロポキシジメチルシリル)ヘキサン、[(ジプロポキシメチルシリル)プロピル] − [(プロポキシジメチルシリル)プロピル]アミン、(ジプロポキシエチルシリル)(プロポキシジエチルシリル)エタン、(ジプロポキシエチルシリル)(プロポキシジエチルシリル)ヘキサン、または[(ジプロポキシエチルシリル)プロピル] − [(プロポキシジエチルシリル)プロピル]アミンである。
【0053】
本発明による一つ実施形態では、n = 1及びm = 3になると、化学式IIの構造を有する化合物(b)は、(メトキシジメチルシリル)(トリメトキシシリル)エタン、(メトキシジメチルシリル)(トリメトキシシリル)ヘキサン、[(メトキシジメチルシリル)プロピル] − [(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、(メトキシジエチルシリル)(トリメトキシシリル)エタン、(メトキシジエチルシリル)(トリメトキシシリル)ヘキサン、[(メトキシジエチルシリル)プロピル] − [(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、(エトキシジメチルシリル)(トリエトキシシリル)エタン、(エトキシジメチルシリル)(トリエトキシシリル)ヘキサン、[(エトキシジメチルシリル)プロピル] − [(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、(エトキシジエチルシリル)(トリエトキシシリル)エタン、(エトキシジエチルシリル)(トリエトキシシリル)ヘキサン、[(エトキシジエチルシリル)プロピル] − [(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、(プロポキシジメチルシリル)(トリプロポキシシリル)エタン、(プロポキシジメチルシリル)(トリプロポキシシリル)ヘキサン、[(プロポキシジメチルシリル)プロピル] − [(トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、(プロポキシジエチルシリル)(トリプロポキシシリル)エタン、(プロポキシジエチルシリル)(トリプロポキシシリル)ヘキサン、または[(プロポキシジエチルシリル)プロピル] − [(トリプロポキシシリル)プロピル]アミンである。
【0054】
本発明による一つ実施形態では、n = 2及びm = 2になると、化学式IIの構造を有する化合物(b)は、ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)ヘキサン、ビス(ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジメトキシエチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシエチルシリル)ヘキサン、ビス(ジメトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)ヘキサン、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジエトキシエチルシリル)エタン、ビス(ジエトキシエチルシリル)ヘキサン、ビス(ジエトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジプロポキシメチルシリル)エタン、ビス(ジプロポキシメチルシリル)ヘキサン、ビス(ジプロポキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジプロポキシエチルシリル)エタン、ビス(ジプロポキシエチルシリル)ヘキサン、ビス(ジプロポキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジイソプロポキシメチルシリル)エタン、ビス(ジイソプロポキシメチルシリル)ヘキサン、ビス(ジイソプロポキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジイソプロポキシエチルシリル)エタン、ビス(ジイソプロポキシエチルシリル)ヘキサン、またはビス(ジイソプロポキシエチルシリルプロピル)アミンである。
【0055】
本発明による一つ実施形態では、n = 2及びm = 3になると、化学式IIの構造を有する化合物(b)は、(ジメトキシメチルシリル)(トリメトキシシリル)エタン、(ジメトキシメチルシリル)(トリメトキシシリル)ヘキサン、[(ジメトキシメチルシリル)プロピル] − [(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、(ジメトキシエチルシリル)(トリメトキシシリル)エタン、(ジメトキシエチルシリル)(トリメトキシシリル)ヘキサン、 [(ジメトキシエチルシリル)プロピル] − [(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、(ジエトキシメチルシリル)(トリエトキシシリル)エタン、(ジエトキシメチルシリル)(トリエトキシシリル)ヘキサン、[(ジエトキシメチルシリル)プロピル] − [(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、(ジエトキシエチルシリル)(トリエトキシシリル)エタン、(ジエトキシエチルシリル)(トリエトキシシリル)ヘキサン、 [(ジエトキシエチルシリル)プロピル] − [(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、(ジプロポキシメチルシリル)(トリプロポキシシリル)エタン、(ジプロポキシメチルシリル)(トリプロポキシシリル)ヘキサン、[(ジプロポキシメチルシリル)プロピル] − [(トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、(ジプロポキシエチルシリル)(トリプロポキシシリル)エタン、(ジプロポキシエチルシリル)(トリプロポキシシリル)ヘキサン、または[(ジプロポキシエチルシリル)プロピル] − [(トリプロポキシシリル)プロピル]アミンである。
【0056】
本発明による一つ実施形態では、n = 3及びm = 3になると、化学式IIの構造を有する化合物(b)は、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリプロポキシシリル)エタン、ビス(トリプロポキシシリル)ヘキサン、ビス(トリプロポキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリイソプロポキシシリル)エタン、ビス(トリイソプロポキシシリル)ヘキサン、又はビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)アミンである。
【0057】
本発明でのアルキルアルミニウム(c)は、下記化学式IIIの構造を有するアルキルアルミニウム化合物である。
【0058】
【化4】

【0059】
化学式IIIにおいて、R、R及びR10のいずれかは、同一又は異なる置換基であり、C〜C12のアルキル基、C〜C12のアリール基、水素原子及びハロゲン原子から成る群から選ばれる一つである。
【0060】
本発明の水素化触媒組成物によるアルキルアルミニウム(c)は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ− n −プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(sec −ブチル)アルミニウム、トリ(イソブチル)アルミニウム、トリ(n −ペンチル)アルミニウム、トリ(イソペンチル)アルミニウム、トリ(n −ヘキシル)アルミニウム、トリ(イソヘキシル)アルミニウム、トリ(1 − メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2,5 − ジメチルオクチル)アルミニウム、トリ(2,6 − ジメチルオクチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジエチル塩化アルミニウム、エチルヘキシル二塩化アルミニウム、トリプロピル塩化アルミニウム、ジブチル塩化アルミニウム、ジイソブチル塩化アルミニウム、及びブチル二塩化アルミニウムから成る群から選ばれる一つである。
【0061】
本発明による水素化方法は、不活性有機溶剤の中に、又は部分エーテル類、アミン類の極性化合物を含む不活性有機溶剤の中に溶解した共役ジエン系重合体を、本発明の水素化触媒組成物がある条件下において、水素ガスと反応させ、共役ジエン系重合体にある共役ジエン単位の不飽和二重結合を選択的に水素化する。本発明による水素化触媒組成物は、水素化触媒(a)、(b)及び(c)から成る。例えば、水素ガスを水素化する共役ジエン系重合体に導入し、攪拌しながら水素ガスを重合体と十分に接触させる。
【0062】
水素化触媒(a)、(b)及び(c)の添加順序は制限されない。例えば、触媒(b)成分を重合体溶液中に添加してから、触媒(a)及び(c)の混合溶液を添加することができる。又、触媒(b)を重合体溶液中に添加してから、それぞれ触媒(a)の溶液及び触媒(c)の溶液を添加することもできる。そして全ての触媒が重合体に添加された後、不活性ガス雰囲気下に長い時間保存することが可能である。触媒は長期保存後でもなお相当の活性を有しているので、本発明による触媒組成物は、工業的大量生産の需要に適合するものである。
【0063】
本発明によれば、水素化触媒及び共役ジエン系重合体を溶解するための不活性有機溶剤には、直鎖、又は分岐炭化水素が使用され、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びその他類似物;又は脂環系炭化水素類、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン及びメチルシクロヘプタンが挙げられる。シクロヘキサン、n−ヘキサンは好適な例である。不活性有機溶剤には芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン及びエチルベンゼンを使用することができる。
【0064】
触媒(a)、(b)及び(c)を調製する環境は、不活性ガス中且つ乾燥した条件下で行うべく、前記不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、窒素の不活性気体を含み、これら不活性ガスは、水素化反応に関与しないと共に、空気、酸素、又は高すぎる水分を含むガスは、水素化触媒を酸化又は分解して、触媒の活性を喪失させる。触媒成分を予め混合する必要がある場合は、その温度は好ましくは0〜200℃にし、温度が高すぎると、触媒が失活してしまい、温度が低すぎると、触媒自体は活性を失わないが、活性が低すぎると、却って水素化能力が発揮されない。
【0065】
本発明によれば、水素化に用いられる共役ジエン系重合体は、例えばアニオン重合法、カチオン重合法、フリーラジカル重合法、配位重合法、溶液重合法、乳化重合法等の先行技術に基づいて製造することができる。重合する時に、好適には、有機リチウム化合物を重合開始剤として使用することにより、リビンング重合体を得て、その分子鎖終端に炭素リチウムイオンがあるので単量体をさらに添加した後、再度重合して分子鎖を成長させることができる。有機リチウム化合物の具体例として、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、フェニルリチウム、メチルフェニルリチウム等を含む。ジリチウムの炭化水素化合物は、例えば1,4−ジリチウム−n−ブタン、1,5−ジリチウム−ペンタン、1,2−ジリチウム−ビスフェニルエタン、1,4−ジリチウム−1,1,4,4四フェニルブタン、1,3−又は1,4−ビス(1−リチウム−3メチルアミル)ベンゼン又はそれらの組合せが挙げられる。有機リチウム化合物の使用量は得たい重合体の分子量により決定される。
【0066】
本発明中に使用される共役ジエン系重合体の用語は、共役ジエンを単量体として重合する単独重合体又は共重合体を意味し、そして分子鎖の末端には、活性又は無活性基を有する。活性基は炭素の遊離基、炭素アルカリ金属イオンのアニオン基、炭素のカチオン基を指す。共役ジエンの共重合体は、二種又は二種以上の共役ジエン単位のランダム、ブロック、グラフト共重合体、又は、少なくとも一種以上の共役ジエン単量体と少なくとも一種以上のビニル芳香族炭化水素単量体とにより構成されるランダム、ブロック、グラフト共重合体である。
【0067】
本発明に適用される共役ジエン単量体は4個ないし12個の炭素原子を含む共役ジエンである。具体例として1,3ブタジエン、イソペンタジエン、2,3− ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル1,3−ペンタジエン、1,3−へキサンジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン及びその混合物を包含する。ここでブタジエン、イソプレン及びブタジエン、イソプレンの混合物は本発明に好ましい選択である。
【0068】
本発明の水素化に好適に適用されるスチレン/ブタジェン共重合体は、水素化されてスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体となり、同じくスチレン/イソプレン共重合体は、水素化されてスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体となる。スチレン/イソペンタジェン混合物共重合体は、水素化によりスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)ブロック共重合体となる。本発明による水素化前の共役ジエン重合体の分子量は、好適には1,000〜1,000,000である。共役ジエン系重合体は、5%〜85%の重量%の共役ジエン単位を含む。
【0069】
本発明の共役ジエン/ビニル芳香族炭化水素共重合体は水素化されて、高付加価値の熱可塑性エラストマーを得ることができる。本発明のビニル芳香族炭化水素単量体の具体例として、スチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、 1,1−ジフェニルエチレン、ビニルナフタリン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンを含む。好適な例はスチレンである。共役ジエン/ビニル芳香族炭化水素共重合体の具体例として(1)ブタジェン/スチレン、(2)イソプレン/スチレン、(3)ブタジエン/イソプレン/スチレンの各共重合体である。このほかに共役ジエン系重合体の系中に三級アミン化合物又はエーテル化合物を添加して、共役ジエン系重合体中のエチレン構造の含有量を高めることができる。適用する化合物は一般の三級アミン化合物、テトラヒドロフランおよびジエチルエーテル等を含む。
【0070】
本発明において水素化触媒(a)の添加量は、共役ジエン系重合体100gに対して0.0001〜50mmoleを添加すれば足り、 50mmole用量を超過して添加すると経済効率に沿わず、また触媒の除去プロセスが必要となる。水素化触媒(a)の好適な量は共役ジエン系重合体100g毎に0.001〜50mmoleを添加する。
【0071】
本発明において触媒(b)と触媒(a)とのモル比は0.1〜50の範囲内が好適である。もしそのモル比が0.1よりも小さいと水素化触媒は効果的に水素化活性を向上することができない。そして反対にそのモル比が50よりも大きいと触媒の除去工程が必要となり、且つ不要の副反応が発生するので却って水素化反応の進行を阻害する。
【0072】
本発明において触媒(c)と触媒(a)とのmole比は0.1〜50の間が好適である。そのモル比が0.1よりも低いと触媒(a)を活性化する能力がなく、相対的にその水素化効率が低下する。モル比が50を超過すると、不要の副反応物が発生するので却って水素化効率の急激な低下を来たすと共に触媒除去の工程が必要となる。
【0073】
本発明において、水素化反応の反応温度は0℃〜200℃の温度範囲内にあり、反応温度が0℃よりも低いと反応速度が低くなって効率がなくなり触媒(a)の使用量を高めなければならないので、不経済である。反対に200℃よりも高い温度で行なうと、触媒が失活する恐れがあり、触媒活性を低下すると共に、全体に副反応を生じ重合体の分解を来たし、さらにゲル化する。したがって、好ましい温度は、40℃ないし150℃である。
【0074】
好適な水素化作用の水素ガス圧力は、1kg/cm2〜90kg/cm2(9.8X10〜8.8X10Pa)の範囲にある。もし水素圧力が1kg/cm2よりも小さいと、反応速度が著しく低くなり、反対に水素ガス圧力が90 kg/cm2を超過すると、水素化温度が上昇し、急速に水素化反応を終了する。より好適な水素化圧力は、2ないし50 kg/cm2である。上記の水素化条件下において、触媒の用量は水素ガス圧力の増加に応じて減少し、触媒量を少なくするためには、比較的高い水素圧を選択するのが好適である。本発明によれば、水素化の時間は数秒ないし40時間の間にあり、好適な範囲は、添加した触媒組合せの比の如何に応じて水素ガスの圧力、水素化の温度等の条件を調整しなければならない。
【0075】
本発明によれば、触媒組成物の使用量、水素ガス圧力及び水素化温度の調整に応じて、共役ジエン系重合体の二重結合を任意の程度に水素化することができる。本発明の触媒組成物を使用して、共役ジエン/ビニル芳香族炭化水素共重合体を水素化し、共役ジエン単位における二重結合の水素化の程度は安定的に50%以上、好ましくは90%以上に達することができ、そしてビニル芳香炭化水素単位における芳香族炭化水素のベンゼン環二重結合が水素化される程度は10%以下、もしくは3%以下である。よって、本発明に使用された触媒組成物は極めて良い触媒選択性を有することが分る。水素化の比率は共役ジエン単位部分では赤外線スペクトルにより分析され、そして芳香族炭化水素の核水素化率は紫外線吸収スペクトルにより分析される。このような分析方法は、アメリカ特許第4,501,857号明細書を参照することができる。
【0076】
本発明の水素化触媒を利用して水素化を行った後に得られた重合体溶液には、極性溶媒を添加して、重合体を凝集させることができる。この極性溶媒は水素化重合体の貧溶剤、例えばメタノール又はアセトンである。或いは水素化後の溶液を熱水中に入れて、攪拌して溶剤を留去し、又は直接反応溶液を加熱して、溶剤を蒸発させることにより該重合体を分離してもよい。
【0077】
本発明によれば、極めて少量の水素化触媒組成物を使用するだけで、十分に含共役ジエン単位重合体を水素化でき、高い水素化効果を奏する。且つ大部分の触媒は重合体の分離過程中に既に重合体と分離し、又は分解しているので水素化ポリマーの洗浄、又は水素化ポリマーから触媒を除去する余分の工程を必要としない。
【0078】
本発明での触媒組成物の主要な特色は、Si−R又はSi−ORの構造を有し、すべてが置換されるシラン化合物である水素化触媒(b)を用い、触媒(b)は水素原子を含まないので、加水分解を起こしにくく、また、極性のより強い官能基との反応を起こしにくい。触媒(b)は、水素化反応の助触媒として、工業プロセスに使用することが好適であり、他の触媒組成物と配合して、その安定性と活性向上の効果を奏することができる。本発明の触媒組成物を共役ジエン系重合体中に添加した後、不活性ガスにおいて長時間貯蔵しても、なお相当の活性を有し、この時間は通常30時間以上に達し、且つ再現性が非常に良好である。本発明のもう一つの特色は、触媒(b)を高反応温度下で調製しても、なお相当に高い触媒活性を有し、反応温度が高すぎるために、触媒の活性を喪失せず、工業的な大量生産の需要により適合する。
【0079】
以下、複数個の実施例を挙げて更に一歩進んで本発明の方法、特徴及び利点を説明する。これら実施例は本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲に準ずる。
【実施例1】
【0080】
SBS共重合体の調製
10Lの攪拌器付反応釜中に5400gのシクロヘキサン、7.4mmoleのn−ブチルリチウム及び252mmoleのテトラヒドロフランを仕込み、且つその中に96gのスチレンを添加して、45℃下で重合反応を進行した。該反応後、さらに400gの1.3−ブタンジェンを添加して反応を行って、反応後、更に96gのスチレンを添加して重合反応を行い、固体含量9.7%、分子量23〜25万のSBS(スチレン−ブタジェン−スチレン)の三元ブロック共重合体溶液が得られた。
【実施例2】
【0081】
実施例1で調製したSBS三元ブロック共重合体の重合体溶液1000gを、耐圧水素化タンク中に移し、窒素ガスの環境下に保持して、室温下で、10mlのシクロヘキサンの中で、0.11mmoleのビス(トリメトキシシラン)ヘキサンを調合した。別に予め0.11mmoleのビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと0.16mmoleのn−ブチルリチウムを10mlのシクロへキサンの中で混合すると共に、0.055mmoleのビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタンと0.33mmoleのトリイソブチルアルミニウムとを20mlのシクロヘキサンの中で混合して、それぞれを上記に調製したSBS重合体溶液の中に添加し、その中に水素ガスを吹き込み、圧力を25kg/cm(2.45X10Pa)にした上で、100℃で水素化反応を行った。
【0082】
図1は、水素化前と水素化後のSBS重合体の赤外線スペクトルを示す。図1によると、SBS三ブロック共重合体は、水素化前には、波長968cm−1及び995cm−1のところでトランス二重結合に由来するピークを発現し、波長912cm−1のところで1,2−ビニル基二重結合のピークを確認した。水素化の1時間後に、上記波長の所に現われたピークが、はっきり消失していた。このときに測定できる水素化率(1,3−ブタジェン単位の不飽和二重結合の水素化率)は、95.2%になる。水素化反応のデータは、表1の通りである。
【実施例3】
【0083】
実施例1で調製したSBS三ブロック共重合体の重合体溶液1000gを、耐圧水素化タンクの中に移し、窒素ガスの環境下に保持して、室温下で、10mlのシクロヘキサンの中で、0.11mmoleのビス(トリメトキシシリル)ヘキサンを調合し、10mlのシクロヘキサンの中で、ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシチタン0.055mmoleを調合し、10mlのシクロへキサン溶液の中に、0.66mmolのトリエチルアルミニウムを調合して、それぞれを上記の整備されたSBS重合体溶液の中に添加し、その中に水素ガスを吹き込み、その圧力を25kg/cmにした上で、100℃の状態で水素化反応を進行させる。1時間後に測定できる水素化率が87.5%になり、2時間後には98%になる。水素化反応のデータは、表1の通りである。
【実施例4】
【0084】
実施例3と同一方法で、室温下で、10mlのシクロヘキサンの中で、0.11mmoleのビス(ジエトキシメチルシラン)エタンを調合し、別に予め0.055mmoleのビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルチタンを10mlのシクロヘキサンの中で混合すると共に、10mlのシクロヘキサンの中で、0.66mmoleの水素化ジイソブチルアルミニウムを混合して、それぞれを上記に調製したSBS重合体溶液の中に添加し、その中に水素ガスを吹き込み、その圧力を25kg/cmにした上で、100℃の状態で水素化反応を進行させる。1時間後に測定できる水素化率が94.3%になり、2時間後には98%になる。水素化反応のデータは表1の通りである。
【実施例5】
【0085】
実施例3と同一方法で、室温下で、10mlのシクロヘキサンの中で、0.11mmoleのビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンを調合し、別に予め0.055mmoleのビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタンを10mlのシクロヘキサンの中で混合すると共に、10mlのシクロヘキサンの中で、0.66mmoleのトリイソブチルアルミニウムを混合して、それぞれを上記で調製したSBS重合体溶液の中に添加し、その中に水素ガスを吹き込み、その圧力を25kg/cmにした上で、100℃の状態で水素化反応を進行させる。1時間後に測定できる水素化率が93.5%になり、2時間後には96.5%になる。水素化反応のデータは表1の通りである。
【実施例6】
【0086】
実施例3と同一方法で、室温下で、10mlのシクロヘキサンの中で、0.11mmoleのビス(トリメトキシシラン)ヘキサンを調合し、別に予め0.055mmoleのビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタンを10mlのシクロヘキサンの中で混合すると共に、10mlのシクロヘキサンの中で、0.33mmoleのトリエチルアルミニウムを混合して、それぞれを上記で調製したSBS重合体溶液の中に添加し、その中に水素ガスを吹き込み、その圧力を25kg/cmにした上で、120℃の状態で水素化反応を進行させる。1時間後に測定できる水素化率が84.9%になり、5時間後には91.1%になる。水素化反応のデータは表1の通りである。
【0087】
[比較例]
以下、複数の比較例を挙げて本発明と対比させるが、ここで注意すべきことは、これらの比較例に使用された水素化触媒組成物は、本発明に示した触媒(b)を含まず、これにより、本発明の水素化触媒組成物の特徴及び利点が理解される。
【0088】
[比較例1]
ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンを添加していないことを除き、実施例3と同様に行なった。予め0.055mmoleのビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタンを10mlのシクロヘキサンの中で分散すると共に、10mlのシクロヘキサンの中で、0.33mmoleのトリイソブチルアルミニウムを溶解して、それぞれを上記で調製したSBS重合体溶液の中に添加し、その中に水素ガスを吹き込み、その圧力を25kg/cmにした上で、100℃の状態で水素化反応を進行させる。図2は、水素化前と水素化後のSBS重合体の赤外線スペクトルを示す。図2によると、未水素化の前に、SBS三ブロック共重合体は、波長968cm−1及び995cm−1の所にトランス二重結合の官能基を示すピークを発見し、波長912cm−1の所に1,2ビニル二重結合の存在を確認した。水素化の1時間後に、波長995cm−1及び912cm−1の吸収が減少していることを発見したが、968cm−1の所の吸収は、ほとんど変化していない。このときに測定できる水素化率が23%になる。水素化反応のデータは、表1の通りである。
【0089】
[比較実施例2]
実施例1で調製したSBS三ブロック共重合体の重合体溶液1000gを、耐圧水素化タンク中に移し、実施例3の方法と同様に水素化ガスを導入して予め30分攪拌したが、ポリ(ジメトキシシリル)ヘキサンを0.22mmoleのn−ブチルリチウムに替えて、予め0.055mmoleのビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタンを10mlのシクロヘキサンの中で混合すると共に、10mlのシクロヘキサンの中で、0.44mmoleのトリイソブチルアルミニウムを混合して、それぞれを上記で調製したSBS重合体溶液の中に添加し、水素ガスの圧力を25kg/cmにした上で、100℃の状態で水素化反応を進行させる。30分間後に測定できる水素化率が15%になり、1時間後の水素化率が24%になる。水素化反応のデータは、表1の通りである。
【0090】
【表1】

【0091】
表1に示すように、本発明による水素化触媒組成物を利用した共役ジエン系重合体の水素化反応には、水素化の共役ジエン系重合体のトランス二重結合の残留量は、9%よりも低く、1,2−ビニル基二重結合の残留量は、5%よりも低く、且つ1,3−ブタジェンの水素化率は、89%よりも大きい。これに対し、比較例1と2には、使用した水素化触媒組成物が本発明の水素化触媒(b)を含んでいないので、トランス二重結合及び1,2−ビニル基二重結合の残留量は、明らかに相当高く、且つ 1,3−ブタジェンの水素化率は25%よりも低いことを発見した。
【0092】
以上に説明したように、本発明に開示された水素化触媒組成物は、共役ジエン系重合体に対し、優れた水素化能力を有しているもので、相対的に少ない量で十分に触媒反応を遂行することができる。又、本発明による水素化触媒(b)は、Si−R又はSi−ORの構成を有し、すべてが置換されるシラン化合物であり、酸素と反応しにくく、他の触媒組成物と配合してもその安定性が高く、他の触媒組成物の活性を向上させる。本発明による触媒(b)は、長い時間貯蔵しても、触媒の活性はなお良好な安定性及び再現性を有し、経済的効率に沿う。更に、本発明による触媒組成物は、広汎な温度範囲において、高度な水素化活性を維持している。本発明による触媒反応温度は100℃に達し、好ましくは40℃〜150℃の範囲を有するから、本発明による共役ジエン系重合体の水素化方法は、広汎な温度範囲で進行させることができ、高い水素化反応熱の下でも、触媒の活性を喪失しない。従って、工業的連続生産に適する。
【0093】
以上説明した内容を通して、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、多様な変更及び修正が可能であることが分かる。従って、本発明の技術的な範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限らず、特許請求の範囲によって定めなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施例による水素化前と水素化後のSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)共重合体の赤外線スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の比較例による水素化前と水素化後のSBS共重合体の赤外線スペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエン系重合体を水素化するための触媒組成物であって、前記共役ジエン系重合体は、共役ジエンによって形成される単独重合体又は共役ジエンとビニル芳香族化合物によって形成される共重合体であり、前記触媒組成物は、下記(a)乃至(c)化合物を含むことを特徴とする触媒組成物。
(a)チタン化合物
(b)下記化学式IIの構造を有する化合物
【化1】

(上記化学式IIにおいて、Rは、C〜C12のアルキレン基、C〜C12のアルケニレン基、C〜C12の脂肪族基を有するアミノ基、C〜C12の脂肪族基を有するエーテル基、C〜C12の脂肪族基を有するケトン基およびC〜C12の脂肪族基を有するエステル基から成る群から選ばれる一つであり、RとRは、C〜C12のアルキル基またはアルケニル基であり、RとR7は、C〜C12のアルキル基、C〜C12のアルケニル基、C〜C12の脂肪族基を有するアミノ基、C〜C12の脂肪族基を有するエーテル基、C〜C12の脂肪族基を有するケトン基及びC〜C12の脂肪族基を有するエステル基から成る群から選ばれる一つであり、n、mは自然数であり、n≦3であり、m≦3である)
(c)アルキルアルミニウム。
【請求項2】
前記チタン化合物(a)は、(Cp*)TiRであり、RとRのいずれかは同一又は異なる置換基であり、水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜C12のシクロアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、C〜C10のアリールアルコキシ基、C〜C10のアリールアルキル基、カルボキシ基、−CH2P(フェニル)、−CHSi(C〜Cアルキル)及び−p−(フェニル)から成る群から選ばれた一つであり、
前記Cp*は、シクロペンタジエニル、フルオレニル、インデニル及びその誘導体から成る群から選ばれた一つであり、
前記誘導体は、シクロペンタジエニル、フルオレニル、インデニルから成る群から一つを選び、それの少なくとも一つの水素を、置換基によって置換するものであり、
前記アルキルアルミニウム(c)は、R10Alであり、R、R及びR10の中は、同一又は異なる置換基であり、C〜C12のアルキル基、C〜C12のアリール基、水素原子及びハロゲン原子から成る群から選ばれる一つであることを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記(a)チタン化合物は、ビス(シクロペンタジエニルまたはその誘導体)チタンハロゲン化物、ビス(シクロペンタジエニルまたはその誘導体)チタンのアルコキシまたはアルキル化合物、ビス(フルオレンまたはその誘導体)チタンハロゲン化物、ビス(フルオレンまたはその誘導体)チタンのアルコキシまたはアルキル化合物、ビス(インデニルまたはその誘導体)チタンハロゲン化物、並びにビス(インデニルまたはその誘導体)のアルコキシまたはアルキル化物から成る群から選ばれる一つであることを特徴とする請求項2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記チタン化合物(a)は、
ビス(シクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(シクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二フッ化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(メトキシシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(シクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)二臭化チタン、ビス(エチルシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(n −プロピルシクロペンタジエニル)二塩化チタン、ビス(n −ブチル − シクロペンタジエニル)塩化チタン、ビス(2 − エチルヘキシルシクロペンタジエニル)塩化チタン、ジメチルジシクロペンタジエニルチタン、ジメトキシジシクロペンタジエニルチタン、ジメチル − ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジメトキシ − ビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジエチルジシクロペンタジエニルチタン、ジエチル − ビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジエトキシビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジフェノキシビス(2,4 − ジフェニルホスフィンシクロペンタジエニル)チタン、ジフェノキシビス(2,4 − ジメチルホスフィンシクロペンタジエニル)チタンジフルオレニル二塩化チタン、ジインデニル二塩化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二塩化チタン、ジフルオレニル二フッ化チタン、ジインデニル二フッ化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二フッ化チタン、ジフルオレニル二臭化チタン、ジインデニル二臭化チタン、ジインデニル二塩化チタン、ビス(ジメトキシフルオレニル)二臭化チタン、ジインデニル二臭化チタン、ジメチルジフルオレニルチタン、ジメトキシジフルオレニルチタン、ジメトキシジインデニルチタン、ジメトキシビス(ジメトキシフルオレニル)チタン、ジフェノキシジフルオレニルチタン、ジフェノキシジインデニルチタン、ジフェノキシビス(ジメトキシフルオレニル)チタン及びジフェノキシジインデニルチタンから成る群から選ばれる一つであり、
前記アルキルアルミニウム(c)は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ− n −プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ− n −ブチルアルミニウム、トリ− tert −ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ− n −ペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリ− n −ヘキシルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリ(1 − メチル−2 − ペンチル)アルミニウム、トリ(2,5 − ジメチルオクチル)アルミニウム、トリ(2,6 − ジメチルオクチル)アルミニウム、トリ(2 − エチルヘキシル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジエチル塩化アルミニウムエチル二塩化アルミニウム、ジプロピル塩化アルミニウム、酸ジブチル塩化アルミニウム、ジイソブチル塩化アルミニウム、ブチル二塩化アルミニウム及びそれらの化合物から成る群から選ばれる一つであることを特徴とする請求項3に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記化学式IIの構造を有する化合物(b)は、
前記化学式IIの構造を有する化合物(b1)において、RとRは、C〜Cアルキル基であり、RとRは、C〜Cアルキル基、C〜Cの脂肪族基を有するアミノ基、C〜Cの脂肪族基を有するエーテル基及びC〜Cの脂肪族基を有するケトン基から成る群から選ばれた一つであり、Rは、C〜Cのアルキレン基またはアルケニレン基、C〜Cの脂肪族基を有するアミノ基、C〜Cの脂肪族基を有するエーテル基及びC〜Cの脂肪族基を有するケトン基から成る群から選ばれた一つであり、
前記化学式IIの構造を有する化合物(b2)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、C〜Cのアルキレン基であり、
前記化学式IIの構造を有する化合物(b3)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、2つの条件のいずれかを有するR111213Nであり、前記条件は、R11、R12とR13は、C〜Cのアルキル基またはアルキレン基であり、又は、R11、R12とR13の中で、ただ一つは水素原子であり、他のものはC−Cのアルキレン基であり、
前記化学式IIの構造を有する化合物(b4)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、R14OR15であり、R14とR15のいずれかは、C〜Cのアルキレン基であり、
前記化学式IIの構造を有する化合物(b5)において、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、RとRは、C〜Cのアルキル基であり、Rは、R16COR17のケトン基であり、R16とR17のいずれかは、C〜Cのアルキレン基であり、
前記化学式IIの構造を有する化合物(b6)において、RとRのいずれかは、C〜Cのアルキルであり、RとRのいずれかは、C〜Cのアルキル基、C〜Cの脂肪族基を有するアミノ基、C〜Cの脂肪族基を有するエーテル基及びC〜Cの脂肪族基を有するケトン基から成る群から選ばれた一つであり、Rは、C〜Cのアルキレン基とR18NHR19のいずれかであり、R18とR19は、C〜Cのアルキレン基であり、
前記(b1)乃至(b6)化合物から成る群より一つを選ぶことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記共役ジエン系重合体は、カチオン重合、ラジカル重合、配位重合又はアニオン重合によって重合され、
前記共役ジエン系重合体は、1000〜1,000,000の範囲の重量平均分子量を有し、
前記共役ジエン系重合体は、5%〜85%の重量%の共役ジエン単位を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記チタン化合物(a)、前記化学式IIの構造を有する化合物(b)及び前記アルキルアルミニウム(c)のそれぞれは、同時に、又は順番に、前記共役ジエン系重合体の溶液に添加され、
前記チタン化合物(a)は、100グラムの前記共役ジエン系重合体に対し、0.001〜50ミリモルの範囲を有し、
前記化学式IIの構造を有する化合物(b)と前記チタン化合物(a)とのモル比は、0.1〜50の範囲を有し、
前記アルキルアルミニウム(c)と前記チタン化合物(a)とのモル比は、0.1〜50の範囲を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項8】
共役ジエンによって形成される単独重合体及び前記共役ジエンとビニル芳香族化合物によって形成される共重合体のいずれかである共役ジエン系重合体を水素化するための水素化方法であって、
不活性溶媒中で不飽和二重結合を有する共役ジエン単位を含む前記共役ジエン系重合体を溶解する工程と、
請求項1に記載の触媒組成物を前記共役ジエン系重合体の溶液に添加する工程と、
水素ガスを導入することによって前記不飽和二重結合を水素化する工程と、を備えていることを特徴とする水素化方法。
【請求項9】
前記水素化方法は、0℃〜200℃の範囲の温度及び1〜90 kg/cmの範囲の圧力で行ない、
前記不飽和二重結合の水素化率は、50%以上であり、
前記共役ジエン系重合体は、フェニル二重結合を有するビニル芳香族ユニットを含み、
前記フェニル二重結合の水素化率は、10%以下である請求項8に記載の水素化方法。
【請求項10】
前記共重合体は、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体及びスチレン(ブタジエン/イソプレン)共重合体から成る群から選ばれる一つである請求項8または9に記載の水素化方法
【請求項11】
前記共重合体は、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の水素化方法。
【請求項12】
前記スチレン−ブタジエン共重合体は、前記水素化の後に、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体になり、
前記スチレン−イソプレン共重合体は、前記水素化の後に、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体になり、
前記スチレン(ブタジエン/イソプレン)共重合体は、前記水素化の後に、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体になることを特徴とする請求項10または11に記載の水素化方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−94139(P2011−94139A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236686(P2010−236686)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(506156595)台橡股▲ふん▼有限公司 (6)
【Fターム(参考)】