説明

触感塗料用組成物

【目的】触感性が良好な紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化することができる触感塗料を提供すること。
【解決手段】一般式(1):CH=CR−COO−X−O−(CO−X−O)−H(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは分岐構造を有していてもよい炭素数3〜6のアルキレン基、mは1〜8の整数を表す。)で表される(メタ)アクリレート(a)を含有する(メタ)アクリレート類(A)、ポリオール類(B)およびイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類(C)を反応させて得られるウレタンアクリレートを含有する触感塗料用組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触感塗料用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料は様々な分野で広く使用されているが、自動車内装部品や家電製品のプラスチック部品などでは、高級感を出すために「しっとり感」を有する塗膜を提供できる触感塗料が用いられることがある。
【0003】
触感塗料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、イソシアネート、ウレタンビーズおよびポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するもの(特許文献1参照)が提案されているが、近年、生産性を高めるため、紫外線で硬化できる触感塗料が求められるようになってきている。
【0004】
このような要望に答えるべく紫外線硬化性モノマーとシリコン化合物を用いた紫外線硬化型皮革調塗料組成物も提案されている(特許文献2参照)がさらなる向上が求められていた。
【0005】
ところで本出願人はポリウレタンアクリレートをクリアコーティング剤として提案している(特許文献3参照)が、当該クリアコーティング剤の触感性については、何ら検討はされていなかった。また、一般塗料や表面処理剤として、一分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基と水酸基とを併せ有する化合物と、300〜3,000なる分子量を有するポリカーボネートジオールと、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートとを反応させて得られる活性エネルギー線硬化型樹脂調製物についての提案がなされていた(特許文献4参照)が当該活性エネルギー線硬化型樹脂調製物の触感性については何ら検討が行われていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−344049号公報
【特許文献2】特開2006−257366号公報
【特許文献3】特開平2−274713号公報
【特許文献4】特開平5−70534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、触感性が良好な紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化することができる触感塗料を提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は前記課題を解決すべく、鋭意検討したところ、ポリウレタンアクリレートの中に特定の構造を導入することにより触感性が向上することを見出した。すなわち、本発明は、一般式(1):CH=CR−COO−X−O−(CO−X−O)−H(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは分岐構造を有していてもよい炭素数3〜6のアルキレン基、mは1〜8の整数を表す。)で表される(メタ)アクリレート(a)を含有する(メタ)アクリレート類(A)、ポリオール類(B)およびイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類(C)を反応させて得られるウレタンアクリレートを含有する触感塗料用組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、触感性に優れた触感塗料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の触感塗料組成物は、一般式(1):CH=CR−COO−X−O−(CO−X−O)−H(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは分岐構造を有していてもよい炭素数3〜6のアルキレン基、mは1〜8の整数を表す。)で表される(メタ)アクリレート(a)(以下、(a)成分という)を含有する(メタ)アクリレート類(A)(以下、(A)成分という)、ポリオール類(B)(以下、(B)成分という)およびイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類(C)(以下、(C)成分という)を反応させて得られるウレタンアクリレートを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明に用いられる(A)成分は、(a)成分を含有するものであれば特に限定されず公知のものを用いることができる。(A)成分中に含まれる(a)成分の含有量は特に限定されないが、通常、(A)成分中、50〜100重量%程度であり、好ましくは、70〜90重量%である。
【0012】
(a)成分は、例えば、一般式(3):CH=CR−COO−X−OH(式中、R、Xは一般式(1)と同じ)で表される化合物(a−1)(以下、(a−1)成分という)に、一般式(4):H−O−(CO−X−O)−Hで表される化合物(a−2)(以下、(a−2)成分という)および/または一般式(5):
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、X、mは一般式(1)と同じ)で表されるラクトン類(a−3)(以下、(a−3)成分という)を反応させることにより得られる。
【0015】
(a−1)成分としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
(a−2)成分としては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類の開環重合物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
(a−3)成分としては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
(a−1)成分と、(a−2)成分および/または(a−3)成分の反応は公知の方法により行うことができる。通常は、140〜160℃で、2〜3時間程度反応させればよい。また、必要に応じて反応の際にエステル化触媒や重合禁止剤を使用してもよい。なお、(a−1)成分と(a−2)成分および/または(a−3)成分の使用量により(a)成分に導入されるポリエステル構造の繰り返し数mを制御することができる。
【0019】
なお、(a)成分は、(a−1)成分と(a−3)成分を反応させて製造することが、合成が容易であることから好ましい。
【0020】
(A)成分として用いることができる(a)成分以外の(メタ)アクリレートとしては、水酸基および(メタ)アクリル基をそれぞれ1つづつ含有するものであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、前述した(a−1)成分などが挙げられる。なお、(a)成分以外の(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
本発明に用いられる(B)成分としては、水酸基を少なくとも2つ以上含有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール(b−1)(以下、(b−1)成分という)とポリイソシアネート(b−2)(以下、(b−2)成分という)を反応させて得られるポリオール(b)(以下、(b)成分という)などが挙げられる。
【0022】
ポリエステルポリオール類としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、その他の二塩基酸などと、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールまたはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオール類とからの重縮合反応により得られるポリエステルポリオール類、カプロラクトン等の環状エステルの開環重合体としてのポリカプロラクトンとポリオール類の反応物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
ポリエーテルポリオール類としては、具体的には、例えば、前記ポリエステルポリオール類の原料となる前記ポリオール類の多量体の外、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環重合体としてのポリテトラメチレングリコール等、および、前記ポリオール類の、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイドの付加物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
ポリカーボネートポリオール類としては、具体的には、例えば、前記ポリエステルポリオール類の原料となる前記ポリオール類と、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、または、ジフェニルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチルジフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、4,4’−ジエチルジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピルジフェニルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート、または、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等のジアルキルカーボネート等との反応物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
(b)成分の製造に用いられる(b−2)成分としては、分子中に2以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート類が挙げられる。(b−2)成分としては、これらの1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは、イソホロンジイソシアネートが、耐候性が優れているので好ましい。
【0026】
(b−1)成分と(b−2)成分の反応には、公知のポリオールとポリイソシアネートの反応法を採用することができる。具体的には、例えば、80〜90℃程度で、3〜4時間程度行えばよい。なお、(b−1)成分と(b−2)成分の使用量は、(b)成分がポリオールとなるように、(b−1)成分を過剰に用いればよいが、通常、(b−2)成分1モルに対し、(b−1)成分を1.2〜2モル程度用いることが好ましい。
【0027】
(B)成分は、前記ポリオール類の1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは、(b)成分を用いることが、高分子量化が容易であることから好ましい。なお、(B)成分の分子量は4000〜8000程度とすることが優れた触感と傷付き性を発現させるために好ましい。
【0028】
本発明に用いられる(C)成分としては、イソシアヌレート構造を有し、イソシアネート基を少なくとも2つ以上有するポリイソシアネートであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。これらのなかでは、例えば、一般式(4):
【0029】
【化2】

【0030】
で表される1,3,5−トリス(イソシアナートヘキシル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンを用いることが、触感が良好となるため好ましい。
【0031】
本発明に用いられるウレタンアクリレートは、前記(A)〜(C)成分を反応させることにより得られる。これら(A)〜(C)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A):(B):(C)が、2〜2.95:0.025〜0.5:1(モル比)程度にすることが、合成が容易となるため好ましく、特に、2.8〜2.4:0.1〜0.3:1(モル比)とすることが、触感が良好となるため好ましい。
【0032】
(A)〜(C)成分の反応は特に限定されず公知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、(A)〜(C)成分を一括で仕込み、反応させればよい。なお、必要に応じて、オクチル酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート等の触媒を使用してもよい。触媒を使用する場合の使用量は(A)〜(C)成分の合計100重量部に対し、0.01〜0.05重量部程度である。通常、反応は70〜80℃程度で、2〜3時間程度行えばよい。なお、必要に応じて公知の重合禁止剤を添加してもよい。
【0033】
本発明の触感塗料組成物は前記(A)〜(C)成分を反応させて得られるウレタンアクリレートを含有することを特徴とするものである。当該ウレタンアクリレートの含有量は特に限定されないが、通常、触感塗料組成物100重量部中に、当該ウレタンアクリレートを50〜100重量部程度、好ましくは80〜100重量部含有させる。なお、本発明の触感塗料組成物には、必要に応じてさらに反応性希釈剤、光重合開始剤、塗料に用いられる公知の添加剤、顔料等を含んでもよい。
【0034】
反応性希釈剤(D)(以下、(D)成分という)としては、活性エネルギー線硬化型塗料に用いることができるものであれば、特に限定されず公知のものを使用することができる。(D)成分は、単官能、多官能のいずれでも良く、また1種を単独で使用しても複数を適宜組み合わせて使用しても良い。具体的には、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。アクリル系モノマーとしては、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ビスフェノールAテトラエチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。また、ポリイソシアネート類とヒドロキシルアクリレート等を反応させて得られるウレタンアクリレート類をなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。(D)成分を用いる際の使用量は特に限定されないが、通常、一般式(1)で表される化合物100重量部に対し5〜30重量部程度とすることが好ましい。
【0035】
光重合開始剤(E)(以下、(E)成分という)としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。なお、(E)成分は、通常、紫外線で硬化させる場合に用いられるものであり、電子線で硬化させる場合には使用しなくてもよい。(E)成分としては、具体的には、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、p−ジメチルアセトフェノン、チオキサントン、アルキルチオキサントン、アミン類などがあげられる。また、ダロキュアー1173、イルガキュアー651、イルガキュアー184、イルガキュアー907、イルガキュアー2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等の市販のものをそのまま使用しても良い。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。(E)成分を用いる際の使用量は特に限定されないが、通常、一般式(1)で表される化合物100重量部に対し1〜5重量部程度とすることが好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。
【0037】
製造例1((b)成分の製造)
攪拌機、温度計および冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコにポリ(3−メチルペンタンアジペート)ジオール(商品名:クラレポリオールP−2010、(株)クラレ製、数平均分子量2000)を1000g、イソホロンジイソシアネート74gを仕込み、攪拌しながら徐々に加熱を行った。反応による発熱状態に注意しながら、1.5時間をかけて80℃まで昇温し、80〜85℃で1時間保温後、オクチル酸第一スズ0.21g(200ppm)を添加し更に2時間保温した。IRで残存イソシアナート基が消失したことを確認した後に冷却し、淡黄色粘稠液体1074gを得た。これを樹脂B1とした。
【0038】
製造例2((b)成分の製造)
製造例1と同様の反応装置にポリプロピレングリコール(商品名:アデカポリエーテルP−2000、(株)ADEKA製、数平均分子量2000)を1000g、イソホロンジイソシアネートを74g仕込み、製造例1と同様に反応を行い、淡黄色粘稠液体1074gを得た。これを樹脂B2とした。
【0039】
製造例3((b)成分の製造)
製造例1と同様の反応装置にポリカーボネートジオール(商品名:クラレポリオールC−2090、(株)クラレ製、数平均分子量2000、)を1000g、イソホロンジイソシアネートを74g仕込み、製造例1と同様に反応を行い、淡黄色粘稠液体1074gを得た。これを樹脂B3とした。
【0040】
製造例4
製造例1と同様の反応装置に1,3,5−トリス(イソシアナートヘキシル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン(商品名:コロネートHX、日本ポリウレタン工業(株)製、イソシアナート基含有量21%)を150g、ε−カプロラクトン−β−ヒドロキシエチルアクリレート付加物(ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン4mol付加体、商品名:プラクセルFA−4、ダイセル化学工業(株)製)を259g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを29g、樹脂B1を162g、4−メトキシフェノールを0.60g(1000ppm)を仕込み、攪拌しながら徐々に加熱を行った。反応による発熱状態に注意しながら、1.5時間をかけて75℃まで昇温し、75〜80℃で1時間保温後、オクチル酸第一スズ0.12g(200ppm)を添加し更に1時間保温した。IRで残存イソシアナート基が消失したことを確認した後に冷却し、淡黄色粘稠液体600gを得た。これを樹脂1とした。
【0041】
製造例5
製造例3における樹脂B1を樹脂B2に変更した以外は同様の反応を行い、淡黄色粘稠液体600gを得た。これを樹脂2とした。
【0042】
製造例6
製造例3における樹脂B1を樹脂B3に変更した以外は同様の反応を行い、淡黄色粘稠液体600gを得た。これを樹脂3とした。
【0043】
比較製造例1
製造例1と同様の装置にコロネートHXを230g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを124g、樹脂B1を246g仕込み、製造例1と同様に反応を行い、淡黄色粘稠液体600gを得た。これを樹脂4とした。
【0044】
比較製造例2
製造例1と同様の装置にコロネートHXを380g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを220g仕込み、製造例1と同様に反応を行い、淡黄色粘稠液体600gを得た。これを樹脂5とした。
【0045】
実施例1
製造例1で得られた樹脂1を50重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを50重量部および光重合開始剤(商品名イルガキュアー184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2.5重量部混合し、触感塗料組成物を調製し、以下の試験に供した。
【0046】
実施例2、3および比較例1〜4
樹脂1を樹脂2〜5に変えた他は実施例1と同様の組成物を混合し、触感塗料組成物を調製し、以下の試験に供した。
【0047】
<各種性能試験方法>
1.触感性試験
得られた試料をポリカーボネート板上にアプリケーターで乾燥膜厚20μm塗布し、80℃で2分乾燥させた。これに高圧水銀灯を照射して硬化させ(120W/cm×10cm(高さ)×1灯×10m/分×3パス)、これを硬化塗膜とした。触感性の判断は、硬化塗膜表面を指で触り、指の引っ掛り方でしっとり感を判定した。結果を表1に示す。
○・・・・・・指がかなり引っ掛るしっとりした触感。
△・・・・・・指が少し引っ掛るしっとりした触感。
×・・・・・・指が全く引っ掛らず、つるっとしており、しっとりした触感がない。
【0048】
2.傷付き性試験
触感性試験と同じ硬化塗膜表面を爪先で強く擦り、その表面の傷付き性を目視判定した。結果を表1に示す。
○・・・・・・傷が全く残らない。
△・・・・・・傷がわずかに残る。
×・・・・・・傷がはっきり残る。
【0049】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):CH=CR−COO−X−O−(CO−X−O)−H(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは分岐構造を有していてもよい炭素数3〜6のアルキレン基、mは1〜8の整数を表す。)で表される(メタ)アクリレート(a)を含有する(メタ)アクリレート類(A)、ポリオール類(B)およびイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類(C)を反応させて得られるウレタンアクリレートを含有する触感塗料用組成物。
【請求項2】
ポリオール類(B)が、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類およびポリカーボネートポリオール類からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール(b−1)とポリイソシアネート(b−2)を反応させて得られるポリオール(b)である請求項1記載の触感塗料用組成物。
【請求項3】
イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類(C)が、一般式(2):
【化1】

で表される化合物である請求項1または2に記載の触感塗料用組成物。
【請求項4】
一般式(1):CH=CR−COO−X−O−(CO−X−O)−H(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは分岐構造を有していてもよい炭素数3〜6のアルキレン基、mは1〜8の整数を表す。)で表される(メタ)アクリレート(a)を含有する(メタ)アクリレート類(A)、ポリオール類(B)およびイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類(C)の使用量が、(A):(B):(C)が、2〜2.95:0.025〜0.5:1(モル比)である請求項1〜3のいずれかに記載の触感塗料用組成物。
【請求項5】
さらに反応性希釈剤(D)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の触感塗料用組成物。
【請求項6】
さらに光重合開始剤(E)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の触感塗料用組成物。

【公開番号】特開2008−231149(P2008−231149A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68528(P2007−68528)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】