触覚刺激装置
触覚刺激を与える装置であって、外面に設けられた1つ又は2つ以上の隆起要素とを有するフィンガースリーブを具備し、1つ以上の隆起要素又は隆起要素の部分がスリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の15%によって画定された該スリーブの領域内に設けられており、隆起要素が隆起要素を担持しないスリーブ表面のブランク領域を取り囲むループを成して配列されている。隆起要素が、該スリーブ外面上に流体保持領域を画定することができる。スリーブの1つ以上の領域が、スリーブの残りの部分よりも大きいフレキシブル性を有して、円周を可変にすることができる。本装置は特には女性の不感症の治療に使用され、触覚刺激にとともに流体物質を供給することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚刺激を具体的には身体に加えるのに使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この装置は、感受性組織部位、例えば勃起組織及び具体的には陰核を刺激するために使用することができ、従って、女性オルガスム障害として知られる症候群の治療に使用するのに特に適している。
【0003】
特許文献1に記載されている塗布器/刺激付与装置は、女性オルガスム障害(女性性的刺激障害と呼ばれる)の治療に使用することができ、そして、潤滑性流体及び/又は製薬活性物質、例えば血管拡張薬と一緒に、触覚刺激を性器部位に手によって加えることを容易にする。特許文献1の装置は、1つ又は2つ以上の流体含有セル、及び任意には、付加的な触覚刺激を提供するための突起をも有するフレキシブルな指スリーブの形を成している。流体セルは好ましくは使用前にシールされているが、しかし受圧下で破裂することにより、流体を放出する。
【0004】
特許文献2に開示されたグローブ及び指スリーブは、口腔内の部位に活性物質を塗布するのに使用される。これらの装置は、シールされた中空部材を担持している。これらの中空部材は、例えば装置を歯又は歯茎にこすり付けることにより加圧すると、活性物質を放出するように構成されている。
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/39945号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,819,765号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、やはりここでも触覚刺激を加えるために、そして任意には流体及び/又はその他の物質を、刺激された部位に供給するためにも使用することができるこのような指装着用装置の別の形態を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点によれば、触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、装置が、指を収容するように適合されたスリーブと、スリーブの外面に設けられた1つ又は2つ以上の隆起要素とを含む装置が提供され、装置はさらに、下記特徴a)〜g)の1つ又は2つ以上を特徴とする:
a) 隆起要素の1つ以上又は隆起要素の一部が、スリーブの遠位端から測定してスリーブの全長の最初の15%によって画定されたスリーブの領域内に設けられている。
b) 隆起要素がスリーブ外面に、閉じたループを成して、好ましくは長円形、円形、楕円形、「菱形」又は丸みのある端部を有する矩形を成して配列されている。
c) 隆起要素がスリーブ表面上に、隆起要素を担持しないスリーブ表面のブランク領域を取り囲むループを成して配列されている。
d) 隆起要素が、スリーブ外面上の流体保持領域を少なくとも部分的に画定する。
e) 好ましくはスリーブのサイズ(具体的には円周)を可変にするように、スリーブの1つ以上の領域が、スリーブの残りの部分よりも大きいフレキシブル性を有している。
f) スリーブが、スリーブ強度低減領域によって少なくとも部分的に画定された引裂可能な部分を有している。
g) スリーブが、装着中の内部からの空気の放出を容易にするために通気口を備えている。
【0008】
装置はこれらの特徴の好ましくは2つ以上、より好ましくは2つ又は3つ又は4つ以上、そして理想的には全てを組み込んでいる。
特に好ましい実施態様は、少なくとも特徴(a)及び(c)を、好ましくは特徴(b)及び/又は特徴(d)との組み合わせにおいて、組み込んでいる。
別の好ましい実施態様は少なくとも構成(a)及び(d)を組み込んでいる。
さらに別の好ましい実施態様は少なくとも構成(e)を、好ましくは(a)及び/又は(c)及び/又は(d)との組み合わせで、そして好適には特徴(f)との組み合わせで組み込んでいる。
【0009】
本明細書中において、「遠位端」及び「近位端」という用語は使用中の装置に言及する場合に使用する。従って遠位端は、使用中には着用者の指の自由端を収容することになる端部である。「指」という用語はまた、親指を含むものとし、そして典型的にはヒトの男性又は女性の指を意味する。
【0010】
本発明による装置は、触覚刺激を手で加えることを可能にし、また上述のように、女性オルガスム障害の治療に特に使用することができる。この装置は典型的には単回使用のために、そして使用後に処分できるように構成される。
【0011】
装置のベースを形成するスリーブは、フレキシブルな且つ/又は弾性的な材料、例えば天然又は合成ゴム又はプラスチック材料から、好ましくは少なくとも部分的に、より好ましくは全体的に形成されるのが好ましい。好適な材料は、ポリウレタン、ポリプロピレン、シリコン及び熱可塑性エラストマー、好ましくは後者を含む。この材料に好適な硬度ショアAは、例えば20又は25〜55又は60°、より典型的には25又は30〜35又は40又は45°、例えば約30°(例えば28〜32°、理想的には28〜30°)である。理想的にはこの材料は、ほぼ指形の構造を無支持状態で保つのに十分な程度に、典型的な男性用コンドームよりも厚く低フレキシブル性であるが、しかし、着用者の指の周りに装置を快適に装着するのを可能にするのには十分に、そして使用中に着用者の指とともに曲がるのには十分にフレキシブルである。材料は理想的にはまた、特に使用中に指先の下側に対応する領域、及び/又は隆起要素が配置された領域において、使用者が少なくとも或る程度の触覚感受性を保つのを可能にするのに十分に薄い。
【0012】
この所期用途に基づき、スリーブは非毒性の、より好ましくは製薬等級の材料から形成されるのが好ましい。
【0013】
スリーブは例えば、特許文献1に記載された一般形態を有していてよい。好ましくはスリーブは、その遠位端で閉じられ、そして典型的にはほぼ円形の横断面を有することになる。
【0014】
例えば射出成形又はディップ成形によって、或いはインジェクション・ブロー成形又は注型によって、プラスチック又はゴムスリーブを製造することができる。このようなプロセスを用いて、隆起要素及び所望の場合には下記のように意図される流体セルを設けることを含めて、スリーブ表面に所望のプロフィールを付与することもできる。
【0015】
スリーブのサイズ及び形状は、収容することが意図される指のサイズ及び形状に依存してよい。例えば欧州又は北米の使用者のための典型的な長さは、40〜80mm、より好適には45〜75mmであってよい。スリーブが着用者の指先だけ、すなわち遠位側指関節と境を接する指端部だけを収容するのに十分に長い場合には、好適なスリーブの長さは、25〜35mm、より好適には25〜30mmである。
【0016】
スリーブの長さはその周面の周りで変化してよく、例えば、使用中に着用者の指の下側(手のひら側)に対応する面の方が長い。スリーブの長さは最も長い場所では好適には60〜85mm、好ましくは65〜80mm又は70〜75mmであってよく、そして最も短い場所(典型的には着用者の指の上側又は背側に対応)では、35〜60mm、好ましくは40〜55mm、より好ましくは45〜55mmであってよい。このような長さは、好適にはその外面に沿って、スリーブの遠位端から測定することができる。或いは、これらの長さは、スリーブの長手方向中心軸に沿って測定することもできる。本明細書において、スリーブの全長のパーセンテージに言及するときには、これはスリーブの最長部分における長さ、又は隆起要素が配置されている側(典型的には下側)における長さに関連するものと考えることができる。
【0017】
好適なスリーブ円周はスリーブの長さに沿って変化してよく、好適には、着用者の近位側指関節に対応する位置ではより大きく(例えば49又は50〜65又は71mm、好ましくは55〜60mm)、また遠位側指関節ではより小さい(例えば40〜55又は60mm、好ましくは45〜53mm)。スリーブ円周は、スリーブの遠位端に近づくに従って、そして遠位端において、さらに小さい値にまで漸減してよい。これらの形状は欧州/北米人口向けであり、他の人口に対しては変化させることができる。
【0018】
特に断りがない限り、本明細書において引用されたスリーブ寸法は、その曲げられていない状態、すなわち着用者の指に使用する前のスリーブに関連する。例えば東南アジア及び他の使用者群に対してはより小さな寸法が適切であることがある。
【0019】
スリーブは、例えば特徴(e)との関連において下記に説明するように、サイズの可変性を可能にするように構成することができる。スリーブは2つ以上の指を収容可能であってよい。スリーブは指の爪を収容するように、その遠位端で成形されてよく、或いは、着用者の快適性を高め、装着状態を改善し、且つ/又はその審美的な外観を向上させるように、プロフィール付与されてよい。
【0020】
装置の隆起要素は、使用中に触覚刺激を提供するのを助ける。「隆起要素」とは、典型的には長手方向スリーブ軸の方向対して実質的に垂直な方向、且つ/又は、当該点におけるスリーブ外面の平面に対して実質的に垂直な方向で、スリーブの外面の上方に突出する要素を意味する。
【0021】
隆起要素の数、サイズ及び位置は、装置の意図される用途、例えば装置が提供することが意図される刺激の性質及び程度、並びに装置に求められる審美的品質に依存する。例えば適切なサイズを有し、適切に成形され配置された単一の隆起要素が設けられていてよい。或いは、複数の隆起要素、例えば2つ以上、典型的には3つ以上、好ましくは6つ以上、より好ましくは6〜10個、最も好ましくは8つの隆起要素が設けられていてもよい。隆起要素は、スリーブの遠位端に、又は遠位端近くに配置されると好都合である。
【0022】
上記構成(b)に従って、隆起要素は好ましくはループ、より好ましくは丸みのある(すなわち角のない)ループを成して、さらにより好ましくは、線形又はアングル形(例えば古典的には矩形)配列とは異なり、長円形、円形、楕円形、「菱形」又は丸みのある端部を有する矩形を成して配列されている。このことは、特徴(c)及び(d)と相俟って、下記に論じる利点をもたらすのを助け、また、装置を審美的に改善する。ループの直径は例えば、10〜30mm、より好適には15〜30mmであってよく、ループが細長い場合には、これらの形状は典型的には最長寸法に関連する。ループは複数の個々の隆起要素から形成することができ、或いは例えばループの形状の、単一の連続的な隆起要素によって形成することができる。
【0023】
隆起要素の少なくともいくつか、及び理想的には全てが、使用中に着用者の指先の下側に対応する装置の特定領域、従って主要な触覚刺激領域を提供することになる装置の特定領域に配置されるのが好ましい。典型的には着用者の遠位側指関節と境を接するこの「指先」領域は一般に、最も感受性が高く最も制御可能な指部位を意味する。
【0024】
理想的には、上記特徴(a)に従って、1つ以上の隆起要素又は隆起要素の部分が、スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の15%、好ましくは最初の14又は13又は12又は11又は10%によって画定されたスリーブ表面の領域内に設けられている。しかし、スリーブが唯1つの隆起要素を担持する場合、その要素の容積(スリーブ外面を超えて突出する容積を意味する)の4%以上、より好ましくは5又は6%以上が、画定された領域内に配置されていることが好ましい。
【0025】
典型的には、1つ以上の隆起要素又はその部分を含有する画定された遠位端領域は、スリーブの遠位端から測定して、5〜15mm、より典型的には6〜12mm、又は7〜10mmの長さを占めることになる。
【0026】
特にスリーブの長さが指全長未満(例えば着用者の指先だけ)を収容するようになっている場合、遠位端から測定して、スリーブ全長の最初の16%又は17%又は18%又は20%又は22%又は25%又は28%又は30%によって画定されたスリーブの領域内に1つ以上の隆起要素又は隆起要素の部分を有することが、本発明による装置に適している。この場合、全長の20%又は22%又は25%又は26%又は30%又は35%又は40%によって画定された領域内に、2つ以上、好ましくは3つ以上の隆起要素又はこれらの部分が設けられていてよい。いずれの場合にも、隆起要素はやはり、使用中には上記定義された指先領域内にすべてが配置されることが好ましい。
【0027】
スリーブの遥かに遠位の端部には、例えば全長の最初の3%又は4%又は5%以内、或いはスリーブの遠位端の2又は3又は4mm以内には、隆起要素は設けられていないことが好ましい場合がある。具体的には、遠位端を超えて延びる、例えばスリーブの長手方向軸の方向に対して概ね平行な方向に延びる隆起要素が設けられていないことが好ましい場合がある。
【0028】
スリーブ全長の(遠位端から測定して)最初の25%によって画定された領域には、好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ又は5つの隆起要素が設けられている。全長の最初の40%によって画定された領域には、より好ましくは5つ以上、より好ましくは6つ又は7つの隆起要素が設けられている。
【0029】
隆起要素の理想的には全て、又はほとんど(70%又は80%以上)が、上述の「指先」領域内に、典型的にはスリーブの遠位端から測定して、好ましくはスリーブ全長の最初の50%、より好ましくはスリーブ全長の最初の45%又は42%によって画定されたスリーブ表面領域内に配置される。
【0030】
スリーブの遠位端から測定してスリーブ全長の最初の55%、又は最初の50又は45又は42%を超えて延びるスリーブの領域内では、少なくとも使用中のスリーブの下側(手のひら側)には、隆起要素が設けられないのが好都合である。好適には、着用者の指先に対応する領域、つまり着用者の遠位側指関節と境を接する遠位領域(ここでもやはり、少なくとも、使用中におけるスリーブの手のひら側)にだけ、隆起要素が設けられる。この領域は、スリーブの遠位端から測定して、例えば25〜40mm、典型的には28〜35mm、例えば約30mmの長さを占めることができる。スリーブの近位端の下側に隆起要素を設けないままにすることにより、使用中のフレキシブル性及び快適さを改善することができ、具体的には、着用者の近位側指関節及び好ましくは遠位側指関節に対応する領域を自由に曲がるようにしておくことができ、そして理想的には、刺激することが意図されない身体領域との不所望な接触を回避することができる。
【0031】
隆起要素の好ましい形状は、ほぼ球形であるか又はその自由端で少なくとも半球形であるドーム状突起又は瘤塊を成している。スリーブ表面上のその高さは、3〜6又は7mm、好ましくは4又は4.5〜5mmであってよい。スリーブ表面におけるその直径は、2.5又は3〜5mm、好ましくは4〜4.5mmであってよい。
【0032】
2つ又は3つ以上の隆起要素が設けられている場合、これらの要素は全て同じサイズ及び形状を有することができ、またこれらの要素は均一な間隔、又は不均一な間隔を置いて設けることができる。スリーブ表面における隆起要素間の典型的な間隔は、2〜6mm、又は2〜5.5mm、例えば約4mmであってよい。この間隔は、(例えば自由端で測定した)隆起要素の中心間の間隔4〜10mm、好ましくは5〜10mmを意味することができる。
【0033】
隆起要素は、例えばスリーブの成形中に、スリーブ壁の部分として形成されるのが好都合である。或いは、これらの隆起要素を別個に製造し、そして例えば接着剤によって、又は溶着によってスリーブ外面に固定するか、或いは、隆起要素を担持する二次支持体を介して、隆起要素自体がスリーブ面に固定される。
【0034】
上記特徴(c)に従って、隆起要素は好ましくは、隆起要素を担持しないスリーブ面のブランク領域を画定する。より好ましくは、隆起要素の配列は、それぞれが1つ以上の、好ましくは2つ以上の隆起要素から成る2つの群を含み、これらの2つの群は、ブランク領域のいずれかの側に配置されている。隆起要素から成るこれら2つの群はブランク領域によって、スリーブ表面の周りで周方向に互いに離隔されている。
【0035】
ブランク領域は好ましくは、使用中にこれが着用者の指先の手のひら側の中心領域に対応するように配置される。ブランク領域の幅は好ましくは4mm以上、より好ましくは5又は6mm以上(すなわちスリーブ周面の周りで、典型的には2つの隆起要素群間で測定)であり、例えば7又は8又は9mm以下である。これは、その地点におけるスリーブ円周の7%以上、好ましくは8又は10%以上、例えば15又は20又は25%以下の幅に相当することができる。
【0036】
ブランク領域は、その長手方向端部のいずれか又は両方において、1つ又は2つ以上の隆起要素と境を接することができる。両端で境を接する場合には、その長さ(スリーブの長手方向軸に対して平行な方向で、しかもブランク領域を画定する隆起要素内部で測定)は、10〜25mm、好ましくは12〜23mm、例えば15〜22mm、好適には約19mmであってよい。従ってその長さは、スリーブ全長の10〜65%、好ましくは20〜50%、又は20〜30%に相当することができる。ブランク領域は好ましくは、スリーブの遠位端から測定してスリーブ全長の最初の15%、理想的には14又は13又は12又は11又は10%以内にある地点から延びている。
【0037】
ブランク領域を間で画定する2つの隆起要素群が設けられている場合、それぞれの群は、例えば長手方向のスリーブ軸に対して平行又はほぼ平行に延びる隆起要素列を含むことができる。それぞれの群は2つ又は3つ以上の、好ましくは3つ又は4つ以上の隆起要素を含むことができる。或いは、「群」は、例えば細長い形の単一の隆起要素から成り、これにより、個々の要素から成る列を模倣することができる。
【0038】
従ってブランク領域は、理想的には丸みのある端部を有するほぼ矩形の形状、又は「菱形」、又はほぼ楕円形又は長円形又は円形を有することができ、これらの形状は隆起要素と境を接している。ブランク領域は好ましくは、隆起要素のループによって取り囲まれており、2つの隆起要素「群」がループの2つの側を構成する。
【0039】
スリーブ表面上にブランク領域を提供する、隆起要素のこのような配列は、陰核に触覚刺激を加えるために本発明の装置を使用する場合、より具体的には、女性オルガスム障害を治療する場合に特に有利であり得る。陰核幹及び陰核を直接的に取り囲む領域を刺激するために、ブランク領域のいずれかの側の隆起要素を使用する一方、しばしば高感受性であり、従って或る患者(例えば更年期の女性)の場合には痛みを伴う陰核自体を、過度の直接的な刺激から保護することができる。隆起要素は、使用中に陰核先端を取り囲むが、しかし好適にはこれに接触しないように配列されるのが理想的である。
【0040】
さらに、例えば互いに離隔された2つの列の形態で、2つの隆起要素群を設けると、使用中には1本の指だけを使用して触覚刺激を加えることができる。触覚刺激は通常2本の指の使用を必要とするので、上記構成は装置の効果を高める。
【0041】
上記特徴(d)に従って、隆起要素は触覚刺激を提供するだけでなく、トラップを画定するのに役立つ。このトラップは、潤滑剤又は製薬活性物質のような流体物質を塗布するために装置を使用する場合に、塗布しようとする領域にその物質を保持するのを助け、ひいては損失量を低減し、使いやすさを高める。「流体保持領域」とは、少なくとも、装置がほぼ水平方向に保持されているとともにその隆起要素が最上位置にある場合に、流体、例えば潤滑剤又は活性物質含有流体の量を少なくとも部分的に捕捉することができる領域を意味する。
【0042】
流体保持領域はスリーブ上の隆起要素によって少なくとも部分的に画定されるべきであり、そして好ましくは、隆起要素及びスリーブ外面によって仕切られた、頂部が開いた包囲体の形態を成す。換言すれば流体保持領域は、隆起要素(理想的にはこれらのうちの2又は3又は5又は6以上、より好ましくはこれらの全て)及びスリーブ外面によって完全に画定されていてよい。流体保持領域内のスリーブ表面は、例えば凹部又は凹みを有するのではなく、実質的に平らであるのが好都合であり、そして、隆起要素が存在しない場合にはスリーブ表面は流体を捕捉するのに全く役立たないように形成することができる。
【0043】
好ましくは、流体保持領域は、隆起要素によって形成されたループ内部の面積全体を占める。従って隆起要素の好ましい配列は、例えばほぼ長円、円、楕円、「菱形」又は丸みのある端部を有する矩形の適切な形状で、流体保持領域を取り囲む配列である。流体保持領域は、上記好ましい特徴(c)に従って設けられたスリーブ表面のブランク領域と同じであるか、又は少なくとも部分的にこの領域と対応する。
【0044】
閉じたループの形の単一の隆起要素が、その周囲内部に流体保持領域を画定するために役立つことができる。或いは、2つ又は3つ以上の隆起要素が十分に近接し合って、これらの取り囲む領域から流体が逃げるのを抑制し、理想的には防止することもできる。さらに別の実施態様として、典型的にはスリーブ表面の上方に一次隆起要素ほどは突出していない二次隆起要素が設けられていてよく、一次隆起要素と二次隆起要素とが一緒に連続的な流体保持壁を画定するように、二次隆起要素が一次隆起要素相互間に位置している。このような二次隆起要素の、スリーブ表面の上方に延びる高さは好適には1〜2mm、例えば1.2〜1.5mmであってよい。
【0045】
触覚刺激の提供を補助するために、隆起要素の剛性はスリーブ本体の剛性よりも大きい。このことは例えば、隆起要素がスリーブ壁内に形成される場合には、隆起要素の箇所でスリーブの厚さを増大させることにより、又はより好ましくは、隆起要素を中実要素又は(中空ではなく)実質的に中実の要素として成形することにより、達成することができる。
【0046】
しかし、隆起要素のうちの1つ又は2つ以上、好ましくは全てを、剛性がより小さい且つ/又はより薄い材料から隆起要素を形成することにより、且つ/又は、これらの構造完全性と何らかの方法で妥協することにより、使用者の要求に応じてよりフレキシブルに形成することができる。例えば、隆起要素は少なくとも部分的に中空であってよく、或いは隆起要素は例えばこれらの自由端で切り取られるか又は分割されてよい。中空隆起要素は、好都合にはその自由端(外側)、又はスリーブ表面と合致するその基底部に、凹部又はその他の形式で凹部形成された領域、例えば切り抜かれた溝を含むだけでよく、或いは、例えばその自由端からその基底部まで要素を貫通して延びる中空溝を含むことができる。
【0047】
やはりこの場合にも、装置に設けられた全ての隆起要素が、同じ構造又は剛性を有することを必要とするわけではない。
【0048】
上記特徴(e)を組み込む本発明による装置において、スリーブの1つの領域は、スリーブの本体よりも大きいフレキシブル性を有するべきである。このことは、スリーブ・サイズをある程度の可変にすることができ、従って快適に収容することができる指のサイズを可変にすることができる。高フレキシブル性領域は好ましくは、使用者の指に装着されている時に、スリーブ本体よりも大きく延伸させることができ、好ましくはこれにより、スリーブ円周の増大を可能にする。高フレキシブル性領域は好適には、スリーブ本体に対して長手方向に配向されるが、しかし周方向での延伸を可能にする。
【0049】
高フレキシブル性領域は、隣接するスリーブ本体よりも高フレキシブル性の材料から形成されるのが典型的である。高フレキシブル性領域は、スリーブの残りの部分と同じ材料から、しかしこれよりも薄く形成されていると好都合である。このことは、例えば射出成形によって達成することができる。この場合、高フレキシブル性領域の厚さは、隣接するスリーブ領域の厚さの15〜40%であってよい。
【0050】
高フレキシブル性領域は、その代わりに、スリーブ本体の材料とは全体的に異なる材料から形成することができる。高フレキシブル性領域は、波形、クリンプ状、又はスリーブ本体よりもより延伸性が高いその他のプロフィールを有する材料から形成することができる。高フレキシブル性領域の材料にパーフォレーションを形成(例えば細長い切れ目を備える)することにより、歪み下のその拡張を容易にすることができる。このようなパーフォレーションは、例えば成形中又はこれに続いて例えば打抜き加工により組み込むことができる。
【0051】
さらに別の実施態様として、高フレキシブル性領域は、任意には例えば周方向に延びるフレキシブルな材料のストラップと境を接する穴又はスリット又はその他の破断部の形でスリーブ本体に設けることができる。
【0052】
好ましくは、高フレキシブル性領域は使用中には着用者の指の側方に、又はその近くに設けられている。より好ましくは、高フレキシブル性領域は、実質的には指の方向に配向された細長い形状を有している。高フレキシブル性領域は例えばスリーブの近位端から延びているが、しかしスリーブの遠位端の手前で終わってよい。その長さは、スリーブ全長の50〜90%、より好ましくは60〜80%であってよい。
【0053】
高フレキシブル性領域の(スリーブ全体に対する)周方向幅は、スリーブに沿った当該地点におけるスリーブ円周の5〜50%、好ましくは5〜30%、より好ましくは8〜25%であってよい。この幅は高フレキシブル性領域の長さに沿って変動してよく、例えばスリーブの近位端では、スリーブ円周の20〜50%(又は最大80%)であるが、しかし遠位端に向かって狭くなる。幅は例えば10〜20mmであってよいが、5又は3mmの小ささであってもよい。
【0054】
装置は、2つ又は3つ以上の高フレキシブル性領域を適切な箇所に、例えばスリーブの周りで半径方向に間隔を置いた箇所に含んでよい。このことは装置のサイズ可変性をさらに改善する。最も好ましくは、2つの高フレキシブル性領域が設けられており、理想的には、1つの領域が使用中に着用者の指のそれぞれの側に対応する。
【0055】
使用後に取り外しを容易にするために、また理想的には再利用を防止するか又は少なくとも阻止するために、本発明の装置は、引裂可能な部分を有しており、この引裂可能な部分は、スリーブの残りの部分から部分的又は完全に剥ぎ取ることができる。上記特徴(f)によれば、この部分は、スリーブ強度低減領域によって少なくとも部分的に画定されてよく、この領域に沿ってスリーブは裂けることになり、且つ/又はこの領域で、適切な力が加わると引裂きが発生可能である。スリーブ強度低減領域は、フレキシブル性、厚さ及び/又は強度が異なる2つのスリーブ領域間の境界によって形成することができる。
【0056】
特に好ましい実施態様の場合、引裂可能なスリーブ部分は、2つの低強度(典型的にはより小さな厚さ)領域の間のスリーブの高強度(典型的にはより大きな厚さ)領域として形成される。その「引裂ライン」は、異なる強度の領域間の境界を表す。
【0057】
或いは、強度低減領域は、スリーブに刻み目又はパーフォレーションの形を成していてよく、或いは、引裂可能なスリーブ部分に隣接する強度低減材料(厚さが低減されると好都合である)から形成された領域の形を成していてよい。
【0058】
強度低減領域は、長手方向又はほぼ長手方向に延びているのが好都合であり、すなわち、強度低減領域は、使用中に実質的に指の方向に配向される。しかし強度低減領域は、スリーブの周面の周りに延びていてよく、これにより例えば、長手方向に引張ると、スリーブの遠位端が残りの部分から剥ぎ取られるのを可能にする。強度低減領域は、スリーブの開いたエッジと合致する地点で、切れ目又は切欠き、又はスリーブ・ファブリックに設けられた他の破断部で終わっていてよい。
【0059】
好適にはこの装置は、スリーブの周りで半径方向に間隔を置いて、2つ以上の強度低減領域を有している。
【0060】
理想的には、一旦引裂可能なスリーブ部分が剥ぎ取られると、スリーブの残りはもはや着用者の指の周りに正確に適合することはなく、ひいては装置を効果的に単回使用製品にする。
【0061】
本発明の装置が上記特徴(g)に従って通気口を備えている場合、この通気口は、好都合にはその遠位端で又は遠位端に向かって、スリーブ内のアパーチャの形を成すことができる。アパーチャは例えば円形の穴、又は細長いスリット、又は十字形スリットであってよい。或いは、スリーブ壁は溝を組み込んでいてよく、この溝を通して、着用者の指上への装着中に通気することができる。この溝は例えば隆起要素の1つを貫通した状態で設けられていてよい。スリーブがその遠位端で閉じられている場合には、通気口は格別な価値を有する。通気口はスリーブの製造中に例えば成形によって、又はスリーブ製造に続いて例えば機械加工によって組み込むことができる。
【0062】
本発明の装置は、刺激部位に物質を塗布するために使用することができる。典型的な例は、潤滑剤及び/又は製薬活性物質であり、具体的には女性オルガスム障害の治療に使用可能な物質、例えば血管作用性化合物(例えば血管拡張薬)、神経興奮剤、及び抗刺激薬である。こうして、装置は、塗布器並びに刺激付与器として使用することができる。
【0063】
最もシンプルな使用態様の場合、装置を治療部位と接触させる前に、所望の物質を外部源から装置に塗布する。このような物質との組み合わせで、好ましくは一緒に使用するための指示書とともに、装置をパッケージングすることができる。
【0064】
しかし、所望の物質を供給するように、装置自体を適合させることができる。装置は例えば1つ又は2つ以上のセルを組み込み、これらのセルは物質を含有し、そして使用中にこれを放出するように適合されている。典型的な例は、特許文献1に記載された流体含有セルである。このセル内で、流体はシールによって保持されている。圧力がシールを横切って加えられると、且つ/又は、シールがこれを弱くする環境(例えば特定の温度又はpH)と接触すると好ましくは開放可能又は破裂可能である。このようなセルは理想的にはスリーブ壁内で、例えば凹部として、やはり特許文献1に記載されているように画定され、そして好ましくは、触覚刺激を提供する隆起要素と一緒に、又は隆起要素のすぐ近くに配置される。隆起要素のうちの1つ又は2つ以上は、流体放出セルとして機能することもできる。
【0065】
物質は、適切な形態、例えば溶液、懸濁液、クリーム又はゲルとして含有することができる。
【0066】
本発明の装置は、物質、例えば潤滑剤(具体的にはシリコーン系潤滑剤、ただし、その他の多くの好適なタイプが幅広く利用可能である)、製薬活性物質(具体的には血管拡張薬)、又は芳香含有物質(具体的にはヒト・フェロモンを基剤とする芳香)を、スリーブ本体内部に含有するか、或いはスリーブ外面上に担持することができる。スリーブを形成する材料自体に、潤滑性物質、例えばシリコーン系潤滑剤、又は男性用コンドームの表面上にしばしば使用されるその他の潤滑剤をコーティングすることができる。このような潤滑剤コーティングは例えば噴霧により塗布することができる。
【発明の効果】
【0067】
一般に、本発明による装置を使用して、触覚刺激を(任意には潤滑剤のような物質と一緒に)、これを必要とする患者の身体の任意の部位に加えることができ、ひいては、軽減又は治癒のためにこのような触覚刺激を身体の一部に加えることを必要とする任意の状態を治療することができる。この装置は治療目的以外で、必ずしも生体上ではない任意の表面に触覚圧を加えることを含めて、例えば美容目的で使用することもできる。
【0068】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく装置を、触覚刺激を例えば身体に加え、且つ/又は、物質、具体的には流体を表面、具体的には生きている組織に塗布するために使用することを可能にする。
【0069】
本発明は、女性オルガスム障害又は関連状態の治療において、第1の観点に基づく装置を使用することを可能にする。本発明はさらに、女性オルガスム障害又は関連状態の治療方法であって、本発明の第1の観点に基づく装置を使用して、触覚刺激を性器部位に加え、そして任意にはまたこの装置を使用して、潤滑剤及び/又は活性物質を、該刺激された部位に塗布することを含む方法を提供する。
【0070】
治療されている状態は、オルガスムを得ることができないこと、オルガスムを一貫して得ることができないこと、オルガスムを得るのが遅いこと、又は十分に満足のいくオルガスムを得ることがないことを含む症状の任意の状態であってよい。
【0071】
さらに本発明は、医学的状態、具体的には女性オルガスム障害又は関連状態の治療に使用するために、第1の観点に基づいた装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下に添付の図面を参照しながら、本発明の実施例を説明する。全ての図面は概略的である。
先ず図1を参照すると、図示の刺激付与器は、弾性的な射出成形熱可塑性エラストマー(ショアA硬度約30度)から形成された指形スリーブ1を含む。その寸法は、典型的なヒトの中指を収容するように形成されている。
【0073】
スリーブは、全体的に符号2で示される、閉じられた遠位端を有している。この遠位端に近接して、一連の8つの突起8が(装置の下側に)設けられている。これらの突起は、楕円形又はほぼ楕円形のループを成して配列されている。これらの突起は、それらの自由端で半球形である。これらの突起は、成形プロセス中に形成され、図3に見られるように中実である。中実の突起はより大きな剛性を付与し、これらが提供する触覚刺激を高める。
【0074】
図1及び4から判るように、それぞれの突起3対間には、二次隆起部分4がやはり射出成形中に形成される。突起及び二次部分4は一緒に、連続的なほぼ楕円形の壁を画定する。この壁は図1において符号5で示された流体トラップとして作用する。このように装置が流体、例えば潤滑剤と共に使用される場合、或いはより具体的には、流体、例えば潤滑剤を塗布するために使用される場合、流体の少なくともいくらかは、所望の塗布部位に、すなわち、触覚刺激を提供する突起3の領域内に保持され得る。
【0075】
図1の装置の別の実施例の場合、突起3には物質、理想的には、使用中に塗布されるようになっている流体の形で充填することができる。この場合、適時の流体の放出を可能にするために、突起の外壁は、受圧下で破裂可能な材料(例えば薄いポリウレタン)から形成することができる。或いは、突起は開いた端部を有し、内部に流体を含有するために、後で破裂可能なシールでカバーされてよい。
【0076】
この実施例の代わりに、又はこれに加えて、装置は突起3とは別個の1つ又は2つ以上の流体含有セルを備えてよい。
【0077】
図2は、使用中に着用者の指の上側(背側)に対応する装置部分を示している。2つの細長いパネル10が見られる。これらのパネル10は、スリーブの残りの部分よりも薄いプラスチックから形成されており、パネルの位置は大雑把に言えば、着用者の指の側方に対応する。厚さが低減されたパネル10は、剥ぎ取りパネル11を側面に有する。剥ぎ取りパネル11は、容易に把持可能なタブの形を有している。
【0078】
装置の使用に続いて、着用者はパネル11を後方に向かって(すなわち概ね指端部にむかって)引張ることにより、異なる厚さのパネル間の境界線12に沿って、スリーブの残りの部分からパネル11を剥ぎ取ることができる。このことは、スリーブの取り外しを容易にし、そしてこの状況において適切であるように、使用後のその処分を促す。
【0079】
パネル10及び11は、スリーブ1の射出成形中にそれぞれその所期の厚さに形成することができる。図1〜5の装置において、例えばスリーブの本体及び剥ぎ取りパネル11の厚さは約1mmであってよく、これに対してサイド・パネル10は厚さ0.2〜0.4mm、例えば約0.35mmであってよい。スリーブ本体は、突起3の周りの指先領域で1mmよりも薄くてよい。
【0080】
図1〜5の装置の場合、スリーブ1上方の突起3の高さは(突起領域中心から測定して)、典型的には4.81mmであってよく、中間隆起部分4の高さは約1.4mmであってよい。突起の直径は、(突起の基底部、すなわちスリーブ表面で測定して)典型的には4.2mmであってよい。8つの突起によって画定された楕円形の長さは約28mmであり、幅は約15mmであってよい。これらの寸法は外寸、すなわち、楕円形を画定する突起の外縁相互間の寸法である。
【0081】
スリーブ1の長さは(図1に見られる下面で)約72.5mm〜約49mm(図2に見られる上面で)であるのが好都合である。その全周は好適には、着用者の遠位側指関節に対応する位置において約49mmであり、近位側指関節に対応する位置において約58mmである。とは言うものの、スリーブの寸法は、用途に対応する使用者群に応じて変化することができる。
【0082】
図6〜9に示された別の装置は、図1〜5に示したものと本質的には同じであり、同じ部分は同一符号を有する。
【0083】
図6の装置は、遠位端に、使用者の指に装着しやすいように、通気穴20を備えている。このような通気穴(或いはスリーブ・ファブリック内の小さなスリットの形を成していてもよい)は、任意の別の位置、例えば成形に便利なように流体トラップ領域5内に設けることもできる。
【0084】
図7及び図10の装置のそれぞれは、使用中には着用者の指の側方に対応する位置に、強度が低減された引裂ライン25を有している。引裂ライン25はその近位端から遠位端への長手方向に延びている。引裂ラインの自由端は、V字形切欠き26で終わっている。このV字形切欠きは、スリーブ・ファブリック内に設けられており、使用者がスリーブの引き裂き可能な部分をより容易に位置確認し、把持するのを可能にする。その反対側の端部は、異なる厚さのスリーブ・パネル間の境界28で終わっている。
【0085】
引裂ラインは、図7の右手に断面で示したように、スリーブ・ファブリックの低減された厚さから、成形プロセス中に形成される。この場合、ラインの厚さは0.08〜0.15mm、例えば約0.1〜0.12mmであってよい。スリーブの対向側に、第2の対応引裂ライン(図示せず)が設けられていてよい。使用後、着用者は、スリーブの上側部分又は下側部分を引張ることにより、厚さ低減ラインに沿って部分的又は全体的にこれを剥ぎ取ることができ、また任意には(図1の装置に設けられたパネル19と類似する) 厚さ低減サイド・パネル27を横切る他の方向でも、これを剥ぎ取ることができる。
【0086】
厚さ低減パネル27とスリーブの残りとの間の境界ライン28も、潜在的な引裂ラインを形成し、これらのラインは自由端に、符号29で示すような切り抜かれた切欠きを備えることにより、ユーザーが使用後に取り外すためにスリーブの当該部分を把持するのを助ける。
【0087】
図7の破線25aは、厚さ低減引裂ラインの別の位置を示している。
図7及び図10の装置と類似する装置の別の任意の「剥ぎ取り」部分が図8に示されている。この場合、厚さ低減サイド・パネル31と、スリーブの残りの部分との間の2つの境界30は、強度が低減された引裂ラインを構成する。この引裂ラインの自由端もやはりV字形切欠き32を備えている。装置の他方の側には、対応する厚さ低減パネルが設けられている。使用後、着用者はスリーブの上側部分33又は下側部分34を把持し、指端部に向かう方向でこれを引張ることにより、ライン30に沿ってこれを引き裂くことができる。
【0088】
図9の装置は、使用中には着用者の指先の上側に対応する領域に、フレキシブル性がより高い区分35を含む。この区分もまた、熱可塑性材料の厚さを低減することにより成形プロセス中に形成され、そして矢印で示すように、重要な指先領域で、スリーブ周方向におけるある程度の拡張を可能にし、このような拡張は、スリーブが所定の範囲の指サイズに快適に対応するのを可能にする。或いはこの区分35は、切り出された部分の形、すなわちスリーブ・ファブリックにおけるギャップの形を成していてもよい。
【0089】
図11に示す装置は、そのスリーブ1aが、使用中に着用者の指先だけを、すなわち、遠位指関節と境を接する端領域だけを収容する点で、図1〜図10の装置とは異なっている。それにもかかわらずこのスリーブ1aは、スリーブの遠位端2に向かって、例えば図1の装置と同じタイプの隆起要素3及び4を、図1の装置と同じ配列で担持しており、使用中、これらの隆起要素は、着用者の指先に関して同じ位置を占め、同じ機能を発揮することになる。ここでもやはり、隆起要素は流体トラップ5を画定する。
【0090】
図11の装置はまた、図1の装置と同様の厚さ低減サイド・パネル10aと、図6の装置におけるような通気穴20とを有している。
【0091】
図12及び図13のそれぞれは、本発明による装置の遠位端領域の一部を示している。これらの図面は、図1〜図11のような装置において、突起3が中実である代わりに少なくとも部分的に中空であることにより、突起の剛性を低減する様子を示している。図12の装置の突起3aは、突起自由端内部を切除して形成された溝40を有している。これらの溝は、装置を使用することにより塗布されることになっている流体、例えば潤滑剤を捕捉するのを助けることができる。
【0092】
図13の装置の突起3bの場合、いくつかの溝41が、突起の自由端からスリーブ内部を貫通して延びている。このような溝は装着中にスリーブからの空気の放出を助けるための通気口として付加的に機能することができる。
【0093】
図1〜図11のような装置を使用することにより、女性患者の陰核部位内で触覚刺激を加えることができる。その際に、突起3は先ず陰核幹の2つの側に接触し、こうして、極めて効果的で満足できることであることが判っている刺激を提供する一方、より高感受性の陰核先端を過剰の接触に対して保護する。所望の場合に装置を使用してさらに潤滑剤が塗布されるときには、この潤滑剤は流体トラップ領域5内に溜まり、ひいては、陰核部位内に保持される傾向があり、これによりやはり刺激中の感受性組織を保護することになる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明による装置を下方(下側)から見た状態で示す斜視図である。
【図2】図1の装置を上方から見た状態で示す斜視図である。
【図3】図1のIII-III線に沿って示す断面図である。
【図4】図1のIV-IV線に沿って示す断面図である。
【図5】図1及び2のV-V線に沿って示す断面図である。
【図6】本発明による別の装置を示す斜視図である。
【図7】本発明によるさらに別の装置を示す側面図である。
【図8】本発明によるさらに別の装置を示す側面図である。
【図9】本発明によるさらに別の装置を、上方から見た状態で示す斜視図である。
【図10】図7の装置と類似の装置を、後方の一方の側から見た状態で示す斜視図である。
【図11】本発明によるさらに別の装置を、下方から見た状態で示す斜視図である。
【図12】本発明によるさらに別の装置の部分を示す縦断面図である。
【図13】本発明によるさらに別の装置の部分を示す縦断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚刺激を具体的には身体に加えるのに使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この装置は、感受性組織部位、例えば勃起組織及び具体的には陰核を刺激するために使用することができ、従って、女性オルガスム障害として知られる症候群の治療に使用するのに特に適している。
【0003】
特許文献1に記載されている塗布器/刺激付与装置は、女性オルガスム障害(女性性的刺激障害と呼ばれる)の治療に使用することができ、そして、潤滑性流体及び/又は製薬活性物質、例えば血管拡張薬と一緒に、触覚刺激を性器部位に手によって加えることを容易にする。特許文献1の装置は、1つ又は2つ以上の流体含有セル、及び任意には、付加的な触覚刺激を提供するための突起をも有するフレキシブルな指スリーブの形を成している。流体セルは好ましくは使用前にシールされているが、しかし受圧下で破裂することにより、流体を放出する。
【0004】
特許文献2に開示されたグローブ及び指スリーブは、口腔内の部位に活性物質を塗布するのに使用される。これらの装置は、シールされた中空部材を担持している。これらの中空部材は、例えば装置を歯又は歯茎にこすり付けることにより加圧すると、活性物質を放出するように構成されている。
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/39945号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,819,765号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、やはりここでも触覚刺激を加えるために、そして任意には流体及び/又はその他の物質を、刺激された部位に供給するためにも使用することができるこのような指装着用装置の別の形態を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点によれば、触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、装置が、指を収容するように適合されたスリーブと、スリーブの外面に設けられた1つ又は2つ以上の隆起要素とを含む装置が提供され、装置はさらに、下記特徴a)〜g)の1つ又は2つ以上を特徴とする:
a) 隆起要素の1つ以上又は隆起要素の一部が、スリーブの遠位端から測定してスリーブの全長の最初の15%によって画定されたスリーブの領域内に設けられている。
b) 隆起要素がスリーブ外面に、閉じたループを成して、好ましくは長円形、円形、楕円形、「菱形」又は丸みのある端部を有する矩形を成して配列されている。
c) 隆起要素がスリーブ表面上に、隆起要素を担持しないスリーブ表面のブランク領域を取り囲むループを成して配列されている。
d) 隆起要素が、スリーブ外面上の流体保持領域を少なくとも部分的に画定する。
e) 好ましくはスリーブのサイズ(具体的には円周)を可変にするように、スリーブの1つ以上の領域が、スリーブの残りの部分よりも大きいフレキシブル性を有している。
f) スリーブが、スリーブ強度低減領域によって少なくとも部分的に画定された引裂可能な部分を有している。
g) スリーブが、装着中の内部からの空気の放出を容易にするために通気口を備えている。
【0008】
装置はこれらの特徴の好ましくは2つ以上、より好ましくは2つ又は3つ又は4つ以上、そして理想的には全てを組み込んでいる。
特に好ましい実施態様は、少なくとも特徴(a)及び(c)を、好ましくは特徴(b)及び/又は特徴(d)との組み合わせにおいて、組み込んでいる。
別の好ましい実施態様は少なくとも構成(a)及び(d)を組み込んでいる。
さらに別の好ましい実施態様は少なくとも構成(e)を、好ましくは(a)及び/又は(c)及び/又は(d)との組み合わせで、そして好適には特徴(f)との組み合わせで組み込んでいる。
【0009】
本明細書中において、「遠位端」及び「近位端」という用語は使用中の装置に言及する場合に使用する。従って遠位端は、使用中には着用者の指の自由端を収容することになる端部である。「指」という用語はまた、親指を含むものとし、そして典型的にはヒトの男性又は女性の指を意味する。
【0010】
本発明による装置は、触覚刺激を手で加えることを可能にし、また上述のように、女性オルガスム障害の治療に特に使用することができる。この装置は典型的には単回使用のために、そして使用後に処分できるように構成される。
【0011】
装置のベースを形成するスリーブは、フレキシブルな且つ/又は弾性的な材料、例えば天然又は合成ゴム又はプラスチック材料から、好ましくは少なくとも部分的に、より好ましくは全体的に形成されるのが好ましい。好適な材料は、ポリウレタン、ポリプロピレン、シリコン及び熱可塑性エラストマー、好ましくは後者を含む。この材料に好適な硬度ショアAは、例えば20又は25〜55又は60°、より典型的には25又は30〜35又は40又は45°、例えば約30°(例えば28〜32°、理想的には28〜30°)である。理想的にはこの材料は、ほぼ指形の構造を無支持状態で保つのに十分な程度に、典型的な男性用コンドームよりも厚く低フレキシブル性であるが、しかし、着用者の指の周りに装置を快適に装着するのを可能にするのには十分に、そして使用中に着用者の指とともに曲がるのには十分にフレキシブルである。材料は理想的にはまた、特に使用中に指先の下側に対応する領域、及び/又は隆起要素が配置された領域において、使用者が少なくとも或る程度の触覚感受性を保つのを可能にするのに十分に薄い。
【0012】
この所期用途に基づき、スリーブは非毒性の、より好ましくは製薬等級の材料から形成されるのが好ましい。
【0013】
スリーブは例えば、特許文献1に記載された一般形態を有していてよい。好ましくはスリーブは、その遠位端で閉じられ、そして典型的にはほぼ円形の横断面を有することになる。
【0014】
例えば射出成形又はディップ成形によって、或いはインジェクション・ブロー成形又は注型によって、プラスチック又はゴムスリーブを製造することができる。このようなプロセスを用いて、隆起要素及び所望の場合には下記のように意図される流体セルを設けることを含めて、スリーブ表面に所望のプロフィールを付与することもできる。
【0015】
スリーブのサイズ及び形状は、収容することが意図される指のサイズ及び形状に依存してよい。例えば欧州又は北米の使用者のための典型的な長さは、40〜80mm、より好適には45〜75mmであってよい。スリーブが着用者の指先だけ、すなわち遠位側指関節と境を接する指端部だけを収容するのに十分に長い場合には、好適なスリーブの長さは、25〜35mm、より好適には25〜30mmである。
【0016】
スリーブの長さはその周面の周りで変化してよく、例えば、使用中に着用者の指の下側(手のひら側)に対応する面の方が長い。スリーブの長さは最も長い場所では好適には60〜85mm、好ましくは65〜80mm又は70〜75mmであってよく、そして最も短い場所(典型的には着用者の指の上側又は背側に対応)では、35〜60mm、好ましくは40〜55mm、より好ましくは45〜55mmであってよい。このような長さは、好適にはその外面に沿って、スリーブの遠位端から測定することができる。或いは、これらの長さは、スリーブの長手方向中心軸に沿って測定することもできる。本明細書において、スリーブの全長のパーセンテージに言及するときには、これはスリーブの最長部分における長さ、又は隆起要素が配置されている側(典型的には下側)における長さに関連するものと考えることができる。
【0017】
好適なスリーブ円周はスリーブの長さに沿って変化してよく、好適には、着用者の近位側指関節に対応する位置ではより大きく(例えば49又は50〜65又は71mm、好ましくは55〜60mm)、また遠位側指関節ではより小さい(例えば40〜55又は60mm、好ましくは45〜53mm)。スリーブ円周は、スリーブの遠位端に近づくに従って、そして遠位端において、さらに小さい値にまで漸減してよい。これらの形状は欧州/北米人口向けであり、他の人口に対しては変化させることができる。
【0018】
特に断りがない限り、本明細書において引用されたスリーブ寸法は、その曲げられていない状態、すなわち着用者の指に使用する前のスリーブに関連する。例えば東南アジア及び他の使用者群に対してはより小さな寸法が適切であることがある。
【0019】
スリーブは、例えば特徴(e)との関連において下記に説明するように、サイズの可変性を可能にするように構成することができる。スリーブは2つ以上の指を収容可能であってよい。スリーブは指の爪を収容するように、その遠位端で成形されてよく、或いは、着用者の快適性を高め、装着状態を改善し、且つ/又はその審美的な外観を向上させるように、プロフィール付与されてよい。
【0020】
装置の隆起要素は、使用中に触覚刺激を提供するのを助ける。「隆起要素」とは、典型的には長手方向スリーブ軸の方向対して実質的に垂直な方向、且つ/又は、当該点におけるスリーブ外面の平面に対して実質的に垂直な方向で、スリーブの外面の上方に突出する要素を意味する。
【0021】
隆起要素の数、サイズ及び位置は、装置の意図される用途、例えば装置が提供することが意図される刺激の性質及び程度、並びに装置に求められる審美的品質に依存する。例えば適切なサイズを有し、適切に成形され配置された単一の隆起要素が設けられていてよい。或いは、複数の隆起要素、例えば2つ以上、典型的には3つ以上、好ましくは6つ以上、より好ましくは6〜10個、最も好ましくは8つの隆起要素が設けられていてもよい。隆起要素は、スリーブの遠位端に、又は遠位端近くに配置されると好都合である。
【0022】
上記構成(b)に従って、隆起要素は好ましくはループ、より好ましくは丸みのある(すなわち角のない)ループを成して、さらにより好ましくは、線形又はアングル形(例えば古典的には矩形)配列とは異なり、長円形、円形、楕円形、「菱形」又は丸みのある端部を有する矩形を成して配列されている。このことは、特徴(c)及び(d)と相俟って、下記に論じる利点をもたらすのを助け、また、装置を審美的に改善する。ループの直径は例えば、10〜30mm、より好適には15〜30mmであってよく、ループが細長い場合には、これらの形状は典型的には最長寸法に関連する。ループは複数の個々の隆起要素から形成することができ、或いは例えばループの形状の、単一の連続的な隆起要素によって形成することができる。
【0023】
隆起要素の少なくともいくつか、及び理想的には全てが、使用中に着用者の指先の下側に対応する装置の特定領域、従って主要な触覚刺激領域を提供することになる装置の特定領域に配置されるのが好ましい。典型的には着用者の遠位側指関節と境を接するこの「指先」領域は一般に、最も感受性が高く最も制御可能な指部位を意味する。
【0024】
理想的には、上記特徴(a)に従って、1つ以上の隆起要素又は隆起要素の部分が、スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の15%、好ましくは最初の14又は13又は12又は11又は10%によって画定されたスリーブ表面の領域内に設けられている。しかし、スリーブが唯1つの隆起要素を担持する場合、その要素の容積(スリーブ外面を超えて突出する容積を意味する)の4%以上、より好ましくは5又は6%以上が、画定された領域内に配置されていることが好ましい。
【0025】
典型的には、1つ以上の隆起要素又はその部分を含有する画定された遠位端領域は、スリーブの遠位端から測定して、5〜15mm、より典型的には6〜12mm、又は7〜10mmの長さを占めることになる。
【0026】
特にスリーブの長さが指全長未満(例えば着用者の指先だけ)を収容するようになっている場合、遠位端から測定して、スリーブ全長の最初の16%又は17%又は18%又は20%又は22%又は25%又は28%又は30%によって画定されたスリーブの領域内に1つ以上の隆起要素又は隆起要素の部分を有することが、本発明による装置に適している。この場合、全長の20%又は22%又は25%又は26%又は30%又は35%又は40%によって画定された領域内に、2つ以上、好ましくは3つ以上の隆起要素又はこれらの部分が設けられていてよい。いずれの場合にも、隆起要素はやはり、使用中には上記定義された指先領域内にすべてが配置されることが好ましい。
【0027】
スリーブの遥かに遠位の端部には、例えば全長の最初の3%又は4%又は5%以内、或いはスリーブの遠位端の2又は3又は4mm以内には、隆起要素は設けられていないことが好ましい場合がある。具体的には、遠位端を超えて延びる、例えばスリーブの長手方向軸の方向に対して概ね平行な方向に延びる隆起要素が設けられていないことが好ましい場合がある。
【0028】
スリーブ全長の(遠位端から測定して)最初の25%によって画定された領域には、好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ又は5つの隆起要素が設けられている。全長の最初の40%によって画定された領域には、より好ましくは5つ以上、より好ましくは6つ又は7つの隆起要素が設けられている。
【0029】
隆起要素の理想的には全て、又はほとんど(70%又は80%以上)が、上述の「指先」領域内に、典型的にはスリーブの遠位端から測定して、好ましくはスリーブ全長の最初の50%、より好ましくはスリーブ全長の最初の45%又は42%によって画定されたスリーブ表面領域内に配置される。
【0030】
スリーブの遠位端から測定してスリーブ全長の最初の55%、又は最初の50又は45又は42%を超えて延びるスリーブの領域内では、少なくとも使用中のスリーブの下側(手のひら側)には、隆起要素が設けられないのが好都合である。好適には、着用者の指先に対応する領域、つまり着用者の遠位側指関節と境を接する遠位領域(ここでもやはり、少なくとも、使用中におけるスリーブの手のひら側)にだけ、隆起要素が設けられる。この領域は、スリーブの遠位端から測定して、例えば25〜40mm、典型的には28〜35mm、例えば約30mmの長さを占めることができる。スリーブの近位端の下側に隆起要素を設けないままにすることにより、使用中のフレキシブル性及び快適さを改善することができ、具体的には、着用者の近位側指関節及び好ましくは遠位側指関節に対応する領域を自由に曲がるようにしておくことができ、そして理想的には、刺激することが意図されない身体領域との不所望な接触を回避することができる。
【0031】
隆起要素の好ましい形状は、ほぼ球形であるか又はその自由端で少なくとも半球形であるドーム状突起又は瘤塊を成している。スリーブ表面上のその高さは、3〜6又は7mm、好ましくは4又は4.5〜5mmであってよい。スリーブ表面におけるその直径は、2.5又は3〜5mm、好ましくは4〜4.5mmであってよい。
【0032】
2つ又は3つ以上の隆起要素が設けられている場合、これらの要素は全て同じサイズ及び形状を有することができ、またこれらの要素は均一な間隔、又は不均一な間隔を置いて設けることができる。スリーブ表面における隆起要素間の典型的な間隔は、2〜6mm、又は2〜5.5mm、例えば約4mmであってよい。この間隔は、(例えば自由端で測定した)隆起要素の中心間の間隔4〜10mm、好ましくは5〜10mmを意味することができる。
【0033】
隆起要素は、例えばスリーブの成形中に、スリーブ壁の部分として形成されるのが好都合である。或いは、これらの隆起要素を別個に製造し、そして例えば接着剤によって、又は溶着によってスリーブ外面に固定するか、或いは、隆起要素を担持する二次支持体を介して、隆起要素自体がスリーブ面に固定される。
【0034】
上記特徴(c)に従って、隆起要素は好ましくは、隆起要素を担持しないスリーブ面のブランク領域を画定する。より好ましくは、隆起要素の配列は、それぞれが1つ以上の、好ましくは2つ以上の隆起要素から成る2つの群を含み、これらの2つの群は、ブランク領域のいずれかの側に配置されている。隆起要素から成るこれら2つの群はブランク領域によって、スリーブ表面の周りで周方向に互いに離隔されている。
【0035】
ブランク領域は好ましくは、使用中にこれが着用者の指先の手のひら側の中心領域に対応するように配置される。ブランク領域の幅は好ましくは4mm以上、より好ましくは5又は6mm以上(すなわちスリーブ周面の周りで、典型的には2つの隆起要素群間で測定)であり、例えば7又は8又は9mm以下である。これは、その地点におけるスリーブ円周の7%以上、好ましくは8又は10%以上、例えば15又は20又は25%以下の幅に相当することができる。
【0036】
ブランク領域は、その長手方向端部のいずれか又は両方において、1つ又は2つ以上の隆起要素と境を接することができる。両端で境を接する場合には、その長さ(スリーブの長手方向軸に対して平行な方向で、しかもブランク領域を画定する隆起要素内部で測定)は、10〜25mm、好ましくは12〜23mm、例えば15〜22mm、好適には約19mmであってよい。従ってその長さは、スリーブ全長の10〜65%、好ましくは20〜50%、又は20〜30%に相当することができる。ブランク領域は好ましくは、スリーブの遠位端から測定してスリーブ全長の最初の15%、理想的には14又は13又は12又は11又は10%以内にある地点から延びている。
【0037】
ブランク領域を間で画定する2つの隆起要素群が設けられている場合、それぞれの群は、例えば長手方向のスリーブ軸に対して平行又はほぼ平行に延びる隆起要素列を含むことができる。それぞれの群は2つ又は3つ以上の、好ましくは3つ又は4つ以上の隆起要素を含むことができる。或いは、「群」は、例えば細長い形の単一の隆起要素から成り、これにより、個々の要素から成る列を模倣することができる。
【0038】
従ってブランク領域は、理想的には丸みのある端部を有するほぼ矩形の形状、又は「菱形」、又はほぼ楕円形又は長円形又は円形を有することができ、これらの形状は隆起要素と境を接している。ブランク領域は好ましくは、隆起要素のループによって取り囲まれており、2つの隆起要素「群」がループの2つの側を構成する。
【0039】
スリーブ表面上にブランク領域を提供する、隆起要素のこのような配列は、陰核に触覚刺激を加えるために本発明の装置を使用する場合、より具体的には、女性オルガスム障害を治療する場合に特に有利であり得る。陰核幹及び陰核を直接的に取り囲む領域を刺激するために、ブランク領域のいずれかの側の隆起要素を使用する一方、しばしば高感受性であり、従って或る患者(例えば更年期の女性)の場合には痛みを伴う陰核自体を、過度の直接的な刺激から保護することができる。隆起要素は、使用中に陰核先端を取り囲むが、しかし好適にはこれに接触しないように配列されるのが理想的である。
【0040】
さらに、例えば互いに離隔された2つの列の形態で、2つの隆起要素群を設けると、使用中には1本の指だけを使用して触覚刺激を加えることができる。触覚刺激は通常2本の指の使用を必要とするので、上記構成は装置の効果を高める。
【0041】
上記特徴(d)に従って、隆起要素は触覚刺激を提供するだけでなく、トラップを画定するのに役立つ。このトラップは、潤滑剤又は製薬活性物質のような流体物質を塗布するために装置を使用する場合に、塗布しようとする領域にその物質を保持するのを助け、ひいては損失量を低減し、使いやすさを高める。「流体保持領域」とは、少なくとも、装置がほぼ水平方向に保持されているとともにその隆起要素が最上位置にある場合に、流体、例えば潤滑剤又は活性物質含有流体の量を少なくとも部分的に捕捉することができる領域を意味する。
【0042】
流体保持領域はスリーブ上の隆起要素によって少なくとも部分的に画定されるべきであり、そして好ましくは、隆起要素及びスリーブ外面によって仕切られた、頂部が開いた包囲体の形態を成す。換言すれば流体保持領域は、隆起要素(理想的にはこれらのうちの2又は3又は5又は6以上、より好ましくはこれらの全て)及びスリーブ外面によって完全に画定されていてよい。流体保持領域内のスリーブ表面は、例えば凹部又は凹みを有するのではなく、実質的に平らであるのが好都合であり、そして、隆起要素が存在しない場合にはスリーブ表面は流体を捕捉するのに全く役立たないように形成することができる。
【0043】
好ましくは、流体保持領域は、隆起要素によって形成されたループ内部の面積全体を占める。従って隆起要素の好ましい配列は、例えばほぼ長円、円、楕円、「菱形」又は丸みのある端部を有する矩形の適切な形状で、流体保持領域を取り囲む配列である。流体保持領域は、上記好ましい特徴(c)に従って設けられたスリーブ表面のブランク領域と同じであるか、又は少なくとも部分的にこの領域と対応する。
【0044】
閉じたループの形の単一の隆起要素が、その周囲内部に流体保持領域を画定するために役立つことができる。或いは、2つ又は3つ以上の隆起要素が十分に近接し合って、これらの取り囲む領域から流体が逃げるのを抑制し、理想的には防止することもできる。さらに別の実施態様として、典型的にはスリーブ表面の上方に一次隆起要素ほどは突出していない二次隆起要素が設けられていてよく、一次隆起要素と二次隆起要素とが一緒に連続的な流体保持壁を画定するように、二次隆起要素が一次隆起要素相互間に位置している。このような二次隆起要素の、スリーブ表面の上方に延びる高さは好適には1〜2mm、例えば1.2〜1.5mmであってよい。
【0045】
触覚刺激の提供を補助するために、隆起要素の剛性はスリーブ本体の剛性よりも大きい。このことは例えば、隆起要素がスリーブ壁内に形成される場合には、隆起要素の箇所でスリーブの厚さを増大させることにより、又はより好ましくは、隆起要素を中実要素又は(中空ではなく)実質的に中実の要素として成形することにより、達成することができる。
【0046】
しかし、隆起要素のうちの1つ又は2つ以上、好ましくは全てを、剛性がより小さい且つ/又はより薄い材料から隆起要素を形成することにより、且つ/又は、これらの構造完全性と何らかの方法で妥協することにより、使用者の要求に応じてよりフレキシブルに形成することができる。例えば、隆起要素は少なくとも部分的に中空であってよく、或いは隆起要素は例えばこれらの自由端で切り取られるか又は分割されてよい。中空隆起要素は、好都合にはその自由端(外側)、又はスリーブ表面と合致するその基底部に、凹部又はその他の形式で凹部形成された領域、例えば切り抜かれた溝を含むだけでよく、或いは、例えばその自由端からその基底部まで要素を貫通して延びる中空溝を含むことができる。
【0047】
やはりこの場合にも、装置に設けられた全ての隆起要素が、同じ構造又は剛性を有することを必要とするわけではない。
【0048】
上記特徴(e)を組み込む本発明による装置において、スリーブの1つの領域は、スリーブの本体よりも大きいフレキシブル性を有するべきである。このことは、スリーブ・サイズをある程度の可変にすることができ、従って快適に収容することができる指のサイズを可変にすることができる。高フレキシブル性領域は好ましくは、使用者の指に装着されている時に、スリーブ本体よりも大きく延伸させることができ、好ましくはこれにより、スリーブ円周の増大を可能にする。高フレキシブル性領域は好適には、スリーブ本体に対して長手方向に配向されるが、しかし周方向での延伸を可能にする。
【0049】
高フレキシブル性領域は、隣接するスリーブ本体よりも高フレキシブル性の材料から形成されるのが典型的である。高フレキシブル性領域は、スリーブの残りの部分と同じ材料から、しかしこれよりも薄く形成されていると好都合である。このことは、例えば射出成形によって達成することができる。この場合、高フレキシブル性領域の厚さは、隣接するスリーブ領域の厚さの15〜40%であってよい。
【0050】
高フレキシブル性領域は、その代わりに、スリーブ本体の材料とは全体的に異なる材料から形成することができる。高フレキシブル性領域は、波形、クリンプ状、又はスリーブ本体よりもより延伸性が高いその他のプロフィールを有する材料から形成することができる。高フレキシブル性領域の材料にパーフォレーションを形成(例えば細長い切れ目を備える)することにより、歪み下のその拡張を容易にすることができる。このようなパーフォレーションは、例えば成形中又はこれに続いて例えば打抜き加工により組み込むことができる。
【0051】
さらに別の実施態様として、高フレキシブル性領域は、任意には例えば周方向に延びるフレキシブルな材料のストラップと境を接する穴又はスリット又はその他の破断部の形でスリーブ本体に設けることができる。
【0052】
好ましくは、高フレキシブル性領域は使用中には着用者の指の側方に、又はその近くに設けられている。より好ましくは、高フレキシブル性領域は、実質的には指の方向に配向された細長い形状を有している。高フレキシブル性領域は例えばスリーブの近位端から延びているが、しかしスリーブの遠位端の手前で終わってよい。その長さは、スリーブ全長の50〜90%、より好ましくは60〜80%であってよい。
【0053】
高フレキシブル性領域の(スリーブ全体に対する)周方向幅は、スリーブに沿った当該地点におけるスリーブ円周の5〜50%、好ましくは5〜30%、より好ましくは8〜25%であってよい。この幅は高フレキシブル性領域の長さに沿って変動してよく、例えばスリーブの近位端では、スリーブ円周の20〜50%(又は最大80%)であるが、しかし遠位端に向かって狭くなる。幅は例えば10〜20mmであってよいが、5又は3mmの小ささであってもよい。
【0054】
装置は、2つ又は3つ以上の高フレキシブル性領域を適切な箇所に、例えばスリーブの周りで半径方向に間隔を置いた箇所に含んでよい。このことは装置のサイズ可変性をさらに改善する。最も好ましくは、2つの高フレキシブル性領域が設けられており、理想的には、1つの領域が使用中に着用者の指のそれぞれの側に対応する。
【0055】
使用後に取り外しを容易にするために、また理想的には再利用を防止するか又は少なくとも阻止するために、本発明の装置は、引裂可能な部分を有しており、この引裂可能な部分は、スリーブの残りの部分から部分的又は完全に剥ぎ取ることができる。上記特徴(f)によれば、この部分は、スリーブ強度低減領域によって少なくとも部分的に画定されてよく、この領域に沿ってスリーブは裂けることになり、且つ/又はこの領域で、適切な力が加わると引裂きが発生可能である。スリーブ強度低減領域は、フレキシブル性、厚さ及び/又は強度が異なる2つのスリーブ領域間の境界によって形成することができる。
【0056】
特に好ましい実施態様の場合、引裂可能なスリーブ部分は、2つの低強度(典型的にはより小さな厚さ)領域の間のスリーブの高強度(典型的にはより大きな厚さ)領域として形成される。その「引裂ライン」は、異なる強度の領域間の境界を表す。
【0057】
或いは、強度低減領域は、スリーブに刻み目又はパーフォレーションの形を成していてよく、或いは、引裂可能なスリーブ部分に隣接する強度低減材料(厚さが低減されると好都合である)から形成された領域の形を成していてよい。
【0058】
強度低減領域は、長手方向又はほぼ長手方向に延びているのが好都合であり、すなわち、強度低減領域は、使用中に実質的に指の方向に配向される。しかし強度低減領域は、スリーブの周面の周りに延びていてよく、これにより例えば、長手方向に引張ると、スリーブの遠位端が残りの部分から剥ぎ取られるのを可能にする。強度低減領域は、スリーブの開いたエッジと合致する地点で、切れ目又は切欠き、又はスリーブ・ファブリックに設けられた他の破断部で終わっていてよい。
【0059】
好適にはこの装置は、スリーブの周りで半径方向に間隔を置いて、2つ以上の強度低減領域を有している。
【0060】
理想的には、一旦引裂可能なスリーブ部分が剥ぎ取られると、スリーブの残りはもはや着用者の指の周りに正確に適合することはなく、ひいては装置を効果的に単回使用製品にする。
【0061】
本発明の装置が上記特徴(g)に従って通気口を備えている場合、この通気口は、好都合にはその遠位端で又は遠位端に向かって、スリーブ内のアパーチャの形を成すことができる。アパーチャは例えば円形の穴、又は細長いスリット、又は十字形スリットであってよい。或いは、スリーブ壁は溝を組み込んでいてよく、この溝を通して、着用者の指上への装着中に通気することができる。この溝は例えば隆起要素の1つを貫通した状態で設けられていてよい。スリーブがその遠位端で閉じられている場合には、通気口は格別な価値を有する。通気口はスリーブの製造中に例えば成形によって、又はスリーブ製造に続いて例えば機械加工によって組み込むことができる。
【0062】
本発明の装置は、刺激部位に物質を塗布するために使用することができる。典型的な例は、潤滑剤及び/又は製薬活性物質であり、具体的には女性オルガスム障害の治療に使用可能な物質、例えば血管作用性化合物(例えば血管拡張薬)、神経興奮剤、及び抗刺激薬である。こうして、装置は、塗布器並びに刺激付与器として使用することができる。
【0063】
最もシンプルな使用態様の場合、装置を治療部位と接触させる前に、所望の物質を外部源から装置に塗布する。このような物質との組み合わせで、好ましくは一緒に使用するための指示書とともに、装置をパッケージングすることができる。
【0064】
しかし、所望の物質を供給するように、装置自体を適合させることができる。装置は例えば1つ又は2つ以上のセルを組み込み、これらのセルは物質を含有し、そして使用中にこれを放出するように適合されている。典型的な例は、特許文献1に記載された流体含有セルである。このセル内で、流体はシールによって保持されている。圧力がシールを横切って加えられると、且つ/又は、シールがこれを弱くする環境(例えば特定の温度又はpH)と接触すると好ましくは開放可能又は破裂可能である。このようなセルは理想的にはスリーブ壁内で、例えば凹部として、やはり特許文献1に記載されているように画定され、そして好ましくは、触覚刺激を提供する隆起要素と一緒に、又は隆起要素のすぐ近くに配置される。隆起要素のうちの1つ又は2つ以上は、流体放出セルとして機能することもできる。
【0065】
物質は、適切な形態、例えば溶液、懸濁液、クリーム又はゲルとして含有することができる。
【0066】
本発明の装置は、物質、例えば潤滑剤(具体的にはシリコーン系潤滑剤、ただし、その他の多くの好適なタイプが幅広く利用可能である)、製薬活性物質(具体的には血管拡張薬)、又は芳香含有物質(具体的にはヒト・フェロモンを基剤とする芳香)を、スリーブ本体内部に含有するか、或いはスリーブ外面上に担持することができる。スリーブを形成する材料自体に、潤滑性物質、例えばシリコーン系潤滑剤、又は男性用コンドームの表面上にしばしば使用されるその他の潤滑剤をコーティングすることができる。このような潤滑剤コーティングは例えば噴霧により塗布することができる。
【発明の効果】
【0067】
一般に、本発明による装置を使用して、触覚刺激を(任意には潤滑剤のような物質と一緒に)、これを必要とする患者の身体の任意の部位に加えることができ、ひいては、軽減又は治癒のためにこのような触覚刺激を身体の一部に加えることを必要とする任意の状態を治療することができる。この装置は治療目的以外で、必ずしも生体上ではない任意の表面に触覚圧を加えることを含めて、例えば美容目的で使用することもできる。
【0068】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく装置を、触覚刺激を例えば身体に加え、且つ/又は、物質、具体的には流体を表面、具体的には生きている組織に塗布するために使用することを可能にする。
【0069】
本発明は、女性オルガスム障害又は関連状態の治療において、第1の観点に基づく装置を使用することを可能にする。本発明はさらに、女性オルガスム障害又は関連状態の治療方法であって、本発明の第1の観点に基づく装置を使用して、触覚刺激を性器部位に加え、そして任意にはまたこの装置を使用して、潤滑剤及び/又は活性物質を、該刺激された部位に塗布することを含む方法を提供する。
【0070】
治療されている状態は、オルガスムを得ることができないこと、オルガスムを一貫して得ることができないこと、オルガスムを得るのが遅いこと、又は十分に満足のいくオルガスムを得ることがないことを含む症状の任意の状態であってよい。
【0071】
さらに本発明は、医学的状態、具体的には女性オルガスム障害又は関連状態の治療に使用するために、第1の観点に基づいた装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下に添付の図面を参照しながら、本発明の実施例を説明する。全ての図面は概略的である。
先ず図1を参照すると、図示の刺激付与器は、弾性的な射出成形熱可塑性エラストマー(ショアA硬度約30度)から形成された指形スリーブ1を含む。その寸法は、典型的なヒトの中指を収容するように形成されている。
【0073】
スリーブは、全体的に符号2で示される、閉じられた遠位端を有している。この遠位端に近接して、一連の8つの突起8が(装置の下側に)設けられている。これらの突起は、楕円形又はほぼ楕円形のループを成して配列されている。これらの突起は、それらの自由端で半球形である。これらの突起は、成形プロセス中に形成され、図3に見られるように中実である。中実の突起はより大きな剛性を付与し、これらが提供する触覚刺激を高める。
【0074】
図1及び4から判るように、それぞれの突起3対間には、二次隆起部分4がやはり射出成形中に形成される。突起及び二次部分4は一緒に、連続的なほぼ楕円形の壁を画定する。この壁は図1において符号5で示された流体トラップとして作用する。このように装置が流体、例えば潤滑剤と共に使用される場合、或いはより具体的には、流体、例えば潤滑剤を塗布するために使用される場合、流体の少なくともいくらかは、所望の塗布部位に、すなわち、触覚刺激を提供する突起3の領域内に保持され得る。
【0075】
図1の装置の別の実施例の場合、突起3には物質、理想的には、使用中に塗布されるようになっている流体の形で充填することができる。この場合、適時の流体の放出を可能にするために、突起の外壁は、受圧下で破裂可能な材料(例えば薄いポリウレタン)から形成することができる。或いは、突起は開いた端部を有し、内部に流体を含有するために、後で破裂可能なシールでカバーされてよい。
【0076】
この実施例の代わりに、又はこれに加えて、装置は突起3とは別個の1つ又は2つ以上の流体含有セルを備えてよい。
【0077】
図2は、使用中に着用者の指の上側(背側)に対応する装置部分を示している。2つの細長いパネル10が見られる。これらのパネル10は、スリーブの残りの部分よりも薄いプラスチックから形成されており、パネルの位置は大雑把に言えば、着用者の指の側方に対応する。厚さが低減されたパネル10は、剥ぎ取りパネル11を側面に有する。剥ぎ取りパネル11は、容易に把持可能なタブの形を有している。
【0078】
装置の使用に続いて、着用者はパネル11を後方に向かって(すなわち概ね指端部にむかって)引張ることにより、異なる厚さのパネル間の境界線12に沿って、スリーブの残りの部分からパネル11を剥ぎ取ることができる。このことは、スリーブの取り外しを容易にし、そしてこの状況において適切であるように、使用後のその処分を促す。
【0079】
パネル10及び11は、スリーブ1の射出成形中にそれぞれその所期の厚さに形成することができる。図1〜5の装置において、例えばスリーブの本体及び剥ぎ取りパネル11の厚さは約1mmであってよく、これに対してサイド・パネル10は厚さ0.2〜0.4mm、例えば約0.35mmであってよい。スリーブ本体は、突起3の周りの指先領域で1mmよりも薄くてよい。
【0080】
図1〜5の装置の場合、スリーブ1上方の突起3の高さは(突起領域中心から測定して)、典型的には4.81mmであってよく、中間隆起部分4の高さは約1.4mmであってよい。突起の直径は、(突起の基底部、すなわちスリーブ表面で測定して)典型的には4.2mmであってよい。8つの突起によって画定された楕円形の長さは約28mmであり、幅は約15mmであってよい。これらの寸法は外寸、すなわち、楕円形を画定する突起の外縁相互間の寸法である。
【0081】
スリーブ1の長さは(図1に見られる下面で)約72.5mm〜約49mm(図2に見られる上面で)であるのが好都合である。その全周は好適には、着用者の遠位側指関節に対応する位置において約49mmであり、近位側指関節に対応する位置において約58mmである。とは言うものの、スリーブの寸法は、用途に対応する使用者群に応じて変化することができる。
【0082】
図6〜9に示された別の装置は、図1〜5に示したものと本質的には同じであり、同じ部分は同一符号を有する。
【0083】
図6の装置は、遠位端に、使用者の指に装着しやすいように、通気穴20を備えている。このような通気穴(或いはスリーブ・ファブリック内の小さなスリットの形を成していてもよい)は、任意の別の位置、例えば成形に便利なように流体トラップ領域5内に設けることもできる。
【0084】
図7及び図10の装置のそれぞれは、使用中には着用者の指の側方に対応する位置に、強度が低減された引裂ライン25を有している。引裂ライン25はその近位端から遠位端への長手方向に延びている。引裂ラインの自由端は、V字形切欠き26で終わっている。このV字形切欠きは、スリーブ・ファブリック内に設けられており、使用者がスリーブの引き裂き可能な部分をより容易に位置確認し、把持するのを可能にする。その反対側の端部は、異なる厚さのスリーブ・パネル間の境界28で終わっている。
【0085】
引裂ラインは、図7の右手に断面で示したように、スリーブ・ファブリックの低減された厚さから、成形プロセス中に形成される。この場合、ラインの厚さは0.08〜0.15mm、例えば約0.1〜0.12mmであってよい。スリーブの対向側に、第2の対応引裂ライン(図示せず)が設けられていてよい。使用後、着用者は、スリーブの上側部分又は下側部分を引張ることにより、厚さ低減ラインに沿って部分的又は全体的にこれを剥ぎ取ることができ、また任意には(図1の装置に設けられたパネル19と類似する) 厚さ低減サイド・パネル27を横切る他の方向でも、これを剥ぎ取ることができる。
【0086】
厚さ低減パネル27とスリーブの残りとの間の境界ライン28も、潜在的な引裂ラインを形成し、これらのラインは自由端に、符号29で示すような切り抜かれた切欠きを備えることにより、ユーザーが使用後に取り外すためにスリーブの当該部分を把持するのを助ける。
【0087】
図7の破線25aは、厚さ低減引裂ラインの別の位置を示している。
図7及び図10の装置と類似する装置の別の任意の「剥ぎ取り」部分が図8に示されている。この場合、厚さ低減サイド・パネル31と、スリーブの残りの部分との間の2つの境界30は、強度が低減された引裂ラインを構成する。この引裂ラインの自由端もやはりV字形切欠き32を備えている。装置の他方の側には、対応する厚さ低減パネルが設けられている。使用後、着用者はスリーブの上側部分33又は下側部分34を把持し、指端部に向かう方向でこれを引張ることにより、ライン30に沿ってこれを引き裂くことができる。
【0088】
図9の装置は、使用中には着用者の指先の上側に対応する領域に、フレキシブル性がより高い区分35を含む。この区分もまた、熱可塑性材料の厚さを低減することにより成形プロセス中に形成され、そして矢印で示すように、重要な指先領域で、スリーブ周方向におけるある程度の拡張を可能にし、このような拡張は、スリーブが所定の範囲の指サイズに快適に対応するのを可能にする。或いはこの区分35は、切り出された部分の形、すなわちスリーブ・ファブリックにおけるギャップの形を成していてもよい。
【0089】
図11に示す装置は、そのスリーブ1aが、使用中に着用者の指先だけを、すなわち、遠位指関節と境を接する端領域だけを収容する点で、図1〜図10の装置とは異なっている。それにもかかわらずこのスリーブ1aは、スリーブの遠位端2に向かって、例えば図1の装置と同じタイプの隆起要素3及び4を、図1の装置と同じ配列で担持しており、使用中、これらの隆起要素は、着用者の指先に関して同じ位置を占め、同じ機能を発揮することになる。ここでもやはり、隆起要素は流体トラップ5を画定する。
【0090】
図11の装置はまた、図1の装置と同様の厚さ低減サイド・パネル10aと、図6の装置におけるような通気穴20とを有している。
【0091】
図12及び図13のそれぞれは、本発明による装置の遠位端領域の一部を示している。これらの図面は、図1〜図11のような装置において、突起3が中実である代わりに少なくとも部分的に中空であることにより、突起の剛性を低減する様子を示している。図12の装置の突起3aは、突起自由端内部を切除して形成された溝40を有している。これらの溝は、装置を使用することにより塗布されることになっている流体、例えば潤滑剤を捕捉するのを助けることができる。
【0092】
図13の装置の突起3bの場合、いくつかの溝41が、突起の自由端からスリーブ内部を貫通して延びている。このような溝は装着中にスリーブからの空気の放出を助けるための通気口として付加的に機能することができる。
【0093】
図1〜図11のような装置を使用することにより、女性患者の陰核部位内で触覚刺激を加えることができる。その際に、突起3は先ず陰核幹の2つの側に接触し、こうして、極めて効果的で満足できることであることが判っている刺激を提供する一方、より高感受性の陰核先端を過剰の接触に対して保護する。所望の場合に装置を使用してさらに潤滑剤が塗布されるときには、この潤滑剤は流体トラップ領域5内に溜まり、ひいては、陰核部位内に保持される傾向があり、これによりやはり刺激中の感受性組織を保護することになる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明による装置を下方(下側)から見た状態で示す斜視図である。
【図2】図1の装置を上方から見た状態で示す斜視図である。
【図3】図1のIII-III線に沿って示す断面図である。
【図4】図1のIV-IV線に沿って示す断面図である。
【図5】図1及び2のV-V線に沿って示す断面図である。
【図6】本発明による別の装置を示す斜視図である。
【図7】本発明によるさらに別の装置を示す側面図である。
【図8】本発明によるさらに別の装置を示す側面図である。
【図9】本発明によるさらに別の装置を、上方から見た状態で示す斜視図である。
【図10】図7の装置と類似の装置を、後方の一方の側から見た状態で示す斜視図である。
【図11】本発明によるさらに別の装置を、下方から見た状態で示す斜視図である。
【図12】本発明によるさらに別の装置の部分を示す縦断面図である。
【図13】本発明によるさらに別の装置の部分を示す縦断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、該装置が、指を収容するように適合されたスリーブと、該スリーブの外面に設けられた1つ又は2つ以上の隆起要素とを含み、1つ以上の隆起要素又は隆起要素の部分が、該スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の15%によって画定された該スリーブの領域内に設けられており、該隆起要素が、隆起要素を担持しないスリーブ表面のブランク領域を取り囲むループを成して配列されていることを特徴とする、触覚刺激を加えるのに使用される装置。
【請求項2】
該スリーブ外面に6〜10個の隆起要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該隆起要素は、該スリーブ外面上で、楕円形又はほぼ楕円形を成して配列されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
該隆起要素が、使用中には着用者の指先の下側に対応する、該装置の領域内に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
1つ以上の隆起要素が、該スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の10%によって画定された該スリーブ表面の領域内に設けられている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
該隆起要素の全てが、該スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の50%によって画定された該下側スリーブ表面の領域内に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
該隆起要素が、ドーム状突起の形状を成しており、該ドーム状突起の自由端がほぼ半球形である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
該スリーブ表面の該ブランク領域が、使用中には着用者の指先の下側の中心領域に対応するように配置されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
隆起要素の該配列が、それぞれが1つ以上の隆起要素から成る2つの群を含み、該2つの群が、該ブランク領域によって、該スリーブ表面の周りで周方向に互いに離隔されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
該2つの隆起要素群のそれぞれが、2つ又は3つ以上の隆起要素から成る列を含み、該列が、長手方向のスリーブ軸に対して平行又はほぼ平行に延びている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
該隆起要素が、該スリーブ外面上に流体保持領域を少なくとも部分的に画定している、請求項1から10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
該流体保持領域が、該隆起要素及び該スリーブ外面によって仕切られた、頂部が開いた包囲体の形態を成す、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
該流体保持領域内のスリーブ表面が実質的に平らである、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
該流体保持領域が、該隆起要素によって形成されたループ内の面積全体を占める、請求項11から13までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
該スリーブ外面上に、一次隆起要素及び二次隆起要素の双方が設けられており、該二次隆起要素は一次隆起要素相互間に位置しているが、しかし、該一次隆起要素ほど大きくは該スリーブ表面の上方に突出しておらず、該配列が、該一次要素と該二次要素とが一緒に連続的な流体保持壁を画定するように形成されている、請求項11から14までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
該スリーブの1つ以上の領域が、該スリーブの残りの部分よりも大きいフレキシブル性を有しており、そして、延伸することによりスリーブ円周を増大させることを可能にする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
該高フレキシブル性領域が、該スリーブの残りの部分と同じ材料から、しかしより薄く形成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
該高フレキシブル性領域が、使用中には着用者の指の側方に、又は側方近くに配置される、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
該高フレキシブル性領域が細長い形状を有しており、そして使用中には、実質的に着用者の指の方向に配向される、請求項16から18までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
該スリーブが、該スリーブの周りで半径方向に間隔を置いた2つ又は3つ以上の高フレキシブル性領域を有している、請求項16から19までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
該スリーブが引裂可能な部分を有しており、該引裂可能な部分は、該スリーブの残りの部分から部分的又は完全に剥ぎ取ることができ、そして、スリーブ強度低減領域によって少なくとも部分的に画定されている、請求項1から20までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
該スリーブ強度低減領域が、フレキシブル性、厚さ及び/又は強度が異なる2つのスリーブ領域間の境界によって形成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
該スリーブ強度低減領域が、隣接するスリーブ領域よりも薄い領域によって形成されている、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
該スリーブが、装着中の内部からの空気の放出を容易にするために通気口を備えている、請求項1から23までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
1つ又は2つ以上の流体セルを含み、該流体セルは、該装置を使用して供給されるべき物質を含有しており、そして、該装置の使用中に該物質を放出するように適合されている、請求項1から24までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
供給されるべき該物質が、潤滑剤及び/又は製薬活性物質を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
単回使用のために、また使用後には処分できるように適合されている、請求項1から26までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
該スリーブが、ほぼ指形の構造を無支持状態で保つのに十分な剛性を有しているが、しかし、使用中には着用者の指とともに曲がることができる、請求項1から27までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
該スリーブが、遠位側指関節と境を接する指端部である着用者の指先だけを収容するのに十分なサイズを有している、請求項1から28までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
該スリーブの円周がその長さに沿って変化し、使用中に着用者の近位側指関節に対応する位置ではより大きく、遠位側関節位置ではより小さい、請求項1から29までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、該装置が、指を収容するように適合されたスリーブと、該スリーブの外面に設けられた1つ又は2つ以上の隆起要素とを含み、該スリーブの1つ以上の領域が、該スリーブの残りの部分よりも大きいフレキシブル性を有することにより、スリーブ円周を可変にすることを特徴とする、触覚刺激を加えるのに使用される装置。
【請求項32】
触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、該装置が実質的には、添付の図面を参照しながら明細書中に説明された通りであることを特徴とする、触覚刺激を加えるのに使用される装置。
【請求項33】
請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置を、該装置を使用して供給されるべき物質、及び触覚圧と同時に表面に該物質を塗布するように該装置を使用するための指示書と共に含有するパッケージ。
【請求項34】
触覚圧を表面に加えるための、請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項35】
流体物質を表面に塗布するための、請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項36】
該表面が、生きている組織を含む、請求項34又は35に記載の使用。
【請求項37】
女性オルガスム障害又は関連状態の治療方法であって、該方法が、請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置を使用して、患者の性器部位に触覚刺激を加え、そして任意にはまた、該装置を使用して、潤滑剤及び/又は活性物質を、該刺激された部位に塗布することを含む、女性オルガスム障害又は関連状態の治療方法。
【請求項38】
実質的には、添付の図面を参照しながら明細書中に説明された通りである、請求項34から37までのいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項1】
触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、該装置が、指を収容するように適合されたスリーブと、該スリーブの外面に設けられた1つ又は2つ以上の隆起要素とを含み、1つ以上の隆起要素又は隆起要素の部分が、該スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の15%によって画定された該スリーブの領域内に設けられており、該隆起要素が、隆起要素を担持しないスリーブ表面のブランク領域を取り囲むループを成して配列されていることを特徴とする、触覚刺激を加えるのに使用される装置。
【請求項2】
該スリーブ外面に6〜10個の隆起要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該隆起要素は、該スリーブ外面上で、楕円形又はほぼ楕円形を成して配列されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
該隆起要素が、使用中には着用者の指先の下側に対応する、該装置の領域内に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
1つ以上の隆起要素が、該スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の10%によって画定された該スリーブ表面の領域内に設けられている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
該隆起要素の全てが、該スリーブの遠位端から測定して該スリーブの全長の最初の50%によって画定された該下側スリーブ表面の領域内に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
該隆起要素が、ドーム状突起の形状を成しており、該ドーム状突起の自由端がほぼ半球形である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
該スリーブ表面の該ブランク領域が、使用中には着用者の指先の下側の中心領域に対応するように配置されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
隆起要素の該配列が、それぞれが1つ以上の隆起要素から成る2つの群を含み、該2つの群が、該ブランク領域によって、該スリーブ表面の周りで周方向に互いに離隔されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
該2つの隆起要素群のそれぞれが、2つ又は3つ以上の隆起要素から成る列を含み、該列が、長手方向のスリーブ軸に対して平行又はほぼ平行に延びている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
該隆起要素が、該スリーブ外面上に流体保持領域を少なくとも部分的に画定している、請求項1から10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
該流体保持領域が、該隆起要素及び該スリーブ外面によって仕切られた、頂部が開いた包囲体の形態を成す、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
該流体保持領域内のスリーブ表面が実質的に平らである、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
該流体保持領域が、該隆起要素によって形成されたループ内の面積全体を占める、請求項11から13までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
該スリーブ外面上に、一次隆起要素及び二次隆起要素の双方が設けられており、該二次隆起要素は一次隆起要素相互間に位置しているが、しかし、該一次隆起要素ほど大きくは該スリーブ表面の上方に突出しておらず、該配列が、該一次要素と該二次要素とが一緒に連続的な流体保持壁を画定するように形成されている、請求項11から14までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
該スリーブの1つ以上の領域が、該スリーブの残りの部分よりも大きいフレキシブル性を有しており、そして、延伸することによりスリーブ円周を増大させることを可能にする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
該高フレキシブル性領域が、該スリーブの残りの部分と同じ材料から、しかしより薄く形成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
該高フレキシブル性領域が、使用中には着用者の指の側方に、又は側方近くに配置される、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
該高フレキシブル性領域が細長い形状を有しており、そして使用中には、実質的に着用者の指の方向に配向される、請求項16から18までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
該スリーブが、該スリーブの周りで半径方向に間隔を置いた2つ又は3つ以上の高フレキシブル性領域を有している、請求項16から19までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
該スリーブが引裂可能な部分を有しており、該引裂可能な部分は、該スリーブの残りの部分から部分的又は完全に剥ぎ取ることができ、そして、スリーブ強度低減領域によって少なくとも部分的に画定されている、請求項1から20までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
該スリーブ強度低減領域が、フレキシブル性、厚さ及び/又は強度が異なる2つのスリーブ領域間の境界によって形成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
該スリーブ強度低減領域が、隣接するスリーブ領域よりも薄い領域によって形成されている、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
該スリーブが、装着中の内部からの空気の放出を容易にするために通気口を備えている、請求項1から23までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
1つ又は2つ以上の流体セルを含み、該流体セルは、該装置を使用して供給されるべき物質を含有しており、そして、該装置の使用中に該物質を放出するように適合されている、請求項1から24までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
供給されるべき該物質が、潤滑剤及び/又は製薬活性物質を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
単回使用のために、また使用後には処分できるように適合されている、請求項1から26までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
該スリーブが、ほぼ指形の構造を無支持状態で保つのに十分な剛性を有しているが、しかし、使用中には着用者の指とともに曲がることができる、請求項1から27までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
該スリーブが、遠位側指関節と境を接する指端部である着用者の指先だけを収容するのに十分なサイズを有している、請求項1から28までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
該スリーブの円周がその長さに沿って変化し、使用中に着用者の近位側指関節に対応する位置ではより大きく、遠位側関節位置ではより小さい、請求項1から29までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、該装置が、指を収容するように適合されたスリーブと、該スリーブの外面に設けられた1つ又は2つ以上の隆起要素とを含み、該スリーブの1つ以上の領域が、該スリーブの残りの部分よりも大きいフレキシブル性を有することにより、スリーブ円周を可変にすることを特徴とする、触覚刺激を加えるのに使用される装置。
【請求項32】
触覚刺激を加えるのに使用される装置であって、該装置が実質的には、添付の図面を参照しながら明細書中に説明された通りであることを特徴とする、触覚刺激を加えるのに使用される装置。
【請求項33】
請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置を、該装置を使用して供給されるべき物質、及び触覚圧と同時に表面に該物質を塗布するように該装置を使用するための指示書と共に含有するパッケージ。
【請求項34】
触覚圧を表面に加えるための、請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項35】
流体物質を表面に塗布するための、請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項36】
該表面が、生きている組織を含む、請求項34又は35に記載の使用。
【請求項37】
女性オルガスム障害又は関連状態の治療方法であって、該方法が、請求項1から32までのいずれか1項に記載の装置を使用して、患者の性器部位に触覚刺激を加え、そして任意にはまた、該装置を使用して、潤滑剤及び/又は活性物質を、該刺激された部位に塗布することを含む、女性オルガスム障害又は関連状態の治療方法。
【請求項38】
実質的には、添付の図面を参照しながら明細書中に説明された通りである、請求項34から37までのいずれか1項に記載の方法又は使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図11】
【公表番号】特表2006−500139(P2006−500139A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539190(P2004−539190)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004073
【国際公開番号】WO2004/028437
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(505109853)シーエスティー メディカル リミティド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004073
【国際公開番号】WO2004/028437
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(505109853)シーエスティー メディカル リミティド (1)
【Fターム(参考)】
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