説明

計器装置

【課題】 本発明は、組み付けおよび取り外しの作業性を従来に比して簡単に行うことのできる計器装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 中ケース40と、中ケース40の前面側に配置され前面が透視可能な上ケース50と、中ケース40と回路基板30とを覆う下ケース60と、を備えてなる計器装置において、中ケース40の中央側の背面部に弾性腕片411にフック部412を設け、フック部412の裏面側となる弾性腕片411にリブ413を突設し、下ケース60には、下ケース60の底面部分から回路基板30に向けて突出する開口窓部623を備えた載置部620を設け、載置部620と連続してフック部412と係合する係合受け部624を設けるとともに、下ケース60から一体にリブ413と当接可能な突き当て部625を設け、突き当て部625の両側にスリット部626を設けてなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車やオートバイ、建設機械、農耕機械などの車両に搭載される計器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両などに搭載される計器装置として、特許文献1や特許文献2などに示すような構成が知られている。当該特許文献などによる計器装置にあっては、速度計や回転計などの指針式の指示計器の前面側に配置される表示板と、前記指示計器を実装する硬質材料からなる回路基板と、この回路基板の前面側に配置され、前記表示板を載置する樹脂材料からなる中ケースと、この中ケースの前面側に配置され、少なくとも前面が透視可能な樹脂材料からなる透視パネル部材と表示板の表示領域を仕切る見返しパネル部材とからなる上ケースと、前記中ケースと前記回路基板とを覆う樹脂材料からなる下ケースと、を備えてなる計器装置を構成している。
【0003】
この場合、計器装置の組み付けを簡便に行うためにビス締めによる固定手段から、例えば弾性腕片に備えた爪状のフック部からなる係止部とこの係止部に設けられた弾性腕片のフック部と係合する枠状の係合部とを着脱可能に設けるように構成することによって、組み付けおよび分解などの作業を個別に設けた部品であるビスによるビス締め作業に比べて簡単に行うことができるようにしたものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−174292号公報
【特許文献2】特開2008−75696号公報
【特許文献3】特開平1ー250606号公報 〔第5図参照〕
【特許文献4】実公平2ー25131号公報 〔第1図から第3図参照〕
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の特許文献1や特許文献2などにおける計器装置は、例えば上ケースである透視パネル部材と見返しパネル部材や中ケースあるいは下ケースのそれぞれの外周部分に係止用のフック部を設け、このフック部などに対応するように見返しパネル部材や中ケースあるいは下ケースなどに枠状の係合部を形成して係合保持するように構成している。
【0006】
この際、組み付け後において係止用のフック部と枠状の係合部との間において寸法的なバラツキやケースなどの反りなどによる変形などによって、フック部と係合部との嵌合状態に弛みが生じ、外部から振動が加わった場合、特に振動雰囲気中にて使用される場合あっては各ケース間でガタツキが生じてしまい、軋み音などが発生してしまうという問題がある。
【0007】
この点を避けるために、例えば特許文献3や特許文献4などに記載されているように、係止用のフック部が設けられた弾性腕片の裏面側に位置した弾性腕片箇所にリブを突設し、このリブをケースの壁面に押し付けるように設けることによって、各ケース間の隙間などによる寸法誤差やケースの反りによる変形を吸収しガタツキを防ぐようにしたものが提案されている。
【0008】
しかしながら、このような構成からなる固定構造においては、組み付け時におけるガタツキを解消することができるという反面、各ケースの取り外しを行う場合、枠状の係合部に係合保持された複数のフック部を撓ませながら取り外す必要があり、例えば中ケースおよび下ケースとを分解するに際して、中ケースに設けられた係止用のフック部を備えた弾性腕片の裏面側にリブが設けられ、このリブを受けているケース側の剛性も高いために、フック部を撓ませながらケース同志を外そうとした際にフック部のリブに大きな力が加わっても撓みにくくなり、手作業による分解作業が厄介であり、そのため専用の取り外し治具が必要となったり、場合によってはフック部を破損させてしまう虞があった。
【0009】
そこで本発明は、前述の問題点に着目し、組み付けおよび取り外しの作業性を良好に行うことのできる計器装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前述した課題を解決するため、請求項1では、指示計器の前面側に配置される表示板と、前記指示計器を実装する硬質材料からなる回路基板と、この回路基板の前面側に配置され、前記表示板を載置する樹脂材料からなる中ケースと、この中ケースの前面側に配置され、少なくとも前面が透視可能な樹脂材料からなる上ケースと、前記中ケースと前記回路基板とを覆う樹脂材料からなる下ケースと、を備えてなる計器装置において、前記中ケースの周縁部には、前記下ケースの上端側の周縁部に載置するためのフランジ部が設けられるとともに、前記中ケースの中央側の背面部に弾性腕片に設けられた係止爪部からなるフック部が設けられ、このフック部の裏面側となる前記弾性腕片にリブを突設し、前記下ケースには、前記フック部と対応する位置に前記下ケースの底面部分から前記回路基板に向けて突出する載置部が設けられ、前記載置部は、前記回路基板側に向けて立ち上がり形成された立ち上がり壁部と、この立ち上がり壁部と連続して回路基板の背後側を支持する載置面部とから形成され、前記載置面部に開口窓部が設けられ、この開口窓部の縁部に前記載置面部と連続して前記フック部と係合する係合受け部が設けられるとともに、この係合受け部と対向する前記開口窓部側には前記下ケースから一体に前記リブと当接可能な突き当て部が設けられ、この突き当て部の両側には突き当て部を撓みやすくするためのスリット部を設けてなることを特徴とするものである。
【0011】
このように構成することにより、突き当て部の両側にスリット部を設けることにより、突き当て部自体の剛性を弱めることができるため、中ケースと下ケースとを取り外す際に弾性腕片に設けられた係止爪部からなるフック部をケース側に設けられた係合受け部との係合を解き放すように突き当て部側に押し圧することにより、突き当て部が撓みやすくなるので、分解作業を良好に行うことができる。
【0012】
また請求項2では、請求項1に記載の計器装置において、前記係合受け部は、前記載置部から前記下ケースの底面に向かうに従って徐々に前記突き当て部に近づく方向に傾斜する傾斜部にて形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
このように構成することにより、中ケースと下ケースとの組み付けに際し、下ケースの開口窓部の縁部に設けられた係合受け部の傾斜部に沿って中ケースに設けられたフック部が誘い込まれながら組み付けることができるため、組み付け作業を良好に行うことができる。
【0014】
また請求項3では、請求項1または請求項2に記載の計器装置において、前記係合受け部の両側に切り込み部を設けてなることを特徴とするものである。
【0015】
このように構成することにより、係合受け部の両側に切り込み部が設けられることによって、切り込み部自体の剛性を弱めることができ、中ケースと下ケースとの組み付けに際し、下ケースの開口窓部の縁部に設けられた係合受け部に沿って中ケースに設けられたフック部を送り込む際に係合受け部が撓んでフック部を傷めることなく送り込むことができ、組み付け作業も良好に行うことができる。
【0016】
また請求項4では、請求項1から請求項3のいずれかに記載の計器装置において、前記回路基板は、前記下ケースと前記中ケースとの間に挟着保持してなることを特徴とするものである。
【0017】
このように構成することにより、中ケースと下ケースとの組み付け固定時において、下ケースを基準にして回路基板および中ケースをセットして中ケースのフック部にて下ケースの係合受け部と係合保持することにより、各ケース内にて回路基板を挟み付けながら良好に組み付け保持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による計器装置においては、指示計器の前面側に配置される表示板と、前記指示計器を実装する硬質材料からなる回路基板と、この回路基板の前面側に配置され、前記表示板を載置する樹脂材料からなる中ケースと、この中ケースの前面側に配置され、少なくとも前面が透視可能な樹脂材料からなる上ケースと、前記中ケースと前記回路基板とを覆う樹脂材料からなる下ケースと、を備えてなる計器装置において、前記中ケースの周縁部には、前記下ケースの上端側の周縁部に載置するためのフランジ部が設けられるとともに、前記中ケースの中央側の背面部に弾性腕片に設けられた係止爪部からなるフック部が設けられ、このフック部の裏面側となる前記弾性腕片にリブを突設し、前記下ケースには、前記フック部と対応する位置に前記下ケースの底面部分から前記回路基板に向けて突出する載置部が設けられ、前記載置部は、前記回路基板側に向けて立ち上がり形成された立ち上がり壁部と、この立ち上がり壁部と連続して回路基板の背後側を支持する載置面部とから形成され、前記載置面部に開口窓部が設けられ、この開口窓部の縁部に前記載置面部と連続して前記フック部と係合する係合受け部が設けられるとともに、この係合受け部と対向する前記開口窓部側には前記下ケースから一体に前記リブと当接可能な突き当て部が設けられ、この突き当て部の両側には突き当て部を撓みやすくするためのスリット部を設けてなることを特徴とする計器装置であるため、突き当て部の両側にスリット部を設けることにより、突き当て部自体の剛性を弱めることができるため、中ケースと下ケースとを取り外す際に弾性腕片に設けられた係止爪部からなるフック部をケース側に設けられた係合受け部との係合を解き放すように突き当て部側に押し圧することにより、突き当て部が撓みやすくなるので、分解作業を良好に行うことができるものであり、これにより所期の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態である計器装置を示す正面図である。
【図2】図2は、図1の計器装置の外観を示す背面図である。
【図3】図3は、図1のA−A線箇所を示す計器装置の断面図である。
【図4】図4は、図3の組み付け前の状態を示す計器装置の断面図である。
【図5】図5は、図1および図2のB−B線箇所を示す計器装置の断面図である。
【図6】図6は、図5の中ケースの係止部と、この係止部と係合される下ケースの要部箇所を示す分解斜視図である。
【図7】図7は、図5の中ケースの係止部と下ケースとの取り外し途上を示す計器装置の要部断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施形態である中ケースの係止部と、この係止部と係合される下ケースの要部箇所を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1から図7は本発明の第1の実施形態を示すもので、以下、これらに基づいて本発明の実施形態を例えば自動車に搭載される計器装置を例にして説明する。
【0021】
同図において、本実施形態による計器装置においては、速度計、燃料計、水温計などの指針式の指示計器10の前面側に配置される表示板20と、前記指示計器10の計器本体11を実装する硬質材料からなる回路基板30と、この回路基板30の前面側に配置され、前記表示板20を載置する樹脂材料からなる中ケース40と、この中ケース40の前面側に配置され、少なくとも前面が透視可能な樹脂材料からなる透視パネル部材51と表示板20の表示領域を仕切る見返しパネル部材52とからなる上ケース50と、前記中ケース40と前記回路基板30とを覆う樹脂材料からなる下ケース60と、を備えて構成している。
【0022】
この場合、速度計や燃料計、水温計などの各種情報を表示する各指示計器10にあっては、回路基板30の背後側に各指示計器10の一部を構成する計器本体11がそれぞれ組み付け固定されており、この各計器本体11に設けられた指針軸12の先端側に、指針軸12を軸芯として回転する指針13がそれぞれ圧入固定されている。この実施形態における指針構造としては、透明な合成樹脂たとえばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などにて形成された発光指針13を用いている。
【0023】
また計器本体11は、可動磁石式計器またはステッピングモータからなり、この例では指針軸12が回路基板30に形成した軸孔を貫通するように、回路基板30の背後に装着され、且つ半田付け等の適宜導通手段により配線パターンに電気接続されている。
【0024】
また指針13の背後側に位置した中ケース40の前面側に配置される表示板20には、目盛や数字や記号などからなる表示部21が施されている。また、表示板20には、指針軸12に対応した位置に貫通孔22が設けられ、この貫通孔22を通じて指針軸12と指針13とが連結できるようになっている。
【0025】
また回路基板30は、たとえばガラスエポキシ系基材に配線パターン(図示せず)を施した硬質回路基板からなり、計器本体11の駆動・制御を行う駆動手段(図示せず)や、たとえば抵抗、コンデンサ等の各種電子部品(図示せず)が前記配線パターンに導通接続されている。この回路基板30上には、枠状の中ケース40内に臨んで表示板20の目盛部や数字などの表示部21を透過照明するための光源(発光ダイオード70)と、指針13を発光照明するための指針用光源(発光ダイオード71)とが実装されるとともに、前述したように計器本体11が回路基板30の背後側に組み付け固定されている。
【0026】
また中ケース40は、白色系の合成樹脂材料によって速度計、液面計、水温計などの指示計器10を支持するために全体が略枠状の側壁部41と、この側壁部41の中程をそれぞれ繋ぐように設けられた水平壁部42によって形成され、その枠状に形成された中ケース40から一体にそれぞれの指示計器10の指針軸12を取り巻くように円筒部43が形成され、この円筒部43の底部に位置した回路基板30の表面側に前述した指針照明用としての光源71が配置されている。この場合、前記水平壁部42は表示板20を載置する載置面として形成している。
【0027】
また、中ケース40には円筒部43の外周面の中程から連続して反射壁部44が一体に突き出し形成され、この反射壁部44の真下の位置には前述したように目盛や数字などからなる表示部21を透過照明するための照明用としての光源70が配置されている。また中ケース40には、光源70からの光を反射壁部44を介して反射導光し、この反射導光した光をさらに表示板20の表示部21側へと反射導光する反射面部45が中ケース40の水平壁部42から連続して一体に形成されている。
【0028】
また上ケース50の一部を構成する透視パネル部材51は、例えば透明な合成樹脂からなり、表示板20上の表示部21が透視できるように設けられている。
【0029】
また上ケース50の一部を構成する見返しパネル部材52は、例えば黒色の合成樹脂からなり、表示板20上の表示部21領域が視認可能となるように表示板20の周縁部箇所を覆うように設けられている。
【0030】
また下ケース60は、例えば合成樹脂からなり、回路基板30の背後と中ケース40の外周面側を覆うように有底枠状に形成されている。
【0031】
ところで、本実施形態における計器装置の各構成部材の組み付け・取り外し構造としての構成として、上ケース50や中ケース40および下ケース60の各構成部材には以下の構造が用いられている。
【0032】
透視パネル部材51の外周部の適所には、所定の間隔を配して複数個の係止部510が一体に設けられている。この場合、係止部510としては、透視パネル部材51の外周部から一体に下ケース60側に向けて突出する弾性腕片511と、この弾性腕片511の先端部に設けられた爪状のフック部512と、このフック部512が設けられた弾性腕片511の裏面側となる箇所に突設して設けられたリブ513とによって形成されている。
【0033】
また見返しパネル部材52側には、透視パネル部材51に設けた係止部510のいくつかを受け入れるために枠状の係合部520が係止部510と対向する位置に一体に設けられるとともに、前記透視パネル部材51と同様にして見返しパネル部材52の外周部の適所に弾性腕片521とフック部522とリブ523とからなる係止部524が所定の間隔を配して一体に設けられている。
【0034】
また下ケース60には、透視パネル部材51に設けられた弾性腕片511とフック部512とリブ513とからなる係止部510と、見返しパネル部材52に設けられた弾性腕片521とフック部522とリブ523とからなる係止部524とがそれぞれ係合保持されるように下ケース60の外周部箇所に枠状からなる係合部600がそれぞれ設けられている。
【0035】
また中ケース40には、中ケース40の上側周縁端部に外側に向けて水平方向に突出するフランジ部400が設けられ、このフランジ部400は下ケース60の周縁部に載置可能に設けられるとともに、上ケース50と下ケース60との間にフランジ部400が挟着保持されるように設けられている。
【0036】
また中ケース40と下ケース60との間に配設される回路基板30は、中ケース40と下ケース60との間に挟着保持されるように設けられている。この際、下ケース60には、その下ケース60の底面部分から回路基板30に向けて突出する基板受部610を設けている。この基板受部610の厚み分によって回路基板30に実装される電子部品や計器本体11の実装スペースが確保される。
【0037】
本実施形態においては、中ケース40の中央部領域において適宜な箇所(2箇所)に中ケース40と一体にして下ケース60側(中ケース40の背面側)に向けて弾性腕片411と、この弾性腕片411の先端側に設けられた係止爪部からなるフック部412と、このフック部412が設けられた側と反対に面した弾性腕片411には弾性腕片411の長手方向に沿って突出形成されたリブ413とからなる係止部410が設けられている。
【0038】
また下ケース60側には、中ケース40の係止部410と対応する箇所に中ケース40の底面部分から枠状に凹んだ載置部620が設けられており、この載置部620の高さ寸法と基板受部610の高さ寸法とを同一の高さ寸法となるように設定して設けている。
【0039】
この際、載置部620としては、回路基板30側に向けて立ち上がり形成された立ち上がり壁部621と、この立ち上がり壁部621と連続して回路基板30の背後側を支持する載置面部622とから凹設空間部Sが形成され、載置面部622に開口窓部623が設けられるとともに、この開口窓部623位置に対応して回路基板30に貫通孔31が設けられている。
【0040】
また開口窓部623の縁部である載置面部622と連続して弾性腕片411に設けられた係止爪部からなるフック部412と係合する係合受け部624が設けられるとともに、この係合受け部624と対向する開口窓部623側の縁部である載置面部622側には下ケース60から一体にリブ413と当接可能な突き当て部625が設けられ、この突き当て部625の両側には突き当て部625を撓みやすくするためのスリット部626が設けられている。
【0041】
なお、本実施形態においては、係合受け部624は、載置部620に形成された載置面部622から下ケース60の底面側に向かうに従って徐々に突き当て部625側に近づく方向に傾斜する傾斜部にて形成されている。
【0042】
このように構成された第1の実施形態おける計器装置においては、以下のように組み付けが行われる。まず最初に回路基板30に各指示計器10の一部を構成する計器本体11をそれぞれ組み付け固定するとともに電気的に引き回し形成し、この状態にて回路基板30を下ケース60を基準にしてセットする。次いで、中ケース40の前面側に表示板20を配置した状態にて、下ケース60にセットする。
【0043】
この際、下ケース60に対して所定位置に中ケース40を載せてセットした後に、中ケース40と下ケース60との組み付けを行うに際し、下ケース60の開口窓部623の縁部に設けられた係合受け部624の傾斜部に沿って中ケース40に設けられたフック部412が誘い込まれながら組み付けることができるため、組み付け作業を良好に行うことができる。
【0044】
続いて各計器本体11に設けられた指針軸12の先端側に指針13の基部側を圧入固定する。これにより下ケース60を基準として計器本体11を組み付けた回路基板30、中ケース40および表示板20が積層状態にてセットされる。さらに、上ケース50となる見返しパネル部材52と透視パネル部材51とを下ケース60側に重ね合わせて組み付けることにより、見返しパネル部材52と透視パネル部材51とにそれぞれ設けられた係止部524,510が下ケース60側に設けた枠状の係合部600に沿って送り込まれ各係止部524,510に設けられたフック部522,512が枠状の係合部600に係合して抜け止め保持される。
【0045】
この際、下ケース60の係合部600に対し、上ケース50側に設けた係止部524,510を係合固定するだけで、上ケース50と下ケース60との間に中ケース40に設けたフランジ部400を介して中ケース40を挟着保持することができる。さらに、この係合固定と同時に、中ケース40と下ケース60との間に回路基板30を挟着保持することができるものであり、組み付け作業の効率化を図ることが可能となる。
【0046】
また、計器装置を分解(取り外し)する場合においては、上ケース50となる見返しパネル部材52と透視パネル部材51とにそれぞれ設けられた係止部524,510と下ケース60に設けられた枠状の係合部600との係合状態を開放する場合、各係止部524,510に設けられた弾性腕片521,511の長さが比較的に長いため、それぞれの弾性腕片521,511を撓ませながら係合部600との係合を解き放すことができる。
【0047】
続いて、下ケース60に組み付けられている回路基板30や中ケース40は、下ケース60の底面から回路基板30側に向けて突出するように奥まった位置にて回路基板30側に向けて立ち上がり形成された立ち上がり壁部621と、この立ち上がり壁部621と連続して回路基板30の背後側を支持する載置面部622とからなる載置部620が設けられ、しかも載置部620としては、回路基板30側に向けて立ち上がり形成された立ち上がり壁部621と、この立ち上がり壁部621と連続して回路基板30の背後側を支持する載置面部622とから凹設空間部Sが形成され、載置面部622に開口窓部623が設けられるとともに、この開口窓部623の縁部である載置面部622と連続して弾性腕片411に設けられた係止爪部からなるフック部412と係合する係合受け部624が設けられるとともに、この係合受け部624と対向する開口窓部623側の縁部である載置面部622側には下ケース60から一体にリブ413と当接可能な突き当て部625が設けられ、この突き当て部625の両側には突き当て部625を撓みやすくするためのスリット部626が設けられているため、中ケース40と下ケース60とを取り外す際に、比較的に短い寸法にて形成された弾性腕片411であったとしても、弾性腕片411に設けられた係止爪部からなるフック部412を下ケース60側に設けられた係合受け部624との係合を解き放すように突き当て部625側に押し圧した際に、突き当て部625がスリット部626によって簡単に撓むこととなり、これにより弾性腕片411に加わる負荷を軽減することができるものであり、弾性腕片411を折損することなく係合状態を解き放つことができ、中ケース40や回路基板30を簡単に取り外すことができる。
【0048】
なお、弾性腕片411に設けられたリブ413によって本来の目的の一つである耐震性に優れた計器装置を提供することができるものであり、この結果、共振などによる軋み音などの異音の発生をも抑制することができる。
【0049】
図8は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、前述した図1から図7に示す第1の実施形態とほぼ同様であるため、計器装置の主要部構成については省略する。
【0050】
前述した第1の実施形態と同様にして中ケース40には、中ケース40の上側周縁部に外側に向けて水平方向に突出するフランジ部400が設けられ、このフランジ部400を上ケース50と下ケース60との間に挟着保持するように設けている。
【0051】
また中ケース40の中央部領域において適宜な箇所(2箇所)に中ケース40と一体にして下ケース60側に向けて弾性腕片411とフック部412およびリブ413からなる係止部410が設けられている。
【0052】
また下ケース60側には、中ケース40の係止部410と対応する箇所に中ケース40の底面部分から枠状に凹んだ載置部620が設けられており、この載置部620の高さ寸法と基板受部610の高さ寸法とを同一の高さ寸法となるように設定して設けている。
【0053】
この際、載置部620としては、回路基板30側に向けて立ち上がり形成された立ち上がり壁部621と、この立ち上がり壁部621と連続して回路基板30の背後側を支持する載置面部622とから凹設空間部Sが形成され、載置面部622に開口窓部623が設けられるとともに、この開口窓部623位置に対応して回路基板30に貫通孔31を設けられている。
【0054】
また開口窓部623の縁部である載置面部622と連続して弾性腕片411に設けられた係止爪部からなるフック部412と係合する係合受け部624が設けられるとともに、この係合受け部624と対向する開口窓部623側の縁部である載置面部622側には下ケース60から一体にリブ413と当接可能な突き当て部625が設けられ、この突き当て部625の両側には突き当て部625を撓みやすくするためのスリット部626が設けられている。
【0055】
また第1の実施形態と同様にして、係合受け部624は、載置部620に形成された載置面部622から下ケース60の底面側に向かうに従って徐々に突き当て部625側に近づく方向に傾斜する傾斜部にて形成されている。
【0056】
この第2の実施形態においては、係合受け部624の両端側に切り込み部627が設けられている。
【0057】
このように構成された第2の実施形態おける計器装置においては、前述した第1の実施形態と同様にして、下ケース60を基準として計器本体11を組み付けた回路基板30、中ケース40および表示板20が積層状態にてセットされる。さらに、上ケース50となる見返しパネル部材52と透視パネル部材51とを下ケース60側に重ね合わせて組み付けることにより、見返しパネル部材52と透視パネル部材51とが前述した第1の実施形態と同様にして固定保持される。
【0058】
この際、下ケース60に対して所定位置に中ケース40を載せてセットした後に、中ケース40と下ケース60との組み付けを行うに際し、下ケース60の開口窓部623の縁部に設けられた係合受け部624の傾斜部に沿って中ケース40に設けられたフック部412が誘い込まれながら組み付けることができるため、組み付け作業を良好に行うことができるものであり、加えて係合受け部624の両側に切り込み部627を設けてなることにより、切り込み部627自体の剛性を弱めることができ、中ケース40と下ケース60との組み付けに際し、下ケース60の開口窓部623の縁部に設けられた係合受け部624に沿って中ケース40に設けられたフック部412を送り込む際に、係合受け部624が撓んでフック部412を傷めることなく送り込むことができ、組み付け作業もさらに良好に行うことができる。
【0059】
また前述した第1の実施形態と同様にして、計器装置を分解(取り外し)する場合においても、上下のケース50,60に設けた係止部524,510と係合部600との係合箇所を取り外すことによって分離することができるものであり、この場合、各係止部524,510に設けられた弾性腕片521,511の長さが比較的に長いため、それぞれの弾性腕片521,511を撓ませながら係合部600との係合状態を簡便に解き放すことができる。
【0060】
続いて、下ケース60に組み付けられている回路基板30や中ケース40とを取り外す場合、前述した第1の実施形態とほぼ同様にして、比較的短い寸法にて形成された弾性腕片411であったとしても、係合受け部624と対向する開口窓部623側の縁部である載置面部622側には下ケース60から一体にリブ413と当接可能な突き当て部625が設けられ、この突き当て部625の両側には突き当て部625を撓みやすくするためのスリット部626が設けられているため、弾性腕片411に設けられたフック部412を下ケース60側に設けられた係合受け部624との係合を解き放すように突き当て部625側に押し圧した際に突き当て部625が簡単に撓むため、弾性腕片411に加わる負荷を軽減することができ、これにより弾性腕片411を折損することなく係合状態を解き放つことができ、分解作業を良好に行うことができるものであり、中ケース40や回路基板30を簡単に取り外すことができる。
【0061】
また中ケース40と下ケース60間に挟着保持される回路基板30は、中ケース40に設けたリブ413が設けられた係止部410によって下ケース60との間において強固に保持することができるとともに、上下のケース50,60間に挟まれて保持された中ケース40を下ケース60側との間において係合保持することができるものであり、耐震性に優れた計器装置を提供することができるものであり、この結果、共振などによる軋み音などの異音の発生をも抑制することができる。
【0062】
加えて立ち上がり壁部621と載置面部622とからなる載置部620の凹設空間部S領域に中ケース40から一体に設けられた係止部410が配置されるため、下ケース60の底面側から係止部410が突出することなく形成することができ、係止部410が外部から突き当たって折損してしまうという問題も未然に防ぐことができる。
【0063】
なお本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能であり、例えば実施形態においては、指針式の指示計器10を例にして説明していたが、例えば液晶表示素子からなる表示装置による指示計器としてもよいものであり、場合によっては、中ケース40に回路基板30を組み付け、この回路基板30が組み付けられた中ケース40を上ケース50と下ケース60との間に挟持して固定保持するように構成しても組み付け・取り外しの作業効率を高めることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
また、前述した実施形態において詳述したように、車両用の計器装置を例にして説明したが、車両用の計器装置に限らず船舶用計器あるいは農業用機械や建設機械などの特殊車両の計器装置などにおいても適用することが可能であり、また指針式あるいは液晶による指示計器に限らず、例えばEL表示パネルからな表示素子を用いた指示計器においても同様な構成を採用することができるものであり、同様な効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
S 凹設空間部
10 指示計器
11 計器本体
12 指針軸
13 指針
20 表示板
21 表示部
22 貫通孔
30 回路基板
31 貫通孔
40 中ケース
41 側壁部
42 水平壁部
43 円筒部
44 反射壁部
45 反射面部
50 上ケース
51 透視パネル部材
52 見返しパネル部材
60 下ケース
70,71 光源(発光ダイオード)
400 フランジ部
410 係止部
411 弾性腕片
412 フック部
413 リブ
510 係止部
511 弾性腕片
512 フック部
513 リブ
520 係合部
521 弾性腕片
522 フック部
523 リブ
524 係止部
600 係合部
610 基板受部
620 載置部
621 立ち上がり壁部
622 載置面部
623 開口窓部
624 係合受け部
625 突き当て部
626 スリット部
627 切り込み部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示計器の前面側に配置される表示板と、前記指示計器を実装する硬質材料からなる回路基板と、この回路基板の前面側に配置され、前記表示板を載置する樹脂材料からなる中ケースと、この中ケースの前面側に配置され、少なくとも前面が透視可能な樹脂材料からなる上ケースと、前記中ケースと前記回路基板とを覆う樹脂材料からなる下ケースと、を備えてなる計器装置において、前記中ケースの周縁部には、前記下ケースの上端側の周縁部に載置するためのフランジ部が設けられるとともに、前記中ケースの中央側の背面部に弾性腕片に設けられた係止爪部からなるフック部が設けられ、このフック部の裏面側となる前記弾性腕片にリブを突設し、前記下ケースには、前記フック部と対応する位置に前記下ケースの底面部分から前記回路基板に向けて突出する載置部が設けられ、前記載置部は、前記回路基板側に向けて立ち上がり形成された立ち上がり壁部と、この立ち上がり壁部と連続して回路基板の背後側を支持する載置面部とから形成され、前記載置面部に開口窓部が設けられ、この開口窓部の縁部に前記載置面部と連続して前記フック部と係合する係合受け部が設けられるとともに、この係合受け部と対向する前記開口窓部側には前記下ケースから一体に前記リブと当接可能な突き当て部が設けられ、この突き当て部の両側には突き当て部を撓みやすくするためのスリット部を設けてなることを特徴とする計器装置。
【請求項2】
前記受け部は、前記載置部から前記下ケースの底面に向かうに従って徐々に前記突き当て部に近づく方向に傾斜する傾斜部にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の計器装置。
【請求項3】
前記受け部の両側に切り込み部を設けてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計器装置。
【請求項4】
前記回路基板は、前記下ケースと前記中ケースとの間に挟着保持してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の計器装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113590(P2013−113590A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256990(P2011−256990)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】