説明

計測システム及び計測方法

【課題】取り付けられる電源供給口を切り替えた場合にも配線用差込接続器の位置を認識することが可能な計測システムを実現する。
【解決手段】建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する電力消費機器の消費電力量を計測するための計測システムであって、(A)電力消費機器の消費電力量を計測する計測部と、計測部による計測結果を示す電波を発信する発信部と、を有し、電源供給口に対して着脱可能であり、電力消費機器に接続される配線用差込接続器と、(B)発信部からの電波を建物内の基準位置にて受信する受信部と、(C)受信部が受信した電波の基準位置における受信強度を測定する測定部と、(D)建物内に複数の電源供給口が設けられているときに、測定部による測定結果、及び、各々の電源供給口の設置位置と基準位置における受信強度との対応関係に基づいて、複数の前記電源供給口のうち、配線用差込接続器が取り付けられている電源供給口を特定する特定部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測システム及び計測方法に係り、特に、建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する電力消費機器の消費電力量を計測するための計測システム及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する電力消費機器について消費電力量を計測するための計測システムは、既に知られている。かかる計測システムの中には、電源供給口と電力消費機器との間を中継する配線用差込接続器(例えば、タップ等)を用いて消費電力量の計測を行うものもある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の計測管理システムでは、電力消費機器の消費電力量を計測する計測器と、計測器による計測値を送信する通信部と、を備えた計測タップが用いられている。この計測タップは、建物内に設けられた電源供給口(例えば、コンセント)に対して着脱自在に構成されている。したがって、取り付ける電源供給口を自由に切り替えることが可能であり、これにより、建物内で使用される電力消費機器の各々について消費電力量を容易に計測することができ、その計測値を収集することも容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−216953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の計測システムでは、計測タップが取り付けられる電源供給口を切り替えた場合、切り替え後の計測タップの取り付け位置(すなわち、計測タップが取り付けられた電源供給口)を受信装置側で認識することができず、このため、計測タップがどの電力消費機器の消費電力量を計測しているのか把握することができなくなる虞があった。このため、各電力消費機器の消費電力量が適切に管理されなくなり、結果として、建物内における総消費電力量の削減(省エネルギー化)を図ることが困難となっていた。
【0005】
一方、計測タップの中には、どの電力消費機器の消費電力量を計測するのかを計測タップ側で入力することが可能なものも存在するが、入力作業に手間を要することに加え、取り付ける電源供給口を自由に切り替えて利用するという計測タップが有する利点が損なわれてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り付けられる電源供給口を切り替えた場合にも配線用差込接続器の位置を認識することが可能な計測システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の計測システムによれば、建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する電力消費機器の消費電力量を計測するための計測システムであって、(A)前記電力消費機器の前記消費電力量を計測する計測部と、該計測部による計測結果を示す電波を発信する発信部と、を有し、前記電源供給口に対して着脱可能であり、前記電力消費機器に接続される配線用差込接続器と、(B)前記発信部からの前記電波を前記建物内の基準位置にて受信する受信部と、(C)前記受信部が受信した前記電波の前記基準位置における受信強度を測定する測定部と、(D)前記建物内に複数の前記電源供給口が設けられているときに、前記測定部による測定結果、及び、各々の前記電源供給口の設置位置と前記基準位置における前記受信強度との対応関係に基づいて、複数の前記電源供給口のうち、前記配線用差込接続器が取り付けられている前記電源供給口を特定する特定部と、を有することにより解決される。
かかる計測システムによれば、配線用差込接続器(より正確には、配線用差込接続器の発信部)から発信される電波の基準位置における受信強度を測定し、その測定結果と、各々の電源供給口の設置位置と基準位置における受信強度との対応関係と、を照合することにより、配線用差込接続器が取り付けられている電源供給口を特定することが可能である。したがって、取り付けられる電源供給口を切り替えた場合にも配線用差込接続器の位置を的確に認識することが可能になる。
【0008】
また、上記の計測システムにおいて、前記配線用差込接続器は、タップであり、前記対応関係を示すデータを記憶した記憶部を更に有し、前記データは、各々の前記電源供給口の前記設置位置と、前記タップが各々の前記電源供給口に取り付けられた場合の前記基準位置における前記受信強度を前記電源供給口別に算出した算出受信強度との対応関係を示すテーブルデータであり、前記特定部は、前記テーブルデータと前記測定結果とを照合することにより、前記測定結果に相当する前記算出受信強度と対応している前記電源供給口を、前記タップが取り付けられている前記電源供給口として特定することとしてもよい。
かかる構成であれば、上記の対応関係をテーブルデータとして記憶しておけば、当該テーブルデータを参照することにより、的確かつ迅速に、タップが取り付けられている電源供給口(以下、タップ位置とも言う)を特定することが可能になる。
【0009】
また、上記の計測システムにおいて、前記発信部は、前記タップが前記電源供給口に取り付けられた時点から前記電波の発信を開始し、前記タップが前記電源供給口から取り外された時点で前記電波の発信を終了することとしてもよい。
かかる構成であれば、タップが取り付けられる電源供給口が切り替えられた際、直ちにタップ位置を特定することが可能になる。
【0010】
また、上記の計測システムにおいて、前記建物内に設置され、前記受信部を介して前記発信部と通信可能な端末を備え、前記端末は、前記受信部としての端末側受信部と、前記測定部としての前記端末側測定部と、前記特定部とを備え、前記端末側測定部は、前記端末側受信部が受信した前記電波の前記基準位置における端末側受信強度を測定し、前記基準位置は、前記建物内において前記端末が設置された端末設置位置であることとしてもよい。
かかる構成であれば、建物内に設置された端末において、タップから発信される電波を受信する処理、受信した電波の基準位置における受信強度を測定する処理、及び、タップ位置を特定する処理を一元化して実行するので、計測システムの構築が容易となる。
【0011】
また、上記の計測システムにおいて、前記タップが複数設けられており、複数の前記タップのうち、一の前記タップを第1タップとし、該第1タップとは異なる一の前記タップを第2タップとし、かつ、複数の前記電源供給口のうち、一の前記電源供給口を第1電源供給口とし、該第1電源供給口とは異なる一の前記電源供給口を第2電源供給口としたときに、前記第1電源供給口と前記第2電源供給口とは、前記第1タップが取り付けられた際に前記第1タップの前記発信部からの前記電波の前記端末側受信強度が等しくなる前記電源供給口であり、前記第1タップが前記第1電源供給口及び前記第2電源供給口のうち、いずれかの一方の電源供給口に取り付けられた場合、前記特定部は、前記第2タップが取り付けられている前記電気供給口を特定してから、前記第2タップに対する前記第1タップの相対位置を特定することにより、前記いずれか一方の電源供給口を特定することとしてもよい。
かかる構成であれば、端末側受信強度が等しくなる電源供給口が複数存在し、当該電源供給口のいずれかにタップ(第1タップ)が取り付けられているとしても、第2タップに対する第1タップの相対位置を特定することにより、第1タップが取り付けられている電源供給口を的確に特定することが可能になる。
【0012】
また、上記の計測システムにおいて、前記第2タップは、前記第1タップに設けられた前記発信部からの前記電波を受信するタップ側受信部と、前記タップ側受信部の受信位置における前記電波のタップ側受信強度を測定するタップ側測定部と、を備え、前記第2タップに設けられた前記発信部は、前記第2タップに設けられた前記計測部による前記計測結果と、前記タップ側測定部によるタップ側測定結果と、を示す前記電波を発信し、前記記憶部には、第2のテーブルデータが記憶されており、前記第2のテーブルデータは、前記第2タップが取り付けられている前記電源供給口の設置位置と、前記第1タップが前記第1電源供給口及び前記第2電源供給口の各々に取り付けられた場合の前記タップ側受信強度を前記電源供給口別に算出した算出タップ側受信強度と、の対応関係を示し、前記特定部は、前記第2タップに設けられた前記発信部からの前記電波が示す前記タップ側測定結果と、前記第2のテーブルデータとを照合することにより、前記第2タップに対する前記第1タップの前記相対位置を特定することとしてもよい。
かかる構成によれば、上記の対応関係を第2のテーブルデータとして記憶しておけば、当該第2のテーブルデータを参照することにより、的確かつ迅速に、第2タップに対する第1タップの相対位置を特定することが可能になる。
【0013】
さらに、上述した課題は、本発明の計測方法によれば、(A)建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する電力消費機器の消費電力量を計測する計測部と、該計測部による計測結果を示す電波を発信する発信部と、を有し、前記電源供給口に対して着脱可能であり、前記電力消費機器に接続される配線用差込接続器を用いて前記消費電力量を計測する計測方法であって、(B)前記発信部からの前記電波を前記建物内の基準位置にて受信する受信工程と、(C)前記受信工程にて受信した前記電波の前記基準位置における受信強度を測定する測定工程と、(D)前記建物内に複数の前記電源供給口が設けられているときに、前記測定工程にて前記受信強度を測定した際の測定結果、及び、各々の前記電源供給口の設置位置と前記基準位置における前記強度との対応関係に基づいて、複数の前記電源供給口のうち、前記配線用差込接続器が取り付けられている前記電源供給口を特定する特定工程と、を有することにより解決される。
かかる計測方法によれば、配線用差込接続器から発信される電波の基準位置における受信強度を測定し、その測定結果と、各々の電源供給口の設置位置と基準位置における受信強度との対応関係と、を照合することにより、配線用差込接続器が取り付けられている電源供給口を特定することが可能となる。この結果、取り付けられる電源供給口を切り替えた場合にも配線用差込接続器の位置を的確に認識することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の計測システムによれば、配線用差込接続器から発信される電波の基準位置における受信強度を測定し、その測定結果と、各々の電源供給口の設置位置と基準位置における受信強度との対応関係と、を照合することにより、配線用差込接続器が取り付けられている電源供給口を特定することが可能となる。この結果、取り付けられる電源供給口を切り替えた場合にもタップ位置を認識することが可能になる。
そして、上記の効果により、取り付ける電源供給口を自由に切り替えて利用することができるというタップの利点を生かしつつ、どの電力消費機器の消費電力量を計測しているのかを適切に把握することが可能となり、建物内における総消費電力量の管理が適切に行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る計測システム1の構成図である。
【図2】計測タップ10の構成図である。
【図3】操作パッド21における表示画面21Pの一例を示す図である。
【図4】ホームサーバ20の構成図である。
【図5】本具体例に係る住宅Hの間取り図である。
【図6】伝搬損失特性に関する図である。
【図7】各々の電源供給口C1〜C4の設置位置と、電源供給口別に算出した算出受信強度との対応関係を示す図である。
【図8】第2タップのタップ位置と算出タップ側受信強度との対応関係を示す図である。
【図9】本実施形態に係る計測方法を採用して実施される計測プロセスの流れを示す図である(その1)。
【図10】本実施形態に係る計測方法を採用して実施される計測プロセスの流れを示す図である(その2)。
【図11】本実施形態に係る計測方法を採用して実施される計測プロセスの流れを示す図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<本実施形態に係る計測システム1について>>
本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る計測システム1について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る計測システム1の構成図である。図2は、計測タップ10の構成図である。図3は、操作パッド21における表示画面21Pの一例を示す図である。図4は、ホームサーバ20の構成図である。
【0017】
本実施形態に係る計測システム1(以下、単に計測システム1とも言う)は、建物内において使用される電力消費機器の消費電力量を計測するための通信システムである。ここで、電力消費機器とは、建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する機器(図1には一例としてテレビ、パソコン、電気ポットが記載されている)のことであり、電源供給口とは、後述する計測タップ10の差込口であり、例えばコンセントやシーリングローゼットが該当する。
以降、建物の一例して住宅Hを挙げ、住宅H内で使用される電力消費機器の消費電力量を計測するための計測システム1について説明する。なお、住宅Hは建物の一例に過ぎず、その内空間に電源供給口が設けられ当該電源供給口から電力消費機器に電力が供給されるものであればよく、例えば、オフィスビルや工場内の建屋等であってもよい。
【0018】
先ず、計測システム1の概要を説明する。計測システム1は、住宅H内で使用される電力消費機器の消費電力量を計測するためのものであり、住宅Hの居住者(以下、単に居住者と言う)に対して計測結果を報知する。
【0019】
より詳しく説明すると、複数の電源供給口の各々について、電力消費機器に向かって流れる電流の値、及び、電力消費機器に印加される電圧の値を計測することにより、電力消費機器の消費電力量を計測することにしている。つまり、計測システム1では、電源供給口毎に電流値及び電圧値を計測することにより、その電源供給口に接続された電力消費機器の消費電力量を計測することとしている。換言すると、本実施形態では、電源供給口と電力消費機器とが予め対応付けられており、例えば、テレビの消費電力量を計測するにあたっては、当該テレビが接続される電源供給口について電流値及び電圧値が計測されることになる。なお、電源供給口と電力消費機器との対応付けは、例えば、居住者が住宅Hに入居する段階や住宅Hの設計段階で行われている。
【0020】
次に、計測システム1の構成について説明する。計測システム1は、図1に示すように、計測タップ10、ホームサーバ20、及び、センターサーバ30を主たる構成要素として有する。計測タップ10及びホームサーバ20は住宅H内で使用される一方、センターサーバ30は住宅Hの外部にあり、例えば、住宅Hの管理会社内に設置されている。また、ホームサーバ20とセンターサーバ30とは、インターネット2を介して互いに通信可能であり、ホームサーバ20と計測タップ10とは、宅内ネットワークを介して互いに通信可能である。以下、計測システム1の各構成要素について説明する。
【0021】
<計測タップ10>
計測タップ10は、タップであって、電源供給口と電力消費機器との間を中継するのに用いられる配線用差込接続器である。計測タップ10は、電源供給口に対して着脱自在であり、電力消費機器に接続される。計測タップ10は、住宅H内に複数備えられており、本実施形態では少なくとも2個備えられている。一方、電源供給口についても住宅H内に複数設けられ、本実施形態では少なくとも3個設けられている(図5参照)。
【0022】
計測タップ10には、図2に示すように、計測部11とタップ側通信部12とタップ側測定部13と内部回路14とが内蔵されており、これらの各要素は、タップコントローラ15を介して互いに接続されている。
【0023】
計測部11は、計測タップ10に接続された電力消費機器の消費電力量を計測するものであり、具体的には、計測タップ10のプラグ部10aから差込口部10bに流れる電流と、プラグ部10aと差込口部10bの間の電圧とを計測する。
なお、本実施形態において、計測部11は、計測タップ10が電源供給口に取り付けられ、かつ、計測タップ10に接続された電力消費機器が起動した時点から消費電力量の計測を開始し、かかる状態から解除された時点(例えば、計測タップ10が電源供給口から取り外された時点)で終了する。
【0024】
タップ側通信部12は、計測タップ10がホームサーバ20と無線通信を行うためのものであり、ホームサーバ20からの電波(以下、ホームサーバ発信電波)を受信する受信部として機能すると共に、ホームサーバ20に向けて電波(以下、タップ発信電波)を発信する発信部としても機能する。タップ発信電波は、種々の情報を変調して生成されるものであり、当該情報には、計測部11による計測結果が含まれる。この意味で、タップ発信電波は、計測部11による計測結果を示す電波であると言える。
なお、本実施形態では、タップ発信電波が示す情報の中には、計測部11による計測結果のほか、発信元の計測タップ10を識別するための識別情報も含まれている。
【0025】
また、本実施形態において、タップ側通信部12は、計測タップ10が電源供給口に取り付けられた時点からタップ発信電波の発信を開始し、以降、一定間隔毎(例えば1分毎)に発信し続け、電源供給口から取り外された時点で発信を終了する。
なお、タップ側通信部12は、消費電力量の計測が行われていない状態でタップ発信電波を発信する場合(例えば、計測タップ10が電源供給口に取り付けられているのに対して、計測タップ10には電力消費機器が接続されていない場合)には、消費電力量の計測値が0(零)であることを示す電波を発信する。
【0026】
さらに、タップ側通信部12は、計測タップ10相互の無線通信を行うためのものでもあり、他の計測タップ10に向けてタップ発信電波を発信すると共に、他の計測タップ10からのタップ発信電波を受信する。つまり、タップ側通信部12は、タップ側受信部の一例であり、他の計測タップ10に設けられたタップ側通信部12からの電波を受信する。
【0027】
そして、計測タップ10相互の無線通信により、例えば、一の計測タップ10のタップ側通信部12から発信される電波について、それ以外の計測タップ10のタップ側通信部12が受信した際の受信強度を測定することが可能になる。
【0028】
より詳しく説明すると、本実施形態では、一の計測タップ10のタップ側通信部12から発信される電波(タップ発信電波)を、それ以外の計測タップ10の各々に内蔵されたタップ側通信部12にて受信することが可能である。そして、他の計測タップ10からの電波を受信した計測タップ10側では、タップ側測定部13が、タップ側通信部12の受信位置における電波の受信強度(以下、タップ側受信強度)を測定する。測定が完了すると、当該測定結果を変調してタップ発信電波が生成される。かかるタップ発信電波は、計測部11による計測結果、及び、タップ側測定部13によるタップ側測定結果を示す電波としてタップ側通信部12から配信される。
なお、計測タップ10相互の無線通信は、計測タップ10が電源供給口に取り付けられた時点から自動的に開始されることとしてもよく、ホームサーバ20側から通信実行命令があった場合にのみ実行されることとしてもよい。
【0029】
内部回路14は、プラグ部10aと差込口部10bとの間に配設され、その中途位置にはスイッチSWが取り付けられている。このスイッチSWの開閉操作を通じて計測タップ10における通電状態を切り替えることができる。すなわち、スイッチSWの開閉により、電力消費機器への電力供給のオン・オフを切り替えることが可能である。
なお、スイッチSWの開閉(すなわち、電源供給のオン・オフ)については、後述する操作パッド21を通じて居住者が遠隔操作することが可能である。つまり、居住者は操作パッド21を通じて各電力消費機器の発停を遠隔操作することが可能であり、かかる遠隔操作を受け付けたホームサーバ20では、当該操作に応じたホームサーバ発信電波を発信する。一方、計測タップ10側では、タップ側通信部12が当該ホームサーバ発信電波を受信すると、ホームサーバ発信電波が示す内容に従ってスイッチSWが開閉するようになっている。
【0030】
<ホームサーバ20>
ホームサーバ20は、端末の一例であって、計測システム1全体を統括するサーバコンピュータである。ホームサーバ20は、住宅H内に設置されており、ルータ等により構成される通信装置22を通じて各計測タップ10(より正確には各計測タップ10のタップ側通信部12)と通信可能である。また、ホームサーバ30は、通信装置22を通じてインターネット2に接続してセンターサーバ30と通信することが可能である。
【0031】
さらに、ホームサーバ20は、通信装置22を通じて操作パッド21にデータを送信し、当該データに応じた文字情報や画像情報を操作パッド21の表示画面21Pを表示させることが可能である。操作パッド21とは、計測システム1による計測結果を表示させるための表示器であり、居住者は、操作パッド21の表示画面21Pにて、計測システム1による計測結果を閲覧することが可能である。なお、操作パッド21の表示画面21Pに表示される計測結果については、図3に示すように、消費電力量が各電力消費機器別に(換言すると、各電源供給口別に)表示される。
【0032】
操作パッド21について更に説明すると、タッチパネルが採用されており、その表示画面21Pは居住者の操作を受け付ける受け付け部として機能する。例えば、図3に示すように、操作パッド21の表示画面21Pには、電力消費機器の運転状況を切り替えるための情報(換言すると、電力消費機器への電力供給のオン・オフを切り替えるための情報)として、運転ボタンB1及び停止ボタンB2が電力消費機器別に表示される。これらのボタンを居住者が押すことにより、いずれのボタンが押されたのかを示すデータが操作パッド21からホームサーバ20に伝送される。その後、ホームサーバ20は、当該データに従って計測タップ10と通信して、前述したスイッチSWの開閉を制御する。
なお、上述した居住者の操作については、計測タップ10を介して電源供給口に接続された電力消費機器に限り受け付け可能である。したがって、例えば、計測タップ10に接続されていない電力消費機器については、電力消費機器の運転状況を切り替えることができず、操作パッド21の表示画面21P上において、運転ボタンB1や停止ボタンB2が表示されない。
【0033】
以上のような機能を実現するために、ホームサーバ20には、図4に示すように、ホームサーバ側通信部23aと、ホームサーバ側測定部23bと、特定部23cと、表示データ生成部23dと、開閉切り替え部23e、データ格納部23fとが備えられている。ホームサーバ20の各部は、通信装置22、CPU、ROMやRAM等の半導体記憶媒体、通信用インターフェース、制御回路、並びにインストールされたプログラム等により構成されており、制御部23gを介して互いに接続されている。
【0034】
ホームサーバ側通信部23aは、各計測タップ10、センターサーバ30及び上述の操作パッド21と通信するためのものであり、例えば、計測タップ10からの電波(タップ発信電波)を住宅H内の基準位置にて受信する端末側受信部として機能すると共に、計測タップ10に向けて電波(ホームサーバ発信電波)を発信する端末側発信部としても機能する。さらに、ホームサーバ側通信部23aは、センターサーバ30と通信してセンターサーバ30内のデータを読み取る機能や、住居者の操作に関して操作パッド21から伝送されてくるデータを受信する機能をも備えている。
なお、本実施形態において、基準位置とは、住宅H内においてホームサーバ20が設置されたサーバ設置位置(端末設置一の一例)である。ただし、これに限定されるものではなく、住宅H内の如何なる場所であってもよく、例えば、通信装置22がホームサーバ20の本体と分離している場合には通信装置22の設置位置としてもよい。
【0035】
ホームサーバ側測定部23bは、ホームサーバ側通信部23aが受信したタップ発信電波のサーバ設置位置における受信強度(以下、ホームサーバ側受信強度)を測定する。なお、ホームサーバ側受信強度は、端末側受信強度の一例である。
特定部23cは、住宅H内に複数設けられた電源供給口のうち、計測タップ10が取り付けられている電源供給口(以下、タップ位置とも言う)を、ホームサーバ側測定部23bによる測定結果(すなわち、ホームサーバ側受信強度の測定値)に基づいて計測タップ10毎に特定する。特定部23cについては後に詳述する。
【0036】
表示データ生成部23dは、操作パッド21の表示画面21Pに情報を表示させるためのデータを生成する。具体的には、表示データ生成部23dは、タップ発信電波を解析して、該タップ発信電波が示す消費電力量の計測結果等の情報を取得し、当該情報を表示画面21Pに表示させるためのデータを生成する。生成されたデータについては、ホームサーバ側通信部23aによって操作パッド21に向けて送信する。
なお、データ生成の際には、計測タップ10を介して電源供給口に接続された電力消費機器については運転ボタンB1や停止ボタンB2が表示され、それ以外の電力消費機器については表示されないようにデータが生成される。
【0037】
開閉切り替え部23eは、スイッチSWの開閉に対する住居者の操作に従い、ホームサーバ側通信部23a及び計測タップ10のタップ側通信部12を通じてスイッチSWの開閉を切り替えるものである。データ格納部23fは、表示データ生成部23dが生成したデータや、ホームサーバ側通信部23aがセンターサーバ30内から読み取ったデータを一時的に記憶し格納しておくものである。
【0038】
<センターサーバ30>
センターサーバ30は、インターネット2を介してホームサーバ20と通信し、ホームサーバ20に対してデータを提供するWEBサーバである。特に、本実施形態に係るセンターサーバ30は、ホームサーバ20に対して、特定部23cによるタップ位置の特定に要するデータを提供する。なお、センターサーバ30は、センターサーバ30側に備えられた補助記憶装置等から構成される記憶部31を有し、ホームサーバ20に対して提供されるデータは、この記憶部31にデータベースとして保存されている。
センターサーバ30の記憶部31に記憶されたデータについては後に詳述する。
【0039】
<<タップ位置の特定>>
各計測タップ10は、前述したように、電源供給口に対して着脱自在であるので、計測タップ10が取り付ける電源供給口を自由に変更することが可能である。つまり、計測タップ10はどの電源供給口にも取り付け可能であり、取り付ける電源供給口を変更することにより、消費電力量の計測対象とする電力消費機器を自由に設定することが可能になる。
【0040】
ただし、計測タップ10を取り付ける電源供給口が変更されると、当然ながら、各計測タップ10の配置位置が変わってしまう。ここで、計測タップ10を取り付ける電源供給口が変更された後に、どの計測タップ10がどの電源供給口に取り付けられているか認識できないと、各計測タップ10にて計測される消費電力量がどの電力消費機器に関するものであるのか把握できなくなってしまう。
【0041】
ところで、計測タップ10のタップ側通信部12から発信されるタップ発信電波は、その受信位置が発信位置から離れるほど減衰して、当該受信位置における受信強度が弱くなるという性質を有している。さらに、タップ発信電波の減衰度合い(伝搬損失)は、受信位置と発信位置との区間の距離、及び、当該区間内に存在する壁等の障害物の有無によって推定することが可能である。したがって、受信位置におけるタップ発信電波の受信強度が分かれば、その減衰度合いから、受信位置と発信位置との区間の距離を推定することができ、最終的に、当該計測タップ10が取り付けられている電源供給口、すなわち、タップ位置を特定することが可能になる。
【0042】
以上の性質を利用して、本実施形態では、前述のサーバ設置位置を基準位置として当該サーバ設置位置におけるタップ発信電波の受信強度(ホームサーバ側受信強度)を測定し、その測定結果からタップ位置を特定することとしている。
【0043】
以下、タップ位置の特定方法について説明する。なお、以下では、説明を分かり易くするため、各電源供給口の設置位置及びサーバ設置位置が、それぞれ図5に示す位置であり、住宅H内に設けられた計測タップ10の数が3個であるケース(以下、本具体例)を想定して説明する。図5は、本具体例に係る住宅Hの間取り図である。また、以下の説明では、3個の計測タップ10の符号を、それぞれ10x、10y、10zと表記する。さらに、本具体例では、住宅H内に電源供給口が4箇所設けられ、各々の電源供給口の符号をC1、C2、C3、C4と表記する。
【0044】
タップ位置の特定は、前述の特定部23cにより実行される。タップ位置の特定に際し、先ず、3個の計測タップ10x、10y、10zの各々から発信されたタップ発信電波について、サーバ設置位置におけるホームサーバ側受信強度がホームサーバ側測定部23bによって測定される。なお、タップ発信電波が示す情報には、発信元を識別する情報が含まれているので、ホームサーバ側測定部23bは、どの計測タップ10x、10y、10zから発信された電波であるかを識別した上でホームサーバ側受信強度を測定する。
【0045】
一方、タップ位置の特定にあたり、ホームサーバ側通信部23aが、センターサーバ30と通信してセンターサーバ30内のデータを読み取る。その後、特定部23cが、ホームサーバ側測定部23bによる測定結果と、ホームサーバ側通信部23aが読み取ったデータとに基づいて、各計測タップ10x、10y、10zのタップ位置を特定する。
【0046】
ホームサーバ側通信部23aが読み取ってくるセンターサーバ30内のデータについて説明する。センターサーバ30の記憶部31には、住宅Hの間取りを示すデータ(すなわち、図5に示す間取りのデータ)が記憶されている。そして、センターサーバ30側では、当該間取りのデータに基づいて、各々の電源供給口C1〜C4の設置位置とサーバ設置位置におけるホームサーバ側受信強度との対応関係が特定され、当該対応関係を示すデータが記憶部31に記憶される。
【0047】
対応関係を示すデータについて詳しく説明すると、上述したように、タップ発信電波の減衰度合い(伝搬損失)は、発信位置から受信位置までの区間の距離、及び、当該区間内に存在する壁等の障害物の有無によって推定することが可能である。具体的には、図6に示すように、伝搬損失は、発信位置から受信位置までの区間の距離を変数とする関数として表され、当該関数は、区間内の障害物の有無や個数(例えば、壁の枚数)に応じて変化する。図6は、伝搬損失特性に関する図である。
したがって、住宅Hの間取りが判明すれば、住宅H内における電波の発信位置から受信位置までの伝搬損失および受信位置での電波強度を推定することが可能になる。
【0048】
以上のような性質に着目して、本実施形態では、間取りのデータに基づき、各々の電源供給口C1〜C4について、計測タップ10x、10y、10zが取り付けられた場合にタップ側通信部12から発信されるタップ発信電波がホームサーバ側通信部23aに受信されるまでの、当該タップ発信電波の伝搬損失が算出される。その算出結果に基づいて、計測タップ10x、10y、10zが各々の電源供給口C1〜C4に取り付けられた場合のサーバ設置位置におけるホームサーバ側受信強度が電源供給口別に算出される。
【0049】
以上の手順により、図7に示すような、各々の電源供給口C1〜C4の設置位置と、電源供給口別に算出した算出受信強度との対応関係が特定され、当該対応関係を示すテーブルデータがセンターサーバ30の記憶部31に記憶される。図7は、各々の電源供給口C1〜C4の設置位置と、電源供給口別に算出した算出受信強度との対応関係を示す図である。なお、算出受信強度については、図7に示すように数値で規定することとしてもよく、あるいは範囲で規定することとしてもよい。
【0050】
そして、特定部23cは、テーブルデータとホームサーバ側測定部23bによる測定結果とを照合することにより、当該測定結果に相当する算出受信強度と対応している電源供給口を、計測タップ10x、10y、10zが取り付けられている電源供給口として特定する。例えば、サーバ設置位置における計測タップ10xのホームサーバ側受信強度を測定したときの測定結果が50であった場合、特定部23cは、計測タップ10xが取り付けられている電源供給口として、電源供給口C2を特定することになる。
【0051】
以上のように、本実施形態では、各電源供給口C1〜C4の設置位置と、電源供給口別に算出した算出受信強度との対応関係を特定し、当該対応関係を示すテーブルデータと、サーバ設置位置における各計測タップ10x、10y、10zのホームサーバ側受信強度の測定結果と、を照合することにより、各計測タップ10x、10y、10zが取り付けられている電源供給口C1〜C4(タップ位置)を特定する。このような手順により、的確かつ迅速にタップ位置を特定することが可能になる。
【0052】
そして、タップ位置が特定されると、各計測タップ10x、10y、10zがどの電力消費機器の消費電力量を計測しているのかが把握されるようになる。この結果、ホームサーバ20側では、表示データ生成部23dが、各計測タップ10x、10y、10zによる計測結果が適切に表示されるように表示データを生成する。一方、操作パッド21の表示画面21Pには、上記の表示データに基づいて、消費電力量の計測結果の各々が、対応する電力消費機器の消費電力量として適切に表示されるようになる。
【0053】
なお、上述した対応関係を示すテーブルデータは、居住者が住宅Hに入居する前の段階(初期段階)の該住宅Hの間取りに基づいて生成されたものである。一方、居住者が住宅Hに入居した後には家具の設置、模様替え、リフォーム等が行われる結果、住宅H内における電波の伝搬環境が変化することも考えられる。このように、各計測タップ10から発信される電波のサーバ設置位置における受信強度が住宅Hの利用状況に応じて変化し、これに伴って、電源供給口別の算出受信強度も変化することが考えられる。
かかる状況を考慮して、上記の算出受信強度を算出する際には、住宅Hの間取りに基づいて算出した算出受信強度を、家具の設置等に応じた補正値の分だけ加減することとしてもよい。あるいは、住宅Hの間取りのデータを家具の設置位置等を反映させて更新し、当該更新後の間取りのデータに基づいて改めて算出受信強度を算出することとしてもよい。
【0054】
また、本具体例では、上述した対応関係を示すテーブルデータが、3個の計測タップ10x、10y、10zに共通したデータとして取得される。ただし、これに限定されるものではなく、計測タップ10毎にテーブルデータを取得することとしてもよい。
本具体例のように、3個の計測タップ10x、10y、10zに共通のテーブルデータであれば、タップ位置を特定する際に要するデータ数が少なくなるので、タップ位置を特定するための演算を迅速に行うことが可能になる。他方、計測タップ10毎にテーブルデータを取得すれば、例えば、発信地点における電波の強度(すなわち、初期強度)や周波数が計測タップ10毎に異なる場合であっても、適切にタップ位置を特定することが可能になる。
【0055】
一方、電源供給口が住宅H内に複数設けられているケースでは、複数の電源供給口の中に、サーバ設置位置におけるホームサーバ側受信強度の算出値(算出受信強度)が互いに等しくなるものが存在してしまう場合がある。本具体例の場合、図7に示すように、電源供給口C1と電源供給口C3について算出受信強度が等しくなる。つまり、電源供給口C1、C3のいずれかに計測タップ10が取り付けられている場合、サーバ設置位置におけるホームサーバ側受信強度を測定し、当該測定結果と上記のテーブルデータとを照合するだけでは、タップ位置を適切に特定することができない。
【0056】
そこで、本実施形態では、サーバ設置位置におけるホームサーバ側受信強度の算出値が等しくなる電源供給口が複数存在する場合、当該電源供給口の一に計測タップ10が取り付けられたときには、その計測タップ10と他の計測タップ10との相対位置関係に基づいてタップ位置を特定することとしている。
【0057】
以下では、他の計測タップ10との相対位置関係に基づいてタップ位置を特定する手順について説明する。
なお、以下の説明では、複数の計測タップのうち、一の計測タップ10(例えば、計測タップ10x)を第1タップとし、第1タップとは異なる一の計測タップ10(例えば、計測タップ10y)を第2タップとする。また、複数の電源供給口C1〜C4のうち、一の電源供給口(例えば、電源供給口C1)を第1電源供給口とし、第1電源供給口とは異なる一の電源供給口(例えば、電源供給口C3)を第2電源供給口とする。
【0058】
上述したように、第1電源供給口と第2電源供給口とは、第1タップが取り付けられた際に第1タップのタップ側通信部12から発信される電波の、ホームサーバ側受信強度が等しくなる電源供給口である。したがって、第1タップが第1電源供給口及び第2電源供給口のうち、いずれかの一方の電源供給口に取り付けられた場合、第1タップに設けられたタップ側通信部12からの電波のホームサーバ側受信強度の測定結果、及び、上述のテーブルデータだけでは、第1タップのタップ位置を特定することができない。
【0059】
そこで、ホームサーバ20は、先ず、ホームサーバ側通信部23aを介して、第1タップ及び第2タップの双方に対して測定結果要求を送信する。この測定結果要求は、第1タップと第2タップとの間の無線通信において、一方が他方からのタップ発信電波を受信した際の受信強度(タップ側受信強度)を測定し、その測定結果を要求するものである。
【0060】
より具体的に説明すると、ホームサーバ20がホームサーバ側通信部23aを介して測定結果要求を送信した場合、第2タップに設けられたタップ側通信部12が、第1タップに設けられたタップ側通信部12からのタップ発信電波を受信し、その受信位置における当該タップ発信電波の受信強度(タップ側受信強度)を、第2タップに設けられたタップ側測定部13が測定する。さらに、第2タップでは、タップ側通信部12が、第2タップに設けられた計測部11による計測結果と、第2タップに設けられたタップ側測定部13によるタップ側測定結果と、を示すタップ発信電波を発信する。
【0061】
かかるタップ発信電波を受信したホームサーバ20では、特定部23cが、上記のタップ発信電波を解析する。この解析により、タップ発信電波が示すタップ側測定結果、すなわち、第1タップからの電波を第2タップ側で受信した際の受信強度(タップ側受信強度)の測定結果を特定する。
【0062】
一方、ホームサーバ側通信部23aは、センターサーバ30と通信し、第1タップと第2タップとの相対位置関係に関するデータをセンターサーバ30内から読み取る。その後、特定部23cは、タップ送信電波から特定したタップ側測定結果に、ホームサーバ側通信部23aが読み取ったデータとに基づいて、第2タップに対する第1タップの相対位置を特定する。そして、特定部23cは、第2タップのタップ位置を特定した上で、第1タップと第2タップとの相対位置を特定することにより、最終的に、第1タップのタップ位置(第1タップが取り付けられている電源供給口)を特定する。
【0063】
第2タップに対する第1タップの相対位置を特定するためにホームサーバ側通信部23aがセンターサーバ30内から読み取ってくるデータ、について説明する。センターサーバ30の記憶部31には、上述したように、住宅Hの間取りを示すデータ及び上述のテーブルデータが記憶されている。これらのデータに加え、センターサーバ30の記憶部31には、第2のテーブルデータが記憶されている。
【0064】
第2のテーブルデータは、第2タップのタップ位置と、第1タップからのタップ発信電波の第2タップの受信位置における受信強度(タップ側受信強度)の算出値と、の対応関係を示している。
第2のテーブルデータについて詳しく説明する。先ず、間取りのデータに基づき、第1タップ及び第2タップの各々が取り付けられる電源供給口を変化させたときの、第2タップの受信位置における電波の伝搬損失を算出する。ここで、第2タップの受信位置における伝搬損失とは、第1タップから発信されたタップ発信電波について、第2タップ側で受信されるまでの伝搬損失のことである。
この算出結果に基づいて、第1タップのタップ位置と第2タップのタップ位置との組み合わせ毎に、第2タップ側で受信した際の第1タップからの電波の受信強度(タップ側受信強度)が算出される。
【0065】
以上の算出結果から、図8に示すような、第2タップのタップ位置とタップ側受信強度の算出値(算出タップ側受信強度)との対応関係が特定され、当該対応関係を示す第2のテーブルデータがセンターサーバ30の記憶部31に記憶される。図8は、第2タップのタップ位置と算出タップ側受信強度との対応関係を示す図である。
【0066】
第2のテーブルデータが示す対応関係によれば、図8に示すように、第2タップのタップ位置に対して、第2タップ側でのタップ側受信電波の算出値(算出タップ側受信強度)が、第1タップのタップ位置別に特定される。例えば、第2タップが電源供給口C2に取り付けられているとき、第1タップが電源供給口C1、C3、C4に取り付けた際の算出タップ側受信強度は、それぞれ80、60、70となる。つまり、第2のテーブルデータは、第2タップが取り付けられている電源供給口の設置位置と、第1タップが第1電源供給口及び第2電源供給口の各々に取り付けられた場合のタップ側受信強度を電源供給口別に算出した算出タップ側受信強度と、の対応関係を示すデータであると言える。
【0067】
そして、特定部23cは、第2のテーブルデータと、第2タップに設けられたタップ側測定部13によるタップ側測定結果と、を照合することにより、タップ側測定結果に相当する算出タップ側受信強度と対応したタップ位置の組み合わせを求めて、第2タップに対する第1タップの相対位置を特定する。例えば、第1タップからの電波を第2タップで受信した際の受信強度に関する測定結果(タップ側測定結果)が70である場合、第1タップと第2タップの各タップ位置の組み合わせとしては、電源供給口C2−電源供給口C4となる。
【0068】
一方、特定部23cは、既述の手順により第2タップのタップ位置を特定する。すなわち、第2タップからの電波についてサーバ設置位置における受信強度を測定し、当該測定結果とテーブルデータとを照合することにより、第2タップのタップ位置が特定される。
【0069】
そして、第2タップのタップ位置を特定した上で、第2タップに対する第1タップの相対位置を特定することにより、第1タップ及び第2タップの双方のタップ位置が特定されることになる。例えば、第2タップに対する第1タップの相対位置を特定した結果、第1タップと第2タップのタップ位置の組み合わせが電源供給口C2−電源供給口C4であり、かつ、第2タップのタップ位置が電源供給口C2である場合には、第1タップのタップ位置(すなわち、第1タップが取り付けられる電源供給口)として、電源供給口C4が特定される。
【0070】
以上のような手順により、ホームサーバ側受信強度が等しくなる電源供給口が複数存在し、当該電源供給口のいずれかにタップ(第1タップ)が取り付けられているとしても、第2タップのタップ位置を特定した上で第2タップに対する第1タップの相対位置を特定することにより、第1タップのタップ位置を的確に特定することが可能になる。さらに、本実施形態では、第2タップに対する第1タップの相対位置を特定するにあたり、第2のテーブルデータを参照することとしており、これにより、計測タップ10間の相対位置関係を的確かつ迅速に特定することが可能になる。
【0071】
<<本実施形態に係る計測方法について>>
以上までに説明してきた構成の計測システム1を用いた計測方法を説明するために、以下、図9〜図11を参照しながら、当該計測方法を採用して実施される計測プロセスについて説明する。図9〜図11は、本実施形態に係る計測方法を採用して実施される計測プロセスの流れを示す図である。
なお、以下では、本実施形態に係る計測方法を採用して実施される計測プロセス(以下、単に計測プロセスと言う)のうち、タップ位置の特定に関する内容を中心に説明する。
【0072】
計測プロセスは、計測タップ10を電源供給口に取り付ける取り付け工程から始まる(S001)。そして、上述したように、計測タップ10が電源供給口に取り付けられると同時に、計測タップ10のタップ側通信部12からホームサーバ20に向けて電波(タップ発信電波)が発信される(S002)。
なお、計測タップ10からの電波発信は一定間隔毎に行われ、さらに計測タップ10に接続された電力消費機器が運転状態にある場合には、計測部11が当該電力消費機器の消費電力量を計測し、その計測結果が変調されて電波として送信される。一方、計測部11が消費電力量の計測を行っていない場合には、計測結果として消費電力量が0(零)であることを示す電波が発信される。
【0073】
計測タップ10からタップ発信電波が発信されようになると、当該タップ発信電波が住宅H内のサーバ設置位置にて受信する受信工程が行われる(S003)。この受信工程については、ホームサーバ20(より正確にはホームサーバ側通信部23a)が通信装置22を通じて行う。この受信工程の際、ホームサーバ20では更に、当該受信工程にて受信したタップ発信電波のサーバ設置位置における受信強度(ホームサーバ側受信強度)を測定する測定工程が行われる(S004)。
【0074】
次に、ホームサーバ側通信部23aがインターネット2を介してセンターサーバ30にアクセスし、センターサーバ30の記憶部31に記憶されているデータを読み取る(S005)。ここで、ホームサーバ側通信部23aが読み取るデータは、住宅H内における各電源供給口の設置位置と、電源供給口別に算出したタップ発信電波の算出受信強度(ホームサーバ側受信強度の算出値)と、の対応関係を示すテーブルデータである。なお、読み取ったデータは、ホームサーバ20のデータ格納部23fに格納される。
【0075】
その後、ホームサーバ20では、住宅H内に複数設けられた電源供給口のうち、計測タップ10が取り付けられている電源供給口を特定する特定工程が行われる(S006)。特定工程S006は、ホームサーバ20の特定部23cにより、上述の測定工程にてホームサーバ側受信強度を測定した際の測定結果と、データ格納部23fに格納されたテーブルデータと、に基づいて行われる。具体的には、特定部23cが、テーブルデータと測定結果とを照合することにより、測定結果に相当する算出受信強度と対応している電源供給口を、計測タップ10が取り付けられている電源供給口として特定する。
【0076】
ここで、測定結果に相当する算出受信強度と対応している電源供給口が一つのみである場合、すなわち、タップ位置となる電源供給口の候補が1つのみである場合には(S007でYes)、当該電源供給口が、計測タップ10が取り付けられている電源供給口として確定する(S008)。
【0077】
一方、測定結果に相当する算出受信強度と対応している電源供給口が複数ある場合、すなわち、取り付けられている電源供給口の候補が複数ある場合には(S007でNo)、ホームサーバ20から各計測タップ10に向けて測定結果要求が発せられる(S009)。この測定結果要求を受信した各計測タップ10では、タップ側測定部13が、他の計測タップ10からの電波を受信した受信位置における電波の受信強度(タップ側受信強度)を測定し(S010)、その測定結果(タップ側測定結果)が消費電力量の計測結果とともに変調されてタップ発信電波として発信される(S011)。
【0078】
ホームサーバ20側では、かかるタップ発信電波を受信すると共に(S012)、センターサーバ30と通信する(S013)。この際、ホームサーバ側通信部23aが、センターサーバ30の記憶部31に記憶されている第2のテーブルデータを読み取り、当該第2のテーブルデータをデータ格納部23fに格納する。
【0079】
そして、ホームサーバ20では、タップ位置となる電源供給口の候補が複数見つかった計測タップ10について、他の計測タップ10に対する相対位置を特定する相対位置特定工程が行われる(S014)。相対位置特定工程S014は、ホームサーバ20の特定部23cにより、計測タップ10が受信したタップ側受信強度を測定した際の測定結果(タップ側測定結果)と、データ格納部23fに格納された第2のテーブルデータとに基づいて行われる。具体的には、特定部23cが、第2のテーブルデータとタップ側測定結果とを照合することにより、タップ側測定結果に相当する算出タップ側受信強度と対応したタップ位置の組み合わせを求めて、上記の相対位置を特定する。
【0080】
一方、特定部23cは、複数の計測タップ10のうち、タップ位置となる電源供給口の候補が複数見つかったもの以外について、既述の手順によりタップ位置を特定する。これにより、タップ位置となる電源供給口の候補が複数見つかった計測タップ10については、他の計測タップ10との相対位置関係が特定され、それ以外の計測タップ10についてはタップ位置が特定されることになる。そして、最終的には、複数の候補が見つかった計測タップ10についても、上記の複数の候補の中から、当該計測タップ10が取り付けられている一の電源供給口が特定される(S015)。
【0081】
このようにして計測タップ10が取り付けられている電源供給口が特定され、その特定結果を示すデータがデータ格納部23fに格納される(S016)。その後、ホームサーバ20では、表示データ生成部23dが当該データを読み取って、上記の特定結果を反映させて、消費電力量の計測結果を操作パッド21の表示画面21Pに表示させるための表示データを生成する(S017)。最終的に、生成された表示データが操作パッド21に送信され、操作パッド21の表示画面21Pに消費電力量の計測結果が表示される。
以上のまでの手順により、操作パッド21の表示画面21P上には、各計測タップ10による消費電力量の計測結果が、当該計測タップ10と対応する電力消費機器の消費電力量として適切に表示されるようになる。
【0082】
なお、計測タップ10が電源供給口から取り外された時点で、当該計測タップ10からの電波の発信が中断し(S018)、改めて電源供給口に取り付けられた時点で再開して、上記一連の工程S001〜S017が繰り返される。
【0083】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明の計測システム及び計測方法について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0084】
また、上記の実施形態では、住宅H内に設けられたホームサーバ20が、端末側受信部としてのホームサーバ側通信部23aと、端末側測定部としてのホームサーバ側測定部23bと、特定部23cとを備えることとした。このような構成により、ホームサーバ20において、タップ発信電波を受信する処理、受信した電波の基準位置における受信強度を測定する処理、及び、タップ位置を特定する処理の各々の実行が一元化されるため、計測システムの構築が容易となる。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、これらの処理に関し、処理毎に実行機器を分けて設けることとしてもよい。
【0085】
また、上記の実施形態では、住宅Hの外部にセンターサーバ30が設けられており、当該センターサーバ30の記憶部31に、テーブルデータや第2のテーブルデータが記憶されていることとした。かかる構成であれば、住宅H毎にテーブルデータや第2のテーブルデータを管理することが可能になり、各住宅Hの間取りに応じて適切なテーブルデータや第2のテーブルデータを提供することが可能になる。ただし、これに限定されるものではなく、テーブルデータや第2のテーブルデータが住宅H内(例えば、ホームサーバ20のデータ格納部23f)に保管されていることとしてもよく、あるいは、センターサーバ自体30が住宅H内に備えられていることとしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 計測システム、 2 インターネット、
10 計測タップ、10a プラグ部、10b 差込口部、
10x,10y,10z 計測タップ、
11 計測部、12 タップ側通信部、13 タップ側測定部、14 内部回路、
15 タップコントローラ、
20 ホームサーバ、21 操作パッド、21P 表示画面、22 通信装置、
23a ホームサーバ側通信部、23b ホームサーバ側測定部、23c 特定部、
23d 表示データ生成部、23e 開閉切り替え部、23f データ格納部、
23g 制御部、30 センターサーバ、31 記憶部、
H 住宅、B1 運転ボタン、B2 停止ボタン、
C1,C2,C3,C4 電源供給口、SW スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する電力消費機器の消費電力量を計測するための計測システムであって、
前記電力消費機器の前記消費電力量を計測する計測部と、該計測部による計測結果を示す電波を発信する発信部と、を有し、前記電源供給口に対して着脱可能であり、前記電力消費機器に接続される配線用差込接続器と、
前記発信部からの前記電波を前記建物内の基準位置にて受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記電波の前記基準位置における受信強度を測定する測定部と、
前記建物内に複数の前記電源供給口が設けられているときに、前記測定部による測定結果、及び、各々の前記電源供給口の設置位置と前記基準位置における前記受信強度との対応関係に基づいて、複数の前記電源供給口のうち、前記配線用差込接続器が取り付けられている前記電源供給口を特定する特定部と、
を有することを特徴とする計測システム。
【請求項2】
前記配線用差込接続器は、タップであり、
前記対応関係を示すデータを記憶した記憶部を更に有し、
前記データは、各々の前記電源供給口の前記設置位置と、前記タップが各々の前記電源供給口に取り付けられた場合の前記基準位置における前記受信強度を前記電源供給口別に算出した算出受信強度との対応関係を示すテーブルデータであり、
前記特定部は、前記テーブルデータと前記測定結果とを照合することにより、前記測定結果に相当する前記算出受信強度と対応している前記電源供給口を、前記タップが取り付けられている前記電源供給口として特定することを特徴とする請求項1に記載の計測システム。
【請求項3】
前記発信部は、前記タップが前記電源供給口に取り付けられた時点から前記電波の発信を開始し、前記タップが前記電源供給口から取り外された時点で前記電波の発信を終了することを特徴とする請求項2に記載の計測システム。
【請求項4】
前記建物内に設置され、前記受信部を介して前記発信部と通信可能な端末を備え、
前記端末は、前記受信部としての端末側受信部と、前記測定部としての前記端末側測定部と、前記特定部とを備え、
前記端末側測定部は、前記端末側受信部が受信した前記電波の前記基準位置における端末側受信強度を測定し、
前記基準位置は、前記建物内において前記端末が設置された端末設置位置であることを特徴とする請求項3に記載の計測システム。
【請求項5】
前記タップが複数設けられており、
複数の前記タップのうち、一の前記タップを第1タップとし、該第1タップとは異なる一の前記タップを第2タップとし、かつ、複数の前記電源供給口のうち、一の前記電源供給口を第1電源供給口とし、該第1電源供給口とは異なる一の前記電源供給口を第2電源供給口としたときに、
前記第1電源供給口と前記第2電源供給口とは、前記第1タップが取り付けられた際に前記第1タップの前記発信部からの前記電波の前記端末側受信強度が等しくなる前記電源供給口であり、
前記第1タップが前記第1電源供給口及び前記第2電源供給口のうち、いずれかの一方の電源供給口に取り付けられた場合、
前記特定部は、前記第2タップが取り付けられている前記電気供給口を特定してから、前記第2タップに対する前記第1タップの相対位置を特定することにより、前記いずれか一方の電源供給口を特定することを特徴とする請求項4に記載の計測システム。
【請求項6】
前記第2タップは、前記第1タップに設けられた前記発信部からの前記電波を受信するタップ側受信部と、前記タップ側受信部の受信位置における前記電波のタップ側受信強度を測定するタップ側測定部と、を備え、
前記第2タップに設けられた前記発信部は、前記第2タップに設けられた前記計測部による前記計測結果と、前記タップ側測定部によるタップ側測定結果と、を示す前記電波を発信し、
前記記憶部には、第2のテーブルデータが記憶されており、
前記第2のテーブルデータは、前記第2タップが取り付けられている前記電源供給口の設置位置と、前記第1タップが前記第1電源供給口及び前記第2電源供給口の各々に取り付けられた場合の前記タップ側受信強度を前記電源供給口別に算出した算出タップ側受信強度と、の対応関係を示し、
前記特定部は、前記第2タップに設けられた前記発信部からの前記電波が示す前記タップ側測定結果と、前記第2のテーブルデータとを照合することにより、前記第2タップに対する前記第1タップの前記相対位置を特定することを特徴とする請求項5に記載の計測システム。
【請求項7】
建物内に設けられた電源供給口から供給される電力により運転する電力消費機器の消費電力量を計測する計測部と、該計測部による計測結果を示す電波を発信する発信部と、を有し、前記電源供給口に対して着脱可能であり、前記電力消費機器に接続される配線用差込接続器を用いて前記消費電力量を計測する計測方法であって、
前記発信部からの前記電波を前記建物内の基準位置にて受信する受信工程と、
前記受信工程にて受信した前記電波の前記基準位置における受信強度を測定する測定工程と、
前記建物内に複数の前記電源供給口が設けられているときに、前記測定工程にて前記受信強度を測定した際の測定結果、及び、各々の前記電源供給口の設置位置と前記基準位置における前記強度との対応関係に基づいて、複数の前記電源供給口のうち、前記配線用差込接続器が取り付けられている前記電源供給口を特定する特定工程と、
を有することを特徴とする計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−122898(P2012−122898A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274945(P2010−274945)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)