説明

計測メータ装置

【課題】表示手段と無線装置とが近接して位置するため、表示手段の表示内容を変化させたとき、一時的に多くの電流が流れることにより発生する電磁波が妨害波として作用し、無線装置による無線通信の妨げとなっていた。
【解決手段】制御手段302は、通信手段304を駆動させている時に表示手段303への信号の伝達の必要に迫られた時には、通信手段304の駆動が終了するまで表示手段303への信号伝達を停止させ、通信手段304の駆動が終了した後に表示手段303への信号を伝達するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気、ガス、水道などの使用量を測定する計測メータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の計測メータ装置は、外部に接続される形態として無線装置が接続されており、無線装置により送信された電気、ガス、水道などの使用量測定データは、インターネットあるいは公衆電話回線網を介してガス供給業者管理センターへ送信された。また、この計測メータ装置は、測定データを表示し、また異常を検知したときに異常情報を表示する表示手段を備えていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−262367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の構成や無線装置を内蔵する形態では、表示手段と無線装置とが近接して位置するため、表示手段の表示内容を変化させたとき、一時的に多くの電流が流れることにより発生する電磁波が妨害波として作用し、無線装置による無線通信の妨げとなる。また、場合によっては正確なデータ送信ができなかった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するもので、表示内容の変化により発生する妨害波に対して、無線装置により適切な無線通信が行える計測メータ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、表示手段の表示内容と通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、制御手段は、通信手段による無線通信中に表示手段の表示を変化させないようにするものである。
【0006】
これによれば、通信手段による無線通信中に液晶表示手段の表示内容の切替により発生する微量の妨害波が生じることがなく、送信データが適切に送信先へ届くように無線通信の信頼性を高めるものである。
【0007】
また、本発明は、電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、表示手段の表示内容と通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、制御手段は、表示手段の表示を変化させるときに通信手段による無線通信を行わないようにするものである。
【0008】
これによれば、液晶表示手段の表示内容の切替により発生する微量の妨害波が生じる確率が高い場合は、通信手段による無線通信を行わず、表示内容の切替が終了した時点で無線通信を行うことによって無線通信の信頼性を高めるものである。
【0009】
また、本発明は、電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、表示手段の近傍から照明を行う照明手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、表示手段の表示内容と通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、制御手段は、通信手段
による無線通信中に照明手段による照明を行わないようにするものである。
【0010】
これによれば、表示手段への照明を行うことにより発生する微量の妨害波が生じることなく、送信データが適切に送信先へ届くように無線通信の信頼性を高めるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の計測メータ装置は、通信手段による無線通信中に表示手段の表示を変化させないようにすること、または表示手段の表示を変化させるとき通信手段による無線通信を行わないようにするため、無線通信の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、表示手段の表示内容と通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、制御手段は、通信手段による無線通信中に表示手段の表示を変化させないようにするものである。
【0013】
これによって、通信手段による無線通信中に液晶表示手段の表示内容の切替により発生する微量の妨害波が発生することがなく、送信データが適切に送信先へ届くように無線通信の信頼性を高めるものである。
【0014】
また、第2の発明は、電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、表示手段の表示内容と通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、制御手段は、表示手段の表示を変化させるときに通信手段による無線通信を行わないようにするものである。
【0015】
これによって、液晶表示手段の表示内容の切替により発生する微量の妨害波が発生する確率が高い場合は、通信手段による無線通信を行わず、表示内容の切替が終了した時点で無線通信を行うことによって無線通信の信頼性を高めるものである。
【0016】
また、第3の発明は、電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、表示手段の近傍から照明を行う照明手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、表示手段の表示内容と通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、制御手段は、通信手段による無線通信中に照明手段による照明を行わないようにするものである。
【0017】
これによって、表示手段への照明を行うことにより発生する微量の妨害波が生じることなく、送信データが適切に送信先へ届くように無線通信の信頼性を高めるものである。
【0018】
また、第4の発明は、特に第1から第3のいずれか1つの発明において、通信手段に接続されている無線通信用のアンテナを、表示手段を構成しているガラス上に形成してなるものである。
【0019】
これによって、表示手段に近い位置にアンテナを設置しても無線通信に影響がなく、無線通信の信頼性を高めるものである。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における計測メータ装置を用いたシステム構成を示す図である。図1において本システム構成は、電気、ガス、水道などの使用量を計測データとして収集するための管理システムである管理センター100と、この管理センター100と公衆電話回線網などにより接続された基地局200、および無線回線により基地局200と通信を行う計測メータ装置300により構成されている。
【0022】
計測メータ装置300は屋内に設置されている給湯装置やガステーブル、ガスファンヒータへガスを供給し、何らかの異常が検出されたときはガスの供給を遮断することができる。さらに、計測メータ装置300は給湯装置やガステーブル、ガスファンヒータに限らず、屋内にあるテレビ受像機400や携帯電話500とも無線通信を行うことができ、例えば計測メータ装置300が何らかの異常通報を受けてガス供給を遮断するときには、テレビ受像機400や携帯電話500の表示画面に異常が発生したことを表示することができる。
【0023】
次に、図2及び図3を用いて計測メータ装置300の筐体内部構造を説明する。計測メータ装置300には計測手段301が備えられており、計測手段301が電気、ガス、水などがそれぞれ計測メータ内を流れる量を計測した後、その計測したデータを制御手段302で電気信号へ変換する。そして、制御手段302からの電気信号は表示手段303によって表示される。表示手段303は図3に示す位置に備えられているので、使用者は流量値をいつでも確認することができる。
【0024】
また、制御手段302は通信手段304に接続されており、制御手段302からの電気信号を高周波信号へ変換してアンテナ305を介して送信したり、逆にアンテナ305を介して受信した高周波信号を電気信号へ変換して制御手段302へ伝達したりする。そして、通信手段304より送信された高周波信号は、基地局200で受信され、基地局200に接続された公衆回線網を経て管理センター100へ送られる。
【0025】
通信手段304は、計測メータ装置300の内部に設置することからなるべく小型であることが望ましく、例えば通信モジュールなどが好ましい。この通信モジュール(通信手段304)は、無線送受信部、マイコン部を一体に封止して実装したもので、実装基板上にマイコン部を配置する必要がなく通信手段304の小型化を達成している。また、無線通信では、400MHz帯や1.2GHz帯、2.4GHz帯を用いた特定小電力無線通信を行い、どの周波数が用いられるかは製造時に一意に定められるとし、通信手段304に固有の周波数を用いるものとする。
【0026】
また、アンテナ305である電線は、図3に示すように表示手段303のガラス上に施したパターン帯として形成されており、これによればアンテナを別途設ける必要がなく、また、表示手段のガラス面は計測メータ装置筐体の外郭に位置することよりアンテナの前面に障害物がなくなり、アンテナとしての性能を十分に発揮できるようになる。
【0027】
次に、図4及び図5を用いて各構成部品の配置について説明すると、制御手段302や表示手段303、通信手段304は、一枚の実装基板306上の裏表に配置されており、図4の場合では表示手段303と通信手段304が同じ側面上に配置されている。さらに、表示手段303の両側面には照明手段307が設けられており、表示手段303が表示を行っている際に照明手段307が照明を行うことによって、表示される文字やマークを鮮明に見ることができる。なお、照明手段307を表示手段303の裏面に設けて、後部から照明を行うように配置してもよい。
【0028】
実装基板306については、図5に示すように表示手段303のガラス部分から表示が
目視できるように縦に取り付けられ、通信手段304は計測メータ装置300の下部分に位置するように実装基板306に取り付けられている。
【0029】
次に、本実施の形態の動作、作用について説明する。制御手段302は、通信手段304を駆動させている時に表示手段303への信号の伝達の必要に迫られた時には、通信手段304の駆動が終了するまで表示手段303への信号伝達を停止させ、通信手段304の駆動が終了した後に表示手段303への信号を伝達するようにする。
【0030】
具体的な制御フローについて図6を用いて説明すると、まず表示内容の変更事由が発生する(ステップ601)と、制御手段302は通信手段304の駆動状態を確認する(ステップ602)。そして、ステップ602において通信手段304が駆動中であれば通信手段304の駆動が終了するまで確認動作を行う。また、ステップ602において通信手段304が駆動していないことが確認できれば、表示手段303の駆動(表示切替、表示内容の変化)を行う(ステップ603)。
【0031】
なお、ステップ601の「表示内容の変更事由」とは、たとえば、流量計測による表示値が変化することや、ガス漏れや地震によりガス供給を遮断した旨を表示することである。
【0032】
これにより、通信手段による無線通信中に表示手段の表示内容の切替により発生する微量の妨害波が発生することがなく、無線通信の信頼性を向上させることができるようになる。
【0033】
なお、上記図6と共に説明した動作、作用については、以下図7あるいは図8と共に説明する形態であってもよい。
【0034】
図7に示す形態では、制御手段302は、表示手段303を駆動させている時に通信手段304による無線通信の必要に迫られた時には、表示手段303の駆動が終了するまで通信手段304の駆動を停止し、表示手段303の駆動が終了した後に通信手段304により無線通信を行うようにするものである。
【0035】
図7と共に具体的な制御フローを説明すると、まず無線通信の駆動事由が発生すると(ステップ701)、制御手段302は表示手段303の駆動状態を確認する(ステップ702)。そして、ステップ702において表示手段303が駆動中であれば表示手段303の駆動が終了するまで確認動作を行う。また、ステップ702におい-て、表示手段303が駆動していないことが確認できれば、通信手段304の駆動を行う(ステップ703)。
【0036】
これにより、通信手段による無線通信中に表示手段の表示内容の切替により発生する妨害波が生じず、無線通信の信頼性を向上させることができるようになる。
【0037】
なお、ステップ701の「無線通信の駆動事由」とは、たとえば、ガス漏れや地震によりガス供給を遮断した旨をデータとして送信することや、定期的に計測手段301で計測したデータを送信することである。
【0038】
また、図8に示す形態では、制御手段302は、表示手段303の近傍に設置された表示手段を照明する照明手段307を制御手段302で制御するようにし、通信手段304を駆動させている時に照明手段307による照明の必要に迫られた時には、通信手段304の駆動が終了するまで照明手段307を停止させ、通信手段304の駆動が終了した後に照明手段307による照明を行うようにするものである。
【0039】
図8と共に具体的な制御フローを説明すると、まず照明点灯の事由が発生する(ステップ801)と、制御手段302は通信手段304の駆動状態を確認する(ステップ802)。そして、ステップ802において通信手段304が駆動中であれば通信手段304の駆動が終了するまで確認動作を行う。また、ステップ802において、通信手段304が駆動していないことが確認できれば、照明手段307の駆動を行い照明する(ステップ803)。
【0040】
これにより、通信手段による無線通信中に照明手段の照明点灯により発生する微量の妨害波が発生することがなく、無線通信の信頼性を向上させることができるようになる。
【0041】
なお、本実施の形態は計測メータ装置300から基地局200にデータを送信する場合に限らず、公衆電話回線網に接続された無線中継器へデータを送信する場合であっても本発明を適用できる。さらに、無線通信によってデータを送信することが可能な計測メータ装置であれば、本発明を適用できる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によれば、通信手段による無線通信中に表示手段の表示を変化させないようにすること、または表示手段の表示を変化させるとき通信手段による無線通信を行わないようにするため、無線通信の信頼性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明にかかる計測メータ装置は、通信手段による無線通信中に表示手段の表示を変化させないようにすること、または表示手段の表示を変化させるとき通信手段による無線通信を行わないようにするため、無線通信の信頼性を高めることができるものであり、計測メータ装置としては電気、ガス、水道などの使用量を計測できるメータ装置であれば特に限定するものではなく、メータ装置内にアンテナと通信手段または表示手段を内蔵して一体とするものであれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態の計測メータ装置を用いたシステム図
【図2】計測メータ装置の概観斜視図
【図3】計測メータ装置の構成図
【図4】計測メータ装置を形成する基板の表面図
【図5】計測メータ装置の横断面図
【図6】計測メータ装置による制御フロー図
【図7】計測メータ装置による制御フロー図
【図8】計測メータ装置による制御フロー図
【符号の説明】
【0045】
100 管理センター
200 基地局
300 計測メータ装置
301 計測手段
302 制御手段
303 表示手段
304 通信手段
305 アンテナ
306 実装基板
307 照明手段
400 テレビ受像機
500 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、前記表示手段の表示内容と前記通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、前記制御手段は、前記通信手段による無線通信中に前記表示手段の表示を変化させないようにすることを特徴とする計測メータ装置。
【請求項2】
電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、前記表示手段の表示内容と前記通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、前記制御手段は、前記表示手段の表示を変化させるときに前記通信手段による無線通信を行わないようにすることを特徴とする計測メータ装置。
【請求項3】
電気、ガス、水道などの使用量を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された計測データを表示する表示手段と、前記表示手段の近傍から照明を行う照明手段と、管理センターと接続された基地局へ無線通信する通信手段と、前記表示手段の表示内容と前記通信手段を制御する制御手段とを備えた計測メータ装置であって、前記制御手段は、前記通信手段による無線通信中に前記照明手段による照明を行わないようにした計測メータ装置。
【請求項4】
通信手段に接続されている無線通信用のアンテナを、表示手段を構成しているガラス上に形成してなる請求項1から3のいずれか1項に記載の計測メータ装置。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−107957(P2008−107957A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288593(P2006−288593)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】