説明

計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム

【課題】 計測器を設置した後の保守・点検・修理の際に、トラブルシューティング作業時にサービス技術員に対して原因究明のサポートを行うことのできる計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムを提供すること。
【解決手段】 被測定物を測定する計測器を、複数の内部タイマカウンタを備え、各種センサから検出値に基づいて被測定物の計測値を演算する機能を有するCPU9と,CPU9に電源を供給する電源回路3と、被測定物の状態を検出する検出器4と,各種センサーからの検出入力データ及び演算して求めた被測定物の状態を表示する表示部5と,経過時間を計測するリアルタイムクロックIC(RTC)11と,CPU9に入力されるデータを格納するEEPROM12と,前記各種センサからの入力値を格納し、各種センサからの入力値に基づいてCPU9において演算した演算結果を格納するFeRAM13とによって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)等の計測器に係り、特に計測器に発生する作動状態の情報を記録し計測器にトラブルが発生した場合にサービス技術員に対して原因究明のサポートを行ことのできる計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に計測器には、流量計や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)などがあり、これらの計測器は、計測器の計測内容を常時観測する機能を有している。また、計測器には、計測器がどのような状態で運転されているか、各種センサで状態監視を行っている。
例えば、流量計の場合には、流管内を流通する被測定流体の体積に比例して回転する回転子を内部に設けた計量室を有し該計量室内に流入する被測定流体の体積に比例して回転する回転子の回転から流量を求める容積流量計、流管内を流通する被測定流体が流通する流管の一端又は両端を支持し、その支持点回りに流管の流れ方向と垂直な方向に振動を加えたときに、流管(振動が加えられる流管をフローチューブと称している)に作用するコリオリの力が質量流量に比例することを利用した質量流量計であるコリオリ流量計等がある。
また、密度計、濃度計等の分析計は、イオン源、分析部、検出部から構成されている分析装置を用い、化合物をイオン源でイオン化し、スペクトルから化合物を分析するものである。
温度計は、温度を測定する計器で、温度変化に伴う物性の変化等の物理現象を利用して温度を測定するものである。また、圧力計は、単位面積あたりにかかる力である圧力を測定する装置である。
【0003】
このような計測器においては、計測器にトラブルが発生することがある。この計測器にトラブルが発生すると、サービス技術員が現場に出向き、計測器の点検作業をおこなっている。このサービス技術員による計測器の点検作業では、トラブルシューティングという手法が採られている。
このトラブルシューティングの手法は、問題の原因として考えられる可能性を排除していってトラブルの原因を見つけ出す方法で、システム管理などの分野で取り入れられている。このようなトラブルシューティングの手法は、例えば、いままで動作していた計測器が突然動作を停止して計測できなくなった場合などに用い、システムを構成している構成要素を1つずつチェックすることによって行われる。
【0004】
計測器である流量計に代表されるコリオリ流量計によって説明する。コリオリ流量計は、被測定流体の流通する流管の一端又は両端を支持し、その支持点回りに流管の流れ方向と垂直な方向に振動を加えたときに、流管(以下、振動が加えられるべき流管をフローチューブという)に作用するコリオリの力が質量流量に比例することを利用した質量流量計である。コリオリ流量計は周知のものであり、コリオリ流量計におけるフローチューブの形状は直管式と湾曲管式とに大別されている。
【0005】
そして、計測器である流量計に代表されるコリオリ流量計は、被測定流体が流れる測定管を両端で支持し、支持された測定管の中央部を支持線に対し、直角な方向に交番駆動したとき、測定管の両端支持部と中央部との間の対称位置に質量流量に比例した位相差信号を検出する質量流量計である。位相差信号は質量流量に比例している量であるが、駆動周波数を一定とすると、位相差信号は測定管の観測位置における時間差信号として検出することができる。
この測定管の交番駆動の周波数を測定管の固有の振動数と等しくすると、被測定流体の密度に応じた一定の駆動周波数が得られ、小さい駆動エネルギで駆動することが可能となることから、最近では測定管を固有振動数で駆動するのが一般的となっており、位相差信号は時間差信号として検出される。
【0006】
計測器にトラブルが発生し、サービス技術員が現場に出向き、計測器の点検作業行なう場合、サービス技術員による流量計におけるトラブルシューティング作業は、再現性がないものも少なくない。このため、サービス技術員の経験則によってトラブルの原因を推定している。したがってサービス技術員のスキルによっては、トラブルの原因を誤り、誤った推定原因を設定することがあり、その結果、トラブルの解決に時間を要すことがあった。
【0007】
製品のメーカは、自社が納入した製品に対して予め保守期間を設け、納入からある一定の期間、交換部品の確保又はメンテナンスの引受を製品のユーザに対して保証している。この製品の保守期間は、交換部品の供給可能期間又は部品寿命などに基づいて、決定されている。
例えば、特許文献1には、機器(例えば製品、製品の機種、部品、部品の機種、設備、システム、装置、製品の型式、部品の型式、プラントなど、様々な単位を含む)の運用現場からフィードバックされる機器の故障情報、交換情報、更新情報などを含む設備保全情報と、機器の出荷日時情報と設計情報などを含む機器の出荷情報とに基づいて、機器の信頼性解析を行う保守支援プログラムが提案されている。
この特許文献1の保守支援プログラムは、機器の識別情報の一例である製品の機種、部品の機種、型式、機器の顧客識別情報の一例である業種、顧客名など、所望の項目の組合せについてデータ抽出を行い、このデータ抽出結果に対する故障発生確率密度関数、不信頼度関数の算出などを実行するものである。
【0008】
また、特許文献1記載のものでは、設定した型式の機器または部品に関してメンテナンス時期の設定を行い、製品としての信頼性を向上させることが可能であるが、メンテナンス対象の機器を決定するための優先順位付けはできないとして特許文献2には、膜を用いた水処理によって安定した水質および水量の水道水または再生水を供給するため、膜処理施設の設備機器の保守点検頻度設定支援を継続的に実施する水処理施設の管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−327201号公報
【特許文献2】特開2009−178713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1は、機器の識別情報の一例である製品の機種、部品の機種、型式、機器の顧客識別情報の一例である業種、顧客名など、所望の項目の組合せについてデータ抽出を行い、このデータ抽出結果に対する故障発生確率密度関数、不信頼度関数の算出などを実行する保守支援プログラムであり、本願発明のようなサービス技術員のメンテナンス作業において、計測器のトラブルシューティングにおけるサービス技術員に対する原因究明のサポートを行うことはできないという問題点を有している。
また、特許文献2は、膜を用いた水処理によって安定した水質および水量の水道水または再生水を供給するため、膜処理施設の設備機器の保守点検頻度設定支援を継続的に実施する水処理施設の管理システムであり、本願発明のようなサービス技術員のメンテナンス作業において、計測器のトラブルシューティングにおけるサービス技術員に対する原因究明のサポートを行うことはできないという問題点を有している。
【0011】
また、計測器は電源供給を受けるため、被計測物質、あるいは雰囲気中に可燃性ガスを有する場所に計測器を設置して計測する場合、防爆構造にすることが要求されている。
なお、従来のSRAM(揮発性メモリ)などのように外部からの電源供給が無い場合でもデータを常に保持するために電池に頼るようなメモリを使用する場合には、バックアップ電池が必要であり、電池の容量が周囲のガスに点火する恐れのあるエネルギーレベル未満か、あるいは電池に安全保持部品を付属し、且つそれらがガスに直接曝されることの無いような保護機構が備わっていない限り、そのような環境下では計測器の蓋を開けてメンテナンスすることができない。このため、従来のSRAMなどのようにデータの保持を電池に頼るようなメモリを使用する場合には、耐圧防爆構造を採用することは容易ではない。
したがって、耐圧防爆構造となっている機器においては、容易にバックアップ電池を内蔵することができず、バックアップ電池を内蔵しても、爆発性ガスの雰囲気中では実質的に保守・点検作業が行えないという問題点を有している。
【0012】
本発明の目的は、計測器を設置した後の保守・点検・修理の際に、トラブルシューティング作業時にサービス技術員に対して原因究明のサポートを行うことのできる計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためなされた請求項1に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、流量計、や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)等の計測器において,
前記計測器を、
複数の内部タイマカウンタを備え、前記計測器の状態を検出する各種センサからの信号を入力し、前記センサの検出値に基づいて前記被測定物の計測値を演算する機能を有するCPUと,
前記計測器の起動(ON)・停止(OFF)を行う電源回路と,
前記CPUに入力された各種センサーからの検出入力データ、前記CPUにおいて前記被測定物の計測値を表示する表示部と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、時間を計測するリアルタイムクロックIC(RTC)と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUに入力されるデータを格納するEEPROMと,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUによって前記各種センサからの入力値を格納し、該各種センサからの入力値に基づいて前記CPUにおいて演算した演算結果を格納するFeRAMと,
によって構成したことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するためなされた請求項2に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項1に記載の計測器における流量計のEEPROMとFeRAMを,CPUに入力されるデータ、或いは演算結果を退避するタイミング、データ、或いは演算結果を退避する頻度に応じて使い分けるようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するためなされた請求項3に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項1又は2に記載の計測器における表示部を,計測器の稼働時間の累計より、計測器に使用されている構成部品の推奨交換時期、あるいは該計測器の保守・点検時期の到来を表示する機能を備えるようにしたことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するためなされた請求項4に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項1,2又は3に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムの計測器を、計測器の状態をロギングする機能と、計測器の稼動時間を計時する機能と、電源投入直後の瞬時停電による電源異常を検出して記録する機能と、計測器がウォームアップ期間中であることを表示する機能とを備えて構成したことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するためなされた請求項5に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項1,2,3又は4に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムの計測器を、CPUに接続され、計測器の密閉された筐体内に収納され、計測器の内器の温度を計測する温度計測ICを設けて構成したことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するためなされた請求項6に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項5に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムの計測器を、内器の温度を監視・ロギングする機能を付加して備えたことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するためなされた請求項7に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項4,5又は6に記載の計測器における計測器の状態をロギングする機能を、計測器の状態を示すイベント発生毎に、経過時間のタイムスタンプを付与するため、前記FeRAMに、計測器の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)データを「Bデータ」としてロギングすると共に、リアルタイムクロックIC(RTC)の計時値を合わせてイベントロギングデータ(「Gデータ」)としてロギングする第1の機能と,
計測器の状態を示す発生イベントの1つである電源断(OFF)となった(経過)時間のタイムスタンプを付与するため、電源断(OFF)時に前記リアルタイムクロックIC(RTC)の計時値の経過時間退避データを「Aデータ」としてEEPROMに記録する第2の機能と,
タイムスタンプを付与し記録(ロギング)する機能の選択オプションとして、実年月日、実時間を対応させて「Gデータ」としてFeRAMに記録する第3の機能と,
オプション機能における動作時における電源断(OFF)時、実時間タイムスタンプとして、リアルタイムクロックIC(RTC)の計時値を「Fデータ」としてEEPROMに記録する第4の機能と,
とによって構成することを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するためなされた請求項8に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項4,5,6又は7に記載の計測器における稼動時間計時機能を、計測器の稼動時間を計時する機能で、計測器を起動した直後から稼働時間(経過時間)を累積するため、CPUに内蔵されている内部タイマカウンタによって1h毎に計時した稼動時間計時データを「Bデータ」としてFeRAMに記録(ロギング)するもので構成することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するためなされた請求項9に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項4,5,6,7又は8に記載の計測器における電源異常投入検出機能を、計測器に電源を投入した直後に断(OFF)することによる電源異常を検出して記録(ロギング)する機能で、計測器起動直後(電源投入直後)から瞬時停電(OFF)までの累積時間を差し引きし、それがわずかな時間(例えば、3秒以内)であった場合、電源異常とみなし、電源異常発生回数である電源異常投入検出データを「Dデータ」としてFeRAMに記録(ロギング)し、該電源異常投入検出情報を計測器の表示部に表示するように構成したことを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決するためなされた請求項10に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項4,5,6,7,8又は9に記載の計測器におけるウォームアップ時間中表示機能を、計測器が、電源を投入した直後で、ウォームアップ期間中であることを表示する機能で、計測器に電源を投入(ON)した時からの経過時間をCPUに内蔵される内部タイマカウンタで計時し、一定の期間内、計測器の表示部にウォームアップ期間中であることを表示するように構成したことを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決するためなされた請求項11に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項6,7,8,9,10又は11に記載の計測器における内器温度監視・ロギング機能を、筐体に密封された計測器の内部の温度を監視し、その温度をロギングする機能で、計測器を起動した後、定期的に前記温度計測ICの検出データをタイムスタンプと共に、内器の温度を示す内器温度ロギングデータを「Hデータ」としてFeRAMに記録(ロギング)すると共に、サンプル温度に対して上限値、下限値を設け記録(ロギング)した内器の温度を判定すると同時に、判定結果がNGの場合、表示部に表示するもので構成することを特徴とする。
【0024】
上記課題を解決するためなされた請求項12に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11に記載のEEPROMを、経過時間退避データ(「Aデータ」)と、経過実時間退避データ(「Fデータ」)を格納するように構成したことを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決するためなされた請求項13に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,11,12又は13に記載のFeRAMを、計測器の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)データ(「Bデータ」)と、電源の異常が発生した回数を示す電源異常発生回数データ(「Dデータ」)と、警告を与えるメッセージであるアラート、注意を喚起する警報であるアラーム発生/解除、自己診断結果、電源OFF時間をロギングするデータ(「Gデータ」)と、密閉された計測器内の温度を計測して記録する内器温度ロギングデータ(「Hデータ」)と、実時間初期設定値(「Zデータ」)とを格納するように構成したことを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決するためなされた請求項14に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12又は13に記載のリアルタイムクロックIC(RTC)を、経過時間タイムスタンプモードと、実時間タイムスタンプモードの2つのモードを切り換えて、各モード毎に計時するように構成したことを特徴とする。
【0027】
上記課題を解決するためなされた請求項15に記載の本発明の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムは、流量計や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)等の計測器において,
前記計測器を,被計測流体の質量流量及び/又は密度を得る計測制御機器を密封する筐体に収納してなるコリオリ流量計で構成し,
前記コリオリ流量計を、
複数の内部タイマカウンタを備え、前記コリオリ流量計の状態を検出する各種センサからの信号を入力し、前記駆動手段を制御して、前記フローチューブの固有の振動数と等しい交番駆動の周波数で該フローチューブを交番駆動させ、該フローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出して被測定流体の流量を演算する機能を有するCPUと,
前記コリオリ流量計の起動(ON)・停止(OFF)を行う電源回路と,
前記フローチューブにコイルとマグネットの組み合わせによる前記駆動手段によって該フローチューブを交番駆動させることによって、フローチューブに生じるコリオリの力を検出する検出器と,
前記CPUに入力された各種センサーからの検出入力データ、前記CPUにおいて前記フローチューブに生じるコリオリの力に基づいて演算して求めた被測定流体の流量を表示する表示部と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、時間を計測するリアルタイムクロックIC(RTC)と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUに入力されるデータを格納するEEPROMと,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUによって前記各種センサからの入力値を格納し、該各種センサからの入力値に基づいて前記CPUにおいて演算した演算結果を格納するFeRAMと,
によって構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、計測器を設置した後の保守・点検・修理の際に、トラブルシューティング作業時にサービス技術員に対して原因究明のサポートを行うことができる。
【0029】
また、本発明によれば、バックアップ電池を内蔵することなく各センサからのデータを記憶することができるようになっているため、保守・点検作業のために、計測器の中を開けることができ、かつ、いつでも保守・点検作業を行うことができる。
【0030】
さらに、本発明によれば、計測器単体でデータのロギングを行うため、使用場所(設置場所)に出向かなくても、計測器単体をメーカーに返送してもらうだけで現場の状況を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムの概要図である。
【図2】図1に図示の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムの第1の実施例を示すCPUの回路構成図である。
【図3】経過時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローチャートである。
【図4】経過時間タイムスタンプモードにおけるリアルタイムクロックIC(RTC)の計時処理のフローチャートである。
【図5】経過時間タイムスタンプモードにおける電源の異常投入検出フローチャートである。
【図6】経過時間タイムスタンプモードにおけるイベント(エラーなど)発生時のロギングフローチャートである。
【図7】計測器のウォームアップ期間中であることを表示する機能の基本フローチャートである。
【図8】実時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローチャートである。
【図9】実時間タイムスタンプモードにおけるリアルタイムクロックIC(RTC)の計時の処理フローチャートである。
【図10】実時間タイムスタンプモードにおける電源断(OFF)の検出フローチャートである。
【図11】実時間タイムスタンプモードにおけるエラーロギングフローチャートである。
【図12】図1に図示の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムの第2の実施例を示すCPUの回路構成図である。
【図13】経過時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローチャートである。
【図14】計測器のウォームアップ期間中であることを表示する機能の基本フローチャートである。
【図15】実時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を適用した計測器におけるメンテナンスエキスパートシステムの実施例を図面を参照しながら説明する。
ここで「メンテナンスエキスパートシステム」とは、流量計や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)等、特に計測器に発生する作動状態の情報(正常状態、異常状態における作動状況に関するデータ)を記録し、計測器にトラブルが発生した場合にサービス技術員に対して、トラブルの原因の究明の検証をサポートするシステムのことを意味し、本明細書においては、メンテナンスの際の計測器の作動状態の検証をサポートするシステムを「メンテナンスエキスパートシステム」と称している。以下、本明細書で同じ。
【実施例1】
【0033】
本発明に係るメンテナンスエキスパートシステムは、流量計、や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)等の計測器について、計測器のメンテナンス(保守・点検・修理)作業を行う際のサービス技術員が行う計測器の作動状態の検証をサポートするシステムである。
本実施例においては、被計測流体の質量流量及び/又は密度を得る計測制御機能を備える流量計に代表されるコリオリ流量計を例にとって説明する。
図1には、本発明に係るコリオリ流量計における計測制御機器(特許請求の範囲の「計測器」に相当し、以下、同じ。)に対するメンテナンスエキスパートシステムの概要図が示されている。すなわち、図1には、メンテナンスエキスパートシステムを実行する計測器の構成図が示されている。
【0034】
図において、メンテナンスエキスパートシステムを構成する計測器1は、CPU回路2と、電源回路3と、フローチューブに作用するコリオリの力を検出する検出器4と、計測値等必要な情報を表示する表示部5と、入出力(I/O)回路6とを有して構成されている。
図中7は、遠隔で操作する通信制御機器等のコミュニケーションツールである。
図2には、図1に図示のコリオリ流量計におけるメンテナンスエキスパートシステムのCPU回路2の第1の実施例に係る構成図が示されている。
【0035】
図1において、CPU回路2は、各種センサからの信号を入力したり、コイルとマグネットの組み合わせで用いられる駆動手段を制御して、フローチューブの固有の振動数と等しい交番駆動の周波数でフローチューブを交番駆動させ、フローチューブを回転方向に交番駆動したときにフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出し、フローチューブに流れる被測定流体の流量を演算する機能を備えたCPU9を有している。
電源回路3は、コリオリ流量計の起動(ON)・停止(OFF)をするための装置である。この電源回路3は、CPU回路2に接続されており、電源回路3の電源投入(ON)により、CPU回路2に電源が供給され、CPU回路2は起動する。このCPU回路2の起動によって、コリオリ流量計は、駆動し、フローチューブに流れる被測定流体の流量の計測を開始する。
【0036】
検出器4は、フローチューブにコイルとマグネットの組み合わせによる駆動手段によってフローチューブを交番駆動させることによって、フローチューブに生じるコリオリの力を検出するものである。この検出器4は、電源回路3からの電源供給を受けて駆動し、検出したフローチューブに生じるコリオリの力を検出データとしてCPU回路2に送出している。
表示部5は、フローチューブに生じるコリオリの力に基づいて各種センサーからの検出入力データを、CPU回路2において演算して求めた被測定流体の流量を表示するものである。この表示部5は、LED表示などによって構成することも可能であるが、最近では、液晶によって構成されている。本実施例においても、液晶表示によって構成されている。
【0037】
入出力(I/O)回路6は、各種センサーによって検出されたデータをCPU回路2に入力したり、外部機器とCPU2とのデータのやりとりを行ったりするための回路である。この入出力(I/O)回路6は、電源回路3からの電源供給を受けて駆動し、各種センサーからのデータや、外部機器とのデータのやりとりを行ったりする。
コミュニケーションツール7は、コリオリ流量計から離れた位置におかれ、通信ケーブル等を介してCPU2回路とのデータのやりとりを行うものである。このコミュニケーションツール7は、遠隔の場所でCPU回路2を制御して、実質的にはコリオリ流量計を制御することが可能である。
【0038】
CPU2回路には、図2に示す如く、CPU9が設けられており、このCPU9には、内部タイマカウンタ9A,9B,9Cが設けられている。また、このCPU9には、付加機能として温度計測IC10がバスラインによって接続されている(図示されていない)。さらに、このCPU9には、バスラインを介してリアルタイムクロックIC(RTC)11と、書き換え可能な不揮発性メモリであるEEPROM12と、強誘電体のヒステリシス(履歴現象)を利用し正負の自発分極を1と0に対応させた不揮発性の半導体メモリであるFeRAM(強誘電体メモリ)13とが、接続されている。このリアルタイムクロックIC(RTC)11と、EEPROM12と、FeRAM(強誘電体メモリ)13とは、シリアルインターフェイスによってCPU9に接続されている。
【0039】
このように構成されるメンテナンスエキスパートシステム1の主要な機能は、データロギングであり、計時システムが重要な役割を担っている。本実施例は、内蔵バッテリ(バックアップ電池)を有していないので、リアルタイムクロックIC(RTC)11を備えていても、真のリアルタイムの計時はできない。そこで、本実施例においては、経過時間タイムスタンプモードと、実時間タイムスタンプモードの2つのモードを用いて計時を実行している。
経過時間タイムスタンプモードは、電源ONから、0:00:00(0時00分00秒)からスタートし、流量計(変換器)が動作しているうちは、計時を継続するものである。この機能は、次に説明する実時間タイムスタンプモードでは、無効となる。
実時間タイムスタンプモードは、変換器への電源投入後に、予め使用者が現実の年月日と実時間(時分秒)を設定して計時(流量計)をスタートする。これは上記スタート時から電源OFFまたは経過時間タイムスタンプモードに移行されるまでの計時を継続するものである。
この2つのモード切替は、使用者がコミュニケーションツール7等を用いて行う。
【0040】
本実施例においては、EEPROM12と、FeRAM(強誘電体メモリ)13を備えており、それぞれには、異なったデータを格納するようになっている。
EEPROM12には、経過時間退避データ(「Aデータ」と称する)と、経過実時間退避データ(「Fデータ」と称する)とを格納する。
FeRAM(強誘電体メモリ)13には、流量計(変換器)の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)データ(「Bデータ」と称する)と、電源の異常が発生した回数を示す電源異常発生回数データ(「Dデータ」と称する)と、警告を与えるメッセージであるアラート、注意を喚起する警報であるアラーム発生/解除、自己診断結果、電源OFF時間をロギングするデータ(「Gデータ」と称する)と、密閉された流量計(変換器)内の温度を計測して記録する内器温度ロギングデータ(「Hデータ」と称する)と、実時間初期設定値(「Zデータ」と称する)とを格納する。
【0041】
このように構成されるメンテナンスエキスパートシステムは、流量計の状態をロギングする機能と、内器の温度を監視・ロギングする機能と、流量計の稼動時間を計時する機能と、電源投入直後の瞬時停電による電源異常を検出して記録する機能と、流量計がウォームアップ期間中であることを表示する機能とを有している。
【0042】
次に、これらの機能について説明する。
(1)流量計状態ロギング機能
これは、流量計の状態をロギングする機能で、次の機能からなっている。
a)流量計の状態を示すイベント発生毎に、経過時間のタイムスタンプを付与するために、不揮発性メモリFeRAM(強誘電体メモリ)13に流量計(変換器)の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)データを「Bデータ」としてロギングする。この運転経過時間(累積時間)データ(「Bデータ」)のロギングと共に、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値を合わせてイベントロギングデータ(「Gデータ」)としてFeRAM(強誘電体メモリ)13にロギングする。
b)流量計の状態を示す発生イベントの1つである電源断(OFF)となった(経過)時間のタイムスタンプを付与するために、電源断(OFF)時にリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値を経過時間退避データを「Aデータ」として不揮発性メモリEEPROM12に記録する。
c)タイムスタンプを付与し記録(ロギング)する機能の選択オプションとして、実年月日、実時間を対応させて「Gデータ」として不揮発性メモリFeRAM(強誘電体メモリ)13に記録する。
d)オプション機能における動作時における電源断(OFF)時、実時間タイムスタンプとして、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値を「Fデータ」として不揮発性メモリEEPROM12に記録する。
【0043】
(2)稼動時間計時機能
これは、流量計(変換器)の稼動時間を計時する機能で、流量計(変換器)を起動した直後から稼働時間(経過時間)を累積するために、CPU9に内蔵されている内部タイマカウンタによって1h毎に計時した稼動時間計時データを「Bデータ」として不揮発性メモリFeRAM(強誘電体メモリ)13に記録(ロギング)する。この稼動時間計時データは、FeRAM(強誘電体メモリ)13内でカウントアップされて情報が更新される。
【0044】
(3)電源異常投入検出機能
これは、流量計(変換器)に電源を投入した直後に断(OFF)することによる電源異常を検出して記録(ロギング)する機能で、流量計(変換器)起動直後(電源投入直後)から電源断(OFF)までの累積時間を差し引きし、それがわずかな時間(例えば、3秒以内)であった場合、電源異常とみなし、電源異常発生回数である電源異常投入検出データを「Dデータ」として不揮発性メモリFeRAM(強誘電体メモリ)13に記録(ロギング)する。
この電源異常投入検出機能で検出された情報は、流量計(変換器)の表示部5に表示される。
【0045】
(4)ウォームアップ期間中表示機能
これは、流量計(変換器)が、電源を投入した直後で、ウォームアップ期間中であることを表示する機能で、流量計(変換器)に電源を投入(ON)した時からの経過時間をCPU9に内蔵される内部タイマカウンタで計時し、一定の期間内、流量計(変換器)の表示部5にウォームアップ期間中であることを表示するものである。
【0046】
(5)稼動時間計時機能
これは、流量計(変換器)の累積経過時間に閾値を設けておき、CPU9に内蔵されている内部タイマカウンタによって1h毎に計時した稼動時間を累積した累積経過時間が、この閾値に達した時に、流量計(変換器)の点検を行うことを推奨するメッセージを表示部5に表示するものである。
【0047】
次に、メンテナンスエキスパートシステムの動作をフローチャートを用いて説明する。
図3には、経過時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローチャートが示されている。
【0048】
図3において、流量計(変換器)に、電源を投入(ON)すると、フローがスタートする。スタートすると、まず、ステップ50において、リアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタの時刻を00年1月1日、0:00:00(0時00分00秒)にセットする。
このステップ50においてリアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタの時刻をセットすると、ステップ51において、CPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込み、内部タイマカウンタ9Aを1h(1時間)に設定する。
【0049】
このステップ51において内部タイマカウンタ9Aを1h(1時間)にセットすると、ステップ52において、00年1月1日、0:00:00(0時00分00秒)に時刻をセットしたリアルタイムクロックIC(RTC)11が00年1月1日、0:00:00(0時00分00秒)から計時を開始(スタート)する。
このステップ52においてリアルタイムクロックIC(RTC)11が計時を開始(スタート)すると、ステップ53において、1h(1時間)にセットした内部タイマカウンタ9Aがスタートする。
【0050】
このステップ53において内部タイマカウンタ9Aがスタートすると、ステップ53において、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時処理が行われる。このリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時処理は、図4に図示の経過時間タイムスタンプモードにおけるRTCIC(リアルタイムクロック)11の計時処理のフローチャートによって実行される。
すなわち、RTCIC(リアルタイムクロック)11の計時処理がスタートすると、まず、ステップ71において、RTCIC(リアルタイムクロック)11の計時を行い、ステップ72において、CPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みが有ったか否かを判定する。このステップ72においてCPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みが無かったと判定すると、ステップ71に戻り、RTCIC(リアルタイムクロック)11の計時を行い、CPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みが有るまで待つ。
【0051】
ステップ72においてCPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みが有ったと判定すると、ステップ73において、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに1h(1時間)の経過データを「Bデータ」として格納する。すなわち、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスにおいては、1h(1時間)毎に1h(1時間)の経過時間を既に格納されている経過時間に積算して、流量計(変換器)の稼動時間として格納される。
ステップ73において1h(1時間)の経過時間を稼動時間としてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに既に格納されている経過時間に積算して格納すると、ステップ74において、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている経過時間(「Bデータ」)が予め設定した時間(例えば、8000h)に達したか否かを判定する。このステップ74においてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている経過時間が予め設定した時間(例えば、8000h)に達したと判定すると、ステップ75において、表示部5に点検を奨励するメッセージを点灯し、ステップ76に移る。
【0052】
また、ステップ74においてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている積算された経過時間(「Bデータ」)が予め設定した時間(例えば、8000h)に達していないと判定すると、ステップ76に移る。
ステップ75において表示部5に点検を奨励するメッセージを点灯するか、ステップ74においてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている積算された経過時間(「Bデータ」)が予め設定した時間(例えば、8000h)に達していないと判定すると、ステップ76において、リアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタの時刻を00年1月2日、0:00:00(0時00分00秒)にセットし、ステップ71に戻る。
このようにして、RTCIC(リアルタイムクロック)11の計時が連続的に行われ、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている積算された経過時間(「Bデータ」)を記録(ロギング)し続ける。
【0053】
流量計(変換器)は、何らかの原因(例えば、作業員が流量計測を終了する、機器の異常によってシステムダウンする等)で、電源がOFFすることがある。このときは、図3の経過時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローチャートにおけるステップ54において、パワーOFF、すなわち電源断(OFF)の信号が発信されることになる。
そこで、図3の経過時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローにおいては、ステップ70において、図4に図示の経過時間タイムスタンプモードにおけるRTCIC(リアルタイムクロック)11の計時処理のフローが実行されている際に、ステップ55および、ステップ54において流量計(変換器)のパワーOFF、すなわち電源断(OFF)の信号が発信されたか否か、すなわち、パワーOFF信号を検出したか否かを判定する。
【0054】
このステップ55において流量計(変換器)のパワーOFF信号を検出していないと判定すると、ステップ70に戻り、図4に図示の経過時間タイムスタンプモードにおけるRTCIC(リアルタイムクロック)11の計時処理のフローの実行を継続する。また、ステップ55において流量計(変換器)のパワーOFF信号を検出したと判定すると、ステップ56において、流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過時間を退避データ(「Aデータ」)として不揮発性メモリEEPROM12に格納する。
【0055】
図5には、経過時間タイムスタンプモードにおける電源の異常検出フローチャートが示されている。すなわち、図5の電源の異常投入検出フローチャートは、流量計(変換器)に電源を投入(ON)した後、瞬時に電源異常投入によって流量計(変換器)の電源が瞬時停電(OFF)となったときの処理フローである。
まず、ステップ80において、流量計(変換器)に、電源を投入(ON)すると、経過時間タイムスタンプモードにおける瞬時電源の異常検出フローがスタートする。
このステップ80においてフローがスタートすると、まず、ステップ81において、EEPROM12に格納されている流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過時間の退避データ(「Aデータ」)を読み出す。
【0056】
このステップ81におけるEEPROM12に格納されている流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過時間の退避データ(「Aデータ」)が無い場合は、図5に図示の経過時間タイムスタンプモードにおける電源の異常投入検出フローは、無効となる。
【0057】
このステップ81においてEEPROM12に格納されている経過時間の退避データ(「Aデータ」)を読み出すと、ステップ82において、経過時間データ(「Bデータ」)に流量計(変換器)が電源断(OFF)したときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値、すなわち経過時間の退避データ(「Aデータ」)を加算して、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)に格納する。
このステップ82において流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過時間の退避データ(「Aデータ」)に経過時間データ(「Bデータ」)を加算してFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)に格納すると、ステップ83において、流量計(変換器)に電源を投入(ON)した後、電源断(OFF)までのリアルタイムクロックIC(RTC)11による計測時間が流量計(変換器)に電源を投入(ON)によってセットされた00年1月1日、0:00:00(0時00分00秒)の時刻から予め設定した時間(例えば、3秒)以内か否かを判定する。
【0058】
このステップ83において流量計(変換器)の電源が断(OFF)するまでの時間が予め設定した時間(例えば、3秒)以内でないと判定すると、図5に図示の経過時間タイムスタンプモードにおける電源の異常投入検出フローを終了する。
また、ステップ83において流量計(変換器)の電源が断(OFF)するまでの時間が予め設定した時間(例えば、3秒)以内であると判定すると、ステップ84において、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスである電源異常カウンタ(「Dデータ」)に電源異常発生回数を1インクリメントして格納する。
このステップ84においてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに電源異常発生回数を1インクリメントして格納すると、ステップ85において、表示部5に前回の動作において電源異常があったことを表示し、図5に図示の経過時間タイムスタンプモードにおける瞬時電源の異常投入検出フローを終了する。
【0059】
図6には、経過時間タイムスタンプモードにおけるエラーロギングフローチャートが示されている。すなわち、図6のエラーロギングフローチャートは、経過時間タイムスタンプモードにおいて機器の動作状態(アラーム、アラート発生、停止および自己診断結果など)をロギング(記録)するときの処理フローチャートである。
まず、ステップ90において、流量計(変換器)にアラーム、アラートの発生/解除、自己診断実施等のイベントが発生すると、ステップ91において、この流量計(変換器)のイベント発生時のリアルタイムクロックIC(RTC)11による計測時間を読み出す。
【0060】
このステップ91においてリアルタイムクロックIC(RTC)11による計測時間を読み出すと、ステップ92において、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている経過時間(「Bデータ」)を読み出す。このステップ92において経過時間(「Bデータ」)を読み出すと、ステップ93において、流量計(変換器)に発生したイベントの内容(アラーム、アラートの発生/解除、自己診断実施等)と、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスから読み出した流量計(変換器)の積算した稼動経過時間(「Bデータ」)にイベント発生時のリアルタイムクロックIC(RTC)11による計測時間を加算してFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)に格納し、図6に図示の経過時間タイムスタンプモードにおけるエラーロギングフローを終了する。
【0061】
このFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)には、流量計(変換器)の電源OFF時間も格納される。この電源OFF時間は、電源ONと共に流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過時間の退避データ(「Aデータ」)と経過時間データ(「Bデータ」)を加算したものを格納する(図5のステップ82参照)。このFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)は、本実施例においては、最大20件格納することができ、21件目以降の新規データは、最初に格納した1件目のデータに上書きするようになっている。
また、本実施例おいては、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時時間は、リアルタイムクロックIC(RTC)11に設定されている00年1月1日、0:00:00(0時00分00秒)に時刻の内、年月日時までを捨てて演算する。すなわち、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時時間は、00:00(00分00秒)だけを対象としている。
【0062】
図7には、変換器(流量計)がウォームアップ期間中であることを表示する機能の基本フローチャートが示されている。すなわち、図7に図示のウォームアップ期間中表示機能基本フローチャートは、流量計(変換器)を立ち上げた(起動した)直後は、流量計(変換器)そのものが安定していない。このため、検出データに誤差が生じることがあり得るので、流量計(変換器)を立ち上げた(起動した)直後の検出データは、そのデータを用いるとき、十分に考慮することをユーザーに喚起するために、ウォームアップ期間中であることを表示するときの処理フローチャートである。
【0063】
図7に図示のウォームアップ期間表示機能基本フローチャートは、ステップ100において、電源ONによってスタートする。このステップ100において電源ONによってスタートすると、ステップ101において、ウォームアップ期間中であることを示すメッセージを表示部5に表示する。
このステップ101においてウォームアップ期間中であることを示すメッセージを表示部5に表示すると、ステップ102において、内部タイマカウンタ9Cに割り込みが一定時間毎に係る(本実施例においては、20分毎に割り込み信号が発生する)ようにセットする。
そして、このステップ102において内部タイマカウンタ9Cに一定時間毎(本実施例においては、20分毎)の割り込みをセットすると、ステップ103において、内部タイマカウンタ9Cをスタートさせる。
【0064】
このステップ103において内部タイマカウンタ9Cがスタートすると、ステップ104において、内部タイマカウンタ9Cに割り込みが発生したか否かを判定する。このステップ104において内部タイマカウンタ9Cに割り込みが発生していないと判定すると、この内部タイマカウンタ9Cに割り込みが発生するまで待つ。
また、このステップ104において内部タイマカウンタ9Cに割り込みが発生したと判定すると、ステップ105において、表示部5に表示してあるウォームアップ期間中であることを示すメッセージを消灯し、図7に図示のウォームアップ期間表示機能基本フローは、終了する。
【0065】
図8には、実時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローチャートが示されている。
ステップ120において、流量計(変換器)に、モード切替を設定すると、フローがスタートする。ステップ120においてフローがスタートすると、ステップ121において、リアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタの時刻を実年月日、実時刻にセットする。この実年月日、実時刻のセットと同時に、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過時間の退避データ(「Aデータ」)をリセットする。
このステップ121においてリアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタに実年月日、実時刻をセットすると、ステップ122において、リアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタにセットした実年月日、実時刻をFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Zデータ」)に格納する。
このリアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタにセットした実年月日、実時刻をFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Zデータ」)を格納すると同時に、リアルタイムクロックIC(RTC)11の内部レジスタにセットした実年月日、実時刻のタイムスタンプがスタートする。そして、このタイムスタンプのスタート時間は、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)に格納される。
【0066】
このステップ122において実年月日、実時刻をFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Zデータ」)に格納すると、ステップ123において、CPU2に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込み、内部タイマカウンタ2Aを1h(1時間)に設定(セット)する。
このステップ123において内部タイマカウンタ9Aを1h(1時間)にセットすると、ステップ124において、リアルタイムクロックIC(RTC)11は実年月日、実時刻から計時を開始(スタート)する。
このステップ124においてリアルタイムクロックIC(RTC)11が計時を開始(スタート)すると、ステップ125において、1h(1時間)にセットした内部タイマカウンタ9Aがスタートする。
【0067】
このステップ125において内部タイマカウンタ9Aがスタートすると、ステップ130において、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時処理が行われる。このリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時処理は、図9に図示の実時間タイムスタンプモードにおけるリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時の処理フローチャートによって実行される。
すなわち、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時処理がスタートすると、まず、ステップ131において、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時を行い、ステップ132において、CPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みが有ったか否かを判定する。このステップ132においてCPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みがなかったと判定すると、ステップ131に戻り、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時を行い、CPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みが有るまで待つ。
【0068】
ステップ132においてCPU9に内蔵されている内部タイマカウンタ9Aに割り込みが有ったと判定すると、ステップ133において、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに1h(1時間)の経過データを「Bデータ」として格納する。すなわち、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスにおいては、1h(1時間)毎に1h(1時間)の経過時間を既に格納されている経過時間に積算して、流量計(変換器)の稼動時間として格納される。
このステップ133において1h(1時間)の経過時間を稼動時間としてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに既に格納されている経過時間に積算して格納すると、ステップ134において、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている経過時間(「Bデータ」)が予め設定した時間(例えば、8000h)に達したか否かを判定する。
このステップ134においてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている経過時間が予め設定した時間(例えば、8000h)に達していないと判定すると、ステップ131に戻る。
また、このステップ134においてFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている経過時間が予め設定した時間(例えば、8000h)に達したと判定すると、ステップ135において、表示部5に点検を奨励するメッセージを点灯し、ステップ131に戻る。
このようにして、リアルタイムクロックIC(RTC)11の計時が連続的に行われ、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレスに格納されている積算された経過時間(「Bデータ」)を記録(ロギング)し続ける。
【0069】
流量計(変換器)は、何らかの原因(例えば、使用者が流量計測を終了する、機器の異常によってシステムダウンする等)で、電源がOFFすることがある。このときは、図8の実時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローチャートにおけるステップ127において、パワーOFF、すなわち電源断(OFF)の信号が発信されることになる。
そこで、図8の実時間タイムスタンプモードにおける計時システムの基本フローチャートにおいては、ステップ130において、図8に図示の実時間タイムスタンプモードにおけるリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時の処理フローが実行されている際に、ステップ127および、ステップ126において流量計(変換器)のパワーOFF、すなわち電源断(OFF)の信号が発信されたか否か、すなわち、パワーOFF信号を検出したか否かを判定する。
【0070】
このステップ127において流量計(変換器)のパワーOFF信号を検出していないと判定すると、ステップ130に戻り、図9に図示の実時間タイムスタンプモードにおけるリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時の処理フローの実行を継続する。
また、ステップ127において流量計(変換器)のパワーOFF信号を検出したと判定すると、ステップ128において、流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過実時間を退避データ(「Fデータ」)として不揮発性メモリEEPROM12に格納する。
【0071】
図10には、実時間タイムスタンプモードにおける電源断(OFF)の検出フローチャートが示されている。
まず、ステップ140において、流量計(変換器)に、電源を投入(ON)すると、実時間タイムスタンプモードにおける電源断(OFF)の検出フローがスタートする。
このステップ140においてフローがスタートすると、まず、ステップ141において、EEPROM12に格納されている流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過実時間の退避データ(「Fデータ」)を読み出す。
【0072】
このステップ141においてEEPROM12に格納されている経過時間の退避データ(「Fデータ」)を読み出すと、ステップ142において、流量計(変換器)の電源断(OFF)したときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値を流量計(変換器)の電源断(OFF)としてEEPROM12に格納されている流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である経過実時間の退避データ(「Fデータ」)をステップ142において、FeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)に格納し、実時間タイムスタンプモードにおける電源断(OFF)の検出フローを終了する。
【0073】
図11には、実時間タイムスタンプモードにおけるエラーロギングフローチャートが示されている。すなわち、図11のエラーロギングフローは、実時間タイムスタンプモードにおいて機器の動作状態(アラーム、アラート発生、停止および自己診断結果など)をロギング(記録)するときの処理フローチャートである。
まず、ステップ150において、流量計(変換器)にアラーム、アラートの発生/解除、自己診断実施等のイベントが発生すると、ステップ151において、この流量計(変換器)のイベント発生時のリアルタイムクロックIC(RTC)11による計測実時間を読み出す。
【0074】
このステップ151においてリアルタイムクロックIC(RTC)11による計測実時間を読み出すと、ステップ152において、流量計(変換器)に発生したイベントの内容(アラーム、アラートの発生/解除、自己診断実施等)と、リアルタイムクロックIC(RTC)11による計測実時間をFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)に格納し、図11に図示の実時間タイムスタンプモードにおけるエラーロギングフローを終了する。
【0075】
このFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)には、流量計(変換器)の電源OFF時間も格納される。この電源OFF時間は、電源ONと共に流量計(変換器)の電源断(OFF)となったときのリアルタイムクロックIC(RTC)11の計時値である実時間の退避データ(「Fデータ」)を格納する(図10のステップ142参照)。このFeRAM(強誘電体メモリ)13の特定のアドレス(「Gデータ」)は、本実施例においては、最大20件格納することができ、21件目以降の新規データは、最初に格納した1件目のデータに上書きするようになっている。
【実施例2】
【0076】
図12には、図1に図示のコリオリ流量計におけるメンテナンスエキスパートシステムのCPU回路2の第2の実施例に係る回路構成図が示されている。
図12において、CPU2回路には、CPU20が設けられており、このCPU20には、内部タイマカウンタ20A,20B,20Cが設けられている。また、このCPU20には、温度計測IC21がバスラインによって接続されている。さらに、このCPU20には、バスラインを介してリアルタイムクロックIC(RTC)22と、書き換え可能な不揮発性メモリであるEEPROM23と、強誘電体のヒステリシス(履歴現象)を利用し正負の自発分極を1と0に対応させた不揮発性の半導体メモリであるFeRAM(強誘電体メモリ)24とが、接続されている。
【0077】
図12に図示のCPU20は、図2に図示のCPU9と同様の機能を有し、CPU20の内部タイマカウンタ20A,20B,20Cは、図2に図示のCPU9の内部タイマカウンタ9A,9B,9Cに対応するものである。
そして、このリアルタイムクロックIC(RTC)22と、EEPROM23と、FeRAM(強誘電体メモリ)24とは、シリアルインターフェイスによってCPU20に接続されている。
【0078】
このように構成されるメンテナンスエキスパートシステムの主要な機能は、データロギングであり、計時システムが重要な役割を担っている。本実施例は、内蔵バッテリ(バックアップ電池)を有していないので、リアルタイムクロックIC(RTC)22を備えていても、真のリアルタイムの計時はできない。そこで、本実施例においては、経過時間タイムスタンプモードと、実時間タイムスタンプモードの2つのモードを用いて計時を実行している。
経過時間タイムスタンプモードは、電源ONから、0:00:00(0時00分00秒)からスタートし、流量計(変換器)が動作しているうちは、計時を継続するものである。この機能は、次に説明する実時間タイムスタンプモードでは、無効となる。
実時間タイムスタンプモードは、変換器への電源投入後に、予め使用者が現実の年月日と実時間(時分秒)を設定して計時(流量計)をスタートする。これは前記スタートから電源OFFまたは経過時間タイムスタンプモードに移行されるまでの計時を継続するものである。
この2つのモード切替は、使用者がコミュニケーションツール等を用いて行う。
【0079】
本実施例においては、第1の実施例同様、EEPROM23と、FeRAM(強誘電体メモリ)24を備えており、それぞれには、異なったデータを格納するようになっている。
EEPROM23には、経過時間退避データ(「Aデータ」と称する)と、経過実時間退避データ(「Fデータ」と称する)とを格納する。
FeRAM(強誘電体メモリ)24には、流量計(変換器)の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)データ(「Bデータ」と称する)と、電源の異常が発生した回数を示す電源異常発生回数データ(「Dデータ」と称する)と、警告を与えるメッセージであるアラート、注意を喚起する警報であるアラーム発生/解除、自己診断結果、電源OFF時間をロギングするデータ(「Gデータ」と称する)と、密閉された流量計(変換器)内の温度を計測して記録する内器温度ロギングデータ(「Hデータ」と称する)と、実時間初期設定値(「Zデータ」と称する)とを格納する。
【0080】
このように構成されるメンテナンスエキスパートシステムは、流量計の状態をロギングする機能と、内器の温度を監視・ロギングする機能と、流量計の稼動時間を計時する機能と、電源投入直後の瞬時停電による電源異常を検出して記録する機能と、流量計がウォームアップ期間中であることを表示する機能とを有している。
【0081】
次に、これらの機能のうち、(1)流量計状態ロギング機能、(2)稼動時間計時機能、(3)電源異常投入検出機能、(4)ウォームアップ期間中表示機能、(5)稼動時間計時機能の5つについては、第1の実施例において説明した通りである。ここでは、(6)内器温度監視・ロギング機能について説明する。
(6)内器温度監視・ロギング機能
これは、密封された流量計(変換器)の内部の温度を監視し、その温度をロギングする機能で、次の機能からなっている。
流量計(変換器)を起動した後、定期的に温度計測IC21の検出データをタイムスタンプと共に、内器の温度を示す内器温度ロギングデータを「Hデータ」として不揮発性メモリFeRAM(強誘電体メモリ)24に記録(ロギング)する。この記録(ロギング)と共に、サンプル温度に対して上限値、下限値を設け記録(ロギング)した内器の温度を判定する。そして、この判定結果を記録(ロギング)すると同時に、判定結果がNGの場合、表示部5に表示する。
また、選択オプションとして、内器の温度を示す内器温度ロギングデータに実時間スタンプを対応させることができる。
そして、内器温度監視・ロギング機能において温度計測IC21の検出データがある閾値以上の場合には、このウォームアップ時間中表示機能を停止する。
【0082】
図13には、経過時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローチャートが示されている。すなわち、図13の内器温度監視機能の基本フローチャートは、経過時間タイムスタンプモードにおける密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)を監視して、この内器温度データをロギング(記録)し、密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が異常になったときに異常メッセージ(警告)を出すときの処理フローチャートである。
この図13に図示の経過時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローは、本実施例においては、定期的(例えば、10分毎)に処理が行われるようになっている。
【0083】
ステップ200において、図13に図示の経過時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローがスタートすると、ステップ201において、密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)を測定している温度計測IC21の検出(計測温度)データを読み出す。このステップ201において温度計測IC21の検出(計測温度)データを読み出すと、ステップ202において、リアルタイムクロックIC(RTC)22の計時値を読み出す。
このステップ202においてリアルタイムクロックIC(RTC)22の計時値を読み出すと、ステップ203において、FeRAM(強誘電体メモリ)24の特定のアドレスに格納されている経過時間(「Bデータ」)を読み出す。このステップ203において経過時間(「Bデータ」)を読み出すと、ステップ204において、リアルタイムクロックIC(RTC)22の計時値にFeRAM(強誘電体メモリ)24の特定のアドレスから読み出した経過時間(「Bデータ」)を加算して、流量計(変換器)の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)を算出する。
このステップ204におけるリアルタイムクロックIC(RTC)の計時時間は、リアルタイムクロックIC(RTC)22に設定されている00年1月1日、0:00:00(0時00分00秒)の時刻の内、年月日時までを捨てて演算する。すなわち、リアルタイムクロックIC(RTC)22の計時時間は、00:00(00分00秒)だけを対象としている。
【0084】
このステップ204において流量計(変換器)の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)を算出すると、ステップ205において、流量計(変換器)が、電源を投入した直後で、ウォームアップ中であるか否かを判定する。このステップ205において流量計(変換器)が、電源を投入した直後で、ウォームアップ中であると判定すると、ステップ208に移行する。
また、ステップ205において流量計(変換器)はウォームアップ中でないと判定すると、ステップ206において、密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が予め設定された範囲内であるか否かを判定する。
【0085】
このステップ206において密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が予め設定された範囲内でないと判定すると、ステップ207において、流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が異常であることを示す異常メッセージを表示部5に表示する。
また、このステップ206において密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が予め設定された範囲内であると判定すると、ステップ208において、温度計測IC21の検出データと、リアルタイムクロックIC(RTC)22の計時値にFeRAM(強誘電体メモリ)24の特定のアドレスから読み出した経過時間(「Bデータ」)を加算して、FeRAM(強誘電体メモリ)24の特定のアドレス(「Hデータ」)に格納する。
【0086】
このステップ208においてFeRAM(強誘電体メモリ)24の特定のアドレス(「Hデータ」)に格納すると、ステップ209において、CPU20に内蔵されている内部タイマカウンタ20Bに割り込みをセットする。このステップ209において内部タイマカウンタ20Bに割り込みが入ると、ステップ210において、内部タイマカウンタ20Bがスタートする。
このステップ210において内部タイマカウンタ20Bがスタートすると、ステップ211において、内部タイマカウンタ20Bに割り込み(本実施例においては、10分毎に割り込み信号が発生する)が発生したか否かを判定する。このステップ211において内部タイマカウンタ20Bに割り込みが発生しないと判定すると、内部タイマカウンタ20Bに割り込みが発生するまで待つ。また、このステップ211において内部タイマカウンタ20Bに割り込み(10分毎)が発生したと判定すると、ステップ201に戻り、温度計測IC21の検出データを読み出しステップ202〜ステップ211を繰り返して実行する。
【0087】
次に、本実施例におけるウォームアップ期間中表示機能について、図14に図示のウォームアップ期間中であることを表示する機能の基本フローチャートを用いて説明する。
図14に図示のウォームアップ期間中表示機能基本フローチャートは、流量計(変換器)を立ち上げた(起動した)直後は、流量計(変換器)そのものが安定していないため、検出データに誤差が生じることがあり得るため、流量計(変換器)を立ち上げた(起動した)直後の検出データは、そのデータを用いるとき、十分に考慮することをユーザーに喚起するため、ウォームアップ期間中であることを表示するときの処理フローチャートである。
【0088】
図14に図示のウォームアップ期間中表示機能基本フローは、ステップ220において、電源ONによってスタートする。このステップ220において電源ONによってスタートすると、ステップ221において、密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)を測定している温度計測IC21の検出(計測温度)データを読み出す。
このステップ221において温度計測IC21の検出(計測温度)データを読み出すと、ステップ222において、検出された温度計測IC21の計測温度が予め設定された温度(例えば、50℃)以下であるか否かを判定する。
このステップ222において温度計測IC21によって検出された計測温度が予め設定された温度(例えば、50℃)以下でないと判定すると、図14に図示のウォームアップ期間中表示機能基本フローは、終了する。
【0089】
また、ステップ222において温度計測IC21によって検出された計測温度が予め設定された温度(例えば、50℃)以下であると判定すると、ステップ223において、ウォームアップ期間中であることを示すメッセージを表示部5に表示する。
このステップ223においてウォームアップ期間中であることを示すメッセージを表示部5に表示すると、ステップ224において、内部タイマカウンタ20Cに割り込みが一定時間毎に係る(本実施例においては、20分毎に割り込み信号が発生する)ようにセットする。 そして、このステップ224において内部タイマカウンタ20Cに一定時間毎(本実施例においては、20分毎)の割り込みをセットすると、ステップ225において、内部タイマカウンタ20Cをスタートさせる。
【0090】
このステップ225において内部タイマカウンタ20Cがスタートすると、ステップ226において、内部タイマカウンタ20Cに割り込みが発生したか否かを判定する。このステップ226において内部タイマカウンタ20Cに割り込みが発生していないと判定すると、この内部タイマカウンタ20Cに割り込みが発生するまで待つ。
また、このステップ226において内部タイマカウンタ20Cに割り込みが発生したと判定すると、ステップ227において、表示部5に表示してあるウォームアップ期間中であることを示すメッセージを消灯し、図14に図示のウォームアップ期間中表示機能基本フローは、終了する。
【0091】
次に、本実施例における実時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能について、図15に図示の実時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローチャートを用いて説明する。
図15に図示の内器温度監視機能の基本フローチャートは、実時間タイムスタンプモードにおける密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)を監視して、この内器温度データをロギング(記録)し、密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が異常になったときに異常メッセージ(警告)を出すときの処理フローチャートである。
この図15に図示の実時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローは、本実施例においては、定期的(例えば、10分毎)に処理が行われるようになっている。
【0092】
ステップ230において、図15に図示の実時間タイムスタンプモードにおける内器温度の監視機能の基本フローがスタートすると、ステップ231において、密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)を測定している温度計測IC21の検出(計測温度)データを読み出す。このステップ231において温度計測IC21の検出(計測温度)データを読み出すと、ステップ232において、リアルタイムクロックIC(RTC)の計時実時間を読み出す。
このステップ232においてリアルタイムクロックIC(RTC)の計時実時間を読み出すと、ステップ233において、流量計(変換器)が、電源を投入した直後で、ウォームアップ中であるか否かを判定する。このステップ233において流量計(変換器)が、電源を投入した直後で、ウォームアップ中であると判定すると、ステップ236に移行する。
また、ステップ233において流量計(変換器)はウォームアップ中でないと判定すると、ステップ234において、密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が予め設定された範囲内であるか否かを判定する。
【0093】
このステップ234において密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が予め設定された範囲内でないと判定すると、ステップ235において、流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が異常であることを示す異常メッセージを表示部5に表示する。
また、このステップ234において密封された流量計(変換器)の内部の温度(内器温度)が予め設定された範囲内であると判定すると、ステップ236において、温度計測IC21の検出(計測温度)データと、リアルタイムクロックIC(RTC)の計時実時間をFeRAM(強誘電体メモリ)24の特定のアドレス(「Hデータ」)に格納する。
【0094】
このステップ236においてFeRAM(強誘電体メモリ)24の特定のアドレス(「Hデータ」)に格納すると、ステップ237において、CPU20に内蔵されている内部タイマカウンタ20Bに割り込みをセットする。このステップ237において内部タイマカウンタ20Bに割り込みが入ると、ステップ238において、内部タイマカウンタ20Bがスタートする。
このステップ238において内部タイマカウンタ20Bがスタートすると、ステップ239において、内部タイマカウンタ20Bに割り込み(本実施例においては、10分毎に割り込み信号が発生する)が発生したか否かを判定する。このステップ239において内部タイマカウンタ20Bに割り込みが発生しないと判定すると、内部タイマカウンタ20Bに割り込みが発生するまで待つ。また、このステップ239において内部タイマカウンタ20Bに割り込み(10分毎)が発生したと判定すると、ステップ231に戻り、温度計測IC21の検出データを読み出しステップ232〜ステップ239を繰り返して実行する。
【0095】
このようにして、本システムは、次のような特色がある。
(1)本システムには、実時間タイムスタンプモードと経過時間タイムスタンプモードがある。
実時間タイムスタンプモードは、予め使用者が電源投入(ON)後に流量計に実時間を設定することで、実時間に基づきデータロギングなどに付与されるタイムスタンプを発行する。
経過時間タイムスタンプモードは、電源投入(ON)と同時にゼロスタートし、経過時間をもってタイムスタンプを発行する。
(2)本システムは、機器の動作状態(アラーム、アラート発生、停止および自己診断結果など)をロギングする。
(3)本システムは、機器電源投入(ON)〜断(OFF)までの時間を監視し、電源異常(短時間電源ON)回数の記録を行う。
(4)本システムは、機器電源投入(ON)〜断(OFF)までの時間記録を累積し、閾値を設定し、設定閾値に到達した場合、点検推奨時期メッセージを発令する。
(5)電源投入(ON)直後のウォームアップ期間中は、表示器によってその旨を表示する。
(6)本システムは、機器内器温度を温度センサにて計測監視し、このデータをロギングする。また温度異常に伴い表示器に警告する。
【0096】
したがって、本システムによれば、客先納入後のサービスメンテナンス業務に参考データ(トラブルシューティング時の参考データ)として利用することができる。
また、本システムによれば、従来納入直後からを機器稼動時間としており、複数納入している機器について、各機器毎に、より具体的に稼動時間が分かり、保全のタイミングを明確にすることができる。
また、本システムによれば、流量計の使用温度の範囲を監視する機能に利用することができる。
さらに、本システムによれば、前回電源投入(ON)時に電源異常であった旨警告を発令することができる。
またさらに、本システムによれば、バックアップ電池を用いていないので、電池交換の必要がない。
さらにまた、本システムによれば、ウォームアップ期間中である旨、告知することができ、適切な使用を促すことができる。
【符号の説明】
【0097】
1…………………………………メンテナンスエキスパートシステム
2…………………………………CPU回路
3…………………………………電源回路
4…………………………………検出器
5…………………………………表示部
6…………………………………入出力(I/O)回路
7…………………………………コミュニケーションツール
9…………………………………CPU
9A………………………………内部タイマカウンタ
9B………………………………内部タイマカウンタ
9C………………………………内部タイマカウンタ
10………………………………温度計測IC
11………………………………リアルタイムクロックIC(RTC)
12………………………………EEPROM
13………………………………FeRAM(強誘電体メモリ)
20………………………………CPU
20A……………………………内部タイマカウンタ
20B……………………………内部タイマカウンタ
20C……………………………内部タイマカウンタ
21………………………………温度計測IC
22………………………………リアルタイムクロックIC(RTC)
23………………………………EEPROM
24………………………………FeRAM(強誘電体メモリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)等の計測器において,
前記計測器を、
複数の内部タイマカウンタを備え、前記計測器の状態を検出する各種センサからの信号を入力し、前記センサの検出値に基づいて前記被測定物の計測値を演算する機能を有するCPUと,
前記計測器の起動(ON)・停止(OFF)を行う電源回路と,
前記CPUに入力された各種センサーからの検出入力データ、前記CPUにおいて前記被測定物の計測値を表示する表示部と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、時間を計測するリアルタイムクロックIC(RTC)と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUに入力されるデータを格納するEEPROMと,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUによって前記各種センサからの入力値を格納し、該各種センサからの入力値に基づいて前記CPUにおいて演算した演算結果を格納するFeRAMと,
によって構成したことを特徴とする計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項2】
前記EEPROMとFeRAMは、
前記CPUに入力されるデータ、或いは演算結果を退避するタイミング、データ、或いは演算結果を退避する頻度に応じて使い分けるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項3】
前記表示部は,
前記計測器の稼働時間の累計より、該計測器に使用されている構成部品の推奨交換時期、あるいは該計測器の保守・点検時期の到来を表示する機能を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項4】
前記計測器は、
計測器の状態をロギングする機能と、計測器の稼動時間を計時する機能と、電源投入直後の瞬時停電による電源異常を検出して記録する機能と、計測器がウォームアップ期間中であることを表示する機能とを備えたものである
請求項1,2又は3に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項5】
前記計測器は、
前記CPUに接続され、前記計測器の密閉された筐体内に収納され、前記計測器の内器の温度を計測する温度計測ICを設けたものである
請求項1,2,3又は4に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項6】
前記計測器には,
内器の温度を監視・ロギングする機能を付加して備えたものである請求項5に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項7】
前記計測器の状態をロギングする機能は,
計測器の状態を示すイベント発生毎に、経過時間のタイムスタンプを付与するため、前記FeRAMに、計測器の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)データを「Bデータ」としてロギングすると共に、前記リアルタイムクロックIC(RTC)の計時値を合わせてイベントロギングデータ(「Gデータ」)としてロギングする第1の機能と,
計測器の状態を示す発生イベントの1つである電源断(OFF)となった(経過)時間のタイムスタンプを付与するため、電源断(OFF)時に前記リアルタイムクロックIC(RTC)の計時値の経過時間退避データを「Aデータ」として前記EEPROMに記録する第2の機能と,
タイムスタンプを付与し記録(ロギング)する機能の選択オプションとして、実年月日、実時間を対応させて「Gデータ」として前記FeRAMに記録する第3の機能と,
オプション機能での動作時における電源断(OFF)時、実時間タイムスタンプとして、前記リアルタイムクロックIC(RTC)の計時値を「Fデータ」として前記EEPROMに記録する第4の機能と,
とからなることを特徴とする請求項4,5又は6に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項8】
前記稼動時間計時機能は,
前記計測器の稼動時間を計時する機能で、
前記計測器を起動した直後から稼働時間(経過時間)を累積するため、前記CPUに内蔵されている内部タイマカウンタによって1h毎に計時した稼動時間計時データを「Bデータ」として前記FeRAMに記録(ロギング)するものである
ことを特徴とする請求項7に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項9】
前記電源異常投入検出機能は,
前記計測器に電源を投入した直後に瞬時停電(OFF)することによる電源異常を検出して記録(ロギング)する機能で、
前記計測器起動直後(電源投入直後)から瞬時停電(OFF)までの累積時間を差し引きし、それがわずかな時間(例えば、3秒以内)であった場合、電源異常とみなし、電源異常発生回数である電源異常投入検出データを「Dデータ」として前記FeRAMに記録(ロギング)し、該電源異常投入検出情報を前記計測器の表示部に表示するものである
ことを特徴とする請求項8に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項10】
前記ウォームアップ時間表示機能は,
前記計測器が、電源を投入した直後で、ウォームアップ期間中であることを表示する機能で、
前記計測器に電源を投入(ON)した時からの経過時間を前記CPUに内蔵される内部タイマカウンタで計時し、一定の期間内、前記計測器の表示部にウォームアップ期間中であることを表示するものである
ことを特徴とする請求項4,5,6,7,8又は9に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項11】
前記内器温度監視・ロギング機能は,
前記筐体に密封された計測器の内部の温度を監視し、その温度をロギングする機能で、
前記計測器を起動した後、定期的に前記温度計測ICの検出データをタイムスタンプと共に、内器の温度を示す内器温度ロギングデータを「Hデータ」として前記FeRAMに記録(ロギング)すると共に、サンプル温度に対して上限値、下限値を設け記録(ロギング)した内器の温度を判定すると同時に、判定結果がNGの場合、前記表示部に表示するものである
ことを特徴とする請求項6,7,8,9又は10に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項12】
前記EEPROMは,
経過時間退避データ(「Aデータ」)と、経過実時間退避データ(「Fデータ」)を格納するものである
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項13】
前記FeRAMは,
前記計測器の運転時間の合計時間である運転経過時間(累積時間)データ(「Bデータ」)と、電源の異常が発生した回数を示す電源異常発生回数データ(「Dデータ」)と、警告を与えるメッセージであるアラート、注意を喚起する警報であるアラーム発生/解除、自己診断結果、電源OFF時間をロギングするデータ(「Gデータ」)と、密閉された計測器内の温度を計測して記録する内器温度ロギングデータ(「Hデータ」)と、実時間初期設定値(「Zデータ」)とを格納するものである
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11又は12に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項14】
前記リアルタイムクロックIC(RTC)は,
経過時間タイムスタンプモードと、実時間タイムスタンプモードの2つのモードを切り換えて、各モード毎に計時するものである
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12又は13に記載の計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。
【請求項15】
流量計や温度計、圧力計、分析計(密度計、濃度計)等の計測器において,
前記計測器は,
被計測流体の質量流量及び/又は密度を得る計測器を密封する筐体に収納してなるコリオリ流量計であり,
前記コリオリ流量計を、
複数の内部タイマカウンタを備え、前記コリオリ流量計の状態を検出する各種センサからの信号を入力し、前記駆動手段を制御して、前記フローチューブの固有の振動数と等しい交番駆動の周波数で該フローチューブを交番駆動させ、該フローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出して被測定流体の流量を演算する機能を有するCPUと,
前記コリオリ流量計の起動(ON)・停止(OFF)を行う電源回路と,
前記フローチューブにコイルとマグネットの組み合わせによる前記駆動手段によって該フローチューブを交番駆動させることによって、フローチューブに生じるコリオリの力を検出する検出器と,
前記CPUに入力された各種センサーからの検出入力データ、前記CPUにおいて前記フローチューブに生じるコリオリの力に基づいて演算して求めた被測定流体の流量を表示する表示部と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、時間を計測するリアルタイムクロックIC(RTC)と,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUに入力されるデータを格納するEEPROMと,
前記CPUにバスラインを介して接続され、該CPUによって前記各種センサからの入力値を格納し、該各種センサからの入力値に基づいて前記CPUにおいて演算した演算結果を格納するFeRAMと,
によって構成したことを特徴とする計測器におけるメンテナンスエキスパートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−80968(P2011−80968A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235787(P2009−235787)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】