計測方法及び装置、並びに露光方法及び装置
【課題】計測用の光学系を大型化することなく、投影光学系の光学特性を効率的にかつ高精度に計測する。
【解決手段】投影光学系PLの光学特性を計測する計測装置において、物体面の複数の計測点P(i,j)に配置される位相マーク20が形成されたレチクルマーク板RFMと、計測点P(i,j)に対応する像面上の位置に配置される周期パターン39が形成された蛍光膜35と、位相マーク20、投影光学系PL、及び周期パターン39を通過した照明光ILによって生成される検出光DLを検出面に導くFOP37と、検出光DLを検出する撮像素子38と、を備える。
【解決手段】投影光学系PLの光学特性を計測する計測装置において、物体面の複数の計測点P(i,j)に配置される位相マーク20が形成されたレチクルマーク板RFMと、計測点P(i,j)に対応する像面上の位置に配置される周期パターン39が形成された蛍光膜35と、位相マーク20、投影光学系PL、及び周期パターン39を通過した照明光ILによって生成される検出光DLを検出面に導くFOP37と、検出光DLを検出する撮像素子38と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影光学系の光学特性を計測する計測技術、この計測技術を用いる露光技術、及びこの露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するためのリソグラフィ工程で使用される露光装置においては、レチクル等に形成されたパターンを投影光学系を介してウエハ等の基板に高精度に転写するために、投影光学系の光学特性(例えば、ディストーション、像面湾曲、又は波面収差等)を所定の状態に維持する必要がある。そのためには、露光中に例えば定期的に投影光学系の光学特性を高精度に計測する必要がある。
【0003】
従来の計測技術として、投影光学系を介して形成される位相パターンの像を2つの周期パターンを介してそれぞれ光電センサで検出し、これらの光電センサの検出信号の差分からその位相パターンの像のフォーカス位置(デフォーカス量)を検出する計測装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、従来の別の計測技術として、投影光学系を介して形成される2つの線状パターンの像を2つの楔状の開口パターンを介してそれぞれ光電センサで検出し、これらの光電センサの検出信号の差分からその線状パターンの像の横ずれ量(ひいてはディストーション)を検出する計測装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/001834号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2009/001835号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
投影光学系の光学特性を効率的に計測するためには、投影光学系の像面内における露光領域の全面を覆うような広い領域で複数の計測用パターンの像の状態を一括して計測することが好ましい。しかしながら、従来のように検出光を周期パターン又は開口パターン等の検出用パターンを介して直接複数の光電センサで受光する装置において、受光面積を広くすると、外乱光又は検出対象の像とは異なる像からの光が各光電センサに入射して、計測精度が像面上の検出位置によって異なる恐れがある。
【0006】
さらに、光電センサは熱源となるため、検出用パターンの熱変形等を抑制するためには、光電センサは像面からできるだけ離して配置することが好ましい。しかしながら、そのために複数の検出用パターンと複数の光電センサとの間にリレーレンズを配置するものとすると、計測装置が大型化する。
本発明はこのような事情に鑑み、計測用の光学系を大型化することなく、投影光学系の光学特性を効率的にかつ高精度に計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による計測装置は、第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測装置において、その第1面の複数の計測点に配置される複数の第1パターンが形成された第1パターン形成部材と、その第2面のその複数の計測点に対応する位置に配置される複数の第2パターンが形成された第2パターン形成部材と、複数の光ファイバーを束ねて形成され、その複数の第1パターン、その投影光学系、及びその複数の第2パターンを通過した照明光によって生成される検出光を検出面に導く導光部材と、その検出面に配置される受光面を有し、その導光部材によって導かれるその検出光を検出する複数の画素を含む光電検出器と、その光電検出器の検出結果を処理してその光学特性を求める処理装置と、を備えるものである。
【0008】
また、本発明による計測方法は、第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測方法において、その第1面の複数の計測点のそれぞれに第1パターンを配置し、その第2面のその複数の計測点に対応する位置に第2パターンを配置し、複数のその第1パターンを照明光で照明し、その第1パターン、その投影光学系、及びその第2パターンを通過したその照明光によって生成される検出光を、複数の光ファイバーを束ねて形成される導光部材を介して検出面に導き、その導光部材によってその検出面に導かれるその検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出し、その光電検出器の検出結果を処理してその光学特性を求めるものである。
【0009】
また、本発明による露光装置又は露光方法は、投影光学系を介して物体上にパターンを露光する露光装置又は露光方法において、その投影光学系の光学特性を計測するために本発明の計測装置又は計測方法を用いるものである。
また、本発明によるデバイス製造方法は、本発明の露光装置又は露光方法を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、そのパターンが形成された基板を処理することと、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明よれば、複数の計測点にある第1パターンの投影光学系による像が、対応する位置にある第2パターン及び導光部材を介して光電検出器で一括して検出される。このように導光部材を介することによって、入射角の大きい外乱光等を排除して、第2パターンの形成面と光電検出器の受光面とを離すことができる。従って、計測用の光学系を大型化することなく、投影光学系の光学特性を効率的にかつ高精度に計測する
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の露光装置を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1の投影光学系の光学特性を計測中の撮像ユニット32を示す図、(B)は図2(A)のレチクルマーク板RFMを示す平面図、(C)は図2(A)の撮像ユニット32を示す平面図である。
【図3】(A)は図2(B)の一つの位相マーク20を示す拡大平面図、(B)は位相マーク20を示す拡大断面図、(C)は位相マーク20の像の光強度分布の例を示す図である。
【図4】(A)は図2(C)の撮像ユニット32の1組の周期パターン等を示す拡大平面図、(B)はフォーカス信号の一例を示す図、(C)は投影光学系PLの像面の計測結果の一例を示す図である。
【図5】光学特性の計測動作及び露光動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】投影光学系の像面を計測中の撮像ユニット32を示す図である。
【図7】(A)はピッチの異なる3種類の位相マークを示す拡大断面図、(B)は図7(A)の位相マークの像を検出するための撮像ユニットの3組の周期パターンを示す拡大平面図、(C)は球面収差を計測中の投影光学系を示す図である。
【図8】第2の実施形態の露光装置の要部を示す一部を切り欠いた図である。
【図9】(A)は第2の実施形態のフォーカス位置の計測結果の一例を示す図、(B)は図9(A)の計測結果中の異常値を示す図である。
【図10】(A)は第3の実施形態の露光装置の要部を示す図、(B)は図10(A)のレチクルマーク板RFMを示す平面図、(C)は図10(A)の撮像ユニット32Aを示す平面図である。
【図11】図10(B)の一つの計測点の近傍の複数の評価用マークを示す拡大平面図である。
【図12】第3の実施形態の撮像ユニットの1組の検出用パターンを示す拡大平面図である。
【図13】(A)は図12の撮像ユニット上に投影される評価用マークの像を示す拡大平面図、(B)は像の位置ずれ量に対応する検出信号の一例を示す図、(C)は投影像のディストーションの一例を示す拡大平面図である。
【図14】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態につき図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るスキャニングステッパー(スキャナー)よりなる走査露光型の露光装置EXの概略構成を示す。図1において、露光装置EXは、露光光源(不図示)と、この露光光源から射出される露光用の照明光(露光光)ILによりレチクルR(マスク)を照明する照明光学系ILSとを備えている。さらに、露光装置EXは、レチクルRを保持して移動するレチクルステージRSTと、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)上に投射する投影光学系PLと、ウエハWの位置決め及び移動を行うウエハステージWSTと、装置全体の動作を統括制御するコンピュータよりなる主制御系2と、その他の駆動系等とを備えている。
【0013】
以下、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに垂直な面(ほぼ水平面)内の直交する2方向にX軸及びY軸を取り、X軸、Y軸、及びZ軸に平行な軸の回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。本実施形態では、走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向はY軸に平行な方向(Y方向)である。
【0014】
露光光源としてはArFエキシマレーザ(波長193nm)が使用されている。露光光源として、それ以外にKrFエキシマレーザ(波長248nm)などの紫外パルスレーザ光源、YAGレーザの高調波発生光源、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波発生装置、又は水銀ランプ等の放電ランプ等も使用することができる。
照明光学系ILSは、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、ロッドインテグレータ、回折光学素子など)等を含む照度均一化光学系、レチクルブラインド(可変視野絞り)、及びコンデンサ光学系等を含んでいる。また、通常照明、輪帯照明、又は4極(若しくは2極)照明等の照明条件に応じて、照明光学系ILS内の瞳面(照明瞳面)に不図示の設定機構によって対応する開口絞りを設置してもよい。
【0015】
照明光学系ILSは、露光時には、レチクルRのパターン面(下面)のパターン領域上のX方向(非走査方向)に細長い矩形の照明領域18Rを照明光ILによりほぼ均一な照度分布で照明する。
レチクルRはレチクルホルダ(不図示)を介してレチクルステージRST上に吸着保持されている。レチクルステージRSTはレチクルベース14のXY平面に平行な上面にエアベアリングを介して載置され、その上面でY方向に一定速度で移動するとともに、X方向、Y方向の位置及びθz方向の回転角の微調整を行う。レチクルステージRSTの少なくともX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む2次元的な位置情報は、一例としてX軸のレーザ干渉計16Xと、Y軸の2軸のレーザ干渉計16YA,16YBとを含むレチクル側干渉計によって計測され、この計測値がステージ駆動系4及び主制御系2に供給される。ステージ駆動系4は、その位置情報及び主制御系2からの制御情報に基づいて、不図示の駆動機構(リニアモータなど)を介してレチクルステージRSTの速度及び位置を制御する。
【0016】
レチクルステージRSTの上面にレチクルRに対してY方向に隣接するように、X方向に細長い矩形の平板状のレチクルマーク板RFMが固定され、レチクルマーク板RFMのパターン面(レチクルRのパターン面と同じ高さの面)に所定の評価用マーク(後述)が形成されている。レチクルステージRSTには、レチクルR及びレチクルマーク板RFMのパターン領域を囲むように照明光ILを通すための開口が形成され、レチクルベース14の照明領域18Rに対向する領域に照明光ILを通す開口が形成されている。
【0017】
照明光ILのもとで、レチクルRの照明領域18R内の回路パターンは、両側テレセントリック(又はウエハ側に片側テレセントリック)の投影光学系PLを介して所定の投影倍率(例えば1/4,1/5等の縮小倍率)で、ウエハW上の一つのショット領域SA上の露光領域18W(照明領域18Rと共役な領域)に投影される。ウエハWは、例えば直径が200mm、300mm等の円板状のシリコン等の基材上にフォトレジスト(感光剤)を塗布したものである。投影光学系PLは例えば屈折系であるが、反射屈折系等も使用できる。レチクルのパターン面は投影光学系PLの物体面に配置され、ウエハWの表面(露光面)は投影光学系PLの像面に配置される。
【0018】
また、露光装置EXは、投影光学系PLのディストーション、像面湾曲、及び球面収差等の光学特性を制御する特性制御機構を備えている。特性制御機構は、投影光学系PL中の複数のレンズL1,L2の周囲の3箇所に設置されたZ方向に伸縮可能なピエゾ素子等の駆動素子12A,12Bと、駆動素子12A,12Bの駆動量を制御する駆動系10と、主制御系2からの制御情報に応じて駆動系10を介してレンズL1,L2の位置及び傾斜角を制御する特性制御系8とを有する。なお、駆動対象のレンズの個数及び配置は、制御対象の結像特性に応じて設定される。
【0019】
一方、ウエハWはウエハホルダWHを介してウエハステージWSTに吸着保持されている。ウエハステージWSTは、XYステージ24と、この上に設置されウエハWを保持するウエハホルダWHが設けられたZチルトステージ22とを含んでいる。XYステージ24は、ウエハベース26のXY平面に平行な上面にエアベアリングを介して載置され、その上面をX方向、Y方向に移動し、必要に応じてθz方向の回転角が補正される。Zチルトステージ22は、例えばZ方向に変位可能な3箇所のZ駆動部を含むフォーカスレベリング機構(不図示)を有し、このフォーカスレベリング機構を駆動することで、Zチルトステージ22の上面(ウエハW)の光軸AX方向の位置(フォーカス位置又はZ位置)、及びθx方向、θy方向の傾斜角を制御可能である。
【0020】
また、Zチルトステージ22上のウエハホルダWHの近傍に、レチクルマーク板RFMの複数の評価用マークの投影光学系PLによる像の状態を計測するための撮像ユニット32が固定されている。撮像ユニット32の上部の検出用パターンが形成された面はウエハWの表面とほぼ同じ高さに設定され、その検出用のパターンは保護膜34で覆われている(詳細後述)。
【0021】
さらに投影光学系PLの側面に、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の、ウエハWの表面等の被検面の複数点でのフォーカス位置(Z位置)を計測する斜入射方式の多点のオートフォーカスセンサ(不図示)が設けられている。ステージ駆動系4は、そのオートフォーカスセンサの計測結果に基づいて、被検面が投影光学系PLの像面に対して所定の関係を維持するように、オートフォーカス方式でZチルトステージ22を駆動する。
【0022】
ウエハステージWST(Zチルトステージ22)の少なくともX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む2次元的な位置情報が、一例としてX軸の2軸のレーザ干渉計28XP,28XFと、Y軸の2軸のレーザ干渉計28YA,28YBとを含むウエハ側干渉計によって計測され、この計測値がステージ駆動系4及び主制御系2に供給される。ステージ駆動系4は、その位置情報及び主制御系2からの制御情報に基づいて、不図示の駆動機構(リニアモータなど)を介して、ウエハステージWSTのXYステージ24の2次元的な位置を制御する。
【0023】
また、投影光学系PLの側面において、ウエハW上のアライメントマークの位置を計測するための、オフアクシス方式で例えば画像処理方式のウエハアライメント系30が不図示のフレームに支持されている。また、Zチルトステージ22内に、レチクルRのアライメントマーク(不図示)等の像を検出する空間像計測系(不図示)が設置されている。空間像計測系及びウエハアライメント系30の検出結果はアライメント制御系(不図示)に供給され、その検出結果からレチクルR等及びウエハWのアライメントを行うことができる。
【0024】
露光時には、レチクルRの照明領域18R内のパターンの投影光学系PLによる像をウエハW上の一つのショット領域上に露光しつつ、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを駆動して、レチクルRとウエハWとをY方向に投影倍率を速度比として同期して移動することで、当該ショット領域にレチクルRのパターンの像が走査露光される。その後、ウエハステージWSTを駆動してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作と、その走査露光動作とを繰り返すことによって、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターン像が露光される。
【0025】
この露光に際して、例えば投影光学系PLに対する照明光ILの積算照射エネルギー及び周囲の気圧(大気圧)等によって投影光学系PLの光学特性が次第に変動するため、その変動量を相殺するように上記の特性制御系8及び駆動素子12A,12B等を含む特性制御機構が駆動される。また、光学特性としてのベストフォーカス位置が変動する場合には、その変動量に応じて例えばZチルトステージ22が駆動される。さらに、一例として、その特性制御機構を用いても残存している投影光学系PLの光学特性の変動量(残存収差)を計測するために、レチクルマーク板RFM及び撮像ユニット32を含む計測装置が使用される。即ち、投影光学系PLの光学特性を計測する場合には、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを駆動することによって、図2(A)に示すように、レチクルマーク板RFMのパターン領域が照明光ILの照明領域18Rに移動され、ウエハステージWSTの撮像ユニット32の上面が露光領域18Wに移動される。図2(B)及び図2(C)は図2(A)のレチクルマーク板RFM及び撮像ユニット32を示す平面図である。
【0026】
図2(B)に示すように、レチクルマーク板RFMの照明領域18R内のパターン領域には、X方向及びY方向に所定間隔で、かつX方向にI行でY方向にJ列に配列されたI×J個の計測点が設定され、そのうちの+X方向にi番目で+Y方向にj番目の計測点がP(i,j)である(1≦i≦I,1≦j≦J)。整数Iは例えば10〜20程度、整数Jは例えば5〜10程度であり、図2(B)の例では、I=13,J=7である。また、各計測点P(i,j)に中心が来るようにそれぞれ評価用マークとしての位相マーク20が形成されている。さらに、そのパターン領域のX方向の両端部にアライメントマークFM1,FM2が形成されている。なお、図2(A)等では、説明の便宜上、計測点P(i,j)は光軸AX上に配置されているが、その位置は任意である。
【0027】
位相マーク20は、図3(A)の拡大平面図及びその図3(B)の断面図で示すように、Y方向に細長い矩形の複数の凹部20aをX方向(計測方向)にピッチ(周期)P1で形成したものである。凹部20aのX方向の幅と、これらの間の凸部20bのX方向の幅とはほぼ等しい。投影光学系PLの投影倍率をβとして、投影像の段階でのピッチP1の値(=β・P1)は、例えば数μm〜数10μmである。また、位相マーク20に照射される光(照明光IL)の波長をλとしたとき、正又は負の奇数nを用いて、凹部20aを通過する光の位相と、凸部20bを通過する光の位相との位相差φは、ほぼ次のように設定されている。この場合、位相差φはほぼ90°又は270°(−90°)である。
【0028】
φ=nλ/4 …(1)
なお、本実施形態では、凹部20aを通過する光に対する凸部20bを通過する光の位相差φは、ほぼ90°(n=…,−7,−3,1,5,…)に設定されている。なお、凹部20aを通過する光に対する凸部20bを通過する光の位相差φは、ほぼ270°(n=…,−5,−1,3,7,…)に設定されていてもよい。
【0029】
この場合、図3(B)の位相マーク20が投影光学系PLの物体面上に配置されているものとして、位相マーク20の投影光学系PLの像のX方向の光強度分布は、図3(C)のIA1,IA2,IA3のようになる。図3(C)において、光強度分布IA1は、位相マーク20の像を計測する計測面(後述の検出用パターンが配置される面)が投影光学系PLのベストフォーカス位置にあるときの分布であり、光強度分布IA1は位相マーク20の凹部20a及び凸部20bの像の中心で同じ値のピークとなる。従って、光強度分布IA1はX方向にピッチβ・P1/2の正弦波状である。
【0030】
また、光強度分布IA2は、計測面が投影光学系PLのベストフォーカス位置に対して+Z方向(上方)にずれたときの分布であり、光強度分布IA2は位相マーク20の凸部20bの像の中心のピークが小さくなる。さらに、光強度分布IA3は、計測面が投影光学系PLのベストフォーカス位置に対して−Z方向にずれたときの分布であり、光強度分布IA3は、位相マーク20の凹部20aの像の中心のピークが小さくなる。さらに、計測面のデフォーカス量が大きくなるほど、凹部20aの像のピークと凸部20bの像のピークとの差は大きくなる。撮像ユニット32は、そのようなデフォーカスの状態による光強度分布IA1〜IA3の変化に基づいて受光面のデフォーカス量を計測する。
【0031】
図2(A)において、撮像ユニット32は、CCD又はCMOSよりなる2次元の撮像素子38と、撮像素子38の多数の画素がX方向及びY方向に格子状に配置された検出面38aに設置され、多数の可視光を透過する光ファイバーを束ねて形成されたファイバーオプティックプレート(以下、FOPという。)37と、FOP37の入射面(上面)に形成された波長選択膜36と、波長選択膜36上に形成された蛍光膜35と、蛍光膜35の上面(計測面)に形成された検出用パターンとしての複数の周期パターン39と、これらの周期パターン39を覆うように蛍光膜35上に形成された保護膜34とを備えている。
【0032】
投影光学系PLを通過した照明光ILは、保護膜34及び周期パターン39を介して蛍光膜35に入射する。蛍光膜35は、紫外光である照明光ILの照射によって高い変換効率で蛍光としての可視域の検出光DLを発生し、検出光DL及び変換されなかった紫外光は波長選択膜36に入射する。波長選択膜36は検出光DLをFOP37側に透過し、変換されなかった紫外光(照明光IL)を反射する。検出光DLは、FOP37によって入射面における光強度分布を維持した状態で撮像素子38の多数の画素が配置された検出面38aに導かれ、撮像素子38の検出信号は図1の演算装置6に供給される。演算装置6は、その検出信号を処理して投影光学系PLの所定の結像特性を求める。保護膜34は、空気や水蒸気から下層の膜を保護する。なお、撮像ユニット32を液浸露光を行う露光装置に用いる場合には、保護膜34は耐水性又は撥水性であることが好ましい。
【0033】
撮像ユニット32の上面の形状、ひいてはFOP37の断面形状、及び撮像素子38の検出面38aの形状は、図2(C)に示すように、露光領域18WよりもX方向及びY方向の幅が広く設定されている。露光領域18WのX方向の幅は例えば26mm程度、Y方向の幅(スリット幅)は例えば8mm程度であり、撮像素子38の検出面38aは例えばX方向の幅が30mm程度、Y方向の幅が10mm程度でもよい。FOP37は、多数の可視光を透過する外径が3〜6μm程度の光ファイバーを入射面と射出面とが同じ配列になるように束ね、入射面及び射出面を研磨したものである。FOP37の高さは例えば数mm〜20mm程度である。FOP37としては、浜松ホトニクス(株)又はショット社等の製品を使用可能である。撮像素子38としては、画素サイズが10μm程度又はそれより大きい撮像素子を使用可能である。蛍光膜35及び波長選択膜36を合わせた厚さは、横方向の分解能を高く維持するために、FOP37を構成する1つの光ファイバーの直径程度又はこれより薄いことが好ましい。
【0034】
また、保護膜34は、例えば二酸化ケイ素の薄膜である。蛍光膜35は、例えばフッ化物(例えばフッ化ランタン(LaF3))の母材に対して遷移金属及び希土類元素から選択される賦活剤(例えばユーロピウム(Eu))をドープした材料で形成される。なお、賦活剤の濃度は、フッ化物の母材に対して例えば陽イオン比で1モル%〜10モル%の範囲で設定され、好ましくは約5モル%である。波長選択膜36は、例えば可視光を透過して紫外光を反射する誘電体多層膜ミラーで構成されている。
【0035】
撮像ユニット32の蛍光膜35の上面に形成された多数の周期パターン39の中心は、図2(C)に示すように、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)の配列を投影光学系PLの投影倍率βで縮小した配列で設定されている計測点Q(i,j)(i=1〜I,j=1〜J)に配置されている。なお、本実施形態の投影光学系PLは倒立像を形成するものとしているため、計測点Q(i,j)の配列は計測点P(i,j)の配列を配列中心に関して反転したものである。投影光学系PLの光学特性の計測時には、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)と投影光学系PLに関して共役な位置に撮像ユニット32の計測点Q(i,j)が配置される。
【0036】
図2(C)の計測点Q(i,j)にある周期パターン39は、図4(A)の拡大図で示すように、遮光膜中にY方向に細長い幅β・P1/2の複数の開口パターン39AaをX方向にピッチβ・P1で形成した第1周期パターン39Aと、遮光膜中に開口パターン39Aaの間に位置するように、開口パターン39Aaに対して位相をずらして配置され、開口パターン39Aaと同じ大きさの複数の開口パターン39BaをX方向に周期β・P1で形成した第2周期パターン39Bとを、Y方向に近接して形成したものである。周期パターン39のY方向の長さは、位相マーク20の像20PのY方向の長さよりも或る程度長く設定されている。投影光学系PLの光学特性の計測時には、計測点P(i,j)の位相マーク20の像20Pの−Y方向及び+Y方向のほぼ1/2の部分が、それぞれ周期パターン39A及び39B上に重ねて形成される。さらに、位相マーク20の像20Pのうちの凹部20aの像20aPが周期パターン39Aの開口パターン39Aa内に形成され、凸部20bの像20bPが周期パターン39Bの開口パターン39Ba内に形成される。
【0037】
また、図2(A)の撮像素子38のうちで、計測点Q(i,j)上の第1周期パターン39Aを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Aijと呼び、第2周期パターン39Bを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Bijと呼ぶ。図1の演算装置6内で図4(A)の画素群38Aij,38Bijの検出信号を処理する部分を演算ユニット6Aijとすると、演算ユニット6Aijは、画素群38Aijからの検出信号の和と、画素群38Bijからの検出信号の和との差分を各計測点Q(i,j)に関するフォーカス信号SFij(i=1〜I,j=1〜J)として出力する。
【0038】
図3(C)を参照して説明したように、周期パターン39A,39Bの形成面(計測面)が投影光学系PLのベストフォーカス位置にあるときには、開口パターン39Aa,39Ba内の光量が同じであり、フォーカス信号SFijは0になる。一方、計測面がベストフォーカス位置より上方にずれると、開口パターン39Ba内の光量が減少し、計測面がベストフォーカス位置より下方にずれると、開口パターン39Aa内の光量が減少する。従って、フォーカス信号SFijは、図4(B)に示すように、特に計測面のベストフォーカス位置からのデフォーカス量ΔZijが小さい範囲では、デフォーカス量ΔZijにほぼ比例して変化する。図2(C)の全部の計測点Q(i,j)において、それぞれフォーカス信号SFijが検出される。そこで、演算装置6内のフォーカス演算部は、全部の演算ユニット6Aijから出力されるフォーカス信号SFijからそれぞれデフォーカス量ΔZijを求める。この場合の計測面をデフォーカス量ΔZijだけ補正した位置が対応する計測点Q(i,j)におけるベストフォーカス位置となる。
【0039】
次に、本実施形態の露光装置EXにおける投影光学系PLの光学特性の計測動作及び露光動作の一例につき図5のフローチャートを参照して説明する。この動作は主制御系2の制御のもとで、露光工程中に例えば定期的に実行される。先ず、図5のステップ102において、レチクルステージRSTを駆動して、図2(A)に示すように、レチクルマーク板RFMの各計測点P(i,j)の位相マーク20が照明領域18Rに移動される。この際にアライメントマークFM1,FM2をウエハステージWSTの空間像計測系(不図示)で検出することで、レチクルマーク板RFMのアライメントが行われる。次のステップ104において、ウエハステージWSTを駆動して、露光領域18W内の各計測点P(i,j)の位相マーク20の像の位置に撮像ユニット32の対応する計測点Q(i,j)の周期パターン39A及び39Bを移動する。この際に、それまでの光軸AX上での投影光学系PLのベストフォーカス位置のZ座標を0とすると、撮像ユニット32の蛍光膜35の上面(周期パターン39A,39Bが形成された計測面)は、一例として、座標系(X,Y,Z)上でZ=0の位置にあるXY平面に平行に設定される。
【0040】
次のステップ106において、各計測点Q(i,j)において、それぞれ周期パターン39A及び39Bを通過した照明光ILによって蛍光膜35で生成される検出光DL(蛍光)をFOP37を介して撮像素子38に導く。次のステップ108において、撮像素子38の複数の画素群の検出信号を演算ユニット6Aijに入力し、周期パターン39A及び39Bを通過する光量の差分に対応するフォーカス信号SFijを検出する。次のステップ110において、演算装置6内のフォーカス演算部は、各計測点Q(i,j)におけるフォーカス信号SFijからそれぞれデフォーカス量ΔZij(ひいてはベストフォーカス位置)を求める。さらに、フォーカス演算部は、各計測点Q(i,j)のデフォーカス量ΔZijを用いて、最小自乗法によって、レチクルマーク板RFMの各位相マーク20の像のベストフォーカス位置を結ぶ曲面(実際の像面)の座標系(X,Y,Z)上での一次近似平面IPA(図4(C)参照)のZ軸のオフセットZof、θy方向のチルト角Tx(rad)、及びθx方向のチルト角Ty(rad)を算出して記憶する。これらのパラメータを用いてその一次近似平面は次のように表される。
【0041】
Z=Zof−Tx・X−Ty・Y …(2)
次のステップ112で、レチクルステージRST上にレチクルRがロードされ、このアライメントが行われる。次のステップ114でウエハステージWST上に未露光のウエハ(ウエハWとする)がロードされ、このアライメントが行われる。次のステップ116で、露光装置EXにおいて、ウエハWの各ショット領域SAにレチクルRのパターンの像が走査露光される。この際に、ウエハWの表面の露光領域18W内の領域が、式(2)で規定される近似像面に接するように、Zチルトステージ22内のフォーカスレベリング機構が駆動される。これによって、レチクルRのパターンの像が高解像度でウエハWの各ショット領域に露光される。
【0042】
なお、式(2)に従ってフォーカスレベリング機構を駆動する際に、図1のレーザ干渉計28YA,28YBの計測値が変わらないようにチルト角Tyを補正すると、Zチルトステージ22の計測ビームの照射点と露光領域18Wの中心とのY方向の間隔LYを用いて、Ty・LYだけ露光領域18WのZ位置が変化する。この場合には、そのZ位置の変化を相殺するようにウエハWのZ位置を補正すればよい。これはチルト角Txに関しても同様である。次のステップ118でウエハWがアンロードされ、次のステップ120において露光対象のウエハがなくなるまで、ステップ114〜118の露光が繰り返される。
【0043】
本実施形態の作用効果等は以下の通りである。
(1)本実施形態の露光装置EXの計測装置は、物体面(第1面)のパターンの像を像面(第2面)上に形成する投影光学系PLの光学特性を計測する計測装置において、物体面の複数の計測点P(i,j)に配置される複数の位相マーク20(第1パターン)が形成されたレチクルマーク板RFM(第1パターン形成部材)と、像面の計測点P(i,j)に対応する複数の計測点Q(i,j)に配置される複数の周期パターン39A,39B(第2パターン)が形成された蛍光膜35(第2パターン形成部材)と、位相マーク20、投影光学系PL、及び周期パターン39A,39Bを通過した照明光ILによって生成される検出光DLを検出面に導くFOP37(導光部材)と、その検出面に配置される複数の画素を有し検出光DLを検出する撮像素子38と、撮像素子38の検出信号を処理して各計測点Q(i,j)におけるデフォーカス量(フォーカス位置情報)等を求める演算装置6とを備えている。
【0044】
また、その計測装置を用いた計測方法は、ステップ102〜110の工程によって投影光学系PLのデフォーカス量等を求めている。
本実施形態よれば、複数の計測点にある位相マーク20の投影光学系PLによる像が、対応する計測点にある周期パターン39A,39B及びFOP37を介して撮像素子38で一括して検出される。このようにFOP37を介することによって、入射角の大きい外乱光及び離れた位置にある像からの光等を排除して、周期パターン39A,39Bを通過した光を高いSN比で検出できる。さらに、周期パターン39A,39Bの形成面(計測面)と撮像素子38の検出面38aとを離すことができるため、撮像素子38の発熱の影響が軽減されている。従って、計測用の光学系を大型化することなく、撮像ユニット32を小型な装置として構成できるとともに、投影光学系PLの露光領域18Wの全面の光学特性を一括して効率的にかつ高精度に計測できる。
【0045】
なお、所定のパターンが計測点P(i,j)に配置される場合とは、所定のパターンの中心がほぼ計測点P(i,j)にある場合の他に、その所定のパターンの中心が計測点P(i,j)から離れていても、その所定のパターンの像の位置で計測される光学特性がその計測点P(i,j)の像の位置で計測される光学特性と実質的に同じであるとみなすことができる場合も含まれる。
【0046】
(2)また、周期パターン39は蛍光膜35上に形成され、蛍光膜35で発生する可視域の蛍光が波長選択膜36を介してFOP37に入射しているため、照明光ILが紫外光であっても、可視光を伝送するFOP37を用いて投影光学系PLの光学特性を計測できる。なお、FOP37が紫外光を高効率に伝送できる場合には、蛍光膜35及び波長選択膜36を省略できる。
【0047】
(3)また、本実施形態の露光装置EX又は露光方法は、投影光学系PLを介してウエハWにパターンを露光する露光装置又は露光方法において、本実施形態の計測装置又は計測方法を用いて投影光学系PLの光学特性を計測している。
この場合、計測装置を構成する小型の撮像ユニット32はウエハステージWSTに容易に組み込むことができるため、オンボディで露光領域18W内の全部の計測点における光学特性を一括して高精度に計測できる。従って、その計測結果に応じて、ウエハWのZ位置及び傾斜角等を制御することで、レチクルRのパターンの像をウエハW上に高精度に露光できる。
【0048】
なお、撮像ユニット32は、ウエハステージWSTとは独立にウエハベース26の上面を移動する計測ステージ(不図示)等に固定してもよい。
また、レチクルマーク板RFMの代わりに、位相マーク20(評価用マーク)が形成されたテストレチクルを使用してもよい。この場合、投影光学系PLの光学特性の計測時には、レチクルステージRST上にレチクルRの代わりにテストレチクルが載置される。
【0049】
なお、上記の実施形態では、投影光学系PLの像面を近似する一次近似平面IPA(図4(C)参照)を求めている。しかしながら、図6に示すように、撮像ユニット32を用いて、投影光学系PLの露光領域側の複数の計測点Q(i,j)におけるベストフォーカス位置を求め、これらのベストフォーカス位置から最小自乗法によって近似球面からなる像面IPを求めてもよい。この場合、像面IPの像面湾曲を補正するように、図1の特性制御機構を用いて投影光学系PLのレンズL1,L2等を駆動することによって、像面湾曲を高精度に補正できる。
【0050】
次に、図7(A)に拡大して示すように、レチクルマーク板RFMの各計測点P(i,j)の近傍にそれぞれX方向に異なるピッチP1,P2,P3(P2<P1<P3)の位相マーク20,20A,20Bを形成しておいてもよい。この場合、撮像ユニット32の蛍光膜35の上面の対応する計測点Q(i,j)の近傍には、図7(B)に示すように、位相マーク20の像を検出する2つの周期パターン39A,39B、位相マーク20Aの像を検出するX方向のピッチβ・P2の2つの周期パターン39C,39D、及び位相マーク20Bの像を検出するX方向のピッチβ・P3の2つの周期パターン39E,39Fを形成しておく。そして、周期パターン39C,39Dの下方の撮像素子38の画素群の検出信号の和の差分から、位相マーク20Aの像のデフォーカス量を計測し、周期パターン39E,39Fの下方の撮像素子38の画素群の検出信号の和の差分から、位相マーク20Bの像のデフォーカス量を計測する。
【0051】
図7(C)に示すように、位相マーク20,20A,20Bを照明光ILで照明すると、位相マーク20,20A,20Bから射出される照明光IL1,IL2,IL3の開き角は、照明光IL3,IL1,IL2の順に大きくなる。従って、照明光IL1〜IL3毎に求められるデフォーカス量の変動幅であるΔZSから投影光学系PLの球面収差を求めることができる。この球面収差も図1の特性制御機構を用いて投影光学系PLの所定のレンズを駆動することによって補正できる。
【0052】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態につき図8及び図9を参照して説明する。本実施形態は、液浸法で露光を行う露光装置に本発明を適用したものであり、図8において図1及び図2(A)に対応する部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図8は、本実施形態の露光装置の投影光学系PLの光学特性を計測している状態を示す。図8において、投影光学系PLの物体面にレチクルマーク板RFMのパターン面が配置され、投影光学系PLの像面側にZチルトステージ22(ウエハステージWST)に設けられた撮像ユニット32の周期パターン39の形成面(計測面)が配置されている。また、投影光学系PLの下端部と撮像ユニット32の上面(保護膜34)との間の枠状のノズルヘッド43で囲まれた液浸空間に、露光時と同様に、液体供給装置41Aから配管42A及び供給口43aを介して照明光ILを透過する純水等の液体Lqが供給されている。その液浸空間の液体Lqは、フィルタ部材45、排出口43b、及び配管42Bを介して液体回収装置41Bに回収される。液体供給装置41Aから供給される液体Lqの温度及び流量は制御部46によって制御される。液体供給装置41A等を含む局所液浸機構としては、例えば米国特許出願公開第2007/242247号明細書、又は欧州特許出願公開第1420298号明細書等に開示されている機構を使用できる。
【0053】
また、ノズルヘッド43の内側に液体Lqの温度を計測する温度センサ44が固定され、温度センサ44の計測値が演算装置6及び制御部46に供給されている。
本実施形態において、投影光学系PLの光学特性を計測する場合には、一例として、液体Lqの温度をT1に設定し、演算装置6では、撮像ユニット32の撮像素子38の検出信号を処理して、計測点Q(i,j)毎のデフォーカス量を求め、これらのデフォーカス量から最小自乗法によって式(2)の一次近似平面IPA(図4(C)参照)のオフセットZof、及びチルト角Tx,Tyを求める。次に、液体Lqの温度を次第にΔTだけ異なる値T2,T3,…に設定し、それぞれ同様に像面の一次近似平面IPAのオフセットZof、及びチルト角Tx,Tyを求める。
【0054】
その後、演算装置6内のフォーカス演算部では、液体Lqの温度Timの関数として、以下のように一次近似平面IPAのオフセットZof及びチルト角Tx,Tyを計算するための係数Az,Atx,Aty及びBz,Btx,Btyの値を決定する。
Zof=Az・Tim+Bz …(3A)
Tx=Atx・Tim+Btx …(3B)
Ty=Aty・Tim+Bty …(3C)
その後、液浸法を用いてウエハを露光するときには、演算装置6は温度センサ44で計測される液体の温度Timを取り込む。そして、図5のステップ116の像面を近似する平面としては、式(3A)〜(3C)から計算されるオフセットZof及びチルト角Tx,Tyで定まる平面を用いる。これによって、液体Lqの温度が変動していても、投影光学系PLの像面に対するウエハの表面の合焦精度を向上できる。
【0055】
なお、例えば液体Lqの温度を変えながら投影光学系PLの像面湾曲等を計測し、像面湾曲等が最も小さくなるように液体Lqの温度Timを設定するようにしてもよい。
また、図8の投影光学系PLと撮像ユニット32と間の液体Lq中に微細な泡又はレジスト残滓等の異物が混入していると、それに対応する計測点Q(i,j)における光学特性(ここではデフォーカス量ΔZij)の値が平均値から大きく外れる異常値になるため、その異常値を除外することが好ましい。そのためには、計測値が異常値となる計測点Q(i,j)である特異点を次のように判別してもよい。
【0056】
(1)動的な特異点の判別。動的な特異点とは、或る計測点Q(i,j)の計測値が或る回の計測時にのみ異常値になる場合である。例えば或る計測点Q(i,j)におけるデフォーカス量の計測値が計測を繰り返すうちに図9(A)のように変化するものとする。図9(A)の横軸はn回目の計測であることを示し(n=1,2,…)、縦軸は計測されたデフォーカス量から例えば光軸上のそれまでのベストフォーカス位置を減算して補正したフォーカス位置Zij(nm)である。この場合、図9(B)は、図9(A)のn回までの計測値の平均値Avをフォーカス位置Zijから差し引いて得られるフォーカス位置Zijを示す。図9(B)において、フォーカス位置Zijに所定の閾値Vthを設け、フォーカス位置Zijの値がVth/2以上又は−Vth/2以下であるときに、その計測値を異常値EVとみなす。このように異常値EVとみなされた計測点Q(i,j)の計測値は、例えば式(2)の近似平面を計算するデータからは除外してもよい。これによって、異常値の影響を抑制できる。
【0057】
(2)静的な特異点の判別。静的な特異点とは、全部の計測点Q(i,j)のうちで或る計測点の計測値のみが異常値になる場合である。例えば全部の計測点Q(i,j)のデフォーカス量から図4(C)に示す一次近似平面IPAを求めた場合、各計測点Q(i,j)のデフォーカス量ΔZijと一次近似平面IPAとの距離を計算し、この距離が所定の閾値以上となった計測点を静的な特異点とみなす。この場合、特異点とみなされた計測点の計測値を除外して、一次近似平面IPAを求めてもよい。これによって、異常値の影響を抑制できる。
【0058】
なお、そのように特異点が検出された場合には、液体Lq中に異物が混入されているものと判定し、例えば液体Lqを入れ替えてから再度撮像ユニット32を用いて計測を行うようにしてもよい。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態につき図10〜図13を参照して説明する。本実施形態は、投影光学系PLのディストーションを計測する場合に本発明を適用したものであり、図10(A)〜図13(C)において、図2(A)〜図4(C)に対応する部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
図10(A)は、本実施形態の露光装置の投影光学系PLの光学特性を計測している状態を示す。図10(A)において、投影光学系PLの物体面にレチクルマーク板RFMのパターン面が配置され、投影光学系PLの像面側に撮像ユニット32Aの蛍光膜35が配置され、蛍光膜35上に複数の検出用パターンが形成されている。本実施形態の撮像ユニット32Aは、図2(A)の撮像ユニット32に対して検出用パターンのみが異なっている。
【0060】
図10(B)に示すように、レチクルマーク板RFMの照明領域18R内の各計測点P(i,j)には位相マーク20が形成されるとともに、計測点P(i,j)の近傍に、かつ位相マーク20に近接して第1及び第2のスリットマーク51,52が形成されている。図11に示すように、第1のスリットマーク51は、遮光膜中にX方向に細長い2本のスリット51A,51BをY方向(計測方向)に所定間隔で形成したものである。第2のスリットマーク52は、遮光膜中にY方向に細長い2本のスリット52A,52BをX方向(計測方向)に所定間隔で形成したものである。
【0061】
また、図10(C)に示すように、撮像ユニット32Aの蛍光膜35上の露光領域18W内の各計測点Q(i,j)には周期パターン39が形成され、計測点Q(i,j)の近傍に、図10(B)のスリットマーク51,52と光学的に共役な位置に計測方向に非対称な第1及び第2の楔型パターン53,54が形成されている。なお、以下では位相マーク20及び周期パターン39の説明は省略する。
【0062】
図10(C)の計測点Q(i,j)を含む領域を拡大した図12に示すように、第1の楔型パターン53は、遮光膜中に底辺が長い三角形の開口パターン53Aaが形成された第1パターン53Aと、遮光膜中に開口パターン53Aaと対称な形状の開口パターン53Baが形成された第2パターン53BとをY方向に並べて配置したものである。パターン53A,53BのX方向の長さは、図11のスリット51A,51Bの像51AP,51BPの長さとほぼ同じであり、開口パターン53Aa,53BaのY方向の幅の中央のY方向の間隔は、像51AP,51BPの中心のY方向の間隔と同じである。さらに、開口パターン53Aa,53BaのY方向の幅は、投影光学系PLのディストーションによって像51AP,51BPの位置がY方向に変動しても、像51AP,51BPの一部が開口パターン53Aa,53Ba内に収まるように設定されている。例えば、像51AP,51BPのY方向の幅は数μm〜20μm程度で、開口パターン53Aa,53BaのY方向の高さは像51AP,51BPの幅の2倍から数倍程度である。
【0063】
同様に、第2の楔型パターン54は、第1の楔型パターン53を90°回転した形状であり、第2の楔型パターン54は、開口パターン54Aaが形成された第1パターン54Aと開口パターン54Baが形成された第2パターン54BとをX方向に並べて配置したものである。投影光学系PLのディストーションによって図11のスリット52A,52Bの像52AP,52BPの位置がX方向に変動しても、像52AP,52BPの少なくとも一部は開口パターン54Aa,54Ba内に収まる。なお、図11の位相マーク20及び図12の周期パターン39の構成及び動作は第1の実施形態と同様である。
【0064】
また、図10(A)の撮像素子38のうちで、図12の第1の楔型パターン53のパターン53A,53Bを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Gij,38Hijと呼び、第2の楔型パターン54のパターン54A,54Bを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Iij及び38Jijと呼ぶ。さらに、図1の演算装置6と同様の演算装置内で図12(A)の画素群38Gij,38Hijの検出信号を処理する部分を演算ユニット6Dijとして、画素群38Iij,38Jijの検出信号を処理する部分を演算ユニット6Eijとする。演算ユニット6Dij(6Eij)は、画素群38Hij(38Iij)からの検出信号の和と、画素群38Gij(38Jij)からの検出信号の和との差分を各計測点Q(i,j)に関するディストーション信号SYij(SXij)(i=1〜I,j=1〜J)として出力する。
【0065】
図13(A)は、投影光学系PLのディストーションがない場合に、図12の計測点Q(i,j)の近傍の楔型パターン53及び54上に形成される図11のスリットマーク51及び52の像51P及び52Pを示す。図13(A)において、楔型パターン53の開口パターン53Aa,53Baを通過する光量は同じであるため、図12のディストーション信号SYijは0である。また、投影光学系PLのディストーションによる像51PのY方向へのシフト量DYが正である場合には、開口パターン53Ba内の像51BPの光量が増加し、開口パターン53Aa内の像51APの光量が減少し、ディストーション信号SYijは増加する。これに対して、シフト量DYが負である場合には、ディストーション信号SYijは減少するため、ディストーション信号SYijは、図13(B)に示すように、シフト量DYに関してほぼ比例して変化する。
【0066】
同様に、楔型パターン54上の像52PのX方向へのシフト量DXに対して図12のディストーション信号SXijは、図13(B)に示すようにほぼ比例して変化する。そこで、演算装置内のディストーション演算部は、ディストーション信号SXij及びSYijからスリットマーク52の像52PのX方向へのシフト量DX及びスリットマーク51の像51PのY方向へのシフト量DYを求める。
【0067】
図13(C)は、撮像ユニット32Aの各計測点Q(i,j)の近傍におけるスリットマーク51,52の像51P,52Pのシフト量DX,DYを誇張して示したものである。このように各計測点Q(i,j)の近傍における像のシフト量DX,DYの分布から投影光学系PLの任意の特性のディストーションを求めることができる。
なお、この実施形態では、レチクルマーク板RFM側にスリットマーク51,52を形成し、撮像ユニット32A側に楔型パターン53,54を形成している。しかしながら、投影光学系PLのディストーションを計測するためには、レチクルマーク板RFM側に楔型パターン53,54と同様のマークを形成し、撮像ユニット32A側にスリットマーク51,52と同様のパターンを形成しておいてもよい。
【0068】
なお、この実施形態では、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)上の位相マーク20及び撮像ユニット32Aの周期パターン39を用いて投影光学系PLのフォーカス位置情報を計測することができる。なお、この実施形態では、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)上の位相マーク20を省略し、計測点Q(i,j)上の周期パターン39を省略してもよい。さらに、この実施形態においても、スリットマーク51,52をテストレチクルに形成してもよい。
【0069】
また、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図14に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたレチクル(マスク)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップ223、前述した実施形態の露光装置又は露光方法によりレチクルのパターンを基板(感光基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0070】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いて基板(ウエハ)上に感光層のパターンを形成することと、そのパターンが形成された基板を処理すること(ステップ224)とを含んでいる。この際に、上記の実施形態の露光装置又は露光方法によれば、投影光学系PLの光学特性を効率的に高精度に計測できるため、例えばその計測結果に応じて光学特性を補正することによって、レチクルのパターンの像を基板上に高精度に露光できるため、高精度に電子デバイスを製造できる。
【0071】
なお、上記の実施形態の撮像ユニット32等は蛍光膜35を備えているため、撮像ユニット32等は、露光光として波長100nm程度以下の極端紫外光(Extreme Ultraviolet Light:EUV光)を用いるEUV露光装置の投影光学系PL(反射系)の光学特性を計測する場合にも適用可能である。
また、本発明は、走査型露光装置のみならず、ステッパーのような一括露光型の露光装置の投影光学系の光学特性を計測する場合にも適用可能である。
【0072】
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、MEMS(Microelectromechanical Systems)、若しくはDNAチップ等の各種デバイス、又はマスク(レチクル等)自体を製造するための露光装置にも広く適用できる。
【0073】
また、本発明は露光装置以外の装置で使用される投影光学系の光学特性を計測する場合も適用可能である。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0074】
EX…露光装置、R…レチクル、RFM…レチクルマーク板、RST…レチクルステージ、PL…投影光学系、W…ウエハ、WST…ウエハステージ、P(i,j)…計測点、2…主制御系、6…演算装置、6Aij…演算ユニット、8…特性制御系、20…位相マーク、32,32A…撮像ユニット、35…蛍光膜、36…波長選択膜、37…FOP(ファイバーオプティックプレート)、38…2次元の撮像素子、39…周期パターン、51,52…スリットマーク、53,54…楔型パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影光学系の光学特性を計測する計測技術、この計測技術を用いる露光技術、及びこの露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するためのリソグラフィ工程で使用される露光装置においては、レチクル等に形成されたパターンを投影光学系を介してウエハ等の基板に高精度に転写するために、投影光学系の光学特性(例えば、ディストーション、像面湾曲、又は波面収差等)を所定の状態に維持する必要がある。そのためには、露光中に例えば定期的に投影光学系の光学特性を高精度に計測する必要がある。
【0003】
従来の計測技術として、投影光学系を介して形成される位相パターンの像を2つの周期パターンを介してそれぞれ光電センサで検出し、これらの光電センサの検出信号の差分からその位相パターンの像のフォーカス位置(デフォーカス量)を検出する計測装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、従来の別の計測技術として、投影光学系を介して形成される2つの線状パターンの像を2つの楔状の開口パターンを介してそれぞれ光電センサで検出し、これらの光電センサの検出信号の差分からその線状パターンの像の横ずれ量(ひいてはディストーション)を検出する計測装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/001834号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2009/001835号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
投影光学系の光学特性を効率的に計測するためには、投影光学系の像面内における露光領域の全面を覆うような広い領域で複数の計測用パターンの像の状態を一括して計測することが好ましい。しかしながら、従来のように検出光を周期パターン又は開口パターン等の検出用パターンを介して直接複数の光電センサで受光する装置において、受光面積を広くすると、外乱光又は検出対象の像とは異なる像からの光が各光電センサに入射して、計測精度が像面上の検出位置によって異なる恐れがある。
【0006】
さらに、光電センサは熱源となるため、検出用パターンの熱変形等を抑制するためには、光電センサは像面からできるだけ離して配置することが好ましい。しかしながら、そのために複数の検出用パターンと複数の光電センサとの間にリレーレンズを配置するものとすると、計測装置が大型化する。
本発明はこのような事情に鑑み、計測用の光学系を大型化することなく、投影光学系の光学特性を効率的にかつ高精度に計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による計測装置は、第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測装置において、その第1面の複数の計測点に配置される複数の第1パターンが形成された第1パターン形成部材と、その第2面のその複数の計測点に対応する位置に配置される複数の第2パターンが形成された第2パターン形成部材と、複数の光ファイバーを束ねて形成され、その複数の第1パターン、その投影光学系、及びその複数の第2パターンを通過した照明光によって生成される検出光を検出面に導く導光部材と、その検出面に配置される受光面を有し、その導光部材によって導かれるその検出光を検出する複数の画素を含む光電検出器と、その光電検出器の検出結果を処理してその光学特性を求める処理装置と、を備えるものである。
【0008】
また、本発明による計測方法は、第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測方法において、その第1面の複数の計測点のそれぞれに第1パターンを配置し、その第2面のその複数の計測点に対応する位置に第2パターンを配置し、複数のその第1パターンを照明光で照明し、その第1パターン、その投影光学系、及びその第2パターンを通過したその照明光によって生成される検出光を、複数の光ファイバーを束ねて形成される導光部材を介して検出面に導き、その導光部材によってその検出面に導かれるその検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出し、その光電検出器の検出結果を処理してその光学特性を求めるものである。
【0009】
また、本発明による露光装置又は露光方法は、投影光学系を介して物体上にパターンを露光する露光装置又は露光方法において、その投影光学系の光学特性を計測するために本発明の計測装置又は計測方法を用いるものである。
また、本発明によるデバイス製造方法は、本発明の露光装置又は露光方法を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、そのパターンが形成された基板を処理することと、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明よれば、複数の計測点にある第1パターンの投影光学系による像が、対応する位置にある第2パターン及び導光部材を介して光電検出器で一括して検出される。このように導光部材を介することによって、入射角の大きい外乱光等を排除して、第2パターンの形成面と光電検出器の受光面とを離すことができる。従って、計測用の光学系を大型化することなく、投影光学系の光学特性を効率的にかつ高精度に計測する
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の露光装置を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1の投影光学系の光学特性を計測中の撮像ユニット32を示す図、(B)は図2(A)のレチクルマーク板RFMを示す平面図、(C)は図2(A)の撮像ユニット32を示す平面図である。
【図3】(A)は図2(B)の一つの位相マーク20を示す拡大平面図、(B)は位相マーク20を示す拡大断面図、(C)は位相マーク20の像の光強度分布の例を示す図である。
【図4】(A)は図2(C)の撮像ユニット32の1組の周期パターン等を示す拡大平面図、(B)はフォーカス信号の一例を示す図、(C)は投影光学系PLの像面の計測結果の一例を示す図である。
【図5】光学特性の計測動作及び露光動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】投影光学系の像面を計測中の撮像ユニット32を示す図である。
【図7】(A)はピッチの異なる3種類の位相マークを示す拡大断面図、(B)は図7(A)の位相マークの像を検出するための撮像ユニットの3組の周期パターンを示す拡大平面図、(C)は球面収差を計測中の投影光学系を示す図である。
【図8】第2の実施形態の露光装置の要部を示す一部を切り欠いた図である。
【図9】(A)は第2の実施形態のフォーカス位置の計測結果の一例を示す図、(B)は図9(A)の計測結果中の異常値を示す図である。
【図10】(A)は第3の実施形態の露光装置の要部を示す図、(B)は図10(A)のレチクルマーク板RFMを示す平面図、(C)は図10(A)の撮像ユニット32Aを示す平面図である。
【図11】図10(B)の一つの計測点の近傍の複数の評価用マークを示す拡大平面図である。
【図12】第3の実施形態の撮像ユニットの1組の検出用パターンを示す拡大平面図である。
【図13】(A)は図12の撮像ユニット上に投影される評価用マークの像を示す拡大平面図、(B)は像の位置ずれ量に対応する検出信号の一例を示す図、(C)は投影像のディストーションの一例を示す拡大平面図である。
【図14】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態につき図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るスキャニングステッパー(スキャナー)よりなる走査露光型の露光装置EXの概略構成を示す。図1において、露光装置EXは、露光光源(不図示)と、この露光光源から射出される露光用の照明光(露光光)ILによりレチクルR(マスク)を照明する照明光学系ILSとを備えている。さらに、露光装置EXは、レチクルRを保持して移動するレチクルステージRSTと、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)上に投射する投影光学系PLと、ウエハWの位置決め及び移動を行うウエハステージWSTと、装置全体の動作を統括制御するコンピュータよりなる主制御系2と、その他の駆動系等とを備えている。
【0013】
以下、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに垂直な面(ほぼ水平面)内の直交する2方向にX軸及びY軸を取り、X軸、Y軸、及びZ軸に平行な軸の回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。本実施形態では、走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向はY軸に平行な方向(Y方向)である。
【0014】
露光光源としてはArFエキシマレーザ(波長193nm)が使用されている。露光光源として、それ以外にKrFエキシマレーザ(波長248nm)などの紫外パルスレーザ光源、YAGレーザの高調波発生光源、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波発生装置、又は水銀ランプ等の放電ランプ等も使用することができる。
照明光学系ILSは、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、ロッドインテグレータ、回折光学素子など)等を含む照度均一化光学系、レチクルブラインド(可変視野絞り)、及びコンデンサ光学系等を含んでいる。また、通常照明、輪帯照明、又は4極(若しくは2極)照明等の照明条件に応じて、照明光学系ILS内の瞳面(照明瞳面)に不図示の設定機構によって対応する開口絞りを設置してもよい。
【0015】
照明光学系ILSは、露光時には、レチクルRのパターン面(下面)のパターン領域上のX方向(非走査方向)に細長い矩形の照明領域18Rを照明光ILによりほぼ均一な照度分布で照明する。
レチクルRはレチクルホルダ(不図示)を介してレチクルステージRST上に吸着保持されている。レチクルステージRSTはレチクルベース14のXY平面に平行な上面にエアベアリングを介して載置され、その上面でY方向に一定速度で移動するとともに、X方向、Y方向の位置及びθz方向の回転角の微調整を行う。レチクルステージRSTの少なくともX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む2次元的な位置情報は、一例としてX軸のレーザ干渉計16Xと、Y軸の2軸のレーザ干渉計16YA,16YBとを含むレチクル側干渉計によって計測され、この計測値がステージ駆動系4及び主制御系2に供給される。ステージ駆動系4は、その位置情報及び主制御系2からの制御情報に基づいて、不図示の駆動機構(リニアモータなど)を介してレチクルステージRSTの速度及び位置を制御する。
【0016】
レチクルステージRSTの上面にレチクルRに対してY方向に隣接するように、X方向に細長い矩形の平板状のレチクルマーク板RFMが固定され、レチクルマーク板RFMのパターン面(レチクルRのパターン面と同じ高さの面)に所定の評価用マーク(後述)が形成されている。レチクルステージRSTには、レチクルR及びレチクルマーク板RFMのパターン領域を囲むように照明光ILを通すための開口が形成され、レチクルベース14の照明領域18Rに対向する領域に照明光ILを通す開口が形成されている。
【0017】
照明光ILのもとで、レチクルRの照明領域18R内の回路パターンは、両側テレセントリック(又はウエハ側に片側テレセントリック)の投影光学系PLを介して所定の投影倍率(例えば1/4,1/5等の縮小倍率)で、ウエハW上の一つのショット領域SA上の露光領域18W(照明領域18Rと共役な領域)に投影される。ウエハWは、例えば直径が200mm、300mm等の円板状のシリコン等の基材上にフォトレジスト(感光剤)を塗布したものである。投影光学系PLは例えば屈折系であるが、反射屈折系等も使用できる。レチクルのパターン面は投影光学系PLの物体面に配置され、ウエハWの表面(露光面)は投影光学系PLの像面に配置される。
【0018】
また、露光装置EXは、投影光学系PLのディストーション、像面湾曲、及び球面収差等の光学特性を制御する特性制御機構を備えている。特性制御機構は、投影光学系PL中の複数のレンズL1,L2の周囲の3箇所に設置されたZ方向に伸縮可能なピエゾ素子等の駆動素子12A,12Bと、駆動素子12A,12Bの駆動量を制御する駆動系10と、主制御系2からの制御情報に応じて駆動系10を介してレンズL1,L2の位置及び傾斜角を制御する特性制御系8とを有する。なお、駆動対象のレンズの個数及び配置は、制御対象の結像特性に応じて設定される。
【0019】
一方、ウエハWはウエハホルダWHを介してウエハステージWSTに吸着保持されている。ウエハステージWSTは、XYステージ24と、この上に設置されウエハWを保持するウエハホルダWHが設けられたZチルトステージ22とを含んでいる。XYステージ24は、ウエハベース26のXY平面に平行な上面にエアベアリングを介して載置され、その上面をX方向、Y方向に移動し、必要に応じてθz方向の回転角が補正される。Zチルトステージ22は、例えばZ方向に変位可能な3箇所のZ駆動部を含むフォーカスレベリング機構(不図示)を有し、このフォーカスレベリング機構を駆動することで、Zチルトステージ22の上面(ウエハW)の光軸AX方向の位置(フォーカス位置又はZ位置)、及びθx方向、θy方向の傾斜角を制御可能である。
【0020】
また、Zチルトステージ22上のウエハホルダWHの近傍に、レチクルマーク板RFMの複数の評価用マークの投影光学系PLによる像の状態を計測するための撮像ユニット32が固定されている。撮像ユニット32の上部の検出用パターンが形成された面はウエハWの表面とほぼ同じ高さに設定され、その検出用のパターンは保護膜34で覆われている(詳細後述)。
【0021】
さらに投影光学系PLの側面に、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の、ウエハWの表面等の被検面の複数点でのフォーカス位置(Z位置)を計測する斜入射方式の多点のオートフォーカスセンサ(不図示)が設けられている。ステージ駆動系4は、そのオートフォーカスセンサの計測結果に基づいて、被検面が投影光学系PLの像面に対して所定の関係を維持するように、オートフォーカス方式でZチルトステージ22を駆動する。
【0022】
ウエハステージWST(Zチルトステージ22)の少なくともX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む2次元的な位置情報が、一例としてX軸の2軸のレーザ干渉計28XP,28XFと、Y軸の2軸のレーザ干渉計28YA,28YBとを含むウエハ側干渉計によって計測され、この計測値がステージ駆動系4及び主制御系2に供給される。ステージ駆動系4は、その位置情報及び主制御系2からの制御情報に基づいて、不図示の駆動機構(リニアモータなど)を介して、ウエハステージWSTのXYステージ24の2次元的な位置を制御する。
【0023】
また、投影光学系PLの側面において、ウエハW上のアライメントマークの位置を計測するための、オフアクシス方式で例えば画像処理方式のウエハアライメント系30が不図示のフレームに支持されている。また、Zチルトステージ22内に、レチクルRのアライメントマーク(不図示)等の像を検出する空間像計測系(不図示)が設置されている。空間像計測系及びウエハアライメント系30の検出結果はアライメント制御系(不図示)に供給され、その検出結果からレチクルR等及びウエハWのアライメントを行うことができる。
【0024】
露光時には、レチクルRの照明領域18R内のパターンの投影光学系PLによる像をウエハW上の一つのショット領域上に露光しつつ、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを駆動して、レチクルRとウエハWとをY方向に投影倍率を速度比として同期して移動することで、当該ショット領域にレチクルRのパターンの像が走査露光される。その後、ウエハステージWSTを駆動してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作と、その走査露光動作とを繰り返すことによって、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターン像が露光される。
【0025】
この露光に際して、例えば投影光学系PLに対する照明光ILの積算照射エネルギー及び周囲の気圧(大気圧)等によって投影光学系PLの光学特性が次第に変動するため、その変動量を相殺するように上記の特性制御系8及び駆動素子12A,12B等を含む特性制御機構が駆動される。また、光学特性としてのベストフォーカス位置が変動する場合には、その変動量に応じて例えばZチルトステージ22が駆動される。さらに、一例として、その特性制御機構を用いても残存している投影光学系PLの光学特性の変動量(残存収差)を計測するために、レチクルマーク板RFM及び撮像ユニット32を含む計測装置が使用される。即ち、投影光学系PLの光学特性を計測する場合には、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを駆動することによって、図2(A)に示すように、レチクルマーク板RFMのパターン領域が照明光ILの照明領域18Rに移動され、ウエハステージWSTの撮像ユニット32の上面が露光領域18Wに移動される。図2(B)及び図2(C)は図2(A)のレチクルマーク板RFM及び撮像ユニット32を示す平面図である。
【0026】
図2(B)に示すように、レチクルマーク板RFMの照明領域18R内のパターン領域には、X方向及びY方向に所定間隔で、かつX方向にI行でY方向にJ列に配列されたI×J個の計測点が設定され、そのうちの+X方向にi番目で+Y方向にj番目の計測点がP(i,j)である(1≦i≦I,1≦j≦J)。整数Iは例えば10〜20程度、整数Jは例えば5〜10程度であり、図2(B)の例では、I=13,J=7である。また、各計測点P(i,j)に中心が来るようにそれぞれ評価用マークとしての位相マーク20が形成されている。さらに、そのパターン領域のX方向の両端部にアライメントマークFM1,FM2が形成されている。なお、図2(A)等では、説明の便宜上、計測点P(i,j)は光軸AX上に配置されているが、その位置は任意である。
【0027】
位相マーク20は、図3(A)の拡大平面図及びその図3(B)の断面図で示すように、Y方向に細長い矩形の複数の凹部20aをX方向(計測方向)にピッチ(周期)P1で形成したものである。凹部20aのX方向の幅と、これらの間の凸部20bのX方向の幅とはほぼ等しい。投影光学系PLの投影倍率をβとして、投影像の段階でのピッチP1の値(=β・P1)は、例えば数μm〜数10μmである。また、位相マーク20に照射される光(照明光IL)の波長をλとしたとき、正又は負の奇数nを用いて、凹部20aを通過する光の位相と、凸部20bを通過する光の位相との位相差φは、ほぼ次のように設定されている。この場合、位相差φはほぼ90°又は270°(−90°)である。
【0028】
φ=nλ/4 …(1)
なお、本実施形態では、凹部20aを通過する光に対する凸部20bを通過する光の位相差φは、ほぼ90°(n=…,−7,−3,1,5,…)に設定されている。なお、凹部20aを通過する光に対する凸部20bを通過する光の位相差φは、ほぼ270°(n=…,−5,−1,3,7,…)に設定されていてもよい。
【0029】
この場合、図3(B)の位相マーク20が投影光学系PLの物体面上に配置されているものとして、位相マーク20の投影光学系PLの像のX方向の光強度分布は、図3(C)のIA1,IA2,IA3のようになる。図3(C)において、光強度分布IA1は、位相マーク20の像を計測する計測面(後述の検出用パターンが配置される面)が投影光学系PLのベストフォーカス位置にあるときの分布であり、光強度分布IA1は位相マーク20の凹部20a及び凸部20bの像の中心で同じ値のピークとなる。従って、光強度分布IA1はX方向にピッチβ・P1/2の正弦波状である。
【0030】
また、光強度分布IA2は、計測面が投影光学系PLのベストフォーカス位置に対して+Z方向(上方)にずれたときの分布であり、光強度分布IA2は位相マーク20の凸部20bの像の中心のピークが小さくなる。さらに、光強度分布IA3は、計測面が投影光学系PLのベストフォーカス位置に対して−Z方向にずれたときの分布であり、光強度分布IA3は、位相マーク20の凹部20aの像の中心のピークが小さくなる。さらに、計測面のデフォーカス量が大きくなるほど、凹部20aの像のピークと凸部20bの像のピークとの差は大きくなる。撮像ユニット32は、そのようなデフォーカスの状態による光強度分布IA1〜IA3の変化に基づいて受光面のデフォーカス量を計測する。
【0031】
図2(A)において、撮像ユニット32は、CCD又はCMOSよりなる2次元の撮像素子38と、撮像素子38の多数の画素がX方向及びY方向に格子状に配置された検出面38aに設置され、多数の可視光を透過する光ファイバーを束ねて形成されたファイバーオプティックプレート(以下、FOPという。)37と、FOP37の入射面(上面)に形成された波長選択膜36と、波長選択膜36上に形成された蛍光膜35と、蛍光膜35の上面(計測面)に形成された検出用パターンとしての複数の周期パターン39と、これらの周期パターン39を覆うように蛍光膜35上に形成された保護膜34とを備えている。
【0032】
投影光学系PLを通過した照明光ILは、保護膜34及び周期パターン39を介して蛍光膜35に入射する。蛍光膜35は、紫外光である照明光ILの照射によって高い変換効率で蛍光としての可視域の検出光DLを発生し、検出光DL及び変換されなかった紫外光は波長選択膜36に入射する。波長選択膜36は検出光DLをFOP37側に透過し、変換されなかった紫外光(照明光IL)を反射する。検出光DLは、FOP37によって入射面における光強度分布を維持した状態で撮像素子38の多数の画素が配置された検出面38aに導かれ、撮像素子38の検出信号は図1の演算装置6に供給される。演算装置6は、その検出信号を処理して投影光学系PLの所定の結像特性を求める。保護膜34は、空気や水蒸気から下層の膜を保護する。なお、撮像ユニット32を液浸露光を行う露光装置に用いる場合には、保護膜34は耐水性又は撥水性であることが好ましい。
【0033】
撮像ユニット32の上面の形状、ひいてはFOP37の断面形状、及び撮像素子38の検出面38aの形状は、図2(C)に示すように、露光領域18WよりもX方向及びY方向の幅が広く設定されている。露光領域18WのX方向の幅は例えば26mm程度、Y方向の幅(スリット幅)は例えば8mm程度であり、撮像素子38の検出面38aは例えばX方向の幅が30mm程度、Y方向の幅が10mm程度でもよい。FOP37は、多数の可視光を透過する外径が3〜6μm程度の光ファイバーを入射面と射出面とが同じ配列になるように束ね、入射面及び射出面を研磨したものである。FOP37の高さは例えば数mm〜20mm程度である。FOP37としては、浜松ホトニクス(株)又はショット社等の製品を使用可能である。撮像素子38としては、画素サイズが10μm程度又はそれより大きい撮像素子を使用可能である。蛍光膜35及び波長選択膜36を合わせた厚さは、横方向の分解能を高く維持するために、FOP37を構成する1つの光ファイバーの直径程度又はこれより薄いことが好ましい。
【0034】
また、保護膜34は、例えば二酸化ケイ素の薄膜である。蛍光膜35は、例えばフッ化物(例えばフッ化ランタン(LaF3))の母材に対して遷移金属及び希土類元素から選択される賦活剤(例えばユーロピウム(Eu))をドープした材料で形成される。なお、賦活剤の濃度は、フッ化物の母材に対して例えば陽イオン比で1モル%〜10モル%の範囲で設定され、好ましくは約5モル%である。波長選択膜36は、例えば可視光を透過して紫外光を反射する誘電体多層膜ミラーで構成されている。
【0035】
撮像ユニット32の蛍光膜35の上面に形成された多数の周期パターン39の中心は、図2(C)に示すように、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)の配列を投影光学系PLの投影倍率βで縮小した配列で設定されている計測点Q(i,j)(i=1〜I,j=1〜J)に配置されている。なお、本実施形態の投影光学系PLは倒立像を形成するものとしているため、計測点Q(i,j)の配列は計測点P(i,j)の配列を配列中心に関して反転したものである。投影光学系PLの光学特性の計測時には、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)と投影光学系PLに関して共役な位置に撮像ユニット32の計測点Q(i,j)が配置される。
【0036】
図2(C)の計測点Q(i,j)にある周期パターン39は、図4(A)の拡大図で示すように、遮光膜中にY方向に細長い幅β・P1/2の複数の開口パターン39AaをX方向にピッチβ・P1で形成した第1周期パターン39Aと、遮光膜中に開口パターン39Aaの間に位置するように、開口パターン39Aaに対して位相をずらして配置され、開口パターン39Aaと同じ大きさの複数の開口パターン39BaをX方向に周期β・P1で形成した第2周期パターン39Bとを、Y方向に近接して形成したものである。周期パターン39のY方向の長さは、位相マーク20の像20PのY方向の長さよりも或る程度長く設定されている。投影光学系PLの光学特性の計測時には、計測点P(i,j)の位相マーク20の像20Pの−Y方向及び+Y方向のほぼ1/2の部分が、それぞれ周期パターン39A及び39B上に重ねて形成される。さらに、位相マーク20の像20Pのうちの凹部20aの像20aPが周期パターン39Aの開口パターン39Aa内に形成され、凸部20bの像20bPが周期パターン39Bの開口パターン39Ba内に形成される。
【0037】
また、図2(A)の撮像素子38のうちで、計測点Q(i,j)上の第1周期パターン39Aを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Aijと呼び、第2周期パターン39Bを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Bijと呼ぶ。図1の演算装置6内で図4(A)の画素群38Aij,38Bijの検出信号を処理する部分を演算ユニット6Aijとすると、演算ユニット6Aijは、画素群38Aijからの検出信号の和と、画素群38Bijからの検出信号の和との差分を各計測点Q(i,j)に関するフォーカス信号SFij(i=1〜I,j=1〜J)として出力する。
【0038】
図3(C)を参照して説明したように、周期パターン39A,39Bの形成面(計測面)が投影光学系PLのベストフォーカス位置にあるときには、開口パターン39Aa,39Ba内の光量が同じであり、フォーカス信号SFijは0になる。一方、計測面がベストフォーカス位置より上方にずれると、開口パターン39Ba内の光量が減少し、計測面がベストフォーカス位置より下方にずれると、開口パターン39Aa内の光量が減少する。従って、フォーカス信号SFijは、図4(B)に示すように、特に計測面のベストフォーカス位置からのデフォーカス量ΔZijが小さい範囲では、デフォーカス量ΔZijにほぼ比例して変化する。図2(C)の全部の計測点Q(i,j)において、それぞれフォーカス信号SFijが検出される。そこで、演算装置6内のフォーカス演算部は、全部の演算ユニット6Aijから出力されるフォーカス信号SFijからそれぞれデフォーカス量ΔZijを求める。この場合の計測面をデフォーカス量ΔZijだけ補正した位置が対応する計測点Q(i,j)におけるベストフォーカス位置となる。
【0039】
次に、本実施形態の露光装置EXにおける投影光学系PLの光学特性の計測動作及び露光動作の一例につき図5のフローチャートを参照して説明する。この動作は主制御系2の制御のもとで、露光工程中に例えば定期的に実行される。先ず、図5のステップ102において、レチクルステージRSTを駆動して、図2(A)に示すように、レチクルマーク板RFMの各計測点P(i,j)の位相マーク20が照明領域18Rに移動される。この際にアライメントマークFM1,FM2をウエハステージWSTの空間像計測系(不図示)で検出することで、レチクルマーク板RFMのアライメントが行われる。次のステップ104において、ウエハステージWSTを駆動して、露光領域18W内の各計測点P(i,j)の位相マーク20の像の位置に撮像ユニット32の対応する計測点Q(i,j)の周期パターン39A及び39Bを移動する。この際に、それまでの光軸AX上での投影光学系PLのベストフォーカス位置のZ座標を0とすると、撮像ユニット32の蛍光膜35の上面(周期パターン39A,39Bが形成された計測面)は、一例として、座標系(X,Y,Z)上でZ=0の位置にあるXY平面に平行に設定される。
【0040】
次のステップ106において、各計測点Q(i,j)において、それぞれ周期パターン39A及び39Bを通過した照明光ILによって蛍光膜35で生成される検出光DL(蛍光)をFOP37を介して撮像素子38に導く。次のステップ108において、撮像素子38の複数の画素群の検出信号を演算ユニット6Aijに入力し、周期パターン39A及び39Bを通過する光量の差分に対応するフォーカス信号SFijを検出する。次のステップ110において、演算装置6内のフォーカス演算部は、各計測点Q(i,j)におけるフォーカス信号SFijからそれぞれデフォーカス量ΔZij(ひいてはベストフォーカス位置)を求める。さらに、フォーカス演算部は、各計測点Q(i,j)のデフォーカス量ΔZijを用いて、最小自乗法によって、レチクルマーク板RFMの各位相マーク20の像のベストフォーカス位置を結ぶ曲面(実際の像面)の座標系(X,Y,Z)上での一次近似平面IPA(図4(C)参照)のZ軸のオフセットZof、θy方向のチルト角Tx(rad)、及びθx方向のチルト角Ty(rad)を算出して記憶する。これらのパラメータを用いてその一次近似平面は次のように表される。
【0041】
Z=Zof−Tx・X−Ty・Y …(2)
次のステップ112で、レチクルステージRST上にレチクルRがロードされ、このアライメントが行われる。次のステップ114でウエハステージWST上に未露光のウエハ(ウエハWとする)がロードされ、このアライメントが行われる。次のステップ116で、露光装置EXにおいて、ウエハWの各ショット領域SAにレチクルRのパターンの像が走査露光される。この際に、ウエハWの表面の露光領域18W内の領域が、式(2)で規定される近似像面に接するように、Zチルトステージ22内のフォーカスレベリング機構が駆動される。これによって、レチクルRのパターンの像が高解像度でウエハWの各ショット領域に露光される。
【0042】
なお、式(2)に従ってフォーカスレベリング機構を駆動する際に、図1のレーザ干渉計28YA,28YBの計測値が変わらないようにチルト角Tyを補正すると、Zチルトステージ22の計測ビームの照射点と露光領域18Wの中心とのY方向の間隔LYを用いて、Ty・LYだけ露光領域18WのZ位置が変化する。この場合には、そのZ位置の変化を相殺するようにウエハWのZ位置を補正すればよい。これはチルト角Txに関しても同様である。次のステップ118でウエハWがアンロードされ、次のステップ120において露光対象のウエハがなくなるまで、ステップ114〜118の露光が繰り返される。
【0043】
本実施形態の作用効果等は以下の通りである。
(1)本実施形態の露光装置EXの計測装置は、物体面(第1面)のパターンの像を像面(第2面)上に形成する投影光学系PLの光学特性を計測する計測装置において、物体面の複数の計測点P(i,j)に配置される複数の位相マーク20(第1パターン)が形成されたレチクルマーク板RFM(第1パターン形成部材)と、像面の計測点P(i,j)に対応する複数の計測点Q(i,j)に配置される複数の周期パターン39A,39B(第2パターン)が形成された蛍光膜35(第2パターン形成部材)と、位相マーク20、投影光学系PL、及び周期パターン39A,39Bを通過した照明光ILによって生成される検出光DLを検出面に導くFOP37(導光部材)と、その検出面に配置される複数の画素を有し検出光DLを検出する撮像素子38と、撮像素子38の検出信号を処理して各計測点Q(i,j)におけるデフォーカス量(フォーカス位置情報)等を求める演算装置6とを備えている。
【0044】
また、その計測装置を用いた計測方法は、ステップ102〜110の工程によって投影光学系PLのデフォーカス量等を求めている。
本実施形態よれば、複数の計測点にある位相マーク20の投影光学系PLによる像が、対応する計測点にある周期パターン39A,39B及びFOP37を介して撮像素子38で一括して検出される。このようにFOP37を介することによって、入射角の大きい外乱光及び離れた位置にある像からの光等を排除して、周期パターン39A,39Bを通過した光を高いSN比で検出できる。さらに、周期パターン39A,39Bの形成面(計測面)と撮像素子38の検出面38aとを離すことができるため、撮像素子38の発熱の影響が軽減されている。従って、計測用の光学系を大型化することなく、撮像ユニット32を小型な装置として構成できるとともに、投影光学系PLの露光領域18Wの全面の光学特性を一括して効率的にかつ高精度に計測できる。
【0045】
なお、所定のパターンが計測点P(i,j)に配置される場合とは、所定のパターンの中心がほぼ計測点P(i,j)にある場合の他に、その所定のパターンの中心が計測点P(i,j)から離れていても、その所定のパターンの像の位置で計測される光学特性がその計測点P(i,j)の像の位置で計測される光学特性と実質的に同じであるとみなすことができる場合も含まれる。
【0046】
(2)また、周期パターン39は蛍光膜35上に形成され、蛍光膜35で発生する可視域の蛍光が波長選択膜36を介してFOP37に入射しているため、照明光ILが紫外光であっても、可視光を伝送するFOP37を用いて投影光学系PLの光学特性を計測できる。なお、FOP37が紫外光を高効率に伝送できる場合には、蛍光膜35及び波長選択膜36を省略できる。
【0047】
(3)また、本実施形態の露光装置EX又は露光方法は、投影光学系PLを介してウエハWにパターンを露光する露光装置又は露光方法において、本実施形態の計測装置又は計測方法を用いて投影光学系PLの光学特性を計測している。
この場合、計測装置を構成する小型の撮像ユニット32はウエハステージWSTに容易に組み込むことができるため、オンボディで露光領域18W内の全部の計測点における光学特性を一括して高精度に計測できる。従って、その計測結果に応じて、ウエハWのZ位置及び傾斜角等を制御することで、レチクルRのパターンの像をウエハW上に高精度に露光できる。
【0048】
なお、撮像ユニット32は、ウエハステージWSTとは独立にウエハベース26の上面を移動する計測ステージ(不図示)等に固定してもよい。
また、レチクルマーク板RFMの代わりに、位相マーク20(評価用マーク)が形成されたテストレチクルを使用してもよい。この場合、投影光学系PLの光学特性の計測時には、レチクルステージRST上にレチクルRの代わりにテストレチクルが載置される。
【0049】
なお、上記の実施形態では、投影光学系PLの像面を近似する一次近似平面IPA(図4(C)参照)を求めている。しかしながら、図6に示すように、撮像ユニット32を用いて、投影光学系PLの露光領域側の複数の計測点Q(i,j)におけるベストフォーカス位置を求め、これらのベストフォーカス位置から最小自乗法によって近似球面からなる像面IPを求めてもよい。この場合、像面IPの像面湾曲を補正するように、図1の特性制御機構を用いて投影光学系PLのレンズL1,L2等を駆動することによって、像面湾曲を高精度に補正できる。
【0050】
次に、図7(A)に拡大して示すように、レチクルマーク板RFMの各計測点P(i,j)の近傍にそれぞれX方向に異なるピッチP1,P2,P3(P2<P1<P3)の位相マーク20,20A,20Bを形成しておいてもよい。この場合、撮像ユニット32の蛍光膜35の上面の対応する計測点Q(i,j)の近傍には、図7(B)に示すように、位相マーク20の像を検出する2つの周期パターン39A,39B、位相マーク20Aの像を検出するX方向のピッチβ・P2の2つの周期パターン39C,39D、及び位相マーク20Bの像を検出するX方向のピッチβ・P3の2つの周期パターン39E,39Fを形成しておく。そして、周期パターン39C,39Dの下方の撮像素子38の画素群の検出信号の和の差分から、位相マーク20Aの像のデフォーカス量を計測し、周期パターン39E,39Fの下方の撮像素子38の画素群の検出信号の和の差分から、位相マーク20Bの像のデフォーカス量を計測する。
【0051】
図7(C)に示すように、位相マーク20,20A,20Bを照明光ILで照明すると、位相マーク20,20A,20Bから射出される照明光IL1,IL2,IL3の開き角は、照明光IL3,IL1,IL2の順に大きくなる。従って、照明光IL1〜IL3毎に求められるデフォーカス量の変動幅であるΔZSから投影光学系PLの球面収差を求めることができる。この球面収差も図1の特性制御機構を用いて投影光学系PLの所定のレンズを駆動することによって補正できる。
【0052】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態につき図8及び図9を参照して説明する。本実施形態は、液浸法で露光を行う露光装置に本発明を適用したものであり、図8において図1及び図2(A)に対応する部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図8は、本実施形態の露光装置の投影光学系PLの光学特性を計測している状態を示す。図8において、投影光学系PLの物体面にレチクルマーク板RFMのパターン面が配置され、投影光学系PLの像面側にZチルトステージ22(ウエハステージWST)に設けられた撮像ユニット32の周期パターン39の形成面(計測面)が配置されている。また、投影光学系PLの下端部と撮像ユニット32の上面(保護膜34)との間の枠状のノズルヘッド43で囲まれた液浸空間に、露光時と同様に、液体供給装置41Aから配管42A及び供給口43aを介して照明光ILを透過する純水等の液体Lqが供給されている。その液浸空間の液体Lqは、フィルタ部材45、排出口43b、及び配管42Bを介して液体回収装置41Bに回収される。液体供給装置41Aから供給される液体Lqの温度及び流量は制御部46によって制御される。液体供給装置41A等を含む局所液浸機構としては、例えば米国特許出願公開第2007/242247号明細書、又は欧州特許出願公開第1420298号明細書等に開示されている機構を使用できる。
【0053】
また、ノズルヘッド43の内側に液体Lqの温度を計測する温度センサ44が固定され、温度センサ44の計測値が演算装置6及び制御部46に供給されている。
本実施形態において、投影光学系PLの光学特性を計測する場合には、一例として、液体Lqの温度をT1に設定し、演算装置6では、撮像ユニット32の撮像素子38の検出信号を処理して、計測点Q(i,j)毎のデフォーカス量を求め、これらのデフォーカス量から最小自乗法によって式(2)の一次近似平面IPA(図4(C)参照)のオフセットZof、及びチルト角Tx,Tyを求める。次に、液体Lqの温度を次第にΔTだけ異なる値T2,T3,…に設定し、それぞれ同様に像面の一次近似平面IPAのオフセットZof、及びチルト角Tx,Tyを求める。
【0054】
その後、演算装置6内のフォーカス演算部では、液体Lqの温度Timの関数として、以下のように一次近似平面IPAのオフセットZof及びチルト角Tx,Tyを計算するための係数Az,Atx,Aty及びBz,Btx,Btyの値を決定する。
Zof=Az・Tim+Bz …(3A)
Tx=Atx・Tim+Btx …(3B)
Ty=Aty・Tim+Bty …(3C)
その後、液浸法を用いてウエハを露光するときには、演算装置6は温度センサ44で計測される液体の温度Timを取り込む。そして、図5のステップ116の像面を近似する平面としては、式(3A)〜(3C)から計算されるオフセットZof及びチルト角Tx,Tyで定まる平面を用いる。これによって、液体Lqの温度が変動していても、投影光学系PLの像面に対するウエハの表面の合焦精度を向上できる。
【0055】
なお、例えば液体Lqの温度を変えながら投影光学系PLの像面湾曲等を計測し、像面湾曲等が最も小さくなるように液体Lqの温度Timを設定するようにしてもよい。
また、図8の投影光学系PLと撮像ユニット32と間の液体Lq中に微細な泡又はレジスト残滓等の異物が混入していると、それに対応する計測点Q(i,j)における光学特性(ここではデフォーカス量ΔZij)の値が平均値から大きく外れる異常値になるため、その異常値を除外することが好ましい。そのためには、計測値が異常値となる計測点Q(i,j)である特異点を次のように判別してもよい。
【0056】
(1)動的な特異点の判別。動的な特異点とは、或る計測点Q(i,j)の計測値が或る回の計測時にのみ異常値になる場合である。例えば或る計測点Q(i,j)におけるデフォーカス量の計測値が計測を繰り返すうちに図9(A)のように変化するものとする。図9(A)の横軸はn回目の計測であることを示し(n=1,2,…)、縦軸は計測されたデフォーカス量から例えば光軸上のそれまでのベストフォーカス位置を減算して補正したフォーカス位置Zij(nm)である。この場合、図9(B)は、図9(A)のn回までの計測値の平均値Avをフォーカス位置Zijから差し引いて得られるフォーカス位置Zijを示す。図9(B)において、フォーカス位置Zijに所定の閾値Vthを設け、フォーカス位置Zijの値がVth/2以上又は−Vth/2以下であるときに、その計測値を異常値EVとみなす。このように異常値EVとみなされた計測点Q(i,j)の計測値は、例えば式(2)の近似平面を計算するデータからは除外してもよい。これによって、異常値の影響を抑制できる。
【0057】
(2)静的な特異点の判別。静的な特異点とは、全部の計測点Q(i,j)のうちで或る計測点の計測値のみが異常値になる場合である。例えば全部の計測点Q(i,j)のデフォーカス量から図4(C)に示す一次近似平面IPAを求めた場合、各計測点Q(i,j)のデフォーカス量ΔZijと一次近似平面IPAとの距離を計算し、この距離が所定の閾値以上となった計測点を静的な特異点とみなす。この場合、特異点とみなされた計測点の計測値を除外して、一次近似平面IPAを求めてもよい。これによって、異常値の影響を抑制できる。
【0058】
なお、そのように特異点が検出された場合には、液体Lq中に異物が混入されているものと判定し、例えば液体Lqを入れ替えてから再度撮像ユニット32を用いて計測を行うようにしてもよい。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態につき図10〜図13を参照して説明する。本実施形態は、投影光学系PLのディストーションを計測する場合に本発明を適用したものであり、図10(A)〜図13(C)において、図2(A)〜図4(C)に対応する部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
図10(A)は、本実施形態の露光装置の投影光学系PLの光学特性を計測している状態を示す。図10(A)において、投影光学系PLの物体面にレチクルマーク板RFMのパターン面が配置され、投影光学系PLの像面側に撮像ユニット32Aの蛍光膜35が配置され、蛍光膜35上に複数の検出用パターンが形成されている。本実施形態の撮像ユニット32Aは、図2(A)の撮像ユニット32に対して検出用パターンのみが異なっている。
【0060】
図10(B)に示すように、レチクルマーク板RFMの照明領域18R内の各計測点P(i,j)には位相マーク20が形成されるとともに、計測点P(i,j)の近傍に、かつ位相マーク20に近接して第1及び第2のスリットマーク51,52が形成されている。図11に示すように、第1のスリットマーク51は、遮光膜中にX方向に細長い2本のスリット51A,51BをY方向(計測方向)に所定間隔で形成したものである。第2のスリットマーク52は、遮光膜中にY方向に細長い2本のスリット52A,52BをX方向(計測方向)に所定間隔で形成したものである。
【0061】
また、図10(C)に示すように、撮像ユニット32Aの蛍光膜35上の露光領域18W内の各計測点Q(i,j)には周期パターン39が形成され、計測点Q(i,j)の近傍に、図10(B)のスリットマーク51,52と光学的に共役な位置に計測方向に非対称な第1及び第2の楔型パターン53,54が形成されている。なお、以下では位相マーク20及び周期パターン39の説明は省略する。
【0062】
図10(C)の計測点Q(i,j)を含む領域を拡大した図12に示すように、第1の楔型パターン53は、遮光膜中に底辺が長い三角形の開口パターン53Aaが形成された第1パターン53Aと、遮光膜中に開口パターン53Aaと対称な形状の開口パターン53Baが形成された第2パターン53BとをY方向に並べて配置したものである。パターン53A,53BのX方向の長さは、図11のスリット51A,51Bの像51AP,51BPの長さとほぼ同じであり、開口パターン53Aa,53BaのY方向の幅の中央のY方向の間隔は、像51AP,51BPの中心のY方向の間隔と同じである。さらに、開口パターン53Aa,53BaのY方向の幅は、投影光学系PLのディストーションによって像51AP,51BPの位置がY方向に変動しても、像51AP,51BPの一部が開口パターン53Aa,53Ba内に収まるように設定されている。例えば、像51AP,51BPのY方向の幅は数μm〜20μm程度で、開口パターン53Aa,53BaのY方向の高さは像51AP,51BPの幅の2倍から数倍程度である。
【0063】
同様に、第2の楔型パターン54は、第1の楔型パターン53を90°回転した形状であり、第2の楔型パターン54は、開口パターン54Aaが形成された第1パターン54Aと開口パターン54Baが形成された第2パターン54BとをX方向に並べて配置したものである。投影光学系PLのディストーションによって図11のスリット52A,52Bの像52AP,52BPの位置がX方向に変動しても、像52AP,52BPの少なくとも一部は開口パターン54Aa,54Ba内に収まる。なお、図11の位相マーク20及び図12の周期パターン39の構成及び動作は第1の実施形態と同様である。
【0064】
また、図10(A)の撮像素子38のうちで、図12の第1の楔型パターン53のパターン53A,53Bを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Gij,38Hijと呼び、第2の楔型パターン54のパターン54A,54Bを通過した照明光IL(実際には蛍光)を検出する複数の画素を画素群38Iij及び38Jijと呼ぶ。さらに、図1の演算装置6と同様の演算装置内で図12(A)の画素群38Gij,38Hijの検出信号を処理する部分を演算ユニット6Dijとして、画素群38Iij,38Jijの検出信号を処理する部分を演算ユニット6Eijとする。演算ユニット6Dij(6Eij)は、画素群38Hij(38Iij)からの検出信号の和と、画素群38Gij(38Jij)からの検出信号の和との差分を各計測点Q(i,j)に関するディストーション信号SYij(SXij)(i=1〜I,j=1〜J)として出力する。
【0065】
図13(A)は、投影光学系PLのディストーションがない場合に、図12の計測点Q(i,j)の近傍の楔型パターン53及び54上に形成される図11のスリットマーク51及び52の像51P及び52Pを示す。図13(A)において、楔型パターン53の開口パターン53Aa,53Baを通過する光量は同じであるため、図12のディストーション信号SYijは0である。また、投影光学系PLのディストーションによる像51PのY方向へのシフト量DYが正である場合には、開口パターン53Ba内の像51BPの光量が増加し、開口パターン53Aa内の像51APの光量が減少し、ディストーション信号SYijは増加する。これに対して、シフト量DYが負である場合には、ディストーション信号SYijは減少するため、ディストーション信号SYijは、図13(B)に示すように、シフト量DYに関してほぼ比例して変化する。
【0066】
同様に、楔型パターン54上の像52PのX方向へのシフト量DXに対して図12のディストーション信号SXijは、図13(B)に示すようにほぼ比例して変化する。そこで、演算装置内のディストーション演算部は、ディストーション信号SXij及びSYijからスリットマーク52の像52PのX方向へのシフト量DX及びスリットマーク51の像51PのY方向へのシフト量DYを求める。
【0067】
図13(C)は、撮像ユニット32Aの各計測点Q(i,j)の近傍におけるスリットマーク51,52の像51P,52Pのシフト量DX,DYを誇張して示したものである。このように各計測点Q(i,j)の近傍における像のシフト量DX,DYの分布から投影光学系PLの任意の特性のディストーションを求めることができる。
なお、この実施形態では、レチクルマーク板RFM側にスリットマーク51,52を形成し、撮像ユニット32A側に楔型パターン53,54を形成している。しかしながら、投影光学系PLのディストーションを計測するためには、レチクルマーク板RFM側に楔型パターン53,54と同様のマークを形成し、撮像ユニット32A側にスリットマーク51,52と同様のパターンを形成しておいてもよい。
【0068】
なお、この実施形態では、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)上の位相マーク20及び撮像ユニット32Aの周期パターン39を用いて投影光学系PLのフォーカス位置情報を計測することができる。なお、この実施形態では、レチクルマーク板RFMの計測点P(i,j)上の位相マーク20を省略し、計測点Q(i,j)上の周期パターン39を省略してもよい。さらに、この実施形態においても、スリットマーク51,52をテストレチクルに形成してもよい。
【0069】
また、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図14に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたレチクル(マスク)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップ223、前述した実施形態の露光装置又は露光方法によりレチクルのパターンを基板(感光基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0070】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いて基板(ウエハ)上に感光層のパターンを形成することと、そのパターンが形成された基板を処理すること(ステップ224)とを含んでいる。この際に、上記の実施形態の露光装置又は露光方法によれば、投影光学系PLの光学特性を効率的に高精度に計測できるため、例えばその計測結果に応じて光学特性を補正することによって、レチクルのパターンの像を基板上に高精度に露光できるため、高精度に電子デバイスを製造できる。
【0071】
なお、上記の実施形態の撮像ユニット32等は蛍光膜35を備えているため、撮像ユニット32等は、露光光として波長100nm程度以下の極端紫外光(Extreme Ultraviolet Light:EUV光)を用いるEUV露光装置の投影光学系PL(反射系)の光学特性を計測する場合にも適用可能である。
また、本発明は、走査型露光装置のみならず、ステッパーのような一括露光型の露光装置の投影光学系の光学特性を計測する場合にも適用可能である。
【0072】
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、MEMS(Microelectromechanical Systems)、若しくはDNAチップ等の各種デバイス、又はマスク(レチクル等)自体を製造するための露光装置にも広く適用できる。
【0073】
また、本発明は露光装置以外の装置で使用される投影光学系の光学特性を計測する場合も適用可能である。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0074】
EX…露光装置、R…レチクル、RFM…レチクルマーク板、RST…レチクルステージ、PL…投影光学系、W…ウエハ、WST…ウエハステージ、P(i,j)…計測点、2…主制御系、6…演算装置、6Aij…演算ユニット、8…特性制御系、20…位相マーク、32,32A…撮像ユニット、35…蛍光膜、36…波長選択膜、37…FOP(ファイバーオプティックプレート)、38…2次元の撮像素子、39…周期パターン、51,52…スリットマーク、53,54…楔型パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測装置において、
前記第1面の複数の計測点に配置される複数の第1パターンが形成された第1パターン形成部材と、
前記第2面の前記複数の計測点に対応する位置に配置される複数の第2パターンが形成された第2パターン形成部材と、
前記複数の第1パターン、前記投影光学系、及び前記複数の第2パターンを通過した照明光によって生成される検出光を検出面に導き、複数の光ファイバーを束ねて形成される導光部材と、
前記検出面に配置される複数の画素を有し、前記導光部材によって導かれる前記検出光を検出する光電検出器と、
前記光電検出器の検出結果を処理して前記光学特性を求める処理装置と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記導光部材の入射面側に形成され、前記第2パターンを通過した前記照明光を入射して蛍光を発する蛍光膜と、
前記蛍光膜と前記導光部材との間に形成され、前記蛍光を通過させる波長選択膜と、を備え、前記検出光は、前記波長選択膜を通過した前記蛍光であることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記複数の第1パターンのそれぞれは、周期的な位相パターンを含み、
前記複数の第2パターンのそれぞれは、前記位相パターンの前記投影光学系による像の異なる第1部分及び第2部分の像を形成する光を通過させる第1部分パターン及び第2部分パターンを含み、
前記処理装置は、前記投影光学系の複数の位置のフォーカス位置情報を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記照明光の波長をλとしたとき、正又は負の奇数nを用いて、前記位相パターンの位相差φは、
φ=nλ/4
であることを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記複数の第1パターンの前記位相パターンのピッチが互いに異なることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記複数の第1パターンのそれぞれは、スリットパターンを含み、
前記複数の第2パターンのそれぞれは、前記スリットパターンの前記投影光学系による像が形成される位置に配置される計測方向に非対称なパターンを含み、
前記処理装置は、前記投影光学系のディストーション情報を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項7】
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給する液体供給装置と、
前記液体の温度を計測する温度センサとを備え、
前記処理装置は、前記温度センサで計測される前記液体の温度に対応させて前記光学特性を求めることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給する液体供給装置を備え、
前記処理装置は、前記複数の計測点に関して求められる前記光学特性に基づいて前記液体中の異物の有無を判定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項9】
第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測方法において、
前記第1面の複数の計測点のそれぞれに第1パターンを配置し、
前記第2面の前記複数の計測点に対応する位置に第2パターンを配置し、
複数の前記第1パターンを照明光で照明し、前記第1パターン、前記投影光学系、及び前記第2パターンを通過した前記照明光によって生成される検出光を、複数の光ファイバーを束ねて形成される導光部材を介して検出面に導き、
前記導光部材によって前記検出面に導かれる前記検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出し、
前記光電検出器の検出結果を処理して前記光学特性を求める
ことを特徴とする計測方法。
【請求項10】
前記検出光を前記導光部材を介して前記検出面に導くときに、
前記第2パターンを通過した前記照明光を蛍光膜に通して前記検出光としての蛍光を発生することを特徴とする請求項9に記載の計測方法。
【請求項11】
複数の前記第1パターンのそれぞれは、周期的な位相パターンを含み、
複数の前記第2パターンのそれぞれは、前記位相パターンの前記投影光学系による像の異なる第1部分及び第2部分の像を形成する光を通過させる第1部分パターン及び第2部分パターンを含み、
前記光学特性として、前記投影光学系の複数の位置のフォーカス位置情報を求めることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の計測方法。
【請求項12】
前記照明光の波長をλとしたとき、正又は負の奇数nを用いて、前記位相パターンの位相差φは、
φ=nλ/4
であることを特徴とする請求項11に記載の計測方法。
【請求項13】
前記複数の計測点にある前記第1パターンの前記位相パターンのピッチが互いに異なり、
前記光学特性として前記投影光学系の球面収差を求めることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の計測方法。
【請求項14】
複数の前記第1パターンのそれぞれは、スリットパターンを含み、
複数の前記第2パターンのそれぞれは、前記スリットパターンの前記投影光学系による像が形成される位置に配置される計測方向に非対称なパターンを含み、
前記光学特性として、前記投影光学系のディストーション情報を求めることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の計測方法。
【請求項15】
前記導光部材によって導かれる前記検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出するときに、
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給しつつ、前記液体の温度を計測し、
前記液体の温度に対応させて前記光学特性を求めることを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか一項に記載の計測方法。
【請求項16】
前記導光部材によって導かれる前記検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出するときに、
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給し、
前記複数の計測点に関して求められる前記光学特性に基づいて前記液体中の異物の有無を判定することを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか一項に記載の計測方法。
【請求項17】
投影光学系を介して物体上にパターンを露光する露光装置において、
前記投影光学系の光学特性を計測するために請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の計測装置を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項18】
投影光学系を介して物体上にパターンを露光する露光方法において、
請求項9から請求項16のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記投影光学系の光学特性を計測することを特徴とする露光方法。
【請求項19】
請求項17に記載の露光装置を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を処理することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載の露光方法を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を処理することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項1】
第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測装置において、
前記第1面の複数の計測点に配置される複数の第1パターンが形成された第1パターン形成部材と、
前記第2面の前記複数の計測点に対応する位置に配置される複数の第2パターンが形成された第2パターン形成部材と、
前記複数の第1パターン、前記投影光学系、及び前記複数の第2パターンを通過した照明光によって生成される検出光を検出面に導き、複数の光ファイバーを束ねて形成される導光部材と、
前記検出面に配置される複数の画素を有し、前記導光部材によって導かれる前記検出光を検出する光電検出器と、
前記光電検出器の検出結果を処理して前記光学特性を求める処理装置と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記導光部材の入射面側に形成され、前記第2パターンを通過した前記照明光を入射して蛍光を発する蛍光膜と、
前記蛍光膜と前記導光部材との間に形成され、前記蛍光を通過させる波長選択膜と、を備え、前記検出光は、前記波長選択膜を通過した前記蛍光であることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記複数の第1パターンのそれぞれは、周期的な位相パターンを含み、
前記複数の第2パターンのそれぞれは、前記位相パターンの前記投影光学系による像の異なる第1部分及び第2部分の像を形成する光を通過させる第1部分パターン及び第2部分パターンを含み、
前記処理装置は、前記投影光学系の複数の位置のフォーカス位置情報を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記照明光の波長をλとしたとき、正又は負の奇数nを用いて、前記位相パターンの位相差φは、
φ=nλ/4
であることを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記複数の第1パターンの前記位相パターンのピッチが互いに異なることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記複数の第1パターンのそれぞれは、スリットパターンを含み、
前記複数の第2パターンのそれぞれは、前記スリットパターンの前記投影光学系による像が形成される位置に配置される計測方向に非対称なパターンを含み、
前記処理装置は、前記投影光学系のディストーション情報を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項7】
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給する液体供給装置と、
前記液体の温度を計測する温度センサとを備え、
前記処理装置は、前記温度センサで計測される前記液体の温度に対応させて前記光学特性を求めることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給する液体供給装置を備え、
前記処理装置は、前記複数の計測点に関して求められる前記光学特性に基づいて前記液体中の異物の有無を判定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項9】
第1面のパターンの像を第2面上に形成する投影光学系の光学特性を計測する計測方法において、
前記第1面の複数の計測点のそれぞれに第1パターンを配置し、
前記第2面の前記複数の計測点に対応する位置に第2パターンを配置し、
複数の前記第1パターンを照明光で照明し、前記第1パターン、前記投影光学系、及び前記第2パターンを通過した前記照明光によって生成される検出光を、複数の光ファイバーを束ねて形成される導光部材を介して検出面に導き、
前記導光部材によって前記検出面に導かれる前記検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出し、
前記光電検出器の検出結果を処理して前記光学特性を求める
ことを特徴とする計測方法。
【請求項10】
前記検出光を前記導光部材を介して前記検出面に導くときに、
前記第2パターンを通過した前記照明光を蛍光膜に通して前記検出光としての蛍光を発生することを特徴とする請求項9に記載の計測方法。
【請求項11】
複数の前記第1パターンのそれぞれは、周期的な位相パターンを含み、
複数の前記第2パターンのそれぞれは、前記位相パターンの前記投影光学系による像の異なる第1部分及び第2部分の像を形成する光を通過させる第1部分パターン及び第2部分パターンを含み、
前記光学特性として、前記投影光学系の複数の位置のフォーカス位置情報を求めることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の計測方法。
【請求項12】
前記照明光の波長をλとしたとき、正又は負の奇数nを用いて、前記位相パターンの位相差φは、
φ=nλ/4
であることを特徴とする請求項11に記載の計測方法。
【請求項13】
前記複数の計測点にある前記第1パターンの前記位相パターンのピッチが互いに異なり、
前記光学特性として前記投影光学系の球面収差を求めることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の計測方法。
【請求項14】
複数の前記第1パターンのそれぞれは、スリットパターンを含み、
複数の前記第2パターンのそれぞれは、前記スリットパターンの前記投影光学系による像が形成される位置に配置される計測方向に非対称なパターンを含み、
前記光学特性として、前記投影光学系のディストーション情報を求めることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の計測方法。
【請求項15】
前記導光部材によって導かれる前記検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出するときに、
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給しつつ、前記液体の温度を計測し、
前記液体の温度に対応させて前記光学特性を求めることを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか一項に記載の計測方法。
【請求項16】
前記導光部材によって導かれる前記検出光を複数の画素を有する光電検出器を介して検出するときに、
前記投影光学系と前記第2パターンとの間の空間を含む液浸空間に前記照明光を透過する液体を供給し、
前記複数の計測点に関して求められる前記光学特性に基づいて前記液体中の異物の有無を判定することを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか一項に記載の計測方法。
【請求項17】
投影光学系を介して物体上にパターンを露光する露光装置において、
前記投影光学系の光学特性を計測するために請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の計測装置を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項18】
投影光学系を介して物体上にパターンを露光する露光方法において、
請求項9から請求項16のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記投影光学系の光学特性を計測することを特徴とする露光方法。
【請求項19】
請求項17に記載の露光装置を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を処理することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載の露光方法を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を処理することと、を含むデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−49286(P2011−49286A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195419(P2009−195419)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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