説明

計測装置

【課題】破損した校正値の修復時間を節約し、計測装置が稼動状態のまま校正値を更新でき、校正値の更新が異常終了しても、継続して計測処理できる計測装置を提供すること。
【解決手段】グループ分類された校正値およびこのグループ分類された各校正値のSUM値、そして最初に計測装置を校正したときの初期校正値を内部メモリに保持させ、計測装置が稼動中に、作業メモリに保持された更新データに対するSUM値と、グループ分類された各校正値のSUM値とを比較し、相違したSUM値に対応する校正値を書き換える。この書き換え処理が異常終了したときは、初期校正値を用いて計測処理を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流や電圧あるいは温度などの物理量を計測する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物理量を計測する計測装置においては、メーカの工場出荷時に、測定対象の基準となる標準器と対照することによって計測装置の指示値を修正するための校正値を求め、この校正値を、計測装置の内部メモリに保持させる(メーカ校正)。
【0003】
このような計測装置として、例えば、温度を計測して所要の制御を行う温度調節器は、熱電対や測温抵抗体からのアナログ入力信号を、上述のようにして求めた校正値を用いて演算し、温度として出力する。
【0004】
ところで、このような温度調節器は、経年変化による電子部品の劣化などによって温度指示値が、保証精度範囲から逸脱し精度試験で不合格になる場合がある。このため温度調節器は、メーカ出荷後においても、定期的に校正を実施する必要がある(ユーザ校正)。
【0005】
一般的に計測装置は、校正値の更新ができるように計測装置に標準器を接続して基準信号を与えるとともに、計測装置に備えられた所定のスイッチを操作することによって、例えば更新を促すフラグ情報などが計測装置の内部回路に与えられて、その基準信号に対する指示値(A/D変換値など)が内部メモリに取り込まれるように構成されている。(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載された計測装置は、内部メモリに保持された校正値がユーザの所要の操作によって書き換えられるようにしているとともに、ユーザによる校正が行われたことが表示されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−101183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように求めた校正値は、例えば、入力信号の下限に対しての校正値や、入力信号の上限に対しての校正値などのように複数のデータにて構成されることが多く、この複数のデータを内部メモリ(不揮発性メモリなど)に保持させる必要がある。したがって従来の計測装置は、内部メモリに保持させた一部の校正値が何らかの原因にて破損してしまった場合、全ての校正作業をやり直す必要があった。この作業量は、計測装置の校正項目毎(例えば、熱電対はチャネル毎)に行わなければならず煩雑であった。
【0008】
また、メーカ校正時に内部メモリに保持させた校正値がユーザ校正にて書き換えられると、メーカ校正時の校正値が消滅してしまい、メーカ校正時の状態に戻すことができないという問題があった。
【0009】
また、システムの一部としてユーザに納入された計測装置の校正値の更新が異常終了してしまうと、計測装置の計測処理が実行できなくなり、システムを停止する必要がある。この場合、再度計測装置を校正して校正値を更新し、計測処理が実行できるようになるまで計測処理が実行できないためシステムを稼動させることができないという問題もあった。すなわち、システムの連続運転を必要とするユーザにとって、この校正値の更新は大きな障害(失敗した時のリスク)となっていた。
【0010】
また、従来の計測装置は、計測装置の所定のスイッチを操作すると、内部メモリ(不揮発性メモリなど)に保持された校正値の更新を促すフラグが内部回路に伝達されるよう構成されている。このようにフラグがセットされたか否かによって更新処理を実行するように構成された従来の計測装置は、校正値そのものが変化したものか否かを判断することができない。もちろん、更新を目的とする校正値が現在保持されている校正値と同一であった場合や、不手際にてフラグがセットされてしまったように校正値の更新処理が不要である場合でも従来の計測装置は、フラグがセットされる度に更新処理を実行しなければならなかった。このため、この種の計測装置は、不揮発性メモリの書き換え頻度が高く、その寿命を大きく短縮させてしまうという問題があった。
【0011】
一方、前述したような不要な校正値の更新を避けるため、現在保持されている校正値と更新を目的とする校正値そのものを比較し、校正値の変化を検出する方法も考えられる。しかし、このような方法では校正値の量に応じて、その比較時間が増大するという問題もあった。
【0012】
更に従来の計測装置は、内部メモリに保持された校正値が破損していた場合、誤った校正値にて校正してしまうため、計測装置の誤動作を招く原因となる。これは、計測装置を実際に稼動させてみて初めて異常に気付くことが多い。更にシステムは誤った校正値を基に動作し、それ故システムが異常な挙動をする可能性もある。そして、異常な挙動のみでは、原因究明に多大な時間を要することも否めなかった。
【0013】
本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、破損した校正値の修復時間を節約し、不要な校正値の更新を防止する計測装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明は、校正値の更新が異常終了しても、継続して計測処理を実行できる信頼性の高い計測装置を提供することにある。
更に本発明は、破損した校正値を初期起動時に検出したとき、計測装置を稼動せずに(計測を実行しない)、その破損した校正値を的確に通知する信頼性の高い計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的を達成するため、本発明は、被計測対象の状態に応じて所定の電気信号に変換した入力信号を生成する入力部と、この入力部が生成した入力信号を校正する校正値および当該校正値の正当性を検証するための第一のチェックコードを保持する第一の記億部と、この第一の記憶部が保持した校正値により入力信号を校正した出力値を生成する変換部と、を具備した計測装置であり、当該計測装置を最初に校正したときの初期校正値を保持する初期校正値記憶部と、を更に有し、変換部は、第一の記憶部に保持された校正値を第二の記憶部に転送する第一の転送手段と、第二の記憶部に保持された校正値が更新されたとき、当該校正値を更新した校正値から該校正値の正当性を検証するための第二のチェックコードを算出するチェックコード算出手段と、この算出された第二のチェックコードと第一のチェックコードとを比較するチェックコード比較手段と、このチェックコード比較手段によって第一のチェックコードと第二のチェックコードとが相違したと判定されたとき、第二の記憶部に保持された校正値を更新した校正値および第二のチェックコードを第一の記憶部にそれぞれ転送して、第一の記憶部に保持されていた校正値および第一のチェックコードを更新する第二の転送手段と、第二の転送手段による転送処理が正常に終了したか否かを判定する転送判定手段と、この転送判定手段の判定結果が異常のとき、初期校正値記憶部に保持された初期校正値にて入力信号を校正する計測処理手段と、を備えるように構成する。
【0016】
また、本発明は、被計測対象の状態に応じて所定の電気信号に変換した入力信号を生成する入力部と、この入力部が生成した入力信号を校正する校正値および該校正値の正当性を検証するための第一のチェックコードを保持する第一の記億部と、この第一の記憶部が保持した校正値により入力信号を校正した出力値を生成する変換部と、を具備した計測装置であり、当該計測装置を最初に校正したときの初期校正値を保持する初期校正値記憶部と、第一の記憶部よりもアクセスタイムが速い第二の記憶部と、を更に備え、変換部は、第一の記憶部に保持された校正値および第一のチェックコードを第二の記憶部に転送する第一の転送手段と、第二の記憶部に保持された校正値が更新されたとき、当該校正値を更新した校正値から該校正値の正当性を検証するための第二のチェックコードを算出するチェックコード算出手段と、この算出された第二のチェックコードと第二の記憶部に保持された第一のチェックコードとを比較するチェックコード比較手段と、このチェックコード比較手段によって第二の記憶部に保持された第一のチェックコードと第二のチェックコードとが相違したと判定されたとき、第二の記憶部に保持された校正値を更新した校正値および第二のチェックコードを第一の記憶部にそれぞれ転送して、第一の記憶部に保持されていた校正値および第一のチェックコードを更新する第二の転送手段と、第二の転送手段による転送処理が正常に終了したか否かを判定する転送判定手段と、この転送判定手段の判定結果が異常のとき、初期校正値記憶部に保持された初期校正値にて入力信号を校正する計測処理手段と、を備えるように構成しても良い。
【0017】
また、第一および第二のチェックコードを、校正値を順次加算して合計値としたSUM値、又は校正値を巡回計算したCRC符号とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第一の記憶部(例えば、不揮発性メモリ)に保持された校正値の更新が異常終了した場合であっても、初期校正値に切り替えて計測処理を継続することが可能となり、高信頼な計測装置を提供することができる。
【0019】
また、本発明は、特殊な計算を必要としない簡単なプログラムでチェックコード算出手段を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る計測装置の構成を示す内部構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係る計測装置におけるメモリ情報を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1に係る校正値が、複数のグループに分類される例を示す表である。
【図4】本発明の実施例1に従って変換部が実行する処理を示すフロー図である。
【図5】本発明の実施例2に係る計測装置の構成を示す内部構成図である。
【図6】本発明の実施例2に係る計測装置におけるメモリ情報を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施2に従って変換部が実行する処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図1〜図7の図面を基に説明する。尚、これらの図面は本発明の一実施形態を説明するための図面であって、これらの図面によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る計測装置の内部構成図である。図1において、100は本発明の計測装置であり、105は図示しないセンサなどから信号が与えられる入力部(被計測対象の状態に応じて所定の電気信号に変換した信号を生成する)、107は測定結果などを表示する表示部、108は各種設定操作などをする操作部、104は計測装置がネットワーク110を介して図示しない他の装置と通信する通信部である。
【0023】
102は、計測装置の校正値を保持するE2PROMやフラッシュメモリなどの不揮発
性メモリ(第一の記憶部)、103はSRAM(スタティックRAM)などの作業メモリ(第二の記憶部)、106は図示しない外部機器に制御信号などを与える出力部、101は、不揮発性メモリ102が保持した校正値により入力部105からの信号を校正した出力値を生成する変換部である。
【0024】
尚、以後に記載の本発明にて扱うSUM値(チェックコード)は、データの正当性をチェックするためのコードとして広く一般的に知られたチェックコードであり、本発明では複数の校正値を順次加算して得たものである。
【0025】
変換部101は、不揮発性メモリ102に保持された校正値およびこの校正値のSUM値(第一のチェックコード)を作業メモリ103に転送する第一の転送手段101aと、校正値を順番に加算していき、その合計値(SUM値)を求めるチェックコード算出手段101bと、作業メモリ103に転送され保持されたSUM値(第一のチェックコード)と作業メモリ103に転送され保持された校正値に対して算出したSUM値(第二のチェックコード)とを比較するチェックコード比較手段101cと、作業メモリ103に保持された校正値とこの校正値から算出したSUM値(第二のチェックコード)を不揮発性メモリ102に転送する第二の転送手段101dとを備える。
【0026】
これら第一の転送手段101a、チェックコード算出手段101b、チェックコード比較手段101cおよび第二の転送手段101dは、いずれも変換部101の内部メモリ(不図示)に保持されるプログラムである。
【0027】
また、本発明の実施例1に係る計測装置は、変換部101や入力部105、出力部106などのそれぞれの構成要素を各々モジュール構成にしても実現可能である。
概略的には上述したように構成された本発明の実施例1に係る計測装置100が特徴とするところは、不揮発性メモリに保持された計測装置の校正値(オリジナル校正値)を作業メモリに保持しておき、この作業メモリに保持された校正値が更新されると、この更新を検知し、校正値を更新するためのモード変更を行うことなく校正値を更新する点にある。
【0028】
このような特徴を備えた本発明の実施例1に係る計測装置の動作について、より詳細に説明する。
本発明の実施例1に係る計測装置100は、変換部101が不揮発性メモリ102に保持された校正値を参照し、その校正値により入力信号を校正して出力値を生成する。そして、ユーザが校正値を更新するには、計測装置に標準器(不図示)を接続して基準信号を与えるとともに、操作部108が備える所定のスイッチ(不図示)を操作する。計測装置100は、このスイッチが操作されることによって、その基準信号に対する指示値(A/D変換値など)を不揮発性メモリ102に保持するように構成されている。もしくは、ネットワーク110を介して、通信部104が校正値をダウンロードし、このダウンロードした校正値を変換部101が不揮発性メモリ102に保持するようにしても良い。或いは不揮発性メモリ102を着脱可能な記憶装置(例えば、メモリカード、ハードディスクモジュール等の補助記憶装置)として構成し、所定の校正値をこの記憶装置に予め保持させるように構成してもかまわない。要は、本発明の計測装置に所定の校正値が予め保持されるように構成されれば、校正値の保持形態が限定されるものではない。
【0029】
図2は、本発明の実施例1に係る計測装置100のメモリ情報を示す図である。図2(a)は、不揮発性メモリ102に割り付けられたメモリ情報を示す図である。ちなみに作業メモリ103は、第一の記憶部を構成する不揮発性メモリ102よりもアクセスタイムが速いSRAMなどを用いる。
【0030】
図2(a)において、200は、不揮発性メモリ102の所定のアドレスに割り付けられた校正値領域である。この校正値領域200には、変換部101が入力部105からの信号を校正する際に用いる後述(図3の説明)の所定のグループ毎に分類されたAグループ校正値201およびBグループ校正値203が保持される。202は、Aグループ校正値201を基に算出されたAグループSUM値であり、204はBグループ校正値203を基に算出されたBグループSUM値である。
【0031】
図2(b)は、作業メモリ103に割り付けられたメモリ情報を示す図である。この図において、220は、変換部101が、前述した校正値領域200に保持された校正値(201,203)およびこれらのSUM値(202,204)の退避や更新をするための更新データ領域である。Aグループ更新データ領域221は、変換部101が前述したAグループ校正値201を退避したり、校正値の更新時には通信部104や操作部108によって格納された更新データを保持する領域である。AグループSUM更新領域222は、変換部101が前述したAグループSUM値202を退避したり、このSUM値202を更新するためのデータを保持する領域である。
【0032】
また、Bグループ更新データ領域223は、変換部101が前述したBグループ校正値203を退避したり、校正値更新時には通信部104や操作部108によって格納された更新データを保持する領域である。BグループSUM更新領域224は、変換部101が前述したBグループSUM値204を退避したり、このSUM値204を更新するためのデータを保持する領域である。
【0033】
さて、図3は、計測装置の校正値を複数の所定のグループに分類した一例を示した図である。
図3(a)において、No.1〜No.nの分類は、この計測装置の入力部105に接続される機器
(センサとして例えば熱電対、測温抵抗体やサーミスタなどの温度測定用センサ)毎に校正値をグループ分けした分類の一例である。この場合、熱電対の校正値が図2に記載のAグループ校正値201に相当し、測温抵抗体の校正値が図2に記載のBグループ校正値203に相当する。更に、サーミスタなどの校正値はnグループとして図2に記載の校正値領域200に割付けられる(図2には不図示)。
【0034】
また、図3(b)は、この計測装置が複数チャネルの熱電対に接続される場合における校正値をグループ分けした一例である。図3(b)において、熱電対のチャネル1の校正値が図2に記載のAグループ校正値201に相当し、熱電対のチャネル2の校正値が図2に記載のBグループ校正値203にそれぞれ相当する。熱電対のチャネルが更に存在する場合、そのチャネル分の校正値がそれぞれグループ分けされ、図2に記載の校正値領域200に割付けられる(図2には不図示)。
【0035】
同様、図3において、各校正項目について説明する。オフセット校正値は、計測装置100の入力部105に入力(値)をゼロとした入力信号を与えたときの入力部105が次段の変換部101へ与える値(A/D変換値など)を不揮発性メモリ102に保持させた値であり、変換部101はこの値を入力(値)ゼロとして扱うことにより入力信号(値)を校正して出力値とする。
【0036】
またゲイン校正値は、計測装置100の入力部105に入力(値)をその装置に定められた仕様の最大(値)としたときの入力部105が出力する値(A/D変換値など)をメモリに保持させた値であり、変換部101はこの値を入力(値)の最大値として扱うことにより入力信号(値)を校正して出力値とする。このように、入力部105が次段の変換部101へ与える信号(値)の誤差を補正し出力値とすることにより、計測装置の保証精度を保つようにする。
【0037】
また、冷接点校正値は、熱電対での計測精度を高めるために、計測装置の端子温度(冷接点温度)をより正確に求めることを目的とした校正値である。計測装置はこの冷接点校正値を基に計測装置の端子(冷接点)温度を校正する。
【0038】
このように、計測装置の校正値は、計測装置に接続される所定の機器(センサ)毎にグループに分類されて不揮発性メモリ102にそれぞれ保持されたり、複数のチャネルを備えるセンサのチャネル毎にグループに分類されて不揮発性メモリ102にそれぞれ保持される。
【0039】
図4は、本発明の実施例1に係る、計測装置の動作を説明するフローチャートである。図4を参照しながら本発明の詳細説明をする。ここでは起動後、計測装置の初期化を目的とする状態を初期起動フェーズ(S301〜S303)とし、初期化以降の通常の運用状態を運用フェーズ(S304以降)とし、計測装置を停止する異常状態を異常フェーズ(S320)と定義する。また、本実施例にて説明するSUM値の算出を行うチェックコード算出手段101bは、変換部101が校正値を順次加算し、合計値とする変換部101が実行するプログラムである。
【0040】
さて、S301において、変換部101は、グループ毎に分類保持されたAグループ校正値201およびBグループ校正値203のそれぞれのSUM値を算出し、変換部101内の図示しない退避領域にそれぞれ転送する。
【0041】
次いで変換部101は、S302に進み、Aグループ校正値201に対応する前述したS301にて算出したSUM値と不揮発性メモリ102に保持されたAグループSUM値202、およびBグループ校正値203に対応するS301にて算出したSUM値と不揮発性メモリ102に保持されたBグループSUM値204とをそれぞれ比較する。これら対に比較したSUM値がそれぞれ等しい場合、変換部101は、校正値が正常であると判定し、S303へと移行する。これら対に比較したSUM値のいずれか一方が異なる場合は、校正値に異常があったり、不揮発性メモリに異常がある可能性が高い。したがって、このまま計測装置を運用した場合には正常に校正できないことが想定されるので、変換部101は、校正値が異常であると判定し、計測装置を稼動せずにS320(異常フェーズ)へと移行する。
【0042】
S320に移行した変換部101は、異常である校正値を含むグループ名を表示部107に通知(表示)すると共に、ネットワーク110を経由して本装置に接続される他の機器にその異常(校正値に異常を発見したことと、異常である校正値を含むグループ名)を通知する。
【0043】
S302にて校正値が正常であると判定した場合、変換部101は、S303に進む。S303において変換部101は、Aグループ校正値201、AグループSUM値202およびBグループ校正値203、BグループSUM値204を更新データ領域220にそれぞれ転送する。
【0044】
すなわち、変換部101は初期起動フェーズにおいて、Aグループ校正値201とBグループ校正値203が正常であるか否かを判定し、それぞれの校正値が正常である場合にのみ校正値を更新データ領域に転送して運用フェーズ(S304以降)に移行する。
【0045】
次いでS304に移行した変換部101は、不揮発性メモリ102に保持された校正値を基に、入力部105によって所定の電気信号に変換された入力信号を校正して出力値とする計測処理を実行する。
【0046】
変換部101の処理はS305に進み、変換部101は、S305において更新データ領域220のAグループ更新データ領域221とBグループ更新データ領域223のデータが更新されたか否かを不図示のデータ更新完了フラグにて確認する。
【0047】
S305にてデータ更新完了フラグ(不図示)がセットされてない場合、すなわちAグループ更新データ領域221とBグループ更新データ領域223のデータが両方とも更新されてない場合(S305 No)、変換部101は、S304へ移行する。
【0048】
変換部101は、S305にて前述したデータ更新完了フラグ(不図示)がセットされた場合、すなわちAグループ更新データ領域221とBグループ更新データ領域223のどちらかのデータが更新されたと判定したとき(S305 Yes)、S306へ移行す
る。
【0049】
S306において変換部101は、Aグループ更新データ領域221およびBグループ更新データ領域223の各更新データに対してSUM値をそれぞれ算出する。すなわち、変換部101は、S305の判定に基づき更新データ領域220が更新される所定の周期にて、Aグループ更新データ領域221とBグループ更新データ領域223の各更新データに対してSUM値をそれぞれ算出する。
【0050】
そして変換部101は、S307において、上述Aグループ更新データ領域221の更新データから算出されたSUM値とAグループSUM更新領域222に保持されたSUM値とを対に比較すると共に、上述Bグループ更新データ領域223の更新データから算出されたSUM値とBグループSUM更新領域224に保持されたSUM値とを対に比較する。この対に比較したSUM値のいずれか一方が異なったとき、変換部101は、更新データ領域220が以前に保持したデータとは違ったデータに書き換えられたと判定する(S307 Yes)。一方、前述した対に比較したSUM値がいずれも等しい場合(S307 No)、変換部101は、更新データ領域220に更新されたデータがこれまで保
持していたデータと同じである(不変)と判定し、前述したデータ更新完了フラグ(不図示)をクリアして計測処理S304に移行する。
【0051】
次いで、処理はS308に進み、S308において変換部101は、更新データ領域220の更新データを校正値領域200(不揮発性メモリ102)に転送する(書き込む)。
【0052】
例えば、S307において変換部101は、S303にてAグループSUM更新領域222に転送されたSUM値とAグループ更新データ領域221に保持された更新データから算出したSUM値とを比較する。この比較の結果、SUM値が相違した場合に変換部101は、S308において前述した更新データから算出したSUM値をAグループSUM更新領域222に上書きし、Aグループ更新データ領域221に保持された更新データをAグループ校正値201に転送する(書き込む)と共に、上書きされたAグループSUM更新領域222の値をAグループSUM値202に転送する(書き込む)。
【0053】
同様に、S307において変換部101は、S303にてBグループSUM更新領域224に転送されたSUM値とBグループ更新データ領域223に保持された更新データから算出したSUM値とを比較する。この比較の結果、SUM値が相違した場合に変換部101は、S308において前述した更新データから算出したSUM値をBグループSUM更新領域224に上書きし、Bグループ更新データ領域223の更新データをBグループ校正値203に転送する(書き込む)と共に、上書きされたBグループSUM更新領域224の値をBグループSUM値204に転送する(書き込む)。もちろん、Aグループ、BグループそれぞれのSUM値が異なれば両方書き込めば良い。
【0054】
変換部101は、更新データおよびそのSUM値を不揮発性メモリ102に転送した(書き込んだ)後、S309において、不揮発性メモリ102の更新された校正値およびSUMと作業メモリ103の更新データおよびSUM値とをそれぞれ比較して正常に更新できたか否かを確認する。変換部101は、比較した校正値およびSUMが一致すれば正常に更新できたと判定し、前述したデータ更新完了フラグ(不図示)をクリアしてS304に移行(S309 Yes)する。S304に移行したら、変換部101は、更新された
校正値を基に、入力信号を校正する。
【0055】
同様にS309において、変換部101は、互いに比較した校正値またはSUMのいずれかが相違すれば更新が異常終了したと判定する(S309 No)。この異常終了は、
不揮発性メモリの破損など、何らかの異常によって発生したと想定される。このため、変換部101は、S320の異常処理(異常フェーズ)に移行する。
【0056】
そして、S320に移行した変換部101は、不揮発性メモリに保持された校正値の更新が異常であったことを通知(表示)すると共に、ネットワーク110を経由して本計測装置に接続される他の機器に不揮発性メモリ102に保持された校正値の更新が異常終了したことを通知する。
【0057】
この例では、S303にてAグループSUM更新領域222にはAグループSUM値202を転送したデータが保持され、BグループSUM更新領域224にはBグループSUM値204を転送したデータが保持されたものとして説明した。これは、校正値領域200にE2PROMなどの不揮発性メモリを使用した場合に、データの読み出しに時間を費
やすことから、高速に読み書きできるアクセスタイムの速いSRAMなどの作業メモリ103に予め退避しておくことで、SUM値の比較チェックが高速になる点と、対象とする不揮発性メモリの種類に関係なくSUM値の比較プログラムを同じ構造にできるメリットがあるためである。
【0058】
尚、SUM値の比較方法は、AグループSUM値202とBグループSUM値204を作業メモリ103に転送せずに不揮発性メモリに保持されたオリジナルのSUM値(202,204)と、更新データ領域(221,223)の更新データに対して算出したSUM値とを比較しても良い。
【0059】
この場合S307において変換部101は、AグループSUM値202とAグループ更新データ領域221に保持された更新データから算出したSUM値とを比較する。この比較の結果、SUM値が相違した場合(S307 Yes)に変換部101は、S308に
おいて、Aグループ更新データ領域221に保持された更新データをAグループ校正値201に転送する(書き込む)と共に、前述した更新データから算出したSUM値をAグループSUM値202に書き込む。
【0060】
同様S307において、変換部101は、BグループSUM値204とBグループ更新データ領域223に保持された更新データから算出したSUM値とを比較する。この比較の結果、SUM値が相違した場合(S307 Yes)に変換部101は、Bグループ更
新データ領域223に保持された更新データをBグループ校正値203に転送する(書き込む)と共に、前述した更新データから算出したSUM値をBグループSUM値204に書き込む。もちろん、それぞれのSUM値が異なれば両方書き込めば良い。
【0061】
また、更新データ領域220に保持される更新データは、通信部104がネットワーク110経由にて更新したり、操作部108を操作することで、更新することができるようになっている。そして、本発明の計測装置100は、前述したデータ更新完了フラグ(不図示)がクリア状態のときに変換部101以外に更新データ領域220の書き換えが許可され、データ更新完了フラグ(不図示)がセット状態のときには、変換部101以外に更新データ領域220の書き換えが許可されないように制御(排他論理条件)している。また、本発明は、変換部101にデータ更新を伝える方法として、フラグのやりとり以外に割込にて行うことも可能である。
【0062】
また、前述した実施例は、校正値の正当性を検証するためのチェックコードとしてSUM値を例に説明したが、本発明の計測装置は、CRC(Cyclic Redundancy Check)など
の巡回計算された符号をチェックコードとしても良い。
【0063】
以上のように、本発明は、不揮発性メモリに保持された計測装置の校正値(オリジナル校正値)およびそのオリジナル校正値から算出されたチェックコード(オリジナルSUM値)を、計測装置の初期起動時にSRAMに退避する。
【0064】
そして、変換部101は、計測装置稼動中に校正値を更新するためのモード変更などすることなく前述したSRAMに退避されたオリジナル校正値がその更新を目的とする更新データに更新されると、その更新データに対するSUM値を算出する。
【0065】
本発明の計測装置は、この算出したSUM値とSRAMに退避したオリジナルSUM値とを比較し、その結果、互いのSUM値が異なると判定されたとき、不揮発性メモリに保持されたオリジナル校正値とオリジナルSUM値を書き換えている。そして、本発明の計測装置は、校正値更新後も更新された校正値を基に入力信号を校正するようにしているので、計測装置稼動中に校正値を更新するためのモード変更などをすることなく校正値を更新し、それを計測処理に反映することが可能となった。
【0066】
また、本発明は、更新データから算出されたSUM値と不揮発性メモリよりもアクセスタイムの速いSRAMに保持されたSUM値(オリジナル校正値のSUM値コピー)を比較するようにしたので、更新データがオリジナル校正値と違ったデータパターンであることを、短時間に検出することが可能となった。
【0067】
また、本発明は、SUM値の比較結果にて校正値の更新をするようにしたので、不揮発性メモリに対する校正値の更新を抑制すること、すなわち不要な書込みを阻止することができるため、長寿命な計測装置を提供することが可能となった。
【0068】
また、本発明は、オリジナル校正値およびオリジナルSUM値を所定の複数のグループに予め分類して不揮発性メモリにそれぞれ保持し、計測装置の初期起動時(初期起動フェーズ)において、各グループ分類されたオリジナル校正値から算出されたそれぞれのSUM値と、これらのSUM値に対応する各オリジナルSUM値とをそれぞれ比較している。この結果、本発明の計測装置は、比較対象としたSUM値が相違した場合に、計測装置を稼動せずに異常処理(異常フェーズ)に移行する。
【0069】
また、本発明の計測装置は、異常処理(異常フェーズ)にて、相違した校正値が含まれるグループをユーザに通知するようにした。こうすることで本発明の計測装置は、校正値の破損による計測不良を回避でき、それと共に破損した校正値を容易に特定できるので、不具合の原因究明の時間を大幅に削減することが可能となった。更に本発明の計測装置は、破損した校正値のグループに属する校正作業のみを実施し、そのグループの校正値を修復すれば良いため、校正値の更新に対するユーザの負担や時間を節約することが可能となった。
【0070】
そして本発明は、計測装置の初期起動時(初期起動フェーズ)において、校正値のSUM値の比較をすることによりオリジナル校正値が正常であるか否かを判定した結果、校正値が正常である場合にのみ運用フェーズに移行するようにしたので、誤計測処理をしない信頼性の高い計測装置を提供することが可能となった。
【実施例2】
【0071】
次に本発明の実施例2に係る計測装置について図5〜7を参照しながら説明する。
この実施例2が上述した実施例1と異なるところは、図5において、図1に対して転送判定手段101eと計測処理手段101fが付加された点、図6において、図2に対して不揮発性メモリ102に割付される初期校正値(計測装置を製造初期に校正した値であり、すなわちメーカ出荷時の校正値である)領域が付加された点、図7において、図4に対してプログラムの処理であるS310が付加された点にある。
【0072】
また、図5〜7において図1〜4と同様な構成は同符号にて記載し、実施例1と重複する説明は省略する。
図5は、本発明の実施例2に係る計測装置の内部構成図である。図5において図1との相違点は、作業メモリ103(第二の記憶部)に保持された校正値およびこの校正値から算出されたチェックコード(第二のチェックコード)がそれぞれ不揮発性メモリ102(第一の記憶部)に正常に転送されたか否かを判定する転送判定手段101eと、この転送判定手段101eにより作業メモリ103から不揮発性メモリ102への転送が異常であると判定されたとき、初期校正値にて入力信号を校正する計測処理手段101fとが付加されている点である。
【0073】
すなわち、変換部101は、不揮発性メモリ102に保持された校正値およびこの校正値のSUM値(第一のチェックコード)を作業メモリ103に転送する第一の転送手段101aと、校正値を順次加算していき合計値(SUM値)とするチェックコード算出手段101bと、作業メモリ103に転送され保持されたSUM値(第一のチェックコード)と作業メモリ103に転送され保持された校正値に対して算出したSUM値(第二のチェックコード)とを比較するチェックコード比較手段101cと、作業メモリ103に保持された校正値と、この校正値から算出したSUM値(第二のチェックコード)を不揮発性メモリ102に転送する第二の転送手段101dと、この第二の転送手段による転送が正常に転送されたか否かを判定する転送判定手段101eおよびこの転送判定手段101eにより作業メモリ103から不揮発性メモリ102への転送が異常であると判定されたとき、初期校正値にて入力信号を校正する計測処理手段101fを備える。
【0074】
これら第一の転送手段101a、チェックコード算出手段101b、チェックコード比較手段101c、第二の転送手段101d、転送判定手段101eおよび計測処理手段101fは、いずれも変換部101の内部メモリ(不図示)に保持されるプログラムである。
【0075】
図6は、本発明の実施例2に係る計測装置100の不揮発性メモリ102と作業メモリ103に割り付けされたメモリ情報を示す図である。ちなみに作業メモリ103は、第一の記憶部を構成する不揮発性メモリ102よりもアクセスタイムが速いSRAMなどを用いる。
【0076】
概略的には上述したように構成された本発明の実施例2に係る計測装置100が特徴とするところは、不揮発性メモリ102に保持された計測装置の校正値(オリジナル校正値)を作業メモリ103に転送しておき、この作業メモリに保持された校正値が更新されると、この更新を検知して不揮発性メモリ102の校正値を更新する点であり、更にこの更新が正常に行われなかった場合には、メーカ出荷時の校正値にて入力信号を校正することにある。この発明の計測装置におけるメーカ出荷時の校正値(初期校正値)とは、計測装置を製造するメーカが出荷時に行う校正作業による校正値であり、後に不変の校正値である。
【0077】
このような特徴を備えた本発明の実施例2に係る計測装置の動作について、より詳細に説明する。
さて図6は、図2と本発明の実施例2に係る計測装置100のメモリ情報を示す図である。
【0078】
図6(a)は図2(a)と概略同様であるが、その相違点は、計測装置を製造初期に校正した値、すなわちメーカ出荷時の校正値を保持する初期校正値領域210が不揮発性メモリ102に割付される点である。この初期校正値領域210には、メーカ出荷時の校正値である初期校正値211およびこの初期校正値211を基に算出したSUM値(初期校正値SUM値)が保持される。
【0079】
図6(b)は、実施例1の図2(b)と同様であるので、この説明を省略する。
尚、図6において、グループ分類された校正値領域200の校正値は、図3のように分類されるので、その分類および校正項目の説明は省略する。
【0080】
図7は、本発明の実施例2に係る計測装置の動作を説明するフローチャートである。この図において、図4との相違点は更新不良処理S310が付加された点である。その他の処理に関しては実施例1における図4の説明と概略同様である。
【0081】
以降の説明は実施例1と同様の部分を省略し、相違する点を中心に説明する。
まず図7において、S301〜S303(初期起動フェーズ)およびS320(異常フェーズ)は実施例1の説明と同様であるのでその説明を省略する。
【0082】
また、運用フェーズであるS304〜S310において、S305〜S309の説明は実施例1での説明と同様であるのでその説明を省略する。
すなわち、実施例2の運用フェーズにおける実施例1との相違点は、S304とS310の動作にあり、この動作を中心に説明する。
【0083】
さて、S310の前処理であるS309で校正値領域200の校正値が正常に更新できなかったと判定した(S309 No)変換部101は、S310において、S308の
転送が不良であったことを示す更新不良フラグ(不図示)をセットすると共にS304に移行する。
【0084】
S304に移行した変換部101は、更新不良フラグ(不図示)を参照し、このフラグがセットされていたとき、初期校正値領域210の初期校正値211を基に入力信号を校正する。すなわち、S304において変換部101は、更新不良フラグ(不図示)がセットされていれば初期校正値領域210の校正値(初期校正値211)にて入力信号を校正し、更新不良フラグ(不図示)がリセットされていれば校正値領域200の校正値(Aグループ校正値、Bグループ校正値)を基に入力信号を校正する。
【0085】
尚、不揮発性メモリ102は、揮発性メモリを電池などでバックアップしたバックアップメモリとしても良い。
また、初期起動フェーズにおいて変換部101は、初期校正値領域210の初期校正値211に対してSUM値を算出して、この算出されたSUM値と初期校正値SUM値212とを比較し、互いのSUMが相違したとき、異常処理320に移行する処理を付加しても良い。この場合S320に移行した変換部101は、初期校正値211が異常であることを表示部107に表示すると共に、ネットワーク110を経由して本装置に接続される他の機器に向けてその異常(初期校正値211が異常であること)を通知する。
【0086】
尚、ここではA,Bの二つのグループについて説明したが、上述した方法に準じて更にグループを増やすことも勿論可能である。
以上のように、実施例2にて説明した計測装置は、実施例1に記載の計測装置に加えてメーカ出荷時の校正値を更に備え、校正値の更新が正常にできなかった場合、メーカ出荷時の校正値にて入力信号を校正するようにした。このようにすることにより、本発明は、校正値の更新に失敗したとしても、継続して計測処理を実行できる信頼性の高い計測装置を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0087】
100 計測装置
101 変換部
101a 第一の転送手段
101b チェックコード算出手段
101c チェックコード比較手段
101d 第二の転送手段
101e 転送判定手段
101f 計測処理手段
102 不揮発性メモリ
103 作業メモリ
104 通信部
105 入力部
106 出力部
107 表示部
108 操作部
110 ネットワーク
200 校正値領域(不揮発性メモリ)
201 Aグループ校正値
202 AグループSUM値
203 Bグループ校正値
204 BグループSUM値
210 初期校正値領域(不揮発性メモリ)
211 初期校正値
212 初期校正値SUM値
220 更新データ領域(作業メモリ)
221 Aグループ更新データ領域
222 AグループSUM更新領域
223 Bグループ更新データ領域
224 BグループSUM更新領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計測対象の状態に応じて所定の電気信号に変換した入力信号を生成する入力部と、
この入力部が生成した前記入力信号を校正する校正値および当該校正値の正当性を検証するための第一のチェックコードを保持する第一の記億部と、
この第一の記憶部が保持した前記校正値により前記入力信号を校正した出力値を生成する変換部と、
を具備した計測装置であって、
当該計測装置を最初に校正したときの初期校正値を保持する初期校正値記憶部と、を更に有し、
前記変換部は、
前記第一の記憶部に保持された校正値を前記第二の記憶部に転送する第一の転送手段と、
前記第二の記憶部に保持された校正値が更新されたとき、当該校正値を更新した校正値から該校正値の正当性を検証するための第二のチェックコードを算出するチェックコード算出手段と、
この算出された第二のチェックコードと前記第一のチェックコードとを比較するチェックコード比較手段と、
このチェックコード比較手段によって前記第一のチェックコードと前記第二のチェックコードとが相違したと判定されたとき、前記第二の記憶部に保持された校正値を更新した校正値および前記第二のチェックコードを前記第一の記憶部にそれぞれ転送して、前記第一の記憶部に保持されていた前記校正値および前記第一のチェックコードを更新する第二の転送手段と、
前記第二の転送手段による転送処理が正常に終了したか否かを判定する転送判定手段と、
この転送判定手段の判定結果が異常のとき、前記初期校正値記憶部に保持された前記初期校正値にて前記入力信号を校正する計測処理手段と、を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
被計測対象の状態に応じて所定の電気信号に変換した入力信号を生成する入力部と、
この入力部が生成した前記入力信号を校正する校正値および該校正値の正当性を検証するための第一のチェックコードを保持する第一の記億部と、
この第一の記憶部が保持した前記校正値により前記入力信号を校正した出力値を生成する変換部と、を具備した計測装置であって、
当該計測装置を最初に校正したときの初期校正値を保持する初期校正値記憶部と、
前記第一の記憶部よりもアクセスタイムが速い第二の記憶部と、を更に備え、
前記変換部は、
前記第一の記憶部に保持された校正値および第一のチェックコードを前記第二の記憶部に転送する第一の転送手段と、
前記第二の記憶部に保持された校正値が更新されたとき、当該校正値を更新した校正値から該校正値の正当性を検証するための第二のチェックコードを算出するチェックコード算出手段と、
この算出された第二のチェックコードと前記第二の記憶部に保持された前記第一のチェックコードとを比較するチェックコード比較手段と、
このチェックコード比較手段によって前記第二の記憶部に保持された第一のチェックコードと前記第二のチェックコードとが相違したと判定されたとき、前記第二の記憶部に保持された校正値を更新した校正値および前記第二のチェックコードを前記第一の記憶部にそれぞれ転送して、前記第一の記憶部に保持されていた前記校正値および前記第一のチェックコードを更新する第二の転送手段と、
前記第二の転送手段による転送処理が正常に終了したか否かを判定する転送判定手段と、
この転送判定手段の判定結果が異常のとき、前記初期校正値記憶部に保持された前記初期校正値にて前記入力信号を校正する計測処理手段と、を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の計測装置であって、
前記第一および第二のチェックコードは、前記校正値を順次加算して合計値としたSUM値、又は前記校正値を巡回計算したCRC符号であることを特徴とする計測装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−83667(P2013−83667A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2476(P2013−2476)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2008−51524(P2008−51524)の分割
【原出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】