説明

計算学習玩具

【課題】 この発明は水車を利用することにより遊びの要素を高め、かつアトランダムな出題が可能で親子で計算を競うことのできる計算学習玩具を得ることを課題とするものである。
【解決手段】 筐体1内に大径・小径2つの水車8,9を同軸に固定する。前記大径の水車8は中空部を有し、前記小径9の水車は大径の水車8の中空部に装着する。前記筐体1の上部には水の流入口2を、下部には水の流出口7をそれぞれ設ける。前記2つの水車の側板表裏にはそれぞれ数字14,24を円周状に等間隔で表示し、前記筐体1には前記2つの水車8,9に表示された各1文字を表示する表示窓26,27を2つ並列して設け、前記2つの表示窓の間には乗算記号29、加算記号のいずれかを表示して計算学習玩具を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、児童がおふろで楽しみながら計算練習を行うことのできる計算学習玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来おふろで計算練習ができるようにしたものとしては、発泡剤製の板など水に浮く素材に数字を表示したものが提案されている。水車を利用したものとしては、筐体内に2つの水車を左右に並べて配設し、筐体の正面壁に設けた2つの表示窓に各水車の数字が表示されるようにした出願人の製品が存在するのみである。
そして、特許文献としては以下の程度しか発見されていない。
【特許文献1】特開2004−89644号公報 実開昭62−39796号公報
【0003】
前者の文献に開示された発明は、水に浮かべると必ず上を向く面と下を向く面とを有するようにした板体を利用し、その上を向く面に問題を表示し、下を向く面に回答を表示したものであって、問題は固定されている。
後者の文献に開示された発明は、水車を利用したものであるが、水車の回転によって首振り動作をさせるものであり、計算練習を行うものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は水車を利用することにより遊びの要素を高め、かつアトランダムな出題が可能で親子で計算を競うことのできる計算学習玩具を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
筐体内に大径・小径2つの水車を同軸に固定する。前記大径の水車は中空部を有し、前記小径の水車は大径の水車の中空部に装着する。前記筐体の上部には水の流入口を、下部には水の流出口をそれぞれ設ける。前記2つの水車の側板表裏にはそれぞれ数字を円周状に等間隔で表示し、前記筐体には前記2つの水車に表示された各1文字を表示する表示窓を2つ並列して設け、前記2つの表示窓の間には乗算記号、加算記号のいずれかを表示して計算学習玩具を構成する。
【0006】
前記水車は、数字を表示する側板と羽根又はバケットなどの水受部を有するものであれば具体的な形態は問わない。例えば、1枚の側板の周縁に複数の羽根を突設した構成とすることもできる。
前記水の流入口から筐体に流入した水は、絞られて各水車の一側に落下するように構成する。そして、大水車と小水車が逆回転するように落下口を反対側に設けることが好ましいが、同じ側に設けて同方向に回転させても良い。
前記側板に表示する数字は、一般的には1ないし9であるがこれに限られない。
前記2つの表示窓は筐体の正面壁にのみ設けても良いが、正面壁と背面壁の双方に設けることが好ましい(請求項2)。
【0007】
請求項3の発明は、筐体に2つの水車の回転を停止させるためのストッパーボタンを設け、このストッパーボタンの裏面に設けられた係止部が水車に係止することにより水車の回転が停止するようにしたものである。
前記ストッパーボタンの構成に対応させて各水車に係止部を設ける。ストッパーボタンは各水車に対応させて2つ設ける構成の他、一つのストッパーボタンで2つの水車に係止し得るように構成することもできる。
【0008】
請求項4の発明は 筐体に大水車の固定部材を設け、この固定部材の先端が大水車の周縁に等間隔で形成された係止部にラチェット状に係止し、大水車の水流による回転が規制されるようにしたものである。
この構成により、大水車の表示窓に表れる数字を固定することができ、かけ算練習の際に「段」を固定して出題することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の計算学習玩具は主に風呂で使用されるものである。
この計算学習玩具を浴槽に沈めると、水流入口から湯が筐体内に流入する。ついでこれを湯船から出すと、湯が落下することにより大小2つの水車が回転する。慣性力が絶えると水車の回転が止まり、2つの表示窓に大小の水車に表示された数字が表示される。なお、請求項2の発明においてはストッパーボタンの操作により水車の回転を止めることができる。
そこで、2つの表示窓に表示された数字によって得られた計算問題を解く。問題はアトランダムに設定されることとなる。この計算学習玩具では筐体の両面に表示窓が設けてあるので、同じ問題を筐体の両側から見ることができる。すなわち、親子又は兄弟で風呂に入っているとき、二人で同じ問題を解く過程でコミュニケーションが促進され、児童の学習意欲が刺激される。
請求項3の発明においては、大水車の回転を止めることができるので、所望の「段」のかけ算を集中的に練習することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
筐体1の上部に水流入口2が大きく開口しており、この水流入口2の下方に塞板3が形成してある。この塞板3の一側には大水車の羽根に水を落下させるための落下孔4が、他側には小水車の羽根に水を落下させるための落下孔5が形成してあり、前記塞板3は各落下孔4,5に向けた傾斜面6を有している。
前記筐体1の下部には水の流出口7が設けてある。
【0011】
前記筐体1内の塞板3の下方に大水車8と小水車9とが同軸に固定して配設してある。
前記大水車8は、円盤状とした第一の側板10とドーナツ状とした第二の側板11とをスペーサ突起12を介して対向させて連結し、前記第一の側板10の周縁部内側面に複数の羽根板13を等間隔で設けて構成してあり、第一の側板10の周縁部及び第二の側板11には1ないし9の数字14が等間隔で表されている。両側板の数字14は同じ位置に同じ数字が表されている。また隣接する数字の間には適宜の図柄15が表されている。
また、前記第二の側板11の表面内周部には係止突起16が9個等間隔で設けてあり、回転停止時に、後に述べるストッパー杆32の突起との係止によって前記数字14が後に述べる表示窓26に表れるようにしてある。また、外周縁には全周に亘りギヤ歯17が形成してある。図中符号18、38は回転軸であり、回転軸38は筐体1に形成した回転軸39に嵌装される。
また筐体1の下端部には大水車8の下端部に対応して切欠部19が形成してあり、この切欠部19から大水車8の下端部が突出している。この切欠部19も水の流出口となる。
【0012】
前記小水車9は、円盤状とした第一の側板20と同じく円盤状とした第二の側板21とを対向させて連結してあり、両側板20,21の直径は前記大水車の第二の側板11の内径よりも小さくしてある。そして、小水車9は前記大水車8の中空部に嵌装され、第二の側板21と大水車8の第二の側板11とはほぼ面一となっている。
前記第一の側板20の中心には前記大水車8に形成された回転軸18が嵌装される凸部22が形成され、その周囲には複数の羽根板23が環状等間隔に設けてある。そして、前記両側板20,21には1ないし9の数字24が等間隔で表されている。両側板の数字24は同じ位置に同じ数字が表されている。
前記第二の側板21の表面外周部には係止突起25が等間隔で設けてあり、回転停止時に、後に述べるストッパー杆32の突起との係止によって前記数字24が後に述べる表示窓27に表れるようにしてある。
【0013】
前記筐体1の正面壁には、2つの表示窓26,27が横に並んで配設してあり、その上方にも表示窓28が配設してある。前記外側の表示窓26は大水車8に表示された数字を表示するものであり、内側の表示窓27は小水車9に表示された数字を表示するものである。また、上方の表示窓28は大水車8に表された図柄15を表示するものである。
前記2つの表示窓26と27の間には乗算記号(×)29が、表示窓27の右側には「=?」の記号30が表示してある。
また、筐体1の背面壁にも上記と同じ配置で3つの表示窓26a、27a、28aが設けてあり、正面壁と同様に乗算記号29a、記号30aが表示してある。
【0014】
前記筐体1の正面壁の下部裏面左右中央にはストッパー杆32を取り付けるための突起が形成してあり、この突起にストッパー杆32の中央に形成した装着孔33が嵌着している。
このストッパー杆32は、平面へ字状をなし、右側下面には前記小水車9の第二の側板21に形成された係止突起25に係止する突起33が設けてあり、ストッパー杆32の左側下面には前記大水車8の第二の側板11に形成された係止突起16に係止する突起34が設けてある。
前記ストッパー杆32は合成樹脂製で前記装着孔33を中心として左右がそれぞれ上下方向に弾性変形可能としてある。そして、ストッパー杆32の両端部上面には押しボタン35、36が設けてあり、この押しボタン35,36は前記筐体1の孔から筐体の正面側へ突出している。
そして、前記ストッパー杆32は常時は筐体正面壁側に位置して両水車8.9と係止せず両水車は自由に回転でき、前記押しボタン35、36を押すとストッパー杆32の突起33,34が各水車の係止突起25,16に係止して、水車の回転が停止するようにしてある。
【0015】
前記筐体1の側壁内面には前記大水車8の回転を規制するための固定部材37の装着溝が、固定部材37が正面側と背面側との間を移動できるように形成してあり、この装着溝に固定部材37が装着してある。
この固定部材37は筐体1から突出したレバー37aと筐体内の操作部37bとで構成してある。前記操作部37bは前記大水車8の第二の側板11に形成されたギヤ歯17にラチェット状に係止する形態であって、大水車8の水流による回転を規制し、逆方向の回転を許容するようにしてある。なお、前記大水車の回転規制は、水流による回転が規制されればよく、手で回すことができてもよい。
この固定部材37は、背面側に位置するときには前記ギヤ歯17に係止せず、正面側に位置するときにのみギヤ歯に係止するようにしてある。
【0016】
以下この実施形態の作動並びに使用方法を説明する。
筐体1を浴槽に沈めて水流入口2から湯を入れて浴槽から引き上げると、塞板3の上方に溜まった湯が2つの落下孔4,5から大小の水車の羽根板13,23に落下し、大小の水車8,9はそれぞれ反対方向に回転する。なお、風呂以外でも使用できることは勿論である。
塞板3の上に溜まった湯が全て落下すると大小の水車8,9の回転は停止するが、途中で回転を止めたい場合は、押しボタン35,36を押してストッパー杆32の突起33,34を水車の係止突起25,16に係止させると水車は停止する。このとき、左右の押しボタンの押す時期を変えることによって水車の停止時期をずらすこともできる。
【0017】
大小の水車8,9の回転が止まると、停止位置に対応して大水車8の数字14が外側の表示窓26に、小水車9の数字24が内側の表示窓27に、そして大水車8の数字14の間に表された図柄15が上方の表示窓28に表示される。また、筐体の背面においても同じ数字、図柄が各表示窓26a,27a,28aに表示される。
すなわち、予め表示された乗算記号29,29aと合わせると、2つの表示窓によってかけ算の問題が表示されることとなり、同じ問題が筐体の正面側と背面側に表示される。その結果、例えばこの学習具を子どもが持ち、正面を自分の方に向け、背面を親の方に向ければ親子で同じ問題を同時に見ることができる。
ここで、子どもが問題の解答を口で答えると、親はすぐに回答の正否を判断することができる。また子どもがかけ算に上達してくると、親子で、又は兄弟で早く答える競争をすることもできる。
【0018】
かけ算(九九)の学習は、2の段から9の段へと段毎に行われている。そこで、学習初期においては段を固定して出題する必要がある。
その場合は、固定部材37を正面側に移動させて操作部37bを大水車8のギヤ歯17に係止させる。次いで、大水車8の筐体1から突出した下部を手で操作して大水車8を回し、外側の表示窓26,26aに所望の数字を表示する。
この状態で筐体1を浴槽に沈めて前記と同様に塞板3から羽根板に湯を落下させると、大水車8は固定部材37によって回転が規制されているので、小水車9のみが回転する。したがって、表示窓27,27aに表示される数字のみが変化するので、所望の段の問題のみが表示されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明は、おふろでの遊びの要素を備えつつ、アトランダムに問題を設定でき、かつ正面側・背面側の双方から問題を見ることのできる計算学習玩具であり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明実施形態の正面側斜視図
【図2】同じく背面図
【図3】同じく筐体の断面図
【図4】同じく平面図
【図5】同じく大水車の分解斜視図
【図6】同じく小水車の分解斜視図
【図7】同じく大小の水車の端面図
【図8】同じくストッパー杆の斜視図
【図9】同じく固定部材の平面図
【符号の説明】
【0021】
1 筐体
2 流入口
3 塞板
4、5 落下孔
6 傾斜面
7 流出口
8 大水車
9 小水車
10 第一の側板
11 第二の塞板
12 スペーサ突起
13 羽根板
14 数字
15 図柄
16 係止突起
17 ギヤ歯
18 回転軸
19 切欠部
20 第一の側板
21 第二の塞板
22 凹部
23 羽根板
24 数字
25 係止突起
26,27,28、26a,27a,28a 表示窓
29、29a 乗算記号
30,30a 記号
32 ストッパー杆
33、34 突起
35,36 押しボタン
37 固定部材
37a レバー
37b 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に大径小径2つの水車が同軸に固定され、
前記大径の水車は中空部を有し、小径の水車は前記大径の水車の中空部に装着され、
前記筐体の上部には水の流入口が、下部には水の流出口がそれぞれ設けられ、
前記2つの水車の側板表裏にはそれぞれ数字が円周状に等間隔で表示され、
前記筐体には前記2つの水車に表示された各1文字を表示する表示窓が2つ並列して設けられ、
前記2つの表示窓の間には乗算記号、加算記号のいずれかが表示された、
計算学習玩具
【請求項2】
2つの表示窓は、筐体の正面壁と背面壁の双方に設けられた、請求項1記載の計算学習具
【請求項3】
筐体には2つの水車の回転を停止させるためのストッパーボタンが設けられ、このストッパーボタンの裏面に設けられた係止部が水車に係止することにより水車の回転が停止するようにした、請求項1又は2記載の計算学習玩具
【請求項4】
筐体には大水車の固定部材が設けられ、この固定部材の先端に大水車の周縁に等間隔で形成された係止部にラチェット状に係止し、大水車の水流による回転が規制されるようにした、
請求項1ないし3の何れかに記載の計算学習玩具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−50060(P2007−50060A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236241(P2005−236241)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】