説明

計算機システムおよびタイマ制御方法

【課題】1つのハードウェアタイマを使用して、複数のタイマ処理を実現可能にする。
【解決手段】ソフトウェアタイマの種類毎にカウンタ値および割り込み値をそれぞれ格納できるタイマテーブル21および割り込みテーブル22が備えられている、割り込み設定部5は、割り込みテーブル22に格納されている割り込み値のうちの最小の値をインターバルタイママッチレジスタ12に格納するようにして、優先馴致判定処理部15は、インターバルタイマ割り込みが発生した場合には、その旨をベクタ番号とともに割り込み処理部6に通知する。従って、割り込み処理部6では、ベクタ番号によりタイマ割り込みが発生したタイマの種類を特定することが可能となり、インターバルタイムカウンタ11という1つのハードウェアタイマのみを使用することにより、複数のタイマ処理を実現することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア命令により指示されたタイマ値のタイマ処理を行う計算機システムおよびタイマ制御方法に関し、特に複数のタイマ処理機能を実現するための計算機システムおよびタイマ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なソフトウェアが実行される計算機システムでは、設定された時間を計時するためにタイマ処理が行われる。そして、このような計算機システム上で複数のソフトウェアが同時に実行される場合には、複数のタイマ処理機能を実現する必要がある。従来の計算機システムでは、複数のタイマ処理を実現するためにSW(ソフトウェア)命令に定義してあるタイマの種類と同等、もしくは機能レベル単位のタイマをハードウェアに備える必要があった。しかし、実現しようとするタイマ処理機能に応じた数のハードウェアタイマを備えるようにしたのでは、回路規模および面積が大きくなりコストアップの要因になってしまう。
【0003】
このような弊害を回避するため、実現しようとするタイマ処理機能毎にハードウェアタイマを必要としない計算機システムが従来から提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この特許文献1では、複数のタイマ値のなかから一定条件で1つを選択し、現在の時刻を計時する特定なタイマ値との比較を行うことにより、1組のタイマ機構ハードウェアを具備した情報処理装置に複数のタイマ機構を機能的に可能にするシステムが記載されている。
【0005】
しかし、この特許文献1に記載されている仮想計算機システムの計時方式は、ソフトウェア上のタイマ形式とハードウェアが装備しているタイマ形式が同一の形式であることが前提である。そのため、この従来技術では、OSの仕様に準じたハードウェアを装備している必要がある。さらに、この特許文献1記載の計算機システムではTOD(タイムオブデイ)とCPT(CPUタイマ)の2種類のタイマを1組のハードウェアタイマとして使用しているため、単一のハードウェアタイマによりタイマ処理を実現しているのではない。
【特許文献1】特開昭63−263513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の計算機システムでは、複数のタイマ処理を実現しようとすると、複数のハードウェアタイマが必要になるという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、1つのハードウェアタイマを使用して、複数のタイマ処理を実現可能にする計算機システムおよびタイマ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の計算機システムは、タイマ命令により指示されたタイマ値のタイマ処理を行う計算機システムであって、
プロセッサのクロックと連動してカウンタ値をカウントアップさせるインターバルタイムカウンタと、
インターバルタイマ割り込みを発生させたい割り込み値を格納するインターバルタイママッチレジスタと、
インターバルタイマ割り込みが発生したタイマの種類を特定するためのベクタ番号を格納するインターバルタイマベクタレジスタと、
発生したインターバルタイマ割り込みをアーキテクチャに基づき処理する割り込み処理部と、
前記インターバルタイムカウンタのカウント値が、前記インターバルタイママッチレジスタに格納されている割り込み値と等しくなった場合、インターバルタイマ割り込みを発生させる一致回路と、
前記一致回路においてインターバルタイマ割り込みが発生した場合、前記割り込み処理部にインターバルタイマ割り込みが発生したことを前記インターバルタイマベクタレジスタに格納されているベクタ番号と共に通知するタイマ割り込み通知部と、
タイマ命令により指定されたタイマ値をコンピュータで処理可能な形式であるカウント値へ変換するタイマ変換部と、
前記タイマ変換部にて変換されたカウンタ値を、ソフトウェア上のタイマの種類毎に格納するためのタイマテーブルと、
前記インターバルタイママッチレジスタに設定する割り込み値を前記各種タイマ毎に格納するための割り込みテーブルと、
前記タイマテーブルから格納されているカウンタ値を読出し、該カウンタ値と前記インターバルタイムカウンタから読出した現在のインターバルタイムカウント値とを加算して、該加算結果を割り込み値として前記割り込みテーブルに格納し、前記割り込みテーブルに格納されている割り込み値のうち最小の値を検索して前記インターバルタイママッチレジスタに格納するとともに格納した該割り込み値に対応したタイマの種類を特定するためのベクタ番号を前記インターバルタイマベクタレジスタに格納し、前記割り込み処理部から割り込み処理が完了した旨を通知されると、割り込み処理が完了したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値を前記タイマテーブルおよび前記割り込みテーブルから削除して、次にインターバルタイママッチレジスタに設定するための割り込み値を前記割り込みテーブルの中から検索する割り込み設定部とから構成されている。
【0009】
本発明によれば、ソフトウェアタイマの種類毎にカウンタ値および割り込み値をそれぞれ格納できるタイマテーブルおよび割り込みテーブルを備え、割り込み設定部は、割り込みテーブルに格納されている割り込み値のうちの最小の値をインターバルタイママッチレジスタに格納するようにして、割り込み通知部は、インターバルタイマ割り込みが発生した場合には、その旨をベクタ番号とともに割り込み処理部に通知するようにしている。従って、割り込み処理部では、ベクタ番号によりタイマ割り込みが発生したタイマの種類を特定することが可能となり、インターバルタイムカウンタという1つのハードウェアタイマのみを使用することにより、複数のタイマ処理を実現することが可能となる。
【0010】
本発明の他の計算機システムでは、前記割り込み設定部は、前記割り込みテーブルから読み出した割り込み値が、前記インターバルタイムカウンタのカウント値より小さい場合、読み出した割り込み値を前記インターバルマッチレジスタに設定することなく、前記割り込み処理部にインターバルタイマ割り込みがあった旨を通知して、通知した該割り込みが発生したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値を前記タイマテーブルおよび前記割り込みテーブルから削除するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、ソフトウェアタイマの種類毎にカウンタ値および割り込み値をそれぞれ格納し、タイマ割り込みが発生した場合にはベクタ番号により割り込みが発生したタイマの種類を特定するようにしているので、1つのハードウェアタイマを使用して複数のタイマ処理を実現することが可能になるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態の計算機システムは、プログラム制御により動作するコンピュータ(中央処理装置、プロセッサ)1と、記憶装置2と、SW命令処理部3と、タイマ変換部4と、割り込み設定部5と、割り込み処理部6とから構成されている。
【0014】
また、コンピュータ1は、インターバルタイムカウンタ11と、インターバルタイママッチレジスタ12と、インターバルタイマベクタレジスタ13と、一致回路14と、優先順位判定処理15とを含む。ここで示すコンピュータ1は、プロセッサのハードウェアが備えている機能の一例である。また、記憶装置2は、タイマテーブル21と、割り込みテーブル22とを含む。これらの構成要素はそれぞれ概略以下のように動作する。
【0015】
インターバルタイムカウンタ11は、プロセッサのクロックと連動してカウントアップするフリーランニングのカウンタである。
【0016】
インターバルタイママッチレジスタ12は、インターバルタイマ割り込みを発生させたい割込み値を格納するレジスタである。
【0017】
一致回路14は、インターバルタイムカウンタ11の値がインターバルタイママッチレジスタ12に格納されている値と等しくなると、インターバルタイマ割り込みを発生する。
【0018】
インターバルタイマベクタレジスタ13は、インターバルタイマ割り込みが発生したタイマの種類を特定するためのベクタ番号を格納するためのレジスタである。ここで、ベクタ番号は、本来、発生した割り込みの優先順位を分類するためのものであり、プロセッサによっては、1種類の割り込みしかない場合もある。その場合にはインターバルタイマベクタレジスタ13は不要である。
【0019】
優先順位判定処理部15は、各種ベクタ番号をテーブルとして備えており、一致回路14においてインターバルタイマ割り込みが発生した場合、このインターバルタイマ割り込みと、インターバルタイマ割り込み以外の他の要因により発生した割り込みとの優先順位の判定を行う。ベクタ番号は、インターバルタイマ割り込み以外の他の要因による発生した割り込みに対しても設定されているため、優先順位判定処理部15は、このベクタ番号に基づいてどの割り込みを優先して処理すべきかを判断して、最も優先順位の高い割り込み要因を、割り込み処理部6に通知する。
【0020】
なお、この優先順位判定処理部15における優先順位の判定処理については、本発明の特徴とは直接には関係ないため、他の要因による割り込みとの間で優先順位判定を行う必要が無い場合、優先順位判定処理部15はタイマ割り込み通知部として機能する。この場合、優先順位判定処理部15は、一致回路14においてインターバルタイマ割り込みが発生した場合、割り込み処理部6にインターバルタイマ割り込みが発生したことをインターバルタイマベクタレジスタ13に格納されているベクタ番号と共に通知する。
【0021】
SW(ソフトウェア)命令処理部3は、オペレーティングシステム(OS)から指示があった各種SW命令を処理するブロックである。OSからタイマ命令が指示されると、SW命令処理部3からタイマ値をタイマ変換部4に通知する。
【0022】
タイマ変換部4は、タイマ命令で指定されたタイマ値をコンピュータ1で処理可能な形式であるカウント値へ変換するための処理を行う。例えば、タイマ命令で指定される値の形式が、マイクロ秒単位時間を表している場合には、タイマ変換部4にてインターバルタイムカウンタ11の形式であるプロセッサのクロックに連動した形式に変換を行う。
【0023】
タイマ変換部4にてコンピュータ1で処理可能な形式へ変換されたカウンタ値は、記憶装置2のタイマテーブル21に格納される。タイマテーブル21には、タイマ命令で指定された値の形式毎に、タイマ命令で指定されたタイマ値と、タイマ変換部4にて変換されたカウント値とが、ソフトウェア上のタイマの種類毎に格納される。
【0024】
割り込み設定部5は、タイマテーブル21からタイマ変換部4にて変換されたカウンタ値を読出し、このカウンタ値とインターバルタイムカウンタ11から読出した現在のインターバルタイムカウント値との加算を行う。加算した結果は、インターバルタイママッチレジスタ12に設定する割り込み値となる。この割り込み値は、一旦、割り込みテーブル22に格納される。
【0025】
割り込みテーブル22には、インターバルタイママッチレジスタ12に対して設定する割り込み値が各種タイマ毎に格納されている。割り込み設定部5は、割り込みテーブル22に格納されている割り込み値のうち最小の値を検索してインターバルタイママッチレジスタ12に格納するとともに、格納した割り込み値に対応したタイマの種類を特定するためのベクタ番号をインターバルタイマベクタレジスタ12に格納する。数十種類のベクタ番号を備える装置であれば、割り込み設定部5は、タイマの種類別にベクタ番号を用意して、その値を設定する。これにより割り込み処理部6では、どのベクタ番号で割り込んだのかを認識することが可能であり、割り込みテーブル22を参照することなくどのタイマにより割り込みが発生したのか判断できる。
【0026】
ベクタ番号が1種類のみの装置である場合には、割り込みテーブル22内でどのタイマ値を設定したのかフラグを残すことで判定が可能である。
【0027】
そして、コンピュータ1により、検出されたタイマ割り込みは、割り込み処理部6に通知される。割り込み処理部6では、発生したタイマ割り込みをアーキテクチャに基づき処理し、処理した結果を割り込み設定部5に通知する。
【0028】
割り込み設定部5では、割り込み処理部6から割り込み処理が完了した旨を通知されると、割り込み処理が完了したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値を、タイマテーブル21および割り込みテーブル22から削除して、次にインターバルタイママッチレジスタ12に設定するための割り込み値を割り込みテーブル22の中から検索する。
【0029】
なお、割り込み設定部5は、割り込みテーブル22から読み出した割り込み値が、インターバルタイムカウンタ11のカウント値より小さい場合、読み出した割り込み値をインターバルマッチレジスタ12に設定することなく、割り込み処理部6にインターバルタイマ割り込みがあった旨を通知して、通知したその割り込みが発生したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値をタイマテーブル21および割り込みテーブル22から削除する。
【0030】
次に、図2のフローチャートを参照して本実施形態の計算機システムの動作について詳細に説明する。
【0031】
タイマ命令がSWにより指示された場合、SW命令処理部3では、タイマ命令により指定されたタイマ値を取り出す(ステップA1)。次に、タイマ変換部4においてステップA2〜A5のタイマ変換処理が行われる。ステップA2〜A5では、SW命令より指定されたタイマ値をコンピュータ1で処理可能な形式へ変換するための処理を行う。ここでは、タイマ命令で指定される値の形式が、マイクロ秒単位時間を表している場合を例に説明する。
【0032】
SW命令から指示されるタイマ値が500マイクロ秒とした場合、コンピュータ1のプロセッサ周波数が1GHzであれば、変換係数として1000(MHz換算)を取り出す(ステップA2)。この変換係数の取得方法についてはここでは特に言及しない。そして、タイマ変換部4では、ステップA2で取得した変換係数1000とステップA1で取り出されたタイマ値500(マイクロ秒)とから下記の計算によりカウンタ値が生成される。
【0033】
1000(MHz)×500(マイクロ)=500000
そして、タイマ変換部4は、SW命令から指示されたオリジナルのタイマ値(500マイクロ秒)をタイマテーブル21に格納し(ステップA4)、ステップA3で生成されたカウンタ値500000をタイマテーブル21に格納する(ステップA5)。
【0034】
このようにしてタイマ値とカウンタ値が格納されたタイマテーブル21の形式の一例を図3に示す。このタイマテーブル21では、ソフトウェア上のタイマの種類に応じた行数が備えられている。タイマテーブル21は、本説明では記憶装置内に配置されているものとして説明しているが、プロセッサ内部のレジスタに設定されていても構わない。
【0035】
次に、割り込み設定部5により行われる割り込み設定処理について説明する。先ず、割り込み設定部5は、インターバルタイムカウンタ11から現在のインターバルタイムカウンタ値の取り出しを行う(ステップB1)。インターバルタイムカウンタは、プロセッサの初期化時にリセットされた後は、プロセッサ動作中、常にカウントアップし続けている。ここでは、割り込み設定部5が、2000000というインターバルタイムカウンタ値を取り出したものとして説明を行う。そして、割り込み設定部5は、割り込み値の生成を行う(ステップB2)。具体的には、割り込み設定部5は、下記の式に示すように、ステップA3において生成されたカウンタ値である500000と、ステップB1において取り出されたインターバルタイムカウンタ値2000000を加算して、割り込み値2500000を生成する。
【0036】
2000000+500000=2500000
そして、割り込み設定部5は、生成した割り込み値を割り込みテーブル22に格納する(ステップB3)。このようにして割り込み値が格納される割り込みテーブル22の形式の一例を図4に示す。割り込みテーブル22はタイマテーブル21と同様、ソフトウェア上のタイマの種類に応じた行数を備えている。
【0037】
そして、割り込み設定部5は、割り込みテーブル22を検索する(ステップB4)。ここでは、割り込みテーブル22に格納されている割り込み値が図5のように格納されている場合を例に説明する。割り込み設定部5は、割り込みテーブル22に格納されている割り込み値のうち、最小の値を検索して取り出す。但し、割り込み値が0の行は検索の対象外とする。図5に示す例だと行番号03の1980000が割り込み設定部5により取り出される。
【0038】
次に、割り込み設定部5は、取り出した割り込み値1980000と、インターバルタイムカウンタ11のインターバルタイムカウント値2000000との比較を行う(ステップB5)。ここでは、割り込み値1980000がインターバルタイムカウンタ値2000000よりも小さいため、割り込み設定部5は、割り込み処理部6への通知を行う(ステップB8)。つまり、割り込み値がインターバルタイムカウンタ値よりも小さいということは既にランアウトを検出していることになるため、取り出した割り込み値をインターバルタイママッチレジスタ12には設定せずに割り込み処理部6へタイマ割り込みがあった旨を通知する。そして、割り込み処理部6への通知が完了したため、割り込み設定部5は、割り込みテーブル22から行番号03の割り込み値をクリアする(ステップB9)。この後、割り込み設定部5は、ステップB4に処理を戻し、ステップB4にて再度検索処理を行う。
【0039】
すると、行番号03はクリアされているため対象外となることから、割り込み設定部5により次に取り出されるのは、行番号01の割り込み値2500000となる。そして、割り込み設定部5によりインターバルタイムカウンタ値と割り込み値とが比較され(ステップB5)、割り込み値2500000はインターバルタイムカウンタ値よりも大きいため、この割り込み値はインターバルタイママッチレジスタ12に格納される(ステップB6)。そして、割り込み設定部5は、インターバルタイマベクタレジスタ13にベクタ番号を格納する。タイマ割り込みのベクタ番号帯を例えば、100〜105とした場合、割り込みテーブル22の行番号+タイマ割り込みのベースベクタ100を加算して、ベクタ番号101がインターバルタイマベクタレジスタ13に格納される(ステップB7)。以上でタイマ命令が実行されてから割り込み値の設定までが完了する。
【0040】
インターバルタイムカウンタ11は常にカウントアップされており、インターバルタイムカウンタ値がインターバルタイママッチレジスタ12に設定されたタイマ値25000000と値と等しくなった場合には、一致回路14は、その旨を優先順位判定処理部15に通知する。そして、優先判定処理部15において、他の割り込み処理との優先順位の判定が行われた後に、割り込み処理部6にタイマ割り込みが発生したことが通知される。この時に優先順位判定処理部15から割り込み処理部6に対してベクタ番号101を通知することでどのタイマのランアウトが発生したかを認識することが可能となる。
【0041】
本実施形態の計算機システムによれば、ソフトウェアタイマの種類毎にカウンタ値および割り込み値をそれぞれ格納できるタイマテーブル21と割り込みテーブル22を備えることにより、割り込み設定部5は、OSに通知するランアウト要因の最小値を求めることができ、最小値を設定することで複数のタイマ処理を実現できるため、1つのハードウェアタイマのみを使用することにより、複数のタイマ処理を実現することができる。
【0042】
また、ソフトウェアで定義されるタイマの形式はマイクロ秒やミリ秒といったオーダであるのに対して、プロセッサが装備しているカウンタは周波数の向上により、1GHzや2GHzと十分な速度となっており、変換処理を行っても精度が保証できる。そのため、本実施形態の計算機システムによれば、ソフトウェア上のタイマ形式とハードウェアが装備しているカウンタの形式が異なる場合でも対応が可能となる。
【0043】
本発明によれば、1つのハードウェアタイマを装備したプロセッサであれば、計算機システムで複数のタイマ処理を必要とする場合でも、専用のハードウェアを作成する必要がなく、汎用プロセッサ上でOSを運用することが可能であり、計算機システム全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態の計算機システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の計算機システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したタイマテーブル21の形式の一例を示す図である。
【図4】図1に示した割り込みテーブル22の形式の一例を示す図である。
【図5】図1に示した割り込みテーブル22の割り込み値の具体的を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 コンピュータ(中央処理装置、プロセッサ)
2 記憶装置
3 SW命令処理部
4 タイマ変換部
5 割り込み設定部
6 割り込み処理部
11 インターバルタイムカウンタ
12 インターバルマッチレジスタ
13 インターバルタイマベクタレジスタ
14 一致回路
15 優先順位判定処理
21 タイマテーブル
22 割り込みテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイマ命令により指示されたタイマ値のタイマ処理を行う計算機システムであって、
プロセッサのクロックと連動してカウンタ値をカウントアップさせるインターバルタイムカウンタと、
インターバルタイマ割り込みを発生させたい割り込み値を格納するインターバルタイママッチレジスタと、
インターバルタイマ割り込みが発生したタイマの種類を特定するためのベクタ番号を格納するインターバルタイマベクタレジスタと、
発生したインターバルタイマ割り込みをアーキテクチャに基づき処理する割り込み処理部と、
前記インターバルタイムカウンタのカウント値が、前記インターバルタイママッチレジスタに格納されている割り込み値と等しくなった場合、インターバルタイマ割り込みを発生させる一致回路と、
前記一致回路においてインターバルタイマ割り込みが発生した場合、前記割り込み処理部にインターバルタイマ割り込みが発生したことを前記インターバルタイマベクタレジスタに格納されているベクタ番号と共に通知するタイマ割り込み通知部と、
タイマ命令により指定されたタイマ値をコンピュータで処理可能な形式であるカウント値へ変換するタイマ変換部と、
前記タイマ変換部にて変換されたカウンタ値を、ソフトウェア上のタイマの種類毎に格納するためのタイマテーブルと、
前記インターバルタイママッチレジスタに設定する割り込み値を前記各種タイマ毎に格納するための割り込みテーブルと、
前記タイマテーブルから格納されているカウンタ値を読出し、該カウンタ値と前記インターバルタイムカウンタから読出した現在のインターバルタイムカウント値とを加算して、該加算結果を割り込み値として前記割り込みテーブルに格納し、前記割り込みテーブルに格納されている割り込み値のうち最小の値を検索して前記インターバルタイママッチレジスタに格納するとともに格納した該割り込み値に対応したタイマの種類を特定するためのベクタ番号を前記インターバルタイマベクタレジスタに格納し、前記割り込み処理部から割り込み処理が完了した旨を通知されると、割り込み処理が完了したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値を前記タイマテーブルおよび前記割り込みテーブルから削除して、次にインターバルタイママッチレジスタに設定するための割り込み値を前記割り込みテーブルの中から検索する割り込み設定部と、
から構成されている計算機システム。
【請求項2】
前記割り込み設定部は、前記割り込みテーブルから読み出した割り込み値が、前記インターバルタイムカウンタのカウント値より小さい場合、読み出した割り込み値を前記インターバルマッチレジスタに設定することなく、前記割り込み処理部にインターバルタイマ割り込みがあった旨を通知して、通知した該割り込みが発生したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値を前記タイマテーブルおよび前記割り込みテーブルから削除する請求項1記載の計算機システム。
【請求項3】
プロセッサのクロックと連動してカウンタ値をカウントアップさせるインターバルタイムカウンタと、インターバルタイマ割り込みを発生させたい割り込み値を格納するインターバルタイママッチレジスタと、前記インターバルタイムカウンタのカウント値が、前記インターバルタイママッチレジスタに格納されている割り込み値と等しくなった場合、インターバルタイマ割り込みを発生させる一致回路と、発生したインターバルタイマ割り込みをアーキテクチャに基づき処理する割り込み処理部とを備えた計算機システムにおいてタイマ命令により指示されたタイマ値のタイマ処理を行うためのタイマ制御方法であって、
タイマ命令により指定されたタイマ値をコンピュータで処理可能な形式であるカウント値へ変換するタイマ変換ステップと、
変換された前記カウンタ値を、ソフトウェア上のタイマの種類毎に格納するステップと、
格納されている前記カウンタ値を読出し、該カウンタ値とインターバルタイムカウンタから読出した現在のインターバルタイムカウント値とを加算して、該加算結果を割り込み値として前記各種タイマ毎に格納する割り込み設定ステップと、
格納されている前記割り込み値のうち最小の値を検索して前記インターバルタイママッチレジスタに格納するとともに格納した該割り込み値に対応したタイマの種類を特定するためのベクタ番号をインターバルタイマベクタレジスタに格納するステップと、
前記インターバルタイムカウンタのカウント値が、前記インターバルタイママッチレジスタに格納されている割り込み値と等しくなることにより前記一致回路がインターバルタイマ割り込みを発生させた場合、前記割り込み処理部にインターバルタイマ割り込みが発生したことを前記インターバルタイマベクタレジスタに格納されているベクタ番号と共に通知するステップと、
前記割り込み処理部から割り込み処理が完了した旨が通知されると、割り込み処理が完了したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値を削除して、次にインターバルタイママッチレジスタに設定するための割り込み値を検索するステップと、
から構成されているタイマ制御方法。
【請求項4】
前記割り込み設定ステップでは、読み出した割り込み値が、前記インターバルタイムカウンタのカウント値より小さい場合、読み出した割り込み値を前記インターバルマッチレジスタに設定することなく、前記割り込み処理部にインターバルタイマ割り込みがあった旨を通知して、通知した該割り込みが発生したタイマに対応する割り込み値およびカウンタ値を削除するステップをさらに有する請求項3記載のタイマ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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