説明

計量−分配装置及び静電閉塞部材を備えた計量−分配ユニット

【課題】粉末形状の分配物質が、正確な分配量で且つ速い速度で物質に対する損傷なく目標容器内へ給送されるのを可能にする計量−分配ユニット又は計量−分配装置の提供。
【解決手段】粉末状又は粒子状の分配物質を貯蔵し且つ分配する機能を果たす計量−分配ユニット(110)は、分配物質のための少なくとも1つの収容空間(114)と、当該収容空間に結合されている出口穴(117)とを含んでいるハウジング(113)を備えている。当該計量−分配ユニットは更に、前記出口穴内での分配物質からなる閉塞栓及び/又は分配物質からなる開口シャッタの形成及び/又は破壊に作用する少なくとも1つの静電凝集手段(119)を備えている。前記出口穴の閉塞又は狭窄は、前記分配物質からなる閉塞栓又は開口シャッタの形成につながる分配物質の静電的な吸引及び凝集の結果として起こる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状の又は粒状の分配物質のための計量−分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の計量−分配装置は、特に、例えば有毒な物質を少量だけ小さな目標容器内へ正確に計量分配する際に使用される。目標容器は、続いて、所定の目的に従って更に処理できるように、計量−分配装置から給送される物質の量を秤量するために秤上に配置されることが多い。
【0003】
分配されるべき物質は、例えば、計量−分配ヘッドが設けられている供給源容器内に保持される。計量−分配されるべき物質は、小さな開口断面を有する容器内に充填することができるように、計量−分配装置の小さな穴から外部へと給送される。
【0004】
乾燥し且つ/又は粉状の流体のための計量−分配装置は、公知技術であり且つ現在使用されている。例えば、米国特許第5,145,009号においては、下面に閉塞可能な出口を備えた供給源容器を備えている物質を計量−分配するための装置が記載されている。閉塞部材として機能するのは円錐形の弁体であり、当該弁体の直径は上方に向かって減少しており、出口穴を開放するために垂直方向へ下降させることができ、開放位置にあるときに回転し且つ出口穴の方へ向かって計量−分配物質を前進させるための手段が備えられている。供給源容器においては更に、当該供給源容器の頂部から突出しており且つ駆動機構に結合されている駆動軸が横切って設けられている。充填されるべき目標容器は、計量−分配プロセス中に秤の上に載置され、当該秤の秤量信号は閉塞部材の駆動機構内の処理ユニットへと送られる。給送される計量−分配物質の量を測定するために秤を使用することによって、閉塞部材は、目標重量に達した瞬間に閉塞することができる(特許文献1参照)。
【0005】
上記の計量−分配装置は、計量−分配プロセス中に分配物質が摺り砕かれ得るという不利な点を有している。この摺り砕き作用は、生物工学的に製造される活性物質においては絶対的に望ましくないものである。なぜならば、特に、これらの物質の表面構造は、その有効性のための鍵となる部分であるからである。特に、新しい活性物質の開発段階においては、これらの表面構造は破壊されてはならない。なぜならば、破壊されると、これは実験における誤った結果につながるからである。
【0006】
この欠点を排除するために、種々の計量−分配装置が開発されて来た。これらの計量−分配装置としては、例えば、米国特許第7,134,459 B2号に開示されている計量−分配装置がある。当該計量−分配ユニットは、負圧によって容器から粉末を吸い寄せ且つ過圧によって粉末を目標容器内へと放出する。しかしながら、この種の計量−分配装置は、グラム範囲のより大きな分配量にのみ適しており、極めて不正確で、分配することができる粉末範囲が極めて限られている(特許文献2参照)。
【0007】
ここで使用されている粉末の範囲は、粒子サイズ、流れ特性、粘着性等において相互に異なる多様な粉末を意味している。
【0008】
出口穴が分配物質自体によって閉塞される計量−分配装置が米国特許第6,340,036号に開示されている。出口穴には、中空空間を出口穴から分離しているリング状の半透性膜が配置されている。閉塞栓の形成は、中空空間内に負圧を設定することによって達成され、一方、閉塞栓の破壊は圧力破裂によって生じる。吸引器具の作動に続いて、粒子は、半透性膜を覆うほぼ不透過性の層を形成している場所まで吸い寄せられ、それによって、出口穴を閉塞する閉塞栓が形成される(特許文献3参照)。
【0009】
米国特許第6,340,036 B1号(特許文献3)に記載されている計量−分配装置は、米国特許第7,134,459 B2号(特許文献2)に記載されている計量−分配装置の場合と同様に、極めて限られた範囲の粉末を分配するためにのみ適しており、最悪の場合には、半透性膜が、粒子の大きさ、粒子形状等のような特性について特別な粉末用としてのみ設計されている。すなわち、極めて小さい粒子の粉末が分配されつつある場合には、半透性膜の穴は、閉塞しつつあり且つ圧力による破裂によってさえ再び破壊することはできない。特に硬い角張った粉末粒子の場合がこれに該当する。極めて広範な分布の粒子サイズの粉末が分配されるべきである場合には、計量−分配装置は、最少量の粒子のみが穴を通るのを可能にし且つ損傷を生じさせ、特に、負圧を発生する機能を果たす装置に対する汚染を生じさせるであろう。更に、閉塞栓が圧力による破裂によって破壊されたときに、給送量がほとんど正確に制御することができない大量の分配物質が急激な噴出状態で出口穴から射出される。
【0010】
最も正確な計量−分配を可能にするために、米国特許第5,145,009 A号(特許文献1)に記載されている閉塞部材は、出口穴の開口断面積が無段階の調整範囲内で変化し得るように設計されている。特に、小さな出口開口断面積に対しては、出口穴からの質量流量の変化は、出口開口断面積の変化に従って比例的に変化せず、これらのファクタは、分配制御アルゴリズムにおいて考慮する必要はない。このタイプの計量−分配装置における質量流量の変化は、粒子サイズ、粒子形状及び凝集し且つ出口穴の表面に付着する粒子の傾向のような粒子の特性によって決定的な影響を受ける。付加的な重大なファクタとして、粉末の一つ及び同タイプの粉末特性が、例えば、含水率の変動の結果として大きく変化し得る。従って、通常は、分配制御アルゴリズムに、分配物質のある種の部分が分配された後に、出口開口が閉塞部材によって少量の分配物質のみが出て来るようにし、出口穴が目標重量に達したときに完全に閉塞される程度まで減じられるという規則が設定される。従って、この種の計量−分配装置による分配給送は極めて時間がかかる。
【特許文献1】米国特許第5,145,009号
【特許文献2】米国特許第7,134,459 B2号
【特許文献3】米国特許第6,340,036号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、粉末形状の分配物質が、正確な分配量で且つ速い速度で物質に対する損傷なく目標容器内へ給送されるのを可能にする計量−分配ユニット又は計量−分配装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、特許請求の範囲の独立項1に記載された特徴によって解決される。
【0013】
粉末状又は粒状の分配物質を貯蔵し且つ分配する機能を果たす計量−分配ユニットは、分配物質のための少なくとも1つの収容空間と当該収容空間に結合された出口穴とを備えているハウジングを備えている。当該計量−分配ユニットは、更に、分配物質からなる閉塞栓及び/又は出口穴内で分配物質からなる開口シャッタの形成及び/又は破壊に作用する少なくとも1つの静電凝集手段を更に備えている。
【0014】
出口穴の閉塞又は狭窄は、分配物質からなる閉塞栓又は開口シャッタの形成のための分配物質の静電による吸い寄せ及び凝集によって生じる。より分かり易くするために、分配物質を吸い寄せ且つ凝集させるように静電的に機能する手段は、静電凝集手段と称される。分配物質が静電的に帯電せしめられ得る場合には、計量−分配装置が単に十分に作動することはもちろん自明であると考えられる。殆どの絶縁物質、例えば、有機化合物はこれらの特性を有している。静電的に帯電させることができない分配物質の凝集を補助するためには、静電凝集が可能である不活性な粉末を付加すること又は粉末物質が導電性である場合には、これらに不活性な絶縁コーティングを設けることもまた可能である。
【0015】
収容空間内へ充填された分配物質が充填プロセスによって既に強く帯電せしめられることは起こり得ることであり、その結果、凝集手段が起動される必要なく閉塞栓を形成することができる。この場合に又は静電凝集手段がオフに切り換えられた後に、閉塞栓が、それ自体で落下しない場合には、以下に更に説明するように、閉塞栓を破壊するために静電凝集手段を使用することも可能である。
【0016】
良好な流れ特性を有する殆どの粉末においては、閉塞栓は、静電凝集手段がオフに切り換えられた直後に落下し、それによって、出口穴は突然に開かれる。目標とされる量が分配されるとすぐに、静電凝集手段は起動せしめられ、それによって、同じように突然に、閉塞栓が形成されて出口穴は閉じられる。これは、分配−制御アルゴリズムを決定的に簡素化する。なぜならば、出口開口の断面積の連続的な変化及びこれに関連して生じる問題と関連させる必要はないからである。更に、突然の開放及び閉塞は、機械的な閉塞部材を備えている計量−分配装置と比較して著しく短い分配給送時間につながる。
【0017】
最少量の分配のみがなされるか又は極めて容易に流れる粉体及び粒状体の場合には、物質の分配が多くなりすぎるのを防止するために、静電凝集手段を部分的にのみ起動させて分配物質からなり且つ出口穴をより狭くさせる開口シャッタを定着させるようにすることも可能である。残りの穴は、ある量がゆっくりとした速度で流出するのを可能にし続ける。
【0018】
少なくとも一つの静電凝集手段は、電極に高圧がかけられると、分配物質の粒子が凝集手段に静電的に引き寄せられて凝集せしめられ得るように、少なくとも1つの電極を含むことができる。
【0019】
電極が直流電圧に設定されるとすぐに、粒子は、吸い寄せられ且つ出口穴を閉塞する閉塞栓を形成し、その結果、分配物質は例えば重力によって流出することができなくなる。分配物質の特性に応じて、閉塞栓が形成された直後に電源から電極を分離することができるかも知れず、一方、幾つかの場合には、電圧が適用されたままとすることが必要かも知れない。分配物質が分配されるとすぐに、電極は接地電位に設定され、閉塞栓は落下し、分配物質が出口穴から流出し始める。電極を接地することが閉塞栓を崩れさせ又は崩壊させるのに十分でない場合には、電極に交番電位をかけることも可能である。
【0020】
電極が例えば閉塞栓を形成するために負圧に設定されている場合には、次いで、閉塞栓を帯電させることが知られている。粒子の流出を補助し又は出口穴の閉塞栓を引っ張り出すための手段として、負に帯電した粒子を吸い寄せる正に帯電せしめられた対向電極を、目標容器の底部近くに配置することができる。もちろん、この構造においては、パルス化された直流電圧に設定されている電極によって分配プロセスを補助することも可能である。
【0021】
種々の粉末に対する実験によって、この計量−分配技術によって極めて広範囲の粉末がこの計量−分配技術によって処理することができることが示されている。特に、含水率が極めて低い分配物質は、静電凝集手段に極めて良く付着する。
【0022】
計量−分配装置のための静電凝集手段の設計及び構造に関して種々の可能性が公開されている。
【0023】
第一の実施形態においては、少なくとも1つの静電凝集手段は、ロッド形状を有することができ且つ出口穴の直前又は出口穴内でハウジングの内側に配置することができる。
【0024】
第二の実施形態においては、少なくとも1つの静電凝集手段をハウジングの外側に配置することができる。ハウジングの外側に配置され且つ出口穴の方へ向けられている電離器による実験においては、電離器の起動は同様に閉塞栓の形成につながる。
【0025】
第三の実施形態においては、少なくとも1つの静電凝集手段が出口穴の周囲又は出口穴内にリング形態で配置することができる。
【0026】
1を超える静電凝集手段が使用されるべきである場合には、上記の設計変形例は、もちろん相互に結合することができる。例えば、ロッド形状の電極をハウジングの内側に配置し、出口穴内にリング形状電極を配置することができる。
【0027】
更に、当該ロッド形状の静電凝集手段又はロッド形状の閉塞部材は、出口穴を緊密に閉塞するために、ばね部材によって出口穴に押し付けることができる。これは、計量−分配ユニットが充填されているときに且つ/又は計量−分配装置内に設定されているときに出口穴からの分配物質の流出を防止する。長手中心軸線に沿い且つばね力の方向と反対の方向へのロッド形状の静電凝集手段の直線的移動によって、閉塞栓及び/又はリング形状の開口シャッタの形成が可能にされ且つ/又は出口穴が自由な状態に設計される。
【0028】
ロッド状の静電凝集手段又はロッド状の閉塞部材の中心長手軸線に沿った直線動作はまた、出口穴の開口断面積を変化させる機能をも果たす。この手段によって、出口開口断面積を分配されるべき分配物質の特性に適合させることができる。更に、この手段によって、最少量の分配物質でさえ極めて正確に分配することができる。更に、出口開口断面積を小さくすることによって、電極に適用する必要がある直流電圧を下げることができる。
【0029】
当該ハウジングは更に、閉塞キャップによって閉塞することができる収容空間に結合されるか又は発生源容器に結合されている充填穴を備えているのが好ましい。これによって、計量−分配ユニットに、問題がない方法で分配物質を充填することが可能になり、従って、当該分配物質は、ほとんどの場合に極めて小さい出口穴を介して収容空間内へ押し込まれる必要はない。
【0030】
計量−分配ユニットから分配物質を給送することができるためには、当該計量−分配装置は、少なくとも1つの駆動ユニット、少なくとも1つの処理ユニット及び分配された分配物質を測定する機能を果たす少なくとも1つの測定ユニットを必要とする。少なくとも1つの計量−分配ユニットは、前記計量−分配装置に交換可能に結合することができる。前記処理ユニットによって、少なくとも1つの凝集手段は測定ユニットの測定信号に応じて制御し、それによって、閉塞栓の形成及び機械及び/又はリング状開口シャッタが影響を受けるようにすることができる。
【0031】
当該測定ユニットは、重量測定装置、例えば、秤又は秤量モジュールとすることができるが、目標容器の充填レベル又は分配された体積量を記録し且つ測定することができる測定装置とすることもできる。
【0032】
閉塞栓又は開口シャッタの破壊を補助するために、計量−分配装置の駆動ユニットに、その作用が分配物質に向けられている少なくとも1つのアクチュエータ、特に、バイブレータ又は攪拌機構を設けることができる。
【0033】
極めて易動性の分配物質が最少量の分配量で分配される必要がある場合には、必ずしも、静電凝集手段又はロッド状閉塞部材によって開口部シャッタを形成する必要はない。駆動ユニットはまた、計量−分配ユニットを結合させることができる保持部材を含むこともできる。当該保持部材は、特に、分配物質の流れ特性を考慮に入れるために、傾斜ユニットによって傾斜させることができるような設計とすることができる。
【0034】
本発明による計量−分配ユニット及び計量−分配装置の詳細は、添付図面に示されている実施形態の説明によって提供される。
【発明の実施の形態】
【0035】
図1は、駆動ユニット150を備えている計量−分配装置100の斜視図であり、駆動ユニット150においては、計量−分配ユニットが定位置に設置され且つ続いて再び取り外すことができる。駆動ユニット150は、相対的に離れ或いは近づくように直線動作ができる上方部分157と下方部分158とを備えている保持部材を備えている。これは、異なる長さの計量−分配ユニット110の使用を可能にする。計量−分配ユニット110の簡単な交換及び安全で正確な分配動作を可能にするために、計量−分配ユニット110及び/又は保持部材には、嵌合による相互係合のために相補する適切な機械的又は恐らくは機械的及び電気的結合部材148、149を備える必要がある。保持部材内の計量−分配ユニット110を落下しないように固定するために、第二の機械的結合部材149上に水平ラッチ147及び垂直ラッチ146が配置されている。
【0036】
図1の計量−分配ユニット110は、基本的に円筒形状を有している。しかしながら、原理的には、種々の形状、例えば正方形、六角形又は八角形の外側及び内側断面を有する計量−分配ユニットも同様に可能である。駆動ユニット150内に載置されている計量−分配ユニット110は長手軸線が垂直方向に向けられた状態で示されている。保持部材は傾斜ユニット156によって垂直方向に可動のユニット159に傾斜可能に結合されているので、保持部材は、水平軸線を中心に傾斜位置へと回転させることができる。保持部材又は計量−分配ユニットの傾斜によって出口穴から流出する分配物質の流速に影響を及ぼすことが可能である。この傾斜軸線は、計量−分配ユニット110の出口穴(ここでは見えない)と同じ水平面にあるのが好ましい。その結果、計量−分配ユニット110が傾斜位置へと傾斜せしめられたときでさえ、出口穴の開口断面積の中心は常に同じ面内にあり、その結果、目標容器180が常に同じ位置に設置することができる。垂直方向に可動のユニット159は、同じく測定ユニット190を組み入れている基部プレート155に結合されている。垂直方向に可動のユニット159は、出口穴の断面の中心点の垂直方向下方に設置されている測定ユニット190との間の距離の測定を可能にする。これは、異なる高さの目標容器180への充填を可能にする。
【0037】
ここに示されている計量−分配ユニット110の設計構造は、図2の説明に詳細に開示されている。保持部材への結合に加えて、計量−分配ユニット110は2つの相互作用部材を備えており、このうちの一つはロッド状の閉塞部材111の端部によって表され、第二のものは、計量−分配ユニットから突出している電気接続部123の端部によって表されている。ロッド状閉塞部材111の端部は、上方部分157に締結されている駆動機構154に結合されており且つ正確に制御された直線動作をもたらす機能を提供する。もちろん、閉塞部材111はまた、収容空間内の粉末によるブリッジを破壊する機能を果たす攪拌機構を備えることもできる。攪拌機構が存在する場合には、駆動機構154は、閉塞部材111を回転状態に設定する付加的な機能を達成することができる。電気接続部123は、接続ソケット152内に差し込むことができる。
【0038】
図1に示されているように、計量−分配装置100は更に、駆動源が下方部分158内に組み込まれており且つ水平方向の動きを生じさせる側方アクチュエータ機構153が備えられている。これは、図3に示されている摺動シャッタが設けられている計量−分配ユニットの使用を可能にする。もちろん、開口制御作用をもたらすために、摺動アクチュエータ機構153を使用して出口穴の開放を少なくすることもできる。
【0039】
分配物質からなる閉塞栓の粉砕を補助するために、計量−分配装置100は、計量−分配ユニットに導かれる適切な種類の作用を生じさせることができるアクチュエータ145を含むことができる。
【0040】
図2に破断斜視図で示されている計量−分配ユニット110は、分配物質のための収容空間114を含んでいるハウジング113と、収容空間114に結合されている出口穴117とを備えている。収容空間114は、閉塞キャップ115によって閉塞することができる。閉塞キャップ115内には、中心長手軸線に沿って動くことができるロッド状の閉塞部材111が配置されている。同様に、閉塞キャップ115内に配置されているばね部材116のばね力によって、閉塞部材111上に配置されているフランジ118が押され且つ閉塞部材111が出口穴117に向かって押される。閉塞部材111が図1の文脈において説明されている駆動機構に結合されていない限り、出口穴117は、閉塞部材111によって緊密に閉塞されている。出口穴から反対方向を向いている閉塞部材111の端部には、駆動機構と嵌合できる結合溝120が形成されている。結合がなされた後に、駆動機構は、ばね力に対抗する閉塞部材111の直線的な変位によって出口穴117を開放させることができる。
【0041】
閉塞キャップ115は、収容空間114を充填するために取り外すことができる。しかしながら、閉塞部材111は、出口穴117が閉塞されたままとなるように、収容空間114内に留まるべきである。収容空間を充填するための別の可能な方法が、図2に示されている2部品からなるハウジング113によって提供されている。図2においては、この目的のために、2つの部分はハウジング113上に形成されているフランジ112の部分で相互に分離可能である。
【0042】
出口穴117の領域においては、電気接続部123によって電圧を適用することができるリング状の静電凝集手段119が設置されている。
【0043】
図1及び2を参照することによって、典型的な計量−分配プロセスを以下に説明することができる。分配物質が充填されている計量−分配ユニット110が駆動ユニット150内に設置されており、機械的結合部と電気的結合部とが相互に結合されており、計量−分配ユニット110から分配物質を分配するプロセスを開始することができる。第一のステップにおいては、静電凝集手段119に電圧が適用される。第二のステップにおいては、閉塞部材111の直線的な動きによって、出口穴117が機械的に開放され、一方、これと同時に、分配物質からなる閉塞栓が静電凝集手段119にかけられる電圧の結果として形成される。第三のステップにおいては、適用電圧が減じられ又は静電凝集手段119が電圧供給源から分離され、その結果、閉塞栓は落下し、分配物質は、重力によって計量−分配ユニット110から流出し始める。各々の能力が付与される場合には、分配物質の流れ特性は、静電凝集手段に交番電圧をかけることによって作用することができ、又は閉塞栓の破壊及び分配物質の流れ特性は、図1の文脈において説明したアクチュエータ145によって影響を受け得る。アクチュエータ145の代わりに又はアクチュエータ145と組み合わせて、駆動機構154によって、閉塞部材111に振動を付えることもできる。
【0044】
測定ユニット190が分配物質の分配量が目標重量に等しいという信号を発するとすぐに、静電凝集手段119に直流電圧が供給され、出口穴117は閉塞される。計量−分配中の質量流量を測定し且つ自由落下高さも計算に入れることによって、自由落下高さ及び分配物質の質量流量に応じて、計量−分配ユニット110と目標容器180の底部との間を自由落下する分配物質を考慮に入れて目標重量に達する前に静電凝集手段119を起動させることができる。
【0045】
例外的に、易動性の分配物質のためには、静電凝集手段は部分的にのみ起動され、それによって出口穴を分配物質からなる開口シャッタによって部分的に閉塞させることができる。部分的な作動は、電圧を下げること又は静電凝集手段内に形成されている電極の区分化された構造及び選択的な区分制御によって達成することができる。
【0046】
図3は、本発明による計量−分配ユニット210の第二の実施形態を破断斜視図で示している。計量−分配ユニット210は、上端に充填穴212が形成されているハウジング213を備えている。ハウジング213の下端には出口穴217が形成されている。出口孔217と充填穴212との間のハウジング213の内側には、分配物質のための収容空間214を有している。充填穴212によって、発生源容器225は、計量−分配ユニット210のハウジング213に結合することができる。汚染物質が入るのを避けるためには、充填穴は、発生源容器225がハウジング213に結合されているときに発生源容器225の密封面221のための緊密嵌合面を形成し且つ外界の影響及び分配物質の流出を防止するために連結部を密封するシール222を備えている。
【0047】
収容空間214内には、ロッド状の静電凝集手段219が配置されており、当該静電凝集手段219の下端は出口穴217の領域内に配置されている。上方端部は、電気接続部223に結合されており、当該電気接続部223は、ロッド状凝集手段219の中心長手軸線に対して直角に配向されており且つハウジング213につながっている。
【0048】
図3に示されているように、ロッド状凝集手段219は、厚い絶縁層によって包囲されている中心導体211からなる。ボール状の電極218が、凝集手段219の下端に配置されており且つ中心導体211に接続されている。もちろん、星形電極、格子電極、円筒形の穴を備えた篩い型電極及びこれらに類似した構造のような多くの異なる電極形状が考えられる。
【0049】
出口穴217の領域に配置されている通過穴215を備えた摺動シャッタ216が更に設けられている。シャッタ216の位置を変えることによって通過穴215が出口穴217の領域内へ移動せしめられるとすぐに、出口穴217は開放され、分配物質は計量−分配ユニット210から流出することができる。このことが不意に起こるのを防止するために、静電凝集手段219はまた、摺動シャッタ216を動かす前に電圧によって付勢することもできる。
【0050】
もちろん、図2及び3に示されている実施形態を相互に組み合わせることができる。ロッド状電極とリング状電極との組み合わせを備えた計量−分配ユニットが考えられる。更に、閉塞部材の代わりに、ロッド状電極を直線的に動くように配置することができる。更に別の注目すべき点として、閉塞部材と摺動シャッタとの組み合わせは、特に有毒な物質の貯蔵及び処理に対して有利である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、駆動ユニット、保持部材及び当該保持部材内に設置された計量−分配ユニットを備えた計量−分配装置の斜視図である。
【図2】図2は、リング状の静電凝集手段及びロッド形状の閉塞部材を備えた第一の実施形態による計量−分配ユニットの破断斜視図である。
【図3】図3は、発生源容器、摺動シャッタ及びロッド状静電凝集手段を備えた第二の実施形態による計量−分配ユニットの破断斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
100 計量−分配装置、
210,110 計量−分配ユニット、
111 ロッド状閉塞部材、
112 フランジ、
213,113 ハウジング、
214,114 収容空間、
115 閉塞キャップ、
116 ばね部材、
217,117 出口穴、
118 フランジ、
119 リング状静電凝集手段、
120 結合溝、
223,123 電気接続部、
145 アクチュエータ、
146 垂直ラッチ、
147 水平ラッチ、
148 第一の結合部材、
149 第二の結合部材、
150 駆動ユニット、
152 結合ソケット、
153 摺動アクチュエータ機構、
154 駆動機構、
155 基部プレート、
156 傾斜ユニット、
157 上方部分、
158 下方部分、
159 垂直方向可動ユニット、
180 目標容器、
190 測定ユニット、
211 中心導体、
212 充填穴、
215 通過穴、
216 摺動シャッタ、
218 ボール状電極、
219 ロッド状凝集手段、
221 密封面、
222 シール、
225 発生源容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の分配物質を貯蔵し且つ分配する機能を果たし、分配物質のための少なくとも1つの収容空間(114,214)と当該収容空間(114,214)に結合されている出口穴(117,217)とを有するハウジング(113,213)を備えている計量−分配ユニット(110,210)であり、
出口穴(117,217)内の分配物質からなる閉塞栓及び/又は分配物質からなる開口シャッタの形成及び破壊に影響を及ぼす少なくとも1つの静電凝集手段(119,219)を備えていることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の計量−分配ユニットであり、
前記少なくとも1つの静電凝集手段(119,219)が少なくとも1つの電極(218)を備えており、当該電極に高い電圧をかけることによって、前記分配物質の粒子を前記静電凝集手段(119,219)に吸い寄せ且つ凝集させることができることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の計量−分配ユニットであり、
分配物質からなる閉塞栓又は開口シャッタを形成し且つ/又は維持するために、前記少なくとも1つの静電凝集手段(119,219)を直流電圧に設定することができることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配ユニットであり、
分配物質からなる閉塞栓又は開口シャッタを破壊するために、前記少なくとも1つの静電凝集手段(119,219)を交番電圧に設定することを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配ユニットであり、
前記少なくとも1つの静電凝集手段(119,219)が、ロッド状に設計され且つハウジング(113,213)の内側の出口穴(117,217)の直前又は内部に配置される設計とされていることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配ユニットであり、
前記少なくとも1つの静電凝集手段(119,219)が、前記ハウジング(113,213)の外側の前記出口穴(117,217)の直前又は内部に配置されていることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配ユニットであり、
前記少なくとも1つの静電凝集手段(219)が、前記出口穴(117,217)の外側近く又は出口穴(117,217)内にリング状に配置されていることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の計量−分配ユニットであり、
前記ロッド状静電凝集手段(119)又はロッド状閉塞部材(111)が、ばね部材(116)によって出口穴(117,217)に押し付けられ且つ当該出口穴(117,217)を緊密に閉塞し、前記ロッド状静電凝集手段(119)又は前記ロッド状閉塞部材(111)のその長手軸線に沿い且つばね力に抗する方向の直線的な移動によって、閉塞栓及び/又はリング状開口シャッタの形成が可能になり且つ/又は出口穴(117,217)が自由な状態に設定されることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配ユニットであり、
前記出口穴(117,217)の開口断面積が、前記ロッド状静電凝集手段(119)又はロッド状閉塞部材(111)のその長手中心軸線に沿った直線動作によって変えることができることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配ユニットであり、
前記ハウジング(113,213)が、閉塞キャップ(115)又は発生源容器(225)によって閉塞することができる収容空間(114,214)に結合されている充填穴(212)を更に備えていることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配ユニットであり、
前記出口穴(117,217)に、当該出口穴(117,217)を閉塞させる機能を果たす摺動シャッタ(216)が設けられていることを特徴とする計量−分配ユニット。
【請求項12】
少なくとも1つの駆動ユニット(150)、少なくとも1つの処理ユニット及び分配される分配物質を連続的に測定する機能を果たす少なくとも1つの測定ユニット(190)を備えた計量−分配装置(100)であり、
請求項1乃至11のうちのいずれか一の項に記載の少なくとも1つの計量−分配ユニット(110,210)を当該計量−分配装置(100)に交換可能に結合させることができ、前記処理ユニットによって、前記少なくとも1つの凝集手段(119,219)が前記測定ユニット(190)の測定信号に応じて制御することができ、それによって、閉塞栓及び/又はリング状開口シャッタの形成及び破壊に作用することができるようになされていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項13】
請求項12に記載の計量−分配装置であり、
前記駆動ユニット(150)が、少なくとも1つのアクチュエータ(145)、特に、バイブレータ又は攪拌機構を備えており、当該アクチュエータの作用は前記分配物質に導かれることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の計量−分配装置であり、
前記駆動ユニット(150)が、保持装置(157,158)、垂直方向に可動のユニット(159)及び当該垂直方向に可動のユニット(159)と前記保持装置(157,158)との間に配置されている傾斜ユニット(156)を備えており、当該計量−分配ユニット(110,210)は前記保持装置(157,158)に結合することができ、当該保持装置(157,158)は前記垂直方向に可動のユニット(159)に対して傾斜させることができることを特徴とする計量−分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−75087(P2009−75087A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208377(P2008−208377)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】